JP7261189B2 - 内燃機関制御装置及び内燃機関制御方法 - Google Patents

内燃機関制御装置及び内燃機関制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、内燃機関制御装置及び内燃機関制御方法に関し、特に燃焼の安定状態を推定する技術に係る。
近年、自動車等の車両においては、燃料消費量(燃費)や排気ガス有害成分に関する規制が強化され、このような規制は今後もますます強化される傾向にある。このような状況下において、エンジンの燃焼室内の状態を推定し、その推定結果に基づいてエンジンを制御する技術が知られている。現在の燃焼状態に応じて空燃比や点火時期などを適切に制御することによって、エンジンの熱効率を高めたり、有害ガスの排出を減らしたりすることができる。
特にリーンバーンや排気ガス再循環(Exhaust Gas Recirculation:EGR)では、一般に空燃比を大きく、又はEGR率を高くすることで、燃費性能や排気性能が向上する。一方、過度に空燃比を大きくしたり、過度にEGR率を高くしたりすると、燃焼が不安定となり、トルクのサイクル毎の変動が大きくなる。そこで燃焼の安定状態を検出し、適切な空燃比やEGR率になるように内燃機関を制御する技術が、例えば特許文献1に開示されている。
特許文献1には、燃焼安定度検出手段の出力に応じて、内燃機関の燃焼安定度が所定の安定状態になるように空燃比を制御することが記載されている。さらに、特許文献1には、クランク角センサにより求めたクランク回転速度の変動量を、内燃機関の燃焼安定度を示すパラメータにすることが記載されている。
また特許文献2には、燃焼室での圧力を計測する圧力センサを備え、圧力センサの計測結果に基づいて不安定燃焼状態としての燃焼変動状態であることを検知することが記載されている。
特開平10-47122号公報 特開2018-173064号公報
エンジンのクランク軸を回転させるトルクは、内燃機関のシリンダ内の燃焼によって生じるので、燃焼が不安定になり発生トルクがサイクル毎にばらつくと、クランク回転速度もサイクル毎に変化する。したがって、特許文献1に記載されているように、クランク回転速度の変動量を検知することで燃焼の安定状態を推定することができる。
しかし、クランク軸周りには、クランク軸自体の慣性重量に加えて、変速機や車軸などの慣性重量が加わるため、大きな慣性モーメントが作用する。この慣性モーメントは、クランク回転速度の変動を抑制する方向に働く。このため、燃焼によるトルク変動に対して、クランク回転速度の変動は小さくなり、S/N(信号対雑音比)の悪化によって燃焼の安定状態を正確に推定することが難しくなるおそれがある。
また、特許文献2に記載された圧力センサの計測結果に基づいて燃焼変動状態を検知する方法は、クランク軸周りの慣性モーメントの影響を受けず、慣性による燃焼の安定状態の検知精度への影響は無い。しかし、圧力センサを設置することによるコスト上昇や、不完全燃焼生成物(デポジット)や高温環境による圧力センサの劣化などに対して課題がある。
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、燃焼の安定状態を精度良く推定可能であり、かつ低コストの内燃機関制御装置及び内燃機関制御方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様の内燃機関制御装置は、内燃機関のクランク回転速度の時系列値を算出する回転速度算出部と、回転速度算出部により算出されたクランク回転速度の時系列値からクランク回転速度の位相を算出する回転速度位相算出部と、回転速度位相算出部により算出されたクランク回転速度の位相のサイクル間でのばらつきの大きさを算出する第1のサイクル変動算出部と、を備える。
本発明の少なくとも一態様によれば、燃焼の安定状態を精度良く推定可能であり、かつ低コストの内燃機関制御装置を提供することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の第1の実施形態に係るエンジンの断面の例を示す説明図である。 本発明の第1の実施形態に係るクランク角センサによる回転速度検出の原理を示す説明図である。 本発明の第1の実施形態に係るコントローラの構成例を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態に係るコントローラによるエンジン制御の手順例を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施形態に係る高周波数成分を除去する前と後の回転速度時系列データの例を示す説明図である。 本発明の第1の実施形態に係る回転速度の位相値θを示す説明図である。 図4のステップS5における回転速度の位相値θの算出処理の手順例を示すフローチャートである。 3気筒4サイクルエンジンの行程シーケンスの例を示す説明図である。 本発明の第1の実施形態に係る1サイクル分の回転速度時系列データに対して気筒毎にウィンドウを設定する方法を示す説明図である。 本発明の第1の実施形態に係るウィンドウ内の回転速度時系列データのクランク角をローカルクランク角に変換した例を示す説明図である。 本発明の第1の実施形態に係る回転速度の最大速度タイミングの算出方法の例を示す説明図である。 本発明の第1の実施形態に係る回転速度の位相値の標準偏差からトルク変動率を算出する方法を示す説明図である。 本発明の第1の実施形態に係るEGR制御を行うコントローラの制御ブロックの例を示す説明図である。 本発明の第1の実施形態に係るEGRシステムにおけるCoV偏差に対するEGRバルブ開度、スロットルバルブ開度、及び点火進角量の制御例を示す説明図である。 本発明の第1の実施形態に係るEGRシステムにおけるCoV偏差に対する点火エネルギー、筒内流動強さ、圧縮比、及び吸気温度の制御例を示す説明図である。 本発明の第1の実施形態に係る希薄燃焼システムにおけるCoV偏差に対するスロットルバルブ開度、及び点火進角量の制御例を示す説明図である。 本発明の第1の実施形態に係る希薄燃焼システムにおける気筒毎のCoV偏差に対する燃料噴射補正量の例を示す説明図である。 本発明の第1の実施形態に係る気筒毎のトルク変動率に基づいた燃料噴射量の補正制御の例を示す説明図である。 本発明と従来技術によるサイクル変動率の推定誤差とサンプルサイクル数との関係を示す説明図である。 従来技術による回転速度の標準偏差からトルク変動率を算出する方法を示す説明図である。 本発明の第2の実施形態に係るコントローラの構成例を示すブロック図である。 本発明の第2の実施形態に係るEGR率によってトルク変動率の算出方法を切り替える処理の手順例を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態に係るトルク変動率の算出方法の切り替えに用いられるエンジンの運転パラメータの例を示す説明図である。
以下、本発明を実施するための形態の例について、添付図面を参照して説明する。本明細書及び添付図面において実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
<第1の実施形態>
[エンジン]
まず、本発明が適用されるエンジンの例について図1を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態におけるエンジンの断面の例を示す。
エンジン1は、火花点火4サイクルガソリンエンジンであり、エンジンヘッドとシリンダ13、ピストン14、吸気弁15、及び排気弁16によって燃焼室が形成されている。エンジン1では、燃料噴射弁18がエンジンヘッドに設けられるとともに、燃料噴射弁18の噴射ノズルが燃焼室内に貫通していることにより、所謂、筒内直接噴射式の内燃機関を構成している。また、エンジンヘッドには点火プラグ17も併設されている。燃焼用の空気は、エアクリーナ19、スロットルバルブ20、及び吸気ポート21を通って、燃焼室内に取り込まれる。そして、燃焼室から排出される燃焼後のガス(排気ガス)は、排気ポート24、及び触媒コンバータ25を通って大気に排出される。
燃焼室に取り込まれる空気の量は、スロットルバルブ20上流側に設けられたエアフローセンサ22によって計量される。また、燃焼室から排出されたガス(排気ガス)の空燃比は、触媒コンバータ25の上流側に設けられた空燃比センサ27によって検出される。また、シリンダ13とクランクケースを一体化した構造のシリンダブロック(図示略)にはノックセンサ10が設けられている。ノックセンサ10は、燃焼室内のノック状態量に応じた検出信号を出力する。
排気ポート24と吸気ポート21はEGR管28によって連通しており、排気ポート24を流れる排気ガスの一部が吸気ポート21の内部に戻される、所謂、排気再循環システム(EGRシステム)が構成されている。EGR管28を流れる排気ガスの量はEGRバルブ29によって調整される。
さらに、クランクシャフトの軸部には、タイミングロータ26(シグナルロータ)が設けられている。タイミングロータ26(被検出部)の近傍に対向配置されたクランク角センサ11(検出部)は、タイミングロータ26の回転を検出することでクランクシャフトの回転と位相、即ちクランク回転速度(エンジン回転速度)を検出する。ノックセンサ10及びクランク角センサ11の検出信号は、コントローラ12へ取り込まれ、コントローラ12においてエンジン1の状態検知や運転制御に利用される。本明細書では、クランク回転速度を単に「回転速度」と称することがある。
コントローラ12は、スロットルバルブ20の開度、EGRバルブ29の開度、燃料噴射弁18による燃料噴射タイミングや燃料噴射量、点火プラグ17による点火時期などの指令を出力し、エンジン1を所定の運転状態に制御する。コントローラ12として、例えばECU(Engine Control Unit)を用いることができる。
なお、図1にはエンジン1の燃焼室の構成を示すため単一気筒のみを示したが、本発明の実施形態に係るエンジンは、複数の気筒から構成される多気筒エンジンであってもよい。
[クランク回転速度の検出装置]
図2は、クランク角センサ11とタイミングロータ26を用いてクランク回転速度を検出する原理を示す。
エンジン1のクランクシャフト30に取り付けられたタイミングロータ26の外周上には、一定の角度間隔Δθで信号歯26aが設けられている。クランク角センサ11によって、隣り合った信号歯26aがクランク角センサ11の検出部を通過する時間差Δtが検出され、クランク回転速度ω=Δθ/Δt[rad/s]が求められる。本実施形態では、このような原理を用いているため、クランク回転速度は回転角Δθ毎に検出され、そのクランク回転速度は回転角Δθ間における平均の回転速度となる。
[コントローラ]
図3は、コントローラ12の構成例を示すブロック図である。
コントローラ12は、不図示のシステムバスを介して相互に電気的に接続された入出力部121、制御部122、及び記憶部123を備える。
入出力部121は、図示しない入力ポートや出力ポートを備え、エンジン1を搭載する車両内の各装置や各センサに対して入力及び出力の処理を行う。例えば、入出力部121は、クランク角センサの信号を読み込み、当該信号を制御部122へ送る。また、入出力部121は、制御部122のコマンドに従い制御信号を各装置へ出力する。
制御部122は、エンジン1を制御する。例えば制御部122は、エンジン1の燃焼安定状態に応じて点火時期やスロットル開度、EGR開度を制御する。制御部122は、回転速度算出部122aと、回転速度位相算出部122bと、サイクル変動算出部122cと、機関制御部122dを備える。
回転速度算出部122aは、タイミングロータ26の信号歯26aの角度間隔Δθ毎に、タイミングロータ26の回転速度を求め、Δθ毎の回転速度からエンジン1の1サイクル分(クランク角度0°~720°)の時系列データを生成する。そして、回転速度算出部122aは、その時系列データからノイズ成分を除去した後、当該時系列データを回転速度位相算出部122bへ出力する。
回転速度位相算出部122bは、回転速度算出部122aから入力されたクランク回転速度の時系列データから、クランク回転速度の時系列データの位相値を求め、その結果をサイクル変動算出部122cへ出力する。
サイクル変動算出部122cは、回転速度位相算出部122bで求められたクランク回転速度の時系列データの位相値に対してサイクル間でのばらつきの大きさ(度合い)を算出する。また、サイクル変動算出部122cは、クランク回転速度の時系列データの位相値のサイクル間でのばらつきの大きさ(度合い)に基づいて、エンジントルクのサイクル毎の変動(以下、「サイクル変動」と記載する)の大きさ(度合い)を算出し、その結果を機関制御部122dへ出力する。なお、本明細書において、エンジントルクのサイクル毎の変動を、「サイクル毎のトルク変動」と表現することもある。
機関制御部122dは、サイクル変動算出部122cで求められたエンジントルクのサイクル変動の大きさに基づいて、エンジン1を制御する。
記憶部123は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性のメモリ、又はROM(Read Only Memory)等の不揮発性のメモリである。記憶部123には、コントローラ12が備える演算処理装置(図示略)により実行される制御プログラムが記録されている。演算処理装置が、記憶部123から制御プログラムを読み出して実行することにより、制御部122の各ブロックの機能が実現される。例えば演算処理装置として、CPU(central processing unit)やMPU(micro processing unit)を用いることができる。なお、コントローラ12が半導体メモリ等からなる不揮発性の補助記憶装置を有し、上記の制御プログラムが補助記憶装置に格納されていてもよい。
[エンジン制御]
次に、コントローラ12によって実施される、エンジントルクのサイクル変動に基づいたエンジン制御について図4を参照して説明する。
図4は、コントローラ12によって実施される、エンジントルクのサイクル変動に基づいたエンジン制御の手順例を示すフローチャートである。
まず、ステップS1において、回転速度算出部122aは、クランク角センサ11の出力値を所定のサンプリング周期で読み込む(S1)。そして、回転速度算出部122aは、クランク角センサ11の出力値から一定の角度間隔Δθ毎に、Δθ間の回転速度ωを算出し(S2)、RAM上の記憶領域Mω(i)に書き込む(S3)。
上記ステップS1~S3の処理を1サイクル間(クランク角度0°~720°)で繰り返すことで、回転速度時系列データω(i)が得られる。ここで、iのとりうる範囲は、1~720/Δθで表される。例えば、Δθ=10°の場合には、クランク角10°から720°までの合計72点(i=1~72)からなる回転速度時系列データω(i)が記憶領域Mω(i)に得られる。
このように算出された回転速度時系列データω(i)には、種々の要因(例えば、機械的ながたつきや電気ノイズなど)によって高周波数の変動成分が含まれる。この高周波数の変動成分は、燃焼現象とは無関係に発生するため、燃焼のばらつきに伴うトルク変動を推定する場合に、誤差の原因となる可能性がある。そこで、回転速度時系列データω(i)から高周波数の変動成分を除去する必要がある。そのため、回転速度算出部122aは、式(1)で示されるフーリエ級数展開を用いて、回転速度時系列データω(i)を再構築することで、高周波数の変動成分を除去する(S4)。
Figure 0007261189000001
ω(θ):元の回転速度
ω(θ)’:再構築された回転速度
k:三角関数の次数
θ:クランク角度
Θ:サイクル期間
フーリエ級数展開では、周波数の異なる三角関数の足し合わせによって、元の時系列データが再構築される。式(1)においてkは三角関数の次数であり、kの値が大きいほど周波数の高い三角関数となる。したがって、フーリエ級数展開を用いて回転速度時系列データを再構築する際に、三角関数の足し合わせを適切な次数nで打ち切れば、その次数より高い周波数の変動成分を、元の回転速度時系列データから除去することができる。
一般的な3気筒又は4気筒の4サイクルエンジンにおいては、回転速度時系列データからノイズとなる高周波数成分を除去するための三角関数の打ち切り次数nは、3~5程度とすることが望ましい。ただし、適正な打ち切り次数nは、エンジンの構成や運転条件によって変化すると考えられる。
例えば気筒数が多くなると、燃焼により発生するトルク(以下、「燃焼トルク」と言う)の変動に伴った回転速度変動の周波数は高くなる。したがって、この回転速度変動成分を適切に再現するには、打ち切り次数nをより大きくして、除去する周波数を高くすることが望ましい。また、エンジン運転速度が速くなった場合にも、燃焼トルクの変動に伴った回転速度変動の周波数は高くなるので、打ち切り次数nをより大きくするのが望ましい。このように気筒数やエンジン運転速度に基づいて、フーリエ級数展開における三角関数の打ち切り次数nを変更すると、回転速度情報に基づいたトルク変動の推定において、広い運転範囲にわたってその推定精度が向上する。
上述のとおり、本実施形態の内燃機関制御装置(コントローラ12)は、クランクの回転角を検出する回転角センサ(クランク角センサ11)の検出結果より得られるクランク回転速度の時系列値(時系列データ)を有限次数のフーリエ級数展開(式(1))することで、クランク回転速度の時系列値を再構築する回転速度算出部(回転速度算出部122a)を備える。
[回転速度時系列データ]
図5に、エンジン1の1サイクル間(クランク角度0°~720°)の回転速度時系列データの一例を示す。図5は、3気筒4サイクルエンジンの例である。図5上側は、クランク角センサ11より求めた回転速度に、高周波数の変動成分が含まれている場合の、回転速度時系列データ(高周波成分除去前)の例である。また、図5下側は、図5上側の回転速度時系列データを、式(1)を用いてフーリエ級数展開し、三角関数の足し合わせを4次で打ち切った場合の、回転速度時系列データ(高周波成分除去後)の例である。図5上側及び図5下側において、横軸はクランク角[deg]、縦軸は回転速度[rpm]を表す。
本例では、フーリエ級数展開を用いて回転速度時系列データを再構築することで、高周波数の変動成分が除去され、周期が240°の低周波数変動成分のみが抽出されている。この低周波の回転速度変動は、気筒毎の間欠的な燃焼に伴って、クランク軸に作用する燃焼トルクが変動するために発生するものである。したがって、その変動周期はエンジンの爆発周期と同じとなる。例えば3気筒4サイクルエンジンにおいては、変動周期は240°(720°/3)となる。また4気筒4サイクルエンジンにおいては、変動周期は180°(720°/4)となる。
図4のフローチャートの説明に戻る。ステップS4の後、回転速度位相算出部122bは、高周波数の変動成分を除去した回転速度時系列データから、回転速度の位相値θを求める(S5)。ここで、位相値θは、回転速度時系列データに基づく回転速度波形のある時刻(サンプリングデータ)での位相値(クランク角)であり、後述する位相ばらつきを求めるために使用される。回転速度の位相値θについて図6を用いて説明する。
図6は、異なるサイクルの回転速度波形の一部を示した例である。横軸はクランク角[deg]、縦軸は回転速度[rpm]を表す。
エンジン1では、点火プラグの放電から、初期火炎核が生成するまでの時間(着火遅れ時間)や、着火後の火炎伝播速度などが、サイクル毎にばらつくことが知られている。これらのばらつきなどによって、サイクル毎に燃焼トルクの発生タイミングが変化する。燃焼トルクによってクランクが回転するので、燃焼トルクの発生タイミングが早くなると回転速度波形は進角し、燃焼トルクの発生タイミングが遅くなると、回転速度波形は遅角する。この回転速度波形の進角量及び遅角量を表すのに用いられるのが位相値θである。すなわち、位相値θには、燃焼トルクの発生タイミングが反映される。
図6では、i番目のサイクルの回転速度波形(太線)と、(i+1)番目のサイクルの回転速度波形(細線)が示されている。iサイクルでの任意の回転速度ωに対するクランク角はθであり、(i+1)サイクルでの同じ回転速度ωに対するクランク角はθi+1である。したがって、iサイクルと(i+1)サイクルの間には、位相の遅れ(遅角)が発生しており、その位相差θdはθi+1-θで求められる。
回転速度の位相値θは種々の方法で求めることができる。例えば位相値θとして、回転速度が極大値となるクランク角を求める。また、例えば位相値θとして、回転速度が極小値となるクランク角を求める。また、例えば位相値θとして、回転速度が所定の回転速度(例えば図6の回転速度ω)をまたいで変化したときのクランク角を求めてもよい。
[回転速度の位相値の算出方法]
本実施形態では、その一例として、位相値θを回転速度が極大値となるクランク角(以下、「極大タイミング」と記載する)として求める方法について図7を用いて説明する。
図7は、ステップS5において極大タイミングを用いて位相値θを求める手順を示すフローチャートである。
極大タイミングを求めるために、回転速度位相算出部122bは、まずエンジン1の1サイクル(クランク角0°~720°)の回転速度時系列データを、気筒毎のサイクルに同期したローカルクランク角に変換する(S5a)。次いで、ローカルクランク角に変換した回転速度時系列データから、回転速度が最大となる最大速度タイミングを算出する(S5b)。そして、最大速度タイミングに相当するローカルクランク角を算出する(S5c)。これが求める極大タイミングとなる。
ここで、ステップS5aのローカルクランク角への変換処理について図8から図10を用いて説明する。
図8は、3気筒4サイクルエンジンの行程シーケンスの例を示す。
4サイクルエンジンでは、吸気、圧縮、膨張、排気の4つの行程が順番に行われる。また、3気筒エンジンでは気筒間の行程が、クランク角240°ずつずれる。点火が第2気筒、第1気筒、第3気筒の順序で行われるとすると、第1気筒の行程は、第2気筒に対して240°遅れる。更に第3気筒の行程は、第2気筒に対して480°遅れる。
各気筒の爆発に伴う燃焼トルクが、クランク軸の正回転方向への有効トルクとして作用するのは、概ね圧縮上死点(TDC0°)から圧縮上死点後90°(ATDC90°)の範囲である。そこで、図7のステップS5aにおいては、1サイクル(クランク角0°~720°)の回転速度時系列データを、各気筒の圧縮上死点後90°を中心としたクランク角240°区間(以下、「ウィンドウ」と呼ぶ)で分割する。そして各ウィンドウのクランク角を、各気筒の圧縮上死点後90°を基準(0°)としたローカルクランク角に置き換える。
[回転速度時系列データに対するウィンドウ設定]
図9は、1サイクル分の回転速度時系列データに対して、各気筒の圧縮上死点後90°を中心としたウィンドウに分割した例を示す。横軸はクランク角[deg]、縦軸は回転速度[rpm]を表す。
クランク角90°~330°の区間では第3気筒の圧縮上死点後90°(クランク角210°)が含まれるので、これを第3気筒ウィンドウとする。同様に、第2気筒の圧縮上死点後90°(クランク角450°)を含むクランク角330°~570°の区間を第2気筒ウィンドウとする。さらに、第1気筒の圧縮上死点後90°(クランク角690°)を含むクランク角570°~720°及び0°~90°の区間を第1気筒ウィンドウとする。
このように回転速度時系列データに各ウィンドウを割り当てると、第3気筒ウィンドウの回転速度データには、第3気筒の燃焼状態が、他の気筒ウィンドウの回転速度データに比べて強く反映されている。同様に、第2気筒ウィンドウの回転速度データには、第2気筒の燃焼状態が、他の気筒ウィンドウの回転速度データに比べて強く反映さている。さらに、第1気筒ウィンドウの回転速度データには、第1気筒の燃焼状態が、他の気筒ウィンドウの回転速度データに比べて強く反映されている。したがって、各ウィンドウの回転速度データを用いることによって、気筒毎の燃焼状態の推定が可能となる。
[ローカルクランク角への変換]
図10は、図9における各ウィンドウ内の回転速度時系列データのクランク角をローカルクランク角に変換した例を示している。横軸はローカルクランク角[deg]、縦軸は回転速度[rpm]を表す。
本例では、各気筒の圧縮上死点後90°をゼロとした-120°~+120°(ウィンドウ幅240°)の範囲のローカルクランク角を用いて、回転速度時系列データが再定義される。このように、図7のステップS5aにおいては、全ての気筒ウィンドウについてローカルクランク角に変換した回転速度時系列データを作成し、ステップS5bにその回転速度時系列データを引き渡す。ステップS5bでは、ローカルクランク角に変換された回転速度時系列データから、回転速度が最大となるタイミングを算出する。
上述のとおり、本実施形態の内燃機関制御装置(コントローラ12)は、クランク回転速度の時系列値(回転速度時系列データ)の1サイクルの期間(クランク角0°~720°)を各気筒の圧縮上死点後の所定のクランク角(90°)を含むように気筒数で分割し、分割期間のクランク回転速度の時系列値を、該当気筒におけるクランク回転速度の時系列値(気筒ウィンドウ)として割り当て、各気筒に割り当てたクランク回転速度の時系列値の時系列(クランク角)を、各気筒の圧縮上死点後の所定のクランク角を基準(0°)とする時系列(-120°~+120°のローカルクランク角)に変換する回転速度位相算出部(回転速度位相算出部122b)を備える。回転速度位相算出部は、気筒毎に上記時系列(ローカルクランク角)を変換後、各気筒に割り当てたクランク回転速度の時系列値から気筒毎のクランク回転速度の位相(極大点等のローカルクランク角)を算出する。
[回転速度の最大速度タイミングの算出方法]
図11に、ステップS5bによる回転速度の最大速度タイミングの算出方法の例を示す。横軸はクランク角[deg]、縦軸は回転速度[rpm]を表す。
回転速度時系列データは離散点データであるため、図11に示すように、離散点データにおける回転速度の最大速度タイミング(データ点n)と、破線で示された実際の回転速度の最大速度タイミングとの間には差異が生じる。そこで、図7のステップS5bでは、離散点データから回転速度の時系列変化を多項式で近似して、この近似式から回転速度の最大速度タイミングを求める。
そのためにステップS5bでは、まず離散点データである回転速度時系列データから、回転速度が最大となるデータ点nを探索する。そして、データ点nにおけるローカルクランク角θと回転速度ω、データ点nの一離散点前のデータ点(n-1)におけるローカルクランク角θn-1と回転速度ωn-1、データ点nの一離散点後のデータ点(n+1)におけるローカルクランク角θn+1と回転速度ωn+1を抽出する。
さらに、回転速度ωの時系列変化を、ローカルクランク角θの二次関数である式(2)で近似する。ここでa,b,cは定数である。ステップS5bでは、式(2)にθn、ωn、θn-1、ωn-1、θn+1、ωn+1を代入して得られる三元連立一次方程式を解くことで定数a,b,cを求める。
Figure 0007261189000002
回転速度ωが極値となる点においては、式(2)の微分値がゼロとなる。そこで、ステップS5bでは式(2)の微分式である式(3)より、回転速度ωが最大となるローカルクランク角を最大速度タイミングθmaxとして求める。このようにして求めた最大速度タイミングθmaxを位相値θとして用いる。図11に示すPωは、二次関数を用いて近似(内挿)により求めた最大速度点である。
Figure 0007261189000003
なお、本実施形態においては、回転速度ωをローカルクランク角θの二次関数で近似したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、回転速度ωをローカルクランク角θの三次関数や三角関数など、種々の連続関数を用いて近似することができる。
上述のとおり、本実施形態の内燃機関制御装置(コントローラ12)は、クランク回転速度の離散的な時系列値(時系列データ)を連続関数(例えば二次関数)で近似し、その連続関数を用いてクランク回転速度の位相を算出する回転速度位相算出部(回転速度位相算出部122b)を備える。
図4に戻って、エンジン制御のフローチャートの説明を続ける。
ステップS5の後、回転速度位相算出部122bは、位相値θをRAM上の記憶領域Mθ(j,k)に書き込む(S6)。上記のステップS4,S5の処理を、各気筒(k=1~Ncyl)について実施することで、各気筒の回転速度の位相値θが得られる。
そして、回転速度算出部122aと回転速度位相算出部122bが、ステップS1からステップS6までを統計処理に必要なサンプリングサイクル数N(j=1~N)繰り返すことで、記憶領域Mθ(j,k)に各サイクルにおける気筒毎の回転速度の位相値θが保存される。サンプリングサイクル数Nは、例えば100である。
次いで、ステップS7からステップS11によって、回転速度位相算出部122bは、サンプリングサイクル数Nにおける位相値θの標準偏差σθを気筒毎に求め、これをRAM上の記憶領域Mσθ(k)に書き込む。
まず、サイクル変動算出部122cは、ある気筒kについてサイクル数のループ処理を行う前に、位相値θの和Sと、位相値θの二乗和Pを0に初期化する(S7)。次いで、サイクル変動算出部122cは、サイクル数がインクリメントすることに、前回までのサイクル数の位相値θの和Sに、今回のサイクルjでの位相値θ(j,k)を加算する(S8)。
また、サイクル変動算出部122cは、サイクル数がインクリメントすることに、前回までのサイクル数の位相値θの二乗和Pに、今回のサイクルjでの位相値θ(j,k)の二乗値を加算する(S9)。このステップS8,S9の処理を、サイクル数(j=1~N)繰り返し、サイクル数Nの位相値θの和S、及び位相値θの二乗和Pを算出する。
次いで、サイクル変動算出部122cは、ある気筒kのサイクル数Nでの位相値θの平均値θmeanを算出する。位相値θの平均値は、位相値θの和Sをサイクル数Nで割ること(S/N)により求められる(S10)。
次いで、サイクル変動算出部122cは、ある気筒kのサイクル数Nでの位相値θの標準偏差σθを算出する(S11)。この位相値θの標準偏差σθは、式(4)を用いて求められる。式(4)で求められる標準偏差σθは、相対標準偏差と呼ばれる。
Figure 0007261189000004
次いで、サイクル変動算出部122cは、位相値θの標準偏差σθ(k)からエンジントルクのサイクル変動率を算出する(S12)。
[エンジントルクのサイクル変動率の算出方法]
ここで、ステップS12によるエンジントルクのサイクル変動率(トルク変動率)を算出する方法を説明する。
図12に、位相値θの標準偏差σθ[%]と、図示平均有効圧力IMEP(Indicated Mean Effective Pressure)の標準偏差(CoV of IMEP)[%]との相関を示す。複数の黒丸はサンプリングデータを示す。CoVは、Coefficient of Variationの略である。
エンジントルクのサイクル毎の変動の大きさ(度合い)を示すCoV of IMEP(以下、「トルク変動率CoV of IMEP」と表記する)と位相値θの標準偏差σθとの間には、相関曲線120で示すように、ほぼ線形の相関がある。これは前述したように、位相値θには燃焼トルク発生タイミングが反映され、位相値θのばらつき(標準偏差σθ)もまた、燃焼トルク発生タイミングのサイクル毎のばらつきが反映されるためである。
図4のステップS12では、位相値θの標準偏差σθとトルク変動率CoV of IMEPに強い相関があることを利用し、位相値θの標準偏差σθ(k)からエンジントルクのサイクル変動率を求める。このため、位相値θの標準偏差σθとトルク変動率CoV of IMEPとの相関を表す相関曲線120を、予めキャリブレーション等を実施して求めておき、数式又は参照テーブルの形でコントローラ12のROM(記憶部123)に記憶しておく。そして、位相差θの標準偏差σθとトルク変動率CoV of IMEPとの相関曲線を用いて、現在の位相値の標準偏差σθ_currentから、現在のトルク変動率CoV_currentを求める。各気筒について同様の手順で現在のトルク変動率CoV_currentを求め、それらをステップS13において機関制御部122dに引き渡す。
[機関制御]
次に、ステップS13による機関制御について説明する。
例えば、EGRシステムにおいて、エンジン1の熱効率を高めるにはEGR率を適切に制御する必要がある。一般的に、部分負荷においてEGR率を高くするとポンピング損失が減って熱効率が高くなる。また、EGR率を高くすることで燃焼温度が下がるため、冷却損失やNOxの排出を減らすことも可能である。さらに、高負荷においてはEGR率を高くすることでノッキングを抑制し、排気損失を減らすことも可能である。一方、EGR率が過度に高くなると、混合気の着火性が低くなったり、火炎伝播性が低下したりするため、失火が起こる可能性が高くなる。したがって、失火が起こらない範囲、又は失火が許容できる範囲で、できるだけEGR率を高めることがエンジン1の熱効率を高める上で重要である。
エンジン1の運転において失火したサイクルがあると、トルクのサイクル変動が大きくなる。そこで、トルクのサイクル変動率を検知又は推定し、トルクのサイクル変動率の大きさに基づいてEGR率を変えることで、失火を抑制しつつ、エンジンの熱効率を高めることが可能となる。
図13は、このようなEGR制御を行うコントローラ12の制御ブロックの例を示す。
制御ブロック131では、エンジン1のクランク角センサ11の出力に基づき、現在のトルクのサイクル変動率CoV_currentを推定する(ステップS1~S12に相当)。このサイクル変動率CoV_currentは気筒毎に求まるので、制御ブロック131は、各気筒のサイクル変動率CoV_currentを基に、現サイクルの代表トルク変動率CoV_repを求める。制御ブロック131は、図3に示した回転速度算出部122a、回転速度位相算出部122b、及びサイクル変動算出部122cに相当する。
代表トルク変動率CoV_repの求め方には、いくつかの方法が考えられる。例えば、代表トルク変動率CoV_repを、各気筒のトルク変動率CoV of IMEPの平均値とする方法が考えられる。また、例えば、代表トルク変動率CoV_repを、各気筒のトルク変動率の最大値とする方法が考えられる。また、特定の気筒のサイクル変動率CoV_currentを、代表トルク変動率CoV_repとする方法も考えられる。
制御ブロック132では、代表トルク変動率CoV_repから目標トルク変動率(目標CoV)を差し引いた偏差ΔCoVに基づいて、エンジン1のアクチュエータの指示値を算出してエンジン1を制御する。制御ブロック132は、図3に示した機関制御部122dに相当する。
(EGRシステムにおけるアクチュエータの制御)
図14に、EGRシステムにおける、偏差ΔCoVに基づいたアクチュエータの制御例を示す。横軸は偏差ΔCoV[%]、縦軸はアクチュエータ等の状態を表す。
EGRシステムにおける、偏差ΔCoVに基づいたアクチュエータの制御では、例えば偏差ΔCoVの増加に伴い、トルクのサイクル変動を抑制するため、EGRバルブ29の開度(破線)及びスロットルバルブ20の開度(実線)が小さくなるように制御する。この制御によってEGR率が低くなるので、着火遅れ時間は短くなり、燃焼速度は速くなる。そこで、燃焼を適切なタイミング(燃費最良タイミング)にするため、点火遅角量(一点鎖線)が小さくなるように制御する。
この制御によって、トルクのサイクル変動(偏差ΔCoV)が所定値x1以上である場合には、トルクのサイクル変動を抑えるようにEGR率が低く設定される。これにより、エンジン1の燃焼が安定する方向に制御される。また、トルクのサイクル変動が所定値x1よりも小さい場合には、EGR率が高く設定され、エンジン1の熱効率を高めることができる。
また、点火プラグ17へ供給する点火エネルギーの量や筒内のガス流動の強さ、圧縮比、吸気温度を調整可能な構成とし、これらを偏差ΔCoVに基づいて制御することも考えられる。点火エネルギーの量や筒内のガス流動の強さ、圧縮比、吸気温度は、一般的に高い値をとるほど着火、又は火炎伝播を促進し、トルク変動を抑制する効果がある。したがって、図15に示すように、偏差ΔCoVの増加に対して、これらの項目の値が増大する方向に制御を行うことが望ましい。
例えば、点火エネルギーの量は点火プラグ17に供給する電流の量、筒内のガス流動の強さは吸気ポート21内の空気の流速を制御することで調整可能である。また、例えば、圧縮比はピストン14の上死点の位置、吸気温度は吸気ポート21に設けたヒータのオンオフを制御することで調整可能である。
なお、これらの制御は、ガス流動の強さ、圧縮比、及び吸気温度のいずれかを単独で制御してもよく、また、いくつかを組み合わせて制御してもよい。また、前述のEGRバルブ開度、スロットルバルブ開度、又は点火進角量の制御と組み合わせてもよい。
さらに、希薄燃焼システムにおいても、エンジン1の熱効率を高めるには空燃比を適切に制御する必要がある。一般的に、部分負荷において空燃比を高くするとポンピング損失が減って熱効率が高くなる。また、空燃比を高くすることで燃焼温度が下がるため、冷却損失やNOxの排出を減らすことも可能である。一方、空燃比が過度に高くなると、混合気の着火性が低くなったり、火炎伝播性が低下したりするため、失火が起こる可能性が高くなる。したがって、失火が起こらない範囲、又は失火が許容できる範囲で、できるだけ空燃比を高めることがエンジン1の熱効率を高める上で重要である。
(希薄燃焼システムにおけるアクチュエータの制御)
図16には、希薄燃焼システムにおける、偏差ΔCoVに基づいたアクチュエータの制御例を示す。横軸は偏差ΔCoV[%]、縦軸はアクチュエータ等の状態を表す。
希薄燃焼システムにおける、偏差ΔCoVに基づいたアクチュエータの制御では、例えば偏差ΔCoVの増加に伴い、トルクのサイクル変動を抑制するため、スロットルバルブ20の開度(実線)が小さくなるように制御する。この制御によって空燃比が低くなるので、着火遅れ時間は短くなり、燃焼速度は速くなる。そこで、燃焼を適切なタイミング(燃費最良タイミング)にするため、点火遅角量(一点鎖線)が小さくなるように制御する。
この制御によって、トルクのサイクル変動(偏差ΔCoV)が所定値x2以上である場合には、トルクのサイクル変動を抑えるように空燃比が低く設定される。これにより、エンジン1の燃焼が安定する方向に制御される。また、トルクのサイクル変動が所定値x2よりも小さい場合には、空燃比が高く設定され、熱効率を高めることができる。
また、図15で示された、点火エネルギーの量、筒内のガス流動の強さ、圧縮比、及び吸気温度の制御は、希薄燃焼システムにおいても、上述したEGRシステムと同様に適用することが可能である。
[気筒毎のエンジン制御]
なお、気筒毎の現在のトルク変動率CoV_currentに基づいて、気筒毎に異なるエンジン制御を行うことも考えられる。図17には、気筒毎のトルク変動率の偏差ΔCoVと、それに基づいた燃料噴射量の補正制御を、希薄燃焼システムに適用した一例を示す。この例では、気筒毎のトルク変動率と目標トルク変動率との差分をΔCoV[%]とし、ΔCoVに比例して気筒毎の燃料噴射量を補正する。
図18は、気筒毎のトルク変動率(CoV of IMEP)と、それに基づいた燃料噴射量の補正制御を示す。
気筒毎に異なるエンジン制御を行う場合、トルク変動率が目標値(目標トルク変動率)よりも大きな気筒では、燃料噴射量を増やして空燃比が小さくなる方向に補正される。一方、トルク変動率が目標値よりも小さな気筒では、燃料噴射量を減らして空燃比が大きくなる方向に補正される。これによって、各気筒のトルク変動率が目標値に近づき、高い燃費効率とサイクル変動の低減を両立することが可能となる。
図18下側の例では、第1気筒と第3気筒のトルク変動率が目標値トルク変動率よりも小さく、第2気筒のトルク変動率が目標値トルク変動率よりも大きい。このため、図18上側に示すように、第1気筒と第3気筒の燃料噴射量が減少する方向に補正量が設定され、第2気筒の燃料噴射量が増加する方向に補正量が設定される。
以上のとおり、第1の実施形態の内燃機関制御装置(コントローラ12)は、回転速度算出部(回転速度算出部122a)と、回転速度位相算出部(回転速度位相算出部122b)と、第1のサイクル変動算出部(サイクル変動算出部122c)とを有するように構成される。回転速度算出部は、内燃機関(エンジン1)のクランク回転速度(回転速度ω)の時系列値(時系列データ)を算出する。回転速度位相算出部は、回転速度算出部により算出されたクランク回転速度の時系列値からクランク回転速度の位相(位相値θ)を算出する。第1のサイクル変動算出部は、回転速度位相算出部により算出されたクランク回転速度の位相のサイクル間でのばらつきの大きさ(標準偏差σθ)を算出する。
以上のように構成された内燃機関制御装置は、燃焼の安定状態を精度良く推定可能であり、かつ、圧力センサを使用しないため低コストである。また、圧力センサを設置しないため、従来よりもエンジンを簡素化できる。
また、上述のとおり本実施形態の内燃機関制御装置(コントローラ12)は、算出されたクランク回転速度の位相(位相値θ)のサイクル間でのばらつきの大きさ(標準偏差σθ)に基づいて、内燃機関を制御する機関制御部(機関制御部122d)、を備える。
また、上述のとおり本実施形態の内燃機関制御装置(コントローラ12)では、上記第1のサイクル変動算出部は、クランク回転速度の位相のサイクル間でのばらつきの大きさ(標準偏差σθ)に基づいて、気筒のトルク変動率(代表トルク変動率CoV_rep)を求める。また、上記機関制御部は、トルク変動率と目標トルク変動率(目標CoV)との差分(偏差ΔCoV)が所定値(x1,x2)よりも小さくなるように、排ガス再循環バルブ(EGRバルブ29)の開度、スロットルバルブ(スロットルバルブ20)の開度、点火タイミング、点火エネルギー、筒内流動強さ、圧縮比、吸気温度、及び燃料噴射量のうち少なくとも1つを制御する。
また、上述のとおり本実施形態の内燃機関制御装置(コントローラ12)では、上記第1のサイクル変動算出部は、クランク回転速度の位相のサイクル間でのばらつきの大きさ(標準偏差σθ)に基づいて、複数の気筒(第1気筒~第3気筒)の各々のトルク変動率を求める。また、上記機関制御部は、各気筒のトルク変動率と目標トルク変動率(目標CoV)との差分(偏差ΔCoV)に基づいて、各気筒の燃料噴射量を補正する。
[第1の実施形態の効果]
従来技術に対する本実施形態の効果を、図19を用いて説明する。
図19は、本実施形態及び従来技術によるトルクのサイクル変動率の推定誤差と、サンプルサイクル数Nとの関係を示した実測結果である。この実測結果は、回転速度が2400rpmのときにあるEGR率で測定した結果である。従来技術によるサンプリングデータを三角マーク‘▲’、本実施形態によるサンプリングデータを丸マーク‘○’で示している。
従来技術によるトルクのサイクル変動率は、クランク角センサ11で検出したサイクル平均回転速度ωの標準偏差σωを用いて推定したものである。より具体的には、図20に示すように、回転速度ωの標準偏差σωとトルクのサイクル変動率(CoV of IMEP)の相関データから相関曲線200を作成し、この相関曲線200を用いて、現在の回転速度の標準偏差σω_currentからトルクのサイクル変動率CoV_currentを推定したものである。
図19に示されるように、本実施形態と従来技術ともに、サンプリングデータの標準偏差値に基づいて、トルクのサイクル変動率を推定している。そのため、サンプリングデータをサンプリングするサイクル数が少なくなると、トルクのサイクル変動率の推定誤差は増大する。一方、同一サンプルサイクル数で比較すると、本実施形態によるトルクのサイクル変動率の推定誤差は、従来技術による推定誤差に比べ小さい。このため、本実施形態は、従来技術(N2)よりも少ないサイクル数(N1)で、同一の推定誤差(例えば目標精度に相当)が得られるという利点がある。図19では、目標精度は推定誤差0.5%以下である。
図19の実測結果によれば、本実施形態は、同じ推定誤差における検知時間(必要サンプルサイクル数)を、従来技術よりも約60%低減できる。また、本実施形態は、同じ検知時間(必要サンプルサイクル数)における推定誤差を、従来技術よりも約20~30%低減できる。
ここで、本実施形態が従来技術に比べて、推定精度が高い理由について説明する。
エンジン1のクランク軸周りには、エンジン1のピストン、コンロッドや車両駆動系などによる大きな慣性モーメントが作用する。そのため、燃焼トルクのサイクル変動成分が回転速度の変動成分に変換される過程で、慣性効果によって減衰してしまう。従来技術では、回転速度の変動成分の大きさをトルクのサイクル変動の指標にしているため、上記理由によりS/Nが低く、トルクのサイクル変動率の推定誤差が大きくなる。
これに対して本実施形態では、回転速度の位相の変動成分の大きさを、トルクのサイクル変動の指標として用いる。回転速度の位相は、クランク軸周りの慣性モーメントの影響をほとんど受けないため、トルク変動が位相変動に変換される過程での減衰が小さい。この結果、本実施形態では、従来技術に比べてS/Nが大きく、トルクのサイクル変動率の推定精度が高くなる。
トルクのサイクル変動率に基づいたEGRや希薄燃焼などの制御速度は、トルクのサイクル変動率の推定時間(即ち、必要なサンプルサイクル数)に依存する。短時間(少ないサンプルサイクル数)でトルクのサイクル変動率を推定できれば、EGRや希薄燃焼などの制御をより高速に行える。特にエンジン1が過渡状態で運転されている場合には、高速な制御(言い換えるとレスポンスのよい制御)によって、エンジン1をより最適な状態で運転できる比率が高くなる。これは、燃費やエミッションの低減、加速性能の向上などに効果がある。また、例えばエミッションが低減すると、エミッション対策のための様々な装置を簡素化することが可能となり、システムコストの低減にも効果がある。
<第2の実施形態>
[従来手法との切り替え]
前述のように、回転速度の位相の標準偏差σθに基づいてトルク変動を推定する方法は、短時間で精度良くトルクのサイクル変動率を推定できる。一方、回転速度の位相を求めるために、サイクル毎にフーリエ級数展開や、多項式近似を行う必要があり、回転速度の標準偏差σωに基づいてトルク変動を推定する従来の方法に比べて、コントローラ12の演算負荷が大きい。そこで、エンジンの状態等に応じて、回転速度の標準偏差σωに基づいてトルク変動を推定する方法と、速度位相の標準偏差σθに基づいてトルク変動を推定する方法とを切り替えて、エンジン制御をすることが考えられる。
図21は、本発明の第2の実施形態に係るコントローラの構成例を示すブロック図である。
本実施形態に係るコントローラ12では、サイクル変動算出部122cが、第1のサイクル変動算出部122c1、第2のサイクル変動算出部122c2、及び算出方法切替部122c3を備える。
第1のサイクル変動算出部122c1は、図2に示したサイクル変動算出部122cと同様の機能を有する。すなわち、第1のサイクル変動算出部122c1は、回転速度位相算出部122bで求められたクランク回転速度の時系列データの位相値に対してサイクル間でのばらつきの大きさ(度合い)を算出する。また、サイクル変動算出部122cは、クランク回転速度の時系列データの位相値のサイクル間でのばらつきの大きさ(度合い)に基づいて、エンジントルクのサイクル変動の大きさ(度合い)を算出し、その結果を機関制御部122dへ出力する。
第2のサイクル変動算出部122c2は、回転速度位相算出部122bで求められたクランク回転速度の時系列データに対してサイクル間でのばらつきの大きさ(度合い)を算出する。また、第2のサイクル変動算出部122c2は、クランク回転速度の時系列データのサイクル間でのばらつきの大きさ(度合い)に基づいて、エンジントルクのサイクル変動の大きさ(度合い)を算出し、その結果を機関制御部122dへ出力する。このため、第2の実施形態では、回転速度の標準偏差σωとトルク変動率CoV of IMEPとの相関を表す相関曲線200を、ROM(記憶部123)に記憶しておく。
算出方法切替部122c3は、内燃機関(エンジン1)の運転状態を表す運転パラメータの大きさに基づいて、第1のサイクル変動算出部122c1と、第2のサイクル変動算出部122c2の使用を切り替える。なお、算出方法切替部122c3を、サイクル変動算出部122cの外部に設けてもよい。
機関制御部122dは、第1のサイクル変動算出部122c1で算出されたクランク回転速度の位相のサイクル変動の大きさ、又は、第2のサイクル変動算出部122c2で算出されたクランク回転速度のサイクル変動の大きさに基づいて、内燃機関(エンジン1)を制御する。
(算出方法の切り替え)
次に、EGRシステムにおいて、トルク変動率の算出方法を切り替える方法について図22を参照して説明する。
図22は、EGR率によってトルク変動率の算出方法を切り替える処理の手順例を示すフローチャートである。本例では、速度位相の標準偏差σθに基づいてトルク変動率を推定する方法と、回転速度の標準偏差σωに基づいてトルク変動率を推定する方法(図20参照)とを切り替える。
まず、算出方法切替部122c3は、エンジン1の現在のEGR率を取得し(S21)、現在のEGR率をEGR率の閾値EGRthと比較する(S22)。そして、算出方法切替部122c3は、現在のEGR率がEGRthより大きい場合には(S22のYES)、回転速度の位相値の標準偏差σθに基づいてトルク変動を推定する(S23)。一方、算出方法切替部122c3は、現在のEGR率がEGRth以下である場合は(S22のNO)、回転速度の標準偏差σωに基づいてトルク変動を推定する(S24)。
そして、機関制御部122dは、ステップS23又はS24のいずれか一方で推定されたトルク変動率に基づいて、エンジン制御を行う(S25)。本ステップの終了後、フローチャートの処理を終了する。
一般的に、EGR率が高い場合には、トルクのサイクル変動が大きく、これを抑えるため、トルク変動率を精度良く推定し、少ないサンプルサイクル数でEGR制御を行うことが要求される。一方、EGR率が低い場合には、一般的にトルクのサイクル変動は小さいので、トルク変動率の推定精度は、それほど高くなくてもよい。そこで、回転速度の標準偏差σωに基づいてトルク変動を推定する方法と、回転速度の位相値の標準偏差σθに基づいてトルク変動を推定する方法とを切り替えることで、推定精度と演算負荷を好適にバランスさせることができる。
なお、トルク変動率を推定する2つの方法の切り替えについては、EGR率のみではなく、他の運転パラメータに基づいた切り替え方法が考えられる。
(運転パラメータの例)
図23に、トルク変動率の算出方法の切り替えに用いられるエンジン1の運転パラメータの例を示す。
トルクのサイクル変動に基づいて、少ないサイクル数でのエンジン制御が求められる状況として、例えば、希薄燃焼システムの空燃比が大きい場合、エンジン負荷(トルク)が低い場合、冷却水温が低い場合、過渡運転状態などの場合が挙げられる。したがって、これらの場合には、回転速度の位相値θの標準偏差σθに基づいてトルク変動率を推定することが望ましい。
エンジン1の過渡/定常状態は、所定時間内の回転速度の変化率、又は所定時間内のエンジン負荷(トルク)の変化率などにより判定される。
また、回転速度が所定値よりも低い場合、又は、現在のECU負荷率が所定値よりも低い場合に、回転速度の位相の標準偏差σθに基づいてトルク変動率を推定する方法に切り替えることで、演算負荷が過剰になることを防止できる。
以上のとおり、第2の実施形態の内燃機関制御装置(コントローラ12)は、第1のサイクル変動算出部(第1のサイクル変動算出部122c1)と第2のサイクル変動算出部(第2のサイクル変動算出部122c2)を切り替え、回転速度算出部(回転速度算出部122a)で算出されたクランク回転速度のサイクル間でのばらつきの大きさ(標準偏差σω)を算出する第2のサイクル変動算出部と、第1のサイクル変動算出部で算出されたクランク回転速度の位相のサイクル間でのばらつきの大きさ(標準偏差σθ)、又は、第2のサイクル変動算出部で算出されたクランク回転速度のサイクル間でのばらつきの大きさ(標準偏差σω)のいずれか一方に基づいて、内燃機関を制御する機関制御部(機関制御部122d)と、を備える。
また、上述のとおり本実施形態の内燃機関制御装置(コントローラ12)は、内燃機関の運転状態を表す運転パラメータの大きさに基づいて、上記第1のサイクル変動算出部と、上記第2のサイクル変動算出部の使用を切り替える算出方法切替部(算出方法切替部122c3)を備える。
また、上述のとおり本実施形態では、運転パラメータは、少なくとも排ガス再循環率(EGR率)、空燃比、エンジン負荷、冷却水温、定常状態/過渡状態、クランク回転速度、及び内燃機関制御装置(コントローラ12、ECU)の負荷率のいずれかである。
また、上述のとおり本実施形態では、機関制御部(機関制御部122d)が、所定時間のトルク変化率又はクランク回転速度変化率により、内燃機関が定常状態又は過渡状態のいずれであるかを判断する。
<その他>
さらに、本発明は上述した各実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、その他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
例えば、上述した各実施形態は本発明を分かりやすく説明するためにコントローラ12の構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成要素を備えるものに限定されない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成要素に置き換えることが可能である。また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成要素を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成要素の追加又は置換、削除をすることも可能である。
また、上記のコントローラ12の各構成、機能、処理部等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計するなどによりハードウェアで実現してもよい。ハードウェアとして、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などを用いてもよい。
また、図4に示すフローチャートにおいて、処理結果に影響を及ぼさない範囲で、複数の処理を並列的に実行したり、処理順序を変更したりしてもよい。
11…クランク角センサ、 12…コントローラ、 17…点火プラグ、 20…スロットルバルブ、26…タイミングロータ、28…EGR管、29…EGRバルブ、
121…入出力部、 122…制御部、 122a…回転速度算出部、 122b…回転速度位相算出部、 122c…サイクル変動算出部、 122c1…第1のサイクル変動算出部、 122c2…第2のサイクル変動算出部、 122c3…算出方法切替部、 122d…機関制御部、 123…記憶部

Claims (14)

  1. 内燃機関のクランク回転速度の時系列値を算出する回転速度算出部と、
    前記回転速度算出部により算出された前記クランク回転速度の時系列値から前記クランク回転速度の位相を算出する回転速度位相算出部と、
    前記回転速度位相算出部により算出された前記クランク回転速度の位相のサイクル間でのばらつきの大きさを算出する第1のサイクル変動算出部と、を備える
    内燃機関制御装置。
  2. 前記回転速度位相算出部は、前記クランク回転速度の位相として前記クランク回転速度が極大又は極小となるクランク角を算出する
    請求項1に記載の内燃機関制御装置。
  3. 前記回転速度位相算出部は、前記クランク回転速度の位相として前記クランク回転速度が所定の回転速度をまたいで変化したときのクランク角を算出する
    請求項1に記載の内燃機関制御装置。
  4. 前記回転速度算出部は、前記クランクの回転角を検出する回転角センサの検出結果より得られる前記クランク回転速度の時系列値を有限次数のフーリエ級数展開することで、前記クランク回転速度の時系列値を再構築する
    請求項1に記載の内燃機関制御装置。
  5. 前記回転速度位相算出部は、前記クランク回転速度の時系列値の1サイクルの期間を各気筒の圧縮上死点後の所定のクランク角を含むように気筒数で分割し、分割期間の前記クランク回転速度の時系列値を、該当気筒におけるクランク回転速度の時系列値として割り当て、各気筒に割り当てた前記クランク回転速度の時系列値の時系列を、各気筒の圧縮上死点後の前記所定のクランク角を基準とする時系列に変換し、気筒毎に前記時系列を変換後、各気筒に割り当てた前記クランク回転速度の時系列値から気筒毎のクランク回転速度の位相を算出する
    請求項1に記載の内燃機関制御装置。
  6. 前記回転速度位相算出部は、前記クランク回転速度の離散的な時系列値を連続関数で近似し、前記連続関数を用いて前記クランク回転速度の位相を算出する
    請求項2又は3に記載の内燃機関制御装置。
  7. 算出された前記クランク回転速度の位相のサイクル間でのばらつきの大きさに基づいて、前記内燃機関を制御する機関制御部、を備える
    請求項1に記載の内燃機関制御装置。
  8. 前記第1のサイクル変動算出部は、前記クランク回転速度の位相のサイクル間でのばらつきの大きさに基づいて、気筒のトルク変動率を求め、
    前記機関制御部は、前記トルク変動率と目標トルク変動率との差分が所定値よりも小さくなるように、排ガス再循環バルブの開度、スロットルバルブの開度、点火タイミング、点火エネルギー、筒内流動強さ、圧縮比、吸気温度、及び燃料噴射量のうち少なくとも1つを制御する
    請求項7に記載の内燃機関制御装置。
  9. 前記第1のサイクル変動算出部は、前記クランク回転速度の位相のサイクル間でのばらつきの大きさに基づいて、複数の気筒の各々のトルク変動率を求め、
    前記機関制御部は、前記各気筒のトルク変動率と目標トルク変動率との差分に基づいて、各気筒の燃料噴射量を補正する
    請求項7に記載の内燃機関制御装置。
  10. 前記回転速度算出部により算出された前記クランク回転速度のサイクル間でのばらつきの大きさを算出する第2のサイクル変動算出部と、
    前記第1のサイクル変動算出部と前記第2のサイクル変動算出部を切り替え、前記第1のサイクル変動算出部で算出された前記クランク回転速度の位相のサイクル間でのばらつきの大きさ、又は、前記第2のサイクル変動算出部で算出された前記クランク回転速度のサイクル間でのばらつきの大きさのいずれか一方に基づいて、前記内燃機関を制御する機関制御部と、を備える
    請求項1に記載の内燃機関制御装置。
  11. 前記内燃機関の運転状態を表す運転パラメータの大きさに基づいて、前記第1のサイクル変動算出部と、前記第2のサイクル変動算出部の使用を切り替える算出方法切替部、を備える
    請求項10に記載の内燃機関制御装置。
  12. 前記運転パラメータは、少なくとも排ガス再循環率、空燃比、エンジン負荷、冷却水温、前記クランク回転速度、前記内燃機関制御装置の負荷率、及び定常状態/過渡状態のいずれかである
    請求項11に記載の内燃機関制御装置。
  13. 前記機関制御部は、所定時間のトルク変化率又はクランク回転速度変化率により、前記内燃機関が定常状態又は過渡状態のいずれであるかを判断する
    請求項12に記載の内燃機関制御装置。
  14. 内燃機関の状態に応じて前記内燃機関を制御する内燃機関制御装置による内燃機関制御方法であって、
    前記内燃機関制御装置の演算処理装置が前記内燃機関のクランク回転速度の時系列値を算出する処理と、
    前記演算処理装置が前記クランク回転速度の時系列値から前記クランク回転速度の位相を算出する処理と、
    前記演算処理装置が前記クランク回転速度の位相のサイクル間でのばらつきの大きさを算出する処理と、を含む
    内燃機関制御方法。
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