JP7260122B2 - 防水コネクタ - Google Patents

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Description

本発明は、防水コネクタに関する。
例えば、車載用のコネクタは、振動や衝撃等を受け得る環境下で用いられるため、ハウジング部内に収容される端子金具について、100N以上の端子保持力が要求されることがある。このような端子保持力を満足するコネクタとしては、ハウジング部の側方から嵌入させるサイドリテーナを利用し、そのサイドリテーナを端子金具と係止させることで、端子金具の抜け止めをするように構成されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平09-320672号公報
ところで、車載用のコネクタは、雨水等に曝される箇所等での使用が想定されるため、防水機能を有していることが求められる。しかしながら、端子保持力の増大を図るべくサイドリテーナを利用しようとすると、ハウジング部の側方にサイドリテーナの嵌入孔を設ける必要があるため、防水機能が損なわれてしまったり、防水シール構造の複雑化を招いたりするおそれがある。つまり、サイドリテーナを利用する場合は、防水コネクタへの適用が困難である。
本発明は、防水機能が損なわれることなく、端子保持力の増大を図ることを実現可能にする防水コネクタを提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、
先端側に嵌合相手と嵌合する嵌合部を有する端子金具と、
前記端子金具を収容する端子収容部、前記端子収容部に収容された前記端子金具と係止するランス、前記端子収容部に前記端子金具を収容する際の前記ランスの弾性変形を許容するための変形用空間部、および前記端子収容部に形成された係止用孔を有するハウジング部と、
前記端子収容部に収容された前記端子金具の前記嵌合部の側から前記ハウジング部に装着されるとともに、前記ハウジング部に対する仮係止状態と本係止状態とを遷移可能に構成されたフロントリテーナと、を備え、
前記フロントリテーナは、前記ハウジング部の前記端子収容部の先端部と対向する先端面と、前記本係止状態にて前記変形用空間部に介在して前記ランスの弾性変形を規制する規制片部、および前記ハウジング部と係合する係止用突部を有しており、
前記規制片部は、前記フロントリテーナが前記本係止状態のときに、当該規制片部の先端部が前記変形用空間部における前記ランスの根元近傍に達するように構成されており、
前記フロントリテーナが前記仮係止状態のときに、前記ハウジング部の前記端子収容部の前記先端部と前記フロントリテーナの前記係止用突部とが係合し、前記仮係止状態において、前記フロントリテーナが前記ハウジング部に対して、基端側に移動しないようになっており、
前記フロントリテーナが前記本係止状態のときに、前記フロントリテーナの前記係止用突部が前記ハウジング部の前記係止用孔内に位置し、
前記フロントリテーナが前記本係止状態のときに、前記ハウジング部の前記端子収容部の前記先端部が、前記フロントリテーナの前記係止用突部と前記先端面とによって挟持され、前記フロントリテーナが前記ハウジング部に対して、前記先端側および前記基端側に移動しないようになっている
防水コネクタが提供される。
本発明によれば、防水コネクタにおいて、端子保持力の増大を図ることが可能となり、しかも防水機能が損なわれてしまうこともない。
本発明が適用されるコネクタユニットの構成例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側断面図である。 本発明に係る防水コネクタの一実施形態における端子金具であるレセプタクル端子の構成例を示す側面図である。 本発明に係る防水コネクタの一実施形態におけるハウジング部であるFハウジング部の構成例を示す図であり、(a)は側断面図、(b)はB矢視方向からみた要部拡大図である。 本発明に係る防水コネクタの一実施形態におけるFハウジング部への装着要素の構成例を示す側断面図である。 本発明に係る防水コネクタの一実施形態におけるフロントリテーナであるFリテーナの構成例を示す側断面図である。 本発明に係る防水コネクタの一実施形態におけるFハウジング部へのFリテーナの装着状態の例を示す図であり、(a)はB矢視図、(b)はB´-B´断面図である。 本発明に係る防水コネクタの他の実施形態における端子金具であるタブ端子の構成例を示す側面図である。 本発明に係る防水コネクタの他の実施形態におけるハウジング部であるMハウジング部の構成例を示す図であり、(a)は側断面図、(b)はC矢視方向からみた要部拡大図である。 本発明に係る防水コネクタの他の実施形態におけるMハウジング部への装着要素の構成例を示す側断面図である。 本発明に係る防水コネクタの他の実施形態におけるフロントリテーナであるMリテーナの構成例を示す側断面図である。 本発明に係る防水コネクタの他の実施形態におけるMハウジング部へのMリテーナの装着状態の例を示す図であり、(a)はC矢視図、(b)はC´-C´断面図である。
以下、本発明の一実施形態に係る防水コネクタについて、図面を参照しながら説明する。
(1)本実施形態に係る防水コネクタの概要
まず、本実施形態に係る防水コネクタの概要を説明する。
本実施形態に係る防水コネクタは、少なくとも、端子金具と、ハウジング部と、を備えている。ハウジング部には、端子金具を収容する端子収容部と、その端子収容部に収容された端子金具と係止するランスと、ランスの弾性変形を許容する変形用空間部と、が設けられている。そして、端子金具との係止により、ランスが端子金具の抜け止めをするように構成されている。このような構成は、一般的なコネクタと同様のものである。
ところで、本実施形態に係る防水コネクタは、高い端子保持力(例えば100N以上)を満足するように構成されたものである。しかしながら、既述のように、サイドリテーナを利用する場合は、防水コネクタへの適用が困難である。そこで、本実施形態においては、端子金具の嵌合部の側からハウジング部に装着されるフロントリテーナを利用し、フロントリテーナに設けられた規制片部が変形用空間部に介在してランスの弾性変形を規制することで、ランスによる係止力を補強し、これにより端子保持力の増大を図るように構成されている。
このように、フロントリテーナを利用して端子保持力の増大を図れば、サイドリテーナを利用する場合のような嵌入孔を設ける必要がないため、防水機能が損なわれてしまうことがない。また、一般的なシール構造の流用が可能となるため、防水シール構造の複雑化を招いてしまうこともない。つまり、本実施形態では、フロントリテーナによってランスの弾性撓みを規制することで、衝撃や振動等によるランスの端子金具からの離脱を防止している。
ただし、単にフロントリテーナを利用してランスの弾性撓みを規制しただけでは、以下に述べる理由により、必ずしもランスによる抜け止め機能の信頼性向上を図る上で十分ではない。ランスの端子金具からの離脱が生じる要因について、本願発明者は、鋭意検討の結果、(i)ランスの変形用空間部の側への撓み発生、(ii)ランスの座屈変形、(iii)ランスのせん断破壊(削れ)の3パターンがあるという知見を得るに至った。このうち、(i)についてはランスの弾性撓みを規制することで防止し得るが、(ii)および(iii)については、ランスの弾性撓みを規制しただけでは、必ずしも防止し得るとは限らない。
その一方で、ランスについては、弾性変形を容易に行えるようにすべく、その弾性変形の支点となる根元側の断面を、先端側の断面よりも小さく形成することが考えられる。つまり、ランスは、根元側の断面より先端側の断面が大きい先太形状とすることが考えられる。このような形状のランスについては、先端側よりも根元側のほうの強度が弱く、負荷が集中し易いため、根元側の近傍に空間があると、座屈変形が生じ易くなってしまう。
これらのことを考慮して、本実施形態に係る防水コネクタでは、フロントリテーナに設けられた規制片部が、単に変形用空間部に介在するだけではなく、その先端部が変形用空間部におけるランスの根元近傍に達するように構成されている。このように、フロントリテーナの規制片部の先端部をランスの根元近傍にまで到達させれば、ランスの撓み発生による端子金具からの離脱(すなわち、上記(i)のパターンによる離脱)を防止し得るとともに、ランスの座屈変形による端子金具からの離脱(すなわち、上記(ii)のパターンによる離脱)についても防止することが可能となる。
つまり、本実施形態に係る防水コネクタは、フロントリテーナの規制片部の先端部をランスの根元近傍にまで到達することで、ランスの撓みを規制しつつ、少なくとも座屈変形によるランスの破壊を防止する。したがって、防水機能を維持しつつ、従来よりも端子保持力を増大させ、サイドリテーナを利用した場合と同等の性能を得ることが可能となる。サイドリテーナを利用した抜け止め技術は、ランスに発生し得る破壊モードがせん断破壊(削れ)のみであり、これにより高い端子保持力が得られている。この点、本実施形態に係る防水コネクタにおいても、ランスの破壊モードが限定されるので、サイドリテーナを利用した場合と同等の性能が得られるのである。
なお、上記(iii)のパターンによる離脱については、本実施形態に係る防水コネクタでは、ランスを端子金具の被係止部よりも幅広に形成することで、その発生を抑制するようになっている。
(2)防水コネクタの具体的な構成
次に、本実施形態に係る防水コネクタの構成について、具体例を挙げて説明する。
(コネクタユニットの全体構成)
図1は、本発明が適用されるコネクタユニットの構成例を示す図である。図例は、8極のコネクタユニット1の例を示している。
ここで例に挙げるコネクタユニット1は、図1(a)に示すように、雌コネクタ(以下「F(female)コネクタ」ともいう。)10と、雄コネクタ(以下「M(male)コネクタ」ともいう。)20と、を備えている。そして、Fコネクタ10とMコネクタ20とを互いに嵌合させてそれぞれの端子金具同士の電気的接続を確保したり、それぞれの間の嵌合状態を解除したりし得るように構成されている。
Fコネクタ10およびMコネクタ20は、それぞれが本発明に係る「防水コネクタ」の実施形態に該当することになる。つまり、Fコネクタ10は本発明に係る「防水コネクタ」の一実施形態に該当し、Mコネクタ20は本発明に係る「防水コネクタ」の他の実施形態に該当する。
(Fコネクタの構成)
一実施形態に該当するFコネクタ10は、図1(b)に示すように、端子金具の一種であるレセプタクル端子(以下「REC端子」ともいう。)11と、REC端子11を収容するハウジング部(以下「Fハウジング部」ともいう。)12と、Fハウジング部12に装着されるワイヤーシール13と、同じくFハウジング部12に装着されるシールカバー14と、同じくFハウジング部12に装着されるハウジングシール15と、同じくFハウジング部12に装着されるフロントリテーナ(以下「Fリテーナ」ともいう。)16と、を備えて構成されている。
以下、Fコネクタ10を構成する各要素11~16について、順に説明する。
(REC端子)
図2は、一実施形態におけるREC端子の構成例を示す側面図である。
図2に示すように、REC端子11は、導電性を有する金属板(例えば、銅板もしくは銅合金板、またはこれらのいずれかにめっき処理を施したもの)への抜き加工および曲げ加工によって形成されたもので、電線2の端縁に取り付けられて用いられる。そのために、REC端子11には、ある一端側に、電線2への圧着部11aが設けられている。ただし、必ずしも圧着により取り付けられるものである必要はなく、例えば、圧接やはんだ付けによって取り付けられるものであってもよい。また、REC端子11は、圧着部11aとは反対の一端側に、嵌合相手となる後述するTAB端子21と嵌合する嵌合部11bを有している。さらに、REC端子11は、詳細を後述するFハウジング部12のランス12bと係止する被係止部11cを有している。
(Fハウジング部)
図3は、一実施形態におけるFハウジング部の構成例を示す図である。
図3(a)に示すように、Fハウジング部12は、絶縁性を有する樹脂材料(例えば、ポリブチレンテレフタレート:PBT)の一体成型加工によって形成されたもので、内部にREC端子11を収容し得るように構成されている。
さらに詳しくは、Fハウジング部12は、少なくとも、REC端子11を収容する端子収容部12aと、端子収容部12aに収容されたREC端子11の被係止部11cと係止するランス12bと、端子収容部12aにREC端子11を収容する際のランス12bの弾性変形を許容するための変形用空間部12cと、を有している。これらは、コネクタユニット1の極数に対応した数が配されている。つまり、例えば、8極のコネクタユニット1であれば、Fハウジング部12には、端子収容部12a、ランス12bおよび変形用空間部12cが8か所に設けられている。
これらのうち、ランス12bは、弾性変形を容易に行えるようにすべく、その弾性変形の支点となる根元側の断面より先端側の断面が大きい、いわゆる先太形状に形成されている。
また、ランス12bは、先端側の断面が大きい部分(すなわち先太の部分)にてREC端子11の被係止部11cと係止するように構成されているが、図3(b)に示すように、その係止部分の形成幅W1がREC端子11の被係止部11cの形成幅W2よりも幅広に形成されていることが好ましい。
また、図3(a)に示すように、Fハウジング部12には、端子収容部12a内へのREC端子11の挿入側(図中矢印A参照)に、ワイヤーシール13およびシールカバー14を装着するための空間部12dが設けられている。一方、Fハウジング部12における空間部12dとの対向側(図中矢印B参照)は、Mコネクタ20と嵌合する側となる。Mコネクタ20との嵌合側は、詳細を後述するFリテーナ16を装着し得るように構成されており、その内方にハウジングシール15の装着空間12eが確保されている。
さらに、Fハウジング部12には、Mコネクタ20と嵌合した際に、その嵌合状態を維持するためのロック機構部12fが形成されている。なお、ロック機構部12fの詳細については、公知技術を利用して構成したものであればよく、ここではその説明を省略する。
なお、Fハウジング部12は、Fリテーナ16の装着側に向けて突出する突出凸部(ただし図3(a)中では不図示)を有したものであってもよい。ただし、突出凸部は、必須の構成ではなく、Fハウジング部12に設けられていなくてもよい。
(ワイヤーシール、シールカバーおよびハウジングシール)
図4は、一実施形態におけるFハウジング部への装着要素の構成例を示す側断面図である。
図4に示すように、ワイヤーシール13は、弾性材料(例えば、シリコンゴム)によって形成されたもので、Fハウジング部12の空間部12dに装着されて、そのFハウジング部12とREC端子11に接続する電線2との間を密封するためのものである。
シールカバー14は、絶縁性を有する樹脂材料(例えば、PBT)によって形成されたもので、Fハウジング部12の空間部12dに装着されて、ワイヤーシール13の脱落を防止するためのものである。
ハウジングシール15は、弾性材料(例えば、シリコンゴム)によって形成されたもので、Fハウジング部12内の装着空間12eに装着されて、Fコネクタ10とMコネクタ20との嵌合時におけるそれぞれの間を密封するためのものである。
(Fリテーナ)
図5は、一実施形態におけるFリテーナの構成例を示す側断面図である。
図5に示すように、Fリテーナ16は、絶縁性を有する樹脂材料(例えば、PBT)によって形成されたもので、Fハウジング部12におけるMコネクタ20との嵌合側に装着し得るように構成されたものである。つまり、Fリテーナ16は、端子収容部12aに収容されたREC端子11の嵌合部11bの側から、Fハウジング部12に装着されるようになっている。
Fハウジング部12に装着されるFリテーナ16は、ランス12bによるREC端子11の係止力を補強し、これによりFハウジング部12における端子保持力の増大を図るためのものである。そのために、Fリテーナ16は、ランス12bの弾性変形を規制する規制片部16aを有して構成されている。
ところで、Fリテーナ16は、Fハウジング部12への装着にあたり、図4に示すようなFハウジング部12に対する仮係止状態と、図1(b)に示すようなFハウジング部12に対する本係止状態とについて、これらの各状態を遷移可能に構成されている。
仮係止状態とは、Fリテーナ16がFハウジング部12に仮に装着されている状態のことをいう(図4参照)。仮係止状態においては、Fリテーナ16の規制片部16aは、Fハウジング部12の変形用空間部12cに達していない状態となる。
本係止状態とは、Fリテーナ16が仮係止状態からFハウジング部12の側に所定押し込み量(図4参照)の分だけ押し込まれて、Fリテーナ16がFハウジング部12への最終的な装着状態となっていることをいう。本係止状態においては、Fリテーナ16の規制片部16aは、Fハウジング部12の変形用空間部12cに介在して、これによりランス12bの弾性変形を規制するようになっている(図1(b)参照)。
そして、規制片部16aは、Fリテーナ16が本係止状態のときに、単に変形用空間部12cに介在するだけではなく、その先端部が変形用空間部12cにおけるランス12bの根元近傍に達するように構成されている。さらに具体的には、規制片部16aの先端部が、先太形状に形成されたランス12bに対して、そのランス12bの根元近傍に位置する断面が小さい部分まで達するように、Fハウジング部12の側への突出長が設定されている。
このような仮係止状態から本係止状態への遷移を実現可能にすべく、Fリテーナ16については、Fハウジング部12に対して適度な押し込み量(スライド量)を有するように構成されている。具体的には、仮係止状態には規制片部16aが変形用空間部12cに介在せず、本係止状態には規制片部16aの先端部がランス12bの根元近傍に達するように、所定押し込み量として、例えば、少なくとも2mm以上、好ましくは4mm程度のスライド量を有するように構成されている。
図6は、一実施形態におけるFハウジング部へのFリテーナの装着状態の例を示す図であり、(a)は図4のB矢視に相当する図であり、(b)は図6(a)のB´-B´断面に相当する図である。
例えば、図6(a)に示すように、Fハウジング部12が突出凸部12gを有している場合、Fリテーナ16は、その突出凸部12gが挿入される貫通穴16bを有しているものとする。さらに、突出凸部12gと貫通穴16bとの対は、複数箇所に設けられていることが好ましい。なお、突出凸部12gが設けられていなければ、Fリテーナ16は、貫通穴16bを有している必要はない。
Fハウジング部12が突出凸部12gを有している場合に、その突出凸部12gは、Fリテーナ16が本係止状態のときに、その突出凸部12gの先端部が貫通穴16bから視認可能に露出する突出長を有しているものとする。このような突出長としては、例えば、図6(b)に示すように、突出凸部12gの先端部の端面がFリテーナ16の外表面と同一面に位置するような長さが挙げられる。ただし、必ずしもこれに限定されるものではなく、突出凸部12gの先端部が視認可能であれば、突出凸部12gの端面がFリテーナ16の外表面まで達していなくてもよく、または突出凸部12gの端面がFリテーナ16の外表面から突出していてもよい。
そして、Fハウジング部12とFリテーナ16とは、少なくとも突出凸部12gの先端部とFリテーナ16とに異なる色が付されているものとする。それぞれに付される色は、特に限定されるものではなく、互いに異なる色であることを視認し得るものであればよい。また、着色の手法についても、特に限定されるものではなく、公知の手法を適宜利用したものであればよい。
(Mコネクタの構成)
一方、他の実施形態に該当するMコネクタ20は、図1(b)に示すように、端子金具の他の一種であるタブ端子(以下「TAB端子」ともいう。)21と、TAB端子21を収容するハウジング部(以下「Mハウジング部」ともいう。)22と、Mハウジング部22に装着されるワイヤーシール23と、同じくMハウジング部22に装着されるシールカバー24と、同じくMハウジング部22に装着されるフロントリテーナ(以下「Mリテーナ」ともいう。)25と、を備えて構成されている。
以下、Mコネクタ20を構成する各要素21~25について、順に説明する。
(TAB端子)
図7は、他の実施形態におけるTAB端子の構成例を示す側面図である。
図7に示すように、TAB端子21は、導電性を有する金属板(例えば、銅板もしくは銅合金板、またはこれらのいずれかにめっき処理を施したもの)への抜き加工および曲げ加工によって形成されたもので、電線3の端縁に取り付けられて用いられる。そのために、TAB端子21には、ある一端側に、電線3への圧着部21aが設けられている。ただし、必ずしも圧着により取り付けられるものである必要はなく、例えば、圧接やはんだ付けによって取り付けられるものであってもよい。また、TAB端子21は、圧着部21aとは反対の一端側に、嵌合相手となるREC端子11と嵌合する嵌合部21bを有している。さらに、TAB端子21は、詳細を後述するMハウジング部22のランス22bと係止する被係止部21cを有している。
(Mハウジング部)
図8は、他の実施形態におけるMハウジング部の構成例を示す側断面図である。
図8(a)に示すように、Mハウジング部22は、絶縁性を有する樹脂材料(例えば、PBT)の一体成型加工によって形成されたもので、内部にTAB端子21を収容し得るように構成されている。
さらに詳しくは、Mハウジング部22は、少なくとも、TAB端子21を収容する端子収容部22aと、端子収容部22aに収容されたTAB端子21の被係止部21cと係止するランス22bと、端子収容部22aにTAB端子21を収容する際のランス22bの弾性変形を許容するための変形用空間部22cと、を有している。これらは、コネクタユニット1の極数に対応した数が配されている。つまり、例えば、8極のコネクタユニット1であれば、Mハウジング部22には、端子収容部22a、ランス22bおよび変形用空間部22cが8か所に設けられている。
これらのうち、ランス22bは、弾性変形を容易に行えるようにすべく、その弾性変形の支点となる根元側の断面より先端側の断面が大きい先太形状に形成されている。
また、ランス22bは、先端側の断面が大きい部分(すなわち先太の部分)にてTAB端子21の被係止部21cと係止するように構成されているが、図8(a)に示すように、その係止部分の形成幅W3がTAB端子21の被係止部21cの形成幅W4よりも幅広に形成されていることが好ましい。
また、図8(a)に示すように、Mハウジング部22には、端子収容部22a内へのTAB端子21の挿入側(図中矢印C参照)に、ワイヤーシール23およびシールカバー24を装着するための空間部22dが設けられている。一方、Mハウジング部22における空間部22dとの対向側(図中矢印D参照)は、Fコネクタ10と嵌合する側となる。Fコネクタ10との嵌合側は、詳細を後述するMリテーナ25を装着し得るように構成されている。
さらに、Mハウジング部22には、Fコネクタ10と嵌合した際に、その嵌合状態を維持するためにFコネクタ10のロック機構部12fと係合する係合片22eが形成されている。なお、係合片22eの詳細については、公知技術を利用して構成したものであればよく、ここではその説明を省略する。
なお、Mハウジング部22は、Mリテーナ25の装着側に向けて突出する突出凸部(ただし図8(a)中では不図示)を有していることが好ましい。
(ワイヤーシールおよびシールカバー)
図9は、他の実施形態におけるMハウジング部への装着要素の構成例を示す側断面図である。
図9に示すように、ワイヤーシール23は、弾性材料(例えば、シリコンゴム)によって形成されたもので、Mハウジング部22の空間部22dに装着されて、そのMハウジング部22とTAB端子21に接続する電線3との間を密封するためのものである。
シールカバー24は、絶縁性を有する樹脂材料(例えば、PBT)によって形成されたもので、Mハウジング部22の空間部22dに装着されて、ワイヤーシール23の脱落を防止するためのものである。
(Mリテーナ)
図10は、他の実施形態におけるMリテーナの構成例を示す側断面図である。
図10に示すように、Mリテーナ25は、絶縁性を有する樹脂材料(例えば、PBT)によって形成されたもので、Mハウジング部22におけるFコネクタ10との嵌合側に装着し得るように構成されたものである。つまり、Mリテーナ25は、端子収容部22aに収容されたTAB端子21の嵌合部21bの側から、Mハウジング部22に装着されるようになっている。
Mハウジング部22に装着されるMリテーナ25は、ランス22bによるTAB端子21の係止力を補強し、これによりMハウジング部22における端子保持力の増大を図るためのものである。そのために、Mリテーナ25は、ランス22bの弾性変形を規制する規制片部25aを有して構成されている。
ところで、Mリテーナ25は、Mハウジング部22への装着にあたり、図9に示すようなMハウジング部22に対する仮係止状態と、図1(b)に示すようなMハウジング部22に対する本係止状態とについて、これらの各状態を遷移可能に構成されている。
仮係止状態とは、Mリテーナ25がMハウジング部22に仮に装着されている状態のことをいう(図9参照)。仮係止状態においては、Mリテーナ25の規制片部25aは、Mハウジング部22の変形用空間部22cに達していない状態となる。
本係止状態とは、Mリテーナ25が仮係止状態からMハウジング部22の側に所定押し込み量(図9参照)の分だけ押し込まれて、Mリテーナ25がMハウジング部22への最終的な装着状態となっていることをいう。本係止状態においては、Mリテーナ25の規制片部25aは、Mハウジング部22の変形用空間部22cに介在して、これによりランス22bの弾性変形を規制するようになっている(図1(b)参照)。
そして、規制片部25aは、Mリテーナ25が本係止状態のときに、単に変形用空間部22cに介在するだけではなく、その先端部が変形用空間部22cにおけるランス22bの根元近傍に達するように構成されている。さらに具体的には、規制片部25aの先端部が、先太形状に形成されたランス22bに対して、そのランス22bの根元近傍に位置する断面が小さい部分まで達するように、Mハウジング部22の側への突出長が設定されている。
このような仮係止状態から本係止状態への遷移を実現可能にすべく、Mリテーナ25については、Mハウジング部22に対して適度な押し込み量(スライド量)を有するように構成されている。具体的には、仮係止状態には規制片部25aが変形用空間部22cに介在せず、本係止状態には規制片部25aの先端部がランス22bの根元近傍に達するように、所定押し込み量として、例えば、少なくとも2mm以上、好ましくは4mm程度のスライド量を有するように構成されている。
図11は、他の実施形態におけるMハウジング部へのMリテーナの装着状態の例を示す図であり、(a)は図9のC矢視に相当する図であり、(b)は図11(a)のC´-C´断面に相当する図である。
例えば、図11(a)に示すように、Mハウジング部22が突出凸部22fを有している場合、Mリテーナ25は、その突出凸部22fが挿入される貫通穴25bを有しているものとする。さらに、突出凸部22fと貫通穴25bとの対は、複数箇所に設けられていることが好ましい。
Mハウジング部22が突出凸部22fを有している場合に、その突出凸部22fは、Mリテーナ25が本係止状態のときに、その突出凸部22fの先端部が貫通穴25bから視認可能に露出する突出長を有しているものとする。このような突出長としては、例えば、図11(b)に示すように、突出凸部22fの先端部の端面がMリテーナ25の外表面と同一面に位置するような長さが挙げられる。ただし、必ずしもこれに限定されるものではなく、突出凸部22fの先端部が視認可能であれば、突出凸部22fの端面がFリテーナ25の外表面まで達していなくてもよく、または突出凸部22fの端面がFリテーナ25の外表面から突出していてもよい。
そして、Mハウジング部22とMリテーナ25とは、少なくとも突出凸部22fの先端部とMリテーナ25とに異なる色が付されているものとする。それぞれに付される色は、特に限定されるものではなく、互いに異なる色であることを視認し得るものであればよい。また、着色の手法についても、特に限定されるものではなく、公知の手法を適宜利用したものであればよい。
(3)防水コネクタの使用態様
次に、上述した構成のFコネクタ10およびMコネクタ20(すなわち、コネクタユニット1)の使用態様について説明する。
コネクタユニット1は、Fコネクタ10とMコネクタ20とを互いに嵌合させ、それぞれにおけるREC端子11とTAB端子21とを電気的に接続させることで使用される。これにより、REC端子11が取り付けられた電線2と、TAB端子21が取り付けられた電線3とは、それぞれの間の導通が確保される。
このとき、Fコネクタ10およびMコネクタ20は、嵌合相手と嵌合し得る状態になっていること、具体的にはそれぞれのフロントリテーナ16,25が本係止状態となっていることが必要である。以下、かかる状態に遷移する際の処理動作例について、順に説明する。
(Fコネクタにおける処理動作)
Fコネクタ10において、Fハウジング部12には、ワイヤーシール13、シールカバー14およびハウジングシール15が装着されている。さらに、Fハウジング部12には、仮係止状態のFリテーナ16が装着されている。
このようなFコネクタ10の使用に際しては、まず、電線2の端縁に取り付けられたREC端子11を、Fハウジング部12の端子収容部12aに挿入する。このとき、Fリテーナ16は、Fハウジング部12に対して仮係止状態となっている。したがって、端子収容部12aにREC端子11を挿入すると、これに応じてランス12bが変形用空間部12cの側に弾性変形する。そして、REC端子11が規定の位置まで到達して端子収容部12a内に適切に収容された状態になると、ランス12bの弾性変形が回復し、そのランス12bがREC端子11の被係止部11cと係止する。これを、例えば、8極のコネクタユニット1であれば、8か所のすべてについて行う。
その後は、仮係止状態のFリテーナ16を、Fハウジング部12の側に所定押し込み量の分だけ押し込んで、本係止状態に遷移させる。このとき、REC端子11が適切に収容されていないと、ランス12bの弾性変形が完全には回復せず、変形用空間部12cが狭まった状態となるため、Fリテーナ16を押し込むことができない。つまり、Fリテーナ16の押し込み可否によって、REC端子11の収容状態の適否を判別することが可能となる。
Fリテーナ16が本係止状態になると、そのFリテーナ16の規制片部16aは、Fハウジング部12の変形用空間部12cに介在する。したがって、規制片部16aの介在によってランス12bの弾性変形が規制され、これによりランス12bによるREC端子11との係止力が補強されることになる。
しかも、Fリテーナ16が本係止状態になると、規制片部16aの先端部が、変形用空間部12cにおけるランス12bの根元近傍に達する。そのため、例えば、REC端子11をFハウジング部12の端子収容部12a内から引き抜く方向に外力が加わり、ランス12bの延伸方向に圧縮力が作用する場合であっても、そのランス12bの根元近傍に位置する断面が小さい部分における座屈変形が抑制されることになる。
つまり、Fリテーナ16が本係止状態になると、ランス12bの撓み発生によるREC端子11の被係止部11cからの当該ランス12bの離脱(すなわち、既述の(i)のパターンによる離脱)を防止し得るとともに、ランス12bの座屈変形によるREC端子11の被係止部11cからの当該ランス12bの離脱(すなわち、既述の(ii)のパターンによる離脱)についても防止することが可能となる。
また、例えば、REC端子11を引き抜く方向に外力が加わると、ランス12bに対する圧縮力の他に、そのランス12bのREC端子11との係止部分をせん断破壊(削れ破壊)しようとするせん断力が作用する。その場合であっても、ランス12bの形成幅W1が幅広に形成されていれば、せん断破壊に対する耐性を増大させることができる。つまり、ランス12bがREC端子11の被係止部11cよりも幅広に形成されていれば、ランス12bのせん断破壊によるREC端子11の被係止部11cからの当該ランス12bの離脱(すなわち、既述の(iii)のパターンによる離脱)を抑制することが可能となる。
ところで、規制片部16aの先端部がランス12bの根元近傍に達するように構成されたFリテーナ16の場合、仮係止状態から本係止状態に遷移させるための押し込み量(スライド量)は、一般的なリテーナ構造(すなわち、先端部がランス根元に到達しない構造)の場合に比べて大きくなる可能性がある。スライド量が大きいと、人為的な作業を伴うため、仮係止状態に完全には遷移しない、いわゆる半挿入の状態となってしまう可能性が高くなる。
この点につき、例えば、Fハウジング部12が突出凸部12gを有しているとともに、Fリテーナ16が貫通穴16bを有している場合には、突出凸部12gの先端部が貫通穴16bから視認可能に露出しているか否かによって、Fリテーナ16が本係止状態であるか否かを判別できる。つまり、貫通穴16b内の突出凸部12gを注視させることで、半挿入の状態で作業者がFリテーナ16の押し込み作業を終了してしまうのを抑制することができる。したがって、スライド量が大きくても、Fリテーナ16を仮係止状態から本係止状態に確実に遷移させることが可能となる。このとき、突出凸部12gの先端部とFリテーナ16とに異なる色が付されていれば、突出凸部12gの先端部が貫通穴16bから露出しているか否かの判別が容易化するので、Fリテーナ16を本係止状態に確実に遷移させる上で非常に好適である。
また、例えば、突出凸部12gと貫通穴16bとの対が複数箇所に設けられていれば、半挿入の状態を抑制し得ることに加えて、Fリテーナ16に傾きが生じた状態で当該Fリテーナ16がFハウジング部12に装着されてしまうことも抑制できる。したがって、Fリテーナ16を本係止状態に確実に遷移させる上でより一層好適なものとなる。
なお、Fコネクタ10においては、Fリテーナ16が本係止状態に遷移すると、図1(b)に示すように、Fハウジング部12の端縁とFリテーナ16の端縁とが略同一位置に配される。そのため、Fコネクタ10を側方から視認し、Fリテーナ16の端縁位置を確認することによっても、Fリテーナ16が本係止状態であるか否かを判別できる。つまり、Fコネクタ10において、突出凸部12gと貫通穴16bとの対は必須の構成ではなく、Fハウジング部12およびFリテーナ16のそれぞれの端縁位置を確認することによって半挿入を抑制するようにしても構わない。
Fリテーナ16が本係止状態となったら、Fコネクタ10は、使用可能な状態、すなわち嵌合相手であるMコネクタ20と嵌合し得る状態になる。
(Mコネクタにおける処理動作)
Mコネクタ20の使用に際しても、上述したFコネクタ10の場合と略同様の処理動作を行う。
具体的には、Mコネクタ20において、Mハウジング部22には、ワイヤーシール23およびシールカバー24が装着されている。さらに、Mハウジング部22には、仮係止状態のMリテーナ25が装着されている。
このようなMコネクタ20に対して、まず、Mリテーナ25が仮係止状態のときに、電線3の端縁に取り付けられたTAB端子21をMハウジング部22の端子収容部22aに挿入する。そして、TAB端子21が規定の位置まで到達して端子収容部22a内に適切に収容された状態になると、ランス22bがTAB端子21の被係止部21cと係止する。これを、例えば、8極のコネクタユニット1であれば、8か所のすべてについて行う。
その後は、仮係止状態のMリテーナ25を、Mハウジング部22の側に所定押し込み量の分だけ押し込んで、本係止状態に遷移させる。このとき、Mリテーナ25の押し込み可否によって、TAB端子21の収容状態の適否を判別することが可能となる。
Mリテーナ25が本係止状態になると、そのMリテーナ25の規制片部25aは、Mハウジング部22の変形用空間部22cに介在する。したがって、ランス22bの弾性変形が規制され、そのランス22bによるTAB端子21との係止力が補強される。
しかも、Mリテーナ25が本係止状態になると、規制片部25aの先端部が、変形用空間部22cにおけるランス22bの根元近傍に達する。そのため、例えば、TAB端子21をMハウジング部22の端子収容部22a内から引き抜く方向に外力が加わり、ランス22bの延伸方向に圧縮力が作用する場合であっても、そのランス22bの根元近傍に位置する断面が小さい部分における座屈変形が抑制される。
つまり、Mリテーナ25が本係止状態になると、ランス22bの撓み発生によるTAB端子21の被係止部21cからの当該ランス22bの離脱(すなわち、既述の(i)のパターンによる離脱)を防止し得るとともに、ランス22bの座屈変形によるTAB端子21の被係止部21cからの当該ランス22bの離脱(すなわち、既述の(ii)のパターンによる離脱)についても防止することが可能となる。
また、例えば、TAB端子21を引き抜く方向に外力が加わると、ランス22bに対する圧縮力の他に、そのランス22bをせん断破壊(削れ破壊)しようとするせん断力が作用する。その場合であっても、ランス22bの形成幅W3が幅広に形成されていれば、せん断破壊に対する耐性を増大させることができる。つまり、ランス22bがTAB端子21の被係止部21cよりも幅広に形成されていれば、ランス22bのせん断破壊によるTAB端子21の被係止部21cからの当該ランス22bの離脱(すなわち、既述の(iii)のパターンによる離脱)を抑制することが可能となる。
このようなMコネクタ20においても、Mリテーナ25を仮係止状態から本係止状態に遷移させるための押し込み量(スライド量)が、一般的なリテーナ構造の場合に比べて大きく、そのために半挿入の状態となってしまう可能性が高くなる。
ところが、例えば、Mハウジング部22が突出凸部22fを有しており、Mリテーナ25が貫通穴25bを有していれば、突出凸部22fの先端部が貫通穴25bから視認可能に露出しているか否かによって、Mリテーナ25が本係止状態であるか否かを判別できる。つまり、貫通穴25b内の突出凸部22fを注視させることで、半挿入の状態で作業者がMリテーナ25の押し込み作業を終了してしまうのを抑制することができる。したがって、スライド量が大きくても、Mリテーナ25を仮係止状態から本係止状態に確実に遷移させることが可能となる。このとき、突出凸部22fの先端部とMリテーナ25とに異なる色が付されていれば、突出凸部22fの先端部が貫通穴25bから露出しているか否かの判別が容易化するので、Mリテーナ25を本係止状態に確実に遷移させる上で非常に好適である。
また、例えば、突出凸部22fと貫通穴25bとの対が複数箇所に設けられていれば、半挿入の状態を抑制し得ることに加えて、Mリテーナ25に傾きが生じた状態で当該Mリテーナ25がMハウジング部22に装着されてしまうことも抑制できる。したがって、Mリテーナ25を本係止状態に確実に遷移させる上でより一層好適なものとなる。
特に、Mコネクタ20においては、突出凸部22fおよび貫通穴25bを有していることが非常に有用である。なぜならば、図9に示すように、Mリテーナ25はMハウジング部22に内包されるように装着されるため、Fコネクタ10の場合とは異なり、Mリテーナ25が本係止状態であるか否かについて、Mコネクタ20を側方から視認しても判別困難だからである。つまり、Mコネクタ20においては、Mリテーナ25を本係止状態に確実に遷移させる上で、突出凸部22fおよび貫通穴25bを有していることが非常に好ましい。
Mリテーナ25が本係止状態となったら、Mコネクタ20は、使用可能な状態、すなわち嵌合相手であるFコネクタ10と嵌合し得る状態になる。
(4)上述の実施形態により得られる効果
上述の実施形態によれば、以下に示す一つまたは複数の効果が得られる。
(a)上述の実施形態において、Fコネクタ10およびMコネクタ20は、フロントリテーナ16,25を利用して、ランス12b,22bによる端子金具11,21との係止状態力を補強する。そのため、例えばサイドリテーナを利用する場合のような嵌入孔を設ける必要がないため、防水機能が損なわれてしまうことがない。また、シールカバー13,23やハウジングシール15等の一般的なシール構造の流用が可能となるため、防水シール構造の複雑化を招いてしまうこともない。
しかも、Fコネクタ10およびMコネクタ20においては、フロントリテーナ16,25に設けられた規制片部16a,25aが、単に変形用空間部12c,22cに介在するだけではなく、その先端部が変形用空間部12c,22cにおけるランス12b,22bの根元近傍に達するように構成されている。そのため、ランス12b,22bの撓み発生による端子金具11,21からの離脱(すなわち、既述の(i)のパターンによる離脱)を防止し得るとともに、ランス12b,22bの座屈変形による端子金具11,21からの離脱(すなわち、既述の(ii)のパターンによる離脱)についても防止することが可能となる。
つまり、Fコネクタ10およびMコネクタ20は、ランス12b,22bの撓みを規制しつつ、少なくとも座屈変形によるランス12b,22bの破壊を防止するように構成されている。したがって、防水機能を維持しつつ、従来よりも端子保持力を増大させ、サイドリテーナを利用した場合と同等の性能を得ることが可能となる。サイドリテーナを利用した抜け止め技術は、ランス12b,22bに発生し得る破壊モードがせん断破壊(削れ)のみであり、これにより高い端子保持力が得られている。この点、Fコネクタ10およびMコネクタ20においても、ランス12b,22bの破壊モードが限定されるので、サイドリテーナを利用した場合と同等の性能が得られるのである。
以上のように、上述の実施形態で説明したFコネクタ10およびMコネクタ20は、高い端子保持力(例えば100N以上)を満足するように端子保持力の増大を図ることが可能となり、しかも防水機能が損なわれてしまうこともない。
(b)上述の実施形態において、Fコネクタ10およびMコネクタ20におけるランス12b,22bは、根元側の断面より先端側の断面が大きい先太形状を有している。そのため、ハウジング部12,22に端子金具11,21を挿入する際のランス12b,22bの弾性変形が容易に行えるようになる。しかも、ランス12b,22bが座屈変形の生じ易い先太形状であっても、フロントリテーナ16,25の規制片部16a,25aがランス12b,22bの根元近傍に達するため、ランス12b,22bの座屈変形を有効に防止することができる。
(c)上述の実施形態において、Fコネクタ10およびMコネクタ20におけるランス12b,22bは、端子金具11,21の被係止部11c,21cよりも幅広に形成されている。そのため、ランス12b,22bのせん断破壊に対する耐性を増大させることができ、その結果として、ランス12b,22bのせん断破壊による端子金具11,21の被係止部11c,21cからの当該ランス12b,22bの離脱(すなわち、既述の(iii)のパターンによる離脱)を抑制することが可能となる。つまり、Fコネクタ10およびMコネクタ20における端子保持力の増大を図る上で、より一層好適なものとなる。
(d)上述の実施形態で説明したように、例えば、ハウジング部12,22が突出凸部12g,22fを有しており、フロントリテーナ16,25が貫通穴16b,25bを有していれば、突出凸部12g,22fの先端部が貫通穴16b,25bから視認可能に露出しているか否かによって、フロントリテーナ16,25が本係止状態であるか否かを判別できる。そのため、半挿入の状態で作業者がフロントリテーナ16,25の押し込み作業を終了してしまうのを抑制でき、フロントリテーナ16,25のスライド量が大きい場合であっても、フロントリテーナ16,25を仮係止状態から本係止状態に確実に遷移させることが可能となる。このとき、突出凸部12g,22fの先端部とフロントリテーナ16,25とに異なる色が付されていれば、突出凸部12g,22fの先端部が貫通穴16b,25bから露出しているか否かの判別が容易化するので、フロントリテーナ16,25を本係止状態に確実に遷移させる上で非常に好適である。以上のことは、特に、Mコネクタ20のように、フロントリテーナ25がハウジング部22に内包された構成のもの、すなわち側方から視認しても本係止状態を判別困難な構成のものに適用して非常に有用である。
(e)上述の実施形態で説明したように、例えば、突出凸部12g,22fと貫通穴16b,25bとの対が複数箇所に設けられていれば、半挿入の状態を抑制し得ることに加えて、フロントリテーナ16,25に傾きが生じた状態で当該フロントリテーナ16,25がハウジング部12,22に装着されてしまうことも抑制できる。したがって、フロントリテーナ16,25を本係止状態に確実に遷移させる上でより一層好適なものとなる。
(5)変形例等
以上、本発明の実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上述の実施形態では、8極のコネクタユニット1を構成するFコネクタ10およびMコネクタ20を例に挙げて説明したが、本発明がこれに限定されることはない。つまり、本発明は、端子金具にランスを係止させる構成の防水コネクタであれば、極数や具体的な構成等が限定されることなく適用が可能である。
1…コネクタユニット、2,3…電線、10…Fコネクタ(防水コネクタ)、11…REC端子(端子金具)、11c…被係止部、12…Fハウジング部(ハウジング部)、12a…端子収容部、12b…ランス、12c…変形用空間部、12g…突出凸部、13…ワイヤーシール、14…シールカバー、15…ハウジングシール、16…Fリテーナ(フロントリテーナ)、16a…規制片部、16b…貫通穴、20…Mコネクタ(防水コネクタ)、21…TAB端子(端子金具)、21c…被係止部、22…Mハウジング部(ハウジング部)、22a…端子収容部、22b…ランス、22c…変形用空間部、22f…突出凸部、23…ワイヤーシール、24…シールカバー、25…Mリテーナ、25a…規制片部、25b…貫通穴

Claims (5)

  1. 先端側に嵌合相手と嵌合する嵌合部を有する端子金具と、
    前記端子金具を収容する端子収容部、前記端子収容部に収容された前記端子金具と係止するランス、前記端子収容部に前記端子金具を収容する際の前記ランスの弾性変形を許容するための変形用空間部、および前記端子収容部に形成された係止用孔を有するハウジング部と、
    前記端子収容部に収容された前記端子金具の前記嵌合部の側から前記ハウジング部に装着されるとともに、前記ハウジング部に対する仮係止状態と本係止状態とを遷移可能に構成されたフロントリテーナと、を備え、
    前記フロントリテーナは、前記ハウジング部の前記端子収容部の先端部と対向する先端面と、前記本係止状態にて前記変形用空間部に介在して前記ランスの弾性変形を規制する規制片部、および前記ハウジング部と係合する係止用突部を有しており、
    前記規制片部は、前記フロントリテーナが前記本係止状態のときに、当該規制片部の先端部が前記変形用空間部における前記ランスの根元近傍に達するように構成されており、
    前記フロントリテーナが前記仮係止状態のときに、前記ハウジング部の前記端子収容部の前記先端部と前記フロントリテーナの前記係止用突部とが係合し、前記仮係止状態において、前記フロントリテーナが前記ハウジング部に対して、基端側に移動しないようになっており、
    前記フロントリテーナが前記本係止状態のときに、前記フロントリテーナの前記係止用突部が前記ハウジング部の前記係止用孔内に位置し、
    前記フロントリテーナが前記本係止状態のときに、前記ハウジング部の前記端子収容部の前記先端部が、前記フロントリテーナの前記係止用突部と前記先端面とによって挟持され、前記フロントリテーナが前記ハウジング部に対して、前記先端側および前記基端側に移動しないようになっている
    防水コネクタ。
  2. 前記ランスは、根元側の断面より先端側の断面が大きい先太形状を有している
    請求項1に記載の防水コネクタ。
  3. 前記ランスは、前記端子金具の被係止部よりも幅広に形成されている
    請求項1または2に記載の防水コネクタ。
  4. 前記ハウジング部は、前記フロントリテーナの装着側に向けて突出する突出凸部を有し
    ており、
    前記フロントリテーナは、前記突出凸部が挿入される貫通穴を有しており、
    前記突出凸部は、前記フロントリテーナが前記本係止状態のときに当該突出凸部の先端部が前記貫通穴から視認可能に露出する突出長を有しており、
    少なくとも前記突出凸部の先端部と前記フロントリテーナとに異なる色が付されている
    請求項1から3のいずれか1項に記載の防水コネクタ。
  5. 前記突出凸部と前記貫通穴との対が複数箇所に設けられている
    請求項4に記載の防水コネクタ。
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