JP2023167221A - ロボットアーム装置およびピッキングシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】物体への損傷を確実に抑えるピッキングシステムを提供することを課題とする。【解決手段】本課題を解決するために、ピッキング対象である物品に対して、ピッキング作業を実行するピッキングシステムおいて、前記物品を把持し、空圧シリンダを有するハンドと、前記ハンドと接続するアームを有するロボットアーム装置と、制御を行うための情報を出力するピッキング制御装置を有し、前記ハンドを前記物品の把持位置へ移動させるロボットを有し、前記空圧シリンダ内の圧力を調整することにより、当該ハンドおよび前記ピッキング作業の実行を制御するピッキングシステムを提案する。【選択図】 図8
Description
本発明は、物品の移動、その中でも特に物品に対するピッキング作業を実行するための技術に関する。
物流現場や生産現場などでは、物流や生産の一工程として、物品の移動、搬送を行うことがなされている。例えば、近年、物流倉庫などの物流現場において、保管した多数の物品の中から、指定された特定の物品を取り出すピッキング作業を、ロボットを使用して自動化することが各種提案されている。
例えば特許文献1では、「エンドエフェクタは、物体に係合するための吸着カップアセンブリと、吸着カップアセンブリと物体との間の係合に関連する圧力を検出するための接触リミットセンサとを含み、接触リミットセンサは、圧力が接触しきい値を超えていることを検出すると、接触情報を送信する。コントローラは、受信された接触情報に基づいて、物体に向かうエンドエフェクタの移動を制限して、物体への損傷を防止するように、エンドエフェクタを制御するための動作を実行する」ロボットシステムが示されている。
上述したように、特許文献1のロボットシステムは、吸着カップアッセンブリと物体(物品)との間に係る圧力をセンサで検知し、圧力が閾値を超えた場合に、物体に向かうエンドエフェクタの移動を制限することで、物体への損傷を防止している。
しかしながら、圧力を検知してからエンドエフェクタの移動を制限するまでの遅れがあり、物体への損傷を確実に抑えることが難しかった。さらに、物体への損傷を抑えるために、接触リミットセンサを備える必要があり、機構が複雑になるという課題があった。
そこで、本発明では、本課題を解決し、より簡便な構成で、ピッキング対象である物品への損傷を抑止することを目的とする。このために、本発明では、ピッキング作業を実行するアーム装置が有する接続されたハンドにおいて、空圧シリンダ内の圧力を調整することにより、ハンドやアームを用いたピッキング作業を制御する。
より具体的には、ピッキング対象である物品に対して、ピッキング作業を実行するロボットアーム装置において、前記物品を把持し、空圧シリンダを有するハンドと、前記ハンドと接続するアームを有し、前記ハンドを前記物品の把持位置へ移動させるロボットを有し、前記空圧シリンダ内の圧力を調整することにより、当該ハンドおよび前記ピッキング作業の実行を制御するロボットアーム装置である。また、本発明には、当該ロボットアーム装置と接続し、これを制御するピッキング制御装置やロボットアーム装置とピッキング制御装置を有するピッキングシステムも含まれる。
本発明によれば、より簡便な構成で、ピッキング対象である物品への損傷を抑止することが可能となる。なお、上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態や各実施例の説明により明らかにされる。
<本実施形態の概要>
まず、本発明の一実施形態の概要について説明する。本実施形態では、物品の移動の一例としてピッキングシステムを用いたピッキング作業を説明する。そして、本実施形態では、物流倉庫における物品を対象とする。但し、ピッキング作業、ピッキングシステムは、本発明の一例であり、コンベア等の他の移動手段、装置に本発明を適用できる。また、本実施形態の物品とは、ピッキング対象の一例であり、ワーク、商品、製品、部品、包装物等の各種物体を含む概念である。
まず、本発明の一実施形態の概要について説明する。本実施形態では、物品の移動の一例としてピッキングシステムを用いたピッキング作業を説明する。そして、本実施形態では、物流倉庫における物品を対象とする。但し、ピッキング作業、ピッキングシステムは、本発明の一例であり、コンベア等の他の移動手段、装置に本発明を適用できる。また、本実施形態の物品とは、ピッキング対象の一例であり、ワーク、商品、製品、部品、包装物等の各種物体を含む概念である。
そして、本実施形態は、ピッキング対象である物品に対して、ピッキング作業を実行するロボットアーム装置において、前記物品を把持し、空圧シリンダを有するハンドと、
前記ハンドと接続するアームを有し、前記ハンドを前記物品の把持位置へ移動させるロボットを有し、前記空圧シリンダ内の圧力を調整することにより、当該ハンドおよび前記ピッキング作業の実行を制御するロボットアーム装置やこれを含むピッキングシステムについて開示する。以上で本実施形態の概要の説明を終わり、次にその構成を説明する。
前記ハンドと接続するアームを有し、前記ハンドを前記物品の把持位置へ移動させるロボットを有し、前記空圧シリンダ内の圧力を調整することにより、当該ハンドおよび前記ピッキング作業の実行を制御するロボットアーム装置やこれを含むピッキングシステムについて開示する。以上で本実施形態の概要の説明を終わり、次にその構成を説明する。
<ピッキングシステムの全体構成>
図1は、本実施形態におけるピッキングシステムの全体構成の概略を示す図である。このピッキングシステムは、統合制御装置1-10とピッキング制御装置1-20とロボット1-30とを備える。図1において、統合制御装置1-10は、物流倉庫での物流全体を制御し、物流倉庫から物品の取り出しが必要になったとき、取り出す物品の商品番号の情報を、ピッキング制御装置1-20に供給する。
図1は、本実施形態におけるピッキングシステムの全体構成の概略を示す図である。このピッキングシステムは、統合制御装置1-10とピッキング制御装置1-20とロボット1-30とを備える。図1において、統合制御装置1-10は、物流倉庫での物流全体を制御し、物流倉庫から物品の取り出しが必要になったとき、取り出す物品の商品番号の情報を、ピッキング制御装置1-20に供給する。
また、ピッキング制御装置1-20は、統合制御装置1-10から商品番号の情報が供給されたとき、その商品番号に対応した情報を抽出して、当該商品を取り出すピッキング作業を行うように、ロボット1-30に対して指示する。
また、ロボット1-30は、所定の範囲内を自在に動くアーム1-31を有し、ピッキング制御装置1-20の制御により、アーム1-31の先端のハンド1-32を使って、搬送された商品を把持して取り出す。例えば、図1に示すように、多数の物品1-51、1-52、・・・(以下、単に物品1-51)が収められた搬送用の箱1-50が物流倉庫内で搬送ライン上を流れて来たとする。ここで、ピッキング制御装置1-20には、物品1-51の商品番号が指示されたとする。このとき、ロボット1-30は、アーム1-31の先端のハンド1-32により、搬送用の箱1-50から指示された物品1-51を取り出して、所定のパレット1-60などに取り出した物品1-51を置く作業を行う。なお、本実施形態での把持とは、ピッキング対象を保持、確保することを示し、吸着したり、つまんだりして把持することが含まれる。また、本実施形態では、ハンド1-32を有するアーム1-31およびロボット1-30を、ロボットアーム装置1-300として扱うことができる。そして、本実施形態で説明するロボット1-30の動作は、ロボットアーム装置1-300の動作として置き換えることが可能である。
そして、ロボット1-30の近傍には、カメラ1-41が配置され、カメラ1-41が搬送された物品などを撮影する。カメラ1-41が撮影した画像は、ピッキング制御装置1-20に供給される。なお、カメラ1-41は、物品1-51の位置や形状を計測できるセンサであればよい。このようなセンサは、ステレオカメラ、TOFセンサ、レーザセンサなど他のセンサでもよく、それらの組合せでもよい。
また、ピッキング制御装置1-20は、ピッキング作業を行う物品1-51の商品番号が供給されたとき、その商品番号に関連付けられた各種情報として、例えば、マスタ画像を取得する。ここで、商品番号は、物品1-51を識別する情報であればよい。ここで、マスタ画像は、物品1-51が収められた箱の表面の画像である。このため、ピッキング制御装置1-20は、カメラ1-41が撮影した画像とマスタ画像との比較により、箱1-50内における物品1-51の把持位置を判断する。
そして、ピッキング制御装置1-20は、物品1-51が収められた位置に基づき、物品1-51が収められた位置にハンド1-32を動かすためのロボット1-30への軌道およびハンド1-32を制御するための把持指令を生成する。そして、これらに応じて、ロボット1-30およびハンド1-32が制御される。このために、ピッキング制御装置1-20の軌道計画部2-25が、ハンド制御部2-27に対する把持指令およびロボット制御部2-26に対する軌道を作成する。そして、ハンド制御部2-27が把持指令に応じた把持制御信号をハンド1-32に出力する。また、ロボット制御部2-26が、軌道に応じた軌道制御信号をロボット1-30に出力する。この結果、ハンド1-32やロボット1-30が、把持指令や軌道に応じたピッキング作業を実行することになる。
なお、ハンド制御部2-27およびロボット制御部2-26は、ロボットアーム装置1-300を制御するロボットアーム制御部として構成してもよい。つまり、ロボットアーム制御部は、軌道計画部2-25から把持指令や軌道を含むピッキング制御指令を受け付け、これに応じたピッキング制御信号を作成、出力する。
この結果、ロボット1-30は、ピッキング制御装置1-20からの軌道制御信号に基づいて、アーム1-31の先端のハンド1-32を使って、搬送用の箱1-50から、指定された物品1-51を取り出す。また、ロボット1-30は、取り出した物品1-51を、軌道制御信号で指示されるパレット1-60などに載せる作業を行う。以上で、本実施形態のピッキングシステムの全体構成の説明を終わり、以下、ピッキング制御装置1-20の構成について説明する。
<ピッキング制御装置のブロック図>
図2は、本実施形態におけるピッキング制御装置1-20のブロック図である。図2に示すように、ピッキング制御装置1-20は、マスタ情報データベース2-22、マスタ情報管理部2-23、ワーク認識部2-24、軌道計画部2-25、ロボット制御部2-26、及びハンド制御部2-27と、を備える。
図2は、本実施形態におけるピッキング制御装置1-20のブロック図である。図2に示すように、ピッキング制御装置1-20は、マスタ情報データベース2-22、マスタ情報管理部2-23、ワーク認識部2-24、軌道計画部2-25、ロボット制御部2-26、及びハンド制御部2-27と、を備える。
まず、マスタ情報管理部2-23は、統合制御装置1-10から伝送される商品番号を受け付ける。この商品番号は、ピッキング対象となる物品1-51を識別するもので、ピッキング作業指示に含まれることが望ましい。そして、マスタ情報管理部2-23は、その商品番号に関連付けられたマスタ画像等のピッキングに必要なマスタ情報と物品1-51を把持するための物理データを、マスタ情報データベース2-22から抽出する。この物理データには、上述の空圧シリンダを伸長方向へ加圧する際の推奨圧力、指把持する際の推奨把持力などを用いることができる。
また、マスタ情報管理部2-23は、抽出したマスタ画像を、ワーク認識部2-24に出力し、同じく物理データを軌道計画部2-25に出力する。
ここで、マスタ情報データベース2-22には、本実施形態のピッキングシステムが設置された物流倉庫が扱う商品番号の一覧を示す商品リストと、商品リスト中の各商品番号に関連付けられたマスタ画像のデータが記憶されている。そして、このマスタ画像は、商品、つまり、物品1-51を収めた箱(例えば、搬送用の箱1-50)の画像や、物品1-51そのものの画像である。物品1-51を収めた箱の画像を用いる場合には、マスタ画像としてピッキングの際に認識が必要な特定の面の画像でもよいが、マスタ画像として箱の複数の面の画像を持つようにしてもよい。さらに、このような箱は四角い形状である必要はなく、袋などの形が一定でない形状であってもよい。
なお、ピッキングの際に認識が必要な特定の面は、例えば物品1-51の製造会社、ブランド、種類など記載されている面、すなわち特徴量が多い面が好ましい。また、マスタ画像には、物品1-51を収めた箱又は物品1-51そのものの画像の代わりに、視差画像、点群画像でもよい。さらに、マスタ画像に箱又は物品の形状データ(三次元形状データなど)、吸着するための把持位置、指で把持する把持位置などの各種把持位置を示すデータを付加してもよい。
さらに、マスタ情報データベース2-22は、マスタ情報として物品を吸着把持する際における、空圧シリンダの伸長方向へ加圧する際の推奨圧力、や指把持する際の推奨把持力を記憶する。
また、ワーク認識部2-24は、上記マスタ画像およびカメラ1-41で撮像した画像に基づいて、物品を認識し、ロボットアーム装置1-300のハンド1-32が把持する位置を算出する。また、ワーク認識部2-24が算出した物品の把持位置のデータは、吸着位置および/または指把持位置などといった把持位置であり、軌道計画部2-25に供給される。
また、軌道計画部2-25は、物品の把持位置のデータおよび前記推奨圧力、前記推奨の指把持力等に基づいて、ロボット1-30のアーム1-31を移動させる軌道と、ハンド1-32への把持指令を作成する。そして、軌道計画部2-25は、軌道をロボット制御部2-26に、該把持指令をハンド制御部2-27に出力する。また、ロボット制御部2-26は、軌道計画部2-25から送られた軌道のデータに基づいて、アーム1-31を移動させる制御を行うと共に、ハンド制御部2-27は、ハンド1-32を制御し、物品を吸着および/または指把持する。
なお、図2では図示を省略しているが、ピッキング制御装置1-20は、図3に示すように表示部3-20gや入力部3-20fを備えることが望ましい。このような構成により、ピッキング作業状態の表示や作業員に対する告知の表示を行うとともに、作業員からの操作入力も可能にしている。例えば、表示部3-20gにおける表示に対して、入力部3-20fにおける作業員からの操作入力を受付けて、作業員が商品番号とマスタ画像や把持に関連する情報との関連付けの登録作業を行うことを可能にしている。あるいは、ピッキング制御装置1-20と通信が可能な別の端末装置で、作業員が商品番号とマスタ画像との関連付けの登録作業を行う。そして、その登録作業のデータをピッキング制御装置1-20が取得して、マスタ情報データベース2-22に登録させるようにしてもよい。以上で、ピッキング制御装置1-20のブロック図の説明を終わる。次に、ピッキング制御装置1-20の機能を実現するための一実装例について説明する。
<ピッキング制御装置のハードウェア構成の例>
以上説明したピッキング制御装置1-20は、例えばコンピュータで実現することができる。図3は、本実施形態におけるピッキング制御装置1-20をコンピュータで構成した場合のハードウェア構成を示す図である。図3において、ピッキング制御装置1-20として機能するコンピュータは、CPU(Central Processing Unit:中央処理ユニット)3-20aと、ROM(Read Only Memory)3-20bと、RAM(Random Access Memory)3-20cを備える。そして、これらはバスを介して互いに接続される。さらに、ピッキング制御装置1-20は、不揮発性ストレージ3-20dと、ネットワークインタフェース3-20eと、入力部3-20fと、表示部3-20gとを備える。
以上説明したピッキング制御装置1-20は、例えばコンピュータで実現することができる。図3は、本実施形態におけるピッキング制御装置1-20をコンピュータで構成した場合のハードウェア構成を示す図である。図3において、ピッキング制御装置1-20として機能するコンピュータは、CPU(Central Processing Unit:中央処理ユニット)3-20aと、ROM(Read Only Memory)3-20bと、RAM(Random Access Memory)3-20cを備える。そして、これらはバスを介して互いに接続される。さらに、ピッキング制御装置1-20は、不揮発性ストレージ3-20dと、ネットワークインタフェース3-20eと、入力部3-20fと、表示部3-20gとを備える。
まず、CPU3-20aは、マスタ情報管理部2-23でのマスタ画像についての演算処理や、ワーク認識部2-24や軌道計画部2-25などでのロボット制御に関する演算処理を実行する演算処理部である。このために、ROM3-20bからソフトウェア(ピッキング作業プログラム)のプログラムコードを読み出して、上述の演算処理を実行する。つまり、ROM3-20bは、本実施形態におけるピッキング作業のためのピッキング作業プログラムが格納される。RAM3-20cには、演算処理の途中に発生した変数やパラメータ等が一時的に書き込まれる。
また、不揮発性ストレージ3-20dには、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)などの大容量の情報記憶部が用いられる。不揮発性ストレージ3-20dは、マスタ画像や商品リストなどのデータが格納されるマスタ情報データベース2-22を構成する。なお、不揮発性ストレージ3-20dが、ピッキング作業プログラムを格納してもよい。このように、ピッキング作業プログラムは、各種記憶媒体に格納することができる。
また、ネットワークインタフェース3-20eには、例えば、NIC(Network Interface Card)などが用いられる。ネットワークインタフェース3-20eは、例えば統合制御装置1-10から伝送される商品番号のデータを受信する。また、ロボット1-30やハンド1-32に対して軌道制御信号や把持制御信号を、ネットワークインタフェース3-20eを介して出力する。なお、軌道や把持指令は、ロボットアーム装置1-300に対するピッキング制御信号であってもよい。また、ピッキング制御装置1-20から、制御信号でなく制御指令を出力し、ロボットアーム装置1-300(ロボット1-30やハンド1-32)で、制御信号を生成してもよい。このように、ピッキング制御装置1-20から、制御を行うための情報がロボットアーム装置1-300(ロボット1-30やハンド1-32)に出力され、これらでその情報に応じたピッキング作業が実行されればよい。
また、入力部3-20fは、ピッキング制御装置1-20としての処理を行う際に、ユーザからのマスタ画像の登録作業などの各種データの入力処理を行う。このために、入力部3-20fは、キーボード等の入力デバイスで実現できる。
また、表示部3-20gには、ピッキング制御装置1-20の作動状況が表示される。また、表示部3-20gは、マスタ画像の登録時に、候補画像の表示や、各種警告表示がされる
なお、ピッキング制御装置1-20を図3に示すコンピュータで構成するのは一例であり、コンピュータ以外のその他の演算処理を行う装置で構成してもよい。例えば、ピッキング制御装置1-20が行う機能の一部または全部を、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのハードウェアによって実現してもよい。
なお、ピッキング制御装置1-20を図3に示すコンピュータで構成するのは一例であり、コンピュータ以外のその他の演算処理を行う装置で構成してもよい。例えば、ピッキング制御装置1-20が行う機能の一部または全部を、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのハードウェアによって実現してもよい。
また、ピッキング制御装置1-20が入力部3-20fや表示部3-20gを備える構成とした点についても一例である。このため、ピッキング制御装置1-20として、入力部3-20fや表示部3-20gのいずれか一方、又は双方を備えないコンピュータとして構成してもよい。例えば、入力部3-20fや表示部3-20gは、ピッキング制御装置1-20とは別筐体の端末装置で実現できる。
以上、本実施形態の説明を終わり、以下、本実施形態のより具体的な態様を示す実施例について説明する。以下の実施例では。
実施例1は、ハンド1-32が物品1-51を吸着把持する例である。以下、その詳細を説明する。
<実施例1におけるハンド1-32の構成>
図4は、実施例1におけるハンド1-32を示す図である。図4に示すように、本実施例におけるハンド1-32は、アーム1-31に取り付けられる本体部4-2と、物品を吸着する吸着部4-3と、伸縮機構4-4と、を有している。
<実施例1におけるハンド1-32の構成>
図4は、実施例1におけるハンド1-32を示す図である。図4に示すように、本実施例におけるハンド1-32は、アーム1-31に取り付けられる本体部4-2と、物品を吸着する吸着部4-3と、伸縮機構4-4と、を有している。
まず、伸縮機構4-4としては、空圧シリンダが用いられている。そして、伸縮機構4-4は、本体部4-2から垂直方向に伸縮する。この垂直方向とは、ハンド1-32の延伸方向であり、図面上垂直方向を示している。そして、伸縮機構4-4の先端部には、物品1-51を吸着する吸着部4-3が設置されている。そして、伸縮機構4-4は、吸着部4-3を伸縮可能に支持する。
ここで、吸着部4-3は、可撓性を有する部材により蛇腹状に形成されている。吸着部4-3には、不図示の負圧発生装置が接続されている。吸着部4-3が物品に接触し、負圧発生装置が駆動することで、吸着部4-3は物品1-51を吸着する。
また、伸縮機構4-4における吸着部4-3に対応する箇所に揺動軸を設けてもよい。そして、揺動軸を中心に吸着部4-3を揺動させてもよい。また、伸縮機構4-4は、伸縮する軸に対して回転しないように図示しないガイド機構により回転が制限されており、吸着部4-3の回転を抑止するようにしている。
また、伸縮機構4-4を伸長させた際、吸着部4-3の下端は、アーム1-31および本体部4-2より下方に向けて突出している。これにより、吸着部4-3による物品1-51の吸着をアーム1-31、本体部4-2が妨げることがなくなる。
<接触判定>
続いて、図5を用いてハンド1-32が物品1-51に接触したことを判定する仕組みについて説明する。ハンド1-32は、本体部4-2、物品を吸着する吸着部4-3、伸縮機構4-4、空気配管5-1、位置センサ5-2、空気配管5-3aおよび空気配管5-3bと、からなる。なお、本体部4-2は、アーム1-31に取り付けられる。また、位置センサ5-2は、伸縮機構4-4の空圧シリンダの位置を検出する。ここで、図示したように、伸縮機構4-4は、空圧シリンダとピストン(含むピストン棒)で構成される。
続いて、図5を用いてハンド1-32が物品1-51に接触したことを判定する仕組みについて説明する。ハンド1-32は、本体部4-2、物品を吸着する吸着部4-3、伸縮機構4-4、空気配管5-1、位置センサ5-2、空気配管5-3aおよび空気配管5-3bと、からなる。なお、本体部4-2は、アーム1-31に取り付けられる。また、位置センサ5-2は、伸縮機構4-4の空圧シリンダの位置を検出する。ここで、図示したように、伸縮機構4-4は、空圧シリンダとピストン(含むピストン棒)で構成される。
また、空気配管5-3aは、空圧シリンダを伸長方向(垂直方向)に加圧等の圧力を調整するための空気(気体)を吸排気するための配管である。空気配管5-3bは、空圧シリンダを収縮方向(垂直方向)に加圧等の圧力を調整するための空気(気体)を吸排気するための配管である。このように、空気配管5-3aや空気配管5-3bは、空圧シリンダに加圧等の圧力を調整するための空気(気体)を吸排気するための配管である。
ここで、位置センサ5-2は、本実施形態ではシリンダの位置をHI/LOWで判定するオートスイッチを例に説明する。図5に示すように、オートスイッチは空圧シリンダの最も下端に設置されている。したがって、吸着部4-3がワークに接触する前は、センサ信号はHIとなる。その状態で、図示しない1-31のアームを制御し吸着部を物品1-51に押しつけると、伸縮機構4-4のシリンダが移動し、その結果センサ信号がLOW状態となる。つまり、位置センサがHIであれば吸着部が物品に接していない、位置センサがLOWであれば吸着部が物品1-51に接触して空圧シリンダが動いていると判定することが可能である。なお、位置センサ5-2は、空圧シリンダの位置センサ5-2を検出するものであればよく、リニアエンコーダや、レーザセンサなどを用いてもよい。また、この接触判定は、接触間近、空圧シリンダが動いたら吸着部4-3と物品1-51が接触すると判定することが含まれる。なお、この接触判定は、軌道計画部2-25で実行できる。このために、軌道計画部2-25は、位置センサ5-2から位置を取得できる。また、この接触判定は、ハンド制御部2-27やロボット制御部2-26などの他の部位で実行してもよい。
<吸着判定>
続いて、図6を用いてハンド1-32が物品1-51を吸着したかどうかを判定する仕組みについて説明する。ハンド1-32は、図5と比較してさらに空圧センサ6-1を記載している。空圧センサ6-1は、吸着部4-3の近辺に設置しているが、図示しない負圧発生装置にそなえていてもよい。
続いて、図6を用いてハンド1-32が物品1-51を吸着したかどうかを判定する仕組みについて説明する。ハンド1-32は、図5と比較してさらに空圧センサ6-1を記載している。空圧センサ6-1は、吸着部4-3の近辺に設置しているが、図示しない負圧発生装置にそなえていてもよい。
そして、図示しない負圧発生装置で負圧を発生させ、吸着部4-3で物品1-51を吸着すると空圧センサは図6左下図のように真空圧が発生する。一方で、吸着していない場合は、図6右下図のように圧力が立ち上がらない。この圧力差を用い、真空圧が所定値以上発生した場合には吸着成功、真空圧が所定値よりも発生しない場合は吸着失敗と判定することができる。上記吸着成功、失敗のしきい値は物品ごと、吸着部4-3で用いる吸着パッドごとに設定することが望ましい。なお、この吸着判定(含む負圧の発生)は、軌道計画部2-25で実行できる。このために、軌道計画部2-25は、空圧センサ6-1や負圧発生装置からと接続されることになる。また、この吸着判定は、ハンド制御部2-27やロボット制御部2-26などの他の部位で実行してもよい。以上のように、本実施形態のロボットアーム装置1-300では、空圧シリンダ内の圧力を調整することで、ハンド1-32やアーム1-31によるピッキング作業を制御している。
<ピッキング制御装置1-20のフローチャート>
次に、ピッキング制御装置1-20の処理について説明する。図7は、実施例1におけるピッキング制御装置1-20の処理を示すフローチャートである。まず、ステップS7-1では、ワーク認識部2-24が、前述したマスタ情報管理部より取得したマスタ画像とカメラ1-41の撮像画像に基づき、ピッキング対象物(物品1-51)の把持位置を算出する。ここで、把持位置は吸着部4-3の吸着位置である。ハンド1-32に把持部を備えている場合は、把持部で物品1-51を把持、つまり、掴む際の接触位置であってもよく、吸着位置と接触位置その両方であってもよい。
次に、ピッキング制御装置1-20の処理について説明する。図7は、実施例1におけるピッキング制御装置1-20の処理を示すフローチャートである。まず、ステップS7-1では、ワーク認識部2-24が、前述したマスタ情報管理部より取得したマスタ画像とカメラ1-41の撮像画像に基づき、ピッキング対象物(物品1-51)の把持位置を算出する。ここで、把持位置は吸着部4-3の吸着位置である。ハンド1-32に把持部を備えている場合は、把持部で物品1-51を把持、つまり、掴む際の接触位置であってもよく、吸着位置と接触位置その両方であってもよい。
続いて、ステップS7-2では、軌道計画部2-25が、予め決められた把持シーケンスに従い、伸縮機構4-4の空圧シリンダを伸長する方向に加圧するための把持指令をハンド制御部2-27に出力する。この結果、ハンド制御部2-27の制御により、伸縮機構4-4が伸長することになる。これにより、伸縮機構4-4に設置された吸着部4-3が移動する。
次に、ステップS7-3では、軌道計画部2-25は、ハンド1-32がピッキング対象物である物品1-51に接触する前に、空圧シリンダを加圧状態から減圧するための把持指令を、ハンド制御部2-27に出力する。このために、軌道計画部2-25は、マスタ情報管理部2-23より送信された、空圧シリンダを伸長方向へ加圧する際の推奨圧力のデータに基づき、空圧シリンダを減圧するための把持指令を作成する。この結果、空圧シリンダが、S7-2の加圧状態から減圧されることになる。ここで、減圧された結果である推奨圧力は、例えば壊れやすい物品であれば推奨圧力はゼロ(大気開放)となっている。一方で、例えば変形しやすく(壊れにくく)、重量が重いパウチ等では推奨圧力は所定圧力となっている。なお、空圧シリンダの減圧については、空圧シリンダの下室(ピストンの下部)に対する負圧で実現してもよい。
続いて、ステップS7-4では、軌道計画部2-25が、前記把持位置に基づいてアームの軌道を作成する。そして、軌道計画部2-25が、ロボット制御部2-26に軌道を出力する。また、ロボット制御部2-26が、軌道に応じた軌道制御信号によりアーム1-31を制御して、前記把持位置にアーム1-31の手先(ハンド1-32)を移動させる。ここで、作成される軌道は周辺環境の障害物(物品を格納している箱)など衝突判定し、衝突しない軌道を示すことが望ましい。すなわち、物品1-51が前記箱の隅にあるような場合は、アーム1-31は、箱等と衝突しない範囲で手先を傾けながら、手先が把持位置に移動することになる。
次に、ステップS7-5では、予め決められた把持シーケンスに基づき、ハンド制御部2-27が、図示しない負圧発生装置を制御し、吸着部4-3での物品1-51に対する吸着を試みる。
続いて、ステップS7-6では、軌道計画部2-25は、図6で示した吸着判定を行う。この結果、吸着成功した場合は(Y)、ステップS7-7に進み、吸着していないと判定した場合は(N)、ステップS7-11に進む。
また、ステップS7-7では、軌道計画部2-25の把持指令に従って、ハンド制御部2-27が、予め決められた把持シーケンスに従い伸縮機構4-4の空圧シリンダを短縮方向に加圧制御を行う。ここで、ステップS7-3で伸長方向の圧力が低圧状態である場合は、ハンド制御部2-27は空圧シリンダで大気開放する制御を行う。
次に、軌道計画部2-25の軌道に従って、ロボット制御部2-26は、ステップS7-8でアーム1-31をプレイス位置に制御する。また、ステップS7-9では、ロボット制御部2-26は、把持シーケンスに従い吸着をOFFし、物品1-51をプレイス位置に置く。また、ステップS7-10では、ロボット制御部2-26は、アーム1-31を初期位置に戻す。そして、ピッキングする物品1-51がなくなるまで、スタートからステップS7-10を繰り返す。
続いて、ステップS7-6で吸着できなかった場合のリトライ処理について説明する。まず、ステップS7-11では、軌道計画部2-25が、図5で説明した接触判定を行う。この結果、接触すると判定した場合(Y)、ステップS7-11に進む。また、接触しないと判定した場合は(N)、ステップS7-14に進む。
そして、ステップS7-14では、軌道計画部2-25が、認識誤差などでアーム1-31の手先(ハンド1-32)が物品に接触できていないと判断することになる。そして、軌道計画部2-25は、アーム1-31の手先を、物品1-51に対して押し込み方向に移動させる軌道を作成する。この結果、ロボット制御部2-26が、アーム1-31の手先を押し込むよう制御を行う。このときの押し込み幅は、空圧シリンダのストロークのよりも小さくなるように設定する。こうすることで、空圧シリンダのストロークを超えて物品を押し込むことが無くなり、物品1-51を傷つけないように、アーム1-31の手先を接触することができる。
また、ステップS7-12以降の処理では、接触している、すなわちアーム1-31の手先が物品1-51に接触しているが、アーム1-31の手先の空圧が立ち上がっていない(吸着に失敗している)場合の処理を実行することになる。ステップS7-12では、軌道計画部2-25の把持指令に従って、ハンド制御部2-27が、空圧シリンダの伸縮方向に向けて物品1-51が破損しない範囲で加圧するように制御する。これにより、吸着部4-3が物品1-51に接触する力が足りずに吸着できなかった場合は吸着することができる。また、ステップS7-12では、アーム1-31の手先の角度を変えるように制御してもよい。こうすることで、アーム1-31の手先に接続される吸着部4-3と物品1-51の吸着角度ずれによる空気漏れよって吸着できない原因を解消できる。
また、ステップS7-13では、軌道計画部2-25が、図6で示した吸着判定を再度行う。この結果、吸着成功したと判断した場合は(Y)、ステップS7-7に進む。また、吸着できないと判断した場合は(N)、ステップS7-1に進み、ピッキング対象物の把持位置認識に進む。これは所定の把持位置に対して、吸着を試みてもうまくいかない場合に、別の把持点を再度計算しそちらを優先的に吸着することを意味する。このとき次に計算する把持点は、一度トライした物品と同一物品の別の把持点でもよいし、トライした物品とは別の物品の把持点でもよい。
以上のフローチャートのステップS7-7~S7-9、S7-12~S7-14においては、空圧シリンダ内の圧力を調整することで、ハンド1-32やアーム1-31によるピッキング作業を制御している。
なお、本手法を適用すると、複数の物品の密集した場合においては、物品同士の境界を認識できず、同一の物品として認識し、物品同士の境界を把持する場合がある。この場合、2つの物品を一緒に吸着することになるが、持ち上げた際に物品を落とすことになる。この場合、プレイス動作中にも図示しない吸着判定や接触判定を随時行っており、吸着が失敗した(途中で物品が離れてしまったなど吸着後に失敗)ことを判断し、再度ステップS7-1の処理に戻る。この場合、物品は、元の密集した状態から荷姿が変わっており、物品同士の認識がしやすくなる効果もある。
<動作シーケンス>
続いて、以上で説明した、実施例1におけるハンド1-32およびロボットシステムの物品1-51にハンドが接触する際の動作シーケンスを説明する。図8は、実施例1における動作シーケンスを示す図である。図8において、まず、(1)伸縮機構4-4の空圧シリンダの伸長方向に、図示しない空圧発生装置の圧力を供給し、吸着部4-1を押し出す。この際、空圧シリンダの短縮方向のエアは大気開放されている。
続いて、以上で説明した、実施例1におけるハンド1-32およびロボットシステムの物品1-51にハンドが接触する際の動作シーケンスを説明する。図8は、実施例1における動作シーケンスを示す図である。図8において、まず、(1)伸縮機構4-4の空圧シリンダの伸長方向に、図示しない空圧発生装置の圧力を供給し、吸着部4-1を押し出す。この際、空圧シリンダの短縮方向のエアは大気開放されている。
続いて、(2)吸着部4-1が物品1-51に接触する前に、空圧シリンダの伸長方向のエアを前述の推奨圧力に従って減圧(または物品によっては大気開放)する。その後、(3)アームを制御して把持位置(吸着位置)にアーム1-31の手先(吸着部4-1の先端)を移動させる。これにより吸着部4-1と物品1-51が接触する。この際、空圧シリンダの伸長方向のエアを減圧(または大気開放している)ため、吸着部4-1と物品1-51の接触力によってシリンダが、接触力を逃がす方向に移動する。吸着部4-1と物品1-51の接触力は、おおよそ空圧シリンダの荷重と、空圧シリンダの摩擦力と、伸長方向のエアの圧力(大気開放の場合はゼロ)により生じる力の和となる。すなわち、(2)で空圧シリンダの伸長方向のエアを減圧することで、吸着部4-1と物品1-51の過大な接触力を抑止でき、物品1-51の傷を抑止しつつ接触することが可能となる。接触した後に、図示しない負圧発生装置から負圧を吸着部4-1に供給し、吸着部4-1は、物品1-51を吸着する。吸着したと判断したら、(3)アーム1-31が目標のプレイス位置に移動し、空圧シリンダの短縮方向のエアが加圧され、アーム1―31の手先(ハンド1-32)が縮まる。このアーム1-31の移動動作と、手先を縮める動作はどちらが先でも、並行しての実行でもよい。
以上の説明では、減圧のタイミングを接触する前を例に説明したが、別のタイミングでもよい。たとえば、吸着部を押し出せば物品に手先が接触する位置にアーム1-31を移動して置き、空圧シリンダの伸長方向にエアを加圧し吸着部4-1を押し出し、吸着部4-1が物品に接触する直前に減圧してもよい。他の動作シーケンスの例としては、空圧シリンダの伸長方向にエアを加圧し吸着部4-1を押し出す。その後、吸着指令を出しながらアーム1-31を移動して把持位置に吸着部4-1を移動し、物品を吸着したことを検知した直後に、空圧シリンダの伸長方向のエアを減圧してもよい。
<動作例>
次に、実施例1のピッキングシステムで物品1-51をピッキングした際の動作例を説明する。図9は、実施例1におけるピッキングシステムの動作例を示す図である。図9(a)はいくつかの物が入れられた透明な袋、図9(b)は透明な窓の付いた箱を、それぞれピッキング対象とする例を示す。透明な袋、透明窓のついた箱を認識すると、図に示すように把持位置が物品の表面ではなく、中身の物品となる場合がある。また、図示しないが、透明でない箱の上に別の透明な箱がのっている場合、ワーク認識部が奥の透明でない箱を認識する場合がある。
次に、実施例1のピッキングシステムで物品1-51をピッキングした際の動作例を説明する。図9は、実施例1におけるピッキングシステムの動作例を示す図である。図9(a)はいくつかの物が入れられた透明な袋、図9(b)は透明な窓の付いた箱を、それぞれピッキング対象とする例を示す。透明な袋、透明窓のついた箱を認識すると、図に示すように把持位置が物品の表面ではなく、中身の物品となる場合がある。また、図示しないが、透明でない箱の上に別の透明な箱がのっている場合、ワーク認識部が奥の透明でない箱を認識する場合がある。
これらの場合、従来技術では把持位置に手先を持っていくと過大な力が発生し物品を傷つける場合があった。但し、本実施形態の手法を適用することで吸着部4-1が物品1-51に接触する前に空圧シリンダの伸長方向のエアを減圧し、吸着部10-3が物品1-51に与える接触力を低減することができる。すなわち、物品を傷つけることなく吸着動作を行うことができる。
図9(c)は、袋の表面形状と中身の形状が異なる物品を吸着する例である。この場合、袋の表面形状と中身の形状が異なっているため、物品面に対して鉛直方向と中身の面の鉛直方向の角度ずれが大きく、吸着する際にエア漏れが発生する場合があった。このようなケースにおいても、本願を適用することで物品を傷つけることを抑止して押し込みながら物品を吸着することができる。このため、吸着の成功率を向上させることができる。
また、図9(d)は、液体が入ったパウチを吸着する例である。パウチのように変形する物品は、ある程度物品を押しつけながら吸着する必要がある。このような場合においても、本願は物品ごとに、空圧シリンダの伸長方向のエアを調整することができるため、物品への傷をつけることを抑止する範囲で必要な接触力を発生することができる。以上で、実施例1の説明を終わる。
次に、実施例2について説明する。実施例2では、ハンド1-32が、実施例1と異なる。本実施例のハンド1-32では、物品1-51を吸着および把握する。ここで、把握とは、指先等で掴んだ、挟んだりすることを意味する。以下、ハンド機構の詳細を説明する。
<実施例2におけるハンド機構>
ここで、実施例2におけるハンド1-32およびピッキングシステムを説明する。なお、以下では実施例1との相違点を中心に説明し、同様の部分は説明を省略する。図10は、実施例2におけるハンド1-32の構成を示す図である。
ここで、実施例2におけるハンド1-32およびピッキングシステムを説明する。なお、以下では実施例1との相違点を中心に説明し、同様の部分は説明を省略する。図10は、実施例2におけるハンド1-32の構成を示す図である。
図10(a)は、ハンド1-32を示す正面図である。また、図10(b)は、後述するハンド1-32の把持部が開いた状態を示す正面図であり、図10(c)は、後述するハンド1-32の伸縮機構が伸長した状態を示す正面図である。
図10(a)~図10(c)に示すように、ハンド1-32は、アーム1-31に取り付けられる本体部10-2、物品1-51を吸着する吸着部10-3、伸縮機構10-4、第1把持部10-5A、第2把持部10-5Bおよび把持駆動部10-7を有する。また、ハンド1-32は、第1駆動力伝達機構10-20Aおよび第2駆動力伝達機構10-20Bを有する。なお、第1把持部10-5Aや第2把持部10-5Bは、物品1-51を把握することで、把持を実現している。つまり、これらは把握部を表現することもできる。
ここで、本体部10-2は、略T字状の部材により構成されている。そして、本体部10-2は、アーム1-31に取り付けられる基部10-2aおよび基部10-2aの先端部に設けられた支持部10-2bを有する。ここで、基部10-2aは、支持部10-2bの中間部に接続されている。また、本体部10-2には、伸縮機構10-4が設置されている。
また、伸縮機構10-4として、空圧シリンダが適用される。そして、伸縮機構10-4は、本体部10-2の基部10-2aが延在する方向である長手方向に沿って伸縮し、本体部10-2の支持部10-2bの中間部から基部10-2aとは反対方向に向けて突出する。また、伸縮機構10-4の先端部には、吸着部10-3が設置されている。そして、伸縮機構10-4は、吸着部10-3を伸縮可能に支持する。
また、吸着部10-3は、可撓性を有する部材により蛇腹状に形成されている。吸着部10-3には、不図示の負圧発生装置が接続されている。吸着部10-3が物品1-51に接触し、負圧発生装置が駆動することで、吸着部10-3は、物品を吸着する。
また、伸縮機構10-4における吸着部10-3が設置される箇所に揺動軸を設けてもよい。そして、揺動軸を中心に吸着部10-3を揺動させてもよい。また、伸縮機構10-4は、伸縮する軸に対して回転しないように図示しないガイド機構により回転が制限されており、吸着部10-3が回転しないようにしている。
次に、把持駆動部10-7と、第1駆動力伝達機構10-20A及び第2駆動力伝達機構10-20Bの構成について説明する。
まず、支持部10-2bの一端部には、把持駆動部10-7が設置されている。把持駆動部10-7としては、例えば減速機付きのモータである。把持駆動部10-7の駆動軸には、主駆動力伝達部10-8Aが設けられている。主駆動力伝達部10-8Aは、例えば、歯車により構成されている。そして、主駆動力伝達部10-8Aは、後述する第1駆動力伝達部10-8Bと噛み合っており、把持駆動部10-7の駆動力を第1駆動力伝達部10-8Bに伝達する。
第1駆動力伝達機構10-20Aは、支持部10-2bの一端部側に配置され、第2駆動力伝達機構10-20Bは、支持部10-2bの他端部側に配置されている。第1駆動力伝達機構10-20Aと第2駆動力伝達機構10-20Bの間には、吸着部10-3が配置される。第1駆動力伝達機構10-20Aには、第1把持部10-5Aが設けられており、第2駆動力伝達機構10-20Bには、第2把持部10-5Bが設けられている。そして、第1把持部5Aと第2把持部10-5Bは、第1駆動力伝達機構10-20A及び第2駆動力伝達機構10-20Bに支持されて、互いに対向して配置される。
第1駆動力伝達機構10-20Aは、第1リンク10-6Aと、第2リンク10-6Cと、第3リンク10-6Bと、第1駆動力伝達部10-8Bと、を有している。第1駆動力伝達部10-8Bは、支持部10-2bの一端部に回転可能に支持されている。第1駆動力伝達部10-8Bは、主駆動力伝達部10-8Aと同様に、歯車により構成されている。そして、第1駆動力伝達部10-8Bは、主駆動力伝達部10-8Aと、後述する第2駆動力伝達部10-8Cと噛み合っている。
第1リンク10-6Aの一端部であるリンク節10-9Aは、第1駆動力伝達部10-8Bに固定されている。そして、第1駆動力伝達部10-8Bが回転することで、第1リンク10-6Aは、リンク節10-9Aを中心に揺動する。
第2リンク10-6Cの一端部であるリンク節10-9Dは、支持部10-2bの一端部側に回転可能に支持されている。そして、第1リンク10-6Aと第2リンク10-6Cは、互いに平行に配置されている。第1リンク10-6Aの他端部であるリンク節10-9Bと、第2リンク10-6Cの他端部であるリンク節10-9Cは、第3リンク10-6Bに回転可能に接続されている。第3リンク10-6Bには、第1把持部10-5Aが設けられている。第1駆動力伝達部10-8Bが回転すると、リンク節10-9A、10-9B、10-9C、10-9Dを結ぶ四角形が平行四辺形を保った状態で揺動し、第3リンク10-6Bに設けた第1把持部5Aが移動する。
第2駆動力伝達機構10-20Bは、第1駆動力伝達機構10-20Aと同様に、第1リンク10-6Dと、第2リンク10-6Fと、第3リンク10-6Eと、第2駆動力伝達部10-8Cと、を有している。第2駆動力伝達部10-8Cは、支持部10-2bの他端部に回転可能に支持されている。第2駆動力伝達部10-8Cは、主駆動力伝達部10-8A及び第1駆動力伝達部10-8Bと同様に、歯車により構成されている。そして、第2駆動力伝達部10-8Cは、第1駆動力伝達部10-8Bと噛み合っており、第1駆動力伝達部10-8Bが回転することで、共に回転する。なお、主駆動力伝達部10-8A、第1駆動力伝達部10-8B及び第2駆動力伝達部10-8Cを歯車により構成する例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、プーリとベルトやチェーン等のその他各種の伝達機構を適用してもよい。
第1リンク10-6Dの一端部であるリンク節10-9Eは、第2駆動力伝達部10-8Cに固定されている。そして、第2駆動力伝達部10-8Cが回転することで、第1リンク10-6Dは、リンク節10-9Eを中心に揺動する。
第2リンク10-6Fの一端部であるリンク節10-9Hは、支持部10-2bの他端部側に回転可能に支持されている。そして、第1リンク10-6Dと第2リンク10-6Fは、互いに平行に配置されている。第1リンク10-6Dの他端部であるリンク節10-9Fと、第2リンク10-6Fの他端部であるリンク節10-9Gは、第3リンク10-6Eに回転可能に接続されている。第3リンク10-6Eには、第2把持部10-5Bが設けられている。第2駆動力伝達部10-8Cが回転すると、リンク節10-9E、10-9F、10-9G、10-9Hを結ぶ四角形が平行四辺形を保った状態で揺動し、第3リンク10-6Eに設けた第2把持部5Bが移動する。
図10(a)に示す例では、第1駆動力伝達部10-8Bが時計回りに回転すると、第2駆動力伝達部10-8Cは反時計周りに回転する。そのため、第1把持部10-5A及び第2把持部10-5Bは、互いに接近する方向に移動する。そして、第1把持部10-5Aと第2把持部10-5Bは、閉じられる。
これに対して、第1駆動力伝達部10-8Bが反時計回りに回転すると、第2駆動力伝達部10-8Cは、時計回りに回転する。そのため、第1把持部10-5A及び第2把持部10-5Bは、図10-Cに示すように、互いに離れる方向に移動する。そして、第1把持部10-5Aと第2把持部10-5Bが開かれる。このように、本例のハンド1-32によれば、把持駆動部10-7が駆動することで、第1駆動力伝達機構10-20A及び第2駆動力伝達機構10-20Bにより第1把持部10-5A及び第2把持部10-5Bが開閉する。なお、第1把持部10-5Aと第2把持部10-5Bが同じ速度で開閉移動するように、第1駆動力伝達部10-8Bと第2駆動力伝達部10-8Cは、同じ歯数の歯車により構成されている。
なお、本例の第1把持部10-5A及び第2把持部10-5Bは、平行リンクからなる第1駆動力伝達機構10-20Aと第2駆動力伝達機構10-20Bにより移動可能に支持されている。そのため、第1把持部10-5Aと第2把持部10-5Bにおける互いに対向する面である把持接触部10-11A、10-11Bは、互いに平行に移動する。すなわち、駆動力伝達機構10-20A、10-20Bは、把持部10-5A~Bの把持面である把持接触部10-11A~Bを常に同じ姿勢で、把持部10-5A、10-5Bを移動させる。これにより、物品に対して略鉛直な方向から把持接触部10-11A、10-11Bを、押し当てることができる。
また、駆動力伝達機構10-20A、10-20Bを構成する第1リンク10-6A、10-6Dのリンク節10-9A、10-9Eを第1駆動力伝達部10-8B又は第2駆動力伝達部10-8Cに直接接続している。これにより、第1駆動力伝達部10-8B及び第2駆動力伝達部10-8Cを介して、把持駆動部10-7からの駆動力を直接第1リンク10-6A、10-6Dに伝達することができる。その結果、把持駆動部10-7からの駆動力を第1把持部10-5A及び第2把持部10-5Bに確実に伝達することができ、物品を十分に把持する力を確保することができる。
なお、把持駆動部10-7の一例である減速機付きモータの減速比は、主駆動力伝達部10-8Aと第1駆動力伝達部10-8Bの減速比より十分に大きくしている。これにより主駆動力伝達部10-8A、第1駆動力伝達部10-8B及び第2駆動力伝達部10-8Cの寸法を小さくできる。
ここで、図10(a)及び図10(b)に示すように、伸縮機構10-4を収縮時に、吸着部2-3の下端が第1把持部10-5A及び第2把持部10-5Bよりも上方に位置している。これにより、図10-aに示すように、第1把持部10-5A及び第2把持部10-5Bを閉じる際に、第1把持部10-5A及び第2把持部10-5Bが吸着部10-3に接触することを防ぐことができる。なお、取り扱う物品が吸着部10-3の吸着面の幅以上の厚さであることが予めわかっている場合には、把持部10-5A、10-5Bを図2のように閉じる必要がない。そのため、把持部10-5A、10-5Bを吸着部3の幅以上に開いていても良いため、伸縮機構10-4を収縮時に吸着部10-3の下端が把持部10-5A、10-5Bより上方になくてもよい。
また、図10(c)に示すように、伸縮機構10-4を伸長させた際、吸着部10-3の下端は、把持部10-5A、10-5Bの下端よりも下方に向けて突出している。これにより、吸着部10-3による物品の吸着を把持部10-5A、10-5Bが妨げることがなくなる。なお、伸縮機構10-4を伸長時には、伸縮機構10-4と把持部10-5A、10-5Bが接触することを防ぐために、図10(c)に示すように、把持部10-5A、10-5Bは、吸着部10-3の幅以上に開かれる。
図10で説明した実施例2におけるハンド1-32は、3つの把持制御モードを有する。一つは、吸着部10-3で物品を吸着した後、把持部10-5A、10-5Bで物品を挟み込み把持する第1の制御モードである。二つ目は、把持部10-5A、10-5Bで物品を挟み込み把持する(吸着部10-3は使わない)第2の制御モードである。三つ目は、吸着部10-3のみ物品を吸着する(把持部10-5A、10-5Bで挟み込まない)第3の制御モードである。本実施形態における重要部分である、吸着部10-3が物品に接触する前に、空圧シリンダの伸長方向のエアを減圧する制御は、上記第1と第3の制御モードに適用される。なお、本実施例でも、ハンド1-32は、実施例1と同様に、ハンド制御部2-27により制御される。
<実施例2における動作シーケンス>
次に、図11は、実施例2における動作シーケンスを示す図である。以下では、第1の制御モードを例にハンド1-32が物品に接触する直前の動作シーケンスを図11に示し、その内容を説明する。
次に、図11は、実施例2における動作シーケンスを示す図である。以下では、第1の制御モードを例にハンド1-32が物品に接触する直前の動作シーケンスを図11に示し、その内容を説明する。
まず、(1)で把持部10―5A、10―5Bを開く。その後、(2)で伸縮機構10-4の空圧シリンダの伸長方向に、図示しない負圧発生装置の圧力を供給し、吸着部10-3を押し出す。この際、空圧シリンダの短縮方向のエアは大気開放されている。続いて、(3)吸着部10-3が物品に接触する前に、空圧シリンダの伸長方向のエアを前述の推奨圧力に従って減圧(または物品によっては大気開放)される。
その後、(4)アーム1-31を制御して把持位置(吸着位置)に手先(吸着部10-3の先端)を移動させる。これにより吸着部10-3と物品1-51が接触する。この際、空圧シリンダの伸長方向のエアが減圧される(または大気開放している)。このため、吸着部10-3と物品1-51の接触力によって空圧シリンダが、接触力を逃がす方向に移動する。ここで、吸着部10-3と物品1-51接触力は、おおよそ空圧シリンダの荷重と、空圧シリンダの摩擦力と、伸長方向のエアの圧力(大気開放の場合はゼロ)により生じる力の和となる。すなわち、(3)で空圧シリンダの伸長方向のエアを減圧することで、吸着部10-3と物品1-51の接触力が過大に発生せず、物品を傷つけることを抑止して接触することが可能となる。
そして、接触した後に、図示しない負圧発生装置から負圧を吸着部4-1に供給し、物品1-51を吸着部4-3が吸着する。吸着したと判断された場合、(5)でアーム1-31を目標のプレイス位置に動かすと共に、空圧シリンダの短縮方向のエアを加圧し、手先を縮める。このアームを動かす動作と、手先を縮める動作はどちらが先でも、同時でもよい。次に、(6)で把持部10-5A、10-5Bを閉じて、物品1-51を把持する。把持部で把持することでワークを安定的に把持することができ、アームで高速に搬送することが可能となる。なお、図面を使用した説明は割愛するが、第3の制御モードにおいても空圧シリンダの伸長方向のエアを減圧する制御は適用可能であり、物品に対する傷を抑止しながら把持することが可能となる。
以上説明した実施例2におけるハンド1-32およびピッキングシステムでは、実施例1と同様に、図9(a)の透明な袋、図9(b)の透明な窓の付いた箱に対して、内容物を認識し把持位置がずれたとしても、把持することができる。これは、吸着部10-3が物品1-51に接触する前に、空圧シリンダの伸長方向のエアを減圧することで、吸着部10-3が物品1-51に与える接触力を低減することができる。この結果、物品1-51への傷を抑止して吸着動作を行うことができる。なお、伸縮機構10-4の先に把持部10-5A、10-5Bを設けてもよい。この場合、物品1-51に把持部10-5A、10-5Bに接触する前に空圧シリンダの伸長方向のエアを減圧することで、把持部10-5A、10-5Bが物品1-51に与える接触力を低減することができる。
また、図9(c)のように、袋の表面形状と中身の形状が異なる物品を吸着する場合においても、袋の表面形状と内容物の角度ずれを吸収し、物品を傷つける心配なく押し込みながら物品を吸着することができる。この結果、吸着の成功率を向上させることができる。さらに、図9(d)のように液体が入ったパウチを吸着する例においても、物品1-51ごとに、空圧シリンダの伸長方向のエアを調整することができる。このため、物品1-51への傷を抑止しつつ必要な接触力を発生し、安定的に吸着することができる。さらに、実施例2のハンド1-32では、上記に加えて把持部で把持することで物品1-51を安定的に把持することができ、アーム1-31で高速に搬送することが可能となる利点も有している。以上のように、本実施例では、物品1-51への把持を、各把持部で例示される把握機構で実現している。これで、実施例2の説明を終わる。
次に、実施例3について説明する。実施例3は、ハンド1-32が、実施例1や2と異なる。但し、これらは把握部を用いることは実施例2と共通する。
<実施例3におけるハンド機構>
まず、実施例3におけるハンド1-32を説明する。この際、実施例2によるハンド1-32について、実施例2と異なる点を主に説明する。
まず、実施例3におけるハンド1-32を説明する。この際、実施例2によるハンド1-32について、実施例2と異なる点を主に説明する。
図12は、実施例3におけるハンド1-32の斜視図である。実施形態3のハンド1-32は、図12に示すように、実施例2によるハンド1―32の吸着部10-3が1つではなく、袋物用吸着パッド12-13A、12-13B、重量物用吸着パッド12-14の3つ搭載した構成である。
図12に示すように、ハンド1-32の袋物用吸着パッド12-13A、12-13B、重量物用吸着パッド12-14は、指部12-63A、12-63Bの駆動方向(図12の矢印12-α1方向)と略垂直または略直角となるように、一列に配置されている。袋物用吸着パッド13A、13Bおよび重量物用吸着パッド14は、真空圧を用いて物品を吸着し、把持する。物品の種類に応じて二種類の吸着パッド12-13A、12-13B、12-14を独立に空圧制御することで、様々な物品を安定的に搬送することができる。例えば、袋物を吸着する場合は袋物用吸着パッド12-13A、12-13Bを使って吸着する。重量物を吸着する場合は重量物用吸着パッド14を使って吸着する。ただし、吸着パッドの使い方は上記に限定するものではなく、吸着する対象物の形状、重さ、材質などによって変更することが望ましい。
以上の実施例3におけるハンド1-32およびピッキングシステムは、実施例1と同様に、図9(a)の透明な袋、図9(b)の透明な窓の付いた箱がピッキングされる際、吸着パッド12-13A~Cが物品1-51に接触する前に空圧シリンダ内が減圧される。こうすることで、物品の表面ではなく内容物を認識し把持位置がずれたとしても、吸着部10-3が物品1-51に与える接触力を低減することができ、物品1-51への傷を抑止するように吸着動作を行うことができる。また、図9(c)のように、袋の表面形状と中身の形状が異なる物品を吸着する場合においても、袋の表面形状と内容物の角度ずれを吸収する。このため、物品への傷を抑止するように押し込みながら物品を吸着することができ、吸着の成功率を向上させることができる。また、図9(d)のように液体が入ったパウチを吸着する例においても、物品ごとに、空圧シリンダの伸長方向のエアを調整することができる。このため、物品の傷を抑止する範囲で必要な接触力を発生し、安定的に吸着することができる。さらに、実施例3のハンド1-32では、上記に加えて把持部で把持することで物品1-51を安定的に把持することができ、複数のアーム1-31で高速に搬送することが可能となる利点も有している。さらに、複数の吸着パッドを有するため、ピックアップ対象の種類によって複数の吸着パッドを組み合わせて吸着することで、袋物や重量物など多様な物品を吸着することが可能である。以上のように、本実施例では、物品1-51への把持を、各把持部で例示される吸着部および把握部鴎外で実現している。また、実施例1~3に示すように、ハンド1-32は様々な形態が想定される。つまり、ハンド1-32での把持を、吸着部および把握部の少なくとも1つを用いて実現できる。
次に、実施例4について説明する。実施例4は、ハンド1-32が、実施例1~3と異なる。本実施例のハンド1-32では、1つの物品1-51に対して、複数のハンド1-32を用いている。以下、その詳細を説明する。
<実施例4におけるハンド機構>
以下、実施例4におけるハンド1-32を、実施例1のハンド1-32との差分を中心に説明する。図13は、実施例4におけるハンド1-32の構成を示す図である。図13において、ハンド1-32は、アーム1-31に取り付けられる本体部13-2、物品を吸着する吸着パッド13-3A~D、伸縮機構13-4、角度調整部13-5およびリンク部13-6を有する。
以下、実施例4におけるハンド1-32を、実施例1のハンド1-32との差分を中心に説明する。図13は、実施例4におけるハンド1-32の構成を示す図である。図13において、ハンド1-32は、アーム1-31に取り付けられる本体部13-2、物品を吸着する吸着パッド13-3A~D、伸縮機構13-4、角度調整部13-5およびリンク部13-6を有する。
まず、伸縮機構13-4としては、空圧シリンダが適用される。そして、伸縮機構13-4は、本体部13―2から垂直方向に伸縮する。伸縮機構13-4の先端部には、角度調整部13-5が接続されており、角度調整部13-5に接続されているリンク部13-6の角度を調整することができる。図13に示すように、前記リンク部13-6はX字の様に構成されており、その先端に複数の吸着パッド13-3A~Dのそれぞれが設置されている。
そして、伸縮機構13-4を伸縮することで、前記複数の吸着部を伸縮できる。また、物品の種類に応じて複数の吸着パッド13-3A、13-3B、13-3C、13-3Dを独立に空圧制御することで、様々な物品を安定的に搬送することができる。
以上の実施例4におけるハンド1-32およびピッキングシステムは、図9(a)の透明な袋、図9(b)の透明な窓の付いた箱をピッキングする際、吸着パッド13-3A~Dが物品1-51に接触する前に空圧シリンダの伸長方向のエアを減圧する。このことは、実施例1と同様である。こうすることで、物品1-51の表面ではなく内容物を認識し把持位置がずれたとしても、吸着パッド13-3A~Dが物品1-51に与える接触力を低減することができる。このため、物品1-51への傷を抑止しつつ吸着動作を行うことができる。
また、図9(c)のように、袋の表面形状と中身の形状が異なる物品を吸着する場合においても、袋の表面形状と内容物の角度ずれを吸収し、物品への傷を抑止しつつ押し込みながら物品を吸着することができる。このため、吸着の成功率を向上させることができる。図9(d)のように液体が入ったパウチを吸着する例においても、物品ごとに、空圧シリンダの伸長方向のエアを調整することができる。このため、物品に対する傷を抑止する範囲で必要な接触力を発生し、安定的に吸着することができる。さらに、実施例4のハンド1-32では、上記に加えて吸着パッド間の距離がとれるため、モーメントバランスが安定するため、広い物品を安定的に搬送することが可能となる利点も有している。
次に、実施例5について説明する。実施例5は、ハンド1-32が、実施例1~4と異なる。特に、実施例4と似た構成であるが、複数の吸着部14-3A~Dが独立に伸縮する点で、実施例4と異なる。
<実施例5におけるハンド機構>
以下、実施例5におけるハンド1-32を、実施例4のハンド1-32との差分を中心に説明する。図14は、実施例5におけるハンドの構成を示す図である。図14のように、実施例5のハンド1-32は、本体部14-2、物品1-51を吸着する吸着部14-3A~D、伸縮機構14-4A~D、角度調整部14-5およびリンク部14-6を有する。ここで、本体部14-2は、アーム1-31に取り付けられる。また、伸縮機構14-4A~Dは、複数の吸着部14-3A~Dを独立に伸縮する。
以下、実施例5におけるハンド1-32を、実施例4のハンド1-32との差分を中心に説明する。図14は、実施例5におけるハンドの構成を示す図である。図14のように、実施例5のハンド1-32は、本体部14-2、物品1-51を吸着する吸着部14-3A~D、伸縮機構14-4A~D、角度調整部14-5およびリンク部14-6を有する。ここで、本体部14-2は、アーム1-31に取り付けられる。また、伸縮機構14-4A~Dは、複数の吸着部14-3A~Dを独立に伸縮する。
実施例のハンドとの違いは、伸縮機構14-4A、14-4B、14-4C、14-4Dをリンク部14-6の下に複数設けている点であり、独立に複数吸着パッドを伸縮できる点である。
実施例5のハンド1-32およびピッキングシステムは、実施例1と同様に、図9(a)袋や図9(b)の箱をピッキングする際、吸着部14-3A~Dが物品1-51に接触する前に、それぞれの空圧シリンダの伸長方向のエアを減圧する。そうすることで、物品の表面ではなく内容物を認識し把持位置がずれたとしても、吸着部14-3A~Dが物品1-51に与える接触力を低減することができる。このため、物品1-51への傷を抑止しつつ吸着動作を行うことができる。
また、図9(c)のように、袋の表面形状と中身の形状が異なる物品を吸着する場合においても、袋の表面形状と内容物の角度ずれを吸収し、物品を傷つける心配なく押し込みながら物品を吸着することができる。このため、吸着の成功率を向上させることができる。図9(d)のように液体が入ったパウチを吸着する例においても、物品ごとに、空圧シリンダの伸長方向のエアを調整することができる。このため、物品に対する傷を抑止する範囲で必要な接触力を発生し、安定的に吸着することができる。さらに、実施例5のハンド1-32では、上記に加えて複数の吸着パッドのストロークを独立に調整することができる。このため、表面形状が凸凹な物品に対してストロークを調整することができ、安定して吸着することが可能である。
次に、実施例6について説明する。実施例6は、実施例1~5とはピッキング作業の仕方、つまり、その動作が異なる。以下、その詳細を説明する。
<実施例6における動作例>
図15は、実施例6におけるピッキングシステムの動作例を説明するための図である。以下、図16を用いて、本実施例を、実施例1のハンド1-32およびピッキングシステムとの差分を中心に説明する。実施例6では、ピッキング対象物である物品1-51に透明な部分を含む例えば透明瓶を認識する場合を想定する。この場合、カメラ1-41で撮影するRGB画像は比較的良好に撮像できるが、点群画像は点群抜け等が発生してノイズが多い。このため、ワーク認識部2-24で物品の把持点の2次元位置(画像平面上における位置)は認識できるが、奥行方向の位置を検出することが非常に困難となる。
図15は、実施例6におけるピッキングシステムの動作例を説明するための図である。以下、図16を用いて、本実施例を、実施例1のハンド1-32およびピッキングシステムとの差分を中心に説明する。実施例6では、ピッキング対象物である物品1-51に透明な部分を含む例えば透明瓶を認識する場合を想定する。この場合、カメラ1-41で撮影するRGB画像は比較的良好に撮像できるが、点群画像は点群抜け等が発生してノイズが多い。このため、ワーク認識部2-24で物品の把持点の2次元位置(画像平面上における位置)は認識できるが、奥行方向の位置を検出することが非常に困難となる。
これは、カメラ1-41と画像平面上の対象物の把持点を結ぶベクトル上のどこかに実際の把持点があることを意味する。そこで、図15に示すように、上記ベクトルに沿って、真空圧を吸着パッドにかけ、ハンド制御部2-27が吸着するまで手先を物品方向に押し込む制御をする。
また、図15に示すような対象物の把持位置の2次元の把持位置しか認識できない(方向ベクトルしか分からない)場合においても、ハンド制御部2-27が、吸着部4-1が物品1-51に接触する前に空圧シリンダの伸長方向のエアを減圧する。このことで、吸着部10-3が物品1-51に与える接触力を低減することができる。すなわち、物品1-51への傷を抑止しつつ吸着動作を行うことができる。また、以上の各実施例によれば、空圧シリンダを減圧することで機構的に接触力が過大に生じないようにしており、機構を複雑にすることなく、確実に物品と手先との接触力を低減できる。
なお、上述した各実施形は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
さらに、上述した実施形態および各実施例において、本発明の主旨を変えない範囲内で、装置またはシステム構成の変更や、一部の処理手順の省略や入れ替えを行ってもよい。例えば、上述の実施形態および各実施例は、カメラ1-41での認識を行っているが、これを省略することもできる。この場合、コンベアで流れてくる場合のように、固定的に配置される物品1-51についてのピッキング作業に適用できる。
また、ピッキング処理を行うプログラム等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、光ディスク等の記録媒体に置くことができる。
1-10…統合制御装置 、1-20…ピッキング制御装置、1-30…ロボット、1-31…アーム、1-32…ハンド、1-300…ロボットアーム装置、1-41…カメラ、1-50…箱、1-51、52…物品、1-60…パレット、2-22…マスタ情報データベース、2-23…マスタ情報管理部、2-24…ワーク認識部、2-25…軌道計画部、2-26…ロボット制御部、2-27…ハンド制御部、3-20a…中央処理ユニット(CPU)、3-20b…ROM、3-20c…RAM、3-20d…不揮発性ストレージ、3-20e…ネットワークインタフェース、3-20f…入力部、3-20g…表示部、4-2…本体部、4-3…吸着部、4-4…伸縮機構、5-1…空気配管、5-2…位置センサ、5-3a…空圧シリンダを伸長方向に加圧する空気配管、5-3b…空圧シリンダを収縮方向に加圧するための空気配管、6-1…空圧センサ、10-2…本体部、10-3…吸着部、10-4…伸縮機構、10-5A、5B…把持部、10-6A、10-6D…第1リンク、10-6B…第3リンク、10-6E…第3リンク、10-6C、6F…第2リンク、10-7…把持駆動部、10-8A…主駆動力伝達部、10-8B、8C…駆動力伝達部、10-9A、9B、9C、9D、9E、9F、9G、9H…リンク節、10-10A、10B…ベース、10-10a…第1面部、10-10b…第2面部、10-11A、11B…把持接触部、10-11C…突起、10-20A、20B…駆動力伝達機構、11-1…吸着部に真空圧を供給する空気配管, 11-1a…空圧シリンダを伸長方向に加圧する空気配管, 11-1b…空圧シリンダを収縮方向に加圧するための空気配管、12-13A、13B…袋物用吸着パッド、12-14…重量物用吸着パッド、12-62…指起動部(指駆動部)、12-63A、63B…指部、12-63A1、63B1…指歯車部(指駆動部)、12-63A2、63A3、63A4、63B2、63B3、63B4…指リンク部(指駆動部)、12-64…吸着伸縮部、13-2…本体部、13-3A、B,C、D…吸着部、13-4…伸縮機構、13-5…角度調整部、13-6…リンク部、14-2…本体部、14-3A、B、C、D…吸着部、14-4A、B、C、D…伸縮機構、14-5…角度調整部、14-6…リンク部
Claims (8)
- ピッキング対象である物品に対して、ピッキング作業を実行するロボットアーム装置において、
前記物品を把持し、空圧シリンダを有するハンドと、
前記ハンドと接続するアームを有し、前記ハンドを前記物品の把持位置へ移動させるロボットを有し、
前記空圧シリンダ内の圧力を調整することにより、当該ハンドおよび前記ピッキング作業の実行を制御するロボットアーム装置。 - 請求項1に記載のロボットアーム装置において、
前記空圧シリンダは、前記物品に接触する前に、当該空圧シリンダの伸長方向について加圧状態から減圧するロボットアーム装置。 - 請求項2に記載のロボットアーム装置において、
前記ハンドは、前記物品を吸着して把持する吸着部を有するロボットアーム装置。 - 請求項3に記載のロボットアーム装置において、
前記ハンドは、複数の前記吸着部を有するロボットアーム装置。 - 請求項3に記載のロボットアーム装置において、
前記物品が吸着部に吸着された場合、前記空圧シリンダの短縮方向について加圧するロボットアーム装置。 - 請求項2に記載のロボットアーム装置において、
前記ハンドは、前記物品を把握して把持する把握部を有するロボットアーム装置。 - 請求項1に記載のロボットアーム装置において、
前記ロボットは、カメラで撮影された撮影画像に基づいて算出された前記把持位置に移動するロボットアーム装置。 - 請求項1乃至7の何れかに記載のロボットアーム装置と、
前記ロボットアーム装置に、制御を行うための情報を出力するピッキング制御装置を有するピッキングシステム。
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