JP7259262B2 - インペラ用押出材及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は各種インペラ及びローター等の回転体に加工されるアルミニウム合金製の押出材及びその製造方法に関する。
各種内燃機関に用いられるターボチャージャー等のインペラ(コンプレッサホイール)やローターは、円錐状をなす回転軸部の外周側に、複数の曲面状の薄い羽根部が渦巻の一部をなすように放射状に配置された構成を有しているのが一般的である。また、ターボチャージャーのインペラは150℃程度の温度で高速回転するため、高い高温強度及び剛性を有することが要求される。
加えて、インペラ及びローターはエネルギ損失を抑制するために軽量であることが必須であり、これらの素材にはアルミニウム合金が汎用されている。特に、温度が上昇する場合には高温特性に優れた2000系アルミニウム合金が用いられているが、アルミニウム合金の組成のみでは要求される機械的性質を十分に満足することが困難な状況となっている。
これに対し、例えば、特許文献1(特開2017-43802号公報)においては、アルミニウム合金押出材であって、質量%で、Cu:2.5~3.3%、Mg:1.3~2.5%、Ni:0.50~1.3%、Fe:0.50~1.5%、Mn:0.50%未満、Si:0.15~0.40%、Zr:0.06~0.20%、Ti:0.05%未満を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなり、断面において、金属間化合物の粒径が円相当径で20μm以下であり、粒径が円相当径で0.3~20μmの金属間化合物の密度が5×10個/mm以上であり、かつ、亜結晶粒の平均粒径が円相当径で20μm以下であることを特徴とするアルミニウム合金押出材、が提案されている。
上記特許文献1のアルミニウム合金押出材においては、例えば200℃以上の高温域における強度及び耐クリープ性を向上させることができ、強度については、押出方向(L方向)の強度だけでなく、押出方向に直交する方向(LT方向)の強度も向上させることができる。また、耐クリープ性については、特にLT方向の耐クリープ性を向上させることができ、高温環境下で使用される自動車等の内燃機関や過給機等の部品等に適用することができる、としている。
また、特許文献2(特許第5561846号公報)においては、押出加工および冷間加工により得られるCu:1.0~3.0%(質量%、以下同じ)、Mg:0.4~1.8%、Si:0.2~1.6%を含み、残部Alおよび不純物よりなる組成を有するAl-Cu-Mg-Si系アルミニウム合金材であって、マトリックスの結晶粒内に、棒状の析出物が<100>方向に配列し、該析出物の長さの平均値が10~70nm、長さの最大値が120nm以下であり、かつ、(001)面からの観察視野にて測定した[001]方向の析出物の数密度が500個/μm以上であり、マトリックスが再結晶による等軸な結晶粒より成る組織で、結晶粒の押出方向の平均粒径をL、厚さ方向の平均粒径をSTとしたときの平均アスペクト比(L/ST)が1.5~4.0であり、引張強度が450MPa以上、耐力が400MPa以上、伸び7%以上であることを特徴とする高強度アルミニウム合金材、が提案されている。
上記特許文献2に記載の高強度アルミニウム合金材においては、押出加工性に優れ、ポートホール押出法による中空押出材の作製が可能で、且つ高強度をそなえた熱処理型Al-Cu-Mg-Si系の高強度アルミニウム合金冷間加工材であり、特に、パイプ形状の冷間加工管材は、オートバイ用構造材などの輸送機器部材として好適に使用することができる、としている。
特開2017-43802号公報 特許第5561846号公報
上記特許文献1のアルミニウム合金押出材では、組成、金属間化合物の粒径及び亜結晶粒の平均粒径によって、高温域における強度及び耐クリープ性を向上させている。また、上記特許文献2の高強度アルミニウム合金材では、組成や析出物の形状及びサイズ等によって室温における引張特性が改善されている。しかしながら、室温近傍と高温域での機械的性質を共に高いレベルで両立することについては詳細には検討されておらず、回転速度の高速化に伴う印加応力の増大や作動温度の増加に十分に対応することができない。
以上のような従来技術における問題点に鑑み、本発明の目的は、室温から作動温度(高温域)で高い強度及び耐力を有すると共に、高いクリープ強度を有するアルミニウム合金製のインペラ用押出材及びその効率的な製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく、アルミニウム合金押出材の組成とその製造方法について鋭意研究を重ねた結果、特定の組成を有するアルミニウム合金に対して押出条件及び押出前後の処理条件を最適化すること等が極めて有効であることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は、
Cu:5.0~7.0質量%、
Mg:0.12~0.34質量%、
Mn:0.15~0.45質量%、
Fe:0.05~0.35質量%、
Si:0.05~0.20質量%、
Zr:0.08~0.20質量%、
V:0.05~0.15質量%、
Ti:0.01~0.10質量%、を含有し、
残部がAl及び不可避不純物からなるアルミニウム合金からなり、
Cu含有量とMg含有量の比(Cu/Mg)が20~60であり、
Zr含有量、V含有量及びTi含有量の合計が0.15~0.40質量%であること、
を特徴とするアルミニウム合金製のインペラ用押出材、を提供する。
本発明のインペラ用押出材においては、Cu及びMgの添加に起因する固溶強化及び析出強化(θ’相の析出)により、アルミニウム合金の常温及び高温における引張特性及びクリープ特性と高温耐力が改善されている。
また、Cu含有量とMg含有量の比(Cu/Mg)を20以上とすることで、AlCu系析出物の高温域での成長を抑制し、高温域で高い強度を得ることができ、60以下とすることで、室温~200℃域でも高い強度を得ることができる。
また、インペラ用押出材がこれらの組成を有することで、Cu、Mg以外の添加に起因する固溶強化、析出強化及び晶出物による強化等によっても、アルミニウム合金の常温及び高温における引張特性及びクリープ特性や高温耐力等が改善されている。
また、Zr、V及びTiの含有量の合計を0.15質量%以上とすることで、アルミニウム合金の耐熱性を効果的に向上させることができる。0.40質量%を超えて添加しても顕著な効果の向上は望めず、範囲を超えた添加で粗大な金属間化合物を生じると靭性を低下させることがある。
また、本発明のアルミニウム合金製のインペラ用押出材においては、押出方向(L方向)に平行な断面(L面)において、前記L方向の母材の平均粒径が80~500μmであり、前記L方向に直交する方向(LT方向)の母材の平均粒径が30~100μmであること、が好ましい。なお、測定場所によるばらつきを排除するため、母材の平均粒径は最低でも1mm×1mm以上の領域に対する組織観察等によって評価することが好ましい。
アルミニウム合金製押出材においては、L方向に母材結晶粒が伸長し、L方向の母材の平均粒径が大きくなる。ここで、L方向の母材の平均粒径を80μm以上、LT方向の母材の平均粒径を30μm以上と大きくすることで、高温環境下での粒界すべりが低減され、耐クリープ特性を向上させることができる。一方で、L方向の母材の平均粒径を500μm以下、LT方向の母材の平均粒径を100μm以下とすることで、室温近傍でインペラに要求される引張強度及び耐力を維持することができる。
高温域で使用されるインペラでは高温強度だけでなくクリープ強さも求められるところ、母材結晶粒径をこれらのサイズに制御することで、羽根部相当部位の高温強度とクリープ強さを担保することができ、高速回転するインペラを製造するための押出材として好適に用いることができる。なお、羽根部相当部位とは、切削加工等によって最終的にインペラの羽根部となる部位を意味し、押出材の中心軸近傍以外の領域が該当し得る。羽根部相当部位はインペラの種類にも依存するが、例えば、インペラ用押出材の製品加工時に除去される最外周部を除く部位であり、押出棒面積の80%程度までの領域が該当する。
また、本発明のインペラ用押出材においては、前記L方向の引張特性において、室温での引張強さが420MPa以上、0.2%耐力が370MPa以上であり、200℃で100時間暴露後の200℃での引張強さが300MPa以上、0.2%耐力が250MPa以上であること、が好ましい。室温及び200℃でこれらの引張特性を有することで、室温から比較的低温域におけるインペラの強度及び信頼性を十分に担保することができる。
また、本発明のインペラ用押出材においては、前記L方向の引張特性において、250℃で100時間暴露後の250℃での引張強さが180MPa以上、0.2%耐力が160MPa以上であり、300℃で100時間暴露後の300℃での引張強さが100MPa以上、0.2%耐力が80MPa以上であること、が好ましい。各温度でこれらの引張特性を有することで、作動温度が顕著に高くなるインペラ用のアルミニウム合金製押出材としても好適に使用することができる。
また、本発明のインペラ用押出材においては、以下の関係式(1)を用いて導出されるラーソンミラーパラメータ(LMP)との関係図における、指数曲線回帰式の傾きが-0.000475以上となること、が好ましい。
LMP=T×(C+log(t)) (1)
ここで、Tは高温引張試験の保持温度、Cの材料定数は20とし、tは前記保持温度での保持時間である。
高温引張試験によって得られる引張強さとLMPとの関係との関係図における、指数曲線回帰式の傾きを-0.000475以上とすることで、温度上昇に伴うインペラ用押出材の強度低下が抑制され、インペラ用押出材に作動温度(高温域)での高い強度及び耐力を付与することができる。
また、高温引張試験によって得られる引張強さとLMPとの関係との関係図における切片は、10000以上とすることが好ましい。当該切片を10000以上とすることで室温近傍での強度を担保することができる。即ち、インペラ用押出材に室温での高い強度及び耐力を付与することができる。
また、本発明は、
アルミニウム合金のビレットを押出加工してインペラ用押出材を製造する方法であって、
前記アルミニウム合金は、
Cu:5.0~7.0質量%、
Mg:0.12~0.34質量%、
Mn:0.15~0.45質量%、
Fe:0.05~0.35質量%、
Si:0.05~0.20質量%、
Zr:0.08~0.20質量%、
V:0.05~0.15質量%、
Ti:0.01~0.10質量%、を含有し、
残部がAl及び不可避不純物からなり、
Cu含有量とMg含有量の比(Cu/Mg)が20~60であり、
Zr含有量、V含有量及びTi含有量の合計が0.15~0.40質量%であり、
前記押出加工の押出比を8以上、製品押出速度を3~8m/min、押出温度を300~500℃とすること、
を特徴とするインペラ用押出材の製造方法、も提供する。
これらの組成を有するアルミニウム合金を当該条件範囲で押出することで、羽根部相当部位のL断面において、L方向の母材平均粒径が80~500μm、LT方向の母材平均粒径が30~100μmとなる組織を得ることができる。
また、本発明のインペラ用押出材の製造方法においては、前記押出加工を施した前記ビレットに溶体化処理を施した後、80℃以下の水温で冷却し、前記冷却の後、48時間以内に1~3%の引張整直を施した後に、時効処理を施すこと、が好ましい。
溶体化処理後の急冷で固溶元素の固溶度を高め、48時間以内に1~3%の引張整直を施すことで転位を導入した後に時効処理を施すことで、当該時効処理による高強度化を最大限に発現することができる。その結果、インペラに要求される機械的性質を有するアルミニウム合金の押出材を得ることができる。
ここで、引張整直を48時間以内に施すことは、引張整直の作業性、作業コスト及び用いる装置の観点からも極めて重要である。具体的には、引張整直工程においてアルミニウム合金押出材に印加する引張応力が300MPa以上となる場合、従来一般的な装置では引張力や装置剛性が不足し、十分に制御された引張整直を効率的に行うことができない。また、アルミニウム合金押出材の径が大きくなると、引張整直を施すことができない。特に、Cu、Mg及びその他の添加に起因する固溶強化、析出強化及び晶出物による強化等により、高い引張強度を有するアルミニウム合金では深刻な問題となる。
これに対し、溶体化処理後の急冷から48時間以内に引張整直を施すことで、アルミニウム合金の強度が比較的低い状態で引張整直を施すことができ、Cu、Mg及びその他の元素が添加されたアルミニウム合金であっても、300MPa未満の引張応力で引張整直を施すことができる。即ち、一般的な装置を用いた効率的な引張整直作業が可能となる。
更に、本発明のインペラ用押出材においては、前記溶体化処理の温度を500~545℃とし、前記時効処理の時効処理温度を170~210℃、時効処理時間を4~20時間とすること、が好ましい。
溶体化処理の温度を500℃以上とすることで、Cu及びMg等の析出強化に寄与する固溶元素をアルミニウム中に十分に固溶させることができる。また、545℃以下とすることで、局部的な融解による押出材の強度及び延性の低下を抑制することができる。
また、時効熱処理の温度を170℃以上とすることで、析出強化を効率的に発現させることができ、210℃以下とすることで、析出物の粗大化等による強度、耐力及び耐疲労特性の低下を抑制することができる。更に、時効処理時間を4時間以上とすることで、析出物を十分に生成させることができ、20時間以下とすることで、析出物の粗大化等による強度、耐力及び耐疲労特性の低下を抑制することができる。
本発明によれば、室温から作動温度(高温域)で高い強度及び耐力を有すると共に、高いクリープ強度を有するアルミニウム合金製のインペラ用押出材及びその効率的な製造方法を提供することができる。
代表的なインペラを概略的に示す斜視図である。 代表的なインペラを概略的に示す断面図である。 本発明のインペラ用押出材のL断面における組織の模式図である。 引張強さとLMPとの関係を示す線図である。 引張強さとLMPとの関係を示す線図の傾きと切片に及ぼすマグネシウム含有量の影響を示すグラフである。 実施例1で得られたアルミニウム合金製インペラ用押出材の中央部におけるL断面の組織写真である。 実施例1で得られたアルミニウム合金製インペラ用押出材の1/2r部におけるL断面の組織写真である。
以下、図面を参照しながら本発明のアルミニウム合金製のインペラ用押出材及びその製造方法についての代表的な実施形態について詳細に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。なお、以下の説明では、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する場合がある。また、図面は、本発明を概念的に説明するためのものであるから、表された各構成要素の寸法やそれらの比は実際のものとは異なる場合もある。
1.アルミニウム合金製インペラ用押出材
(1)組成
本発明のインペラ用押出材は、Cu:5.0~7.0質量%、Mg:0.12~0.34質量%、Mn:0.15~0.45質量%、Fe:0.05~0.35質量%、Si:0.05~0.20質量%、Zr:0.08~0.20質量%、V:0.05~0.15質量%、Ti:0.01~0.10質量%、を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなるアルミニウム合金からなっている。以下、各成分について詳細に説明する。
Cu:5.0~7.0質量%
CuはAl-Cu系析出物を形成し、機械的強度及び疲労強度を高める作用を有する。また、CuとMgの両者を添加し、熱処理することでAlCu系化合物を形成させ、強度を高めることができる。Cu添加量が5.0質量%未満では析出物量が不足し、目標強度が得られない。また、7.0質量%を超えて添加すると、鋳造時に形成されたAlCuや晶出物が溶体化処理時に固溶せず溶け残り、(疲労強度や)靭性が低下してしまう。
Mg:0.12~0.34質量%
MgはCuとともに添加することでAlCu系化合物を形成し、強度に寄与する。0.12質量%未満ではインペラに要求される十分な強度が得られない。また、0.34質量%を超えて添加するとAlCu系化合物の高温での析出が促進され、強度が低下する。また、Al、AlCu、AlCuMgの3元共晶により、溶体化温度が高められず、高強度が得られない。本発明のインペラ用押出材において、高温域での強度の担保に最も重要なのはMg含有量であり、Mgの含有量を0.12~0.34質量%と厳密に制御することで、当該目的を達成することができる。
Mn:0.15~0.45質量%
Mnは鋳造組織を微細化して鋳造割れを防止すると共に、押出加工で得られる加工組織を微細化し、機械的強度を向上させる作用を有する。当該作用は0.15質量%以上の添加で顕著になるが、0.45質量%以上を添加すると溶体化後の焼入れ感受性を高めるので、高強度が得られ難い。ここで、より好ましいMnの含有量は0.15~0.34質量%である。
Fe:0.05~0.35質量%
Al-Cu-Fe系化合物の晶出によって、Cuの析出強化が低下するので、0.35%以下の添加とする。また、0.05%以上とすることで、晶出物を形成して分散するため、鋳造時の結晶の粗大化を抑制できる。
Si:Si:0.05~0.20質量%
Siの添加によりMgSiが晶出するため、0.20%を超えて添加するとMgが消費され、AlCuの析出強化が低下する。0.05未満では純度の高いAlインゴットを使用する必要があり、コストアップが高まるので経済的でない。
Zr:0.08~0.20質量%
Zrは化合物のピン止め効果により組織を安定化し、アルミニウム合金の耐熱性を向上させる効果がある。0.08質量%以上の添加により当該効果を十分に発現させることができ、0.20質量%以下とすることで化合物の粗大化に伴う延性の低下を抑制することができる。
V:0.05~0.15質量%
Vのその多くはアルミニウム合金中に固溶し、AlCu系析出物の高温での成長を抑制し、耐熱性を高める効果がある。0.05質量%以上の添加により当該効果を十分に発現させることができ、0.15質量%を超えて添加しても更なる効果の向上は望めない。
Ti:0.01~0.10質量%
Tiもアルミニウム合金中に固溶し、AlCu系析出物の高温での成長を抑制し、耐熱性を高める効果がある。また、Bとの複合添加でAl-TiやTi-B系の化合物を形成し、鋳造組織を微細化し、鋳造割れを防止すると共に、添加元素の均質化を促進させる。これらの効果は0.01質量%未満では不十分であり、0.10質量%を超えて添加しても更なる効果が飽和するだけでなく、Al‐Ti系の粗大な晶出物を形成し、靭性を低下させる。
Cu含有量とMg含有量の比(Cu/Mg)を20以上とすることで、AlCu系析出物の高温域での成長を抑制し、高温域で高い強度を得ることができ、60以下とすることで、室温~200℃域でも高い強度を得ることができる。
ここで、Zr、V及びTiの各含有量の合計は0.15~0.40質量%とすることが好ましい。Zr、V及びTiの含有量の合計を0.15質量%以上とすることで、アルミニウム合金の耐熱性を効果的に向上させることができ、0.40質量%を超えて添加しても顕著な効果の向上は望めず、範囲を超えた添加で粗大な金属間化合物が生じると靭性を低下させることがある。
(2)組織
代表的なインペラを概略的に示す斜視図及び断面図を図1及び図2にそれぞれ示す。インペラ1は、インペラ1をローターと連結するためのシャフトを挿入するためのシャフト穴2を有し、略円錐状の回転軸部4の外周に、放射状にかつ渦巻の一部をなすように傾斜した複数の羽根部6を一体に形成した構造を有している。
インペラ1の形状は、アルミニウム合金製のインペラ用押出材を押出方向とインペラ1の軸方向が平行になるように切削加工することで得ることができる。この場合、インペラ1の結晶粒径及びその分布は、基本的にインペラ用押出材の状態を引き継ぐことになる。
本発明のインペラ用押出材10のL断面における組織の模式図を図3に示す。インペラ用押出材10は、押出加工時の変形により、L方向に伸長した母材結晶粒12を有しており、基本的にはL方向の静的強度及び疲労強度がLT方向よりも高い。
インペラ用押出材10においては、L断面におけるL方向の母材平均粒径が80~500μm、LT方向の母材平均粒径が30~100μmとなることが好ましい。その結果、インペラ用押出材10は高温域での引張特性及びクリープ強さに優れ、インペラ1に要求される機械的性質を実現することが容易となる。更に、切削加工後に羽根部6となるインペラ用押出材10の外周部においても同組織を形成していることが好ましい。
また、インペラ用押出材10はインペラ1に全体として要求される機械的性質を有しており、L方向の引張特性において、室温での引張強さが420MPa以上、0.2%耐力が370MPa以上であり、200℃で100時間暴露後の200℃での引張強さが300MPa以上、0.2%耐力が250MPa以上であること、が好ましい。室温及び200℃でこれらの引張特性を有することで、室温から比較的低温域におけるインペラの強度及び信頼性を十分に担保することができる。
また、インペラ用押出材10においては、L方向の引張特性において、250℃で100時間暴露後の250℃での引張強さが180MPa以上、0.2%耐力が160MPa以上であり、300℃で100時間暴露後の300℃での引張強さが100MPa以上、0.2%耐力が80MPa以上であること、が好ましい。各温度でこれらの引張特性を有することで、作動温度が顕著に高くなるインペラ用のアルミニウム合金製押出材としても好適に使用することができる。
母材結晶粒12の平均粒径を求める方法は特に限定されず、従来公知の種々の方法で測定すればよい。例えば、インペラ用押出材10をL断面で切断し、得られた断面試料を光学顕微鏡又は走査型電子顕微鏡で観察し、母材結晶粒12の粒径の平均値を算出することで求めることができる。その際、例えば、L方向の結晶粒径及びLT方向の結晶粒径は、交線法により測定することができる。その他、走査型電子顕微鏡に付属している後方散乱電子回折測定装置(SEM-EBSD)により測定してもよい。なお、観察手法に応じて、断面試料には機械研磨、バフ研磨、電解研磨及びエッチング等を施せばよい。
また、インペラ用押出材10はCu及びMgを含有しており、Cu及びMgの添加に起因する固溶強化及び析出強化(θ’相の析出)により、アルミニウム合金の高温における引張特性及びクリープ特性と高温耐力も改善されている。
(3)高温強度(高温安定性)
インペラ用押出材10は、上記組成を有することで、インペラの作動温度において高い高温強度を有している。
具体的には、金属材の高温強度を予測するために一般的に用いられている高温強度-LMP線図(縦軸:引張強さ,横軸:LMP)における、指数曲線回帰式の傾きが-0.000475以上、切片が10000以上となっていることが好ましい。ここで、傾き及び切片は、所定の温度(例えば、200℃,250℃,300℃)で100時間保持後のアルミニウム合金の引張強さを測定し、引張強度とLMPの関係について回帰分析することで求めることができる。
インペラ用押出材10は、200℃に100時間保持した状態におけるL方向の引張強さが300MPa以上、0.2%耐力が250MPa以上であり、250℃に100時間保持した状態におけるL方向の引張強さが180MPa以上、0.2%耐力が160MPa以上であり、300℃に100時間保持した状態におけるL方向の引張強さが100MPa以上、0.2%耐力が80MPa以上であること、が好ましい。200~300℃でこれらの引張特性を有することで、作動温度が比較的高くなるインペラ用のアルミニウム合金として十分に使用することができる。
2.アルミニウム合金製インペラ用押出材の製造方法
本発明のインペラ用押出材の製造方法は、インペラ用押出材10の効果的かつ効率的な製造方法を提供するものであり、押出加工を施したビレットに溶体化処理を施した後、80℃以下の水温で冷却し、当該冷却の後、48時間以内に1~3%の引張整直を施した後に、時効処理を施すものである。以下、当該製造方法の一態様について詳細に説明する。
本発明のインペラ用押出材の製造方法は、アルミニウム合金のビレットを押出加工してインペラ用押出材を製造する方法であって、Cu:5.0~7.0質量%、Mg:0.12~0.34質量%、Mn:0.15~0.45質量%、Fe:0.05~0.35質量%、Si:0.05~0.20質量%、Zr:0.08~0.20質量%、V:0.05~0.15質量%、Ti:0.01~0.10質量%、を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなるアルミニウム合金が用いられる。ここで、Cu含有量とMg含有量の比(Cu/Mg)は20~60とし、Zr含有量、V含有量及びTi含有量の合計は0.15~0.40質量%とする。なお、各成分の役割は上述の通りである。
まず、上記組成を有するアルミニウム合金を常法により溶解し、造塊されたアルミニウム合金の鋳塊(ビレット:押出用に調整された鋳塊)を500~545℃で均質化処理する。均質化処理の温度が500℃未満の場合には、組織の均質化が不十分となり、545℃を超える場合には、元素が偏析している部分で共晶融解が生じる。
次いで、得られたビレットに対して、押出加工を施す。なお、押出加工で形成される組織は押出温度及び押出速度に影響されるので、当該押出加工の条件は、押出比を8以上、製品押出速度を3~8m/min、押出温度を300~500℃とすることが好ましい。
本発明のインペラ用押出材の製造方法で用いる押出条件範囲は、最終的に得られる押出材の母材結晶粒12の組織制御を目的として最適化されたものである。
次いで、得られた押出材に対して溶体化処理を施した後に急冷し、48時間以内に1~3%の引張整直を施した後に時効処理を施す。本発明のインペラ用押出材の製造方法においては、溶体化処理後の急冷で固溶元素の固溶度を高め、48時間以内に1~3%の引張整直を施すことで転位を導入した後に時効処理を施すことで、当該時効処理による高強度化を最大限に発現することができる。その結果、インペラに要求される機械的性質を有するアルミニウム合金の押出材を得ることができる。
引張整直を48時間以内に施すことは、引張整直の作業性、作業コスト及び用いる装置の観点からも極めて重要である。具体的には、引張整直工程においてアルミニウム合金押出材に印加する引張応力が300MPa以上となる場合、従来一般的な装置では引張力や装置剛性が不足し、十分に制御された引張整直を効率的に行うことができない。また、アルミニウム合金押出材の径が大きくなると、引張整直を施すことができない。特に、Cu、Mg及びその他の添加に起因する固溶強、析出強化及び晶出物による強化等により、高い引張強度を有するアルミニウム合金では深刻な問題となる。
これに対し、溶体化処理後の急冷から48時間以内に引張整直を施すことで、アルミニウム合金の強度が比較的低い状態で引張整直を施すことができ、Cu、Mg及びその他の元素を添加したアルミニウム合金であっても、300MPa未満の引張応力で引張整直を施すことができる。即ち、一般的な装置を用いた効率的な引張整直作業が可能となる。
溶体化処理の温度は500~545℃とすることが好ましい。溶体化処理の温度を500℃以上とすることで、Cu及びMg等の析出強化に寄与する固溶元素をアルミニウム中に十分に固溶させることができる。また、545℃以下とすることで、局部的な融解による押出材の強度及び延性の低下を抑制することができる。
また、時効処理の時効処理温度は170~210℃、時効処理時間は4~20時間とすることが好ましい。時効熱処理の温度を170℃以上とすることで、析出強化を効率的に発現させることができ、210℃以下とすることで、析出物の粗大化等による強度、耐力及び耐疲労特性の低下を抑制することができる。また、時効処理時間を4時間以上とすることで、析出物を十分に生成させることができ、20時間以下とすることで、析出物の粗大化等による強度、耐力及び耐疲労特性の低下を抑制することができる。
以上、本発明の代表的な実施形態について説明したが、本発明はこれらのみに限定されるものではなく、種々の設計変更が可能であり、それら設計変更は全て本発明の技術的範囲に含まれる。
≪実施例1≫
表1に記載の成分で、残部がAlと不可避不純分からなるアルミニウム合金のビレットに対して、ビレット温度360℃、押出速度6m/min、ビレット径254mm、押出径36mmの条件で押出加工を施した。なお、表1の成分は質量%で示している。また、押出加工後の試料に対して溶体化処理(530℃,2h)を施した後に水冷し、2%の引張整直及び時効処理(180℃,10h)を施してアルミニウム合金製インペラ用押出材を得た。
Figure 0007259262000001
得られたアルミニウム合金製インペラ用押出材から取得した試験片に関して室温、200℃、250℃及び300℃にて引張試験を行い、0.2%耐力、引張強度、及び伸びを測定した。引張試験片はJIS14号A試験片を用い、平行部が押出方向と平行になるようにした。引張速度はJIS2241に準拠した。なお、200℃、250℃及び300℃の場合、引張試験片を各温度に100時間保持した後に引張応力を印加した。得られた各値を表2に示す。
Figure 0007259262000002
表2に示す各値を用い、ラーソンミラーパラメータ(LMP)を算出した。ここで、LMPはLMP=T×(C+log(t))の関係式を用い、Tは高温引張試験の保持温度、Cはアルミニウム合金の材料定数、tは前記保持温度での保持時間である。なお、Cには20を用いた。得られた各値を表3に示す。
Figure 0007259262000003
表3に示す各値を用い、縦軸を引張強さ、横軸をLMPとした線図(以後、高温強度線図と称する。)を図4に示す。また、図4の各線の回帰分析によって得られた傾き及び切片の値を表4に示す。
Figure 0007259262000004
高温強度線図における傾きは、アルミニウム合金製インペラ用押出材の耐熱性・高温安定性を示し、傾きが小さい程、高温環境下での強度低下が小さいことを意味している。なお、図4においては傾きが負の値となっていることから、数値が大きい程に傾きが小さくなる。一方で、高温強度線図における切片は、アルミニウム合金製インペラ用押出材の室温近傍での強度を示し、数値が大きい程に強度が高くなる。即ち、室温から高温において安定した強度が要求されるアルミニウム合金製インペラ用押出材においては、図4における傾き及び切片の値が共に大きくなることが好ましい。
≪実施例2≫
表1に記載の成分で、残部がAlと不可避不純分からなるアルミニウム合金のビレットに対して、溶体化処理の温度を530℃としたこと以外は実施例1と同様にしてアルミニウム合金製インペラ用押出材を得た。
また、実施例1と同様にして各温度における引張特性を評価し、得られた結果を基にLMPを求めた。得られた引張特性を表2に、LMP等の値を表3に、それぞれ示す。また、高温強度線図を図4に、回帰分析によって得られた傾き及び切片の値を表4に、それぞれ示す。
≪比較例1≫
表1に記載の成分で、残部がAlと不可避不純分からなるアルミニウム合金のビレットに対して、溶体化処理の温度を525℃としたこと以外は実施例1と同様にしてアルミニウム合金製インペラ用押出材を得た。
また、実施例1と同様にして各温度における引張特性を評価し、得られた結果を基にLMPを求めた。得られた引張特性を表2に、LMP等の値を表3に、それぞれ示す。また、高温強度線図を図4に、回帰分析によって得られた傾き及び切片の値を表4に、それぞれ示す。
≪比較例2≫
表1に記載の成分で、残部がAlと不可避不純分からなるアルミニウム合金のビレットに対して、実施例1と同様にしてアルミニウム合金製インペラ用押出材を得た。
また、実施例1と同様にして各温度における引張特性を評価し、得られた結果を基にLMPを求めた。得られた引張特性を表2に、LMP等の値を表3に、それぞれ示す。また、高温強度線図を図4に、回帰分析によって得られた傾き及び切片の値を表4に、それぞれ示す。
≪比較例3≫
表1に記載の成分で、残部がAlと不可避不純分からなるアルミニウム合金のビレットに対して、実施例1と同様にしてアルミニウム合金製インペラ用押出材を得た。
また、実施例1と同様にして各温度における引張特性を評価し、得られた結果を基にLMPを求めた。得られた引張特性を表2に、LMP等の値を表3に、それぞれ示す。また、高温強度線図を図4に、回帰分析によって得られた傾き及び切片の値を表4に、それぞれ示す。
≪比較例4≫
表1に記載の成分で、残部がAlと不可避不純分からなるアルミニウム合金のビレットに対して、実施例1と同様にしてアルミニウム合金製インペラ用押出材を得た。
また、実施例1と同様にして各温度における引張特性を評価し、得られた結果を基にLMPを求めた。得られた引張特性を表2に、LMP等の値を表3に、それぞれ示す。また、高温強度線図を図4に、回帰分析によって得られた傾き及び切片の値を表4に、それぞれ示す。
表4に示す傾き及び切片とアルミニウム合金中のマグネシウム含有量との関係を図5に示す。傾き及び切片はマグネシウム含有量に影響されており、基本的に、傾きはマグネシウム含有量の増加に伴い小さくなり、切片はマグネシウム含有量の増加に伴い大きくなる。
ここで、アルミニウム合金製インペラ用押出材が保持される温度及び印加される応力を鑑みると、当該アルミニウム合金製インペラ用押出材に要求される傾き(高温安定性)は-0.000475以上、切片(室温近傍での強度)は10000以上となるところ、これらを共に満たすマグネシウム含有量は0.12~0.34質量%であることが分かる。なお、これらの下限値及び上限値は図5中の点線と基準線の交点として求められ、下限値は切片に関する条件から0.12、上限値は傾きに関する条件から0.34となる。
また、図5から、Zr、V及びTiの含有量の合計が少ない場合(比較例4)は、アルミニウム合金製インペラ用押出材の高温強度の担保が困難であることが分かる。なお、Mn含有量の増加は切片を増加させる一方で、傾きを減少させる傾向が認められる。
実施例1で得られたアルミニウム合金製インペラ用押出材の中央部及び1/2r部(r:半径)におけるL断面の組織写真を図6及び図7にそれぞれ示す。母材結晶粒は中央部及び1/2r部共に比較的粗大となっており、交線法によってL方向及びLT方向の平均粒径を算出したところ、中央部におけるL方向の平均結晶粒径は310μm、LT方向の平均結晶粒径は40μmであった。また、1/2r部におけるL方向の平均結晶粒径は105μm、LT方向の平均結晶粒径は36μmであった。
実施例1で得られたアルミニウム合金製インペラ用押出材に関して、200℃で220MPaの応力をL方向に印加してクリープ試験を行ったところ、破断時間は152.1時間となり、優れた耐クリープ特性を示した。
これに対し、実施例1で得られたアルミニウム合金製インペラ用押出材と同じ組成を有するアルミニウム合金材に塑性加工を加え、より微細な組織を有するクリープ試験用比較材を得た。棒状である当該クリープ試験用比較材の母材結晶粒径を測定したところ、中央部におけるL方向の平均結晶粒径は79μm、LT方向の平均結晶粒径は41μmであった。また、1/2r部におけるL方向の平均結晶粒径は73μm、LT方向の平均結晶粒径は37μmであった
クリープ試験用比較材に関して、200℃で220MPaの応力をL方向に印加してクリープ試験を行ったところ、破断時間は71.5時間となり、実施例1で得られたアルミニウム合金製インペラ用押出材の半分以下の時間で破断した。当該結果より、母材結晶粒径を比較的粗大に制御することが、クリープ強度の向上に有利であることが確認された。
1・・・インペラ、
2・・・シャフト穴、
4・・・回転軸部、
6・・・羽根部、
10・・・本発明のインペラ用押出材、
12・・・母材結晶粒。

Claims (9)

  1. Cu:5.0~7.0質量%、
    Mg:0.12~0.34質量%、
    Mn:0.15~0.45質量%、
    Fe:0.05~0.35質量%、
    Si:0.05~0.20質量%、
    Zr:0.08~0.20質量%、
    V:0.05~0.15質量%、
    Ti:0.01~0.10質量%、を含有し、
    残部がAl及び不可避不純物からなるアルミニウム合金からなり、
    Cu含有量とMg含有量の比(Cu/Mg)が20~50であり、
    Zr含有量、V含有量及びTi含有量の合計が0.15~0.40質量%であり、
    以下の関係式(1)を用いて導出されるラーソンミラーパラメータ(LMP)と、前記ラーソンミラーパラメータ(LMP)に対応するアルミニウム合金材の高温引張試験で得られた引張強度(MPa)との関係図において、前記高温引張試験の保持時間を100h、保持温度を473~573Kの温度範囲とした場合に、以下の関係式(2)を用いた回帰分析によって得られる指数曲線回帰式の傾き(b)が-0.000475以上、切片(a)が10000以上となること、
    を特徴とするアルミニウム合金製のインペラ用押出材。
    LMP=T×(C+log(t)) (1)
    ここで、Tは高温引張試験の保持温度(K)、Cの材料定数は20とし、tは前記保持温度での保持時間(h)である。
    y=a・e (bx) (2)
    ここで、yは前記引張強度(MPa)、xは前記ラーソンミラーパラメータ(LMP)、eはネイピア数である。
  2. Cu:5.0~7.0質量%、
    Mg:0.2質量%、
    Mn:0.15~0.45質量%、
    Fe:0.05~0.35質量%、
    Si:0.05~0.20質量%、
    Zr:0.08~0.20質量%、
    V:0.05~0.15質量%、
    Ti:0.01~0.10質量%、を含有し、
    残部がAl及び不可避不純物からなるアルミニウム合金からなり、
    Cu含有量とMg含有量の比(Cu/Mg)が20~50であり、
    Zr含有量、V含有量及びTi含有量の合計が0.15~0.40質量%であること、
    を特徴とするアルミニウム合金製のインペラ用押出材。
  3. 押出方向(L方向)に平行な断面(L断面)において、前記L方向の母材の平均粒径が80~500μmであり、前記L方向に直交する方向(LT方向)の母材の平均粒径が30~100μmであること、
    を特徴とする請求項1又は2に記載のアルミニウム合金製のインペラ用押出材。
  4. 前記L方向の引張特性において、
    室温での引張強さが420MPa以上、0.2%耐力が370MPa以上であり、
    200℃で100時間暴露後の200℃での引張強さが300MPa以上、0.2%耐力が250MPa以上であること、
    を特徴とする請求項1~3のうちのいずれかに記載のアルミニウム合金製のインペラ用押出材。
  5. 前記L方向の引張特性において、
    250℃で100時間暴露後の250℃での引張強さが180MPa以上、0.2%耐力が160MPa以上であり、
    300℃で100時間暴露後の300℃での引張強さが100MPa以上、0.2%耐力が80MPa以上であること、
    を特徴とする請求項1~4のうちのいずれかに記載のアルミニウム合金製のインペラ用押出材。
  6. アルミニウム合金のビレットを押出加工してインペラ用押出材を製造する方法であって、
    前記アルミニウム合金は、
    Cu:5.0~7.0質量%、
    Mg:0.12~0.34質量%、
    Mn:0.15~0.45質量%、
    Fe:0.05~0.35質量%、
    Si:0.05~0.20質量%、
    Zr:0.08~0.20質量%、
    V:0.05~0.15質量%、
    Ti:0.01~0.10質量%、を含有し、
    残部がAl及び不可避不純物からなり、
    Cu含有量とMg含有量の比(Cu/Mg)が20~50であり、
    Zr含有量、V含有量及びTi含有量の合計が0.15~0.40質量%であり、
    前記押出加工の押出比を8以上、製品押出速度を3~8m/min、押出温度を300~500℃とし、
    以下の関係式(1)を用いて導出されるラーソンミラーパラメータ(LMP)と、前記ラーソンミラーパラメータ(LMP)に対応するアルミニウム合金材の高温引張試験で得られた引張強度(MPa)との関係図において、前記高温引張試験の保持時間を100h、保持温度を473~573Kの温度範囲とした場合に、以下の関係式(2)を用いた回帰分析によって得られる指数曲線回帰式の傾き(b)が-0.000475以上、切片(a)が10000以上となること、
    を特徴とするインペラ用押出材の製造方法。
    LMP=T×(C+log(t)) (1)
    ここで、Tは高温引張試験の保持温度(K)、Cの材料定数は20とし、tは前記保持温度での保持時間(h)である。
    y=a・e (bx) (2)
    ここで、yは前記引張強度(MPa)、xは前記ラーソンミラーパラメータ(LMP)、eはネイピア数である。
  7. アルミニウム合金のビレットを押出加工してインペラ用押出材を製造する方法であって、
    前記アルミニウム合金は、
    Cu:5.0~7.0質量%、
    Mg:0.2質量%、
    Mn:0.15~0.45質量%、
    Fe:0.05~0.35質量%、
    Si:0.05~0.20質量%、
    Zr:0.08~0.20質量%、
    V:0.05~0.15質量%、
    Ti:0.01~0.10質量%、を含有し、
    残部がAl及び不可避不純物からなり、
    Cu含有量とMg含有量の比(Cu/Mg)が20~50であり、
    Zr含有量、V含有量及びTi含有量の合計が0.15~0.40質量%であり、
    前記押出加工の押出比を8以上、製品押出速度を3~8m/min、押出温度を300~500℃とすること、
    を特徴とするインペラ用押出材の製造方法。
  8. 前記押出加工を施した前記ビレットに溶体化処理を施した後、80℃以下の水温で冷却し、
    前記冷却の後、48時間以内に1~3%の引張整直を施した後に、時効処理を施すこと、
    を特徴とする請求項6又は7に記載のインペラ用押出材の製造方法。
  9. 前記溶体化処理の温度を500~545℃とし、
    前記時効処理の時効処理温度を170~210℃、時効処理時間を4~20時間とすること、
    を特徴とする請求項6~8のうちのいずれかに記載のインペラ用押出材の製造方法。
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