図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
<1.飲料製造装置の概要>
図1は飲料製造装置1の外観図である。本実施形態の飲料製造装置1は、焙煎コーヒー豆と液体(ここでは水)からコーヒー飲料を自動製造する装置であり、一回の製造動作につき、カップ一杯分のコーヒー飲料を製造可能である。原料となる焙煎コーヒー豆は、キャニスタ40に収容可能である。飲料製造装置1の下部にはカップの載置部110が設けられており、製造されたコーヒー飲料は注ぎ部10cからカップへ注がれる。
飲料製造装置1は、その外装を形成して内部機構を囲包するハウジング100を備える。ハウジング100は、本体部101と、飲料製造装置1の正面の一部及び側面の一部を覆うカバー部102とに大別される。カバー部102には情報表示装置12が設けられている。情報表示装置12は本実施形態の場合、タッチパネル式のディスプレイであり、各種の情報の表示の他、装置の管理者や飲料の需要者の入力を受け付けることが可能である。情報表示装置12は、移動機構12aを介してカバー部102に取付けられており、移動機構12aによって上下方向に一定の範囲で移動可能である。
カバー部102には、また、豆投入口103と、豆投入口103を開閉する開閉扉103aが設けられている。開閉扉103aを開放して豆投入口103へ、キャニスタ40に収容されている焙煎コーヒー豆とは別の焙煎コーヒー豆を、投入することが可能となっている。これにより飲料の需要者に特別な一杯を提供することが可能である。
カバー部102は、本実施形態の場合、アクリルやガラスなどの透光性を有する材料で形成されており、その全体が透過部とされた透明カバーを構成している。このため、カバー部102に覆われたその内側の機構が外部から視認可能となっている。本実施形態の場合、コーヒー飲料を製造する製造部の一部がカバー部102を透して視認可能となっている。本体部101は本実施形態の場合その全体が非透過部とされており、その内部を外部から視認困難である。
図2は、飲料製造装置1の部分正面図であって、飲料製造装置1の正面視でユーザが視認可能な製造部の一部を示す図である。カバー部102や情報表示装置12は想像線で図示されている。
飲料製造装置1の正面部におけるハウジング100は、本体部101と、その外側(前方側)のカバー部102との二重構造となっている。前後方向で本体部101とカバー部102との間に製造部の一部の機構が配置されており、ユーザがカバー部102を介して視認可能である。
カバー部102を介してユーザが視認可能な製造部の一部の機構は、本実施形態の場合、後述する集合搬送部42、グラインダ5A、5B、分離装置6、抽出容器9等である。本体部101の正面部には、奥側に窪んだ矩形状の凹部101aが形成されており、抽出容器9等はこの凹部101a内の奥側に位置している。
カバー部102を介して外部からこれらの機構が視認可能であることにより、管理者にとっては点検や動作確認が容易になる場合がある。また、飲料の需要者にとってはコーヒー飲料の製造過程を楽しむことができる場合がある。
なお、カバー部102は、その右端部においてヒンジ102aを介して本体部101に横開き式に開閉自在に支持されている。カバー部102の左端部には、本体部101とカバー部102とを閉状態に維持する係合部102bが設けられている。係合部102bは例えば磁石と鉄の組合せである。管理者はカバー部102を開放することで、その内側の上述した製造部の一部の点検等を行うことができる。
なお、本実施形態の場合、カバー部102を横開き式としたが縦開き式(上下開き式)としてもよいし、スライド式としてもよい。また、カバー部102が開閉不能な構成であってもよい。
図3は飲料製造装置1の機能の概要図である。飲料製造装置1は、コーヒー飲料の製造部として、豆処理装置2及び抽出装置3を含む。
豆処理装置2は、焙煎コーヒー豆から挽き豆を生成する。抽出装置3は豆処理装置2から供給される挽き豆からコーヒー液を抽出する。抽出装置3は、流体供給ユニット7、後述する駆動ユニット8(図5参照)、抽出容器9及び切替ユニット10を含む。豆処理装置2から供給される挽き豆は、抽出容器9に投入される。流体供給ユニット7は、抽出容器9にお湯を投入する。抽出容器9内で挽き豆からコーヒー液が抽出される。抽出されたコーヒー液を含むお湯が切替ユニット10を介してコーヒー飲料としてカップCに送出される。
<2.流体供給ユニット及び切替ユニット>
流体供給ユニット7及び切替ユニット10の構成について図3を参照して説明する。まず、流体供給ユニット7について説明する。流体供給ユニット7は、抽出容器9へのお湯の供給や、抽出容器9内の気圧の制御等を行う。なお、本明細書において、気圧を数字で例示している場合、特に断わらない限り絶対圧を意味し、ゲージ圧とは大気圧を0気圧とする気圧である。大気圧とは、抽出容器9の周囲の気圧、又は、飲料製造装置1の気圧を指し、例えば、飲料製造装置1が海抜0mの地点に設置されている場合は、国際民間航空機関(=「International Civil Aviation Organization」〔[略]ICAO〕)が1976年に制定した国際標準大気(=「International Standard Atmosphere」〔[略]ISA〕)の海抜0mでの基準気圧(1013.25hPa)である。
流体供給ユニット7は配管L1~L3を含む。配管L1は空気が流通する配管であり、配管L2は水が流通する配管である。配管L3は空気と水の双方が流通可能な配管である。
流体供給ユニット7は、加圧源としてコンプレッサ70を含む。コンプレッサ70は大気を圧縮して送出する。コンプレッサ70は例えばモータ(不図示)を駆動源として駆動される。コンプレッサ70から送出される圧縮空気は、逆止弁71aを介してリザーブタンク(アキュームレータ)71に供給される。リザーブタンク71内の気圧は圧力センサ71bにより監視され、所定の気圧(本実施形態では7気圧(ゲージ圧で6気圧))に維持されるよう、コンプレッサ70が駆動される。リザーブタンク71には排水用のドレイン71cが設けられており、空気の圧縮により生じる水を排水可能となっている。
水タンク72にはコーヒー飲料を構成するお湯(水)が蓄積される。水タンク72には、水タンク72内の水を加温するヒーター72a及び水の温度を計測する温度センサ72bが設けられている。ヒーター72aは温度センサ72bの検出結果に基づいて、蓄積されるお湯の温度を所定の温度(本実施形態では摂氏120度)に維持する。ヒーター72aは例えばお湯の温度が摂氏118度でONとされ、摂氏120度でOFFとされる。
水タンク72には、また、水位センサ72cが設けられている。水位センサ72cは水タンク72内のお湯の水位を検出する。水位センサ72cにより所定の水位よりも水位が下がったことが検出されると、水タンク72に水が供給される。本実施形態の場合、不図示の浄水器を介して水道水が供給される。浄水器からの配管L2の途中には電磁弁72dが設けられており、水位センサ72cにより水位の低下が検出されると電磁弁72dが開放されて水が供給され、所定の水位に到達すると電磁弁72dが閉鎖されて水の供給が遮断される。こうして水タンク72内のお湯が一定の水位に維持される。なお、水タンク72への給水は一回のコーヒー飲料の製造に使用するお湯を排出する度に行ってもよい。
水タンク72には、また、圧力センサ72gが設けられている。圧力センサ72gは水タンク72内の気圧を検出する。水タンク72には調圧弁72e及び電磁弁72fを介してリザーブタンク71内の気圧が供給される。調圧弁72eはリザーブタンク71から供給される気圧を所定の気圧に減圧する。本実施形態の場合、3気圧(ゲージ圧で2気圧)に減圧する。電磁弁72fは調圧弁72eで調圧された気圧の、水タンク72への供給と遮断とを切り替える。電磁弁72fは、水タンク72への水道水の供給時を除き、水タンク72内の気圧が3気圧に維持されるように開閉制御される。水タンク72への水道水の供給時には、水道水の水圧によって水タンク72に円滑に水道水が補給されるように、電磁弁72hにより水タンク72内の気圧を水道水の水圧よりも低い圧力(例えば2.5気圧未満)に減圧する。電磁弁72hは水タンク72内を大気に解放するか否かを切り替え、減圧時には水タンク72内を大気に解放する。また、電磁弁72hは水タンク72への水道水の供給時以外に、水タンク72内の気圧が3気圧を超える場合に水タンク72内を大気に解放し、水タンク72内を3気圧に維持する。
水タンク72内のお湯は、逆止弁72j、電磁弁72i及び配管L3を介して抽出容器9へ供給される。電磁弁72iを開放することで抽出容器9へお湯が供給され、閉鎖することでお湯の供給が遮断される。抽出容器9へのお湯の供給量は、電磁弁72iの開放時間で管理することができる。しかし、供給量を計測して電磁弁72iの開閉を制御してもよい。配管L3にはお湯の温度を計測する温度センサ73eが設けられており、抽出容器9へ供給される湯温が監視される。
リザーブタンク71の気圧は、また、調圧弁73a、電磁弁73bを介して抽出容器9へ供給される。調圧弁73aはリザーブタンク71から供給される気圧を所定の気圧に減圧する。本実施形態の場合、5気圧(ゲージ圧で4気圧)に減圧する。電磁弁73bは調圧弁73aで調圧された気圧の、抽出容器9への供給と遮断とを切り替える。抽出容器9内の気圧は圧力センサ73dで検出される。抽出容器9内の加圧時、圧力センサ73dの検出結果に基づいて電磁弁73bが開放され、抽出容器9内を所定の気圧(本実施形態の場合、最大で5気圧(ゲージ圧で4気圧))に加圧する。抽出容器9内の気圧は電磁弁73cで減圧可能である。電磁弁73cは抽出容器9内を大気に解放するか否かを切り替え、圧力異常時(例えば抽出容器9内が5気圧を超える場合)には抽出容器9内を大気に解放する。
一回のコーヒー飲料の製造が終わると、本実施形態の場合、抽出容器9内を水道水で洗浄する。電磁弁73fは洗浄時に開放され、抽出容器9に水道水を供給する。
次に切替ユニット10について説明する。切替ユニット10は抽出容器9から送出される液体の送出先を注ぎ部10cと廃棄タンクTとのいずれかに切り替えるユニットである。切替ユニット10は、切替弁10aと切替弁10aを駆動するモータ10bを含む。切替弁10aは、抽出容器9内のコーヒー飲料を送出する場合は注ぎ部10cへ流路を切り替える。コーヒー飲料は注ぎ部10cからカップCへ注がれる。洗浄時の廃液(水道水)及び残渣(挽き豆)を排出する場合は廃棄タンクTへ流路を切り替える。切替弁10aは本実施形態の場合3ポートのボール弁である。洗浄時には切替弁10aを残渣が通過することから、切替弁10aはボール弁が好適であり、モータ10bはその回転軸を回転することで、流路を切り替える。
<3.豆処理装置>
図1、図2を参照して豆処理装置2について説明する。豆処理装置2は、貯留装置4及び粉砕装置5を含む。
<3-1.貯留装置>
貯留装置4は、焙煎後のコーヒー豆が収容される複数のキャニスタ40を含む。本実施形態の場合、キャニスタ40は三つ設けられている。キャニスタ40は、焙煎コーヒー豆を収容する筒状の本体40aと、本体40aに設けられた取手40bとを含み、飲料製造装置1に対して着脱自在に構成されている。
各キャニスタ40は、互いに異なる種類の焙煎コーヒー豆を収容し、情報表示装置12に対する操作入力によって、コーヒー飲料の製造に用いる焙煎コーヒー豆の種類を選択できるようにしてもよい。種類が異なる焙煎コーヒー豆とは例えばコーヒー豆の品種が異なる焙煎コーヒー豆である。また、種類が異なる焙煎コーヒー豆とは、同じ品種のコーヒー豆であるが、焙煎度が異なる焙煎コーヒー豆であってもよい。また、種類が異なる焙煎コーヒー豆とは、品種も焙煎度も異なる焙煎コーヒー豆でもよい。また、三つのキャニスタ40の少なくともいずれか一つには、複数種類の品種の焙煎コーヒー豆が混合された焙煎コーヒー豆が収容されてもよい。この場合、各品種の焙煎コーヒー豆は、焙煎度が同程度であってもよい。
なお、本実施形態では複数のキャニスタ40を設けたが、一つのキャニスタ40のみが設けられる構成であってもよい。また、複数のキャニスタ40を設けた場合に、同じ種類の焙煎コーヒー豆が全部又は複数のキャニスタ40に収容されてもよい。
各キャニスタ40は、計量搬送装置であるコンベア41に着脱自在に装着される。コンベア41は、例えば、電動スクリューコンベアであり、キャニスタ40に収容された所定の量の焙煎コーヒー豆を自動計量して下流側に送出する。
各コンベア41は下流側の集合搬送部42に焙煎コーヒー豆を排出する。集合搬送部42は中空の部材で構成されており、各コンベア41から粉砕装置5(特にグラインダ5A)への焙煎コーヒー豆の搬送通路を形成する。各コンベア41から排出された焙煎コーヒー豆は集合搬送部42の内部を自重によって移動し、粉砕装置5へ流れ落ちる。
集合搬送部42には、豆投入口103に対応する位置に案内部42aが形成されている。案内部42aは豆投入口103から投入された焙煎コーヒー豆を粉砕装置5(特にグラインダ5A)へ案内する通路を形成する。これにより、キャニスタ40に収容された焙煎コーヒー豆以外に、豆投入口103から投入される焙煎コーヒー豆を原料としたコーヒー飲料も製造できる。
<3-2.粉砕装置>
図2及び図4を参照して粉砕装置5を説明する。図4は分離装置6の一部破断斜視図である。粉砕装置5は、グラインダ5A及び5B、及び、分離装置6を含む。グラインダ5A及び5Bは貯留装置4から供給される焙煎コーヒー豆を挽く機構である。貯留装置4から供給される焙煎コーヒー豆は、グラインダ5Aで挽かれた後、グラインダ5Bで更に挽かれて粉状にされ、排出管5Cから抽出容器9へ投入される。
グラインダ5A及び5Bは、豆を挽く粒度が異なっている。グラインダ5Aは粗挽き用のグラインダであり、グラインダ5Bは細挽き用のグラインダである。グラインダ5A、5Bはそれぞれ電動グラインダであり、駆動源であるモータと、モータにより駆動される回転刃等を含む。回転刃の回転数を変化させることで粉砕される焙煎コーヒー豆の大きさ(粒度)を変化可能である。
分離装置6は挽き豆から不要物を分離する機構である。分離装置6はグラインダ5Aとグラインダ5Bとの間に配置された通路部63aを含む。通路部63aはグラインダ5Aから自由落下してくる挽き豆が通過する分離室を形成する中空体である。通路部63aには、挽き豆の通過方向(本実施形態の場合、上下方向。)と交差する方向(本実施形態の場合、左右方向。)に延びる通路部63bが接続されており、この通路部63bには吸引ユニット60が接続されている。吸引ユニット60が通路部63a内の空気を吸引することで、チャフや微粉といった軽量な物体が吸引される。これにより、挽き豆から不要物を分離できる。
吸引ユニット60は遠心分離方式の機構である。吸引ユニット60は、送風ユニット60A及び回収容器60Bを含む。送風ユニット60Aは本実施形態の場合、ファンモータであり、回収容器60B内の空気を上方へ排気する。
回収容器60Bは、分離可能に係合する上部61と下部62とを含む。下部62は上方が開放した有底の筒型をなしており、不要物を蓄積する空間を形成する。上部61は下部62の開口に装着される蓋部を構成する。上部61は、円筒形状の外周壁61aと、これと同軸上に形成された排気筒61bとを含む。送風ユニット60Aは排気筒61b内の空気を吸引するように排気筒61bの上方において上部61に固定されている。上部61には通路部63bが接続されている。通路部63bは排気筒61bの側方に開口している。
送風ユニット60Aの駆動により、図4において矢印d1~d3で示す気流が発生する。この気流により、通路部63aから不要物を含んだ空気が通路部63bを通って回収容器60B内に吸引される。通路部63bは排気筒61bの側方に開口しているため、不要物を含んだ空気は排気筒61bの周囲を旋回する。空気中の不要物Dは、その重量によって落下し、回収容器60Bの一部に集められる(下部62の底面上に堆積する)。空気は排気筒61bの内部を通って上方に排気される。
排気筒61bの周面には複数のフィン61dが一体に形成されている。複数のフィン61dは排気筒61bの周方向に配列されている。個々のフィン61dは、排気筒61bの軸方向に対して斜めに傾斜している。このようなフィン61dを設けたことで、不要物Dを含んだ空気の排気筒61bの周囲の旋回を促進する。
本実施形態の場合、下部62はアクリル、ガラスなどの透光性を有する材料で形成されており、その全体が透過部とされた透明容器を構成している。また、下部62はカバー部102で覆われた部分である(図2)。管理者や飲料の需要者は、カバー部102、下部62の周壁を透して、下部62内に蓄積された不要物Dを視認可能である。管理者にとっては、下部62の清掃タイミングを確認し易い場合があり、飲料の需要者にとっては不要物Dが除去されていることが視認できることで、製造中のコーヒー飲料の品質に対する期待感が高まる場合がある。
このように本実施形態では、貯留装置4から供給される焙煎コーヒー豆は、まず、グラインダ5Aで粗挽きされ、その粗挽き豆が通路部63aを通過する際に、分離装置6によって不要物が分離される。不要物が分離された粗挽き豆は、グラインダ5Bにより細挽きされる。分離装置6で分離する不要物は、代表的にはチャフや微粉である。これらはコーヒー飲料の味を低下させる場合があり、挽き豆からチャフ等を除去することで、コーヒー飲料の品質を向上できる。
焙煎コーヒー豆の粉砕は、一つのグラインダ(一段階の粉砕)であってもよい。しかし、本実施形態のように、二つのグラインダ5A、5Bによる二段階の粉砕とすることで、挽き豆の粒度が揃い易くなり、コーヒー液の抽出度合を一定にすることができる。豆の粉砕の際にはカッターと豆との摩擦により、熱が発生する場合がある。二段階の粉砕とすることで、粉砕時の摩擦による発熱を抑制し、挽き豆の劣化(例えば風味が落ちる)を防止することもできる。
また、粗挽き→不要物の分離→細挽きという段階を経ることで、チャフなどの不要物を分離する際、不要物と挽き豆(必要部分)との質量差を大きくできる。これは不要物の分離効率を上げることができるとともに、挽き豆(必要部分)が不要物として分離されてしまうことを防止することができる。また、粗挽きと細挽きとの間に、空気の吸引を利用した不要物の分離処理が介在することで、空冷によって挽き豆の発熱を抑えることができる。
<4.駆動ユニット及び抽出容器>
<4-1.概要>
抽出装置3の駆動ユニット8及び抽出容器9について図5を参照して説明する。図5は駆動ユニット8及び抽出容器9の斜視図である。駆動ユニット8の大部分は本体部101に囲包されている。
駆動ユニット8はフレームFに支持されている。フレームFは、上下の梁部F1、F2及び梁部F1、F2を支持する柱部F3を含む。駆動ユニット8は、上部ユニット8A、中部ユニット8B及び下部ユニット8Cの三つのユニットに大別される。上部ユニット8Aは梁部F1に支持されている。中部ユニット8Bは梁部F1と梁部F2との間において、梁部F1及び柱部F3に支持されている。下部ユニット8Cは梁部F2に支持されている。
抽出容器9は、容器本体90及び蓋ユニット91を含むチャンバである。抽出容器9のことをチャンバと呼ぶ場合がある。中部ユニット8Bは、容器本体90を着脱自在に保持するアーム部材820を備える。アーム部材820は、保持部材820aと、左右に離間した一対の軸部材820bとを含む。保持部材820aは、Cの字型のクリップ状に形成された樹脂等の弾性部材であり、その弾性力により容器本体90を保持する。保持部材820aは容器本体90の左右の側部を保持し、容器本体90の前方側は露出させている。これにより容器本体90の内部を、正面視で視認し易くなる。
保持部材820aに対する容器本体90の着脱は手動操作で行い、保持部材820aに容器本体90を前後方向後方へ押し付けることで容器本体90が保持部材820aに装着される。また、容器本体90を保持部材820aから前後方向前側へ引き抜くことで、容器本体90を保持部材820aから分離可能である。
一対の軸部材820bは、それぞれ、前後方向に延設されたロッドであり、保持部材820aを支持する部材である。なお、本実施形態では軸部材820bの数を二本としたが、一本でもよいし、三本以上であってもよい。保持部材820aは、一対の軸部材820bの前側の端部に固定されている。後述する機構により、一対の軸部材820bは前後方向に進退され、これにより保持部材820aが前後に進退し、容器本体90を前後方向に平行移動する移動動作を行うことができる。中部ユニット8Bは、また、後述するように、抽出容器9の上下を反転させる回動動作を行うことも可能である。
<4-2.抽出容器>
図6を参照して抽出容器9について説明する。図6は抽出容器9の閉状態及び開状態を示す図である。上記のとおり、抽出容器9は中部ユニット8Bにより上下が反転される。図6の抽出容器9は、蓋ユニット91が上側に位置している基本姿勢を示している。以下の説明において上下の位置関係を述べる場合、特に断らない限りは基本姿勢における上下の位置関係を意味するものとする。
容器本体90は有底の容器であり、ネック部90b、肩部90d、胴部90e及び底部90fを有するボトル形状を有している。ネック部90bの端部(容器本体90の上端部)には、容器本体90の内部空間と連通する開口90aを画定するフランジ部90cが形成されている。
ネック部90b及び胴部90eは、いずれも円筒形状を有している。肩部90dは、ネック部90bと胴部90eとの間の部分であり、その内部空間の断面積が胴部90e側からネック部90b側へ向かって徐々に小さくなるようにテーパ形状を有している。
蓋ユニット91は開口90aを開閉するユニットである。蓋ユニット91の開閉動作(昇降動作)は上部ユニット8Aにより行われる。
容器本体90は、本体部材900及び底部材901を含む。本体部材900は、ネック部90b、肩部90d、胴部90eを形成する上下が開放した筒部材である。底部材901は底部90fを形成する部材であり、本体部材900の下部に挿入されて固定される。本体部材900と底部材901との間にはシール部材902が介在し、容器本体90内の気密性を向上する。
本実施形態の場合、本体部材900はアクリル、ガラスなどの透光性を有する材料で形成されており、その全体が透過部とされた透明容器を構成している。管理者や飲料の需要者は、カバー部102、容器本体90の本体部材900を透して、容器本体90内でのコーヒー飲料の抽出状況を視認可能である。管理者にとっては、抽出動作を確認し易い場合があり、飲料の需要者にとっては抽出状況を楽しめる場合がある。
底部材901の中心部には凸部901cが設けられ、この凸部901cには、容器本体90内を外部に連通させる連通穴や、この連通穴を開閉する弁(図8の弁903)が設けられている。連通穴は、容器本体90内を洗浄する際の廃液及び残渣の排出に用いられる。凸部901cにはシール部材908が設けられており、シール部材908は、上部ユニット8Aまたは下部ユニット8Cと底部材901との間を気密に維持するための部材である。
蓋ユニット91は、帽子状のベース部材911を備える。ベース部材911は、凸部911d、及び、閉時にフランジ部90cと重なる鍔部911cを有する。凸部911dには、容器本体90における凸部901cと同じ構造とされており、容器本体90内を外部に連通させる連通穴や、この連通穴を開閉する弁(図8の弁913)が設けられている。凸部911dの連通穴は、主に、容器本体90内へのお湯の注入とコーヒー飲料の送出に用いられる。凸部911dにはシール部材918aが設けられている。シール部材918aは、上部ユニット8Aまたは下部ユニット8Cとベース部材911との間を気密に維持するための部材である。蓋ユニット91には、また、シール部材919が設けられている。シール部材919は、蓋ユニット91の閉時に蓋ユニット91と容器本体90との気密性を向上する。蓋ユニット91には濾過用のフィルタが保持される。
<4-3.上部ユニット及び下部ユニット>
上部ユニット8A及び下部ユニット8Cについて図7、図8を参照して説明する。図7は上部ユニット8A及び下部ユニット8Cの一部の構成を示す正面図であり、図8は図7の縦断面図である。
上部ユニット8Aは、操作ユニット81Aを含む。操作ユニット81Aは容器本体90に対する蓋ユニット91の開閉操作(昇降)及び凸部901c及び911dの弁の開閉操作を行う。操作ユニット81Aは、支持部材800、保持部材801、昇降軸802及びプローブ803を含む。
支持部材800はフレームFに対する相対位置が変化しないように固定して設けられており、保持部材801を収容する。支持部材800は、また、配管L3と支持部材800内を連通させる連通部800aを備える。配管L3から供給されるお湯、水道水および気圧が連通部800aを介して支持部材800内に導入される。
保持部材801は、蓋ユニット91を着脱自在に保持可能な部材である。保持部材801は蓋ユニット91の凸部911d又は底部材901の凸部901cが挿入される円筒状の空間を有すると共に、これらを着脱自在に保持する機構を備える。この機構は、例えば、スナップリング機構であり、一定の押圧力により係合し、一定の分離力により係合が解除される。配管L3から供給されるお湯、水道水および気圧は、連通部800a及び保持部材801の連通穴801aを介して抽出容器9内へ供給可能である。
保持部材801は支持部材800内を上下方向にスライド自在に設けられた可動部材でもある。昇降軸802はその軸方向が上下方向となるように設けられている。昇降軸802は支持部材800の天部を上下方向に気密に貫通し、支持部材800に対して上下に昇降自在に設けられている。
昇降軸802の下端部には保持部材801の天部が固定されている。昇降軸802の昇降によって保持部材801が上下方向にスライドし、凸部911dや凸部901cへの保持部材801の装着と分離を行うことができる。また、容器本体90に対する蓋ユニット91の開閉を行うことができる。
昇降軸802の外周面にはリードスクリュー機構を構成するねじ802aが形成されている。このねじ802aにはナット804bが螺着されている。上部ユニット8Aは、モータ804aを備えており、ナット804bはモータ804aの駆動力によって、その場で(上下に移動せずに)回転される。ナット804bの回転によって昇降軸802が昇降する。
昇降軸802は、中心軸に貫通穴を有する管状の軸であり、この貫通穴にプローブ803が上下にスライド自在に挿入されている。プローブ803は保持部材801の天部を上下方向に気密に貫通し、支持部材800及び保持部材801に対して上下に昇降自在に設けられている。
プローブ803は、凸部911d、901cの内部に設けた弁913、903を開閉する操作子であり、プローブ803の降下により弁913、903を閉状態から開状態とし、プローブ803の上昇により弁を開状態から閉状態(不図示のリターンばねの作用による)とすることができる。
プローブ803の外周面にはリードスクリュー機構を構成するねじ803aが形成されている。このねじ803aにはナット805bが螺着されている。上部ユニット8Aは、モータ805aを備えており、ナット805bはモータ805aの駆動力によって、その場で(上下に移動せずに)回転するように設けられている。ナット805bの回転によってプローブ803が昇降する。
下部ユニット8Cは、操作ユニット81Cを含む。操作ユニット81Cは、操作ユニット81Aを上下に反転した構成であり、凸部911d、901cの内部に設けた弁913、903の開閉操作を行う。操作ユニット81Cも蓋ユニット91の開閉が可能な構成であるが、本実施形態では操作ユニット81Cを蓋ユニット91の開閉には用いない。
以下、操作ユニット81Aの説明と略同じであるが、操作ユニット81Cについて説明する。操作ユニット81Cは、支持部材810、保持部材811、昇降軸812及びプローブ813を含む。
支持部材810はフレームFに対する相対位置が変化しないように固定して設けられており、保持部材811を収容する。支持部材810は、また、切替ユニット10の切替弁10aと支持部材810内を連通させる連通部810aを備える。容器本体90内のコーヒー飲料、水道水、挽き豆の残渣が連通部810aを介して切替弁10aに導入される。
保持部材811は、蓋ユニット91の凸部911d又は底部材901の凸部901cが挿入される円筒状の空間を有すると共に、これらを着脱自在に保持する機構を備える。この機構は、例えば、スナップリング機構であり、一定の押圧力により係合し、一定の分離力により係合が解除される。容器本体90内のコーヒー飲料、水道水、挽き豆の残渣が連通部810a及び保持部材811の連通穴811aを介して切替弁10aに導入される。
保持部材811は支持部材810内を上下方向にスライド自在に設けられた可動部材でもある。昇降軸812はその軸方向が上下方向となるように設けられている。昇降軸812は支持部材800の底部を上下方向に気密に貫通し、支持部材810に対して上下に昇降自在に設けられている。
昇降軸812の下端部には保持部材811の底部が固定されている。昇降軸812の昇降によって保持部材811が上下方向にスライドし、凸部901cや凸部911dへの保持部材811の装着と分離を行うことができる。
昇降軸812の外周面にはリードスクリュー機構を構成するねじ812aが形成されている。このねじ812aにはナット814bが螺着されている。下部ユニット8Cは、モータ814aを備えており、ナット814bはモータ814aの駆動力によって、その場で(上下に移動せずに)回転される。ナット814bの回転によって昇降軸812が昇降する。
昇降軸812は、中心軸に貫通穴を有する管状の軸であり、この貫通穴にプローブ813が上下にスライド自在に挿入されている。プローブ813は保持部材811の底部を上下方向に気密に貫通し、支持部材810及び保持部材811に対して上下に昇降自在に設けられている。
プローブ813は、凸部911d、901cの内部に設けた弁913、903を開閉する操作子であり、プローブ813の上昇により弁913、903を閉状態から開状態とし、プローブ813の降下により弁を開状態から閉状態(不図示のリターンばねの作用による)とすることができる。
プローブ813の外周面にはリードスクリュー機構を構成するねじ813aが形成されている。このねじ813aにはナット815bが螺着されている。下部ユニット8Cは、モータ815aを備えており、ナット815bはモータ815aの駆動力によって、その場で(上下に移動せずに)回転するように設けられている。ナット815bの回転によってプローブ813が昇降する。
<4-4.中部ユニット>
中部ユニット8Bについて図5及び図9を参照して説明する。図9は中部ユニット8Bの模式図である。中部ユニット8Bは抽出容器9を支持する支持ユニット81Bを含む。支持ユニット81Bは上述したアーム部材820の他、ロック機構821を支持するユニット本体81B’を含む。
ロック機構821は、蓋ユニット91を容器本体90に対して閉状態に維持する機構である。ロック機構821は、蓋ユニット91の鍔部911cと容器本体90のフランジ部90cとを上下に挟持する一対の把持部材821aを含む。一対の把持部材821aは、鍔部911cとフランジ部90cとを挟み込んで嵌合するC字型の断面を有しており、モータ822の駆動力により左右方向に開閉される。一対の把持部材821aが閉状態の場合、図9の囲み図において実線で示すように、各把持部材821aは鍔部911cとフランジ部90cとを上下に挟み込むようにしてこれらに嵌合し、蓋ユニット91が容器本体90に対して気密にロックされる。このロック状態においては、保持部材801を昇降軸802によって上昇させて蓋ユニット91を開放しようとしても、蓋ユニット91は移動しない(ロックは解除されない)。つまり、保持部材801を用いて蓋ユニット91を開放する力よりもロック機構821によるロックの力の方が強く設定されている。これにより異常時に容器本体90に対して蓋ユニット91が開状態になることを防止することができる。
また、一対の把持部材821aが開状態の場合、図9の囲み図において破線で示すように、鍔部911cとフランジ部90cから各把持部材821aが離間した状態となり、蓋ユニット91と容器本体90とのロックが解除される。
保持部材801が蓋ユニット91を保持した状態にあり、かつ、保持部材801を降下位置から上昇位置に上昇する場合、一対の把持部材821aが開状態の場合には容器本体90から蓋ユニット91が分離される。逆に一対の把持部材821aが閉状態の場合には蓋ユニット91に対する保持部材801の係合が解除され、保持部材801だけが上昇することになる。
中部ユニット8Bは、また、モータ823を駆動源としてアーム部材820を前後方向に水平移動する機構を含む。これにより、アーム部材820に支持された容器本体90を後側の抽出位置(状態ST1)と、前側の豆投入位置(状態ST2)との間で移動することができる。豆投入位置は、容器本体90に挽き豆を投入する位置であり、蓋ユニット91が分離された容器本体90の開口90aに、グラインダ5Bで挽かれた挽き豆が図2に示す排出管5Cから投入される。換言すると、排出管5Cの位置は、豆投入位置に位置している容器本体90の上方である。
抽出位置は、容器本体90が操作ユニット81A及び操作ユニット81Cによる操作が可能となる位置であり、プローブ803、813と同軸上の位置であって、コーヒー液の抽出を行う位置である。抽出位置は豆投入位置よりも奥側の位置である。図5、図7及び図8はいずれも容器本体90が抽出位置にある場合を示している。このように、挽き豆の投入と、コーヒー液の抽出及び水の供給とで、容器本体90の位置を異ならせることにより、コーヒー液抽出時に発生する湯気が、挽き豆の供給部である排出管5Cに付着することを防止できる。
中部ユニット8Bは、また、モータ824を駆動源として支持ユニット81Bを前後方向の軸825回りに回転させる機構を含む。これにより、容器本体90(抽出容器9)の姿勢をネック部90bが上側の正立姿勢(状態ST1)からネック部90bが下側の倒立姿勢(状態ST3)へ変化させることができる。抽出容器9の回動中は、ロック機構821により容器本体90に蓋ユニット91がロックされた状態が維持される。正立姿勢と倒立姿勢とで抽出容器9は上下が反転される。正立姿勢における凸部901cの位置に、倒立姿勢では凸部911dが位置する。また、正立姿勢における凸部911dの位置に、倒立姿勢では凸部901cが位置する。このため、倒立姿勢では弁903に対する開閉操作を操作ユニット81Aが行うことができ、また、弁913に対する開閉操作を操作ユニット81Cが行うことができる。
<5.制御装置>
図10を参照して飲料製造装置1の制御装置11について説明する。図10は制御装置11のブロック図である。
制御装置11は飲料製造装置1の全体を制御する。制御装置11は、処理部11a、記憶部11b及びI/F(インタフェース)部11cを含む。処理部11aは例えばCPU等のプロセッサである。記憶部11bは例えばRAMやROMである。I/F部11cは外部デバイスと処理部11aとの間の信号の入出力を行う入出力インタフェースを含む。I/F部11cは、また、インターネットなどの通信ネットワーク15を介してサーバ16とデータ通信が可能な通信インタフェースを含む。サーバ16は、通信ネットワーク15を介してスマートフォン等の携帯端末17との通信が可能であり、例えば、飲料の需要者の携帯端末17から飲料製造の予約や、感想などの情報を受信可能である。
処理部11aは記憶部11bに記憶されたプログラムを実行し、情報表示装置12からの指示或いはセンサ群13の検出結果若しくはサーバ16からの指示に基づいて、アクチュエータ群14を制御する。センサ群13は飲料製造装置1に設けられた各種のセンサ(例えばお湯の温度センサ、機構の動作位置検出センサ、圧力センサ等)である。アクチュエータ群14は飲料製造装置1に設けられた各種のアクチュエータ(例えばモータ、電磁弁、ヒーター等)である。
<6.動作制御例>
処理部11aが実行する飲料製造装置1の制御処理例について図11A(A)及び(B)を参照して説明する。図11(A)は一回のコーヒー飲料製造動作に関わる制御例を示している。製造指示前の飲料製造装置1の状態を待機状態と呼ぶ。待機状態における各機構の状態は以下の通りである。
抽出装置3は図5の状態にある。抽出容器9は正立姿勢で、かつ、抽出位置に位置している。ロック機構821は閉状態であり、蓋ユニット91は容器本体90の開口90aを閉鎖している。保持部材801は降下位置にあり、凸部911dに装着されている。保持部材811は上昇位置にあり、凸部901cに装着されている。弁903及び913は閉状態にある。切替弁10aは操作ユニット81Cの連通部810aを廃棄タンクTと連通させる。
待機状態において、コーヒー飲料の製造指示があると、図11(A)の処理が実行される。S1では予熱処理が実行される。この処理は容器本体90内にお湯を注ぎ、容器本体90を事前に加温する処理である。まず、弁903及び913を開状態とする。これにより、配管L3、抽出容器9、廃棄タンクTが連通状態となる。
電磁弁72iを所定時間(例えば1500m秒)だけ開放したのちに閉鎖する。これにより、水タンク72から抽出容器9内にお湯が注入される。続いて電磁弁73bを所定時間(例えば500m秒)だけ開放したのちに閉鎖する。これにより、抽出容器9内の空気が加圧され、廃棄タンクTへのお湯の排出を促進する。以上の処理により、抽出容器9の内部及び配管L2が予熱され、これに続くコーヒー飲料の製造において、お湯が冷めることを低減できる。
S2ではグラインド処理を行う。ここでは焙煎コーヒー豆を粉砕し、その挽き豆を容器本体90に投入する。まず、ロック機構821を開状態とし、保持部材801が上昇位置に上昇する。蓋ユニット91は保持部材801に保持され、保持部材801と共に上昇する。この結果、蓋ユニット91は容器本体90から分離する。保持部材811は降下位置に降下する。容器本体90を豆投入位置に移動する。続いて、貯留装置4及び粉砕装置5を作動する。これにより、貯留装置4から一杯分の焙煎コーヒー豆がグラインダ5Aに供給される。グラインダ5A及び5Bで焙煎コーヒー豆が二段階で挽かれ、かつ、分離装置6で不要物が分離される。挽き豆は容器本体90に投入される。
容器本体90を抽出位置に戻す。保持部材801が降下位置に降下して容器本体90に蓋ユニット91を装着する。ロック機構821を閉状態とし、蓋ユニット91が容器本体90に対して気密にロックされる。保持部材811は上昇位置に上昇する。弁903、913のうち、弁903は閉状態とし、弁913は開状態とする。
S3では抽出処理を行う。ここでは容器本体90内の挽き豆からコーヒー液を抽出する。図11(B)はS3の抽出処理のフローチャートである。
S11では抽出容器9内の挽き豆を蒸らすため、一杯分のお湯よりも少ない量のお湯を抽出容器9に注入する。ここでは、電磁弁72iを所定時間(例えば500m秒)開放して閉鎖する。これにより、水タンク72から抽出容器9内にお湯が注入される。その後、所定時間(例えば、5000m秒)待機してS11の処理を終了する。この処理によって挽き豆を蒸らすことができる。挽き豆を蒸らすことで、挽き豆に含まれる炭酸ガスを放出させ、その後の抽出効果を高めることができる。
S12では、一杯分のお湯が抽出容器9に収容されるよう、残りの量のお湯を抽出容器9へ注入する。ここでは、電磁弁72iを所定時間(例えば7000m秒)開放して閉鎖する。これにより、水タンク72から抽出容器9内にお湯が注入される。
S12の処理によって抽出容器9内を、1気圧で摂氏100度を超える温度(例えば摂氏110度程度)の状態とすることができる。続いてS13により抽出容器9内を加圧する。ここでは電磁弁73bを所定時間(例えば1000m秒)開放して閉鎖し、抽出容器9内をお湯が沸騰しない気圧(例えば4気圧程度(ゲージ圧で3気圧程度))に加圧する。その後、弁913を閉状態とする。
続いて、この状態を所定時間(例えば7000m秒)維持して浸漬式のコーヒー液抽出を行う(S14)。これにより高温高圧下での浸漬式によるコーヒー液の抽出が行われる。高温高圧下での浸漬式の抽出では、以下の効果が見込める。一つ目は、高圧にすることで、挽き豆の内部にお湯を浸透させ易くし、コーヒー液の抽出を促進させることができる。二つ目は、高温にすることで、コーヒー液の抽出が促進される。三つ目は、高温にすることで挽き豆に含まれるオイルの粘性が下がり、オイルの抽出が促進される。これにより香り高いコーヒー飲料を製造できる。
お湯(高温水)の温度は、摂氏100度を超えていればよいが、より高温である方がコーヒー液の抽出の点で有利である。一方、お湯の温度を高くするためには一般にコストアップとなる。したがって、お湯の温度は、例えば、摂氏105度以上、または、摂氏110度以上、或いは、摂氏115度以上とし、また、例えば、摂氏130度以下、または、摂氏120度以下としてもよい。気圧はお湯が沸騰しない気圧であればよい。
S15では抽出容器9内を減圧する。ここでは、抽出容器9内の気圧をお湯が沸騰する気圧に切り替える。具体的には、弁913を開状態とし、電磁弁73cを所定時間(例えば1000m秒)開放して閉鎖する。抽出容器9内が大気に解放される。その後、弁913を再び閉状態とする。
抽出容器9内が沸点圧よりも低い気圧に急激に減圧され、抽出容器9内のお湯が一気に沸騰する。抽出容器9内のお湯、挽き豆は、抽出容器9内で爆発的に飛散する。これにより、お湯を均一に沸騰させることができる。また、挽き豆の細胞壁の破壊を促進させることができ、その後のコーヒー液の抽出を更に促進させることができる。また、この沸騰により挽き豆とお湯を撹拌させることもできるため、コーヒー液の抽出を促進させることができる。こうして本実施形態ではコーヒー液の抽出効率を向上することができる。
S16では抽出容器9を正立姿勢から倒立姿勢へ反転する。ここでは、保持部材801を上昇位置に、保持部材811を降下位置にそれぞれ移動する。そして、支持ユニット81Bを回転させる。その後、保持部材801を降下位置に、保持部材811を上昇位置にそれぞれ戻す。倒立姿勢の抽出容器9は、ネック部90bや蓋ユニット91が下側に位置することになる。
S17では透過式のコーヒー液抽出を行い、カップCにコーヒー飲料を送出する。ここでは、切替弁10aを切り替えて注ぎ部10cと操作ユニット81Cの通路部810aとを連通させる。また、弁903、913をいずれも開状態とする。更に、電磁弁73bを所定時間(例えば10000m秒)開放し、抽出容器9内を所定気圧(例えば1.7気圧(ゲージ圧で0.7気圧))にする。抽出容器9内において、コーヒー液がお湯に溶け込んだコーヒー飲料が蓋ユニット91に設けたフィルタを透過してカップCに送出される。フィルタは挽き豆の残渣が漏出することを規制する。以上により抽出処理が終了する。
本実施形態では、S14での浸漬式の抽出とS17での透過式の抽出とを併用することによりコーヒー液の抽出効率を向上できる。抽出容器9が正立姿勢の状態では、挽き豆が胴部90eから底部90fに渡って堆積する。一方、抽出容器9が倒立姿勢の状態では、挽き豆が肩部90dからネック部90bに渡って堆積する。ネック部90bの断面積よりも胴部90eの断面積の方が大きく、倒立姿勢での挽き豆の堆積厚さは正立姿勢での堆積厚さよりも厚くなる。つまり、挽き豆は抽出容器9が正立姿勢の状態では相対的に薄く、広く堆積し、倒立姿勢の状態では相対的に厚く、狭く堆積する。
本実施形態の場合、S14の浸漬式抽出は抽出容器9が正立姿勢の状態で行われるので、お湯と挽き豆とを広範囲にわたって接触させることができ、コーヒー液の抽出効率を向上できる。但し、この場合はお湯と挽き豆とが部分的に接触する傾向にある。一方、S17の透過式抽出は抽出容器9が倒立姿勢の状態で行われるので、お湯がより多くの挽き豆と接触しながら堆積した挽き豆を通過することになる。お湯がより万遍なく挽き豆と接触することになり、コーヒー液の抽出効率を更に向上することができる。
図11(A)に戻り、S3の抽出処理の後は、S4の排出処理を行う。ここでは抽出容器9内の清掃に関する処理を行う。抽出容器9の清掃は、抽出容器9を倒立姿勢から正立姿勢に戻し、抽出容器9に水道水(浄水)を供給することで行う。そして、抽出容器9内を加圧し、抽出容器9内の水を挽き豆の残渣と共に廃棄タンクTへ排出する。
以上により一回のコーヒー飲料製造処理が終了する。以降、同様の処理が製造指示毎に繰り返される。一回のコーヒー飲料の製造に要する時間は、例えば、60~90秒程度である。
<7.装置構成についての小括>
上述のとおり、飲料製造装置1は、豆処理装置2および抽出装置3を製造部として備え、より詳細には、豆処理装置2は、貯留装置4及び粉砕装置5を含み、抽出装置3は、流体供給ユニット7、駆動ユニット8、抽出容器9及び切替ユニット10を含む(図2、図3等参照)。粉砕装置5は、一杯分の焙煎コーヒー豆を貯留装置4から受け取り、グラインダ5A及び5Bにより二段階の豆挽きを行う。このとき、挽き豆からチャフ等の不要物が分離装置6により分離される。該挽き豆が抽出容器9に投入された後、流体供給ユニット7による抽出容器9への注湯、駆動ユニット8による抽出容器9の姿勢の反転、切替ユニット10による抽出容器9からカップCへの液体の送出等を経て、一杯分の飲料が提供される。
上記製造部の一部は、全体が透過部である透明カバーとして構成されたカバー部102により覆われており、ユーザ(例えば飲料製造装置1の管理者、飲料の需要者等)が飲料製造装置1外部から視認可能となっている。本実施形態においては、上記製造部のうち、貯留装置4の一部である複数のキャニスタ40が露出され、他の要素は実質的にハウジング100内に収容されているものとするが、他の実施形態として、製造部の全部がハウジング100内に収容されていてもよい。換言すると、カバー部102は、製造部の少なくとも一部を覆うように設けられればよい。
製造部の少なくとも一部がカバー部102により飲料製造装置1外部から視認可能に覆われていることで、例えば、ユーザが飲料製造装置1の管理者の場合には、該管理者は飲料の製造準備と共に装置の動作点検を行うことも可能な場合がある。ユーザが飲料の購入者の場合には、該購入者は飲料に対する期待感を高めながら該飲料の製造完了を待機可能な場合がある。例えば、抽出装置3の抽出容器9がカバー部102を介して飲料製造装置1外部から視認可能であり、飲料を製造する幾つかのプロセスのうちユーザにとって比較的関心度の高い抽出工程が観察可能である。駆動ユニット8は抽出容器9の姿勢を変化させる姿勢変化ユニットとして作用し、前述のとおり、抽出容器9は、製造部において上下反転が可能な可動部分となっている。よって、この抽出容器9の反転動作は、ユーザの興味を比較的惹きやすく、これをユーザにより観察可能とすることで、ユーザを楽しませることが可能な場合がある。
一方、飲料製造装置1により提供される飲料の一層の品質向上のため、例えば、プロセスの改善、それを実現するための飲料製造装置1の構成面、制御面等、多様な側面での改善も求められる。一例として、飲料製造装置1が備える一部の要素に変更を加えることが挙げられる。以下では、図12~図14を参照しながら、図3の水タンク72として機能可能な送液量調節装置720の例を述べる。
<8.送液量調節装置の構成例>
図12は、送液量調節装置720の概要図を示す。また、図13は、図12のIV-IV線断面図及び別例の断面図(構成例EX31)を示す。送液量調節装置720は、水タンク72と同様、コーヒー飲料を構成するお湯(水)を蓄積するタンクであるとともに、一定量のお湯を送出する機能を有する装置である。これにより、一杯分のコーヒー飲料に必要なお湯を順次送出することが可能であり、その際のお湯の量を変更することも可能である。以下の説明において、水タンク72に関連する構成と同じ機能を有する構成については、同じ符号を付している。
送液量調節装置720は、お湯を蓄積するタンク720aを有する。タンク720aの外壁は、周壁721、周壁721の上端部に接合された上壁723、及び、周壁721の下端部に接合された底壁724を含み、図13の断面図に示すようにタンク720aは全体として円筒形状を有している。タンク720a内には仕切壁722が設けられており、その内部空間が仕切壁722によって、外側の円筒状の空間725と、内側の円柱状の空間726Aとに区画されている。本例の場合、仕切壁722は周壁721と同心に配置された円筒形状の壁体であるが、図13の構成例EX31に示すように仕切壁722が周壁721に対して偏心していてもよい。
空間725はお湯を貯留する貯留部を構成する。空間725のことを貯留部725とも呼ぶ。空間726Aの上部には可動部材727cが配置され、その下部の空間726はお湯を貯留する貯留部を構成する。空間726のことを貯留部726とも呼ぶ。貯留部725と貯留部726とを共通の壁体である仕切壁722で仕切ることにより、別々の壁体で区画するよりも、タンク720aの小型化が可能となる。
貯留部725には、貯留部725内の水を加温するヒーター72a及び水の温度を計測する温度センサ72bが設けられている。ヒーター72aは、温度センサ72bの検出結果に基づいて、蓄積されるお湯の温度を所定の温度(ここでは摂氏120度)に維持する。ヒーター72aは、例えばお湯の温度が摂氏118度でONとされ、摂氏120度でOFFとされる。
上壁723のうち、貯留部725を画定する部分には、リザーブタンク71(図3参照)内の気圧が供給される配管が接続されており、ここには電磁弁72fが設けられている。送液量調節装置720は、貯留部725内の気圧を検出するセンサ(不図示。例えば図3の圧力センサ72gに相当するセンサ。)を備え、電磁弁72fは、調圧弁72e(図3参照)で調圧された気圧の貯留部725への供給と遮断とを切り替える。電磁弁72fは、貯留部725への水道水(浄水)の供給時を除き、貯留部725内の気圧が3気圧に維持されるように開閉制御される。
上壁723のうち、貯留部725を画定する部分には、また、貯留部725を大気に連通させる配管が接続されており、ここには電磁弁72hが設けられている。貯留部725への水道水の供給時には、水道水の水圧によって貯留部725に円滑に水道水が補給されるように、電磁弁72hにより貯留部725の気圧を2.5気圧未満に減圧する。電磁弁72hは水タンク72内を大気に解放するか否かを切り替え、減圧時には貯留部725内を大気に解放する。また、電磁弁72hは貯留部725への水道水の供給時以外に、貯留部725内の気圧が3気圧を超える場合に貯留部725を大気に解放し、貯留部725を3気圧に維持する。
底壁724のうち、貯留部725を画定する部分には、貯留部725に水道水を供給する配管L2が接続されており、ここには電磁弁72dが設けられている。電磁弁72dは、後述する水位センサ72cの検出結果に基づき開閉制御され、貯留部725内のお湯の水位を制御する。
底壁724のうち、貯留部725を画定する部分には、また、貯留部725内のお湯を排出する配管L2’が接続されており、ここには電磁弁72d’が設けられている。電磁弁72d’は、貯留部725内のお湯を廃棄する場合に開放され、貯留部725内のお湯が配管L2’へ排出される。
貯留部726は、可動部材727cの移動により、その容積が変更可能な空間である。貯留部726には、配管728a、電磁弁728及び配管728bを介して貯留部725からお湯が供給される。配管728aは、底壁724のうち、貯留部725を画定する部分と電磁弁728との間を接続する。配管728bは、底壁724のうち、貯留部726を画定する部分と電磁弁728との間を接続する。
図12の例においては、電磁弁728は、三方向弁であり、配管728bと配管728aとの連通及び遮断の切り替えと、配管728bと配管728cとの連通及び遮断の切り替えとを行うことができる。また、電磁弁728はいずれの配管同士も遮断することも可能である。配管728cは、貯留部726内のお湯を抽出容器9へ送出するための配管である。
配管728bと配管728aとの連通及び遮断とを切り替えることにより、貯留部725と貯留部726との連通と遮断とを切り替えることができる。配管728bと配管728cとの連通及び遮断とを切り替えることにより、貯留部726内のお湯の送出と貯留とを切り替えることができる。
電磁弁728は、配管728bと配管728aとを連通している場合、配管728bと配管728cとを遮断する。逆に、配管728bと配管728cとを連通している場合、配管728bと配管728aとを遮断する。図中の電磁弁728に示す矢印は、電磁弁728の動作状態を示しており、図12の例の場合、配管728bと配管728cとを連通し、配管728bと配管728aとを遮断している状態を示している。
尚、ここでは、電磁弁728を三方向弁とすることで、一つの電磁弁728により、これらの切り替えを行うように構成した。しかし、配管728bを二つに分け、一方の配管728bと配管728aとの連通及び遮断を切り替える弁と、他方の配管728bと配管728cとの連通及び遮断を切り替える弁と、を設けた構成も採用可能である。
送液量調節装置720は、駆動ユニット727を備える。駆動ユニット727は、貯留部726から送出する湯量に対応して制御され、貯留部726の容積を変化させる。コーヒーカップのサイズに応じて、一杯分の必要湯量が異なる。駆動ユニット727は、こうしたコーヒーカップのサイズ等に対応して適切な湯量が貯留部726から送出されるように、貯留部726の容積を調節する。
駆動ユニット727は、可動部材727cを上下に移動させることで貯留部726の容積を変化させる機構である。可動部材727cは空間726Aに挿入され、上下方向にスライドするように構成されたピストン状の部材であり、その底面727dが貯留部726の上側の壁体を構成する。この観点で、可動部材727cはピストンユニット等と称され、空間726Aはシリンダユニット等と称されてもよい。底面727dの昇降により、貯留部726の容積が変化することになる。
なお、貯留部726の容積は、本例のようにその上側の壁体の位置を移動することにより変化させるのではなく、下側や側部の壁体の位置を移動させることにより変化させることも可能である。
可動部材727cは、仕切壁722の内面とシールを構成するシール部材(不図示)を含み、仕切壁722の内面を液密に摺動する。但し、可動部材727cの周面には上下方向に延びる溝727eが形成されており、溝727eにおいて、仕切壁722の内面と隙間を有している。
この溝727eは、仕切壁722を厚み方向に貫通する開口722aと連通するように形成されている。開口722aは、貯留部725のお湯の最高水位(後述するセンサ731bの位置)よりも上側の位置に形成されており、貯留部725と空間726Aとを連通させる空気連通部である。開口722a及び溝727eを介して、貯留部725と貯留部726とで空気が連通し、これらの空間内の気圧は同じとなる。なお、貯留部725及び726を常時大気圧とする場合は、大気に連通する通路を個別に設けてもよい。
駆動ユニット727は、駆動源として上壁723に支持されたモータ727aを含み、また、可動部材727cを移動する移動機構としてネジ軸727bを含む。ネジ軸727bは上下方向に延設され、モータ727aの駆動力により回転する。可動部材727cは、その上面に開口したネジ穴727fを有しており、このネジ穴727fにネジ軸727bが係合している。可動部材727cは不図示の回り止めがなされており、ネジ軸727bの回転により上下方向に移動する。回り止めは、例えば、仕切壁722の内面と可動部材727cの周面に設けた、上下方向に延びる凹部と凸部であってもよい。
ここでは、可動部材727cを移動させる移動機構として、ネジ軸727bとネジ穴727fとからなるネジ機構を用いたが、これに限られず、ラック-ピニオン機構等、他の機構も採用可能である。
水位センサ72cは、貯留部725のお湯の水位を測定する測定ユニットである。水位センサ72cは、上下に延びる中空円柱状の貯留部729と、貯留部729内に設けられたフロート730と、フロート730を検知する下側のセンサ731a及び上側のセンサ731bとを含む。
貯留部729は、センサ731aよりも下側の位置の連通部729aで貯留部725と連通し、かつ、センサ731bよりも上側の位置の連通部729bで貯留部725と連通している。貯留部725のお湯は連通部729aを介して貯留部729へ流入する。連通部729bは、貯留部725と貯留部729とを連通させる空気連通部であり、連通部729bを介して貯留部725と貯留部729とで空気が連通する。したがって、貯留部729のお湯の水位は貯留部725のお湯の水位と等しくなる。
本例の場合、貯留部729は、ガラスやアクリルなど、透過性を有する部材で構成される。これにより、貯留部729のお湯の水位を外部から視認可能であり、その結果、貯留部725のお湯の水位をユーザが確認できることになる。無論、貯留部725の周壁(721)の一部に透過部を設けてその水位を視認可能とする構成も採用可能である。
フロート730は貯留部729内において、お湯に浮かぶものであればどのようなものでもよい。
センサ731a及び731bは、例えば、光センサ(フォトインタラプタ)であり、フロート730を貯留部729の外部から検知する。センサ731aによりフロート730が検知されると、電磁弁72dを開放して貯留部725へ水が供給される。つまり、センサ731aは貯留部725のお湯の水位の下限を監視する。水位の下限はヒーター72aよりも高い位置に設定されており、ヒーター72aによる空焚きを防止できる。
センサ731bによりフロート730が検知されると、電磁弁72dを閉鎖して貯留部725への水の供給を停止する。つまり、センサ731bは貯留部725のお湯の水位の上限を監視する。
水位センサ72cと同等の構成を貯留部725の内部に構築することも可能である。しかし、本例のように、貯留部725の外部に水位センサ72cを構築することで、外部から貯留部725の水位を確認し易くなる。
次に、図14を参照して送液量調節装置720の動作例について説明する。まず、カップサイズ等に応じて、駆動ユニット727により貯留部726の容積が調節される。状態ST61はその様子を示している。同図の例では、可動部材727cが降下し、貯留部726の容積が図13の例よりも小さい容積にセットされている。電磁弁728は配管728bと配管728cとを連通しており、貯留部725から貯留部726へお湯は供給されない。
貯留部726の容積がセットされると駆動ユニット727を停止し、電磁弁728により配管728bと配管728aとを連通させる。貯留部725と貯留部726とは気圧が同じであり、貯留部726はタンク720aの底部側にある。このため、貯留部725のお湯の水頭圧により、貯留部725から貯留部726へお湯が供給される。本例の場合、貯留部726が、貯留部725のお湯の最低水位(センサ731aの位置)よりも低い位置に形成されているため、貯留部725と貯留部726とで常に水頭差が生じている(貯留部725のお湯の方が高い)。したがって、貯留部726が満杯になるまで貯留部725から貯留部726へお湯が供給される。状態ST62は貯留部726が満杯になった状態を示している。溝727eにもお湯は進入するが、溝727eは空気の連通を確保できる程度の容積で足り、極小量とすることができる。
本例の場合、貯留部726にはヒーター72aを設けていないが、貯留部726は貯留部725に囲まれているので、貯留されるお湯の保温性能を確保することができる。なお、状態ST62において駆動ユニット727によって貯留部726の容積を変化させてもよい。
貯留部725から貯留部726へのお湯の供給は、他の方式も可能であるが、本例では貯留部725と貯留部726との水頭差を利用することで比較的単純な構成でお湯を供給することができる。
次に、貯留部726に貯留されたお湯を送出する。状態ST63に示すように、電磁弁728により配管728bと配管728cとを連通させることで、配管728cから抽出容器9へお湯を、自重又は貯留部726の気圧で送出することができる。お湯の送出開始後、電磁弁728の動作状態を、いずれの配管同士も遮断することで、貯留部726のお湯を段階的に送出することも可能である。例えば、蒸らし工程(図11(B)のS11)のために、お湯を送出して中断し、その後、残りのお湯を送出する工程(図11(B)のS12)を行うことも可能である。
いずれにしても、貯留部726に貯留されたお湯は全量を送出する。全量の送出確認は電磁弁728の開時間(配管728bと配管728cとの連通時間)で行うことができる。貯留部726に貯留されたお湯を一回送出する度に、電磁弁72dを開放してその分量に見合った水を貯留部725に供給してもよい。
上述の例によれば、お湯の送出量を調節することができる。液体の送出量の調節には、一般には、流量センサを用いてその検知結果により弁を開閉する制御が用いられる。しかし、高温の液体や特殊な液体の場合、対応可能な流量センサが市販されていないか高価な場合がある。これに対し、上述の例によれば、貯留部726の容積を調節する方式を採用することで流量センサを必要とせずにお湯の送出量を調節できる。
<9.送液量調整装置を用いた場合の動作制御例>
上記送液量調節装置720を用いることにより、例えば、製造プロセスの一部を変更して飲料製造装置1により提供される飲料の一層の品質向上を図ることも可能となる。以下では、制御装置11の処理部11a(図10参照)が実行する飲料製造装置1の制御処理の一例を、図15を参照しながら説明する。尚、以下において省略される説明については、前述の図11(A)及び図11(B)の各ステップ並びに図12~図14の送液量調節装置720の動作内容を参照されたい。
図15は、一回のコーヒー飲料製造動作に関わる制御例を示している。先ず、予熱処理(図11(A)のS1との区別のため、S1’とする。)は、少なくとも2回の加熱工程S101及びS102に分けられる。
S101は、抽出容器9(容器本体90)内にお湯を注ぎ、抽出容器9を事前に加温する処理である。先ず、電磁弁728を制御して配管728aと配管728bとを連通させ、貯留部725から貯留部726に少量のお湯を移動させる。その後、電磁弁728を制御して配管728bと配管728cとを連通させ、配管L3を介して貯留部726のお湯を抽出容器9に送出する。続いて、電磁弁73bを制御して抽出容器9内を加圧し、抽出容器9内のお湯を廃棄タンクTに排出する。
S101により、抽出容器9の内部及び配管L2~L3が予熱され、後述の各工程における飲料の製造の間にお湯が冷めることを防ぐことができる。また、S101を行うことにより、前回ないし過去の抽出の際に生じた流路中の残渣(液体の残り等)を洗い流すことも可能な場合がある。
S102は、貯留部725及び726で生成された蒸気を容器本体90内に供給し、抽出容器9の加熱を行う処理である。この蒸気は、貯留部725及び726内を減圧して貯留部725及び726内のお湯を沸騰させることにより生成可能であり、S15(図11(B)参照)同様の手順で実現可能である。抽出容器9への蒸気の供給または該蒸気を用いた抽出容器9の加熱が完了した後、電磁弁728を制御して配管728bと配管728cとを遮断する。
S102を行うことにより、抽出容器9全体を均一に加熱することが可能となる。これにより、例えば挽き豆からムラのない液体の抽出を所望の温度で行うことが可能となり、結果として、飲料の品質が向上しうる。また、S102では、貯留部725及び726の気圧が下がり、その中の液体が沸騰を始めるため、液体を撹拌させて温度を均一化させることもできる。
付随的に、貯留部725及び726と抽出容器9とを接続する接続部として機能し且つそれらの間の流路を形成する配管L3についても、S102において、抽出容器9と共に加熱されることとなる。これにより、液体が配管L3を通過する際に、その液体が冷えてしまうこともない。
ここで、前述のとおり、抽出容器9は弁903及び913を有しており、これらは、上記抽出に用いられる液体としてのお湯、上記抽出により得られる飲料液(本例ではコーヒー液)或いはS102の加熱に用いられる蒸気についての入口または出口として作用する。本例においては、S102では、蒸気は弁913から抽出容器9内に流入し弁903から抽出容器9外に流出する。蒸気が弁913から抽出容器9内に流入する際、弁903は開放しており、これにより、この蒸気が抽出容器9内で液化して液体になった場合には、その液体が抽出容器9内に長時間留まることなく弁903から抽出容器9外に流出可能となる。この態様によれば、例えば、後述の各工程により飲料を製造する際に、該飲料の味、風味等が意図せずに薄まってしまうようなこともないため、飲料の高品質化に有利である。
或いは、抽出容器9内を蒸気である程度充たした後、弁903及び913の双方を閉鎖した状態にして、この抽出容器9を振動させてもよい。抽出容器9への振動の発生は、中部ユニット8Bのモータ823及び/又は824(図9参照)により実現可能である。内部が蒸気である程度充たされた抽出容器9に振動を加えることにより、蒸気が抽出容器9内に均一に拡がることとなり、抽出容器9全体を均一に加熱することが可能となる。
尚、上記S102に代替して/付随して、蒸気を用いた抽出容器9の加熱は、S101の前に行われてもよい。即ち、S101及びS102の実行順序は逆であってもよいし、S102はS101の前後で計2回行われてもよい。S102をS101の前に行うことにより、S101において前回ないし過去の抽出の際に生じた残渣を除去し易くなる場合がある。
以上のようにして予熱処理S1’を行った後、図11(A)同様の手順でS2を行い、続いて抽出処理(図11(A)のS3との区別のため、S3’とする。)を行う。抽出処理S3’において、本抽出用注湯S12は、少なくとも2回の注湯工程(S121及びS122)に分けられる。1回目の注湯であるS121は、S11の後かつS13の前に行われる。その後、図11(B)同様の手順でS13~S16を行う。
ここで、S14では、抽出対象である挽き豆が正立姿勢の抽出容器9に比較的薄い堆積厚さで堆積されており、この挽き豆を、S121で供給されたお湯に浸漬することとなる。S15で抽出容器9内のお湯を沸騰させ、S16で抽出容器9を反転させて倒立姿勢にした後、S17の後/S17と共に、2回目の注湯であるS122が行われる。
図中においては、区別のため、S17の後にS122が行われるよう示されるが、好適には、S122は、S17の開始以降、S17と略同時に行われる。他の実施形態として、S17は、S122の開始以降、S122と略同時に行われてもよい。即ち、S122及びS17は、少なくとも部分的に並行して行われるとよく、注湯兼送出工程Kといった一つの工程に纏められる。
前述のとおり、抽出容器9が正立姿勢の状態では、挽き豆が胴部90eから底部90fに渡って堆積するのに対して、抽出容器9が倒立姿勢の状態では、挽き豆が肩部90dからネック部90bに渡って堆積する。即ち、抽出容器9は、胴部90eから底部90fにわたる太い部分と、肩部90dからネック部90bにわたる細い部分とを含んでおり、挽き豆は、正立姿勢においては該太い部分に堆積し、倒立姿勢では該細い部分に堆積する。
上記S17の透過式抽出の際、抽出容器9は倒立姿勢となっているため、抽出容器9内のお湯は、正立姿勢の場合よりも厚く堆積された挽き豆を通ることにより該挽き豆と万遍なく接触するため、透過式抽出の高効率化を実現可能となる。ここでは、2回目の注湯であるS122がS17と共に行われるため、抽出容器9は、S121で受け取ったお湯による浸漬式抽出で得られた飲料液を送出しながら、S122により追加的にお湯を受け取ることとなる。そして、S122により抽出容器9に追加的に流入したお湯は、浸漬式抽出には実質的に用いられずに主に透過式抽出に用いられる。このような抽出態様によれば、飲料に透過式抽出独特の味わいを効果的に付与することが可能となり、飲料の高品質化が可能となる。
S121での注湯の量とS122での注湯の量とは、例えばユーザにより設定ないし変更が可能としてもよく、即ち、浸漬式抽出と透過式抽出との割合を調節可能としてもよい。これにより、ユーザの嗜好に応じた品質で飲料を製造することが可能な場合がある。
図16(a)~16(h)及び図17(i)~17(о)は、送液量調節装置720の制御態様を、上述の図15の各ステップに対応させて説明するための模式図である。理解の容易化のため、以下の説明においては、送液量調節装置720の簡易モデルを用いるものとし、三方向弁である電磁弁728は、配管728aと配管728bとの連通及び遮断を切り替える弁7281と、配管728bと配管728cとの連通及び遮断を切り替える弁7282と、に区別して示される。
図16(a)は、送液量調節装置720の初期状態を示しており、飲料製造装置1は、飲料の製造の開始指示を待っている。初期状態においては、図中に模式的に示されるように、弁7281及び7282は何れも閉鎖されている。
図16(b)~図16(c)は、上記S101(少量のお湯を用いた抽出容器9の加熱処理)に対応する送液量調節装置720の態様を示す。図16(b)の工程では、弁7281を開放して、破線矢印で図示されるように、貯留部725から貯留部726に少量のお湯を移動させる。続いて、弁7281を閉鎖した後、図16(c)の工程では、弁7282を開放して、破線矢印で図示されるように、貯留部726内のお湯を抽出容器9に供給する。これにより、抽出容器9の内部及び配管L2~L3が加熱される。
図16(d)~図16(e)は、上記S102(蒸気を用いた抽出容器9の加熱処理)に対応する送液量調節装置720の態様を示す。図16(d)の工程では、貯留部725及び726内を減圧して貯留部725及び726内のお湯を沸騰させることにより、貯留部725及び726で蒸気を生成する。弁7282は開放状態であるため、該生成された蒸気は、破線矢印で図示されるように、配管728cを介して抽出容器9に供給される。また、図16(d)の工程では、上記沸騰により貯留部725及び726内のお湯を撹拌することも可能となり、該撹拌されたお湯の温度が所定値(例えば摂氏118度)に達していない場合にはヒーター72a(図12参照)が駆動される。その後、図16(e)の工程では、弁7282を閉鎖して、抽出容器9への蒸気の供給を停止する。これにより、抽出容器9全体が均一に加熱されうる。
図16(f)~図16(h)は、抽出処理S3’を実行するための準備工程に対応する送液量調節装置720の態様を示す。図16(f)の工程で、貯留部725及び726内を3気圧に戻した後、図16(g)の工程では、弁7281を開放して、破線矢印で図示されるように、貯留部725から貯留部726に一杯分のお湯(例えば180cc程度)を移動させる。貯留部725から貯留部726へのお湯の移動が完了した後、図16(h)の工程で弁7281を閉鎖する。尚、一杯分の量は、ユーザにより予め設定ないし選択されていてもよいし、載置部110に載置されたカップのサイズに基づいて決定されてもよいし、或いは、固定値であってもよい。ここでは不図示とするが、図16(f)~図16(h)の工程の間にグラインド処理(ステップS2)が並行して行われてもよく、それにより、飲料の製造が完了するまでの時間を短縮可能となる。
図17(i)~図17(j)は、蒸らし用注湯処理(ステップS11)に対応する送液量調節装置720の態様を示す。図17(i)の工程で弁7282を開放し、所定時間が経過した後、図17(j)の工程で弁7282を閉鎖する。これにより、貯留部726に貯留されたお湯の一部(例えば30cc程度)が、破線矢印で図示されるように、S11の蒸らし用に抽出容器9に流入することとなる。
図17(k)~図17(l)は、1回目の本抽出用注湯(ステップS121)に対応する送液量調節装置720の態様を示す。挽き豆の蒸らしが完了した後、図17(k)の工程で弁7282を開放し、所定時間が経過した後、図17(l)の工程で弁7282を閉鎖する。これにより、貯留部726内の残りのお湯の一部(例えば40cc程度)が、破線矢印で図示されるように、抽出容器9に流入することとなる。
ここでは不図示とするが、図17(l)の工程の後、S13~S16を行う。詳細については後述とするが、本例のS13においては、抽出容器9内の加圧と共に注湯(例えば30cc程度)が行われる。
図17(m)は、2回目の本抽出用注湯(ステップS122)に対応する送液量調節装置720の態様を示す。図17(m)の工程で弁7282を開放することで、貯留部726内の残りのお湯(例えば80cc程度)が、破線矢印で図示されるように、追加的に抽出容器9に流入することとなる。前述のとおり、S122はS17と略同時に行われ、ここで抽出容器9に流入するお湯は、浸漬式抽出には実質的に用いられずに主に透過式抽出に用いられる。
その後、飲料の実質的に全部が抽出容器9からカップに送出されたことを以ってS17の完了となる。ここで、S122後かつS17完了前においては、付随的に、貯留部725及び726の蒸気、並びに、コンプレッサ70からの空気圧を用いて、飲料の送出を促進することが可能である。貯留部725及び726の蒸気は、S102(図16(d)~図16(e)の工程)同様の手順で生成可能である。即ち、図17(n)の工程において、貯留部725及び726内を減圧してお湯を沸騰させることにより貯留部725及び726で蒸気を生成し、配管728cを介して該蒸気を抽出容器9に供給する。その際、図16(d)の工程同様、貯留部725及び726内のお湯が適切に撹拌され、必要に応じてヒーター72aが駆動されうる。その後、図17(о)の工程で弁7282を閉鎖して該蒸気の供給を停止する。尚、飲料の送出の促進の際、抽出容器9内は例えば1.6~2気圧程度となるように調整されうる。
図18は、抽出処理S3’の際の抽出容器9内の気圧の変化の態様を説明するための図である。横軸は時間軸を示しており、期間T1~T11を示す共に、期間T1~T11に対応するステップ(S11等)を併せて示す。縦軸は、期間T1~T11のそれぞれにおける抽出容器9内の気圧Pを示す。尚、期間T1~T11は、図18において、互いに等しい長さで模式的に図示されるが、実際には、各期間T1~T11の長さは、同じ期間長である場合もあるが、異なる期間長である場合もある。
期間T1~T2は、蒸らし用注湯処理(ステップS11)に対応する期間である。期間T1では、抽出容器9内を約1.8気圧まで加圧すると共に、蒸らし用のお湯(30cc程度)を抽出容器9に流入する。抽出容器9へのお湯の流入のタイミングは、期間T1内の何れであってもよいが、ユーザにより予め設定ないし選択されていてもよいし、飲料の種類によって変更されてもよい。その後、このお湯を用いて挽き豆を蒸らす。この期間(15秒程度)を期間T2とする。
期間T3は、1回目の注湯S121に対応する期間である。期間T3では、抽出容器9内を3気圧まで加圧すると共に、S121として本抽出用のお湯(40cc程度)を抽出容器9に流入する。
期間T4は、抽出容器9内の加圧S13に対応する期間である。期間T4では、抽出容器9内を5気圧まで加圧すると共に、お湯(30cc程度)を抽出容器9に流入する。
ここで、注湯の量は期間T3及びT4間で調整可能とし、例えば70cc程度の注湯を期間T3で完了させてもよい。期間T3及びT4は、何れも抽出容器9内を加圧しながら注湯を行うという点で共通するが、本例ではそれらの加圧態様が互いに異なる。例えば、期間T3~T4での加圧の間、途中(P=3気圧前後)で加圧態様が緩やかになる。例えば、期間T3及びT4間のタイミングは、気圧Pの変曲点として規定されてもよい。期間T3~T4の加圧態様を制御ないし調整することにより、この後の工程である浸漬式抽出S14で得られる飲料液について、表現可能な程に味、風味等の幅を広げることが可能な場合がある。
期間T5は、浸漬式抽出S14に対応する期間である。抽出容器9内が5気圧に達した後、その状態を維持する。この期間(9秒程度)を期間T5とする。これにより、抽出対象である挽き豆から飲料液であるコーヒー液が抽出される。なお、期間T5の期間長を1秒と短くする場合があってもよい。
期間T6~T8は、抽出容器9内の減圧S15に対応する期間である。期間T6~T7では、上記減圧を2段階に分けて行う。期間T6では、先ず、比較的短時間で抽出容器9内を5気圧から1.5気圧まで減圧させ(急減圧)、その後、所定期間(3秒程度)にわたって待機する。次に、期間T7では、抽出容器9内を1気圧まで減圧させ、その後、所定期間(1秒程度)にわたって待機する。
前述のとおり、減圧S15によって抽出容器9内の液体が沸騰して撹拌される。本例の減圧態様によれば、先ず、期間T6の1段階目の減圧により抽出容器9内の液体の一部が沸騰して撹拌され、続いて、期間T7の2段階目の減圧により抽出容器9内の液体の他の部分も沸騰して撹拌されうる。そのため、例えば抽出容器9内の液体全体の撹拌を適切に行うことが可能となり、このことは、例えば、抽出された飲料液に濃度や組成等のムラがある際に有利な場合がある。その後、期間T8で抽出容器9内を1.5気圧に戻して沸騰を安定化させると共に流路(配管L2、L3等)中に残存しうる液体(例えば5cc程度)を抽出容器9へ押し込む。
期間T9は、抽出容器9の反転S16及びその後の待機期間(2秒程度)である。尚、期間T9の開始のタイミングは上記反転S16が実行されるタイミングに対応する。期間T9では、S16で反転した抽出容器9内において、抽出対象である挽き豆が該抽出容器9内の下方部に比較的厚い堆積厚で堆積される。また、期間T9では、抽出容器9内を減圧して1気圧にする。
期間T10~T11は、透過式抽出S17に対応する期間であり、これにより、飲料が抽出容器9からカップCに送出される。前述のとおり、S17と略同時に2回目の注湯S122が行われ、それにより抽出容器9内に追加的に流入するお湯(80cc程度)は、主に透過式抽出に用いられることとなる。本例では、全部で約185ccの飲料が提供されることとなる。
本例では、期間T10における例えばS122後に抽出容器9内を1.6気圧まで加圧し、その後の期間T11において抽出容器9内を2気圧まで加圧して、飲料の送出を促進する。期間T10では、貯留部725及び726の蒸気を用いて上記飲料の送出を促進し、期間T11では、コンプレッサ70からの空気圧を用いて上記飲料の送出を促進するものとする。すなわち、期間T10では、相対的に高温の気体を用いて上記飲料の送出を促進し、期間T11では、相対的に低温の気体を用いて上記飲料の送出を促進する。これにより、送出されるべき飲料の全部(流路中の液体も含む。)を適切に且つ比較的短時間でカップに提供可能となる。
上述の各期間T1等は、より詳細には、S11等の各ステップ或いはそのサブステップに対応付けられて図19に示すようにまとめられる。
図19は、図10に示す記憶部11bに記憶されている抽出処理S3’のテーブルを示す図である。
上述のごとく、図18では、期間T1~T11は、互いに等しい長さで模式的に図示されているが、図19では、具体的な期間の長さが示されている。
期間T6は、抽出容器9内の気圧を1.5気圧まで急減圧する工程であるが、抽出容器9内を大気に解放する大気解放工程(前半)であってもよく、こうした場合には、期間T7は、抽出容器9内を大気に解放する大気解放工程(後半)になる。
また、期間T10は蒸気を用いた飲料送出工程であり、期間T11は空気圧を用いた飲料送出工程であったが、期間T10および期間T11の両方ともに、蒸気を用いた飲料送出工程であってもよいし、空気圧を用いた飲料送出工程であってもよい。すなわち、期間T10は飲料送出工程(前半)であり、期間T11は飲料送出工程(後半)であってもよい。
さらに、期間T10にしても期間T11にしても、抽出容器9内の液体の温度よりも高い流体(液体であってもよいし気体であってもよい)を抽出容器9に供給してもよい。ここにいう液体とは、飲料になるお湯のことである。
なお、図19に示すテーブルは、図10に示す制御装置11が、通信ネットワーク15を介してサーバ16から取得してもよい。また、図19に示すテーブルの他に、複数種類のテーブルが用意されている。これらのテーブルは、抽出対象の種類(コーヒー豆の種類)ごとに用意されたり、焙煎の仕方ごとに用意されている。さらには、これらのテーブルは、飲料の味の傾向ごとにも用意されており、ユーザは、それらの中から好みに応じたものを選択することも可能である。ユーザによる選択は、タッチパネル式のディスプレイである情報表示装置12により実現可能である。
また、一杯分の飲料の抽出を行った場合、抽出容器9内の気圧や温度について、圧力センサおよび温度センサによりそれぞれ実測値を求めることができる。実測値は上記目標値とともに、例えば記憶部11bに格納されうる。ユーザは、必要に応じて情報表示装置12を介して所定の操作を行うことで、上記目標値と実測値を情報表示装置12に表示させることも可能である。これにより、ユーザは、例えば、過去に行われた飲料製造の際の上記目標値および実測値の変化を確認することもできる。
以上、本実施形態によれば、予熱処理S1’のS102において、送液量調節装置720において高温の液体(お湯)を貯留可能な貯留部725及び726で生成された蒸気によって、抽出容器9の加熱を行う。これにより、抽出容器9全体を均一に加熱することが可能となり、例えば、その後の透過式抽出S17ではムラのない飲料液(コーヒー液)の抽出を所望の温度で行うことが可能となり、結果として、飲料の高品質化が可能となる。
また、本実施形態によれば、抽出対象である挽き豆を正立姿勢の抽出容器9に堆積させて液体(お湯)に浸漬する。この液体は、1回目の注湯であるS121により、抽出容器9に流入される。その後、抽出容器9を倒立姿勢にして挽き豆の堆積厚さを厚くし(S16参照)、この倒立姿勢の抽出容器9から、注ぎ部10cを介してカップに飲料液を送出する(S17参照)。この送出中の抽出容器9には、2回目の注湯であるS122により残りの液体(お湯)が追加的に流入される。該追加的に流入される液体は主に透過式抽出に用いられ、このような抽出態様によれば、例えば透過式抽出独特の味わいを飲料に付与することが可能となる。また、浸漬式抽出と透過式抽出との割合を調節可能となり、表現可能な程に味、風味等の幅を広げることも可能な場合もある。結果として、飲料の高品質化が実現可能となる。
続いて、図18に示す期間T10及びT11における加圧しながら抽出容器9から飲料をカップCに送り出す際の、抽出容器9内の気圧を目標値に保つ工夫について説明する。抽出容器9では、期間T9におけるチャンバ反転によって、濾過用のフィルタが保持された蓋ユニット91が下側に位置し、期間T10及び期間T11では、図8に示す弁913が開状態になっている。期間T10では、貯留部725及び726の蒸気の圧力によって飲料を送り出し、期間T11では、コンプレッサ70からの空気圧によって飲料を送り出す。
抽出容器9内の気圧は、図3に示す圧力センサ73dで検出される。すなわち、抽出容器9内に圧力センサを設けるのではなく、抽出容器9内の気圧を管理するための値は、抽出容器9よりも上流側から抽出容器9につながった配管L1に設けられた圧力センサ73dで検出された圧力の値を用いる。
図20は、抽出容器9内の気圧を管理する気圧管理処理のフローチャートを示す図である。
ここでの気圧管理処理は、期間ごとに実行され、目標値も、期間ごとに異なり、期間T10では1.6気圧であり、期間T11では2気圧になる。
期間T10の気圧管理処理におけるステップS31では、図12等に示す電磁弁728を図10に示す処理部11aが10m秒開放し、ステップS32では、その電磁弁728を処理部11aが50m秒閉塞する。
期間T11の気圧管理処理におけるステップS31では、図3に示す、配管L1に設けられた電磁弁73bを図10に示す処理部11aが10m秒開放し、ステップS32では、その電磁弁73bを処理部11aが50m秒閉塞する。
なお、ステップS31における、電磁弁728又は電磁弁73bの開放時間は、10m秒に限定されず、ステップS32における、電磁弁728又は電磁弁73bの閉鎖時間も50m秒に限定されない。例えば、上記開放時間を15m秒にし、上記閉鎖時間を30m秒にしてもよいし、上記開放時間と上記閉鎖時間を同じ長さにしてもよいし、上記開放時間の方が、上記閉鎖時間よりも長い時間にしてもよい。
ステップS33では、図3に示す、配管L1に設けられた圧力センサ73dの値を処理部11aが検出する。続くステップS34では、圧力センサ73dの値が、図19に示すテーブルに基づく抽出容器9内の気圧の目標値を下回っているか否かを処理部11aが判定する。圧力センサ73dの値が、目標値以上であれば、目標値を下回るまでステップS34が繰り返し実行され、目標値を下回っていればステップS35に進む。処理部11aであるCPUは、レジスタをカウントタイマとして利用し、ステップS35では、処理部11aは、図19に示すテーブルに基づく期間の長さから、終了するタイミングであるか否かを判定し、終了するタイミングであれば、この気圧管理処理は終了になり、終了するタイミングでなければ、ステップS31に戻る。
図21は、図20を用いて説明した気圧管理処理により気圧が管理されている抽出容器9内の気圧の変化を示すグラフである。
図20を用いて説明した気圧管理処理は、抽出容器9内の気圧が目標値に到達する前から開始されてもよいし、目標値に到達した後から開始されてもよい。図21(a)に示すグラフは、目標値に到達する前から気圧管理処理が開始された場合におけるものであり、同図(b)に示すグラフは、目標値に到達した後から気圧管理処理が開始された場合におけるものである。いずれのグラフも、横軸は時間を表し、縦軸は図3に示す圧力センサ73dの値、すなわち抽出容器9内の気圧を表す。
ステップS31が実行されると、抽出容器9内の気圧は10m秒の間、上昇する。ステップS32が実行されると、弁913が開状態になっていることによって、抽出容器9内の気圧は徐々に低下していく。
図21(b)に示すグラフは、同図(a)に示すグラフよりも、目標値に到達するまでの時間が短くてすむが、いずれのグラフでも、流体(蒸気又は空気)の供給が行われた後、続けて50m秒分の流体の供給停止が行われる。このため、圧力検出に要する時間分遅れることなく流体の供給停止が行われ、抽出容器9内の気圧のオーバーシュートが抑えられている。しかも、抽出容器9内の気圧が目標値を下回ると流体(蒸気又は空気)の供給が開始されるため、抽出容器9内の気圧は、目標値の気圧から少し低い気圧に10m秒分の気圧上昇分を加算した気圧の値までしか上昇しない。すなわち、抽出容器9内の気圧は、目標値の気圧に10m秒分の気圧上昇分を加算した気圧の値まで上昇することはなく、この点からも、抽出容器9内の気圧のオーバーシュートが抑えられている。さらに、図20に示すステップS31では、電磁弁728又は電磁弁73bを10m秒しか開放しておらず、ステップS32における電磁弁728又は電磁弁73bの閉鎖時間(50m秒)よりも短い時間しか開放していないため、気圧上昇分が少なく、抽出容器9内の気圧のオーバーシュートがより抑えられている。
また、抽出容器9への流体の供給が停止されている状態で、圧力センサ73dによって流体の圧力を検出するため、圧力センサ73dが設けられた配管L1には流体が流れておらず、正確な圧力検出を行うことができ、高精度な気圧管理処理を実現することができる。
以上の記載では、
『 液体[例えば、お湯]と抽出対象[例えば、コーヒー豆の挽き豆]が収容される抽出容器[例えば、抽出容器9]と、
前記抽出容器に流体を供給する供給部[例えば、送液量調節装置720、配管728c、および電磁弁728、あるいは、コンプレッサ70、配管L1、および電磁弁73b]と、
を備え、
前記液体と前記抽出対象とから製造された飲料[例えば、コーヒー飲料]が、前記供給部から供給された流体[例えば、蒸気、空気、あるいは液体]の圧力によって前記抽出容器から送り出され、
前記抽出容器に流体を供給した[例えば、図20に示すステップS31の実行]後に第二の時間[例えば、50m秒]にわたって前記抽出容器への流体の供給を停止し[例えば、図20に示すステップS32の実行]、
前記抽出容器への流体の供給が停止されている状態で該抽出容器における気圧を検出する[例えば、図20に示すステップS33の実行]、
ことを特徴とする飲料製造装置[例えば、飲料製造装置1]。』
について説明した。
また、
『 前記第二の時間にわたって前記抽出容器への流体の供給を停止する前に、第一の時間[例えば、10m秒]にわたって該抽出容器に流体を供給する[例えば、図20に示すステップS31の実行]、
ことを特徴とする飲料製造装置。』
についても説明した。
また、
『 前記第一の時間[例えば、10m秒]は、前記第二の時間[例えば、50m秒]と異なる長さの時間である、
ことを特徴とする飲料製造装置。』
についても説明した。
また、
『 前記第一の時間[例えば、10m秒]は、前記第二の時間[例えば、50m秒]よりも短い時間である、
ことを特徴とする飲料製造装置。』
についても説明した。
なお、前記第一の時間は、前記第二の時間よりも長い時間であってもよい。
また、
『 前記第一の時間は、前記第二の時間と同じ長さの時間である、
ことを特徴とする飲料製造装置。』
についても説明した。
また、
『 検出した気圧が、目標値[例えば、1.6気圧や2.0気圧]を下回っている場合[例えば、図20に示すステップS34における判定でYesの場合]には前記抽出容器に前記流体を前記第一の時間にわたって供給し[例えば、図20に示すステップS35における判定でYesの場合]、該目標値以上の場合[例えば、図20に示すステップS34における判定でNoの場合]には該気圧が該目標値を下回るまで該流体の供給を停止する、
ことを特徴とする飲料製造装置。』
についても説明した。
なお、
前記供給部は、前記抽出容器に、前記液体よりも高温の流体を供給するものであってもよい。
また、
前記供給部は、蒸気を供給するものであってもよい。
また、
前記供給部は、前記抽出容器に、前記液体よりも高温の第一の流体を供給した後、該液体よりも高温の第二の流体を供給するものであり、
前記第一の流体は、前記第二の流体よりも温度が高い流体であってもよい。
また、
流体を供給する供給管と、
前記供給管に設けられたバルブと、
前記バルブの開閉を制御する制御部と、
液体と抽出対象とが収容され、前記供給管が接続した抽出容器と、
を備え、
前記抽出容器は、前記液体と前記抽出対象とから生成された飲料が、前記供給管から供給された流体の圧力によって送り出されるものであり、
前記制御部は、前記バルブを、第一の時間にわたって開放した後に第二の時間にわたって閉鎖し、該バルブを閉鎖した状態で前記抽出容器における気圧を検出するものである、
ことを特徴とする飲料製造装置であってもよい。
前記供給管に取り付けられた圧力センサを備え、前記制御部は、前記圧力センサによって前記抽出容器における気圧を検出するものであってもよい。
前記流体は、液体であってもよいし気体であってもよいし、液体と気体の混気であってもよい。
また、
前記制御部は、検出した気圧が、目標値を下回っている場合には前記バルブを前記第一の時間にわたって開放し、該目標値以上の場合には該バルブを該気圧が該目標値を下回るまで閉塞したままにするものであってもよい。
また、
前記供給管は、前記液体よりも高温の流体を供給するものであってもよい。
また、
前記供給管は、前記液体よりも高温の第一の流体を供給した後、該液体よりも高温の第二の流体を供給するものであり、
前記第一の流体は、前記第二の流体よりも温度が高い流体であってもよい。
また、
前記供給管は、蒸気を供給するものであってもよい。
また、以上の記載では、
『 液体[例えば、お湯]と抽出対象[例えば、コーヒー豆の挽き豆]が収容され該液体と該抽出対象とから製造された飲料[例えば、コーヒー飲料]が供給された流体の圧力によって送り出される抽出容器[例えば、抽出容器9]に該流体を供給する流体供給ステップ[例えば、図20に示すステップS31]と、
前記流体供給ステップに続いて実行され、第二の時間[例えば、50m秒]にわたって前記抽出容器への前記流体の供給を停止する流体供給停止ステップ[例えば、図20に示すステップS32の実行]と、
前記抽出容器への前記流体の供給が停止されている状態で該抽出容器における気圧を検出する気圧検出ステップ[例えば、図20に示すステップS33の実行]と、
を有することを特徴とする抽出容器の気圧管理方法。』
についても説明した。
また、
『 前記流体供給ステップは、第一の時間[例えば、10m秒]にわたって前記抽出容器に前記流体を供給するステップ[例えば、図20に示すステップS31]である、
ことを特徴とする抽出容器の気圧管理方法。』
についても説明した。
また、
『 前記流体供給ステップは、前記気圧検出ステップにおいて検出した気圧が目標値[例えば、1.6気圧や2.0気圧]を下回っている場合[例えば、図20に示すステップS34における判定でYesの場合]に実行されるステップ[例えば、図20に示すステップS31]であり、
前記気圧検出ステップにおいて検出した気圧が前記目標値以上の場合[例えば、図20に示すステップS34における判定でNoの場合]には該気圧が該目標値を下回るまで前記流体の供給を停止する、
ことを特徴とする抽出容器の気圧管理方法。』
についても説明した。
なお、
前記第一の時間は、前記第二の時間と異なる長さの時間であってもよい。
また、
前記第一の時間は、前記第二の時間よりも短い時間であってもよい。
ただし、前記第一の時間は、前記第二の時間よりも長い時間であってもよい。
また、
前記第一の時間は、前記第二の時間と同じ長さの時間であってもよい。
また、
前記流体供給ステップは、前記流体として前記液体よりも高温の流体を供給するステップであってもよい。
また、
前記流体供給ステップは、前記流体として蒸気を供給するステップであってもよい。
また、
前記流体供給ステップは、前記液体よりも高温の第一の流体を供給した後、該液体よりも高温の第二の流体を供給するステップであり、
前記第一の流体は、前記第二の流体よりも温度が高い流体であってもよい。
続いて、エラー判定の工夫について説明する。
図22は、飲料製造装置1のブロック図である。
この図22に示す制御装置11は、図10に示す制御装置11と同じものであり、図10に示すように、処理部11a、記憶部11b、I/F部11cを有する。図22に示す製造部18は、図10に示すアクチュエータ群14とセンサ群13を合わせたものであって、アクチュエータ群14が駆動することでコーヒー飲料の製造が行われる。なお、ここにいうコーヒー飲料の製造とは、広義の意味であり、コーヒー飲料を最終的に製造する、図11に示す透過式抽出の他、抽出処理S4における各処理も含まれる。また、図11に示す、予熱処理S1、グラインド処理S2、排出処理S4も含まれる。
図22に示す情報表示装置12は、図10に示す情報表示装置12と同じものであり、具体的にはタッチパネル式のディスプレイであって、各種の情報の表示の他、装置の管理者や飲料の需要者等の操作を受け付けることが可能である。すなわち、この情報表示装置12では、表示画面が受付部122になり、その受付部122を制御する制御部121を有する。制御部121は、受付部122から、操作に応じた受付信号を受信する。制御部121は、受付信号を受信すると、その受付信号に応じた処理の実行を指示する指示信号を制御装置11に送信する。制御装置11は、指示信号に応じて、製造部18におけるアクチュエータ群14に制御信号を送信し、アクチュエータ群14の駆動を制御する。また、制御装置11は、アクチュエータ群14の駆動が完了したこと等を表す応答信号を、情報表示装置12の制御部121に送信する。制御部121は、操作が受け付けられたことを表す操作受付表示や、応答信号を受信したことに基づく完了表示等を行うことを指示する制御信号を受付部122に送信する。
さらに、制御装置11は、アクチュエータ群14から駆動状況等を表すモニタ信号を取得する。また、制御装置11は、製造部18におけるセンサ群13からセンサ信号も取得する。制御装置11は、モニタ信号やセンサ信号を取得することで、製造部18におけるコーヒー飲料の製造状況を監視しており、モニタ信号やセンサ信号に基づく監視結果を制御部121に送信する。監視結果は、モニタ信号やセンサ信号そのものであってもよい。あるいは、モニタ信号やセンサ信号が或る値を表す場合には、その或る値を別の値に変換して監視結果としてもよいし、その或る値から得られた情報を監視結果としてもよい。例えば、或る値が閾値を超えているか否かを表す情報を監視結果としてもよい。ただし、モニタ信号やセンサ信号に基づく監視結果を得るのに処理部11aの処理負荷が高まることは好ましくない。
以上説明したように、制御装置11から情報表示装置12の制御部121には、応答信号と監視結果が送信される。これらの応答信号や監視結果はいわゆるログに相当し、制御部121に記憶される。なお、一部のログは、所定間隔(例えば、500m秒の間隔)ごとに制御装置11から制御部121に送信される。
また、情報表示装置12の制御部121は、エラー判定を行う。制御部121には、エラー判定を行うための基準値や条件等が記憶されている。例えば、制御部121は、取得したモニタ信号やセンサ信号が表す値が基準値以上であれば、エラーが発生していると判定したり、反対に、エラーは発生していないと判定したりする。また、制御部121には、コーヒー飲料を製造するための各種の製造条件(レシピ)も記憶されている。制御部121では、制御装置11から送られてきた情報と製造条件とから、エラーが発生しているか否かを判定する場合もある。あるいは、複数の監視結果を用いてエラーが発生しているか否かを判定する場合もある。
図23(a)は、図11に示すグラインド処理(ステップS2)の実行中に情報表示装置12に表示される表示画面を示す図である。
この表示画面の右側半分には、図1に示す飲料製造装置1の模式図で構成されたアニメーション12AMが表示されている。このアニメーション12AMでは、図2に示すキャニスタ40の模式図40M、集合搬送部42の模式図42M、粉砕装置5の模式図5M、分離装置6の模式図6M、抽出容器9の模式図9M、および図3に示すカップCの模式図CMが表示されている。アニメーション12AMは、実際のコーヒー飲料の製造処理に合わせて、現在どの処理が行われているかがわかるように表示される。図23(a)に示す表示画面では、粉砕装置5の模式図5Mでコーヒー豆の粉砕が行われている様子が表示されている。また、表示画面の左側には、現在行われている処理を文字表示する文字表示領域12CAが設けられている。図23(a)に示す表示画面では、その文字表示領域12CAに「グラインド実行中」の文字が表示されている。
図23(b)は、図22に示す情報表示装置12の制御部121に記憶されているエラー判定の基準値のテーブルを示す図である。
上述のごとく、粉砕装置5には、駆動源であるモータと、そのモータにより駆動される回転刃等が設けられており、回転刃の回転数を変化させることで粉砕される焙煎コーヒー豆の大きさ(粒度)を変化可能である。回転刃が空転しているときよりも、回転刃が焙煎コーヒー豆を粉砕しているときの方が、モータの電流値は上昇する。また、焙煎コーヒー豆の種類や、焙煎コーヒー豆の焙煎度により、焙煎コーヒー豆の硬さは異なる。焙煎コーヒー豆を粉砕しているときモータの電流値は、焙煎コーヒー豆が硬いほど、高くなる。図23(b)に示すテーブルでは、焙煎コーヒー豆を粉砕しているときモータの値の基準値が、豆の種類(豆A,豆B・・・)と3段階の焙煎度(浅煎り、中煎り、深煎り)別にそれぞれ規定されている。ここでの電流値の基準値は、一定期間(例えば、10秒)における電流値の累積値(例えば、250m秒ごとの累積値)である。
また、図23(b)では、わかりやすくするために、焙煎コーヒー豆と基準値のテーブルを示したが、実際には、豆の種類や、3段階の焙煎度といった情報は、コーヒー飲料を製造するための各種の製造条件(レシピ)としてまとめられており、モータの電流値の基準値も、レシピの中に含まれている。
制御装置11には、グラインドが実行されている間、所定間隔(例えば、250m秒の間隔)で、上記モータの電流値を表す値が含まれたモニタ信号を取得する。制御装置11は、モニタ信号を取得する度に、そのモニタ信号に含まれている上記モータの電流値を表す値を監視結果(ログ)として、情報表示装置12の制御部121に送信する。
情報表示装置12の制御部121では、受付部122における受付操作から、現在使用されているレシピを把握している。したがって、制御部121は、いずれの焙煎コーヒー豆のグラインドが行われているかも、そのレシピから取得可能であるし、現在グラインドが行われている焙煎コーヒー豆に対応した、モータの電流値の基準値も、そのレシピから取得可能である。制御部121は、監視結果が送信されてくる度、監視結果として送信されてきた値を加算していき、一定期間(例えば、10秒)における電流値の累積値(例えば、250m秒ごとの累積値)を算出する。累積値が算出されると、その累積値が基準値を下回っていないか否かを確認し、累積値が基準値を下回った場合には、粉砕装置5は焙煎コーヒー豆を粉砕していないことになり、豆なしエラーが発生していると判定する。コーヒー飲料の製造にあたっては、最後の濾過式抽出(図10に示すステップS17)の際に抽出容器9内を加圧し、コーヒー飲料の送出を促進させることが行われる。焙煎コーヒー豆がない状態でコーヒー飲料の製造を続けていくと、この送出の際に挽き豆の堆積による抵抗がなく、お湯が相当な勢いで抽出容器9から噴出し、危険である。このため、制御部121は、豆なしエラーが発生していると判定すると、その判定結果を制御装置11に送信し、制御装置11は、粉砕装置5のモータの回転を停止させる制御信号を製造部18に送信する。この結果、粉砕装置5のモータは回転を停止させる。また、制御部121は、豆なしエラーが発生していると判定すると、エラー表示を行うことを指示する制御信号を受付部122に送信する。
図24は、グラインド処理の実行中に情報表示装置12に表示されるエラー表示の例を示す図である。
図23(a)に示す表示画面にオーバーラップするようにエラー表示が表示される。すなわち、図24に示す情報表示装置12の表示画面には、粉砕装置5の模式図5Mにオーバーラップするように「豆なしエラー」の文字が記されたエラー表示12EBが表示されている。また、「グラインド実行中」の文字が表示されている文字表示領域12CAにオーバーラップするように「非常停止中」の文字表示12ESが表示されている。
制御部121が豆なしエラーが発生していると判定すると、再度、一番最初からのコーヒー飲料の製造指示が出されるまで、飲料製造装置1は停止状態を維持する。
なお、ここでの例では、電流値で判定したが、電流値に限らず、電気的パラメータの値であればよく、例えば、消費電力の値であってもよい。また、一定期間における累積値で判定したが、一定期間における、最大値であってもよいし、最小値であってもよいし、平均値であってもよい。
図25は、図11に示す蒸らし用注湯処理(ステップS11)の実行中に情報表示装置12に表示される表示画面を示す図である。
蒸らし用注湯処理では、蓋ユニット91が開いた状態の容器本体90に挽き豆が投入され、蓋ユニット91が閉められた後、挽き豆を蒸らすため、一杯分のお湯よりも少ない量のお湯を抽出容器9に注入する。
図25に示す情報表示装置12の表示画面にも、右側半分に、図1に示す飲料製造装置1の模式図で構成されたアニメーション12AMが表示されている。ここでは、蓋ユニット91の模式図91Mと、容器本体90の模式図90Mが示されており、蓋ユニット91が開いた状態の容器本体90に挽き豆が投入され、蓋ユニット91が閉められる様子が模式図91M,90Mで表示されている。また、表示画面の左側における文字表示領域12CAには「蒸らし用注湯実行中」の文字が表示されている。
図9の囲み図を用いて説明したように、抽出容器9には、モータ822の駆動力により左右方向に開閉される一対の把持部材821aが設けられている。一対の把持部材821aが閉状態の場合、図9の囲み図において実線で示すように、各把持部材821aは、蓋ユニット91の鍔部911cと容器本体90のフランジ部90cとを上下に挟み込むようにしてこれらに嵌合し、蓋ユニット91が容器本体90に対して気密にロックされる。一方、蓋ユニット91を開くには、一対の把持部材821aを開状態にする必要がある。抽出容器9には、一対の把持部材821aが、開状態の位置にあることを検出する開状態検出センサと、閉状態の位置にあることを検出する閉状態検出センサが設けられている。制御装置11は、蒸らし用注湯処理が開始されると、一対の把持部材821aを開状態の位置まで移動させる制御信号を製造部18に出力する。制御装置11は、開状態検出センサから一対の把持部材821aを検出したことを表すセンサ信号を取得することで、一対の把持部材821aが開状態の位置に到達したことを確認する。挽き豆を投入するのに必要な投入期間が経過すると、制御装置11は、開状態の位置にある一対の把持部材821aを閉状態の位置まで移動させる制御信号を製造部18に出力する。飲料製造装置1が電源投入されると実行される初期動作においても、開状態の位置にある一対の把持部材821aを閉状態の位置まで移動させることが行われる。制御装置11は、初期動作において、一対の把持部材821aを閉状態の位置まで移動させる制御信号を出力してから、閉状態検出センサから一対の把持部材821aを検出したことを表すセンサ信号を取得するまでの時間(到達時間)を計測し、その到達時間を、情報表示装置12の制御部121に送信する。制御部121は、その到達時間を基準時間として記憶する。こうすることで、電源が投入される度に、基準値となる基準時間が、電源投入時の抽出容器9の状態に応じた時間に更新される。すなわち、コーヒー飲料を製造するための各種の製造条件(レシピ)の一部が、飲料製造装置1の個体差に応じて修正される。抽出容器9の状態は、一対の把持部材821aを移動させるモータ822の調子や、動力伝達機構(例えば、ギア列)の噛み合わせ具合や回転抵抗の大きさ等によって変わるため、レシピの一部を修正することによって、より正確にコーヒー飲料を製造することができるようになる。
制御装置11は、蒸らし用注湯処理においても、一対の把持部材821aを閉状態の位置まで移動させる制御信号を出力してから、閉状態検出センサから一対の把持部材821aを検出したことを表すセンサ信号を取得するまでの時間(到達時間)を計測し、その到達時間を監視結果として制御部121に送信する。制御部121では、監視結果として送信されてきた到達時間が、基準時間よりも一定時間以上長ければ、蓋ユニット91に関するエラーが発生していると判定する。ここでの一定時間は、0秒であってもよいが、誤差を考慮してある程度の時間を与えておく。例えば、基準時間が300m秒であって、監視結果の時間が500m秒以上であった場合は、一対の把持部材821aは閉状態にはなったが、閉状態になるまでに200m秒も長く時間がかかっていることになる。これは、蓋ユニット91の鍔部911cまたは容器本体90のフランジ部90cに、挽き豆の残渣等が付着していたことが要因と考えられ、制御部121は、清掃エラーが発生していると判定する。制御部121は、清掃エラーが発生していると判定すると、警告表示を行うことを指示する制御信号を受付部122に送信する。しかしながら、蓋ユニット91はロックされていることから、蒸らし用注湯処理を中止させる制御信号は製造部18に送信せず、蒸らし用注湯処理を継続させる。制御部121は、判定結果を制御装置11に送信する必要はない。
図25(a)に示す表示画面には、「蒸らし用注湯実行中」の文字が表示されている文字表示領域12CAの下に、その文字表示領域12CAにオーバーラップしないように、清掃を促す警告表示12WCが表示されている。
また、基準時間が300m秒であって、蒸らし用注湯処理において700m秒が経過しても、制御装置11が閉状態検出センサから一対の把持部材821aを検出したことを表すセンサ信号を取得することができない場合は、監視結果としてタイムオーバの結果を制御部121に送信する。この場合、一対の把持部材821aは閉状態になっておらず、蓋ユニット91はロックされていないことになり、制御部121では、蓋ユニット91のロックエラーが発生していると判定する。制御部121は、蓋ユニット91のロックエラーが発生していると判定すると、その判定結果を制御装置11に送信し、制御装置11は、蒸らし用注湯処理を中止させる制御信号を製造部18に送信する。この結果、蒸らし用注湯処理は中止され、抽出容器9に蒸らし用の注湯が行われることはない。また、制御部121は、蓋ユニット91のロックエラーが発生していると判定すると、エラー表示を行うことを指示する制御信号を受付部122に送信する。
図25(b)は、蒸らし用注湯処理の実行中に情報表示装置12に表示されるエラー表示の例を示す図である。
図25(b)に示す情報表示装置12の表示画面には、蓋ユニット91の模式図91Mや容器本体90の模式図90Mにオーバーラップするように「蓋ユニットロックエラー」の文字が記されたエラー表示12ECが表示されている。また、「蒸らし用注湯実行中」の文字が表示されている文字表示領域12CAにオーバーラップするように「非常停止中」の文字表示12ESが表示されている。
制御部121が蓋ユニット91のロックエラーが発生していると判定すると、マニュアルモードに切り替えるまで、飲料製造装置1は停止状態を維持する。マニュアルモードでは、容器本体90に投入された挽き豆を容器本体90から排出する作業を、飲料製造装置1の管理者が手作業で行う。また、管理者は、一対の把持部材821aが閉状態にならなかった原因を調査する。
なお、この例では、制御装置11が到達時間を計測したが、情報表示装置12の制御部121が到達時間を計測するようにしてもよい。こうする場合には、その制御部121は、制御装置11から、一対の把持部材821aを閉状態の位置まで移動させる制御信号を出力したことを表すログを取得する。また、制御部121は、制御装置11から、閉状態検出センサから一対の把持部材821aを検出したことを表すセンサ信号を取得したことを表すログを取得できるようにしておく。
図26(a)は、図11に示す透過式抽出処理(ステップS17)の実行中に情報表示装置12に表示される表示画面を示す図である。
透過式抽出処理では、反転した抽出容器9内において、コーヒー液がお湯に溶け込んだコーヒー飲料が蓋ユニット91に設けたフィルタを透過してカップCに送出される。
図26(a)に示す情報表示装置12の表示画面にも、右側半分に、図1に示す飲料製造装置1の模式図で構成されたアニメーション12AMが表示されている。ここでは、反転した状態の抽出容器9の模式図9Mから、コーヒー飲料がカップCの模式図CMに送出されている様子が表示されている。また、表示画面の左側における文字表示領域12CAには「透過式抽出実行中」の文字が表示されている。
図18に示すように、透過式抽出処理が実行されている期間T10や期間T11では、抽出容器9内の気圧が目標値に保たれる。抽出容器9内の気圧を目標値に保つには、制御装置11が、期間T10であれば図12等に示す電磁弁728を開閉し、期間T11であれば図3に示す電磁弁73bを開閉する。制御装置11は、期間T10の間、電磁弁728を開放させる弁開放制御信号を出力する。また、制御装置11は、期間T11の間、電磁弁73bを開放させる弁開放制御信号を出力する。制御装置11は、これらの弁開放制御信号を出力すると、弁開放制御信号を出力したことを表す監視結果(ログ)を情報表示装置12の制御部121に送信する。弁開放制御信号は、抽出容器9に供給する流体の供給具合を表すものの一つに相当する。制御部121は、監視結果を受信した回数をカウントし、期間T10における加圧回数のカウント値および期間T11における加圧回数のカウント値をそれぞれ求める。期間T10における加圧回数の基準値や、期間T11における加圧回数の基準値についても、コーヒー飲料を製造するための各種の製造条件(レシピ)の中に含まれている。制御部121は、カウント値が基準値(例えば、20回)を下回っているか否かを確認し、カウント値が基準値を下回っていれば、フィルタが詰まってコーヒー飲料の送出が妨げられているフィルタ目詰まりエラーが発生していると判定する。制御部121は、フィルタ目詰まりエラーが発生していると判定すると、警告表示を行うことを指示する制御信号を受付部122に送信する。しかしながら、透過式抽出処理は終了しており、透過式抽出処理を中止させる制御信号を製造部18に送信する必要はなく、制御部121は、判定結果も制御装置11に送信する必要はない。
図26(b)は、図11に示す透過式抽出処理(ステップS17)が完了すると情報表示装置12に表示される表示画面を示す図である。
図26(b)に示す情報表示装置12の表示画面にも、右側半分に、図1に示す飲料製造装置1の模式図で構成されたアニメーション12AMが表示されている。ここでは、反転した状態の抽出容器9からの抽出が終了し、カップCの模式図CMからは湯気がたっている様子が表示されている。また、表示画面の左側における文字表示領域12CAには「コーヒーが出来上がりました」の文字が表示されている。さらに、その文字表示領域12CAの下に、その文字表示領域12CAにオーバーラップしないように、フィルタの清掃を促す警告表示12WFが表示されている。
なお、加圧回数のカウントは、情報表示装置12の制御部121が行ったが、制御装置11がそのカウントを行い、カウント値を監視結果として制御部121に送信してもよい。この場合には、透過式抽出処理が完了すると、透過式抽出処理が完了するまでの監視結果を制御部121に一括して送信することになる。
以上、3つの処理におけるエラー判定について説明したが、いずれのエラー判定も、製造部18を制御する制御装置11が行うのではなく、情報表示装置12の制御部121が行っているため、制御装置11における処理負荷が低減されている。
なお、ここで説明した処理以外の処理におけるエラー判定についても、情報表示装置12の制御部121が行うようにしてもよい。こうすることで、制御装置11における処理負荷をより低減させることができる。
以上の記載では、
『 操作を受け付ける受付部[例えば、受付部122]を制御する第一の制御部[例えば、制御部121]と、
飲料を製造する製造部[例えば、製造部18]を制御する第二の制御部[例えば、制御装置11]と、
を備え、
前記第二の制御部は、前記製造部における飲料の製造状況を監視し、監視結果[例えば、ログ]を前記第一の制御部に送信するものであり、
前記第一の制御部は、前記監視結果に基づいて、前記製造部においてエラーが発生しているか否かの判定を行うものである、
ことを特徴とする飲料製造装置[例えば、飲料製造装置1]。』
について説明した。
また、
「 操作を受け付ける第一の制御部[例えば、制御部121]と、
飲料を製造するための処理を実行する処理部[例えば、製造部18]と、
前記処理部における処理状況を監視し、監視結果を前記第一の制御部に送信する第二の制御部[例えば、制御装置11]と、
を備え、
前記第一の制御部は、前記監視結果に基づいて、前記処理部においてエラーが発生しているか否かの判定を行うものである、
ことを特徴とする飲料製造装置[例えば、飲料製造装置1]。」
についても説明した。すなわち、上記製造部は処理部に置き換えることができ、以下においても同様である。
また、
「 操作を受け付ける第一の制御部[例えば、制御部121]と、
飲料を製造するための処理を実行する処理部[例えば、製造部18]と、
前記処理部に関する情報を前記第一の制御部に送信する第二の制御部[例えば、制御装置11]と、
を備え、
前記第一の制御部は、前記情報に基づいて、前記処理部においてエラーが発生しているか否かの判定を行うものである、
ことを特徴とする飲料製造装置[例えば、飲料製造装置1]。」
についても説明した。すなわち、監視結果は前記処理部に関する情報に置き換えることができ、以下においても同様である。
なお、前記製造部は、本体に内蔵されたものであり、前記受付部は、前記本体の外周面に取り付けられたものであってもよい。さらに、前記受付部は、前記本体の外周面に、移動可能に取り付けられたものであってもよいし、向きが調製可能に取り付けられたものであってもよい。前記第二の制御部も、前記本体に内蔵されたものであってもよい。前記第一の制御部は、前記受付部と別体のものであってもよいし、一体のものであってもよい。
また、前記製造部が飲料を製造するとは、広義の意味であり、飲料を最終的に製造する他、最終的に製造する前の準備や、中間体の製造等も含まれる。
また、前記エラーは、飲料を製造することができないエラーであってもよいし、現時点では飲料を製造することはできるがこのまま放置するといずれは飲料を製造することができなくなる予防的なエラーであってもよいし、このまま放置しても飲料を製造し続けることができるエラー(例えば、飲料の製造とは全く無関係のエラー)であってもよい。
また、
『 前記第二の制御部は、前記製造部における飲料の製造が完了[例えば、透過式抽出処理が完了]すると、該製造が完了するまでの監視結果[例えば、加圧回数のカウント値]を前記第一の制御部に送信するものである、
ことを特徴とする飲料製造装置。』
についても説明した。
また、
『 前記第二の制御部は、前記製造部における飲料の製造中の監視結果[例えば、モータの電流値]を、該製造中に所定の周期[例えば、250m秒の周期]で前記第一の制御部に送信するものである、
ことを特徴とする飲料製造装置。』
についても説明した。
また、
『 前記第一の制御部は、前記製造部においてエラーが発生しているという判定結果であった場合に、エラー報知[例えば、図24に示す「豆なしエラー」のエラー表示12EB、図25(b)に示す「蓋ユニットロックエラー」のエラー表示12EC]の実行を指示するものである、
ことを特徴とする飲料製造装置。』
についても説明した。
また、
『 前記第一の制御部は、前記製造部においてエラー[例えば、豆なしエラー、蓋ユニットロックエラー]が発生しているという判定結果であった場合に、前記第二の制御部に、該判定結果[例えば、判定結果]を送信するものであり、
前記第二の制御部は、前記判定結果を受信すると、前記製造部における飲料の製造を停止させるものである[例えば、図24に示す例や図25(b)に示す例]、
ことを特徴とする飲料製造装置。』
についても説明した。
また、
『 前記製造部は、抽出対象を粉砕するもの[例えば、粉砕装置5]であり、
前記第二の制御部は、前記製造部が前記抽出対象を粉砕する際の抵抗に基づいて変化する値[例えば、電流値や消費電力の値であって一定期間における累積値、最大値、最小値、平均値]を監視するものであり、
前記第一の制御部は、前記値が基準値を下回った場合に、前記製造部においてエラー[例えば、豆なしエラー]が発生していると判定するものである、
ことを特徴とする飲料製造装置。』
についても説明した。
なお、前記第二の制御部は、前記値に関する監視結果を前記第一の制御部に送信するものであって、前記値に関する監視結果は、該値を表すものであってもよいし、該値が前記基準値を下回っているか否かを表すものであってもよい。
また、前記製造部は、電気駆動することで、抽出対象を粉砕するものであり、前記第二の制御部は、前記値として、前記製造部が前記抽出対象を粉砕する際の電気的パラメータの値(例えば、電流値や消費電力の値)を監視するものであってもよい。
また、前記抽出対象は、豆であってもよいし、葉であってもよい。
また、
『 前記第一の制御部は、前記基準値として、前記抽出対象の硬さによって値が異なる基準値[例えば、図23(b)のテーブルに示す基準値(レシピに含まれる基準値)]を用いて、前記判定を行うものである、
ことを特徴とする飲料製造装置。』
についても説明した。
また、
『 前記製造部は、第一の位置[例えば、開状態の位置]から第二の位置[例えば、閉状態の位置]へ移動する移動部材[例えば、一対の把持部材821a]を有するものであり、
前記第二の制御部は、前記移動部材が前記第一の位置から前記第二の位置へ到達するまでの到達時間を監視するものであり、
前記第一の制御部は、前記到達時間が基準時間[例えば、700m秒]を超えた場合に、前記製造部においてエラー[例えば、蓋ユニットロックエラー]が発生していると判定するものである、
ことを特徴とする飲料製造装置。』
についても説明した。
なお、前記第二の制御部は、前記到達時間に関する監視結果を前記第一の制御部に送信するものであって、前記到達時間に関する監視結果は、該到達時間を表すものであってもよいし、該到達時間が前記基準時間を超えたか否かを表すものであってもよい。
また、前記第一の制御部は、この飲料製造装置に電源が投入されると実行される初期動作における前記移動部材の前記到達時間に基づいて前記基準時間を設定するものであってもよい。
また、
『 前記製造部[例えば、抽出装置3]は、流体[例えば、貯留部725及び726で生成された蒸気やコンプレッサ70からの空気]を供給し[例えば、電磁弁728、電磁弁73b]、液体と抽出対象とから生成された飲料を、該流体の圧力によって送り出すものであり、
前記第二の制御部は、前記流体の供給具合[例えば、電磁弁開放回数(加圧回数)]を監視するものであって、
前記第一の制御部は、前記監視結果に基づいて、前記飲料の送り出しが妨げられているエラー[例えば、フィルタの目詰まりエラー]が発生しているか否かを判定するものである、
ことを特徴とする飲料製造装置。』
についても説明した。
なお、前記第二の制御部は、前記供給具合に関する監視結果を前記第一の制御部に送信するものであってもよい。
前記製造部は、流体を供給する供給管と、前記供給管に設けられたバルブと、液体と抽出対象とが収容され該供給管が接続した抽出容器とを備えたものであってもよい。さらには、前記抽出容器は、前記飲料が通過するフィルタを備えたものであってもよく、前記第一の制御部は、前記監視結果に基づいて、前記フィルタが目詰まりしているというエラーが発生しているか否かを判定するものであってもよい。
続いて、貯留装置について詳述する。
図27は、装着部に装着されたキャニスタ周辺を示す斜視図であり、図28は、図27に示すキャニスタ周辺の垂直断面図である。
図27に示すキャニスタは、図1に示すキャニスタ40とは異なる形状をしている。以下の説明では、これまで説明した構成要素の名称と同じ名称の構成要素には、これまで用いた符号と同じ符号を付して説明する。
図27に示すキャニスタ40は、ホルダユニット43(図29参照)に着脱自在なカートリッジとして構成されている。これにより、例えば、焙煎コーヒー豆の種類の交換を容易かつ迅速に行うことができる。ホルダユニット43は、複数の装着部44(図29参照)を含む。一つの装着部44に一つのキャニスタ40が着脱自在に装着される。この例では、ホルダユニット43は三つの装着部44を含む。したがって、同時に三つのキャニスタ40を装着することができる。
図27に示すキャニスタ40は、焙煎コーヒー豆を収容する細長い中空の豆容器である。図28に示すように、キャニスタ40は、筒部401、蓋部402、接続部403、パッキン404、出口形成部405及び出口開閉部408の各部材を含む。
筒部401は、両端部が開放した円筒形状を有しており、焙煎コーヒー豆の収容空間を画定する。筒部401の両端部は、いずれも焙煎コーヒー豆の出入りが可能な口を構成している。筒部401の、蓋部402側の端部の口は、キャニスタ40から飲料製造装置1内へ(コンベア41へ)焙煎コーヒー豆が移動する際には焙煎コーヒー豆が通過しない口であり、蓋部402を開放して焙煎コーヒー豆を補充する場合に焙煎コーヒー豆が通過する口である。
また、筒部401は、透過性を有する部材で形成されている。これにより、収容されている焙煎コーヒー豆の残量を外部から視認することができる。筒部401の周壁には、スケールSCがその軸方向と平行に延設されている。スケールSCには、焙煎コーヒー豆の残量の目安となる目盛が形成されている。
筒部401の一方端部には、環状のパッキン404を介して円筒形状の接続部403が嵌合する。パッキン404は接続部403のフランジ部と筒部401の端縁との間をシールするが、省略してもよい。接続部403の内周面には、雌ネジが形成されている。蓋部402はこの雌ネジに螺号する雄ネジが形成されており、接続部403に対して着脱自在とされている。したがって、キャニスタ40を装着部44に装着した状態で、蓋部402を回して取り外し、焙煎コーヒー豆を補充することもできる。
蓋部402は半球の殻形状を有しており、筒部401の一方端部を閉鎖する。蓋部402の外周面には周方向に複数の凹部が形成されており、ユーザが指をかけて蓋部402を回しやすくなっている。
図28に示す出口形成部405は、筒部401の他方端部に接着等により固定される。出口形成部405は上方に開放したカップ状の部材であり、その周壁には出口405aが形成されている。出口405aは焙煎コーヒー豆の出入りが可能な口であり、筒部401に収容される焙煎コーヒー豆は出口405aから外部へ排出可能である。つまり、出口405aは、キャニスタ40から飲料製造装置1内へ(コンベア41へ)焙煎コーヒー豆が移動する際に焙煎コーヒー豆が通過する口であり、粉砕装置5への豆供給用の口である。
出口形成部405には、また、突起部405bが形成されている。突起部405bには装着部44に対するキャニスタ40の装着方向を示すマークが付されている。
出口形成部405には、また、突起部405bから下方に延びる検知片405c(図28参照)が形成されている。検知片405cは、装着部44に対するキャニスタ40の装着の有無を検知するために用いられる。
図28に示す出口開閉部408は、出口形成部405を受け入れる上方に開放したカップ状の部材であり、出口405aを開閉する蓋機構あるいは蓋部材を構成する。出口開閉部408の周壁には開口部408aが形成されている。開口部408aが出口405aと重なると出口405aが開状態となり、出口開閉部408の周壁が出口405aと重なると出口405aが閉状態となる。つまり、出口開閉部408は、筒部401の中心軸線回りに出口形成部405に対して回転可能に出口形成部405に装着される。図28に示す出口開閉部408は、後述する装着部44側の機構により操作され、出口405aを開閉する。
図27に示す装着部44は、キャニスタ40の端部が挿入されるカップ状の本体部441を含む。本体部441は、その前側が上方に開口しており、ここにキャニスタ40の筒部401の端部、出口形成部405及び出口開閉部408が収容され、その後側は複数のリブ441eで構成されており、その内側の回転部材444等が視認可能となっている。
本体部441の周壁の端縁には、突起部405bが係合する溝441a(図28参照)が形成されている。この溝441aに隣接して、図28に示す検知片405cを検知するセンサ441b(図27参照)が配置されている。センサ441bは例えばフォトインタラプタであり、センサ441bが検知片405cを検知すると、キャニスタ40が装着されたと図10に示す処理部11aは認識する。センサ441bが検知片405cを検知しないとキャニスタ40が装着されていないと処理部11aは認識する。
本体部441の周壁には、また、キャニスタ40からの焙煎コーヒー豆を受け入れる受入部442(図28参照)が形成されている。受入部442は、コンベア41の内部に連通した開口である。キャニスタ40の出口405aから排出される焙煎コーヒー豆は、受入部442を通ってコンベア41へ導かれる。
受入部442の根元には、豆残量検知センサSR(図27参照)が設けられている。豆残量検知センサSRは、例えば、透過式のセンサ(フォトインタラプタ)である。この位置で豆が無いと検知されてから、所定の回数(たとえば2杯分)のコーヒー飲料の製造を行うと、キャニスタ40の中身が空であることを報知してもよい。
図28に示すように、本体部441内には、出口開閉部408の外形にフィットするカップ形状を有する部材であるシャッタ部443が設けられている。シャッタ部443は、本体部441内で、キャニスタ40の中心軸線回りに回転自在に支持されており、受入部442を開閉する。図27に示す本体部441の周壁には、周方向に複数のローラ441dが配置されている。本体部441の周壁には、ローラ441dを内部に露出する開口が形成されている。ローラ441dはキャニスタ40の中心軸と平行な軸回りに回転自在に支持されている。シャッタ部443はその外周面が、本体部441の内部において複数のローラ441dに当接し、回転自在に支持されている。
キャニスタ40が未装着の場合、シャッタ部443は受入部442を閉鎖してコンベア41内に異物が侵入することを防止する。図28はシャッタ部443が受入部442を閉鎖した状態を示している。キャニスタ40が装着された後、モータ41aの駆動によりシャッタ部443を回転し、受入部442を開放することができる。
図28に示すシャッタ部443は回転部材444に取り付けられている。回転部材444は出口開閉部408を操作して回転させ、出口405aを開閉する。回転部材444は駆動軸445に連結されている。駆動軸445はキャニスタ40が装着された場合に、その中心軸線と同軸上に位置するように配置され、モータ41aの駆動力を回転部材444へ伝達する要素の一つである。回転部材444は前方側上方に開口した円筒状の部材である。回転部材444の周壁の端縁には溝444aが形成されており、この溝444aには出口開閉部408の突起408cが係合する。この係合により、回転部材444を回転すると出口開閉部408も回転し、出口405aを開閉することになる。図28は出口開閉部408が出口405aを閉状態とした状態を示している。
以上の構成により、回転部材444の回転によって、シャッタ部443が受入部442を閉鎖し、かつ、出口開閉部408が出口405aを閉状態とした状態(図28の状態。閉鎖状態と呼ぶ。)と、シャッタ部443が受入部442を開放し、かつ、出口開閉部408が出口405aを開状態とした状態(焙煎コーヒー豆を装置内に供給する状態。開放状態と呼ぶ。)と、に貯留装置4の状態を切り替えることができる。これらの状態は、不図示のセンサによりシャッタ部443の回転位置を検知することで、図10に示す処理部11aに認識することができる(フィードバック制御)。別の例として、モータ41aとしてステッピングモータを用い、その制御量(ステップ数)で貯留装置4の状態の認識と切替えを行ってもよい(オープンループ制御)。
図28に示す駆動軸445には傘歯歯車445aが設けられており、傘歯歯車445aは駆動軸46に設けた傘歯歯車445bと噛み合っている。
図28に示す駆動軸46には、モータ41aの出力軸に設けられたピニオンギア45aと噛み合う歯車45bが設けられており、駆動軸46はモータ41aの駆動により回転する。駆動軸46と傘歯歯車445bとの間にはワンウェイクラッチ445cが介在している。ワンウェイクラッチ445cは、駆動軸46の一方方向の回転のみ傘歯歯車445bに伝達する。つまり、モータ41aを一方方向に回転した場合は、モータ41aの駆動力が、傘歯歯車445b、傘歯歯車445a、駆動軸445の経路で回転部材444に伝達されるが、モータ41aをこれとは逆の他方方向に回転した場合は伝達されない。
コンベア41はキャニスタ40からの焙煎コーヒー豆を搬送する搬送機構である。コンベア41はキャニスタ40側ではなく装着部44側に設けられている。つまり、コンベア41はキャニスタ40が装着部44から取り外された場合に装着部44側に残るように設けられている。キャニスタ40とコンベア41とを一体にする構成も採用可能であるが、ここでの例のように別体に構成することで、キャニスタ40の簡略化、軽量化を図れる。
コンベア41のスクリュー軸47は、図28に示すワンウェイクラッチ47aを介して駆動軸46に連結されている。ワンウェイクラッチ47aの駆動伝達方向は、ワンウェイクラッチ445cと逆方向である。つまり、モータ41aを他方方向に回転した場合は、モータ41aの駆動力がスクリュー軸47に伝達され、焙煎コーヒー豆が搬送されるが、モータ41aをこれとは逆の一方向に回転した場合は伝達されない。
こうして、モータ41aの回転方向を正逆で切り替えることで、回転部材444の回転(つまりシャッタ部443及び出口開閉部408の回転)と、スクリュー軸47の回転とを排他的に行うことができる。
キャニスタ40の装着及び取り外しに関する、図10に示す処理部11aの制御例について説明する。ユーザによってキャニスタ40が装着部44に装着されると、図27に示すセンサ441bによりこれが検知される。処理部11aはモータ41aを駆動して、シャッタ部443及び出口開閉部408を開放状態とする。図28に示す突起408cは、本体部441の内周壁に設けられたストッパ441cと、キャニスタ40の軸線方向に係合し、ユーザが手を放してもキャニスタ40が装着部44から脱落しなくなる。換言すると突起408cは、出口開閉部408が出口405aを開放している場合にキャニスタ40が装着部44から取り外されることを規制する規制部として機能する。これにより、出口405aが開放されたまま、キャニスタ40が取り外されてキャニスタ40内の焙煎コーヒー豆がこぼれ落ちることを防止できる。
シャッタ部443及び出口開閉部408が開放状態とされたことで、キャニスタ40内の焙煎コーヒー豆が受入部442を通ってコンベア41内に導入される。この状態で待機する。
コーヒー飲料の製造の際には、モータ41aを駆動してスクリュー軸47を回転して停止する。これにより図2に示す集合搬送部42へ焙煎コーヒー豆が搬送される。スクリュー軸47の回転量によって、コーヒー飲料の製造に用いる焙煎コーヒー豆の量が自動計量される。1回のコーヒー飲料の製造で、複数の焙煎コーヒー豆をブレンドしてコーヒー飲料の製造を行いたい場合は、キャニスタ40間で、コンベア41による集合搬送部42への搬送量の割合を変えてもよい。これにより、複数種類の焙煎コーヒー豆がブレンドされた挽き豆を抽出容器9に供給することができる。
キャニスタ40を交換する場合、ユーザは情報表示装置12から交換指示を行う。処理部11aはモータ41aを駆動して、シャッタ部443及び出口開閉部408を閉鎖状態に戻す。ユーザは装着部44からキャニスタ40を取り外すことができる。
次に、貯留装置4についての工夫について説明する。
図29は、集合搬送部42周辺を正面から示した概要図である。
図29には、貯留装置4の構成要素となる、複数(ここでは3つ)のキャニスタ40と、集合搬送部42が図示されている。図27及び図28を用いて説明したように、各キャニスタ40には、キャニスタ40に収容された焙煎コーヒー豆を所定の量だけ自動搬送し、送出口から集合搬送部42に送出するコンベア41が個別に設けられている。図27では、それらの送出口410が示されている。送出口410は、集合搬送部42の後壁42Bに形成されたものである。送出口410については後述する。
図29に示す集合搬送部42は、各コンベアの送出口410よりも下流側(下方側)に、第1通路421と第2通路422の2つの通路を有する。なお、集合搬送部42は、3つ以上の通路を有するものであってもよい。各送出口410から送出された焙煎コーヒー豆は、集合搬送部42を下流側に向かって転動し、第1通路421又は第2通路422を通過する。第1通路421における下流端は、不図示の廃棄箱に接続している。一方、第2通路422における下流端は、図2に示す粉砕装置5に接続している。
また、集合搬送部42には、案内部材423が設けられている。この案内部材423は、各送出口410から送出された焙煎コーヒー豆を、第2通路422に案内する状態と、第2通路422に案内しない状態との間で状態を切り替えるものである。図29に示す集合搬送部42では、第2通路422に案内しない状態とは、第1通路421に案内する状態の場合もあれば、第2通路422につながる第2入口422aを塞いだ状態の場合もある。この案内部材423は、第1通路421と第2通路422との間に設けられており、下端を回動中心42Cにして、不図示のソレノイドの進退に応じて左側に回動したり、右側に回動したりすることが可能なものである。案内部材423は、第2通路422に案内する状態では、左側に回動し、集合搬送部42の左側傾斜壁42Lの下端に接続した状態になり、第1通路421に案内する状態では、右側に回動し、集合搬送部42の右側傾斜壁42Rの下端に接続した状態になる。案内部材423の状態は、図10に示す処理部11aによって制御される。
図29に示す案内部材423は、第2通路422に案内する状態であり、1点鎖線の矢印で示すように、左側の送出口410から送出された焙煎コーヒー豆Bは、左側傾斜壁42Lに沿って下方へ流下していき、左側に回動した案内部材423によって、第2通路422に向けて案内される。また、左側に回動した案内部材423によって、第1通路421へつながる第1入口421aが塞がれ、焙煎コーヒー豆Bが第1通路421へ進入することが防止されている。第1入口421aは、左側傾斜壁42Lの下端と、案内部材423の回動中心42Cとの間の空間になる。一方、上述の第2入口422aは、右側傾斜壁42Rの下端と、案内部材423の回動中心42Cとの間の空間になる。
また、図29に示す右側の送出口410から送出された焙煎コーヒー豆は、右側傾斜壁42Rに沿って下方へ流下していき、第2入口422aから第2通路422へ入り込む。左側に回動した案内部材423に、第2入口422aを飛び越えてぶつかった焙煎コーヒー豆は、その案内部材423に案内されて、第2入口422aから第2通路422に入り込む。
さらに、図29に示す中央の送出口410から送出された焙煎コーヒー豆は、後壁42Bに沿って下方へ流下していき、第2入口422aから第2通路422へ入り込む。左側に回動した案内部材423の上に流下した焙煎コーヒー豆は、その案内部材423に案内されて、第2入口422aから第2通路422に入り込む。
なお、図示はされていないが、案内部材423が第1通路421に案内する状態であれば、送出口410から送出された焙煎コーヒー豆は、第1入口421aから第1通路421に直接入り込んだり、右側に回動した案内部材423に案内されて、第1入口421aから第1通路421に入り込む。また、右側に回動した案内部材423によって第2入口422aが塞がれ、焙煎コーヒー豆が第2通路422へ進入することが防止される。
さらに、案内部材423は、振動可能なものである。例えば、重心がモータの回転軸からずれた偏心おもりをそのモータで回転させることで振動を発生させることができる。案内部材423を振動させることで、焙煎コーヒー豆の詰まりが生じてしまうことを低減させることできる。案内部材423の振動は、図10に示す処理部11aによって制御される。例えば、貯留装置4に設けられたコンベア41の駆動開始に応じて、案内部材423が振動を開始し、そのコンベアの駆動が終了した後に、案内部材423の振動も終了するようにしてもよい。より具体的には、コンベア41の駆動開始と同時に案内部材423も振動を開始してもよいし、コンベア41の駆動開始後に案内部材423も振動を開始してもよい。第2通路422に向かう焙煎コーヒー豆が第2入口422a付近でブリッジを引き起こし、焙煎コーヒー豆が詰まってしまうことがあるが、焙煎コーヒー豆が集合搬送部42を通過している間、連続して案内部材423を振動させることでブリッジが生じにくくなる。
なお、コンベア41の駆動開始よりも前から案内部材423の振動を開始していてもよい。
また、貯留装置4に設けられたコンベア41の駆動中には案内部材423を振動させず、コンベア41の駆動が終了した後で、案内部材423を所定時間の振動させるようにしてもよい。あるいは、飲料製造装置1の電源が投入され、初期動作で案内部材423を振動させてから、案内部材423を間欠的に振動させるようにしてもよい。ブリッジが生じていた場合であっても、案内部材423を振動させることで、そのブリッジを破壊することができる。
なお、案内部材423が、第1通路421に案内する状態であっても、同様に案内部材423を振動させる。こうすることで、第1通路421に向かう焙煎コーヒー豆が第1入口421a付近で詰まってしまうことが低減される。
さらに、図24を用いて説明した、粉砕装置5で豆なしエラーが発生した場合に、案内部材423を振動させるようにしてもよい。こうすることで、焙煎コーヒー豆の詰まりが無くなり、粉砕装置5に焙煎コーヒー豆が供給され、豆なしエラーが解消される場合がある。なお、上述したコンベア41の駆動と関係して案内部材423を振動させることと、豆なしエラー発生により案内部材423を振動させることを併せて行ってもよい。
また、案内部材423の振動の大きさは可変であってもよく、粉砕装置5で豆なしエラーが発生した場合には、案内部材423を相対的に大きく振動させるようにし、それ以外の場合には、案内部材423を相対的に小さく振動させるようにしてもよい。
さらに、案内部材423を振動させる期間の長さも可変であってもよく、粉砕装置5で豆なしエラーが発生した場合には、案内部材423を相対的に長く振動させるようにし、それ以外の場合には、案内部材423を相対的に短く振動させるようにしてもよい。
以上の記載では、
『 抽出対象[例えば、焙煎コーヒー豆、お茶の葉等]を収容した抽出対象容器[例えば、キャニスタ40]と、
前記抽出対象容器に収容されていた前記抽出対象が通過する通過領域[例えば、集合搬送部42]と、
を備え、
前記通過領域は、下流側が第一の通路[例えば、第1通路421]と第二の通路[例えば、第2通路422]に枝分かれしたものであり、
前記第二の通路に前記抽出対象を案内する状態[例えば、図29に示す状態]及び案内しない状態の二つの状態に切り替え可能な案内部[例えば、案内部材423]を前記通過領域に有し、
前記案内部は、振動可能なものである、
ことを特徴とする飲料製造装置[例えば、飲料製造装置1]。』
について説明した。
なお、前記通過領域は、前記第一の通路と前記第二の通路との2つの通路の他に、第三の通路等3つ以上の通路を有するものであってもよい。
また、前記案内部が、前記第二の通路に前記抽出対象を案内しない状態とは、該抽出対象を、前記第一の通路に案内する状態であってもよいし、該第一の通路にも案内せず、その他の通路に案内する状態であってもよいし、前記第二の通路の入口を塞いだ状態であってもよい。
また、
『 前記案内部は、前記第二の通路[例えば、第2通路422]に前記抽出対象を案内する状態でも振動可能なものであり、該第二の通路に該抽出対象を案内しない状態でも振動可能なものである、
ことを特徴とする飲料製造装置。』
についても説明した。
また、
『 前記第一の通路は、この飲料製造装置の外[例えば、廃棄箱]に繋がったものであり、
前記第二の通路は、前記抽出対象を粉砕する粉砕装置[例えば、粉砕装置5]に繋がったものである、
ことを特徴とする飲料製造装置。』
についても説明した。
また、
『 前記案内部は、前記粉砕装置に前記抽出対象が供給されていないエラー[例えば、図24を用いて説明した豆なしエラー]が生じた場合に振動するものである、
ことを特徴とする飲料製造装置。』
についても説明した。
また、
『 複数の前記抽出対象容器が着脱可能に装着される装着部[例えば、装着部44]と、
前記装着部に装着された複数の前記抽出対象容器ごとに設けられ、該抽出対象容器からの前記抽出対象を開口[例えば、下流側開口41h]に向けて搬送する搬送機構[例えば、コンベア41]と、
を備え、
前記開口[例えば、下流側開口41h]は、前記通過領域の上流側に接続している、
ことを特徴とする飲料製造装置。』
についても説明した。
また、
『 前記案内部は、前記搬送機構が前記抽出対象を前記開口に向けて搬送を開始した以降[例えば、搬送開始と同時であってもよいし、搬送を開始した後であってもよいし、搬送を終えた後であってもよい]に振動を開始するものである、
ことを特徴とする飲料製造装置。』
についても説明した。
また、
『 前記案内部は、前記第二の通路に前記抽出対象を案内する状態では前記第一の通路につながる入口[例えば、第1入口421a]を塞いだものであり、該第二の通路に該抽出対象を案内しない状態では該第二の通路につながる入口[例えば、第2入口422a]を塞いだものである、
ことを特徴とする飲料製造装置。』
についても説明した。
また、
『 前記案内部は、前記抽出対象を前記第二の通路[例えば、第2通路422]に案内しない状態では該抽出対象を前記第一の通路[例えば、第1通路421]に案内する状態である、
ことを特徴とする飲料製造装置。』
についても説明した。
また、
『 前記抽出対象容器は、豆状の抽出対象[例えば、焙煎コーヒー豆]を収容したものである、
ことを特徴とする飲料製造装置。』
についても説明した。
続いて、図29に示す集合搬送部42の後壁42Bに形成された送出口410の工夫について説明する。
図29に示す3つの送出口410のいずれにも、帯状部材451と覆い板461が設けられている。
図30は、装着部44とコンベア41周辺の斜視図である。
図30に示す装着部44には、図29に示すキャニスタ40は装着されていない。図30には、装着部44の本体部441が示され、本体部441の前側は上方に開口している。また、本体部441の周壁には、周方向に複数のローラ441dが配置されている。さらに、本体部441の内側には、シャッタ部443の一部が見えている。また、図30には、そのシャッタ部443を回転させるモータ41aも図示されている。
図30に示すコンベア41の下流端には、キャップ状の覆い部材460が設けられている。この覆い部材460の奥には、スクリュー羽根471の一部がわずかに見えている。
図31は、図30に示す装着部44から、本体部441を形成する右側カバー441Rを取り外し、さらに、覆い部材460を取り外し、図30に示すコンベア41の右側のカバー41Rも取り外した様子を示す斜視図である。なお、図31には、本体部441を形成する左側カバー441Lと、コンベア41の左側のカバー41Lは図示されている。
図31では、取り外した右側カバー441Rに配置されていたローラ441dはあえて図示している。この図31に示すように、ローラ441dは、シャッタ部443の外周面に当接している。シャッタ部443は、ここでは不図示のキャニスタ40の中心軸回りに回転自在に支持されており、モータ41aの駆動により、本体部441の内側で回転する。図31に示すように、シャッタ部443は、開口部4431と壁部4432を有する。図31では、コンベア41の内部に連通した開口である受入部442は、シャッタ部443の壁部4432で塞がれている。図31に示す状態から、シャッタ部443が回転すると、受入部442には開口部4431が位置し、本体部441の内側とコンベア41の内部が連通した状態になる。この状態になると、キャニスタ40から排出される焙煎コーヒー豆は、受入部442を通ってコンベア41内へ導かれる。
図31に示すように、コンベア41内には、スクリュー軸47と、そのスクリュー軸47の外周面に螺旋状に設けられたスクリュー羽根471が配置されている。受入部442を通ってコンベア41内へ導かれた焙煎コーヒー豆は、モータ41aの駆動により回転するスクリュー羽根471によって、コンベア41の下流側開口41hに向けて搬送される。スクリュー軸47の回転量によって、コーヒー飲料の製造に用いる焙煎コーヒー豆の量が自動計量される。
図31では取り外したキャップ状の覆い部材460は、図30に示すように、覆い板461と嵌合部462を有する。嵌合部462は、コンベア41のカバー(41L,41R)の外周面に嵌合する部位である。嵌合部462がコンベア41のカバー(41L,41R)に嵌合すると、コンベア41の下流側開口41hは覆い板461によって、半分程度覆われる。また、図30に示すように、覆い板461は傾斜している。また、帯状部材451も傾斜している。すなわち、送出口410は斜め上方を向いている。
図32は、集合搬送部42の後壁42Bに形成される送出口410のいくつかの態様を示す概要図である。以下の説明では、これまで説明した構成要素の名称と同じ名称の構成要素には、これまで用いた符号と同じ符号を付して説明する。
図32(a)に示す送出口410は、図29や図30に示す送出口410と同じ構成の送出口である。すなわち、コンベア41の下流側開口41hの上半分が覆い板461によって覆われている。覆い板461は、樹脂製の剛体であり、嵌合部462に固定されている。したがって、覆い板461は、下流側開口41hに沿って固定されたものである。
また、送出口410には出口部45が設けられている。この出口部45は、可撓性を有する帯状部材451が間隔W1をあけて横方向に並べられたものである。すなわち、帯状部材451は、覆い板461よりも可撓性を有するものである。帯状部材451の間隔W1は、キャニスタ40に収容された焙煎コーヒー豆Bの大きさよりも狭い。なお、キャニスタ40に収容された焙煎コーヒー豆Bとは、一般的な大きさの焙煎コーヒー豆Bのことである(以下、同じ。)。また、帯状部材451の上端は覆い板461の下縁部に固定されているが、帯状部材451の下端は自由端である。また、帯状部材451の下端は、下流側開口41hを画定する縁410Eよりも、キャニスタ40に収容された焙煎コーヒー豆Bの大きさよりも短い長さ分、内側に位置している。帯状部材451は、下流側開口41hの面積を狭めるものであるが、回転するスクリュー羽根471によって搬送されてくる焙煎コーヒー豆Bの通過を可撓性によって許容する。すなわち、そもそも、下流側開口41hの面積は覆い板461によって半分程度にまで狭められ、スクリュー羽根471の回転が止まった時点から焙煎コーヒー豆Bは送出口410から落下しにくくなっている。しかも、帯状部材451によって下流側開口41hの面積はさらに狭められ、焙煎コーヒー豆Bは送出口410からより落下しにくくなっている。したがって、焙煎コーヒー豆Bが下流側に入り込んでしまうことが抑えられている。一方、帯状部材451は可撓性を有し、下端が自由端であることから、回転するスクリュー羽根471によって搬送されてくる焙煎コーヒー豆Bの押出力(搬送力に相当)によって外側にめくれる。この結果、帯状部材451の間隔W1や、帯状部材451の下端と下流側開口41hを画定する縁410Eとの隙間が拡がり、拡がった間隔や隙間から焙煎コーヒー豆Bが送出される。
また、図32ではわからないが、図30に示すように、帯状部材451は傾斜しており、出口部45は斜め上方を向いている。さらに、覆い板461も傾斜していることから、送出口410も斜め上方を向いている。図32(a)~同図(f)に示す送出口410およびその送出口410における出口部45は、斜め上方を向いている。斜め上方を向いていることによっても、焙煎コーヒー豆Bが送出口410から落下しにくくなっている。ただし、図32(a)~同図(f)に示す送出口410およびその送出口410における出口部45は、真横を向いたものであってもよい。
図32(b)および同図(c)に示す送出口410は、同図(a)に示す送出口410に比べて、帯状部材451が長い以外は同じである。図32(b)に示す帯状部材451は、下流側開口41hを画定する縁410Eを超えて下方へ延在したものであり、その帯状部材451の下端は、縁410Eよりも外側に位置している。図32(c)に示す帯状部材451は、ちょうど、下流側開口41hを画定する縁410Eまで下方へ延在したものであり、その帯状部材451の下端は、縁410Eに重なっている。したがって、図32(b)および同図(c)に示す送出口410はいずれも、同図(a)に示す送出口410に比べて、下流側開口41hの面積がより狭められ、焙煎コーヒー豆Bの通過の許容性は低くなる。なお、図32(b)に示す帯状部材451の方が同図(c)に示す帯状部材451よりも、焙煎コーヒー豆Bの通過の許容性は低い。しかしながら、図32(b)に示す帯状部材451にしても、同図(c)に示す帯状部材451にしても、可撓性を有し、下端が自由端であることから、回転するスクリュー羽根471によって搬送されてくる焙煎コーヒー豆Bの押出力によって外側にめくれる。これにより、図32(b)に示す送出口410からも同図(c)に示す送出口410からも、焙煎コーヒー豆Bが押出力によって送出される。
図32(d)および同図(e)に示す送出口410は、同図(a)に示す送出口410に比べて、覆い板461の大きさが異なる以外は同じである。図32(d)に示す送出口410では、コンベア41の下流側開口41hの1/3の大きさに相当する上方部分が覆い板461によって覆われている。図32(e)に示す送出口410では、コンベア41の下流側開口41hの2/3の大きさに相当する上方から中間にかけての部分が覆い板461によって覆われている。したがって、図32(d)に示す送出口410では、同図(a)に示す送出口410に比べて、下流側開口41hの面積が狭められておらず、焙煎コーヒー豆Bの通過の許容性は高くなる。ただし、帯状部材451も合わせれば、下流側開口41hの面積は半分以上は狭められており、スクリュー羽根471の回転が止まった時点から焙煎コーヒー豆Bは送出口410から落下しにくくなっている。また、図32(e)に示す送出口410では、同図(a)に示す送出口410に比べて、下流側開口41hの面積がより狭められ、焙煎コーヒー豆Bの通過の許容性はかなり低い。このため、図32(a)に示す帯状部材451よりも可撓性に優れた帯状部材を用いることが好ましい。
図32(f)に示す送出口410は、覆い板461をなくし、帯状部材451からなる出口部45だけで構成されている。帯状部材451は、両端が嵌合部462に固定されている。図32(e)に示す送出口410では、帯状部材451によって、下流側開口41hの面積が狭められている。また、帯状部材451は両端が固定されたものであるため、一方側の端部が外側にめくれることはない。ただし、回転するスクリュー羽根471によって搬送されてくる焙煎コーヒー豆Bの押出力によって、帯状部材451の間隔W2は拡がる。図32(f)に示す帯状部材451は、同図(a)に示す帯状部材451よりも細い。また、図32(f)に示す帯状部材451の間隔W2は、キャニスタ40に収容された焙煎コーヒー豆Bの大きさよりは狭いものの、同図(a)に示す帯状部材451の間隔W1よりは広い。このため、図32(f)に示す帯状部材451は、同図(a)に示す帯状部材451に比べて、搬送されてくる焙煎コーヒー豆Bの押出力によって間隔W2が拡がりやすく、また、拡がった後の間隔も大きい。よって、図32(f)に示す送出口410からも、焙煎コーヒー豆Bが押出力によって送出される。
図33は、送出口410のさらに別の態様を示す概要図である。
図33(a)に示す送出口410は、図32(a)に示す送出口410に比べて、出口部45の構成が異なる以外は、同じである。すなわち、コンベア41の下流側開口41hの上半分が覆い板461によって覆われており、下半分に出口部45が設けられている。図33(a)に示す出口部45は、水平方向に延びた回動軸452と、その回動軸452を回動中心にして上下方向に回動する蓋部材453で構成されている。蓋部材453は、下流側開口41hの下半分全部を覆うもので、外形は矩形である。図33(a)に示す蓋部材453は、下流側開口41hの下半分全部を覆った状態であり、スクリュー羽根471の回転が止まった時点から焙煎コーヒー豆Bは送出口410から落下しにくくなっている。しかも、図33に示す各出口部45も斜め上方を向いている。このため、蓋部材453も斜め上方を向いており、上方向に回動しにくくなっている。しかしながら、回転するスクリュー羽根471によって搬送されてくる焙煎コーヒー豆Bの押出力によって、蓋部材453は図中の矢印が示すように上方に回動し、図33(a)に示す送出口410からも、焙煎コーヒー豆Bが送出される。
図33(b)に示す送出口410は、同図(a)に示す送出口410に比べて、蓋部材453の大きさと形状が異なる以外は、同じである。図33(b)に示す蓋部材453は、下流側開口41hの下半分のうちの一部を覆うものであって、外形は半円である。したがって、下流側開口41hを画定する縁410Eと蓋部材453の間には隙間W3が生じているが、その隙間W3は、キャニスタ40に収容された焙煎コーヒー豆Bの大きさよりも狭い。図33(b)に示す送出口410でも、スクリュー羽根471の回転が止まった時点から焙煎コーヒー豆Bが落下しにくくなっている。一方、搬送されてくる焙煎コーヒー豆Bの押出力によって、蓋部材453は図中の矢印が示すように上方に回動し、図33(b)に示す送出口410からも、焙煎コーヒー豆Bが送出される。特に、図33(b)に示す送出口410では、隙間W3があるため、焙煎コーヒー豆Bの通過の許容性は、同図(a)に示す送出口410よりも高い。
図33(c)に示す送出口410は、覆い板461をなくし、2本の回動軸452L,452Rと、左右一対の蓋部材453L,453Rを有する出口部45だけで構成されている。2本の回動軸452L,452Rは、出口部45が斜め上方を向いている関係で垂直方向から傾斜したものになっている。左側の蓋部材453Lは、下流側開口41hの左半分全部を覆うもので、外形は半円である。右側の蓋部材453Lは、下流側開口41hの左半分全部を覆うもので、外形は半円である。図33(c)に示す送出口410でも、スクリュー羽根471の回転が止まった時点から焙煎コーヒー豆Bが落下しにくくなっている。一方、搬送されてくる焙煎コーヒー豆Bの押出力によって、図中の矢印が示すように、左側の蓋部材453Lは左側に回動し、右側の蓋部材453Rは右側に回動し、図33(c)に示す送出口410からも、焙煎コーヒー豆Bが送出される。
なお、図33に示す各出口部45も斜め上方を向いていたが、真横を向いたものであってもよい。
以上の記載では、
『 液体[例えば、お湯]と抽出対象[例えば、焙煎コーヒー豆(粉状)]から飲料を製造する製造部[例えば、図3に示す抽出装置3]と、
抽出対象[例えば、焙煎コーヒー豆(豆状)]を収容した抽出対象容器[例えば、キャニスタ40]と、
前記抽出対象容器からの前記抽出対象を開口[例えば、下流側開口41h]に向けて搬送する搬送機構[例えば、スクリュー羽根471]と、
前記開口の面積を狭めつつ前記搬送機構によって搬送されてきた前記抽出対象の通過を許容する出口部[例えば、出口部45]と、
を有することを特徴とする飲料製造装置[例えば、飲料製造装置1]。』
について説明した。
なお、前記搬送機構は筒体の中に配置されたものであり、前記筒体は、上流側が前記抽出原料容器側になり、下流側に前記開口を有するものであってもよい。
前記製造部において飲料の製造に用いられる抽出対象と、前記抽出対象容器が収容した抽出対象は、形状や状態等が異なるものであってもよいし、同じものであってもよい。
ここで、抽出対象を収容した抽出対象容器と、前記抽出対象容器からの前記抽出対象を開口に向けて搬送する搬送機構と、前記開口の面積を狭めつつ前記搬送機構によって搬送されてきた前記抽出対象の通過を許容する出口部と、を有することを特徴とする飲料製造装置。であってもよい。
また、
『 前記出口部は、可撓性を有する帯状部材[例えば、帯状部材451]が間隔[例えば、間隔W1,W2]をあけて一方向[例えば、横方向]に並べられたものである、
ことを特徴とする飲料製造装置。』
についても説明した。
なお、前記一方向は、横方向であってもよいし、縦方向であってもよいし、斜め方向であってもよい。
また、前記出口部は、櫛歯状のものであってもよい。
また、前記帯状部材は、両端が固定されているものであってもよい[例えば、図32(f)に示す帯状部材451]。
また、
『 前記帯状部材は、一端が固定端であり、他端が自由端である[例えば、図32(a)~同図(e)に示す帯状部材451]、
ことを特徴とする飲料製造装置。』
についても説明した。
また、
『 前記他端は、前記開口を画定する縁よりも内側に位置するものである[例えば、図32(a)、同図(d)、および同図(e)に示す帯状部材451]、
ことを特徴とする飲料製造装置。』
についても説明した。
なお、前記他端は、前記開口を画定する縁[例えば、縁410E]から内側に第一の長さだけ離れたものであり、前記第一の長さは、前記抽出対象容器に収容された抽出対象の大きさよりも短い長さであってもよい。
また、
『 前記帯状部材は、前記他端になる側[例えば、自由端側]の一部が、前記開口を画定する縁[例えば、縁410E]に重なったものである[例えば、図32(b)および同図(c)に示す帯状部材451]、
ことを特徴とする飲料製造装置。』
についても説明した。
すなわち、前記他端は、前記縁よりも外側に位置するもの[例えば、図32(b)に示す帯状部材451における先端]であってもよいし、前記縁に位置するもの[例えば、図32(c)に示す帯状部材451における先端]であってもよい。
また、
『 前記間隔[例えば、間隔W1,W2]は、前記抽出対象容器に収容された抽出対象の大きさよりも狭い、
ことを特徴とする飲料製造装置。』
についても説明した。
また、
『 前記出口部とは別に、前記開口の一部を覆った覆い部[例えば、覆い板461]を備えたことを特徴とする飲料製造装置。』
についても説明した。
なお、前記覆い部は、前記開口の外周に沿って固定配置されたもの[例えば、嵌合部462に固定されたもの]であってもよい。また、前記覆い部は、板状のものであってもよい。
また、
『 前記出口部は、前記搬送機構による抽出対象の搬送力[例えば、回転するスクリュー羽根471によって搬送されてくる焙煎コーヒー豆Bの押出力]によって開く蓋部材[例えば、図33に示す蓋部材453、左側の蓋部材453Lと右側の蓋部材453R]である、
ことを特徴とする飲料製造装置。』
についても説明した。
また、
『 前記出口部は、斜め上方を向いたものである[例えば、図30に示す出口部45]、
ことを特徴とする飲料製造装置。』
についても説明した。
続いて、粉砕装置5における工夫について説明する。まず、図2に示す粉砕装置5のうちのグラインダ5Bの構成について詳細に説明する。なお、以下に述べるグラインダ5Bの構成はグラインダ5Aにも適用可能である。
図34は、グラインダ5Bの構成を模式的に示した図である。
グラインダ5Bは、モータ52b、モータベース502、本体部53b及び粒度調整機構503を含む。
モータ52bはグラインダ5Bの駆動源であり、モータベース502上に支持されている。モータベース502は中空のケース内に、モータ52bの出力軸に固定されるピニオンギア52b’と、このピニオンギアと噛み合うギア502aとを内蔵している。
本体部53bは、カッターを収容するユニットであって、その外形を形成するハウジングが、ベース部505a、ギアケース部505b及びブレードケース部505cにより構成されており、これら三つの部材はボルト等の不図示の締結部材で固定されている。締結部材を取り外すと互いに分離可能であり、その内部のメンテナンスが容易化する。
ギアケース部505bにはギア502aと噛み合うギア55b’が収容されている。ギア55b’には回転軸54bが固定されており、回転軸54bはギアケース部505bに回転自在に支持されている。ギア502aを介してギア55b’に伝達されるモータ52bの駆動力が回転軸54bを回転させる。回転軸54bの端部には回転刃58bが設けられており、回転刃58bの上側には固定刃57bが設けられている。すなわち、固定刃57bは回転刃58bに対向して配置されている。固定刃57bと、回転刃58bはブレードケース部505cに収容されている。ブレードケース部505cには、グラインダ5Aで挽かれた焙煎コーヒー豆(挽き豆)が投入される投入口5051が設けられている。
粒度調整機構503は本体部53bに設けられている。粒度調整機構503はその駆動源であるモータ503aと、モータ503aの駆動力により回転されるウォームギア503bを含む。ギア53b’はウォームギア503bと噛み合うウォームホイールであり、ギアケース部505bに回転自在に支持されている。
ギア53b’にはギア53b’の回転中心上で上下方向に延びる調整軸503cが設けられている。調整軸503cと固定刃57bには互いに噛み合うギアが形成されており、調整軸503cを回転すると固定刃57bがその軸方向に昇降するように構成されている。図10に示す処理部11aは、モータ503aの回転量を制御し、回転刃58bと固定刃57bとの隙間を調節する。この隙間を調節することで、グラインダ5Bにおける挽き豆の粒度を調節できる。なお、回転刃58bと固定刃57bとの隙間の調整する方法はこれに限らず、調整軸503cの位置は回転中心上でなくともよい。
昇降する固定刃57bは、回転刃58bから所定長(例えば、0.7mm)離れた位置が検出位置になる。検出位置は、固定刃57bの初期位置よりも回転刃58bに近い位置である。固定刃57bが検出位置にあることを検出するセンサ57cがブレードケース部505cに設けられている。
ブレードケース部505cの周壁に形成された開口(挽き豆の出口)には、排出管5Cが接続されており、挽き豆は、排出管5Cから図2等に示す抽出容器9へ投入される。
なお、図1に示す飲料製造装置では、キャニスタ40が複数装着可能である。また、豆投入口103が設けられていることから、キャニスタ40に収容されている焙煎コーヒー豆とは別の焙煎コーヒー豆を豆投入口103から投入することも可能である。したがって、粉砕装置5には、種類の異なる焙煎コーヒー豆が供給される場合がある。この場合、粉砕装置5に、前回粉砕した挽き豆が残っていると、今回新たに供給した焙煎コーヒー豆の挽き豆と混ざってしまい、コーヒー飲料の味に影響が出てしまうことがある。そのため、粉砕装置5に種類の異なる焙煎コーヒー豆を供給する場合には、今回新たに供給する焙煎コーヒー豆と同じ焙煎コーヒー豆(以下、新たな焙煎コーヒー豆という。)を、飲料製造用の量よりも少ない量だけ粉砕装置5に先に供給し、一度、その新たな焙煎コーヒー豆を粉砕させる。この際、排出管5Cの出口には、廃棄用容器をセットしておく。こうすることで、前回粉砕して残っていた挽き豆が、粉砕装置5から廃棄用容器に押し出される。廃棄用容器に、新たな焙煎コーヒー豆の挽き豆が出てきたことが確認されたら、粉砕装置5には、これから製造しようとするコーヒー飲料の焙煎コーヒー豆と同じ豆(新たな焙煎コーヒー豆)が残っていることになり、コーヒー飲料の味に影響が出てしまうことがなくなる。
以上説明したグラインダ5Bは、飲料製造装置1に電源が投入されると、初期動作が行われる。グラインダ5Bにおける初期動作では、キャリブレーションが実行される。
図35は、初期動作で実行されるキャリブレーションの工程を表したフローチャートである。また、図36は、キャリブレーションの様子を段階的に示す図である。
グラインダ5Bでは、焙煎コーヒー豆の粉砕が終了すると、固定刃57bは初期位置に戻る。
初期動作が開始される時点で、固定刃57bは初期位置に位置しており、キャリブレーションの最初の工程として図35に示す接触工程(ステップS51)が実行される。接触工程では、図10に示す処理部11aが、図34に示すモータ503aを駆動させる。モータ503aの駆動によって調整軸503cが回転し、初期位置にある固定刃57bは回転刃58bに接触するまで下降する。図36(a)は、1回目の接触工程が実行されている様子を示す図である。この図36(a)では、初期位置に位置する固定刃57bを二点鎖線で表している。グラインダ5Bの組み立てにおいて、固定刃57bと回転刃58bを設計通りに取り付けたつもりでも、僅かな取付誤差が生じ、固定刃57bと回転刃58bの取付姿勢に狂いが生じている場合がある。また、長期間の使用等によっても、固定刃57bと回転刃58bの取付姿勢に狂いが生じる場合がある。さらには、調整軸503cや回転軸54bが斜めに取り付けられている場合もある。図36では、固定刃57bと回転刃58bの取付姿勢に狂いが生じていることを誇張して示している。設計通りであれば、固定刃57bも回転刃58bも常に水平姿勢を保っているが、図36(a)に示す回転刃58bは右上方に向けて傾いた姿勢であり、固定刃57bは右下方に向けて傾いた姿勢である。接触工程が実行されると、固定刃57bは図中の矢印が示すように下降し、図36(a)に実線で示すように、固定刃57bは、傾いていることによって最も下方に位置する部分が、回転刃58bのうち、傾いていることによって最も上方に位置する部分に接触する。固定刃57bのどこか一部が、回転刃58bのどこか一部にでも接触すると、モータ503aの回転トルクや電流値が上昇する。処理部11aは、回転トルクの上昇または電流値の上昇を検知すると、モータ503aを停止させ、接触工程が終了になる。
続いて、移動工程(ステップS52)が実行される。移動工程では、処理部11aが、モータ503aを接触工程とは逆方向に回転させ、固定刃57bを検出位置まで上昇させる。図36(b)は、1回目の移動工程が実行されている様子を示す図である。移動工程が実行されると、固定刃57bは、図中の矢印が示すように上昇し、図34に示すセンサ57cに固定刃57bが検出されるまで固定刃57は上昇を続ける。処理部11aは、センサ57cからの検出信号を取得すると、モータ503aの回転を停止させる。モータ503aはステッピングモータであり、処理部11aは、移動工程においてモータ503aが回転を開始してから停止するまでのステップ数をカウントし、図10に示す記憶部11bに記憶する。図36(b)の移動工程では20150ステップであった。
次いで、回転工程(ステップS53)が実行される。回転工程では、処理部11aが、図34に示すモータ52bを所定の回転角度だけ回転させる。ここにいう所定の回転角度は、360度以外の角度であればよく、ここではわかりやすいように90度にするが、実際には、例えば、35度前後の所定の角度である。この結果、図36(c)に示す回転刃58bは、紙面奥側に向かって上方へ傾いた姿勢に状態が変化している。なお、モータ52bを所定時間(例えば、0.1秒)だけ回転させるようにしてもよい。
次に、ステップS54が実行され、キャリブレーションを開始してから回転刃58bが一回転したかを判定する。この例では、ステップS53の回転工程における所定の回転角度が360度未満であるため、ステップS54では回転刃58bが一回転したかを判定するが、ステップS54は、ステップ数のカウント値を複数回取得できたかを判定するためのステップである。また、精度を上げるため、ステップS54は、ステップ数のカウント値を所定回取得できたかを判定するためのステップであってもよい。所定回の回数が多ければ多いほど、キャリブレーションの精度は向上するが、キャリブレーションを終えるまでに時間がかかるようになる。所定回の回数の一例としては10回程度があげられる。
ステップS54の判定で「NO」の場合には、接触工程(ステップS51)、移動工程(ステップS52)、および回転工程(ステップS53)の3つの工程からなるデータ取得処理を再度実行する。図36(d)では、2回目の接触工程が実行され、固定刃57bは図中の矢印が示すように下降する。回転工程が実行されたことにより、1回目の接触工程のときとは、回転刃58bにおける最も上方にある部分の周方向の位置が異なっている。このため、図36(d)に示す固定刃57bと回転刃58bでは、1回目の接触工程のときとは異なる部分どうしが接触している。図36(e)では、2回目の移動工程が実行されている。この2回目の移動工程では20170ステップであった。図36(f)では、2回目の回転工程が実行され、回転刃58bは90度回転している。この結果、図36(f)に示す回転刃58bは、左上方に向けて傾いた姿勢に状態が変化している。
図36(f)における回転工程を終えた時点で、回転刃58bは、キャリブレーションを開始してから180度回転した状態であり、3回目のデータ取得処理を実行する。図36(g)では、3回目の接触工程が実行され、固定刃57bは図中の矢印が示すように下降する。2回目の回転工程が実行されたことにより、図36(g)に示す固定刃57bと回転刃58bでは、これまでの接触工程のときとは異なる部分どうしが接触している。図36(h)では、3回目の移動工程が実行されている。この3回目の移動工程では20160ステップであった。図36(i)では、3回目の回転工程が実行され、回転刃58bは90度回転している。この結果、図36(i)に示す回転刃58bは、紙面手前側に向かって上方へ傾いた姿勢に状態が変化している。
図36(i)における回転工程を終えた時点で、回転刃58bは、キャリブレーションを開始してから270度回転した状態であり、4回目のデータ取得処理を実行する。図36では、4回目のデータ取得処理の様子は図示省略するが、図36(d)~同図(f)に似たような様子になる。4回目の移動工程では20168ステップであった。また、4回目の回転工程が実行されると、回転刃58bは、キャリブレーションを開始してから360度回転した状態になり、図35に示すステップS54の判定で「Yes」となって、ステップS55に進む。
ステップS55では、図10に示す処理部11aが、較正値の算出工程を実行する。記憶部11bには、4回のデータ取得処理においてそれぞれ取得した、モータ503aのステップ数のカウント値が記憶されている。処理部11aは、これら4回のカウント値から較正値を算出する。較正値は、4回のカウント値の平均値であってもよいし、4回のカウント値の中央値(最小値と最大値を加えた値の1/2の値)であってもよい。図36に示す例であれば、平均値は20162ステップであり、中央値は20160ステップである。算出した較正値は記憶部11bに記憶される。較正値は、飲料製造装置1に電源が投入され、初期動作が行われる度に更新される。ステップS36の実行が完了すると、キャリブレーションは終了になる。
図37は、図11に示すステップS2のグラインド処理におけるグラインダ5Bを示す図である。
図37(a)は、設計通りに、固定刃57bも回転刃58bも常に水平姿勢を保っている理想的な状態における例を示す図である。
図37(a)の左側に示す図は、固定刃57bが初期位置に位置する状態を示す図である。図10に示す処理部11aは、記憶部11bに記憶されている、コーヒー飲料を製造するための各種の製造条件(レシピ)にしたがって、グラインダ5Bにおける挽き豆の粒度を、図34に示す粒度調整機構503を用いて調節する。上記レシピには、理想的な状態における製造条件が規定されており、グラインダ5Bにおける挽き豆の粒度調整では、モータ503aを20160ステップ分回転させ、固定刃57bを初期位置から下降させる。図37(a)の右側に示す図は、焙煎コーヒー豆Bの粉砕を行っている様子を模式的に示す図である。この右側の図における固定刃57bは、初期位置から、モータ503aを20160ステップ分回転させて下降させた、レシピで規定したとおりの位置にある。
図37(b)は、図36に示す、固定刃57bと回転刃58bの取付姿勢に狂いが生じた状態における例を示す図である。
図37(b)の左側に示す図も、固定刃57bが初期位置に位置する状態を示す図である。図37(b)に示す固定刃57bは、右下方に向けて傾いた姿勢である。一方、図37(b)に示す回転刃58bは、右上方に向けて傾いた姿勢である。ここでも、図37(a)に示す例と同じレシピが用いられる。そのため、モータ503aを20160ステップ分回転させることになるはずであるが、図35に示すステップS55で求めた較正値を用いて、モータ503aの回転量を補正する。図37(a)に示す理想的な場合に、固定刃57bが回転刃58bに接触した状態から固定刃57bを検出位置まで上昇させるのに必要なモータ503aのステップ数は、図10に示す記憶部11bに基準値として予め記憶されている。モータ503aの回転量の補正では、図35に示すステップS55で求めた較正値と記憶部11bに予め記憶されている基準値との比率から、補正後の回転量を算出する。この例では、補正後の回転量は20140ステップあった。図37(b)の右側に示す図も、焙煎コーヒー豆Bの粉砕を行っている様子を模式的に示す図である。この右側の図における固定刃57bは、初期位置から、モータ503aを20140ステップ分回転させて下降させた、補正後の位置にある。ただし、図37(b)に示す固定刃57bと回転刃58bの平均間隔は、図37(a)に示す固定刃57bと回転刃58bの間隔とほぼ同じである。このため、図37(b)の右側に示す状態で焙煎コーヒー豆Bの粉砕を行っても、同図(a)の右側に示す状態で焙煎コーヒー豆Bの粉砕を行った場合と同じ粒度の挽き豆を得ることができる。
以上の説明では、固定刃57bを検出位置まで上昇させる際のモータ503aのステップ数を用いて較正値を求めているが、検出位置から固定刃57bを下降させ固定刃57bが回転刃58bに接触するまでのステップ数を用いて較正値を求めることもできる。
また、固定刃57bと回転刃58bのうち固定刃57bのみが昇降する構成であったが、回転刃58bも昇降する構成であってもよく、この場合には、両方の刃のステップ数を用いて較正値を求めればよい。さらに、刃の移動は昇降に限られず、例えば、左右方向に移動してもよい。また、固定刃57bと回転刃58bの位置は反対であってもよく、固定刃57bが下方に配置され、回転刃58bが上方に配置されていてもよい。
また、焙煎コーヒー豆Bを粉砕する際に、固定刃57bは回転しないが、固定刃57bが回転する場合であっても、図35に示すキャリブレーションの方法を適用することができる。また、図35に示すキャリブレーションの方法はグラインダ5Bについての方法であったが、図35に示すキャリブレーションの方法をグラインダ5Aについても同様に行うことができる。
また、図35に示すステップS55の較正値算出工程はキャリブレーションの段階では実行せず、複数回分のカウント値のみ記憶部11bに記憶させ、使用するレシピが決定した段階で、較正値を算出してもよいし、記憶させておいた複数回分のカウント値から直接、回転量を補正してもよい。また、複数回分のカウント値を図22に示す情報表示装置12の制御部121に送信し、ログとして制御部121に記憶させておき、図24等を用いて説明したエラー判定を行ってもよい。この場合のエラー判定は、長期間の使用等による固定刃57bと回転刃58bの取付姿勢の狂いに対応することができる。なお、較正値の算出や、回転量の補正は、図10に示す処理部11aに代わって、図22に示す情報表示装置12の制御部121が行ってもよい。
以上の記載では、
『 抽出対象[例えば、キャニスタ40に収容されていた焙煎コーヒー豆、あるいはグラインダ5Aで挽かれた焙煎コーヒー豆B(挽き豆)]が投入される投入口[例えば、投入口5051]が設けられたハウジング[例えば、ブレードケース部505c]と、
前記ハウジングの内部に取り付けられた第一の粉砕部[例えば、回転刃58b]及び第二の粉砕部[例えば、固定刃57b]と、
前記第一の粉砕部と前記第二の粉砕部の少なくともいずれか一方の粉砕部[例えば、回転刃58b]を回転させる回転機構[例えば、モータ52b、ピニオンギア52b’、ギア502a、ギア55b’、回転軸54b]と、
前記第一の粉砕部と前記第二の粉砕部のうち少なくとも該第二の粉砕部を移動[例えば、昇降]させ、該第一の粉砕部と前記第二の粉砕部の間隔を調整する移動機構[例えば、粒度調整機構503]と、
前記第一の粉砕部から所定長[例えば、0.7mm]離れた位置[例えば、検出位置]にある前記第二の粉砕部を検出するセンサ[例えば、センサ57c]と、
前記移動機構を制御する制御部[例えば、図10に示す処理部11a]と、
を備え、
前記投入口から投入された前記抽出対象を、前記第一の粉砕部と前記第二の粉砕部の間で粉砕し、
前記第二の粉砕部が前記第一の粉砕部に接触した状態[例えば、図36(a)、同図(d)、同図(g)に示す状態]から前記センサが該第二の粉砕部を検出するまで該第二の粉砕部を移動させる動作[例えば、図36(b)、同図(e)、同図(h)に矢印で示す動作]を、前記回転機構による回転によって粉砕部の状態[例えば、回転刃58bの向き]を変えて複数回行い、
前記制御部は、複数回の前記動作における前記第二の粉砕部の移動量に関する値[例えば、モータ503aのステップ数のカウント値]に基づいて、前記移動機構を制御する[例えば、較正値を求め、その較正値を用いて補正した回転量だけモータ503aを回転させる]ものである、
ことを特徴とする抽出対象粉砕装置[例えば、グラインダ5B]。』
について説明した。
なお、前記回転機構は、前記第一の粉砕部を回転させるものであってもよいし、前記第二の粉砕部を回転させるものであってもよいし、前記第一の粉砕部と前記第二の粉砕部の両方の刃を回転させるものであってもよい。
また、前記移動機構は、前記第一の粉砕部と前記第二の粉砕部のうち該第二の粉砕部のみを移動させるものであってもよいし、該第一の粉砕部も移動させるものであってもよい。
また、前記動作は、前記第一の粉砕部と前記第二の粉砕部のうち該第二の粉砕部のみを移動させる動作であってもよいし、該第一の粉砕部と該第二の粉砕部の両方の刃を移動させる動作であってもよい。
また、前記動作における粉砕部の状態変更は、前記第一の粉砕部の状態変更であってもよいし、前記第二の粉砕部の状態変更であってもよいし、該第一の粉砕部と該第二の粉砕部の両方の粉砕部の状態変更であってもよい。また、ここにいう状態変更とは、向き変更であってもよいし姿勢変更であってもよい。
また、
「 抽出対象[例えば、キャニスタ40に収容されていた焙煎コーヒー豆、あるいはグラインダ5Aで挽かれた焙煎コーヒー豆B(挽き豆)]が投入されるハウジング[例えば、ブレードケース部505c]と、
前記ハウジングの内部に取り付けられた第一の粉砕部[例えば、回転刃58b]及び第二の粉砕部[例えば、固定刃57b]と、
前記第一の粉砕部と前記第二の粉砕部の少なくともいずれか一方の粉砕部[例えば、回転刃58b]を回転させる回転機構[例えば、モータ52b、ピニオンギア52b’、ギア502a、ギア55b’、回転軸54b]と、
前記第一の粉砕部と前記第二の粉砕部のうち少なくとも該第二の粉砕部を移動[例えば、昇降]させ、該第一の粉砕部と前記第二の粉砕部の間隔を調整する移動機構[例えば、粒度調整機構503]と、
前記第一の粉砕部から所定長[例えば、0.7mm]離れた位置[例えば、検出位置]にある前記第二の粉砕部を検出するセンサ[例えば、センサ57c]と、
前記移動機構を制御する制御部[例えば、図10に示す処理部11a]と、
を備え、
前記投入口から投入された前記抽出対象を、前記第一の粉砕部と前記第二の粉砕部の間で粉砕し、
前記第二の粉砕部が前記第一の粉砕部から所定長離れた状態[例えば、図36(b)、同図(e)、同図(h)に示す状態]から該第一の粉砕部に接触するまで該第二の粉砕部を移動させる動作[例えば、図36(a)、同図(d)、同図(g)に矢印で示す動作]を、前記回転機構による回転[例えば、図36(c)、同図(f)、同図(i)に矢印で示す回転]によって粉砕部の状態[例えば、回転刃58bの向き]を変えて複数回行い、
前記制御部は、複数回の前記動作における前記第二の粉砕部の移動量に関する値[例えば、モータ503aのステップ数のカウント値]に基づいて、前記移動機構を制御する[例えば、較正値を求め、その較正値を用いて補正した回転量だけモータ503aを回転させる]ものである、
ことを特徴とする抽出対象粉砕装置[例えば、グラインダ5B]。」
についても説明した。
また、抽出対象が投入されるハウジングと、前記ハウジングの内部に取り付けられた第一の粉砕部と、前記第一の粉砕部に対向して取り付けられた第二の粉砕部と、前記第一の粉砕部を回転させる回転機構と、前記第二の粉砕部を前記一の刃に対して接離する方向に移動させる移動機構と、前記第一の粉砕部から所定長離れた位置にある前記第二の粉砕部を検出するセンサと、前記移動機構を制御する制御部と、を備え、前記投入口から投入された前記抽出対象を、前記第一の粉砕部と前記第二の粉砕部の間で粉砕し、前記第二の粉砕部が前記第一の粉砕部に接触した状態から前記センサが該第二の粉砕部を検出するまで該第二の粉砕部を移動させる動作を、前記回転機構による回転によって該第一の粉砕部の向きを変えて複数回行い、前記制御部は、複数回の前記動作における前記第二の粉砕部の移動量に関する値に基づいて、前記移動機構を制御するものである、ことを特徴とする抽出対象粉砕装置であってもよい。
また、
『 前記制御部は、複数回の前記動作における前記第二の粉砕部の移動量に関する値の平均値又は中央値[例えば、最小値と最大値を加えた値の1/2の値]に基づいて、前記移動機構を制御するものである、
ことを特徴とする抽出対象粉砕装置。』
についても説明した。
また、
『 前記動作は、電源投入時の初期動作において行われる、
ことを特徴とする抽出対象粉砕装置。』
についても説明した。
また、
『 前記制御部は、前記抽出対象の粉砕後の所望の粒度[例えば、挽き豆の粒度]に応じて前記移動機構を制御し、該移動機構に前記間隔を調整させるものである、
ことを特徴とする抽出対象粉砕装置。』
についても説明した。
また、
『 前記移動機構は、駆動源をモータ[例えば、モータ52b]とするものであり、
前記第二の粉砕部の移動量に関する値とは、前記モータの回転量に関する値[例えば、モータ503aのステップ数のカウント値]のことである、
ことを特徴とする抽出対象粉砕装置。』
についても説明した。
また、
『 前記投入口が、前記抽出対象として焙煎コーヒー豆[例えば、キャニスタ40に収容されていた焙煎コーヒー豆、あるいはグラインダ5Aで挽かれた焙煎コーヒー豆B(挽き豆)]が投入されるもの[例えば、投入口5051]である、
ことを特徴とする抽出対象粉砕装置。』
についても説明した。
また、
『 前記第一の粉砕部は、第一の刃[例えば、回転刃58b]であり、
前記第二の粉砕部は、第二の刃[例えば、固定刃57b]であり、
前記第二の粉砕部は、前記第一の粉砕部に対向して取り付けられたものである、
ことを特徴とする抽出対象粉砕装置。』
についても説明した。
また、
『 前記第二の粉砕部が前記第一の粉砕部に接触した状態から前記センサが該第二の粉砕部を検出するまで該第二の粉砕部を移動させる動作を、前記回転機構による回転によって粉砕部の向きを変えて複数回行う[例えば、図36に示す例]、
ことを特徴とする抽出対象粉砕装置。』
についても説明した。
以上の記載では、
『 抽出対象粉砕装置[例えば、グラインダ5B]において電源が投入されると実行されるキャリブレーション方法であって、
第一の粉砕部[例えば、回転刃58b]と第二の粉砕部[例えば、固定刃57b]が接触した状態から、該第一の粉砕部から該第二の粉砕部が所定長[例えば、0.7mm]離れた状態になるまで該第二の粉砕部を移動させる移動工程[例えば、ステップS52の移動工程、図36(b)、同図(e)、および同図(h)]と、
前記移動工程を実施した後に、前記第一の粉砕部と前記第二の粉砕部の少なくともいずれか一方の粉砕部[例えば、回転刃58b]の状態を変更する状態変更工程[例えば、ステップS53の回転工程、図36(c)、同図(f)、および同図(i)]と、
前記状態変更工程によって前記粉砕部の状態が変更された状態で、前記第一の粉砕部から所定長離れた前記第二の粉砕部を該第一の粉砕部に接触させる接触工程[例えば、ステップS51、図36(a)、同図(d)、および同図(g)]と、
前記移動工程、前記状態変更工程、および前記接触工程[例えば、図35に示すデータ取得処理]を繰り返し実行することで、前記粉砕部の状態[例えば、回転刃58bの向き]を変更して前記第二の粉砕部の移動量に関する値[例えば、モータ503aのステップ数のカウント値]を複数回取得する、
ことを有することを特徴とするキャリブレーション方法[例えば、図35に示すキャリブレーションの方法]。』
についても説明した。
なお、前記状態変更工程は、前記移動工程を実施した後に、該第一の粉砕部と該第二の粉砕部の少なくともいずれか一方の粉砕部を回転させ該粉砕部の向きを変える回転工程であって、前記移動工程、前記回転工程、および前記接触工程を繰り返し実行することで、前記粉砕部の向きを変えて前記第二の粉砕部の移動量に関する値を複数回取得する態様であってもよい。
また、前記第二の粉砕部の移動量に関する値は、前記移動工程における前記第二の粉砕部の移動量[例えば、上昇量]に関する値であってもよいし、前記接触工程における前記第二の粉砕部の移動量[例えば、下降量]に関する値であってもよい。あるいは、両者を併用してもよい。
また、複数回取得した前記第二の粉砕部の移動量に基づいて較正値を算出する較正値算出処理[例えば、ステップS55の較正値算出工程]を有してもよい。前記較正値は、複数回取得した前記第二の粉砕部の移動量の平均値であってもよいし、中央値であってもよい。
次に、抽出容器9への注湯の工夫について説明する。
図16から図19を用いて説明した図15に示す抽出処理S3’では、全部で185ccのお湯が抽出容器9に供給された。図16(h)等に示す貯留部726の最大容積を超えた量のお湯を抽出容器9に供給し、コーヒー飲料を抽出する抽出方法について詳述する。
図38は、図15に示す一回のコーヒー飲料製造動作に関わる制御例よりも多くのコーヒー飲料を一回で製造するための第1制御例を示すフローチャートである。以下の説明では、図15を用いて説明した各ステップと同じステップには、これまで用いたスッテプの番号と同じ番号を付して説明する。また、図15に示す制御例との違いを中心に説明し、図15に示す制御例と同じ部分については説明を省略する場合がある。
ステップS101の液体を用いた加熱処理では、図16(b)~同図(c)に示すように、貯留部726内のお湯を抽出容器9に供給し、抽出容器9の内部及び配管L2~L3を加熱する。なお、ここで供給されたお湯はコーヒー飲料の製造には用いられず廃棄される。
次いで、蒸気を用いた加熱処理(ステップS102)が行われた後、グラインド処理(ステップS2)が実行される。また、図16(f)~図16(h)に示すように、抽出処理S3’を実行するための準備工程が行われ、貯留部726に180cc程度のお湯が送られる。この例では、貯留部726の最大容積は215ccであり、準備工程で貯留部726の最大容積に相当するお湯を送っておいてもよい。
抽出処理S3’では、まず、ステップS11において、図17(i)に示すように、貯留部726に貯留されたお湯の一部(30cc程度)が蒸らし用の液体として抽出容器9に供給される。
続いて、1回目の本抽出用注湯が行われ(ステップS121)、図17(k)に示すように、貯留部726内の残りのお湯の一部(40cc程度)が抽出容器9に供給される。
さらに、チャンバ加圧処理(ステップS13)が行われ、抽出容器9内をお湯が沸騰しない気圧(例えば4気圧程度(ゲージ圧で3気圧程度))に加圧するとともに、注湯が行われる。ここでの注湯は、貯留部726内の残りのお湯の一部(30cc程度)が抽出容器9に供給される。
ここまでの処理が完了した時点で、抽出容器9には100cc程度のお湯が供給され、正立姿勢の抽出容器9内では、加圧された状態で挽き豆が100cc程度のお湯に浸されている。この状態を所定時間(例えば7000m秒)維持して浸漬式のコーヒー液抽出を行う(ステップS14)。なお、お湯の量は100ccより多くてもよいし、反対に少なくてもよい。
続くステップS15では、抽出容器9内を減圧する。ここでは、抽出容器9内の気圧を1.5気圧に戻して沸騰を安定化させるとともに流路(配管L2、L3等)中に残存しうる液体(例えば5cc程度)を抽出容器9へ押し込む。なお、このステップS15は、貯留部726内のお湯を抽出容器9へ供給するものではない。
その後、正立姿勢の抽出容器9を倒立姿勢に姿勢変化させるチャンバ反転(ステップS16)を実行し、追加注湯(ステップS6)を行ってから、透過式抽出を開始する(ステップS17)。すなわち、図38の第1制御例では、チャンバ加圧処理(ステップS13)で抽出容器9に30cc程度のお湯を供給した後であって、透過式抽出を開始するよりも前に、追加注湯(ステップS6)を実行する。ステップS13のチャンバ加圧が行われた後から、貯留部726内のお湯の量は変化しておらず、貯留部726には80cc程度のお湯が残っている。貯留部726の最大容積は215ccであるため、貯留部726にはあと135ccのお湯を送ることができる。すなわち、貯留部726の最大容積に対して2/3弱程度の空きがあることになる。なお、抽出処理S3’の準備工程で、貯留部726に最大容積に相当する215ccのお湯を送っておいた場合には、貯留部726にはあと100ccのお湯を送ることができ、貯留部726の最大容積に対して1/2弱程度の空きがあることになる。いずれの場合であっても、貯留部726の最大容積に対して、少なくとも1/3の空きがあることになる。追加注湯(ステップS6)では、まず、貯留部726の最大容積の1/3弱の容量に相当する60cc程度のお湯を貯留部726に追加する。60cc程度のお湯が追加された貯留部726におけるお湯の総量は140cc程度になる。次いで、貯留部726に貯留されたお湯の一部を抽出容器9に供給する。ここで抽出容器9に供給するお湯の量は、貯留部726に追加したお湯の量(60cc)である。この追加注湯(ステップS6)によって、抽出容器9内のお湯の量は165cc程度になる。
なお、追加注湯(ステップS6)で注湯するお湯の量は、最大135ccが可能であり、抽出処理S3’の準備工程で、貯留部726に最大容積に相当する215ccのお湯を送っておいた場合であっても100ccまでは可能である。また、反対に、追加注湯(ステップS6)で注湯するお湯の量は、60cc未満であってもよい。
透過式抽出が開始されると、倒立姿勢の抽出容器9内の気圧が高められ、コーヒー飲料が蓋ユニット91に設けたフィルタを透過してカップCに送出される。透過式抽出が行われている状態で、2回目の本抽出用注湯が行われ(ステップS122)、貯留部726内の残りのお湯の全て(80cc程度)が抽出容器9に供給される。この結果、図38に示す第1制御例では、全部で約245ccのコーヒー飲料が提供されることになる。
なお、2回目の本抽出用注湯は、透過式抽出が開始されて以降、その透過式抽出と略同時に行われる。なお、2回目の本抽出用注湯を先に開始し、透過式抽出は、2回目の本抽出用注湯が開始されて以降、その2回目の本抽出用注湯と略同時に行われるようにしてもよい。すなわち、透過式抽出と2回目の本抽出用注湯は、少なくとも部分的に並行して行われるとよく、注湯兼送出工程Kといった一つの工程に纏められる。
図39は、図15に示す一回のコーヒー飲料製造動作に関わる制御例よりも多くのコーヒー飲料を一回で製造するための第2制御例を示すフローチャートである。以下、図38に示す第1制御例との違いを中心に説明する。
図38に示す第1制御例では、追加注湯S6は、チャンバ反転S16の後であったが、図39に示す第2制御例では、チャンバ反転S16の前に行われる。すなわち、チャンバ加圧処理(ステップS13)で抽出容器9に30cc程度のお湯を供給した後であって、チャンバ反転S16を開始するよりも前に、追加注湯(ステップS6)を実行する。第2制御例における追加注湯(ステップS6)でも、貯留部726の最大容積の1/3弱の容量に相当する60cc程度のお湯を貯留部726に追加する。60cc程度のお湯が追加された貯留部726におけるお湯の総量は140cc程度になる。次いで、貯留部726に貯留されたお湯の一部を抽出容器9に供給する。ここで抽出容器9に供給するお湯の量は、貯留部726に追加したお湯の量(60cc)である。この追加注湯(ステップS6)によって、抽出容器9内のお湯の量は165cc程度になる。
追加注湯の処理が完了すると、正立姿勢の抽出容器9を倒立姿勢に姿勢変化させるチャンバ反転(ステップS16)を実行し、透過式抽出を開始する(ステップS17)。透過式抽出が行われている状態で、2回目の本抽出用注湯が行われ(ステップS122)、貯留部726内の残りのお湯の全て(80cc程度)が抽出容器9に供給される。この結果、図39に示す第2制御例でも、全部で約245ccのコーヒー飲料が提供されることになる。
図40は、図15に示す一回のコーヒー飲料製造動作に関わる制御例よりも多くのコーヒー飲料を一回で製造するための第3制御例を示すフローチャートである。以下、図38に示す第1制御例および図39に示す第2制御例との違いを中心に説明する。
この図40に示す第3制御例では、追加注湯は、ステップS14の浸漬式抽出処理の中で行われる。浸漬式抽出処理が開始される際の貯留部726には80cc程度のお湯が残っており、60cc程度のお湯の追加は可能である。追加注湯では、まず、貯留部726に60ccのお湯を追加する。浸漬式抽出処理では、抽出容器9内の気圧が5気圧に維持される。抽出容器9内には100cc程度のお湯があり、そこに、貯留部726に追加したお湯の容量と同じ容量だけ追加する。すなわち、抽出容器9に60ccのお湯を追加する。こうすることで、正立姿勢の抽出容器9内では、5気圧に加圧された状態で挽き豆が160cc程度のお湯に浸され、挽き豆から飲料液であるコーヒー液が抽出される。なお、抽出容器9へのお湯の追加は、浸漬式抽出処理が開始された後に開始してもよいし、浸漬式抽出処理の開始と同時に開始してもよい。また、抽出容器9へのお湯の追加の終了タイミングは、浸漬式抽出処理が終了する前であってもよいし、浸漬式抽出処理と同時であってもよい。あるいは、浸漬式抽出処理が終了した後であってもよく、例えば、その後のチャンバ減圧処理(ステップS15)にかかってもよい。
その後、透過式抽出が開始され(ステップS17)、透過式抽出が行われている状態で、2回目の本抽出用注湯が行われ(ステップS122)、貯留部726内の残りのお湯の全て(80cc程度)が抽出容器9に供給される。この結果、図40に示す第3制御例でも、全部で約245ccのコーヒー飲料が提供されることになる。
図41は、図15に示す一回のコーヒー飲料製造動作に関わる制御例よりも多くのコーヒー飲料を一回で製造するための第4制御例を示すフローチャートである。以下、図38~図40を用いて説明した各制御例との違いを中心に説明する。
この図41に示す第4制御例では、透過式抽出が行われている状態で、2回目の本抽出用注湯(ステップS122)が行われた後、透過式抽出が続いている状態で、さらに、3回目の本抽出用注湯(ステップS123)が行われる。透過式抽出(ステップS17)と、2回目の本抽出用注湯(ステップS122)と、3回目の本抽出用注湯(ステップS123)を注湯兼送出工程K’といった一つの工程に纏められ、注湯と透過式抽出を並行して行う期間が設けられている。2回目の本抽出用注湯(ステップS122)が行われ、貯留部726内のお湯が全て抽出容器9に供給される。3回目の本抽出用注湯(ステップS123)では、こうして空になった貯留部726に、60ccのお湯を送る。続いて、貯留部726から60ccのお湯を抽出容器9に供給する。2回目の本抽出用注湯(ステップS122)と3回目の本抽出用注湯(ステップS123)は連続して行われ、その間、倒立姿勢の抽出容器9内の気圧が高められ、コーヒー飲料が蓋ユニット91に設けたフィルタを透過してカップCに送出され続ける。なお、抽出容器9内の気圧は、図18の期間T10と期間T11のように2段階で高めるようにしてもよい。3回目の本抽出用注湯(ステップS123)が終了しても、コーヒー飲料のカップCへの送出はしばらくは続き、全部で約245ccのコーヒー飲料が提供されることになる。以上説明したように、2回目の本抽出用注湯(ステップS122)と3回目の本抽出用注湯(ステップS123)を連続して行っても、注湯と並行して抽出容器9内の加圧処理を行えば、抽出容器9に245ccまではお湯が貯まらず、容量が245ccまではない抽出容器9でも対応することができるようになる。
なお、2回目の本抽出用注湯(ステップS122)で抽出容器9に80ccのお湯を供給すると、3回目の本抽出用注湯(ステップS123)を開始する前に、カップCに185ccのコーヒー飲料を注ぐ。その後、3回目の本抽出用注湯(ステップS123)を開始し、貯留部726に60ccのお湯を送る。次いで、貯留部726から60ccのお湯を抽出容器9に供給し、カップCに60ccのコーヒー飲料を注ぎ足すようにしてもよい。このように2段階に透過式抽出を分けることで、容量が小さな抽出容器9でも対応することができるようになる。
また、2回目の本抽出用注湯(ステップS122)で抽出容器9に供給するお湯の量の方が、3回目の本抽出用注湯(ステップS123)で抽出容器9に供給するお湯の量よりも多かったが、同じであってもよいし、少なくてもよい。例えば、3回目の本抽出用注湯(ステップS123)で抽出容器9に供給するお湯の量が135ccであってもよい。
また、以上の説明では、貯留部726への60ccのお湯の移動は、透過式抽出が行われている状態で行われたが、図38に示す第1制御例における追加注湯(ステップS6)のタイミング、すなわちチャンバ反転(ステップS16)後、透過式抽出の開始前に行っておき、抽出容器9への供給だけを透過式抽出が行われている状態で行ってもよい。あるいは、図39に示す第2制御例における追加注湯(ステップS6)のタイミング、すなわちチャンバ減圧(ステップS15)後、チャンバ反転(ステップS15)前に貯留部726への60ccのお湯の移動は行っておき、抽出容器9への供給だけを透過式抽出が行われている状態で行ってもよい。さらには、図40に示す第3制御例における追加注湯のタイミング、すなわち浸漬式抽出処理の中で、貯留部726への60ccのお湯の移動は行っておき、抽出容器9への供給だけを透過式抽出が行われている状態で行ってもよい。
以上の記載では、
『 第一の姿勢[例えば、正立姿勢]の抽出容器[例えば、抽出容器9]において抽出対象[例えば、焙煎コーヒー豆の挽き豆]を液体[例えば、お湯]に浸漬する浸漬工程[例えば、ステップS14]と、
前記抽出容器の姿勢を前記第一の姿勢から第二の姿勢[例えば、倒立姿勢]に変化させる姿勢変化工程[例えば、ステップS16]と、
前記第二の姿勢の前記抽出容器における液体をフィルタを通過させてから送出する送出工程[例えば、注湯兼送出工程K,K’]と、
を有し、
前記浸漬工程が開始されてから前記送出工程が終了するよりも前に、前記抽出容器に液体を供給する[例えば、60ccのお湯を供給する]液体供給工程[例えば、追加注湯工程(ステップS6)]を有することを特徴とする抽出方法。』
について説明した。
なお、前記液体供給工程は、前記浸漬工程が完了してから前記姿勢変化工程が開始されるまでの間に実施される工程であってもよい。
また、第一の姿勢の抽出容器において抽出対象を液体に浸漬する浸漬工程と、前記抽出容器の姿勢を前記第一の姿勢から第二の姿勢に変化させる姿勢変化工程と、前記第二の姿勢の前記抽出容器に液体を供給しながら、該抽出容器における液体を送出する供給送出工程[例えば、注湯兼送出工程K]と、を有し、前記供給送出工程は、前記抽出容器における液体をフィルタを通過させて送出する工程であり、前記姿勢変化工程が完了してから前記供給送出工程が開始されるまでの間に、前記抽出容器に液体を追加供給する追加供給工程[例えば、ステップS6]を有することを特徴とする抽出方法。であってもよい。
また、
『 前記送出工程は、前記抽出対象を収容した前記抽出容器において該抽出対象を透過した液体を該抽出容器から送出[例えば、透過式抽出によって送出]する工程である、
ことを特徴とする抽出方法。』
についても説明した。
また、
『 前記液体供給工程は、前記送出工程が開始されるまでの間に行われる工程[例えば、図38又は図39に示すステップS6あるいは図40に示すステップS14’]である、
ことを特徴とする抽出方法。』
についても説明した。
なお、前記送出工程は、前記抽出対象が収容された前記抽出容器に所定量の液体を供給することを含む工程であってもよく、前記浸漬工程において前記抽出対象を浸漬する液体の量[例えば、100cc]と前記所定量[例えば、80cc]を合わせた量[例えば、180cc]の方が、前記液体供給工程において該抽出容器に供給する液体の供給量[例えば、60cc]よりも多くてもよい。
また、前記浸漬工程において前記抽出対象を浸漬する液体の量と前記所定量を合わせた量の方が、前記液体供給工程において該抽出容器に供給する液体の供給量よりも少ない場合があってもよい。
また、前記浸漬工程において前記抽出対象を浸漬する液体の量の方が、前記液体供給工程において該抽出容器に供給する液体の供給量よりも少なくてもよい。
また、前記浸漬工程において前記抽出対象を浸漬する液体の量の方が、前記液体供給工程において該抽出容器に供給する液体の供給量よりも多くてもよい。
また、前記所定量の方が、前記液体供給工程において前記抽出容器に供給する液体の供給量よりも多くてもよい。
また、前記所定量の方が、前記液体供給工程において前記抽出容器に供給する液体の供給量よりも少なくてもよい。
また、
『 前記送出工程は、前記抽出対象が収容された前記抽出容器に液体を供給することを含む工程[例えば、図41に示す注湯兼送出工程K’]であり、
前記液体供給工程は、前記送出工程の実行中に行われる工程であって、前記抽出容器に所定量の液体[例えば、80cc]を供給[例えば、図41に示す本抽出用注湯(2回目)工程(ステップS122)]した後に開始される工程[例えば、図41に示す本抽出用注湯(3回目)工程(ステップS123)]である、
ことを特徴とする抽出方法。』
についても説明した。
なお、前記液体供給工程は、前記抽出容器に前記浸漬工程において前記抽出対象を浸していた液体を送出した後に開始される工程であってもよい。
また、
『 前記液体供給工程は、前記所定量[例えば、80cc]の液体が前記抽出容器から送出した後[例えば、185ccのコーヒー飲料をカップCに注いだ後]に開始される工程である、
ことを特徴とする抽出方法。』
についても説明した。
また、
『 前記浸漬工程において前記抽出対象を浸漬する液体の量[例えば、100cc]と前記所定量[例えば、80cc]を合わせた量[例えば、180cc]の方が、前記液体供給工程において前記抽出容器に供給する液体の供給量[例えば、60cc]よりも多い、
ことを特徴とする抽出方法。』
についても説明した。
なお、前記浸漬工程において前記抽出対象を浸漬する液体の量と前記所定量を合わせた量の方が、前記液体供給工程において前記抽出容器に供給する液体の供給量よりも少ない場合があってもよい。
また、前記浸漬工程において前記抽出対象を浸漬する液体の量の方が、前記液体供給工程において前記抽出容器に供給する液体の供給量よりも少なくてもよい。
また、前記浸漬工程において前記抽出対象を浸漬する液体の量の方が、前記液体供給工程において前記抽出容器に供給する液体の供給量よりも多くてもよい。
また、前記所定量の方が、前記液体供給工程において前記抽出容器に供給する液体の供給量よりも多くてもよい。
また、前記所定量の方が、前記液体供給工程において前記抽出容器に供給する液体の供給量よりも少なくてもよい。
また、
『 前記第二の姿勢は、前記抽出容器の送出口[例えば、図6等に示す蓋ユニット91]が下方を向いた姿勢である、
ことを特徴とする抽出方法。』
についても説明した。
なお、前記第一の姿勢は、前記送出口が下方以外の方向(例えば、上方や側方)を向いた姿勢であってもよい。
また、
『 前記液体供給工程は、前記浸漬工程が完了した後に開始される工程[例えば、図38または、図39に示すステップS6、あるいは図41に示すステップS123]である、
ことを特徴とする抽出方法。』
についても説明した。
また、
『 前記抽出容器に液体を供給する場合に、容積が可変の貯留部[例えば、貯留部726]を所望の容積に調整し、該貯留部に液体を一旦貯留させてから該液体を前記抽出容器に供給する[例えば、図16~図17に示す送液量調節装置720によるお湯の供給]、
ことを特徴とする抽出方法。』
についても説明した。
以上の説明では、専らコーヒー飲料を対象としたが、日本茶、紅茶などの茶、スープなどの各種飲料も対象とすることができる。また、挽く前のコーヒー豆を抽出原料とし、挽いた後の粉状のもの(コーヒー豆の挽き豆)を抽出対象として両者を区別することもできるが、挽く前のコーヒー豆であってもコーヒー豆の挽き豆であっても広義には抽出対象といえる。本明細書では、広義の意味の抽出対象を単に抽出対象と称している。したがって、抽出対象として、コーヒー豆、コーヒーの生豆、コーヒー豆の挽き豆、焙煎コーヒー豆、焙煎コーヒー豆の挽き豆、焙煎されていないコーヒー豆、焙煎されていないコーヒー豆の挽き豆等、粉末のコーヒー豆、インスタントのコーヒー、ポッドに入ったコーヒー等を例示し、飲料として、コーヒー飲料等を例示し、飲料液としてコーヒー液を例示してきたが、これらだけに限定されない。また、抽出対象として、日本茶、紅茶、ウーロン茶などの茶葉、挽いた茶葉、野菜、粉砕された野菜、果物、粉砕した果物、穀物、粉砕した穀物、椎茸等のきのこ類、椎茸等のきのこ類を粉砕した物、椎茸等のきのこ類を加熱後に乾燥させた物、椎茸等のきのこ類を加熱後に乾燥させた物を粉砕した物、鰹等の魚類、鰹等の魚類を粉砕した物、鰹等の魚を加熱後に乾燥させた物、鰹等の魚を加熱後に乾燥させた物を粉砕した物、こんぶ等の海藻類、こんぶ等の海藻類を粉砕した物、こんぶ等の海藻類を加熱後に乾燥させた物、こんぶ等の海藻類を加熱後に乾燥させた物を粉砕した物、牛、豚、鳥、等の肉を加熱後に乾燥させた物、当該肉等を加熱後に乾燥させた物を粉砕した物、牛の骨、豚の骨、鳥の骨、等の肉を加熱後に乾燥させた物、当該骨等を加熱後に乾燥させた物を粉砕した物等の抽出材料であればよく、飲料として、日本茶、紅茶、ウーロン茶、野菜ジュース、果物ジュース、汁物、出汁、スープ等、飲料であればよく、飲料液として、日本茶のエキス、紅茶のエキス、ウーロン茶のエキス、野菜のエキス、果物のエキス、きのこのエキス、魚等のエキス、肉のエキス、骨のエキス等のエキス類であればよい。なお、実施例中で水、水道水、浄水、お湯、洗浄水と記載しているところがあるが、例えば水をお湯と置き換えたり、お湯を水と置き換えてもよい等いずれかの記載を別の記載に置き換えてもよく、全て液体、水蒸気、高温水、冷却水、冷水等と置き換えてもよい。例えば抽出対象(例えば、焙煎コーヒー豆の挽き豆)とお湯を抽出容器9に入れるといった記載であれば、抽出対象(例えば、焙煎コーヒー豆の挽き豆)と冷水(単に水でもよい)を抽出容器9に入れるといった記載に置き換えてもよく、この場合であれば水出しコーヒー等の抽出方法や飲料製造装置としてとらえてもよい。
本発明は、以上に示された幾つかの態様および例に限られるものではなく、これらの内容は本発明の趣旨を逸脱しない範囲で相互に組み合わせ可能であり、また、目的等に応じて部分的に変更されてもよい。また、本明細書に記載された個々の用語は、本発明を説明する目的で用いられたものに過ぎず、本発明は、その用語の厳密な意味に限定されるものでないことは言うまでもなく、その均等物をも含みうる。例えば、「装置」、「部」等の表現は「ユニット」、「モジュール」等と言い換え可能な場合がある。