図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
<1.飲料製造装置の概要>
図1は飲料製造装置1の外観図である。本実施形態の飲料製造装置1は、焙煎コーヒー豆と液体(ここでは水)からコーヒー飲料を自動製造する装置であり、一回の製造動作につき、カップ一杯分のコーヒー飲料を製造可能である。原料となる焙煎コーヒー豆は、キャニスタ40に収容可能である。飲料製造装置1の下部にはカップの載置部110が設けられており、製造されたコーヒー飲料は注ぎ部10cからカップへ注がれる。
飲料製造装置1は、その外装を形成して内部機構を囲包するハウジング100を備える。ハウジング100は、本体部101と、飲料製造装置1の正面の一部及び側面の一部を覆うカバー部102とに大別される。カバー部102には情報表示装置12が設けられている。情報表示装置12は本実施形態の場合、タッチパネル式のディスプレイであり、各種の情報の表示の他、装置の管理者や飲料の需要者の入力を受け付けることが可能である。情報表示装置12は、移動機構12aを介してカバー部102に取付けられており、移動機構12aによって上下方向に一定の範囲で移動可能である。
カバー部102には、また、豆投入口103と、豆投入口103を開閉する開閉扉103aが設けられている。開閉扉103aを開放して豆投入口103へ、キャニスタ40に収容されている焙煎コーヒー豆とは別の焙煎コーヒー豆を、投入することが可能となっている。これにより飲料の需要者に特別な一杯を提供することが可能である。
カバー部102は、本実施形態の場合、アクリルやガラスなどの透光性を有する材料で形成されており、その全体が透過部とされた透明カバーを構成している。このため、カバー部102に覆われたその内側の機構が外部から視認可能となっている。本実施形態の場合、コーヒー飲料を製造する製造部の一部がカバー部102を透して視認可能となっている。本体部101は本実施形態の場合その全体が非透過部とされており、その内部を外部から視認困難である。
図2は、飲料製造装置1の部分正面図であって、飲料製造装置1の正面視でユーザが視認可能な製造部の一部を示す図である。カバー部102や情報表示装置12は想像線で図示されている。
飲料製造装置1の正面部におけるハウジング100は、本体部101と、その外側(前方側)のカバー部102との二重構造となっている。前後方向で本体部101とカバー部102との間に製造部の一部の機構が配置されており、ユーザがカバー部102を介して視認可能である。
カバー部102を介してユーザが視認可能な製造部の一部の機構は、本実施形態の場合、後述する集合搬送部42、グラインダ5A、5B、分離装置6、抽出容器9等である。本体部101の正面部には、奥側に窪んだ矩形状の凹部101aが形成されており、抽出容器9等はこの凹部101a内の奥側に位置している。
カバー部102を介して外部からこれらの機構が視認可能であることにより、管理者にとっては点検や動作確認が容易になる場合がある。また、飲料の需要者にとってはコーヒー飲料の製造過程を楽しむことができる場合がある。
なお、カバー部102は、その右端部においてヒンジ102aを介して本体部101に横開き式に開閉自在に支持されている。カバー部102の左端部には、本体部101とカバー部102とを閉状態に維持する係合部102bが設けられている。係合部102bは例えば磁石と鉄の組合せである。管理者はカバー部102を開放することで、その内側の上述した製造部の一部の点検等を行うことができる。
なお、本実施形態の場合、カバー部102を横開き式としたが縦開き式(上下開き式)としてもよいし、スライド式としてもよい。また、カバー部102が開閉不能な構成であってもよい。
図3は飲料製造装置1の機能の概要図である。飲料製造装置1は、コーヒー飲料の製造部として、豆処理装置2及び抽出装置3を含む。
豆処理装置2は、焙煎コーヒー豆から挽き豆を生成する。抽出装置3は豆処理装置2から供給される挽き豆からコーヒー液を抽出する。抽出装置3は、流体供給ユニット7、後述する駆動ユニット8(図5参照)、抽出容器9及び切替ユニット10を含む。豆処理装置2から供給される挽き豆は、抽出容器9に投入される。流体供給ユニット7は、抽出容器9にお湯を投入する。抽出容器9内で挽き豆からコーヒー液が抽出される。抽出されたコーヒー液を含むお湯が切替ユニット10を介してコーヒー飲料としてカップCに送出される。
<2.流体供給ユニット及び切替ユニット>
流体供給ユニット7及び切替ユニット10の構成について図3を参照して説明する。まず、流体供給ユニット7について説明する。流体供給ユニット7は、抽出容器9へのお湯の供給や、抽出容器9内の気圧の制御等を行う。なお、本明細書において、気圧を数字で例示している場合、特に断わらない限り絶対圧を意味し、ゲージ圧とは大気圧を0気圧とする気圧である。大気圧とは、抽出容器9の周囲の気圧、又は、飲料製造装置1の気圧を指し、例えば、飲料製造装置1が海抜0mの地点に設置されている場合は、国際民間航空機関(=「International Civil Aviation Organization」〔[略]ICAO〕)が1976年に制定した国際標準大気(=「International Standard Atmosphere」〔[略]ISA〕)の海抜0mでの基準気圧(1013.25hPa)である。
流体供給ユニット7は配管L1~L3を含む。配管L1は空気が流通する配管であり、配管L2は水が流通する配管である。配管L3は空気と水の双方が流通可能な配管である。
流体供給ユニット7は、加圧源としてコンプレッサ70を含む。コンプレッサ70は大気を圧縮して送出する。コンプレッサ70は例えばモータ(不図示)を駆動源として駆動される。コンプレッサ70から送出される圧縮空気は、逆止弁71aを介してリザーブタンク(アキュームレータ)71に供給される。リザーブタンク71内の気圧は圧力センサ71bにより監視され、所定の気圧(本実施形態では7気圧(ゲージ圧で6気圧))に維持されるよう、コンプレッサ70が駆動される。リザーブタンク71には排水用のドレイン71cが設けられており、空気の圧縮により生じる水を排水可能となっている。
水タンク72にはコーヒー飲料を構成するお湯(水)が蓄積される。水タンク72には、水タンク72内の水を加温するヒーター72a及び水の温度を計測する温度センサ72bが設けられている。ヒーター72aは温度センサ72bの検出結果に基づいて、蓄積されるお湯の温度を所定の温度(本実施形態では摂氏120度)に維持する。ヒーター72aは例えばお湯の温度が摂氏118度でONとされ、摂氏120度でOFFとされる。
水タンク72には、また、水位センサ72cが設けられている。水位センサ72cは水タンク72内のお湯の水位を検出する。水位センサ72cにより所定の水位よりも水位が下がったことが検出されると、水タンク72に水が供給される。本実施形態の場合、不図示の浄水器を介して水道水が供給される。浄水器からの配管L2の途中には電磁弁72dが設けられており、水位センサ72cにより水位の低下が検出されると電磁弁72dが開放されて水が供給され、所定の水位に到達すると電磁弁72dが閉鎖されて水の供給が遮断される。こうして水タンク72内のお湯が一定の水位に維持される。なお、水タンク72への給水は一回のコーヒー飲料の製造に使用するお湯を排出する度に行ってもよい。
水タンク72には、また、圧力センサ72gが設けられている。圧力センサ72gは水タンク72内の気圧を検出する。水タンク72には調圧弁72e及び電磁弁72fを介してリザーブタンク71内の気圧が供給される。調圧弁72eはリザーブタンク71から供給される気圧を所定の気圧に減圧する。本実施形態の場合、3気圧(ゲージ圧で2気圧)に減圧する。電磁弁72fは調圧弁72eで調圧された気圧の、水タンク72への供給と遮断とを切り替える。電磁弁72fは、水タンク72への水道水の供給時を除き、水タンク72内の気圧が3気圧に維持されるように開閉制御される。水タンク72への水道水の供給時には、水道水の水圧によって水タンク72に円滑に水道水が補給されるように、電磁弁72hにより水タンク72内の気圧を水道水の水圧よりも低い圧力(例えば2.5気圧未満)に減圧する。電磁弁72hは水タンク72内を大気に解放するか否かを切り替え、減圧時には水タンク72内を大気に解放する。また、電磁弁72hは水タンク72への水道水の供給時以外に、水タンク72内の気圧が3気圧を超える場合に水タンク72内を大気に解放し、水タンク72内を3気圧に維持する。
水タンク72内のお湯は、逆止弁72j、電磁弁72i及び配管L3を介して抽出容器9へ供給される。電磁弁72iを開放することで抽出容器9へお湯が供給され、閉鎖することでお湯の供給が遮断される。抽出容器9へのお湯の供給量は、電磁弁72iの開放時間で管理することができる。しかし、供給量を計測して電磁弁72iの開閉を制御してもよい。配管L3にはお湯の温度を計測する温度センサ73eが設けられており、抽出容器9へ供給される湯温が監視される。
リザーブタンク71の気圧は、また、調圧弁73a、電磁弁73bを介して抽出容器9へ供給される。調圧弁73aはリザーブタンク71から供給される気圧を所定の気圧に減圧する。本実施形態の場合、5気圧(ゲージ圧で4気圧)に減圧する。電磁弁73bは調圧弁73aで調圧された気圧の、抽出容器9への供給と遮断とを切り替える。抽出容器9内の気圧は圧力センサ73dで検出される。抽出容器9内の加圧時、圧力センサ73dの検出結果に基づいて電磁弁73bが開放され、抽出容器9内を所定の気圧(本実施形態の場合、最大で5気圧(ゲージ圧で4気圧))に加圧する。抽出容器9内の気圧は電磁弁73cで減圧可能である。電磁弁73cは抽出容器9内を大気に解放するか否かを切り替え、圧力異常時(例えば抽出容器9内が5気圧を超える場合)には抽出容器9内を大気に解放する。
一回のコーヒー飲料の製造が終わると、本実施形態の場合、抽出容器9内を水道水で洗浄する。電磁弁73fは洗浄時に開放され、抽出容器9に水道水を供給する。
次に切替ユニット10について説明する。切替ユニット10は抽出容器9から送出される液体の送出先を注ぎ部10cと廃棄タンクTとのいずれかに切り替えるユニットである。切替ユニット10は、切替弁10aと切替弁10aを駆動するモータ10bを含む。切替弁10aは、抽出容器9内のコーヒー飲料を送出する場合は注ぎ部10cへ流路を切り替える。コーヒー飲料は注ぎ部10cからカップCへ注がれる。洗浄時の廃液(水道水)及び残渣(挽き豆)を排出する場合は廃棄タンクTへ流路を切り替える。切替弁10aは本実施形態の場合3ポートのボール弁である。洗浄時には切替弁10aを残渣が通過することから、切替弁10aはボール弁が好適であり、モータ10bはその回転軸を回転することで、流路を切り替える。
<3.豆処理装置>
図1、図2を参照して豆処理装置2について説明する。豆処理装置2は、貯留装置4及び粉砕装置5を含む。
<3-1.貯留装置>
貯留装置4は、焙煎後のコーヒー豆が収容される複数のキャニスタ40を含む。本実施形態の場合、キャニスタ40は三つ設けられている。キャニスタ40は、焙煎コーヒー豆を収容する筒状の本体40aと、本体40aに設けられた取手40bとを含み、飲料製造装置1に対して着脱自在に構成されている。
各キャニスタ40は、互いに異なる種類の焙煎コーヒー豆を収容し、情報表示装置12に対する操作入力によって、コーヒー飲料の製造に用いる焙煎コーヒー豆の種類を選択できるようにしてもよい。種類が異なる焙煎コーヒー豆とは例えばコーヒー豆の品種が異なる焙煎コーヒー豆である。また、種類が異なる焙煎コーヒー豆とは、同じ品種のコーヒー豆であるが、焙煎度が異なる焙煎コーヒー豆であってもよい。また、種類が異なる焙煎コーヒー豆とは、品種も焙煎度も異なる焙煎コーヒー豆でもよい。また、三つのキャニスタ40の少なくともいずれか一つには、複数種類の品種の焙煎コーヒー豆が混合された焙煎コーヒー豆が収容されてもよい。この場合、各品種の焙煎コーヒー豆は、焙煎度が同程度であってもよい。
なお、本実施形態では複数のキャニスタ40を設けたが、一つのキャニスタ40のみが設けられる構成であってもよい。また、複数のキャニスタ40を設けた場合に、同じ種類の焙煎コーヒー豆が全部又は複数のキャニスタ40に収容されてもよい。
各キャニスタ40は、計量搬送装置であるコンベア41に着脱自在に装着される。コンベア41は、例えば、電動スクリューコンベアであり、キャニスタ40に収容された所定の量の焙煎コーヒー豆を自動計量して下流側に送出する。
各コンベア41は下流側の集合搬送部42に焙煎コーヒー豆を排出する。集合搬送部42は中空の部材で構成されており、各コンベア41から粉砕装置5(特にグラインダ5A)への焙煎コーヒー豆の搬送通路を形成する。各コンベア41から排出された焙煎コーヒー豆は集合搬送部42の内部を自重によって移動し、粉砕装置5へ流れ落ちる。
集合搬送部42には、豆投入口103に対応する位置に案内部42aが形成されている。案内部42aは豆投入口103から投入された焙煎コーヒー豆を粉砕装置5(特にグラインダ5A)へ案内する通路を形成する。これにより、キャニスタ40に収容された焙煎コーヒー豆以外に、豆投入口103から投入される焙煎コーヒー豆を原料としたコーヒー飲料も製造できる。
<3-2.粉砕装置>
図2及び図4を参照して粉砕装置5を説明する。図4は分離装置6の一部破断斜視図である。粉砕装置5は、グラインダ5A及び5B、及び、分離装置6を含む。グラインダ5A及び5Bは貯留装置4から供給される焙煎コーヒー豆を挽く機構である。貯留装置4から供給される焙煎コーヒー豆は、グラインダ5Aで挽かれた後、グラインダ5Bで更に挽かれて粉状にされ、排出管5Cから抽出容器9へ投入される。
グラインダ5A及び5Bは、豆を挽く粒度が異なっている。グラインダ5Aは粗挽き用のグラインダであり、グラインダ5Bは細挽き用のグラインダである。グラインダ5A、5Bはそれぞれ電動グラインダであり、駆動源であるモータと、モータにより駆動される回転刃等を含む。回転刃の回転数を変化させることで粉砕される焙煎コーヒー豆の大きさ(粒度)を変化可能である。
分離装置6は挽き豆から不要物を分離する機構である。分離装置6はグラインダ5Aとグラインダ5Bとの間に配置された通路部63aを含む。通路部63aはグラインダ5Aから自由落下してくる挽き豆が通過する分離室を形成する中空体である。通路部63aには、挽き豆の通過方向(本実施形態の場合、上下方向。)と交差する方向(本実施形態の場合、左右方向。)に延びる通路部63bが接続されており、この通路部63bには吸引ユニット60が接続されている。吸引ユニット60が通路部63a内の空気を吸引することで、チャフや微粉といった軽量な物体が吸引される。これにより、挽き豆から不要物を分離できる。
吸引ユニット60は遠心分離方式の機構である。吸引ユニット60は、送風ユニット60A及び回収容器60Bを含む。送風ユニット60Aは本実施形態の場合、ファンモータであり、回収容器60B内の空気を上方へ排気する。
回収容器60Bは、分離可能に係合する上部61と下部62とを含む。下部62は上方が開放した有底の筒型をなしており、不要物を蓄積する空間を形成する。上部61は下部62の開口に装着される蓋部を構成する。上部61は、円筒形状の外周壁61aと、これと同軸上に形成された排気筒61bとを含む。送風ユニット60Aは排気筒61b内の空気を吸引するように排気筒61bの上方において上部61に固定されている。上部61には通路部63bが接続されている。通路部63bは排気筒61bの側方に開口している。
送風ユニット60Aの駆動により、図4において矢印d1~d3で示す気流が発生する。この気流により、通路部63aから不要物を含んだ空気が通路部63bを通って回収容器60B内に吸引される。通路部63bは排気筒61bの側方に開口しているため、不要物を含んだ空気は排気筒61bの周囲を旋回する。空気中の不要物Dは、その重量によって落下し、回収容器60Bの一部に集められる(下部62の底面上に堆積する)。空気は排気筒61bの内部を通って上方に排気される。
排気筒61bの周面には複数のフィン61dが一体に形成されている。複数のフィン61dは排気筒61bの周方向に配列されている。個々のフィン61dは、排気筒61bの軸方向に対して斜めに傾斜している。このようなフィン61dを設けたことで、不要物Dを含んだ空気の排気筒61bの周囲の旋回を促進する。
本実施形態の場合、下部62はアクリル、ガラスなどの透光性を有する材料で形成されており、その全体が透過部とされた透明容器を構成している。また、下部62はカバー部102で覆われた部分である(図2)。管理者や飲料の需要者は、カバー部102、下部62の周壁を透して、下部62内に蓄積された不要物Dを視認可能である。管理者にとっては、下部62の清掃タイミングを確認し易い場合があり、飲料の需要者にとっては不要物Dが除去されていることが視認できることで、製造中のコーヒー飲料の品質に対する期待感が高まる場合がある。
このように本実施形態では、貯留装置4から供給される焙煎コーヒー豆は、まず、グラインダ5Aで粗挽きされ、その粗挽き豆が通路部63aを通過する際に、分離装置6によって不要物が分離される。不要物が分離された粗挽き豆は、グラインダ5Bにより細挽きされる。分離装置6で分離する不要物は、代表的にはチャフや微粉である。これらはコーヒー飲料の味を低下させる場合があり、挽き豆からチャフ等を除去することで、コーヒー飲料の品質を向上できる。
焙煎コーヒー豆の粉砕は、一つのグラインダ(一段階の粉砕)であってもよい。しかし、本実施形態のように、二つのグラインダ5A、5Bによる二段階の粉砕とすることで、挽き豆の粒度が揃い易くなり、コーヒー液の抽出度合を一定にすることができる。豆の粉砕の際にはカッターと豆との摩擦により、熱が発生する場合がある。二段階の粉砕とすることで、粉砕時の摩擦による発熱を抑制し、挽き豆の劣化(例えば風味が落ちる)を防止することもできる。
また、粗挽き→不要物の分離→細挽きという段階を経ることで、チャフなどの不要物を分離する際、不要物と挽き豆(必要部分)との質量差を大きくできる。これは不要物の分離効率を上げることができるとともに、挽き豆(必要部分)が不要物として分離されてしまうことを防止することができる。また、粗挽きと細挽きとの間に、空気の吸引を利用した不要物の分離処理が介在することで、空冷によって挽き豆の発熱を抑えることができる。
<4.駆動ユニット及び抽出容器>
<4-1.概要>
抽出装置3の駆動ユニット8及び抽出容器9について図5を参照して説明する。図5は駆動ユニット8及び抽出容器9の斜視図である。駆動ユニット8の大部分は本体部101に囲包されている。
駆動ユニット8はフレームFに支持されている。フレームFは、上下の梁部F1、F2及び梁部F1、F2を支持する柱部F3を含む。駆動ユニット8は、上部ユニット8A、中部ユニット8B及び下部ユニット8Cの三つのユニットに大別される。上部ユニット8Aは梁部F1に支持されている。中部ユニット8Bは梁部F1と梁部F2との間において、梁部F1及び柱部F3に支持されている。下部ユニット8Cは梁部F2に支持されている。
抽出容器9は、容器本体90及び蓋ユニット91を含むチャンバである。抽出容器9のことをチャンバと呼ぶ場合がある。中部ユニット8Bは、容器本体90を着脱自在に保持するアーム部材820を備える。アーム部材820は、保持部材820aと、左右に離間した一対の軸部材820bとを含む。保持部材820aは、Cの字型のクリップ状に形成された樹脂等の弾性部材であり、その弾性力により容器本体90を保持する。保持部材820aは容器本体90の左右の側部を保持し、容器本体90の前方側は露出させている。これにより容器本体90の内部を、正面視で視認し易くなる。
保持部材820aに対する容器本体90の着脱は手動操作で行い、保持部材820aに容器本体90を前後方向後方へ押し付けることで容器本体90が保持部材820aに装着される。また、容器本体90を保持部材820aから前後方向前側へ引き抜くことで、容器本体90を保持部材820aから分離可能である。
一対の軸部材820bは、それぞれ、前後方向に延設されたロッドであり、保持部材820aを支持する部材である。なお、本実施形態では軸部材820bの数を二本としたが、一本でもよいし、三本以上であってもよい。保持部材820aは、一対の軸部材820bの前側の端部に固定されている。後述する機構により、一対の軸部材820bは前後方向に進退され、これにより保持部材820aが前後に進退し、容器本体90を前後方向に平行移動する移動動作を行うことができる。中部ユニット8Bは、また、後述するように、抽出容器9の上下を反転させる回動動作を行うことも可能である。
<4-2.抽出容器>
図6を参照して抽出容器9について説明する。図6は抽出容器9の閉状態及び開状態を示す図である。上記のとおり、抽出容器9は中部ユニット8Bにより上下が反転される。図6の抽出容器9は、蓋ユニット91が上側に位置している基本姿勢を示している。以下の説明において上下の位置関係を述べる場合、特に断らない限りは基本姿勢における上下の位置関係を意味するものとする。
容器本体90は有底の容器であり、ネック部90b、肩部90d、胴部90e及び底部90fを有するボトル形状を有している。ネック部90bの端部(容器本体90の上端部)には、容器本体90の内部空間と連通する開口90aを画定するフランジ部90cが形成されている。
ネック部90b及び胴部90eは、いずれも円筒形状を有している。肩部90dは、ネック部90bと胴部90eとの間の部分であり、その内部空間の断面積が胴部90e側からネック部90b側へ向かって徐々に小さくなるようにテーパ形状を有している。
蓋ユニット91は開口90aを開閉するユニットである。蓋ユニット91の開閉動作(昇降動作)は上部ユニット8Aにより行われる。
容器本体90は、本体部材900及び底部材901を含む。本体部材900は、ネック部90b、肩部90d、胴部90eを形成する上下が開放した筒部材である。底部材901は底部90fを形成する部材であり、本体部材900の下部に挿入されて固定される。本体部材900と底部材901との間にはシール部材902が介在し、容器本体90内の気密性を向上する。
本実施形態の場合、本体部材900はアクリル、ガラスなどの透光性を有する材料で形成されており、その全体が透過部とされた透明容器を構成している。管理者や飲料の需要者は、カバー部102、容器本体90の本体部材900を透して、容器本体90内でのコーヒー飲料の抽出状況を視認可能である。管理者にとっては、抽出動作を確認し易い場合があり、飲料の需要者にとっては抽出状況を楽しめる場合がある。
底部材901の中心部には凸部901cが設けられ、この凸部901cには、容器本体90内を外部に連通させる連通穴や、この連通穴を開閉する弁(図8の弁903)が設けられている。連通穴は、容器本体90内を洗浄する際の廃液及び残渣の排出に用いられる。凸部901cにはシール部材908が設けられており、シール部材908は、上部ユニット8Aまたは下部ユニット8Cと底部材901との間を気密に維持するための部材である。
蓋ユニット91は、帽子状のベース部材911を備える。ベース部材911は、凸部911d、及び、閉時にフランジ部90cと重なる鍔部911cを有する。凸部911dには、容器本体90における凸部901cと同じ構造とされており、容器本体90内を外部に連通させる連通穴や、この連通穴を開閉する弁(図8の弁913)が設けられている。凸部911dの連通穴は、主に、容器本体90内へのお湯の注入とコーヒー飲料の送出に用いられる。凸部911dにはシール部材918aが設けられている。シール部材918aは、上部ユニット8Aまたは下部ユニット8Cとベース部材911との間を気密に維持するための部材である。蓋ユニット91には、また、シール部材919が設けられている。シール部材919は、蓋ユニット91の閉時に蓋ユニット91と容器本体90との気密性を向上する。蓋ユニット91には濾過用のフィルタが保持される。
<4-3.上部ユニット及び下部ユニット>
上部ユニット8A及び下部ユニット8Cについて図7、図8を参照して説明する。図7は上部ユニット8A及び下部ユニット8Cの一部の構成を示す正面図であり、図8は図7の縦断面図である。
上部ユニット8Aは、操作ユニット81Aを含む。操作ユニット81Aは容器本体90に対する蓋ユニット91の開閉操作(昇降)及び凸部901c及び911dの弁の開閉操作を行う。操作ユニット81Aは、支持部材800、保持部材801、昇降軸802及びプローブ803を含む。
支持部材800はフレームFに対する相対位置が変化しないように固定して設けられており、保持部材801を収容する。支持部材800は、また、配管L3と支持部材800内を連通させる連通部800aを備える。配管L3から供給されるお湯、水道水および気圧が連通部800aを介して支持部材800内に導入される。
保持部材801は、蓋ユニット91を着脱自在に保持可能な部材である。保持部材801は蓋ユニット91の凸部911d又は底部材901の凸部901cが挿入される円筒状の空間を有すると共に、これらを着脱自在に保持する機構を備える。この機構は、例えば、スナップリング機構であり、一定の押圧力により係合し、一定の分離力により係合が解除される。配管L3から供給されるお湯、水道水および気圧は、連通部800a及び保持部材801の連通穴801aを介して抽出容器9内へ供給可能である。
保持部材801は支持部材800内を上下方向にスライド自在に設けられた可動部材でもある。昇降軸802はその軸方向が上下方向となるように設けられている。昇降軸802は支持部材800の天部を上下方向に気密に貫通し、支持部材800に対して上下に昇降自在に設けられている。
昇降軸802の下端部には保持部材801の天部が固定されている。昇降軸802の昇降によって保持部材801が上下方向にスライドし、凸部911dや凸部901cへの保持部材801の装着と分離を行うことができる。また、容器本体90に対する蓋ユニット91の開閉を行うことができる。
昇降軸802の外周面にはリードスクリュー機構を構成するねじ802aが形成されている。このねじ802aにはナット804bが螺着されている。上部ユニット8Aは、モータ804aを備えており、ナット804bはモータ804aの駆動力によって、その場で(上下に移動せずに)回転される。ナット804bの回転によって昇降軸802が昇降する。
昇降軸802は、中心軸に貫通穴を有する管状の軸であり、この貫通穴にプローブ803が上下にスライド自在に挿入されている。プローブ803は保持部材801の天部を上下方向に気密に貫通し、支持部材800及び保持部材801に対して上下に昇降自在に設けられている。
プローブ803は、凸部911d、901cの内部に設けた弁913、903を開閉する操作子であり、プローブ803の降下により弁913、903を閉状態から開状態とし、プローブ803の上昇により弁を開状態から閉状態(不図示のリターンばねの作用による)とすることができる。
プローブ803の外周面にはリードスクリュー機構を構成するねじ803aが形成されている。このねじ803aにはナット805bが螺着されている。上部ユニット8Aは、モータ805aを備えており、ナット805bはモータ805aの駆動力によって、その場で(上下に移動せずに)回転するように設けられている。ナット805bの回転によってプローブ803が昇降する。
下部ユニット8Cは、操作ユニット81Cを含む。操作ユニット81Cは、操作ユニット81Aを上下に反転した構成であり、凸部911d、901cの内部に設けた弁913、903の開閉操作を行う。操作ユニット81Cも蓋ユニット91の開閉が可能な構成であるが、本実施形態では操作ユニット81Cを蓋ユニット91の開閉には用いない。
以下、操作ユニット81Aの説明と略同じであるが、操作ユニット81Cについて説明する。操作ユニット81Cは、支持部材810、保持部材811、昇降軸812及びプローブ813を含む。
支持部材810はフレームFに対する相対位置が変化しないように固定して設けられており、保持部材811を収容する。支持部材810は、また、切替ユニット10の切替弁10aと支持部材810内を連通させる連通部810aを備える。容器本体90内のコーヒー飲料、水道水、挽き豆の残渣が連通部810aを介して切替弁10aに導入される。
保持部材811は、蓋ユニット91の凸部911d又は底部材901の凸部901cが挿入される円筒状の空間を有すると共に、これらを着脱自在に保持する機構を備える。この機構は、例えば、スナップリング機構であり、一定の押圧力により係合し、一定の分離力により係合が解除される。容器本体90内のコーヒー飲料、水道水、挽き豆の残渣が連通部810a及び保持部材811の連通穴811aを介して切替弁10aに導入される。
保持部材811は支持部材810内を上下方向にスライド自在に設けられた可動部材でもある。昇降軸812はその軸方向が上下方向となるように設けられている。昇降軸812は支持部材800の底部を上下方向に気密に貫通し、支持部材810に対して上下に昇降自在に設けられている。
昇降軸812の下端部には保持部材811の底部が固定されている。昇降軸812の昇降によって保持部材811が上下方向にスライドし、凸部901cや凸部911dへの保持部材811の装着と分離を行うことができる。
昇降軸812の外周面にはリードスクリュー機構を構成するねじ812aが形成されている。このねじ812aにはナット814bが螺着されている。下部ユニット8Cは、モータ814aを備えており、ナット814bはモータ814aの駆動力によって、その場で(上下に移動せずに)回転される。ナット814bの回転によって昇降軸812が昇降する。
昇降軸812は、中心軸に貫通穴を有する管状の軸であり、この貫通穴にプローブ813が上下にスライド自在に挿入されている。プローブ813は保持部材811の底部を上下方向に気密に貫通し、支持部材810及び保持部材811に対して上下に昇降自在に設けられている。
プローブ813は、凸部911d、901cの内部に設けた弁913、903を開閉する操作子であり、プローブ813の上昇により弁913、903を閉状態から開状態とし、プローブ813の降下により弁を開状態から閉状態(不図示のリターンばねの作用による)とすることができる。
プローブ813の外周面にはリードスクリュー機構を構成するねじ813aが形成されている。このねじ813aにはナット815bが螺着されている。下部ユニット8Cは、モータ815aを備えており、ナット815bはモータ815aの駆動力によって、その場で(上下に移動せずに)回転するように設けられている。ナット815bの回転によってプローブ813が昇降する。
<4-4.中部ユニット>
中部ユニット8Bについて図5及び図9を参照して説明する。図9は中部ユニット8Bの模式図である。中部ユニット8Bは抽出容器9を支持する支持ユニット81Bを含む。支持ユニット81Bは上述したアーム部材820の他、ロック機構821を支持するユニット本体81B’を含む。
ロック機構821は、蓋ユニット91を容器本体90に対して閉状態に維持する機構である。ロック機構821は、蓋ユニット91の鍔部911cと容器本体90のフランジ部90cとを上下に挟持する一対の把持部材821aを含む。一対の把持部材821aは、鍔部911cとフランジ部90cとを挟み込んで嵌合するC字型の断面を有しており、モータ822の駆動力により左右方向に開閉される。一対の把持部材821aが閉状態の場合、図9の囲み図において実線で示すように、各把持部材821aは鍔部911cとフランジ部90cとを上下に挟み込むようにしてこれらに嵌合し、蓋ユニット91が容器本体90に対して気密にロックされる。このロック状態においては、保持部材801を昇降軸802によって上昇させて蓋ユニット91を開放しようとしても、蓋ユニット91は移動しない(ロックは解除されない)。つまり、保持部材801を用いて蓋ユニット91を開放する力よりもロック機構821によるロックの力の方が強く設定されている。これにより異常時に容器本体90に対して蓋ユニット91が開状態になることを防止することができる。
また、一対の把持部材821aが開状態の場合、図9の囲み図において破線で示すように、鍔部911cとフランジ部90cから各把持部材821aが離間した状態となり、蓋ユニット91と容器本体90とのロックが解除される。
保持部材801が蓋ユニット91を保持した状態にあり、かつ、保持部材801を降下位置から上昇位置に上昇する場合、一対の把持部材821aが開状態の場合には容器本体90から蓋ユニット91が分離される。逆に一対の把持部材821aが閉状態の場合には蓋ユニット91に対する保持部材801の係合が解除され、保持部材801だけが上昇することになる。
中部ユニット8Bは、また、モータ823を駆動源としてアーム部材820を前後方向に水平移動する機構を含む。これにより、アーム部材820に支持された容器本体90を後側の抽出位置(状態ST1)と、前側の豆投入位置(状態ST2)との間で移動することができる。豆投入位置は、容器本体90に挽き豆を投入する位置であり、蓋ユニット91が分離された容器本体90の開口90aに、グラインダ5Bで挽かれた挽き豆が図2に示す排出管5Cから投入される。換言すると、排出管5Cの位置は、豆投入位置に位置している容器本体90の上方である。
抽出位置は、容器本体90が操作ユニット81A及び操作ユニット81Cによる操作が可能となる位置であり、プローブ803、813と同軸上の位置であって、コーヒー液の抽出を行う位置である。抽出位置は豆投入位置よりも奥側の位置である。図5、図7及び図8はいずれも容器本体90が抽出位置にある場合を示している。このように、挽き豆の投入と、コーヒー液の抽出及び水の供給とで、容器本体90の位置を異ならせることにより、コーヒー液抽出時に発生する湯気が、挽き豆の供給部である排出管5Cに付着することを防止できる。
中部ユニット8Bは、また、モータ824を駆動源として支持ユニット81Bを前後方向の軸825回りに回転させる機構を含む。これにより、容器本体90(抽出容器9)の姿勢をネック部90bが上側の正立姿勢(状態ST1)からネック部90bが下側の倒立姿勢(状態ST3)へ変化させることができる。抽出容器9の回動中は、ロック機構821により容器本体90に蓋ユニット91がロックされた状態が維持される。正立姿勢と倒立姿勢とで抽出容器9は上下が反転される。正立姿勢における凸部901cの位置に、倒立姿勢では凸部911dが位置する。また、正立姿勢における凸部911dの位置に、倒立姿勢では凸部901cが位置する。このため、倒立姿勢では弁903に対する開閉操作を操作ユニット81Aが行うことができ、また、弁913に対する開閉操作を操作ユニット81Cが行うことができる。
<5.制御装置>
図10を参照して飲料製造装置1の制御装置11について説明する。図10は制御装置11のブロック図である。
制御装置11は飲料製造装置1の全体を制御する。制御装置11は、処理部11a、記憶部11b及びI/F(インタフェース)部11cを含む。処理部11aは例えばCPU等のプロセッサである。記憶部11bは例えばRAMやROMである。I/F部11cは外部デバイスと処理部11aとの間の信号の入出力を行う入出力インタフェースを含む。I/F部11cは、また、インターネットなどの通信ネットワーク15を介してサーバ16とデータ通信が可能な通信インタフェースを含む。サーバ16は、通信ネットワーク15を介してスマートフォン等の携帯端末17との通信が可能であり、例えば、飲料の需要者の携帯端末17から飲料製造の予約や、感想などの情報を受信可能である。
処理部11aは記憶部11bに記憶されたプログラムを実行し、情報表示装置12からの指示或いはセンサ群13の検出結果若しくはサーバ16からの指示に基づいて、アクチュエータ群14を制御する。センサ群13は飲料製造装置1に設けられた各種のセンサ(例えばお湯の温度センサ、機構の動作位置検出センサ、圧力センサ等)である。アクチュエータ群14は飲料製造装置1に設けられた各種のアクチュエータ(例えばモータ、電磁弁、ヒーター等)である。
また、情報表示装置12も、制御装置11と同じく、処理部、記憶部及びI/F部を含み、さらに表示部を有する。情報表示装置12がタッチパネル式のディスプレイであれば、表示部は操作部も兼ねることになる。情報表示装置12のI/F部が、通信ネットワーク15を介してサーバ16や携帯端末17との通信を行うようにしてもよい。
<6.動作制御例>
処理部11aが実行する飲料製造装置1の制御処理例について図11(A)及び(B)を参照して説明する。図11(A)は一回のコーヒー飲料製造動作に関わる制御例を示している。製造指示前の飲料製造装置1の状態を待機状態と呼ぶ。待機状態における各機構の状態は以下の通りである。
抽出装置3は図5の状態にある。抽出容器9は正立姿勢で、かつ、抽出位置に位置している。ロック機構821は閉状態であり、蓋ユニット91は容器本体90の開口90aを閉鎖している。保持部材801は降下位置にあり、凸部911dに装着されている。保持部材811は上昇位置にあり、凸部901cに装着されている。弁903及び913は閉状態にある。切替弁10aは操作ユニット81Cの連通部810aを廃棄タンクTと連通させる。
待機状態において、コーヒー飲料の製造指示があると、図11(A)の処理が実行される。S1では予熱処理が実行される。この処理は容器本体90内にお湯を注ぎ、容器本体90を事前に加温する処理である。まず、弁903及び913を開状態とする。これにより、配管L3、抽出容器9、廃棄タンクTが連通状態となる。
電磁弁72iを所定時間(例えば1500ms)だけ開放したのちに閉鎖する。これにより、水タンク72から抽出容器9内にお湯が注入される。続いて電磁弁73bを所定時間(例えば500ms)だけ開放したのちに閉鎖する。これにより、抽出容器9内の空気が加圧され、廃棄タンクTへのお湯の排出を促進する。以上の処理により、抽出容器9の内部及び配管L2が予熱され、これに続くコーヒー飲料の製造において、お湯が冷めることを低減できる。
S2ではグラインド処理を行う。ここでは焙煎コーヒー豆を粉砕し、その挽き豆を容器本体90に投入する。まず、ロック機構821を開状態とし、保持部材801が上昇位置に上昇する。蓋ユニット91は保持部材801に保持され、保持部材801と共に上昇する。この結果、蓋ユニット91は容器本体90から分離する。保持部材811は降下位置に降下する。容器本体90を豆投入位置に移動する。続いて、貯留装置4及び粉砕装置5を作動する。これにより、貯留装置4から一杯分の焙煎コーヒー豆がグラインダ5Aに供給される。グラインダ5A及び5Bで焙煎コーヒー豆が二段階で挽かれ、かつ、分離装置6で不要物が分離される。挽き豆は容器本体90に投入される。
容器本体90を抽出位置に戻す。保持部材801が降下位置に降下して容器本体90に蓋ユニット91を装着する。ロック機構821を閉状態とし、蓋ユニット91が容器本体90に対して気密にロックされる。保持部材811は上昇位置に上昇する。弁903、913のうち、弁903は閉状態とし、弁913は開状態とする。
S3では抽出処理を行う。ここでは容器本体90内の挽き豆からコーヒー液を抽出する。図11(B)はS3の抽出処理のフローチャートである。
S11では抽出容器9内の挽き豆を蒸らすため、一杯分のお湯よりも少ない量のお湯を抽出容器9に注入する。ここでは、電磁弁72iを所定時間(例えば500ms)開放して閉鎖する。これにより、水タンク72から抽出容器9内にお湯が注入される。その後、所定時間(例えば、5000ms)待機してS11の処理を終了する。この処理によって挽き豆を蒸らすことができる。挽き豆を蒸らすことで、挽き豆に含まれる炭酸ガスを放出させ、その後の抽出効果を高めることができる。
S12では、一杯分のお湯が抽出容器9に収容されるよう、残りの量のお湯を抽出容器9へ注入する。ここでは、電磁弁72iを所定時間(例えば7000ms)開放して閉鎖する。これにより、水タンク72から抽出容器9内にお湯が注入される。
S12の処理によって抽出容器9内を、1気圧で摂氏100度を超える温度(例えば摂氏110度程度)の状態とすることができる。続いてS13により抽出容器9内を加圧する。ここでは電磁弁73bを所定時間(例えば1000ms)開放して閉鎖し、抽出容器9内をお湯が沸騰しない気圧(例えば4気圧程度(ゲージ圧で3気圧程度))に加圧する。その後、弁913を閉状態とする。
続いて、この状態を所定時間(例えば7000ms)維持して浸漬式のコーヒー液抽出を行う(S14)。これにより高温高圧下での浸漬式によるコーヒー液の抽出が行われる。高温高圧下での浸漬式の抽出では、以下の効果が見込める。一つ目は、高圧にすることで、挽き豆の内部にお湯を浸透させ易くし、コーヒー液の抽出を促進させることができる。二つ目は、高温にすることで、コーヒー液の抽出が促進される。三つ目は、高温にすることで挽き豆に含まれるオイルの粘性が下がり、オイルの抽出が促進される。これにより香り高いコーヒー飲料を製造できる。
お湯(高温水)の温度は、摂氏100度を超えていればよいが、より高温である方がコーヒー液の抽出の点で有利である。一方、お湯の温度を高くするためには一般にコストアップとなる。したがって、お湯の温度は、例えば、摂氏105度以上、または、摂氏110度以上、或いは、摂氏115度以上とし、また、例えば、摂氏130度以下、または、摂氏120度以下としてもよい。気圧はお湯が沸騰しない気圧であればよい。
S15では抽出容器9内を減圧する。ここでは、抽出容器9内の気圧をお湯が沸騰する気圧に切り替える。具体的には、弁913を開状態とし、電磁弁73cを所定時間(例えば1000ms)開放して閉鎖する。抽出容器9内が大気に解放される。その後、弁913を再び閉状態とする。
抽出容器9内が沸点圧よりも低い気圧に急激に減圧され、抽出容器9内のお湯が一気に沸騰する。抽出容器9内のお湯、挽き豆は、抽出容器9内で爆発的に飛散する。これにより、お湯を均一に沸騰させることができる。また、挽き豆の細胞壁の破壊を促進させることができ、その後のコーヒー液の抽出を更に促進させることができる。また、この沸騰により挽き豆とお湯を撹拌させることもできるため、コーヒー液の抽出を促進させることができる。こうして本実施形態ではコーヒー液の抽出効率を向上することができる。
S16では抽出容器9を正立姿勢から倒立姿勢へ反転する。ここでは、保持部材801を上昇位置に、保持部材811を降下位置にそれぞれ移動する。そして、支持ユニット81Bを回転させる。その後、保持部材801を降下位置に、保持部材811を上昇位置にそれぞれ戻す。倒立姿勢の抽出容器9は、ネック部90bや蓋ユニット91が下側に位置することになる。
S17では透過式のコーヒー液抽出を行い、カップCにコーヒー飲料を送出する。ここでは、切替弁10aを切り替えて注ぎ部10cと操作ユニット81Cの通路部810aとを連通させる。また、弁903、913をいずれも開状態とする。更に、電磁弁73bを所定時間(例えば10000ms)開放し、抽出容器9内を所定気圧(例えば1.7気圧(ゲージ圧で0.7気圧))にする。抽出容器9内において、コーヒー液がお湯に溶け込んだコーヒー飲料が蓋ユニット91に設けたフィルタを透過してカップCに送出される。フィルタは挽き豆の残渣が漏出することを規制する。以上により抽出処理が終了する。
本実施形態では、S14での浸漬式の抽出とS17での透過式の抽出とを併用することによりコーヒー液の抽出効率を向上できる。抽出容器9が正立姿勢の状態では、挽き豆が胴部90eから底部90fに渡って堆積する。一方、抽出容器9が倒立姿勢の状態では、挽き豆が肩部90dからネック部90bに渡って堆積する。ネック部90bの断面積よりも胴部90eの断面積の方が大きく、倒立姿勢での挽き豆の堆積厚さは正立姿勢での堆積厚さよりも厚くなる。つまり、挽き豆は抽出容器9が正立姿勢の状態では相対的に薄く、広く堆積し、倒立姿勢の状態では相対的に厚く、狭く堆積する。
本実施形態の場合、S14の浸漬式抽出は抽出容器9が正立姿勢の状態で行われるので、お湯と挽き豆とを広範囲にわたって接触させることができ、コーヒー液の抽出効率を向上できる。但し、この場合はお湯と挽き豆とが部分的に接触する傾向にある。一方、S17の透過式抽出は抽出容器9が倒立姿勢の状態で行われるので、お湯がより多くの挽き豆と接触しながら堆積した挽き豆を通過することになる。お湯がより万遍なく挽き豆と接触することになり、コーヒー液の抽出効率を更に向上することができる。
図11(A)に戻り、S3の抽出処理の後は、S4の排出処理を行う。ここでは抽出容器9内の清掃に関する処理を行う。抽出容器9の清掃は、抽出容器9を倒立姿勢から正立姿勢に戻し、抽出容器9に水道水(浄水)を供給することで行う。そして、抽出容器9内を加圧し、抽出容器9内の水を挽き豆の残渣と共に廃棄タンクTへ排出する。
以上により一回のコーヒー飲料製造処理が終了する。以降、同様の処理が製造指示毎に繰り返される。一回のコーヒー飲料の製造に要する時間は、例えば、60~90秒程度である。
<7.装置構成についての小括>
上述のとおり、飲料製造装置1は、豆処理装置2および抽出装置3を製造部として備え、より詳細には、豆処理装置2は、貯留装置4及び粉砕装置5を含み、抽出装置3は、流体供給ユニット7、駆動ユニット8、抽出容器9及び切替ユニット10を含む(図2、図3等参照)。粉砕装置5は、一杯分の焙煎コーヒー豆を貯留装置4から受け取り、グラインダ5A及び5Bにより二段階の豆挽きを行う。このとき、挽き豆からチャフ等の不要物が分離装置6により分離される。該挽き豆が抽出容器9に投入された後、流体供給ユニット7による抽出容器9への注湯、駆動ユニット8による抽出容器9の姿勢の反転、切替ユニット10による抽出容器9からカップCへの液体の送出等を経て、一杯分の飲料が提供される。
上記製造部の一部は、全体が透過部である透明カバーとして構成されたカバー部102により覆われており、ユーザ(例えば飲料製造装置1の管理者、飲料の需要者等)が飲料製造装置1外部から視認可能となっている。本実施形態においては、上記製造部のうち、貯留装置4の一部である複数のキャニスタ40が露出され、他の要素は実質的にハウジング100内に収容されているものとするが、他の実施形態として、製造部の全部がハウジング100内に収容されていてもよい。換言すると、カバー部102は、製造部の少なくとも一部を覆うように設けられればよい。
製造部の少なくとも一部がカバー部102により飲料製造装置1外部から視認可能に覆われていることで、例えば、ユーザが飲料製造装置1の管理者の場合には、該管理者は飲料の製造準備と共に装置の動作点検を行うことも可能な場合がある。ユーザが飲料の購入者の場合には、該購入者は飲料に対する期待感を高めながら該飲料の製造完了を待機可能な場合がある。例えば、抽出装置3の抽出容器9がカバー部102を介して飲料製造装置1外部から視認可能であり、飲料を製造する幾つかのプロセスのうちユーザにとって比較的関心度の高い抽出工程が観察可能である。駆動ユニット8は抽出容器9の姿勢を変化させる姿勢変化ユニットとして作用し、前述のとおり、抽出容器9は、製造部において上下反転が可能な可動部分となっている。よって、この抽出容器9の反転動作は、ユーザの興味を比較的惹きやすく、これをユーザにより観察可能とすることで、ユーザを楽しませることが可能な場合がある。
一方、飲料製造装置1により提供される飲料の一層の品質向上のため、例えば、プロセスの改善、それを実現するための飲料製造装置1の構成面、制御面等、多様な側面での改善も求められる。一例として、飲料製造装置1が備える一部の要素に変更を加えることが挙げられる。以下では、図12~図14を参照しながら、図3の水タンク72として機能可能な送液量調節装置720の例を述べる。
<8.送液量調節装置の構成例>
図12は、送液量調節装置720の概要図を示す。また、図13は、図12のIV-IV線断面図及び別例の断面図(構成例EX31)を示す。送液量調節装置720は、水タンク72と同様、コーヒー飲料を構成するお湯(水)を蓄積するタンクであるとともに、一定量のお湯を送出する機能を有する装置である。これにより、一杯分のコーヒー飲料に必要なお湯を順次送出することが可能であり、その際のお湯の量を変更することも可能である。以下の説明において、水タンク72に関連する構成と同じ機能を有する構成については、同じ符号を付している。
送液量調節装置720は、お湯を蓄積するタンク720aを有する。タンク720aの外壁は、周壁721、周壁721の上端部に接合された上壁723、及び、周壁721の下端部に接合された底壁724を含み、図13の断面図に示すようにタンク720aは全体として円筒形状を有している。タンク720a内には仕切壁722が設けられており、その内部空間が仕切壁722によって、外側の円筒状の空間725と、内側の円柱状の空間726Aとに区画されている。本例の場合、仕切壁722は周壁721と同心に配置された円筒形状の壁体であるが、図13の構成例EX31に示すように仕切壁722が周壁721に対して偏心していてもよい。
空間725はお湯を貯留する貯留部を構成する。空間725のことを貯留部725とも呼ぶ。空間726Aの上部には可動部材727cが配置され、その下部の空間726はお湯を貯留する貯留部を構成する。空間726のことを貯留部726とも呼ぶ。貯留部725と貯留部726とを共通の壁体である仕切壁722で仕切ることにより、別々の壁体で区画するよりも、タンク720aの小型化が可能となる。
貯留部725には、貯留部725内の水を加温するヒーター72a及び水の温度を計測する温度センサ72bが設けられている。ヒーター72aは、温度センサ72bの検出結果に基づいて、蓄積されるお湯の温度を所定の温度(ここでは摂氏120度)に維持する。ヒーター72aは、例えばお湯の温度が摂氏118度でONとされ、摂氏120度でOFFとされる。
上壁723のうち、貯留部725を画定する部分には、リザーブタンク71(図3参照)内の気圧が供給される配管が接続されており、ここには電磁弁72fが設けられている。送液量調節装置720は、貯留部725内の気圧を検出するセンサ(不図示。例えば図3の圧力センサ72gに相当するセンサ。)を備え、電磁弁72fは、調圧弁72e(図3参照)で調圧された気圧の貯留部725への供給と遮断とを切り替える。電磁弁72fは、貯留部725への水道水(浄水)の供給時を除き、貯留部725内の気圧が3気圧に維持されるように開閉制御される。
上壁723のうち、貯留部725を画定する部分には、また、貯留部725を大気に連通させる配管が接続されており、ここには電磁弁72hが設けられている。貯留部725への水道水の供給時には、水道水の水圧によって貯留部725に円滑に水道水が補給されるように、電磁弁72hにより貯留部725の気圧を2.5気圧未満に減圧する。電磁弁72hは水タンク72内を大気に解放するか否かを切り替え、減圧時には貯留部725内を大気に解放する。また、電磁弁72hは貯留部725への水道水の供給時以外に、貯留部725内の気圧が3気圧を超える場合に貯留部725を大気に解放し、貯留部725を3気圧に維持する。
底壁724のうち、貯留部725を画定する部分には、貯留部725に水道水を供給する配管L2が接続されており、ここには電磁弁72dが設けられている。電磁弁72dは、後述する水位センサ72cの検出結果に基づき開閉制御され、貯留部725内のお湯の水位を制御する。
底壁724のうち、貯留部725を画定する部分には、また、貯留部725内のお湯を排出する配管L2’が接続されており、ここには電磁弁72d’が設けられている。電磁弁72d’は、貯留部725内のお湯を廃棄する場合に開放され、貯留部725内のお湯が配管L2’へ排出される。
貯留部726は、可動部材727cの移動により、その容積が変更可能な空間である。貯留部726には、配管728a、電磁弁728及び配管728bを介して貯留部725からお湯が供給される。配管728aは、底壁724のうち、貯留部725を画定する部分と電磁弁728との間を接続する。配管728bは、底壁724のうち、貯留部726を画定する部分と電磁弁728との間を接続する。
図12の例においては、電磁弁728は、三方向弁であり、配管728bと配管728aとの連通及び遮断の切り替えと、配管728bと配管728cとの連通及び遮断の切り替えとを行うことができる。また、電磁弁728はいずれの配管同士も遮断することも可能である。配管728cは、貯留部726内のお湯を抽出容器9へ送出するための配管である。
配管728bと配管728aとの連通及び遮断とを切り替えることにより、貯留部725と貯留部726との連通と遮断とを切り替えることができる。配管728bと配管728cとの連通及び遮断とを切り替えることにより、貯留部726内のお湯の送出と貯留とを切り替えることができる。
電磁弁728は、配管728bと配管728aとを連通している場合、配管728bと配管728cとを遮断する。逆に、配管728bと配管728cとを連通している場合、配管728bと配管728aとを遮断する。図中の電磁弁728に示す矢印は、電磁弁728の動作状態を示しており、図12の例の場合、配管728bと配管728cとを連通し、配管728bと配管728aとを遮断している状態を示している。
尚、ここでは、電磁弁728を三方向弁とすることで、一つの電磁弁728により、これらの切り替えを行うように構成した。しかし、配管728bを二つに分け、一方の配管728bと配管728aとの連通及び遮断を切り替える弁と、他方の配管728bと配管728cとの連通及び遮断を切り替える弁と、を設けた構成も採用可能である。
送液量調節装置720は、駆動ユニット727を備える。駆動ユニット727は、貯留部726から送出する湯量に対応して制御され、貯留部726の容積を変化させる。コーヒーカップのサイズに応じて、一杯分の必要湯量が異なる。駆動ユニット727は、こうしたコーヒーカップのサイズ等に対応して適切な湯量が貯留部726から送出されるように、貯留部726の容積を調節する。
駆動ユニット727は、可動部材727cを上下に移動させることで貯留部726の容積を変化させる機構である。可動部材727cは空間726Aに挿入され、上下方向にスライドするように構成されたピストン状の部材であり、その底面727dが貯留部726の上側の壁体を構成する。この観点で、可動部材727cはピストンユニット等と称され、空間726Aはシリンダユニット等と称されてもよい。底面727dの昇降により、貯留部726の容積が変化することになる。
なお、貯留部726の容積は、本例のようにその上側の壁体の位置を移動することにより変化させるのではなく、下側や側部の壁体の位置を移動させることにより変化させることも可能である。
可動部材727cは、仕切壁722の内面とシールを構成するシール部材(不図示)を含み、仕切壁722の内面を液密に摺動する。但し、可動部材727cの周面には上下方向に延びる溝727eが形成されており、溝727eにおいて、仕切壁722の内面と隙間を有している。
この溝727eは、仕切壁722を厚み方向に貫通する開口722aと連通するように形成されている。開口722aは、貯留部725のお湯の最高水位(後述するセンサ731bの位置)よりも上側の位置に形成されており、貯留部725と空間726Aとを連通させる空気連通部である。開口722a及び溝727eを介して、貯留部725と貯留部726とで空気が連通し、これらの空間内の気圧は同じとなる。なお、貯留部725及び726を常時大気圧とする場合は、大気に連通する通路を個別に設けてもよい。
駆動ユニット727は、駆動源として上壁723に支持されたモータ727aを含み、また、可動部材727cを移動する移動機構としてネジ軸727bを含む。ネジ軸727bは上下方向に延設され、モータ727aの駆動力により回転する。可動部材727cは、その上面に開口したネジ穴727fを有しており、このネジ穴727fにネジ軸727bが係合している。可動部材727cは不図示の回り止めがなされており、ネジ軸727bの回転により上下方向に移動する。回り止めは、例えば、仕切壁722の内面と可動部材727cの周面に設けた、上下方向に延びる凹部と凸部であってもよい。
ここでは、可動部材727cを移動させる移動機構として、ネジ軸727bとネジ穴727fとからなるネジ機構を用いたが、これに限られず、ラック-ピニオン機構等、他の機構も採用可能である。
水位センサ72cは、貯留部725のお湯の水位を測定する測定ユニットである。水位センサ72cは、上下に延びる中空円柱状の貯留部729と、貯留部729内に設けられたフロート730と、フロート730を検知する下側のセンサ731a及び上側のセンサ731bとを含む。
貯留部729は、センサ731aよりも下側の位置の連通部729aで貯留部725と連通し、かつ、センサ731bよりも上側の位置の連通部729bで貯留部725と連通している。貯留部725のお湯は連通部729aを介して貯留部729へ流入する。連通部729bは、貯留部725と貯留部729とを連通させる空気連通部であり、連通部729bを介して貯留部725と貯留部729とで空気が連通する。したがって、貯留部729のお湯の水位は貯留部725のお湯の水位と等しくなる。
本例の場合、貯留部729は、ガラスやアクリルなど、透過性を有する部材で構成される。これにより、貯留部729のお湯の水位を外部から視認可能であり、その結果、貯留部725のお湯の水位をユーザが確認できることになる。無論、貯留部725の周壁(721)の一部に透過部を設けてその水位を視認可能とする構成も採用可能である。
フロート730は貯留部729内において、お湯に浮かぶものであればどのようなものでもよい。
センサ731a及び731bは、例えば、光センサ(フォトインタラプタ)であり、フロート730を貯留部729の外部から検知する。センサ731aによりフロート730が検知されると、電磁弁72dを開放して貯留部725へ水が供給される。つまり、センサ731aは貯留部725のお湯の水位の下限を監視する。水位の下限はヒーター72aよりも高い位置に設定されており、ヒーター72aによる空焚きを防止できる。
センサ731bによりフロート730が検知されると、電磁弁72dを閉鎖して貯留部725への水の供給を停止する。つまり、センサ731bは貯留部725のお湯の水位の上限を監視する。
水位センサ72cと同等の構成を貯留部725の内部に構築することも可能である。しかし、本例のように、貯留部725の外部に水位センサ72cを構築することで、外部から貯留部725の水位を確認し易くなる。
次に、図14を参照して送液量調節装置720の動作例について説明する。まず、カップサイズ等に応じて、駆動ユニット727により貯留部726の容積が調節される。状態ST61はその様子を示している。同図の例では、可動部材727cが降下し、貯留部726の容積が図13の例よりも小さい容積にセットされている。電磁弁728は配管728bと配管728cとを連通しており、貯留部725から貯留部726へお湯は供給されない。
貯留部726の容積がセットされると駆動ユニット727を停止し、電磁弁728により配管728bと配管728aとを連通させる。貯留部725と貯留部726とは気圧が同じであり、貯留部726はタンク720aの底部側にある。このため、貯留部725のお湯の水頭圧により、貯留部725から貯留部726へお湯が供給される。本例の場合、貯留部726が、貯留部725のお湯の最低水位(センサ731aの位置)よりも低い位置に形成されているため、貯留部725と貯留部726とで常に水頭差が生じている(貯留部725のお湯の方が高い)。したがって、貯留部726が満杯になるまで貯留部725から貯留部726へお湯が供給される。状態ST62は貯留部726が満杯になった状態を示している。溝727eにもお湯は進入するが、溝727eは空気の連通を確保できる程度の容積で足り、極小量とすることができる。
本例の場合、貯留部726にはヒーター72aを設けていないが、貯留部726は貯留部725に囲まれているので、貯留されるお湯の保温性能を確保することができる。なお、状態ST62において駆動ユニット727によって貯留部726の容積を変化させてもよい。
貯留部725から貯留部726へのお湯の供給は、他の方式も可能であるが、本例では貯留部725と貯留部726との水頭差を利用することで比較的単純な構成でお湯を供給することができる。
次に、貯留部726に貯留されたお湯を送出する。状態ST63に示すように、電磁弁728により配管728bと配管728cとを連通させることで、配管728cから抽出容器9へお湯を、自重又は貯留部726の気圧で送出することができる。お湯の送出開始後、電磁弁728の動作状態を、いずれの配管同士も遮断することで、貯留部726のお湯を段階的に送出することも可能である。例えば、蒸らし工程(図11(B)のS11)のために、お湯を送出して中断し、その後、残りのお湯を送出する工程(図11(B)のS12)を行うことも可能である。
いずれにしても、貯留部726に貯留されたお湯は全量を送出する。全量の送出確認は電磁弁728の開時間(配管728bと配管728cとの連通時間)で行うことができる。貯留部726に貯留されたお湯を一回送出する度に、電磁弁72dを開放してその分量に見合った水を貯留部725に供給してもよい。
上述の例によれば、お湯の送出量を調節することができる。液体の送出量の調節には、一般には、流量センサを用いてその検知結果により弁を開閉する制御が用いられる。しかし、高温の液体や特殊な液体の場合、対応可能な流量センサが市販されていないか高価な場合がある。これに対し、上述の例によれば、貯留部726の容積を調節する方式を採用することで流量センサを必要とせずにお湯の送出量を調節できる。
<9.送液量調整装置を用いた場合の動作制御例>
上記送液量調節装置720を用いることにより、例えば、製造プロセスの一部を変更して飲料製造装置1により提供される飲料の一層の品質向上を図ることも可能となる。以下では、制御装置11の処理部11a(図10参照)が実行する飲料製造装置1の制御処理の一例を、図15を参照しながら説明する。尚、以下において省略される説明については、前述の図11(A)及び図11(B)の各ステップ並びに図12~図14の送液量調節装置720の動作内容を参照されたい。
図15は、一回のコーヒー飲料製造動作に関わる制御例を示している。先ず、予熱処理(図11(A)のS1との区別のため、S1’とする。)は、少なくとも2回の加熱工程S101及びS102に分けられる。
S101は、抽出容器9(容器本体90)内にお湯を注ぎ、抽出容器9を事前に加温する処理である。先ず、電磁弁728を制御して配管728aと配管728bとを連通させ、貯留部725から貯留部726に少量のお湯を移動させる。その後、電磁弁728を制御して配管728bと配管728cとを連通させ、配管L3を介して貯留部726のお湯を抽出容器9に送出する。続いて、電磁弁73bを制御して抽出容器9内を加圧し、抽出容器9内のお湯を廃棄タンクTに排出する。
S101により、抽出容器9の内部及び配管L2~L3が予熱され、後述の各工程における飲料の製造の間にお湯が冷めることを防ぐことができる。また、S101を行うことにより、前回ないし過去の抽出の際に生じた流路中の残渣(液体の残り等)を洗い流すことも可能な場合がある。
S102は、貯留部725及び726で生成された蒸気を容器本体90内に供給し、抽出容器9の加熱を行う処理である。この蒸気は、貯留部725及び726内を減圧して貯留部725及び726内のお湯を沸騰させることにより生成可能であり、S15(図11(B)参照)同様の手順で実現可能である。抽出容器9への蒸気の供給または該蒸気を用いた抽出容器9の加熱が完了した後、電磁弁728を制御して配管728bと配管728cとを遮断する。
S102を行うことにより、抽出容器9全体を均一に加熱することが可能となる。これにより、例えば挽き豆からムラのない液体の抽出を所望の温度で行うことが可能となり、結果として、飲料の品質が向上しうる。また、S102では、貯留部725及び726の気圧が下がり、その中の液体が沸騰を始めるため、液体を撹拌させて温度を均一化させることもできる。
付随的に、貯留部725及び726と抽出容器9とを接続する接続部として機能し且つそれらの間の流路を形成する配管L3についても、S102において、抽出容器9と共に加熱されることとなる。これにより、液体が配管L3を通過する際に、その液体が冷えてしまうこともない。
ここで、前述のとおり、抽出容器9は弁903及び913を有しており、これらは、上記抽出に用いられる液体としてのお湯、上記抽出により得られる飲料液(本例ではコーヒー液)或いはS102の加熱に用いられる蒸気についての入口または出口として作用する。本例においては、S102では、蒸気は弁913から抽出容器9内に流入し弁903から抽出容器9外に流出する。蒸気が弁913から抽出容器9内に流入する際、弁903は開放しており、これにより、この蒸気が抽出容器9内で液化して液体になった場合には、その液体が抽出容器9内に長時間留まることなく弁903から抽出容器9外に流出可能となる。この態様によれば、例えば、後述の各工程により飲料を製造する際に、該飲料の味、風味等が意図せずに薄まってしまうようなこともないため、飲料の高品質化に有利である。
或いは、抽出容器9内を蒸気である程度充たした後、弁903及び913の双方を閉鎖した状態にして、この抽出容器9を振動させてもよい。抽出容器9への振動の発生は、中部ユニット8Bのモータ823及び/又は824(図9参照)により実現可能である。内部が蒸気である程度充たされた抽出容器9に振動を加えることにより、蒸気が抽出容器9内に均一に拡がることとなり、抽出容器9全体を均一に加熱することが可能となる。
尚、上記S102に代替して/付随して、蒸気を用いた抽出容器9の加熱は、S101の前に行われてもよい。即ち、S101及びS102の実行順序は逆であってもよいし、S102はS101の前後で計2回行われてもよい。S102をS101の前に行うことにより、S101において前回ないし過去の抽出の際に生じた残渣を除去し易くなる場合がある。
以上のようにして予熱処理S1’を行った後、図11(A)同様の手順でS2を行い、続いて抽出処理(図11(A)のS3との区別のため、S3’とする。)を行う。抽出処理S3’において、本抽出用注湯S12は、少なくとも2回の注湯工程(S121及びS122)に分けられる。1回目の注湯であるS121は、S11の後かつS13の前に行われる。その後、図11(B)同様の手順でS13~S16を行う。
ここで、S14では、抽出対象である挽き豆が正立姿勢の抽出容器9に比較的薄い堆積厚さで堆積されており、この挽き豆を、S121で供給されたお湯に浸漬することとなる。S15で抽出容器9内のお湯を沸騰させ、S16で抽出容器9を反転させて倒立姿勢にした後、S17の後/S17と共に、2回目の注湯であるS122が行われる。
図中においては、区別のため、S17の後にS122が行われるよう示されるが、好適には、S122は、S17の開始以降、S17と略同時に行われる。他の実施形態として、S17は、S122の開始以降、S122と略同時に行われてもよい。即ち、S122及びS17は、少なくとも部分的に並行して行われるとよく、注湯兼送出工程Kといった一つの工程に纏められる。
前述のとおり、抽出容器9が正立姿勢の状態では、挽き豆が胴部90eから底部90fに渡って堆積するのに対して、抽出容器9が倒立姿勢の状態では、挽き豆が肩部90dからネック部90bに渡って堆積する。即ち、抽出容器9は、胴部90eから底部90fにわたる太い部分と、肩部90dからネック部90bにわたる細い部分とを含んでおり、挽き豆は、正立姿勢においては該太い部分に堆積し、倒立姿勢では該細い部分に堆積する。
上記S17の透過式抽出の際、抽出容器9は倒立姿勢となっているため、抽出容器9内のお湯は、正立姿勢の場合よりも厚く堆積された挽き豆を通ることにより該挽き豆と万遍なく接触するため、透過式抽出の高効率化を実現可能となる。ここでは、2回目の注湯であるS122がS17と共に行われるため、抽出容器9は、S121で受け取ったお湯による浸漬式抽出で得られた飲料液を送出しながら、S122により追加的にお湯を受け取ることとなる。そして、S122により抽出容器9に追加的に流入したお湯は、浸漬式抽出には実質的に用いられずに主に透過式抽出に用いられる。このような抽出態様によれば、飲料に透過式抽出独特の味わいを効果的に付与することが可能となり、飲料の高品質化が可能となる。
S121での注湯の量とS122での注湯の量とは、例えばユーザにより設定ないし変更が可能としてもよく、即ち、浸漬式抽出と透過式抽出との割合を調節可能としてもよい。これにより、ユーザの嗜好に応じた品質で飲料を製造することが可能な場合がある。
図16(a)~16(h)及び図17(i)~17(о)は、送液量調節装置720の制御態様を、上述の図15の各ステップに対応させて説明するための模式図である。理解の容易化のため、以下の説明においては、送液量調節装置720の簡易モデルを用いるものとし、三方向弁である電磁弁728は、配管728aと配管728bとの連通及び遮断を切り替える弁7281と、配管728bと配管728cとの連通及び遮断を切り替える弁7282と、に区別して示される。
図16(a)は、送液量調節装置720の初期状態を示しており、飲料製造装置1は、飲料の製造の開始指示を待っている。初期状態においては、図中に模式的に示されるように、弁7281及び7282は何れも閉鎖されている。
図16(b)~図16(c)は、上記S101(少量のお湯を用いた抽出容器9の加熱処理)に対応する送液量調節装置720の態様を示す。図16(b)の工程では、弁7281を開放して、破線矢印で図示されるように、貯留部725から貯留部726に少量のお湯を移動させる。続いて、弁7281を閉鎖した後、図16(c)の工程では、弁7282を開放して、破線矢印で図示されるように、貯留部726内のお湯を抽出容器9に供給する。これにより、抽出容器9の内部及び配管L2~L3が加熱される。
図16(d)~図16(e)は、上記S102(蒸気を用いた抽出容器9の加熱処理)に対応する送液量調節装置720の態様を示す。図16(d)の工程では、貯留部725及び726内を減圧して貯留部725及び726内のお湯を沸騰させることにより、貯留部725及び726で蒸気を生成する。弁7282は開放状態であるため、該生成された蒸気は、破線矢印で図示されるように、配管728cを介して抽出容器9に供給される。また、図16(d)の工程では、上記沸騰により貯留部725及び726内のお湯を撹拌することも可能となり、該撹拌されたお湯の温度が所定値(例えば摂氏118度)に達していない場合にはヒーター72a(図12参照)が駆動される。その後、図16(e)の工程では、弁7282を閉鎖して、抽出容器9への蒸気の供給を停止する。これにより、抽出容器9全体が均一に加熱されうる。
図16(f)~図16(h)は、抽出処理S3’を実行するための準備工程に対応する送液量調節装置720の態様を示す。図16(f)の工程で、貯留部725及び726内を3気圧に戻した後、図16(g)の工程では、弁7281を開放して、破線矢印で図示されるように、貯留部725から貯留部726に一杯分のお湯(例えば180cc程度)を移動させる。貯留部725から貯留部726へのお湯の移動が完了した後、図16(h)の工程で弁7281を閉鎖する。尚、一杯分の量は、ユーザにより予め設定ないし選択されていてもよいし、載置部110に載置されたカップのサイズに基づいて決定されてもよいし、或いは、固定値であってもよい。ここでは不図示とするが、図16(f)~図16(h)の工程の間にグラインド処理(ステップS2)が並行して行われてもよく、それにより、飲料の製造が完了するまでの時間を短縮可能となる。
図17(i)~図17(j)は、蒸らし用注湯処理(ステップS11)に対応する送液量調節装置720の態様を示す。図17(i)の工程で弁7282を開放し、所定時間が経過した後、図17(j)の工程で弁7282を閉鎖する。これにより、貯留部726に貯留されたお湯の一部(例えば30cc程度)が、破線矢印で図示されるように、S11の蒸らし用に抽出容器9に流入することとなる。
図17(k)~図17(l)は、1回目の本抽出用注湯(ステップS121)に対応する送液量調節装置720の態様を示す。挽き豆の蒸らしが完了した後、図17(k)の工程で弁7282を開放し、所定時間が経過した後、図17(l)の工程で弁7282を閉鎖する。これにより、貯留部726内の残りのお湯の一部(例えば40cc程度)が、破線矢印で図示されるように、抽出容器9に流入することとなる。
ここでは不図示とするが、図17(l)の工程の後、S13~S16を行う。詳細については後述とするが、本例のS13においては、抽出容器9内の加圧と共に注湯(例えば30cc程度)が行われる。
図17(m)は、2回目の本抽出用注湯(ステップS122)に対応する送液量調節装置720の態様を示す。図17(m)の工程で弁7282を開放することで、貯留部726内の残りのお湯(例えば80cc程度)が、破線矢印で図示されるように、追加的に抽出容器9に流入することとなる。前述のとおり、S122はS17と略同時に行われ、ここで抽出容器9に流入するお湯は、浸漬式抽出には実質的に用いられずに主に透過式抽出に用いられる。
その後、飲料の実質的に全部が抽出容器9からカップに送出されたことを以ってS17の完了となる。ここで、S122後かつS17完了前においては、付随的に、貯留部725及び726の蒸気、並びに、コンプレッサ70からの空気圧を用いて、飲料の送出を促進することが可能である。貯留部725及び726の蒸気は、S102(図16(d)~図16(e)の工程)同様の手順で生成可能である。即ち、図17(n)の工程において、貯留部725及び726内を減圧してお湯を沸騰させることにより貯留部725及び726で蒸気を生成し、配管728cを介して該蒸気を抽出容器9に供給する。その際、図16(d)の工程同様、貯留部725及び726内のお湯が適切に撹拌され、必要に応じてヒーター72aが駆動されうる。その後、図17(о)の工程で弁7282を閉鎖して該蒸気の供給を停止する。尚、飲料の送出の促進の際、抽出容器9内は例えば1.6~2気圧程度となるように調整されうる。
図18は、抽出処理S3’の際の抽出容器9内の気圧の変化の態様を説明するための図である。横軸は時間軸を示しており、期間T1~T11を示す共に、期間T1~T11に対応するステップ(S11等)を併せて示す。縦軸は、期間T1~T11のそれぞれにおける抽出容器9内の気圧Pを示す。尚、期間T1~T11は、図18において、互いに等しい長さで模式的に図示されるが、実際には、各期間T1~T11の長さは、同じ期間長である場合もあるが、異なる期間長である場合もある。
期間T1~T2は、蒸らし用注湯処理(ステップS11)に対応する期間である。期間T1では、抽出容器9内を約1.8気圧まで加圧すると共に、蒸らし用のお湯(30cc程度)を抽出容器9に流入する。抽出容器9へのお湯の流入のタイミングは、期間T1内の何れであってもよいが、ユーザにより予め設定ないし選択されていてもよいし、飲料の種類によって変更されてもよい。その後、このお湯を用いて挽き豆を蒸らす。この期間(15秒程度)を期間T2とする。
期間T3は、1回目の注湯(ステップS121)に対応する期間である。期間T3では、抽出容器9内を3気圧まで加圧すると共に、S121として本抽出用のお湯(40cc程度)を抽出容器9に流入する。
期間T4は、抽出容器9内の加圧S13に対応する期間である。期間T4では、抽出容器9内を5気圧まで加圧すると共に、お湯(30cc程度)を抽出容器9に流入する。
ここで、注湯の量は期間T3及びT4間で調整可能とし、例えば70cc程度の注湯を期間T3で完了させてもよい。期間T3及びT4は、何れも抽出容器9内を加圧しながら注湯を行うという点で共通するが、本例ではそれらの加圧態様が互いに異なる。例えば、期間T3~T4での加圧の間、途中(P=3気圧前後)で加圧態様が緩やかになる。例えば、期間T3及びT4間のタイミングは、気圧Pの変曲点として規定されてもよい。期間T3~T4の加圧態様を制御ないし調整することにより、この後の工程である浸漬式抽出S14で得られる飲料液について、表現可能な程に味、風味等の幅を広げることが可能な場合がある。
期間T5は、浸漬式抽出S14に対応する期間である。抽出容器9内が5気圧に達した後、その状態を維持する。この期間(9秒程度)を期間T5とする。これにより、抽出対象である挽き豆から飲料液であるコーヒー液が抽出される。なお、期間T5の期間長を1秒と短くする場合があってもよい。
期間T6~T8は、抽出容器9内の減圧S15に対応する期間である。期間T6~T7では、上記減圧を2段階に分けて行う。期間T6では、先ず、比較的短時間で抽出容器9内を5気圧から1.5気圧まで減圧させ(急減圧)、その後、所定期間(3秒程度)にわたって待機する。次に、期間T7では、抽出容器9内を1気圧まで減圧させ、その後、所定期間(1秒程度)にわたって待機する。
前述のとおり、減圧S15によって抽出容器9内の液体が沸騰して撹拌される。本例の減圧態様によれば、先ず、期間T6の1段階目の減圧により抽出容器9内の液体の一部が沸騰して撹拌され、続いて、期間T7の2段階目の減圧により抽出容器9内の液体の他の部分も沸騰して撹拌されうる。そのため、例えば抽出容器9内の液体全体の撹拌を適切に行うことが可能となり、このことは、例えば、抽出された飲料液に濃度や組成等のムラがある際に有利な場合がある。その後、期間T8で抽出容器9内を1.5気圧に戻して沸騰を安定化させると共に流路(配管L2、L3等)中に残存しうる液体(例えば5cc程度)を抽出容器9へ押し込む。
期間T9は、抽出容器9の反転S16及びその後の待機期間(2秒程度)である。尚、期間T9の開始のタイミングは上記反転S16が実行されるタイミングに対応する。期間T9では、S16で反転した抽出容器9内において、抽出対象である挽き豆が該抽出容器9内の下方部に比較的厚い堆積厚で堆積される。また、期間T9では、抽出容器9内を減圧して1気圧にする。
期間T10~T11は、透過式抽出S17に対応する期間であり、これにより、飲料が抽出容器9からカップCに送出される。前述のとおり、S17と略同時に2回目の注湯S122が行われ、それにより抽出容器9内に追加的に流入するお湯(80cc程度)は、主に透過式抽出に用いられることとなる。本例では、全部で約185ccの飲料が提供されることとなる。
本例では、期間T10における例えばS122後に抽出容器9内を1.6気圧まで加圧し、その後の期間T11において抽出容器9内を2気圧まで加圧して、飲料の送出を促進する。期間T10では、貯留部725及び726の蒸気を用いて上記飲料の送出を促進し、期間T11では、コンプレッサ70からの空気圧を用いて上記飲料の送出を促進するものとする。すなわち、期間T10では、相対的に高温の気体を用いて上記飲料の送出を促進し、期間T11では、相対的に低温の気体を用いて上記飲料の送出を促進する。これにより、送出されるべき飲料の全部(流路中の液体も含む。)を適切に且つ比較的短時間でカップに提供可能となる。
上述の各期間T1等は、より詳細には、S11等の各ステップ或いはそのサブステップに対応付けられて図19に示すようにまとめられる。
図19は、図10に示す記憶部11bに記憶されている抽出処理S3’のテーブルを示す図である。
上述のごとく、図18では、期間T1~T11は、互いに等しい長さで模式的に図示されているが、図19では、具体的な期間の長さが示されている。
期間T6は、抽出容器9内の気圧を1.5気圧まで急減圧する工程であるが、抽出容器9内を大気に解放する大気解放工程(前半)であってもよく、こうした場合には、期間T7は、抽出容器9内を大気に解放する大気解放工程(後半)になる。
また、期間T10は蒸気を用いた飲料送出工程であり、期間T11は空気圧を用いた飲料送出工程であったが、期間T10および期間T11の両方ともに、蒸気を用いた飲料送出工程であってもよいし、空気圧を用いた飲料送出工程であってもよい。すなわち、期間T10は飲料送出工程(前半)であり、期間T11は飲料送出工程(後半)であってもよい。
さらに、期間T10にしても期間T11にしても、抽出容器9内の液体の温度よりも高い流体(液体であってもよいし気体であってもよい)を抽出容器9に供給してもよい。ここにいう液体とは、飲料になるお湯のことである。
なお、図19に示すテーブルは、図10に示す制御装置11が、通信ネットワーク15を介してサーバ16から取得してもよい。また、図19に示すテーブルの他に、複数種類のテーブルが用意されている。これらのテーブルは、抽出対象の種類(コーヒー豆の種類)ごとに用意されたり、焙煎の仕方ごとに用意されている。さらには、これらのテーブルは、飲料の味の傾向ごとにも用意されており、ユーザは、それらの中から好みに応じたものを選択することも可能である。ユーザによる選択は、タッチパネル式のディスプレイである情報表示装置12により実現可能である。
図20は、時間経過と共に変化する抽出容器9内のお湯の量(お湯の量の変化の様子)を示す波形を、図18に破線で追加したものである。本例では、全部で約185ccの飲料が提供されることとなる。この図20には、時間経過と共に変化する抽出容器9内の気圧およびお湯の量の目標値(或いは設定値)を示しているものとして、それらの実際の値がどのように変化しているかが、情報表示装置12(図1等参照)に追加的にプロットされてもよい。情報表示装置12における、図20に示すような表示画面は、専用の表示モードをユーザが選択することにより、情報表示装置12に表示される。これにより、ユーザが飲料の購入者等の場合には、そのユーザを飽きさせることなく待機させることが可能となる場合がある。また、ユーザが装置1の管理者等の場合には、そのユーザは装置1による飲料の製造が適切に実行されているか否か等を確認することが可能となる場合もある。さらには、飲料の製造前に、抽出容器9内の気圧のパラメータ(設定値)及びお湯の量のパラメータ(設定値)を表示画面上で確認することができる。あるいは、飲料の製造後に、抽出容器9内の気圧のパラメータ(設定値)及びお湯の量のパラメータ(設定値)を表示画面上で確認することもできる。
図21は、飲料の製造中に情報表示装置12に表示されうる情報として、抽出容器9内の気圧およびお湯の量の実際の値が、時間経過と共に(リアルタイムで)上記目標値に重ねられてプロットされている様子を示す。即ち、図21は、抽出容器9内の気圧およびお湯の量の実際の値の変化の様子を示す波形を、図20に追加したものである。これら実際の値は、圧力センサおよび温度センサにより実測値としてそれぞれ計測可能である。図中において、実線は、一杯分の飲料を抽出する際の抽出容器9内の気圧の目標値の変化態様を示し、一点鎖線は、該抽出容器9内の気圧の実測値の変化態様を示す。また、破線は、該抽出容器9内のお湯の量の目標値の変化態様を示し、二点鎖線は、該抽出容器9内のお湯の量の実測値の変化態様を示す。
図21の例は、現時点における工程が期間T6(S15)の途中であり、抽出容器9内の気圧およびお湯の量の実測値が期間T1からその時点(期間T6の途中)までについてプロットされていることを示す。ここでは、この時点での抽出容器9内の気圧の実測値は1.2気圧であり、お湯の量の実測値は100ccとなっている。尚、この後の工程においても上記実測値は継続してプロットされる。情報表示装置12における、図21に示すような表示画面は、専用の表示モードをユーザが選択することにより、情報表示装置12に表示されるようにしてもよい。これにより、実測値が目標値に到達していない場合や実測値が目標値から大きく乖離している場合には、ユーザは、流路における漏れの発生、流路を形成する各要素(配管、弁等)の不具合等に速やかに対応可能となる。
図21では、抽出容器9内の気圧およびお湯の量の目標値、並びに、それらの実測値の変化の様子が情報表示装置12に示される態様を例示したが、それらの一部が情報表示装置12に示されてもよい。例えば、気圧の目標値及び実測値のみについて変化の様子が示されてもよいし、お湯の量の目標値及び実測値のみについて変化の様子が示されてもよい。或いは、上記目標値および実測値の演算結果(例えば、それらのズレ量の変化の様子)が示されてもよい。
抽出容器9内の気圧およびお湯の量の上記目標値の変化の態様は、複数のパターンとして予め用意されており、ユーザは、それらの中から好みに応じたものを選択することも可能とする。上記複数のパターンを示す情報は、例えば記憶部11b(図10参照)に予め格納されていてもよいし、或いは、通信ネットワーク15を介してサーバ16から取得されてもよい。また、ユーザによる上記選択は、タッチパネル式のディスプレイである情報表示装置12により実現可能である。
また、一杯分の飲料の抽出を行った場合、抽出容器9内の気圧およびお湯の量の上記目標値および実測値の変化は全期間T1~T11に亘って情報表示装置12に表示され、それらを示す情報は、例えば記憶部11bに格納されうる。よって、ユーザは、必要に応じて情報表示装置12を介して所定の操作を行うことで、該情報を再度表示させることも可能である。これにより、ユーザは、例えば、過去に行われた飲料製造の際の上記目標値および実測値の変化を確認することもできる。
尚、期間T1~T11は、図18、図20、及び図21の何れにおいても、互いに等しい長さで模式的に図示されるが、これらは、実際の情報表示装置12には現実の時間長に対応した間隔で表示されればよい。
以上、本実施形態によれば、予熱処理S1’のS102において、送液量調節装置720において高温の液体(お湯)を貯留可能な貯留部725及び726で生成された蒸気によって、抽出容器9の加熱を行う。これにより、抽出容器9全体を均一に加熱することが可能となり、例えば、その後の透過式抽出S17ではムラのない飲料液(コーヒー液)の抽出を所望の温度で行うことが可能となり、結果として、飲料の高品質化が可能となる。
また、本実施形態によれば、抽出対象である挽き豆を正立姿勢の抽出容器9に堆積させて液体(お湯)に浸漬する。この液体は、1回目の注湯であるステップS121により、抽出容器9に流入される。その後、抽出容器9を倒立姿勢にして挽き豆の堆積厚さを厚くし(S16参照)、この倒立姿勢の抽出容器9から、注ぎ部10cを介してカップに飲料液を送出する(S17参照)。この送出中の抽出容器9には、2回目の注湯であるステップS122により残りの液体(お湯)が追加的に流入される。該追加的に流入される液体は主に透過式抽出に用いられ、このような抽出態様によれば、例えば透過式抽出独特の味わいを飲料に付与することが可能となる。また、浸漬式抽出と透過式抽出との割合を調節可能となり、表現可能な程に味、風味等の幅を広げることも可能な場合もある。結果として、飲料の高品質化が実現可能となる。
図22は、図21におけるプロット表示が期間T11まで終了した様子を示す図である。つまり、図22に示すように、コーヒー一杯分抽出する全期間に渡って表示し、当該抽出容器9内の目標とする圧力の変化(圧力情報)、抽出容器9内の目標とする湯量の変化(液量情報)、計測した抽出容器9内の圧力の変化(圧力情報)、計測した抽出容器9内の湯量の変化(液量情報)を記憶手段(例えば、記憶部11b、あるいは情報表示装置12の記憶部)に記憶する。さらに、情報表示装置12の操作部に対するユーザ操作に応じて、再度表示可能としても良い。そのような構成により、例えば、ユーザは、抽出されたコーヒーの味と、情報表示装置12に表示された図22に示すようなグラフとから別の味やフレーバーとなるようにレシピを修正する際の参考にすることができる場合がある。なお、この図22でも、一杯分の飲料を抽出する際の抽出容器9内の気圧の目標値の変化を実線のグラフで示し、該抽出容器9内の気圧の実測値の変化を一点鎖線のグラフで示す。また、該抽出容器9内のお湯の量の目標値の変化を破線のグラフで示し、該抽出容器9内のお湯の量の実測値の変化を二点鎖線のグラフで示す。
本実施形態では、情報表示装置12で表示された図20の情報を示す画面上で、ユーザは、グラフに対するタッチ操作により、各期間(各工程)の時間幅、圧力/湯量の目標値を調整することが可能である。
図23は、図20の画面上でユーザが、期間T2(蒸らし工程)における圧力の目標値を調整した様子を示す図である。図23では、ユーザが、調整を所望する期間T2のグラフ上の箇所をタッチして下向きにフリック操作すると、処理部11aは、その操作を反映して期間T2における圧力の目標値を1.8気圧から1.5気圧に変更して表示するよう情報表示装置12を制御する。
図24は、図20の画面上でユーザが、期間T2の時間幅を調整した様子を示す図である。図24では、ユーザが、調整を所望する期間T2の箇所をタッチして左向きにフリック操作すると、処理部11aは、その操作を反映して期間T2の時間を15秒から10秒に変更して表示するよう情報表示装置12を制御する。また、図24に示すように、期間T2の時間幅が調整されるに伴って、圧力と湯量のグラフも隣接する期間における変化と整合される。このように、時間幅を調整することで、圧力や湯量の上昇率を変更することができる場合がある。
図25は、図20の画面上でユーザが、期間T5(高圧浸漬工程)の湯量の目標値を調整した様子を示す図である。図25では、ユーザが、調整を所望する期間T5のグラフ上の箇所をタッチして下向きにフリック操作すると、処理部11aは、その操作を反映して期間T5の湯量を100ccから90ccに変更して表示するよう情報表示装置12を制御する。
図23及び図25では、ユーザが圧力/湯量の目標値を調整する構成を示している。しかしながら、ユーザが圧力/湯量の計測値を調整するようにしても良い。また、図22の画面上で、ユーザが、圧力/湯量の目標値、圧力/湯量の計測値、期間の少なくともいずれかを調整可能とするようにしても良い。
本実施形態では、図22に示すように、抽出容器9内の圧力、抽出容器9内の湯量の計測値がリアルタイムで情報表示装置12にプロット表示される。ここで、上記の圧力、湯量の他のパラメータの計測値、例えば湯温についても、リアルタイムで情報表示装置12にプロット表示されても良い。
図26は、抽出容器9内の湯温のプロット表示が期間T11まで終了した様子(温度変化グラフ)を示す図である。処理部11aは、期間T11までのプロット表示が終了すると、計測した抽出容器9内の湯温の変化(温度情報)を記憶手段に記憶する。そして、情報表示装置12の操作部に対するユーザ操作(例えば、タッチパネル上でのタッチ操作)に応じて、再度表示可能としても良い。抽出容器9内の湯温は、例えば、抽出容器9内に温度センサ(温度取得手段の一例)が設けられて計測されるようにしても良いし、温度センサ72bでの計測値に基づいて取得するようにしても良い。情報表示装置12の操作部に対するユーザ操作に応じて、再度表示可能とすることにより、ユーザは、抽出されたコーヒーの味と、情報表示装置12に表示された図26に示すようなグラフとから別の味やフレーバーとなるようにレシピを修正する際の参考にすることができる場合がある。また、図26の画面上で、ユーザが、湯温と期間の少なくともいずれかをフリック操作等により調整可能とするようにしても良い。
また、湯温の他にも、抽出容器9内の空気の温度、抽出容器9内の湯の圧力を計測可能な構成、例えば、抽出容器9内に温度センサや圧力センサ(圧力取得手段の一例)を構成し、その計測値をリアルタイムで情報表示装置12にプロット表示するようにしても良い。また、送液量調節装置720や抽出容器9からカップCへのコーヒー飲料の送出口(注ぎ口)までの管内における圧力/湯量/湯温、送出口における圧力/湯量/湯温、の少なくともいずれかを計測可能な構成とし、その計測値をリアルタイムで情報表示装置12にプロット表示するようにしても良い。
また、他のパラメータとして、グラインダ5Aによる挽豆の粒度、グラインダ5Bによる挽豆の粒度、チャフ分離度、等の目標値を情報表示装置12に表示するようにしても良い。例えば、グラインダ5A、グラインダ5Bから自由落下してくる通過部分に挽き豆の大きさを測定するためのセンサを設け、粒度の計測値を取得可能に構成しても良い。また、計測値を記憶手段に記憶するようにし、さらに、情報表示装置12の操作部に対するユーザ操作に応じて、再度表示可能としても良い。
図22~図26の画面上でユーザにより調整され、コーヒー飲料の製造指示がされると、処理部11aは、調整された結果に基づいて、飲料製造装置1に設けられた各種のアクチュエータ(例えば、モータ、電磁弁、ヒーター等)を制御し、図11(A)の処理を実行する。ここで、湯温の調整は、例えば、送液量調節装置720内の貯留部725内の120℃のお湯に水を供給することによって行われる。
本実施形態では、抽出開始からの時間と、実際の各所(例えば抽出容器9内)の圧力の実測値とを、圧力の実測値グラフとして表示する例を示したが、抽出開始からの時間と、各種味の強さの変化とをグラフ化して表示するようにしても良い。例えば、抽出容器9内の圧力を実測し、その実測値から、例えば酸味の強さを示すレベル(酸味レベル)を推定する。そして、抽出開始から抽出完了までの酸味レベルの変化の様子をグラフ化することで、味の推定値グラフを表示するようにしても良い。
また、抽出開始からの時間と、各種味の設定に基づく味の目標値と、その味の実測値又は予測値又は算定値又は推定値と、を表示するようにしても良い。例えば、抽出開始から70秒で抽出を完了させ、その際、酸味レベルをレベル10まで高めるように設定し、途中段階の変化のさせ方としては、抽出開始から20秒後に酸味レベルをレベル5まで上げ、次の20秒でレベル8まで上げ、残りの30秒でレベル10まで上げるように湯温の変化、圧力の変化、湯や水の追加の制御を行うように設定していたとする。その変化のグラフを味の目標値グラフとして表示するようにしても良い。そして、圧力の場合での例示と同様に、味の目標値グラフを表示しておき、抽出中にその味の目標値グラフに重ねて、味の推定値グラフをリアルタイムで表示するようにしても良い。味の推定値を出すために圧力の実測値を用いることを上述したが、圧力以外にも湯温、湯や冷水の追加量、抽出容器9の動かし方、豆の粒度、香り、色等を実測し、それらの実測値を用いて推定したり、味センサを用いて実測値を導出するようにしても良い。
また、味の例として、酸味を示したが、苦味、甘味、コク、爽やかさ、旨味、塩味等どのような味であっても良い。また、味に限られず、香味の強さの推定値又は実測値のグラフを表示するようにしても良い。また、一つの味の目標値や推定値又は実測値のグラフだけでなく、複数の味の強さの目標値や推定値又は実測値のグラフを表示するようにしても良い。また、複数の味のバランスを示す味覚チャートを表示し、抽出工程において複数の味のバランスが変化する様子を、味覚チャートを変化させて表示させることによってユーザに示すようにしても良い。
図23では、ユーザが、調整を所望する期間のグラフ上の箇所をフリック等の操作をすることで、その期間の圧力の目標値が変化する例を示したが、味の目標値グラフについても、ユーザが、調整を所望する期間のグラフ上の箇所をフリック等の操作をすることでその期間の味の強さの目標値が変化するようにしても良い。また、図24と同様に、味の目標値のグラフについても、ユーザが、調整を所望する期間の時間幅を調整することでその期間の味の強さの目標値が変化するようにしても良い。
図23では、ユーザが、調整を所望する期間のグラフ上の箇所をフリック等の操作をすることで、その期間の圧力の目標値が変化する例を示したが、その変化に伴って抽出される飲料(コーヒー)の味の変化を示すようにしても良い。例えば、図23に示すような圧力の目標値グラフとともに、表示されている圧力変化が抽出工程で行われた場合に抽出される飲料の複数の味のバランスを示す味覚チャートを表示する。そして、ユーザが、調整を所望する期間のグラフ上の箇所をフリック等の操作をすることで、その期間の圧力の目標値が変化する様子を表示するとともに、圧力の目標値の変化によって複数の味のバランスがどのように変化するかを、味覚チャートを変化させて表示させることによってユーザに示すようにしてもよい。その際、ユーザのフリック操作に応じて、圧力の目標値のグラフの対応する線の変化に対応して味覚チャートが変化して表示するようにしても良い。ここで、複数の味は、酸味、苦味、甘味、コク、爽やかさ、旨味、塩味等、どのような味を含んでも良く、また、味に限られず、香味の強さを含めるようにしても良い。また、圧力の目標値の変化に対応することに限られず、例えば、図25に示すような湯量、図26に示すような湯温、また、湯や冷水の追加量や、図24に示すような抽出工程内の各種工程の期間の長さの変化に対応して、味のバランスの変化を表示するようにしても良い。
図22~図26の説明により、情報表示装置12上でグラフ表示する構成について説明した。しかしながら、その表示形式は、グラフに限られず、他の形式であっても良い。
図27は、図20のグラフ形式の代わりに、表形式で表示した一例を示す図である。図27において、記号T1~T11は、期間T1~T11に対応している。図27に示すように、各期間(工程)における目標値が数値として表示される。図27では、まだ計測は行われていないので、「実測」の欄は「未」と表示されている。また、図27の表は、各数値がユーザにより編集可能なように表示されても良い。そのような構成により、図23~図25で説明したような目標値の変更が図27の表上で可能となる。図27の表上で受け付けた目標値の変更は飲料製造装置1にレシピとして登録され、上記と同様に、コーヒー飲料の製造指示がされると、処理部11aは、調整された結果に基づいて、飲料製造装置1に設けられた各種のアクチュエータ(例えば、モータ、電磁弁、ヒーター等)を制御し、図11(A)の処理を実行する。
図30、図31、図32、図33は、登録されたレシピの一例を示す図である。図30は、例えばデフォルトとして図27のように表示された目標値が、抽出時の圧力が低めとなるようにユーザにより調整されて登録されたレシピの一例である。図31は、例えばデフォルトとして図27のように表示された目標値が、蒸らし工程を省くようにユーザにより調整されて登録されたレシピの一例である。図32は、例えばデフォルトとして図27のように表示された目標値が、高圧浸漬後の減圧の程度が小さくなるようにユーザにより調整されて登録されたレシピの一例である。図33は、例えばデフォルトとして図27のように表示された目標値が、高圧浸漬時の圧力が高めとなるようにユーザにより調整されて登録されたレシピの一例である。このように、図27のように表示された表に基づいて、様々なレシピが登録されることができる場合がある。
図28は、図21の計測値についてグラフ形式の代わりに、表形式で表示した一例を示す図である。図28においても、記号T1~T11は、期間T1~T11に対応している。図28に示すように、各期間(工程)における目標値が数値として表示される。さらに、図28に示すように、取得済みの圧力/湯量の計測値が取得されるにつれて「実測」の欄に順次、表示されていく。
図29は、図22の計測値についてグラフ形式の代わりに、表形式で表示した一例を示す図である。図29に示すように、コーヒー一杯分抽出する全期間に渡って、取得済みの圧力/湯量の計測値が表示される。また、図29で表示された計測値は、記憶手段に記憶され、さらに、情報表示装置12の操作部に対するユーザ操作に応じて、再度表示可能としても良い。その際、グラフ形式もしくは表形式のように、表示形式をユーザ操作に応じて選択可能としても良い。また、図27~図29では、圧力と湯量についての目標値/計測値が表示されているが、既に述べた湯温等の他のパラメータについての目標値/計測値が表示され、ユーザにより編集可能としても良い。
以上の説明では、図21、図22~図33の画面は、情報表示装置12に表示されるとして説明した。しかしながら、情報表示装置12ではなく、飲料製造装置1と異なる装置において表示されるようにしても良い。例えば、図10に示す携帯端末17において、図21、図22~図33の画面を表示するようにしても良い。その場合、処理部11aは、図21、図22~図33の画面を表示するためのデータ(例えばHTMLファイル)をシステム内の携帯端末17に通信ネットワーク15を介して送信する。また、携帯端末17では、図21、図22~図33の画面が表示されるばかりでなく、上記で説明したように、ユーザ操作を反映したグラフ表示の変更、表形式の表示における目標値/計測値の編集、が可能としても良い。そのように構成することで、以下のようなケースに対応可能となる。例えば、ユーザが、飲料製造装置1に登録されたレシピを自身の携帯端末17上で変更し、その変更されたレシピの内容を飲料製造装置1に送信することで注文を行う。そして、飲料が提供された後、店員がそのレシピの内容を情報表示装置12上で改良し、改良されたレシピを携帯端末17に送信する。そのようなケースでは、ユーザは、使用が慣れている自身の携帯端末17上でレシピの変更等が可能になるので、利便性を向上させることができる場合がある。また、店員により改良されたレシピを取得することができる場合がある。
<実施形態のまとめ>
上記の実施形態の抽出装置は、抽出対象から飲料液を抽出するための抽出容器(抽出容器9)と、前記抽出容器に液体を供給する供給手段と(図3)、前記供給手段による前記液体の供給を制御する制御手段と(送液量調節装置720)、前記制御手段による制御に基づいて前記飲料液を抽出する際、前記抽出容器内の状態を表示する表示手段と(情報表示装置12)を備えることを特徴とする。また、前記抽出容器内の状態は、前記抽出容器内の液量であり、前記表示手段は、前記飲料液を抽出する際、前記抽出容器内の液量の変化を液量変化グラフとして表示することを特徴とする。
そのような構成により、飲料液を抽出する際、例えば、抽出容器内の液量の変化を表示することができる。
また、前記供給手段は、前記飲料液を抽出する際、複数の抽出工程を順次実行可能なように構成され、前記抽出装置は、前記複数の抽出工程それぞれにおける前記抽出容器内の液量を液量情報として記憶する記憶手段(記憶部11b)、を備え、前記表示手段は、前記記憶手段から読み出された前記液量情報に基づいて前記液量変化グラフを表示することを特徴とする。
そのような構成により、ユーザは、例えば、読み出された液量変化グラフを参考にして、レシピを変更することができる。
また、前記表示手段は、ユーザの操作に応じて、前記液量変化グラフの一部が表す液量の変化の態様に当該操作を反映して表示し、前記記憶手段は、前記反映が行われた前記液量変化グラフに対応する液量情報を新たに記憶し、前記制御手段は、前記記憶手段に新たに記憶された前記液量情報を読み出して、該読み出した前記液量情報に対応する液量が前記複数の抽出工程それぞれにおける前記抽出容器内の液量となるよう制御することを特徴とする。また、抽出装置は、前記抽出容器内の液量を取得する液量取得手段、を備え、前記表示手段は、前記液量取得手段により取得された液量に基づいて前記液量変化グラフを表示することを特徴とする。
そのような構成により、ユーザは、例えば、計測され表示された液量変化グラフをフリック操作等により変更することができる。
また、前記供給手段は、前記抽出容器に空気圧を供給可能であり、前記抽出容器内の状態は、前記抽出容器内の空気圧であり、前記表示手段は、前記飲料液を抽出する際、前記抽出容器内の空気圧の変化を圧力変化グラフとして表示することを特徴とする。また、前記記憶手段は、前記複数の抽出工程それぞれにおける前記抽出容器内の空気圧を圧力情報として記憶可能であり、前記表示手段は、前記記憶手段から読み出された前記圧力情報に基づいて前記圧力変化グラフを表示することを特徴とする。
そのような構成により、ユーザは、例えば、読み出された圧力変化グラフを参考にして、レシピを変更することができる。
また、前記表示手段は、ユーザの操作に応じて、前記圧力変化グラフの一部が表す圧力の変化の態様に当該操作を反映して表示し、前記記憶手段は、前記反映が行われた前記圧力変化グラフに対応する圧力情報を新たに記憶し、前記制御手段は、前記記憶手段に新たに記憶された前記圧力情報を読み出して、該読み出した前記圧力情報に対応する空気圧が前記複数の抽出工程それぞれにおける前記抽出容器内の空気圧となるよう制御することを特徴とする。また、抽出装置は、前記抽出容器内の空気圧を取得する圧力取得手段、を備え、前記表示手段は、前記圧力取得手段により取得された空気圧に基づいて前記圧力変化グラフを表示することを特徴とする。
そのような構成により、ユーザは、例えば、計測され表示された圧力変化グラフをフリック操作等により変更することができる。
また、前記表示手段は、前記液量変化グラフと前記圧力変化グラフを一画面として表示可能であることを特徴とする。そのような構成により、液量変化グラフと圧力変化グラフとを一画面として表示させることができる。
また、前記抽出容器内の状態は、前記抽出容器内の湯温であり、前記表示手段は、前記飲料液を抽出する際、前記抽出容器内の湯温の変化を温度変化グラフとして表示することを特徴とする。また、前記記憶手段は、前記複数の抽出工程それぞれにおける前記抽出容器内の湯温を温度情報として記憶可能であり、前記表示手段は、前記記憶手段から読み出された前記温度情報に基づいて前記温度変化グラフを表示することを特徴とする。
そのような構成により、ユーザは、例えば、読み出された温度変化グラフを参考にして、レシピを変更することができる。
また、前記表示手段は、ユーザの操作に応じて、前記温度変化グラフの一部が表す温度の変化の態様に当該操作を反映して表示し、前記記憶手段は、前記反映が行われた前記温度変化グラフに対応する温度情報を新たに記憶し、前記制御手段は、前記記憶手段に新たに記憶された前記温度情報を読み出して、該読み出した前記温度情報に対応する湯温が前記複数の抽出工程それぞれにおける前記抽出容器内の湯温となるよう制御することを特徴とする。また、抽出装置は、前記抽出容器内の湯温を取得する温度取得手段、を備え、前記表示手段は、前記温度取得手段により取得された空気圧に基づいて前記温度変化グラフを表示することを特徴とする。
そのような構成により、ユーザは、例えば、計測され表示された温度変化グラフをフリック操作等により変更することができる。
また、前記表示手段は、前記液量変化グラフと前記圧力変化グラフと前記温度変化グラフを一画面として表示可能であることを特徴とする。そのような構成により、液量変化グラフと圧力変化グラフと温度変化グラフとを一画面として表示させることができる。
以下、これまでに説明したことも含めて付記する。
(付記1)
抽出対象から飲料液を抽出するための抽出容器と、
前記抽出容器に液体を供給する供給手段と、
前記供給手段による前記液体の供給を制御する制御手段と、
前記制御手段による制御に基づいて前記飲料液を抽出する際、前記抽出容器内の状態を表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする抽出装置。
(付記2)
前記抽出容器内の状態は、前記抽出容器内の液量であり、
前記表示手段は、前記飲料液を抽出する際、前記抽出容器内の液量の変化を液量変化グラフとして表示する、
ことを特徴とする付記1に記載の抽出装置。
(付記3)
前記供給手段は、前記飲料液を抽出する際、複数の抽出工程を順次実行可能なように構成され、
前記抽出装置は、
前記複数の抽出工程それぞれにおける前記抽出容器内の液量を液量情報として記憶する記憶手段、を備え、
前記表示手段は、前記記憶手段から読み出された前記液量情報に基づいて前記液量変化グラフを表示する、
ことを特徴とする付記2に記載の抽出装置。
(付記4)
前記表示手段は、ユーザの操作に応じて、前記液量変化グラフの一部が表す液量の変化の態様に当該操作を反映して表示し、
前記記憶手段は、前記反映が行われた前記液量変化グラフに対応する液量情報を新たに記憶し、
前記制御手段は、前記記憶手段に新たに記憶された前記液量情報を読み出して、該読み出した前記液量情報に対応する液量が前記複数の抽出工程それぞれにおける前記抽出容器内の液量となるよう制御する、
ことを特徴とする付記3に記載の抽出装置。
(付記5)
前記抽出容器内の液量を取得する液量取得手段、を備え、
前記表示手段は、前記液量取得手段により取得された液量に基づいて前記液量変化グラフを表示する、
ことを特徴とする付記3乃至4のいずれか一に記載の抽出装置。
(付記6)
前記供給手段は、前記抽出容器に空気圧を供給可能であり、
前記抽出容器内の状態は、前記抽出容器内の空気圧であり、
前記表示手段は、前記飲料液を抽出する際、前記抽出容器内の空気圧の変化を圧力変化グラフとして表示する、
ことを特徴とする付記3乃至5のいずれか一に記載の抽出装置。
(付記7)
前記記憶手段は、前記複数の抽出工程それぞれにおける前記抽出容器内の空気圧を圧力情報として記憶可能であり、
前記表示手段は、前記記憶手段から読み出された前記圧力情報に基づいて前記圧力変化グラフを表示する、
ことを特徴とする付記6に記載の抽出装置。
(付記8)
前記表示手段は、ユーザの操作に応じて、前記圧力変化グラフの一部が表す圧力の変化の態様に当該操作を反映して表示し、
前記記憶手段は、前記反映が行われた前記圧力変化グラフに対応する圧力情報を新たに記憶し、
前記制御手段は、前記記憶手段に新たに記憶された前記圧力情報を読み出して、該読み出した前記圧力情報に対応する空気圧が前記複数の抽出工程それぞれにおける前記抽出容器内の空気圧となるよう制御する、
ことを特徴とする付記7に記載の抽出装置。
(付記9)
前記抽出容器内の空気圧を取得する圧力取得手段、を備え、
前記表示手段は、前記圧力取得手段により取得された空気圧に基づいて前記圧力変化グラフを表示する、
ことを特徴とする付記6乃至8のいずれか一に記載の抽出装置。
(付記10)
前記表示手段は、前記液量変化グラフと前記圧力変化グラフを一画面として表示可能であることを特徴とする付記6乃至9のいずれか一に記載の抽出装置。
(付記11)
前記抽出容器内の状態は、前記抽出容器内の湯温であり、
前記表示手段は、前記飲料液を抽出する際、前記抽出容器内の湯温の変化を温度変化グラフとして表示する、
ことを特徴とする付記6乃至10のいずれか一に記載の抽出装置。
(付記12)
前記記憶手段は、前記複数の抽出工程それぞれにおける前記抽出容器内の湯温を温度情報として記憶可能であり、
前記表示手段は、前記記憶手段から読み出された前記温度情報に基づいて前記温度変化グラフを表示する、
ことを特徴とする付記11に記載の抽出装置。
(付記13)
前記表示手段は、ユーザの操作に応じて、前記温度変化グラフの一部が表す温度の変化の態様に当該操作を反映して表示し、
前記記憶手段は、前記反映が行われた前記温度変化グラフに対応する温度情報を新たに記憶し、
前記制御手段は、前記記憶手段に新たに記憶された前記温度情報を読み出して、該読み出した前記温度情報に対応する湯温が前記複数の抽出工程それぞれにおける前記抽出容器内の湯温となるよう制御する、
ことを特徴とする付記12に記載の抽出装置。
(付記14)
前記抽出容器内の湯温を取得する温度取得手段、を備え、
前記表示手段は、前記温度取得手段により取得された空気圧に基づいて前記温度変化グラフを表示する、
ことを特徴とする付記11乃至13のいずれか一に記載の抽出装置。
(付記15)
前記表示手段は、前記液量変化グラフと前記圧力変化グラフと前記温度変化グラフを一画面として表示可能であることを特徴とする付記11乃至14のいずれか一に記載の抽出装置。
(付記16)
抽出装置において実行される表示方法であって、
抽出対象から飲料液を抽出するための抽出容器に液体を供給する供給工程と、
前記供給工程における前記液体の供給を制御する制御工程と、
前記制御工程における制御に基づいて前記飲料液を抽出する際、前記抽出容器内の状態を表示する表示工程と、
を有することを特徴とする表示方法。
(付記17)
前記抽出容器内の状態は、前記抽出容器内の液量であり、
前記表示工程では、前記飲料液を抽出する際、前記抽出容器内の液量の変化を液量変化グラフとして表示する、
ことを特徴とする付記16に記載の表示方法。
(付記18)
前記供給工程では、前記飲料液を抽出する際、複数の抽出工程を順次実行可能であり、
前記表示方法は、
前記複数の抽出工程それぞれにおける前記抽出容器内の液量を液量情報として記憶する記憶工程、を有し、
前記表示工程では、前記記憶工程で記憶された前記液量情報に基づいて前記液量変化グラフを表示する、
ことを特徴とする付記17に記載の表示方法。
(付記19)
前記表示工程では、ユーザの操作に応じて、前記液量変化グラフの一部が表す液量の変化の態様に当該操作を反映して表示し、
前記記憶工程では、前記反映が行われた前記液量変化グラフに対応する液量情報を新たに記憶し、
前記制御工程では、前記記憶工程で新たに記憶された前記液量情報を読み出して、該読み出した前記液量情報に対応する液量が前記複数の抽出工程それぞれにおける前記抽出容器内の液量となるよう制御する、
ことを特徴とする付記18に記載の表示方法。
(付記20)
前記抽出容器内の液量を取得する液量取得工程、を有し、
前記表示工程では、前記液量取得工程において取得された液量に基づいて前記液量変化グラフを表示する、
ことを特徴とする付記18乃至19のいずれか一に記載の表示方法。
(付記21)
前記供給工程では、前記抽出容器に空気圧を供給可能であり、
前記抽出容器内の状態は、前記抽出容器内の空気圧であり、
前記表示工程では、前記飲料液を抽出する際、前記抽出容器内の空気圧の変化を圧力変化グラフとして表示する、
ことを特徴とする付記18乃至20のいずれか一に記載の表示方法。
(付記22)
前記記憶工程では、前記複数の抽出工程それぞれにおける前記抽出容器内の空気圧を圧力情報として記憶可能であり、
前記表示工程では、前記記憶工程で記憶された前記圧力情報に基づいて前記圧力変化グラフを表示する、
ことを特徴とする付記21に記載の表示方法。
(付記23)
前記表示工程では、ユーザの操作に応じて、前記圧力変化グラフの一部が表す圧力の変化の態様に当該操作を反映して表示し、
前記記憶工程では、前記反映が行われた前記圧力変化グラフに対応する圧力情報を新たに記憶し、
前記制御工程では、前記記憶工程で新たに記憶された前記圧力情報を読み出して、該読み出した前記圧力情報に対応する空気圧が前記複数の抽出工程それぞれにおける前記抽出容器内の空気圧となるよう制御する、
ことを特徴とする付記22に記載の表示方法。
(付記24)
前記抽出容器内の空気圧を取得する圧力取得工程、を有し、
前記表示工程では、前記圧力取得工程において取得された空気圧に基づいて前記圧力変化グラフを表示する、
ことを特徴とする付記21乃至23のいずれか一に記載の表示方法。
(付記25)
前記表示工程では、前記液量変化グラフと前記圧力変化グラフを一画面として表示可能であることを特徴とする付記21乃至24のいずれか一に記載の表示方法。
(付記26)
前記抽出容器内の状態は、前記抽出容器内の湯温であり、
前記表示工程では、前記飲料液を抽出する際、前記抽出容器内の湯温の変化を温度変化グラフとして表示する、
ことを特徴とする付記21乃至25のいずれか一に記載の表示方法。
(付記27)
前記記憶工程では、前記複数の抽出工程それぞれにおける前記抽出容器内の湯温を温度情報として記憶可能であり、
前記表示工程では、前記記憶工程で記憶された前記温度情報に基づいて前記温度変化グラフを表示する、
ことを特徴とする付記26に記載の表示方法。
(付記28)
前記表示工程では、ユーザの操作に応じて、前記温度変化グラフの一部が表す温度の変化の態様に当該操作を反映して表示し、
前記記憶工程では、前記反映が行われた前記温度変化グラフに対応する温度情報を新たに記憶し、
前記制御工程では、前記記憶工程で新たに記憶された前記温度情報を読み出して、該読み出した前記温度情報に対応する湯温が前記複数の抽出工程それぞれにおける前記抽出容器内の湯温となるよう制御する、
ことを特徴とする付記27に記載の表示方法。
(付記29)
前記抽出容器内の湯温を取得する温度取得工程、を有し、
前記表示工程では、前記温度取得工程において取得された空気圧に基づいて前記温度変化グラフを表示する、
ことを特徴とする付記26乃至28のいずれか一に記載の表示方法。
(付記30)
前記表示工程では、前記液量変化グラフと前記圧力変化グラフと前記温度変化グラフを一画面として表示可能であることを特徴とする付記26乃至29のいずれか一に記載の表示方法。
(付記31)
抽出対象から飲料液を抽出する抽出装置と、携帯端末とを含むシステムであって、
前記抽出装置は、
前記抽出対象から前記飲料液を抽出するための抽出容器と、
前記抽出容器に液体を供給する供給手段と、
前記供給手段による前記液体の供給を制御する制御手段と、
前記制御手段による制御に基づいて前記飲料液を抽出する際、前記抽出容器内の状態を表す情報を前記携帯端末に送信する送信手段と、を備え、
前記携帯端末は、
前記送信手段により送信された前記抽出容器内の状態を表す情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された情報に基づいて、前記抽出容器内の状態を表示する表示手段と、を備える、
ことを特徴とするシステム。
(付記32)
抽出対象から飲料液を抽出するための抽出容器と、
前記飲料液を抽出する際、複数の抽出工程を順次実行可能であり、前記抽出容器に液体を供給する供給手段と、
前記供給手段による前記液体の供給を制御する制御手段と、
前記複数の抽出工程それぞれにおける前記抽出容器内の液量を液量情報として記憶する記憶手段と、
前記制御手段による制御に基づいて前記飲料液を抽出する際、前記抽出容器内の液量の変化を液量変化グラフとして表示する表示手段と、を備え、
前記表示手段は、前記記憶手段から読み出された前記液量情報に基づいて前記液量変化グラフを表示し、
前記表示手段は、ユーザの操作に応じて、前記液量変化グラフの一部が表す液量の変化の態様に当該操作を反映して表示し、
前記記憶手段は、前記反映が行われた前記液量変化グラフに対応する液量情報を新たに記憶し、
前記制御手段は、前記記憶手段に新たに記憶された前記液量情報を読み出して、該読み出した前記液量情報に対応する液量が前記複数の抽出工程それぞれにおける前記抽出容器内の液量となるよう制御する、
を備えることを特徴とする抽出装置。
続いて、飲料製造装置1における情報表示装置12の表示部に表示されるパラメータ変化グラフについて再び説明する。図23~図26を用いて液量変化グラフや圧力変化グラフを説明したが、これらのグラフでも操作者のフリック操作によって、液量、圧力、時間といったパラメータ(設定値)の値の変更が可能であったが、ここで説明するグラフも同様に、フリック操作によって、各種パラメータの値の変更が可能である。
図34は、パラメータ変更モードにおいて液量変化グラフを表示画面に表示した情報表示装置12を示す図である。
図34に示す情報表示装置12では、不図示のメニュー画面から、パラメータ変更モードを指定し、さらに、レシピに設定されているいずれのパラメータの値について変更するかを選択するパラメータ選択画面において、変更を希望するパラメータを選択する。その上で、表示画面におけるパラメータの表示態様として、単に数値で表示させるか、グラフで表示できるものはグラフで表示させるかを指示する。グラフで表示できるものとは、時間の経過とパラメータの値との関係を表示することができるものである。例えば、複数の工程それぞれにおいてパラメータの値が設定されている場合には、工程ごとのパラメータの値に基づいたグラフが表示可能になる。
図34に示す液量変化グラフは、横軸が時間を表し、縦軸が抽出容器9内のお湯の量(単位はcc)を表す。なお、T1~T11は、これまで説明した期間T1~期間T11を表す。また、各期間は、互いに等しい長さで模式的に示されており、各期間の期間長は実際には異なる。
情報表示装置12の記憶部には、レシピが記憶されており、そのレシピの中には、図15に示す抽出処理S3’における工程ごとの、期間長と、抽出容器9へのお湯の供給量が設定されている(図19参照)。以下、各工程の供給量を液量情報と称する。情報表示装置12の処理部は、記憶部から液量情報を読み出す。また、処理部は、記憶部から期間T1から期間T10の途中までは抽出容器9内にお湯を貯留し続け、その後、抽出容器9内の液体を送出するといった工程情報も読み出す。処理部は、表示部に対して、液量情報と工程情報に基づいて、図34に示す液量変化グラフを表示させる。
図34に示す液量変化グラフには、抽出容器9に、期間T1に30ccのお湯が給湯され、期間T3に40ccのお湯が給湯され、期間T4でも30ccのお湯が給湯され、期間T8では5ccのお湯が給湯され、期間T10における80ccのお湯の給湯が完了すると、抽出容器9内の液体の送出を開始し、期間T11が経過する前に液体の送出が完了することが示されている。
この液量変化グラフの上には、表示画面上のグラフへのタッチ操作で給湯量が変更できることが表示されている。また、その右横には、戻るアイコンBIが表示されており、この戻るアイコンBIをタップすると、上述のパラメータ選択画面に戻る(以下においても同じ)。
なお、各期間の長さを実際の長さに応じて表示する場合には、処理部は、記憶部から、各期間の期間長を表す期間情報も読み出し、表示部に対して、期間情報にも基づき、液量変化グラフを表示させる。
図35は、図34に示す情報表示装置12においてユーザが表示画面上のグラフへタッチした場合の様子を示す図である。
ユーザUFは、期間T1の終了時点におけるグラフの箇所、すなわち、抽出容器9内のお湯の量が30ccに到達したことを示す箇所(液量の変化を表す態様の箇所)をタッチする。すると、グラフにおけるその箇所の変更可能範囲を示す変更可能範囲表示CRが表示される。図35に示す変更可能範囲表示CRでは、最小値が10cc、最大値(MAX)が50ccであることが表示され、10cc以上50cc以下の範囲で変更可能であることがわかる。
この変更可能範囲表示CRは、グラフの傾きが変わる箇所であったり、各期間が終了した箇所で表示される場合がある。すなわち、お湯の量が設定されている工程の終了タイミングの箇所で表示される。例えば、T3の期間の途中の箇所(お湯の量が50cc程度の箇所)をタッチしても変更可能範囲表示CRは表示されない。また、T10の期間が終了した箇所(お湯の量が100cc程度の箇所)をタッチしても変更可能範囲表示CRは表示されない。一方、T3の期間が終了した箇所(お湯の量が70ccの箇所)をタッチすると変更可能範囲表示CRが表示される。また、T5の期間が終了した箇所(お湯の量が100ccの箇所)をタッチしても変更可能範囲表示CRが表示される。なお、以上説明した箇所(以下、表示箇所と称する)以外の箇所でも表示されるようにしてもよい。この場合には、最も近い表示箇所で表示される変更可能範囲表示CRが表示されるようにしてもよい。
図36は、図35に示すユーザが、タッチした箇所を45ccの位置までフリック操作した場合の様子を示す図である。
タッチされていた箇所は、ユーザのフリック操作を反映して、お湯の量が45ccの位置まで移動し、ユーザが指を離しても、その位置に表示されたままになる。この結果、期間T1の終了時点で、抽出容器9内のお湯の量は45ccに設定され、期間T1におけるお湯の給湯量は、30ccから15cc増えた45ccに変更される。また、この変更に合わせて、期間T2移行でもグラフの表示について修正が行われる。図36に示す例では、この後の各工程における給湯量自体に変更はないが、抽出容器9内のお湯の量が15cc増加したことによって、全体的に15ccの嵩上げが行われる。この結果、図36に示すグラフが表す、抽出容器9内のお湯の量は、期間T3の終了時点では85ccになり、期間T4の終了時点では115ccになり、期間T8の終了時点では120ccになっており、期間T10の間に200ccに到達している。
図36に示す例では、ユーザが指を離した時点で変更が確定し、情報表示装置12の記憶部に記憶されているレシピの内容も、確定した変更に応じて修正される。すなわち、期間T1における給湯量のパラメータが45ccに上書きされる。なお、45ccという新たなパラメータは、上書きではなく追記とし、変更前の30ccの値をまだ残しておき、変更前のグラフを再表示可能にしておいてもよい。そして、戻るアイコンBIをタップすることによって、変更前の値を削除するようにしてもよいし、履歴として保存し続けるようにしてもよい。実際のコーヒーの抽出にあたっては、変更後の45ccのパラメータが用いられて抽出が実行される。
なお、期間T1におけるお湯の給湯量の増加分を、次に設定されている給湯量で相殺し、抽出容器9内のお湯の量の元に戻すようにしてもよい。例えば、フリック操作で移動して指を離した後、続けてダブルタップすることで、期間T3の給湯量を、設定値の40ccから15ccを差し引いた25ccに修正し、抽出容器9内のお湯の量を、期間T3の終了時点で、図34に示すグラフと同じ70ccに戻すようにしてもよい。
図37は、変更可能範囲表示CRを超えた位置までフリック操作が行われた場合の表示画面を示す図である。
図37に示すユーザUFは、タッチした箇所を70ccの位置辺りまでフリック操作してしまっている。タッチされていた箇所は、ユーザのフリック操作を反映して、お湯の量が70ccの位置辺りまで移動し、グラフがその位置まで延びているが、その後に続くグラフは表示されておらず、途切れてしまっている。一方、最大値である50ccの位置からは、その後に続くグラフが表示されている。また、最大値である50ccの位置につながった二点鎖線のグラフが表示されている。この例では、ユーザが指を離すと、70ccの位置辺りまで延びていたグラフは消え、最大値である50ccの位置につながった二点鎖線のグラフが実線で表示されるようになる。なお、50ccの位置につながったグラフは、ユーザが指を離すまで表示されず、ユーザが指を離すと初めて、実線で表示されるようにしてもよい。こうして表示されたグラフが表す、抽出容器9内のお湯の量は、期間T1の終了時点では50ccであり、期間T3の終了時点では90ccになり、期間T4の終了時点では120ccになり、期間T8の終了時点では125ccになっており、期間T10の間に205ccに到達している。
以上説明したように、ユーザUFがタッチした箇所が、変更可能範囲表示CRを超える位置まで移動された場合、図37に示す例では、変更可能範囲表示CRを超える位置まで移動された箇所を、変更可能範囲表示CRが表す変更可能範囲を超えない位置(ここでは最大値)まで戻して表示している。なお、ユーザUFがタッチした箇所が、最小値を超える位置まで移動された場合には、その箇所を最小値まで戻して表示する。
こうして自動的に最大値又は最小値に修正されたパラメータは、情報表示装置12の記憶部におけるレシピの修正として記憶される。また、実際のコーヒーの抽出にあたっても、自動的に修正されたパラメータが用いられて抽出が実行される。
なお、ユーザUFは、この自動的な修正が気に入らない場合は、再度、グラフにタッチして修正を行えばよい。
図38は、変更可能範囲表示CRを超えた位置までフリック操作が行われた場合の他の表示例を示す図である。
図37に示す例では、ユーザのフリック操作を一旦は受け付け、そのフリック操作を反映して、ユーザUFが指を離すまではグラフを変更可能範囲を超えた態様で一時的に表示させていたが、図38に示す例では、ユーザUFがタッチした箇所が変更可能範囲を超えた時点から、その箇所の表示は非表示なる。すなわち、変更可能範囲を超えた時点から、ユーザのフリック操作は受け付けられず、無効になり、その操作が反映されなくなって、代わりに、最大値である50ccの位置につながったグラフが表示される。また、最大値である50ccの位置からその後に続くグラフも表示されている。
図38に示す例では、タッチした箇所を変更可能範囲を超えて移動させようとしても、変更可能範囲を超えた態様では表示されず、パラメータは、自動的に最大値又は最小値に修正される。この例でも、自動的に最大値又は最小値に修正されたパラメータは、情報表示装置12の記憶部におけるレシピの修正として記憶される。また、実際のコーヒーの抽出にあたっても、自動的に修正されたパラメータが用いられて抽出が実行される。
なお、図37に示す例にしても、図38に示す例にしても、最終的には最大値又は最小値に自動的に修正しているが、変更可能範囲を超えた操作が行われた場合には、修正を行わず、元のパラメータの値のまま表示してもよい。また、自動的に修正する値は、最大値又は最小値に限らず、例えば、最大値と元のパラメータの値の中間の値であってもよいし、元のパラメータの値と最小値の中間の値であってもよい。
以上説明した例では、変更可能範囲を超えた操作が行われた場合、変更が認められない値を、変更が認められるかのように表示し続けることがなく、しかも、変更が可能な範囲内の値に戻して記憶されるので、利便性が向上している。
図39は、変更後のグラフとともに変更前のグラフも表示されている例を示す図である。
図39における変更は、図34を用いて説明した変更と同じであり、変更後のグラフは実線で表されている。また、変更前のグラフは一点鎖線で表されている。変更前のグラフも表示することで、変更後のグラフと比較することができ、好ましい。変更前のグラフは、ユーザが指を離した時点で消えてしまってもよいし、ユーザが指を離してから所定時間経過後に消えてしまってもよいし、戻るアイコンBIがタップされるまで表示し続けてもよい。
図40は、修正対象の液量変化グラフとともに他のレシピにおける液量変化グラフも表示されている例を示す図である。
図40に示す修正対象の液量変化グラフは、実線で表示されており、図34に示す液量変化グラフと同じである。
一方、他のレシピにおける液量変化グラフは一点鎖線で表示されている。ここにいう他のレシピとは、豆が同じレシピであってもよいし、豆の量が同じレシピであってもよいし、作成者が同じレシピであってもよいし、抽出湯量が同じレシピであってもよい。図40に示す例では、豆が同じレシピである。他のレシピは、不図示のレシピ選択画面で選択することができる。レシピ選択画面では、豆の名称や、豆の量、レシピ作成者名、抽出湯量等でレシピを検索することができることが好ましい。他のレシピにおける液量変化グラフも表示することで、修正の参考にすることができ、利便性が向上している。また、図40では、他のレシピにおける液量変化グラフは1種類しか表示されていないが、複数種類表示されてもよい。
なお、図34~図40を用いた説明では、抽出容器9へのお湯の供給量についての変更であったが、各工程の期間長、すなわち、お湯の供給時間を変更する場合にも、ここで説明した、パラメータ変化グラフを用いたパラメータの変更を適用することができる。さらに、抽出容器9へのお湯の供給量に限らず、抽出容器9へ供給する流体の圧力であってもよいし、図3に示す水タンク72内の水の温度であってもよいし、抽出容器9内の水の温度であってもよく、様々なパラメータの値の変更に適用することができる。
以上説明した、パラメータ変化グラフを用いたパラメータの変更について、方法的な特徴をまとめると、図41に示すようになる。
図41は、パラメータ変化グラフを用いたパラメータ変更方法を示すフローチャートである。
図41に示すパラメータ変更方法は、情報表示装置12の処理部によって実行される。まず、処理部は初期表示を実行する(ステップSP1)。初期表示では、例えば、図34に示す液量変化グラフを表示部に表示させる。ここで表示する液量変化グラフは、飲料を製造するための複数の工程(図19に示す期間T1~期間T11ごとに設けられた工程)ごとに用意されたパラメータの値(ここでは、抽出容器9へのお湯の供給量)に基づいた、抽出容器9内のお湯の量の変化を表すグラフである。
次いで、表示部に表示された液量変化グラフに対して、ユーザによるタッチ操作が行われた否かを判定する(ステップSP2)。ここにいうタッチ操作とは、変更可能範囲表示CRが表示可能な箇所、すなわちお湯の量が設定されている工程の終了タイミングの箇所にタッチする操作のことである。ステップSP2の判定は、このタッチ操作が行われるまで繰り返し実行される。なお、このフローチャートには記載されていないが、図34等に示す戻るアイコンBIがタップされると、このパラメータ変更方法は終了になり、上述のパラメータ選択画面に戻る。タッチ操作が行われると、タッチ操作が行われた箇所に変更可能範囲表示CRを表示する(ステップSP3)。
続いて、ユーザによるフリック操作が行われた否かを判定する(ステップSP4)。ステップSP4の判定は、フリック操作が行われるまで繰り返し実行される。なお、タッチ操作が行われてからフリック操作が行われるまでの間にユーザが指を表示画面から離した場合は、ステップSP2に戻る。フリック操作が行われると、それまでタッチしていた箇所がフリック操作の結果、変更可能範囲表示CRが表す変更可能範囲内に留まっているか否かを判定する(ステップSP5)。変更可能範囲内に留まっていれば、フリック操作を反映した態様で液量変化グラフを表示する(ステップSP6)。例えば、図34に示す液量変化グラフに対して図36に示す液量変化グラフを表示する。反対に、変更可能範囲内に留まっていなければ、フリック操作を反映させない態様で液量変化グラフを表示する(ステップSP7)。例えば、図34に示す液量変化グラフに対して図38に示す液量変化グラフを表示する。なお、図37に示すように、一時的には二点鎖線で示すグラフのように、フリック操作を反映した態様で表示されても、最終的には、フリック操作を反映させない態様で液量変化グラフを表示する。ここにいう最終的とは、ユーザが指を表示画面から離した後のことになる。
ユーザが指を表示画面から離すと、ステップSP8において、変更されたパラメータの値は、情報表示装置12の記憶部におけるレシピの修正として記憶され、このパラメータ変更方法は終了になる。
なお、図34~図41を用いた説明では、飲料製造装置1が備えた情報表示装置12についての説明であったが、飲料製造装置1とは別に、タッチパネル式のディスプレイを有する電子機器にも、パラメータ変化グラフを用いたパラメータの変更の技術を適用することができる。また、レシピを記憶したサーバ16と、そのサーバ16と通信可能な、タッチパネル式のディスプレイを有する通信端末とを組み合わせたシステムにも、この技術を適用することができる。
以上の記載では
『 飲料抽出の複数の工程[例えば、図19に示す期間T1~期間T11ごとに設けられた工程]のそれぞれにおいて抽出に用いられる液量を液量情報として記憶する記憶手段[例えば、情報表示装置12の記憶部あるいはサーバ16の記憶部]と、
前記記憶手段から読み出された前記液量情報に基づいて液量変化グラフ[例えば、図34に示す液量変化グラフ]を表示可能な表示手段と、
を備えた装置であって、
前記表示手段は、ユーザの操作に応じて、前記液量変化グラフの一部が表す液量の変化の態様[例えば、期間T1の終了時点におけるグラフの箇所の態様]に当該操作を反映して表示する[例えば、図36に示す例]ものであり、
前記記憶手段は、反映が行われた前記液量変化グラフに対応する液量情報を記憶する[例えば、指が表示画面から離されると記憶する]ものであり、
前記表示手段は、ユーザの操作を、前記液量変化グラフの一部が表す液量の変化の態様に反映せずに表示する場合がある[例えば、図38に示す例や図37に示す例]ものである、
ことを特徴とする装置。』
について説明した。
ここにいう「抽出に用いられる液量」とは、抽出容器に供給される液、抽出容器内の液量、抽出容器から送出される液量が含まれる。
前記表示手段は、タッチパネル方式のものであってもよい。
前記液量情報は、レシピに含まれたものであり、前記記憶手段は、前記レシピを記憶したものであってもよい。
前記記憶手段は、記憶している液量情報を、反映が行われた前記液量変化グラフに対応する液量情報に書き換えるものであってもよいし、記憶している液量情報とは別に、反映が行われた前記液量変化グラフに対応する液量情報を追加して記憶するものであってもよい。
また、
『 上に記載された「ユーザの操作を、前記液量変化グラフの一部が表す液量の変化の態様に反映せずに表示する」とは、「前記液量変化グラフのうちユーザの操作が行われた箇所が、予め定められている変更可能範囲を超えて操作された場合に、該箇所を該変更可能範囲を超えない位置まで戻して表示する」[例えば、図37に示す例]のことである、
ことを特徴とする装置。』
についても説明した。
例えば、前記変更可能範囲の最大値を超えて操作が行われた場合には、前記箇所を該最大値に戻して表示してもよい。あるいは、前記変更可能範囲の最小値を超えて操作が行われた場合には、前記箇所を該最小値に戻して表示してもよい。
また、
『 上に記載された「ユーザの操作を、前記液量変化グラフの一部が表す液量の変化の態様に反映せずに表示する」とは、「前記液量変化グラフに対してユーザが予め定められている変更可能範囲を超えて操作を行おうとしても、該変更可能範囲を超えた態様では表示しない」[例えば、図38に示す例]のことである、
ことを特徴とする装置。』
についても説明した。
なお、前記表示手段は、前記液量変化グラフのうち操作が行われた箇所が、前記変更可能範囲を超えて操作された場合には、該操作を無効にするものであってもよい。すなわち、前記液量変化グラフに対するユーザの操作が受け付けられない場合もある。
また、
『 前記表示手段は、前記液量変化グラフに前記変更可能範囲を表す表示[例えば、変更可能範囲表示CR]を加えた態様で該液量変化グラフを表示するものである、
ことを特徴とする装置。』
についても説明した。
また、
『 前記記憶手段から読み出された前記液量情報を参照して、前記複数の工程それぞれにおける抽出のための処理を実行する処理手段[例えば、図10に示す処理部11a]と、
供給された液体と抽出対象から飲料を抽出する抽出手段[例えば、図3に示す抽出容器9]と、
前記処理手段によって実行される処理によって動作して、前記複数の工程それぞれにおいて前記抽出手段に液体を供給する供給手段[例えば、図12に示す送液量調節装置]と、
を備えたことを特徴とする装置。』
についても説明した。
なお、前記処理手段は、反映が行われた前記液量変化グラフに対応する液量情報を参照して、前記複数の工程それぞれにおける抽出のための処理を実行するものであってもよい。
また、
『 前記表示手段は、前記液量変化グラフのうちユーザの操作が行われた箇所につき、該操作を反映した態様[例えば、図39において実線で示すグラフ]を表示している状態で、該操作が行われる前の態様[例えば、図39において一点鎖線で示すグラフ]も表示可能なものである、
ことを特徴とする装置。』
についても説明した。
また、
『 前記表示手段は、前記液量変化グラフ[例えば、図40において実線で示すグラフ]を表示している状態で、該液量変化グラフとは異なる一又は複数のグラフ[例えば、図40において一点鎖線で示すグラフ]も表示可能なものである、
ことを特徴とする装置。』
についても説明した。
なお、該液量変化グラフとは異なる一又は複数のグラフとは、液量変化グラフであってもよいし、前記液量とは異なるパラメータ(例えば、抽出手段に供給する流体の圧力)の変化グラフであってもよい。
また、
『 前記表示手段は、前記液量変化グラフのうちユーザの操作が行われた箇所[例えば、図36における期間T1の箇所]につき、該操作を反映した態様を表示することで、該箇所とは異なる箇所[例えば、図36における期間T2以降の箇所]についても該操作を反映した態様で表示する場合があるものである、
ことを特徴とする装置。』
についても説明した。
すなわち、前記箇所の液量の修正に連動して該箇所とは異なる箇所の液量についても修正される[例えば、抽出容器9に供給する液量は変わらないが抽出容器9内の液量は変わる]場合があってもよい。
また、以上の記載では
『 飲料を製造するための複数の工程ごとに用意されたパラメータの値に基づいたパラメータ変化グラフを初期表示する初期表示ステップ[例えば、図41に示すステップSP1,図34に示す例]と、
表示されている前記パラメータ変化グラフに対する前記パラメータの変更操作を反映し該パラメータ変化グラフを変更表示する第一の表示ステップ[例えば、図41に示すステップSP6,図36に示す例]と、
を有し、
表示されている前記パラメータ変化グラフに対する前記パラメータの変更操作を反映せずに該パラメータ変化グラフを表示する第二の表示ステップ[例えば、図41に示すステップSP7,図37や図38に示す例]が実行される場合があることを特徴とするパラメータ変更方法。』
についても説明した。
なお、前記第二の表示ステップでは、予め定められている変更可能範囲の最大値を超えて操作が行われた場合には該最大値に戻して該パラメータ変化グラフを表示してもよいし、該変更可能範囲の最小値を超えて操作が行われた場合には該最小値に戻して該パラメータ変化グラフを表示してもよい。
また、前記パラメータを変更する操作は、表示されている前記パラメータ変化グラフの一部の箇所を触って該箇所を移動させる操作であってもよい。すなわち、前記パラメータ変化グラフは、タッチパネル方式の表示手段に表示され、前記パラメータを変更する操作は、フリック操作であってもよい。
また、前記第二の表示ステップでは、予め定められている変更可能範囲を超えて操作が行われた場合には該変更可能範囲を超えて操作されている様子は表示するものの操作が終了すると操作開始前の態様で前記パラメータ変化グラフを再表示してもよい。あるいは、前記第二の表示ステップでは、予め定められている変更可能範囲を超えて操作が行われた場合には該変更可能範囲を超えて操作されている様子は非表示とし該変更可能範囲を超えた時点で操作開始前の態様で前記パラメータ変化グラフを再表示してもよい。
表示されている前記パラメータ変化グラフが表すパラメータを用いて前記工程を実行する工程実行ステップを有するパラメータ変更方法であってもよい。
以上の説明では、専らコーヒー飲料を対象としたが、日本茶、紅茶などの茶、スープなどの各種飲料も対象とすることができる。また、挽く前のコーヒー豆を抽出原料とし、挽いた後の粉状のもの(コーヒー豆の挽き豆)を抽出対象として両者を区別することもできるが、挽く前のコーヒー豆であってもコーヒー豆の挽き豆であっても広義には抽出対象といえる。本明細書では、広義の意味の抽出対象を単に抽出対象と称している。したがって、抽出対象として、コーヒー豆、コーヒーの生豆、コーヒー豆の挽き豆、焙煎コーヒー豆、焙煎コーヒー豆の挽き豆、焙煎されていないコーヒー豆、焙煎されていないコーヒー豆の挽き豆等、粉末のコーヒー豆、インスタントのコーヒー、ポッドに入ったコーヒー等を例示し、飲料として、コーヒー飲料等を例示し、飲料液としてコーヒー液を例示してきたが、これらだけに限定されない。また、抽出対象として、日本茶、紅茶、ウーロン茶などの茶葉、挽いた茶葉、野菜、粉砕された野菜、果物、粉砕した果物、穀物、粉砕した穀物、椎茸等のきのこ類、椎茸等のきのこ類を粉砕した物、椎茸等のきのこ類を加熱後に乾燥させた物、椎茸等のきのこ類を加熱後に乾燥させた物を粉砕した物、鰹等の魚類、鰹等の魚類を粉砕した物、鰹等の魚を加熱後に乾燥させた物、鰹等の魚を加熱後に乾燥させた物を粉砕した物、こんぶ等の海藻類、こんぶ等の海藻類を粉砕した物、こんぶ等の海藻類を加熱後に乾燥させた物、こんぶ等の海藻類を加熱後に乾燥させた物を粉砕した物、牛、豚、鳥、等の肉を加熱後に乾燥させた物、当該肉等を加熱後に乾燥させた物を粉砕した物、牛の骨、豚の骨、鳥の骨、等の肉を加熱後に乾燥させた物、当該骨等を加熱後に乾燥させた物を粉砕した物等の抽出材料であればよく、飲料として、日本茶、紅茶、ウーロン茶、野菜ジュース、果物ジュース、汁物、出汁、スープ等、飲料であればよく、飲料液として、日本茶のエキス、紅茶のエキス、ウーロン茶のエキス、野菜のエキス、果物のエキス、きのこのエキス、魚等のエキス、肉のエキス、骨のエキス等のエキス類であればよい。なお、実施例中で水、水道水、浄水、お湯、洗浄水と記載しているところがあるが、例えば水をお湯と置き換えたり、お湯を水と置き換えてもよい等いずれかの記載を別の記載に置き換えてもよく、全て液体、水蒸気、高温水、冷却水、冷水等と置き換えてもよい。例えば抽出対象(例えば、焙煎コーヒー豆の挽き豆)とお湯を抽出容器9に入れるといった記載であれば、抽出対象(例えば、焙煎コーヒー豆の挽き豆)と冷水(単に水でもよい)を抽出容器9に入れるといった記載に置き換えてもよく、この場合であれば水出しコーヒー等の抽出方法や飲料製造装置としてとらえてもよい。
本発明は、以上に示された幾つかの態様および例に限られるものではなく、これらの内容は本発明の趣旨を逸脱しない範囲で相互に組み合わせ可能であり、また、目的等に応じて部分的に変更されてもよい。また、本明細書に記載された個々の用語は、本発明を説明する目的で用いられたものに過ぎず、本発明は、その用語の厳密な意味に限定されるものでないことは言うまでもなく、その均等物をも含みうる。例えば、「装置」、「部」等の表現は「ユニット」、「モジュール」等と言い換え可能な場合がある。