図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、同一の構成要素には同一の参照番号を付して、説明を省略する。
<1.飲料製造装置の概要>
図1は飲料製造装置1の外観図である。本実施形態の飲料製造装置1は、焙煎コーヒー豆と液体(ここでは水)からコーヒー飲料を自動製造する装置であり、一回の製造動作につき、コップ一杯分のコーヒー飲料を製造可能である。原料となる焙煎コーヒー豆は、キャニスタ40に収容可能である。飲料製造装置1の下部にはカップの載置部110が設けられており、製造されたコーヒー飲料は注ぎ部10cからカップへ注がれる。
飲料製造装置1は、その外装を形成して内部機構を囲包するハウジング100を備える。ハウジング100は、本体部101と、飲料製造装置1の正面の一部及び側面の一部を覆うカバー部102とに大別される。カバー部102には情報表示装置12が設けられている。情報表示装置12は本実施形態の場合、タッチパネル式のディスプレイであり、各種の情報の表示の他、装置の管理者や飲料の需要者の入力を受け付けることが可能である。情報表示装置12は、移動機構12aを介してカバー部102に取付けられており、移動機構12aによって上下方向に一定の範囲で移動可能である。
カバー部102には、また、豆投入口103と、豆投入口103を開閉する扉103aが設けられている。開閉扉103を開放して豆投入口103へ、キャニスタ40に収容されている焙煎コーヒー豆とは別の焙煎コーヒー豆を、投入することが可能となっている。これにより飲料の需要者に特別な一杯を提供することが可能である。
カバー部102は、本実施形態の場合、アクリルやガラスなどの透光性を有する材料で形成されており、その全体が透過部とされた透明カバーを構成している。このため、カバー部102に覆われたその内側の機構が外部から視認可能となっている。本実施形態の場合、コーヒー飲料を製造する製造部の一部がカバー部102を透して視認可能となっている。本体部101は本実施形態の場合その全体が非透過部とされており、その内部を外部から視認困難である。
図2は、飲料製造装置1の部分正面図であって、飲料製造装置1の正面視でユーザが視認可能な製造部の一部を示す図である。カバー部102や情報表示装置12は想像線で図示されている。
飲料製造装置1の正面部におけるハウジング100は、本体部101と、その外側(前方側)のカバー部102との二重構造となっている。前後方向で本体部101とカバー部102との間に製造部の一部の機構が配置されており、ユーザがカバー部102を介して視認可能である。
カバー部102を介してユーザが視認可能な製造部の一部の機構は、本実施形態の場合、後述する集合搬送部42、グラインダ5A、5B、分離装置6、抽出容器9等である。本体部101の正面部には、奥側に窪んだ矩形状の凹部101aが形成されており、抽出容器9等はこの凹部101a内の奥側に位置している。
カバー部102を介して外部からこれらの機構が視認可能であることにより、管理者にとっては点検や動作確認が容易になる場合がある。また、飲料の需要者にとってはコーヒー飲料の製造過程を楽しむことができる場合がある。
なお、カバー部102は、その右端部においてヒンジ102aを介して本体部101に横開き式に開閉自在に支持されている。カバー部102の左端部には、本体部101とカバー部102とを閉状態に維持する係合部102bが設けられている。係合部102bは例えば磁石と鉄の組合せである。管理者はカバー部102を開放することで、その内側の上述した製造部の一部の点検等を行うことができる。
なお、本実施形態の場合、カバー部102を横開き式としたが縦開き式(上下開き式)としてもよいし、スライド式としてもよい。また、カバー部102が開閉不能な構成であってもよい。
図3は飲料製造装置1の機能の概要図である。飲料製造装置1は、コーヒー飲料の製造部として、豆処理装置2及び抽出装置3を含む。
豆処理装置2は、焙煎コーヒー豆から挽き豆を生成する。抽出装置3は豆処理装置2から供給される挽き豆からコーヒー液を抽出する。抽出装置3は、流体供給ユニット7、後述する駆動ユニット8、抽出容器9及び切替ユニット10を含む。豆処理装置2から供給される挽き豆は、抽出容器9に投入される。流体供給ユニット7は、抽出容器9にお湯を投入する。抽出容器9内で挽き豆からコーヒー液が抽出される。抽出されたコーヒー液を含むお湯が切替ユニット10を介してコーヒー飲料としてコップCに送出される。
<2.流体供給ユニット及び切替ユニット>
流体供給ユニット7及び切替ユニット10の構成について図3を参照して説明する。まず、流体供給ユニット7について説明する。流体供給ユニット7は、抽出容器9へのお湯の供給や、抽出容器9内の気圧の制御等を行う。なお、本書において、気圧を数字で例示している場合、特に断わらない限り絶対圧を意味し、ゲージ圧とは大気圧を0気圧とする気圧である。大気圧とは、抽出容器9の周囲の気圧、又は、飲料製造装置の気圧を指し、例えば、飲料製造装置が海抜0mの地点に設置されている場合は、国際民間航空機関(=「International Civil Aviation Organization」〔[略]ICAO〕)が1976年に制定した国際標準大気(=「International Standard Atmosphere」〔[略]ISA〕)の海抜0mでの基準気圧(1013.25hPa)である。
流体供給ユニット7は配管L1~L3を含む。配管L1は空気が流通する配管であり、配管L2は水が流通する配管である。配管L3は空気と水の双方が流通可能な配管である。
流体供給ユニット7は、加圧源としてコンプレッサ70を含む。コンプレッサ70は大気を圧縮して送出する。コンプレッサ70は例えばモータ(不図示)を駆動源として駆動される。コンプレッサ70から送出される圧縮空気は、逆止弁71aを介してリザーブタンク(アキュームレータ)71に供給される。リザーブタンク71内の気圧は圧力センサ71bにより監視され、所定の気圧(本実施形態では7気圧(ゲージ圧で6気圧))に維持されるよう、コンプレッサ70が駆動される。リザーブタンク71には排水用のドレイン71cが設けられており、空気の圧縮により生じる水を排水可能となっている。
水タンク72にはコーヒー飲料を構成するお湯(水)が蓄積される。水タンク72には、水タンク72内の水を加温するヒータ72a及び水の温度を計測する温度センサ72bが設けられている。ヒータ72aは温度センサ72bの検出結果に基づいて、蓄積されるお湯の温度を所定の温度(本実施形態では摂氏120度)に維持する。ヒータ72aは例えばお湯の温度が摂氏118度でONとされ、摂氏120度でOFFとされる。
水タンク72には、また、水位センサ72cが設けられている。水位センサ72cは水タンク72内のお湯の水位を検出する。水位センサ72cにより所定の水位よりも水位が下がったことが検出されると、水タンク72に水が供給される。本実施形態の場合、不図示の浄水器を介して水道水が供給される。浄水器からの配管L2の途中には電磁弁72dが設けられており、水位センサ72cにより水位の低下が検出されると電磁弁72dが開放されて水が供給され、所定の水位に到達すると電磁弁72dが閉鎖されて水の供給が遮断される。こうして水タンク72内のお湯が一定の水位に維持される。なお、水タンク72への給水は一回のコーヒー飲料の製造に使用するお湯を排出する度に行ってもよい。
水タンク72には、また、圧力センサ72gが設けられている。圧力センサ72gは水タンク72内の気圧を検出する。水タンク72には調圧弁72e及び電磁弁72fを介してリザーブタンク71内の気圧が供給される。調圧弁72eはリザーブタンク71から供給される気圧を所定の気圧に減圧する。本実施形態の場合、3気圧(ゲージ圧で2気圧)に減圧する。電磁弁72fは調圧弁72eで調圧された気圧の、水タンク72への供給と遮断とを切り替える。電磁弁72fは、水タンク72への水道水の供給時を除き、水タンク72内の気圧が3気圧に維持されるように開閉制御される。水タンク72への水道水の供給時には、水道水の水圧によって水タンク72に円滑に水道水が補給されるように、電磁弁72hにより水タンク72内の気圧を水道水の水圧よりも低い圧力(例えば2.5気圧未満)に減圧する。電磁弁72hは水タンク72内を大気に解放するか否かを切り替え、減圧時には水タンク72内を大気に解放する。また、電磁弁72hは水タンク72への水道水の供給時以外に、水タンク72内の気圧が3気圧を超える場合に水タンク72内を大気に解放し、水タンク72内を3気圧に維持する。
水タンク72内のお湯は、逆止弁72j、電磁弁72i及び配管L3を介して抽出容器9へ供給される。電磁弁72iを開放することで抽出容器9へお湯が供給され、閉鎖することでお湯の供給が遮断される。抽出容器9へのお湯の供給量は、電磁弁72iの開放時間で管理することができる。しかし、供給量を計測して電磁弁72iの開閉を制御してもよい。配管L3にはお湯の温度を計測する温度センサ73eが設けられており、抽出容器9へ供給される湯温が監視される。
リザーブタンク71の気圧は、また、調圧弁73a、電磁弁73bを介して抽出容器9へ供給される。調圧弁73aはリザーブタンク71から供給される気圧を所定の気圧に減圧する。本実施形態の場合、5気圧(ゲージ圧で4気圧)に減圧する。電磁弁73bは調圧弁73aで調圧された気圧の、抽出容器9への供給と遮断とを切り替える。抽出容器9内の気圧は圧力センサ73dで検出される。抽出容器9内の加圧時、圧力センサ73dの検出結果に基づいて電磁弁73bが開放され、抽出容器9内を所定の気圧(本実施形態の場合、最大で5気圧(ゲージ圧で4気圧))に加圧する。抽出容器9内の気圧は電磁弁73cで減圧可能である。電磁弁73cは抽出容器9内を大気に解放するか否かを切り替え、圧力異常時(例えば抽出容器9内が5気圧を超える場合)には抽出容器9内を大気に解放する。
一回のコーヒー飲料の製造が終わると、本実施形態の場合、抽出容器9内を水道水で洗浄する。電磁弁73fは洗浄時に開放され、抽出容器9に水道水を供給する。
次に切替ユニット10について説明する。切替ユニット10は抽出容器9から送出される液体の送出先を注ぎ部10cと廃棄タンクTとのいずれかに切り替えるユニットである。切替ユニット10は、切替弁10aと切替弁10aを駆動するモータ10bを含む。切替弁10aは、抽出容器9内のコーヒー飲料を送出する場合は注ぎ部10cへ流路を切り替える。コーヒー飲料は注ぎ部10cからカップCへ注がれる。洗浄時の廃液(水道水)及び残渣(挽き豆)を排出する場合は廃棄タンクTへ流路を切り替える。切替弁10aは本実施形態の場合3ポートのボール弁である。洗浄時には切替弁10aを残渣が通過することから、切替弁10aはボール弁が好適であり、モータ10bはその回転軸を回転することで、流路を切り替える。
<3.豆処理装置>
図1、図2を参照して豆処理装置2について説明する。豆処理装置2は、貯留装置4及び粉砕装置5を含む。
<3-1.貯留装置>
貯留装置4は、焙煎後のコーヒー豆が収容される複数のキャニスタ40を含む。本実施形態の場合、キャニスタ40は三つ設けられている。キャニスタ40は、焙煎コーヒー豆を収容する筒状の本体40aと、本体40aに設けられた取手40bとを含み、飲料製造装置1に対して着脱自在に構成されている。
各キャニスタ40は、互いに異なる種類の焙煎コーヒー豆を収容し、情報表示装置12に対する操作入力によって、コーヒー飲料の製造に用いる焙煎コーヒー豆の種類を選択できるようにしてもよい。種類が異なる焙煎コーヒー豆とは例えばコーヒー豆の品種が異なる焙煎コーヒー豆である。また、種類が異なる焙煎コーヒー豆とは、同じ品種のコーヒー豆であるが、焙煎度が異なる焙煎コーヒー豆であってもよい。また、種類が異なる焙煎コーヒー豆とは、品種も焙煎度も異なる焙煎コーヒー豆でもよい。また、三つのキャニスタ40の少なくともいずれか一つには、複数種類の品種の焙煎コーヒー豆が混合された焙煎コーヒー豆が収容されてもよい。この場合、各品種の焙煎コーヒー豆は、焙煎度が同程度であってもよい。
なお、本実施形態では複数のキャニスタ40を設けたが、一つのキャニスタ40のみが設けられる構成であってもよい。また、複数のキャニスタ40を設けた場合に、同じ種類の焙煎コーヒー豆が全部又は複数のキャニスタ40に収容されてもよい。
各キャニスタ40は計量搬送装置41に着脱自在に装着される。計量搬送装置41は、例えば、電動スクリューコンベアであり、キャニスタ40に収容された所定の量の焙煎コーヒー豆を自動計量して下流側に送出する。
各計量搬送装置41は下流側の集合搬送部42に焙煎コーヒー豆を排出する。集合搬送部42は中空の部材で構成されており、各コンベア41から粉砕装置5(特にグラインダ5A)への焙煎コーヒー豆の搬送通路を形成する。各計量搬送装置41から排出された焙煎コーヒー豆は集合搬送部42の内部を自重によって移動し、粉砕装置5へ流れ落ちる。
集合搬送部42には、豆投入口103に対応する位置に案内部42aが形成されている。案内部42aは豆投入口103から投入された焙煎コーヒー豆を粉砕装置5(特にグラインダ5A)へ案内する通路を形成する。これにより、キャニスタ40に収容された焙煎コーヒー豆以外に、豆投入口103から投入される焙煎コーヒー豆を原料としたコーヒー飲料も製造できる。
<3-2.粉砕装置>
図2及び図4を参照して粉砕装置5を説明する。図4は分離装置6の一部判断斜視図である。粉砕装置5は、グラインダ5A及び5B、及び、分離装置6を含む。グラインダ5A及び5Bは貯留装置4から供給される焙煎コーヒー豆を挽く機構である。貯留装置4から供給される焙煎コーヒー豆は、グラインダ5Aで挽かれた後、グラインダ5Bで更に挽かれて粉状にされ、排出管5Cから抽出容器9へ投入される。
グラインダ5A及び5Bは、豆を挽く粒度が異なっている。グラインダ5Aは粗挽き用のグラインダであり、グラインダ5Bは細挽き用のグラインダである。グラインダ5A、5Bはそれぞれ電動グラインダであり、駆動源であるモータと、モータにより駆動される回転刃等を含む。回転刃の回転数を変化させることで粉砕される焙煎コーヒー豆の大きさ(粒度)を変化可能である。
分離装置6は挽き豆から不要物を分離する機構である。分離装置6はグラインダ5Aとグラインダ5Bとの間に配置された通路部63aを含む。通路部63aはグラインダ5Aから自由落下してくる挽き豆が通過する分離室を形成する中空体である。通路部63aには、挽き豆の通過方向(本実施形態の場合、上下方向。)と交差する方向(本実施形態の場合、左右方向。)に延びる通路部63bが接続されており、この通路部63bには吸引ユニット60が接続されている。吸引ユニット60が通路部63a内の空気を吸引することで、チャフや微粉といった軽量な物体が吸引される。これにより、挽き豆から不要物を分離できる。
吸引ユニット60は遠心分離方式の機構である。吸引ユニット60は、送風ユニット60A及び回収容器60Bを含む。送風ユニット60Aは本実施形態の場合、ファンモータであり、回収容器60B内の空気を上方へ排気する。
回収容器60Bは、分離可能に係合する上部61と下部62とを含む。下部62は上方が開放した有底の筒型をなしており、不要物を蓄積する空間を形成する。上部61は下部62の開口に装着される蓋部を構成する。上部61は、円筒形状の外周壁61aと、これと同軸上に形成された排気筒61bとを含む。送風ユニット60Aは排気筒61b内の空気を吸引するように排気筒61bの上方において上部61に固定されている。上部61には通路部63bが接続されている。通路部63bは排気筒61bの側方に開口している。
送風ユニット60Aの駆動により、図4において矢印d1~d3で示す気流が発生する。この気流により、通路部63aから不要物を含んだ空気が通路部63bを通って回収容器60B内に吸引される。通路部63bは排気筒61bの側方に開口しているため、不要物を含んだ空気は排気筒61bの周囲を旋回する。空気中の不要物Dは、その重量によって落下し、回収容器60Bの一部に集められる(下部62の底面上に堆積する)。空気は排気筒61bの内部を通って上方に排気される。
排気筒61bの周面には複数のフィン61dが一体に形成されている。複数のフィン61dは排気筒61bの周方向に配列されている。個々のフィン61dは、排気筒61bの軸方向に対して斜めに傾斜している。このようなフィン61を設けたことで、不要物Dを含んだ空気の排気筒61bの周囲の旋回を促進する。
本実施形態の場合、下部62はアクリル、ガラスなどの透光性を有する材料で形成されており、その全体が透過部とされた透明容器を構成している。また、下部62はカバー部102で覆われた部分である(図2)。管理者や飲料の需要者は、カバー部102、下部62の周壁を透して、下部62内に蓄積された不要物Dを視認可能である。管理者にとっては、下部62の清掃タイミングを確認し易い場合があり、飲料の需要者にとっては不要物Dが除去されていることが視認できることで、製造中のコーヒー飲料の品質に対する期待感が高まる場合がある。
このように本実施形態では、貯留装置4から供給される焙煎コーヒー豆は、まず、グラインダ5Aで粗挽きされ、その粗挽き豆が通路部63aを通過する際に、分離装置6によって不要物が分離される。不要物が分離された粗挽き豆は、グラインダ5Bにより細挽きされる。分離装置6で分離する不要物は、代表的にはチャフや微粉である。これらはコーヒー飲料の味を低下させる場合があり、挽き豆からチャフ等を除去することで、コーヒー飲料の品質を向上できる。
焙煎コーヒー豆の粉砕は、一つのグラインダ(一段階の粉砕)であってもよい。しかし、本実施形態のように、二つのグラインダ5A、5Bによる二段階の粉砕とすることで、挽き豆の粒度が揃い易くなり、コーヒー液の抽出度合を一定にすることができる。豆の粉砕の際にはカッターと豆との摩擦により、熱が発生する場合がある。二段階の粉砕とすることで、粉砕時の摩擦による発熱を抑制し、挽き豆の劣化(例えば風味が落ちる)を防止することもできる。
また、粗挽き→不要物の分離→細挽きという段階を経ることで、チャフなどの不要物を分離する際、不要物と挽き豆(必要部分)との質量差を大きくできる。これは不要物の分離効率を上げることができるとともに、挽き豆(必要部分)が不要物として分離されてしまうことを防止することができる。また、粗挽きと細挽きとの間に、空気の吸引を利用した不要物の分離処理が介在することで、空冷によって挽き豆の発熱を抑えることができる。
<4.駆動ユニット及び抽出容器>
<4-1.概要>
抽出装置3の駆動ユニット8及び抽出容器9について図5を参照して説明する。図5は駆動ユニット8及び抽出容器9の斜視図である。駆動ユニット8の大部分は本体部101に囲包されている。
駆動ユニット8はフレームFに支持されている。フレームFは、上下の梁部F1、F2及び梁部F1、F2を支持する柱部F3を含む。駆動ユニット8は、上部ユニット8A、中部ユニット8B及び下部ユニット8Cの三つのユニットに大別される。上部ユニット8Aは梁部F1に支持されている。中部ユニット8Bは梁部F1と梁部F2との間において、梁部F1及び柱部F3に支持されている。下部ユニット8Cは梁部F2に支持されている。
抽出容器9は、容器本体90及び蓋ユニット91を含むチャンバである。抽出容器9のことをチャンバと呼ぶ場合がある。中部ユニット8Bは、容器本体90を着脱自在に保持するアーム部材820を備える。アーム部材820は、保持部材820aと、左右に離間した一対の軸部材820bとを含む。保持部材820aは、Cの字型のクリップ状に形成された樹脂等の弾性部材であり、その弾性力により容器本体90を保持する。保持部材820aは容器本体90の左右の側部を保持し、容器本体90の前方側は露出させている。これにより容器本体90の内部を、正面視で視認し易くなる。
保持部材820aに対する容器本体90の着脱は手動操作で行い、保持部材820aに容器本体90を前後方向後方へ押し付けることで容器本体90が保持部材820aに装着される。また、容器本体90を保持部材820aから前後方向前側へ引き抜くことで、容器本体90を保持部材820aから分離可能である。
一対の軸部材820bは、それぞれ、前後方向に延設されたロッドであり、保持部材820aを支持する部材である。なお、本実施形態では軸部材820bの数を二本としたが、一本でもよいし、三本以上であってもよい。保持部材820aは、一対の軸部材820bの前側の端部に固定されている。後述する機構により、一対の軸部材820bは前後方向に進退され、これにより保持部材820aが前後に進退し、は容器本体90を前後方向に平行移動する移動動作を行うことができる。中部ユニット8Bは、また、後述するように、抽出容器9の上下を反転させる回動動作を行うことも可能である。
<4-2.抽出容器>
図6を参照して抽出容器9について説明する。図6は抽出容器9の閉状態及び開状態を示す図である。上記のとおり、抽出容器9は中部ユニット8Bにより上下が反転される。図6の抽出容器9は、蓋ユニット91が上側に位置している基本姿勢を示している。以下の説明において上下の位置関係を述べる場合、特に断らない限りは基本姿勢における上下の位置関係を意味するものとする。
容器本体90は有底の容器であり、ネック部90b、肩部90d、胴部90e及び底部90fを有するボトル形状を有している。ネック部90bの端部(容器本体90の上端部)には、容器本体90の内部空間と連通する開口90aを画定するフランジ部90cが形成されている。
ネック部90b及び胴部90eは、いずれも円筒形状を有している。肩部90dは、ネック部90bと胴部90eとの間の部分であり、その内部空間の断面積が胴部90e側からネック部90b側へ向かって徐々に小さくなるようにテーパ形状を有している。
蓋ユニット91は開口90aを開閉するユニットである。蓋ユニット91の開閉動作(昇降動作)は上部ユニット8Aにより行われる。
容器本体90は、本体部材900及び底部材901を含む。本体部材900は、ネック部90b、肩部90d、胴部90eを形成する上下が開放した筒部材である。底部材901は底部90fを形成する部材であり、本体部材900の下部に挿入されて固定される。本体部材900と底部材901との間にはシール部材902が介在し、容器本体90内の気密性を向上する。
本実施形態の場合、本体部材900はアクリル、ガラスなどの透光性を有する材料で形成されており、その全体が透過部とされた透明容器を構成している。管理者や飲料の需要者は、カバー部102、容器本体90の本体部材900を透して、容器本体90内でのコーヒー飲料の抽出状況を視認可能である。管理者にとっては、抽出動作を確認し易い場合があり、飲料の需要者にとっては抽出状況を楽しめる場合がある。
底部材901の中心部には凸部901cが設けられ、この凸部901cには、容器本体90内を外部に連通させる連通穴や、この連通穴を開閉する弁(図8の弁903)が設けられている。連通穴は、容器本体90内を洗浄する際の廃液及び残渣の排出に用いられる。凸部901cにはシール部材908が設けられており、シール部材908は、上部ユニット8Aまたは下部ユニット8CBと底部材901との間を気密に維持するための部材である。
蓋ユニット91は、帽子状のベース部材911を備える。ベース部材911は、凸部911d、及び、閉時にフランジ部90cと重なる鍔部911cを有する。凸部911dには、容器本体90における凸部901cと同じ構造とされており、容器本体90内を外部に連通させる連通穴や、この連通穴を開閉する弁(図8の弁913)が設けられている。凸部911dの連通穴は、主に、容器本体90内へのお湯の注入とコーヒー飲料の送出に用いられる。凸部911dにはシール部材918aが設けられている。シール部材918aは、上部ユニット8Aまたは下部ユニット8CBとベース部材911との間を気密に維持するための部材である。蓋ユニット91には、また、シール部材919が設けられている。シール部材919は、蓋ユニット91の閉時に蓋ユニット91と容器本体90との気密性を向上する。蓋ユニット91には濾過用のフィルタが保持される。
<4-3.上部ユニット及び下部ユニット>
上部ユニット8A及び下部ユニット8Cについて図7、図8を参照して説明する。図7は上部ユニット8A及び下部ユニット8CBの一部の構成を示す正面図であり、図8は図7の縦断面図である。
上部ユニット8Aは、操作ユニット81Aを含む。操作ユニット81Aは容器本体90に対する蓋ユニット91の開閉操作(昇降)及び凸部901c及び911dの弁の開閉操作を行う。操作ユニット81Aは、支持部材800、保持部材801、昇降軸802及びプローブ803を含む。
支持部材800はフレームFに対する相対位置が変化しないように固定して設けられており、保持部材801を収容する。支持部材800は、また、配管L3と支持部材800内を連通させる連通部800aを備える。配管L3から供給されるお湯、水道水および気圧が連通部800aを介して支持部材800内に導入される。
保持部材801は、蓋ユニット91を着脱自在に保持可能な部材である。保持部材801は蓋ユニット91の凸部911d又は底部材901の凸部901cが挿入される円筒状の空間を有すると共に、これらを着脱自在に保持する機構を備える。この機構は、例えば、スナップリング機構であり、一定の押圧力により係合し、一定の分離力により係合が解除される。配管L3から供給されるお湯、水道水および気圧は、連通部800a及び保持部材801の連通穴801aを介して抽出容器9内へ供給可能である。
保持部材801は支持部材800内を上下方向にスライド自在に設けられた可動部材でもある。昇降軸802はその軸方向が上下方向となるように設けられている。昇降軸802は支持部材800の天部を上下方向に気密に貫通し、支持部材800に対して上下に昇降自在に設けられている。
昇降軸802の下端部には保持部材801の天部が固定されている。昇降軸802の昇降によって保持部材801が上下方向にスライドし、凸部911dや凸部901cへの保持部材801の装着と分離を行うことができる。また、容器本体90に対する蓋ユニット91の開閉を行うことができる。
昇降軸802の外周面にはリードスクリュー機構を構成するねじ802aが形成されている。このねじ802aにはナット804bが螺着されている。上部ユニット8Aは、モータ804aを備えており、ナット804bはモータ804aの駆動力によって、その場で(上下に移動せずに)回転される。ナット804bの回転によって昇降軸802が昇降する。
昇降軸802は、中心軸に貫通穴を有する管状の軸であり、この貫通穴にプローブ803が上下にスライド自在に挿入されている。プローブ803は保持部材801の天部を上下方向に気密に貫通し、支持部材800及び保持部材801に対して上下に昇降自在に設けられている。
プローブ803は、凸部911d、901cの内部に設けた弁913、903を開閉する操作子であり、プローブ803の降下により弁913、903を閉状態から開状態とし、プローブ803の上昇により弁を開状態から閉状態(不図示のリターンばねの作用による)とすることができる。
プローブ803の外周面にはリードスクリュー機構を構成するねじ803aが形成されている。このねじ803aにはナット805bが螺着されている。上部ユニット8Aは、モータ805aを備えており、ナット805bはモータ805aの駆動力によって、その場で(上下に移動せずに)回転するように設けられている。ナット805bの回転によってプローブ803が昇降する。
下部ユニット8Cは、操作ユニット81Cを含む。操作ユニット81Cは、操作ユニット81Aを上下に反転した構成であり、凸部911d、901cの内部に設けた弁913、903の開閉操作を行う。操作ユニット81Cも蓋ユニット91の開閉が可能な構成であるが、本実施形態では操作ユニット81Cを蓋ユニット91の開閉には用いない。
以下、操作ユニット81Aの説明と略同じであるが、操作ユニット81Cについて説明する。操作ユニット81Cは、支持部材810、保持部材811、昇降軸812及びプローブ813を含む。
支持部材810はフレームFに対する相対位置が変化しないように固定して設けられており、保持部材811を収容する。支持部材810は、また、切替ユニット10の切替弁10aと支持部材810内を連通させる連通部810aを備える。容器本体90内のコーヒー飲料、水道水、挽き豆の残渣が連通部810aを介して切替弁10aに導入される。
保持部材811は、蓋ユニット91の凸部911d又は底部材901の凸部901cが挿入される円筒状の空間を有すると共に、これらを着脱自在に保持する機構を備える。この機構は、例えば、スナップリング機構であり、一定の押圧力により係合し、一定の分離力により係合が解除される。容器本体90内のコーヒー飲料、水道水、挽き豆の残渣が連通部810a及び保持部材811の連通穴811aを介して切替弁10aに導入される。
保持部材811は支持部材810内を上下方向にスライド自在に設けられた可動部材でもある。昇降軸812はその軸方向が上下方向となるように設けられている。昇降軸812は支持部材800の底部を上下方向に気密に貫通し、支持部材810に対して上下に昇降自在に設けられている。
昇降軸812の下端部には保持部材811の底部が固定されている。昇降軸812の昇降によって保持部材811が上下方向にスライドし、凸部901cや凸部911dへの保持部材811の装着と分離を行うことができる。
昇降軸812の外周面にはリードスクリュー機構を構成するねじ812aが形成されている。このねじ812aにはナット814bが螺着されている。下部ユニット8Cは、モータ814aを備えており、ナット814bはモータ814aの駆動力によって、その場で(上下に移動せずに)回転される。ナット814bの回転によって昇降軸812が昇降する。
昇降軸812は、中心軸に貫通穴を有する管状の軸であり、この貫通穴にプローブ813が上下にスライド自在に挿入されている。プローブ813は保持部材811の底部を上下方向に気密に貫通し、支持部材810及び保持部材811に対して上下に昇降自在に設けられている。
プローブ813は、凸部911d、901cの内部に設けた弁913、903を開閉する操作子であり、プローブ813の上昇により弁913、903を閉状態から開状態とし、プローブ813の降下により弁を開状態から閉状態(不図示のリターンばねの作用による)とすることができる。
プローブ813の外周面にはリードスクリュー機構を構成するねじ813aが形成されている。このねじ813aにはナット815bが螺着されている。下部ユニット8Cは、モータ815aを備えており、ナット815bはモータ815aの駆動力によって、その場で(上下に移動せずに)回転するように設けられている。ナット815bの回転によってプローブ813が昇降する。
<4-4.中部ユニット>
中部ユニット8Bについて図5及び図9を参照して説明する。図9は中部ユニット8Bの模式図である。中部ユニット8Bは抽出容器9を支持する支持ユニット81Bを含む。支持ユニット81Bは上述したアーム部材820の他、ロック機構821を支持するユニット本体81B'を含む。
ロック機構821は、蓋ユニット91を容器本体90に対して閉状態に維持する機構である。ロック機構821は、蓋ユニット91の鍔部911cと容器本体90のフランジ部90cとを上下に挟持する一対の把持部材821aを含む。一対の把持部材821aは、鍔部911cとフランジ部90cとを挟み込んで嵌合するC字型の断面を有しており、モータ822の駆動力により左右方向に開閉される。一対の把持部材821aが閉状態の場合、図9の囲み図において実線で示すように、各把持部材821aは鍔部911cとフランジ部90cとを上下に挟み込むようにしてこれらに嵌合し、蓋ユニット91が容器本体90に対して気密にロックされる。このロック状態においては、保持部材801を昇降軸802によって上昇させて蓋ユニット91を開放しようとしても、蓋ユニット91は移動しない(ロックは解除されない)。つまり、保持部材801を用いて蓋ユニット91を開放する力よりもロック機構821によるロックの力の方が強く設定されている。これにより異常時に容器本体90に対して蓋ユニット91が開状態になることを防止することができる。
また、一対の把持部材821aが開状態の場合、図9の囲み図において破線で示すように、鍔部911cとフランジ部90cから各把持部材821aが離間した状態となり、蓋ユニット91と容器本体90とのロックが解除される。
保持部材801が蓋ユニット91を保持した状態にあり、かつ、保持部材801を降下位置から上昇位置に上昇する場合、一対の把持部材821aが開状態の場合には容器本体90から蓋ユニット91が分離される。逆に一対の把持部材821aが閉状態の場合には蓋ユニット91に対する保持部材801が解除され、保持部材801だけが上昇することになる。
中部ユニット8Bは、また、モータ823を駆動源としてアーム部材820を前後方向に水平移動する機構を含む。これにより、アーム部材820に支持された容器本体90を後側の抽出位置(状態ST1)と、前側の豆投入位置(状態ST2)との間で移動することができる。豆投入位置は、容器本体90に挽き豆を投入する位置であり、蓋ユニット91が分離された容器本体90の開口90aに、グラインダ5Bで挽かれた挽き豆が排出管5Cから投入される。換言すると、排出管5Cの位置は、豆投入位置に位置している容器本体90の上方である。
抽出位置は、容器本体90が操作ユニット81A及び操作ユニット81Cによる操作が可能となる位置であり、プローブ803、813と同軸上の位置であって、コーヒー液の抽出を行う位置である。抽出位置は豆投入位置よりも奥側の位置である。図5、図7及び図8はいずれも容器本体90が抽出位置にある場合を示している。このように、挽き豆の投入と、コーヒー液の抽出及び水の供給とで、容器本体90の位置を異ならせることにより、コーヒー液抽出時に発生する湯気が、挽き豆の供給部である排出管5Cに付着することを防止できる。
中部ユニット8Bは、また、モータ824を駆動源として支持ユニット81Bを前後方向の軸825回りに回転させる機構を含む。これにより、容器本体90(抽出容器9)の姿勢をネック部90bが上側の正立姿勢(状態ST1)からネック部90bが下側の倒立姿勢(状態ST3)へ変化させることができる。抽出容器9の回動中は、ロック機構821により容器本体90に蓋ユニット91がロックされた状態が維持される。正立姿勢と倒立姿勢とで抽出容器9は上下が反転される。正立姿勢における凸部901cの位置に、倒立姿勢では凸部911dが位置する。また、正立姿勢における凸部911dの位置に、倒立姿勢では凸部901cが位置する。このため、倒立姿勢では弁903に対する開閉操作を操作ユニット81Aが行うことができ、また、弁913に対する開閉操作を操作ユニット81Cが行うことができる。
<5.制御装置>
図10を参照して飲料製造装置1の制御装置11について説明する。図10は制御装置11のブロック図である。
制御装置11は飲料製造装置1の全体を制御する。制御装置11は、処理部11a、記憶部11b及びI/F(インタフェース)部11cを含む。処理部11aは例えばCPU等のプロセッサである。記憶部11bは例えばRAMやROMである。I/F部11cは外部デバイスと処理部11aとの間の信号の入出力を行う入出力インタフェースを含む。I/F部11cは、また、インターネットなどの通信ネットワーク15を介してサーバ16とデータ通信が可能な通信インタフェースを含む。サーバ16は、通信ネットワーク15を介してスマートフォン等の携帯端末17との通信が可能であり、例えば、飲料の需要者の携帯端末17から飲料製造の予約や、感想などの情報を受信可能である。
処理部11aは記憶部11bに記憶されたプログラムを実行し、情報表示装置12からの指示或いはセンサ群13からの飲料製造装置1のいずれかのパラメータの取得結果若しくはサーバ16からの指示に基づいて、アクチュエータ群14を制御する。センサ群13は飲料製造装置1に設けられ、飲料製造装置1のいずれかのパラメータを取得するための各種のセンサ(例えばお湯の温度センサ、機構の動作位置検出センサ、圧力センサ等)である。アクチュエータ群14は飲料製造装置1に設けられた各種のアクチュエータ(例えばモータ、電磁弁、ヒータ等)である。
<6.動作制御例>
処理部11aが実行する飲料製造装置1の制御処理例について図11A(A)及び(B)を参照して説明する。図11(A)は一回のコーヒー飲料製造動作に関わる制御例を示している。製造指示前の飲料製造装置1の状態を待機状態と呼ぶ。待機状態における各機構の状態は以下の通りである。
抽出装置3は図5の状態にある。抽出容器9は正立姿勢で、かつ、抽出位置に位置している。ロック機構821は閉状態であり、蓋ユニット91は容器本体90の開口90aを閉鎖している。保持部材801は降下位置にあり、凸部911dに装着されている。保持部材811は上昇位置にあり、凸部901cに装着されている。弁903及び913は閉状態にある。切替弁10aは操作ユニット81Cの連通部810aを廃棄タンクTと連通させる。
待機状態において、コーヒー飲料の製造指示があると、図11(A)の処理が実行される。S1では予熱処理が実行される。この処理は容器本体90内にお湯を注ぎ、容器本体90を事前に加温する処理である。まず、弁903及び913を開状態とする。これにより、配管L3、抽出容器9、廃棄タンクTが連通状態となる。
電磁弁72iを所定時間(例えば1500ms)だけ開放したのちに閉鎖する。これにより、水タンク72から抽出容器9内にお湯が注入される。続いて電磁弁73を所定時間(例えば500ms)だけ開放したのちに閉鎖する。これにより、抽出容器9内の空気が加圧され、廃棄タンクTへのお湯の排出を促進する。以上の処理により、抽出容器9の内部及び配管L2が予熱され、これに続くコーヒー飲料の製造において、お湯が冷めることを低減できる。
S2ではグラインド処理を行う。ここでは焙煎コーヒー豆を粉砕し、その挽き豆を容器本体90に投入する。まず、ロック機構821を開状態とし、保持部材801を上昇位置に上昇する。蓋ユニット91は保持部材801に保持され、保持部材801と共に上昇する。この結果、蓋ユニット91は容器本体90から分離する。保持部材811は降下位置に降下する。容器本体90を豆投入位置に移動する。続いて、貯留装置4及び粉砕装置5を作動する。これにより、貯留装置4から一杯分の焙煎コーヒー豆がグラインダ5Aに供給される。グラインダ5A及び5Bで焙煎コーヒー豆が二段階で挽かれ、かつ、分離装置6で不要物が分離される。挽き豆は容器本体90に投入される。
容器本体90を抽出位置に戻す。保持部材801を降下位置に降下して容器本体90に蓋ユニット91を装着する。ロック機構821を閉状態とし、蓋ユニット91を容器本体90に気密にロックする。保持部材811は上昇位置に上昇する。弁903、913のうち、弁903は開状態とし、弁913は閉状態とする。
S3では抽出処理を行う。ここでは容器本体90内の挽き豆からコーヒー液を抽出する。図11(B)はS3の抽出処理のフローチャートである。
S11では抽出容器9内の挽き豆を蒸らすため、一杯分のお湯よりも少ない量のお湯を抽出容器9に注入する。ここでは、電磁弁72iを所定時間(例えば500ms)開放して閉鎖する。これにより、水タンク72から抽出容器9内にお湯が注入される。その後、所定時間(例えば、5000ms)待機してS11の処理を終了する。この処理によって挽き豆を蒸らすことができる。挽き豆を蒸らすことで、挽き豆に含まれる炭酸ガスを放出させ、その後の抽出効果を高めることができる。
S12では、一杯分のお湯が抽出容器9に収容されるよう、残りの量のお湯を抽出容器9へ注入する。ここでは、電磁弁72iを所定時間(例えば7000ms)開放して閉鎖する。これにより、水タンク72から抽出容器9内にお湯が注入される。
S12の処理によって抽出容器9内を、1気圧で摂氏100度を超える温度(例えば摂氏110度程度)の状態とすることができる。続いてS13により抽出容器9内を加圧する。ここでは電磁弁73bを所定時間(例えば1000ms)開放して閉鎖し、抽出容器9内をお湯が沸騰しない気圧(例えば4気圧程度(ゲージ圧で3気圧程度))に加圧する。その後、弁903を閉状態とする。
続いて、この状態を所定時間(例えば7000ms)維持して浸漬式のコーヒー液抽出を行う(S14)。これにより高温高圧下での浸漬式によるコーヒー液の抽出が行われる。高温高圧下での浸漬式の抽出では、以下の効果が見込める。一つ目は、高圧にすることで、挽き豆の内部にお湯を浸透させ易くし、コーヒー液の抽出を促進させることができる。二つ目は、高温にすることで、コーヒー液の抽出が促進される。三つ目は、高温にすることで挽き豆に含まれるオイルの粘性を下がり、オイルの抽出が促進される。これにより香り高いコーヒー飲料を製造できる。
お湯(高温水)の温度は、摂氏100度を超えていればよいが、より高温である方がコーヒー液の抽出の点で有利である。一方、お湯の温度を高くするためには一般にコストアップとなる。したがって、お湯の温度は、例えば、摂氏105度以上、または、摂氏110度以上、或いは、摂氏115度以上とし、また、例えば、摂氏130度以下、または、摂氏120度以下としてもよい。気圧はお湯が沸騰しない気圧であればよい。
S15では抽出容器9内を減圧する。ここでは、抽出容器9内の気圧をお湯が沸騰する気圧に切り替える。具体的には、弁913を開状態とし、電磁弁73cを所定時間(例えば1000ms)開放して閉鎖する。抽出容器9内が大気に解放される。その後、弁913を再び閉状態とする。
抽出容器9内が沸点圧よりも低い気圧に急激に減圧され、抽出容器9内のお湯が一気に沸騰する。抽出容器9内のお湯、挽き豆は、抽出容器9内で爆発的に飛散する。これにより、お湯を均一に沸騰させることができる。また、挽き豆の細胞壁の破壊を促進させることができ、その後のコーヒー液の抽出を更に促進させることができる。また、この沸騰により挽き豆とお湯を撹拌させることもできるため、コーヒー液の抽出を促進させることができる。こうして本実施形態ではコーヒー液の抽出効率を向上することができる。
S16では抽出容器9を正立姿勢から倒立姿勢へ反転する。ここでは、保持部材801を上昇位置に、保持部材811を降下位置にそれぞれ移動する。そして、支持ユニット81Bを回転させる。その後、保持部材801を降下位置に、保持部材811を上昇位置にそれぞれ戻す。倒立姿勢の抽出容器9は、ネック部90bや蓋ユニット91が下側に位置することになる。
S17では透過式のコーヒー液抽出を行い、カップCにコーヒー飲料を送出する。ここでは、切替弁10aを切り替えて注ぎ部10cと操作ユニット81Cの通路部810aとを連通させる。また、弁903、913をいずれも開状態とする。更に、電磁弁73bを所定時間(例えば10000ms)開放し、抽出容器9内を所定気圧(例えば1.7気圧(ゲージ圧で0.7気圧))にする。抽出容器9内において、コーヒー液がお湯に溶け込んだコーヒー飲料が蓋ユニット91に設けたフィルタを透過してカップCに送出される。フィルタは挽き豆の残渣が漏出することを規制する。以上により抽出処理が終了する。
本実施形態では、S14での浸漬式の抽出とS17での透過式の抽出とを併用することによりコーヒー液の抽出効率を向上できる。抽出容器9が正立姿勢の状態では、挽き豆が胴部90eから底部90fに渡って堆積する。一方、抽出容器9が倒立姿勢の状態では、挽き豆が肩部90dからネック部90bに渡って堆積する。ネック部90bの断面積よりも胴部90eの断面積の方が大きく、倒立姿勢での挽き豆の堆積厚さは正立姿勢での堆積厚さよりも厚くなる。つまり、挽き豆は抽出容器9が正立姿勢の状態では相対的に薄く、広く堆積し、倒立姿勢の状態では相対的に厚く、狭く堆積する。
本実施形態の場合、S14の浸漬式抽出は抽出容器9が正立姿勢の状態で行われるので、お湯と挽き豆とを広範囲にわたって接触させることができ、コーヒー液の抽出効率を向上できる。但し、この場合はお湯と挽き豆とが部分的に接触する傾向にある。一方、S17の透過式抽出は抽出容器9が倒立姿勢の状態で行われるので、お湯がより多くの挽き豆と接触しながら堆積した挽き豆を通過することになる。お湯がより万遍なく挽き豆と接触することになり、コーヒー液の抽出効率を更に向上することができる。
図11(A)に戻り、S3の抽出処理の後は、S4の排出処理を行う。ここでは抽出容器9内の清掃に関する処理を行う。抽出容器9の清掃は、抽出容器9を倒立姿勢から正立姿勢に戻し、抽出容器9に水道水(浄水)を供給することで行う。そして、抽出容器9内を加圧し、抽出容器9内の水を挽き豆の残渣と共に廃棄タンクTへ排出する。
以上により一回のコーヒー飲料製造処理が終了する。以降、同様の処理が製造指示毎に繰り返される。一回のコーヒー飲料の製造に要する時間は、例えば、60~90秒程度である。
図12は、情報表示装置12の構成を示す図である。処理部1201は、例えばCPUを含み、情報表示装置12を統括的に制御する。本実施形態における情報表示装置12の動作は、例えば、処理部1201が記憶部1203に記憶されたプログラムをメモリ1202にロードして実行することにより実現される。メモリ1202は、処理部1201のCPUのワーキングメモリとして用いられる。記憶部1203は、情報表示装置12が動作するための基本的な制御プログラムや、データやパラメータを記憶する。
通信I/F1204は、有線や無線等、情報表示装置12が接続するネットワークの媒体に応じて構成される。近距離無線通信I/F1205は、通信I/F1204による通信と異なる通信方法により通信を行い、例えばBluetooth(登録商標)である。本実施形態では、情報表示装置12は、レシピのカスタム情報等を近距離無線通信I/F1205を介して携帯端末17から受信可能である。
表示部1207は、タッチパネルであり、ユーザが飲料製造装置1を用いるためのユーザインタフェース画面を表示する。また、操作部1208は、ユーザからの操作を受付可能であり、決定等のハードウェアキーを含む。表示部1207がタッチパネルである場合には、操作部1208は、タッチパネル上のソフトウェアキーとして実現されても良い。
撮像部1209は、カメラであり、静止画像の撮像データを生成する。撮像部1209は、例えばユーザにより店舗に持ち込まれた豆を撮像したり、携帯端末の表示部に表示された二次元コードを撮像することが可能である。携帯端末の表示部に表示された二次元コードを撮像することにより、情報表示装置12は、携帯端末との間で、通信I/F1204や近距離無線通信I/F1205による通信以外の通信方法が可能となる。本体I/F1206は、制御装置11とのインタフェース部であり、例えば、表示部1207や操作部1208を介してユーザにより設定されたコーヒー豆の選択情報や抽出プロファイルの情報を制御装置11に送信する。図12の各部は、バス1210を介して相互に接続可能である。
<7.起動時フロー図>
図13は、情報表示装置12と制御装置11とが起動時に実行するシーケンス図である。
まず、S1301で、情報表示装置12および制御装置11は起動を開始する。S1301の処理は、飲料製造装置1に通電されることであってもよく、通電した上で電源ボタンを押下することであってもよい。なお、情報表示装置12および制御装置11の何れかが先に起動し、他方に起動を指示する信号または電源を提供することでS1301の処理としてもよい。
次に、S1302で、制御装置11は初期処理を開始する。初期処理の詳細については図14を参照して詳細に説明する。S1303は、初期処理の動作を示す。S1303を開始すると、S1304で制御装置11は初期処理開始信号を情報表示装置12に送信する。初期処理開始信号を受信した情報表示装置12は、S1305で起動に伴う表示処理(初期アニメーション表示)を行う。
制御装置11は、S1303を終了すると、S1306で情報表示装置12に初期処理完了信号を送信する。初期処理完了信号を受信した情報表示装置12は、処理をS1307に進め、ユーザからの操作を受け付けるための表示処理(受付表示)を行う。
<7-1.制御装置の初期処理例>
図14は、飲料製造装置1の制御装置11の処理部11aが実行する初期処理の例を示すフローチャートである。初期処理は、飲料製造装置1の電源投入時や、情報表示装置12を介してユーザから初期化操作(リセット操作)があった場合など、所定の条件が成立した場合に実行される。
まず、S1401で、制御装置11はI/F部11cを介して情報表示装置12に初期処理開始信号を送信する。その後、処理をS1402に進める。
S1402では各種の異常フラグ(F)をクリア(オフ)する。異常フラグは、飲料製造装置1に生じている異常を示すフラグであり、記憶部11bに記録されるフラグである。異常フラグは、異常の種類毎に設定されている。
S1403~S1406では飲料製造装置1の動作確認に関する処理を行う。各工程で異常フラグがオンとされた場合は、後続の工程をスキップしてS1407の処理を行う。例えば、S1403において異常フラグがオンとなった場合、S1404~S1406の処理をスキップしてS1407の処理を行う。
一例では、異常フラグがオンとなった場合であっても、S1404~S1406の処理を継続してもよい。S1403~S1406の何れかで、異常フラグがオンとなった場合に、後続の処理をスキップするか、継続するかは、異常フラグの内容によって変化してもよい。例えば、カバー部102が開放しているなどの、ユーザでも短時間に解決可能なエラーである場合は、後続の処理を継続し、気圧供給系の故障などの、メンテナンス業者がいなければ解決が困難なエラーである場合は、後続の処理をスキップしてもよい。
S1403では可動体初期位置復帰処理を行う。ここでは、抽出容器9等の可動体の動作確認を行い、特に、可動体が初期位置にない場合に初期位置に戻す処理を行う。詳細は後述する。S1404では可動体初期設定処理を行う。ここでは、抽出容器9等の可動体の動作確認を行い、特に、可動体に一通りの動作を行わせる。詳細は後述する。
S1405では圧力関連初期設定処理を行う。ここでは、飲料製造装置1の気圧供給系(流体供給ユニット7のうち、主に空気圧の制御に関わる構成)の動作確認を行う。
S1406では、水関連初期設定処理を行う。ここでは、飲料製造装置1の液体供給系(流体供給ユニット7のうち、主に水の供給、送出に関わる構成)の動作確認を行う。
S1407では、S1403~S1406の各処理の中でオンとなった異常フラグがあるか否かを判定し、オンとなった異常フラグがあればS1408へ進む。オンとなった異常フラグがなければS1409へ進み、初期処理完了信号を情報表示装置12に送信し、異常が見つからなかったことを報知して一回の動作確認制御を終了し、コーヒー飲料の製造が可能な状態に移行する。
S1408ではオンとなった異常フラグの種類に応じた報知を行い、異常の発生とその種類をユーザに知らせる。例えば、把持部材821aの動作異常に対応する異常フラグがオンである場合は把持部材821aに異常があること、或いは、異常の可能性があることを報知する。報知は音声、画像のいずれか、または、双方であってもよく、情報表示装置12に音声出力機能、画像表示機能を持たせて情報表示装置12がユーザに報知を行ってもよい。
本実施形態の場合、可動体に関する動作確認(S1403、S1404)の後に、気圧供給系や液体供給系に関する動作確認(S1405、S1406)を行っている。可動体に異常がある状態で、気圧供給系や液体供給系に関する動作確認を行うと、気圧供給系や液体供給系に異常がなくとも、空気や水の漏れや飛散の可能性がある。本実施形態では可動体の動作確認を先に行うことで、このような事態を回避することができる。
<7-1-1.可動体初期位置復帰処理>
図15はS1403の可動体初期位置復帰処理の例を示すフローチャートである。この処理は、可動体として、抽出容器9、ロック機構821の把持部材821a、操作ユニット81A及び81Cの保持部材801及び811、プローブ803及び813を初期位置に戻す処理である。初期位置に位置しているか否かは対応する各センサ(不図示)によって検知し、戻っていない場合は対応する異常フラグをオンにする。異常フラグをオンにした場合は、後続の処理を行わずに呼び出し元の処理にリターンする。
S1501では抽出容器復帰処理を行う。ここでは中部ユニット8Bを駆動して抽出容器9の水平方向の位置を初期位置(抽出位置)に移動する処理を行う。
S1502では抽出容器復帰処理を行う。ここでは中部ユニット8Bを駆動して抽出容器9の姿勢を初期位置(正立姿勢)に移動する処理を行う。
S1503では把持部材閉鎖復帰処理を行う。ここではロック機構821を駆動して把持部材821aを初期位置(閉状態)に移動する処理を行う。詳細は後述する。
S1504では操作ユニット接続復帰処理を行う。ここでは操作ユニット81Aの保持部材801を初期位置(蓋ユニット91に装着(係合)する降下位置)に移動する処理を行う。
S1505では操作ユニット接続復帰処理を行う。ここでは操作ユニット81Cの保持部材811を初期位置(凸部901cに装着(係合)する上昇位置)に移動する処理を行う。
S1506ではプローブ閉鎖復帰処理を行う。ここではプローブ803を初期位置(栓部材913を閉鎖する上昇位置)に移動する処理を行う。
S1507ではプローブ閉鎖復帰処理を行う。ここではプローブ813を初期位置(栓部材903を閉鎖する降下位置)に移動する処理を行う。
以上により、一回の可動体初期位置復帰処理が終了し、異常がなければ、各可動体が初期位置に位置している状態となる。
<7-1-2.可動体初期設定処理>
図16はS1404の可動体初期設定処理の例を示すフローチャートである。この処理は、可動体として、抽出容器9、ロック機構821の把持部材821a、操作ユニット81A及び81Cの保持部材801及び811、プローブ803及び813に初期動作を行わせる処理である。
本実施形態の場合、初期動作とは、可動体をその初期位置から遠ざかるように動かした後、初期位置に戻す動作である。初期動作が正常に行われたか否かは対応する各センサ(不図示)によって飲料製造装置1のパラメータを検知し、正常に行われなかった場合は対応する異常フラグをオンにする。異常フラグをオンにした場合は、後続の処理を行わずに呼び出し元の処理にリターンする。
S1601では把持部材開放確認処理を行う。ここではロック機構821を駆動して把持部材821aを開状態にする処理を行う。詳細は後述する。
S1602では操作ユニット開放確認処理を行う。ここでは操作ユニット81Aの保持部材801を蓋ユニット91から離間した上昇位置に移動する処理を行う(初期位置から遠ざかる移動)。そして、例えば、所定時間(例えば1秒)経過しても保持部材801が上昇位置に移動したことが検知されなかった場合や、保持部材801が降下位置にあることが検知された場合、対応する異常フラグをオンにする。
S1603では操作ユニット開放確認処理を行う。ここでは操作ユニット81Cの保持部材811を凸部901cから離間した降下位置に移動する処理を行う(初期位置から遠ざかる移動)。そして、例えば、所定時間(例えば1秒)経過しても保持部材811が降下位置に移動したことが検知されなかった場合や、保持部材811が上昇位置にあることが検知された場合、対応する異常フラグをオンにする。
S1604では抽出容器位置確認処理を行う。ここでは中部ユニット8Bにより容器本体90を豆投入位置に移動する処理を行う(初期位置から遠ざかる移動)。そして、例えば、所定時間(例えば1秒)経過しても容器本体90が豆投入位置に移動したことが検知されなかった場合や、容器本体90が抽出位置にあることが検知された場合、対応する異常フラグをオンにする。
S1605では抽出容器位置確認処理を行う。ここでは中部ユニット8Bにより容器本体90を抽出位置に移動する処理を行う(初期位置に戻す移動)。そして、例えば、所定時間(例えば1秒)経過しても容器本体90が抽出位置に移動したことが検知されなかった場合や、容器本体90が豆投入位置にあることが検知された場合、対応する異常フラグをオンにする。
S1606では操作ユニット接続確認処理を行う。ここでは操作ユニット81Aの保持部材801を蓋ユニット91に装着(係合)する降下位置に移動する処理を行う(初期位置に戻す移動)。そして、例えば、所定時間(例えば1秒)経過しても保持部材801が降下位置に移動したことが検知されなかった場合や、保持部材801が上昇位置にあることが検知された場合、対応する異常フラグをオンにする。
S1607では操作ユニット接続確認処理を行う。ここでは操作ユニット81Cの保持部材811を凸部901cに装着(係合)する上昇位置に移動する処理を行う(初期位置に戻す移動)。そして、例えば、所定時間(例えば1秒)経過しても保持部材811が上昇位置に移動したことが検知されなかった場合や、保持部材811が降下位置にあることが検知された場合、対応する異常フラグをオンにする。
S1608では把持部材閉鎖確認処理を行う。ここではロック機構821を駆動して把持部材821aを閉状態にする処理を行う。詳細は後述する。
S1609、S1610ではS1602、S1603と同様の処理を行う。
S1611では抽出容器姿勢確認処理を行う。ここでは中部ユニット8Bにより抽出容器9を倒立姿勢に変化させる処理を行う(初期位置から遠ざかる移動)。そして、例えば、所定時間(例えば1秒)経過しても抽出容器9が倒立姿勢に変化したことが検知されなかった場合や、抽出容器9が正立姿勢にあることが検知された場合、対応する異常フラグをオンにする。
S1612では抽出容器姿勢確認処理を行う。ここでは中部ユニット8Bにより抽出容器9を正立姿勢に変化させる処理を行う(初期位置に戻す移動)。そして、例えば、所定時間(例えば1秒)経過しても抽出容器9が正立姿勢に変化したことが検知されなかった場合や、抽出容器9が倒立姿勢にあることが検知された場合、対応する異常フラグをオンにする。
S1613、S1614ではS1606、S1607と同様の処理を行う。
S1615では、プローブ開放確認処理を行う。ここではプローブ803を降下して栓部材913を開状態にする(初期位置から遠ざかる移動)。そして、例えば、所定時間(例えば1秒)経過してもプローブ803の降下又は栓部材913の開状態が検知されなかった場合や、プローブ803又は栓部材913が初期位置にあることが検知された場合、対応する異常フラグをオンにする。
S1616では、プローブ開放確認処理を行う。ここではプローブ813を上昇して栓部材903を開状態にする(初期位置から遠ざかる移動)。そして、例えば、所定時間(例えば1秒)経過してもプローブ813の上昇又は栓部材903の開放が検知されなかった場合や、プローブ813又は栓部材903が初期位置にあることが検知された場合、対応する異常フラグをオンにする。
S1617では、プローブ閉鎖確認処理を行う。ここではプローブ803を上昇して栓部材913を閉状態にする(初期位置に戻す移動)。そして、例えば、所定時間(例えば1秒)経過してもプローブ803の上昇又は栓部材913の開状態が検知されなかった場合や、プローブ803が降下位置に又は栓部材913が開状態にあることが検知された場合、対応する異常フラグをオンにする。
S1618では、プローブ閉鎖確認処理を行う。ここではプローブ813を降下して栓部材903を閉状態にする(初期位置に戻す移動)。そして、例えば、所定時間(例えば1秒)経過してもプローブ813の降下又は栓部材903の閉状態が検知されなかった場合や、プローブ813が上昇位置に又は栓部材903が閉状態にあることが検知された場合、対応する異常フラグをオンにする。
S1619では、カバー部102が閉鎖されているかを確認する。カバー部102が閉鎖されていない場合、対応する異常フラグをオンにする。なお、S1619では、カバー部102以外の、ユーザによって開閉可能または着脱可能なキャニスタ40などが所定の位置にあるか否かを判定してもよい。キャニスタ40が所定の位置にない場合、対応する異常フラグをオンにする。以上により一回の可動体初期設定処理が終了する。
図17(A)はS1503の把持部材閉鎖復帰処理の例を示すフローチャートである。S1701では把持部材閉鎖確認処理を行う。詳細は後述する。以上により一回の把持部材閉鎖復帰処理が終了する。
図17(B)はS1608、S1701の把持部材閉鎖確認処理の例を示すフローチャートである。
S1711ではロック機構821を駆動して把持部材821aを閉状態にする動作を開始する(駆動源の駆動開始)。S1712では把持部材821aの閉状態が検知されたか否かを判定する。閉状態が検知された場合はS1713へ進み、把持部材821aを閉状態にする動作を停止する(駆動源の駆動停止)。S1714では把持部材821aの開状態が検知されたか否かを検知する。開状態が検知された場合、開状態を検知するセンサに異常があると考えられるのでS1716へ進み、開状態が検知されない場合は一回の把持部材閉鎖確認処理を終了する。
S1715では所定時間(例えば1秒)が経過したか否かを判定する。経過している場合はS1716へ進み、経過していない場合はS1712へ戻る。S1716では、対応する異常フラグをオンにセットして一回の把持部材閉鎖確認処理を終了する。
図17(C)はS1601の把持部材開放確認処理の例を示すフローチャートである。
S1721ではロック機構821を駆動して把持部材821aを開状態にする動作を開始する(駆動源の駆動開始)。S1722では把持部材821aの開状態が検知されたか否かを判定する。開状態が検知された場合はS1723へ進み、把持部材821aを開状態にする動作を停止する(駆動源の駆動停止)。S1724では把持部材821aの閉状態が検知されたか否かを検知する。閉状態が検知された場合、閉状態を検知するセンサに異常があると考えられるのでS1726へ進み、閉状態が検知されない場合は一回の把持部材開放確認処理を終了する。
S1725では所定時間(例えば1秒)が経過したか否かを判定する。経過している場合はS1726へ進み、経過していない場合はS1722へ戻る。S1726では、対応する異常フラグをオンにセットして一回の把持部材開放確認処理を終了する。以上により、可動体の動作確認に関する処理が完了する。
<7-1-3.移動体動作確認のまとめ>
本実施形態の場合、これらの処理において、可動体の位置を検知するセンサは、オフ状態からオン状態に正常に変化するかどうか、及び、オン状態からオフ状態に正常に変化するかどうかが確認される。例えば、把持部材821aの開状態を検知するセンサの場合は、把持部材閉鎖復帰処理(S1503)から呼び出される把持部材閉鎖確認処理(S1608)でオフ状態になる。次に、把持部材開放確認処理(S1601)でオフ状態からオン状態になるかどうかが確認され、次に、把持部材閉鎖確認処理(S1608)でオン状態からオフ状態になるかが確認される。
移動体の動作確認の具体例を例示する。飲料製造装置1が正常であれば、図14の処理によって、例えばS1604の処理で容器本体90が豆投入位置側に移動し、続くS1605の処理で容器本体90が抽出位置側に移動する。言い換えると、容器本体90が初期位置である抽出位置側から移動を始めて豆投入位置側まで遠ざかった後で再度初期位置である抽出位置側に戻る。
その後、例えばS1615の処理でプローブ803が下降し、S1617の処理でプローブ803が上昇する。言い換えるとプローブ803が初期位置である移動範囲における最上部から移動を始めて移動範囲における最下部まで遠ざかった後で再度初期位置である当該最上部に戻る。しかし、プローブ803が初期位置である移動範囲における最上部にない状態で電源が投入された場合、すなわち、図14の処理が開始された場合は、S1506でプローブ803が初期位置である移動範囲における最上部にないことが検出されることで当該最上部にプローブ803が移動する。すなわちプローブ803が初期位置以外の場所から初期位置に復帰した後で、抽出容器が初期位置から遠ざかる方に移動した後、初期位置に戻る動作が行われ、次にプローブ803が初期位置から遠ざかる方に移動した後、初期位置に戻る動作が行われることになる。
なお、ここまでの例では、可動体初期位置復帰処理(図15)において初期位置への復帰動作(例えばS1501において抽出容器9が豆投入位置側に位置する場合に抽出位置側(初期位置側)に復帰する動作)の有無に関わらず、可動体初期設定処理(図16)が行われるように例示した。しかし、可動体初期位置復帰処理(図15)において、いずれかの可動体(例えば、抽出容器9、把持部材821a、保持部材801、保持部材811、プローブ803、プローブ813のいずれか)に関する初期位置への復帰動作が行われた場合に可動体初期設定(図16)が行われるように構成してもよい。
本実施形態と第四実施形態を組み合わせた場合について説明する。操作者による透過部101の開閉を検知するセンサを設けた構成において、透過部101が開放している際に図14の動作確認制御が開始される条件が成立した場合は、透過部101が閉鎖されるのを待って、当該動作確認制御を開始するようにしてもよい。また、図14の動作確認制御の処理が行われている期間中に、透過部101の開放が検出された場合に、動作確認制御の処理を終了したり、中断してもよい。
また、動作確認制御の処理が行われている期間中に、透過部101の開放が検出された場合に、動作確認制御のどの処理を行っているかによって、続行するか中断するかを切り分けてもよい。例えば透過部101の開放が検出された場合に、動作確認制御の処理を終了したり、中断してもよい。また、S1613からS1619の処理が実行されている期間以外であれば、処理を停止し、S1613からS1619が実行されている期間であれば続行するようにしてもよい。
<7-1-4.圧力関連初期設定>
図18(A)はS1405の圧力関連初期設定処理の例を示すフローチャートである。飲料製造装置1の気圧供給系(流体供給ユニット7のうち、主に空気圧の制御に関わる構成)の動作確認を行い、異常フラグをオンにした場合は、後続の処理を行わずに呼び出し元の処理にリターンする。
S1801では各部位圧力開放処理を行う。ここではリザーブタンク71、水タンク72、抽出容器9の圧力を大気圧に解放すると、対応する電磁弁を制御する。
S1802では、コンプレッサ70からリザーブタンク71へ圧縮空気を送出し、リザーブタンク71を正常に加圧できるか否かを、各種電磁弁を駆動することで確認する。確認結果が正常であった場合はS1803に進み、不正であった場合はリザーブタンク71を正常に加圧できないことに対応する異常フラグをオンにする。
S1803では、水タンク72を正常に加圧及び減圧できるか否かを、各種電磁弁を駆動することで確認する。確認結果が正常であった場合はS1804へ進み、水タンク72を正常に加減圧できないことに対応する異常フラグをオンにする。S1804では、抽出容器加圧確認処理を行う。詳細は後述する。
S1805では、抽出容器9内を正常に減圧できるか否かを、各種電磁弁を駆動することで確認する。確認結果が正常であった場合はS1806に進み、不正であった場合は抽出容器9を正常に減圧できないことに対応する異常フラグをオンにする。S1806では水タンク72を所定の気圧に加圧し、その後、一回の圧力関連初期設定処理を終了する。
図18(B)はS1804の抽出容器加圧確認処理の例を示すフローチャートである。S1811では、電磁弁73bを開放して抽出容器9の気圧を高める。S1812では、抽出容器9内の圧力として所定の気圧(例えば3気圧(ゲージ圧で2気圧))以上の圧力が検知された場合は正常と判断され、S1813に進み、検知されなかった場合は、S1814へ進む。抽出容器9内の圧力の検知は、例えば、電磁弁73bと抽出容器9の間の配管L3の圧力センサ73dによって検知する。なお、検知された気圧が所定の気圧範囲内の場合に正常と判断してもよい。
S1813では電磁弁73bを閉鎖し、電磁弁73cの開放によって抽出容器9の圧力を解放し、その後、一回の抽出容器加圧確認処理を終了する。
S1814では、電磁弁73bを開放してから所定時間(例えば、5秒)が経過しているか否かを判定し、経過している場合はS1815へ進み、経過していない場合はS1812へ戻る。
S1815では、対応する異常フラグをオンにする。対応する異常フラグとしては、電磁弁の異常、抽出容器9が所定の場所に取り付けられていない旨の異常、容器本体90に蓋ユニット91が取り付けられていない異常、の各以上フラグを挙げることができる。S1815において異常フラグがオンになった場合は、後続の異常に応じた報知(S1408)において、抽出容器9が所定の場所に取り付けられていない、又は、抽出容器9が所定の場所に取り付けられていない可能性があることを示す報知が行われることとなる
<7-1-5.水関連初期設定>
図19(A)はS1406の水関連初期設定処理の例を示すフローチャートである。飲料製造装置1の液体供給系(流体供給ユニット7のうち、主に水の供給、送出に関わる構成)の動作確認を行い、異常フラグをオンにした場合は、後続の処理を行わずに呼び出し元の処理にリターンする。
S1901では、水タンク72の水が正常に排水されるかどうかを電磁弁72i等を駆動して確認する。確認結果が正常であった場合はS1902に進み、異常であった場合は水タンク72から正常に排水できないことに対応する異常フラグをオンにする。
S1902では、水タンク72に水が正常に給水されるかどうかを電磁弁72d等を駆動して確認する。確認結果が正常であった場合はS1903へ進み、異常であった場合は湯タンクに正常に給水できないことに対応する異常フラグをオンにする。
S1903では温度確認処理を行い、その後、一回の水関連初期設定処理を終了する。温度確認処理は、水タンク72の水を正常に加温できるかを確認する処理であり、水タンク72に水が充分に給水され、ヒータ72aがオフの状態で実行される。
図19(B)はS1903の温度確認処理の例を示すフローチャートである。S1911では電磁弁72dを閉鎖して水タンク72への給水を停止する。S1912では、温度センサ72bの検知結果に基づき、加温前の水タンク72内の水の温度が正常か否かを判定する。水の温度が所定の値(例えば摂氏35度)以下であれば正常と判断してS1913へ進み、そうでなければS1918へ進む。なお、検知された温度が所定の温度範囲内の場合に正常と判断してもよい。
S1913では、温度センサ73eの検知結果に基づき、抽出容器9への水の流路の加温前の温度が正常か否かを判定する。温度センサ73eによって示される温度が所定の値(例えば摂氏35度)以下であれば正常と判断してS1914へ進み、そうでなければS1919へ進む。なお、検知された温度が所定の温度範囲内の場合に正常と判断してもよい。
S1914では、ヒータ72aを駆動する。S1915では水タンク72内の水の温度上昇を確認する。例えば、所定時間(例えば20秒)以内に水タンク72内の温度センサ72bによって示される温度が所定の値(例えば摂氏45度)以上であれば正常と判断してS1916に進み、そうでなければ温度センサ72bが異常であると判断し、温度センサ72bの異常に対応する異常フラグをオンにする。なお、検知された温度が所定の温度範囲内の場合に正常と判断してもよい。
S1916では、配管L3の温度センサ73eによって示される温度が所定の値(例えば摂氏45度)以上であれば正常と判断してS1917へ進み、そうでなければS1920へ進む。なお、検知された温度が所定の温度範囲内の場合に正常と判断してもよい。
S1917では、ヒータ72aの駆動を停止し、その後、一回の温度確認処理を終了する。
S1918では、温度センサ72bの異常に対応する異常フラグ及びヒータ72aの異常に対応する異常フラグをオンにする。S1919では、温度センサ73eの異常に対応する異常フラグをオンにする。S1920では、水タンク72からのお湯が、温度センサ73eが設けられた配管L3まで未到達であることから流路(例えば、配管L2、配管L3)が異常であると判断されて流路の異常に対応する異常フラグをオンにする。また、抽出容器9が所定の場所に取り付けられていない場合には、流路(例えば、配管L2、配管L3)において異常がなくても当該流路を液体(例えば、水、お湯)が満たすことがなく、温度センサ73eは正しい水温を計測できなくなることから、抽出容器9が所定の場所に取り付けられていない旨の異常、容器本体90に蓋ユニット91が取り付けられていない異常、の各異常フラグもセットされる。S1918において異常フラグがオンになった場合は、後続の異常に応じた報知(S1408)において、抽出容器9が所定の場所に取り付けられていない、又は、抽出容器9が所定の場所に取り付けられていない可能性があることを示す報知が行われることとなる。
<7-2.情報表示装置の初期処理例>
図20は、情報表示装置12の初期処理例を示すフローチャートである。図20のフローチャートは、情報表示装置12の処理部1201によって実行される。
S2001で、情報表示装置12を起動し、表示部1207を含む構成要素を起動する。続いて、処理部1201は処理をS2002に進め、制御装置11からの初期処理信号を受信したか否かを判断する。初期処理信号を受信すると(S2002でYes)、処理部1201は処理をS2003に進め、初期表示を開始する。
続いて、処理部1201は処理をS2004に進め、制御装置11からの初期処理完了信号を受信したか判断する。初期処理完了信号を受信すると(S2004でYes)、処理部1201は処理をS2005に進め、ユーザからの操作を受け付ける画面(受付画面)の表示を行い、初期処理を終了する。初期処理完了信号を受信していない場合(S2004でNo)、処理部1201は処理をS2006に進め、異常フラグに対応する信号を受信したか否かを判断する。異常フラグに対応する信号を受信していない場合(S2006でNo)、処理部1201は処理をS2004に戻す。異常フラグに対応する信号を受信すると、処理部1201は処理をS2007に進め、異常フラグに対応する表示処理を行う。
例えば、S2007において、情報表示装置12が、飲料製造装置1に異常が発生したことを示す信号(異常フラグ信号)を受信した場合、異常が発生したことを報知する画面(異常通知)を表示してもよい。異常が発生したことを報知する画面は、初期表示に重ねるように表示されてもよいし、初期表示の終了を待って表示されてもよい。異常通知を表示する方法は、図21乃至図25を参照して後述する。続いて、制御装置11が、発生した異常が解消したことを通知する信号を送信した場合、情報表示装置12は、異常通知を消してもよい。
<第1の処理例>
図21(a)~図21(f)は、情報表示装置12の表示部1207に表示される初期表示および受付画面の一例を示す。
図21(a)は、起動直後に表示部1207に表示される画面である。情報表示装置12が飲料製造装置1から初期処理開始信号を受信すると、図21(b)、図21(c)、図21(d)、および図21(e)の順番に表示が行われる。すなわち、図21(b)~図21(e)は、初期表示として表示される初期アニメーション表示(動画)の一場面である。本例では、図21(b)~図21(e)には、社名、商品名、ブランド名、または広告等の任意の文字列2100が移動し、濃度を上げながら表示される。すなわち、文字列2100が移動表示または拡大表示される。別の例では、初期表示は、飲料製造装置1の初期処理の進捗を示す表示であってもよいし、図形、ロゴ、マスコットキャラクター等が拡大表示または移動表示されるアニメーションであってもよい。これによって、飲料製造装置1が起動し、飲料を調製可能になるまでユーザを退屈させることなく待たせることができる。なお、当然ながら、初期表示は静止画像であってもよい。また、初期表示にあわせて、音声が再生されてもよい。
一例では、図21(b)~図21(e)は、制御装置11が初期処理を完了するまで、すなわち情報表示装置12が初期処理完了信号を受信するまで繰り返されてもよい。
情報表示装置12が制御装置11から初期処理完了信号を受信すると、情報表示装置12はS2405で図21(f)を表示する。すなわち、図21(f)は、受付画面の一例である。図21(f)には、飲料製造装置1を操作するためのメニュー選択ボタン2101、コーヒー抽出ボタン2102、およびメンテナンスボタン2103が表示される。ユーザは、何れかのボタンを押下することで所望の操作を行うことができる。
<第2の処理例>
図22(a)~図22(g)は、情報表示装置12の表示部1207に表示される初期表示、エラー表示、および受付画面の一例を示す。
図22(a)、(b)、および(g)は、第1の処理例と同様のため、説明を省略する。ここで、情報表示装置12は、S2006で制御装置11から、カバー部102が開放されていることを示す異常フラグの信号を受信したとする。すると、情報表示装置12は、図22(c)で、初期表示に重ねて(オーバラップさせて)、エラー表示2200が表示される。
本例では、エラー表示2200が表示されている間も、図22(c)~図22(e)に示すように、初期表示および制御装置11の初期処理が進められてよい。そして、カバー部102が開放している等の、ユーザに容易に解決可能な軽微なエラーのみが検出され、それ以外のエラー(重大なエラー)が検出されない場合、図22(f)に示すように、受付画面と、それに重ねられたエラー表示とを表示してもよい。その後、検出されたエラーが解決されるまで、ユーザ操作を受け付けないように受付表示を行ってもよい。そして、エラーが解決されると、図22(g)に示すように、エラー表示を消去し、メニュー選択ボタン2101、コーヒー抽出ボタン2102、またはメンテナンスボタン2103を押下可能に表示してもよい。これによって、起動中の初期アニメーション表示中にも、エラーを優先して通知することができる。
なお、エラーを優先して通知する場合であっても、初期アニメーション表示の少なくとも一部をエラー表示より優先して表示してもよい。例えば、図22(a)~図22(g)において、初期アニメーションで文字列2100がはっきりと表示される図22(e)だけは、図21(e)のようにエラー表示が省略されてもよい。
また、本例では、エラー表示が行われた場合であっても、初期アニメーション表示を継続するように表示したが、エラー表示が行われた場合、初期アニメーション表示は停止してもよいし、一時停止してもよい。
<第3の処理例>
図23(a)~図23(g)は、情報表示装置12の表示部1207に表示される初期表示、エラー表示、および受付画面の一例を示す。
図23(a)および図23(b)は、第1の処理例と同様のため、説明を省略する。ここで、情報表示装置12は、S2006で飲料製造装置1から、抽出容器9が所定の位置に取り付けられていないことを示す異常フラグの信号を受信したとする。すると、情報表示装置12は、図23(c)で、初期表示に重ねて(オーバラップさせて)、エラー表示2300が表示される。続いて、図23(c)~図23(e)まで処理を進め、情報表示装置12は、エラーが解決されていない場合、エラーが解決されるまで図23(f)のエラー表示を継続し、受付画面に遷移しなくてもよい。
続いて、ユーザまたはメンテナンス業者などによって、抽出容器位置エラーが解決され、飲料製造装置1は残りの初期処理を行い、情報表示装置12が初期処理完了信号を受信すると、図23(g)に示す受付画面を表示する。
これによって、エラー表示が消去されてから受付画面を表示することができる。
<第4の処理例>
第2または第3の処理例では、初期表示よりエラー表示を優先して表示する。第4の処理例では、エラー表示より初期表示を優先して表示する処理の一例を説明する。図24(a)~図24(g)は、情報表示装置12の表示部1207に表示される初期表示、エラー表示、および受付画面の一例を示す。
図24(a)および図24(b)は、第1の処理例と同様のため、説明を省略する。ここで、情報表示装置12は、S2006で飲料製造装置1から、前側のカバー部102が開放していることを示す異常フラグの信号を受信したとする。しかしながら、情報表示装置12は、図24(c)~図24(e)で、エラーを表示することなく初期表示を行う。続いて、初期表示が終了すると、図24(f)でエラー表示2400を行う。図24(f)では、情報表示装置12は、エラーが解決されるまでエラー表示を継続し、受付画面に遷移しなくてもよい。
続いて、ユーザまたはメンテナンス業者などによって、エラーが解決され、飲料製造装置1は残りの初期処理を行い、情報表示装置12が初期処理完了信号を受信すると、図24(g)に示す受付画面を表示する。
これによって、初期アニメーションの表示が完了したあとにエラーを報知することができる。
なお、初期アニメーション表示を妨げないようであれば、エラーの通知を行ってもよい。一例では、初期アニメーション表示が終了するまで、エラー表示を縮小表示し、初期アニメーション表示が終了すると、図24(f)に示すように、エラーを拡大表示してもよい。別の例では、情報表示装置12は、表示部1207では初期アニメーション表示を継続しながら、情報表示装置12が備えるスピーカ(不図示)を介してエラーが発生したことを通知する音声を再生してもよい。あるいは、エラーを通知するLED(不図示)を点灯させてもよい。その後、初期アニメーションの表示が完了すると、表示部1207にエラー表示を行ってもよい。
<第5の処理例>
第3の処理例では、初期表示よりエラー表示を優先して表示し、第4の処理例では、エラー表示より初期表示を優先して表示する。第5の処理例では、異常フラグの内容によって、初期表示より優先して表示されるエラー表示、初期表示より劣後して表示されるエラー表示、初期表示および受付画面の一例を示す。
図25(a)~図25(g)は、情報表示装置12の表示部1207に表示される初期表示、エラー表示、および受付画面の一例を示す。
図25(a)は、第1乃至第4の処理例と同様のため説明を省略する。続いて、図25(b)で、情報表示装置12は、S2006で飲料製造装置1から、抽出容器9が所定の位置に取り付けられていないこと(抽出容器位置エラー)を示す異常フラグの信号と、前側のカバー部102が開放していること(前側カバー開放エラー)を示す異常フラグの信号とを受信したとする。すると、情報表示装置12は、受信した異常フラグの信号が、ユーザによって短時間で解決可能な軽微なエラーであるか、解決までに時間がかかるか、ユーザによって解決できない重大なエラーであるかを判断する。本例では、抽出容器位置エラーは重大なエラーであり、前側カバー開放エラーは軽微なエラーだと判断される。
続いて、図25(c)で、初期表示に重ねて(オーバラップさせて)、重大なエラーである抽出容器位置エラーに対応するエラー表示2501が表示される。続いて、図25(d)において、抽出容器位置エラーが解決されたとする。その場合、情報表示装置12はエラー表示2501を消去し、図25(e)の表示を行う。続いて、初期アニメーション表示が終了すると、図25(f)で情報表示装置12は前側カバー開放エラーを報知するエラー表示2502を表示する。
続いて、前側カバー開放エラーが解決されると、情報表示装置12は図25(g)で受付画面を表示する。
これによって、解決までに時間がかかり、飲料製造装置1によって飲料を製造できない期間が長くなることが予想できる重大なエラーは迅速に通知することができ、簡単に解決できる軽微なエラーは初期アニメーション表示の終了を待って表示することができる。
<その他の実施形態>
上記各実施形態は互いに組合せが可能である。また、上記実施形態では、専らコーヒー飲料を対象としたが、日本茶、紅茶などの茶、スープなどの各種飲料も対象とすることができる。また、抽出対象として、コーヒー豆、コーヒーの生豆、コーヒー豆の挽き豆、焙煎コーヒー豆、焙煎コーヒー豆の挽き豆、焙煎されていないコーヒー豆、焙煎されていないコーヒー豆の挽き豆等、粉末のコーヒー豆、インスタントのコーヒー、ポッドに入ったコーヒー等を例示し、飲料として、コーヒー飲料等を例示し、飲料液としてコーヒー液を例示してきたが、これらだけに限定されない。また、抽出対象として、日本茶、紅茶、ウーロン茶などの茶葉、挽いた茶葉、野菜、粉砕された野菜、果物、粉砕した果物、穀物、粉砕した穀物、椎茸等のきのこ類、椎茸等のきのこ類を粉砕した物、椎茸等のきのこ類を加熱後に乾燥させた物、椎茸等のきのこ類を加熱後に乾燥させた物を粉砕した物、鰹等の魚類、鰹等の魚類を粉砕した物、鰹等の魚を加熱後に乾燥させた物、鰹等の魚を加熱後に乾燥させた物を粉砕した物、こんぶ等の海藻類、こんぶ等の海藻類を粉砕した物、こんぶ等の海藻類を加熱後に乾燥させた物、こんぶ等の海藻類を加熱後に乾燥させた物を粉砕した物、牛、豚、鳥、等の肉を加熱後に乾燥させた物、当該肉等を加熱後に乾燥させた物を粉砕した物、牛の骨、豚の骨、鳥の骨、等の肉を加熱後に乾燥させた物、当該骨等を加熱後に乾燥させた物を粉砕した物等の抽出材料であればよく、飲料として、日本茶、紅茶、ウーロン茶、野菜ジュース、果物ジュース、汁物、出汁、スープ等、飲料であればよく、飲料液として、日本茶のエキス、紅茶のエキス、ウーロン茶のエキス、野菜のエキス、果物のエキス、きのこのエキス、魚等のエキス、肉のエキス、骨のエキス等のエキス類であればよい。なお、実施例中で水、水道水、浄水、お湯、洗浄水と記載しているところがあるが、例えば水をお湯と置き換えたり、お湯を水と置き換えてもよい等いずれかの記載を別の記載に置き換えてもよく、全て液体、水蒸気、高温水、冷却水、冷水等と置き換えてもよい。例えば抽出対象(例えば、焙煎コーヒー豆の挽き豆)とお湯を抽出容器9に入れるといった記載であれば、抽出対象(例えば、焙煎コーヒー豆の挽き豆)と冷水(単に水でもよい)を抽出容器9に入れるといった記載に置き換えてもよく、この場合であれば水出しコーヒー等の抽出方法や飲料製造装置としてとらえてもよい。
<実施形態のまとめ>
上記実施形態は以下の装置を少なくとも開示する。
1.上記実施形態の飲料製造装置(例えば1)は、表示部と、前記飲料製造装置に関するパラメータを取得するセンサと、前記センサで取得した前記パラメータに基づいて、飲料製造装置における異常の有無を判定する初期処理を実行する制御部と、を備え、前記表示部は、前記初期処理の実行中に、初期アニメーションを表示する。この実施形態によれば、初期処理の間に、アニメーションを表示するため、ユーザの注目を集めることができる場合がある。
2.上記飲料製造装置では、前記表示部は、前記初期アニメーションの表示の終了を待って、前記初期処理の実行結果を表示する。この実施形態によれば、初期アニメーションの表示を中断することなくユーザに提供できる場合がある。
3.上記飲料製造装置では、前記実行結果が所定の異常判定結果に対応するか否かを判定する判定手段を備え、前記表示部は、前記所定の異常判定結果に対応する前記実行結果を前記初期アニメーションの表示中に表示し、前記所定の異常判定結果に対応しない前記実行結果を前記初期アニメーションの表示の終了を待って表示する。この実施形態によれば、初期処理の間の、アニメーションを表示している間でも、解決するまでに時間がかかる重大なエラーを迅速に通知することができる場合がある。
4.上記飲料製造装置では、前記表示部は、前記所定の異常判定結果に対応する前記実行結果を、前記初期アニメーションの表示における図形又は文字の拡大表示にオーバラップして表示する。この実施形態によれば、初期アニメーションの表示よりも優先してエラーを表示し、ユーザに報知することができる場合がある。
5.上記飲料製造装置では、前記表示部は、前記所定の異常判定結果に対応する前記実行結果を、前記初期アニメーションの表示における図形又は文字の移動表示にオーバラップして表示する。この実施形態によれば、初期アニメーションの表示よりも優先してエラーを表示し、ユーザに報知することができる場合がある。
6.上記飲料製造装置では、可動体と、前記可動体を駆動する駆動部とを備え、前記制御部は、前記初期処理において前記駆動部が前記可動体を正常に駆動できるか否かを判定する。この実施形態によれば、飲料製造装置は、初期処理の間に、可動体または駆動部が正常であるかを判定することができる場合がある。
7.上記飲料製造装置では、開閉可能なカバー部を備え、前記制御部は、前記初期処理において前記カバー部が正常に閉鎖されているかどうかを判定する。この実施形態によれば、飲料製造装置は、初期処理の間に、カバー部が開放している場合にエラーが生じたと判定することができる場合がある。