JP7260348B2 - 散気システム及び散気システムの運転方法 - Google Patents
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Description
したがって、散気装置を用いた水処理では、省エネルギー化及び処理効率の維持・向上の観点から、散気装置により散気槽へ供給される気体量を適正範囲とすることが求められている。
しかし、特許文献1には、送風圧力の減少幅を考慮して送風量を設定することは記載されているが、送風圧力を維持した状態で送風量を制御することについては記載されていない。特許文献1に記載されるように、送風圧力の減少幅を考慮した送風量の制御を行う場合、実質的に制御可能な送風量範囲が狭くなってしまうという問題がある。
すなわち、本発明は、以下の散気システム及び散気システムの運転方法である。
この特徴によれば、副送風部を構成する送風機単体の圧力を、主送風部の圧力より低くすることで、主送風部と副送風部の圧力バランスを容易に保つことができる。これにより、2以上の送風機を備える副送風部側の圧力が主送風部の圧力を超え、散気部側に送風が行われなくなる状態を回避することが可能となる。また、主送風部と副送風部の併用による効果として、制御可能な送風量範囲の拡張と送風量の微調整を、安定して実施することが可能となる。
この特徴によれば、散気部で必要な風量について、主送風部のみで満たすものとせず、副送風部により制御可能な送風量範囲とすることにより、送風量の微調整に係る精度がより一層向上する。また、散気部で必要な風量を主送風部及び副送風部で満たすものとするため、主送風機及び副送風機をそれぞれ小型化することができる。これにより、散気システムの省エネルギー化がより一層可能となる。
本発明の散気システムの運転方法によれば、散気部に気体を供給する主送風工程に対し、直列に接続された2以上の送風機を用いる副送風工程を並列に接続することで、送風に必要な送風圧力の維持と、送風量の制御とを並行して行うことができ、送風部側で制御可能な送風量範囲を広げるとともに、送風量の微調整が可能となる。これにより、散気部に対して必要な気体量を、送風部から適正範囲で供給することができ、散気システムの省エネルギー化とともに、処理効率の維持・向上が可能となる。
(散気システム)
図1は、本発明の実施態様の散気システムの構造を示す概略説明図である。
本実施態様に係る散気システム1は、図1に示すように、散気槽2と、散気槽2に設けられた散気部3と、主送風部4と、主送風部4と並列に設けられ、2以上の送風機を直列に接続した副送風部5とを備えている。また、散気システム1は、主送風部4と接続される流路4aと、副送風部5と接続される流路5aと、流路4a及び流路5aが合流した供給流路6を備えている。
主送風部4及び副送風部5は、供給流路6を介して散気槽2の散気部3に気体を供給する。また、主送風部4及び副送風部5の風量制御を行う制御部7を備えている。
なお、主送風部4と副送風部5を合わせたものについては、以下「送風部B」と呼ぶ。また、図1中の一点鎖線は、入力可能及び制御可能に接続されていることを示している。
散気槽2としては、散気槽2内部に散気部3を備え、被処理水Wに対して散気を行うものであれば特に限定されない。例えば、散気槽2内に生物処理に用いられる各種微生物や活性汚泥を収容した生物処理槽とすることや、被処理水WのpH調整槽とすることなどが挙げられる。
また、散気槽2は、1つの区画のみからなるものであってもよく、散気槽2内を複数の区画に区分するものであってもよい。
散気部3としては、微細な気泡を発生させ、被処理水Wに対し気体を供給することができるものであれば特に限定されない。例えば、散気板や散気管からなる散気体を備えるものなどが挙げられる。
図2は、本実施態様の散気システムにおける散気部の概要説明図を示す。
散気部3は、図2に示すように、供給流路6から分岐したライザー管31を介して気体が供給されるヘッダー管32と、ヘッダー管32の軸線方向に沿って配置され、ヘッダー管32から気体が供給される複数の散気体33を有する散気ユニット34を備えている。
散気体33としては、図2に示すように、気体が通過する微細な散気孔を有するメンブレンが巻かれた管状部材からなり、微細気泡を発生させることができる超微細気泡式散気管が挙げられるが、これに限定されるものではない。散気体33の他の例としては、多孔質の合成樹脂又はセラミックからなる散気筒や、多数のスリットを設けたフレキシブルチューブのような管状部材からなる散気管などが挙げられる。また、散気体33は、管状部材に限定されるものではなく、例えば、角型、丸型などの板状部材からなる散気板であってもよい。
本実施態様の主送風部4に用いる送風機(主送風機41)としては、散気槽2内の水圧と同程度、あるいはそれ以上の圧力上昇が可能なものが好ましく、例えば、吐出圧力が10kPa以上(圧力比1.1以上)のブロワなどを用いることが挙げられる。
以下、副送風部5としては、2つの送風機(副送風機51及び副送風機52)を直列に接続したものについて説明するが、直列に接続する送風機の数はこれに限定されるものではなく、3以上の送風機を直列に接続するものであってもよい。
また、制御部7では、上記入力結果又は演算結果に基づき、開閉スイッチまたはインバータ等により吐出弁の開度調整やインレットベーンの開度調整を行うことなどが挙げられる。なお、副送風部5から供給する風量の微調整を可能とするという観点から、制御部7としてはインバータ制御に基づくものとすることが特に好ましい。
本実施態様の散気システム1には、散気部3で必要とされる風量を設定するための風量設定手段を設けるものとしてもよい(不図示)。風量設定手段としては、例えば、散気槽2内に、散気槽2内での被処理水Wの処理効率に係るパラメータを検出する各種検出器を設けるとともに、各種検出器の検出結果に基づき、散気部3で必要とされる風量を演算する演算部を設けることなどが挙げられる。各種検出器としては、例えば、DO計、アンモニア計、pH計、水温計などが挙げられる。
また、制御部7に、風量設定手段の演算結果を自動又は手動で入力し、主送風部4の主送風機41、及び副送風部5の副送風機51、52の自動制御又は作業員による手動制御を行うものとしてもよい。
図3は、本実施態様における主送風部4の主送風機41に係る風量-圧力特性の模式図である。図3中、横軸は風量、縦軸は圧力を示している。
送風機から供給された気体を、水中にある散気部3から吐出するためには、図3中の破線で示した水圧(必要圧力)を上回る必要がある。図3に示すように、主送風機41の80%回転数時では、主送風機41の圧力が水圧を下回るため、散気部3に気体を供給することができない。一方、主送風機41の100%回転数時では、主送風機41の圧力は水圧を上回り、散気部3に向かって気体を供給することができることが分かる。ここでは、本実施態様の主送風部4としては、100%回転数時の主送風機41を用いるものとする。
したがって、副送風部5から、差分風量QS1、QS2、QS3を吐出することで、送風部Bから散気部3の必要風量QR1、QR2、QR3を供給することができるようになる。
この演算結果に基づき、副送風部5から差分風量QS1、QS2、QS3を吐出することで、主送風部4からの風量と合算したものが送風部Bの風量として散気部3に供給される。これにより、散気部3の最大必要風量QR3以下において、広範囲にわたり、送風部Bから供給する風量を制御することが可能となる。
図5を参照して、散気システムの運転制御例について説明する。
図5は、本実施態様における散気システムの運転制御に係るフロー図である。なお、図5における散気システムの装置構成及び説明については図1と同様である。また、図5内の太線の矢印は、気体の流れを示すものである。
主送風機41から供給される風量Q1及び送風圧力P1が安定した後(例えば、主送風機41の100%回転数時など)、副送風部5から流路5aを介して、散気槽2に設けられた散気部3に気体を供給する(副送風工程)。このとき、散気部3の必要風量QRから風量Q1を減算した風量Q2を、副送風部5から供給する風量とする。これにより、散気部3の必要風量QRに対して適正な風量を送風部Bから供給することができる。
さらに、散気槽2に導入される被処理水Wの導入量及び水質が、人間の生活サイクルなど1日の中の時間帯や、カレンダーに応じて変わるものである場合、過去の実績などから主送風部4及び副送風部5から供給する風量を時間帯やカレンダーのデータに基づき推計して、制御するものとしてもよい。これにより、被処理水Wの導入量及び水質に関連するパラメータの測定点数を増やすことなく、散気システムの処理効率を向上させることが可能となる。
Claims (4)
- 水処理系統ごとに設けられた散気部と、
前記散気部へ気体を供給する主送風機を備える主送風部と、
前記主送風部と並列に設けられ、前記散気部へ気体を供給する副送風部と、を備えた散気システムであって、
前記副送風部は2以上の送風機が直列に接続されており、
前記主送風機よりも、前記副送風部の各送風機の圧力が低いことを特徴とする、散気システム。 - 前記主送風部と、前記副送風部の圧力が等しいことを特徴とする、請求項1に記載の散気システム。
- 前記散気部で必要とされる風量は、前記主送風部から供給される風量よりも多く、かつ前記主送風部及び前記副送風部から供給される風量以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の散気システム。
- 水処理系統ごとに設けられた散気部を備えた散気システムの運転方法であって、
主送風機により前記散気部へ気体を供給する主送風工程と、
前記主送風工程と並列に設けられ、前記散気部へ気体を供給する副送風工程とを備え、
前記副送風工程は、直列に接続された2以上の送風機を用いるものであり、
前記主送風機よりも、前記副送風工程の各送風機の圧力が低いことを特徴とする、散気システムの運転方法。
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