JP5250222B2 - 内燃エンジンの点火装置および点火装置作動方法 - Google Patents

内燃エンジンの点火装置および点火装置作動方法 Download PDF

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Description

本発明は、請求項1の上位概念に記載の、内燃エンジンを備えたエンジンユニットのための点火装置、特に手で操縦される可搬型作業機における2サイクルエンジンを備えたエンジンユニットのための点火装置に関するものである。さらに、本発明はこの点火装置の作動方法にも関わる。
たとえばパワーチェーンソー、刈払い機、研磨切断機、送風機等の手で操縦される可搬型作業機に使用される最近の内燃エンジンは点火装置により制御されるが、点火装置は、点火プラグに高電圧を供給するための交流電圧信号以外に、上死点の手前ほぼ40゜の位置に配置されて点火を発生させる点火検出器を有していなければならない。点火検出器はクランクケースに設けた回転ポールホイールの周部に回転位置適正に固定しなければならないが、大量生産時に点火検出器の機械的配置にばらつきが生じ、点火時点を損なわせることがある。さらに、点火検出器、点火モジュールおよび回転数検出器の構造的に位置固定した配置は不具合である。というのは、これらの部材は冷却空気案内部の内側に位置するようにファンホイールに配置されることがあり、そこでは冷却空気案内用の空間が必要だからである。したがってこのような配置構成では冷却に問題が生じ、シリンダが熱負荷を強く受けることがある。
本発明の課題は、点火装置の構造的配置構成に関わりなく正確な点火が可能であるように、点火装置を簡潔に構成すること、およびこの種の点火装置の作動方法を提供することである。
本発明は、上記課題を解決するため、内燃エンジンを備えたエンジンユニットのための点火装置であって、エンジンユニットの内燃エンジンが、ピストンと、点火プラグを備えた燃焼室と、ピストンにより回転駆動されるクランク軸とを有し、燃焼空気を燃焼室に供給するための取り込み窓と、燃焼ガスを燃焼室から排出させるための排出口と、クランク軸により回転駆動され、電気消費装置に給電するための電気導線を備えた交流発電機とが設けられ、交流発電機がエンジンユニットに固定され、且つクランク軸が1回転している間に連続的に交流電圧信号を点火ユニットへ放出し、点火ユニットが予め選定可能な時点で点火プラグに点火火花を発生させるようにした前記点火装置においては、点火ユニットがエンジンユニットとは別個のアッセンブリとして構成されていること、点火ユニットに、内燃エンジンを作動させるために十分な情報信号として、交流発電機の交流電圧信号から導出される角度情報信号を供給すること、導出した角度情報信号が、内燃エンジンを作動させるために十分な情報信号として、機械的クランク軸角度を交流電圧信号に対し回転位置適正に割り当てること、交流電圧信号を、エネルギー処理ユニットと内燃エンジンを制御するための情報を処理する情報処理ユニットとに供給することを特徴とするものである。
また、上記点火装置の作動方法においては、すなわち内燃エンジンの回転軸により駆動される交流発電機の交流電圧信号から、回転軸に回転角度適正に割り当てられる角度情報を導出する方法、特に請求項1から23までのいずれか一つに記載の記載の点火装置に適用される方法においては、構造的に予め設定した、交流電圧信号の複数個のゼロ通過点の間の間隔が、nを整数としたときに前記回転軸の完全な1回転のn分の一に相当するように、交流発電機を構成すること、連続するゼロ通過点の間の時間間隔を検出すること、連続するゼロ通過点の1つのゼロ位置インターバルに対しインターバル回転数を検出すること、インターバル回転数の回転数値を回転軸角度に対しプロットし、前記回転数値をして、回転軸の機械的回転角度位置に対する角度情報信号を形成する回転数推移を再現させることを特徴とするものである。
点火ユニットはエンジンユニットとは別個に構成されている。この場合、信号発生器としての交流発電機は1本の電気導線のみを介して点火ユニットと接続される。内燃エンジンを作動させるために十分なただ1つの情報信号として、交流発電機の交流電圧信号を点火ユニットに供給し、エネルギー処理ユニットおよび角度情報処理ユニットで処理する。
内燃エンジンを作動させるために十分な情報信号は、有利には、機械的クランク軸角度を交流電圧信号に対し回転位置適正に割り当てるために処理された角度情報信号である。
この構成により、点火ユニットを内燃エンジンまたはエンジンユニットの任意の位置に配置することが可能である。交流電圧信号のみを点火ユニットに提供すればよい。点火ユニットは適当な高電圧ケーブルを介して内燃エンジンの点火プラグと接続される。クランク軸の回転角度位置を検出するための回転角検出器等の装置は必要ない。実際の機械的クランク軸角度位置は信号発生器としての交流発電機の交流電圧信号を用いて電子的に検出し、実際の機械的クランク軸角度位置が検出されれば、クランク軸の回転の交流電圧信号に固定的に割り当てる。このように交流電圧信号をクランク軸の実際の回転角度位置に「固定的に」割り当てることは、すでにクランク軸の最初の回転の間に行なう。というのは、交流電圧信号から導出された角度情報信号は、構造的に予め設定されているクランク軸角度位置に割り当てられた特徴を示すからである。したがって、角度情報信号には排出口の開口または掃気窓の開口が特徴的に示されており、よってこの特徴に基づいて点火ユニットはクランク軸の最初の回転の間に交流電圧信号を実際の機械的クランク軸角度位置に固定的に割り当てることを行なうことができる。交流電圧信号がクランク軸角度位置に対して固定されていれば、交流発電機の構造的構成に基づいて既知のクランク軸角度間隔を持って連続するゼロ通過点をカウントするだけでよい。
交流発電機と点火ユニットとを十分に切り離すことにより、点火ユニットの配置の点で新たな可能性が生じる。点火ユニットは公知の点火ユニットでは不可能であったような位置に配置することができる。さらに、点火ユニットを複数個のアッセンブリに分割すれば、たとえば高電圧ユニットを点火プラグの付近に配置することができ、或いは、点火プラグにいったいに設けることができ、他方プロセッサユニットは熱的に好ましい箇所、たとえばクランクケース(クランクケースパン)のシリンダとは逆の側に配置することができる。
実際の機械的クランク軸角度位置を検出するための回転角検出器を設ける必要がないので、点火装置自体の機械的構成が簡潔になり、回転角検出器を取り付ける場合の機械的公差がないので精密な点火も可能になる。一連のどのシステムも作動中に自ら校正する。これにより、たとえば手で操縦される作業機の大量生産において、製造された個々の作業機は自動校正により最適に作動する。
角度情報信号自体は好ましくは連続的な交流電圧信号の連続するゼロ通過点から構成されている。この場合、ゼロ通過点は有利にはクランク軸の1回転にわたって均等に分布している。
2つのゼロ通過点の間の間隔はゼロ位置インターバルを形成する。この場合、本発明の特殊な構成では、各ゼロ位置インターバルに対しインターバル回転数を検出する。このようにして算出されたインターバル回転数は回転数推移を形成する。回転数推移は角度情報信号を形成し、この角度情報信号に基づいて交流電圧信号を実際の機械的クランク軸角度位置に固定させることができる。
交流電圧信号を機械的クランク軸角度位置に固定させることは、処理された角度情報信号が有意な特徴を持っていれば常に行なうことができる。有意な特徴はクランク軸の特定の既知の機械的クランク軸角度位置に固定的に割り当てられている。
合目的な構成では、1つのゼロ位置インターバルはクランク軸の1回転のn分の一に相当し、nは6よりも大きな整数である。有利には、前記nが6と24の間にあり、好ましくは12に等しいのがよい。12個のゼロ通過点は1つの交流電圧信号の6個の周期Tに相当している。周期Tはクランク軸の60゜に相当している。
交流電圧信号の機械的クランク軸角度位置への固定を容易にするため、1つのゼロ位置インターバルがピストンの上死点に関し対称であるように、エンジンユニットに設けた交流発電機の回転位置とピストンの上死点とが互いに整合しているのが有利である。合目的には、誘導された交流電圧信号のゼロ位置が好ましくはピストンの上死点手前ほぼ15゜のクランク軸角度位置にあるように整合しているのがよい。これにより、内燃エンジンの始動時に半波の部分負荷を電子系への電圧供給に利用することも達成される。すなわちシステムは始動時にバッテリーなしでも早期に作動準備状態にある。よって、好ましい始動条件が得られる。このような整合は、回転数推移の最小回転数が平均値であるように行なうこともできる。これにより、有意な特徴としてピストンの上死点を表わす最小インターバル回転数を確定できる。合目的には、インターバル回転数の回転数推移、すなわち角度情報信号を差分するのがよい。この場合、差曲線は有意な転回点を有しており、該有意な転回点は特徴的な機械的クランク軸角度位置、たとえばピストンの上死点位置に割り当てられる。
実施態様では、交流発電機としてクローポール発電機または星型発電機を使用する。クローポール発電機または星型発電機は構成が簡潔であり、スペースが少なくて済む。交流発電機のステータはクランクケースに固定され、他方回転するマグネットリングは内燃エンジンのファンホイールと相対回転不能に結合されている。
発電機により発生させたエネルギーは点火ユニット自体および点火ユニットの高電圧ユニットの給電に用いられるだけでなく、気化器加熱装置、グリップ加熱装置等の加熱装置を作動させることもできる。外部接続部を介して研磨切断機用の光源、ターゲットレーザー等の消費装置を接続させることができる。本発明の他の構成では、交流電圧信号のエネルギーはコンデンサ、アキュムレータ等のエネルギー蓄積装置の給電にも使用できる。交流電圧信号の全エネルギーは必要に応じて個々の消費装置と点火装置とに分配させることができ、給電の極性も設定可能である。点火装置はたとえば極性1でエネルギーを得る。点火装置が内燃エンジンを確実に作動させるために十分なエネルギーを得たときだけ、極性2,3の他の消費装置が操作される。有利には、発電機を少なくとも2つの巻線部を備えるように構成するのがよい。この場合、一方の巻線部はたとえば高電圧給電装置のような第1の消費装置に対し給電を行い、他方の第2の巻線部はたとえば点火装置または加熱装置のような他の第2の消費装置に対し給電を行なう。
発電機で電気消費装置を作動させる場合には、電圧信号のゼロ通過点の位置を一義的に特定するため、交流発電機に接続されている電気負荷による電流の流れを、ゼロ通過点の時点範囲で遮断するのが有利である。これにより誘導または容量による信号シフトが確実に回避される。電流の流れを、たとえばゼロ通過点手前ほぼ5゜のクランク軸角度位置からゼロ通過点後ほぼ1゜のクランク軸角度位置まで遮断することが有利なことが判明した。
点火ユニットは、マイクロプロセッサ等の制御ユニットと、該制御ユニットとは切り離されている高電圧ユニットとを有している。これにより、制御ユニットを、高電圧ユニットとは別個に、作業機の熱的に好ましい領域に配置することができる。合目的には、制御ユニットがエンジンユニットの構成部材に配置され、またはエンジンユニットの構成部材の付近に配置されているのがよい。エンジンユニットは、合目的には、気化器とともに防振要素を介して作業機のケーシング内に懸架式に設けられ、この場合気化器はたとえば弾性通路を介して内燃エンジンに弾性を持つように接続されているのが有利である。制御ユニットを気化器ケーシングに配置すれば、気化器はAV(防振)要素を介してケーシングから切り離され、内燃エンジンに弾性を持って接続されているために内燃エンジンからの振動から切り離されるので、振動を切り離せるという利点が得られる。したがって、高電圧ユニットまたは発電機への電気接続導線をAV(防振)隙間を介して案内する必要なしに、電子制御ユニットを振動から切り離して配置することができる。熱的に好ましい配置は振動が少なく、汚染も少ない。
これとは択一的に、制御ユニットをクランクケースに配置しても、またクランクケースの付近(たとえばシリンダ下方の発電機付近)に配置してもよい。さらに、クランクケースの、シリンダとは逆の側の部分、すなわちクランクケース下部に配置しても有利である。
請求項24は、内燃エンジンの回転軸により駆動される交流発電機の好ましくは連続的な交流電圧信号を処理して、回転軸に回転角度適正に角度情報信号を割り当てる方法に関わる。このため、交流発電機は、構造的に予め設定した、交流電圧信号の複数個のゼロ通過点の間の間隔が、nを整数としたときに前記回転軸の完全な1回転のn分の一に相当するように構成される。連続するゼロ通過点の間の時間間隔を検出し、連続するゼロ通過点の1つのゼロ位置インターバルに対しインターバル回転数を検出する。インターバル回転数の回転数値を回転軸角度に対しプロットし、前記回転数値をして、回転軸の機械的回転角度位置に対する角度情報信号を形成する回転数推移を再現させる。
前記回転数推移に回転数最小値があるかどうかを調べ、回転数最小値があれば、該回転数最小値に、ピストンの上死点における回転角度位置を割り当てる。ねじり振動が発生した場合とか、Blub-Blubスタート(低回転数でのスタート)の場合とかのように特定の作動条件の下では、前記割り当てをチェックするのが合目的である。
次に、本発明の実施形態を添付の図面を用いて詳細に説明する。
図1の概略図において、エンジンユニット19は内燃エンジン1を含んでいる。内燃エンジン1は特に2サイクルエンジンとして構成されている。本発明による点火装置は単気筒または多気筒の2サイクルエンジンでの使用に限定されるものではなく、単気筒または多気筒の4サイクルエンジン等の原動機、特に往復動機関においても適用可能である。
内燃エンジン1はクランクケース3を備えたシリンダ2を有している。クランクケース3内にはクランク軸4が回転するように支持されている。シリンダ2内には燃焼室5が形成され、燃焼室5は上下動するピストン6によって画成されている。ピストン6は連接棒7を介してクランクケース3内のクランク軸4と結合され、クランク軸4を回転駆動させる。図示した実施形態では、燃焼空気および混合気用の取り込み窓8が燃焼室5に開口し、この場合取り込み窓8はシリンダ2の壁に設けた掃気通路14の端部に設けられている。掃気通路14の他端はクランクケース3のほうへ開口している。さらに、燃焼ガスを燃焼室5から排出させる排出口9が設けられている。
内燃エンジン1には、気化器10を介して燃料空気混合気が供給され、この場合混合気取り込み口11がクランクケース3に開口している。燃焼空気はエアフィルタ12を介して吸い込まれ、吸気通路13と気化器10とを介して混合気取り込み口11に供給される。ピストンが上昇すると、クランクケース3内に発生する負圧のために、混合気は混合気取り込み口11を介してクランクケース3内へ吸い込まれる。ピストン6が下降運動すると、クランクケース3内に吸い込まれた混合気は掃気通路14を介して取り込み窓8へ誘導されて燃焼室5内へ流入する。ピストン6がさらに上昇すると、取り込み窓8と排出口9が閉じ、その結果燃焼室5内にある混合気が圧縮される。圧縮された混合気は点火プラグ15を介して点火される。爆発した燃焼ガスはピストン6を下方へ駆動し、その際排出口9が開口し、燃焼ガスを排流させることができる。燃焼空気の供給量は気化器10内に設けた回動可能なスロットルバルブ10aにより制御される。
図示した実施形態では、クランク軸4により発電機16が回転駆動される。発電機16は信号発生器として構成され、特に電気消費装置を給電するための電力を持った交流発電機として構成されている。誘導された交流電圧信号は1本の導線17のみを介して点火ユニット18に供給される。点火ユニット18は高電圧ケーブル25を介して点火プラグ15と接続されている。高電圧ケーブル25と電気導線17とはエンジンユニット19と点火ユニット8とを接続させる接続部として機能的に十分である。
発電機に複数個のコイル巻回部を備えさせるか、或いは、コイルに、異なる消費装置のための異なるタップを備えさせるのが合目的な場合がある。有利には少なくとも2つのコイルを設け、そのうち第1のコイルが第1の消費装置に給電を行い、第2のコイルが第2の消費装置に給電するのがよい。この場合、これらコイルの回路は別個であってよい。
点火ユニット18はエンジンユニット19とは別個に構成され、エンジンユニット19の適当な箇所、または、エンジンユニット19により駆動される装置のケーシングに任意に取り付けることができる。点火ユニット18は1本の信号線17のみを介して発電機16と接続し、この信号線17を介して発電機16の交流電圧信号が供給される。交流電圧信号Sは点火ユニット18において処理され、その際交流電圧信号Sから角度情報信号が導出されるとともに、この交流電圧信号Sは点火ユニット18、気化器ヒータ36、他の消費装置35等の種々の電気消費装置のための電気エネルギーをも提供する。
好ましくはクランク軸の回転を介して発生する、交流発電機16の連続的な交流電圧信号S(図3)は、エネルギー供給用の入力ユニット30に供給されるとともに、角度情報を処理するためのユニット33にも供給される。したがって入力ユニット30は交流電圧信号Sを処理して、ケーブル25を介して点火プラグ15と接続されている高電圧ユニット31に、作動に必要な電気エネルギーを提供する。交流電圧信号Sの電気エネルギーは点火ユニット18自身だけに必要なエネルギーを供給するわけではない。消費装置導線を介して気化器10の気化器ヒーター36をも駆動させるのが有利である。接続部35を介して、ターゲットレーザーまたはランプ等の内部または外部の他の消費装置、或いは、たとえば点火ユニット18給電用のアキュムレータのようなエネルギー蓄積装置をも充電可能である。他方、入力ユニット30は交流電圧信号Sを処理して角度情報信号W(図6)を形成させる。角度情報信号Wは判定回路32を介して評価ユニット33に供給され、或いは、直接点火時点制御器34に供給される。点火時点制御器34は適当な周辺部品を備えたマイクロプロセッサから成っているのが有利である。評価ユニット33の出力信号も同様に点火時点制御器34に供給される。点火時点制御器34は高電圧ユニット31を制御して、角度に整合させて点火火花を点火プラグ15に発生させる。点火時点制御器34により,たとえば燃料噴射装置用噴射弁または他の機械的部品のような他の機能部を作動させることもできる。
エンジンユニット19内で使用されている交流発電機16は、図2に概略的に図示したようないわゆるクローポール発電機として構成されているのが有利である。この発電機は、実質的に,固定板24を介してクランクケース3に固定されているコイル体20から構成されている。コイル26は全部で12個の爪(クロー)27によって取り囲まれており、この場合爪27はコイル26の一方の端面と他方の端面とから交互にコイル26に係合している。爪27は交番磁場のための磁気回路の一部を形成している。
図示した実施形態では、ロータ21はファンホイール28のなかに一体に設けられている。ファンホイール28はクランク軸4の端部に相対回転不能に固定され、クランク軸4とともに回転する。ロータ21は12個の永久磁石23からなるマグネットリング21から構成されている。永久磁石23は極N,Sが交互になるようにロータ21の周方向に均等に配分されて配置されている。このため支持リング29が使用される。支持リング29は磁気ヨークリングとして構成されていてもよい。互いに並設されている永久磁石23の極性が交互になっているので、ロータ21が回転すると、交番磁場がコイル体20のコイル26を貫通する。交番磁場は対応的に誘導交流電圧信号を発生させ、該誘導交流電圧信号は導線17を介して点火ユニット18内の入力ユニット30に供給される。コイル体20を内燃エンジン1のクランクケース3に取り付ける場合、たとえば排出部9が開口したとき、または、ピストン6が上死点にあるとき、または、取り込み口8が開口したときに、誘導された電圧がゼロ通過点を有するように、ステータとしてのコイル体20の回転位置を調整するのが合目的である。図2に図示した交流発電機の理想的な電圧変化を図3に示す。電圧は正規化電圧U/U’として図示してあり、クランク軸4の回転位置、すなわちクランク軸角度゜KWとの関係を図示したものである。
発電機16の構成はクランク軸の1回転に整合しており、すなわち電圧信号Sの周期Tがクランク軸の1回転のn分の一に相当するように整合している。図3の実施形態では、nは2よりも大きな整数である。好ましくはnは5と8の間の整数、特に4と7の間の整数であるのがよい。本実施形態では、nは6である。nをこれよりも大きな、12以下の数、或いは、これよりも大きい数に設定するのが合目的な場合もある。これにより、クランク軸の1回転にわたるゼロ通過点の数量はより多くなる。
周期Tをクランク軸の1回転の6分の1であるように設定すれば、周期Tは60゜KWに相当する。これに対応して、クランク軸の1回転(360゜KW)は6つのクランク軸角度インターバルI,II,III,IV,V,VIに分割されている。これを図3の上側にバーで示し、且つ図4で円グラフで示した。
ステータまたはコイル体20のそれぞれ2つの爪27は、それぞれ2つの永久磁石23とともに、正の半波と負の半波とを備えた1つの完全な交流電圧波を生じさせる。個々の交流電圧波は隙間なく互いに接続している。これを図3に実線の曲線で示した。したがって、6つのクランク軸角度インターバルIないしVIに分割すると、交流電圧信号Sの12個のゼロ通過点Oが生じる。それ故、12個のゼロ位置インターバルN、たとえばN,N,N等を定義することができる。各ゼロ位置インターバルNは交流電圧信号Sの連続する2つのゼロ通過点、好ましくは隣り合うゼロ通過点OとOi+1とによって画成されている。ゼロ通過点Oの列は、角度情報信号W(図6)に対応している。角度情報信号Wは点火ユニット18の入力ユニット30内で処理される。各各ゼロ位置インターバルNに対しては、入力ユニット30によりインターバル回転数nを算出する。したがって、各ゼロ位置インターバルNには1つのインターバル回転数nが割り当てられている。
図4には、それぞれのクランク軸角度インターバルIないしVI或いはゼロ位置インターバルN1ないしN12の割り当てがゼロ通過点O1ないしO12とともに図示されている。図4から明らかなように、2つのゼロ通過点の間隔、たとえばO1とO2との間隔はちょうど30゜KWである。この関係から、ゼロ位置インターバルNにおけるクランク軸4の各速度ωを直接導出することができる。したがって、ゼロ通過点Oはクランク軸の1回転にわたって均等に配分されている。クランク軸の1回転の一部分にわたって(たとえば上死点TDC前の120゜KWから上死点TDC後の120゜KWまでの間)交流電圧信号を評価すれば十分である。また、この範囲にわたってのみ交流電圧信号が発生するように発電機を構成しても十分である。
この場合、ステータとロータとの構造的関連付けは、ピストンの上死点TDCが1つのゼロ通過点Oにすぐに続くように、好ましくはほぼ15゜KW遅れて続くように選定するのが有利である。なお、上死点TDCを信号Sの極大値付近または極大値に設定するのが合目的である。対応的に、ピストンの下死点BDCはほぼ195゜KWの位置にある。
図5は、内燃エンジン1の作動中における交流発電機16の電圧信号Uと時間tとの関係を示すグラフである。電圧の振幅とゼロ通過点の間隔とは回転数nに比例している。ゼロ通過点NないしN12はほぼ負荷に依存していない。その結果ゼロ位置インターバルは回転数を直接に表わすのに適した量である。場合によっては負荷がゼロ通過点Oの位置に影響することがあるが、これを避けるため、発電機16に接続されている電気負荷をゼロ通過点Oの領域で基本的に無電流に維持するのが合目的である。この場合、電気負荷は2つのゼロ通過点の間でのみ発電機からエネルギーの供給を受ける。このときゼロ通過点Oの時点では発電機に負荷がかからないので、誘導性信号シフトまたは容量性信号シフトが回避される。予想されるゼロ通過点Oの手前ほぼ5゜KWないしゼロ通過点O後ほぼ1゜KWで電流を遮断するのが合目的であることが判明した。
インターバル回転数nとインターバルNとの関係をプロットすると、始動過程に対しては図6のような回転数変化が明らかになる。図6では、1回のクランク軸の回転に対し算出したインターバル回転数nないしn12が図示してある。
インターバル回転数の回転数推移は角度情報信号Wを形成し、この角度情報信号Wに基づいて、交流電圧信号Sに対しクランク軸の機械的位置を回転位置正確に割り当てることができる。内燃エンジン1の回転数推移は、角度インターバルNの回数に強く依存している。クランク軸4の少なくとも1回の完全回転にわたって回転数推移Wを見ると、異なる有意な特徴を識別できる。1つの有意な特徴は内燃エンジン1の1つの作動パラメータ関係づけることができる。求めたインターバル回転数nの回転数推移から、内燃エンジン1の既知の構造的特徴との関連で、クランク軸角度位置を簡単に特定することができる。この場合、クランク軸4の実際の回転角度位置゜KWに関係なく、クランク軸4の回転開始とともに、インターバル回転数nの回転数推移Wを評価してクランク軸角度位置を特定する。このようなクランク軸角度位置の特定は、すでにクランク軸の最初の回転中に行なう。というのは、回転数変化の有意な特徴は、たとえば上死点TDCの領域での圧縮、排出口9の開口、或いは掃気通路14の開口により、当該有意な特徴に関係づけられるクランク軸角度インターバルNの間において際立っているからである。同じ回転数推移を用いて内燃エンジン1の複数個の異なる作動パラメータを検出できる。
交流電圧信号Sをクランク軸の機械的位置に対し回転位置正確に割り当てることができるように、本発明の第1実施形態によれば、インターバル回転数nの回転数推移Wを回転数極小値n12に関して調べる。この場合、回転数極小値n12に対応するクランク軸角度インターバルN12において、クランク軸角度位置はほぼ上死点TDCでのピストン6の位置に対応する。クランク軸の機械的角度位置をより迅速に且つより精密に特定するため、補助的に、電圧信号Fの極性をゼロ位置インターバルNにおいて評価してもよい。図3に図示の理想的な状態に関しては、ゼロ位置インターバルN,N,N,N,N,N11が正の半波を持ち、他のゼロ一インターバルN,N,N,N,N10,N12が負の半波を持っているので、ゼロ位置インターバルNないしN12を電子装置により難なく識別することができる。
さらに、交流電流発電機12の回転位置を、すなわち図2の実施形態においてステータを形成しているコイル体20の回転位置を、電圧信号Sのゼロ通過点O12がピストン6の上死点にあるようにすれば、ゼロ通過点Nと機械的クランク軸角度位置との十分一義的な関連付けが可能である。
回転数極小値n12のクランク軸角度インターバルN12が上死点TDCに対し対称であるようにステータ20の回転位置を調整するのが合目的である。このようにすると、隣接する回転数インターバルn11とnを比較することにより、算出の大きな手間を要せずに回転数極小値を求めることができる。この場合、
11>n12<n
である。始動時に交流電圧信号Sをクランク軸に迅速に関連付けるうえで好ましい前提が必要な場合は、ロータに対するステータの回転方向を、交流電圧信号Sのゼロ通過点Oがピストンの上死点TDCの直前にあるように、好ましくは上死点手前ほぼ15゜のクランク軸角度KWにあるように、設定するのが有利である。
図1の内燃エンジンの始動過程は、常にゼロ位置インターバルNの同じ間隔で発生する特徴的な回転数加速を示す。多数の始動過程から図8に示すような参照曲線Rを求めれば、この参照曲線Rに基づいて実際の機械的クランク軸角度位置を簡単に知ることができる。このため、求めたインターバル回転数を規格化し(nnom)、参照曲線Rの対応するインターバルNの参照回転数nrefと比較する。規格化したインターバル回転数の間の差Nnom(i)−nref(i)は、累積誤差を算出するために用いる。このようにして形成された累積誤差は、実際の回転数推移と参照曲線とが類似している場合、或いは、一致している場合、ほぼゼロである。したがって、図9において、累積誤差がほぼゼロであるので、インターバルL,L,L,L,Lにおけるピストン6の位置、よってクランク軸4の回転角度位置がはっきり見て取れる。これに応じて、累積誤差がほぼゼロの時点で点火時点制御器34は点火を行う。
本発明の他の構成では、回転数推移Wを、差を取ること(Differenzierung)または微分により図10のように差曲線または微分曲線(Differenzkurve)Dとして表示させることができる。この場合、数学的微分法は演算が面倒であるので適切でない。もしゼロ位置インターバルごとに回転数変化を評価すれば、近似的に同等の結果を得ることができる。このため、
Figure 0005250222
を適用する。
1つのゼロ位置インターバルが30゜KWにわたっているので、Δnは時間計測によって検出される。このようにして得られた差曲線Dは、割り当てられたクランク軸角度゜KWの1つのインターバルに有意な転回部Hを有している。この転回部Hは機械的なクランク軸角度の一義的な割り当てを可能にする。点火ユニット18が交流電圧信号Sに1つの一義的な機械的クランク軸角度位置を割り当てたとすると、ゼロ通過点をカウントするだけで実際のクランク軸角度位置を追跡することができる。回転数推移Wをさらに評価する必要がなくなる。交流電圧信号Sは実際の機械的クランク軸角度位置に角度正確に割り当てられている。すなわち交流電圧信号は角度正確に固定されている。各ゼロ通過点Oにおいて点火ユニット18は実際の機械的クランク軸角度位置を検知し、その結果判定回路32は処理された角度情報信号Wを点火時点制御器34に直接送ることができる。交流電圧信号Sを実際の機械的クランク軸角度位置に対し割り当てる(固定する)目的で角度情報信号Wを評価ユニット33で評価する必要はない。本発明の他の特徴によれば、2つのゼロ通過点の間で、クランク軸角度位置の外挿を行なう。なお、それぞれ1つのゼロ通過点Oを起点とする。この場合、次のゼロ通過点Oi+1に達するまでに角度誤差が発生することが確認されたが、しかしこの角度誤差はほぼ1゜のクランク軸角度の範囲にあり、次のゼロ通過点Oi+1に達すれば再びゼロに設定することができる。外挿の角度誤差の方向性は圧縮または膨張を示唆しており、最大誤差は完全燃焼の後に生じ、すなわち(圧縮による)減速が(燃焼による)加速に転じる時点で生じる。
図11からわかるように、角度誤差は際立っており、ピストン6の上死点TDCの領域でのクランク軸角度インターバルへの割り当て、すなわち時点T,Tでの割り当てを可能にする。
クランク軸の実際の回転角度位置をより正確に確定するため、交流発電機16の回転位置、すなわちステータ20の回転角度位置を、電圧信号Sの1つのゼロ通過点Oが点火時点範囲のいくぶん手前、すなわち上死点手前40゜、特に15゜のクランク軸4の回転角度位置KWにあるように、設定する。好ましくは、交流発電機16のステータとロータとの間の相対回転方向を、ピストンの上死点TDCにおいて特に正の電圧極大値が存在するように設定するのがよい。他の構成では、ゼロ通過点Oは内燃エンジンの点火時点範囲直前にあるのが合目的である。
本発明の他の構成では、点火ユニット18は互いに分離されているアッセンブリ18a,31から構成され、これらアッセンブリは独自の構成ユニットを形成している。一方のアッセンブリはマイクロプロセッサ等の電子制御ユニット18aによって形成され、他方のアッセンブリは高電圧ユニット31によって形成されている。これにより、制御ユニット18aを高電圧ユニット31とは別個に、作業機の熱的に好ましい領域に配置することができる。合目的には、エンジンユニット19に、またはその付近に配置するのがよい。したがって、制御ユニット18’aを気化器10のような混合気処理装置に配置してよい。エンジンユニット19は気化器10とともに防振要素を介して作業機のケーシング内に懸架式に配置するのが合目的である。この場合、気化器10はたとえば弾性を持つように構成した通路13aを介して内燃エンジン1に弾性を持って接続されているのが有利である。制御ユニット18’aを直接気化器10のケーシングに配置してもよく、このようにすると、気化器10がAV(防振)要素を介して作業機のケーシングから切り離され、内燃エンジン1と弾性を持って接続されるために振動から切り離されるので、効果的な防振作用が得られるという利点がある。したがって、高電圧ユニット31または発電機16に対する電気接続線をAV(防振)隙間を介して案内する必要なく、電子制御ユニット18’aの防振配置が得られる。制御ユニット18’aに対して熱的に好ましい配置が得られ、振動が少なく、汚染も少ない。
これとは択一的に、制御ユニット18’’’aをクランクケース3に、またはクランクケース3付近に配置してもよい。たとえばシリンダ2下方の発電機16付近に配置してもよい。制御ユニット18’’aを、シリンダ2とは逆の側の、クランクケース3の一部分、すなわち図1に図示したようにクランクケース3の下面に配置しても有利である。
図12の実施形態では、信号発生器16は星型発電機として構成され、すなわち信号発生器16は半径方向に星型に指向している複数個の極42を有している。ステータ40のコイル体20は個別のコア(鉄心)41を積層したものから構成され、個別のコア41は軸線方向に積層されている。このような積層鉄心はいくつかの支柱状のコイル担持体を有し、これらコイル担持体は半径方向内側から外周44まで延在している。個々の支柱は突出極42を形成しており、誘導コイル22を担持する担持体として用いる。誘導コイル22のうち少なくとも1つはそれぞれ1つの支柱状の極42上に配置されている。図示した実施形態では、全部で12個の支柱が設けられており、これらの支柱は周方向に等間隔Uで、好ましくは互いに30゜の角度を持って配置されている。
ステータ40を固定するため、互いにほぼ対向する2つの支柱に、軸線方向に連続的に延在する固定穴48が設けられている。固定穴48はコア41を貫通し、ステータ40をたとえばクランクケース3(図1)に相対回転不能に固定するための固定ねじを受容するために用いる。固定穴48を備えた支柱はコイルなしで形成される。ステータ40は鋳造するのが有利であり、このため、支柱状の極42の足部に、積層鉄心43の端面を越えて軸線方向に突出する筒状の底板45が取り付けられている。これに対応して支柱はその自由端に密閉板46を担持している。密閉板46の軸線方向の長さは底板45の軸線方向の高さに相当している。底板45と密閉板46との間の空間は注型樹脂で充填される。これによりコイルは個々の支柱状の極42に固定され、機械的な損傷から保護される。
固定穴48を備えた支柱は、周方向において片側に4個の極42が、他側に6個の極42が固定穴48の間にあるように選定されている。互いに結線されているコイル29の合成信号は、図3に図示したような交流信号Sに相当している。
ロータ52は、図2の実施形態の場合と同様に、内燃エンジンのファンホイール51によって形成されている。ステータ40側には、マグネットリング60を挿着して受容するための容器状の受容部55が形成されている。マグネットリング60は周方向において等間隔Aで北極Nまたは南極Sとして交互に磁化されている。このようにして周方向に12個の永久磁石23が形成されている。マグネットリング60をロータ52の容器状受容部55に回転適正に位置づけるため、端面側にロック溝39が設けられている。これらのロック溝39によりファンホイール51の回転位置に対するマグネットリング60の位置が特定され、よってクランク軸に対する位置が特定される。
取り付け状態においては、一体のマグネットリング60はその内周がステータ40の外周44上方に間隔を持って位置する。ステータ40は完全にマグネットリング60の中にある。ロータ52が回転すると、マグネットリング60の交互磁化により極42に交互磁束が発生し、図3および図5に図示したような交流電圧信号Sが誘導される。
点火ユニットを付設したエンジンユニットの概略構成図である。 エンジンユニットの内燃エンジンのクランク軸により駆動され、クローポール発電機として構成された交流発電機の概略構成図である。 クランク軸角度に対する多極交流発電機の理想的な電圧推移を示すグラフである。 クランク軸の1回転に図3の電圧信号のゼロ通過点を割り当てた図である。 図2の交流発電機の実際の交流電圧信号を示すグラフである。 内燃エンジンにより駆動される交流発電機の、インターバル回転数から形成される回転数推移を示すグラフである。 回転数最小値に対する交流発電機の回転位置を示すグラフである。 始動過程における、エンジンに典型的な回転数推移の参照曲線を示す図である。 図8の参照曲線に対し累積誤差を挿入した、始動過程時の内燃エンジンの回転数推移を示すグラフである。 差分回転数推移曲線Dを挿入した、始動過程時の内燃エンジンの回転数推移を示すグラフである。 1つのゼロ位置から次のゼロ位置までにクランク軸の回転角度位置を外挿した場合のクランク軸角度位置の角度誤差の推移を示すグラフである。 星型発電機として構成された交流発電機の概略構成図である。
符号の説明
1 内燃エンジン
2 シリンダ
3 クランクケース
4 クランク軸
5 燃焼室
6 ピストン
10 気化器
15 点火プラグ
16 交流発電機(信号発生器)
18 点火ユニット
19 エンジンユニット
35 消費装置
ゼロ通過点
N1,N2,...N ゼロ位置インターバル
,n,...n インターバル回転数(
S 交流電圧信号
W 角度情報信号

Claims (32)

  1. 内燃エンジン(1)を備えたエンジンユニット(19)のための点火装置であって、エンジンユニット(19)の内燃エンジン(1)が、ピストン(6)と、点火プラグ(15)を備えた燃焼室(5)と、ピストン(6)により回転駆動されるクランク軸(4)とを有し、燃焼空気を燃焼室(5)に供給するための取り込み窓(8)と、燃焼ガスを燃焼室(5)から排出させるための排出口(9)と、クランク軸(4)により回転駆動され、電気消費装置に給電するための電気導線を備えた交流発電機(16)とが設けられ、交流発電機(16)がエンジンユニット(19)に固定され、且つクランク軸(4)が1回転している間に連続的に交流電圧信号(S)を点火ユニット(18)へ放出し、点火ユニット(18)が予め選定可能な時点で点火プラグ(15)に点火火花を発生させるようにした前記点火装置において、
    点火ユニット(18)がエンジンユニット(19)とは別個のアッセンブリとして構成されていること、
    点火ユニット(18)に、内燃エンジン(1)を作動させるために十分な情報信号として、交流発電機(16)の交流電圧信号(S)から導出される角度情報信号(W)を供給すること、
    導出した角度情報信号(W)が、内燃エンジン(1)を作動させるために十分な情報信号として、機械的クランク軸角度を交流電圧信号(S)に対し回転位置適正に割り当てること、
    交流電圧信号(S)を、エネルギー処理ユニット(30)と内燃エンジン(1)を制御するための情報を処理する情報処理ユニット(33)とに供給すること、
    を特徴とする点火装置。
  2. 交流発電機(16)の交流電圧信号(S)を、内燃エンジン(1)を作動させるために十分な唯一の情報信号として供給することを特徴とする、請求項1に記載の点火装置。
  3. 角度情報信号(W)が交流電圧信号(S)の連続するゼロ通過点(O)から構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の点火装置。
  4. ゼロ通過点(O)がクランク軸の1回転にわたって均等に分布していることを特徴とする、請求項3に記載の点火装置。
  5. 2つのゼロ通過点の間の間隔がゼロ位置インターバル(N1,N2,...N)を形成し、各ゼロ位置インターバル(N1,N2,...N)に対しインターバル回転数(n,n,...n)を検出すること、インターバル回転数(n,n,...n)が回転数推移を表わしていること、回転数推移が角度情報信号(W)を形成していることを特徴とする、請求項3に記載の点火装置。
  6. 回転数推移がクランク軸(4)の少なくとも1回の完全回転を表わしていることを特徴とする、請求項5に記載の点火装置。
  7. 導出された角度情報信号(W)に有意な特徴があるかどうかを調べ、有意な特徴をクランク軸(4)の既知の機械的回転角度位置に割り当てることを特徴とする、請求項1に記載の点火装置。
  8. 1つのゼロ位置インターバル(N1,N2,...N)がクランク軸の1回転のn分の一に相当し、nは6よりも大きな整数であることを特徴とする、請求項5に記載の点火装置。
  9. 前記nが6と24の間にあり、好ましくは12に等しいことを特徴とする、請求項8に記載の点火装置。
  10. 1つのゼロ位置インターバル(N)がピストン(6)の上死点(TDC)に関し対称であるように、エンジンユニット(19)に設けた交流発電機(16)の回転位置とピストン(6)の上死点(TDC)とが互いに整合していることを特徴とする、請求項5に記載の点火装置。
  11. エンジンユニット(19)における交流発電機(16)の回転位置とピストン(6)の上死点(TDC)とは、交流電圧信号(S)の1つのゼロ通過点(O)が好ましくはピストン(6)の上死点(TDC)手前ほぼ15゜のクランク軸角度(KW)に相当するように整合していることを特徴とする、請求項5に記載の点火装置。
  12. クランク軸(4)の1つの回転角度位置における1つの交流電圧信号(S)の1つのゼロ通過点(O)が点火時点範囲のいくぶん手前にあるように、好ましくは点火時点範囲の直前にあるように、交流発電機(16)の回転位置が設定されていることを特徴とする、請求項5に記載の点火装置。
  13. インターバル回転数(n,n,...n)の回転数推移を差分し、差分した差曲線(D)において有意な特徴を持っているゼロ位置インターバル(N)に特徴的な機械的クランク軸角度位置を割り当てることを特徴とする、請求項5に記載の点火装置。
  14. 交流発電機(16)がクローポール発電機または星型発電機として構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の点火装置。
  15. 交流発電機(16)のステータ(20)がクランクケース(3)に固定され、回転するマグネットリング(21,60)が内燃エンジン(1)のファンホイール(28,51)と相対回転不能に結合されていることを特徴とする、請求項14に記載の点火装置。
  16. 交流電圧信号(S)のエネルギーを電気消費装置に供給し、特に点火装置の高電圧ユニット、加熱装置、光源等に供給することを特徴とする、請求項1に記載の点火装置。
  17. 交流発電機(16)に接続されている電気負荷による電流の流れが、交流電圧信号(S)のゼロ通過点(O)の領域で遮断されていることを特徴とする、請求項16に記載の点火装置。
  18. 交流発電機(16)に接続されている電気負荷による電流の流れが、ゼロ通過点(O)手前ほぼ5゜のクランク軸角度(KW)からゼロ通過点(O)後ほぼ1゜のクランク軸角度(KW)まで遮断されていることを特徴とする、請求項16に記載の点火装置。
  19. 点火ユニット(18)が、マイクロプロセッサ等の制御ユニット(18a)と、該制御ユニット(18a)とは切り離されている高電圧ユニット(31)とを有していることを特徴とする、請求項1に記載の点火装置。
  20. 制御ユニット(18a)が、高電圧ユニット(31)とは別個に、作業機の低熱負荷領域に配置されていることを特徴とする、請求項19に記載の点火装置。
  21. 制御ユニット(18a)がエンジンユニット(19)の構成部材に配置され、またはエンジンユニット(19)の構成部材の付近に配置されていることを特徴とする、請求項19に記載の点火装置。
  22. 前記構成部材が混合気処理装置、好ましくは気化器(10)であることを特徴とする、請求項21に記載の点火装置。
  23. 前記構成部材がクランクケース(3)であり、好ましくはクランクケース(3)のシリンダ(2)とは逆の側に設けた構成部材であることを特徴とする、請求項21に記載の点火装置。
  24. 内燃エンジン(1)の回転軸(4)により駆動される交流発電機(16)の交流電圧信号から、回転軸(4)に回転角度適正に割り当てられる角度情報信号(W)を導出する方法、特に請求項1から23までのいずれか一つに記載の記載の点火装置に適用される方法において、
    構造的に予め設定した、交流電圧信号(S)の複数個のゼロ通過点(O)の間の間隔が、nを整数としたときに前記回転軸(4)の完全な1回転のn分の一に相当するように、交流発電機(16)を構成すること、
    連続するゼロ通過点(O,Oi+1)の間の時間間隔を検出すること、連続するゼロ通過点(O,Oi+1)の1つのゼロ位置インターバル(N)に対しインターバル回転数(n)を検出すること、
    インターバル回転数(n,n,...n)の回転数値を回転軸角度(゜KW)に対しプロットし、前記回転数値をして、回転軸(4)の機械的回転角度位置(゜KW)に対する角度情報信号(W)を形成する回転数推移を再現させること、
    を特徴とする方法。
  25. 交流発電機(16)に負荷がないときにゼロ通過点(O)を特定することを特徴とする、請求項24に記載の方法。
  26. 交流発電機(16)に接続されている電気負荷による電流の流れを、交流電圧信号(S)のゼロ通過点(O)の時点で遮断することを特徴とする、請求項24に記載の方法。
  27. 交流発電機(16)に接続されている電気負荷による電流の流れの遮断を、ゼロ通過点(O)手前ほぼ5゜のクランク軸角度(KW)からゼロ通過点(O)後ほぼ1゜のクランク軸角度(KW)まで継続させることを特徴とする、請求項26に記載の方法。
  28. 回転数推移に回転数極小値があるかどうかを調べ、回転数極小値があれば、該回転数極小値に、ピストンの上死点(TDC)における回転角度位置(゜KW)を割り当てることを特徴とする、請求項24に記載の方法。
  29. 回転数推移を参照曲線(R)と比較し、参照曲線(R)と十分一致していれば、参照曲線(R)の具体的な回転数値を実際の回転数推移の位相位置に割り当てることを特徴とする、請求項28に記載の方法。
  30. 回転数推移を差分し、差曲線(D)を参照曲線(R)と比較することを特徴とする、請求項24に記載の方法。
  31. 参照曲線(R)との比較を累積誤差方式に従って行なうことを特徴とする、請求項29に記載の方法。
  32. 2つのゼロ位置(N,Ni+1)の間で実際のクランク軸角度位置(゜KW)を外挿法により特定することを特徴とする、請求項24に記載の方法。
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