JP7262699B1 - 放熱グリース - Google Patents

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Abstract

本発明の放熱グリースは、窒化ホウ素粒子を含み、25℃の測定及び1s-1のせん断速度で測定したときの粘度が3000Pa・s以下である。本発明によれば、比重が低く粘度が低い放熱グリースを提供することができる。

Description

本発明は、放熱グリースに関する。
近年、電気自動車などの電動車両の普及が進んでいる。電動車両の車載電源システムに用いられるような回路基板では、一般的に電圧・電流が大きくなるため、発熱量が大きくなる。発熱量が増加すると、回路の不具合や故障の原因となる。また、電動車両の電動モーターに電力供給を行う電池パックは、充放電を繰り返すことで発熱する。高温のまま使用を続けると、電池パックの性能や寿命が低下する原因となる。
また、このような発熱に関する問題は、電動車両に限られず、電子機器においても生じている。高性能化及び小型化が進む電子機器内部の発熱密度は年々増加しており、使用時に発生する熱を如何に効率的に放熱するかが課題となっている。
発熱部に応じて冷却機構の細部は異なるものの、基本的には、発熱部と冷却部材を接触させて、除熱する方法がとられる。この際、発熱部材と冷却部材との間に隙間があると除熱効率が低下するため、一般的には、放熱部材を介して発熱部と冷却部材を間接的に接触させて、除熱をおこなう。
このような放熱部材として、例えば、放熱グリースが挙げられる。放熱グリースは、熱伝導性フィラーと液状ポリマーとを混練してペースト状にしたものである。放熱グリースは実装部材の表面への濡れ性が良好であり、ミクロな凹凸への追従性が良好であるため、接触熱抵抗を小さくすることができる。また、放熱グリースは流動性があるので、圧力をかけて押し潰すと、グリース層を薄くできるので、グリース層の熱抵抗も小さくすることができる。したがって、放熱グリースは、放熱部材のなかでも熱伝導性能が高い。
熱伝導性フィラーとして窒化ホウ素粒子を使用した放熱グリースが従来技術として知られている(例えば、特許文献1参照)。窒化ホウ素粒子の熱伝導率は高いので、熱伝導性フィラーとして窒化ホウ素粒子を使用すると、放熱グリースの熱伝導性能をさらに高くすることができる。
特開2002-194379号公報
しかしながら、熱伝導性フィラーとして窒化ホウ素粒子を使用すると、放熱グリースの粘度を低減することが難しくなり、その結果、放熱グリースの塗布性が悪くなる。また、窒化ホウ素粒子以外の熱伝導性フィラーは、通常、窒化ホウ素粒子よりも密度が高いため、塗布性の観点から熱伝導性フィラーとして窒化ホウ素粒子以外の熱伝導性フィラーを使用すると、放熱グリースの比重が高くなる。その結果、その放熱グリースを使用した電子機器は重くなる。また、車両には放熱グリースが多量に使用されるため、そのような放熱グリースを使用すると、車両が重くなり、車両の燃費が悪くなる。
そこで、本発明は、比重が低く粘度が低い放熱グリースを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、界面活性剤によって表面処理した窒化ホウ素粒子を熱伝導性フィラーとして用いることにより、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]窒化ホウ素粒子を含み、25℃の測定及び1s-1のせん断速度で測定したときの粘度が3000Pa・s以下である放熱グリース。
[2]界面活性剤を含む上記[1]に記載の放熱グリース。
[3]前記界面活性剤がアニオン性基及びカチオン性基を有する上記[2]に記載の放熱グリース。
[4]前記窒化ホウ素粒子の含有量が20体積%以上である上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の放熱グリース。
[5]前記窒化ホウ素粒子が六方晶窒化ホウ素の一次粒子が凝集した塊状窒化ホウ素粒子を含む上記[1]~[4]のいずれか1つに記載の放熱グリース。
[6]前記窒化ホウ素粒子が、凝集していない六方晶窒化ホウ素の一次粒子を含む上記[1]~[5]のいずれか1つに記載の放熱グリース。
本発明によれば、比重が低く粘度が低い放熱グリースを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。なお、本発明の(メタ)アクリル系単量体単位とは、メタクリル酸系単量体単位およびアクリル系単量体単位の双方を意味する。
[放熱グリース]
本実施形態の放熱グリースは、窒化ホウ素粒子を含み、25℃の測定及び1s-1のせん断速度で測定したときの粘度が3000Pa・s以下である。
(熱伝導性フィラー)
本実施形態の放熱グリースに使用する熱伝導性フィラーは窒化ホウ素粒子を含む。本実施形態の放熱グリースに使用する熱伝導性フィラーが窒化ホウ素粒子を含まないと、放熱グリースにおいて低い比重及び高い熱伝導率の両立が難しい。このような観点から、本実施形態の放熱グリース中の窒化ホウ素粒子の含有量は、好ましくは20体積%以上であり、より好ましくは25体積%以上であり、さらに好ましくは35体積%以上である。また、放熱グリースの塗布性の観点から、本実施形態の放熱グリース中の窒化ホウ素粒子の含有量は、好ましくは70体積%以下であり、より好ましくは60体積%以下である。
本実施形態の放熱グリース中の窒化ホウ素粒子は、六方晶窒化ホウ素の一次粒子が凝集した塊状窒化ホウ素粒子を含んでもよい。これにより、放熱グリースの塗布性を改善することができる。また、本実施形態の放熱グリース中の窒化ホウ素粒子は、凝集していない六方晶窒化ホウ素の一次粒子をさらに含んでもよい。これにより、放熱グリースに窒化ホウ素粒子をさらに高充填で含有させることができる。また、本実施形態の放熱グリース中の窒化ホウ素粒子は、凝集していない六方晶窒化ホウ素の一次粒子のみであってもよい。これにより、放熱グリースの最小膜厚をさらに低減することができる。
本実施形態の放熱グリースに使用する熱伝導性フィラーは、窒化ホウ素粒子以外の熱伝導性フィラーを含んでもよい。窒化ホウ素粒子以外の熱伝導性フィラーとしては、例えば、窒化アルミニウム粒子、酸化アルミニウム粒子、窒化ケイ素粒子、酸化ケイ素粒子、酸化マグネシウム粒子、金属アルミニウム粒子、及び酸化亜鉛粒子等から選択される1種以上の粒子が挙げられる。
放熱グリースにおける低い比重及び高い熱伝導率の両立の観点から熱伝導性フィラー中の窒化ホウ素粒子の含有量は、好ましくは40~100体積%であり、より好ましくは55~100体積%である。
熱伝導性フィラーの平均粒子径は、0.4~120μmであることが好ましく、5~80μmであることがより好ましい。熱伝導性フィラーの平均粒子径を0.4μm以上とすることで、熱伝導性および耐ポンピングアウト性が良好となる。また、120μm以下とすることで、熱伝導性フィラーを充填した放熱グリースの塗布性が良好となる。
また、熱伝導性フィラーは、複数の平均粒子径を有する熱伝導性フィラーの混合物であってもよい。単一の平均粒子径を有する熱伝導性フィラーのみを含有する場合に比べて、これよりも小さい平均粒子径を有する熱伝導性フィラーを併用することにより、大径の熱伝導性フィラーの間隙を小径の熱伝導性フィラーにより埋めることができる。そのため、複数の平均粒子径を有する熱伝導性フィラーを混合して用いることにより、放熱グリースに対して熱伝導性フィラーをより高充填することが可能となる。通常は、このように熱伝導性フィラーを高充填させた場合、粘度が著しく向上し、塗布性が悪くなったり、熱伝導性フィラーが均一分散しなくなったりという問題が生じうる。これに対して、界面活性剤を添加することにより、このような高充填に伴う問題を抑制することができる。そして、これにより、熱伝導性フィラーの充填量に応じて向上する熱伝導性をさらに向上させることが可能となる。
熱伝導性フィラーの含有量は、熱伝導性フィラー及び後述の液状ポリマーの合計100体積部に対して、25~75体積部であることが好ましく、30~70体積部であることがより好ましく、35~65体積部であることがさらに好ましい。熱伝導性フィラーの含有量が25体積部以上であることにより、熱伝導性がより向上する傾向にある。また、熱伝導性フィラーの含有量が75体積部以下であることにより、放熱グリース中の熱伝導性フィラーの分散性が良好となる。
(液状ポリマー)
本実施形態の放熱グリースに使用する液状ポリマーとしては、特に制限されないが、例えば、ポリオレフィン、アルキル芳香族、脂環式化合物などの炭化水素油、ポリグリコール、フェニルエーテルなどのポリエーテル類、ジエステル、ポリオールエステルなどのエステル類、芳香族リン酸エステルなどのリン化合物、シリコーンオイルなどのケイ素化合物、フッ素化ポリエーテルなどのハロゲン化合物、鉱物油、フロロシリコーン、アクリル樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。これらの液状ポリマーの中で、耐熱性、耐候性、電気絶縁性及び化学的安定性の観点からシリコーンオイルが好ましい。
(粘度)
本実施形態の放熱グリースにおける25℃の測定及び1s-1のせん断速度で測定したときの粘度は3000Pa・s以下である。25℃の測定及び1s-1のせん断速度で測定したときの粘度は3000Pa・sよりも大きいと、放熱グリースの塗布性が悪くなる場合がある。このような観点から、本実施形態の放熱グリースにおける25℃の測定及び1s-1のせん断速度で測定したときの粘度は、好ましくは2000Pa・s以下であり、より好ましくは1500Pa・s以下である。放熱グリースのポンピングアウト現象を抑制する観点から、本実施形態の放熱グリースにおける25℃の測定及び1s-1のせん断速度で測定したときの粘度は、好ましくは50Pa・s以上であり、より好ましくは200Pa・s以上である。放熱グリースの粘度は後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
(比重)
本実施形態の放熱グリース比重は、好ましくは2.0以下である。放熱グリース比重が2.0以下であると、放熱グリースを使用した電子機器を軽くすることができる。特に車両用の電子機器では、放熱グリースを多く使用するので、その効果は大きくなる。このような観点から、本実施形態の放熱グリース比重は、より好ましくは2.0以下であり、さらに好ましくは1.8以下である。本実施形態の放熱グリースの比重の範囲の下限値は、特に限定されないが、通常1.3以上である。放熱グリースの比重は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
(熱伝導率)
本実施形態の放熱グリースの熱伝導率は、好ましくは1.0W/m・K以上である。放熱グリースの熱伝導率が1.0W/m・K以上であると、発熱部と冷却部材との間の熱伝導性をさらに改善することができる。このような観点から、本実施形態の放熱グリースの熱伝導率は、より好ましくは1.5W/m・K以上であり、さらに好ましくは2.0W/m・K以上である。本実施形態の放熱グリースの熱伝導率の範囲の上限値は、特に限定されないが、通常、8W/m・K以下である。放熱グリースの熱伝導率は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
(体積抵抗率)
本実施形態の放熱グリースの体積抵抗率は、好ましくは1×1013Ω・cm以上である。放熱グリースの体積抵抗率が1×1013Ω・cm以上であると、発熱部と冷却部材との間の絶縁性をさらに改善することができる。このような観点から、本実施形態の放熱グリースの体積抵抗率は、より好ましくは5×1013Ω・cmΩ以上であり、さらに好ましくは1×1014Ω・cm以上である。本実施形態の放熱グリースの体積抵抗率の範囲の上限値は、特に限定されないが、通常、1×1016Ω・cm以下である。放熱グリースの体積抵抗率は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
(最小膜厚)
本実施形態の放熱グリースの膜厚は、好ましくは120μm以下である。放熱グリースの最小膜厚が120μm以下であると、放熱グリースにより発熱部と冷却部材との間に形成された放熱グリース層の熱抵抗をさらに低減することができる。このような観点から、本実施形態の放熱グリースの最小膜厚は、より好ましくは100μm以下であり、さらに好ましくは75μm以下である。本実施形態の放熱グリースの最小膜厚の範囲の下限値は、特に限定されないが、通常、2μm以上である。放熱グリースの最小膜厚は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
(界面活性剤)
本実施形態の放熱グリースは界面活性剤を含むことが好ましい。放熱グリースが界面活性剤を含むことにより、放熱グリースの粘度をより大きく低減することができる。なお、界面活性剤とは、液状ポリマー中に熱伝導性フィラーを均一に分散させることを目的として用いるものである。界面活性剤は、窒化ホウ素粒子を含む放熱グリースの粘度を低減できるものであれば特に限定されないが、アニオン性基及びカチオン性基を有する界面活性剤が好ましく、後述の共重合体を含む界面活性剤がより好ましい。また、界面活性剤は、必要に応じて、溶剤やその他任意の添加剤をさらに含んでいてもよい。
界面活性剤により、放熱グリースにおいて、熱伝導性フィラーの凝集や沈降を防止し、安定性を向上させることができるほか、液状ポリマーに対して熱伝導性フィラーを高充填で含有させることを可能にしたり、放熱グリースの粘度を低下させたりすることができる。また、そのほかに、熱伝導性フィラーの分散性の向上にともなう種々の効果を向上させることができる。
界面活性剤は、静電反発力によって熱伝導性フィラーを分散させ、熱伝導性フィラー同士の再凝集を防ぐことができる。また、界面活性剤は、立体障害反発力による分散性向上効果をさらに有することが好ましい。
(共重合体)
界面活性剤に用いる共重合体は、アニオン性基を有する(メタ)アクリル系単量体単位Aと、カチオン性基を有する(メタ)アクリル系単量体単位Bと、上記(メタ)アクリル系単量体単位A及び上記(メタ)アクリル系単量体単位B以外の(メタ)アクリル系単量体単位Cとを有し、(メタ)アクリル系単量体単位Cの重量平均分子量が2,000~9,000であることが好ましい。共重合体は、上記構成を有することにより、放熱グリースの粘度を著しく低減することができる。その理由は、以下のように考えられる。
液状ポリマーに分散した熱伝導性フィラーの表面のように2つの異なる物質が接する界面には所定の電位差が生じ、対イオンを引き寄せ、固定相と拡散二重層からなる電気二重層が形成される。熱伝導性フィラーの表面における対イオンの広がりを電気二重層の厚さともいう。熱伝導性フィラー同士が接近すると対イオンが重なり、静電反発力が増加する。共重合体は、分子中にアニオン性基とカチオン性基の両性を有することにより、この電気二重層の厚さを増加させる作用を有するものと考えられる。より具体的には、共重合体のアニオン性基とカチオン性基の一方が対イオンとして熱伝導性フィラーの表面近傍に配置される。そして、対イオンとして機能しない他方の基(副イオン)は熱伝導性フィラーの表面よりもより遠方に配置され、そこで副イオン層をさらに形成し得る。このようにして熱伝導性フィラー表面の電気二重層の厚みが増加することにより、van der Waals力が作用する熱伝導性フィラーの表面よりもより遠方で、静電反発力を作用させることができ、熱伝導性フィラーの分散性を良好にできると考えられる。その結果、液状ポリマー及び熱伝導性フィラーを含む放熱グリースの粘度は、共重合体により著しく低減するものと考えられる。
なお、本明細書において、「単量体」とは、重合前の重合性不飽和結合を有するモノマーをいい、「単量体単位」とは、重合後に共重合体の一部を構成する繰り返し単位であって、所定の単量体に由来する単位をいう。また、以下において、「(メタ)アクリル系単量体単位A」を、単に「単位A」ともいい、「(メタ)アクリル系単量体単位B」を、単に「単位B」ともいい、「(メタ)アクリル系単量体単位C」を、単に「単位C」ともいう。
<アニオン性基を有する(メタ)アクリル系単量体単位A>
(メタ)アクリル系単量体単位Aは、アニオン性基を有する繰り返し単位である。アニオン性基としては、特に制限されないが、例えば、カルボキシ基、リン酸基、フェノール性ヒドロキシ基、スルホン酸基が挙げられる。このなかでも、カルボキシ基、リン酸基、及びフェノール性ヒドロキシ基からなる群より選ばれる一種以上であることが好ましく、カルボキシ基であることがより好ましい。このような基を有することにより、熱伝導性フィラーの分散性がより向上する傾向にある。その結果、本実施形態の放熱グリースの粘度を十分に低減することができる。
また、単位Aは、アニオン性基に結合した電子吸引性基をさらに有することが好ましい。このような電子吸引性基としては、アニオン性基のアニオンを安定化させる作用を有するものであれば特に限定されない。例えば、カルボキシ基のα位の炭素原子にハロゲン元素等の電子吸引性の置換基を含むアクリル系単量体を用いてもよい。このような基を有することにより、熱伝導性フィラーの分散性がより向上する傾向にある。その結果、本実施形態の放熱グリースの粘度を十分に低減することができる。
単位Aは、アニオン性基に結合した電子供与性基を有しないあるいは、電子供与性の低い基を有することが好ましい。このような電子供与性基としては、アニオン性基のアニオンを不安定化させる作用を有するものであれば特に限定されない。例えば、カルボキシ基のα位の炭素原子にメチル基等の電子供与性基の置換基を含まないアクリル系単量体を用いてもよい。このような構造とすることにより、熱伝導性フィラーの分散性がより向上する傾向にある。その結果、共重合体は、本実施形態の放熱グリースの粘度を十分に低減することができる。
このような(メタ)アクリル系単量体としては、特に制限されないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アシッドフォスフォキシプロピルメタクリレート、アシッドフォスフォキシポリオキシエチレングリコールモノメタクリレート、アシッドフォスフォキシポリオキシプロピレングリコールモノメタクリレート、リン酸変性エポキシアクリレート、2-アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2-メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、4-ヒドロキシフェニルアクリレート、4-ヒドロキシフェニルメクリレート、2-メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。このなかでも、アクリル酸、2-メタクリロイルオキシエチルホスフェート、4-ヒドロキシフェニルメクリレート、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸が好ましく、アクリル酸がより好ましい。このような単量体に由来する単位を含むことにより、熱伝導性フィラーに対する共重合体の親和性がより向上し、熱伝導性フィラーの分散性がより向上する傾向にある。その結果、共重合体は、本実施形態の放熱グリースの粘度を十分に低減することができる。単位Aは、一種単独で用いても、二種以上を併用してもよい。
(カチオン性基を有する(メタ)アクリル系単量体単位B)
(メタ)アクリル系単量体単位Bは、カチオン性基を有する繰り返し単位である。カチオン性基としては、特に制限されないが、例えば、カチオン性基が、第一級アミノ基、第二級アミノ基、第三級アミノ基、及び第四級アンモニウム塩からなる群より選ばれる一種以上であることが好ましい。このなかでも、第三級アミノ基がより好ましい。このような基を有することにより、熱伝導性フィラーの分散性がより向上する傾向にある。その結果、共重合体は、本実施形態の放熱グリースの粘度を十分に低減することができる。
また、単位Bは、カチオン性基に結合した電子供与性基をさらに有することが好ましい。このような電子供与性基としては、カチオン性基のカチオンを安定化させる作用を有するものであれば特に限定されない。例えば、アミノ基のα位の炭素原子にメチル基等の電子供与性の置換基を含むアクリル系単量体を用いてもよい。このような基を有することにより、熱伝導性フィラーの分散性がより向上する傾向にある。その結果、共重合体は、本実施形態の放熱グリースの粘度を十分に低減することができる。
単位Bは、カチオン性基に結合した電子吸引性基を有しないあるいは、電子吸引性の低い基を有することが好ましい。このような電子吸引性基としては、カチオン性基のカチオンを不安定化させる作用を有するものであれば特に限定されない。例えば、アミノ基のα位の炭素原子にカルボキシル基等の電子吸引性基の置換基を含まないアクリル系単量体を用いてもよい。このような構造とすることにより、熱伝導性フィラーの分散性がより向上する傾向にある。その結果、共重合体は、本実施形態の放熱グリースの粘度を十分に低減することができる。
このような(メタ)アクリル系単量体としては、特に制限されないが、例えば、1-アミノエチルアクリレート、1-アミノプロピルアクリレート、1-アミノエチルメタクリレート、1-アミノプロピルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、t-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート四級塩、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルメタクリレート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレートベンジルクロライド4級塩等が挙げられる。これらのなかでも、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルメタクリレート及び2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルメタクリレートが好ましく、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルメタクリレートがより好ましい。このような単量体に由来する単位を含むことにより、熱伝導性フィラーに対する共重合体の親和性がより向上し、熱伝導性フィラーの分散性がより向上する傾向にある。その結果、共重合体は、本実施形態の放熱グリースの粘度を十分に低減することができる。単位Bは、一種単独で用いても、二種以上を併用してもよい。
((メタ)アクリル系単量体単位C)
(メタ)アクリル系単量体単位Cは、単位A及び単位B以外の(メタ)アクリル系単量体単位であり、分子中にカチオン性基およびアニオン性基を含まない(メタ)アクリル系単量体である。
共重合体を放熱グリースに混合することを想定した場合、(メタ)アクリル系単量体Cは、その放熱グリースに用いられる液状ポリマーとの親和性又は相溶性の高い骨格を有することが好ましい。このような骨格としては、特に制限されないが、例えば、オキシアルキレン骨格等の両親媒性骨格、ジメチルシロキサンなどのシロキサン骨格、アルキルやアリール等の炭化水素骨格等の疎水性骨格、又はリン酸ジエステル骨格等の親水性骨格が挙げられる。このなかでも、オキシアルキレン骨格、シロキサン骨格、炭化水素骨格が好ましく、シロキサン骨格及び炭化水素骨格がより好ましく、シロキサン骨格がさらに好ましい。このような骨格を有することにより、共重合体と液状ポリマーとの間の相溶性がより向上し、放熱グリースにおける熱伝導性フィラーの分散性がより向上する傾向にある。その結果、共重合体は、本実施形態の放熱グリースの粘度を十分に低減することができる。
このような(メタ)アクリル系単量体としては、特に制限されないが、例えば、エトキシカルボニルメチル(メタ)アクリレート、フェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、フェノール(エチレンオキサイド2モル変性)(メタ)アクリレート、フェノール(エチレンオキサイド4モル変性)(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(エチレンオキサイド4モル変性)(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(エチレンオキサイド8モル変性)(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(プロピレンオキサイド2.5モル変性)アクリレート、2-エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性フタル酸(メタ)アクリレ-ト、エチレンオキシド変性コハク酸(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、等のオキシアルキレン骨格を有する(メタ)アクリル系単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロデカトリエン(メタ)アクリレート等のエステル部が炭化水素骨格を有する(メタ)アクリル系単量体;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体;N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、又はアクリロイルモルホリン等のアミド結合を有する(メタ)アクリル系単量体;α-ブチル-ω-(3-メタクリロキシプロピル)ポリジメチルシロキサン等のシロキサン骨格を有する(メタ)アクリル系単量体;(メタ)アクリロイルオキエチルジアルキルホスフェート等のリン酸ジエステル骨格を有する(メタ)アクリル系単量体;1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、2-エチル-2-ブチル-プロパンジオール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリストールジ(メタ)アクリレート、2-(1,2-シクロヘキサカルボキシイミド)エチル(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノール構造を有する多官能(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリル系単量体等が挙げられる。単位Cは、一種単独で用いても、二種以上を併用してもよい。これらのなかで、α-ブチル-ω-(3-メタクリロキシプロピル)ポリジメチルシロキサン等のシロキサン骨格を有する(メタ)アクリル系単量体が好ましい。
(メタ)アクリル系単量体Cの重量平均分子量は、好ましくは2,000~9,000である。(メタ)アクリル系単量体Cの重量平均分子量が2,000以上であると、液状ポリマーに対する共重合体の親和性が良好となり、熱伝導性フィラーの分散性がさらに改善される。その結果、本実施形態の放熱グリースの粘度を十分に低減することができる。また、(メタ)アクリル系単量体Cの重量平均分子量が9,000以下であると、共重合体を液状ポリマーに容易に熔解させることができる。このような観点から、(メタ)アクリル系単量体Cの重量平均分子量は、より好ましくは2500~7000であり、さらに好ましくは3000~6000であり、よりさらに好ましくは3500~5500である。なお、(メタ)アクリル系単量体Cの重量平均分子量は、(メタ)アクリル系単量体単位Cの重量平均分子量である。
単位Aの含有量は、単位A、単位B、及び単位Cの合計100モル%に対して、30~80モル%であることが好ましく、40~65モル%であることがより好ましい。単位Aの含有量が30モル%以上であることにより、液状ポリマーに対する共重合体の親和性がより向上し、熱伝導性フィラーの分散性がより向上する傾向にある。その結果、共重合体は、本実施形態の放熱グリースの粘度を十分に低減することができる。また、単位Aの含有量が80モル%以下であることにより、十分な含有量で単位B及び単位Cを共重合体に含有させることができる。
単位Bの含有量は、単位A、単位B、及び単位Cの合計100モル%に対して、0.1~5モル%であることが好ましく、0.5~3モル%であることがより好ましい。単位Bの含有量を0.1モル%以上とすることで熱伝導性フィラーに対する共重合体の親和性が良好となる。また、5モル%以下とすることで、十分な含有量で単位A及び単位Cを共重合体に含有させることができる。
単位A及び単位Bの総含有量は、単位A、単位B、及び単位Cの合計100モル%に対して、30.1~85モル%であることが好ましく、35~75モル%であることがより好ましい。単位A及び単位Bの総含有量が30.1モル%以上であることにより、液状ポリマーに対する共重合体の親和性がより向上し、熱伝導性フィラーの分散性がより向上する傾向にある。また、単位A及び単位Bの総含有量が85モル%以下であることにより、十分な含有量で単位Cを共重合体に含有させることができる。
単位Bに対する単位Aのモル比は、6~800であることが好ましく、20~400であることがより好ましい。単位Bに対する単位Aのモル比が上記範囲内であることにより、液状ポリマーに対する共重合体の親和性がより向上し、熱伝導性フィラーの分散性がより向上する傾向にある。
単位Cの含有量は、単位A、単位B、及び単位Cの合計100モル%に対して、20~70モル%であることが好ましく、30~55モル%であることがより好ましい。単位Cの含有量を20モル%以上とすることで、共重合体の粘性に由来するハンドリング性が良好となる。また、70モル%以下とすることで、十分な含有量で単位A及び単位Bを共重合体に含有させることができる。
共重合体の重量平均分子量は、40,000~80,000であることが好ましく、50,000~70,000であることがより好ましい。共重合体の重量平均分子量が40,000以上であることにより、共重合体による立体障害反発力により熱伝導性フィラーはより凝集しにくくなり、放熱グリース中の熱伝導性フィラーの分散性はさらに改善される。また、共重合体の重量平均分子量が80,000以下であることにより、共重合体を液状ポリマーに溶解させることがより容易になる。重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミネーションクロマトグラフィー)により求めることができる。
共重合体は、次の一般式(1)で表される共重合体であることが好ましい。一般式(1)で表される共重合体はランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。なお、次の一般式(1)で表される共重合体の単位Aはアクリル酸に由来し、アニオン性基はカルボキシ基である。また、次の一般式(1)で表される共重合体の単位Bは1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルメタクリレートに由来し、カチオン性基は第三級アミノ基である。さらに、次の一般式(1)で表される共重合体の単位Cはα-ブチル-ω-(3-メタクリロキシプロピル)ポリジメチルシロキサンに由来し、シロキサン骨格を有する。
Figure 0007262699000001

式中、sは、共重合体の重量平均分子量が40,000~80,000である場合、単位Aの含有量が単位A、単位B、及び単位Cの合計100モル%に対して30~80モル%となるような整数であり、tは、共重合体の重量平均分子量が40,000~80,000である場合、単位Cの含有量が単位A、単位B、及び単位Cの合計100モル%に対して20~70モル%となるような整数であり、uは、共重合体の重量平均分子量が40,000~80,000である場合、単位Bの含有量が単位A、単位B、及び単位Cの合計100モル%に対して0.1~5.0モル%となるような整数である。また、vは、単位Cの重量平均分子量が2,000~9,000となるような整数である。
(共重合体の製造方法)
上記共重合体の製造方法は、特に制限されず、(メタ)アクリル系単量体の公知の重合方法を用いることができる。重合方法としては、ラジカル重合、アニオン重合などが挙げられる。この中でも、ラジカル重合が好ましい。
ラジカル重合に用いる熱重合開始剤としては、特に制限されないが、例えば、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物;過酸化ベンゾイル、tert-ブチルヒドロペルオキシドやジ-tert-ブチルペルオキシドなどの有機過酸化物などが挙げられる。また、ラジカル重合に用いる光重合開始剤としては、特に制限されないが、ベンゾイン誘導体が挙げられる。また、そのほかATRPやRAFTなどのリビングラジカル重合に用いる公知の重合開始剤を用いることもできる。
重合条件は、特に制限されず、用いる開始剤や溶剤の沸点、そのほか単量体の種類により適宜調整することができる。
単量体の添加順序は、特に制限されないが、例えば、ランダム共重合体を合成する観点から単量体を混合して重合を開始してもよいし、ブロック共重合体を合成する観点から単量体を重合系に順次添加してもよい。
本実施形態の放熱グリースは、遊星攪拌機、万能混合攪拌機、ニーダー、ハイブリッドミキサー等で混練りすることによって製造することができる。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
<共重合体調製用単量体>
実施例の共重合体の重合には以下の原料を用いた。
(アニオン性基を有する(メタ)アクリル系単量体A)
(A-1)アクリル酸、東亞合成株式会社製
(カチオン性基を有する(メタ)アクリル系単量体B)
(B-1)1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルメタクリレート、ADEKA株式会社製「アデカスタブLA-82」
((メタ)アクリル系単量体C)
(C-1)α-ブチル-ω-(3-メタクリロキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、JNC株式会社製「サイラプレーンFM-0721」重量平均分子量5,000
共重合体の調製は次の方法で行った。まず、撹拌機付のオートクレーブ内にアクリル酸:48.4モル%、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルメタクリレート:1.6モル%、α-ブチル-ω-(3-メタクリロキシプロピル)ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量5,000):50.0モル%からなる(メタ)アクリル系単量体100質量部を添加した。次いで、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(東京化成工業株式会社製)を、(メタ)アクリル系単量体の総和100質量部に対して0.05質量部、溶媒としてトルエン(試薬特級)、および2-プロパノール(試薬特級)の体積比=7:3の混合溶液を1000質量部加え、オートクレーブ内を窒素により置換した。その後、オートクレーブをオイルバス中で65℃にて20時間加熱し、ラジカル重合を行った。重合終了後、減圧下に120℃で1時間脱気し、共重合体を得た。なお、α-ブチル-ω-(3-メタクリロキシプロピル)ポリジメチルシロキサンの重量平均分子量は5,000であったので、単位Cの重量平均分子量は5,000となる。
単量体の仕込み量100%に対する重合率は、ガスクロマトグラフィ分析により分析したところ、98%以上であった。このことから、共重合体が有する各単量体単位の比率は、単量体の仕込み比と同程度と推定された。
また、得られた共重合体の重量平均分子量を、GPC(ゲルパーミネーションクロマトグラフィー)法を用いて、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量として求めた。なお、測定条件は以下のとおりである。
高速GPC装置:東ソー株式会社製「HLC-8020」
カラム :東ソー株式会社製「TSK guardcolumn MP(×L)」6.0mmID×4.0cm1本、及び東ソー株式会社製「TSK-GELMULTIPOREHXL-M」7.8mmID×30.0cm(理論段数16,000段)2本、計3本(全体として理論段数32,000段)
展開溶媒 :テトラヒドロフラン
ディテクター :RI(示差屈折率計)
なお、表1に記した単量体の組成はモル比(%)で記した。モル比は各単量体の添加量と分子量より算出した。また、α-ブチル-ω-(3-メタクリロキシプロピル)ポリジメチルシロキサンのモル比は、重量平均分子量を基に算出した。
上記のように合成した共重合体の組成及び重量平均分子量を下記表1に示す。
<放熱グリース調製用原料>
(液状ポリマー)
・シリコーンオイル:Momentive社製「TSE3033(A)」
(熱伝導性フィラー)
・塊状窒化ホウ素粒子、デンカ株式会社製、「FP40」、平均粒子径40μm
・凝集窒化ホウ素粒子、デンカ株式会社製、「SGPS」、平均粒子径20μm
・鱗片状窒化ホウ素一次粒子、デンカ株式会社製、「HGP」、平均粒子径5μm
・アルミナ:デンカ株式会社社製「DAW01」、平均粒子径1μm
・水酸化アルミニウム:日本軽金属株式会社製「B303STE」、平均粒子径17μm
・金属アルミニウム:東洋アルミニウム株式会社製「TFH-A20P」、平均粒子径20μm
・シリカ:デンカ株式会社製「FB-40R」、平均粒子径40μm
熱伝導性フィラーの平均粒子径は、島津製作所製「レーザー回折式粒度分布測定装置SALD-20」を用いて測定を行った。評価サンプルは、ガラスビーカーに50mlの純水と測定する熱伝導性フィラーを5g添加して、スパチュラを用いて撹拌し、その後超音波洗浄機で10分間、分散処理を行った。分散処理を行った熱伝導性フィラーの分散液を、スポイトを用いて、装置のサンプラ部に一滴ずつ添加して、吸光度が安定したところで測定を行った。平均粒径は、D50(メジアン径)を採用した。
<放熱グリースの調製>
(放熱グリース1)
塊状窒化ホウ素粒子の割合が30体積%、シリコーンオイルの割合が63体積%及び共重合体の割合が7体積%となるように、塊状窒化ホウ素粒子、シリコーンオイル及び共重合体を秤量し、これを万能混合機に添加した。次いで、150℃にて3時間、絶対圧100Pa以下の条件にて万能混合機中で真空加熱混練し、放熱グリース1を調製した。得られた放熱グリース1の評価を表2に記す。
(放熱グリース2~14)
表2及び3に記載の組成の成分を用いたこと以外は、放熱グリース1と同様の方法により、放熱グリース2~14を調製した、得られた放熱グリース2~14の評価を表2及び3に記す。
放熱グリースの物性は、以下の方法により測定した。
(粘度)
Thermo Scientific社製回転式レオメータMARS IIIにて、上部治具として35mmΦのパラレルプレートを用い、ペルチェ素子にて温度制御が可能な35mmΦ下部プレートの上に、放熱グリースを載せ、上部治具で厚み1mmまで圧縮し、はみ出した部分はかきとり、25℃にて測定を行った。せん断速度1~10s-1の粘度を測定し、せん断速度1s-1の粘度を評価に用いた。
(比重)
放熱グリースの比重をアルキメデス法により測定した。具体的には、電子天秤を用いて、空気中での放熱グリースの重量及び水中での放熱グリースの重量を測定した。そして、下記の計算式で比重を算出した。
放熱グリースの比重=(空気中での放熱グリースの重量)÷[(空気中での放熱グリースの重量)-(水中での放熱グリースの重量)]×(重量測定時の温度における水の比重)
(熱伝導率)
ASTM D5470に準拠して放熱グリースの熱伝導率を測定した。
(最小膜厚)
回転式レオメータ(Thermo Scientific社製、「MARS III」)を使用して放熱グリースの最小膜厚を測定した。具体的には、上部治具として8mmΦのパラレルプレートを用い、35mmΦ下部プレートの上に、放熱グリースを載せ、上部治具で厚み1mmまで放熱グリースを圧縮した。そして、荷重10N、及びせん断速度1s-1の条件で、放熱グリースをさらに10分間圧縮した後、上部治具及び下部プレートの間のギャップを測定し、そのギャップを最小膜厚とした。
(体積抵抗率)
JIS C2101に準拠して放熱グリースの体積抵抗率を測定した。
Figure 0007262699000002
Figure 0007262699000003
Figure 0007262699000004
実施例の放熱グリース1~7より、窒化ホウ素粒子を含み、25℃の測定及び1s-1のせん断速度で測定したときの粘度が3000Pa・s以下である放熱グリースは、比重が低く、粘度が低く、熱伝導率が高い放熱グリースであることがわかった。また、25℃の測定及び1s-1のせん断速度で測定したときの粘度が3000Pa・s以下である放熱グリースであっても、窒化ホウ素粒子を含まないと、比重が低く、粘度が低く、熱伝導率が高い放熱グリースが得られないことがわかった。

Claims (4)

  1. 窒化ホウ素粒子及び界面活性剤を含み、
    25℃の測定及び1s-1のせん断速度で測定したときの粘度が3000Pa・s以下であり、
    前記界面活性剤がアニオン性基及びカチオン性基を有する放熱グリース。
  2. 前記窒化ホウ素粒子の含有量が20体積%以上である請求項1に記載の放熱グリース。
  3. 前記窒化ホウ素粒子が六方晶窒化ホウ素の一次粒子が凝集した塊状窒化ホウ素粒子を含む請求項1又は2に記載の放熱グリース。
  4. 前記窒化ホウ素粒子が、凝集していない六方晶窒化ホウ素の一次粒子を含む請求項1又は2に記載の放熱グリース。
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