以下に、本発明の実施形態に係るシールドコネクタおよびシールドコネクタ付き電線につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
[実施形態]
図1から図13を参照して、実施形態について説明する。実施形態は、シールドコネクタおよびシールドコネクタ付き電線に関する。図1は、実施形態に係るシールドコネクタを示す斜視図である。図2は、実施形態に係るシールドコネクタを示す分解斜視図である。図3は、実施形態の端子金具およびシールド電線を示す斜視図である。図4は、実施形態に係るシールドコネクタを示す斜視図である。図5は、実施形態に係るシールドコネクタを示す平面図である。図6は、実施形態に係るシールドコネクタの断面図である。図7は、実施形態の収容体を示す分解斜視図である。図8は、実施形態のシールドシェルを示す平面図である。図9は、実施形態におけるシールド電線に接続された筒状部材を示す斜視図である。図10は、実施形態の筒状部材を示す斜視図である。図11は、実施形態の筒状部材を示す斜視図である。図12は、実施形態の相手方コネクタを示す分解斜視図である。図13は、実施形態の相手方コネクタを示す分解斜視図である。図6は、図5に示すVI-VI断面である。
図1に示すように、実施形態に係るシールドコネクタ1は、相手方コネクタ101と電気的に接続されるものである。シールドコネクタ1は、例えば、自動車などの車両に搭載される。実施形態に係るシールドコネクタ1は、シールド電線同士またはシールド電線と電子機器とを電気的に接続するコネクタである。また、実施形態に係るシールドコネクタ付き電線WHは、実施形態に係るシールドコネクタ1がシールド電線SWに対して電気的に接続されたものである。
図2に示すように、実施形態に係るシールドコネクタ1は、端子金具10、収容体20A、シールドシェル20B、筒状部材70、絶縁部材80、シール部材Se1、保持部材20Cを含んで構成されている。
端子金具10は、後述する相手方コネクタ101の相手方端子110(図12参照)と電気的に接続される部材である。端子金具10は、金属、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金などを用いて形成されている。端子金具10は、シールド電線SWの末端に接続されている。端子金具10は、電気接続部11および電線接続部12を有する。電気接続部11は、相手方端子110に対して電気的に接続される部分である。電線接続部12は、シールド電線SWの末端に対して電気的に接続される部分である。
実施形態の電気接続部11は、雄型に形成されている。図3に示すように、電気接続部11は、2つの平坦な壁面11a,11bを持つ矩形の平板状に形成されている。電気接続部11において、壁面11a,11bは、相手方端子110との接点部として利用される。なお、実施形態において、端子金具10からシールド電線SWに向かう方向を第一方向Xと称する。
電線接続部12は、シールド電線SWの末端に対して物理的かつ電気的に接続される。シールド電線SWは、電線EW、編組体BC、シースSHを含んで構成されている。電線EWは、芯線E1および被覆部E2を含む。芯線E1は、導電性の金属、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金などの素線を複数束ねたものである。なお、芯線E1は、複数の素線を撚り合わせた撚り芯線であってもよい。被覆部E2は、芯線E1の外周面を被覆する筒状の電線被覆である。被覆部E2は、例えば、絶縁性の樹脂材料などを押出成形することによって形成される。被覆部E2の樹脂材料としては、PPやPVC、架橋PEなどから耐摩耗性や耐薬品性、耐熱性などに配慮して適宜選定されたものが用いられる。
編組体BCは、電線EWの外周面を覆う筒状の部材である。編組体BCは、導電性の素線が筒状且つ網目状に編み込まれたものである。編組体BCは、芯線E1に電流が流れることで発生する電磁ノイズが、電線EWの周囲に配置された電子機器などに影響を及ぼすことを抑制する。また、周囲からの電磁ノイズによる芯線E1への影響を抑制する。すなわち、編組体BCは、いわゆる電磁シールド部材である。シースSHは、電線EWおよび編組体BCを覆う。シースSHは、電線EWおよび編組体BCを保護する外部被覆体である。シースSHは、例えば、樹脂、天然ゴムやクロロプレン(ネオプレン)、ビニルなどを用いて形成される。
シールド電線SWの末端部SWeにおいては、編組体BCの一部分がシースSHから露出しており、更に末端側で、芯線E1がシースSH、編組体BCおよび被覆部E2から露出している。シールド電線SWの末端部SWeにおいて、シースSHから露出する編組体BCの部分を編組体露出部BCaと称し、被覆部E2から露出する芯線E1の部分を芯線露出部E1aと称する。芯線露出部E1aは、電線接続部12に物理的かつ電気的に接続されている。実施形態の端子金具10においては、電気接続部11の一方の端部11c側が端子金具10の先端となり、他方の端部11d側に電線接続部12が配置されている。実施形態の電線接続部12は、電気接続部11の壁面11a側に配置されている。電線接続部12は、超音波溶着によって、芯線露出部E1aと接合されている。このとき、芯線露出部E1aは、平坦な板状に加工されており、芯線露出部E1aの一方の面が電線接続部12と接合している。なお、シールド電線SWの末端部SWeにおいて、シースHSから露出した編組体BCの部分と被覆部E2との間には、後述する加締め工程の際に用いられる第一リング部材R1が設けられている。第一リング部材R1は、例えば、金属材料によって形成されている。
図4および図5に示すように、収容体20A、シールドシェル20Bおよび保持部材20Cは、筐体20を構成する。筐体20は、シールド電線SWの末端部SWeと端子金具10とを収容する。
図6に示すように、収容体20Aは、電気接続部11を内部に収容している。ここで、電線接続部12およびシールド電線SWの末端部SWeは、収容体20Aの外部に突出している。実施形態の収容体20Aは、第一収容部材30および第二収容部材40を含む。
図7に示すように、第一収容部材30は、下部に開口32を有する略直方体の箱状に形成されている。第一収容部材30は、頂壁部37と、頂壁部37の縁部に垂設された外壁部31と、を有している。第一収容部材30において、外壁部31における開口32側の端部は、相手方コネクタ101との嵌合部(コネクタ嵌合部31a)となる。第一収容部材30は、頂壁部37および外壁部31に囲まれた収容空間33を有している。外壁部31には、収容空間33と外部とを連通する挿入孔34が形成されている。挿入孔34には、端子金具10およびシールド電線SWの末端が挿通される。
第二収容部材40は、第一収容部材30の開口32から収容空間33に収容される。第二収容部材40は、収容空間33内で電気接続部11が収容される端子収容部41を有している。端子収容部41の底壁部には、相手方端子110が挿入される端子挿入口43が形成されている。端子収容部41には、シールドコネクタ1と相手方コネクタ101の嵌合が完了した際に、後述する第一電気接続部121および第二電気接続部122が収容される。第二収容部材40は、作業者等の手指が端子挿入口43を介して電気接続部11に接触することを阻害する接触防止部45を有する。
接触防止部45は、第二収容部材40を端子挿入口43側から見たときに電気接続部11に沿うように設けられ、端子挿入口43を第一挿入口43aと第二挿入口43bとに分割している。実施形態においては、第一挿入口43aには、第一電気接続部121が挿入され、第二挿入口43bには、第二電気接続部122が挿入される。第一収容部材30および第二収容部材40は、絶縁性の部材であり、例えば、合成樹脂などを用いて形成されている。
シールドシェル20Bは、端子金具10に電流が流れることで発生する電磁ノイズが、シールドコネクタ1の周囲に配置された電子機器などに影響を及ぼすことを抑制するための部材である。また、シールドシェル20Bは、収容体20Aからシールド電線SWの末端までの間において、外部からノイズが侵入することを抑制する。
図4に示すように、シールドシェル20Bは、第一シールド部51および第二シールド部52を有する。実施形態の第一シールド部51は、図4における上部に開口51eを有する略直方体の箱状に形成されている。図1に示すように、第一シールド部51は、頂壁部51aおよび外壁部51bを有している、外壁部51bは、頂壁部51aの縁部に垂設されている。外壁部51bは、第一収容部材30の外形に合わせて形成されている。実施形態においては、外壁部51bは、第一収容部材30を外部から囲むように、角筒状に形成されている。
図6に示すように、第一シールド部51は、収容体20Aおよび端子金具10を収容している。外壁部51bにおける頂壁部51a側とは反対側の端部は、第一シールド部51に形成された開口51eを囲んでいる。実施形態において、外壁部51bには、貫通孔51cが形成されている。貫通孔51cは、第一収容部材30が収容空間33に配置された状態において、挿入孔34に対向する位置に形成されている。
図4に示すように、第二シールド部52は、第一シールド部51から突出している。第二シールド部52は、両端を開口させた筒形状を有している。図8に示すように、第二シールド部52は、一端が貫通孔51cを囲むように形成されている。したがって、第二シールド部52の内側の空間(収容空間33)は、第一シールド部51の内側の空間と連通している。実施形態の第二シールド部52は筒状の外壁部52aと、外壁部52aで囲まれた空間内に外壁部52aに沿って設けられた筒状の内壁部52bとを有する。
外壁部52aは、円筒形状を有している。内壁部52bは、角筒形状を有している。外壁部52aは、内壁部52bを外方から囲んで形成されている。図6に示すように、内壁部52bにおける第一シールド部51から近い側の端部52gは、外壁部52aと接続されており、貫通孔51cを囲んでいる。内壁部52bにおける第一シールド部51から遠い側の端部52hは、外壁部52aと離間しており、外壁部52aの中間よりも貫通孔51c側に設けられている。内壁部52bは、外壁部52aに対して、互いの筒軸を実質的に一致させるように配置されている。端子金具10は、内壁部52bで囲まれた空間を介して貫通孔51cに挿通されている。
第二シールド部52は、端子金具10毎(貫通孔51c毎)に設けられている。実施形態においては、第二シールド部52は、1つの第一シールド部51に対して2つ設けられている。2つの第二シールド部52は、互いに並列配置されている。2つの第二シールド部52の間には、連結部53が設けられている。連結部53は、第二シールド部52の両端部のうち第一シールド部51側の端部付近に配置されている。連結部53は、シールドコネクタ1を相手方コネクタ101に対して固定するための締結部材B0を通す貫通孔54を有している。
端子金具10の電線接続部12は、絶縁性の収容体20Aから突出しており、導電性の第二シールド部52で覆われている。実施形態のシールドコネクタ1においては、電線接続部12と第二シールド部52との間に絶縁体として、絶縁部材80を介在させている。絶縁部材80は、電線接続部12とシールド電線SWの末端とを覆う筒状の部材である。絶縁部材80は、合成樹脂などの絶縁性材料で形成されている。絶縁部材80の一部は、第二接続部72の径方向において、第二接続部72と内壁部52bとの接触部と、シールド電線SWの末端との間に位置している。
図9に示すように、シールド電線SWには、筒状部材70が取り付けられている。筒状部材70は、導電性の部材であり、シールド電線SWの末端部SWeにおいて、編組体露出部BCaに電気的に接続されている。図6に示すように、筒状部材70は、編組体BCとシールドシェル20Bとを電気的に接続する部材である。筒状部材70は、導電性の金属、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金などを用いて形成される。筒状部材70は、編組体BCに対して接続される第一接続部71と、第二シールド部52に対して接続される第二接続部72とを有している。図9に示すように、第二接続部72は、第一接続部71よりも端子金具10側に配置されている。
図10および図11に示すように、実施形態において、第一接続部71は、円筒形状に形成されている。第二接続部72は、第二シールド部52との接続方式に対応した形状に形成される。実施形態の第二接続部72は、四つの平坦部72aと四つの湾曲部72bとを有している。平坦部72aは、平板形状を有している。湾曲部72bは、湾曲した板形状を有している。一つの湾曲部72bは2つの平坦部72aの主面が互いに直交するように2つの平坦部72aの端部同士を接続している。第二接続部72において、平坦部72aおよび湾曲部72bは、筒状を成すように配置されている。この配置により、第二接続部72は、角部が湾曲した角筒状に形成されている。
筒状部材70にシールド電線SWが挿通される方向(第一方向X)に対して直交する断面において、第二接続部72の断面積S2(図11参照)は、第一接続部71の断面積S1(図10参照)よりも大きい。ここで、第二接続部72の断面積S2とは、第二接続部72で囲まれた空間を含んだ断面積である。また、第一接続部71の断面積S1とは、第一接続部71で囲まれた空間を含んだ断面積である。実施形態において、第二接続部72の内径は、第一接続部71の内径よりも大きい。第二接続部72の内径を第一接続部71の内径よりも大きくすることで、第二接続部72で覆われる内壁部52bによって囲まれる空間を大きくすることができる。この構造によって、内壁部52b内に絶縁部材80を挿入することが可能となる。内壁部52b内に絶縁部材80が挿入されることで、第二接続部72と内壁部52bとの接触部と、シールド電線SWの末端との間を第二接続部72の径方向において絶縁することができる。したがって、シールドコネクタ1におけるシールド電線SWの挿入方向(第一方向X)において、電線接続部12と筒状部材70との距離を縮めることができる。これにより、シールドコネクタ1の第一方向Xにおける長さを短くすることができる。
第一接続部71と第二接続部72との間には、連結部73が設けられている。連結部73は、第二接続部72の一方の端部で囲まれた開口の一部を覆い、第一接続部71の一方の端部と第二接続部72の一方の端部とを接続している。図11に示すように、連結部73は挿通孔73aを有しており、第二接続部72の一方の端部は、挿通孔73aを囲んで接続されている。したがって、第一接続部71で囲まれた空間と第二接続部72で囲まれた空間と挿通孔73aは連通している。
図6に示すように、第一接続部71は、編組体露出部BCaの外周面を覆って、編組体露出部BCaと電気的に接続されている。実施形態においては、図9に示すように、第一接続部71の外周面を覆う第二リング部材R2が設けられている。第二リング部材R2は、リング状の部材である。第二リング部材R2は、例えば、金属材料を用いて形成されている。第二リング部材R2は、第一リング部材R1と共に、編組体露出部BCaと第一接続部71とを加締める、加締め工程において用いられるものである。加締め工程において、編組体露出部BCaと第一接続部71とは、第一リング部材R1と第二リング部材R2との間で圧着されることで、電気的に接続される。ここで、編組体露出部BCaと被覆部E2との間に設けられた第一リング部材R1は、編組体露出部BCaと第一接続部71とを加締める際に加えられる力が電線EWに及ぶことを抑制する。なお、第一リング部材R1および第二リング部材R2は、設けられていなくてもよい。つまり、加締め工程は、第一リング部材R1と第二リング部材R2とを設けることなく実施されてもよい。なお、芯線露出部E1aから筒状部材70までの距離は、空気を介して芯線露出部E1a(または端子金具10)から筒状部材70に電流が流れない程度の距離であれば、可能な限り小さくすることができる。
第二接続部72は、編組体露出部BCaと接続された状態で、第二シールド部52の外壁部52aに挿通される。図6に示すように、第二接続部72は、第二シールド部52の内壁部52bに対して電気的に接続される。第二接続部72は、第一接続部71によりも第一シールド部51側に配置されている。実施形態において、第二接続部72は、内壁部52bが挿入されて嵌め込まれることで、内壁部52bと電気的に接続される。つまり、第二接続部72は、内壁部52bの外周面52fに対して電気的に接続されている。
図11に示すように、実施形態の筒状部材70は、第二接続部72に取り付けられたバネ部材74を含んで構成されている。バネ部材74は、バネ特性を有する導電性の部材である。バネ部材74は、第二接続部72における第二シールド部52と対向する面に設けられる。実施形態の第二接続部72において、バネ部材74は、第二接続部72の平坦部72aにおける外周面52fと対向する面に取り付けられている。第二接続部72は、バネ部材74を介して、内壁部52bと電気的に接続されている。
バネ部材74は、板バネ状の部材であり、一つの平坦部72a毎に、三つ取り付けられている。バネ部材74は、平坦部72aの両端に配置されている一方の湾曲部72b側から他方の湾曲部72b側に沿って、並んで配置されている。各バネ部材74は、第二接続部72における内壁部52bの挿入方向に沿った方向(第一方向X)に延在している。各バネ部材74の両端のそれぞれは、環状のばね支持部75に接続されている。各バネ部材74は、ばね支持部75を介して第二接続部72の内側に取り付けられている。
第一方向Xにおけるバネ部材74の両端は、第二接続部72に固定されている。そして、バネ部材74の中央部は、内壁部52bの外周面52fに向けて突出するように湾曲した曲面状に形成されている。バネ部材74は、バネ部材74と第二シールド部52との接点に接触荷重を付加する。この接触荷重によって、バネ部材74と第二シールド部52との接点の安定性を向上させることができる。実施形態のバネ部材74には、第二シールド部52と接する面に突起部(インデント)74aが形成されている。実施形態の突起部74aは、バネ部材74から内壁部52bの外周面52fに向けて突出する点状に形成されている。
第二シールド部52で囲まれた空間内には、第二シールド部52の内壁面とシールド電線SWの外周面との間をシールするシール部材Se1が設けられている。シール部材Se1は、シールド電線SWの外周面を覆う環状に形成されている。シール部材Se1は、筒状部材70よりも第一シールド部51から遠い位置に配置されている。つまり、第二シールド部52の内部において、筒状部材70は、シール部材Se1よりも第一シールド部51側に配置されている。ここで、実施形態のシール部材Se1は、内壁部52bの端部52hよりも第一シールド部51から遠い位置に配置されている。シール部材Se1は、外壁部52aに当接することで、シールド電線SWと外壁部52aの内周面との間をシールする。シール部材Se1は、樹脂などの弾性材料によって形成されている。実施形態のシール部材Se1は、環状のゴム栓である。
筐体20を構成する保持部材20Cは、第二シールド部52の自由端側の開口を塞ぐと共に、シールド電線SWをシールドコネクタ1の外部へ引き出すための部材である。図1に示すように、保持部材20Cは、第二シールド部52の自由端側の開口に嵌め込まれる壁部61を有している。壁部61は、環状に形成されており、シールド電線SWが挿通される挿通孔61cを有している。
実施形態の保持部材20Cは、被係合部62を有している。被係合部62は、保持部材20Cを第二シールド部52に固定するための部分である。実施形態において、第二シールド部52(外壁部52a)の自由端側の端部には、係合部52cが形成されている。ここで、係合部52cは、第二シールド部52の外周面から突出する爪状の突起として形成されている。実施形態の被係合部62は、壁部61の外周面に設けられている。被係合部62は、一対の可撓部61aおよび接続部61bを有する。一対の可撓部61aは、環状の壁部61の軸方向に沿って延在し、壁部61の周方向おいて並ぶ。接続部61bは、一対の可撓部61aの端部を繋ぐ。被係合部62は、一対の可撓部61aを撓ませることによって、接続部61bを壁部61に対して径方向に動かすことができる。 保持部材20Cは、第二シールド部52における自由端側の開口を塞ぐ際に、可撓部61aを撓ませて、接続部61bに係合部52cを乗り越えさせることで、被係合部62と係合部52cとを係合させる。第二シールド部52の外周面には、係合部52cを挟んで設けられた一対のガイド部52dが設けられている。一対のガイド部52dの間隔は、被係合部62の幅よりもやや広めに設定されている。一対のガイド部52dは、保持部材20Cが第二シールド部52に取り付けられる際に、被係合部62が係合部52cと係合できるように案内する。
実施形態のシールドコネクタ1において、第一収容部材30は、第一シールド部51の収容空間に収容される。絶縁部材80に挿入された端子金具10が先端から第一収容部材30の収容空間33に収容される。その後、第二収容部材40を収容空間33に挿入する。第一収容部材30と第二収容部材40とシールドシェル20Bとは螺子止め固定される。第一シールド部51には、外壁部51bの筒軸方向を軸線とする雌螺子部Nが形成されている(図5参照)。第一収容部材30、第二収容部材40、およびシールドシェル20Bは、雌螺子部Nに雄螺子部材B(図2参照)を螺合することによって固定される。雌螺子部Nの周りには円筒状のボス部が形成されている。第一収容部材30には、雌螺子部Nを有する円筒状のボス部を挿通させる貫通孔38が形成されている(図2参照)。また、第二収容部材40には、雄螺子部材Bを挿通させる貫通孔48が形成されている(図2参照)。貫通孔38,48は、外壁部31の筒軸方向を軸線とする。ボス部51dは、外壁部51bの筒軸方向を軸線とする。よって、第一収容部材30、第二収容部材40、およびシールドシェル20Bは、外壁部51bの筒軸方向で雄螺子部材Bによって共締めされる。
以上示したシールドコネクタ1は、相手方コネクタ101と嵌合して、相手方コネクタ101に対して電気的に接続される。以下においては、相手方コネクタ101について説明する。
図12に示すように、相手方コネクタ101は、相手方端子110を含んで構成されている。相手方端子110は、は、雌型に形成されている。相手方端子110は、金属板を母材とし、切断や折り曲げなどのプレス加工で雌型に形成される。相手方端子110は、互いに間隔を空けて対向配置した第一電気接続部121と第二電気接続部122とを有する。相手方端子110は、後述する筐体140に固定される被固定部124を有する。被固定部124には、貫通孔124aが形成されており、貫通孔124aを介して雄螺子部材B1によって、後述する収容部材150に固定される。
相手方コネクタ101は、その相手方端子110を収容する筐体140を含んで構成される。筐体140は、収容部材150および保持部材160を含む。保持部材160は、相手方端子110を収容する絶縁性の部材である。収容部材150は、第一収容部151と第二収容部152を有する。第一収容部151は、第一電気接続部121を収容する。第二収容部152は、第二電気接続部122を収容する。収容部材150は、筒状部153を有している。第一収容部151および第二収容部152は、その筒状部153の内部空間からコネクタ挿入方向に向けて延在させ、かつ、この筒状部153の一端の開口153aから突出させている。
図13に示すように、収容部材150には、筒状部153の外周に、電源回路などの筐体201に取り付けるためのフランジ部154が形成されている。フランジ部154は、雄螺子部材B2が挿通される貫通孔154aを有している。筐体201には、その雄螺子部材B2が螺合される雌螺子部N2が形成されている。収容部材150は、雄螺子部材B2を介して筐体201に固定される。
筒状部153におけるフランジ部154よりもコネクタ挿入方向側が、シールドコネクタ1における筐体20のコネクタ嵌合部31aとのコネクタ嵌合部153eとなる。一方、筒状部153におけるフランジ部154よりもコネクタ抜去方向側は、保持部材160との嵌合部153fになる。保持部材160は、筒状部153の他端の開口153b側で嵌合部153fに嵌合し、相手方端子110の挿入口153cを塞ぐ。保持部材160は、相手方コネクタ101において、筐体201との嵌合部になる。
シールドコネクタ1は、この相手方コネクタ101に挿入嵌合することによって、この相手方コネクタ101に対して電気的に接続される(図1)。実施形態のシールドコネクタ1と、相手方コネクタ101とは、締結部材B0によって螺子止め固定される。締結部材B0は、連結部53の貫通孔54を介して筐体201に形成された雌螺子部N0と螺合する。筐体201は、接地(アース)されており、シールドコネクタ1は、螺子止め固定によって、シールドシェル20Bを筐体201に接触させてその相互間を電気的に接続させる。この接続により、編組体BCは、筒状部材70、シールドシェル20Bおよび筐体201を介して接地される。なお、シールドシェル20Bは、導電性の締結部材B0を介して筐体201に電気的に接続されてもよい。
図1に示すように、実施形態に係るシールドコネクタ1には、カバー部材90が設けられている。カバー部材90は、貫通孔54に挿通された締結部材B0を上方から覆う部材である。実施形態のカバー部材90は、カバー部分91、被係止部92、および連結部93を含んで構成されている。
カバー部分91は、カバー部材90の上端部(頂壁部51a側に配置される端部)に配置される。カバー部分91は、締結部材B0を上方から覆う部分である。被係止部92は、カバー部材90の下端部(開口51e側に配置される端部)に配置される。連結部93は、カバー部分91と被係止部92とを繋ぐ部分である。カバー部分91および被係止部92のそれぞれの大きさは、2つの第二シールド部52の間隔よりも大きく形成されている。連結部93の大きさは、2つの第二シールド部52の間隔よりもやや小さく形成されている。
カバー部材90は、第二シールド部52から第一シールド部51に向かう方向に沿って連結部93が2つの第二シールド部52の間に挿入されることで取り付けられる。第二シールド部52には、被係止部92を係止する係止部52eが形成されている(図5参照)。係止部52eは、第二シールド部52の外壁部52aの外周面から突出する突起部として設けられている。係止部52eは、2つの第二シールド部52における開口51e側の外周面に配置されている。被係止部92は、第二シールド部52から第一シールド部51に向かう方向に対して直交する方向に突出した突起部92aを有している。実施形態において突起部92aは、2つ設けられている。2つの突起部92aは、第二シールド部52から第一シールド部51に向かう方向に対して直交する方向における被係止部92の両端のそれぞれから突出している。カバー部材90の連結部93が第二シールド部52の間に挿入されたとき、2つの突起部92aは、互いの間隔を小さくしながら係止部52eの間を通過する。2つの突起部92aが係止部52eの間を通過した後、2つの突起部92aの間隔は元の間隔に戻る。突起部92aは、係止部52eに当接することで、第一シールド部51から第二シールド部52に向かう方向におけるカバー部材90の筐体20に対する相対移動を規制する。また、カバー部材90が筐体20に取り付けられたときに連結部53においてカバー部分91と対向する部分には、係止部53Pが形成されている(図1参照)。係止部53Pは、カバー部分91を係止する。実施形態のカバー部材90において、カバー部材90が筐体20に取り付けられたときにカバー部分91において連結部53と対向する面には、突起(図示せず)が設けられている。カバー部材90の連結部93が第二シールド部52の間に挿入されたとき、カバー部分91の突起は、係止部53Pを乗り越える。その後、カバー部材91の突起は、係止部53Pに当接することで、第一シールド部51から第二シールド部52に向かう方向におけるカバー部材90の筐体20に対する相対移動を規制する。以上の構成によって、カバー部材90は、筐体20に取り付けられる。
以上説明したように、実施形態に係るシールドコネクタ1は、電線EWと、電線EWを覆う編組体BCとを有するシールド電線SWの末端に接続され、相手方コネクタ101の相手方端子110と接続される端子金具10と、端子金具10を収容する第一シールド部51と、第一シールド部51から突出しており、シールド電線SWが挿通される筒状の第二シールド部52と、を有する導電性のシールドシェル20Bと、第二シールド部52の内壁面とシールド電線SWの外周面との間をシールするシール部材Se1と、第二シールド部52の内部におけるシール部材Se1よりも第一シールド部51側に配置された導電性の筒状部材70と、を含み、筒状部材70は、編組体BCに対して電気的に接続される筒状の第一接続部71と、第一接続部71よりも第一シールド部51側に位置し、かつ第一接続部71よりも大きな断面積S2を有し、第二シールド部52に対して電気的に接続される筒状の第二接続部72と、を有する。
シールドコネクタ1は、第二シールド部52の内壁面とシールド電線SWの外周面との間をシールするシール部材Se1と、第二シールド部52の内部におけるシール部材Se1よりも第一シールド部51側に配置された導電性の筒状部材70を含む。この構成により、一つのシール部材Se1で第二シールド部52とシールド電線SWとの間をシールすることができる。つまり、第二シールド部52の内部にシール部材を複数設けることなく、第二シールド部52とシールド電線SWとの間をシールすることができるため部品点数を削減することができる。部品点数を削減することで、シールドコネクタ1の体格を小型化することができる。
また、実施形態に係るシールドコネクタ1において、第二シールド部52は、筒状の外壁部52aと、外壁部52aで囲まれた空間内に外壁部52aに沿って設けられた筒状の内壁部52bとを有し、シールド電線SWは、内壁部52bで囲まれた空間に挿通され、第二接続部72は、内壁部52bの外周面52fに対して電気的に接続される。
実施形態のシールドコネクタ1において、第二接続部72は、第一接続部71よりも大きな断面積S2を有している。第二接続部72を内壁部52bの外周面52fに対して電気的に接続させることで、第二接続部72と内壁部52bとの接触部をシールド電線SWの径方向に遠ざけることができる。これにより、シールドコネクタ1におけるシールド電線SWの挿入方向(第一方向X)において、電線接続部12と筒状部材70との距離を縮めることができる。これにより、シールドコネクタ1の第一方向Xにおける長さを短くすることができる。
また、実施形態に係るシールドコネクタ1において、筒状部材70は、第二接続部72における第二シールド部52と対向する面に設けられたバネ部材74を含み、第二接続部72は、バネ部材74を介して第二シールド部52と電気的に接続され、バネ部材74は、バネ部材74と第二シールド部52との接点に接触荷重を付加する。
第二接続部72における第二シールド部52と対向する面にバネ部材74を設けることにより、第二シールド部52と第二接続部72とを接続するときに第二接続部72における第二シールド部52に対して摺動する面を削減することができる。例えば、作業者が第二接続部72を第二シールド部52に接続する際に要する力を軽減することができる。したがって、第二接続部72を第二シールド部52に接続する際の作業性を向上させることができる。また、バネ部材74が、バネ部材74と第二シールド部52との接点に接触荷重を付加することで、バネ部材74と第二シールド部52との接点の安定性を向上させることができる。すなわち、第二接続部72と第二シールド部52との間における電気的な接続の安定性を向上させることができる。
また、実施形態に係るシールドコネクタ付き電線WHは、電線EWおよび電線EWを覆う編組体BCを有するシールド電線SWと、シールド電線SWの末端に接続され、相手方コネクタ101の相手方端子110と接続される端子金具10と、端子金具10を収容する第一シールド部51と、第一シールド部51から突出しており、シールド電線SWが挿通された筒状の第二シールド部52と、を有する導電性のシールドシェル20Bと、第二シールド部52の内壁面とシールド電線SWの外周面との間をシールするシール部材Se1と、第二シールド部52の内部におけるシール部材Se1よりも第一シールド部51側に配置された導電性の筒状部材70と、を含み、筒状部材70は、編組体BCに対して電気的に接続された筒状の第一接続部71と、第一接続部71よりも第一シールド部51側に位置し、かつ第一接続部71よりも大きな断面積を有し、第二シールド部52に対して電気的に接続された筒状の第二接続部72と、を有する。
シールドコネクタ付き電線WHは、第二シールド部52の内壁面とシールド電線SWの外周面との間をシールするシール部材Se1と、第二シールド部52の内部におけるシール部材Se1よりも第一シールド部51側に配置された導電性の筒状部材70を含む。この構成により、一つのシール部材Se1で第二シールド部52とシールド電線SWとの間をシールすることができる。つまり、第二シールド部52の内部にシール部材を複数設けることなく、第二シールド部52とシールド電線SWとの間をシールすることができるため部品点数を削減することができる。部品点数を削減することで、電線WHに取り付けられたシールドコネクタ1の体格を小型化することができる。
なお、上述の実施形態において、バネ部材74を第二接続部72に取り付けられた板バネ状の部材として説明したが、これに限られるものではない。例えば、バネ部材74は、第二接続部72に複数のスリットを形成し、スリット間の部分に弾性を持たせたものであってもよい。つまり、バネ部材74は、第二接続部72の壁面の一部として設けられていてもよい。この場合、第二接続部72には、第二接続部72における内壁部52bの挿入方向に沿った方向に複数のスリットが形成される。第二接続部72におけるスリット間の部分がバネ部材74となる。第二接続部72の材料、厚さなどは、バネ部材74が所望のばね性を持つように考慮して決定される。第二接続部72の一部分をバネ部材74として用いることで、部品点数を削減することができる。また、部品点数が削減されることで、シールドコネクタ1の重さを低減することができる。
[実施形態の変形例]
図14から図20を参照して、実施形態の変形例について説明する。変形例は、シールドコネクタおよびシールドコネクタ付き電線に関する。変形例については、上述の実施形態で説明したものと同様の機能を有する構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。図14は、実施形態の変形例における筒状部材を示す斜視図である。図15は、実施形態の変形例における筒状部材を示す斜視図である。図16は、実施形態の変形例における筒状部材を示す平面図である。図17は、実施形態の変形例における筒状部材を示す平面図である。図18は、実施形態の変形例における筒状部材を示す断面図である。図19は、実施形態の変形例における筒状部材を示す平面図である。図20は、実施形態の変形例における筒状部材を示す断面図である。なお、図18は、図17に示すXVIII-XVIII断面であり、図20は、図19に示すXX-XX断面である。
変形例に係るシールドコネクタおよびシールドコネクタ付き電線において、上述の実施形態に係るシールドコネクタおよびシールドコネクタ付き電線と異なる点は、筒状部材70の構成である。変形例に係るシールドコネクタおよびシールドコネクタ付き電線におけるその他の構成は、上述の実施形態に係るシールドコネクタおよびシールドコネクタ付き電線と同様である。
図14に示すように、変形例の筒状部材70は、第一接続部71および第二接続部72を有している。上述の実施形態と同様、変形例の筒状部材70において、第一接続部71は、編組体BCに対して接続される部分であり、第二接続部72は、第二シールド部52に対して接続される部分である(図6参照)。また、上述の実施形態と同様、筒状部材70は、第二接続部72に第二シールド部52の内壁部52bが挿入され、嵌め込まれることで、内壁部52bと電気的に接続される。
図15に示すように、第二接続部72は、第一方向Xから見て、略八角形の角筒形状に形成されている。筒状部材70において、第二接続部72は、八つの平坦部72aと八つの湾曲部72bとを有している。平坦部72aは、平板形状を有している。湾曲部72bは、湾曲した板形状を有している。第一方向Xから見て、八つの平坦部72aは、第二接続部72における略八角形の角筒形状の辺の部分を形成するように配置されており、各湾曲部72bは、第二接続部72における略八角形の角筒形状の角の部分を形成するように配置されている。つまり、各湾曲部72bは、第二接続部72の周方向において隣接する二つの平坦部72aの端部同士を接続している。変形例の第二接続部72において、平坦部72aと湾曲部72bとは、導電性の金属によって一体的に形成されている。
八つの平坦部72aは、四つの第一平坦部72aaおよび四つの第二平坦部72abによって構成されている。第二接続部72の周方向において、第一平坦部72aaの長さは、第二平坦部72abの長さよりも長い。第二接続部72の周方向において、第一平坦部72aaと第二平坦部72abとは、湾曲部72bを介して、交互に配置されている。
第一平坦部72aaは、第一主面72acおよび第二主面72adを有する。第一主面72acは、第二接続部72で囲まれた空間に向けて配置された面である。第一主面72acは、筒状部材70が第二シールド部52に取り付けられた際、第二シールド部52の内壁部52bと対向する。第二主面72adは、第一平坦部72aaにおける第一主面72acとは反対側の面である。
図15に示すように、筒状部材70は、第二接続部72に取り付けられたバネ部材74を含んで構成されている。変形例のバネ部材74は、バネ特性を有する導電性の部材である。バネ部材74は、第一平坦部72aaに取り付けられる。バネ部材74は、第一板バネ部74b、第一支持部74c、第二支持部74d、および第二板バネ部74eを含んで構成されている。
第一板バネ部74bは、一方向に沿って延在する板バネ状の部分である。また、第一支持部74cおよび第二支持部74dは、第一板バネ部74bの延在方向(板バネ延在方向X1)における第一板バネ部74bの一端から他端に向かう方向に対して直交する方向(支持部延在方向Y1)に延在する板状の部分である(図16参照)。バネ部材74において、第一支持部74cおよび第二支持部74dは、第一支持部74cの延在方向と第二支持部74dの延在方向とが、互いに平行となるように配置されている。支持部延在方向Y1において、第一支持部74cの長さと第二支持部74dの長さとは、実質的に等しい。第一板バネ部74bは、第一支持部74cと第二支持部74dとの間に配置されている。板バネ延在方向X1において、第一板バネ部74bの一端は、第一支持部74cと接続されており、第一板バネ部74bの他端は、第二支持部74dと接続されている。第一板バネ部74bは、第一板バネ部74bの板厚方向における一方の側に向けて湾曲している。
変形例において、第一板バネ部74bは、一つのバネ部材74毎に三つ設けられている。三つの第一板バネ部74bは、支持部延在方向Y1に沿って並んで配置されている。ここで、各第一板バネ部74bの湾曲方向は、同じ向きに揃えられている。支持部延在方向Y1において、三つの第一板バネ部74bは、第一支持部74cにおける両端部の位置および第二支持部74dにおける両端部74daの位置よりも内側に配置されている。また、支持部延在方向Y1において、三つの第一板バネ部74bは、互いに離間して並んでいる。
また、図16および図17に示すように、第二板バネ部74eは、第一支持部74cにおける両端部のそれぞれから第二支持部74dに向けて突出している。ここで、三つの第一板バネ部74bは、二つの第二板バネ部74eの間に位置している。また、第一板バネ部74bと、当該第一板バネ部74bに隣接する第二板バネ部74eとは離間している。第一支持部74cから第二支持部74dに向かう方向において、第二板バネ部74eの長さは、第一板バネ部74bの長さよりも短く、第二板バネ部74eにおける第二支持部74d側の端部は、第二支持部74dには到達していない。
図18に示すように、第二板バネ部74eは、第一屈曲部74ea、中間部74eb、第二屈曲部74ec、および当接部74edを含む。第一屈曲部74eaは、第一支持部74cと中間部74ebとを繋ぐ部分である。第一屈曲部74eaは、第一板バネ部74bの湾曲方向とは反対側に向けて折れ曲がっている。中間部74ebは、平板状に形成されており、第一板バネ部74bの板厚方向に沿って延在している。第二屈曲部74ecは、中間部74ebと当接部74edとを繋ぐ部分である。第二屈曲部74ecは、第二支持部74d側に向けて折れ曲がっている。当接部74edは、第一支持部74cから第二支持部74dに向かう方向に沿って延在している。当接部74edは、全体として平板状に形成されている。
図15に示すように、第二接続部72には、三つのバネ部材74が取り付けられている。各バネ部材74は、四つの第一平坦部72aaのうち三つの第一平坦部72aaにそれぞれ取り付けられている。バネ部材74が取り付けられる各第一平坦部72aaには、バネ取付部72cが形成されている。バネ取付部72cは、第一平坦部72aaにおけるバネ部材74が取り付けられる部分である。変形例のバネ取付部72cは、二つのスリット72caと二つの係止突起部72cbとを含んで構成されている。
第一方向Xにおいて、二つのスリット72caは、第一平坦部72aaにおける第一接続部71側とは反対側の端部に矩形状の切欠き部として形成されている。二つのスリット72caは、第二接続部72の周方向において、互いに離間している。第二接続部72の周方向におけるスリット72caの幅は、支持部延在方向Y1における第二板バネ部74eの幅よりも広い。
係止突起部72cbは、第一主面72acから第二接続部72で囲まれた空間に向けて突出している。係止突起部72cbは、傾斜面72ccと段差部72cdとを有する。第一方向Xにおいて、傾斜面72ccは、第一接続部71側に向かうにつれて、第一平坦部72aaからの突出高さが高くなるように傾斜している。段差部72cdは、傾斜面72ccにおける第一接続部71側の端部に形成されており、係止突起部72cbの周囲の第一主面72acに対して実質的に垂直に立ち上がっている。係止突起部72cbは、バネ部材74が取り付けられる第一平坦部72aaに二つずつ設けられており、第二接続部72の周方向において、互いに離間して並んでいる。係止突起部72cbは、スリット72caよりも第一接続部71側に配置されている。第一方向Xにおいて、スリット72caと係止突起部72cbとは、互いに離間して並んで配置されている。変形例の係止突起部72cbは、例えば、第一平坦部72aaに打ち出し加工を施すことにより形成される。つまり、第一平坦部72aaの第二主面72ad側から第一主面72ac側に向けて、第一平坦部72aaの壁部をハンマー等によって打ち出して突出させることで形成される。この加工により、第二主面72adにおける係止突起部72cbと対応する位置には、凹部が形成される。
第一平坦部72aaへのバネ部材74の取り付けは、図16から図20に示すように行われる。なお、図16および図17は、バネ部材74が取り付けられる第一平坦部72aaを第一主面72ac側から見た平面図である。また、図19は、バネ部材74が取り付けられた第一平坦部72aaを第一主面72ac側から見た平面図である。バネ部材74は、第一平坦部72aaにおけるスリット72caが形成されている端部側から第一平坦部72aaに取り付けられる。バネ部材74は、第二支持部74d側から第一平坦部72aaに取り付けられる。図16および図17に示すように、スリット72caは、第二板バネ部74eと対応する位置に形成されており、バネ部材74を第一平坦部72aaに取り付ける際、第二板バネ部74eは、第一方向Xにおいて、スリット72caと重なるように配置される。そして、バネ部材74は、第二支持部74dを第一平坦部72aaの第一主面72acに沿わせるように、第二接続部72に対して第一接続部71側に相対移動される。このとき、バネ部材74は、第二板バネ部74eをスリット72caに通すように第二接続部72に対して相対移動される。
二つの係止突起部72cbは、第二支持部74dの端部74daのそれぞれに対応する位置に形成されている。第二支持部74dの両端部74daは、二つの係止突起部72cbの傾斜面72ccに沿って、第二接続部72に対して第一接続部71側に相対移動される。この移動により、第二支持部74dの両端部74daは、係止突起部72cbを乗り越える。このとき、バネ部材74における三つの第一板バネ部74bは、二つの係止突起部72cbの間に配置される。また、このとき、第二板バネ部74eは、スリット72caを介して、第一平坦部72aaの第二主面72adを沿うように、第二接続部72に対して第一接続部71側に相対移動される。ここで、バネ部材74は、第二板バネ部74eの当接部74edが第一板バネ部74bから離間するように弾性変形する。そして、図20に示すように、第二板バネ部74eの当接部74edは、第一平坦部72aaの第二主面72adに当接する。第二板バネ部74eは、バネ部材74が第一平坦部72aaに取り付けられたとき、当接部74edが第一平坦部72aaを第一支持部74cおよび第二支持部74d側に向けて押圧するように構成されている。この構成により、第二板バネ部74eは、弾性復元力により、第一支持部74cおよび第二支持部74dとの間に第一平坦部72aaを挟み込む。バネ部材74において、第一支持部74c、第二支持部74dおよび第二板バネ部74eは、協働して、第二接続部72にバネ部材74を保持する。
バネ部材74が第一平坦部72aaに取り付けられた状態において、当接部74edの先端部74eeは、当該第一平坦部72aaから離間する方向に向けて折れ曲がっている。
以上の取り付け作業により、第一板バネ部74b、第一支持部74cおよび第二支持部74dは、第一主面72ac上に配置され、第二板バネ部74eの当接部74edは第二主面72ad上に配置される。バネ部材74が第二接続部72に対して第一接続部71側とは反対側に相対移動しようとするとき、第二支持部74dは、係止突起部72cbの段差部72cdに当接する。この構成により、バネ部材74は、係止突起部72cbによって係止される。
変形例において、第二接続部72に形成されたスリット72caは、第二支持部74dが係止突起部72cbを乗り越えるまで、バネ部材74を案内するガイド部として機能する。第一平坦部72aaにスリット72caを設けることにより、バネ部材74を第二接続部72に取り付ける際の作業性を向上させることができる。
また、第一板バネ部74bは、第一板バネ部74bの中央部が第一主面72acから離間するように湾曲した状態で第一平坦部72aaに保持されている。筒状部材70が第二シールド部52に取り付けられた状態において、第一板バネ部74bは、第一板バネ部74bの中央部が第二シールド部52の内壁部52bに向けて突出するように湾曲した状態で、第一平坦部72aaに保持されている。各第一板バネ部74bには、第二シールド部52と接する面(図6参照)に突起部(インデント)74aが形成されている。突起部74aは、第一板バネ部74bから内壁部52bの外周面52fに向けて突出する点状に形成されている。
なお、変形例においては、第二接続部72が、八角形の角筒形状で形成されている例を用いて説明したが、第二接続部72の形状はこれには限られない。例えば、第二接続部72は、円筒状に形成されていてもよい。この場合、変形例のバネ部材74における、第一支持部74cおよび第二支持部74dは、第二接続部72の内周面に沿うように湾曲形状で形成される。
また、上述の変形例の筒状部材70においては、バネ部材74が、四つの第一平坦部72aaのうち三つの第一平坦部72aaにそれぞれ取り付けられている構成を例に用いて説明したが、この構成には限られない。例えば、バネ部材74は、四つの第一平坦部72aaの全てにそれぞれ取り付けられていてもよい。この場合、四つの第一平坦部72aaの全てに、スリット72caおよび係止突起部72cbが形成される。
また、上述の実施形態および変形例においては、筒状部材70が、第二接続部72に内壁部52bが挿入され嵌め込まれることで、内壁部52bと電気的に接続される構成を例に用いて説明したが、この構成に限られない。例えば、筒状部材70は、第二接続部72が外壁部52a(図6参照)の内周面とバネ部材74を介して電気的に接続されるように構成されていてもよい。この構成の場合、例えば、変形例においては、係止突起部72cbは、第一主面72acから第二主面72ad側とは反対側に突出した状態で形成され、第一板バネ部74b、第一支持部74c、および第二支持部74dは、第二主面72ad上に配置され、第二板バネ部74eは、第一主面72ac上に配置される。変形例の筒状部材70の第二主面72adは、外壁部52aの内周面と対向しており、第二主面72ad上に配置された第一板バネ部74bが外壁部52aの内周面と接することで、筒状部材70と第二シールド部52とが電気的に接続される。また、この場合、第二シールド部52には、内壁部52bは形成されていなくてもよい。
以上、説明したように、実施形態の変形例に係るシールドコネクタにおいて、筒状部材70は、第二接続部72に対して取り付けられたバネ部材74を含み、バネ部材74は、第一支持部74cと、第二支持部74dと、第一支持部74cと第二支持部74dとの間に設けられた第一板バネ部74bと、第一支持部74cから第二支持部74dに向けて突出する第二板バネ部74eとを有する。第二板バネ部74eは、第二接続部72に形成されたスリット72caに通され、第一支持部74cおよび第二支持部74dとの間に第二接続部72を挟み込む。第一支持部74c、第二支持部74dおよび第二板バネ部74eは、協働して、第二接続部72にバネ部材74を保持する。第一板バネ部74bは、第二接続部72における第二シールド部52と対向する面上に配置される。