図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
<1.飲料製造装置の概要>
図1は飲料製造装置1の概要図、図2は飲料製造装置1の制御装置11のブロック図である。飲料製造装置1は、焙煎コーヒー豆と液体(ここでは水)からコーヒー飲料を自動製造する装置であり、一回の製造動作につき、コップ一杯分のコーヒー飲料を製造可能である。飲料製造装置1は、豆処理装置2、抽出装置3及び制御装置11を含む。
制御装置11は飲料製造装置1の全体を制御する。制御装置11は、処理部11a、記憶部11b及びI/F(インタフェース)部11cを含む。処理部11aは例えばCPU等のプロセッサである。記憶部11bは例えばRAMやROMである。I/F部11cは外部デバイスと処理部11aとの間の信号の入出力を行う。
処理部11aは記憶部11bに記憶されたプログラムを実行し、操作ユニット12からの指示或いはセンサ群13の検出結果に基づいて、アクチュエータ群14を制御する。操作ユニット12はユーザの指示入力を受け付けるユニットであり、例えば、タッチパネル、機械式スイッチである。ユーザは操作ユニット12を介して、コーヒー飲料の製造を指示可能である。センサ群13は飲料製造装置1に設けられた各種のセンサ(例えばお湯の温度センサ、機構の動作位置検出センサ、圧力センサ等)である。アクチュエータ群14は飲料製造装置1に設けられた各種のアクチュエータ(例えばモータ、電磁弁、ヒーター等)である。
豆処理装置2は、焙煎コーヒー豆から挽き豆を生成する。抽出装置3は豆処理装置2から供給される挽き豆からコーヒー液を抽出する。抽出装置3は、流体供給ユニット7、後述する駆動ユニット8、抽出容器9及び切替ユニット10を含む。豆処理装置2から供給される挽き豆は、抽出容器9に投入される。流体供給ユニット7は、抽出容器9にお湯を投入する。抽出容器9内で挽き豆からコーヒー液が抽出される。抽出されたコーヒー液を含むお湯が切替ユニット10を介してコーヒー飲料としてコップCに送出される。
<2.流体供給ユニット及び切替ユニット>
流体供給ユニット7及び切替ユニット10の構成について図1を参照して説明する。まず、流体供給ユニット7について説明する。流体供給ユニット7は、抽出容器9へのお湯の供給や、抽出容器9内の気圧の制御等を行う。なお、本書において、気圧を数字で例示している場合、特に断わらない限り絶対圧を意味し、ゲージ圧とは大気圧を0気圧とする気圧である。大気圧とは、抽出容器9の周囲の気圧、又は、飲料製造装置の気圧を指し、例えば、飲料製造装置が海抜0mの地点に設置されている場合は、国際民間航空機関(=「International Civil Aviation Organization」〔[略]ICAO〕)が1976年に制定した国際標準大気(=「International Standard Atmosphere」〔[略]ISA〕)の海抜0mでの基準気圧(1013.25hPa)である。
流体供給ユニット7は配管L1~L3を含む。配管L1は空気が流通する配管であり、配管L2は水が流通する配管である。配管L3は空気と水の双方が流通可能な配管である。
流体供給ユニット7は、加圧源としてコンプレッサ70を含む。コンプレッサ70は大気を圧縮して送出する。コンプレッサ70は例えばモータ(不図示)を駆動源として駆動される。コンプレッサ70から送出される圧縮空気は、逆止弁71aを介してリザーブタンク(アキュームレータ)71に供給される。リザーブタンク71内の気圧は圧力センサ71bにより監視され、所定の気圧(本実施形態では7気圧(ゲージ圧で6気圧))に維持されるよう、コンプレッサ70が駆動される。リザーブタンク71には排水用のドレイン71cが設けられており、空気の圧縮により生じる水を排水可能となっている。
水タンク72にはコーヒー飲料を構成するお湯(水)が蓄積される。水タンク72には、水タンク72内の水を加温するヒーター72a及び水の温度を計測する温度センサ72bが設けられている。ヒーター72aは温度センサ72bの検出結果に基づいて、蓄積されるお湯の温度を所定の温度(本実施形態では摂氏120度)に維持する。ヒーター72aは例えばお湯の温度が摂氏118度でONとされ、摂氏120度でOFFとされる。
水タンク72には、また、水位センサ72cが設けられている。水位センサ72cは水タンク72内のお湯の水位を検出する。水位センサ72cにより所定の水位よりも水位が下がったことが検出されると、水タンク72に水が供給される。本実施形態の場合、不図示の浄水器を介して水道水が供給される。浄水器からの配管L2の途中には電磁弁72dが設けられており、水位センサ72cにより水位の低下が検出されると電磁弁72dが開放されて水が供給され、所定の水位に到達すると電磁弁72dが閉鎖されて水の供給が遮断される。こうして水タンク72内のお湯が一定の水位に維持される。なお、水タンク72への給水は一回のコーヒー飲料の製造に使用するお湯を排出する度に行ってもよい。
水タンク72には、また、圧力センサ72gが設けられている。圧力センサ72gは水タンク72内の気圧を検出する。水タンク72には調圧弁72e及び電磁弁72fを介してリザーブタンク71内の気圧が供給される。調圧弁72eはリザーブタンク71から供給される気圧を所定の気圧に減圧する。本実施形態の場合、3気圧(ゲージ圧で2気圧)に減圧する。電磁弁72fは調圧弁72eで調圧された気圧の、水タンク72への供給と遮断とを切り替える。電磁弁72fは、水タンク72への水道水の供給時を除き、水タンク72内の気圧が3気圧に維持されるように開閉制御される。水タンク72への水道水の供給時には、水道水の水圧によって水タンク72に円滑に水道水が補給されるように、電磁弁72hにより水タンク72内の気圧を水道水の水圧よりも低い圧力(例えば2.5気圧未満)に減圧する。電磁弁72hは水タンク72内を大気に解放するか否かを切り替え、減圧時には水タンク72内を大気に解放する。また、電磁弁72hは水タンク72への水道水の供給時以外に、水タンク72内の気圧が3気圧を超える場合に水タンク72内を大気に解放し、水タンク72内を3気圧に維持する。
水タンク72内のお湯は、逆止弁72j、電磁弁72i及び配管L3を介して抽出容器9へ供給される。電磁弁72iを開放することで抽出容器9へお湯が供給され、閉鎖することでお湯の供給が遮断される。抽出容器9へのお湯の供給量は、電磁弁72iの開放時間で管理することができる。しかし、供給量を計測して電磁弁72iの開閉を制御してもよい。配管L3にはお湯の温度を計測する温度センサ73eが設けられており、抽出容器9へ供給される湯温が監視される。
リザーブタンク71の気圧は、また、調圧弁73a、電磁弁73bを介して抽出容器9へ供給される。調圧弁73aはリザーブタンク71から供給される気圧を所定の気圧に減圧する。本実施形態の場合、5気圧(ゲージ圧で4気圧)に減圧する。電磁弁73bは調圧弁73aで調圧された気圧の、抽出容器9への供給と遮断とを切り替える。抽出容器9内の気圧は圧力センサ73dで検出される。抽出容器9内の加圧時、圧力センサ73dの検出結果に基づいて電磁弁73bが開放され、抽出容器9内を所定の気圧(本実施形態の場合、最大で5気圧(ゲージ圧で4気圧))に加圧する。抽出容器9内の気圧は電磁弁73cで減圧可能である。電磁弁73cは抽出容器9内を大気に解放するか否かを切り替え、圧力異常時(例えば抽出容器9内が5気圧を超える場合)には抽出容器9内を大気に解放する。
一回のコーヒー飲料の製造が終わると、本実施形態の場合、抽出容器9内を水道水で洗浄する。電磁弁73fは洗浄時に開放され、抽出容器9に水道水を供給する。
次に切替ユニット10について説明する。切替ユニット10は抽出容器9から送出される液体の送出先を注ぎ部10cと廃棄タンクTとのいずれかに切り替えるユニットである。切替ユニット10は、切替弁10aと切替弁10aを駆動するモータ10bを含む。切替弁10aは、抽出容器9内のコーヒー飲料を送出する場合は注ぎ部10cへ流路を切り替える。コーヒー飲料は注ぎ部10cからカップCへ注がれる。洗浄時の廃液(水道水)及び残渣(挽き豆)を排出する場合は廃棄タンクTへ流路を切り替える。切替弁10aは本実施形態の場合3ポートのボール弁である。洗浄時には切替弁10aを残渣が通過することから、切替弁10aはボール弁が好適であり、モータ10bはその回転軸を回転することで、流路を切り替える。
<3.豆処理装置>
図3を参照して豆処理装置2について説明する。図3は豆処理装置2の斜視図である。豆処理装置2は、貯留装置4及び粉砕装置5を含む。
<3-1.貯留装置>
貯留装置4は、焙煎後のコーヒー豆が収容される複数のキャニスタ40を含む。本実施形態の場合、キャニスタ40は三つ設けられている。三つのキャニスタ40を区別する場合、キャニスタ40A、40B、40Cという。各キャニスタ40A~40Cには、互いに異なる種類の焙煎コーヒー豆を収容し、操作ユニット12に対する操作入力によって、コーヒー飲料の製造に用いる焙煎コーヒー豆の種類を選択できるようにしてもよい。種類が異なる焙煎コーヒー豆とは例えばコーヒー豆の品種が異なる焙煎コーヒー豆である。また、種類が異なる焙煎コーヒー豆とは、同じ品種のコーヒー豆であるが、焙煎度が異なる焙煎コーヒー豆であってもよい。また、種類が異なる焙煎コーヒー豆とは、品種も焙煎度も異なる焙煎コーヒー豆でもよい。また、三つのキャニスタ40の少なくともいずれか一つには、複数種類の品種の焙煎コーヒー豆が混合された焙煎コーヒー豆が収容されてもよい。この場合、各品種の焙煎コーヒー豆は、焙煎度が同程度であってもよい。
なお、本実施形態では複数のキャニスタ40を設けたが、一つのキャニスタ40のみが設けられる構成であってもよい。また、複数のキャニスタ40を設けた場合に、同じ種類の焙煎コーヒー豆が全部又は複数のキャニスタ40に収容されてもよい。
各キャニスタ40には、個別にコンベア41が設けられている。コンベア41はキャニスタ40に収容された所定の量の焙煎コーヒー豆を下流側に自動送出する送出機構(搬送機構)である。本実施形態のコンベア41はモータ41aを駆動源としたスクリューコンベアであって、焙煎コーヒー豆を自動計量する計量ユニットである。モータ41aの回転量(スクリューの回転量)により焙煎コーヒー豆の送出量を制御することができる。各コンベア41は下流側の集合搬送路42に焙煎コーヒー豆を排出する。集合搬送路42は、中空の部材で構成されており、コンベア41毎の投入口42aと、共通の排出口42bとを含み、共通の排出口42bから粉砕装置5へ焙煎コーヒー豆が供給される。
<3-2.粉砕装置>
図3及び図4を参照して粉砕装置5を説明する。図4は粉砕装置5の縦断面図である。粉砕装置5は、グラインダ5A及び5B、及び、分離装置6を含む。グラインダ5A及び5Bは貯留装置4から供給される焙煎コーヒー豆を挽く機構である。グラインダ5A及び5Bは、豆を挽く粒度が異なっている。グラインダ5Aは粗挽き用のグラインダであり、グラインダ5Bは細挽き用のグラインダである。
<3-2-1.グラインダ>
グラインダ5Aは、モータ52a及び本体部53aを含む。モータ52aはグラインダ5Aの駆動源である。本体部53aはカッターを収容するユニットであり、回転軸54aが内蔵されている。回転軸54aにはギア55aが設けられており、モータ52aの駆動力がギア55aを介して回転軸54aに伝達される。
回転軸54aには、また、カッターである回転刃58aが設けられており、回転刃58aの周囲には、また、カッターである固定刃57aが設けられている。本体部53aの内部は投入口50a及び排出口51aと連通している。集合搬送路42から供給される焙煎コーヒー豆は本体部53aの側部に形成されている投入口50aから本体部53aへ横方向に進入し、回転刃58aと固定刃57aとの間に挟まれるようにして粉砕される。回転軸54aの回転刃58aよりも上側には抑制板56aが設けられており、抑制板56aは焙煎コーヒー豆が上側に逃げることを抑制する。グラインダ5Aでは焙煎コーヒー豆が例えば1/4程度に粉砕される。粉砕された挽き豆は排出口51aから分離装置6へ排出される。
なお、投入口50aに供給された焙煎コーヒー豆は、回転刃58aの上方からではなく、側面に当たるような高さに供給されてもよい。その場合は、回転刃58aにより焙煎コーヒー豆が上側へ逃げることが抑制されるため、抑制板56aを設けなくてもよい。
グラインダ5Aは、回転刃58aの回転数を変化させることで、粉砕された後に排出される焙煎コーヒー豆の大きさを変化させてもよい。また、回転刃58aと固定刃57aとの間の距離を手動で調整することで変化させてもよい。
分離装置6は挽き豆から不要物を分離する機構である。分離装置6はグラインダ5Aとグラインダ5Bとの間に配置されている。つまり、本実施形態の場合、貯留装置4から供給される焙煎コーヒー豆は、まず、グラインダ5Aで粗挽きされ、その粗挽き豆から分離装置6によって不要物が分離される。不要物が分離された粗挽き豆は、グラインダ5Bにより細挽きされる。分離装置6で分離する不要物は、代表的にはチャフや微粉である。これらはコーヒー飲料の味を低下させる場合がある。分離装置6は空気の吸引力により不要物を分離する機構であり、その詳細は後述する。
グラインダ5Bは、モータ52b及び本体部53bを含む。モータ52bはグラインダ5Bの駆動源である。本体部53bは、カッターを収容するユニットであり、回転軸54bが内蔵されている。回転軸54bにはプーリ55bが設けられており、モータ52bの駆動力がベルト59b及びプーリ55bを介して回転軸54bに伝達される。
回転軸54bには、また、回転刃58bが設けられており、回転刃58bの上側には固定刃57bが設けられている。本体部53bの内部は投入口50b及び排出口51bと連通している。分離装置6から落下してくる挽き豆は投入口50bから本体部53bへ進入し、回転刃58bと固定刃57bとの間に挟まれるようにして更に粉砕される。粉状に粉砕された挽き豆は排出口51bから排出される。なお、グラインダ5Bにおける挽き豆の粒度は、回転刃58bと固定刃57bとの隙間を調整することによって調整可能である。
焙煎コーヒー豆の粉砕は、一つのグラインダ(一段階の粉砕)であってもよい。しかし、本実施形態のように、二つのグラインダ5A、5Bによる二段階の粉砕とすることで、挽き豆の粒度が揃い易くなり、コーヒー液の抽出度合を一定にすることができる。豆の粉砕の際にはカッターと豆との摩擦により、熱が発生する場合がある。二段階の粉砕とすることで、粉砕時の摩擦による発熱を抑制し、挽き豆の劣化(例えば風味が落ちる)を防止することもできる。
また、粗挽き→不要物の分離→細挽きという段階を経ることで、チャフなどの不要物を分離する際、不要物と挽き豆(必要部分)との質量差を大きくできる。これは不要物の分離効率を上げることができるとともに、挽き豆(必要部分)が不要物として分離されてしまうことを防止することができる。また、粗挽きと細挽きとの間に、空気の吸引を利用した不要物の分離処理が介在することで、空冷によって挽き豆の発熱を抑えることができる。これにより挽き豆の劣化(例えば風味が落ちる)を防止することもできる。
<3-2-2.分離装置>
次に、図3~図5を参照して分離装置6を説明する。図5は分離装置6の一部破断斜視図である。分離装置6は、吸引ユニット6A及び形成ユニット6Bを含む。形成ユニット6Bは、グラインダ5Aから自由落下してくる挽き豆が通過する分離室SCを形成する中空体である。吸引ユニット6Aは、挽き豆の通過方向(本実施形態の場合、上下方向。)と交差する方向(本実施形態の場合、左右方向。)で分離室SCと連通し、分離室SC内の空気を吸引するユニットである。分離室SC内の空気を吸引することで、チャフや微粉といった軽量な物体が吸引される。これにより、挽き豆から不要物を分離できる。
吸引ユニット6Aは遠心分離方式の機構である。吸引ユニット6Aは、送風ユニット60A及び回収容器60Bを含む。送風ユニット60Aは本実施形態の場合、ファンモータであり、回収容器60B内の空気を上方へ排気する。
回収容器60Bは、分離可能に係合する上部61と下部62とを含む。下部62は上方が開放した有底の筒型をなしており、不要物を蓄積する空間を形成する。上部61は下部62の開口に装着される蓋部を構成する。上部61は、円筒形状の外周壁61aと、これと同軸上に形成された排気筒61bとを含む。送風ユニット60Aは排気筒61b内の空気を吸引するように排気筒61bの上方において上部61に固定されている。上部61は、また、径方向に延設された筒状の接続部61cを含む。接続部61cは形成ユニット6Bと接続され、分離室SCと回収容器60Bとを連通させる。接続部61cは排気筒61bの側方に開口している。
送風ユニット60Aの駆動により、図5において矢印d1~d3で示す気流が発生する。この気流により、分離室SCから不要物を含んだ空気が接続部61cを通って回収容器60B内に吸引される。接続部61cは排気筒61bの側方に開口しているため、不要物を含んだ空気は排気筒61bの周囲を旋回する。空気中の不要物Dは、その重量によって落下し、回収容器60Bの一部に集められる(下部62の底面上に堆積する)。空気は排気筒61bの内部を通って上方に排気される。
排気筒61bの周面には複数のフィン61dが一体に形成されている。複数のフィン61dは排気筒61bの周方向に配列されている。個々のフィン61dは、排気筒61bの軸方向に対して斜めに傾斜している。このようなフィン61を設けたことで、不要物Dを含んだ空気の排気筒61bの周囲の旋回を促進する。また、フィン61により不要物Dの分離が促進される。この結果、吸引ユニット6Aの上下方向の長さを抑えることができ、装置の小型化に寄与する。
また、本実施形態では、グラインダ5A及び5Bによる挽き豆の落下経路に形成ユニット6Bを配置する一方、落下経路の側方に遠心分離方式の吸引ユニット6Aを配置している。遠心分離方式の機構は上下方向に長くなり易いが、吸引ユニット6Aを落下経路からずらして側方に配置することで、吸引ユニット6Aをグラインダ5A及びグラインダ5Bに対して横方向に並設することができる。これは装置の上下方向の長さを抑えることに寄与する。特に本実施形態のように、二つのグラインダ5A及び5Bにより二段階の粉砕を行う場合、装置の上下方向の長さが長くなる傾向になるため、吸引ユニット6Aのこのような配置が装置の小型化に有効である。
図3~図9を参照して形成ユニット6Bを説明する。図6(A)は形成ユニット6Bの縦断面図である。図7(A)は形成ユニット6Bの斜視図及び部分拡大図である。図8(A)は形成ユニット6Bの平面図であって、断面積の比較説明図である。
形成ユニット6Bは、本実施形態の場合、上下に半割された二部材を結合して形成されている。形成ユニット6Bは、管部63及び分離室形成部64を含み、平面視でスプーン形状を有している。管部63は、吸引ユニット6Aへの通路63aを形成する筒体であり、横方向(後述する中心線CLと交差する方向)に延設されている。分離室形成部64は管部63に接続され、分離室SCを形成する、中央が上下方向に開口した円環形状の中空体である。
本実施形態では、挽き豆から不要物を分離するにあたり、グラインダ5Aから落下してくる挽き豆に横方向の風圧を作用させて不要物を吸引する方式を採用している。これは、遠心分離方式よりも鉛直方向の長さを短くできる点で有利である。
分離室形成部64は、上下方向に延設された筒状部65を含む。筒状部65はその上下方向の中央部から下部にかけて分離室SC内に突出している。筒状部65は上側の一端に開口部65aを有し、開口部65aは分離室SCに連通した、挽き豆の投入口を形成している。開口部65aは分離室SC外に位置しており、グラインダ5Aの排出口51aに接続されている。これにより、排出口51aから落下する挽き豆が漏れなく分離室形成部64に導入される。筒状部65は下側の他端に開口部65bを有する。開口部65bは分離室SC内に位置している。開口部65bが分離室SCに臨んでいるため、排出口51aから落下する挽き豆が漏れなく分離室SCに導入される。
筒状部65は、本実施形態の場合、円筒形状を有しており、開口部65a及び開口部65bは中心線CL上に位置する同心の円形状を有している。これにより、排出口51aから落下する挽き豆が筒状部65を通過し易くなる。筒状部65は内部空間の断面積が開口部65a側から開口部65b側へ向かって徐々に小さくなるテーパ形状を有している。筒状部65の内壁がすり鉢形状となるため、落下してくる挽き豆が内壁に衝突し易くなる。グラインダ5Aから落下してくる挽き豆は、粒同士が密着して塊となって落下してくる場合がある。挽き豆が塊の状態であると、不要物の分離効率が低下する場合がある。本実施形態の場合、塊となった挽き豆が筒状部65の内壁に衝突することで、塊を崩し、不要物を分離し易くすることができる。
なお、挽き豆の塊を崩す点では、筒状部65の内壁はすり鉢形状に限られない。筒状部65の途中部位に開口部65aよりも内部空間の断面積が小さい箇所があり、それにより、中心線CLに対して傾斜した(水平ではない)内壁があれば、塊との衝突を促進しつつ、挽き豆を円滑に落下させることができる。また、筒状部65は分離室SC内に突出している必要はなく、分離室形成部64の外面から上側に突出した部分のみを有するものであってもよい。
但し、筒状部65を分離室SC内に突出させたことで、筒状部65の周囲の迂回部R1での風速を向上でき、風圧による不要物の分離効果を高めることができる。
分離室形成部64は、不要物を分離した後の挽き豆が排出される、分離室SCに連通した排出口66を有している。排出口66は、本実施形態の場合、開口部65bの下方に位置しており、筒状部65を通った挽き豆は、分離室SCを通過して排出口66から自由落下する。本実施形態の場合、排出口66は中心線CL上に位置する円形の開口であり、開口部65a及び開口部65bと同心円の開口である。このため、挽き豆が分離室形成部64を自由落下により通過し易くなり、分離室形成部64内に挽き豆が堆積することを防止することができる。
図8(A)に示すように、本実施形態の場合、開口部65bの断面積SC1よりも排出口66の断面積SC2の方が大きい。本実施形態の場合、開口部65bと排出口66とが上下方向で見て、互いに重なっている。したがって、排出口66に対して、上下方向に開口部65bを投影すると、排出口66の内側に開口部65bが収まることになる。換言すると、開口部65bは、排出口66を上下方向に延長した領域内に収まる。開口部65bと排出口66とが同一中心線上にないが重なっている構成や、少なくとも一方が円形でないが重なっている構成も採用可能である。
断面積SC2に対する断面積SC1の比率は、例えば、95%以下、あるいは、85%以下であり、また、例えば、60%以上、あるいは、70%以上である。開口部65b、排出口66は同心円であるため、中心線CL方向に見ると互いに重なっている。このため、開口部65bから自由落下する挽き豆が排出口66から排出され易くなる。また、落下する挽き豆が排出口66の縁に衝突して管部63側へ跳ねることを防止し、必要な挽き豆が吸引ユニット6Aに吸引されてしまうことも抑制できる。排出口(例えば66)の開口面積よりも一端開口部(例えば65a)の開口面積の方が小さいと例示してきたが、排出口(例えば66)の開口面積と一端開口部(例えば65a)の開口面積は同じであってもよいし、排出口(例えば66)の開口面積よりも一端開口部(例えば65a)の開口面積の方が大きくてもよい。排出口(例えば66)の開口面積よりも他端開口部(例えば65b)の開口面積の方が小さいと例示してきたが、排出口(例えば66)の開口面積と他端開口部(例えば65b)の開口面積は同じであってもよいし、排出口(例えば66)の開口面積よりも他端開口部(例えば65b)の開口面積の方が大きくてもよい。吸引ユニット(例えば6A)によって排出口66及び投入口(例えば65a,65a’)から空気が吸引されることを例示したが、投入口(例えば65a,65a’)から吸引される空気の量よりも排出口66から吸引される空気の量の方が多くなるようにしてもよい。これは、分離室内に他端開口部(例えば65b)が突出していることや、一端開口部(例えば65a)の開口面積の大きさよりも排出口66の断面積の大きさが大きいことで実現してもよいし、他端開口部(例えば65b)の開口面積の大きさよりも排出口66の断面積の大きさが大きいことで実現してもよいし、一端開口部(例えば65a)から分離室までの距離よりも排出口66から分離室までの距離が近いことで実現してもよいし、一端開口部(例えば65a)から排気筒61bまでの距離よりも排出口66から排気筒61bまでの距離が近いことで実現してもよいし、一端開口部(例えば65a)から送風ユニット60Aまでの距離よりも排出口66から送風ユニット60Aまでの距離が近いことで実現してもよい。形成ユニット6Bや分離室SCを構成する部材(63~65)の内壁部のいずれかや筒状部65や他端開口部(例えば65b)であるが、グラインダ(5A及び5Bのうちの少なくとも一方)と直接又は他の部材を介して間接的に接触して、当該グラインダの回転による振動が伝わって、振動するように構成されていてもよい。例えば、実施例における飲料製造装置1の場合、それらは直接的又は間接的に接触していることから、グラインダの動作中は、形成ユニット6Bや分離室SCを構成する部材(63~65)の内壁部のいずれかや筒状部65や他端開口部(例えば65b)が振動し、振動により当該分離室SC内に生じる乱れた空気によって、他端開口部(例えば65b)から分離室SCに進入する軽い不要物にブレーキを与えて、当該不要物を吸引ユニット(例えば6A)によって吸引しやすくしている。特に、実施例における飲料製造装置1のように形成ユニット6Bは、グラインダ5A及びグラインダ5Bのうちのグラインダ5Aと直接接触しているが、このように一のグラインダに直接接触させることで形成ユニット6Bに適度な振動を与えて、軽い不要物を吸引しやすくしてもよい。
本実施形態の場合、吸引ユニット6Aにより吸引される空気は、主に、排出口66から吸引される。このため、排出口66とグラインダ5Bの投入口50bとの間には隙間が設けられており、空気の吸引が促進される。つまり、本実施形態では排出口66は挽き豆の排出だけでなく、形成ユニット6Bの外から分離室SC内へ空気を取り入れる空気取入れ口としても機能する。排出口66とは別に空気取り入れ口を設けることも可能であるが(例えば、形成ユニット6Bの側部等)、排出口66と兼用することで装置の小型化を図れる。図6(A)において矢印d4は吸引ユニット6Aにより吸引される空気の気流の向きを模式的に示している。排出口66から空気を吸引することで不要物が排出口66から排出されにくくなり、挽き豆と不要物との分離性能を向上できる。なお、吸引ユニット6Aにより吸引される空気は、開口部65aからも吸引され得る。
本実施形態における迂回部R1は、形成ユニット6Bを形成する壁部64aによって筒状部65の横(周囲)に形成されている。壁部64aは、円弧を中心線CLの回りに回転して得られる形状を有しており、壁部64aにより形成される迂回部R1は平面視(中心線CL方向の視線)でC字型でドーナツ状の空間である。
排出口66から分離室SCに取り入れられる空気は、矢印d41で示すように直接的に通路63aへ向かう空気と、矢印d42で示すように迂回部R1を経由して通路63aへ向かう空気とを含む。迂回部R1を空気が迂回することで、挽き豆の落下位置に不要物が舞うスポットである領域R2が発生する。
つまり、迂回部R1があることによって排出口66から通路63aまで強い力で空気が一直線に流れにくくなる。具体的には、排出口66から迂回部R1を経由して通路63aに流れる空気(矢印d42)と、迂回部R1から通路63aへの空気に引っ張られて排出口66から上昇する空気と、排出口66から通路63aに流れる空気(矢印d41)と、が領域R2で分散し、領域R2の辺りは弱い空気の流れになるため、比較的重い挽き豆は落下し、比較的軽いチャフ等の不要物は、排出口66から通路63aに流れる空気に巻き込まれて通路63aに送り込まれる。このため、開口部65bと排出口65との間の距離を長く取らなくても不要物のみを効率よく分離可能であり、形成ユニット6B及び分離装置6全体をコンパクトにすることが可能になっている。
また、迂回部R1は、筒上部65に対して横方向で管部63や吸引ユニット6Aと逆の位置の部分R1’を含む。管部63や吸引ユニット6Aから遠い部位R1’において、風圧による不要物の分離効果を高めたり、迂回距離を長くして浮揚効果の分離効果を高めることができる。
<3-2-3.他の構成例>
排出口66から分離室SCへ取入れられる空気の流れを乱し、乱流の発生を促進する、乱し部を設けてもよい。図6(B)及び図7(B)はその一例を示す。図示の例では、排出口66を画定する周囲壁に、乱し部67が形成されている。乱し部67は排出口66から分離室SCへ吸引される空気に乱流を生じさせる。乱し部67を形成したことにより、特に、開口部65bとの排出口66との間の領域R2において、乱流が生じやすくなる。また、本実施形態の場合、筒状部65の周囲の迂回部R1で風速が向上するので、領域R2での乱流の発生を相乗的に促進させることができる。
投入口65aに投入された挽き豆は領域R2を通過する際に乱流の影響を受けて攪拌される。本実施形態の場合、特に、上記のとおり開口部65bの断面積SC1よりも排出口66の断面積SC2の方が大きいため、挽き豆は領域R2を必ず通過する。乱流によって、チャフや微粉といった不要物が、挽き豆から分離されやすくなる。よって、分離室SCが小さい空間であっても、不要物の分離効率を向上することができ、特に、分離室SCの上下方向の長さを小さくすることに寄与し、本実施形態のように二つのグラインダ5A、5Bで二段階の粉砕を行う場合の装置の小型化に有利である。
本実施形態の場合、乱し部67は複数の乱流促進要素67aを含む。乱流促進要素67aは、上下方向で下向きに突出した突起である。乱流促進要素67aの突出方向は、どの方向であってもよいが、分離室SC内に乱流をより発生させ易くする点で、下方向から径方向内側方向の範囲内の方向が好適である。本実施形態のように、突出方向が下方向であれば、落下してきた挽き豆が引っ掛かることがなく、より好ましい。
乱流促進要素67aの断面形状は、台形形状の四角柱を断面の上底が中心線CL方向に向くように配置され、かつ先端部の内側に面取り67bを施された形状となっている。乱流促進要素67aの形状は、本実施形態の形状に限られないが、排出口66の形状を三次元的に複雑にする形状が好適である。
本実施形態の場合、乱流促進要素67aは、排出口66の周囲方向d5に繰り返し形成されている。これにより、領域Rへ多方向から空気が吹き込み、乱流の発生が促進される。隣接する乱流促進要素67aのピッチは、異ピッチでもよいが、本実施形態では等ピッチである。乱流促進要素67aは12個形成されているが、乱流促進要素67aの数は任意である。
次に、乱し部67は、排出口66以外の場所に設けてもよく、排出口66に取り入れられる空気の流れを乱す部位であれば形成ユニット6B外の部位でもよい。図8(B)の例は、グラインダ5Bの投入口50bを形成する周壁に乱し部67を形成した例を示している。この投入口50bのように、排出口66の直近のユニット或いは排出口66と対向する口部に設けても、排出口66に取り入れられる空気の流れを乱すことができる場合がある。このように乱し部67は、排出口66の外側のユニットに設けてもよいし、或いは、形成ユニット6Bとは別体のユニットに乱し部67を形成してもよい。
また、乱し部67を排出口66に形成すると共に、排出口66以外の場所に設けてもよいく、例えば、図8(C)に示すように、乱し部67を排出口66に形成し、かつ、投入口50bに形成してもよい。
なお、形成ユニット6Bにおいて乱し部67を設ける場所は排出口66ではなく、開口部65aや開口部65bを空気取り入れ口としてそこに設けてもよく、形成ユニット6Bの側部(例えば部分R1’に隣接する壁部64a)に空気取入れ口を設けてもよく、ここに乱し部67を設けてもよい。また、空気取入れ口を排出口66等を含んで複数設けてもよく、そのうちの全部又は一部の空気取入れ口に乱し部67を形成してもよい。
図9を参照して分離室形成部64の他の構成例について説明する。乱流促進要素67aは、突起のほか、切欠きや穴であってもよい。図9のEX1の例は、乱流促進要素67aを排出口66の周囲壁に形成した貫通穴とした例を例示している。このような穴も領域R2における乱流発生を促進可能である。
図9のEX2の例は、筒状部65を設けない例を示している。この場合においても、投入口65a’の断面積SC1’よりも、排出口66の断面積SC2を大きくした構成が好適である。また、迂回部R1は、板状の壁部64bによって形成されている。このように、筒状部65とは別の構成で迂回部R1を形成してもよく、更に、形成ユニット6Bとは別体の管等のユニットにより迂回部R1が形成されてもよい。
筒状部65の開口部65bは水平面上の開口ではなく、傾斜面上の開口であってもよい。図9のEX3の例は、筒状部65の管部63側の下端が、反対側の下端よりも下方向に突出していている。このようにすることで、迂回部R1側へ挽き豆が案内され易くなって分離室SCにおける挽き豆の滞留時間を長くとることができ、分離効果を高めることができる。
<4.駆動ユニット及び抽出容器>
<4-1.概要>
抽出装置3の駆動ユニット8及び抽出容器9について図10を参照して説明する。図10は駆動ユニット8及び抽出容器9の斜視図である。
駆動ユニット8はフレームFに支持されている。フレームFは、上下の梁部F1、F2及び梁部F1、F2を支持する柱部F3を含む。駆動ユニット8は、上部ユニット8A、中部ユニット8B及び下部ユニット8Cの三つのユニットに大別される。上部ユニット8Aは梁部F1に支持されている。中部ユニット8Bは梁部F1と梁部F2との間において、梁部F1に支持されている。下部ユニット8Cは梁部F2に支持されている。
抽出容器9は、容器本体90及び蓋ユニット91を含むチャンバである。抽出容器9のことをチャンバと呼ぶ場合がある。中部ユニット8Bは、容器本体90を着脱自在に保持するアーム部材820を備える。アーム部材820は、保持部材820aと、左右に離間した一対の軸部材820bとを含む。保持部材820aは、Cの字型のクリップ状に形成された樹脂等の弾性部材であり、その弾性力により容器本体90を保持する。保持部材82aは容器本体90の左右の側部を保持し、容器本体90の前方側は露出させている。これにより容器本体90の内部を、正面視で視認し易くなる。
保持部材820aに対する容器本体90の着脱は手動操作で行い、保持部材820aに容器本体90を前後方向後方へ押し付けることで容器本体90が保持部材820aに装着される。また、容器本体90を保持部材820aから前後方向前側へ引き抜くことで、容器本体90を保持部材820aから分離可能である。
一対の軸部材820bは、それぞれ、前後方向に延設されたロッドであり、保持部材820aを支持する部材である。なお、本実施形態では軸部材820bの数を二本としたが、一本でもよいし、三本以上であってもよい。保持部材820aは、一対の軸部材820bの前側の端部に固定されている。後述する機構により、一対の軸部材820bは前後方向に進退され、これにより保持部材820aが前後に進退し、は容器本体90を前後方向に平行移動する移動動作を行うことができる。中部ユニット8Bは、また、後述するように、抽出容器9の上下を反転させる回動動作を行うも可能である。
<4-2.抽出容器>
図11及び図12を参照して抽出容器9について説明する。図11は抽出容器9の閉状態及び開状態を示す図であり、図12は抽出容器9の分解斜視図である。上記のとおり、抽出容器9は中部ユニット8Bにより上下が反転される。図10及び図11の抽出容器9は、蓋ユニット91が上側に位置している基本姿勢を示している。以下の説明において上下の位置関係を述べる場合、特に断らない限りは基本姿勢における上下の位置関係を意味するものとする。
容器本体90は有底の容器であり、ネック部90b、肩部90d、胴部90e及び底部90fを有するボトル形状を有している。容器本体90の全体または一部は透過部を有していてもよい。透過部は無色透明または有色透明の材料で構成してもよい。これにより容器本体90の外部から内部を視認可能となる。ネック部90bの端部(容器本体90の上端部)には、容器本体90の内部空間と連通する開口90aを画定するフランジ部90cが形成されている。
ネック部90b及び胴部90eは、いずれも円筒形状を有している。ネック部90bは、内部空間の断面積あるいは断面形状が同じ領域が上下方向に延びている。また、胴部90eも断面積あるいは断面形状が同じ領域が上下方向に延びており、ネック部90bよりも長い。内部空間の断面積は、ネック部90bよりも胴部90eの方が大きい。胴部90eに対するネック部90bの断面積の比率は、例えば、65%以下、50%以下、或いは、35%以下であり、また、例えば、10%以上、あるいは、20%以上である。肩部90dは、ネック部90bと胴部90eとの間の部分であり、その内部空間の断面積が胴部90e側からネック部90b側へ向かって徐々に小さくなるようにテーパ形状を有している。しかし、ネック部90bは、底部90fよりも開口90aに近い位置について説明上名前をつけているだけで、必ずしも内部空間の断面積は、ネック部90bよりも胴部90eの方が大きいことに限定されず、ネック部90aを胴部90eの一部としてもよい。すなわち抽出容器9は図10等に示されるようなくびれた部分を有する形状ではなくてもよく、寸胴形状または、寸胴形状でかつ開口90a又は開口90aの近傍に90cのようなフランジ部が設けられた形状としてもよい。
蓋ユニット91は開口90aを開閉するユニットである。蓋ユニット91の開閉動作(昇降動作)は上部ユニット8Aにより行われる。
容器本体90は、本体部材900及び底部材901を含む。本体部材900は、ネック部90b、肩部90d、胴部90eを形成する上下が開放した筒部材である。底部材901は底部90fを形成する部材であり、本体部材900の下部に挿入されて固定される。本体部材900と底部材901との間にはシール部材902が介在し、容器本体90内の気密性を向上する。
底部材901の中心部には凸部901cが設けられ、この凸部901cには軸穴901bが形成されている。また、軸穴901bの周囲には複数の連通穴901aが形成されている。連通穴901aは容器本体90内を外部に連通させる貫通穴であり、主に、容器本体90内を洗浄する際の廃液及び残渣の排出に用いられる。
軸穴901bは底部材901を貫通しており、ここには栓部材903の軸903aが挿入される。栓部材903は容器本体90の内側から連通穴901aを開閉する。栓部材903と底部材901の内側面(上面)との間にはシール部材904が設けられており、栓部材903の閉時に容器本体90内の気密性を向上する。
底部材901の外側(下側)において、軸903aにはコイルばね905、円筒状のばね受け906が装着され、更に、軸903aの端部にEリング907が係合する。コイルばね905及びばね受け906は底部材901とEリング907との間に保持され、コイルばね905は栓部材903を閉方向に付勢する。凸部901cにはシール部材908が設けられており、シール部材908は、上部ユニット8Aまたは下部ユニット8Cと底部材901との間を気密に維持するための部材である。
蓋ユニット91は、帽子状のベース部材911を備える。ベース部材911は、凸部911d、及び、閉時にフランジ部90cと重なる鍔部911cを有する。ベース部材911には、容器本体90における栓部材903と同じ開閉機構が設けられている。具体的に言うと、ベース部材911の中心部には軸穴911bが形成されており、また、軸穴911bの周囲には複数の連通穴911aが形成されている。連通穴911aは容器本体90内を外部に連通させる貫通穴であり、主に、容器本体90内へのお湯の注入とコーヒー飲料の送出に用いられる。
軸穴911bはベース材911を貫通しており、ここには栓部材913の軸913aが挿入される。栓部材913は容器本体90の内側から連通穴911aを開閉する。栓部材913とベース部材911の内側面との間にはシール部材914が設けられており、栓部材913の閉時に容器本体90内の気密性を向上する。
ベース部材911の外側(上側)において、軸913aにはコイルばね915、円筒状のばね受け916が装着され、更に、軸913aの端部にEリング917が係合する。コイルばね915及びばね受け916はベース材911とEリング917との間に保持され、コイルばね915は栓部材913を閉方向に付勢する。凸部911dにはシール部材918a、リングばね918bが設けられている。シール部材918aは、上部ユニット8Aまたは下部ユニット8Cとベース部材911との間を気密に維持するための部材である。リングばね918bは、蓋ユニット91の開時に蓋ユニット91を上部ユニット8Aに保持するための係合部材である。
ベース部材911の内側(下側)には、固定部材919が固定される。固定部材919は、フィルタ910及び保持部材910aを支持する。フィルタ910はコーヒー飲料と挽き豆の残渣を分離するためのフィルタであり、例えば金属フィルタである。金属フィルタを用いることで、コーヒーオイルを含んだコーヒー飲料をユーザに提供することができる。保持部材910aは、フィルタ910の変形を抑制する多孔部材である。シール部材919aは固定部材919に支持される。本実施形態の場合、固定部材919は弾性部材であり、固定部材919とシール部材919aは、蓋ユニット91の閉時に蓋ユニット91と容器本体90との気密性を向上する。
なお、フランジ90cと鍔部911cとを気密に接触させることで、シール部材919aを用いない構成も採用可能である。
<4-3.上部ユニット及び下部ユニット>
上部ユニット8A及び下部ユニット8Cについて図13及び図14を参照して説明する。図13は上部ユニット8A及び下部ユニット8Bの一部の構成を示す正面図であり、図14は図13のI-I線に沿う断面図である。
上部ユニット8Aは、操作ユニット81Aを含む。操作ユニット81Aは容器本体90に対する蓋ユニット91の開閉操作(昇降)及び栓部材903及び913の開閉操作を行う。操作ユニット81Aは、支持部材800、保持部材801、昇降軸802及びプローブ803を含む。
支持部材800はフレームFに対する相対位置が変化しないように固定して設けられている。保持部材801を収容する収容部800bを含む。収容部800bは下方に開口し、天部が閉鎖された円筒状の空間である。支持部材800は、また、配管L3と収容部800b内を連通させる連通部800aを備える。配管L3から供給されるお湯、水道水および気圧が連通部800aを介して収容部800b内に導入される。
保持部材801は、蓋ユニット91を着脱自在の保持する部材である。保持部材801は蓋ユニット91の凸部911d又は底部材901の凸部901cが挿入される収容部801bを含む。収容部801bは下方に開口し、天部が閉鎖された円筒状の空間である。保持部材801は、また、収容部800bと収容部801bを連通させる連通部801aを備える。配管L3から供給されるお湯、水道水および気圧が連通部800a及び連通部801aを介して収容部801b内に導入される。保持部材801は収容部800b内を上下方向にスライド自在に設けられた可動部材である。保持部材801には、保持部材801と収容部800bとの間をシールするシール部材801cが形成されており、保持部材801のスライド中も収容部800b内の気密性が維持される。
収容部801b内壁には、径方向内側に隆起した係合部801dが形成されている。係合部801dと蓋ユニット91のリングばね918bとが係合することで、蓋ユニット91が保持部材801に保持される。保持部材801と蓋ユニット91とを上下方向に分離させる一定以上の力が作用すると、リングばね918bの弾性変形によって、係合部801dとリングばね918bとの係合が解除される。これにより、蓋ユニット91と保持部材801とが分離する。
昇降軸802はその軸方向が上下方向となるように設けられている。昇降軸802は支持部材800の天部を上下方向に貫通し、支持部材800に対して上下に昇降自在に設けられている。支持部材800には、昇降軸802が通る穴の部分にシール部材800cが設けられており、昇降軸802のスライド中も収容部800b内の気密性が維持される。
昇降軸802の下端部には保持部材801の天部が固定されている。昇降軸802の昇降によって保持部材801が上下方向にスライドし、凸部911dや凸部901cへの保持部材801の装着と分離を行うことができる。また、容器本体90に対する蓋ユニット91の開閉を行うことができる。図15は蓋ユニット91が開状態である場合を示している。蓋ユニット91を保持した保持部材801が上昇位置にあり、保持された蓋ユニット91が容器本体90の上方に離間している。なお、図15は一部の部品の図示が省略されている。
昇降軸802の外周面にはリードスクリュー機構を構成するねじ802aが形成されている。このねじ802aにはナット804bが螺着されている。上部ユニット8Aは、モータ804aを備えており、ナット804bはモータ804aの駆動力によって、その場で(上下に移動せずに)回転される。ナット804bの回転によって昇降軸802が昇降する。
昇降軸802は、中心軸に貫通穴を有する管状の軸であり、この貫通穴にプローブ803が上下にスライド自在に挿入されている。プローブ803は保持部材801の天部を上下方向に貫通し、支持部材800及び保持部材801に対して上下に昇降自在に設けられている。保持部材801には、プローブ803が通る穴の部分にシール部材801eが設けられており、プローブ803のスライド中も収容部801b内の気密性が維持される。
プローブ803は、栓部材903の軸903a(及び栓部材913の軸913a)と同軸上に設けられている。プローブ803を降下することで、栓部材903の軸903aを下方に押圧し、栓部材903を閉状態から開状態にすることができる。なお、プローブ803を用いずに、抽出容器9へ供給する空気の気圧や水の水圧を利用して、栓部材903を押圧し、閉状態から開状態にすることも可能である。この場合、気圧や水圧をコイルばね905の付勢力よりも高い圧力とすればよい。
図16は栓部材903(及び栓部材913)の開閉態様を示している。保持部材801が降下位置にあり、凸部911dが保持部材801に挿入されている。そして、プローブ803(図16で不図示)の降下により栓部材903が破線で示す開状態に変位可能であることが理解される。抽出容器9の上下が反転された場合、栓部材913を閉状態から開状態にすることができる。なお、図16は一部の部品の図示が省略されている。
プローブ803の外周面にはリードスクリュー機構を構成するねじ803aが形成されている。このねじ803aにはナット805bが螺着されている。上部ユニット8Aは、モータ805aを備えており、ナット805bはモータ805aの駆動力によって、その場で(上下に移動せずに)回転するように設けられている。ナット805bの回転によってプローブ803が昇降する。
下部ユニット8Cは、操作ユニット81Cを含む。操作ユニット81Cは、操作ユニット81Aを上下に反転した構成であり、栓部材903及び913の開閉操作を行う。操作ユニット81Cも蓋ユニット91の開閉が可能な構成であるが、本実施形態では操作ユニット81Cを蓋ユニット91の開閉には用いない。
以下、操作ユニット81Aの説明と略同じであるが、操作ユニット81Cについて説明する。操作ユニット81Cは、支持部材810、保持部材811、昇降軸812及びプローブ813を含む。
支持部材810はフレームFに対する相対位置が変化しないように固定して設けられている。保持部材811を収容する収容部810bを含む。収容部810bは上方に開口し、底部が閉鎖された円筒状の空間である。支持部材810は、また、切替ユニット10の切替弁10aと収容部810b内を連通させる連通部810aを備える。容器本体90内のコーヒー飲料、水道水、挽き豆の残渣が連通部810aを介して切替弁10aに導入される。
保持部材811は、蓋ユニット91の凸部911d又は底部材901の凸部901cが挿入される収容部811bを含む。収容部811bは上方に開口し、底部が閉鎖された円筒状の空間である。保持部材811は、また、収容部810bと収容部811bを連通させる連通部811aを備える。容器本体90内のコーヒー飲料、水道水、挽き豆の残渣が連通部810a及び811bを介して切替弁10aに導入される。保持部材811は収容部810b内を上下方向にスライド自在に設けられた可動部材である。保持部材811には、保持部材811と収容部810bとの間をシールするシール部材811cが形成されており、保持部材811のスライド中も収容部810b内の気密性が維持される。
収容部811b内壁には、径方向内側に隆起した係合部811dが形成されている。係合部811dと蓋ユニット91のリングばね918bとが係合することで、蓋ユニット91が保持部材811に保持される。保持部材811と蓋ユニット91とを上下方向に分離させる一定以上の力が作用すると、リングばね918bの弾性変形によって、係合部811dとリングばね918bとの係合が解除される。これにより、蓋ユニット91と保持部材811とが分離する。
昇降軸812はその軸方向が上下方向となるように設けられている。昇降軸812は支持部材810の底部を上下方向に貫通し、支持部材810に対して上下に昇降自在に設けられている。支持部材810には、昇降軸812が通る穴の部分にシール部材810cが設けられており、昇降軸812のスライド中も収容部810b内の気密性が維持される。
昇降軸812の下端部には保持部材811の底部が固定されている。昇降軸812の昇降によって保持部材811が上下方向にスライドし、凸部901cや凸部911dへの保持部材811の装着と分離を行うことができる。昇降軸812の外周面にはリードスクリュー機構を構成するねじ812aが形成されている。このねじ812aにはナット814bが螺着されている。下部ユニット8Cは、モータ814aを備えており、ナット814bはモータ814aの駆動力によって、その場で(上下に移動せずに)回転される。ナット814bの回転によって昇降軸812が昇降する。
昇降軸812は、中心軸に貫通穴を有する管状の軸であり、この貫通穴にプローブ813が上下にスライド自在に挿入されている。プローブ813は保持部材811の底部を上下方向に貫通し、支持部材810及び保持部材811に対して上下に昇降自在に設けられている。保持部材811には、プローブ813が通る穴の部分にシール部材811eが設けられており、プローブ813のスライド中も収容部811b内の気密性が維持される。
プローブ813は、栓部材913の軸913a(及び栓部材903の軸903a)と同軸上に設けられている。プローブ813を上昇することで、栓部材913の軸913aを上方に押圧し、栓部材913を閉状態から開状態にすることができる。なお、プローブ813を用いずに、抽出容器9へ供給する空気の気圧や水の水圧を利用して、栓部材913を押圧し、閉状態から開状態にすることも可能である。この場合、気圧や水圧をコイルばね915の付勢力よりも高い圧力とすればよい。例えば、蒸らしための液体(例えば、お湯)の投入、抽出容器9の清掃のための液体(例えば、浄水、お湯、洗剤)の投入のうちの少なくとも一方又は両方は、液体の投入部(栓部材913や栓部材903)を予め開放しておいて液体を圧入させるのではなく、ユーザの好みであったり、透過部101を介したユーザへの見せ方、や液体の勢いの程度を通常と異なるようにするために、投入部(栓部材913や栓部材903)を閉鎖又は全開よりも少ない開放にしておき、投入する液体の水圧で当該投入部を開放させるのが好適な場合がある。例えば瞬間的に抽出容器9内に液体が進入したり、抽出容器9の内壁部や抽出対象(例えば、焙煎コーヒーの挽き豆)にシャワー上に降り注いだりさせられる場合がある。
図16は栓部材913(及び栓部材903)の開閉態様を示している。保持部材811が上昇位置にあり、凸部901cが保持部材811に挿入されている。そして、プローブ813(図16で不図示)の上昇により栓部材913が破線で示す開状態に変位可能であることが理解される。抽出容器9の上下が反転された場合、栓部材903を閉状態から開状態にすることができる。
プローブ813の外周面にはリードスクリュー機構を構成するねじ813aが形成されている。このねじ813aにはナット815bが螺着されている。下部ユニット8Cは、モータ815aを備えており、ナット815bはモータ815aの駆動力によって、その場で(上下に移動せずに)回転するように設けられている。ナット815bの回転によってプローブ813が昇降する。
<4-4.中部ユニット>
中部ユニット8Bについて図10及び図17を参照して説明する。図17は中部ユニット8Bの模式図である。中部ユニット8Bは抽出容器9を支持する支持ユニット81Bを含む。支持ユニット81Bは上述したアーム部材820の他、ロック機構821を支持するユニット本体81B’を含む。
ロック機構821は、蓋ユニット91を容器本体90に対して閉状態に維持する機構である。ロック機構821は、蓋ユニット91の鍔部911cと容器本体90のフランジ部90cとを上下に挟持する一対の把持部材821aを含む。一対の把持部材821aは、鍔部911cとフランジ部90cとを挟み込んで嵌合するC字型の断面を有しており、モータ822の駆動力により左右方向に開閉される。一対の把持部材821aが閉状態の場合、図17の囲み図において実線で示すように、各把持部材821aは鍔部911cとフランジ部90cとを上下に挟み込むようにしてこれらに嵌合し、蓋ユニット91が容器本体90に対して気密にロックされる。このロック状態においては、保持部材801を昇降軸802によって上昇させて蓋ユニット91を開放しようとしても、蓋ユニット91は移動しない(ロックは解除されない)。つまり、保持部材801を用いて蓋ユニット91を開放する力よりもロック機構821によるロックの力の方が強く設定されている。これにより異常時に容器本体90に対して蓋ユニット91が開状態になることを防止することができる。
また、一対の把持部材821aが開状態の場合、図17の囲み図において破線で示すように、鍔部911cとフランジ部90cから各把持部材821aが離間した状態となり、蓋ユニット91と容器本体90とのロックが解除される。
なお、把持部材821aのC字型の断面は、図の例の場合、矩形状(上辺と下辺とが平行)であるが、開口端側で断面積が狭くなる台形状であってもよい。これにより鍔部911cとフランジ部90cとをより強固にロックできる。
保持部材801の係合部801dと蓋ユニット91のリングばね918bとが係合状態にあり、かつ、保持部材801を降下位置から上昇位置に上昇する場合、一対の把持部材821aが開状態の場合には容器本体90から蓋ユニット91が分離される。逆に一対の把持部材821aが閉状態の場合には係合部801dとリングばね918bとの係合が解除され、保持部材801だけが上昇することになる。
中部ユニット8Bは、また、モータ823を駆動源としてアーム部材820を前後方向に水平移動する機構を含む。これにより、アーム部材820に支持された容器本体90を後側の抽出位置(状態ST1)と、前側の豆投入位置(状態ST2)との間で移動することができる。図18は容器本体90の移動態様を示している。図18において、実線で示す容器本体90の位置は抽出位置を示し、破線で示す容器本体90の位置は豆投入位置である。豆投入位置は、容器本体90に挽き豆を投入する位置であり、蓋ユニット91が分離された容器本体90の開口90aに、グラインダ5Bで挽かれた挽き豆が投入される。抽出位置は、容器本体90が操作ユニット81A及び操作ユニット81Cによる操作が可能となる位置であり、プローブ803、813と同軸上の位置であって、コーヒー液の抽出を行う位置である。図10、図13~図16はいずれも容器本体90が抽出位置にある場合を示している。このように、挽き豆の投入と、コーヒー液の抽出及び水の供給とで、容器本体90の位置を異ならせることにより、コーヒー液抽出時に発生する湯気が、挽き豆の供給部であるグラインダ5Bの排出口51bに付着しにくくなり、湯気の水分で挽き豆が排出口51bに付着することを防止できる。
図17に戻り、中部ユニット8Bは、また、モータ824を駆動源として支持ユニット81Bを前後方向の軸825回りに回転させる機構を含む。これにより、容器本体90(抽出容器9)の姿勢をネック部90bが上側の正立姿勢(状態ST1)からネック部90bが下側の倒立姿勢(状態ST3)へ変化させることができる。図13は抽出容器9が正立姿勢の状態を示している。図19は抽出容器9を回動してその姿勢を変化させた状態を図示している。抽出容器9の回動中は、ロック機構821により容器本体90に蓋ユニット91がロックされた状態が維持される。図19において実線で示す抽出容器9は倒立姿勢の状態を示しており、破線で示す抽出容器9は、正立姿勢と倒立姿勢との中間の姿勢(回動途中の姿勢)を示している。正立姿勢と倒立姿勢とで抽出容器9は上下が反転される。正立姿勢における凸部901cの位置に、倒立姿勢では凸部911dが位置する。また、正立姿勢における凸部911dの位置に、倒立姿勢では凸部901cが位置する。このため、倒立姿勢では栓部材903に対する開閉操作を操作ユニット81Aが行うことができ、また、栓部材913に対する開閉操作を操作ユニット81Cが行うことができる。
なお、把持部材821aには、把持部カバーを備えていてもよい。その場合、回転動作時のロック機構821全体の回転半径を抑えるために、回転面の正面視で把持部カバーの外側を削る形状をしていてもよい。こうすることで、他の部品との干渉を防ぎつつ、ロック機構の保護が可能になる。
図17の例ではユニット本体81B’に対してアーム部材820が前後方向に相対的に進退する機構としたが、図24の例に示すようにユニット本体81B’にアーム部材820を固定する機構も採用可能である。図24の例では、モータ823を駆動源とした機構によりユニット本体81B’を前後方向に水平移動する。これによりアーム部材820も前後方向に移動するので、容器本体90を抽出位置と豆投入位置との間で移動することができる。
<5.動作制御例>
処理部11aが実行する飲料製造装置1の制御処理例について図20~図22を参照して説明する。図20は一回のコーヒー飲料製造動作に関わる制御例を示している。製造指示前の飲料製造装置1の状態を待機状態と呼ぶ。待機状態における各機構の状態は以下の通りである。
抽出装置3は図10の状態にある。抽出容器9は正立姿勢で、かつ、抽出位置に位置している。ロック機構821は閉状態であり、蓋ユニット91は容器本体90の開口90aを閉鎖している。保持部材801は降下位置にあり、凸部911dに装着されている。保持部材811は上昇位置にあり、凸部901cに装着されている。栓部材903及び913は閉状態にある。切替弁10aは操作ユニット81Cの連通部810aを廃棄タンクTと連通させる。待機状態は、図10の状態に限定されず、例えば、抽出容器9は正立姿勢で、かつ、抽出位置に位置し、ロック機構821は開状態であり、蓋ユニット91は容器本体90の開口90aを開放しているようにしてもよい。
待機状態において、コーヒー飲料の製造指示があると、図20の処理が実行される。S1では予熱処理が実行される。この処理は容器本体90内にお湯を注ぎ、容器本体90を事前に加温する処理である。まず、栓部材903及び913を開状態とする。これにより、配管L3、抽出容器9、廃棄タンクTが連通状態となる。
電磁弁72iを所定時間(例えば1500ms)だけ開放したのちに閉鎖する。これにより、水タンク72から抽出容器9内にお湯が注入される。続いて電磁弁73bを所定時間(例えば500ms)だけ開放したのちに閉鎖する。これにより、抽出容器9内の空気が加圧され、廃棄タンクTへのお湯の排出を促進する。以上の処理により、抽出容器9の内部及び配管L2が予熱され、これに続くコーヒー飲料の製造において、お湯が冷めることを低減できる。
また、この予熱処理においてお湯が抽出容器9内に注入される際、フィルタ910をお湯が通過する。前回のコーヒー飲料の製造において使用した挽き豆の残渣や、コーヒー液の抽出により生じたオイルがフィルタ910に付着していたとしても、これが洗い流されて排出される。
S2ではグラインド処理を行う。ここでは焙煎コーヒー豆を粉砕し、その挽き豆を容器本体90に投入する。まず、ロック機構821を開状態とし、保持部材801を上昇位置に上昇する。蓋ユニット91は保持部材801に保持され、保持部材801と共に上昇する。この結果、蓋ユニット91は容器本体90から分離する。保持部材811は降下位置に降下する。容器本体90を豆投入位置に移動する。続いて、貯留装置4及び粉砕装置5を作動する。これにより、貯留装置4から一杯分の焙煎コーヒー豆がグラインダ5Aに供給される。グラインダ5A及び5Bで焙煎コーヒー豆が二段階で挽かれ、かつ、分離装置6で不要物が分離される。挽き豆は容器本体90に投入される。
容器本体90を抽出位置に戻す。保持部材801を降下位置に降下して容器本体90に蓋ユニット91を装着する。ロック機構821を閉状態とし、蓋ユニット91を容器本体90に気密にロックする。保持部材811は上昇位置に上昇する。栓部材903、913のうち、栓部材903は開状態とし、栓部材913は閉状態とする。
S3では抽出処理を行う。ここでは容器本体90内の挽き豆からコーヒー液を抽出する。図21はS3の抽出処理のフローチャートである。
S11では抽出容器9内の挽き豆を蒸らすため、一杯分のお湯よりも少ない量のお湯を抽出容器9に注入する。ここでは、電磁弁72iを所定時間(例えば500ms)開放して閉鎖する。これにより、水タンク72から抽出容器9内にお湯が注入される。その後、所定時間(例えば、5000ms)待機してS11の処理を終了する。この処理によって挽き豆を蒸らすことができる。なお、この処理の後の抽出容器9内の圧力および温度は若干上昇するが、処理の前と大きな差はない。
挽き豆を蒸らすことで、挽き豆に含まれる炭酸ガスを放出させ、その後の抽出効果を高めることができる。挽き豆全体を蒸らすために、蒸らし用のお湯は、挽き豆に対して均等にかかる量が好ましい。そのため、蒸らし用のお湯を抽出容器9内に注入する際に、電磁弁72hを一時的に開放し、水タンク72を減圧しつつ注入するようにしてもよい。このようにすることで、蒸らし用のお湯の勢いを落とし、豆に対してなるべく均等にお湯をかけるようにすることができ、蒸らしの効果を高めることができる。なお、蒸らし時の抽出容器9内の気圧は、後述するその後の浸漬式の抽出時(S14)の気圧よりも低い気圧(お湯が沸騰しない気圧)で行ってもよい。これにより炭酸ガスの放出を促進することができる。液体(例えば、お湯)に挽き豆を接触させる際、例えば蒸らしの際、浸漬の際等に当該挽き豆から放出される炭酸ガスについては、蒸らしの後で一度解放弁73cを開弁して大気に解放してもよいし、解放せずに、後の挽き豆を液体(例えば、お湯)に浸漬する際に当該炭酸ガスの圧力も加えて浸漬するようにしてもよい。例えば、飲料製造装置1の場合、2気圧(絶対圧で3気圧)または0気圧(絶対圧で1気圧)で挽き豆の蒸らしを行い、その後2気圧(絶対圧で3気圧)で一杯分の液体(例えば、お湯)を抽出容器9に注入し、4気圧(絶対圧で5気圧)で浸漬し、大気圧(0気圧(絶対圧で1気圧))で突沸させ、抽出容器9を回転させた後、抽出容器9内に圧力を0.7気圧(絶対圧で1.7気圧)を与えながら浸漬や抽出容器9外への送出を行うが、挽き豆から放出される炭酸ガスの圧力も加味して、挽き豆の蒸らしや浸漬や送出を行ってもよいし、蒸らしは実行前に炭酸ガスを大気に放出してから行ったり、4気圧の浸漬の前に炭酸ガスを大気に放出したり、当該4気圧の前の2気圧の浸漬の前に炭酸ガスを大気に放出したり、当該4気圧の後の0.7気圧の浸漬や送出の前に炭酸ガスを大気に放出したりしてもよい。蒸らしは炭酸ガスの圧力もプラスして行ったり、4気圧の浸漬を炭酸ガスの圧力もプラスして行ったり(例えば、4気圧+炭酸ガスの圧力で浸漬を行ったり)、4気圧の前の2気圧の浸漬を炭酸ガスの圧力もプラスして行ったり(例えば、2気圧+炭酸ガスの圧力で浸漬を行ったり)、4気圧の後の0.7気圧の浸漬を炭酸ガスの圧力もプラスして行ったり(例えば、0.7気圧+炭酸ガスの圧力で浸漬を行ったり)してもよい。
なお、蒸らしの有無を設定により選択可能であってもよい。蒸らしを行わない場合は、注水が一度で済むためにコーヒー飲料製造完了までの時間を短縮する効果がある。
S12では、一杯分のお湯が抽出容器9に収容されるよう、残りの量のお湯を抽出容器9へ注入する。ここでは、電磁弁72iを所定時間(例えば7000ms)開放して閉鎖する。これにより、水タンク72から抽出容器9内にお湯が注入される。なお、本実施形態では、お湯の量を電磁弁72iの開放時間で管理しているが、注湯量を流量計での測定や、他の方法の計量により管理してもよい。
S12の処理によって抽出容器9内を、1気圧で摂氏100度を超える温度(例えば摂氏110度程度)の状態とすることができる。続いてS13により抽出容器9内を加圧する。ここでは電磁弁73bを所定時間(例えば1000ms)開放して閉鎖し、抽出容器9内をお湯が沸騰しない気圧(例えば4気圧程度(ゲージ圧で3気圧程度))に加圧する。その後、栓部材903を閉状態とする。
続いて、この状態を所定時間(例えば7000ms)維持して浸漬式のコーヒー液抽出を行う(S14)。これにより高温高圧下での浸漬式によるコーヒー液の抽出が行われる。高温高圧下での浸漬式の抽出では、以下の効果が見込める。一つ目は、高圧にすることで、挽き豆の内部にお湯を浸透させ易くし、コーヒー液の抽出を促進させることができる。二つ目は、高温にすることで、コーヒー液の抽出が促進される。三つ目は、高温にすることで挽き豆に含まれるオイルの粘性が下がり、オイルの抽出が促進される。これにより香り高いコーヒー飲料を製造できる。なお、高温でコーヒー液を抽出するとえぐ味が出易いと言う見解があるが、本実施形態では、分離装置6においてえぐ味の元になるチャフ等の不要物を除去している。このため、高温でコーヒー液を抽出した場合であってもえぐ味を抑えることができる。
お湯(高温水)の温度は、摂氏100度を超えていればよいが、より高温である方がコーヒー液の抽出の点で有利である。一方、お湯の温度を高くするためには一般にコストアップとなる。したがって、お湯の温度は、例えば、摂氏105度以上、または、摂氏110度以上、或いは、摂氏115度以上とし、また、例えば、摂氏130度以下、または、摂氏120度以下としてもよい。気圧はお湯が沸騰しない気圧であればよい。
S15では抽出容器9内を減圧する。ここでは、抽出容器9内の気圧をお湯が沸騰する気圧に切り替える。具体的には、栓部材913を開状態とし、電磁弁73cを所定時間(例えば1000ms)開放して閉鎖する。抽出容器9内が大気に解放される。その後、栓部材913を再び閉状態とする。
抽出容器9内が沸点圧よりも低い気圧に急激に減圧され、抽出容器9内のお湯が一気に沸騰する。抽出容器9内のお湯、挽き豆は、抽出容器9内で爆発的に飛散する。これにより、お湯を均一に沸騰させることができる。また、挽き豆の細胞壁の破壊を促進させることができ、その後のコーヒー液の抽出を更に促進させることができる。また、この沸騰により挽き豆とお湯を撹拌させることもできるため、コーヒー液の抽出を促進させることができる。こうして本実施形態ではコーヒー液の抽出効率を向上することができる。解放弁(73c)の開弁によって、抽出容器9内の気圧を急減圧している。急減圧とは、例えば、突沸状態や突沸に近い状態のうちの一方が発生する速度で減圧することとしてもよく、具体的には、抽出容器9内の気圧を蒸気圧(飽和水蒸気圧、平衡蒸気圧等としてもよい。)未満の圧力まで下がるような速度で減圧することや抽出容器9内の液体(例えば、お湯やお湯とコーヒー液の混合物)を沸点を超えた温度で突然沸騰させるような速度で減圧することとしてもよい。突沸(例えば、沸騰していなかった液体(例えば、お湯)が沸点を超えた温度で突然沸騰する現象等)により、挽き豆の細胞の破壊や挽き豆とお湯の撹拌を行うようにしてもよい。
S16では抽出容器9を正立姿勢から倒立姿勢へ反転する。ここでは、保持部材801を上昇位置に、保持部材811を降下位置にそれぞれ移動する。そして、支持ユニット81Bを回転させる。その後、保持部材801を降下位置に、保持部材811を上昇位置にそれぞれ戻す。図23は反転の前後での抽出容器内9の状態を示している。同図左側は正立姿勢の抽出容器9を示し、同図右側は倒立姿勢の抽出容器9を示す。ネック部90bやフィルタ910を含む蓋ユニット91が下側に位置する。正立姿勢から倒立姿勢への反転とは、抽出容器9の回転を伴う動作を行うことで、抽出容器9を180度回転させることに限定されず、180度未満のある角度(例えば、170度)に回転させたり、180度を超えるある角度(例えば、190度)回転させるようにしてもよい。抽出容器9をプラスマイナス90度超える角度まで回転させればよいものとしてもよい。例えば、正立姿勢や倒立姿勢については、抽出容器9の開口90aを構成するある部位と抽出容器9の開口90aを構成しない部位のうちの当該ある部位から最も遠い部位について、正立姿勢とは当該遠い部位よりも当該ある部位の方が高い位置に位置する姿勢であり、倒立姿勢とは、当該遠い部位よりも当該ある部位の方が低い位置に位置する姿勢としてもよく、正立姿勢とは当該遠い部位よりも当該ある部位の方が高い位置に位置する状態で静止した姿勢であり、倒立姿勢とは、当該遠い部位よりも当該ある部位の方が低い位置に位置する状態で静止した姿勢としてもよい。また、正立姿勢から倒立姿勢への回転の際に所定の回数(例えば、1回、複数回等)360度回転するなど、正立姿勢から倒立姿勢の姿勢変化の間にどのようなアクションを行ってもよく、また単なる回転ではなく、正立姿勢を取る抽出容器9の位置と倒立姿勢を取る抽出容器9の位置が前後上下左右で別の位置であってもよい。
S17では透過式のコーヒー液抽出を行い、カップCにコーヒー飲料を送出する。ここでは、切替弁10aを切り替えて注ぎ部10cと操作ユニット81Cの通路部810aとを連通させる。また、栓部材903、913をいずれも開状態とする。更に、電磁弁73bを所定時間(例えば10000ms)開放し、抽出容器9内を所定気圧(例えば1.7気圧(ゲージ圧で0.7気圧))にする。抽出容器9内において、コーヒー液がお湯に溶け込んだコーヒー飲料がフィルタ910を透過してカップCに送出される。フィルタ910は挽き豆の残渣が漏出することを規制する。S14での浸漬式の抽出とS17での透過式の抽出とを併用することによりコーヒー液の抽出効率を向上できる。以上により抽出処理が終了する。ここでは、透過式のコーヒー液抽出の前に、当該炭酸ガスによる圧力を大気解放しない例を示したが、透過式のコーヒー液抽出の前に、解放弁73cを開弁して抽出容器9内の挽き豆から放出された炭酸ガスを大気に解放することで、当該炭酸ガスによる圧力を大気解放することが好ましい。
なお、S17における透過式のコーヒー液抽出の際には、栓部材903のみを開状態とし、一度、大気圧に開放してもよい。そうすることで、浸漬式抽出の最中に発生した炭酸ガスによって上昇した抽出容器9内の気圧を下げることができる。この動作を行ったあとで、栓部材913を開状態とし、電磁弁73bを開放することでコーヒー液を抽出するようにしてもよい。
抽出処理の終了判断は、抽出処理中の抽出容器9の内部の圧力変化によって判断してもよい。たとえば、1.7気圧を維持するために1.7気圧を下回った場合に電磁弁73bの開閉によって加圧を行い、加圧から次の加圧までの時間の間隔が送出開始時から半分以下になった場合に送出が完了したと判断し、抽出処理を終了してもよい。また、単位時間あたりの加圧回数が増加することによって判断を行ってもよい。
ここで、図23を参照してS16の反転動作とS17の透過式のコーヒー液抽出との関係について説明する。抽出容器9が正立姿勢の状態では、挽き豆が胴部90eから底部90fに渡って堆積する。一方、抽出容器9が倒立姿勢の状態では、挽き豆が肩部90dからネック部90bに渡って堆積する。ネック部90bの断面積SC12よりも胴部90eの断面積SC11の方が大きく、倒立姿勢での挽き豆の堆積厚さH2は正立姿勢での堆積厚さH1よりも厚くなる。つまり、挽き豆は抽出容器9が正立姿勢の状態では相対的に薄く、広く堆積し、倒立姿勢の状態では相対的に厚く、狭く堆積する。
本実施形態の場合、S14の浸漬式抽出は抽出容器9が正立姿勢の状態で行われるので、お湯と挽き豆とを広範囲にわたって接触させることができ、コーヒー液の抽出効率を向上できる。但し、この場合はお湯と挽き豆とが部分的に接触する傾向にある。一方、S17の透過式抽出は抽出容器9が倒立姿勢の状態で行われるので、お湯がより多くの挽き豆と接触しながら堆積した挽き豆を通過することになる。お湯がより万遍なく挽き豆と接触することになり、コーヒー液の抽出効率を更に向上することができる。
抽出容器9の内部空間の断面積を開口90a側で小さくするにあたり、開口90aまで徐々に絞る(連続的に傾斜した)形状となるようにネック部90bを形成してもよいが、本実施形態のように、ネック部90bが断面積が一定となる箇所が上下方向に一定の長さだけ確保される方が好ましい。このようにすることで、挽き豆の単位体積当たりに透過するお湯の量を均一に近づけることができるため、過抽出を防ぎつつ、透過式による抽出の効率を高めることができる。また、抽出容器9の断面形状は、円筒形状に限られず、角筒形状等でもよいが、本実施形態のように円筒形状とすることでコーヒー液をより均一に抽出できる。
また、抽出容器9を反転する際にはお湯と挽き豆が攪拌されるので、コーヒー液の抽出効率を更に向上することができる。本実施形態の場合、肩部90dが胴部90eとネック部90bとの間に形成されているので、反転の際、挽き豆を胴部90eからネック部90bに円滑に移動させることができる。
なお、減圧後、抽出容器9内の攪拌を目的として、抽出容器9を振る動作を行ってもよい。具体的には、例えば、30度の範囲内で抽出容器9の姿勢を傾けて戻す動作を複数回繰り返してもよい。この振る動作は、抽出容器9の反転前に行ってもよいし、反転後に行ってもよい。
また、本実施形態では、減圧前にS14で浸漬式の抽出を行っているが、減圧後に浸漬式の抽出を行うようにしてもよく、この場合、S14の処理を削除してもよいし、S14の処理も行って、減圧の前後で浸漬式の抽出を行ってもよい。
また、本実施形態ではS15の減圧の方法として、抽出容器9内を大気に解放するようにしたが、これに限らず、抽出容器9内の圧力よりも低い圧力(大気圧以上もしくは大気圧以下)の容器と導通させる方式など、どのような方式を採用してもよい。しかし、本実施形態の方式が、その後の抽出における温度、送出されるコーヒー飲料の温度、減圧のし易さ、減圧幅の点で有利である。もちろん解放弁73cの開放時間を調整して、減圧後の圧力を大気圧よりも高いある圧力(例えば1.1気圧等)になるようにしてもよい。減圧後の圧力を大気圧よりも低いある圧力(例えば0.9気圧等)になるようにしてもよい。もちろん、減圧後の圧力を大気圧になるようにしてもよい。
また、抽出容器9内を高温高圧の状態にするために、本実施形態では、高温高圧のお湯を抽出容器内に注入する方式を採用しているが、これに限られない。例えば、抽出容器9内に水または所望の温度よりも低い湯を注入した後に加圧、加熱する方式を採用してもよい。
図20に戻り、S3の抽出処理の後は、S4の排出処理を行う。ここでは抽出容器9内の清掃に関する処理を行う。図22はそのフローチャートである。
S21では抽出容器9を倒立姿勢から正立姿勢へ反転させる。ここでは、まず、栓部材903、913を閉状態にする。保持部材801を上昇位置に、保持部材811を降下位置にそれぞれ移動する。そして、支持ユニット81Bを回転させる。ネック部90bやフィルタ910を含む蓋ユニット91が上側に位置する。その後、保持部材801を降下位置に、保持部材811を上昇位置にそれぞれ戻す。フィルタ910を取り外すことなく、抽出容器9内の清掃を行える。また、抽出容器9の反転時の振動或いは反転完了時の衝撃で、フィルタ910に付着した挽き豆の残渣がフィルタ910から分離し、落下することを促進できる。
S22では、栓部材913を開状態にする。電磁弁73fを所定時間(例えば2500ms)開放して閉鎖する。これにより、水道水(浄水)が抽出容器9内に注入される。清掃には水タンク72のお湯を用いることもできるが、お湯を消費するとコーヒー飲料の連続製造性能が低下する。このため、本実施形態では、水道水(浄水)を利用している。しかし清掃には水タンク72のお湯や図示しない洗剤タンクから送出される洗剤を用いるようにしてもよい。
本実施形態では、フィルタ910側の端部付近(ネック部90b)に断面外形が一定となる箇所がある。このため、掃除用の水を抽出容器9内に注入する際に抽出容器9の壁面に沿って水を流すことができ、掃除の効果を高めることができる。
なお、S22注水の前又はS21の反転の前に抽出容器9内を所定時間(例えば500ms等)だけ大気に解放してもよい。抽出容器9内の残圧を逃がすことができ、S22の注水を円滑に行うことができる。
このように抽出容器9内を大気に解放した場合、抽出容器9内がゲージ圧で0気圧となる。よって、注水の際には、水圧で栓部材913が自動的に開状態となる場合がある。この場合には、栓部材913を開状態にする処理は不要である。水圧で栓部材913を開状態とした場合、栓部材913が閉状態に復帰する力と水圧との均衡によって、水が抽出容器9の内壁面等を伝って流れやすくなり、抽出容器9の内部全体に水が供給され易くなる。
S23では、栓部材903を開状態にする。切替弁10aは操作ユニット81Cの連通部810aを廃棄タンクTと連通させる。これにより、配管L3、抽出容器9、廃棄タンクTが連通状態となる。電磁弁73bを所定時間(例えば1000ms)開放して閉鎖する。これにより抽出容器9内が加圧され、抽出容器9内の水が、挽き豆の残渣と共に廃棄タンクTへ排出される。その後、栓部材903、913を閉状態にして処理が終了する。
清掃に用いた水が、コーヒー飲料の送出用の連通穴911aとは別の連通穴901aから送出されるため、連通穴911aが汚れることを防止できる。
なお、連通穴901aは連通穴911aよりも大きくてもよく、これにより残渣などを排出し易くなる。また、抽出容器9内の加圧は、S22の注水の途中で開始してもよい。これにより、S23での水や残渣の排出をより効果的に行うことが可能となる。抽出容器9内の加圧は、例えば、5気圧(ゲージ圧で4気圧)程度に一気に加圧することで、残渣をより勢いよく排出でき、また、抽出容器9内で水が舞い上がって、抽出容器9内の隅々に水を供給し、内部全体の洗浄能力を向上できる。
また、S23の処理の終了後に栓部材903、913を閉状態とせず、開状態のままとしてもよい。
以上により一回のコーヒー飲料製造処理が終了する。以降、同様の処理が製造指示毎に繰り返される。一回のコーヒー飲料の製造に要する時間は、例えば、60~90秒程度である。
<他の実施形態>
上述した各実施形態は相互に組合せ可能である。また、上記各実施形態では、専らコーヒー飲料を対象としたが、日本茶、紅茶などの茶、スープなどの各種飲料も対象とすることができる。また、抽出対象として、コーヒー豆、コーヒーの生豆、コーヒー豆の挽き豆、焙煎コーヒー豆、焙煎コーヒー豆の挽き豆、焙煎されていないコーヒー豆、焙煎されていないコーヒー豆の挽き豆等、粉末のコーヒー豆、インスタントのコーヒー、ポッドに入ったコーヒー等を例示し、飲料として、コーヒー飲料等を例示し、飲料液としてコーヒー液を例示してきたが、これらだけに限定されない。また、抽出対象として、日本茶、紅茶、ウーロン茶などの茶葉、挽いた茶葉、野菜、粉砕された野菜、果物、粉砕した果物、穀物、粉砕した穀物、椎茸等のきのこ類、椎茸等のきのこ類を粉砕した物、椎茸等のきのこ類を加熱後に乾燥させた物、椎茸等のきのこ類を加熱後に乾燥させた物を粉砕した物、鰹等の魚類、鰹等の魚類を粉砕した物、鰹等の魚を加熱後に乾燥させた物、鰹等の魚を加熱後に乾燥させた物を粉砕した物、こんぶ等の海藻類、こんぶ等の海藻類を粉砕した物、こんぶ等の海藻類を加熱後に乾燥させた物、こんぶ等の海藻類を加熱後に乾燥させた物を粉砕した物、牛、豚、鳥、等の肉を加熱後に乾燥させた物、当該肉等を加熱後に乾燥させた物を粉砕した物、牛の骨、豚の骨、鳥の骨、等の骨を加熱後に乾燥させた物、当該骨等を加熱後に乾燥させた物を粉砕した物等の抽出材料であればよく、飲料として、日本茶、紅茶、ウーロン茶、野菜ジュース、果物ジュース、汁物、出汁、スープ等、飲料であればよく、飲料液として、日本茶のエキス、紅茶のエキス、ウーロン茶のエキス、野菜のエキス、果物のエキス、きのこのエキス、魚等のエキス、肉のエキス、骨のエキス等のエキス類であればよい。なお、実施例中で水、水道水、浄水、お湯、洗浄水と記載しているところがあるが、例えば水をお湯と置き換えたり、お湯を水と置き換えてもよい等いずれかの記載を別の記載に置き換えてもよく、全て液体、水蒸気、高温水、冷却水、冷水等と置き換えてもよい。例えば抽出対象(例えば、焙煎コーヒー豆の挽き豆)とお湯を抽出容器9に入れるといった記載であれば、抽出対象(例えば、焙煎コーヒー豆の挽き豆)と冷水(単に水でもよい)を抽出容器9に入れるといった記載に置き換えてもよく、この場合であれば水出しコーヒー等の抽出方法や飲料製造装置としてとらえてもよい。
<実施形態のまとめ>
上記実施形態は以下の装置または方法を少なくとも開示する。
1.上記実施形態の分離装置は、
抽出対象から不要物を分離する分離装置(例えば6)であって、
分離室(例えばSC)を形成する形成ユニット(例えば6B)と、
前記分離室の空気を吸引する吸引ユニット(例えば6A)と、を備え、
前記形成ユニットは、該形成ユニットの外から空気を取り入れる空気取入れ口(例えば66)を有し、
前記空気取入れ口から取り入れた空気の少なくとも一部は、迂回部(例えばR1)で迂回して吸引ユニットに吸引される。
この実施形態によれば、抽出対象から不要物を分離する技術を提供することができる。迂回部により分離性能を向上できる場合がある。
2.上記実施形態の分離装置は、
前記迂回部は、前記形成ユニットの壁部(例えば64a)で形成され、
前記壁部の形状は、円弧を回転して得られる形状である。
この実施形態によれば、ドーナツ型の迂回部を得ることができる場合があり、空気を円滑に流すことができる場合がある。
3.上記実施形態の分離装置は、
前記空気取入れ口とは、前記抽出対象の排出口(例えば66)のことである。
この実施形態によれば、空気取入れ口と排出口とを兼用でき、抽出対象と不要物との分離性能を向上できる場合がある。
4.上記実施形態の分離装置は、
前記形成ユニットは、
前記分離室と連通した、前記抽出対象の投入口(例えば65a)と、
筒状部(例えば65)と、を有し、
前記筒状部の一端開口部は前記投入口を形成し、
前記筒状部の他端開口部(例えば65b)は前記分離室に臨み、
前記筒状部の横に前記迂回部が設けられている。
この実施形態によれば、取り入れられた空気を迂回部に迂回させ易くできる場合がある。
5.上記実施形態の分離装置は、
前記筒状部の横に前記吸引ユニットが設けられ、前記迂回部は前記筒状部に対して前記吸引ユニットと逆の位置の部分(例えばR1')を含む。
この実施形態によれば、取り入れられた空気を、より長い距離を迂回させることができる場合がある。
6.上記実施形態の分離装置は、
前記筒状部の横に前記吸引ユニットにつながる通路が設けられ、前記迂回部は前記筒状部に対して前記通路と逆の位置の部分(例えばR1')を含む。
この実施形態によれば、取り入れられた空気を、より長い距離を迂回させることができる場合がある。
7.上記実施形態の分離装置は、
前記筒状部は上下方向に延設されている。
8.上記実施形態の粉砕装置(例えば5)は、
抽出対象を挽く第一のグラインダ(例えば5A)と、
前記第一のグラインダから排出される抽出対象から不要物を分離する分離装置(例えば6)と、
前記分離装置から排出される抽出対象を挽く第二のグラインダ(例えば5B)と、を備える。
この実施形態によれば、抽出対象から不要物を分離する技術を提供することができる。不要物が分離された抽出対象をより細かく挽くことができる場合がある。
9.上記実施形態の飲料製造装置(例えば1)は、
粉砕装置(例えば5)と、
前記粉砕装置から排出される抽出対象から飲料液を抽出する抽出装置(例えば3)と、を備える。
この実施形態によれば、抽出対象から不要物を分離する技術を提供することができる。不要物の混入が少ない抽出対象から飲料液を抽出できる場合がある。
10.上記実施形態の分離方法は、
抽出対象から不要物を分離する分離方法であって、
分離室(例えばSC)及び空気取入れ口(例えば66)を形成する形成ユニット(例えば6B)の該分離室の空気を吸引ユニット(例えば6A)で吸引する吸引工程を備え、
前記空気取入れ口から取り入れた空気の少なくとも一部は、迂回部(例えばR1)で迂回して前記吸引ユニットに吸引される。
この実施形態によれば、抽出対象から不要物を分離する技術を提供することができる。迂回部により分離性能を向上できる場合がある。
本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために、以下の請求項を添付する。