JP7260333B2 - ダイレクトブロー多層容器 - Google Patents
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Description
本発明に係る酸素バリア層は、第一の層よりも外側であって、第一の層と接するように配置されている。また、酸素バリア層の第一の層からの剥離強度は0.12~2.5N/15mmであり、0.12~1.51N/15mmが好ましく、0.22~1.5N/mmがより好ましく、0.24~0.66N/mmがさらに好ましい。なお、該剥離強度は180度剥離強度試験によって測定される値である。
リグラインド層はリプロ層とも呼ばれ、成形開始時に排出される樹脂やバリなどの容器以外の部分を粉砕したスクラップ樹脂を含む層である。該スクラップ樹脂を再利用することにより、未使用の樹脂であるバージン材の使用量を低減できるため、環境保全の観点から好ましく、また製造コストを低減できる。前述したように、本発明に係る第一の層はリグラインド層であることができる。
外層は、多層容器の最も外側に位置して外気と接する層であり、前述したように本発明に係る第三の層であることができる。なお、前述した第二の層も外層に相当する。また、内層は、多層容器の最も内側に位置して内容物と接する層であり、前述したように本発明に係る第一の層であることができる。
前述したように、例えば酸素バリア層よりも外側に、さらにポリオレフィンを含む外層である第三の層を設ける場合、第三の層の酸素バリア層への接着性を向上させる観点から、第三の層と酸素バリア層との間に接着層を設けることができる。接着層の材料としては、例えば酸変性ポリエチレンを用いることができる。酸変性ポリエチレンとしては、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸等のカルボン酸及びその無水物、アミド、エステル等を用いて、ポリエチレンをグラフト変性したものが挙げられる。これらの中でも、酸変性ポリエチレンとしては、マレイン酸又は無水マレイン酸でグラフト変性されたポリエチレンが好ましい。変性するポリエチレンは特に制限されないが、例えば低密度ポリエチレン(LDPE)や直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)が挙げられる。
本発明に係る容器から酸素バリア層を剥離する方法は特に限定されない。使用者が酸素バリア層を容易に剥離できるようにする観点から、酸素バリア層に厚み方向に貫通するようにミシン目を設けることが好ましい。酸素バリア層よりも外側に層が設けられている場合には、最外層から酸素バリア層まで厚み方向に貫通するようにミシン目を設けることができる。例えば、図5(a)に示されるように、容器の口部7の下部から底部9にかけて酸素バリア層にミシン目10aを設けることができる。また、図5(b)に示されるように、容器の胴部8の周囲において、酸素バリア層にミシン目10bを設けることもできる。これらにより、使用者はミシン目を破断することで酸素バリア層を容易に剥離することができる。なお、ミシン目は金型転写、レーザー照射等により設けることができる。また、図5(c)及び(d)に示されるように、ミシン目の代わりに容器の厚みが薄い線状の薄肉部10c、10dを設けてもよい。図5(d)において、薄肉部10dは容器の胴部8の周囲の全周に設けられていてもよく、全周の一部に非薄肉部が存在するように設けられていてもよい。後者の場合、剥離開始時に周方向に剥離が開始し、剥離が非薄肉部に到達すると非薄肉部が切れ残るため、そこから縦方向の剥離が開始する。このため、容易に酸素バリア層を剥離できる。
本発明に係る容器の製造方法は特に限定されないが、例えば外側から順に、酸素バリア層と、リグラインド層(第一の層)と、内層とをこの順序で含むチューブ状のパリソンを製造する工程と、前記パリソンを金型で挟んで前記パリソンをピンチオフするとともに融着させ、前記パリソンの内部に気体を吹き込んで成形する工程と、を含むダイレクトブロー成形を用いることができる。具体的には、まず、容器を構成する各層の材料を、多層多重ダイスを使用して共押出しすることでチューブ状のパリソンを製造する。次に、溶融押出されたパリソンを金型内に供給し、パリソンを金型で両側から挟んでパリソンをピンチオフすると共に融着する。次に、パリソンの内部に空気などの圧縮気体を吹き込んで膨張させ、容器の形状に成形する。その後、冷却し、金型を開いて成形品を取り出す。ダイレクトブロー成形による製造方法によると、材料が溶融した状態で多層にするため、本来であれば接着しない材料であっても、材料同士が密着することで、ある程度の接着力を得ることができる。
本発明に係る容器は、例えばわさび、しょうが、からし、ケチャップ、マヨネーズ、ジャム、チョコレート等の粘性食品、練歯磨、化粧品等を収容し、保存するための容器として用いることができる。また、本発明に係る容器は、使用者が容器を処分する際に酸素バリア層を剥離し、第一の層を含む他の層と分離した上で処分することができるため、再利用可能な容器として有用である。
各実施例及び比較例において得られた容器を15mm幅に切り出し、試験片を得た。該試験片について、180度剥離強度試験により剥離強度を測定した。具体的には、テンシロン万能試験機を用いて200mm/minの条件で、酸素バリア層と第一の層(内層)との間での剥離強度(N/15mm)を測定した。なお、比較例1では測定前に経時収縮によって既に剥離していたため、剥離強度を測定できなかった。
容器を作製後、2週間経ってから室温の水を容器に充填し、胴部を押圧する押出操作を行った。2週間保管後の押出操作前と押出操作後の剥離の有無を目視にて確認した。評価は以下の基準で行った。
〇:経時によっても、押出操作によっても剥離が生じない。
×:経時または押出操作によって剥離が生じる。
各実施例及び比較例において得られた容器の酸素バリア層を、使用者が手で剥離し、その剥離性を以下の基準で評価した。
〇:酸素バリア層を剥離することができる。
×:酸素バリア層を剥離することができない。
各実施例及び比較例において得られた容器の内部を窒素置換し、封止した。該容器を30℃、80%環境下にて7日間保管し、保管後の容器内における酸素濃度の増加量(体積%)を測定した。参考例と比べて以下の基準で評価した。
◎:酸素濃度の増加量が参考例よりも小さい。
○:参考例に比して酸素濃度の増加量が2倍未満である。
×:参考例に比して酸素濃度の増加量が2倍以上である。
図7に示されるように、外側から順に酸素バリア層1、内層である第一の層2の2層からなる、図4に示される形状を有するスクイズ容器を作製した。酸素バリア層1の材料として、EVOH(商品名:F101B、(株)クラレ製)89.5質量部、LDPE(商品名:LB420M、日本ポリエチレン(株)製)10.5質量部、及び相容化剤としてのアイオノマー(商品名:ハイミラン1601、三井・デュポンポリケミカル社製)をEVOHとポリオレフィンとの合計量100質量部当たり5.0質量部を準備した。また、内層である第一の層2の材料として、LDPE(商品名:LB420M、日本ポリエチレン(株)製)を準備した。酸素バリア層1の材料と、第一の層2の材料とを2つの押出機にそれぞれ投入し、酸素バリア層1/第一の層2の2層からなるパリソンを押出した。次いで、前記パリソンを用いてダイレクトブロー成形により成形し、容量500ml、質量18gのスクイズ容器を得た。容器全体の質量(100質量%)に対する酸素バリア層1の質量の割合は5質量%であった。得られた容器について、前記測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
容器全体の質量(100質量%)に対する酸素バリア層1の質量の割合を10質量%に変更した以外は、実施例1と同様に容器を作製し、前記測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
EVOH、LDPEの量を、それぞれ95.0質量部、5.0質量部、アイオノマーの量をEVOHとポリオレフィンとの合計量100質量部当たり2.5質量部に変更した。これら以外は、実施例1と同様に容器を作製し、前記測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
容器全体の質量(100質量%)に対する酸素バリア層1の質量の割合を10質量%に変更した以外は、実施例3と同様に容器を作製し、前記測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
EVOH、LDPEの量を、それぞれ92.7質量部、7.3質量部、アイオノマーの量をEVOHとポリオレフィンとの合計量100質量部当たり3.6質量部に変更した。これら以外は、実施例1と同様に容器を作製し、前記測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
容器全体の質量(100質量%)に対する酸素バリア層1の質量の割合を10質量%に変更した以外は、実施例5と同様に容器を作製し、前記測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
EVOH、LDPEの量を、それぞれ78.0質量部、22.0質量部、アイオノマーの量をEVOHとポリオレフィンとの合計量100質量部当たり11.0質量部に変更した。これら以外は、実施例2と同様に容器を作製し、前記測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
酸素バリア層1の材料として、EVOH(商品名:F101B、(株)クラレ製)のみを使用した。また、容器全体の質量(100質量%)に対する酸素バリア層1の質量の割合を2.5質量%に変更した。これら以外は、実施例1と同様に容器を作製し、前記測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
容器全体の質量(100質量%)に対する酸素バリア層1の質量の割合を10質量%に変更した以外は、比較例1と同様に容器を作製し、前記測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
一般的な多層容器の構成として、外側から順に外層、接着層、酸素バリア層、接着層、内層の5層からなる、図4に示される形状を有するスクイズ容器を作製した。酸素バリア層の材料として、EVOH(商品名:F101B、(株)クラレ製)を準備した。また、外層と内層の材料として、LDPE(商品名:LB420M、日本ポリエチレン(株)製)を準備した。接着層の材料として無水マレイン酸変性ポリエチレン(商品名:L522、三菱化学(株)製)を準備した。酸素バリア層の材料と、内外層の材料と、接着剤の材料を3つの押出機にそれぞれ投入し、外層/接着層/酸素バリア層/接着層/内層の5層からなるパリソンを押出した。次いで、前記パリソンを用いてダイレクトブロー成形により成形し、容量500ml、質量18gのスクイズ容器を得た。各層の質量の割合は外層から30.5/1/2.5/1/65(質量%)であった。得られた容器について、前記測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
本発明は以下の実施態様を含む。
[1]第一の層と、
前記第一の層よりも外側であって、前記第一の層と接するように配置された酸素バリア層と、
を含むダイレクトブロー多層容器であって、
前記酸素バリア層の前記第一の層からの剥離強度が0.12~2.5N/15mmであるダイレクトブロー多層容器。
[2]前記酸素バリア層が、エチレン-ビニルアルコール共重合体からなる[1]に記載のダイレクトブロー多層容器。
[3]前記酸素バリア層が、エチレン-ビニルアルコール共重合体と、ポリオレフィンと、相容化剤とを含む[1]に記載のダイレクトブロー多層容器。
[4]前記酸素バリア層が、前記エチレン-ビニルアルコール共重合体と前記ポリオレフィンとを98:2~78:22の質量比で含み、さらに、前記エチレン-ビニルアルコール共重合体と前記ポリオレフィンとの合計量100質量部当たり1~11質量部の前記相容化剤を含む[3]に記載のダイレクトブロー多層容器。
[5]容器全体の質量に対する前記酸素バリア層の質量の割合が2~15質量%である[1]から[4]のいずれかに記載のダイレクトブロー多層容器。
[6]前記酸素バリア層が最外層である[1]から[5]のいずれかに記載のダイレクトブロー多層容器。
[7]前記酸素バリア層よりも外側に、さらにエチレン-ビニルアルコール共重合体を含む第二の層を含む[1]から[5]のいずれかに記載のダイレクトブロー多層容器。
[8]前記酸素バリア層よりも外側に、さらにポリオレフィンを含む第三の層を含む[1]から[5]のいずれかに記載のダイレクトブロー多層容器。
[9]前記第一の層がポリオレフィンを含む[1]から[8]のいずれかに記載のダイレクトブロー多層容器。
2 第一の層(リグラインド層、内層)
3 内層
4 第二の層(酸素バリア材を含む層)
5 第三の層(外層)
6 接着層
7 口部
8 胴部
9 底部
10a、b ミシン目
11a~d 摘み部
Claims (6)
- 第一の層と、
前記第一の層よりも外側であって、前記第一の層と接するように配置された酸素バリア層と、
を含むダイレクトブロー多層容器であって、
前記酸素バリア層の前記第一の層からの剥離強度が0.12~2.5N/15mmであり、
前記酸素バリア層が、エチレン-ビニルアルコール共重合体とポリオレフィンとを98:2~85:15の質量比で含み、さらに、エチレン-ビニルアルコール共重合体とポリオレフィンとの合計量100質量部当たり1~7.5質量部の相容化剤を含むダイレクトブロー多層容器。 - 容器全体の質量に対する前記酸素バリア層の質量の割合が2~15質量%である請求項1に記載のダイレクトブロー多層容器。
- 前記酸素バリア層が最外層である請求項1又は2に記載のダイレクトブロー多層容器。
- 前記酸素バリア層よりも外側に、さらにエチレン-ビニルアルコール共重合体を含む第二の層を含む請求項1又は2に記載のダイレクトブロー多層容器。
- 前記酸素バリア層よりも外側に、さらにポリオレフィンを含む第三の層を含む請求項1又は2に記載のダイレクトブロー多層容器。
- 前記第一の層がポリオレフィンを含む請求項1から5のいずれか一項に記載のダイレクトブロー多層容器。
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