JP7261924B1 - 立体形状積層体分離方法および立体形状積層体分離装置 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、塩化ビニル樹脂を含まない熱可塑性樹脂の発泡体からなる発泡層と、この発泡層の上に、ポリウレタン、アクリル樹脂、およびアクリル-ウレタン樹脂のいずれかを吹き付けることにより積層形成された樹脂層と、からなることを特徴とし、自動車用内装材として使用できる樹脂積層体が開示されている(特許文献1参照)。
立体形状積層体分離装置1は、操作装置2と、対象材分離装置3とを備えている。
対象材分離装置3は、一対のプーリ32a,32bと、この一対のプーリ32a,32bに張架されて(巻き付けられて)いる無端の帯状刃31と、帯状刃31の刃先310に傾斜して当接する砥石33と、投入された対象材をスライスして分離する分離部35とを備える。
分離部35は、帯状刃31の刃元320の上下方向の移動を規制する案内部351と、帯状刃31の短手方向の刃先310側に配置され、刃先310の延長線上から上方に配置されている押さえローラ352と、刃先310の延長線上を挟んで対向する位置に配置されている送りローラ353と、押さえローラ352の回転軸方向端部に接続されている一対の押さえローラ位置調整部354a,354bとを有する。すなわち、円筒形の送りローラ353の外周面の一部に対向して円筒形の押さえローラ352が互いの中心軸を平行にして配置され、送りローラ353と押さえローラ352の離間距離の中心から水平方向へ少し離れた一に刃先310が前記離間距離の中心に向けられた帯状刃31が案内部351に案内されて配置されている。送りローラ353の回転軸と押さえローラ352の回転軸は、いずれも帯状刃31の刃先310の長手方向(高速移動方向)と平行に配置されている。
離間距離ZAは、後述する対象材4の厚みより短くすることができ、対象材4の厚みの95%以下とすることが好ましく、対象材4の厚みの90%以下とすることがより好ましく、対象材4の厚みの85%以下とすることがさらに好ましく、対象材4の厚みの80%以下とすることが好適である。また、離間距離ZAは、後述する対象材4の厚みの50%以上とすることができ、60%以上とすることが好ましく、65%以上とすることがより好ましく、70%以上とすることが好適である。また、離間距離ZAは、対象材4を厚み方向に押圧することで最大限圧縮した際の厚み以上の距離とすることができる。
離間距離ZBは、刃先310の先端側の位置が、後述する対象材4が送りローラ353と押さえローラ352で押圧されて自由状態の厚みよりも圧縮されて薄くなっている状態(厚みが離間距離ZAになっている状態)から、送りだされて厚みが復帰しつつ自由状態の厚みになる位置となる距離以下とすることができる。詳述すると、離間距離ZBは、厚みが離間距離ZAになっている最薄位置から自由状態の厚みに戻る復帰位置までの距離を100%として、最薄位置より復帰位置側とすることができ、かつ、最薄位置から80%以下とすることができ、60%以下とすることが好ましく、50%以下とすることがより好ましく、40%以下とすることがさらに好ましく、30%以下とすることが好適である。
刃先310の厚み方向の位置は、送りローラ353と押さえローラ352の間に刃先310の反対側から後述する対象材4が挿入されてきて刃先310に接触した際に、対象材4の第1層41と第2層42の境界面(境界線)とするか、この境界面(境界線)に対してどちらかの層側へ若干移動させた位置に設定されている。この若干移動させた位置は、第1層41と第2層42の境界面から0.001mm~1mmの範囲とすることができ、0.01mm~0.5mmの範囲とすることが好ましく0.05mm~0.1mmの範囲とすることが好適である。
対象材4(立体形状積層体)は、厚み方向に湾曲する湾曲部40を有し、複数の異なる素材の層(第1層、第2層・・・第n層)が厚み方向に2層以上重ねて接合(この実施例では第1層と第2層の2層が接合)されて形成されている。各層は厚みが略一定であり、対象材4全体としても厚みが略一定の立体形状(例えば厚み一定のシートを型で表裏から押圧および加熱して立体成形した形状)に形成されている。また、接合されている層の内、少なくとも1層は、変形後に元の形状に戻ろうとする弾性を有する弾性素材で形成されている。また、各層を形成している素材は、強い圧縮によって変形する程度の柔らかさを有する。本実施例の対象材4は、ポリ塩化ビニルである第1層41と、弾性素材であるポリエチレン発泡体である第2層42とが厚み方向に接合され、長手方向に伸びて厚み方向に湾曲する湾曲部40を有する、自動車の内装に用いられる部材(インパネ材)である。第1層41の厚みは、下限を0.1mm以上とすることができ、0.3mm以上とすることが好ましく、0.5mm以上とすることが好適であり、上限を1mm以下とすることができ、0.8mm以下とすることが好ましく、0.5mm以下とすることが好適である。また、第2層42の厚みは、下限を0.5mm以上とすることができ、1mm以上とすることが好ましく、2mm以上とすることが好適であり、上限を6mm以下とすることができ、5mm以下とすることが好ましく、4mm以下とすることが好適である。この実施例においては、ポリ塩化ビニルである第1層41の厚みが0.5mmであり、ポリエチレン発泡体である第2層42の厚みが3mmであり、対象材4全体の厚みが3.5mmである。
立体形状積層体分離装置1の操作者は、操作装置2の入力部23を通して、対象材4を分離するための各種設定を行う。ここでいう各種設定とは、例えば、押さえローラ352の上下方向の位置の設定、押さえローラ352および送りローラ353の回転速度の設定、刃位置調整ローラ34a、34bの奥手前方向の位置の設定、砥石33の回転速度の設定、およびプーリ32a、32bの回転速度の設定である。このとき、操作装置2は、入力された各種設定を、押さえローラ352の位置の設定情報データ、押さえローラ352および送りローラ353の回転速度の設定情報データ、刃位置調整ローラ34a、34bの位置の設定情報データ、砥石33の回転速度情報データ、およびプーリ32a、32bの回転速度情報データとして記憶部21に記憶してもよい。
制御部20は、押さえローラ352および送りローラ353の回転速度の設定情報に基づいて押さえローラ352および送りローラ353の回転を制御し、砥石33の回転速度の設定情報に基づいて砥石33の回転を制御し、プーリ32a、32bの回転速度の設定に基づいてプーリ32a、32bの回転を制御する。また、制御部20は、記憶部21に記憶された立体形状積層体分離プログラムを実行することによって対象材分離装置3の各部の制御を行ってもよい。
図5aは、対象材4の分離前における分離部35のA-A矢視断面図であり、図5bは、対象材4の分離前における湾曲部40のB-B矢視切断部分端面図である。
対象材4は、押さえローラ352と送りローラ353との間に、対象材4の厚み方向が帯状刃31の厚み方向と略平行となるように、帯状刃31の反対側から挿入される。押さえローラ352と送りローラ353との間への対象材4の挿入方法は、本実施例のように、帯状刃31の方向に水平方向に対象材4を送る送り台座36を備え、制御部20によって制御される送り台座36によって送り台座36上に配置された対象材4を移動させて押さえローラ352と送りローラ353との間に挿入する形態としてもよいし、例えば、操作者によって対象材4が押さえローラ352と送りローラ353との間に手動で挿入されてもよい。また、重ねられた層の上下については特に限定されない。すなわち、本実施例では第1層41が上部、第2層42が下部の状態で挿入されている例を示したが、第1層41が下部、第2層42が上部の状態で挿入されてもよい。このとき、対象材4は変形や押圧されていない自由状態であり、対象材4が厚み方向に立体状になっている湾曲部40のB-B矢視(図5a参照)部分は、図5bに示すように高さが最大限に高い状態になっている。
挿入された対象材4は、押さえローラ352と送りローラ353によって圧縮されながら水平方向(送り方向)に帯状刃31に向かって送られる。詳細には、押さえローラ352は、下面の側面が刃先310方向に向かう方向に回転するように回転方向が制御されており、送りローラ353は、上面にあたる側面が刃先310方向に向かう方向に回転するように回転方向が制御されているため、挿入された対象材4は、上方向から押さえローラ352に送りローラ353に対して押さえつけられながら、帯状刃31に向かう一方向(送り方向)に送られる。また、挿入された対象材4の元の厚みYAは、押さえローラ352と送りローラ353との離間距離ZAよりも厚く、対象材4は強い圧縮によって変形する程度の柔らかさを有する素材で形成されているため、対象材4の厚みが本来の厚みよりも薄くなった状態(厚みが離間距離ZAと同じ大きさとなった状態)で押さえローラ352と送りローラ353によって送られる。その後、押さえローラ352と送りローラ353によって送り出された対象材4は、押さえローラ352と送りローラ353から受けていた圧縮から解放され、徐々に元の厚みYAに復元する。このとき、対象材4は、圧縮から解放されて元の厚みYAに復元しはじめてから、元の厚みYAに復元しきる前の圧縮後厚みYBのときに帯状刃31の刃先310と当接する。すなわち、元の厚みYAは、離間距離ZAおよび圧縮後厚みYBよりも大きく、圧縮後厚みYBは、元の厚みYAよりも小さく、離間距離ZAよりも大きい。
このとき、対象材4は、押さえローラ352と送りローラ353で一部が押圧されているため、その押圧部分に近い立体形状部分は、押さえローラ352と送りローラ353の回転軸方向(すなわち幅方向)へ広げられて高さが低い状態となっている。このため、対象材4が厚み方向に立体状になっている湾曲部40のC-C矢視(図6a参照)部分は、図6bに示すように、図5bの段階と比較して、湾曲部40の厚み方向の長さが小さくなり(高さが低くなり)、幅方向に広がる。こうして、対象材4が圧縮されて湾曲部40が次第に平面となるように変形していく。
対象材4の湾曲部40は、押さえローラ352と送りローラ353によって立体から略平面の形状に圧縮されながら水平方向に帯状刃31に向かって送られる。そして、押さえローラ352と送りローラ353によって送り出された湾曲部40は、押さえローラ352と送りローラ353から受けていた圧縮から解放され、徐々に元の厚みおよび元の形状に復元する。このとき、湾曲部40は、圧縮から解放されて元の厚みおよび元の形状に復元しはじめてから、元の厚みおよび元の形状に復元しきる前の圧縮後厚みのときに帯状刃31の刃先310と当接する。
図7aに示す位置のとき、対象材4が厚み方向に立体状になっている湾曲部40のD-D矢視(図7a参照)部分は、押さえローラ352と送りローラ353の回転軸同士の間位置(すなわち最も間隔が狭い位置)に位置しており、図7bに示すように、対象材4の厚みよりも薄い状態に押圧されて幅方向に最大限広がる。
押さえローラ352と送りローラ353によって圧縮されながら送られた対象材4は、自由状態の厚みに復帰するより前に刃先310に接触し帯状刃31によって第1層41と第2層42とに切断されて分離される。すなわち、対象材4は各層を形成している素材ごとに分離される。このとき、挿入時に上部とした第1層41は、帯状刃31の上部から排出され、挿入時に下部とした第2層42は、帯状刃31の下部から排出される。また、湾曲部40についても同様に第1層41と第2層42とに切断されて分離される。ここで、便宜上第1層41と第2層42に分離すると説明しているが、正確には、対象材4の厚み方向における刃先310が接触した位置で第1部と第2部に分離されている。このため、対象材4の平面形状部分での分離でみると、第1部が100%第1層41であり、第2部は若干残った第1層41と第2層42で形成される、あるいは、第2部が100%第2層42であり、第1部は若干残った第2層42と第1層41で形成される。
帯状刃31の短手方向の位置は、押さえローラ352と送りローラ353によって元の厚みよりも薄い厚みの略平面となった湾曲部40が、元の形状に復元し始めてから復元が完了するまでの間に湾曲部40に当接する位置となるように、刃位置調整ローラ34a、34bおよび制御部20によって制御されている。この構成により、元の形状が立体である湾曲部40においても接合された2層の間に確実に帯状刃31を当接させることができ、帯状刃31によって綺麗に各層に切断して分離することができる。また、対象材4が元の厚みに復元する途中で切断されるため、圧縮によって発生した湾曲部40における厚み方向の歪みが取り除かれた状態で切断することができる。すなわち、湾曲部40における圧縮による歪みによって切断中の帯状刃31に負担がかかることがなく、スムーズに切断して各層に分離することができる。さらに、切断中の帯状刃31に負担がかからないことで、帯状刃31が厚み方向にぶれることがなく、湾曲部40をきれいに各層に切断して分離することができる。
この発明の支持手段および支持部は、送りローラ353に対応し、以下同様に、
押さえ手段および押さえ部は、押さえローラ352に対応し、
送り手段および送り部は、送りローラ353または/および押さえローラ352を回転させるモータ(図示省略)に対応し、
切断手段および切断部は、帯状刃31に対応し、
刃位置制御部は、刃位置調整ローラ34a、34b、および刃位置調整ローラ34a、34bを制御する制御部20に対応するが、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
2…操作装置
20…制御部
21…記憶部
22…通信部
23…入力部
24…表示部
3…対象材分離装置
31…帯状刃
32a、32b…プーリ
33…砥石
34a、34b…刃位置調整ローラ
35…分離部
351…案内部
352…押さえローラ
353…送りローラ
354…押さえローラ位置調整部
36…送り台座
4…対象材
40…湾曲部
41…第1層
42…第2層
Claims (5)
- 異なる素材を2層以上重ねて接合されることで形成され、前記素材の重なり方向に湾曲する湾曲部を有する対象材を、それぞれの前記素材に分離する方法であって、
前記素材の内の少なくとも1層は、変形時に元の形状に戻ろうとする弾性を有する弾性素材であり、
前記対象材を厚み方向の片面側から支える支持手段と、
前記支持手段と対向して前記対象材の厚みより短く離間して配置されている押さえ手段と、
前記支持手段および前記押さえ手段の少なくとも一方を動作させて前記支持手段および前記押さえ手段によって圧縮して保持された前記対象材を、一方向である送り方向に送る送り手段と、
前記送り方向に対向する方向に刃先を向けた切断手段とを設け、
前記切断手段の前記刃先は、前記押さえ手段によって元の厚みよりも薄い厚みの略平面となった前記対象材が、元の厚みに復元し始めてから復元が完了するまでの間に前記対象材に当接する位置に設けられており、
前記押さえ手段と前記支持手段によって、前記対象材を押圧して前記対象材を元の厚みよりも薄い厚みを有する略平面形状に圧縮し、
前記押さえ手段と前記支持手段により圧縮している前記対象材を前記送り手段によって前記送り方向に圧縮しながら送り、
送られた前記対象材が元の形状に復元し始めてから復元が完了するまでの間に前記切断手段の前記刃先を前記対象材に入れることで前記対象材を第1部と第2部に分離する
立体形状積層体分離方法。 - 前記刃は、前記対象材が前記押さえ手段と前記支持手段によって押圧されて薄くなった厚みから元の厚みに復元するまでの間に前記対象材に当接する位置に設けられている
請求項1記載の立体形状積層体分離方法。 - 前記押さえ手段と前記支持手段の間隔は、前記対象材を厚み方向に押圧することで最大限圧縮した際の厚みから自由状態の前記対象材の厚みの90%の厚みの範囲内に設定され、
前記刃は、前記対象材が前記押さえ手段と前記支持手段によって押圧されて薄くなった厚みから95%の厚みに復元するまでの間に前記対象材に当接する位置に設けられている
請求項2記載の立体形状積層体分離方法。 - 前記刃は、前記1層と他の層との境界線または境界線から所定厚の範囲内で前記対象材に前記刃先が入る位置に配置され、
前記対象材を前記刃先の入った位置で前記第1部と前記第2部に分離する
請求項2または3記載の立体形状積層体分離方法。 - 異なる素材を2層以上重ねて接合されることで形成され、前記素材の重なり方向に湾曲する湾曲部を有する対象材を、それぞれの前記素材に分離する装置であって、
前記素材の内の少なくとも1層は、変形時に元の形状に戻ろうとする弾性を有する弾性素材であり、
前記対象材を厚み方向の片面側から支える支持部と、
前記支持部と対向して前記対象材の厚みより短く離間して配置されている押さえ部と、
前記支持部および前記押さえ部の少なくとも一方を動作させて前記支持部および前記押さえ部によって挟まれて保持された前記対象材を、一方向である送り方向に送る送り部と、
前記送り方向に対向する方向に刃先を向けた切断部と、
前記切断部の前記刃先の前記送り方向における位置を、送られてきた前記対象材の前記対象材が元の厚みに復元し始めてから復元が完了するまでの間に前記対象材に当接する位置となるように制御する刃位置制御部とを備える
立体形状積層体分離装置。
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