JP7259615B2 - ヘテロエピタキシャルウェーハの製造方法 - Google Patents

ヘテロエピタキシャルウェーハの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ヘテロエピタキシャルウェーハの製造方法及びヘテロエピタキシャルウェーハに関する。
炭化ケイ素(SiC)は2.2~3.3eVという広いバンドギャップを有することから、各種半導体デバイス用の半導体材料として期待されている。例えばパワーデバイス用途において、シリコンウェーハを基板として用い、その表面上にSiC層を形成したヘテロエピタキシャルウェーハが近年用いられている。
SiCの結晶構造は種々知られ、非晶質のアモルファルSiC、立方晶系の結晶構造を有する3C-SiC(「β型SiC」とも称される。)、六方晶系の結晶構造を有する6H-SiC、4H-SiCなどがある。六方晶系のSiCを成長させるためには通常1500℃以上の結晶成長温度が必要となり、当該温度はシリコンウェーハの融点を超えるため、シリコンウェーハ上に3C-SiCを成長させたヘテロエピタキシャルウェーハの検討が進んできている。
例えば特許文献1には、シリコンウェーハ上に900℃以下の低温でアモルファスを含む3C-SiCバッファー層を形成し、次いで1000℃以上の高温でSiC本体層をエピタキシャル成長させるヘテロエピタキシャルウェーハの製造方法が開示されている。
また、特許文献2には、シリコンウェーハ、酸化シリコン層、シリコン層を順次有するSOI基板のシリコン層を炭化処理し、次いでこの炭化処理した改質層上にMBE法、CVD法などでSiCを成長させた半導体積層体が開示されている。
特開2004-039766号公報 国際公開第2016/047534号
特許文献1及び特許文献2のいずれのSiC成膜法においても、複雑な製造プロセスを経なければ3C-SiC結晶層を形成することができず、製造コストは高止まりしかねない。また、リーク電流発生などの半導体デバイス特性悪化を防止するためには、3C-SiC結晶層の成長を開始する時点から成長を終えるまで、シリコンウェーハの高平坦性を引き継いだまま成膜を行うことが望ましい。しかしながら、特許文献1では低温成長によってアモルファスを含むSiC層を形成するし、特許文献2では炭化処理法によってシリコン層の内部拡散によってSiC層が形成するため、いずれの手法を用いてもシリコンウェーハ表面水準での高平坦性を得ることは難しい。このように、従来技術ではシリコンウェーハの表面平坦性を引き継いでその表面上に3C-SiC結晶層の成膜を行うことは困難である。
そこで本発明は、簡易な製造プロセスによって、シリコンウェーハの表面平坦性を引き継ぎつつ、その表面上に3C-SiC結晶層を直接形成したヘテロエピタキシャルウェーハの製造方法を提供することを目的とする。さらに本発明は、この製造方法により得られるヘテロエピタキシャルウェーハを提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく本発明者は鋭意検討し、シリコンウェーハの表面上にプラズマCVD法によって3C-SiC結晶層を形成することに着目した。そして、プラズマ雰囲気及び基板温度を適正化することにより上記課題を解決できることを本発明者は知見した。上記知見に基づき完成した本発明の要旨構成は以下のとおりである。
(1)シリコンウェーハをプラズマチャンバ内に設置する設置工程と、
有機ケイ素化合物ガス、又は、水素化ケイ素ガス及び炭化水素ガスを含むソースガスを前記プラズマチャンバ内に供給して、前記シリコンウェーハの表面に3C-SiC結晶層をプラズマCVD法により成膜する成膜工程と、を含み、
前記成膜工程において、前記シリコンウェーハの基板温度を1100℃以上とし、かつ、前記プラズマチャンバ内のソースガスへの付与エネルギーを380kJ/mol以下にして前記ソースガスからSiH3フラグメントイオン及びCH3フラグメントイオンを生成し、前記SiH3フラグメントイオン及び前記CH3フラグメントイオンから前記3C-SiC結晶層を成膜することを特徴とするヘテロエピタキシャルウェーハの製造方法。
(2)前記成膜工程に先立ち、前記シリコンウェーハの表面を水素プラズマ処理する処理工程をさらに含む、上記(1)に記載のヘテロエピタキシャルウェーハの製造方法。
(3)前記ソースガスは、モノメチルシラン、ジシラン及びプロパン、ジシラン及びブタン、並びに、ジシラン及びイソペンタンのいずれかである、上記(1)又は(2)に記載のヘテロエピタキシャルウェーハの製造方法。
(4)前記成膜工程における前記基板温度は1200℃以上1414℃以下である、上記(1)~(3)のいずれかに記載のヘテロエピタキシャルウェーハの製造方法
(5)シリコンウェーハと、
前記シリコンウェーハの表面上に形成された3C-SiC結晶層と、を備えるヘテロエピタキシャルウェーハであって、
前記シリコンウェーハ及び前記3C-SiC結晶層との界面における平坦度ばらつきが10nm以下であることを特徴とするヘテロエピタキシャルウェーハ。
本発明によれば、簡易な製造プロセスによって、シリコンウェーハの表面平坦性を引き継ぎつつ、その表面上に3C-SiC結晶層を直接形成したヘテロエピタキシャルウェーハの製造方法を提供することができる。さらに本発明は、この製造方法により得られるヘテロエピタキシャルウェーハを提供することができる。
本発明の一実施形態に従うヘテロエピタキシャルウェーハの製造方法を説明する模式断面図である。 本発明における3C-SiC結晶層の結晶成長を説明するための概念図である。 実験例2において形成した3C-SiC結晶層のラマンスペクトルを示すグラフである。 実験例2において形成した3C-SiC結晶層の光学顕微鏡写真である。 実験例5において観察したTEM断面写真である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、同一の構成要素には原則として同一の参照番号を付して、説明を省略する。
(ヘテロエピタキシャルウェーハの製造方法)
図1の模式図を参照する。本発明の一実施形態に従うヘテロエピタキシャルウェーハ100の製造方法は、シリコンウェーハ10をプラズマチャンバ(図示せず)内に設置する設置工程(図1(A))と、ソースガスを前記プラズマチャンバ内に供給して、シリコンウェーハ10の表面10Aに3C-SiC結晶層20をプラズマCVD法により成膜する成膜工程(図1(B)、図1(C))と、を含む。このソースガスは、有機ケイ素化合物ガス、又は、炭化水素ガス及び水素化ケイ素ガスを含む。そして、この成膜工程において、シリコンウェーハ10の基板温度を1100℃以上とし、かつ、プラズマチャンバ内のソースガスへの付与エネルギーを380kJ/mol以下にしてソースガスからSiH3フラグメントイオン51及びCH3フラグメントイオン52を生成する。
ここで、プラズマチャンバ内でのソースガスへの付与エネルギーは直接的には測定できないため、本明細書においては、以下の手法によりソースガスへの付与エネルギーを判別する。まず、プラズマチャンバのチャンバ内圧力(Pa)、出力電圧(kV)、出力電流(A)、パルス周波数(Hz)、パルス幅(μs)などのプラズマ生成パラメータを固定しつつ、ソースガスを特定の流量でプラズマチャンバ内に供給する。そのときの、プラズマチャンバ内に存在する種々のフラグメントイオンを質量分析法により検出することによって、チャンバ内のソースガスへの付与エネルギー(kJ/mol)を定める。例えば、モノメチルシラン(CH3SiH3)ガスをプラズマチャンバ内に供給するとき、プラズマチャンバ内でのソースガスへの付与エネルギーが290kJ/mol~318kJ/molの範囲内であれば、モノメチルシランはCH3とSiH3とにフラグメントイオンの形態で分離することができる。しかし、この範囲よりソースガスへの付与エネルギーが低い場合には、モノメチルシランからCH3及びSiH3は分離生成されない。したがって、プラズマ生成条件を緩和しつつ、質量分析法によってCH3及びSiH3がいずれもプラズマチャンバ内から検出されなくなったときのソースガスへの付与エネルギーは290kJ/mol未満であると判別される。また、SiH2フラグメントイオン又はCH2フラグメントイオンが検出される場合は、ソースガスへの付与エネルギーが380kJ/mol超である。
上記成膜工程においてSiH3フラグメントイオン51及びCH3フラグメントイオン52を生成し、これを用いて3C-SiC層を形成する技術的意義を、図2を参照して説明する。まず、図2(A)を参照する。プラズマチャンバ内に設置されたシリコンウェーハ10は、プラズマ雰囲気下で表面10Aが活性化されるため、表面10AにおいてSiダングリングボンドが形成される。そして、ソースガスへの付与エネルギーを380kJ/mol以下としてソースガスからSiH3フラグメントイオン51及びCH3フラグメントイオン52を生成すれば、それぞれのフラグメントイオンからHがさらに解離することはない。両フラグメントイオンが存在するプラズマ雰囲気下では、シリコンウェーハ10の表面10AにおけるSiダングリングボンドとCH3フラグメントイオン52の炭素(C)原子が結合し、さらにこの炭素原子とSiH3フラグメントイオン51のシリコン(Si)とが結合し、これを繰り返す。実験事実を鑑みると、SiH3フラグメントイオン51及びCH3フラグメントイオン52のそれぞれが四面体構造を有するために、立方晶系の3C-SiC結晶層20を安定して形成することができると考えられる(図2(B)参照)。
上述したように、本実施形態ではSiH3フラグメントイオン51及びCH3フラグメントイオン52を生成するため、プラズマCVD法を用いてシリコンウェーハの表面上に3C-SiC結晶層を直接ヘテロエピタキシャル成長させることができる。そして、この製造方法では、複雑な工程を経ることなく、簡易な製造プロセスによって、シリコンウェーハの表面平坦性を引き継ぎつつ、その表面上に3C-SiC結晶層を直接形成できる。
以下、本実施形態の詳細を、具体例を含めて順次説明する。
<設置工程>
まず、前述のとおり、シリコンウェーハ10をプラズマチャンバ内に設置する(図1(A)参照)。使用するシリコンウェーハの種類などは特に制限されない。例えば、チョクラルスキ法(CZ法)又は浮遊帯域溶融法(FZ法)により育成された単結晶シリコンインゴットをワイヤーソーなどでスライスしたシリコンウェーハを使用することができる。また、シリコンウェーハ10には、炭素及び/又は窒素を添加してもよい。また、任意の不純物ドーパントを添加して、n型又はp型としてもよい。プラズマチャンバについても、プラズマCVD法に用いられる一般的なものを使用すればよい。
<成膜工程>
上記設置工程の後、3C-SiC結晶層20をプラズマCVD法により成膜する成膜工程を行う(図1(B)、図1(C)参照)。成膜工程におけるソースガスへの付与エネルギーを380kJ/mol以下とする理由及びその作用効果については既述のとおりである。なお、ソースガスへの付与エネルギーの下限は、SiH3フラグメントイオン51及びCH3フラグメントイオン52を生成できればよく、この下限値は使用するソースガスの種類によって異なるため、使用するソースガスに応じて適宜定めればよい。
<<3C-SiC結晶層>>
成膜工程において、3C-SiC結晶層20をシリコンウェーハ10の表面10上に直接形成することができる。形成する3C-SiC結晶層20の膜厚は特に制限されず、用途に応じて膜厚を0.1μm~1μmとすることができる。膜厚は成膜時間に応じて定まり、成膜時間を例えば1分~120分とすることができる。
また、形成される3C-SiCを単結晶とすることもできるし、多結晶とすることもできる。なお、3C-SiCが形成されたか否かは、ラマン分光法などにより確認することができる。本明細書における後述の実施例においては、成膜層に対してラマン分光法によりラマンスペクトルを取得し、ラマンシフトが796cm-1±1cm-1の範囲内において強度ピークが観察される場合に3C-SiC結晶層が形成されたと判断した。
<<基板温度>>
成膜工程において、シリコンウェーハ10の基板温度を1100℃以上とする。これは、基板温度が1100℃未満であると成膜されるSiC層がアモルファスSiCとなるためである。3C-SiCの結晶性を高めるためにはシリコンウェーハ10の基板温度を1200℃以上とすることが好ましく、1300℃以上とすることがより好ましい。なお、成膜工程における基板温度の上限は3C-SiC結晶層20を形成できる限りは特に制限されないものの、シリコンの融点である1414℃を基板温度の上限値とする。
-ソースガス-
3C-SiC結晶層20を形成するためにプラズマチャンバ内に導入するソースガスは、SiH3フラグメントイオン51及びCH3フラグメントイオン52のそれぞれを生成できれば特に制限されない。しかし、モノメチルシラン(CH3SiH3)、ジシラン(Si26)及びプロパン(C38)、ジシラン及びブタン(C410)、並びに、ジシラン及びイソペンタン(C512)のいずれかをソースガスに用いることが好ましい。これらの原料を用いれば、より確実に3C-SiC結晶層20を形成することができるためである。また、ソースガスの供給量は特に制限されず、例えば0.01sccm~1.0sccmとすることができる。
-プラズマチャンバ内のソースガスへの付与エネルギー-
プラズマチャンバのチャンバ内圧力(Pa)、出力電力(kW)などのパラメータを調整することによって、ソースガスへの付与エネルギーを380kJ/mol以下に制御する。ソースガスへの付与エネルギーはプラズマ生成パラメータの複合的要因によって決まるものの、例えば出力電力のみを増大させればソースガスへの付与エネルギーは増大する。さらに、チャンバ内圧力(Pa)を低減すると、ソースガスへの付与エネルギーは低減する。したがって、特定のプラズマ生成パラメータにおけるソースガスへの付与エネルギーを既述の質量分析法から判別した後、これら各種パラメータを調整すれば、所望のソースガスへの付与エネルギーに制御することが可能となる。
上記各種パラメータの具体的範囲を以下に例示する。
チャンバ内圧力:1kPa~100kPa.
出力電力:1kW~10kW
ただし上述のとおり、ソースガスへの付与エネルギーはプラズマ生成パラメータの複合的要因によって決まる。そのため、プラズマ生成パラメータが上記値の範囲内であれば必ずソースガスへの付与エネルギーが380kJ/mol以下となるわけではない。これらの範囲内において、各種パラメータ及びソースガスの供給量を適宜調整することによって、ソースガスへの付与エネルギーを380kJ/mol以下に制御することが必要となる。
<処理工程>
上述した成膜工程における3C-SiC結晶層20の成膜に先立ち、シリコンウェーハ10の表面10Aを水素プラズマ処理する処理工程をさらに含むことも好ましい。表面10AにおいてSiダングリングボンドを速やかに形成することができ、処理工程後の成膜速度を速くすることができる。プラズマチャンバ内を圧力:1kPa~100kPa、出力:1~10kW程度のプラズマ雰囲気下にしてプラズマチャンバ内に水素ガスを供給すればよい。なお、成膜時と異なり、シリコンウェーハ10の基板温度は制限されない。例えば、700℃以上1200℃以下とすることができる。水素プラズマ処理の処理時間も特に制限されず、処理時間を例えば1分~10分とすることができる。
(ヘテロエピタキシャルウェーハ)
上述した製造方法に従うことによって、本発明に従うヘテロエピタキシャルウェーハ100を得ることができる。こうして得られたヘテロエピタキシャルウェーハ100は、シリコンウェーハと、シリコンウェーハ10の表面10A上に形成された3C-SiC結晶層20と、を備える。そして、シリコンウェーハ10及び3C-SiC結晶層20との界面における平坦度ばらつきが10nm以下である。なお、上記平坦度は、TEM断面写真におけるシリコンウェーハ10と3C-SiC結晶層20との界面における粗さ曲線に基づく算術平均粗さRaであり、定義はJIS B0601:2013に従う。
上記平坦度ばらつきは、本発明の製造方法によるプラズマCVD法によって初めて実現することのできた極めて優れた平坦性を示す。この平坦性は、炭化処理のようにシリコンウェーハの表面に内部拡散して表面改質させる手法では得ることができない。また、バッファー(遷移領域)となるアモルファスSiC層を形成しても実現することはできない。本発明ではシリコンウェーハ10の平坦性を引き継ぎつつ、シリコンウェーハ10の表面10A上に3C-SiC結晶層20を直接形成することができるため、3C-SiC結晶層20の厚みばらつきを低減できる。こうして得られた3C-SiC結晶層20を用いて作成する半導体デバイスのデバイス特性(リーク電流特性など)は極めて優れたものとなる。
また、ヘテロエピタキシャルウェーハ100を用いて自立基板を作成し、3C-SiC結晶層20を露出面とする場合、当該露出面はシリコンウェーハ10と3C-SiC結晶層20との界面に相当する。本発明に従うヘテロエピタキシャルウェーハ100を用いれば、当該自立基板の露出面の平坦性を極めて良好なものとすることができる。
なお、既述のとおり本発明に適用可能なシリコンウェーハ10に制限はないものの、SiC結晶層20を結晶性良くヘテロエピタキシャル成長させるためには、点欠陥である空孔が凝集して生成するボイドであるCOP(Crystal Originated Particle)を含まない基板を用いることが好ましい。本発明における「COPを含まないシリコンウェーハ」とは、以下に説明する観察評価により、COPが検出されないシリコンウェーハを意味するものとする。すなわち、まず、CZ法により育成された単結晶シリコンインゴットから切り出し加工されたシリコンウェーハに対して、SC-1洗浄(すなわち、アンモニア水と過酸化水素水と超純水とを1:1:15で混合した混合液による洗浄)を行い、洗浄後のシリコンウェーハ表面を、表面欠陥検査装置としてKLA-Tenchor社製:Surfscan SP-2を用いて観察評価し、表面ピットと推定される輝点欠陥(LPD:Light Point Defect)を特定する。その際、観察モードはObliqueモード(斜め入射モード)とし、表面ピットの推定は、Wide Narrowチャンネルの検出サイズ比に基づいて行うものとする。こうして特定されたLPDに対して、原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)を用いて、表面ピットか否かを評価する。この観察評価により、表面ピットが観察されないシリコンウェーハを「COPを含まないシリコンウェーハ」とする。
さらに、上記「COPを含まないシリコンウェーハ」を用いるのと同様の目的で、シリコンウェーハ10は、ボロン(B)フリー及び/又はリン(P)フリーの基板であることも好ましい。
また、シリコンウェーハ10の直径は、200mm以上が好ましく、300mm以上がより好ましい。シリコンウェーハ10の直径と、得られる3C-SiC結晶層20の直径は一致するため、シリコンウェーハ10を大口径とするほど、大口径の3C-SiC結晶層20を得ることができる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(ソースガスへの付与エネルギー評価予備実験)
〔予備実験1〕
まず、プラズマチャンバ内にプラズマチャンバ内にモノメチルシラン(CH3SiH3)ガスを0.1~0.2sccmの範囲で供給しつつ、チャンバ内圧力:13kPa~26kPa、出力:2kW~4kWの範囲の条件下でプラズマ雰囲気を生成した。次いで、各実験条件において質量分析法によりプラズマチャンバ内に生成されたフラグメントイオン種を分析することにより、以下の評価基準に基づきプラズマチャンバ内のソースガスへの付与エネルギー範囲を分類した。
分類1-1(290kJ/mol未満):SiH3及びCH3が検出されない。
分類1-2(290kJ/mol以上380kJ/mol未満):SiH3、CH3が検出される。
分類1-3(380kJ/mol超):SiH2、CH2が検出される。
〔予備実験2〕
予備実験1ではモノメチルシラン(CH3SiH3)ガスを用いていたところ、これをジシラン(Si26)及びプロパン(C38)に代え、予備実験1と同様に以下の評価基準に基づきプラズマチャンバ内のソースガスへの付与エネルギー範囲を分類した。
分類2-1(226kJ/mol未満):SiH3及びCH3が検出されない。
分類2-2(226kJ/mol以上380kJ/mol未満):SiH3、CH3が検出される。
分類2-3(380kJ/mol超):SiH2、CH2が検出される。
〔予備実験3〕
予備実験1ではモノメチルシラン(CH3SiH3)ガスを用いていたところ、これをジシラン(Si26)及びブタン(C410)に代え、予備実験1と同様に以下の評価基準に基づきプラズマチャンバ内のソースガスへの付与エネルギー範囲を分類した。
分類3-1(226kJ/mol未満):SiH3及びCH3が検出されない。
分類3-2(226kJ/mol以上380kJ/mol未満):SiH3、CH3が検出される。
分類3-3(380kJ/mol超):SiH2、CH2が検出される。
〔予備実験4〕
予備実験1ではモノメチルシラン(CH3SiH3)ガスを用いていたところ、これをジシラン(Si26)及びイソペンタン(C512)に代え、予備実験1と同様に以下の評価基準に基づきプラズマチャンバ内のソースガスへの付与エネルギー範囲を分類した。
分類4-1(226kJ/mol未満):SiH3及びCH3が検出されない。
分類4-2(226kJ/mol以上380kJ/mol未満):SiH3、CH3が検出される。
分類4-3(380kJ/mol超):SiH2、CH2が検出される。
(実験例1)
単結晶シリコンウェーハを作製し、チップサイズ1cm角にダイシングし、シリコンチップを作製した。次いで、シリコンチップをプラズマチャンバ内に設置した。次に、プラズマチャンバ内にプラズマ雰囲気を形成し、プラズマ雰囲気下へ水素ガスを100sccm流し、上記シリコンチップを800℃で5分間、水素プラズマ処理した。
〔試料1-1〕
上記予備実験1において予め求めた分類1-1のソースガスへの付与エネルギーが得られる条件で、プラズマチャンバ内にモノメチルシラン(CH3SiH3)ガスを供給し、1350℃で90分間処理することによってSiC層を成膜した。
〔試料1-2,1-3〕
試料1におけるソースガスへの付与エネルギーを、上記予備実験1において予め求めた分類1-2,1-3のソースガスへの付与エネルギーが得られる条件に順次変更してSiC層を成膜し、それぞれ試料1-2,1-3を作製した。
試料1-1~試料1-3のそれぞれに対してラマンスペクトルを取得して3C-SiC由来のピークが形成されるか評価した。SiH3フラグメントイオン及びCH3フラグメントイオンが生成されない条件でSiC層を成膜した試料1-1及び試料1-3では3C-SiC由来の796cm-1のピークが観察されなかった。一方、SiH3フラグメントイオン及びCH3フラグメントイオンが生成される条件でSiC層を成膜した試料1-2は3C-SiC由来の796cm-1のピークが観察され、3C-SiC結晶層の成膜が確認された。
(実験例2)
実験例1における試料1-1~1-3ではジメチルシランをソースガスとしていたところ、これをジシラン及びプロパンに代え、上記予備実験2において予め求めた分類2-1~2-3のソースガスへの付与エネルギーが得られる条件にてSiC層をそれぞれ成膜し、試料2-1~2-3を作製した。その他の実験条件は実験例1と同様である。実験例1と同様、SiH3フラグメントイオン及びCH3フラグメントイオンが生成される条件でSiC層を成膜した試料2-2は3C-SiC結晶層の成膜が確認された。一方、試料2-1及び試料2-3では3C-SiC結晶層の成膜は確認できなかった。
(実験例3)
実験例1における試料1-1~1-3ではジメチルシランをソースガスとしていたところ、これをジシラン及びブタンに代え、上記予備実験3において予め求めた分類3-1~3-3のソースガスへの付与エネルギーが得られる条件にてSiC層をそれぞれ成膜し、試料3-1~3-3を作製した。その他の実験条件は実験例1と同様である。実験例1と同様、SiH3フラグメントイオン及びCH3フラグメントイオンが生成される条件でSiC層を成膜した試料3-2は3C-SiC結晶層の成膜が確認された。一方、試料3-1及び試料3-3では3C-SiC結晶層の成膜は確認できなかった。
(実験例4)
実験例1における試料1-1~1-3ではジメチルシランをソースガスとしていたところ、これをジシラン及びイソプロパンに代え、上記予備実験4において予め求めた分類4-1~4-3のソースガスへの付与エネルギーが得られる条件にてSiC層をそれぞれ成膜し、試料4-1~4-3を作製した。その他の実験条件は実験例1と同様である。実験例1と同様、SiH3フラグメントイオン及びCH3フラグメントイオンが生成される条件でSiC層を成膜した試料4-2は3C-SiC結晶層の成膜が確認された。一方、試料4-1及び試料4-3では3C-SiC結晶層の成膜は確認できなかった。
実験例1~実験例4における以上の実験結果を、下記表1にまとめる。なお、表1中では、3C-SiC由来の796cm-1のラマンシフトのピークが検出された場合に○と記載し、当該ピークが検出されなかった場合に×と表記する。
Figure 0007259615000001
(実験例5)
〔試料5-1〕
試料1-2の作製条件と同一条件(基板温度は既述のとおり1350℃である。)により、シリコンチップ上にSiC層を0.1μm成膜した。
〔試料5-2〕
試料5-1では基板温度を1350℃としていたところ、これを1100℃に変えて試料5-2を作製した。試料5-2のその他の作製条件は試料5-1を同様である。
〔試料5-3〕
試料5-1では基板温度を1350℃としていたところ、これを1000℃に変えて試料5-3を作製した。試料5-3のその他の作製条件は試料5-1を同様である。
試料5-1~5-3のSiC層のラマンスペクトルを図3に示す。図3より、試料5-1及び5-2では3C-SiC由来の796cm-1のラマンシフトのピークが検出される一方、試料5-3では当該ピークは検出できない。なお、試料5-1及び試料5-2とでピーク強度が異なるのは、成膜温度の低温化にともない成膜レートが減少し、形成された3C-SiC相の膜厚の相違に起因するからだと考えられる。
試料5-1~5-3の光学顕微鏡写真を図4に示す。図4より、試料5-1及び5-2では多結晶の3C-SiC層の形成が確認される。一方、試料5-3ではアモルファスSiCが形成された。これにより、試料5-2は試料5-1よりSiCが薄く仕上がっていることがわかった。また、試料5-2の断面TEM写真を図5に示す。図5よりエピタキシャル成長界面において、シリコンウェーハの表面平坦性を維持できたことが確認される。
以上の実験例1~5より、本発明に従う製造条件を用いることにより簡易な製造プロセスによって、シリコンウェーハ表面上に3C-SiC結晶層を直接形成したヘテロエピタキシャルウェーハの製造できることが確認された。また、得られるヘテロエピタキシャルウェーハのエピタキシャル成長界面では、シリコンウェーハの表面平坦性を維持できる。
本発明によれば、簡易な製造プロセスによって、シリコンウェーハの表面平坦性を引き継ぎつつ、その表面上に3C-SiC結晶層を直接形成したヘテロエピタキシャルウェーハの製造方法を提供することができ、またそれにより得られたヘテロエピタキシャルウェーハを提供することができる。
10 シリコンウェーハ
10A 表面
20 3C-SiC結晶層
51 SiH3フラグメントイオン
52 CH3フラグメントイオン
100 ヘテロエピタキシャルウェーハ

Claims (3)

  1. シリコンウェーハをプラズマチャンバ内に設置する設置工程と、
    モノメチルシラン、ジシラン及びプロパン、ジシラン及びブタン、並びに、ジシラン及びイソペンタンのいずれかからなるソースガスを前記プラズマチャンバ内に供給して、前記シリコンウェーハの表面に3C-SiC結晶層をプラズマCVD法により成膜する成膜工程と、を含み、
    前記成膜工程において、前記シリコンウェーハの基板温度を1100℃以上1414℃以下とし、かつ、前記プラズマチャンバ内の前記ソースガスへの付与エネルギーを380kJ/mol以下にして前記ソースガスからSiHフラグメントイオン及びCHフラグメントイオンを生成し、前記SiHフラグメントイオン及び前記CHフラグメントイオンから前記3C-SiC結晶層を成膜することを特徴とするヘテロエピタキシャルウェーハの製造方法。
  2. 前記成膜工程に先立ち、前記シリコンウェーハの表面を水素プラズマ処理する処理工程をさらに含む、請求項1に記載のヘテロエピタキシャルウェーハの製造方法。
  3. 前記成膜工程における前記基板温度は1200℃以上1414℃以下である、請求項1又は2に記載のヘテロエピタキシャルウェーハの製造方法。
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