以下、図面を参照しながら、実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は、載置部(荷台)12から荷物B1,B2,B3,…を取り出す荷下ろしシステム(搬送システム)10の基本構成を示す図である。特に、第1実施形態では、載置部12から1つずつ荷物B1,B2,B3,…を取り出す例について説明する。
載置部12は、荷物が積載あるいは載置される箇所である。載置部12は、棚、カゴ台車、スチール台車、ボックスパレット、パレット等で良い。載置部12は、移動可能であることが好適である。ここでの載置部12は、主として、カゴ台車と称される、三方向に柵をもった台車が用いられる場合について説明する。この場合、1以上の荷物が柵の無い面から出し入れされる。載置部12の形状は上述した適宜のものを用いることができる。
本実施形態に係る荷下ろしシステム10は、載置部12から荷物を取り出す搬送装置22と、取り出した荷物を所望の位置に搬送するコンベア24とを有する。
搬送装置22は、制御回路としての制御部(プロセッサ)32と、カメラ34と、アーム36と、把持部38と、下支え部40と、データベース42とを有する。荷物を把持する把持部38はアーム36の先端に設けられている。
なお、下支え部40は、例えば所定の大きさの封書など、軽量と解される荷物を取り扱う場合、下支え部40は使用されない場合があり得る。このため、搬送装置22が比較的軽量の荷物のみを扱う場合、下支え部40を有している必要はない。これは、本実施形態だけでなく、変形例を含む他の実施形態の搬送装置22(システム10)でも同様である。ここでは、軽量の荷物から比較的重い荷物まで扱う搬送装置22(システム10)について説明する。
把持部38は、1以上の荷物の少なくとも1つを把持することが可能である。アーム36は、把持部38をカメラ34で撮像された荷物B1に向けて移動させるとともに、荷物B1を把持部38で把持させた状態で載置部12から退避させることが可能である。下支え部40は、把持部38により移動される荷物B1を下側から支えながら、載置部12から荷物B1を取り出すことが可能である。
制御部32は、例えばCPUなどのプロセッサ、ROM、RAM、メモリ、補助記憶部、ハードディスクドライブなどの記憶装置を備えているコンピュータである。制御部32には、予めプログラムがインストールされている。制御部32は、当該プログラムによりカメラ34、アーム36、把持部38、及び下支え部40を自動化機器として制御できる。
なお、制御部32は、CPU等のプロセッサがメモリに格納されたプログラムを実行することにより実現されるが、これに限定されない。制御部32は、一部又は全部がLSI、ASIC、FPGA等のハードウェアにより実現されても良い。
本実施形態では、カメラ34、アーム36、把持部38、及び、下支え部40は制御部32に接続され、制御部32で制御される。このため、制御部32は、カメラ34、アーム36、把持部38、及び、下支え部40と信号を送受信し、カメラ34、アーム36、把持部38、及び、下支え部40の動作を制御する。なお、アーム36、把持部38及び下支え部40は、例えばフィードバック制御などにより、制御部32により制御され、極力所望の位置に近づけられる。
ここで、図1に示すようにXYZ直交座標系を採るものとする。図2に示すように、搬送装置22は、アーム36(把持部38)及び下支え部40をX軸、Y軸及びZ軸にそれぞれ移動させる移動機構44を有する。このため、アーム36、把持部38及び下支え部40は、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動される。移動機構44は、アーム36及び下支え部40をZ軸に平行な軸(図示せず)の軸周りに回動させる構造を有していても良い。
そして、アーム36を移動させることにより任意の位置に把持部38を移動させることができる。このため、把持部38で載置部12の中に積まれた1以上の荷物のいずれかから、制御部32で選択したある荷物B1を取り出すことができる。
また、把持部38で取り出した荷物B1を下側から支える下支え部40も任意の位置に移動できる。
ここで、プラスX軸方向は、把持部38を載置部12に近づける方向であるものとし、マイナスX軸方向は、把持部38を載置部12から遠ざける方向であるものとする。プラスY軸方向は、カメラ34で撮像した画像において、左方向から右方向に向かう方向であるものとし、マイナスY軸方向は、カメラ34で撮像した画像において、右方向から左方向に向かう方向であるものとする。プラスZ軸方向は、鉛直方向下側から上側に向かう方向であるものとし、マイナスZ軸方向は、鉛直方向上側から下側に向かう方向であるものとする。
なお、把持部38及び/又はアーム36のマイナスZ軸方向に下支え部40が配置される。
移動機構44も制御部32に接続され、アーム36及び把持部38と同様に制御部32に制御される。
制御部32は、アーム36、把持部38、及び移動機構44を適宜に制御する把持制御部52を有する。把持制御部52によるアーム36、把持部38、及び移動機構44の制御は、制御部(プロセッサ)32が行う。
アーム36、把持部38及び下支え部40が移動機構44なしで移動可能である場合、移動機構44は不要になり得る。すなわち、アーム36、把持部38及び下支え部40が3次元的に適宜に移動可能である場合、移動機構44は不要になり得る。
制御部32は、把持制御部52の他、後述する荷物判断部54及び把持方式判断部56を有する。制御部32は把持制御部52、荷物判断部54及び把持方式判断部56の他にもデータベース42へのデータの書き込み、データベース42からのデータの読み込みなど、種々の機能を実行し得る。このため、データベース42も制御部32に接続され、制御部32は、データベース42に対して各種のデータを読み出し/書き込み可能である。
データベース42には、一例として、所定の荷物の画像情報(荷物画像情報)42aと、その所定の荷物画像情報42aに一対一に対応する把持方式情報42bとが記憶されている。このため、データベース42には、1以上の荷物の情報を記憶させておくことができる。所定の荷物画像情報42aは、例えば箱の縦、横、高さの比率だけでなく、カメラ34から得られる荷物画像情報42aから推定される縦、横、高さの数値が情報としてデータベース42に記憶されていることが好適である。
荷下ろしシステム10を用いて、後述するフロー(図10Aから図10C参照)に沿って、把持に成功した荷物の荷物画像情報42aと、把持に成功した荷物の荷物画像情報42aに対応する把持方式情報42bとが、データベース42に順次記憶されていく。制御部32は、後述するフローにしたがって把持部38及び下支え部40で荷物を把持し、その荷物をコンベア24に載置する。
なお、データベース42には、荷物画像情報42a及び把持方式情報42bのほか、搬送装置22に係る各種の情報が記憶され得る。
カメラ34は載置部12に載置された荷物B1,B2,B3,…を観察可能な位置に配置される。カメラ34は、1つであっても、複数であっても良い。1つである場合、図1に示すように、カメラ34は、荷物B1,B2,B3の前面及び/又は上面を撮像可能な位置に配置される。
なお、荷物B1の上面はある位置からマイナスZ軸方向に向かうときにその荷物B1に交差する面であり、前面はある位置からプラスX軸方向に向かうときにその荷物B1に交差する面であり、背面はある位置からマイナスX軸方向に向かうときにその荷物B1に交差する面である。荷物B1の下面はある位置からプラスZ軸方向に向かうときにその荷物B1に交差する面である。
カメラ34が複数である場合、一例として、一方のカメラ34は、荷物B1の上面に対向する位置に配置され、他方のカメラ34は荷物B1,B3の前面に対向する位置に配置される。そして、複数のカメラ34で撮像された荷物画像情報42aを適宜に合成して、各荷物B1,B2,B3,…のエッジを把握し、載置部12から取り出す荷物の順番を決定する。また、カメラ34で撮像された荷物画像情報42aには、荷物B1,B2,B3,…の大きさの情報が含まれる。
制御部32は、カメラ34で撮像した画像情報に基づいて、荷物B1,B2,B3,…の存在を判断する荷物判断部54を有する。荷物判断部54は、カメラ34で撮像した画像情報を画像処理して、画像情報に存在している荷物B1,B2,B3,…の数、位置、形状、大きさ等を認識する。このため、制御部32は、カメラ34で撮像した画像情報に基づいて、複数の荷物B1,B2が密着していることを判断可能である。
ここでは、荷物判断部54が、荷物B2,B3,…よりも先行して、荷物B1を把持して搬送するものと判断したものとする。載置部12から取り出し可能な荷物B1を判断する技術は、公知のものを適宜に用いることができる。このため、ここでの記載を省略する。次に、荷物B2,B3,B4の順に把持して搬送するものとする。なお、荷物判断部54の判断は、制御部(プロセッサ)32が行う。
このとき、特に、制御部32は、カメラ34の撮像画像を荷物判断部54で画像処理を行うことにより、載置部12から取り出す荷物B1の前面の下方エッジを認識可能である。取り出す荷物B1の前面の下方エッジを認識する技術は、公知のものを適宜に用いることができる。このため、ここでの記載を省略する。このため、制御部32は、下支え部40を適宜に移動させて、載置部12から取り出す荷物B1の前面の下方エッジに近接させる。このとき、制御部32は、下支え部40の先端(載置部12に対して、プラスX軸方向に最も近い位置)を、載置部12から取り出す荷物B1の前面の下方エッジに近接させるとともに、荷物B1の前面の下方エッジの僅かに下方に配置する。
制御部32の荷物判断部54は、図1中の荷物B1を取り出した後、カメラ34で撮像した新たな画像情報に基づいて、新たに、荷物B2,B3,B4の順に荷物B2を取り出すことを判断する。なお、荷物B2,B3のいずれを取り出すのかを判断する際、荷物B1を載置部12から取り出したことによって荷物B2,B3の位置がずらされている場合、荷物を取り出す順番は変更され得る。
制御部32は、荷物判断部54で判断した、取り出す荷物B1の把持方式を判断する把持方式判断部56を有する。把持方式は例えば図4Aから図9Bを用いて後述するが、例えば、摩擦把持、吸着把持、背面把持などがある。把持方式判断部56の判断は、制御部(プロセッサ)32が行う。
把持方式判断部56で判断された把持方式にしたがって、アーム36、把持部38及び下支え部40が動作される。このため、把持制御部52の制御は、制御部(プロセッサ)32が行う。
カメラ34で撮影した荷物の画像情報と、データベース42にある情報から制御部32の把持方式判断部56が荷物B1の把持面、把持方法を判断する。そして、制御部32の把持方式判断部56は、把持制御部52に把持面、把持方法を指令する。
荷物B1は、説明の簡単のため、略直方体状の箱として説明する。荷物B1は、封筒を折り曲げたものなど、略直方体に限られず、球形なども含めて種々の形状が許容される。
荷物B1が箱型であっても、データベース42に荷物画像情報42a及び荷物画像情報42aに対応する把持方式情報42bが存在しない場合があり得る。また、荷物B1が箱型とは異なる袋状、スキー板、ゴルフバッグなどである場合、例えば包装状態に応じて荷物B1の外形が変わり得る。この場合、データベース42に荷物画像情報42a及び荷物画像情報42aに対応する把持方式情報42bが存在しない場合が少なくない、と想定される。
箱型の荷物B1の上面は、鉛直方向の上側の面である。荷物B1の上面は、図1中では、XY平面に平行又は略平行となる。荷物B1の上面は平面に限られない。
荷物B1の前面は、載置部12に載置された荷物B1のうち、下支え部40に対向する面である。荷物B1の前面は、図1中では、YZ平面に平行又は略平行となる。荷物B1の前面は平面に限られない。
荷物B1の背面は、載置部12に載置された荷物B1のうち、下支え部40に対向する面とは反対側の面である。すなわち、荷物B1の背面は、前面とは反対側の面である。荷物B1の背面は、図1中では、YZ平面に平行又は略平行となる。荷物B1の背面は平面に限られない。
図3A及び図3Bには把持部38の構成例を示す。把持部38は、ある荷物B1を、上面単独(図3A及び図4A参照)、前面単独(図3B及び図4B参照)、並びに、上面及び前面の両方(図3B及び図5参照)で把持可能な機構を備える。
把持部38は、ベース62と、ベース62に設けられ荷物B1の上面を把持する上面把持部64と、上面把持部64に対してX軸方向の手前側(マイナスX軸方向側)でベース62に設けられ、上面把持部64に対して例えば90°曲げられて荷物B1の前面を把持する前面把持部66と、上面把持部64に対してX軸方向の奥側(プラスX軸方向側)でベース62に設けられ、上面把持部64に対して例えば90°曲げられて荷物B1の背面を把持する背面把持部68とを有する。なお、ベース62は、例えば、アーム36の先端に固定されている。
把持部38が図3Aに示す形状(初期形状)である場合、前面把持部66は、上面把持部64とともに荷物B1の上面を把持できる。
前面把持部66は、例えば図示しないモータ等により、X軸に直交するY軸の軸周りに回動して、上面把持部64に対して例えば90°曲げられる。前面把持部66が上面把持部64に対して90°曲げられたとき、上面把持部64に対して前面把持部66の位置は、マイナスZ軸方向の位置にある。そして、背面把持部68は、図3Aに示す状態を維持している。これを把持部38の第1変形状態とする。上面把持部64に対して前面把持部66を移動させるモータ等の駆動状態は、制御部32の把持方式判断部56での判断に基づいて、把持制御部52により制御される。すなわち、把持部38の上面把持部64に対する前面把持部66の変形は、制御部32により制御される。このように、本実施形態の搬送装置22では、2面摩擦把持、前面吸着把持、又は、2面吸着把持を行う場合も、複数のラインナップから適切な把持部を選択する必要がない。
背面把持部68は、例えば図示しないモータ等により、X軸の軸周りに例えば90°回動して、上面把持部64に対して例えば90°曲げられる爪部68a,68bを有する。このため、爪部68a,68bは、把持部38の先端部に設けられている。背面把持部68の爪部68a,68bは、1以上の荷物B1,B2,…の背面を支持可能で、背面を支持した状態で載置部12から1以上の荷物B1,B2,…を出しながら荷物B1,B2,…を下支え部40に乗せるのに用いられる。背面把持部68の爪部68a,68bが上面把持部64に対して90°曲げられたとき、上面把持部64に対して背面把持部68の爪部68a,68bの位置は、マイナスZ軸方向の位置にある。そして、前面把持部66は、図3Aに示す状態を維持している。これを把持部38の第2変形状態とする。上面把持部64に対して背面把持部68の爪部68a,68bを移動させるモータ等の駆動状態は、制御部32の把持方式判断部56での判断に基づいて、把持制御部52により制御される。すなわち、把持部38の上面把持部64に対する背面把持部68の変形は、制御部32により制御される。このように、本実施形態の搬送装置22では、背面把持を行う場合も、複数のラインナップから適切な把持部を選択する必要がない。
図3Bには、上面把持部64に対して前面把持部66が90°回動され、かつ、上面把持部64に対して背面把持部68が90°回動された状態を示している。これを把持部38の第3変形状態とする。把持部38が第3変形状態である場合であっても、荷物B1,B2,B3,…を適宜に把持できる。
図3A及び図3Bに示す上面把持部64及び前面把持部66には、それぞれ多数が適宜に並べられた摩擦・吸着把持部材64a,66aが配設されている。摩擦・吸着把持部材64a,66aは、荷物B1,B2,…との接触面に対して接触した状態でその接触面に例えば平行に移動させたときに、荷物B1,B2,…との接触面との間に摩擦を生じさせる。
摩擦・吸着把持部材64a,66aは、荷物B1,B2,…を吸着するのに用いられ得る。摩擦・吸着把持部材64a,66aは、摩擦係数の大きいゴムなどで、例えば略円錐状の吸着パッドとして形成されている。摩擦・吸着把持部材64a,66aは、図示しないポンプに接続されている。例えば真空吸着方式では、荷物B1と摩擦・吸着把持部材64aとの間の接触部位の空気を図示しないポンプを用いて排出することで、大気圧との差圧で荷物B1を保持する。このため、本実施形態の搬送装置22では、摩擦把持を行う場合と、吸着把持を行う場合とで、把持部38を選択する必要がない。
通常、把持部38は、図3Aに示すように、できるだけZ軸方向に薄い形状(初期形状)に維持されている。把持部38は、1つの載置部12から全ての荷物B1,B2,…の搬送処理を行う時間を短縮するため、主に、上面把持を行うことが好適である。把持部38が比較的薄い形状となることにより、載置部12の棚の下の隙間などに把持部38が入れやすい。
荷物B1を前面把持、上面及び前面の2面把持、更には、背面把持などを行う場合、把持部38が図3Aに示す初期形状から第1変形状態又は第2変形状態に変形される。また、把持方式によっては、図3Aに示す初期形状から図3Bに示す第3変形状態に変形されても良い。
すなわち、把持部38が図3Aに示す初期形状から第1変形状態に変形される場合、摩擦・吸着把持部材66aの一部(手前側部分)が、荷物B1の前面に面接触するように、上面把持部64に対して前面把持部66が折り曲げられる。このため、把持部38は、前面把持や、上面と前面の2面把持ができるようになる。
把持部38が図3Aに示す初期形状から第2変形状態に変形される場合、背面把持部68の一部(奥側部分)が、荷物B1の背面に接触するように、上面把持部64に対して背面把持部68が変形される。このため、把持部38は、背面把持や、背面と上面の2面把持ができるようになる。また、ここでは、把持部38の先端の背面把持部68は、爪68a,68bを有する。ベース62に対して背面把持部68の爪68a,68bをそれぞれ回転させてマイナスZ軸方向に延出される状態にすることにより、ある荷物B1の背面把持ができるようになる。このとき、把持部38は、荷物によっては、背面だけでなく、背面と上面の2面把持が可能である。
図4Aから図4Cには、本実施形態の把持部38での荷物B1に対する把持方式を示す。図4Aには第1の把持方式として、把持部38で荷物B1の上面を把持する上面把持を示す。図4Bには第2の把持方式として、把持部38で荷物B1の前面を把持する前面把持を示す。図4Cには第3の把持方式として、把持部38で荷物B1の背面を把持する背面把持を示す。
ここで、例えば、荷物B1を把持しようとしているとき、カメラ34により撮像される画像情報には、把持したい荷物B1だけでなく、その荷物B1の背面側の荷物B2、その荷物B1の下側の荷物B3等も含まれる。このため、荷物B1を把持部38で把持しようとするとき、下支え部40及び/又は移動機構44は、下支え部40の先端を、把持しようとしている荷物B1の下側の荷物B3に近接又は当接させることができる。このため、把持したい荷物B1の下側の荷物B3は、下支え部40の先端によって、マイナスX軸に沿う移動が防止されている。
図4Aに示す上面把持には、上面摩擦把持と、上面吸着把持の2つの方式がある。
上面摩擦把持を行う場合、制御部32は荷物B1の上面に把持部38を載置する。このとき、摩擦・吸着把持部材64aが、荷物B1の上面に当てられている。この状態で、制御部32が把持部38をマイナスX軸方向に引くと、その荷物B1が荷物B1の下側の荷物B3に対してマイナスX軸方向に引かれる。把持部38と荷物B1の上面との間に摩擦力を発生させているため、荷物B1は載置部12からマイナスX軸方向に出されて下支え部40に乗せられる。
なお、アーム36及び把持部38がマイナスX軸方向に動かされているときには、下支え部40は動かされないことが好適である。このため、荷物B1が確実に下支え部40に乗せられる。
上面吸着把持を行う場合、制御部32は荷物B1の上面に把持部38を載置する。このとき、摩擦・吸着把持部材64aが、荷物B1の上面に当てられている。そして、制御部32は図示しないポンプを動作させて上述した摩擦・吸着把持部材(吸着パッド)64aと荷物B1の上面との間を真空状態にして、摩擦・吸着把持部材64aで荷物B1の上面を吸着する。この状態で、制御部32が把持部38をマイナスX軸方向に引くと、その荷物B1を荷物B1の下側の荷物B3に対してマイナスX軸方向に引かれる。荷物B1が載置部12からマイナスX軸方向に出されて下支え部40の上側に僅かに離間して配置され、又は、下支え部40に乗せられる。
このように、把持部38で荷物B1の上面を把持する上面把持を行う場合、選択肢として、摩擦把持及び吸着把持がある。摩擦把持は吸着把持よりも高速で行える。このため、摩擦把持は、上面把持の第1選択肢とされる。
図4Bに示す前面把持を行う場合、主に前面吸着把持が行われる。
前面吸着把持を行う場合、制御部32は、荷物B1の前面に把持部38を近接又は接触させる。このとき、制御部32は、上面把持部64に対して前面把持部66を90°折り曲げる。このとき、摩擦・吸着把持部材66aが、荷物B1の上面に当てられている。そして、制御部32は図示しないポンプを動作させて前面把持部66の摩擦・吸着把持部材(吸着パッド)66aと荷物B1の前面との間を真空状態にして、摩擦・吸着把持部材66aで荷物B1の前面を吸着する。この状態で、制御部32が把持部38をマイナスX軸方向に引くと、その荷物B1が荷物B1の下側の荷物B3に対してX軸方向に引かれる。荷物B1が載置部12から出されて下支え部40の上側に僅かに離間して配置され、又は、下支え部40に乗せられる。
なお、荷物B1の前面に単に把持部38を接触させ、前面摩擦把持を行おうとした場合、摩擦・吸着把持部材66aが、荷物B1の前面に当てられる。しかしながら、その荷物B1を荷物B1の下側の荷物B3に対してマイナスX軸方向に引いて下支え部40に載せることが困難であることは容易に想像される。このため、前面摩擦把持を行う場合、例えば摩擦・吸着把持部材64aを用いた上面摩擦把持と組み合わせて行われる。
図4Cに示す背面把持を行う場合、制御部32は、荷物B1の上面よりも上側に把持部38を配置する。このとき、制御部32は、上面把持部64に対して背面把持部68の爪部68a,68bを90°折り曲げる。制御部32は特に、把持部38の背面把持部68の爪部68a,68bをその荷物B1の背面よりも僅かにX軸に沿って奥側の位置に配置する。このため、荷物B1の背面と荷物B2の前面との間に背面把持部68の爪部68a,68bが配置される。この状態で、制御部32が把持部38をマイナスX軸方向に引くと、その荷物B1が荷物B1の下側の荷物B3に対してマイナスX軸方向に引かれる。荷物B1が載置部12からマイナスX軸方向に出されて下支え部40に乗せられる。
図5には、ある荷物B1に対し、上面把持及び前面把持を組み合わせた2面把持を行っている状態を示す。2面把持は、例えば、2面摩擦把持と、2面吸着把持とがある。
2面摩擦把持を行う場合、図4Aを用いて説明した上面摩擦把持と、図4Bを用いて説明した前面摩擦把持とが組み合わせられる。この場合、把持部38は、上面把持部64に対して上面把持部64が曲げられている。そして、その荷物B1の前面を摩擦・吸着把持部材66aで支持しながら、把持部38と荷物B1の上面との間に摩擦力を発生させた状態で、制御部32が把持部38をマイナスX軸方向に引くと、その荷物B1が荷物B1の下側の荷物B3に対してマイナスX軸方向に引かれる。このため、荷物B1が載置部12からマイナスX軸方向に出されて下支え部40に乗せられる。
2面吸着把持を行う場合、図4Aを用いて説明した上面吸着把持と、図4Bを用いて説明した前面吸着把持とが組み合わせられる。この場合、把持部38は、上面把持部64に対して上面把持部64が曲げられている。そして、制御部32は、ポンプを作動させ、摩擦・吸着把持部材64aと荷物B1の上面との間、及び、摩擦・吸着把持部材66aと荷物B1の前面との間を真空状態にして、摩擦・吸着把持部材64aで荷物B1の上面を吸着するとともに、摩擦・吸着把持部材66aで荷物B1の前面を吸着する。この状態で、制御部32が把持部38をマイナスX軸方向に引くと、その荷物B1が荷物B1の下側の荷物B3に対してマイナスX軸方向に引かれる。このため、荷物B1が載置部12からマイナスX軸方向に出されて下支え部40の上側に僅かに離間して配置され、又は、下支え部40に乗せられる。
なお、上面吸着把持と前面摩擦把持とを組み合わせても良い。本実施形態において、把持部38で吸引を行う場合、把持部38の摩擦・吸着把持部材64a,66aは同時に吸引動作を実行するように形成されている。このため、吸着把持を行う場合、摩擦・吸着把持部材64aだけでなく、摩擦・吸着把持部材66aが吸着把持を行うように動作する。摩擦・吸着把持部材64aで1つの吸引経路を形成し、摩擦・吸着把持部材66aで別の吸引経路を形成することで、上面吸着把持と前面摩擦把持とを組み合わせることができる。
また、上面摩擦把持と前面吸着把持とを組み合わせても良い。本実施形態では、把持部38で吸引把持を行う場合、把持部38の摩擦・吸着把持部材64a,66aは同時に吸引動作を実行する。このため、本実施形態では、上面摩擦把持を行おうとしても、前面吸着把持を行う場合、荷物B1の上面は吸着把持される。摩擦・吸着把持部材64aで1つの吸引経路を形成し、摩擦・吸着把持部材66aで別の吸引経路を形成することで、上面摩擦把持と前面吸着把持とを組み合わせることができる。
このため、把持部38の摩擦・吸着把持部材64a,66aの吸着動作は、それぞれ単独で実行されるようにしても良い。
把持部38で上面把持及び前面把持の2面把持を行う場合、把持部38で上面把持単独又は前面把持単独の場合と比較してより重い荷物B1を把持することができる。
上面把持及び前面把持、上面把持及び背面把持など、図4Aから図4Cに示す把持方式を適宜に組み合わせることが可能である。
図6Aは、制御部32での制御に基づいて、背面把持部68で、荷物B1の背面と荷物B2の前面との間に隙間を探す、隙間探索動作を行っている状態を示す。制御部32は、複数の荷物B1,B2が密着していると判断したとき、荷物B1の背面を支持するために荷物B1の上面を通して、背面把持部68を用いて複数の荷物B1,B2の間の隙間Gの存在又は大きさを探索可能である。特に、図6Aは背面把持部68を荷物B1の上面に当接させながら、プラスX軸方向に沿って前面側から背面側に移動させている状態を示す。このとき、背面把持部68は、荷物B1の上面を鉛直方向下向き(マイナスZ軸方向)に軽く押圧している。
ここで、制御部32は、カメラ34からの画像情報に基づいて、荷物B1,B2が密着していることを判断可能である。そして、制御部32が荷物B1,B2が密着していると判断しているとき、実際に荷物B1,B2が密着している場合であっても、荷物B1の背面と荷物B2の前面との間には、わずかな隙間が形成されていることが多い。又は、荷物B1の背面と荷物B2の前面との間に段差が形成されることが多い。背面把持部68が荷物B1,B2間の隙間に差し掛かると、図6Bに示すように、背面把持部68が隙間にはまって振動する。すなわち、制御部32は、背面把持部68についてZ軸方向に沿う変位を検出する。また、荷物B1の背面と荷物B2の前面との間に段差が形成されている場合、背面把持部68だけでなく、例えばベース62などの他の部位にも負荷が掛けられ、振動する。制御部32は、把持部38をセンサとして、この振動を検知する。振動が検知された位置には、荷物B1と荷物B2との境界が存在すると想定される。制御部32は、この振動を検知して、アーム36の動作を止め、背面把持部68を荷物B1と荷物B2との境界(隙間)に挿入させる。背面把持部68を用いて、このような隙間探索動作をすることにより、カメラ34の撮像画像情報では精度よく見つけにくい荷物B1の背面と荷物B2の前面との間の隙間を検知し、かつ、精度よく背面把持部68を隙間Gに挿入していくことができる。
このような背面把持部68には、例えば図3A及び図3Bに示す爪部68a,68bを用いることができる。
図7A及び図7Bには背面把持部68の、図3A及び図3Bに示す爪部68a,68bとは異なる他の実施例を示す。図3A及び図3Bに示す爪部68a,68bの代わりに、図7A及び図7Bに示す後述する爪部72bを用いることができる。
図7A及び図7Bに示す背面把持部68は、把持部38のベース62(図3A及び図3B参照)の先端に支持された関節アセンブリ72aと、爪部72bとを有する。関節アセンブリ72a及び爪部72bは、1つであってもよく、図3A及び図3Bに示すように2つであってもよく、さらには、3つ以上(図15及び図16参照)であってもよい。
関節アセンブリ72aは、複数の回転関節が組み合わせられていることが好適である。各回転関節には、図示しないモータが配設されている。各回転関節のモータが制御部32の把持制御部52により制御される。このため、背面把持部68の関節アセンブリ72a及び爪部72bは図7Aに示す初期形状と、図7Bに示す変形状態との間を移動する。
なお、例えば、関節アセンブリ72aの基端に対する爪部72bの角度は適宜に設定可能である。また、関節アセンブリ72aの各関節同士の回動可能角度は、適宜の状態に設定されている。
関節アセンブリ72aが複数の回転関節を有することにより、荷物B1の背面と荷物B2の前面のスペースが狭い場合でも、荷物B1の背面と荷物B2の前面との間に爪部72bを入れることができる。
この関節アセンブリ72a及び爪部72bを有する背面把持部68は、図3A及び図3Bに示す背面把持部68の爪部68a,68bと同様に用いられる。そして、背面把持部68は、図7Bに示す変形状態に変形された状態で、又は、変形されながら、図6Bに示すように、荷物B1の背面と荷物B2の前面との間に爪部72bを入れることができる。そして、把持部38の動作に応じて、荷物B1の背面を載置部12からマイナスX軸方向に引き出すことができる。
なお、図7Bに示す変形状態のとき、関節アセンブリ72aは、符号αで示す方向(マイナスX軸方向)には回動可能であるが、符号βで示す方向(プラスX軸方向)には変形しないように形成されている。このため、荷物B1を載置部12から取り出そうとする場合、爪部72bは荷物B1の背面を押圧し、下支え部40にその荷物B1を載置させる。
図8A及び図8Bには背面把持部68の、図3A及び図3Bに示す爪部68a,68b、図7A及び図7Bに示す爪部72bとは異なるさらに他の実施例を示す。図3A及び図3Bに示す爪部68a,68b、図7A及び図7Bに示す爪部72bの代わりに、図8A及び図8Bに示す後述する爪部74cを用いることができる。
図8A及び図8Bに示す背面把持部68は、把持部38のベース62(図3A及び図3B参照)の先端に支持されたガイド74aと、ガイド74aから押し出されるチェーン74bと、チェーン74bの遠位に設けられた爪部74cとを有する。ガイド74aは、X軸に対して例えば90°などに曲げられている。チェーン74bは直線状態から一方向(マイナスZ軸方向)にしが曲がらない。
なお、図8Bに示す変形状態のとき、チェーン74bの爪部74cは、符号αで示す方向(マイナスX軸方向)には回動可能であるが、符号βで示す方向(プラスX軸方向)には変形しないように形成されている。このため、荷物B1を載置部12から取り出そうとする場合、爪部74cは荷物B1の背面を押圧し、下支え部40にその荷物B1を載置させる。
このように、背面把持部68は、種々の方式で、初期形状と変形状態とがそれぞれ維持され得る。
制御部32は、荷物B1,B2の間に隙間の有無を判断することが可能である。図9A及び図9Bは、図6A及び図6Bに示す動作によって荷物B1の背面と荷物B2の前面との間に隙間や段差が検出できなかったときに用いられる、荷物B1の背面と荷物B2の前面との間に隙間を形成する際の動作の例を示す。
図9Aに示す例の場合、制御部32が荷物B1,B2の間に隙間がないと判断したとき、制御部32は、把持部38を動作させ、上面及び前面の2面把持を行い、荷物B1をマイナスX軸方向に移動させている。このため、制御部32による把持部38の動作によって、荷物B1の背面と荷物B2の前面との間に隙間Gが形成でき、背面把持部68が荷物B1の背面と荷物B2の前面との間の隙間Gに配置される。把持部38の2面把持で把持しようとしている荷物B1の下側の荷物B3に対する荷物B1のマイナスX軸方向への移動量は、例えば図5で説明した2面把持を行う場合に比べて小さくて良い。
そして、背面把持を行う場合、制御部32は、荷物B1の背面側に把持部38の背面把持部68を配置する。この状態で、制御部32が把持部38をマイナスX軸方向に引くと、その荷物B1が荷物B1の下側の荷物B3に対してマイナスX軸方向に引かれる。このため、荷物B1が載置部12からマイナスX軸方向に出されて下支え部40に乗せられる。
図10Aは、主として、いずれの把持方式(摩擦把持/吸着把持/背面把持)を選択するのかの、制御部32の処理フローを示す概略図である。
例えばある荷物B1,B2,…を1つずつ把持するのに、摩擦把持を行うのが最も早く処理でき、次に、吸着把持を行うのが早く処理でき、背面把持を行うのが最も時間がかかる処理であると想定される。
ある荷物B1に対して、摩擦把持を行う場合と、吸着把持を行う場合とは、例えばある荷物B1の上面を把持する場合、同じ速度で、把持部38をある荷物B1の上面に配置できる。しかしながら、吸着把持を行う場合、ポンプを駆動させて、荷物B1を把持部38に密着させるのに時間がかかる。これに対し、摩擦把持を行う場合、ポンプなどの作動時間はかからない。このため、ある荷物B1に対して、摩擦把持よりも吸着把持を行う場合、時間がかかる可能性がある。したがって、吸着把持よりも摩擦把持を選択すると、把持部38での把持からコンベア24への荷物B1の移動により時間を要せず、荷物B1の移動時間を短縮可能である、と想定される。
背面把持を行う場合、図6Aから図9Bで説明したように、制御部32で、ある荷物B1とその背面側の荷物B2との間に隙間が存在するか否かを判断する必要がある。このため、背面把持部68をある荷物B1の背面とその背面側の荷物B2の前面との間に背面把持部68を入れるのに時間がかかる可能性がある。また、ある荷物B1を把持する前、その荷物B1をカメラ34で撮像する。撮像に影響を与えるのを防止するため、通常、把持部38は荷物B1の前面に対向する位置にある。このため、プラスX軸方向に沿って把持部38をその荷物B1の上面に移動させるよりも背面に移動させる場合、把持部38の移動距離が大きくなる可能性が高い。このため、背面把持を行う場合、上面把持を行う場合に比べて把持部38の移動に時間がかかると想定される。したがって、背面把持よりも摩擦把持や吸着把持を選択すると、把持部38での把持からコンベア24への荷物B1の移動により時間を要せず、荷物B1の移動時間を短縮可能である、と想定される。
したがって、本実施形態での制御部32は、ある荷物B1に対してまずは摩擦把持を考慮し、続いて吸着把持を考慮し、最後に背面把持を考慮する。
図10Bは、図10Aに示す処理フローによって、いずれかの把持方式(摩擦把持/吸着把持/背面把持)を選択するか決定した後、各荷物に対して上面/前面/背面のいずれか1つ又は複数を把持するのか、詳細な把持方式を制御部32で判断し、把持部38で把持動作を実行に移すことを示す概略図である。
2面摩擦把持、特に、ある荷物B1に対して上面摩擦把持及び前面摩擦把持を考慮する。上面摩擦把持を行う場合、摩擦把持のみでも荷物B1を下支え部40に向かって動かし得る。これに対し、荷物B1の前面のみを摩擦把持しても、ある荷物B1をその荷物B1の前面から下支え部40に向かって動かすことは難しい。このため、2面摩擦把持を行う場合、上面摩擦把持が主となり、前面摩擦把持は従として用いられる。
2面吸着把持、特に、ある荷物B1に対して上面吸着把持及び前面吸着把持を考慮する。上面吸着把持は、下側の荷物B3に摩擦による影響を与え難い。前面吸着把持は、上面吸着把持とは異なり、下側の荷物B3を摩擦により前側に移動させる可能性がある。このため、前面吸着把持よりも上面吸着把持が先に考慮される。
ある荷物B1に対して背面把持を考慮する場合、例えば荷物B1の背面と荷物B2の前面との間の隙間Gの大きさを考慮する。隙間Gが所定の状態(閾値d1)よりも小さい場合、荷物B1の背面と荷物B2の前面との間の隙間Gに背面把持部68を入れる隙間生成動作が要求される。
図10Aから図10Cに示すフローチャートについて説明する。図10Aから図10Cに示すフローチャートは連続している。なお、ここでは、搬送装置22に対して、荷物B1,B2,B3,…が載置された載置部12が所定の位置に配置されているものとする。
ここで、制御部32は、アーム36、把持部38及び下支え部40を初期位置に配置する。初期位置は、一例として、カメラ34で載置部12の荷物B1,B2,…の撮影を邪魔しない位置である。
制御部32は、まず、カメラ34で撮像した荷物B1,B2,…の画像情報を取得する(ステップS1)。荷物B1,B2,…の画像情報が取得できなかった場合、画像情報が取得できるまで処理を繰り返す。
荷物B1,B2,…の画像情報が取得できた場合、制御部32は、荷物判断部54において、公知の技術を用いて、例えば最も手前側の上側にある荷物B1を把持対象と判断し、制御部32は、カメラ34で取得した荷物B1に対応する荷物画像情報42aと、その荷物B1に対する把持方式情報42bとがデータベース42にあるかどうかを探索する(ステップS2)。カメラ34で取得した荷物B1に対応する荷物画像情報42a及び把持方式情報42bがデータベース42にある場合(ステップS2-Yes)、制御部32は、その荷物B1に対応する把持方式情報42bによる把持方式を選択する(ステップS3)。このため、制御部32は、カメラ34による荷物B1,B2,…の画像情報とデータベース42の情報とに基づいて、1以上の荷物B1,B2,B3,…の大きさ、吸着の可否を判断し、選択された荷物B1の上面、前面、背面のいずれを把持するかを判断する。
制御部32は、摩擦把持/吸着把持/背面把持から選択される、その荷物B1に対応した把持方式に基づいて、移動機構44、アーム36、下支え部40及び把持部38を動作させる(ステップS4)。なお、移動機構44の移動は不要な場合もある。
ステップS4において、下支え部40で荷物B1を支えながら、把持部38で荷物B12を適宜に把持するとともに、アーム36、把持部38、下支え部40、移動機構44を動作させ、コンベア24に荷物B1を載置する。
制御部32は、把持部38での荷物B1の把持が成功したか否か判断する(ステップS5)。制御部32は、把持部38でのその荷物B1の把持が成功したと判断したとき(ステップS5-Yes)、データベース42に画像情報、最適把持方法が登録されているか判断する(ステップS6)。制御部32は、データベース42に荷物画像情報42a、最適な把持方式情報42bが登録されていると判断したとき(ステップS6-Yes)、その荷物B1に対する処理を終了する。
そして、制御部32は、1つの載置部12に載置され、カメラ34で撮像した荷物B2,B3,…の画像情報を取得する(ステップS7)。
なお、制御部32が把持部38でのその荷物B1の把持が成功したと判断したとき(ステップS5-Yes)、制御部32は、その荷物B1に対する処理を終了してもよい。すなわち、制御部32が把持部38でのその荷物B1の把持が成功したと判断したとき(ステップS5-Yes)、データベース42に荷物画像情報42a、最適な把持方式情報42bは既に登録されているので、ステップS6の処理は必ずしも必要ではない。
荷物B2,B3,…の画像情報が取得できた場合(ステップS7-Yes)、制御部32は、公知の技術を用いて、例えば最も上側にある荷物B2を把持対象と判断する。制御部32は、カメラ34で取得した荷物B2に対応する荷物画像情報42aと、その荷物B2に対する把持方式情報42bとがデータベース42にあるかどうかを探索する(ステップS2)。そして、制御部32は、上述したフローにしたがって、又は、後述するフローにしたがって、荷物B2を把持して、コンベア24に搬送する処理を行う。
1つの載置部12に載置された荷物の画像情報が取得できなかった場合(ステップS7-No)、制御部32は、その載置部12には荷物が存在しないと判断し、1つの載置部12に載置された荷物をコンベア24に載置する処理を終了する。
なお、制御部32が把持部38での荷物B1の把持が成功したか否か判断する場合、把持部38に設けられた各種のセンサが用いられる。一例として、把持部38に重量センサが設けられているとする場合、把持した荷物B1の重量が下支え部40又はコンベア24に載置する前にピーク値よりも下がっている場合、制御部32は荷物B1の把持が失敗していると判断する。
カメラ34で取得した荷物B1に対応する画像情報がデータベースにない場合(ステップS2-No)、制御部32は、その荷物B1の上面に平面があるか、カメラ34で取得した画像情報から判断する。
制御部32がその荷物B1に平面がなく、その荷物B1が箱型とは異なる形状であると判断する(ステップS11-No)と、その荷物B1には摩擦把持及び吸着把持ができない。すなわち、その荷物B1には、図4Aに示す上面把持及び図4Bに示す前面把持ができないので、図4Cに示す背面把持(ステップS12)を選択する。
制御部32は、その荷物B1に平面があり、その荷物B1が箱型であると判断する(ステップS11-Yes)と、その荷物B1にラベル、包装紙、ビニールがあるか、カメラ34で取得した画像情報から判断する(ステップS21)。
制御部32は、その荷物B1にラベル、包装紙、ビニールがあると判断する(ステップS21-Yes)と、その荷物B1に対して摩擦把持や吸着把持を行うことが難しい又はできないので、背面把持(ステップS12)を選択する。
制御部32は、その荷物B1にラベル、包装紙、ビニールがないと判断する(ステップS21-No)と、荷物B1の体積が閾値V1以下かどうか、カメラ34で取得した画像情報から判断する(ステップS22)。なお、荷物B1の体積の閾値V1のほか、荷物B1が箱型であれば、共通する頂点を有する3辺の和の閾値を適宜に設定してもよい。
荷物B1の体積が閾値V1以下である場合(ステップS22-Yes)、その荷物B1が軽い可能性がある。そして、摩擦把持は吸着把持よりも高速で行えるため、制御部32は、荷物B1の体積が閾値V1よりも小さい場合、摩擦把持(ステップS23)を選択する。
制御部32は、荷物B1の体積が閾値V1よりも大きい場合(ステップS22-No)、荷物B1の体積が閾値V2(>V1)以下かどうか、カメラ34で取得した画像情報から判断する(ステップS31)。
荷物B1体積が閾値V2より大きい場合(ステップS31-No)、荷物が重い可能性がある。荷物B1が所定の重量よりも重い場合、吸着把持ができないため、制御部32は背面把持(ステップS12)を選択する。
荷物B1の体積が閾値V2以下である場合(ステップS31-Yes)、制御部32は荷物B1が吸着把持可能な重さであると判断し、吸着把持(ステップS32)を選択する。
このようにして、制御部32の把持方式判断部56は、荷物B1の外装に応じた把持方式を選択する。すなわち、制御部32は、荷物B1に応じた把持方式を選択する。このため、制御部32は、カメラ34による荷物B1,B2,…の画像情報とデータベース42の情報とに基づいて、1以上の荷物B1,B2,B3,…の大きさ、吸着の可否を判断し、選択された荷物B1の上面、前面、背面のいずれを把持するかを判断する。このときの把持方式の選択は、第1回目の判断とする。
制御部32は、把持方式判断部56により第1回目の最適把持方式を判断した後、図10Bに示すように、アーム36、把持部38及び下支え部40と信号を送受信し、把持制御を行う。
制御部32は、制御部32が摩擦把持(ステップS23)を選択した場合、荷物B1のサイズ及び外装により荷物B1の上面をパッド等により摩擦把持可能か判断する(ステップS41)。制御部32は、可能であれば(ステップS41-Yes)、上面摩擦把持を選択する(ステップS42)。
制御部32は、荷物B1の上面を摩擦把持可能でないと判断したとき(ステップS41-No)、荷物B1のサイズに基づいて、2面摩擦把持可能か判断する(ステップS43)。2面摩擦把持は、その荷物B1の上面及び前面をそれぞれパッド等により把持する方式である。そして、制御部32は、その荷物B1を2面摩擦把持可能と判断したとき(ステップS43-Yes)、2面摩擦把持を選択する(ステップS44)。そして、制御部32はアーム36、把持部38及び下支え部40と信号を送受信し、これらを適宜に動作させる(ステップS4)。
制御部32がその荷物B1を上面摩擦把持及び2面摩擦把持可能でないと判断したとき(ステップS43-No)、制御部32はその荷物B1を把持する方式を、摩擦把持(ステップS23)から、吸着把持(ステップS32)に切り替える。
吸着把持(ステップS32)においては、制御部32は、荷物B1のサイズ及び外装に基づいて、上面吸着把持可能か判断する(ステップS51)。制御部32は、その荷物B1を上面吸着把持可能と判断したとき(ステップS51-Yes)、上面吸着把持を選択する(ステップS52)。すなわち、制御部32はアーム36、把持部38及び下支え部40と信号を送受信し、これらを適宜に動作させる(ステップS4)。
制御部32がその荷物B1を上面吸着把持可能でないと判断したとき(ステップS51-No)、制御部32は、その荷物B1のサイズ及び外装に基づいて、その荷物B1が前面吸着把持可能か判断する(ステップS53)。
制御部32は、その荷物B1を前面吸着把持可能と判断したとき(ステップS53-Yes)、前面吸着把持を選択する(ステップS54)。そして、制御部32はアーム36、把持部38及び下支え部40と信号を送受信し、これらを適宜に動作させる(ステップS4)。
制御部32がその荷物B1を前面吸着把持可能でないと判断したとき(ステップS53-No)、制御部32はその荷物B1のサイズ及び外装に基づいて、その荷物B1が2面吸着把持可能か判断する(ステップS55)。
制御部32は、その荷物B1を2面吸着把持可能と判断したとき(ステップS55-Yes)、2面吸着把持を選択する(ステップS56)。そして、制御部32はアーム36、把持部38及び下支え部40と信号を送受信し、これらを適宜に動作させる(ステップS4)。
制御部32がその荷物B1を、上面吸着把持(ステップS51)、前面吸着把持(ステップS53)、及び、2面吸着把持(ステップS55)可能でないと判断したとき(ステップS55-No)、制御部32はその荷物B1を把持する方式を、吸着把持(ステップS32)から、背面把持(ステップS12)に切り替える。
制御部32は、カメラ34で取得した画像情報に基づいて、荷物B1背面と荷物B2の前面との隙間Gが閾値d1以上あるか、判断する(ステップS61)。
制御部32は、閾値d1よりも隙間Gが小さい、あるいは隙間Gを検出できなかった場合(ステップS61-No)、図9Aに示すように、吸着把持や摩擦把持により隙間生成動作を行う(ステップS62)。その後、制御部32は、再度カメラ34で取得した画像情報から隙間Gを検出する。制御部32は、閾値d1よりも隙間Gが大きければ(ステップS61-Yes)さらに隙間が閾値d2(>d1)以上あるかを判断する(ステップS63)。
制御部32が閾値d2よりも隙間Gが大きいと判断した場合(ステップS63-Yes)、検出誤差を考慮しても隙間探索動作は必要ないとしてそのまま背面把持を選択する(ステップS64)。
このように、把持部38で摩擦把持、吸着把持、背面把持を行う場合、制御部32は、カメラ34で撮影された画像情報とデータベース42の情報とに基づいて、1以上の荷物B1の上面、前面、背面のいずれか1又は複数を把持するか判断する。
そして、制御部32はアーム36、把持部38及び下支え部40と信号を送受信し、これらを適宜に動作させる(ステップS4)。
制御部32は、閾値d2よりも隙間Gが小さいと判断した場合(ステップS63-No)、検出誤差などにより実際の位置よりも検出位置がずれている場合に対応するために、把持部38の背面把持部68を適宜に動かして隙間探索動作を行う(ステップS65)。そして、制御部32は、荷物B1,B2間の隙間Gの正確な位置を検出し、アーム36、把持部38及び下支え部40と信号を送受信し、これらを適宜に動作させて荷物B1に対する背面把持を選択する(ステップS4)。
このようにして、制御部32は、アーム36、把持部38及び下支え部40と信号を送受信し、これらを適宜に動作させ、荷物B1を適宜の方式で把持する。そして、荷物B1をコンベア24に載置する。
コンベア24に荷物B1を載置しているとき、把持部38及び下支え部40は荷物B3の前面から離されている。このとき、カメラ34で荷物B1を取り出した後の、荷物B2,B3,B4,…の画像を再取得する。その後、把持部38及び下支え部40は載置部12に対して初期位置に復帰する。
制御部32は、把持部38での把持が成功したか否か、検出する(ステップS5)。制御部32が把持部38での把持が成功したと判断すれば、荷物B1の画像情報と最適把持方法とがデータベースに登録されているか、判断する(ステップS6)。登録されていれば(ステップS6-Yes)、処理を終了する。登録されていなければ(ステップS6-No)、データベース42に荷物B1の画像情報と最適把持方法とを登録する(ステップS70)。
制御部32は、把持部38での把持が失敗したと判断したとき(ステップS5-No)、荷物B1の画像情報と不適把持方法の情報をデータベース42に登録する(ステップS80)。そして、制御部32は、荷物B1,B2,B3,…のうちから、把持する荷物を再度判断する。制御部32は、把持する荷物B1のカメラ34で画像情報を取得し(ステップS1)、図10Aから図10Cに示す一連の処理を再度行う。
すなわち、制御部32は、下支え部40で荷物B1を下側から支えながら把持部38でその荷物B1を把持させた後、その荷物B1の把持を失敗したと判断したとき(例えば1回目の失敗の場合)、その荷物B1の大きさ、吸着の可否を判断し、その荷物B1の上面、前面、背面のいずれを把持するかを再判断する。
なお、制御部32で移動機構44、アーム36、下支え部40及び把持部38を動作させた場合(ステップS4)、把持部38で荷物B1を把持しようとしたため、荷物B1の重量を推定可能である。このため、荷物B1の重量のデータも併せて、摩擦把持(ステップS23)、吸着把持(ステップS32)及び背面把持(ステップS12)から適宜に選択する。
例えば、その荷物B1の把持を失敗したとき、1回目の処理において、制御部32が摩擦把持(ステップS23)を選択し、上面摩擦把持可能と判断していた(ステップS41-Yes)とき、データベース42に登録された不適把持方法により、再度の処理においては、その荷物B1の重量のデータを合わせて判断材料とし、上面摩擦把持ができない(ステップS41-No)と判断し得る。
例えば、制御部32は、把持部38で荷物B1の把持を行うのを失敗したと判断したとき、特に、上面摩擦把持を行ってその荷物B1に対する把持を失敗した場合、再度の判断として、荷物B1に対して2面摩擦把持を選択してもよいし、2面摩擦把持を選択せずに、吸着把持を行う判断、又は、荷物B1に対して背面把持を行う判断をしてもよい。また、例えば、制御部32は、把持部38で荷物B1の把持を行うのを失敗したと判断したとき、特に、前面吸着把持を行ってその荷物B1に対する把持を失敗した場合、再度の判断として、荷物B1に対して2面吸着把持を選択してもよいし、2面吸着把持を選択せずに、背面把持を行う判断をしてもよい。
なお、データベース42に画像情報があると判断した場合(ステップS2-Yes)であっても、把持部38での把持を失敗したとき(ステップS5-No)、データベース42の情報が書き換えられる。このため、データベース42に画像情報があると判断されない場合がある。このため、把持方法が変更されることがあり得る。
制御部32は、アーム36、把持部38及び下支え部40を制御し、例えばコンベア24に荷物B1を載置する。コンベア24は載置された荷物B1を所定の位置に向けて搬送する。制御部32は次の荷物B2を選択し、同様にしてアーム36、把持部38及び下支え部40を制御し、次の荷物B2を把持する作業を行う。
例えば2回以上、3回や4回など、複数回その荷物B1の把持を失敗した場合、制御部32はエラーを出力し、アーム36、把持部38及び下支え部40を停止させる。同じ荷物B1を把持部38で把持しようとしたときに、搬送装置22のアーム36、把持部38及び下支え部40を停止させるまでの失敗回数は、複数回であることが好適であるが、その回数は適宜に設定可能である。
なお、例えば2回など、複数回その荷物B1の把持を失敗した場合、制御部32はその荷物B1に対して背面把持を選択し、実行することで、再度の把持の失敗を抑制できる。そして、搬送装置22を動作させ続け、荷物B1,B2,…の処理を続けることができる。
以上説明したように、本実施形態にかかる荷下ろしシステム10の搬送装置22では、様々なサイズの荷物が複雑に積まれている場合であっても、適宜の取り出し順に、荷物B1,B2,B3,…を載置部12から取り出して、コンベア24に載置することができる。また、荷下ろしシステム10(搬送装置22)に対向する位置に載置部12が配置されていればよい。このため、載置部12の背面側に荷下ろしシステム10(搬送装置22)の一部が配設される必要がない。
搬送装置22では、1つの荷物に対する処理速度が最も速い摩擦把持を第1選択肢とし、次に速い吸着把持を第2選択肢とし、最後に背面把持を第3選択肢としている。そして、制御部32は、荷物B1,B2,…に応じて、摩擦把持、吸着把持、及び、背面把持を適宜に選択することができる。このため、載置部12に載置された全ての荷物をコンベア24に載置する処理を、全ての荷物を例えば吸着把持などの1つの把持方式で行うよりも、効率的に行うことができる。したがって、1つの載置部12から全ての荷物をコンベア24に載置するまでの時間を、短縮することができる。
また、本実施形態にかかるシステム10の搬送装置22では、摩擦把持を行う場合であっても、荷物の状態に応じて、上面摩擦把持/2面摩擦把持を選択肢とするなど、把持の失敗を抑制することができる。同様に、本実施形態にかかるシステム10の搬送装置22では、吸着把持を行う場合であっても、荷物の状態に応じて、上面吸着把持/前面吸着把持/2面吸着把持を選択肢とするなど、把持の失敗を抑制することができる。また、本実施形態にかかるシステム10の搬送装置22では、背面把持を行う場合であっても、荷物同士の状態に応じて、荷物同士の間に隙間を形成するなど、把持の失敗を抑制することができる。したがって、本実施形態にかかるシステム10の搬送装置22を用いることにより、各荷物の把持の失敗が抑制される。
なお、本実施形態では、荷物B1の背面側に荷物B2が存在する例について説明した。荷物B1の背面側に荷物B2が存在しなくても、荷物B1を上述したように、下支え部40で支えながら把持部38で把持して、コンベア24にその荷物B1を載置することができる。このため、荷物B1の背面側は、空間であっても、載置部12の壁が存在していてもよい。
なお、第1実施形態では、載置部12から1つずつ荷物B1,B2,B3,…を取り出す例について説明したが、荷物の配置や、サイズ等によっては、複数の荷物B1,B2,…を同時に把持して、下支え部40に乗せてもよい。
(第1変形例)
図11に示すように、システム10は、搬送装置22と、サーバ90とを有する。搬送装置22は、制御部32と、カメラ34と、アーム36と、把持部38と、下支え部40と、移動機構44とを有する。制御部32は、通信部58を有する。通信部58による通信は、有線であっても無線であっても良い。通信部58は、一例として、サーバ90上に記憶されたデータベース42にネットワークを介してアクセス可能である。このため、本変形例の搬送装置22には、サーバ90のデータベース42は、含まれない。
制御部32は、通信部58によって通信されることにより、データベース42に記憶されたデータ(情報)を読み出し可能である。また、制御部32は、通信部58によって通信されることにより、データベース42に適宜のデータ(情報)を記憶させることができる。
このため、システム10は、1つの場所だけでなく、多数など、複数の搬送装置22をネットワークに接続して、荷物画像情報42a及び把持方式情報42bを共有することができる。上述したように、データベース42には、所定の荷物の画像情報(荷物画像情報)42aと、その所定の荷物画像情報42aに一対一に対応する把持方式情報42bとが記憶されている。このように、1つの搬送装置22からの情報からだけでなく、他の搬送装置22からの情報を得ることで、一対一に対応する情報の数を多くすることができる。したがって、図10Aから図10Cに示すフローにおいて、ステップS2からステップS3に向かう確率を徐々に上げることができる。このため、より効率的にアーム36、把持部38及び下支え部40を移動させるステップS4に進むことができる。
以上説明したように、本変形例にかかる荷下ろしシステム10では、1つの荷物に対する処理速度が最も速い摩擦把持を第1選択肢とし、次に速い吸着把持を第2選択肢とし、最後に背面把持を第3選択肢としている。そして、制御部32は、荷物B1,B2,…に応じて、摩擦把持、吸着把持、及び、背面把持を適宜に選択することができる。このため、載置部12に載置された全ての荷物をコンベア24に載置する処理を、全ての荷物を例えば吸着把持などの1つの把持方式で行うよりも、効率的に行うことができる。したがって、1つの載置部12から全ての荷物をコンベア24に載置するまでの時間を、短縮することができる。
また、本変形例にかかるシステム10では、摩擦把持を行う場合であっても、荷物の状態に応じて、上面摩擦把持/2面摩擦把持を選択肢とするなど、把持の失敗を抑制することができる。同様に、本変形例にかかるシステム10では、吸着把持を行う場合であっても、荷物の状態に応じて、上面吸着把持/前面吸着把持/2面吸着把持を選択肢とするなど、把持の失敗を抑制することができる。また、本変形例にかかるシステム10では、背面把持を行う場合であっても、荷物同士の状態に応じて、荷物同士の間に隙間を形成するなど、把持の失敗を抑制することができる。したがって、本変形例にかかるシステム10を用いることにより、各荷物の把持の失敗が抑制される。
(第2変形例)
第2変形例は、第1変形例の更なる変形例である。
図11に示すように、システム10は、搬送装置22と、サーバ90とを有する。本変形例では、サーバ90は、搬送装置22の制御部32とは別の制御部として用いられ得る。搬送装置22は、制御部32と、カメラ34と、アーム36と、把持部38と、下支え部40と、移動機構44とを有する。制御部32は、通信部58を有する。通信部58による通信は、有線であっても無線であっても良い。通信部58は、一例として、サーバ90に記憶されたデータベース42にネットワークを介してアクセス可能である。このため、本変形例の搬送装置22には、サーバ90のデータベース42は、含まれない。
本変形例では、荷物B1,B2,B3,…から把持する荷物を判断するプログラム(荷物判断部54)、及び、選択した荷物B1の把持方式を判断するプログラム(把持方式判断部56)も、サーバ90で実行され、その制御信号が通信部58を介して制御部32に送られ、アーム36、把持部38、下支え部40及び移動機構44の移動が制御される。このため、本変形例の制御部32には、荷物判断部(画像処理部)54及び把持方式判断部56は含まれない。すなわち、サーバ90は、カメラ34で撮影された画像情報とデータベース42の情報とに基づいて、把持部38である荷物B1の上面、前面、背面のいずれを把持するかをサーバ(制御部)90が判断する。
搬送装置22の制御部32はサーバ90による荷物B1の上面、前面、背面のいずれを把持するかの判断結果を受信する。このため、制御部32(把持制御部52)は、アーム36、把持部38及び下支え部40を移動させ、荷物B1を把持部38で把持させつつ荷物B1を下支え部40で下側から支えながらアーム36、把持部38及び下支え部40を移動させ、載置部12から荷物B1を取り出す。
図12中では、制御部32に把持制御部52を有するものと図示している。通信部58を介した制御により、アーム36、把持部38及び移動機構44を動作させても良い。すなわち、サーバ90により、アーム36、把持部38及び移動機構44を動作させるプログラム(把持制御部52)を実行させても良い。
図示しないが、カメラ34に通信部(図示せず)を配設し、カメラ34で撮像した画像情報を、制御部32を介さずに直接サーバ90に送信しても良い。この場合、サーバ90の荷物判断部54で荷物B1,B2,…のいずれの荷物を把持すべきか、また、把持すべき荷物B1に隣接する荷物B2,B3のエッジが検出される。
以上説明したように、本変形例にかかる荷下ろしシステム10では、サーバ90による指令により、1つの荷物に対する処理速度が最も速い摩擦把持を第1選択肢とし、次に速い吸着把持を第2選択肢とし、最後に背面把持を第3選択肢としている。そして、サーバ90は、荷物B1,B2,…に応じて、摩擦把持、吸着把持、及び、背面把持を適宜に選択することができる。このため、載置部12に載置された全ての荷物をコンベア24に載置する処理を、全ての荷物を例えば吸着把持などの1つの把持方式で行うよりも、効率的に行うことができる。したがって、1つの載置部12から全ての荷物をコンベア24に載置するまでの時間を、短縮することができる。
また、本変形例にかかるシステム10では、摩擦把持を行う場合であっても、荷物の状態に応じて、上面摩擦把持/2面摩擦把持を選択肢とするなど、把持の失敗を抑制することができる。同様に、本変形例にかかるシステム10では、吸着把持を行う場合であっても、荷物の状態に応じて、上面吸着把持/前面吸着把持/2面吸着把持を選択肢とするなど、把持の失敗を抑制することができる。また、本変形例にかかるシステム10では、背面把持を行う場合であっても、荷物同士の状態に応じて、荷物同士の間に隙間を形成するなど、把持の失敗を抑制することができる。したがって、本変形例にかかるシステム10を用いることにより、各荷物の把持の失敗が抑制される。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について図13を用いて説明する。本実施形態は各変形例を含む第1実施形態の更なる変形例である。
本実施形態では、把持部38は、背面把持を行う場合、1以上の荷物を把持することができる。このため、把持部38は、1以上の荷物の少なくとも1つを把持することができる。アーム36は、把持部38を1以上のカメラ34で撮像された1以上の荷物に向けてプラスX軸方向に移動させるともに、1以上の荷物を把持部38で把持させた状態で載置部12からマイナスX軸方向に移動させて退避させる。下支え部40は、把持部38により移動される1以上の荷物を下側から支えながら、載置部12から1以上の荷物を取り出す。
なお、制御部32は、公知の技術によって、複数の荷物B11,B12,B13,B21,B22,B23を同時に下支え部40に載置できるか否か、1以上のカメラ34から得られる画像を用いて判断することができる。
図13は、把持部38の背面把持により、複数(ここでは6つ)の荷物B11,B12,B13,B21,B22,B23を、荷物B31,B32,B41,…に対して移動させて、下支え部40に乗せようとしている状態を示す。把持部38の背面把持部68は、Y軸方向に沿って、例えば載置部12の横幅よりも狭い、適宜の幅を有する。背面把持部68は、適宜に変形される複数の爪部69a,69b,…を有する。なお、爪部69a,69b,…には、例えば図3A及び図3B、図7A及び図7B、図8A及び図8Bに示す爪部68a,68b,72b,74c,78a,78b,78cが適宜に適用される。
なお、把持部38は、背面把持部68を有するだけでなく、第1実施形態で説明した上面把持部64及び前面把持部66を有することが好適である。
本実施形態では、箱型の荷物B51,B52,B61,…の上面に箱型の荷物B31,B32,B41,…が積まれている。箱型の荷物B31,B32,B41,…のZ軸方向の高さはほぼ揃えられている。そして、各荷物B11,B12,B13,B21,B22,B23は、Z軸方向の高さがほぼ揃えられている荷物B31,B32,B41,…の上面に載置されている。
制御部32の荷物判断部54が、各荷物B11,B12,B13,B21,B22,B23が、Z軸方向の位置がほぼ揃えられている荷物B31,B32,B41,…の上面に載置されていると判断するものとする。このとき、荷物B11,B12,B13が前面側に、荷物B21,B22,B23が背面側に配置されているものとする。
なお、各荷物B11,B12,B13,B21,B22,B23は、箱型(直方体)に限られず、紙袋や封筒、円柱状など、種々の形状が許容される。また、荷物B31,B32,B41,…,B51,B52,B61,…も必ずしも箱型である必要はない。
制御部32の荷物判断部54は、カメラ34からの画像情報により、荷物B11,B12,B13の下側エッジを検出する。
制御部32(又はサーバ90)が、荷物B11,B12,B13,B21,B22,B23を同時に下支え部40に乗せる判断をしたものとする。
制御部32の把持制御部52は、下支え部40を、プラスX軸方向に移動させ、荷物B11,B12,B13の下側エッジよりも僅かに下側で、荷物B31,B32の前面に近接又は当接させる。
制御部32の把持制御部52は、下支え部40の先端を、載置部12から取り出す荷物B11,B12,B13の前面の下方エッジに近接させるとともに、荷物B11,B12,B13の前面の下方エッジの僅かに下方に配置する。制御部32の把持制御部52は、把持部38の背面把持部68を、荷物B21,B22,B23の背面側に配置する。そして、制御部32は、背面把持部68の爪部69a,69b,…を荷物B21,B22,B23の背面側に配置する。
下支え部40を荷物B31,B32の前面に近接又は当接させた状態で、制御部32は把持部38(背面把持部68)をマイナスX軸方向に動作させる。このため、その荷物B11,B12,B13,B21,B22,B23が、荷物B11,B12,B13,B21,B22,B23の下側の荷物B31,B32,B41,…に対してマイナスX軸方向に引かれる。このため、荷物B11,B12,B13,B21,B22,B23が載置部12からマイナスX軸方向に出されて下支え部40に乗せられる。その後、制御部32の把持制御部52は、荷物B11,B12,B13,B21,B22,B23をコンベア24に乗せる。
この場合、例えば6つの荷物B11,B12,B13,B21,B22,B23を同時に下支え部40に乗せて、コンベア24にその荷物B11,B12,B13,B21,B22,B23を乗せることができる。このため、背面把持を行う場合であっても、例えば6個の荷物B11,B12,B13,B21,B22,B23など、同時に処理する荷物の数によっては、摩擦把持又は吸着把持を各荷物に対して行う場合に対して、全体として、荷物の搬送速度を向上させることができる。
したがって、複数の荷物B11,B12,B13,B21,B22,B23を同時に把持して下支え部40に載置する場合、1つずつ荷物B1,B2,…を把持して下支え部40で支持する第1実施形態で説明した背面把持とは異なり、第1の選択肢となり得る。
そして、荷下ろしシステム10(搬送装置22)は、各変形例を含む第1実施形態で説明した、制御部32(又はサーバ90)で1つずつ荷物を選択して載置部12から取り出す方式と、本実施形態で説明した、制御部32(又はサーバ90)で複数の荷物を同時に選択して載置部12から取り出す方式とを適宜に組み合わせることができる。このため、これらの方式を適宜に組み合わせることにより、1つの載置部12に載置された全ての荷物を、より短時間で取り出し、コンベア24に載置することができる。
(第1変形例)
本変形例では、第2実施形態で説明した、複数の荷物に対して背面把持を行う場合の変形例について説明する。
図14に示すように、本変形例では、下支え部40は、複数の下支え板40a,40b,40cを有する。下支え板40a,40b,40cは、ここでは3つであるが、さらに多数であってもよい。各下支え板40a,40b,40cのY軸方向に沿う幅は、一例として、最小サイズと想定される荷物の大きさと略同じ幅に設定される。各下支え板40a,40b,40cのY軸方向に沿う幅は適宜に設定可能である。
制御部32の把持制御部52は、各下支え板40a,40b,40cを、プラスX軸方向及びマイナスX軸方向に独立して動かすことができる。制御部32の把持制御部52は、各下支え板40a,40b,40cを、プラスY軸方向及びマイナスY軸方向に連動して同方向に動かすことができる。このように、各下支え板40a,40b,40cは、制御部32からの信号により、独立して載置部12に向かう前方向(プラスX軸方向)及び載置部12から退避する後方向(マイナスX軸方向)に駆動される。制御部32の把持制御部52は、各下支え板40a,40b,40cを、プラスZ軸方向及びマイナスZ軸方向にも独立して動かすことができることが好適である。このため、各下支え板40a,40b,40cは、制御部32からの信号により独立して上方向(プラスZ軸方向)及び下方向(マイナスZ軸方向)に駆動可能である。
制御部32(又はサーバ90)の荷物判断部54は、荷物B12,B13,B21の下側エッジを検出する。制御部32の把持制御部52は、下支え部40を、荷物B12,B13,B21の下側エッジよりも僅かに下側で、荷物B31,B32,B41の前面に近接又は当接させる。ここでは、下支え板40aの先端を、荷物B21の下側エッジよりも僅かに下側で、荷物B41の前面に近接又は当接させる。下支え板40bの先端を、荷物B12の下側エッジよりも僅かに下側で、荷物B31の前面に近接又は当接させる。下支え板40cの先端を、荷物B13の下側エッジよりも僅かに下側で、荷物B31の前面に近接又は当接させる。
制御部32は、下支え板40aを荷物B41の前面に、下支え板40b,40cを荷物B31の前面に、近接又は当接させた状態で、把持部38の背面把持部68の爪部69a,69b,…を荷物B21,B22,B23の背面に配置する。この状態で、制御部32は、把持部38をマイナスX軸方向に動作させ、荷物B31,B41,…に対して、荷物B12,B13,B21,B22,B23をマイナスX軸方向に引く。このため、荷物B21が下支え板40aに乗せられる。荷物B12,B22が下支え板40bに乗せられる。荷物B13,B23が下支え板40cに乗せられる。このため、複数の荷物B12,B13,B21,B22,B23が同時にコンベア24に載置される。
下支え部40を複数の下支え板40a,40b,40cに分割して形成することにより、各荷物の前面の位置がX軸方向にずれている場合であっても、同時にコンベア24に乗せることができる。このため、背面把持を行う場合であっても、例えば5個の荷物B12,B13,B21,B22,B23など、同時に処理する荷物の数によっては、摩擦把持又は吸着把持を各荷物に対して行う場合に対して、全体として、荷物の搬送速度を向上させることができる。
(第2変形例)
本変形例では、第1変形例を含む第2実施形態で説明した、複数の荷物に対して背面把持を行う場合の更なる変形例について説明する。
図15に示すように、背面把持部68は、X軸方向に沿って伸縮可能なロッド76a,76b,76cと、ロッド76a,76b,76cの先端の爪部78a,78b,78cとを有する。複数のロッド76a,76b,76cは、把持部38のベース62の先端部に設けられている。X軸方向に沿う爪部78a,78b,78cの位置は、ロッド76a,76b,76cの伸縮によりそれぞれ独立して調整される。このため、この背面把持部68は、1以上の荷物の背面に対して複数の爪部78a,78b,78cを独立して動かすことが可能である。
ロッド76aに対して爪部78aは、図7A及び図7Bに示す例、又は、図8A及び図8Bに示す例のように、初期形状と、変形状態との間を変形可能であることが好適である。同様に、ロッド76bに対して爪部78b、さらには、ロッド76cに対して爪部78cは初期形状と、変形状態との間を変形可能であることが好適である。
ロッド76a,76b,76cは、ベース62の先端に対して突出した状態に設けられている。ロッド76a,76b,76cが3つである場合、これらが伸縮可能であることが好適であるが、少なくとも2つが伸縮可能であればよい。ロッドが2つである場合、これらが伸縮可能であることが好適であるが、少なくとも1つが伸縮可能であればよい。
図13及び図14に示す例では、背面把持部68の爪は、YZ平面に平行な1つの平面上にある例について説明した。本変形例では、背面把持部68の爪部78a,78bは、ロッド76a,76b,76cの少なくとも2つがX軸方向に沿って動く。このため、爪部78a,78b,78cはYZ平面に平行な1つの平面上にあってもよいが、YZ平面に平行な2つの平面上又はYZ平面に平行な3つの平面上にそれぞれ配置され得る。
このような背面把持部68について、3つのロッド76a,76b,76c及び爪部78a,78b,78cを有する場合について図16を用いて説明する。
図16に示すように、荷物B21の背面の位置と、荷物B22の背面の位置とはX軸方向に沿って大きくずれている。荷物B21の前面側及び背面側には、荷物は存在しない。荷物B21の下側には、荷物B41がある。
そして、荷物B22の前面側には、2つの荷物B12,B13がある。荷物B12,B13,B22の下側には、荷物B31がある。
荷物B31の上面と荷物B41の上面は、Z軸方向にずれている。
この場合、制御部32の把持制御部52は、下支え部40の下支え板40aの先端を把持しようとしている荷物B21の下側エッジよりもわずかに下側で、荷物B41の前面に近接又は当接させる。制御部32の把持制御部52は、下支え部40の下支え板40b,40cの先端を把持しようとしている荷物B12,B13の下側エッジよりもわずかに下側で、荷物B31の前面に近接又は当接させる。
制御部32は、下支え板40a,40bを荷物B31の前面に近接又は当接させ、下支え板40cを荷物B41の前面に近接又は当接させた状態で、把持部38の背面把持部68の爪部78a,78b,78cを荷物B21,B22の背面に配置する。この状態で、制御部32は、把持部38をマイナスX軸方向に動作させ、荷物B41に対して荷物B21をマイナスX軸方向に引くとともに、荷物B31に対して荷物B12,B13,B22をマイナスX軸方向に引く。このため、荷物B21が下支え板40aに乗せられる。荷物B12が下支え板40bに乗せられる。荷物B13が下支え板40cに乗せられる。また、荷物B22が下支え板40b,40cに乗せられる。このため、複数の荷物B12,B13,B21,B22が同時にコンベア24に載置される。
本変形例では、複数の荷物のそれぞれの前面の位置に対応して、下支え部40の下支え板40a,40b,40cをそれぞれ制御することにより、複数の前面がX軸方向だけでなく、Z軸方向に揃っていない荷物を同時に下支え部40に乗せることができる。また、複数の荷物のそれぞれの背面がX軸方向に揃っていない荷物を同時に下支え部40に乗せることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、本願原出願の特許出願時の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 載置部に積まれた1以上の荷物の画像情報を取得する、カメラと、
前記1以上の荷物の少なくとも1つを把持する、把持部と、
前記把持部を前記カメラで撮像された前記1以上の荷物に向けて移動させるとともに、前記1以上の荷物を前記把持部で把持させた状態で前記載置部から退避させる、アームと、
前記1以上の荷物の情報を記憶させておく、データベースと、
前記カメラで撮影された前記画像情報と前記データベースの情報とに基づいて、前記把持部で前記1以上の荷物に対して摩擦により把持する摩擦把持、吸着により把持する吸着把持、背面を把持する背面把持のいずれを選択するかを判断して、前記アーム及び前記把持部を移動させ、前記1以上の荷物の少なくとも1つを前記把持部で把持させながら前記アーム及び前記把持部を移動させ、前記載置部から前記1以上の荷物を取り出す、制御部と
を有する搬送装置。
[2] 前記制御部は、前記カメラで撮影された前記画像情報と前記データベースの前記情報とに基づいて、前記把持部で前記1以上の荷物の上面、前面、前記背面のいずれか1又は複数を把持するか判断する、[1]に記載の搬送装置。
[3] 前記制御部は、前記把持部で前記1以上の荷物を、前記摩擦把持を選択すると判断した後、前記1以上の荷物の前記上面を把持するか、前記上面及び前記前面を把持するか判断する、[2]に記載の搬送装置。
[4] 前記制御部は、前記把持部で前記1以上の荷物を、前記吸着把持を選択すると判断した後、前記1以上の荷物の前記上面及び/又は前記前面を把持するか判断する、[2]に記載の搬送装置。
[5] 前記把持部は、前記1以上の荷物の少なくとも1つを前記上面を単独で、前記前面を単独で、並びに、前記上面及び前記前面の両方で把持可能な機構を備える、[2]ないし[4]のいずれか1に記載の搬送装置。
[6] 前記制御部は、前記画像情報と前記データベースの情報とに基づいて、前記1以上の荷物の大きさ、吸着の可否を判断し、前記1以上の荷物に対して前記摩擦把持、前記吸着把持、前記背面把持のいずれを選択するかを判断する、[1]ないし[5]のいずれか1に記載の搬送装置。
[7] 前記把持部により移動される前記1以上の荷物を下側から支えながら、前記載置部から前記1以上の荷物を取り出す、下支え部を有し、
前記制御部は、前記アーム及び前記把持部とともに前記下支え部を移動させ、前記1以上の荷物の少なくとも1つを前記把持部で移動させつつ前記1以上の荷物を前記下支え部で下側から支えながら前記アーム、前記把持部及び前記下支え部を移動させる、[1]ないし[6]のいずれか1に記載の搬送装置。
[8] 前記制御部は、前記下支え部で前記1以上の荷物を下側から支えながら前記把持部で前記1以上の荷物を把持させた後、前記1以上の荷物の把持を失敗したと判断したとき、前記1以上の荷物の大きさ、吸着の可否を判断し、前記1以上の荷物に対して前記摩擦把持、前記吸着把持、前記背面把持のいずれを選択するかを再判断する、[7]に記載の搬送装置。
[9] 前記把持部は、前記1以上の荷物の前記背面を支持可能で、前記背面を支持した状態で前記載置部から前記1以上の荷物を出しながら前記下支え部に乗せる、1以上の爪部を有する背面把持部を備える、[7]に記載の搬送装置。
[10] 前記背面把持部は、前記把持部の先端部に設けられ、前記1以上の荷物の前記背面に対して前記1以上の爪部を独立して動かすことが可能な複数のロッドを有する、[9]に記載の搬送装置。
[11] 前記制御部は、前記画像情報に基づいて、前記1以上の荷物が密着していることを判断可能であり、
前記制御部は、前記1以上の荷物が密着していると判断したとき、前記1以上の荷物の前記背面を支持するために前記1以上の荷物の上面を通して、前記1以上の爪部を用いて前記1以上の荷物の間の隙間を探索可能である、[9]に記載の搬送装置。
[12] 前記制御部は、前記1以上の荷物に前記背面把持を行うと判断したときであって、前記1以上の荷物の間に隙間がないと判断したとき、前記把持部を動作させ、前記把持部における前記摩擦把持又は前記吸着把持で前記1以上の荷物の少なくとも1つの位置をずらし、前記1以上の荷物の間に前記1以上の爪部を挿入させる隙間を生成する、[9]ないし[11]のいずれか1に記載の搬送装置。
[13] 前記下支え部は、前記制御部からの信号により独立して前記載置部に向かう前方向及び前記載置部から退避する後方向に駆動する複数の下支え板を有し、
前記複数の下支え板は、前記把持部により前記載置部から出された前記1以上の荷物をそれぞれ支えることが可能である、[7]ないし[12]のいずれか1に記載の搬送装置。
[14] 前記複数の下支え板は、前記制御部からの信号により独立して上方向及び下方向に駆動可能である、[13]に記載の搬送装置。
[15] 前記制御部は、前記把持部で前記1以上の荷物の把持を行うのを失敗したと判断したとき、
前記1以上の荷物に対して前記摩擦把持を行ったときには、前記把持部で前記1以上の荷物に対して前記吸着把持を行う判断、又は、前記把持部で前記1以上の荷物に対して前記背面把持を行う判断をし、
前記1以上の荷物に対して前記吸着把持で行ったときには、前記把持部で前記1以上の荷物に対して前記背面把持を行う判断をする、[1]ないし[14]のいずれか1に記載の搬送装置。
[16] 前記制御部は、前記1以上の荷物の上面が平面である場合、前記1以上の荷物の大きさに応じて、前記1以上の荷物に対して前記把持部で、
前記摩擦把持を行うか、前記吸着把持を行うか、
又は、
前記吸着把持を行うか、前記背面把持を行うか、
判断する、[1]ないし[15]のいずれか1に記載の搬送装置。
[17] 前記制御部は、前記把持部で前記摩擦把持を行うと判断した後、前記1以上の荷物の前記上面及び前面の2面摩擦把持を行うことができないと判断したとき、前記摩擦把持ではなく、前記把持部で前記吸着把持を行う判断をする、[16]に記載の搬送装置。
[18] 前記制御部は、前記把持部で前記吸着把持を行うと判断した後、前記1以上の荷物の前記上面及び前面の2面吸着把持を行うことができないと判断したとき、前記吸着把持ではなく、前記把持部で前記背面把持を行う判断をする、[16]に記載の搬送装置。
[19] 載置部に積まれた1以上の荷物の画像情報を取得するカメラと、
前記1以上の荷物の少なくとも1つを把持する把持部と、
前記把持部を前記カメラで撮像された前記1以上の荷物に向けて移動させるとともに、前記1以上の荷物を前記把持部で把持させた状態で前記載置部から退避させる、アームと、
通信部と、
前記通信部を制御して、前記1以上の荷物の情報を記憶させておくデータベースにアクセス可能で、前記カメラで撮影された前記画像情報と前記データベースの情報とに基づいて、前記把持部で前記1以上の荷物に対して摩擦により把持する摩擦把持、吸着により把持する吸着把持、背面を把持する背面把持のいずれを選択するかを判断して、前記アーム、及び、前記把持部を移動させ、前記1以上の荷物の少なくとも1つを前記把持部で把持させながら前記アーム、及び、前記把持部を移動させ、前記載置部から前記1以上の荷物を取り出す、制御部と
を有する搬送システム。
[20] 載置部に積まれた1以上の荷物の画像情報を取得する、カメラと、
前記1以上の荷物の少なくとも1つを把持する、把持部と、
前記把持部を前記カメラで撮像された前記1以上の荷物に向けて移動させるとともに、前記1以上の荷物を前記把持部で把持させた状態で前記載置部から退避させる、アームと、
通信部と、
前記通信部を制御して、サーバ上のデータベースにアクセス可能で、前記カメラで撮影された前記画像情報と前記データベースの情報とに基づいて、前記把持部で前記1以上の荷物に対して摩擦により把持する摩擦把持、吸着により把持する吸着把持、背面を把持する背面把持のいずれを選択するかを前記サーバ上で判断した結果に基づいて、前記アーム、及び、前記把持部を移動させ、前記1以上の荷物の少なくとも1つを前記把持部で把持させながら前記アーム、及び、前記把持部を移動させ、前記載置部から前記1以上の荷物を取り出す、制御部と
を有する搬送システム。
[21] 1以上の荷物の画像情報と、データベースに記憶された前記1以上の荷物の情報とに基づいて、前記1以上の荷物に対して摩擦により把持する摩擦把持、吸着により把持する吸着把持、背面を把持する背面把持のいずれを選択するかを判断すること、
前記判断に基づいて前記1以上の荷物を下側から支えながら把持すること
を有する、搬送方法。
[22] 前記1以上の荷物の前記画像情報と前記データベースの前記情報とに基づいて、前記1以上の荷物に対して、上面、前面、前記背面のいずれか1又は複数を把持するか判断することを有する、[21]に記載の搬送方法。