JP7265291B2 - 3次元肝組織モデル - Google Patents

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Description

本発明は、3次元肝組織モデルに関する。詳しくは、灌流可能な血管様構造を有する3次元肝組織モデルに関する。
スフェロイドや細胞を分散させた細胞外マトリクス(ECM)ゲルといった3次元肝組織モデルは、培養皿を用いた2次元の培養系と比べて機能(タンパク質産生、代謝能)が高いことが知られており、薬剤試験や肝移植用の組織片として開発されてきた。しかしながら、そのような3次元肝組織モデルは、実際の生体の肝臓と比べて依然機能は低い。この要因として、灌流可能な主血管及び類洞が欠如していることが挙げられる。生体の肝臓において、類洞(肝臓に特異的な毛細血管)は酸素・栄養の供給路として機能するだけでなく、灌流による機械的刺激をパラクライン・シグナル(傍分泌)に変換することで肝細胞の増殖や生存に関与することから、肝臓の恒常性を維持するために必須の構造であると考えられている。さらに、薬剤等の生体異物が類洞を通じて肝細胞に効率よく輸送されていることから、類洞は代謝やタンパク質産生といった肝機能にとっても重要である。
近年、肝細胞、血管内皮細胞、間葉系幹細胞を、マトリゲル(登録商標)上で共培養し、間葉系幹細胞による組織の収縮を誘引することで、類洞様構造の形成を促進して、3次元肝組織モデル(liver bud)が作製することが提案されている(例えば、非特許文献1参照。)
Takebe,T.et al.,Generation of a vascularized and functional human liver from an iPSC-derived organ bud transplant.,Nat.Protoc.,vol.9,p.396-409(2014).
しかしながら、上記のように作製される3次元肝組織モデルにおける類洞様構造は、細胞の自己形成によって構築されたランダムなネットワークであり、外部から灌流を行うことは困難であるという問題があった。
このような状況下において、外部から灌流を行うことが可能な3次元肝組織モデル等の開発が望まれていた。
本発明は、上記状況を考慮してなされたもので、以下に示す、3次元肝組織モデル等を提供するものである。
(1)主血管様構造及び類洞様構造を有する3次元肝組織モデル。
(2)主血管様構造は灌流可能なものである、前記(1)に記載の3次元肝組織モデル。
(3)主血管様構造は、外部の灌流デバイスに接続されている又は接続可能なものである、前記(1)又は(2)に記載の3次元肝組織モデル。
(4)類洞様構造の一部は、主血管様構造に接続されている、前記(1)~(3)のいずれかに記載の3次元肝組織モデル。
(5)3次元肝組織は、コラーゲンゲル中に分散した肝細胞、血管系細胞、及び間葉系細胞を培養して作製されたものである、前記(1)~(4)のいずれかに記載の3次元肝組織モデル。
(6)肝細胞が、肝がん由来細胞であるHepG2細胞であり、血管系細胞が、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)であり、間葉系細胞が、間葉系幹細胞(MSC)である、前記(1)~(5)のいずれかに記載の3次元肝組織モデル。
(7)3次元肝組織は、該組織を貫通する主血管様構造の周囲に、類洞様構造を含む肝組織が形成された、管状の組織である、前記(1)~(6)のいずれかに記載の3次元肝組織モデル。
(8)肝機能を改善する若しくは亢進させる物質、又は肝機能障害を予防若しくは治療する物質をスクリーニングするためのものである、前記(1)~(7)のいずれかに記載の3次元肝組織モデル。
(9)肝臓の再生医療に用いられるものである、前記(1)~(7)のいずれかに記載の3次元肝組織モデル。
(10)主血管様構造及び類洞様構造を有する3次元肝組織モデルの作製方法であって、
(A)培養容器の側面に、対向するように、該容器の外部から内部に通じる管状コネクタを設け、一方のコネクタから他方のコネクタの管内に、主血管様構造を形成するための棒状部材を通す工程(A工程)、
(B)A工程後の培養容器内に、肝細胞、血管系細胞、及び間葉系細胞を含むコラーゲンゲルを充填する工程(B工程)、
(C)棒状部材を管状コネクタから抜去する(C工程)、
(D)C工程の前又は後に、培養容器中の前記コラーゲンゲル全体が浸漬するように培地を投入する、又は培養容器中の前記コラーゲンゲル全体を培地中に浸漬させる工程(D工程)、
(E)棒状部材を抜去した管状コネクタから培地を灌流させる工程(E工程)、並びに
(F)D工程及びE工程により、前記コラーゲンゲル中の肝細胞、血管系細胞、及び間葉系細胞を培養する工程(F工程)
を含む、前記作製方法。
(11)A工程において、管状コネクタを設けた培養容器の表面に、大気プラズマ処理、及び/又はフィブロネクチンによるコーティング処理を行う、前記(10)に記載の作製方法。
(12)管状コネクタは、培養容器の内部側の端にアンカー構造が設けられている、前記(10)又は(11)に記載の作製方法。
(13)肝細胞が、肝がん由来細胞であるHepG2細胞であり、血管系細胞が、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)であり、間葉系細胞が、間葉系幹細胞(MSC)である、前記(10)~(12)のいずれかに記載の作製方法。
(14)前記(1)~(8)のいずれかに記載の3次元肝組織モデルの作製方法である、前記(10)~(13)のいずれかに記載の作製方法。
発明の効果
本発明によれば、培地や所望の薬剤等を灌流させることができる主血管様構造と、それに接続された類洞様構造とを併せ持つ、3次元肝組織モデル、及びその作製方法等を提供することができる。
本発明の3次元肝組織モデルは、実際の肝組織により近い代謝及びタンパク質産生等の機能を有するものとなり得る。そのため、例えば、肝機能を改善する若しくは亢進させる物質、又は肝機能障害を予防若しくは治療する物質をスクリーニングするための創薬試験ツールとして用い得ることや、さらには、肝臓の再生医療用に用い得るといった、有用性・実用性に優れたものである。
図1a:ヒト肝臓のHE染色像を示す図である。大血管(主血管)(図中の*印)と、内皮細胞に裏打ちされ肝細胞によって取り囲まれた類洞とが存在することが示されている。
図1b:灌流デバイスの一例を示す図である。該デバイスには培養した肝組織を固定するためのアンカーを有する管状コネクタがある。該デバイスは、肝組織の培養容器にもなるものである。
図1c及び1d:主血管様構造及び類洞(毛細血管)様構造を有する管状肝組織モデルの概念図である。図1cは、灌流デバイス内に作製した肝組織モデルを示し、図1dは、該肝組織モデルの長手方向の断面図を示す。該モデルの肝組織は、肝がん由来細胞であるHepG2細胞、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)、及び間葉系幹細胞(MSC)を分散させたコラーゲンゲルによって作製されており、類洞様構造とそれが接続した主血管様構造を有する。
図2a:肝組織モデルの作製プロセスの一例(プロセス(i)~(iv))を示す図である。(i)肝細胞等(HepG2細胞、HUVEC、及びMSC)を含むコラーゲンゲルを培養容器(灌流デバイス)に充填すること、(ii)棒状部材である針(needle)を抜去して主血管様構造の原型となる空洞流路を形成すること、(iii)HUVECで空洞流路を被覆すること、(iv)培地を培養肝組織に灌流することを示す。
図2b:培養肝組織に灌流するためのシステムの一例を示す図である。該システムでは、ペリスタルティックポンプによって灌流を行い、培養中に発生した気泡を除去するためバブルトラップが設けられている。
図2c:培養肝組織への灌流試験の連続写真(0sec,3sec,6sec,9sec)を示す図である。灌流デバイスの一方の管状コネクタから、培養肝組織内に墨汁が注入され、他方の管状コネクタから排出される様子が示されている。
図3:作製した肝組織モデルの組織学的解析の結果を示す図である。図3a~cは、異なる培養条件下で培養した肝組織の外観を示す。図3a:通常密度MSC・非灌流条件、図3b:低密度MSC・灌流条件、図3c:通常密度MSC・灌流条件。アスタリスク(*)は主血管を示す。図3d~fは、それぞれ、図3a~cの肝組織の横断面のHE染色像であり、図3g~iは、それぞれ、図3a~cの肝組織の蛍光免疫染色像(シアン:核、緑:CD31、マゼンタ:EpCAM)である。
図4:作製した肝組織モデルにおける、肝臓機能に関連するタンパク質の蛍光免疫染色を示す図である。非灌流の肝組織(図4a)、及び灌流した肝組織(図4b)を、それぞれ、アルブミン(緑)及びCYP2D6(マゼンタ)で染色した。
図5:非灌流及び灌流した肝組織におけるグローバルな遺伝子発現の解析結果を示す図である。図5aのMAプロットでは、発現変動遺伝子が赤色で示されており、図5bのMAプロットでは、肝臓関連遺伝子が青色で、そのうち発現変動したものが赤色で示されている。図5cは、灌流条件において亢進されたGOターム(biological process)上位10を示し、図5dは、非灌流条件において亢進されたGOターム(biological process)上位10を示す。なお、GOタームは、遺伝子オントロジー(gene ontology)で定義される用語である。
図6:作製した肝組織モデルにおける、主血管様構造及び類洞様構造の機能解析の結果を示す図である。図6aは、灌流条件で構築し、固定前に墨汁を注入された肝組織のHE染色。図6bは、墨汁を注入した肝組織の明視野像。図6cは、明視野像から閾値処理によって墨汁を抽出した画像。図6dは、図6bの免疫染色像(シアン:核、緑:CD31、マゼンタ:EpCAM)。図6eは、図6cの画像と図6dの染色像を重ね合わせた像。図6fは、図6eの拡大像であり、墨汁陽性の領域とCD陽性の類洞様構造の共局在を示す。図6jは、灌流条件及び非灌流条件における主血管周辺の細胞密度分布(平均±標準誤差、同一のアルファベットで接続されていない場合、有意差あり)。図6kは、培地中のアルブミン累積量(平均±標準誤差)。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更し実施することができる。
なお、本明細書は、本願優先権主張の基礎となる特願2019-184027号明細書(令和1年(2019年)10月4日付け出願)の全体を包含する。本明細書において引用された全ての刊行物、例えば先行技術文献、及び公開公報、特許公報その他の特許文献は、参照として本明細書に組み込まれる。
1.本発明の概要
本発明においては、3次元肝組織モデル及びその作製方法等を提供する。該3次元肝組織は、灌流可能な主血管様構造及び類洞(肝臓に特異的な毛細血管)様構造を有する。該3次元肝組織は、肝細胞、血管系細胞(血管内皮細胞等)、及び間葉系幹細胞によって構成され、灌流デバイスを用いて作製されている。形成した主血管様構造から組織内への灌流により、主血管様構造の周囲に、類洞様構造及び高密度な細胞凝集体が形成されるとともに、肝特異的な遺伝子の発現の亢進も確認された。これらの結果に基づき、本発明に係る3次元肝組織モデル等は完成された。
2.3次元肝組織モデル
本発明の3次元肝組織モデル(以下、単に、本発明の肝組織モデルとも言う。)は、前述のとおり、主血管様構造及び類洞様構造を有するものである。具体的には、例えば、図1cの拡大図(立体図)や図1d(断面図)にあるように、組織内部の中心に主血管(main channel)様構造が通っており、主血管様構造に類洞(sinusoid)様構造がつながって周囲に伸びている、3次元肝組織が挙げられる。類洞様構造は、その全部が主血管様構造に接続されていてもよいし、一部が接続されていてもよい。本発明の肝組織モデルは、主血管様構造の周囲に、類洞様構造を含む肝組織が形成された、管状の組織であるものが好ましく挙げられるが、組織の形状、さらには大きさ等の外形については、特に限定はされない。
本発明の肝組織モデルにおいて、主血管様構造は、灌流可能なものであり、ひいては、該肝組織全体への灌流を可能とするものである。当該主血管様構造は、外部の灌流デバイスに接続可能なものであることが好ましく、又は、すでに接続されている状態のものであってもよく、限定はされない。主血管様構造は、実際のヒト肝臓組織における主血管、すなわち門脈や肝動脈等のように、類洞(毛細血管)とは明確に区別できる太さ(口径)を有する血管様構造である。主血管様構造の太さ(口径)は、限定はされないが、例えば、50μm超かつ1000μm以下であることが好ましく、100~800μm、200~700μm、200~500μm、200~400μm、又は200~300μmであることも好ましい。類洞様構造も、実際のヒト肝臓組織における類洞と同様に、門脈や肝動脈等の主血管とは明確に区別できる細さ(口径)を有する血管様構造である。類洞様構造の細さ(口径)は、限定はされないが、例えば、1~50μmであることが好ましく、3~50μm、4~45μm、又は5~40μmであることも好ましい。
本発明の肝組織モデルは、当該組織が、コラーゲンゲル中に分散した肝細胞、血管系細胞、及び間葉系細胞を培養して作製されたものであることが好ましい。詳しくは、肝細胞、血管系細胞、及び間葉系細胞を分散したコラーゲンゲルを、培養容器内で培養することにより(この際、培地等の灌流を行いながら培養することが好ましい。)、前述した主血管様構造と類洞様構造とを形成し、肝組織様の構造体として形成されたものが好ましい。本発明の肝組織モデルにおいては、血管系細胞が、主血管様構造や類洞様構造の血管様構造を構成し、肝細胞が、血管様構造の周辺部分を主とする肝組織全域を構成し、間葉系細胞が、血管様構造の周囲や肝細胞間の空隙である間質部分を構成するが、厳密にこれらの構成態様に限定されなくてもよい。
本発明の肝組織モデルにおける当該組織の厚みは、限定はされないが、例えば、主血管様構造の血管壁面(血管の外側壁面)から、当該組織の表面までの距離が、5000μm以下であることが好ましく、4000μm以下、3000μm以下、2000μm以下、1000μm以下、750μm以下、500μm以下、400μm以下、300μm以下、又は200μm以下であることも好ましい。
ここで、本発明に用い得る各細胞については、ヒト、マウス、ラット等の各種哺乳動物由来の細胞が挙げられ、ヒト由来の細胞が好ましい。用い得る肝細胞としては、例えば、肝がん由来細胞であるHepG2細胞、C3A細胞、HepaRG細胞、Huh7細胞や、ヒト肝から採取した初代肝細胞、ES細胞、Muse細胞、iPS細胞といった多能性幹細胞から分化誘導した肝内胚葉細胞、未熟肝細胞様細胞、肝細胞様細胞等が好ましく挙げられる。また、用い得る血管系細胞としては、例えば、血管上皮細胞や血管内皮細胞が挙げられ、好ましくは血管内皮細胞である。血管内皮細胞としては、例えば、ヒトから採取した臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)、肝類洞内皮細胞、肝静脈内皮細胞、皮膚微小血管内皮細胞、肺動脈内皮細胞、大動脈内皮細胞、冠動脈内皮細胞や、ES細胞、Muse細胞、iPS細胞といった多能性幹細胞から分化誘導した血管内皮細胞等が好ましく挙げられる。さらに、間葉系細胞としては、例えば、骨髄、脂肪組織、臍帯等に由来する間葉系幹細胞(MSC)や、肝星細胞、線維芽細胞等が好ましく挙げられる。なお、肝細胞として、上述したような、ヒト肝から採取した初代肝細胞、ES細胞、Muse細胞、iPS細胞といった多能性幹細胞から分化誘導した肝内胚葉細胞、未熟肝細胞様細胞、肝細胞様細胞等を用いる場合は、これらのみを用いて(すなわち、血管系細胞や間葉系細胞を用いずに)、灌流培養により、肝細胞と類洞血管とに分化させ、本発明の肝組織モデルを構築してもよい。
また、本発明に用い得るコラーゲンゲルについては、例えば、I型、II型、III型、IV型、V型、XI型等の各種コラーゲンのゲルを適宜好ましく採用することができる。なお、当該コラーゲンゲルに替えて、又はコラーゲンゲルと共に、必要に応じて、各種マトリックス成分、例えば、マトリゲル(商標登録)、ゼラチン、寒天、アガロース、フィブリン、グリコサミノグリカン、ヒアルロン酸、プロテオグリカン、ラミニン、アルギン酸等を用いることもできる。また、肝臓や他の臓器のマトリックス成分を抽出したゲルを用いることもできる。
本発明の肝組織モデルは、例えば、創薬分野あるいは再生医療の分野において、有用性が高いものである。例えば、肝機能を改善する若しくは亢進させる物質、又は肝機能障害を予防若しくは治療する物質といった新薬をスクリーニングするためのツールや、既存の又は開発中の各種医薬の肝臓における動態評価としてのツール、さらには、肝組織の再生医療における各種条件の最適化等のためのツールなどとして、適宜利用することができる。
3.3次元肝組織モデルの作製方法
本発明にかかる、主血管様構造及び類洞様構造を有する3次元肝組織モデルの作製方法(以下、単に、本発明の作製方法と言うことがある。)は、前述した本発明の肝組織モデルを構築できる方法であれば、特に限定はされないが、例えば、以下のA~F工程を含む方法等が好ましく挙げられる。
(A)培養容器の側面に、対向するように、該容器の外部から内部に通じる管状コネクタを設け、一方のコネクタから他方のコネクタの管内に、主血管様構造を形成するための棒状部材を通す工程(A工程)
(B)A工程後の培養容器内に、肝細胞、血管内皮細胞、及び間葉系細胞を含むコラーゲンゲルを充填する工程(B工程)
(C)棒状部材を管状コネクタから抜去する(C工程)
(D)C工程の前又は後に、培養容器中の前記コラーゲンゲル全体が浸漬するように培地を投入する、又は培養容器中の前記コラーゲンゲル全体を培地中に浸漬させる工程(D工程)
(E)棒状部材を抜去した管状コネクタから培地を灌流させる工程(E工程)
(F)D工程及びE工程により、前記コラーゲンゲル中の肝細胞、血管系細胞、及び間葉系細胞を培養する工程(F工程)
・A~C工程について
培養容器は、形状、大きさ等は特に限定はされず、所望の形状、大きさの3次元肝組織を構築できるように適宜設計することができる(例えば、3Dプリンタ技術により製造することもできる。)。培養容器の材質についても、特に限定はされないが、例えば、アクリル樹脂等のように、動物細胞培養において使用可能であることが周知の材質が好ましく挙げられる。培養容器は、後の工程において、そのまま灌流デバイスとしても用いることができるものであることが好ましい。このような培養容器としては、例えば、図1bに示すような培養容器(図1bの中心部分の長方形のくぼみ部分が培養容器に相当する)等が挙げられる。
培養容器の側面、詳しくは対向する側面には、該容器の外部から内部に通じる管状コネクタを設ける。管状コネクタは、1対(つまり2本)であってもよいし、2対以上を適宜設けてもよく、限定はされない。管状コネクタは、培養容器の内部側の端にアンカー構造が設けられていることが好ましい。当該アンカーの具体的な構造は、特に限定はされない。当該アンカー構造は、培養組織の収縮を極力抑え、所望の形状の肝組織を構築しやすくすることができる。また、本発明においては、管状コネクタを設けた培養容器の表面に、大気プラズマ処理、及び/又はフィブロネクチンによるコーティング処理を行っておくことが好ましい。当該処理により、培養した肝組織の脱離を抑制することができる。一方のコネクタから他方のコネクタの管内に通す棒状部材の太さは、肝組織中の主血管様構造の内径が所望の大きさ(例えば、前述した50μm超かつ1000μm以下)となるように適宜設計・選択すればよく、特に限定はされないが、例えば、500μm程度であることが好ましい。また、棒状部材の材質についても特に制限はされないが、例えば、金属製、特にステンレス製の材質であることが好ましい。棒状部材の形状は、針状(例えば、シリンジ針等)やワイヤー状のものなど、所望の内径及び長さの主血管様構造が構築できるものであればよく、特に限定はされない。
A工程後の培養容器内への、肝細胞等を含むコラーゲンゲルの充填方法は、特に限定はされないが、肝組織の培養による収縮(特に、コラーゲンゲルの収縮)を考慮して充填量を適宜調整すればよい。ここで、充填するコラーゲンゲルに懸濁する肝細胞等の細胞密度は、限定はされないが、肝細胞(HepG2細胞等)は、例えば、3×10~3×10cells/mLであることが好ましく、3×10~3×10cells/mL、又は3×10cells/mLであることも好ましい。また、HUVECは、例えば、3×10cells/mL以下であることが好ましく、3×10~3×10cells/mL、3×10~3×10cells/mL、又は3×10cells/mLであることも好ましい。また、MSCは、例えば、0.5×10cells/mL以下であることが好ましく、0.5×10~0.5×10cells/mL、0.5×10~0.5×10cells/mL、0.5×10cells/mL、又は0.5×10cells/mLであることも好ましい。さらに、上記コラーゲンゲルの密度は、限定はされないが、例えば、0.1~20mg/mLであることが好ましく、1~10mg/mL、1~5mg/mL、又は3mg/mLであることも好ましい。
培養容器への上記充填後に、棒状部材を管状コネクタから抜去する。当該棒状部材を抜去した後の空間(hollow channel)が、本発明の肝組織モデルにおける主血管様構造のベースとなる。
・D~F工程について
培養容器内に肝細胞等を含むコラーゲンゲルの充填を行った後、当該コラーゲンゲル全体が浸漬するように培地を投入する、又は当該コラーゲンゲル全体を培地中に浸漬させる。具体的には、例えば、図2aの(ii)のような状態にする。当該コラーゲンゲル全体を培養条件下に置くためである。上記の培地の投入や培地中への浸漬は、前述した棒状部材の抜去前に行っておいてもよいし、抜去後に行ってもよく、限定はされない。
その後、棒状部材を抜去した管状コネクタから培地を灌流させる。培養する肝組織(コラーゲンゲル等)が管状コネクタから脱離していない状態で、管状コネクタ中に培地を流入させることで、棒状部材を抜去した後の空間(hollow channel)に培地を灌流させることができる。これにより、培養する肝組織内部からも栄養分が提供され、図2aの(ii)~(iv)に示すように、コラーゲンゲル中の肝細胞、血管系細胞、及び間葉系細胞が培養される。その結果、主血管様構造や類洞様構造など、3次元組織としての肝組織全体の構築が効果的に行われる。当該培地の灌流は、例えば、図2bに示すように、培養容器全体を培地に浸漬させ、外部ポンプ等を用いて、管状コネクタから培養組織内に灌流させることも好ましい態様である。
ここで、上述した培地の灌流の条件としては、限定はされないが、例えば、培地の流量を、シアストレスが1×10-8~10Paとなるように調整することが好ましく、1×10-6~5Pa、1×10-4~3Pa、又は1×10-3~1Paとなるように調整することも好ましい。なお、上記シアストレス(τ[Pa])は、以下の計算式で算出することができる。
τ=(4μQ)/(πR)[Pa]
μ:培地の粘性率(Pa・s)
Q:流量(m/s)
R:主血管半径(m)
(例えば、本願実施例の場合、主血管様構造の直径:500μm、流量:1mL/hourの場合、シアストレス:0.018Paとなる。但し、培地DMEM(37℃)の粘性率は、文献値:0.00078Pa・sを使用。)
肝組織に関するその他の培養条件については、生体組織を培養する際に周知の条件を適宜採用することができる。例えば、培地の種類については、ダルベッコ改変イーグル培地、ハムF-12培地、イスコフ改変ダルベッコ培地、M199培地、血管内皮細胞増殖培地、肝細胞培養培地等が好ましく挙げられ、これらの混合物を用いることもできる。また、ウシ胎児血清、内皮細胞増殖因子、肝細胞増殖因子などの成長因子を添加したものを用いることもできる。培養の温度条件ついては、例えば、35~40℃が好ましく、より好ましくは37℃であり、培養期間は、例えば、2~20日程度が好ましいが、特に限定はされない。
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<材料・方法>
細胞培養
肝がん由来細胞であるHepG2細胞は、10%のウシ胎児血清及び1%の100倍濃度ペニシリンストレプトマイシン溶液を添加したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)によって培養した。HUVEC(ヒト臍帯静脈内皮細胞)はキットに含まれる成長因子及び1%の100倍濃度ペニシリンストレプトマイシン溶液を添加した内皮細胞増殖培地(EGM-2)によって培養した。不死化MSC(間葉系幹細胞)は10%のウシ胎児血清、1%の100倍濃度非必須アミノ酸溶液及び1%の100倍濃度ペニシリンストレプトマイシン溶液を添加したDMEMによって培養した。全ての細胞は37℃、5%CO環境において培養した。
培養容器・灌流デバイスの作製
培養容器としても用いられる灌流デバイスは、3Dプリンタによって造型した(アクリル樹脂製)。デバイスは超音波洗浄機によって洗浄後、70%エタノールによって滅菌した。クリーンベンチ内で乾燥させた後、細胞及びコラーゲンゲルの接着性向上のため、デバイスを5分間の大気プラズマで処理し、10μg/mLのウシ由来フィブロネクチンに浸漬して37℃で2時間コーティング処理を行った。デバイスはMg2+,Ca2+を含まないリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に入れ、最大で1週間4℃で保管した。組織構築の直前に、針(テルモ社製:シリンジ針25G(直径:0.50mm、材質:ステンレス鋼))をコネクタに通した。
組織構築及び培養
HepG2細胞(3×10cells/mL),HUVEC(3×10cells/mL)、MSC(0.5×10cells/mL又は0.05×10cells/mL)を懸濁した3mg/mLの中性化I型コラーゲンを灌流デバイスに充填した。ゲル化のため37℃でインキュベートした後、針(前記シリンジ針25G)を抜去して空洞流路を形成し、デバイスを培地に浸漬した。組織培養用培地として、非灌流条件及び通常密度MSC・灌流条件においては10%ウシ胎児血清及び1%ペニシリンストレプトマイシンを添加したDMEMと、キットに含まれる成長因子及び1%ペニシリンストレプトマイシンを添加したEGM2を1:1で混合したものを用いた。また低密度MSC・灌流条件においては10%ウシ胎児血清及び1%ペニシリンストレプトマイシンを添加したDMEMを用いた。空洞流路に100μLのHUVEC懸濁液(4×10cells/mL)をシリンジ及びシリンジポンプを用いて注入した。20分間のインキュベートの後、流路の上面に細胞を接着させるためデバイスを裏返してさらに20分間インキュベートした。その後再び灌流デバイスを元の位置に戻し、80分経過後、ペリスタルティックポンプを用いて1mL/hourの流量で培地を灌流した。組織内での流れは、墨汁とPBSを2:1で混合したものをシリンジポンプによって注入することで可視化した。
組織学的解析
培養4日後、組織は4%パラフォルムアルデヒドによって固定し、パラフィンに包埋した。組織は5μmに薄切し、HE染色及び免疫染色に供した。HE染色については、薄切切片を脱パラフィン及び再水和し、マイヤーのヘマトキシリン及びエオシンY・エタノール溶液によって染色した。免疫染色については、再水和後の薄切切片をオートクレーブ装置により121℃、15分間処理し、抗原賦活化を行った。切片を超純水によって洗浄後、4%ブロックエースで20分間ブロッキングした。次に1%ブロックエースで希釈した1次抗体で一晩インキュベートした。本実施例では、1次抗体としてCD31(1:200,BBA7,R&D Systems,Inc.,Minneapolis,MN,USA),EpCAM(1:200,ab71916,Abcam PLC,Cambridge,UK),albumin(1:100,MAB1455,R&D Systems),CYP2D6(1:100,AV41675,Sigma-Aldrich)を用いた。切片をPBSで洗浄した後、2次抗体で1時間インキュベートした。さらにヘキストを用いて対比染色を行った。
遺伝子発現解析
培養7日後、Nucleospin RNAを用いてTotal RNAを抽出した。RNA-seq用のライブラリはTruseq stranded mRNAによって調製した。シーケンスはNovaSeq 6000によって行った。取得したデータは、STAR、RSEM、edgeRによって解析した。GOエンリッチメント解析はDAVIDによって行い、clusterProfilerによりグラフ化した。
細胞密度分布の測定
主血管周辺の細胞密度分布の評価のため、固定した組織をOCTコンパウンドに包埋し、7umに薄切した。ヘキストで染色した切片の画像をImageJによって解析した。画像を閾値処理及びwatershed処理によって二値化した。次いで、主血管の上側及び下側の領域の細胞数をanalyze particle pluginによって計数した。
アルブミンの定量
培養上清に含まれるアルブミンの定量のため、培地を4日後及び7日後に採取し、測定まで-80℃に保管した。サンプルは融解後、ヒトアルブミンELISAキットによって定量した。
<結果>
管状肝組織の構築
ヒトの肝臓は肝動脈、門脈、中心静脈といった大血管及び類洞からなる脈管系を持つ。肝臓及び類洞の正確な構造を模すためには、収縮と血管新生を含む自己組織化プロセスが有力な手法である。そこで、肝がん由来細胞HepG2、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)、間葉系幹細胞(MSC)をコラーゲンゲルに分散させた組織を作製することとした。大血管(主血管)様構造の作製及び維持のため、組織の収縮に抗して組織を把持するアンカー付きの管状コネクタを備えた灌流デバイスを用いた。また、このデバイスは大気プラズマ及びフィブロネクチンによってコーティングすることで細胞及びコラーゲンの接着性を向上させた。以上の方針に基づき、ヒト肝に類似した形態を有する管状の肝組織を設計した。この管状肝組織において、類洞様構造は細胞によって自己組織化され、さらに主血管様構造に接続されている。この主血管様構造は灌流デバイスに接続されているため、作製された肝組織は灌流可能である。
管状肝組織は図2aに示すように作製した。まずHepG2、HUVEC、MSCを懸濁したコラーゲン溶液を大気プラズマ及びフィブロネクチンコートを施した灌流デバイス内に注入した(図2a(i))。コラーゲンのゲル化後、コネクタに通してあった棒状部材(針)を抜去することで空洞流路を構築した(図2a(ii))。続いて、空洞流路にHUVECを注入し、流路壁面を被覆した(図2a(iii))。ペリスタルティックポンプを用いて構築した主血管に培地を灌流した(図2a(iv),図2b)。主血管に灌流できていることを示すため、4日灌流した後、墨汁を注入した(図2c)。注入したインクは灌流デバイスの注入側のコネクタから主血管へと流入した、排出側コネクタから排出された。この際に肝組織及び灌流デバイスの接合部からの漏れは観察されなかった。これらの結果より、灌流デバイスがアンカー及び表面処理の効果により、培地灌流の圧力や組織収縮による応力に抗して肝組織を把持可能であることが示唆された。
組織学的解析により、灌流によって類洞様構造が形成されることが示された
肝組織の培養条件を正確に決定するため、以下の三種類の培養条件を試行した:通常密度MSC(0.5×10cells/mL)・非灌流条件、低密度MSC(0.05×10cells/mL)・灌流条件、通常密度MSC(0.5×10cells/mL)・灌流条件。図3a-cに示すように、収縮量は低密度MSC・灌流条件において最小だったが、これはマトリゲル(登録商標)に細胞を播種した場合(前掲の非特許文献1参照)と同様に、コラーゲンに細胞を分散させた組織においてもMSCが収縮に寄与することを示している。また、この結果は、収縮が組織密度の向上と血管新生に重要であると考えられていることから、通常密度MSCが実験条件として好ましいことも示唆している。続いて、組織の構造をより詳細に調べるため、ヘマトキシリン・エオシン(HE)染色を行った。その結果、形態は異なるものの、両灌流条件において主血管周辺に細胞が凝集体を形成したことが観察された。一方、非灌流条件においてはそのような凝集体の形成は見られなかった。
これらの違いはそれぞれHUVEC及びHepG2のマーカーであるCD31及びEpCAMの免疫染色により検証した(図3g-i)。非灌流条件においては、CD31陽性細胞、EpCAM陽性細胞は疎に分布していたものの、類洞様構造は観察されなかった(図3g)。低密度MSC・灌流条件においては、ほとんどの凝集体の細胞はEpCAMで染色され、CD31陽性のものはほとんど観察されなかった(図3h)。これらに対し、通常密度MSC・灌流条件のCD31陽性の領域は非灌流のものと比べて明らかに大きかった(図3i)。CD31陽性の領域は管腔構造を形成しており、さらに類洞と同じように主血管に接続しているように観察された。類洞様構造の密度は主血管周辺で高く、距離が離れるにつれて減少する傾向にあった。さらに、類洞様構造はEpCAM陽性のHepG2細胞に隣接しており、これはヒト肝臓において類洞が肝細胞(ヘパトサイト)によって囲まれているのと類似した形態である。これらの結果は、灌流が組織内部において類洞様構造を形成するために必要不可欠であることを示唆するとともに、MSCが類洞様構造の形成に寄与していることを示唆している。
次に、それぞれ肝臓で産生される主要なタンパク質及び代謝酵素であるアルブミン及びCYP2D6の免疫染色を実施した(図4a,b)。その結果、アルブミンとCYP2D6は灌流条件において比較的強く検出された。これは灌流によって組織の機能が正常に維持されたことを示唆している。また予期していたとおり、アルブミンの主血管からの距離に応じた減衰率は、CYP2D6のそれよりもやや大きかった。これはヒト肝臓におけるゾネーション(酸素が豊富な領域ではアルブミンなどのタンパク産生が多く、酸素が少ない領域では異物代謝活性が高いことを示す用語)が部分的に再現されたことを示唆している。
遺伝子発現解析により、灌流が血管新生関連の遺伝子発現を亢進することが示された
灌流が肝組織のグローバルな遺伝子発現に与える影響を調べるため、培養7日後のサンプルについてRNA-seqを実施した(図5a-d)。その結果、954の発現変動遺伝子(調整後 p-value<0.05かつlog[fold change]≧1の条件で定義)が検出された(図5a)。これらの発現変動遺伝子のうち、520が非灌流、434が灌流条件においてそれぞれ亢進されていた。特に灌流条件においては、血管新生に関わる遺伝子(VEGFC:血管内皮細胞増殖因子の一種、HGF:ヘパトサイト増殖因子、FGF5:線維芽細胞増殖因子の一種、CD34:血管新生を行う内皮細胞の発現する膜貫通型タンパク質、COL8A1:血管新生部位において発現する細胞外マトリクス)の亢進が見られた。これは灌流条件においてのみ類洞様構造の形成が観察されたという組織学的解析の結果と一致する。また、灌流が肝臓の機能に与える影響を調べるため肝臓関連遺伝子について調査を行った。肝臓関連遺伝子として、第1~3相の薬剤代謝に関わる遺伝子、及び肝機能を制御することが知られている核内レセプターの遺伝子の合計261個を先行文系に基づいて選んだ。その結果、大半の遺伝子(246個)についてはその発現レベルが維持されていることが分かった(図5b)。灌流条件で培養した組織から抽出したtotal RNAの量が非灌流の4.6倍多かったことを合わせて考慮すると、灌流は細胞の生存率だけでなく、代謝機能も維持することが示唆される。
さらに灌流の効果を調べるため、次にGene ontology(GO)エンリッチメント解析を行った(図5c,d)。予想どおり、血管新生に関わる生物学的プロセス((GO:0045766,GO:0001525)が灌流条件において亢進されていた。一方、非灌流条件では免疫反応及び炎症反応に関わるもの(GO:0006955,GO:0006954,GO:0006953)が亢進されていたことから、非灌流条件の組織は何らかの非健康的な状態にあったと考えられる。
機能解析により、主血管及び類洞様構造を通じた物質交換が示された
類洞様構造の機能を試験するため、まず主血管に墨汁を注入し、組織への浸透を検証した(図6a-f)。図6aに示すように、注入した墨汁は主血管だけでなく、その周辺においても確認された。組織中での墨汁の局在をより詳細に解析するため、墨汁陽性の領域を明視野画像から閾値処理によって抽出し(図6b,c)、免疫染色像と重ね合わせた(図6d-f)。この結果、得られた重ね合わせ像によると、墨汁陽性の領域は主血管の端から160μmの距離まで到達していた。加えて、墨汁陽性の領域は、CD31陽性の類洞様構造と共局在していたことから、類洞様構造が主血管に接続していることが示唆された。さらに、主血管周辺の細胞密度分布を解析した(図6j)。解析対象領域の細胞数は灌流条件において22.9個だったが、これは非灌流条件の2.3倍であった。特に、細胞密度は主血管から200μm以内の領域において、非灌流のものと比較して有意に高かった。この細胞密度分布の違いから、灌流によって酸素及び栄養分が供給され、またその勾配が形成されたことが示唆される。最後に、培養4日後及び7日後において、ELISA法を用いて培養液に分泌されたアルブミンの濃度及び累積量を計測・算出した。図6kに示すように、培養7日後において、灌流条件のアルブミン量は非灌流の場合の5.5倍であった。以上のことから、物質交換(組織への物質流入及び組織からの物質流出)が主血管及び類洞様構造を通じた灌流によって達成されたと判断される。
<考察>
本実施例においては、灌流デバイスと細胞株を分散したコラーゲンゲルとを組み合わせることで灌流可能な主血管様構造及び類洞様構造を有する管状肝組織を作製できることが示された。組織学的解析及び遺伝子発現解析により、主血管様構造を通じた灌流が類洞様構造の血管形成を促進すること、及び肝組織の生存率及び機能を維持することが示された。肝臓関連遺伝子の多くは、大きくは亢進されなかったが、灌流した組織から抽出されたtotal RNA量が、非灌流のものと比較して多かったことから、組織全体として考えれば、灌流条件の肝組織は非灌流のものに比べて高い機能を有すると認められた。遺伝子発現解析により、非灌流条件では炎症に関するGOターム(生物学的プロセス)が亢進されることが分かった。この結果は、非灌流の組織においては、酸素及び栄養の欠乏している深部の死細胞の刺激によって、生細胞が炎症状態になっている可能性を示唆している。また、物質交換の機能が細胞密度の計測及びアルブミン量の計測によって示された。なお、非灌流と灌流条件の比較しか行っていないものの、非灌流が流量ゼロの極限であることを考慮すれば、物質交換の効率は灌流の流量によって制御されると考えられる。さらに、本実施例では、肝組織を作製するための細胞としてHepG2細胞、HUVEC、MSCを使用したが、これらの細胞は容易に他種の実質細胞、内皮細胞、間葉系幹細胞に置換可能であることを考慮すれば、本実施例の手法は、一般的な主血管様構造及び毛細血管様構造を有する各種臓器・組織等の3次元組織モデルの構築に適用可能であると考えられる。また、使用する細胞として、株化細胞のほかに、初代細胞やiPS細胞由来の細胞を用いることでより生体に近い組織が構築できる可能性がある。さらには、細胞の密度及び比率、ECMゲルの濃度、灌流の流量、培地組成といった培養に関するパラメータを、目的の各種臓器・組織により適宜設定することも上記可能性を高める要因になると考えられる。
従来より、主血管様構造の作製方法は様々なものが提案されている。例として、組織に埋め込まれたアルギン酸ファイバーを溶かすことで心臓組織に内皮細胞で覆われた流路を作製する手法、ハイドロゲルの3Dプリントを用いて真皮線維芽細胞を分散した組織中に主血管様構造を作製する方法などがある。毛細血管(類洞)様構造もまた、細胞の自発的な血管形成を利用した種々の方法が提案されている。例として、脂肪組織由来細胞により血管新生した皮膚組織や、iPS細胞由来肝内胚葉細胞、MSC、HUVECの自己組織化を利用して構築された肝芽(liver bud)などがある。さらに、主血管様構造及び毛細血管様構造の構築方法を組み合わせたアプローチも提案されている。しかしながら、高い密度の実質細胞を充填した組織で主血管様構造及び毛細血管様構造の両方を構築するのは、困難であった。この理由として、高密度の実質細胞と毛細血管様構造を有する組織を作製するために有力な手法は組織中にMSCを導入し、組織収縮を誘引するものであるが、このような組織収縮条件下においては主血管と外部接続用ポートの接続を維持するのが困難であることが挙げられる。この技術的障壁を、アンカー付きのコネクタを使用したり、また大気プラズマ及びフィブロネクチンによって表面処理した灌流デバイスとすることによって解決できることを本発明者は実証した。
本発明の3次元肝組織モデルは、培地や所望の薬剤等を灌流させることができる主血管様構造と、それに接続された類洞様構造とを併せ持つものであり、実際の肝組織により近い代謝及びタンパク質産生等の機能を有するものとなり得る。そのため、本発明の3次元肝組織モデルは、例えば、肝機能を改善する若しくは亢進させる物質、又は肝機能障害を予防若しくは治療する物質をスクリーニングするための創薬試験ツール、あるいは、創薬において、候補化合物の肝臓での代謝速度や産生される代謝産物の組成、又はその候補化合物や代謝産物が肝臓に与える影響等を予測評価するための試験ツールとして用いることができ、さらには、肝臓の再生医療用として用いることができるといった、有用性・実用性に優れたものである。

Claims (7)

  1. 主血管様構造及び類洞様構造を有する3次元肝組織モデルの作製方法であって、
    (A)培養容器の側面に、対向するように、該容器の外部から内部に通じる管状コネクタを設け、一方のコネクタから他方のコネクタの管内に、主血管様構造を形成するための棒状部材を通す工程(A工程)、
    (B)A工程後の培養容器内に、肝細胞、血管系細胞、及び間葉系細胞を含むコラーゲンゲルを充填する工程(B工程)、
    (C)棒状部材を管状コネクタから抜去する(C工程)、
    (D)C工程の前又は後に、培養容器中の前記コラーゲンゲル全体が浸漬するように培地を投入する、又は培養容器中の前記コラーゲンゲル全体を培地中に浸漬させる工程(D工程)、
    (E)棒状部材を抜去した管状コネクタから培地を灌流させる工程(E工程)、並びに
    (F)D工程及びE工程により、前記コラーゲンゲル中の肝細胞、血管系細胞、及び間葉系細胞を培養する工程(F工程)
    を含む、前記作製方法。
  2. A工程において、管状コネクタを設けた培養容器の表面に、大気プラズマ処理、及び/又はフィブロネクチンによるコーティング処理を行う、請求項に記載の作製方法。
  3. 管状コネクタは、培養容器の内部側の端にアンカー構造が設けられている、請求項又はに記載の作製方法。
  4. 肝細胞が、肝がん由来細胞であるHepG2細胞であり、血管系細胞が、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)であり、間葉系細胞が、間葉系幹細胞(MSC)である、請求項のいずれか1項に記載の作製方法。
  5. 前記3次元肝組織モデルが、下記(a)~(d)のうちの少なくとも1つの特徴を有するものである、請求項のいずれか1項に記載の作製方法。
    (a)前記主血管様構造が、灌流可能なものである、及び/又は、外部の灌流デバイスに接続されている又は接続可能なものである;
    (b)前記類洞様構造の一部が、主血管様構造に接続されている;
    (c)コラーゲンゲル中に分散した肝細胞、血管系細胞、及び間葉系細胞を培養して作製されたものである;並びに
    (d)前記肝組織モデルを貫通する主血管様構造の周囲に、類洞様構造を含む肝組織が形成された、管状の組織である。
  6. B工程において、前記コラーゲンゲルに含まれる細胞の密度は、肝細胞の密度が3×10 5 ~3×10 8 cells/mLであり、血管系細胞の密度が3×10 8 cells/mL以下であり、及び/又は、間葉系細胞の密度が0.5×10 8 cells/mL以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の作製方法
  7. E工程において、前記培地の灌流は、培地の流量を、シアストレスが1×10 -8 ~10 Paとなるように調整して行われる、請求項1~6のいずれか1項に記載の作製方法
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