JP7265969B2 - 連結具の固定治具及び連結具の固定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、連結具の固定治具及び連結具の固定方法に関する。
立坑や橋脚補強等の構造物を地中に構築するために、複数のセグメントを連結してリング体を構築し、リング体をその軸孔方向に重ねて複数連結した構造体を地中や水中に構築する工法が知られている。近年は、このような構造体の大型化(大口径化、大深度化)が進んでおり、それに伴って工期も長期化する傾向にある。
上記の問題を解消する方法として、例えば、プレートの両端部に連結具を設けたセグメントが知られている(例えば、特許文献1参照)。この構成によれば、連結具を介して隣接するセグメント同士を繋ぎ合わせることができるので、効率よく構造体を構築することができる。
特開2016-205119号公報
このような連結具はプレートと溶接等によって接合するが、接合作業においては、連結具とプレート同士の位置合わせ(接合精度)が重要となる。したがって、高い接合精度を確保するため作業工数を確保する必要があり、接合作業の効率化に課題があった。
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、セグメント等の部材に対して連結具を接合する際の作業性に優れた連結具の固定治具及び連結具の固定方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る第1の態様は、互いに対向して形成される主爪と副爪とを有する連結具の固定治具であって、前記主爪と前記副爪との間に配置され、前記主爪及び前記副爪に対して一方向に沿って対向し、前記主爪と前記副爪の内面に当接する第1固定部と、前記主爪に対して前記一方向に沿って対向し、前記主爪と前記第1固定部との当接面とは裏側の前記主爪の外側面に当接し、前記主爪を押圧する第2固定部と、前記副爪に対して前記一方向に沿って対向し、前記副爪と前記第1固定部との当接面とは裏側の前記副爪の外側面に当接し、前記副爪を押圧する第3固定部とを有する。
また、前記第1固定部は、固定される基端部と、前記基端部の一端側に設けられ、前記主爪と前記副爪の内側面に当接する頭部とを有し、前記主爪及び前記副爪は、前記基端部と前記頭部との間で前記第1固定部に係止されることが好ましい。
また、前記第2固定部と前記第3固定部との少なくとも一方の前記第1固定部に対する位置を調節する調節部を有することが好ましい。
また、前記調節部は、前記第2固定部と前記第3固定部の少なくとも一方を前記第1固定部の前記基端部から前記頭部に向かう方向に沿って移動させることが好ましい。
また、各固定部を収容する筐体を有し、前記筐体は、前記第2固定部と前記第3固定部との少なくとも一方の前記第1固定部に対する位置を確認する窓部を有することが好ましい。
また、前記頭部は、前記主爪の内側面と当接する第1テーパ部と、前記副爪の内側面と当接する第2テーパ部とを有することが好ましい。
また、前記連結具は、鋼矢板の継手部から形成されていることが好ましい。
また、本発明に係る第2の態様は、主爪と該主爪と間隔をあけて形成される副爪とを有する連結具を一定の姿勢に固定する連結具の固定方法であって、前記主爪と前記副爪との間に第1固定部を配置し、該第1固定部を前記主爪及び前記副爪に対して一方向に沿って対向させて前記主爪と前記副爪の内面に当接させる工程と、前記主爪と前記第1固定部との当接面の裏側にある前記主爪の外面を第2固定部により押圧する工程と、前記副爪と前記第1固定部との当接面の裏側にある前記副爪の外面を第3固定部により押圧する工程とを有する。
本発明に係る態様によれば、連結具をセグメント等の部材に対して高い精度で接合することができる。
構造物のセグメントの斜視図である。 セグメントを構成するプレートと連結具との接合部分を表す側面図である。 セグメントの製造装置の側面図である。 製造装置を拡大した側面図である。 連結具の固定治具の一部を断面視した側面図である。 固定治具の分解斜視図である。 連結具の固定治具の平面図である。 図7の一部を拡大視した連結具の固定治具の平面図である。 固定治具の正面図である。 連結具と第1固定具との当接状態を表す側面図である。 連結具を固定治具に取り付ける工程を表す斜視図である。 連結具を固定治具に取り付ける工程を表す斜視図である。 連結具を固定治具に取り付ける工程を表す斜視図である。 連結具を固定治具に取り付ける工程を表す斜視図である。 連結具の上方に継手を取り付ける工程を表す斜視図である。 製造装置の一部を拡大視した斜視図である。
本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す実施の形態は一つの例示であり、本発明の範囲において、種々の形態をとり得る。
〔セグメントの構成〕
図1及び図2を用いて、本実施の形態に係る固定治具の固定対象である連結具が接合された接合体(セグメント)の構成について説明する。
セグメント1は、例えば、地中に埋設される構造部の一部を構成する。図1に示すように、セグメント1は、構造物(図示しない)の外壁を形成する外側ピース11と、構造物の内壁を形成する内側ピース12と、外側ピース11と内側ピースとを連結する連結ピース13とを有する。
外側ピース11は、円弧状に湾曲形成されたプレート11aと、プレート11aの湾曲に沿った外縁に立設された2つの主桁11bと、2つの主桁11bの両端間を結ぶ継手11cと、2つの主桁11b間において継手11cと平行に設けられるリブ11dとを有する。
内側ピース12は、円弧状に湾曲形成されたプレート12aと、プレート12aの湾曲に沿った外縁に立設された2つの主桁12bと、2つの主桁12bの両端間を結ぶ継手12cと、2つの主桁12b間において継手12cと平行に設けられるリブ12dとを有する。
外側ピース11のプレート11aの両端及び内側ピース12のプレート12aの長手方向(周方向)両端には、他のセグメントと連結させるための連結具20が接合されている。以下で、セグメント1を構成する外側ピース11に接合される連結具20の構成について説明する。なお、内側ピース12に接合される連結具も同様の構成である。
(連結具の構成)
図2に示すように、連結具20は、一端側で外側ピース11のプレート11aと接合されている。連結具20とプレート11aとは、後述する製造装置100を用いて接合される。連結具20は、例えば、鋼矢板の継手部から形成されている。
連結具20は、一方向に延びる本体部21と、本体部の一端に形成される主爪22と、本体部21の一端において主爪22と間隔をあけて形成される副爪23とを有する。主爪22は、本体部21の一端から湾曲状に延びる基部22aと、基部22aの先端において内側方向(副爪22に対向する方向)に膨出する第1膨出部22bと、外側方向(内側とは反対の方向)に膨出する第2膨出部22cとを有する。副爪23は、本体部21の一端から湾曲状に延びる基部23aと、基部23aの先端において主爪22に対向する方向に膨出する第3膨出部23bとを有する。
連結具20は、プレート11aに接合された状態において、主爪22の基部22aが、継手11cの近傍に配置されるように形成されている。また、連結具20を構成する主爪22の基部22aの一部と第1膨出部22b及び第2膨出部22c、副爪23の基部23aの一部と膨出部23bは、継手11cの外側(外側ピース11の外側)に突出するように配置されている。
〔セグメントの製造装置〕
図3及び図4を用いて、連結具20を接合した接合体である外側ピース11を製造するための製造装置100の構成について説明する。製造装置100は、連結具20とプレート11aとの接合処理を行うとともに、セグメント1を構成する外側ピース11を製造する。
図3に示すように、製造装置100は、本体部110と、プレート11aを載置する載置部120と、主桁11bを設置する主桁設置部130と、本体部110の両側に設けられ、継手11cを設置する継手設置部140と、本体部110の両端側に設けられ、連結具20を載置する受け部150とを有する。
図3及び図4に示すように、本体部110は、長手方向の両端側に略矩形状の確認窓111を有する。確認窓111は、連結具20が、適切な位置において後述する受け部150に設置されていることを目視で確認するために形成されている。
載置部120は、載置されるプレート11aを一定姿勢に固定する。載置部120は、本体部110の長手方向にわたって設けられ、プレート11aと略同等の形状(上に凸の湾曲状)に形成されている。
主桁設置部130は、本体部110の幅方向(図3の紙面に垂直な方向)の両端に本体部110の長手方向にわたって設けられる。主桁設置部130は、載置部120に対して垂直に立設される一対の壁部によって構成される。この壁部は、主桁11bの外形と略同等の形状を有する。
継手設置部140は、本体部110の幅方向(図3及び図4の紙面に垂直な方向)に沿って、継手11cを設置する。図4に示すように、継手設置部140は、下端側において本体部110と接続される接続部141を有する。接続部141は、本体部110の幅方向を軸線とする回転軸を有する。したがって、継手設置部140は、接続部141を回転軸として、回転自在に本体部110と接続されている。また、継手設置部140は、上端側において継手設置部140を本体部110に固定する固定部142を有する。固定部142は、本体部110の幅方向と平行な軸部を有し、この軸部が継手設置部140と本体部110に形成される挿通孔(図示しない)に挿通されることにより、継手設置部140が本体部110に固定される。また固定部142の軸部は、本体部110を貫通し、継手設置部140に設置される継手11cに当接することにより、継手11cを一定姿勢に固定する。なお、継手設置部140は、継手11cを設置する工程においては固定部142によって本体部110に固定されているが、その他の工程においては、固定部142による固定が解除されてもよい。例えば、連結具20及び固定治具200を本体部110に取り付ける工程においては、継手設置部140は、固定部142による固定が解除された状態において、接続部141(回転軸)を中心に、別の位置に回転移動されてもよい。また、継手設置部140は、長手方向における接続部141と固定部142との間の位置において、円形状の覗き窓143を有する。覗き窓143は、後述するように、連結具20が固定治具200によって適切に固定されていることを目視で確認するために形成されている。
受け部150は、略直方体形状を有し、本体部110上に本体部110の幅方向に沿って複数配置されている。受け部150は、連結具20の本体部21を載置し、固定治具200とともに連結具20を一定姿勢に固定する。
さらに製造装置100は、本体部110の両端側に設置される、連結具20を固定する固定治具200を有する。以下に固定治具200の詳細について説明する。
<固定治具>
図5~図9を用いて固定治具200の構成について説明する。固定治具200は、連結具20を一定姿勢に固定する。図5に示すように、固定治具200は、基礎部210と、蓋部220と、第1固定部230と、第2固定部240と、第3固定部250と、第1調節部260と、第2調節部270とを有する。以下で各構成について説明する。
(基礎部)
基礎部210は、製造装置100の本体部110の端部側において、本体部110上に、本体部110の幅方向に沿って設置されている。基礎部210は、蓋部220、第1固定部230、第2固定部240及び第3固定部250を支持する。基礎部210は、固定治具200の筐体を構成しており、略直方体形状を有する。
基礎部210は、基礎部210の長手方向Lに沿って収容部211を複数有する。図5及び図6に示すように、収容部211は、基礎部210の上面210a及び前面210b(後述する連結具20が設置される側の面)の一部を切り欠くように形成されている。収容部211は、第1固定部230及び第3固定部250を互いに積層させた状態で収容する。なお、収容部211の形態はこれに限られない。例えば、収容部211は、第1固定部230、第2固定部240及び第3固定部250を収容する形態が適用されてもよい。
基礎部210は、その上面210aから、当該上面210aに対して垂直な方向に延びる第1挿通孔212を有する。第1挿通孔212は、基礎部210の長手方向Lにおいて、収容部211の両側に複数形成されている。第1挿通孔212には、その内周面にねじ溝が形成されており、後述する締結用ボルトBが取り付けられる。また、基礎部210は、その背面210c(前面210aの背面側に位置する面)から、当該背面210cに対して垂直な方向に延びるとともに収容部211へ貫通する第2挿通孔213を有する。第2挿通孔213は、基礎部210の長手方向Lに沿って複数形成されている。第2挿通孔213には、後述する第1固定部230を基礎部210に対して固定するための締結用ボルトBが挿通される。さらに、基礎部210は、その背面210cから、当該背面に対して垂直な方向に延びるとともに収容部211へ貫通する第3挿通孔214を有する。第3挿通孔214は、第2挿通孔213の下方位置(上面210aと反対側の位置)において、基礎部210の長手方向Lに沿って複数形成されている。第3挿通孔214には、その内周面にねじ溝が形成されており、後述する第3固定部250の収容位置を調節する第2調節部270が取り付けられる。
(蓋部)
蓋部220は、基礎部210の上面210a側において、基礎部210の収容部211に対応する位置に配置される。蓋部220は、基礎部210の上面210a上に設置されることにより、基礎部210の収容部211の上方の開放部分を覆う。蓋部220は、固定治具200の筐体を構成しており、略直方体形状を有する。
蓋部220は、第2固定部240を収容する収容部221を有する。収容部221は、前面220b(後述する連結具20が設置される側の面)と下面220d(上面220aの背面側に位置する面)の一部を切り欠くように形成されている。
図5及び図6に示すように、蓋部220は、その上面220aから、当該上面220aに対して垂直な方向に延びるとともに下面220dへと貫通する第1挿通孔222を有する。第1挿通孔222は、基礎部210の長手方向Lにおいて、蓋部220の両端側に複数形成されている。第1挿通孔222には、後述する締結用ボルトBが挿通される。図7及び図8に示すように、第1挿通孔222に締結用ボルトBが挿通され、その先端部が基礎部210の第1挿通孔212に取り付けられることにより、蓋部220が基礎部210に固定される。また、蓋部220は、その背面220c(前面220aの背面側に位置する面)から、当該背面220cに対して垂直な方向に延びるとともに収容部221へ貫通する第2挿通孔223を有する。第2挿通孔223は、蓋部220の長手方向Lに沿って複数形成されている。第2挿通孔223には、その内周面にねじ溝が形成されており、後述する第2固定部240の収容位置を調節する第1調節部260が取り付けられる。
図6に示すように、蓋部220は、その上面220aから、当該上面220aに対して垂直な方向に延びるとともに収容部221へと貫通する視認孔(窓部)224を有する。視認孔224は、基礎部210の長手方向Lに沿った平面部と、同長手方向Lの両端側に形成される曲面部とからなる形状を有する。図7に示すように、視認孔224から、基礎部210の収容部211に収容される第1固定部230及び蓋部220の収容部221に収容される第2固定部240の収容状態を目視で確認することができる。すなわち、視認孔224からは、第1固定部230に対する第2固定部240の位置を確認することができる。なお、視認孔224は、第1固定部230に対する第3固定部250の位置を確認できるようになっていてもよい。
(第1固定部)
第1固定部230は、連結具20が固定治具200に固定された状態において、一部が連結具20を構成する主爪22と副爪23との間に配置され、主爪22及び副爪23の内側面に当接することにより、主爪22及び副爪23を位置決めする。第1固定部230は、第2固定部240と第3固定部250との間に配置された状態で、基礎部210の収容部211に収容される。
図5に示すように、第1固定部230は、基端部231と、基端部231の一端側に設けられる頭部232と、基端部231と頭部232とを繋ぐネック部233とを有する。
図6に示すように、基端部231は、略直方体形状を有する。基端部231は、その端面231a(基端部231の長手方向において、頭部232とは反対側に位置する面)から、当該端面231aに垂直な方向に延びる挿通孔231bを有する。挿通孔231bには、その内周面にねじ溝が形成されており、基礎部210の第2挿通孔213を介して挿通される締結用ボルトBが取り付けられる。第1固定部230は、挿通孔231bに取り付けられる締結用ボルトBによって締結されることにより、基礎部210に固定される。また、基端部231の端面231aには、その端面231aの一部が平坦状の底面を有する切欠部231cが形成されている。切欠部231cは、基端部231(第1固定部230)が収容部211内において適切な位置に収容されていることを確認するために形成されている。具体的には、図9に示すように、切欠部231cの底面と収容部211の内壁面との間に形成される隙間hを計測することにより、基端部231(第1固定部230)の収容位置が適切であるかを確認することができる。適切な隙間hは、例えば、1mmに設定される。
図5及び図10に示すように、頭部232は、基端部231の長手方向において、ネック部233を介して基端部231と同軸上に形成されている。頭部232は、第1固定部230が連結具20に取り付けられた状態において、連結具20を構成する主爪22の基部22a及び第1膨出部22bと、副爪23の基部23a及び膨出部23bとによって囲まれる空間内に取り付けられる。頭部232は、その一部が連結具20を構成する主爪22の第1膨出部22b及び副爪23の膨出部23bに当接することにより、連結具20が位置決めされる。頭部232は、基端側(ネック部233と接続される側)において、主爪22の第1膨出部22bと当接する傾斜状の第1テーパ部232aと、副爪23の膨出部23bと当接する傾斜状の第2テーパ部232bとを有する。なお、連結具20が固定治具200によって固定される姿勢は、第1テーパ部232aと主爪22の第1膨出部22bとの当接位置と、第2テーパ部232bと副爪23の膨出部23bとの当接位置とによって決定される。また、頭部232は先端側(基端側とは反対側)において、面取部232cを有する。面取部232cは、第1固定部230が連結具20に取り付けられる際に、頭部232と爪部22の基部22a及び副爪23の基部23aの内壁面との干渉(接触)を起こしにくくするために形成されている。また、頭部232の厚み(基端部231の長手方向と垂直な方向における頭部232の端縁間の距離)は、主爪22と副爪23の対向する端縁間の距離(主爪22の第1膨出部22bの先端と副爪23の膨出部23bの先端との間の距離)よりも大きく設定されている。
図5及び図10に示すように、ネック部233は、基端部231と頭部232とを接続し、基端部231及び頭部232と同軸上に形成されている。ネック部233の厚み(端縁間の距離)は、主爪22と副爪23の対向する端縁間の距離よりも小さく設定されている。
(第2固定部)
第2固定部240は、連結具20が固定治具200に固定された状態において、連結具20を構成する主爪22の外側面と当接することにより、主爪22を押圧する。第2固定部240は、第1固定部230の上方に配置された状態で、蓋部220の収容部221に収容される。
図5及び図6に示すように、第2固定部240は、本体部241と、押圧部242と、突起部243とを有する。
図6に示すように、本体部241は、略直方体形状を有し、第1固定部230の基端部231と略同等の幅(基礎部210の長手方向における長さ)を有する。
押圧部242は、本体部241の長手方向における一端部に形成されている。連結具20を構成する主爪22の外側面と当接することにより、連結具20を本体部241と反対側に向けて押圧する。押圧部242は、凹状の曲面を有する。曲面は、当接する主爪22の外側形状(曲面形状)に対応する形状を有する。
突起部243は、本体部241の押圧部242とは反対側の端部に複数形成されている。突起部243は、平坦状の突起面243aを有する。突起面243aは、後述するように、蓋部220の第2挿通孔223に挿通される第1調節部260が当接する面である。また、突起部243間には平坦状の底面を有する凹部243bが形成されている。凹部243bの深さ(突起面243aと凹部243bの底面との距離)は、第1固定部230の切欠部231cの深さ(第1固定部230の基端部231の端面231aと切欠部231cの底面との距離)よりも大きく設定されている。
(第3固定部)
第3固定部250は、連結具20が固定治具200に固定された状態において、連結具20を構成する副爪23の外側面と当接することにより、副爪23を押圧する。第3固定部250は、第1固定部230の下方に配置された状態で、基礎部210の収容部211に収容される。
図5及び図6に示すように、第3固定部250は、本体部251と、押圧部252と、突起部253とを有する。
図6に示すように、本体部251は、略直方体形状を有し、第1固定部230の基端部231及び第2固定部240の本体部241と略同等の幅(基礎部210の長手方向における長さ)を有する。
押圧部252は、本体部251の長手方向における端部に形成されている。連結具20を構成する副爪23の外側面と当接することにより、連結具20を本体部251と反対側に向けて押圧する。押圧部252は、凹状の曲面を有する。曲面は、当接する副爪23の外側形状(曲面形状)に対応する形状を有する。
突起部253は、本体部251の長手方向における端部(押圧部252と反対側の端部)に形成されており、平坦面253aを有する。平坦面253aは、後述するように、基礎部210の第3挿通孔214に挿通される第2調節部270が当接する面である。
(第1調節部)
第1調節部260は、蓋部220の収容部221に収容される第2固定部240の収容位置を調節する。図5及び図6に示すように、第1調節部260は、蓋部220の第2挿通孔223に挿通され、蓋部220に取り付けられる。第1調節部260は、筒状の本体部261と、本体部261の一端側(収容部221側)に形成される当接部262と、本体部261の他端側(蓋部220の外面側)に形成される工具取り付け用の孔部263とを有する。
本体部261は、その外周面にねじ溝を有しており、蓋部220の第2挿通孔223に形成されるねじ溝と噛み合ってらせん状(軸線回り)に回転する。本体部261が第2挿通孔223内でらせん状に回転することにより、第1調節部260が第2挿通孔223の軸線方向に沿って移動する。
当接部262は、蓋部220の収容部221内に飛び出した状態において、収容部221に収容される第2固定部240の突起面243aと当接する。当接部262は、凸状の曲面により形成されており、曲面の先端部で突起面243aと当接する。連結具20が固定治具100によって固定された状態において、第2固定部240は、第1調節部260の当接部262に当接させた状態で収容部221に収容される。
孔部263は、例えば、断面が六角形状の窪みである。孔部263は、工具(六角レンチ)を装着するために形成されている。孔部263に装着された工具(六角レンチ)を用いることにより、本体部261がらせん状に回転する。
よって、第1調節部260は、第2固定部240を第1固定部230の基端部231から頭部232に向かう方向に沿って移動させることにより、第1固定部230に対する位置を調節することができる。
(第2調節部)
第2調節部270は、基礎部210の収容部211に収容される第3固定部250の収容位置を調節する。図5及び図6に示すように、第2調節部270は、基礎部210の第3挿通孔214に挿通され、基礎部210に取り付けられる。第2調節部270は、筒状の本体部271と、本体部271の一端側(収容部211側)に形成される当接部272と、本体部271の他端側(基礎部210の外面側)に形成される工具取り付け用の孔部273とを有する。
本体部271は、その外周面にねじ溝を有しており、基礎部210の第3挿通孔214に形成されるねじ溝と噛み合ってらせん状(軸線回り)に回転する。本体部271が第3挿通孔214内でらせん状に回転することにより、第2調節部260が第3挿通孔214の軸線方向に沿って移動する。
当接部272は、基礎部210の収容部211内に飛び出した状態において、収容部211に収容される第3固定部250の平坦面253aと当接する。当接部272は、凸状の曲面により形成されており、曲面の先端部で平坦面253aと当接する。連結具20が固定治具100によって固定された状態において、第3固定部250は、第2調節部270の当接部272に当接させた状態で収容部211に収容される。
孔部273は、例えば、断面が六角形状の窪みである。孔部273は、工具(六角レンチ)を装着するために形成されている。孔部273に装着された工具(六角レンチ)を用いることにより、本体部271がらせん状に回転する。
よって、第2調節部270は、第3固定部250を第1固定部230の基端部231から頭部232に向かう方向に沿って移動させることにより、第1固定部230に対する位置を調節することができる。
〔固定治具を用いたセグメントの製造方法〕
図11~図16を用いて、連結具20を固定治具200によって固定する方法及び当該固定方法によって固定される連結具20を接合してなるセグメントの製造方法について説明する。なお、本実施の形態においては、セグメント1を構成する外側ピース11を製造する方法を例にとって説明する。なお、以下の実施の形態は、セグメント1を構成する内側ピース12を製造する方法に適用されてもよい。
図11に示すように、製造装置100においては、連結具20を載置する受け部150と、受け部150に近接して固定治具200を構成する基礎部210が設置される。
基礎部210の収容部211には、第3固定部250が予め収容されている。また、基礎部210の第3挿通孔214には、第2調節部270が取り付けられている。第2調節部270は、第3挿通孔214を貫通し、先端の当接部272が収容部211内に位置するように第3挿通孔214に取り付けられている。当接部272は、第3固定部250の平坦面253aに当接する。すなわち、第3固定部250は、当接部272の位置によって、収容部211内における収容位置が決定される。
次に、図12に示すように、第1固定部230が取り付けられた連結具20の本体部21が受け部150上に載置される。なお、連結具20は、主爪22及び副爪23側に第1固定部230が取り付けられた状態で、受け部150に載置される。
第1固定部230は、その頭部232が主爪22の基部22a及び第1膨出部22bと、副爪23の基部23a及び膨出部23bとによって囲まれる空間内に収容されることにより、連結具20に取り付けられている。具体的には、頭部232は、連結具20の幅方向(基礎部210の長手方向Lと平行な方向)における端縁から、ネック部233が主爪22の第1膨出部22bと副爪23の膨出部23bとの対向する端縁間に挿通されることによって、上記空間内に収容されている。すなわち、主爪22及び副爪23の膨出部22b,23b(先端部)は、基端部231と頭部232との間のネック部233において、第1固定部230に係止される。このとき、主爪22及び副爪23の膨出部22b,23b(先端部)は、頭部232よりも基端部231側に位置した状態で頭部232に対向している。また、第1固定部230は、基礎部210の収容部211の位置に合わせて、基礎部210の長手方向Lにおいて略等間隔に設置されている。この状態において、第1固定部230は、基礎部210の収容部211に収容される。具体的には、第1固定部230の基端部231が、既に収容部211に収容されている第3固定部250上に載置されることにより、収容部211に収容される。
第1固定部230が収容部211に収容された状態において、基礎部210の第2挿通孔213に締結ボルトBが挿通される。締結ボルトBは、第2挿通孔213を貫通し、第1固定部230の挿通孔231bに取り付けられる。これにより、第1固定部230が基礎部210に固定される。
また、第1固定部230が収容部211に収容された状態において、第3固定部250の押圧部252が連結具20の副爪23の外側面(内側面の裏側)と当接する。このとき、副爪23の膨出部23b(先端部)は、押圧部252よりも頭部232側に位置した状態で押圧部252に対向している。第3固定部250と副爪23との当接状態(当接位置や当接箇所における押圧力)は、必要に応じて、第3挿通孔214内における第2調節部270の位置を変更することにより、適宜変更される。第2調節部270の位置を変更する場合には、第2調節部270の孔部273に対して工具(六角レンチ)を取り付けて、第2調節部270の本体部271をらせん状に回転させる。これにより、本体部271が軸線方向に沿って移動し、当接部272の位置、すなわち当接部272に当接する第3固定部250の位置が変更される。
次に、図13に示すように、第1固定部230上に第2固定部240が載置される。さらに、載置された第2固定部240の上方から蓋部220が基礎部210上に載置される。蓋部220が基礎部210に載置された状態においては、第2固定部240が蓋部220の収容部221に収容される。蓋部220は、蓋部220の第1挿通孔222と基礎部210の第1挿通孔212とが互いに連通するように、基礎部210に載置される。
この状態において、蓋部220の第1挿通孔222に締結用ボルトBが挿通される。締結ボルトBは、第1挿通孔222を貫通し、基礎部210の第1挿通孔212に取り付けられる。これにより、第1固定部230、第2固定部240及び第3固定部250が、基礎部210の収容部211及び蓋部220の収容部221に収容される。
また、蓋部220の第2挿通孔223には、第1調節部260が取り付けられている。第1調節部260は、第2挿通孔223を貫通し、先端の当接部262が収容部211内に位置するように第2挿通孔223に取り付けられている。これにより、収容部211に収容された第2固定部240は、一端側の突起面243aが第1調節部260の当接部262と当接する。また、第2固定部240は、他端側の押圧部242が連結具20の主爪22の外側面(内側面の裏側)と当接する。このとき、主爪22の膨出部22b(先端部)は、押圧部242よりも頭部232側に位置した状態で押圧部242に対向している。第2固定部240と主爪22との当接状態(当接位置や当接箇所における押圧力)は、必要に応じて、第1調節部260の位置を変更することにより、適宜変更される。第1調節部260の位置を変更する場合には、第1調節部260の孔部263に対して工具(六角レンチ)を取り付けて、第1調節部260の本体部261をらせん状に回転させる。これにより、本体部261が軸線方向に沿って移動し、当接部262の位置、すなわち当接部262に当接する第2固定部240の位置が変更される。
図14に示すように、基礎部210のすべての収容部211に対して、蓋部210、第1固定部230、第2固定部240及び第3固定部が取り付けられることにより、連結具20が固定治具200によって固定される。具体的には、図10に示すように、第1調節部260で第2固定部240を押圧し、第2固定部240の押圧部242が、主爪22の外側面と当接することにより、主爪22に対して、押し込み方向(第2固定部240から主爪22に向かう方向)の押圧力を与える。また、第2調節部270で第3固定部250を押圧し、第3固定部250の押圧部252が、副爪23の外側面と当接することにより、副爪23に対して、押し込み方向(第3固定部250から副爪23に向かう方向)の押圧力を与える。一方、第1固定部230の頭部232は、第2固定部240による主爪22の押圧及び第3固定部250による副爪23の押圧により、連結具20を構成する主爪22と副爪23の内側面と強く当接し、主爪22と副爪23に対して引っ張り方向(頭部232から基端部231へ向かう方向)の押圧力を与える。
これにより、連結具20の主爪22と副爪23に対して、第1固定部230、第2固定部240及び第3固定部250によって挟み込む力が発生する。その結果、連結具20が一定姿勢において固定治具200によって固定される。
この状態において、第1固定部230が、適切な位置で基礎部210の収容部211に収容されていることを確認する。第1固定部230が適切な位置に置いて収容されているかどうかの判断は、第1固定部230の切欠部231cの底面と収容部211の内側面との間に形成される隙間hを計測することにより行われる。隙間hの計測は、蓋部220の視認孔224から目視で確認することにより行う。計測の結果、隙間hが適正値(例えば、1mm)より大きい場合には、第1固定部230の挿通孔231bに挿通される締結ボルトBを介して第1固定部230を収容部211の内側面に対して近づく方向に移動させる。
連結具20が固定治具に200に固定される姿勢は、連結具20とプレート11aとの接合精度を決める上で重要であるため、連結具20が固定治具200に固定される姿勢は適宜調節される。具体的には、第1調節部260の位置を変更することにより、第1固定部230の頭部232の第1テーパ部232aと主爪22の第1膨出部22bの内側面との当接位置が変更される。また、第2調節部270の位置を変更することにより、押圧部232の第2テーパ部232bと副爪23の膨出部23bの内側面との当接位置が変更される。
例えば、第1調節部260を主爪22に対して近づく方向に移動させた場合には、第2固定部240が突起部243側から押圧されるので、第2固定部240の押圧部242が主爪22の外側面をより大きい押圧力によって押圧する。これにより、第1固定部230の頭部232の第1テーパ部232aと主爪22の第1膨出部22bの内側面との当接位置は、頭部232における先端側(ネック部233から遠ざかる位置)へと移動する。その結果、連結具20は、本体部21が受け部150側へ近づく姿勢(本体部21と水平面とがなす角度が小さくなる姿勢)で固定される。
連結具20が固定治具200によって固定される状態は、図4に示すように、継手設置部140に設けられる覗き窓143を介して目視により確認することができる。連結具20の固定状態を確認する手段はこれに限られない。例えば、連結具20の固定箇所を撮像し、撮像画像等を介して連結具20の固定状態を確認する態様であってもよい。また、連結具20の固定位置をセンサー等で検出し、適正位置からのずれを計測することにより連結具20の固定状態を確認する態様であってもよい。
連結具20の固定が完了すると、連結具20とプレート11aとを接合する。連結具20が固定治具200によって固定された状態においては、連結具20の本体部21の端部(主爪22及び副爪23とは反対側の端部)と、製造装置100の載置部120に載置されるプレート11aの端部とが突き合わされた状態で配置されている。この状態において、突き合わされた端部同士を溶接によって接合する。連結具20は、固定治具200によって、最適位置における姿勢で固定されているので、連結具20とプレート11aは高い精度で接合される。
連結具20とプレート11aとが接合された状態において、セグメント(外側ピース11)の一部を構成する継手11cが取り付けられる。具体的に、図16に示すように、継手11cは、継手設置部140に設置される。継手設置部140は、固定部142を介して本体部110に固定されているので、継手11cは一定位置に固定された姿勢で継手設置部140に設置されている。
この状態において、継手11cは、主桁設置部130に設置された主桁11bの端部と溶接により接合される。また、詳細な説明は省略するが、外側ピース11を構成する他の構成部材についても、溶接等により取り付けられる。
以上の工程により、セグメント1を構成する外側ピース11が製造される。
上記実施の形態によれば、連結具20を構成する主爪22と副爪23に対して、これらと当接する第1固定部230、第2固定部240及び第3固定部250によって、挟み込む押圧力を発生させる。これにより、連結具20が一定の姿勢で安定的に固定される。その結果、連結具20とセグメント1(外側ピース11)を構成するプレート11aとを高い精度で接合することができる。また、第1固定部230、第2固定部240及び第3固定部250の収容部211,221内での収容位置を適宜調節することができるので、連結具20の姿勢が高い精度で設定される。その結果、連結具20とセグメント1(外側ピース11)を構成するプレート11aとの接合精度をより高めることができる。
上記実施の形態においては、構造体を構成するセグメント1の製造方法を例に挙げて説明したがこれに限られない。主爪22と副爪23を有する連結具が使用される構造物であれば、いかなる対応のものに適用されてもよい。
また、上記実施の形態においては、連結具20を固定する固定治具200の構成要素として、第1固定部230、第2固定部240及び第3固定部250が適用される例について説明したがこれに限られない。連結具20を固定する要素として、上記に加えて、他の固定手段が含まれていてもよい。
また、上記実施の形態においては、第1固定部230、第2固定部240及び第3固定部250が基礎部210と蓋部220によって固定される例について説明したがこれに限られない。第1固定部230、第2固定部240及び第3固定部250は、他の手段によってそれぞれの位置が固定される態様であってもよい。
また、連結具20の構成は上記実施の形態において説明したものに限られない。主爪と副爪とを有する連結具であれば、いかなる形態のものであってもよい。
20 連結具
21 本体部
22 主爪
22a 基部
22b 第1膨出部
22c 第2膨出部
23 副爪
23a 基部
23b 膨出部
100 製造装置
110 本体部
120 載置部
130 主桁設置部
140 継手設置部
150 受け部
200 固定治具
210 基礎部
211 収容部
220 蓋部
221 収容部
230 第1固定部
231 基端部
232 頭部
232a 第1テーパ部
232b 第2テーパ部
233 ネック部
240 第2固定部
241 本体部
242 押圧部
250 第3固定部
251 本体部
252 押圧部
260 第1調節部
270 第2調節部

Claims (8)

  1. 互いに対向して形成される主爪と副爪とを有する連結具の固定治具において、
    前記主爪と前記副爪との間に配置され、前記主爪及び前記副爪に対して一方向に沿って対向し、前記主爪と前記副爪の内面に当接する第1固定部と、
    前記主爪に対して前記一方向に沿って対向し、前記主爪と前記第1固定部との当接面とは裏側の前記主爪の外側面に当接し、前記主爪を押圧する第2固定部と、
    前記副爪に対して前記一方向に沿って対向し、前記副爪と前記第1固定部との当接面とは裏側の前記副爪の外側面に当接し、前記副爪を押圧する第3固定部と、
    を有する固定治具。
  2. 前記第1固定部は、
    固定される基端部と、
    前記基端部の一端側に設けられ、前記主爪と前記副爪の内側面に当接する頭部と、を有し、
    前記主爪及び前記副爪は、前記基端部と前記頭部との間で前記第1固定部に係止されることを特徴とする請求項1に記載の固定治具。
  3. 前記第2固定部と前記第3固定部との少なくとも一方の前記第1固定部に対する位置を調節する調節部を有することを特徴とする請求項に記載の固定治具。
  4. 前記調節部は、前記第2固定部と前記第3固定部の少なくとも一方を前記第1固定部の前記基端部から前記頭部に向かう方向に沿って移動させることを特徴とする請求項3に記載の固定治具。
  5. 各固定部を収容する筐体を有し、
    前記筐体は、前記第2固定部と前記第3固定部との少なくとも一方の前記第1固定部に対する位置を確認する窓部を有することを特徴とする請求項3又は4に記載の固定治具。
  6. 前記頭部は、
    前記主爪の内側面と当接する第1テーパ部と、
    前記副爪の内側面と当接する第2テーパ部と、
    を有することを特徴とする請求項2又は4に記載の固定治具。
  7. 前記連結具は、鋼矢板の継手部から形成されていることを特徴とする請求項1から6までのいずれか一項に記載の固定治具。
  8. 主爪と該主爪と間隔をあけて形成される副爪とを有する連結具を一定の姿勢に固定する連結具の固定方法において、
    前記主爪と前記副爪との間に第1固定部を配置し、該第1固定部を前記主爪及び前記副爪に対して一方向に沿って対向させて前記主爪と前記副爪の内面に当接させる工程と、
    前記主爪と前記第1固定部との当接面の裏側にある前記主爪の外面を第2固定部により押圧する工程と、
    前記副爪と前記第1固定部との当接面の裏側にある前記副爪の外面を第3固定部により押圧する工程と、
    を有することを特徴とする連結具の固定方法。
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