JP7261596B2 - 潤滑油用粘度指数向上剤および潤滑油組成物 - Google Patents

潤滑油用粘度指数向上剤および潤滑油組成物 Download PDF

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Description

本発明は高い粘度指数向上能と増粘性を有する潤滑油用粘度指数向上剤およびそれを添加した潤滑油組成物に関する。
石油製品は一般に温度変化により粘度が大きく変化する、いわゆる粘度の温度依存性を有しているが、自動車用のエンジン油・ギヤ油や作動油等として使用される潤滑油は、低温から高温まで広い範囲にわたって粘度ができるだけ変化しないことが実用上望ましい。この尺度として粘度指数が用いられ、粘度指数が大きいほど温度変化に対する安定性が高い。そこで潤滑油には、粘度の温度依存性を小さくする目的で、鉱物油等の潤滑油基油に可溶な、ある種の重合体が粘度指数向上剤として用いられている。そのような重合体としては、例えばポリメタクリレート(PMA)(特許文献1参照)、オレフィン共重合体(OCP)(特許文献2参照)、ポリイソブチレン(PIB)等が使用されている。
これらの重合体を添加した潤滑油にはそれぞれ特徴がある。例えば、PMAは粘度指数向上性に優れており流動点降下作用もあるが、増粘効果、剪断安定性が低い。増粘効果を向上させるためにはPMAの分子量を大きくする方法があるが、この場合、剪断力に対する安定性が極端に悪くなり、駆動時の粘度低下が問題となる。PIBは増粘効果が大きいが、粘度指数向上性に劣る。OCPは、粘度指数向上性はPMAに劣るが、増粘効果が大きく、かつ剪断安定性に優れている。
また、PMAは鉱物油との相溶性が悪く、極性の高いアルキル(メタ)アクリレートをモノマーとした場合、鉱物油と配合した際に溶解しないあるいは白濁した外観の配合油が得られ、実用に値しない。特許文献3には、アルキル(メタ)アクリレートの側鎖の平均炭素数が7より小さいときは基材油に対する溶解性が貧弱なため、分散性粘度調整剤として機能しないことが記載されている。
OCPの物性を改良する方法としては、モノマーの種類、モル比などを調整する方法、ランダム、ブロックなどのモノマー配列を変える方法、組成の異なるポリマーをブレンドする方法、エチレン・α-オレフィン共重合体に極性モノマーをグラフト共重合する方法などがあり、従来から種々の方法が試みられている。
例えば、特許文献4には、異なるエチレン含量のエチレン・α-オレフィンコポリマーのブレンドが開示されており、潤滑油の粘度指数向上剤として使用した場合には、優れた低温特性を得られることが示されている。一方、リビング重合の特性を活かした他の工夫も行われており、例えば、特許文献5では、分子量分布が狭く、分子内で組成の異なるエチレンとα-オレフィンのランダム共重合体、ブロック共重合体が開示されている。これらの共重合体は、剪断安定性と増粘性、および優れた低温特性を有しており、粘度指数改良剤として好適であることが示されている。
このように性能改善に向けて様々な試みがなされているが、近年、省エネルギー化を目的とした温度粘度特性の改善、廃潤滑油削減などを目的とした長寿命化(剪断安定性、耐熱酸化安定性)要求が高まっており、粘度指数向上剤に対しても更なる性能バランスの改善が求められている。
更なる性能バランスの改善策として、増粘性、耐熱性に優れるエチレン・α-オレフィン共重合体と温度粘度特性に優れるポリ(メタ)アクリレートの複合化が考えられ、特許文献6にはポリオレフィンにポリ(メタ)アクリレートをラジカル開始剤の存在下で反応させることにより得られるグラフト共重合体が開示されている。しかしながら、ラジカルグラフト反応では充分な反応率を得ることは困難であり、得られるグラフト物は、未変性のポリオレフィンおよび(メタ)アクリレートのホモポリマーが多く存在するため、有効成分量が少なく、大幅な性能改善は期待できない。
グラフト部の導入割合(グラフト化率)の高いグラフト共重合体を製造する方法としては、ポリオレフィン鎖にラジカル重合性を有する官能基を付与したマクロモノマーを(メタ)アクリレートと共重合することによってグラフト共重合体を得る方法が考えられる。このようなグラフト共重合体を合成するためのポリオレフィンマクロモノマーを製造する方法としては、例えば特許文献7には、リビング重合法を利用して合成したポリエチレンの末端に重合性のアクリロイル基またはメタクリロイル基を導入する方法が記載されている。
前述のリビング重合を用いた方法では、一つの触媒活性点から一本の重合体しか得られない。しかしながら生産性の点からは一つの触媒活性点から得られる重合体の数は多いほど好ましい。従って、リビング重合の利用は工業的な量産を考えると経済的に十分満足すべき方法とは言い難い。しかも、特許文献6に記載の方法ではアルキルリチウムを用いたアニオン重合法を利用しているため、マクロモノマーとして製造できるポリオレフィンは最大で1000量体程度の比較的低分子量のポリエチレンであり、潤滑油添加剤として有用な分子量500~20,000のエチレン・α-オレフィン共重合体に適用するのは困難である。
特開平7-62372号公報 特公昭46-34508号公報 特開平5-287028号公報 米国特許第3,697,429号明細書 特開昭60-35009号公報 特開昭61-181528号公報 特開平6-329720号公報
本発明が解決しようとする課題は、自動車や工業用機械の低燃費化・省エネルギー化の観点から、高い粘度指数を有し増粘性の高い、配合油にした際に透明な外観となるような、潤滑油用粘度指数向上剤を提供することである。
上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定のコポリマーが、潤滑油用粘度指数向上剤として優れた粘度指数向上能と増粘性および基油溶解性を有することを見出した。
即ち、本発明は、以下の〔1〕~〔7〕により特定される。
〔1〕固形物(S)を含む潤滑油用粘度指数向上剤であって、
前記固形物(S)は、グラフト共重合体(X)を含み、
前記グラフト共重合体(X)は、
エチレンと炭素数3~8のα-オレフィンとの共重合体であるエチレン・α-オレフィン共重合体(A)に由来する主鎖部と、
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)に由来するグラフト部と
を含み、かつ
15~400%の、下記式(I)で定義されるグラフト化率を有し、
前記(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)は、2種以上の(メタ)アクリル酸エステルの共重合体であり、
前記(メタ)アクリル酸エステルのアルキル基(すなわち、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基に結合したアルキル基)の平均炭素数が8以上である
ことを特徴とする潤滑油用粘度指数向上剤。
グラフト化率(%)={(グラフト共重合体(X)の質量)-(エチレン・α-オレフィン共重合体(A)の質量)}/(エチレン・α-オレフィン共重合体(A)の質量)×100 …(I)
〔2〕前記α-オレフィンが、プロピレンおよびブテンから選ばれる1種以上であることを特徴とする、前記〔1〕に記載の潤滑油用粘度指数向上剤。
〔3〕前記グラフト共重合体(X)の、135℃のデカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]が、0.05~15dL/gであることを特徴とする前記〔1〕または〔2〕に記載の潤滑油用粘度指数向上剤。
〔4〕前記(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)が(メタ)アクリル酸C1-6アルキルと(メタ)アクリル酸C7-36アルキルとの共重合体であることを特徴とする前記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の潤滑油用粘度指数向上剤。
〔5〕前記固形物(S)中の前記グラフト共重合体(X)の割合が、95質量%以上であることを特徴とする前記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の潤滑油用粘度指数向上剤。
〔6〕前記固形物(S)を80質量%以上含むことを特徴とする前記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の潤滑油用粘度指数向上剤。
〔7〕(i)前記〔1〕~〔6〕のいずれか一項に記載の潤滑油用粘度指数向上剤0.2~50質量部と、
(ii)鉱油、合成炭化水素油及びエステル油から選ばれる少なくとも1種類からなり、かつ、100℃での動粘度が1~20mm2/sの範囲にあるベースオイル50~99.8質量部(ただし、前記(i)と(ii)の合計は100質量部である。)と、任意に、
(iii)清浄分散剤、粘度指数向上剤、酸化防止剤、腐食防止剤、耐磨耗剤、摩擦調整剤、流動点降下剤、防錆剤、消泡剤および極圧剤からなる群より選ばれた少なくとも1種類の添加剤と、を含むことを特徴とする潤滑油組成物。
本発明の潤滑油用粘度指数向上剤は、従来の潤滑油用粘度指数向上剤と比較して優れた粘度温度特性と増粘性、基油溶解性を有している。従って、鉱油やα-オレフィンオリゴマーのような、潤滑油基油およびその他の添加剤と配合することにより、高い粘度温度特性、増粘性を有し、燃費効率に優れた潤滑油組成物を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
<潤滑油用粘度指数向上剤>
本発明の潤滑油用粘度指数向上剤は、固形物(S)を含有し、固形物(S)は、エチレン・α-オレフィン共重合体(A)に由来する主鎖部と、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)に由来するグラフト部とを有するグラフト共重合体(X)を含む。
<固形物(S)>
固形物(S)は、常温で流動性を有さない固形の成分であり、粉体やペレットなどの粒子形状の他、ベールやフィルムやシートや繊維など、各種成形加工品の形状でもよい。
固形物(S)は、グラフト共重合体(X)を含み、好ましくはグラフト共重合体(X)を主成分として含む。具体的には、固形物(S)のうち、グラフト共重合体(X)を好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上を占めるのが望ましい。固形物(S)中の、グラフト共重合体(X)以外の成分としては、たとえば、酸化防止剤などが挙げられ、さらに、グラフト共重合体(X)の製造方法にも依るが、以下に説明するエチレン・α-オレフィン共重合体(A)の単体、および(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)の単体も挙げられる。
<グラフト共重合体(X)>
本発明に用いられるグラフト共重合体(X)は、
エチレンと炭素数3~8のα-オレフィンとの共重合体であるエチレン・α-オレフィン共重合体(A)に由来する主鎖部と、
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)に由来するグラフト部と
を含む。
なお、本発明において、(メタ)アクリルとはアクリルまたはメタクリルを意味する。
すなわち本発明に用いられるグラフト共重合体(X)は、エチレンと炭素数3~8のα-オレフィンとの共重合体であるエチレン・α-オレフィン共重合体(A)と、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)とのグラフト共重合体である。
エチレン・α-オレフィン共重合体(A)
本発明に用いられるエチレン・α-オレフィン共重合体(A)は、エチレンと、炭素数3~8のα-オレフィンとの共重合体である。
炭素数3~8のα-オレフィンとしては、プロピレン、ブテン-1、ペンテン-1、2-メチルブテン-1、3-メチルブテン-1、ヘキセン-1、3-メチルペンテン-1、4-メチルペンテン-1、3,3-ジメチルブテン-1、ヘプテン-1、メチルヘキセン-1、ジメチルペンテン-1、トリメチルブテン-1、エチルペンテン-1、オクテン-1、メチルペンテン-1、ジメチルヘキセン-1、トリメチルペンテン-1、エチルヘキセン-1、メチルエチルペンテン-1、ジエチルブテン-1、プロピルペンテン-1等が挙げられる。これらのα-オレフィンは、1種単独で用いられていてもよく、2種以上組み合わせて用いられていてもよい。
炭素数3~8のα-オレフィンとしては、これらのうち、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテンが好ましく、プロピレン、ブテン、オクテンがより好ましく、プロピレンまたはブテンがさらに好ましく、プロピレンが特に好ましい。
本発明に用いられるエチレン・α-オレフィン共重合体(A)は、エチレンと、炭素数3~8のα-オレフィンとの共重合体であればよいが、好ましくは、エチレンと、炭素数3~8のα-オレフィンとのランダム共重合体である。本発明に用いられるエチレン・α-オレフィン共重合体(A)として、特に好ましい共重合体としては、たとえば、エチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン・1-ブテンランダム共重合体が挙げられる。
本発明に用いられるエチレン・α-オレフィン共重合体(A)は、エチレンと、炭素数3~8のα-オレフィンとの共重合比を特に限定するものではないが、好ましくは、エチレンから導かれる構造単位の含有率が50~90モル%、より好ましくは51~85モル%、さらに好ましくは55~80モル%であり、α-オレフィンから導かれる構造単位の含有率が好ましくは10~50モル%、より好ましくは15~45モル%、さらに好ましくは20~40モル%の範囲であることが望ましい。
本発明に用いられるエチレン・α-オレフィン共重合体(A)のエチレンから導かれる構造単位の含有率およびα-オレフィンから導かれる構造単位の含有率は、たとえば、13C-NMR法で測定することができ、「高分子分析ハンドブック」(朝倉書店 発行 P163~170)に記載の方法等に従ってピークの同定と定量とを行うことができる。
本発明に用いられるエチレン・α-オレフィン共重合体(A)は、135℃のデカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]が、好ましくは0.05~15dL/g、より好ましくは0.1~10dL/g、さらに好ましくは0.5~3dL/gの範囲であるのが望ましい。また、190℃、2.16kgf荷重で測定したメルトフローレート(MFR)が、通常0.01~200g/10分、好ましくは0.1~180g/10分、より好ましくは1~150g/10分、であることが望ましい。
本発明に用いられるエチレン・α-オレフィン共重合体(A)は、特に限定されることなく、従来公知の方法で調製することができる。また、エチレンと、炭素数3~8のα-オレフィンとの共重合体である市販のエチレン・α-オレフィン共重合体を用いることもできる。
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)
本発明に用いられるグラフト共重合体(X)は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)に由来するグラフト部を有する。
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)は、2種以上の(メタ)アクリル酸エステルの共重合体である。(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)は、本発明の効果を損なわない範囲で(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位以外の構造単位を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。
後述する、エチレン・α-オレフィン共重合体(A)に対して2種以上の(メタ)アクリル酸エステルをグラフト共重合する方法による製造が容易であるなどの観点からは、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)は、好ましくは2種以上のアクリル酸エステルの共重合体および2種以上のメタクリル酸エステルの共重合体からなる群から選択される(メタ)アクリル酸エステル共重合体である。
さらに好ましくは、グラフト共重合体(X)は、グラフト部として、実質的に、2種以上のアクリル酸エステルの共重合体に由来するグラフト部のみを、または2種以上のメタクリル酸エステルの共重合体に由来するグラフト部のみを有する。
2種以上のアクリル酸エステルの共重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で2種以上のアクリル酸エステルに由来する構造単位以外の構造単位を含んでいてもよく、含んでいなくてもよいが、好ましくは、構造単位として、実質的に2種以上のアクリル酸エステルに由来する構造単位のみを有する。
2種以上のメタクリル酸エステルの共重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で2種以上のメタクリル酸エステルに由来する構造単位以外の構造単位を含んでいてもよく、含んでいなくてもよいが、好ましくは、構造単位として、実質的に2種以上のメタクリル酸エステルに由来する構造単位のみを有する。
2種以上の(メタ)アクリル酸エステルとは、好ましくは(メタ)アクリル酸C1-6アルキル(すなわち、(メタ)アクリロイルオキシ基に結合したアルキル基の炭素数が1~6であるエステル)および(メタ)アクリル酸C7-36アルキル(すなわち、(メタ)アクリロイルオキシ基に結合したアルキル基の炭素数が7~36であるエステル)であり、(メタ)アクリル酸C1-6アルキルおよび(メタ)アクリル酸C7-36アルキルは、それぞれ1種であってよく2種以上であってもよい。
(メタ)アクリル酸C1-6アルキルは、好ましくは(メタ)アクリル酸C1-4アルキル(Cの後の数値範囲は、前記アルキル基の炭素数であり、以下も同様である。)であり、より好ましくは(メタ)アクリル酸C1-2アルキルであり、特に好ましくは(メタ)アクリル酸メチルである。また、(メタ)アクリル酸C7-36アルキルは、好ましくは(メタ)アクリル酸C8-28アルキルであり、より好ましくは(メタ)アクリル酸C8-24アルキルである。
アクリル酸エステルの具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸t-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ペンタデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸トリデシル等が挙げられる。また、メタクリル酸エステルの具体例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸t-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ペンタデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸トリデシル等が挙げられる。
このようなアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルを単量体として用いることにより、グラフト共重合体(X)に多くのグラフト部を導入することができる。
グラフト共重合体(X)のグラフト部を構成する、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位のアルキル基((メタ)アクリロイルオキシ基由来の構成単位に結合したアルキル基)の平均炭素数は、8以上である。
2種以上の(メタ)アクリル酸エステルの共重合体であって、アルキル基の平均炭素数が前記範囲にあるグラフト共重合体(X)を含む潤滑油用粘度指数向上剤は、高い粘度指数を有し、増粘性が高く、基油溶解性に優れている(換言すると、潤滑油基油に配合した際に透明な潤滑油組成物を得ることができる。)。
また、粘度指数向上という観点からは、前記平均炭素数は、好ましくは12以下、より好ましくは11以下である。
前記平均炭素数は、例えば、グラフト共重合体(X)について13C-NMR測定を行い、得られた各ピークの面積の比に基づいて求めることができる。
2種以上の(メタ)アクリル酸エステルは、アルキル基の平均炭素数が前記範囲となる割合で用いられる。(メタ)アクリル酸エステルが(メタ)アクリル酸C1-6アルキルおよび(メタ)アクリル酸C7-36アルキルである場合、(メタ)アクリル酸エステル全体に占める(メタ)アクリル酸C1-6アルキルの割合は、粘度指数向上の観点から好ましくは3.0モル%以上、より好ましくは5.0モル%以上である。
グラフト共重合体(X)
本発明に用いられるグラフト共重合体(X)は、上述したエチレン・α-オレフィン共重合体(A)に由来する主鎖部と、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)に由来するグラフト部とを有する。なお本発明では、グラフト部の鎖長が主鎖部の鎖長よりも長い場合においても、エチレン・α-オレフィン共重合体(A)に由来する部分を主鎖部、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)に由来する部分をグラフト部として扱う。
本発明において、グラフト共重合体(X)は、エチレン・α-オレフィン共重合体(A)に対して、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)を導入して得てもよく、また、エチレン・α-オレフィン共重合体(A)の存在下で、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)の単量体であるアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルを重合することによって得てもよい。
このようなグラフト共重合体(X)は、グラフト部の導入割合が高く、下記式(I)で定義されるグラフト化率が、15%以上400%以下である。グラフト共重合体(X)のグラフト化率は、好ましくは20%以上、より好ましくは25%以上であり、また、好ましくは350%以下、より好ましくは300%以下である。
グラフト化率(%)={(グラフト共重合体(X)の質量)-(エチレン・α-オレフィン共重合体(A)の質量)}/(エチレン・α-オレフィン共重合体(A)の質量)×100 …(I)
エチレン・α-オレフィン共重合体(A)の質量は、例えば、以下の(i)~(iv)の手順によって求めることができる。
(i)エチレン・α-オレフィン共重合体(A)および(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)(いずれも組成は問わない。)を準備する。
(ii)これらの共重合体を混合してブレンド樹脂を作製する。この際、各共重合体の配合割合を変えて、複数種のブレンド樹脂を作製する。
(iii)各ブレンド樹脂について、赤外分光法(IR)により吸光度比(エチレン・α-オレフィン共重合体由来の吸収A4322とエステル部位由来の吸収A967との比)を測定し、エチレン・α-オレフィン共重合体の割合と吸光度比との関係を表す検量線を作成する。
(iv)グラフト共重合体(X)の前記吸光度比を測定し、その測定値と前記検量線からグラフト共重合体(X)中のエチレン・α-オレフィン共重合体(A)の割合を求め、グラフト共重合体(X)の質量と前記割合から、エチレン・α-オレフィン共重合体(A)の質量を算出する。
本発明に用いられるグラフト共重合体(X)は、特に限定されるものではないが、135℃のデカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]が、好ましくは0.05~15dL/g、より好ましくは0.1~10dL/g、さらに好ましくは0.5~3dL/gの範囲であるのが望ましい。
本発明に用いられるグラフト共重合体(X)は、特に限定されるものではないが、重量平均分子量(Mw)が、通常60,000~600,000、好ましくは70,000~500,000、より好ましくは80,000~450,000の範囲であるのが望ましい。
また本発明に用いられるグラフト共重合体(X)は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量分子(Mn)とから求められる分子量分布(Mw/Mn)の値が、好ましくは1.5~8.0、より好ましくは2.0~7.5、さらに好ましくは2.5~7.0の範囲を満たすことが好ましい。
本発明において、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、後述する実施例に記載の条件で、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により求めた値である。
本発明に用いられるグラフト共重合体(X)は、エチレン・α-オレフィン共重合体(A)に由来する主鎖部が高度に変性され、極性基を有するグラフト部が高い割合で導入されていることから、親水性物質および疎水性物質のいずれとも親和性が高く、親水性物質および疎水性物質の両方を含む組成物を調製する場合においても、本発明に用いられるグラフト共重合体(X)を共存させることにより、均質な組成物を容易に調製することができる。
グラフト共重合体(X)の製造方法
本発明に用いられるグラフト共重合体(X)は、上述のように、エチレン・α-オレフィン共重合体(A)に対して、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)を導入して得てもよく、また、エチレン・α-オレフィン共重合体(A)に対して、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)の単量体であるアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルをグラフト共重合することによって得てもよい。
これらのうちでは、主鎖となるエチレン・α-オレフィン共重合体(A)に対して、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)の単量体であるアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルをグラフト共重合する方法を好ましく採用することができる。
本発明に用いられるグラフト共重合体(X)の製造においては、エチレン・α-オレフィン共重合体(A)と、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルとを、アルキルホウ素を用いてグラフト共重合反応させる、グラフト共重合工程を有することが好ましい。エチレン・α-オレフィン共重合体(A)と、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)を構成する単量体であるアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルとを、アルキルホウ素を用いてグラフト共重合させた場合には、エチレン・α-オレフィン共重合体(A)に由来する主鎖部に対して、高いグラフト化率で(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)に由来するグラフト部を有する、グラフト共重合体(X)を好適に製造することができる。
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)の単量体である(メタ)アクリル酸エステルの具体的態様、好ましい態様等は上述のとおりであり、前記単量体は、(メタ)アクリル酸エステル中のアルキル基の平均炭素数が8以上である(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)に由来するグラフト部が得られるように、2種以上を組み合わせて用いられる。
アルキルホウ素を用いたグラフト共重合工程においては、アルキルホウ素を酸素と反応させて過酸化物とした開始剤を使用することができる。このような、アルキルホウ素を用いたグラフト共重合反応は、たとえば、US3141862、Macromolecules 2005, 38, 8966-8970、J. APPL. POLYM. SCI. 2015,42186およびJournal of Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry, Vol. 47, 6163-6167 (2009) などに記載の方法を参照して行うことができる。
アルキルホウ素としては、特に限定されるものではないが、たとえば、トリイソブチルホウ素を好適に用いることができる。
グラフト重合反応に用いられる溶媒としては、水の他、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン等の脂環族炭化水素系溶媒、クロルベンゼン、ジクロルベンゼン、トリクロルベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、テトラクロルエチレン等の塩素化炭化水素系溶媒、1-メチル-2-ピロリドン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ-ブチロラクトン、N-メチル-2-ピロリドン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アセチルクエン酸トリブチル、2,4-ペンタジエン、ジメチルスルフォキシド、n-アルキルアジペート、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジイソブチレート、3-メトキシ-3-メチル-1-ブチルアセテート、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、シクロヘキサノンなどのケトン;ベンジルアルコール、1-ブタノール、2-ブタノール、t-ブタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、エタノール、メタノールなどのアルコール;エチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、アニソール、フェニルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステルを挙げることができる。これらの溶媒は、1種単独で用いてもよく、あるいは、2種以上を組み合わせたものであっても良い。
グラフト共重合反応を行うに当たり、エチレン・α-オレフィン共重合体(A)と、グラフトモノマーであるアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルと、アルキルホウ素との接触方法および接触順序については、特に制限はなく、種々の方法を採用することができる。また、エチレン・α-オレフィン共重合体(A)へ、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル、あるいはアルキルホウ素を事前に含浸させておいてもよい。グラフト共重合反応においては、さらに、グラフトポリマーの分子量を調整するために公知の連鎖移動剤を併用することができる。
一方、アルキルホウ素と酸素との接触順序に関しては、反応開始点となるため、反応系にアルキルホウ素を先に装入してから、酸素を導入して接触させる方法が好ましい。また、グラフトモノマーであるアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルは、予め窒素通気処理をして残存酸素を十分にパージしておくことが好ましい。
また、本発明の目的を妨げない範囲において、公知の添加剤、たとえば、ヒンダードフェノール化合物などの酸化防止剤、プロセス安定剤、耐熱安定剤、耐熱老化剤、耐候安定剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、顔料、染料、核剤、可塑剤、塩酸吸収剤、難燃剤、ブルーミング防止剤、ピペリジン類などのニトロキシラジカル類に代表されるラジカル捕捉剤、公知の軟化剤、粘着付与剤、加工助剤、密着性付与剤、炭素繊維、ガラス繊維、ウイスカなどの充填剤、などの各種の添加剤を併用することができる。また、本発明の趣旨を逸脱しない限り他の高分子化合物を少量ブレンドすることも可能である。
上記のようなグラフト共重合反応は、混合および加熱が可能な装置であれば特に制限なく使用することができる。例えば縦型および横型のいずれの反応器であっても使用することができる。具体的には、流動床、移動床、ループリアクター、攪拌翼付横置反応器、攪拌翼付縦置反応器、回転ドラム、等を挙げることができる。また、プラネタリーミキサーなどの多軸・自転公転併用方式の混合機、ニーダー、パドルドライヤー、ヘンシェルミキサー、スタティックミキサー、Vブレンダー、タンブラー、ナウターミキサーも使用することができる。
グラフト共重合反応の工程終了後には、未反応のアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル等を溶解することのできる溶媒で、得られたグラフト共重合体を洗浄する、洗浄工程を有することも好ましい。
洗浄工程に用いる溶媒は、特に限定されるものではないが、好ましくはケトン、アルコールであり、アセトン、メタノールが特に好ましい。また、洗浄温度は、生成したグラフト共重合体(X)が損なわれない限りにおいては限定されるものではないが、このましくは0~110℃、より好ましくは室温~100℃程度である。
ここで、洗浄工程は、洗浄温度を洗浄溶媒の大気圧における沸点よりも高く設定する場合には、洗浄溶媒の揮散を防止するために、密閉状態で行うことが好ましい。
<潤滑油用粘度指数向上剤>
本発明の潤滑油用粘度指数向上剤は、上述した固形物(S)を含有し、固形物(S)は、エチレン・α-オレフィン共重合体(A)に由来する主鎖部と、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)に由来するグラフト部とを有するグラフト共重合体(X)を含む。好ましくは、潤滑油用粘度指数向上剤のうち固形物(S)が80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上を占める。
本発明の潤滑油用粘度指数向上剤は、固形物(S)のみから構成されていてもよく、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、固形物(S)以外の成分を含んでいても構わない。固形物(S)以外の成分としては、例えば従来潤滑油用粘度指数向上剤として用いられているポリマーや、酸化防止剤等の各種添加剤が挙げられる。
本発明の潤滑油用粘度指数向上剤の形態は、特に限定されるものではないが、固体状であることが好ましく、たとえば、粉末状、ペレット状などの粒子形状や、ベール、フィルム、シート、繊維などの各種成形加工品の形状であってもよい。本発明の潤滑油用粘度指数向上剤は、通常、ベースオイルとなる潤滑油基油に添加して溶解あるいは分散し、潤滑油の粘度指数を向上する用途に好適に用いることができる。
<潤滑油組成物>
本発明の潤滑油組成物は、
(i)上記のグラフト共重合体(X)を含む潤滑油用粘度指数向上剤0.2~50質量部、好ましくは0.2~25質量部、より好ましくは0.25~10質量部、特に好ましくは0.25~5質量部、より特に好ましくは0.3~2.5質量部と、
(ii)鉱油、合成炭化水素油及びエステル油から選ばれる少なくとも1種類からなり、かつ、100℃での動粘度が1~20mm2/sの範囲にあるベースオイル50~99.8質量部(ただし、前記(i)と(ii)の合計は100質量部である)と、必要に応じて、
(iii)清浄分散剤、粘度指数向上剤、酸化防止剤、腐食防止剤、耐磨耗剤、摩擦調整剤
、流動点降下剤、防錆剤、消泡剤および極圧剤からなる群より選ばれた少なくとも1種類の添加剤と、を含む。
本発明の潤滑油組成物に用いられるベースオイル(ii)としては、100℃での動粘度が1~20mm2/sの範囲にある、従来公知の鉱物油、合成炭化水素油、及びエステル油から選ばれる少なくとも1種のベースオイルが用いられる。
鉱物油には一般に精製の仕方により幾つかの等級があるが、一般に0.5~10%のワックス分を含む鉱物油が使用される。本発明では、例えば、水素分解精製法で製造された、流動点が低く、粘度指数の高い、イソパラフィンを主体とした組成の高度精製油を用いることができる。
合成炭化水素油としては、例えばα-オレフィンオリゴマー、アルキルベンゼン類、アルキルナフタレン類等が挙げられ、これらは1種単独で、または2種以上組合わせて用いることができる。このうちα-オレフィンオリゴマーとしては、炭素原子数8~12のオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンの低分子量オリゴマーが使用できる。この様なα-オレフィンオリゴマーは、チーグラー触媒、ルイス酸を触媒としたカチオン重合、熱重合、ラジカル重合によって製造することができる。
アルキルベンゼン類、アルキルナフタレン類は、通常、大部分がアルキル鎖長が炭素原子数6~14のジアルキルベンゼンまたはジアルキルナフタレンである。このようなアルキルベンゼン類またはアルキルナフタレン類は、ベンゼンまたはナフタレンと、オレフィンとのフリーデルクラフトアルキル化反応によって製造される。アルキルベンゼン類またはアルキルナフタレン類の製造において使用されるアルキル化オレフィンは、線状もしくは枝分かれ状のオレフィンまたはこれらの組み合わせでも良い。これらの製造方法は、例えば、米国特許第3,909,432号に記載されている。
エステル油としては、一塩基酸とアルコールから製造されるモノエステル;二塩基酸とアルコールとから、またはジオールと一塩基酸または酸混合物とから製造されるジエステル;ジオール、トリオール(例えばトリメチロールプロパン)、テトラオール(例えばペンタエリスリトール)、ヘキサオール(例えばジペンタエリスリトール)等と一塩基酸または酸混合物とを反応させて製造したポリオールエステル等が挙げられる。これらのエステルの例としては、トリデシルペラルゴネート、ジ-2-エチルヘキシルアジペート、ジ-2-エチルヘキシルアゼレート、トリメチロールプロパントリヘプタノエート、ペンタエリスリトールテトラヘプタノエート等が挙げられる。
本発明では、ベースオイル(ii)として、これらの鉱物油、合成炭化水素油、及びエステル油のいずれかを単独で用いてもよく、また2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明の潤滑油組成物に必要に応じて用いられる添加剤としては、下記のものを例示することができ、これらを単独または2種以上組み合わせて用いることができる。
清浄分散剤:金属スルホネート、金属フェネート、金属フォスファネート、コハク酸イミド等を例示することができ、通常0~15質量%の範囲で用いられる。
流動点降下剤:ポリメタクリレート、アルキルナフタレン等を例示することができ、通常0~3質量%の範囲で用いられる。
極圧剤:スルフィド類、スルホキシド類、スルホン類、チオホスフィネート類、チオカーボネート類、硫化油脂、硫化オレフィン等のイオウ系極圧剤;リン酸エステル、亜リン酸エステル、リン酸エステルアミン塩、亜リン酸エステルアミン類等のリン酸類;塩素化炭化水素等のハロゲン系化合物などを例示することができる。極圧剤は、必要に応じて0~15質量%の範囲で用いられる。
耐磨耗剤:二硫化モリブデンなどの無機または有機モリブデン化合物、アルキルメルカプチルボレート等の有機ホウ素化合物;グラファイト、硫化アンチモン、ホウ素化合物、ポリテトラフルオロエチレン等を例示することができる。摩耗防止剤は、必要に応じて0~3質量%の範囲で用いられる。
酸化防止剤:2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール等のフェノール系やアミン系の化合物が挙げられる。酸化防止剤は、必要に応じて0~3質量%の範囲で用いられる。
防錆剤:各種アミン化合物、カルボン酸金属塩、多価アルコールエステル、リン化合物、スルホネートなどの化合物が挙げられる。防錆剤は、必要に応じて0~3質量%の範囲で用いられる。
消泡剤:ジメチルシロキサン、シリカゲル分散体等のシリコーン系化合物、アルコール系またはエステル系の化合物などを例示することができる。消泡剤は、必要に応じて0~0.2質量%の範囲で用いられる。
本発明に係る潤滑油組成物には、上記の添加剤以外にも、抗乳化剤、着色剤、油性剤(油性向上剤)などを必要に応じて用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下の実施例等において、測定および評価方法は次の通りである。
<重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)>
重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、東ソー社製のHLC-8321 GPC/HT型 ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)を用いて以下のように測定した。
分離カラムとして、TSKgel GMH6-HT(2本)とGMH6-HTL(2本)(いずれも7.5mmI.D.×30cm, 東ソー社製)を用い、カラム温度を140℃とし、移動相にはo-ジクロロベンゼン(0.025%BHT含有)を用い、展開速度を1.0mL/分とし、試料濃度を0.1%(w/v)とし、試料注入量を0.4mLとし、検出器として示差屈折計を用いた。装置の較正は、単分散ポリスチレン(東ソー社製、#3std set)を用いて実施した。分子量分布(Mw/Mn)は、上記測定法により測定したMwを、同じく上記測定法により測定したMnで除して算出した。
<極限粘度[η]>
サンプル約20mgをデカリン15mlに溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定した。このデカリン溶液にデカリン溶媒を5ml追加して希釈し、その後同様にして比粘度ηspを測定した。この希釈操作をさらに2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度[η]として求めた。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)
<グラフト化率(%)>
グラフト共重合体のグラフト化率は、下記式(I)により求めた。
グラフト化率(%)={(グラフト共重合体(X)の質量)-(エチレン・α-オレフィン共重合体(A)の質量)}/(エチレン・α-オレフィン共重合体(A)の質量)×100 …(I)
<粘度特性>
動粘度、粘度指数はJIS K2283に記載の方法により、100℃および40℃での動粘度を測定し、粘度指数を算出した。
<Cold Cranking Simulator(CCS)粘度>
ASTM D 5293に基づいて測定を行なった。CCS粘度はクランク軸における低温・始動時の摺動性の評価に用いられ、値が小さい程、潤滑油の低温特性がよいことを示す。
<配合油外観>
配合油の25℃における外観を目視で観察し、以下の基準で評価した。
透明:透明であった。
白濁:白濁が認められた。
[重合例1](グラフト共重合体(X-1)の製造)
エチレン・α-オレフィン共重合体(A)として、MFR=59.3(g/10分、190℃、2.16kgf)、エチレン含有量78mol%、極限粘度[η]=0.84dL/gのエチレン・プロピレン共重合体ペレット(EP-1)を用い、グラフトモノマーとして、アルキル基の炭素数が1のメタクリル酸エステルであるメタクリル酸メチル(MMA)、及びアルキル基の炭素数が12のメタクリル酸エステルであるメタクリル酸ドデシル(DMA)を用いた。
窒素雰囲気下、エチレン・プロピレン共重合体ペレット(EP-1)25.0gと、メタクリル酸メチル及びメタクリル酸ドデシルの混合液(MMA:DMA=10:90(モル%))84.0gを500mLのセパラブルフラスコに装入し、液温を60℃に調整し、エチレン・プロピレン共重合体ペレットを溶解させた。別途窒素雰囲気下でヘキサン20mLにトリブチルホウ素(TBB)を0.54g加え、空気300mLを通気した溶液を調製し、その溶液を前記ポリマー溶液に装入した。温度60℃にて2時間反応させた。反応終了後に空気を毎分2Lの速度で5分間、液中に通気した。その後、アセトンを添加しポリマーを析出させた。
その後、グラスフィルターでポリマーを濾過してアセトンで十分洗浄し、60℃で8時間、真空乾燥を行い、グラフト共重合体(X-1)を得た。グラフト共重合体(X-1)の収量は88.4gであり、グラフト化率は253%であった。グラフト部を構成するメタクリル酸エステル由来の構成単位のアルキル基の平均炭素数は、11であった。グラフト共重合体(X-1)の極限粘度[η]は、0.72dL/gであった。
[重合例2](グラフト共重合体(X-2)の製造)
エチレン・α-オレフィン共重合体(A)として、重合例1で用いたエチレン・プロピレン共重合体ペレット(EP-1)を用い、グラフトモノマーとして、メタクリル酸メチル(MMA)及びメタクリル酸ドデシル(DMA)を用いた。
窒素雰囲気下、エチレン・プロピレン共重合体ペレット(EP-1)25gと、メタクリル酸メチル及びメタクリル酸ドデシルの混合液(MMA:DMA=30:70(モル%))72.8gを500mLのセパラブルフラスコに装入し、液温を60℃に調整し、エチレン・プロピレン共重合体ペレットを溶解させた。別途窒素雰囲気下でヘキサン20mLにトリブチルホウ素(TBB)を0.56g加え、空気300mLを通気した溶液を調製し、その溶液を前記ポリマー溶液に装入した。温度60℃にて2時間反応させた。反応終了後に空気を毎分2Lの速度で5分間、液中に通気した。その後、アセトンを添加しポリマーを析出させた。
その後、グラスフィルターでポリマーを濾過してアセトンで十分洗浄し、60℃で8時間、真空乾燥を行い、グラフト共重合体(X-2)を得た。グラフト共重合体(X-2)の収量は69.8gであり、グラフト化率は179%であった。グラフト部を構成するメタクリル酸エステル由来の構成単位のアルキル基の平均炭素数は、9であった。グラフト共重合体(X-2)の極限粘度[η]は、0.74dL/gであった。
[重合例3](グラフト共重合体(X-3)の製造)
エチレン・α-オレフィン共重合体(A)として、重合例1で用いたエチレン・プロピレン共重合体ペレット(EP-1)を用い、グラフトモノマーとして、メタクリル酸メチル(MMA)及びメタクリル酸ドデシル(DMA)を用いた。
窒素雰囲気下、エチレン・プロピレン共重合体ペレット(EP-1)25gと、メタクリル酸メチル及びメタクリル酸ドデシルの混合液(MMA:DMA=36:64(モル%))63.0gを500mLのセパラブルフラスコに装入し、液温を60℃に調整し、エチレン・プロピレン共重合体ペレットを溶解させた。別途窒素雰囲気下でヘプタン20mLにトリブチルホウ素(TBB)を0.27g加え、空気150mLを通気した溶液を調製し、その溶液を前記ポリマー溶液に装入した。温度60℃にて2時間反応させた。反応終了後に空気を毎分2Lの速度で5分間、液中に通気した。その後、アセトンを添加しポリマーを析出させた。
その後、グラスフィルターでポリマーを濾過してアセトンで十分洗浄し、60℃で8時間、真空乾燥を行い、グラフト共重合体(X-3)を得た。グラフト共重合体(X-3)の収量は78.0gであり、グラフト化率は212%であった。グラフト部を構成するメタクリル酸エステル由来の構成単位のアルキル基の平均炭素数は、8であった。グラフト共重合体(X-3)の極限粘度[η]は、0.84dL/gであった。
[重合例4](グラフト共重合体(X-4)の製造)
エチレン・α-オレフィン共重合体(A)として、重合例1で用いたエチレン・プロピレン共重合体ペレット(EP-1)を用い、グラフトモノマーとして、メタクリル酸メチル(MMA)、及びアルキル基の炭素数が18のメタクリル酸エステルであるメタクリル酸ステアリル(SMA)を用いた。
窒素雰囲気下、エチレン・プロピレン共重合体ペレット(EP-1)25gと、メタクリル酸メチル及びメタクリル酸ステアリルの混合液(MMA:SMA=59:41(モル%))62.5gを500mLのセパラブルフラスコに装入し、液温を60℃に調整し、エチレン・プロピレン共重合体ペレットを溶解させた。別途窒素雰囲気下でヘプタン20mLにトリブチルホウ素(TBB)を0.30g加え、空気150mLを通気した溶液を調製し、その溶液を前記ポリマー溶液に装入した。温度60℃にて2時間反応させた。反応終了後に空気を毎分2Lの速度で5分間、液中に通気した。その後、アセトンを添加しポリマーを析出させた。
その後、グラスフィルターでポリマーを濾過してアセトンで十分洗浄し、60℃で8時間、真空乾燥を行い、グラフト共重合体(X-4)を得た。グラフト共重合体(X-4)の収量は81.4gであり、グラフト化率は225%であった。グラフト部を構成するメタクリル酸エステル由来の構成単位のアルキル基の平均炭素数は、8であった。グラフト共重合体(X-4)の極限粘度[η]は、1.13dL/gであった。
[重合例5](グラフト共重合体(X-5)の製造)
エチレン・α-オレフィン共重合体(A)として、重合例1で用いたエチレン・プロピレン共重合体ペレット(EP-1)を用い、グラフトモノマーとして、メタクリル酸メチル(MMA)、メタクリル酸ドデシル(DMA)及びメタクリル酸ステアリル(SMA)を用いた。
窒素雰囲気下、エチレン・プロピレン共重合体ペレット(EP-1)25gと、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ドデシル及びメタクリル酸ステアリルの混合液(MMA:DMA:SMA=43:46:12(モル%))62.5gを500mLのセパラブルフラスコに装入し、液温を60℃に調整し、エチレン・プロピレン共重合体ペレットを溶解させた。別途窒素雰囲気下でヘプタン20mLにトリブチルホウ素(TBB)を0.27g加え、空気150mLを通気した溶液を調製し、その溶液を前記ポリマー溶液に装入した。温度60℃にて2時間反応させた。反応終了後に空気を毎分2Lの速度で5分間、液中に通気した。その後、アセトンを添加しポリマーを析出させた。
その後、グラスフィルターでポリマーを濾過してアセトンで十分洗浄し、60℃で8時間、真空乾燥を行い、グラフト共重合体(X-5)を得た。グラフト共重合体(X-5)の収量は78.4gであり、グラフト化率は213%であった。グラフト部を構成するメタクリル酸エステル由来の構成単位のアルキル基の平均炭素数は、8であった。グラフト共重合体(X-5)の極限粘度[η]は、0.94dL/gであった。
[重合例6](グラフト共重合体(X-6)の製造)
エチレン・α-オレフィン共重合体(A)として、重合例1で用いたエチレン・プロピレン共重合体ペレット(EP-1)を用い、グラフトモノマーとして、メタクリル酸メチル(MMA)、メタクリル酸ドデシル(DMA)及びメタクリル酸ステアリル(SMA)を用いた。
窒素雰囲気下、エチレン・プロピレン共重合体ペレット(EP-1)25gと、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ドデシル及びメタクリル酸ステアリルの混合液(MMA:DMA:SMA=48:31:21(モル%))62.5gを500mLのセパラブルフラスコに装入し、液温を60℃に調整し、エチレン・プロピレン共重合体ペレットを溶解させた。別途窒素雰囲気下でヘプタン20mLにトリブチルホウ素(TBB)を0.29g加え、空気150mLを通気した溶液を調製し、その溶液を前記ポリマー溶液に装入した。温度60℃にて2時間反応させた。反応終了後に空気を毎分2Lの速度で5分間、液中に通気した。その後、アセトンを添加しポリマーを析出させた。
その後、グラスフィルターでポリマーを濾過してアセトンで十分洗浄し、60℃で8時間、真空乾燥を行い、グラフト共重合体(X-6)を得た。グラフト共重合体(X-6)の収量は71.2gであり、グラフト化率は185%であった。グラフト部を構成するメタクリル酸エステル由来の構成単位のアルキル基の平均炭素数は、8であった。
グラフト共重合体(X-6)の重量平均分子量(Mw)は445,000、数平均分子量(Mn)は67,000、分子量分布(Mw/Mn)は6.65であった。また、極限粘度[η]は、1.05dL/gであった。
[重合例7](グラフト共重合体(X-7)の製造)
エチレン・α-オレフィン共重合体(A)として、重合例1で用いたエチレン・プロピレン共重合体ペレット(EP-1)を用い、グラフトモノマーとして、メタクリル酸メチル(MMA)、アルキル基の炭素数が8のメタクリル酸エステルであるメタクリル酸2-エチルヘキシル(2EHMA)、及びメタクリル酸ステアリル(SMA)を用いた。
窒素雰囲気下、エチレン・プロピレン共重合体ペレット(EP-1)25gと、メタクリル酸メチル、メタクリル酸2-エチルへキシル及びメタクリル酸ステアリルの混合液(MMA:2EHMA:SMA=32:46:22(モル%))62.5gを500mLのセパラブルフラスコに装入し、液温を60℃に調整し、エチレン・プロピレン共重合体ペレットを溶解させた。別途窒素雰囲気下でヘプタン20mLにトリブチルホウ素(TBB)を0.30g加え、空気150mLを通気した溶液を調製し、その溶液を前記ポリマー溶液に装入した。温度60℃にて2時間反応させた。反応終了後に空気を毎分2Lの速度で5分間、液中に通気した。その後、アセトンを添加しポリマーを析出させた。
その後、グラスフィルターでポリマーを濾過してアセトンで十分洗浄し、60℃で8時間、真空乾燥を行い、グラフト共重合体(X-7)を得た。グラフト共重合体(X-7)の収量は67.8gであり、グラフト化率は171%であった。グラフト部を構成するメタクリル酸エステル由来の構成単位のアルキル基の平均炭素数は、8であった。グラフト共重合体(X-7)の極限粘度[η]は、1.04dL/gであった。
[重合例8](グラフト共重合体(X-8)の製造)
エチレン・α-オレフィン共重合体(A)として、重合例1で用いたエチレン・プロピレン共重合体ペレット(EP-1)を用い、グラフトモノマーとして、メタクリル酸メチル(MMA)及びメタクリル酸ドデシル(DMA)を用いた。
窒素雰囲気下、エチレン・プロピレン共重合体ペレット(EP-1)25gと、メタクリル酸メチル及びメタクリル酸ドデシルの混合液(MMA:DMA=67:33(モル%))52.5gを500mLのセパラブルフラスコに装入し、液温を60℃に調整し、エチレン・プロピレン共重合体ペレットを溶解させた。別途窒素雰囲気下でヘキサン20mLにトリブチルホウ素(TBB)を0.51g加え、空気300mLを通気した溶液を調製し、その溶液を前記ポリマー溶液に装入した。温度60℃にて2時間反応させた。反応終了後に空気を毎分2Lの速度で5分間、液中に通気した。その後、アセトンを添加しポリマーを析出させた。
その後、グラスフィルターでポリマーを濾過してアセトンで十分洗浄し、60℃で8時間、真空乾燥を行い、グラフト共重合体(X-8)を得た。グラフト共重合体(X-8)の収量は70.9gであり、グラフト化率は183%であった。グラフト部を構成するメタクリル酸エステル由来の構成単位のアルキル基の平均炭素数は、5であった。グラフト共重合体(X-8)の極限粘度[η]は、0.64dL/gであった。
[重合例9](グラフト共重合体(X-9)の製造)
エチレン・α-オレフィン共重合体(A)として、重合例1で用いたエチレン・プロピレン共重合体ペレット(EP-1)を用い、グラフトモノマーとして、メタクリル酸メチル(MMA)及びメタクリル酸ステアリル(SMA)を用いた。
窒素雰囲気下、エチレン・プロピレン共重合体ペレット(EP-1)25gと、メタクリル酸メチル及びメタクリル酸ステアリルの混合液(MMA:SMA=65:35(モル%))62.5gを500mLのセパラブルフラスコに装入し、液温を60℃に調整し、エチレン・プロピレン共重合体ペレットを溶解させた。別途窒素雰囲気下でヘプタン20mLにトリブチルホウ素(TBB)を0.30g加え、空気150mLを通気した溶液を調製し、その溶液を前記ポリマー溶液に装入した。温度60℃にて2時間反応させた。反応終了後に空気を毎分2Lの速度で5分間、液中に通気した。その後、アセトンを添加しポリマーを析出させた。
その後、グラスフィルターでポリマーを濾過してアセトンで十分洗浄し、60℃で8時間、真空乾燥を行い、グラフト共重合体(X-9)を得た。グラフト共重合体(X-9)の収量は82.8gであり、グラフト化率は231%であった。グラフト部を構成するメタクリル酸エステル由来の構成単位のアルキル基の平均炭素数は、7であった。
グラフト共重合体(X-9)の重量平均分子量(Mw)は416,000、数平均分子量(Mn)は80、000、分子量分布(Mw/Mn)は5.21であった。また、極限粘度[η]は、1.03dL/gであった。
各重合例の、原材料、反応条件およびグラフト共重合体の性状を表1にまとめて示す。
Figure 0007261596000001
[実施例1]
重合例1で得たグラフト共重合体(X-1)を潤滑油用粘度指数向上剤として用いて、潤滑油組成物を調製した。
(1)ポリマーコンセントレイトの調製
Yubase-4(SK Lubricants社製、動粘度(40℃):19.6mm2/s、動粘度(100℃):4.2mm2/s、粘度指数:122)をベースオイルとして用い、重合例1で得られたグラフト共重合体X-1の10質量パーセント溶液を調製し、ポリマーコンセントレイト-1を得た。
(2)潤滑油組成物の調製
Yubase-4(SK Lubricants社製)をベースオイルとして用い、流動点降下剤(ルブラン165、東邦化学株式会社製)0.3質量%と添加剤パッケージ* 8.15質量%を添加した後、100℃において一定粘度(約10mm2/s)となるようにポリマーコンセントレイト-1の配合量を調整して添加し、配合油である潤滑油組成物(100質量%)を調製した。得られた潤滑油組成物の性能評価を行なった。配合比、及び評価結果を表2に示す。
注:* 添加剤パッケージ=CaおよびNaの過塩基性清浄剤、N含有分散剤、アミン性[aminic]およびフェノール性の抗酸化剤、ジアルキルジチオリン酸亜鉛類、摩擦調整剤、および消泡剤を含む従来のエンジン潤滑油パッケージ。
[実施例2]
実施例1において、グラフト共重合体(X-1)に代えて、重合例2で得られたグラフト共重合体(X-2)を潤滑油用粘度指数向上剤として用いたこと以外は、実施例1と同様にしてポリマーコンセントレイトおよび潤滑油組成物を調製し、評価した。配合比、及び評価結果を表2に示す。
[実施例3]
実施例1において、グラフト共重合体(X-1)に代えて、重合例3で得られたグラフト共重合体(X-3)を潤滑油用粘度指数向上剤として用いたこと以外は、実施例1と同様にしてポリマーコンセントレイトおよび潤滑油組成物を調製し、評価した。配合比、及び評価結果を表2に示す。
[実施例4]
実施例1において、グラフト共重合体(X-1)に代えて、重合例4で得られたグラフト共重合体(X-4)を潤滑油用粘度指数向上剤として用いたこと以外は、実施例1と同様にしてポリマーコンセントレイトおよび潤滑油組成物を調製し、評価した。配合比、及び評価結果を表2に示す。
[実施例5]
実施例1において、グラフト共重合体(X-1)に代えて、重合例5で得られたグラフト共重合体(X-5)を潤滑油用粘度指数向上剤として用いたこと以外は、実施例1と同様にしてポリマーコンセントレイトおよび潤滑油組成物を調製し、評価した。配合比、及び評価結果を表2に示す。
[実施例6]
実施例1において、グラフト共重合体(X-1)に代えて、重合例6で得られたグラフト共重合体(X-6)を潤滑油用粘度指数向上剤として用いたこと以外は、実施例1と同様にしてポリマーコンセントレイトおよび潤滑油組成物を調製し、評価した。配合比、及び評価結果を表2に示す。
[実施例7]
実施例1において、グラフト共重合体(X-1)に代えて、重合例7で得られたグラフト共重合体(X-7)を潤滑油用粘度指数向上剤として用いたこと以外は、実施例1と同様にしてポリマーコンセントレイトおよび潤滑油組成物を調製し、評価した。配合比、及び評価結果を表2に示す。
[比較例1]
実施例1において、グラフト共重合体(X-1)に代えて、重合例8で得られたグラフト共重合体(X-8)を潤滑油用粘度指数向上剤として用いたこと以外は、実施例1と同様にしてポリマーコンセントレイトおよび潤滑油組成物を調製し、評価した。配合比、及び評価結果を表2に示す。
[比較例2]
実施例1において、グラフト共重合体(X-1)に代えて、重合例9で得られたグラフト共重合体(X-9)を潤滑油用粘度指数向上剤として用いたこと以外は、実施例1と同様にしてポリマーコンセントレイトおよび潤滑油組成物を調製し、評価した。配合比、及び評価結果を表2に示す。
Figure 0007261596000002
[実施例と比較例の対比]
(メタ)アクリル酸エステルのアルキル基の平均炭素数が7以下のグラフト共重合体(X)を粘度指数向上剤として用いた潤滑油組成物〔比較例1~比較例2〕に比べ、(メタ)アクリル酸エステルのアルキル基の平均炭素数が8以上のグラフト共重合体(X)を粘度指数向上剤として用いて得た実施例1~実施例7の潤滑油組成物は、透明な配合油を提供し同等以上の粘度指数を達成するという優れた特性を示した。
本発明の潤滑油用粘度指数向上剤は、従来の粘度指数向上剤と比較して粘度指数向上能と増粘性のバランスに優れており、省燃費化に適応した潤滑油添加剤として利用可能である。

Claims (7)

  1. 固形物(S)を含む潤滑油用粘度指数向上剤であって、
    前記固形物(S)は、グラフト共重合体(X)を含み、
    前記グラフト共重合体(X)は、
    エチレンと炭素数3~8のα-オレフィンとの共重合体であるエチレン・α-オレフィン共重合体(A)に由来する主鎖部と、
    (メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)に由来するグラフト部と
    を含み、かつ
    171~400%の、下記式(I)で定義されるグラフト化率を有し、
    前記α-オレフィンはプロピレンであり、
    前記(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)は、2種以上の(メタ)アクリル酸エステルの共重合体であり、
    前記2種以上の(メタ)アクリル酸エステルは、(メタ)アクリル酸メチルおよび(メタ)アクリル酸C8-18アルキルであり、
    前記(メタ)アクリル酸エステルのアルキル基の平均炭素数が8以上である
    ことを特徴とする潤滑油用粘度指数向上剤。
    グラフト化率(%)={(グラフト共重合体(X)の質量)-(エチレン・α-オレフィン共重合体(A)の質量)}/(エチレン・α-オレフィン共重合体(A)の質量)×100 …(I)
  2. 前記グラフト共重合体(X)の、135℃のデカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]が、0.05~15dL/gであることを特徴とする請求項に記載の潤滑油用粘度指数向上剤。
  3. 前記固形物(S)中の前記グラフト共重合体(X)の割合が、95質量%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の潤滑油用粘度指数向上剤。
  4. 前記固形物(S)を80質量%以上含むことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の潤滑油用粘度指数向上剤。
  5. 前記固形物(S)が、粉体およびペレットから選ばれる粒子形状、またはベール、フィルム、シートおよび繊維から選ばれる成形加工品の形状である請求項1~4のいずれか一項に記載の潤滑油用粘度指数向上剤。
  6. 鉱油、合成炭化水素油及びエステル油から選ばれる少なくとも1種類からなり、かつ、100℃での動粘度が1~20mm 2 /sの範囲にあるベースオイルに添加するための、請求項1~5のいずれか一項に記載の潤滑油用粘度指数向上剤。
  7. (i)請求項1~6のいずれか一項に記載の潤滑油用粘度指数向上剤0.2~50質量部と、
    (ii)鉱油、合成炭化水素油及びエステル油から選ばれる少なくとも1種類からなり、かつ、100℃での動粘度が1~20mm2/sの範囲にあるベースオイル50~99.8質量部(ただし、前記(i)と(ii)の合計は100質量部である。)と、任意に、
    (iii)清浄分散剤、粘度指数向上剤、酸化防止剤、腐食防止剤、耐磨耗剤、摩擦調整剤、流動点降下剤、防錆剤、消泡剤および極圧剤からなる群より選ばれた少なくとも1種類の添加剤と
    を含むことを特徴とする潤滑油組成物。
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