本発明の一態様は、
a)不連続油相、
b)水を含む連続水相、
c)増粘剤、
d)1種以上のグリセリンのモノ脂肪酸エステル及び/もしくは1種以上のグリコールのモノ脂肪酸エステル、又はそれらの混合物、並びに
e)(i)リン脂質、ii)脂肪アルコール及び(ii)脂肪酸を含む少なくとも1つのラメラ膜構造
を含む、局所用水中油型エマルジョン組成物であって、
使用時に、グリセリンのモノ脂肪酸エステル及び/又はグリコールのモノ脂肪酸エステルを含有しない組成物よりも小さい、修正WVTR試験方法を使用してインビトロで測定された水蒸気透過率を有する、組成物である。
本発明の一態様は、
a)不連続油相、
b)水を含む連続水相、
c)増粘剤、
d)1種以上のグリセリンのモノ脂肪酸エステル及び/もしくは1種以上のグリコールのモノ脂肪酸エステル、又はそれらの混合物、並びに
e)(i)リン脂質、ii)脂肪アルコール、(iii)脂肪酸及び(iv)脂肪エステルを含む少なくとも1つのラメラ膜構造
を含む、局所用水中油型エマルジョン組成物であって、
使用時に、グリセリンのモノ脂肪酸エステル及び/又はグリコールのモノ脂肪酸エステルを含有しない組成物よりも小さい、修正WVTR試験方法を使用してインビトロで測定された水蒸気透過率を有する、組成物である。
SCの構造は、「レンガ壁(brick wall)」と記載されてきており、ここで、レンガは角質細胞を意味し、レンガ間のしっくいは、脂質に富むマトリックスである。この脂質マトリックスは、主としてセラミド、コレステロール、及び様々な鎖長(C16~C26)の脂肪酸を含む(K.P. Ananthapadmanabhan, et al., International Journal of Cosmetic Science, 35 (2013) 337-345頁参照)。これらの分子は、それら自体を2つのラメラ相、すなわち、長周期相(LPP)及び短周期相(SPP)で組織化する。LPP及びSPPは、X線回折により決定して、それぞれ、厚さでおよそ13nm及び6nmである(J.A. Bouwstra, Open Dermatology Journal, 4 (2010) 10-13)。さらに、ラメラ相に垂直に、SC脂質は、斜方晶、六方晶及び/又は流体充填ラメラ構造で組織化する。
健康な皮膚脂質は、六方晶充填状態で主として組織化され、この意義は、SC脂質のより緊密な充填挙動及びより高いレベルの組織化が、より低い経表皮水分損失(TEWL)及び改善されたバリア特性をもたらすことである(F. Damien, et al., J Invest Dermatol, 130 (2009) 611-614; G.S. Pilgram, et al., J Invest Dermatol, 113 (1999) 403-409; D. Groen, et al., Biochim Biophys Acta, 1808 (2011) 1529-1537参照)。しかしながら、皮膚疾患、例えば、アトピー性皮膚炎及び乾皮症では、六方晶相が、SCにおける、脂肪酸及びセラミドの鎖長の減少によって部分的に動かされて、健康な皮膚よりも高いレベルで存在することが公知である(G.S. Pilgram, et al., J Invest Dermatol, 117 (2001) 710-717; M. Janssens, et al., J Invest Dermatol, 131 (2011) 2136-2138; M. Janssens, et al., J Lipid Res, 53 (2012) 2755-2766;及びA.W. Fulmer, et al., J Invest Dermatol, 86 (1986) 598- 602参照)。
長鎖脂肪酸は、皮膚バリア効率の維持に基本的役割を果たすことが示されている。ベヘン酸である、特定の長鎖脂肪酸は、さらに試験され、種々のベヘノイル脂質が、コンプリトール(Compritol)ATO888から合成及び分画され、脂質バリア保護を補助すると評価されている。
示差走査熱量測定により、単一脂肪酸鎖を有するグリセリドについての比較的高い融点が示された。これは、それらのジ-及びトリ-グリセリド対応物と比較してより良好な分子充填を示唆する。フーリエ変換赤外分光法により、モノ-及びジ-グリセリドについての斜方晶液相の存在とととにより良好な立体配座秩序化が確認された。さらに、ラングミア単層研究により、合成及び分画の両方とものベヘノイルモノグリセリドについての改善された充填特性が実証される一方で、原子間力顕微鏡法画像化により、モノグリセリドについての均質単層の存在も立証された。
最後に、水蒸気透過率(WVTR)研究の結果により、3重量%で処方されたモノグリセリドが、10重量%のペトロラタムのものと同等の閉塞性膜を提示し、3重量%ペトロラタム配合物よりも有意に優れていることがさらに実証された。結果はまた、モノグリセリドのアシル化が側方充填の緊密性を低下させ、WVTRにより測定して閉塞性を減少させ、良好な閉塞性膜を形成するための分子バルクでの水素結合の重要性を示唆することを示す。予想外に、モノ単一脂肪アシル鎖は、そのジ-及びトリ-グリセリド対応物と比較してより良好な水蒸気透過率(WVTR)を与えることが示されている。
主としてグリセロールモノベヘネート(より短いアシル鎖変化物ととものC22およそ88%)を含有する脂質混合物は、対応する純合成化合物1(C22>96%)よりも低いWVTR値を示し、追加の脂質がより良いバリアの形成を助けることを示した。このデータは、ベヘノイルモノグリセリドが皮膚脂質のものと同様の閉塞性斜方晶メソフェーズを形成するという結論を支持する。したがって、ベヘノイルモノグリセリドは、スキン保湿剤中に取り込むことができ、本明細書に記載されるとおりの閉塞性で、高度に構造化された脂質を与えるために使用することができる。
本発明の一実施形態は、それを取り込む配合物の閉塞性を改善するための、1種以上のグリセリンのモノ脂肪酸エステル及び/もしくは1種以上のグリコールのモノ脂肪酸エステル、又はそれらの混合物の使用である。適当には、グリセリンのモノ脂肪酸エステルは、ベヘノイルモノグリセリド、又はベヘノイルモノグリセリドとグリセリンの他のモノ脂肪酸エステル、例えば、本明細書に記載される分画グリセロールモノベヘネート(FGMB)との混合物である。
別の実施形態は、角質層における皮膚表面保湿を改善するための、1種以上のグリセリンのモノ脂肪酸エステル及び/もしくは1種以上のグリコールのモノ脂肪酸エステル、又はそれらの混合物の使用である。
別の実施形態は、角質層の表面テクスチャ特性を改善するための、1種以上のグリセリンのモノ脂肪酸エステル及び/もしくは1種以上のグリコールのモノ脂肪酸エステル、又はそれらの混合物の使用である。
配合物の保湿に湿潤剤としてしばしば使用されるグリセリンは、水を吸収するのを助けるだけでなく、恐らくは脂質が低湿度で液晶相を保持することを可能にすることによってSC脂質充填挙動の調節もすると思われる。次いで、増加したSC水和は、乾燥皮膚のSC落屑の増強及び緩和をもたらす。代わりに、単独又はグリセリンと組み合わせてのペンチレングリコールは、側方充填を補助する役割を同様に果たす。長鎖脂肪酸は、乾燥皮膚のSC脂質から枯渇されることが公知であり、これらの脂質の斜方晶充填の維持に決定的な役割を果たすことが実証されている。優勢にC16及びC18炭素鎖脂肪酸を含有する、セラミド/コレステロール/脂肪酸の混合物は、斜方晶充填を示さない。グリセロールモノベヘネート及び/又は他の長鎖モノグリセリドの使用は、それが、セラミド、コレステロール又はスフィンゴシン分子と連結されていない点で伝統的なスキンケア配合物と異なる。
本発明の別の態様は、増強された閉塞性を有する局所用水中油型エマルジョン組成物中の1種以上のグリセリンのモノ脂肪酸エステル及び/もしくは1種以上のグリコールのモノ脂肪酸エステル、又はそれらの混合物の包含である。
本発明の一態様は、
a)不連続油相、
b)水を含む連続水相、
c)増粘剤、
d)1種以上のグリセリンのモノ脂肪酸エステル及び/もしくは1種以上のグリコールのモノ脂肪酸エステル、又はそれらの混合物、並びに
e)(i)リン脂質、及びii)脂肪アルコールを含む少なくとも1つのラメラ膜構造
を含む、局所用水中油型エマルジョン組成物であって、
使用時に、グリセリンのモノ脂肪酸エステル及び/又はグリコールのモノ脂肪酸エステルを含有しない組成物よりも小さい、修正WVTR試験方法を使用してインビトロで測定された水蒸気透過率を有する、組成物である。
一実施形態において、組成物は、アニオン性界面活性剤及び/又はセラミドを含まない。別の実施形態において、組成物は、慣用界面活性剤を含まないか、又は実質的に含まない。さらに別の実施形態において、組成物は、慣用界面活性剤及び慣用セラミドを含まないか、又は実質的に含まない。
ある実施形態において、組成物ラメラ膜構造は、レシチン、水素化レシチン、ホスファチジルコリン、水素化ホスファチジルコリン、及びそれらの混合物からなる群から適当に選択されるリン脂質を含む。ある実施形態において、リン脂質は、水素化ホスファチジルコリンである。
一実施形態において、リン脂質は、レシチンである。別の実施形態において、リン脂質は、水素化レシチンである。さらに別の実施形態において、リン脂質は、ホスファチジルコリンである。さらなる実施形態において、リン脂質は、水素化ホスファチジルコリンである。
ホスファチジルコリンの適当な源の1つは、ホスホリポン90Hである。ある実施形態において、ホスファチジルコリンは、C16及びC18飽和アシル鎖の混合物として存在する。
本明細書で使用される場合、「ホスファチジルコリン」(PC)は、頭部基としてコリンを取り込むリン脂質のクラスである。精製ホスファチジルコリンは、商業的に製造されている。ホスファチジルコリンは、任意の源、例えば、大豆又は卵からであってもよい。大豆ホスファチジルコリンは、全脂肪酸の70%までのリノール酸の割合によって特徴付けられる。卵ホスファチジルコリンは、28~38%のパルミチン酸、9~18%のステアリン酸、25~37%のオレイン酸、12~17%のリノール酸、約0.5%のリノレン酸及び1~7%のアラキドン酸を含有する。本明細書でのリン脂質はまた、水素化PC、例えば、主としてステアリン酸及びパルミチン酸を含有する大豆ホスファチジルコリン、並びに半合成化合物、例えば、ジパルミトイルホスファチジルコリン及びジステアロイルホスファチジルコリンを含んでもよい。明瞭化として、用語リン脂質は、単一リン脂質だけでなく、リン脂質の混合物にも及び、ここで、リン脂質又はそれぞれにリン脂質混合物は、天然又は合成起源のものであり得ることが留意されるべきである。リン脂質は水素化され得るが、この水素化リン脂質の代わりに合成リン脂質が使用され得、例えば、ここで、アシル基は、上記意味ですべて又は優勢に飽和であることが同様に自明である。
本開示の一実施形態において、水素化ホスファチジルコリンは、少なくとも60重量%水素化されたPCである。
ある実施形態において、リン脂質は、組成物の全重量に基づいて、約0.5重量%~約5重量%の量で存在する。別の実施形態において、リン脂質は、組成物の全重量に基づいて、約0.5重量%~約2.5重量%の量で存在する。
ある実施形態において、ラメラ膜構造は、脂肪アルコールを含む。脂肪アルコールは、飽和又は不飽和であってもよい分枝又は直鎖C12~C36脂肪アルコールである。別の実施形態において、脂肪アルコールは、分枝又は直鎖C14~C26脂肪アルコールである。別の実施形態において、脂肪アルコールは、分枝又は直鎖C16~C22脂肪アルコールである。別の実施形態において、脂肪アルコールは、分枝又は直鎖C20~C26脂肪アルコールである。別において、分枝又は直鎖は、C18~C30炭素原子である。さらに別の実施形態において、分枝又は直鎖は、C20~C30炭素原子である。さらなる実施形態において、分枝又は直鎖は、C22~C28炭素原子である。別の実施形態において、脂肪アルコールは、C18又はC22又はC24分枝又は直鎖脂肪アルコールである。さらに別の実施形態において、脂肪アルコールは、C18又はC22又はC24分枝脂肪アルコールである。別の実施形態において、脂肪アルコールは、分枝鎖脂肪アルコールである。別の実施形態において、脂肪アルコールは、直鎖脂肪アルコールである。ある実施形態において、脂肪アルコールは、2種以上の脂肪アルコールの混合物である。
本発明における使用のための例示的な直鎖脂肪アルコールには、限定されないが、デシルアルコール(C10)、ラウリルアルコール(C12)、トリデシルアルコール(C13)、ミリスチルアルコール(C14)、ペンタデシルアルコール(C15)、セチルアルコール(C16)、セテアリルアルコール(C16/C18)、パルミトレイルアルコール(C16)、ヘプタデシルアルコール(C17)、ステアリルアルコール(C18)、ノナデシルアルコール(C19)、アラキジルアルコール(C20)、ヘンエイコシルアルコール(C21)、ベヘニルアルコール(C22)、エルシルアルコール(C22)、リグノセリルアルコール(C24)、セリルアルコール(C26)、1-ヘプタコサノール(C27)、モンタニルアルコール(C28)、1-ノナコサノール(C29)、ミリシルアルコール(C30)、ラクセリルアルコール(C32)、ゲジルアルコール(C34)及びテテラトリアコンタノール(C36)、並びにそれらの混合物が含まれる。
一実施形態において、脂肪アルコールには、限定されないが、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコール、カプリリルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ラノリンアルコール、リグノセリルアルコール、アラキジルアルコール、オレイルアルコール、パームアルコール、イソセチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール及びセテアリルアルコール、並びにそれらの混合物が含まれる。
ある実施形態において、直鎖脂肪アルコールは、セチルアルコール(C18)である。
一実施形態において、直鎖脂肪アルコールは、ベヘニルアルコール(C22)である。
別の実施形態において、直鎖脂肪アルコールは、セチルアルコール(C16)及びベヘニルアルコール(C22)の混合物である。
ある実施形態において、脂肪アルコールは、組成物の全重量に基づいて、約2重量%~約15重量%の量で存在する。別の実施形態において、脂肪アルコールは、組成物の全重量に基づいて、約2重量%~約10重量%、又は約2重量%~約7.5重量%の量で存在する。
ある実施形態において、脂肪アルコール及びリン脂質は、約10:1~約1:1の重量比で存在する。一実施形態において、脂肪アルコール及びリン脂質は、約8:1~約2:1の重量比で存在する。別の実施形態において、脂肪アルコール及びリン脂質は、約5:1~約4:1の重量比で存在する。
ある実施形態において、ラメラ膜構造は、脂肪酸を含む、又はさらに含む。ある実施形態において、脂肪酸は、2種以上の脂肪酸の混合物である。
一実施形態において、脂肪酸は、飽和又は不飽和、分枝又は直鎖であってもよいC12~C36脂肪酸である。一実施形態において、分枝又は直鎖は、C16~C26炭素原子である。別の実施形態において、分枝又は直鎖は、C12~C22炭素原子である。ある実施形態において、脂肪酸は、C18~C36脂肪酸である。別において、分枝又は直鎖は、C18~C30炭素原子である。さらに別の実施形態において、分枝又は直鎖は、C20~C30炭素原子である。さらに別の実施形態において、分枝又は直鎖は、C20~C28炭素原子である。別の実施形態において、脂肪酸は、C20~C26脂肪酸である。さらに別の実施形態において、分枝又は直鎖は、C22~C2830炭素原子である。さらに別の実施形態において、脂肪酸は、C22又はC24脂肪酸である。ある実施形態において、脂肪酸は、組成物の全重量に基づいて、約0.1重量%~約5重量%の量で存在する。
一実施形態において、脂肪酸は、直鎖脂肪酸である。
ある実施形態において、直鎖脂肪酸は、C12~C30直鎖脂肪酸である。別の実施形態において、直鎖脂肪酸は、C18~C30直鎖脂肪酸である。さらに別の実施形態において、直鎖脂肪酸は、C20~C30直鎖脂肪酸である。さらなる実施形態において、直鎖脂肪酸は、C20~C26直鎖脂肪酸である。なおさらなる実施形態において、直鎖脂肪酸は、C22又はC24直鎖脂肪酸である。
ラメラ膜構造における使用のための例示的な直鎖脂肪酸には、限定されないが、ラウリン酸(C12)、トリデシル酸(C13)、ミリスチン酸(C14)、ペンタデシル酸(C15)、パルミチン酸(C16)、マルガリン酸(C17)、ステアリン酸(C18)、ノナデシル酸(C19)、アラキジン酸(C20)、ヘンエイコシル酸(C21)、ベヘン酸(C22)、トリコシル酸(C23)、リグノセリン酸(C24)、ペンタコシル酸(C25)、セロチン酸(C26)、ヘプタコシル酸(C27)、モンタン酸(C28)、ノナコシル酸(C29)、メリシン酸(C30)、ヘナトリアコンチル酸(C31)、ラクセロン酸(C32)、プシル酸(C33)、ゲジン酸(C34)、セロプラスチン酸(C35)及びヘキサトリアコンチル酸(C36)、並びにそれらの混合物が含まれる。
一実施形態において、直鎖脂肪酸は、ベヘン酸(C22)である。
他の例示的な脂肪酸には、限定されないが、イソステアリン酸(イソアクタデカン酸としても知られる)(C18)、リノール酸(C18)、リノレン酸(C18)、オレイン酸(C18)、ミリスチン酸(テトラデカン酸としても知られる)(C14)、リシノール酸(C18)、コルンビン酸(C18)、アラキジン酸(エイコサン酸としても知られる)(C20)、アラキドン酸(C20)、リグノセリン酸(テトラコサン酸としても知られる)(C24)、ネルボン酸(C24)、エイコサペンタン酸(C20)、パルミチン酸(ヘキサデカン酸としても知られる)(C16)、及びそれらの混合物が含まれる。
本明細書での使用に適する脂肪酸は、天然源から得ることができる。例えば、脂肪酸は、パーム油、菜種油、パーム核油、ココナッツ油、ババス油、大豆油、ヒマシ油、ヒマワリ油、オリーブ油、亜麻仁油、綿実油、サフラワー油、タロー、鯨油又は魚油、及びそれらの混合物から得られてもよい。脂肪酸はまた、合成的に調製され得る。脂肪酸はまた、適切な合成化学の使用によって天然又は合成ワックスエステルの混合物から調製され得る。例には、米ぬかワックス等が含まれる。
別の実施形態において、脂肪酸は、組成物の全重量に基づいて、約0.1重量%~約5重量%の量で存在する。別の実施形態において、脂肪酸は、組成物の全重量に基づいて、約0.25重量%~約2.5重量%、又は約0.5重量%~約2.5重量%の量で存在する。
ある実施形態において、脂肪アルコール及び脂肪酸は、約10:1~約1:1の重量比で存在する。一実施形態において、脂肪アルコール及び脂肪酸は、約8:1~約4:1の重量比で存在する。
ある実施形態において、リン脂質及び脂肪酸は、約5:1~約1:5の重量比で存在する。一実施形態において、脂肪酸及びリン脂質は、約2:1~約1:2の重量比で存在する。別の実施形態において、リン脂質及び脂肪酸は、約2:1~約1:1の重量比で存在する。
ある実施形態において、ラメラ膜構造は、分枝脂肪酸と分枝脂肪アルコールとのエステルをさらに含む。
ある実施形態において、エステルは、エステルの酸及びアルコールの元となる部分において単分枝及び多分枝を有する化合物の混合物を含む。一実施形態において、脂肪酸及び脂肪アルコールは、アルキル分枝である。
ある実施形態において、エステルの分枝脂肪酸成分は、C12~C36分枝脂肪酸、C12~C30分枝脂肪酸、C14~C26分枝脂肪酸、C16~C22分枝脂肪酸、又はC18分枝脂肪酸である。
別の実施形態において、エステルは、C16~C30分枝脂肪酸とC16~C30分枝脂肪アルコールとのエステルである。別の実施形態において、エステルは、イソステアリン酸イソステアリルである。一実施形態において、エステルは、組成物の全重量に基づいて、約0.1重量%~約5重量%の量で存在する。
エステルにおける使用に適する脂肪酸は、天然源から得ることができるか、又は合成的に調製することもできる。例えば、脂肪酸は、パーム油、菜種油、パーム核油、ココナッツ油、ババス油、大豆油、ヒマシ油、ヒマワリ油、オリーブ油、亜麻仁油、綿実油、サフラワー油、タロー、鯨油又は魚油、グリース、ラード及びそれらの混合物から得られてもよい。又はそれらは、優勢に脂肪酸混合物であるように改質されているワックスエステルの混合物に由来していることができる(エステル加水分解)。脂肪酸は、合成的に調製することもできる。比較的に純粋な不飽和脂肪酸、例えば、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、パルミトレイン酸、及びエライジン酸は、単離されてもよいか、又は比較的に粗製の不飽和脂肪酸混合物は、化学改質のための基礎原料として使用されてもよい。
エステルにおける使用のための例示的な分枝脂肪酸には、限定されないが、イソ酸、例えば、イソステアリン酸、イソパルミチン酸、イソミリスチン酸、イソアラキジン酸及びイソベヘン酸、ネオ酸、例えば、ネオデカン酸、及び/又はアンチイソ酸が含まれる。一実施形態において、エステルにおける使用のための分枝脂肪酸は、イソステアリン酸である。
ある実施形態において、エステルの分枝脂肪アルコール成分は、C12~C36分枝脂肪アルコール、C12~C30分枝脂肪アルコール、C14~C26分枝脂肪アルコール、C16~C22分枝脂肪アルコール、又はC18分枝脂肪アルコールである。
別の実施形態において、エステルは、C16~C22分枝脂肪酸とC16~C22分枝脂肪アルコールとのエステルである。分枝脂肪酸及び分枝脂肪アルコールは、同じ数の炭素原子、又は異なる数の炭素原子を含んでもよい。一実施形態において、分枝脂肪酸及び分枝脂肪アルコールは、同じ数の炭素原子を含む。
エステルは、単分枝脂肪酸及び多分枝脂肪アルコール、単分枝脂肪酸及び単分枝脂肪アルコール、多分枝脂肪酸及び単分枝脂肪アルコール、並びに多分枝脂肪酸及び多分枝脂肪アルコールを含む群から選択される、1つ以上の変形を含んでもよい。エステルは、任意の適当な分離法によってこの群から選択されてもよい。例えば、選択エステルは、包接化法(clathration method)を使用してエステルの混合物から選択されてもよい。
エステルにおける使用のための例示的な分枝脂肪アルコールには、限定されないが、イソアルコール、例えば、イソステアリルアルコール、イソテトラデカノール、イソセチルアルコール、イソアラキジルアルコール、イソベヘニルアルコール及びイソリグノセリルアルコール;ネオアルコール、例えば、ネオカプリンアルコール;及び/又はアンチイソアルコールが含まれる。一実施形態において、エステルにおける使用のための脂肪アルコールは、イソステアリルアルコールである。
ある実施形態において、エステルは、イソステアリン酸イソステアリル(「ISIS」)である。
エステルにおける使用のための例示的な分枝脂肪アルコールには、限定されないが、イソアルコール類、例えば、イソステアリルアルコール、イソテトラデカノール、イソアラキジルアルコール、イソベヘニルアルコール及びイソリグノセリルアルコール;ネオアルコール類、例えば、ネオカプリンアルコール(neocapric alcohol);及び/又はアンチイソアルコール類が含まれる。一実施形態において、エステルにおける使用のための脂肪アルコールは、イソステアリルアルコールである。
適当には、エステルは、ラメラ膜ブレンドの全重量に基づいて、約1重量%~約75重量%、好ましくは約5重量%~約50重量%、より好ましくは約5重量%~約35重量%の量でラメラ膜ブレンド中に存在する。一実施形態において、エステルは、ラメラ膜ブレンドの全重量に基づいて、約1重量%~約25重量%の量でラメラ膜ブレンド中に存在する。
ある実施形態において、リン脂質及びエステルは、約5:1~約1:5の重量比で存在する。別の実施形態において、リン脂質及びエステルは、約2:1~約1:2の重量比で存在する。さらに別の実施形態において、リン脂質及びエステルは、約2:1~約1:1の重量比で存在する。
ある実施形態において、脂肪アルコール及びエステルは、約10:1~約1:1の重量比で存在する。別の実施形態において、脂肪アルコール及びエステルは、約8:1~約4:1の重量比で存在する。
ある実施形態において、脂肪酸及びエステルは、約5:1~約1:5の重量比で存在する。さらに別の実施形態において、脂肪酸及びエステルは、約2:1~約1:2の重量比で存在する。さらなる実施形態において、脂肪酸及びエステルは、約1:1の重量比で存在する。
ある実施形態において、エステルは、組成物の全重量に基づいて、約0.1重量%~約5重量%の量で存在する。一実施形態において、エステルは、組成物の全重量に基づいて、約0.25重量%~約2.5重量%、又は約0.5重量%~約2.5重量%の量で存在する。
さらなる実施形態において、リン脂質:脂肪アルコール:脂肪酸:エステルの重量比は、約1.4:6.4:1:1である。
一実施形態において、1種以上のグリセリンのモノ脂肪酸エステル及び/又は1種以上のグリコールのモノ脂肪酸エステルは、1種以上のグリセリンもしくはグリコールのモノC10~C36脂肪酸エステル、又はそれらの混合物である。本明細書で使用される場合、用語「1種以上の」は、グリセリンのモノ脂肪酸エステルもしくはグリセリンのモノ脂肪酸エステルの混合物、又はグリコールのモノ脂肪酸エステルもしくはグリコールのモノ脂肪酸エステルの混合物を暗示する。
一実施形態において、1種以上のグリセリン又はグリコールのモノ脂肪酸エステルは、C16~C36直鎖又は分枝炭素鎖であり、飽和又は不飽和であってもよい。別の実施形態において、1種以上の、グリセリン又はグリコールのモノ脂肪酸エステルは、C18~C36直鎖又は分枝炭素鎖である。別の実施形態において、グリセリン又はグリコールのモノ脂肪酸エステルは、C22~C36直鎖又は分枝炭素鎖である。別の実施形態において、グリセリン又はグリコールのモノ脂肪酸エステルは、C18~C36直鎖又は分枝炭素鎖である。一実施形態において、エステルを形成する脂肪酸は、適当にはC23~C28から選択される。
適当には、1種以上のグリセリンのモノ脂肪酸エステル及び/又は1種以上のグリコールのモノ脂肪酸エステルには、限定されないが、ベヘノイルモノグリセリド、エチレングリコールモノベヘネート、又はそれらの混合物が含まれる。
グリセリン又はグリコールのモノエステルの製造における使用のための例示的な脂肪酸には、限定されないが、イソステアリン酸(イソアクタデカン酸としても知られる)(C18)、リノール酸(C18)、リノレン酸(C18)、オレイン酸(C18)、ミリスチン酸(テトラデカン酸としても知られる)(C14)、リシノール酸(C18)、コルンビン酸(C18)、アラキジン酸(エイコサン酸としても知られる)(C20)、アラキドン酸(C20)、ヘンエイコシン酸(C21)、エルカ酸(C22)、リグノセリン酸(テトラコサン酸としても知られる)(C24)、ネルボン酸(C24)、セリン酸(C26)、モンタン酸(C28)、ノナコサン酸(C29)、ラクセリン酸(C32)、ゲダ酸(C34)及びテトラトリアコンタノール(C36)、エイコサペンタン酸(C20)、パルミチン酸(ヘキサデカン酸としても知られる)(C16)、ステアリン酸(オクタデカン酸としても知られる)(C18)、ベヘン酸(ドコサン酸としても知られる)(C22)、ヘプタコセン酸(C27)、ノナコサン酸(C29)、トリコンタン酸(C30)、並びにそれらの混合物が含まれる。
ある実施形態において、1種以上のグリセリンのモノ脂肪酸エステル及び/もしくは1種以上のグリコールのモノ脂肪酸エステル、又はそれらの混合物は、組成物の全重量に基づいて、約0.1重量%~約10重量%の量で組成物中に存在する。一実施形態において、組成物中に存在する1種以上のグリセリンのモノ脂肪酸エステル及び/もしくは1種以上のグリコールのモノ脂肪酸エステル、又はそれらの混合物の量は、>3重量%である。別の実施形態において、1種以上のグリセリンのモノ脂肪酸エステル及び/もしくは1種以上のグリコールのモノ脂肪酸エステル、又はそれらの混合物の量は、>5重量%である。
本明細書での目的のために、グリセロールモノベヘネートは、ベヘノイルモノグリセリドとも称される。一実施形態において、ベヘノイルモノグリセリドは、モノベハネートと、より短い又はより長い脂肪アシル鎖長のグリセリドとの混合物として存在する。別の実施形態において、この混合物の少なくとも85%は、モノベハネートエステルである。混合物はまた、グリセリドモノエステルの異性体を含んでもよい。
一実施形態において、ラメラ膜構造は、C16及びC18飽和アシル鎖の混合物として存在するホスファチジルコリンを含む。別の実施形態において、組成物は、カプリル酸/カプリングリセリドをさらに含む。別の実施形態において、ラメラ膜構造は、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、C16及びC18飽和アシル鎖の混合物として存在するホスファチジルコリン、C12~C36脂肪アルコールである脂肪アルコールを含む。別の実施形態において、ラメラ膜構造は、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、C16及びC188飽和アシル鎖の混合物として存在するホスファチジルコリン、C12~C36脂肪アルコールである脂肪アルコール、並びにC12~C36脂肪酸を含む。別の実施形態において、ラメラ膜構造は、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、C16及びC18飽和アシル鎖の混合物として存在するホスファチジルコリン、C12~C36脂肪アルコールである脂肪アルコール、C12~C36脂肪酸、並びに分枝脂肪酸と分枝脂肪アルコールとのエステルを含む。
別の実施形態において、組成物は、ペンチレングリコール、グリセリン及びゲル化剤、場合により他の皮膚科学的に許容される賦形剤をさらに含む。
ある実施形態において、哺乳動物の皮膚脂質バリアを保湿、及び保護、修復、又は回復する方法であって、それを必要とする哺乳動物の皮膚に、
a)不連続油相、
b)水を含む連続水相、
c)増粘剤、
d)1種以上のグリセリンのモノ脂肪酸エステル及び/もしくは1種以上のグリコールのモノ脂肪酸エステル、又はそれらの混合物、並びに
e)(i)リン脂質、及び(ii)脂肪アルコールを含む少なくとも1つのラメラ膜構造
を含む、局所用水中油型エマルジョン組成物の有効量を適用する方法であって、
使用時に、組成物は、グリセリンのモノ脂肪酸エステル及び/又はグリコールのモノ脂肪酸エステルを含有しない組成物よりも小さい、修正WVTR試験方法を使用してインビトロで測定された水蒸気透過率を有する、方法がある。
本発明の別の態様は、
a)不連続油相、
b)水を含む連続水相、
c)増粘剤、
d)1種以上のグリセリンのモノ脂肪酸エステル及び/もしくは1種以上のグリコールのモノ脂肪酸エステル、又はそれらの混合物、並びに
e)(i)リン脂質、及び(ii)脂肪アルコールを含む少なくとも1つのラメラ膜構造
を含む、局所用水中油型エマルジョン組成物であって、
使用時に、哺乳動物の皮膚脂質バリアの保護、修復、又は回復における使用のための、グリセリンのモノ脂肪酸エステル及び/又はグリコールのモノ脂肪酸エステルを含有しない組成物よりも小さい、修正WVTR試験方法を使用してインビトロで測定された水蒸気透過率を有する、組成物である。
本開示の別の実施形態は、哺乳動物の皮膚脂質バリアを保湿、及び保護、修復、又は回復するための化粧品又は医薬組成物の製造における、
a)不連続油相、
b)水を含む連続水相、
c)増粘剤、
d)1種以上のグリセリンのモノ脂肪酸エステル及び/もしくは1種以上のグリコールのモノ脂肪酸エステル、又はそれらの混合物、並びに
e)(i)リン脂質、(ii)脂肪アルコール、及び(iii)脂肪酸を含む少なくとも1つのラメラ膜構造
を含む、局所用水中油型エマルジョン組成物の使用であって、
使用時に、組成物は、グリセリンのモノ脂肪酸エステル及び/又はグリコールのモノ脂肪酸エステルを含有しない組成物よりも小さい、修正WVTR試験方法を使用してインビトロで測定された水蒸気透過率を有する、使用である。
これらの方法のすべてにおいて、上述のとおりの組成物の同じ実施形態が、それぞれの使用に適用される。
組成物は、酸化防止剤、キレート剤、防腐剤、着色剤、感覚剤、保湿剤、湿潤剤、及びpH調整剤、並びにそれらの混合物から選択される少なくとも1種の皮膚科学的に許容される賦形剤をさらに含んでもよい。
一実施形態において、ラメラ膜構造組成物は、リン脂質、脂肪アルコール、並びに場合により脂肪酸及び/又は分枝脂肪酸と分枝脂肪アルコールとのエステルを含む。ラメラ膜構造は、不連続油相に加えて、追加の油/脂質(油相のために本明細書で定義されるとおりの)をさらに含んでもよい。油は、不連続油相中に存在する油と同じか、又は異なってもよい。一実施形態において、追加の油は、スクアラン、フィトステロール、コレステロール又はコレステロール誘導体、トリグリセリド、米ぬか油、又は米ぬかワックス、及びそれらの混合物から選択される。一実施形態において、脂質は、トリグリセリドである。別の実施形態において、脂質は、カプリル酸/カプリン酸/トリグリセリドである。
油相
組成物は、不連続油相を含む。不連続油相は、連続水相の全体にわたって分散されている。
ある実施形態において、不連続油相は、少なくとも1種の油及び/又は脂肪を含む。本明細書での目的のために、油、脂質及び脂肪は、同義的に使用される。一実施形態において、油及び/又は脂肪は、2種以上の油及び/又は脂肪の混合物である。例示的な油及び脂肪には、限定されないが、脂肪酸、脂肪アルコール、エステル、グリセリンのエステル、ワックス、ステロール、精油、植物油及び食用油、並びにそれらの混合物が含まれる。
ある実施形態において、少なくとも1種の油及び/又は脂肪は、飽和又は不飽和、分枝又は直鎖であってもよい脂肪酸である。ある実施形態において、脂肪酸は、2種以上の脂肪酸の混合物である。
ある実施形態において、脂肪酸は、飽和又は不飽和、分枝又は直鎖であってもよいC12~C36脂肪酸である。一実施形態において、分枝又は直鎖は、C12~C26炭素原子である。別の実施形態において、分枝又は直鎖は、C12~C22炭素原子である。別において、分枝又は直鎖は、C18~C36炭素原子である。別において、分枝又は直鎖は、C18~C30炭素原子である。別の実施形態において、分枝又は直鎖は、C20~C30炭素原子である。さらに別の実施形態において、分枝又は直鎖は、C20~C28炭素原子である。さらなる実施形態において、分枝又は直鎖は、C20~C26炭素原子である。さらなる実施形態において、分枝又は直鎖は、C22~C28炭素原子である。さらに別の実施形態において、分枝又は直鎖は、C22~C30炭素原子である。なおさらなる実施形態において、脂肪酸は、分枝又は直鎖のC22又はC24鎖である。
一実施形態において、脂肪酸は、直鎖脂肪酸である。一実施形態において、脂肪酸は、不飽和直鎖脂肪酸である。
ある実施形態において、直鎖脂肪酸は、C12~C36直鎖脂肪酸である。ある実施形態において、直鎖脂肪酸は、C16~C36直鎖脂肪酸である。別の実施形態において、直鎖脂肪酸は、C12~C22直鎖脂肪酸である。ある実施形態において、直鎖脂肪酸は、C18~C36直鎖脂肪酸である。ある実施形態において、直鎖脂肪酸は、C18~C30直鎖脂肪酸である。さらに別の実施形態において、直鎖脂肪酸は、C20~C30直鎖脂肪酸である。さらなる実施形態において、直鎖脂肪酸は、C20~C28直鎖脂肪酸である。ある実施形態において、直鎖脂肪酸は、C20~C26直鎖脂肪酸である。なおさらなる実施形態において、直鎖脂肪酸は、C22又はC24直鎖脂肪酸である。
ラメラ膜構造における使用のための例示的な直鎖脂肪酸には、限定されないが、ラウリン酸(C12)、トリデシル酸(C13)、ミリスチン酸(C14)、ペンタデシル酸(C15)、パルミチン酸(C16)、マルガリン酸(C17)、ステアリン酸(C18)、ノナデシル酸(C19)、アラキジン酸(C20)、ヘンエイコシル酸(C21)、ベヘン酸(C22)、トリコシル酸(C23)、リグノセリン酸(C24)、ペンタコシル酸(C25)、セロチン酸(C26)、ヘプタコシル酸(C27)、モンタン酸(C28)、ノナコシル酸(C29)、メリシン酸(C30)、ヘナトリアコンチル酸(C31)、ラクセロン酸(C32)、プシル酸(C33)、ゲジン酸(C34)、セロプラスチン酸(C35)及びヘキサトリアコンチル酸(C36)、並びにそれらの混合物が含まれる。
一実施形態において、直鎖脂肪酸は、ベヘン酸(C22)である。
他の例示的な脂肪酸には、限定されないが、イソステアリン酸(イソアクタデカン酸としても知られる)(C18)、リノール酸(C18)、リノレン酸(C18)、オレイン酸(C18)、ミリスチン酸(テトラデカン酸としても知られる)(C14)、リシノール酸(C18)、コルンビン酸(C18)、アラキジン酸(エイコサン酸としても知られる)(C20)、アラキドン酸(C20)、リグノセリン酸(テトラコサン酸としても知られる)(C24)、ネルボン酸(C24)、エイコサペンタン酸(C20)、パルミチン酸(ヘキサデカン酸としても知られる)(C16)、及びそれらの混合物が含まれる。
一実施形態において、例示的な脂肪酸には、限定されないが、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、コルンビン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、アラキドン酸、エイコサペンタン酸、ヘンエイコシル酸、ベヘン酸、トリコシル酸、リグノセリン酸、ネルボン酸、ペンタコシル酸、セロチン酸、ヘプタコシル酸、モンタン酸、ノナコシル酸、メリシン酸、ヘナトリアコンチル酸、ラクセロン酸、プシリン酸、ゲジン酸、セロプラスチン酸及びヘキサトリアコンチル酸、並びにそれらの混合物が含まれる。
脂肪酸は、様々な源から本組成物に導入され得る。ある実施形態において、脂肪酸は、油又はワックスとして本組成物中に与えられる。この点で有用な油又はワックスの例には、限定されないが、それらの水素化及び非水素化バージョンを含めて、米ぬか油、米ぬかワックス、亜麻仁油、麻種子油、カボチャ種子油、カノーラ油、大豆油、小麦胚芽油、オリーブ油、ブドウ種子油、ボラージ油、月見草油、クロフサスグリ種子油、栗油、トウモロコシ油、サフラワー油、ヒマワリ油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、ゴマ油及び野菜(olus)(植物)油、並びにそれらの混合物が含まれる。この点で有用な例示的なワックスは、米ぬかワックスである。
一実施形態において、脂肪酸の源は、化学的に処理される場合、ブチロスペルマム パルキイ(Butyrospermum parkii)としても知られる、シアバターである。シアバターは、5種の主な脂肪酸、すなわち、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸及びアラキドン酸を含む。シアバターは、フィトステロールも含む。
別の実施形態において、少なくとも1種の油及び/又は脂肪は、飽和又は不飽和であってもよい脂肪アルコールである。一実施形態において、脂肪アルコールは、適当には分枝又は直鎖C12~C36脂肪アルコールである。一実施形態において、C12~C36鎖は、分枝である。別の実施形態において、C12~C36は、直鎖である。別の実施形態において、脂肪アルコールは、分枝又は直鎖C14~C26脂肪アルコールである。別の実施形態において、脂肪アルコールは、分枝又は直鎖C20~C26脂肪アルコールである。別の実施形態において、脂肪アルコールは、分枝又は直鎖C16~C22脂肪アルコールである。一実施形態において、C16~C22鎖は、分枝である。別の実施形態において、脂肪アルコールは、分枝又は直鎖C20~C26脂肪アルコールである。さらに別の実施形態において、それは、C18又はC22又はC24の分枝又は直鎖脂肪アルコールである。一実施形態において、C18又はC22鎖又はC24は、分枝である。なおさらなる実施形態において、脂肪アルコールは、分枝又は直鎖C22脂肪アルコールである。別の実施形態において、脂肪アルコールは、分枝鎖脂肪アルコールである。別の実施形態において、脂肪アルコールは、直鎖脂肪アルコールである。ある実施形態において、脂肪アルコールは、2種以上の脂肪アルコールの混合物である。
一実施形態において、脂肪アルコールは、分枝鎖脂肪アルコールである。別の実施形態において脂肪アルコールは、直鎖脂肪アルコールである。混合物は、分枝、直鎖、不飽和又は飽和脂肪アルコールの組み合わせであってもよい。別の実施形態において、脂肪アルコールは、異なる鎖長の少なくとも2種の脂肪アルコールの混合物である。
本発明における使用のための例示的な直鎖脂肪アルコールには、油相及び増粘剤の下で上に述べられたもののすべてが含まれ、限定されないが、ラウリルアルコール(C12)、トリデシルアルコール(C13)、ミリスチルアルコール(C14)、ペンタデシルアルコール(C15)、セチルアルコール(C16)、セテアリルアルコール(C16/C18)、パルミトレイルアルコール(C16)、ヘプタデシルアルコール(C17)、ステアリルアルコール(C18)、ノナデシルアルコール(C19)、アラキジルアルコール(C20)、ヘンエイコシルアルコール(C21)、ベヘニルアルコール(C22)、エルシルアルコール(C22)、リグノセリルアルコール(C24)、セリルアルコール(C26)、1-ヘプタコサノール(C27)、モンタニルアルコール(C28)、1-ノナコサノール(C29)、ミリシルアルコール(C30)、ラクセリルアルコール(C32)、ゲジルアルコール(C34)及びテテラトリアコンタノール(C36)、並びにそれらの混合物がさらに含まれる。
例示的な脂肪アルコールには、限定されないが、デシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、イソセチルアルコール、セテアリルアルコール、パルミトレイルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ノナデシルアルコール、アラキジルアルコール、ヘンエイコシルアルコール、ベヘニルアルコール、エルシルアルコール、リグノセリルアルコール、セリルアルコール、1-ヘプタコサノール、モンタニルアルコール、1-ノナコサノール、ミリシルアルコール、ラクセリルアルコール、ゲジルアルコール、テトラトリアコンタノール、ラノリンアルコール及びパームアルコール、並びにそれらの混合物が含まれる。一実施形態において、脂肪アルコールは、ベヘニルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール又はそれらの混合物である。一実施形態において、脂肪アルコールは、ベヘニルアルコールである。
一実施形態において、脂肪アルコールには、限定されないが、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコール、カプリリルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ラノリンアルコール、リグノセリルアルコール、アラキジルアルコール、オレイルアルコール、パームアルコール、イソセチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール及びセテアリルアルコール、並びにそれらの混合物が含まれる。
ある実施形態において、直鎖脂肪アルコールは、セチルアルコール(C18)である。
一実施形態において、直鎖脂肪アルコールは、ベヘニルアルコール(C22)である。
別の実施形態において、直鎖脂肪アルコールは、セチルアルコール(C16)及びベヘニルアルコール(C22)の混合物である。
脂肪アルコール及び脂肪酸は、両方ともが組成物中に存在する場合、反応して、エステルを形成してもよい。ある実施形態において、エステルは、形成される場合、ベヘン酸セチル及び/又はベヘン酸ベヘニルである。
さらに別の実施形態において、少なくとも1種の油及び/又は脂肪は、エステルである。エステルは、分枝又は直鎖脂肪酸と分枝又は直鎖脂肪アルコールとから(「エステル」)であってもよい。エステルに対して2つの成分があるので、それらの一方又は両方は、分枝又は直鎖成分であることができ、例えば、エステルは、混合され得ることが理解される。例えば、脂肪酸成分は、分枝であってもよく、脂肪アルコールは直鎖であってもよい。代わりに、脂肪酸成分は、直鎖であってもよく、脂肪アルコールは、分枝であってもよい。別の実施形態において、酸とアルコールとの両方ともが分枝であってもよい。さらに別の実施形態において、酸とアルコールとの両方ともが直鎖であってもよい。
ある実施形態において、エステルは、エステルの酸及びアルコールの元となる部分において単分枝及び多分枝を有する化合物の混合物を含む。一実施形態において、脂肪酸及び脂肪アルコールは、アルキル分枝である。
ある実施形態において、組成物が分枝又は直鎖脂肪酸と分枝又は直鎖脂肪アルコールとのエステルを含む場合、組成物は、脂肪酸をさらに含んでもよい。
ある実施形態において、エステルの分枝脂肪酸成分は、C12~C36分枝脂肪酸、C12~C30分枝脂肪酸、C14~C26分枝脂肪酸、C16~C22分枝脂肪酸、又はC18分枝脂肪酸である。
上述のとおり、エステルにおける使用に適する脂肪酸は、天然源から得ることができ、又は合成的に調製することもできる。
例えば、脂肪酸は、パーム油、菜種油、パーム核油、ココナッツ油、ババス油、大豆油、ヒマシ油、ヒマワリ油、オリーブ油、亜麻仁油、綿実油、サフラワー油、タロー、鯨油又は魚油、グリース、ラード及びそれらの混合物から得られてもよい。脂肪酸は、合成的に調製することもできる。比較的に純粋な不飽和脂肪酸、例えば、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、パルミトレイン酸、及びエラジン酸は、単離されてもよいか、又は比較的に粗製の不飽和脂肪酸混合物は、化学改質のための基礎原料として使用されてもよい。
エステルにおける使用に適する脂肪酸は、天然源から得ることができるか、又は合成的に調製することもできる。例えば、脂肪酸は、パーム油、菜種油、パーム核油、ココナッツ油、ババス油、大豆油、ヒマシ油、ヒマワリ油、オリーブ油、亜麻仁油、綿実油、サフラワー油、タロー、鯨油又は魚油、グリース、ラード及びそれらの混合物から得られてもよい。又は、それらは、主に脂肪酸混合物であるように改質されたワックスエステルの混合物に由来していることができる(エステル加水分解)。脂肪酸は、合成的に調製することもできる。比較的に純粋な不飽和脂肪酸、例えば、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、パルミトレイン酸、及びエライジン酸は、単離されてもよいか、又は比較的に粗製の不飽和脂肪酸混合物は、化学改質のための基礎原料として使用されてもよい。
エステルにおける使用のための例示的な分枝脂肪酸には、限定されないが、イソ酸、例えば、イソステアリン酸、イソパルミチン酸、イソミリスチン酸、イソアラキジン酸及びイソベヘン酸、ネオ酸、例えば、ネオデカン酸、及び/又はアンチイソ酸が含まれる。一実施形態において、エステルにおける使用のための分枝脂肪酸は、イソステアリン酸である。
ある実施形態において、エステルの分枝脂肪アルコール成分は、C12~C36分枝脂肪アルコール、C12~C30分枝脂肪アルコール、C14~C26分枝脂肪アルコール、C16~C22分枝脂肪アルコール、又はC18分枝脂肪アルコールである。
別の実施形態において、エステルは、C16~C22分枝脂肪酸とC16~C22分枝脂肪アルコールとのエステルである。分枝脂肪酸及び分枝脂肪アルコールは、同じ数の炭素原子、又は異なる数の炭素原子を含んでもよい。一実施形態において、分枝脂肪酸及び分枝脂肪アルコールは、同じ数の炭素原子を含む。
エステルは、単分枝脂肪酸及び多分枝脂肪アルコール、単分枝脂肪酸及び単分枝脂肪アルコール、多分枝脂肪酸及び単分枝脂肪アルコール、並びに多分枝脂肪酸及び多分枝脂肪アルコールを含む群から選択される、1つ以上の変形を含んでもよい。エステルは、任意の適当な分離法によってこの群から選択されてもよい。例えば、選択エステルは、包接化法(clathration method)を使用してエステルの混合物から選択されてもよい。
エステルにおける使用のための例示的な分枝脂肪アルコールには、限定されないが、イソアルコール、例えば、イソステアリルアルコール、イソテトラデカノール、イソセチルアルコール、イソアラキジルアルコール、イソベヘニルアルコール及びイソリグノセリルアルコール;ネオアルコール、例えば、ネオカプリンアルコール;及び/又はアンチイソアルコールが含まれる。一実施形態において、エステルにおける使用のための脂肪アルコールは、イソステアリルアルコールである。
例示的なエステルには、一般的に、限定されないが、ココ-カプリレート/カプレート、セバシン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、ジリノール酸ジイソプロピル、オレイン酸エチル、ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル、ジステアリン酸グリコール、ステアリン酸グリコール、ヒドロキシステアリン酸ヒドロキシオクタコサニル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、セスキステアリン酸メチルグルコース、ラウリン酸メチル、サリチル酸メチル、ステアリン酸メチル、乳酸ミリスチル、サリチル酸オクチル、オレイン酸オレイル、PPG-20メチルグルコースエーテルジステアレート、ジ酢酸プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、モノラウリン酸プロピレングリコール、モノパルミトステアリン酸プロピレングリコール、リシノール酸プロピレングリコール及びジステアリン酸スクロース、並びにそれらの混合物が含まれ得る。
ある実施形態において、エステルは、C16~C30分枝脂肪酸とC16~C30分枝脂肪アルコールとのエステルである。
一実施形態において、エステルは、C18単分枝及び/又は多分枝脂肪酸並びにC18単分枝及び/又は多分枝脂肪アルコールを含む。
ある実施形態において、エステルは、イソステアリン酸イソステアリル(「ISIS」)である。
別の実施形態において、エステルは、C16~C30直鎖脂肪酸とC16~C30直鎖脂肪アルコールとのエステルである。
ある実施形態において、エステルは、ヘプタデカン酸ヘプタデカノイル(「HDHD」)である。
さらなる実施形態において、少なくとも1種の油及び/又は脂肪は、グリセリン(モノ-、ジ-及びトリエステルを含む)のエステルである。グリセリンの例示的なエステルには、限定されないが、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸/コハク酸トリグリセリド、ココグリセリド、クエン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル、ラウリン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、オレイン酸グリセリル、パルミチン酸グリセリル、リシノール酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル、モノ及びジグリセリド、ラウリン酸PEG-12グリセリル、ステアリン酸PEG-120グリセリル、オレイン酸ポリグリセリル-3、ステアリン酸ポリオキシルグリセリル、タローグリセリド及び中鎖トリグリセリド、並びにそれらの混合物が含まれる。一実施形態において、パーム油から単離されたトリグリセリドが好ましい。一実施形態において、グリセリンのエステルは、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドである。
なおさらなる実施形態において、少なくとも1種の油及び/又は脂肪は、ワックスである。例示的なワックスには、限定されないが、動物ワックス、植物ワックス、鉱物ワックス、シリコーンワックス、合成ワックス及び石油ワックスが含まれる。適当なワックスには、限定されないが、米ぬかワックス、カルナウバワックス、パラフィンワックス、ハクロウ、カンデリラワックス、ミツロウ、ホホバワックス、オゾケライト及びスフィンゴ脂質又はスフィンゴ脂質模倣物、例えば、セラミド、並びにそれらの混合物が含まれる。一実施形態において、ワックスは、米ぬかワックス、カルナウバワックス、パラフィンワックス、ハクロウ、カンデリラワックス、ミツロウ、ホホバワックス及びオゾケライト、並びにそれらの混合物である。
一実施形態において、スフィンゴ脂質又はスフィンゴ脂質模倣物の場合による包含がある。セラミド、アシルセラミド及びグルコシルセラミドは、すべて「スフィンゴイド」又は「スフィンゴ脂質」クラスのメンバーである。上記のとおり、これらは、スフィンゴシンの骨格、又はそれに脂肪酸もしくはω-エステル化脂肪酸のいずれかが、スフィンゴシン構造のアミノ基でアミド連結を介して連結されている、及びグルコシルセラミドの場合、それにサッカリド部分が、グリコシド結合を介してスフィンゴシン構造の末端ヒドロキシルに連結されている、密接に関連した構造を有する、化合物である。
より具体的には、セラミドは、スフィンゴシン及び脂肪酸から構成されるワックス状脂質分子のファミリーである。それらは、アシル連結を有し、健康な皮膚に最も豊富な鎖長は、C16~C18のアシル鎖長を有する小部分ととものC24~C26である。セラミドは、角質層に広く見出される。セラミドは、主要化学供給者、例えば、Evonik、Mobile, AL、USA又はSigma Chemical Company、St. Louis、Mo.、U.S.A.から市販されている。一実施形態において、スフィンゴ脂質は、セラミド以外である。
本組成物で有用な例示的なセラミドには、限定されないが、セラミド-1、-2、-3、-4、-5、-6又は-7、及びそれらの混合物が含まれる。局所用組成物で有用と当業者に公知の他のセラミド、例えば、それらの内容が、それらの全体で参照により本明細書によって組み込まれる、The Merck Index、第13版、Budavariら編、Merck & Co., Inc.、Rahway、N.J.(2001年); CTFA(Cosmetic, Toiletry, and Fragrance Association) International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook、第10版(2004年);及び「Inactive Ingredient Guide」、米国食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration(FDA))、医薬品評価研究センター(Center for Drug Evaluation and Research(CDER))、管理事務局(Office of Management)、1996年1月に記載されたものが、本組成物で有用とさらに企図される。一実施形態において、セラミドは、セラミド-3である。適当には、セラミドは、存在する場合、組成物の全重量に基づいて、約0.001重量%~約1重量%の量でラメラ膜構造にある。
一実施形態において、スフィンゴイド又はスフィンゴ脂質は、セラミド又はフィトスフィンゴシンである。一実施形態において、スフィンゴイド又はスフィンゴ脂質は、フィトスフィンゴシンである。
ある実施形態において、少なくとも1種の油及び/又は脂肪は、ステロールである。例示的なステロールには、限定されないが、ブラシカ カンペストリス(Brassica Campestris)ステロール、C10~C30コレステロール/ラノステロールエステル、カノーラステロール、コレステロール、コレステロール類、ツルマメ(glycine soja)ステロール、PEG-20フィトステロール(単数)及びフィトステロール(複数)、並びにそれらの混合物が含まれる。
フィトステロールは、一般的な植物油の天然成分である。この点で有用なフィトステロールの例示的な源には、限定されないが、シアバター、植物油、トール油、ゴマ油、ヒマワリ油、ヒマワリ種子油、米ぬか油、クランベリー種子油、カボチャ種子油及びアボガドワックス、並びにそれらの混合物が含まれる。一実施形態において、フィトステロールの源は、シアバターである。
フィトステロールは、典型的には皮膚の基底膜に取り込まれ、皮膚細胞の分化によって皮膚表面に通り得る。したがって、フィトステロールは、改善されたケアリング及び保護効果を与える。フィトステロールの局所適用はまた、通常は増加した皮膚水分レベル及び増加した脂質含有量をもたらす。これにより、皮膚の落屑挙動が改善され、存在し得る紅斑が減少される。それらのそれぞれが、それらの全体で参照により本明細書に組み込まれる、R. Wachter、Parf. Kosm.、第75巻、755頁(1994年)及びR. Wachter、Cosm. Toil.、第110巻、72頁(1995年)により、フィトステロールのこれらの有利な特性がさらに実証されている。
適当には、フィトステロール、フィトステロールの源、コレステロール、又はコレステロール誘導体は、組成物の全重量に基づいて、約0.05重量%~約2重量%の量で少なくとも1つのラメラ膜構造中に存在する。
組成物の一実施形態は、スフィンゴイド又はスフィンゴ脂質と組み合わせてフィトステロール、コレステロール又はコレステロール誘導体を包含するものである。より好ましくは、スフィンゴイド又はスフィンゴ脂質は、セラミドであり、及び/又はフィトスフィンゴシンである。
別の実施形態において、少なくとも1種の油及び/又は脂肪は、炭化水素である。例示的な炭化水素には、限定されないが、ドデカン、ペトロラタム、鉱油、スクアラン、スクアレン及びパラフィン、並びにそれらの混合物が含まれる。一実施形態において、炭化水素は、ペトロラタム、又はペトロラタムと別の油もしくは脂肪との混合物である。別の実施形態において、炭化水素は、ペトロラタムと第2の炭化水素との混合物である。別の実施形態において、炭化水素は、鉱油と第2の炭化水素との混合物である。さらに別の実施形態において、炭化水素は、ペトロラタムとスクアランとの混合物である。さらに別の実施形態において、炭化水素は、鉱油とスクアランとの混合物である。さらに別の実施形態において、炭化水素は、ペトロラタムと鉱油との混合物である。
スクアランは、皮膚の天然バリア機能を増強し、皮膚を自然条件に対して保護し、及び水分を保持する皮膚の能力を強化するのを助ける。スクアランは、ヒト角質層の成分である。スクアランは、精製形態で利用可能であり(例えば、BASFから入手可能なFitoderm(登録商標)参照)、その精製形態で組成物中で使用されてもよい。代わりに、スクアラン中に豊富である油が使用されてもよい。
本組成物で有用なスクアランの例示的な源は、限定されないが、サメ肝油、オリーブ油、パーム油、小麦胚芽油、アマランス油、米ぬか油及びサトウキビが含まれる。これらの油の源からのスクアランは、脂質成分と考えられると理解される。一実施形態において、オリーブ油から単離されたスクアランが好ましい。適当には、スクアランは、組成物の全重量に基づいて、約0.05重量%~約2重量%の量で少なくとも1つのラメラ膜構造に存在する。
さらに別の実施形態において、少なくとも1種の油及び/又は脂肪は、精油である。例示的な精油には、限定されないが、サクラソウ油、バラ油、ユーカリ油、ボラージ油、ベルガモット油、カモミール油、シトロネラ油、ラベンダー油、ペパーミント油、マツ油、マツバ油、スペアミント油、ティーツリー油及び冬緑油、並びにそれらの混合物が含まれる。
さらなる実施形態において、少なくとも1種の油及び/又は脂肪は、植物油である。例示的な植物油には、限定されないが、それらの水素化及び非水素化バージョンを含めて、野菜(植物)油、アーモンド油、アニス油、カノーラ油、ヒマシ油、ココナッツ油、トウモロコシ油、アボカド油、綿実油、オリーブ油、パーム核油、落花生油、ヒマワリ油、サフラワー油及び大豆油、並びにそれらの混合物が含まれる。
なおさらなる実施形態において、少なくとも1種の油及び/又は脂肪は、食用油である。例示的な食用油には、限定されないが、シナモン油、チョウジ油、レモン油及びペパーミント油、並びにそれらの混合物が含まれる。
ある実施形態において、油は、本明細書に記載されるとおりの、脂肪酸、脂肪酸の源、又はグリセリンのエステルである。ある実施形態において、脂肪酸の源は、野菜(植物)油、オリーブ油又は米ぬか油である。
適当には、不連続油相は、組成物の全重量に基づいて、約5重量%~約70重量%の量で存在する。一実施形態において、不連続油相は、組成物の全重量に基づいて、約20重量%~約70重量%の量で存在する。別の実施形態において、不連続油相は、組成物の全重量に基づいて、約5重量%~約50重量%の量で存在する。別の実施形態において、不連続油相は、組成物の全重量に基づいて、約5重量%~約45重量%の量で存在する。さらに別の実施形態において、不連続油相は、組成物の全重量に基づいて、約5重量%~約35重量%の量で存在する。
水相
組成物は、連続水相を含む。水相は、水を含む。適当には、任意の追加の成分、例えば、グリセリン及び任意の他の水溶性賦形剤が、この水相に溶解される。
適当には、連続水相は、組成物の全重量に基づいて、約10重量%~約90重量%の量で存在する。ある実施形態において、連続水相は、組成物の全重量に基づいて、約25重量%~約90重量%の量で存在する。別の実施形態において、連続水相は、組成物の全重量に基づいて、約45重量%~約90重量%の量で存在する。別の実施形態において、連続水相は、組成物の全重量に基づいて、約25重量%~約75重量%の量で存在する。別の実施形態において、連続水相は、組成物の全重量に基づいて、約10重量%~約70重量%の量で存在する。さらなる実施形態において、連続水相は、組成物の全重量に基づいて、約60重量%~約90重量%の量で存在する。
ある実施形態において、連続水相は、組成物の全重量に基づいて、約13重量%~約60重量%、別の実施形態において、約20重量%~約40重量%、及び別の実施形態において、約10重量%~約35重量%の量で水を含む。
ある実施形態において、連続水相は、組成物の全重量に基づいて、約1重量%~約40重量%の量のグリセリンを含む。別の実施形態において、連続水相は、グリセリンを組成物の全重量に基づいて、約5重量%~約15重量%の量で含む。さらに別の実施形態において、連続水相は、グリセリンを組成物の全重量に基づいて、約10重量%の量で含む。
一実施形態において、連続水相はまた、グルコース、グリセロール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ガラクチトール、エリトリトール、キシリトール、イノシトール、ラクチトール、及びそれらの混合物等の糖アルコールを含んでもよい。一実施形態において、糖アルコールは、グルコースである。糖アルコールは、組成物の全重量に基づいて、約1重量%~約20重量%の量で存在してもよい。
連続水相は、他の水混和性成分、例えば、湿潤剤及びpH調整剤等をさらに含んでもよい。
増粘剤
本発明の組成物は、少なくとも1種の増粘剤又はレオロジー調整剤を含む。ある実施形態において、増粘剤は、2種以上の増粘剤の混合物である。
増粘剤の機能は、組成物の不連続油相を安定化することである。増粘剤はまた、例えば、粘着組成物を形成するのに有用な硬さ及び構造支持を与えてもよい。増粘剤は、水混和性であってもよく、これは、エマルジョン組成物の水性部分を増粘するために使用される。他の増粘剤は、非水性であり、それらをエマルジョン組成物の油相を増粘するために適するものにする。さらに他の増粘剤、例えば、以下に記載されるものは、油-水界面で作用し、したがって、相間境界にあってもよい。
例示的な水混和性増粘剤には、限定されないが、セルロース誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース;寒天;カラギーナン;カードラン;ゼラチン;ゲラン;β-グルカン;トラガカントガム;グアールガム;アラビアゴム;ローカストビーンガム;ペクチン;デンプン;カルボマー、例えば、ナトリウムカルボマー;キサンタン誘導体、例えば、デヒドロキサンタンガム;それらの塩、又はそれらの組み合わせもしくは混合物が含まれる。一実施形態において、増粘剤は、カルボマー又はその塩、例えば、ナトリウムカルボマーである。さらなる実施形態において、増粘剤は、ヒドロキシエチルセルロースである。
例示的な非水性増粘剤には、限定されないが、本明細書で記載されるとおりの、アクリレートコポリマー、VP/エイコセンコポリマー、ワックス、脂肪アルコール及び脂肪酸が含まれる。
一実施形態において、増粘剤は、脂肪アルコールである。適当な脂肪アルコールには、限定されないが、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコール、カプリリルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ラノリンアルコール、アラキジルアルコール、オレイルアルコール、パームアルコール、イソセチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール及びセテアリルアルコール、並びにそれらの混合物が含まれる。
他の適当な脂肪アルコールには、限定されないが、トリデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、イソセチルアルコール、パルミトレイルアルコール、ヘプタデシルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ノナデシルアルコール、ヘンエイコシルアルコール、ベヘニルアルコール、エルシルアルコール、リグノセリルアルコール、セリルアルコール、1-ヘプタコサノール、モンタニルアルコール、1-ノナコサノール、ミリシルアルコール、ラクセリルアルコール、ゲジルアルコール(geddyl alcohol)、テトラトリアコンタノール、及びラノリンアルコール、並びにそれらの混合物が含まれる。
一実施形態において、増粘剤は、飽和又は不飽和の、分枝又は直鎖であってもよい脂肪酸、又は脂肪酸の源、及びそれらの混合物である。
適当な脂肪酸には、限定されないが、イソステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、オレイン酸、ミリスチン酸、リシノール酸、コルンビン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、リグノセリン酸、ネルボン酸、エイコサペンタン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及びベヘン酸、並びにそれらの混合物が含まれる。
他の例示的な脂肪酸には、限定されないが、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、マルガリン酸、オレイン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、アラキドン酸、ヘンエイコシル酸、ベヘン酸、トリコシル酸、リグノセリン酸、ペンタコシル酸、セロチン酸、ヘプタコシル酸、モンタン酸、ノナコシル酸、メリシン酸、ヘナトリアコンチル酸、ラクセロン酸、プシリン酸、ゲジン酸、セロプラスチン酸及びヘキサトリアコンチル酸、並びにそれらの混合物が含まれる。
一実施形態において、増粘剤は、脂肪アルコール、セルロース誘導体、キサンタン誘導体、非水性剤、及びカルボマーの混合物を含む。一実施形態において、増粘剤混合物は、ベヘニルアルコール、デヒドロキサンタンガム、VP/エイコセンコポリマー、アクリレート/C10~30アルキルアクリレートクロスポリマー及びナトリウムカルボマーを含む。ある実施形態において、増粘剤は、ポリアクリレートクロスポリマー-6及びアクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマーとの混合物である。
ある実施形態において、増粘剤は、アクリレートコポリマー、例えば、アクリレート/C10~30アルキルアクリレートクロスポリマー、ポリアクリレートクロスポリマー-6、又はアクリル酸ヒドロキシエチル及びアクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマーの混合物である。
一実施形態において、増粘剤は、ポリアクリレートクロスポリマー-6である。ポリアクリレートクロスポリマー-6は、Air Liquide Groupの子会社である、Seppicから「Sepimax Zen」として入手可能である。
別の実施形態において、増粘剤は、アクリル酸ヒドロキシエチル及びアクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマーの混合物である。アクリル酸ヒドロキシエチル及び
アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマーの混合物は、Air Liquide Groupの子会社である、Seppicから「Sepinov Weo」として入手可能である。
さらに別の実施形態において、増粘剤は、ポリアクリレートクロスポリマー-6及びアクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマーの混合物である。
一実施形態において、増粘剤は、キサンタンガムである。別の実施形態において、増粘剤は、デヒドロキサンタンガムである。さらに別の実施形態において、増粘剤は、カルボマー又はその塩、例えば、ナトリウムカルボマーである。さらなる実施形態において、増粘剤は、ヒドロキシエチルセルロースである。
適当には、増粘剤は、組成物の全重量に基づいて、約0.1重量%~約10重量%の量で存在する。ある実施形態において、増粘剤は、組成物の全重量に基づいて、約0.2重量%~約5重量%の量で存在する。ある実施形態において、増粘剤は、組成物の全重量に基づいて、約1重量%~約5重量%の量で存在する。別の実施形態において、増粘剤は、組成物の全重量に基づいて、約0.2重量%~約2重量%の量で存在する。
ラメラ膜構造
本発明の組成物は、少なくとも1つのラメラ膜構造を含む。一般に、これは、平面脂質二重膜シート、又は油の滴の周りの緩やかな曲線部を指す。それらはまた、バルク水相中の別個の離散的ラメラとして存在してもよい。これは、丸みを帯びて形成されたリポソーム構造と対照的である。別の実施形態において、それぞれのラメラ膜構造は、液晶と言及されることもある、2つ以上の積み重ねられたラメラ膜構造を形成する。他方の上に一方と、一緒に積み重ねられた2つのラメラ膜構造は、二重ラメラ膜構造として知られている。
O/Wエマルジョンでは、界面活性剤-乳化剤は、親水性頭部が連続相中に向かって面し、疎水性尾部が油滴内に係留されるように配向する。リポソームの場合、これらは典型的には、界面活性剤-乳化剤の界面層の親水性頭部(ここで、リポソーム構造を形成し得るジアルキルリン脂質として示される)が親水性水性コアに向けて配向し、及び最外層については、連続相に向けて配向した水性充填コアである。
系が本明細書にさらに記載されるもの等のラメラ形成構成成分を含むとしても、各系は、リポソーム又はO/Wエマルジョンのいずれかを生成するように調製され得る。それぞれの系の物理的特性は、異なり、以下に概略される。
上に記載された特性は、当技術分野で利用可能な標準的な実験室測定法を使用して測定可能である。これらの特性のすべては、ラメラ構造(例えば、FTIR/XRDによって)を有するO/Wエマルジョン(顕微鏡法、レオロジー、視覚評価)の正確な指示を明らかに与える。
ある実施形態において、少なくとも1つのラメラ膜構造は、リン脂質、及び(ii)本明細書で定義されるとおりの脂肪アルコールを含む。
ある実施形態において、少なくとも1つのラメラ膜構造は、脂肪酸をさらに含む。
ある実施形態において、少なくとも1つのラメラ膜構造は、リン脂質、(ii)脂肪アルコール、及び(iii)脂肪酸を含む。
ある実施形態において、少なくとも1つのラメラ膜構造は、リン脂質、(ii)脂肪アルコール、(iii)脂肪酸、及び(iv)脂肪エステルを含む。別の実施形態において、脂肪エステルは、分枝又は直鎖脂肪酸及び分枝又は直鎖脂肪アルコールを含む。
一実施形態において、少なくとも1つのラメラ膜構造は、(i)リン脂質、(ii)脂肪アルコール、(iii)脂肪酸、及び(iv)分枝脂肪酸と分枝脂肪アルコールとのエステルを含む。
別の実施形態において、少なくとも1つのラメラ膜構造は、(i)リン脂質、(ii)脂肪アルコール、(iii)脂肪酸、及び(iv)直鎖脂肪酸と直鎖脂肪アルコールとのエステルを含む。
別の実施形態において、少なくとも1つのラメラ膜構造は、(i)リン脂質、(ii)脂肪アルコール、(iii)脂肪酸、及び(iv)直鎖又は分枝鎖の脂肪酸及び脂肪アルコールの混合物のエステルを含む。
一実施形態において、ラメラブレンドは、C16~C18鎖長(分枝又は直鎖)の脂肪アルコール、及びC22~C30炭素原子の第2のより長い(分枝又は直鎖)脂肪アルコールを含有する。
適当には、ラメラ膜構造の成分は、組成物の全重量に基づいて、約2.5重量%~約20重量%の量で存在する。ある実施形態において、ラメラ膜構造の成分は、組成物の全重量に基づいて、約3重量%~約15重量%の量で存在する。別の実施形態において、ラメラ膜構造の成分は、組成物の全重量に基づいて、約3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、11重量%、12重量%、13重量%、14重量%又は15重量%の量で存在する。一実施形態において、ラメラ膜構造の成分は、組成物の全重量に基づいて、約8.8重量%の量で存在する。
適当には、エステルは、約1重量%~約75重量%の量でラメラ膜ブレンド中に存在する。ある実施形態において、エステルは、約1重量%~約50重量%の量で存在する。別の実施形態において、エステルは、約5重量%~約50重量%の量で存在する。別の実施形態において、エステルは、ラメラ膜ブレンドの全重量に基づいて、約5重量%~約35重量%で存在する。一実施形態において、エステルは、ラメラ膜ブレンドの全重量に基づいて、約1重量%~約25重量%の量でラメラ膜ブレンド中に存在する。一実施形態において、エステルは、組成物の全重量に基づいて、約0.1重量%~約5重量%の量で存在する。別の実施形態において、エステルは、組成物の全重量に基づいて、約1重量%~約5重量%の量で存在する。
適当には、脂肪酸は、組成物の全重量に基づいて、約0.1重量%~約5重量の量でラメラブレンド中に存在する。別の実施形態において、脂肪酸は、組成物の全重量に基づいて、約0.25重量%~約2.5重量%、又は約0.5重量%~約2.5重量%の量でラメラブレンド中に存在する。
一実施形態において、脂肪アルコールは、組成物の全重量に基づいて、組成物の全重量に基づいて、約2重量%~約15重量%の量でラメラブレンド中に存在する。別の実施形態において、組成物の全重量に基づいて、組成物の全重量に基づいて、約2重量%~約15重量%、又は約2重量%~約7.5重量%の量でラメラブレンド中に存在する。
別の実施形態において、少なくとも1つのラメラ膜構造は、(i)リン脂質、(ii)脂肪アルコール、(iii)脂肪酸、(iv)分枝脂肪酸と分枝脂肪アルコールとのエステル、及びスクアランを含む。
別の実施形態において、少なくとも1つのラメラ膜構造は、(i)リン脂質、(ii)脂肪アルコール、(iii)脂肪酸、(iv)分枝脂肪酸と分枝脂肪アルコールとのエステル、並びに米ぬか油及び/又は米ぬかワックスの少なくとも1種を含む。
別の実施形態において、少なくとも1つのラメラ膜構造は、(i)リン脂質、(ii)脂肪アルコール、(iii)脂肪酸、(iv)分枝脂肪酸と分枝脂肪アルコールとのエステル、並びにフィトステロール、スクアラン、米ぬか油及び/又は米ぬかワックスの少なくとも1種を含む。なおさらなる実施形態において、少なくとも1つのラメラ膜構造は、セラミドをさらに含む。
別の実施形態において、少なくとも1つのラメラ膜構造は、(i)リン脂質、(ii)脂肪アルコール、(iii)脂肪酸、(iv)分枝脂肪酸と分枝脂肪アルコールとのエステル、並びにフィトステロール、スクアラン、米ぬか油、米ぬかワックス、及びスフィンゴ脂質又はスフィンゴ脂質模倣物の少なくとも1種を含む。一実施形態において、スフィンゴ脂質は、セラミド以外である。
別の実施形態において、少なくとも1つのラメラ膜構造は、(i)リン脂質、(ii)脂肪アルコール、(iii)脂肪酸、(iv)分枝脂肪酸と分枝脂肪アルコールとのエステル、フィトステロール、並びに場合により、スクアラン、米ぬか油、米ぬかワックス、ペンチレングリコール、及びスフィンゴ脂質又はスフィンゴ脂質模倣物の少なくとも1種を含む。一実施形態において、スフィンゴ脂質は、セラミド以外である。
別の実施形態において、少なくとも1つのラメラ膜構造は、(i)リン脂質、(ii)脂肪アルコール、(iii)脂肪酸、(iv)分枝脂肪酸と分枝脂肪アルコールとのエステル、フィトステロール、並びに米ぬか油、米ぬかワックス、スクアラン、フィトステロール、コレステロールもしくはコレステロール誘導体、スフィンゴ脂質もしくはスフィンゴ脂質模倣物、又はトリグリセリドの少なくとも1種を含む。一実施形態において、スフィンゴ脂質は、セラミド以外である。
本組成物で使用される脂質の多くは、ヒト角質層に見出される脂質と同じか又は同様である。
適当には、少なくとも1つのラメラ膜構造は、組成物の全重量に基づいて、約0.15重量%~約5重量%の量で存在する。
ラメラ膜構造は、本発明の最終組成物を処方する前に調製され得る。一実施形態において、ラメラ膜構造はまた、皮膚膜構造、例えば、それらの開示が部分的に参照により組み込まれる、Albrechtら、米国特許第7,001,604号明細書; Albrechtら、米国特許出願公開第2011/0027327号明細書;及びAlbrechtら、国際公開第2007/112712号に詳細に開示されたとおりのいくつかの特許及び特許出願の教示に従って調製されたDMS(登録商標)濃縮物(本明細書でProbiol(商標)とも称される)と称されてもよい。
ある実施形態において、DMS(登録商標)濃縮物中のリン脂質は、水素化レシチンであり、濃縮物は、水及び脂質をさらに含む。別の実施形態において、ラメラ膜構造組成物は、リン脂質、水、並びに米ぬか油及び米ぬかワックスを含む。
米ぬか油は、Oryza Sativaぬか油としても知られ、米ぬかワックスは、Oriza Sativa Ceraとしても知られる。米ぬか油は、38%の一価不飽和、37%の多価不飽和及び25%の飽和脂肪酸を有して、落花生油と同様の組成物を有する。米ぬかワックスは、米ぬか油から抽出された野菜ワックスである。それは、C16~C30脂肪酸をワックスエステル形態で含有する。
一実施形態において、ラメラ膜構造組成物は、水素化レシチン、シアバター、スクアラン、ペンチレングリコール、グリセリン、パルミトイルモノエタノールアミド(MEA)(又は(PMEA)と称される)、水、及び場合により、セラミド-3、米ぬか油、米ぬかワックス又はフィトスフィンゴシンを含む。
Kuhs GmBHは、本明細書で本発明に使用のため含まれる、DMS(登録商標)03007、03015、03016、03017、03020及び03031等のDMS(登録商標)濃縮物という名称の様々なラメラ濃縮物に関する商業的情報を提供してきている。
適当には、濃縮物としてのラメラ膜構造は、最終組成物の全重量に基づいて、約1重量%~約90重量%の、最終組成物中の相に相当し得る。一実施形態において、濃縮物は、組成物の全重量に基づいて、約10重量%~約50重量%の量で存在する。別の実施形態において、濃縮物としてのラメラ膜構造は、組成物の全重量に基づいて、約10重量%~約30重量%の量で存在する。さらに別の実施形態において、濃縮物としてのラメラ膜構造は、組成物の全重量に基づいて、約15重量%の量で存在する。
本開示の別の実施形態において、ラメラ膜構造は、少なくとも1種のアルコール、特に多価アルコールをさらに含んでもよい。適当な多価アルコールには、限定されないが、ペンチレングリコール、カプリリルグリコール、フェニルエチルアルコール、デシレングリコール、グリセリン、又はそれらの混合物が含まれる。一実施形態において、ラメラ膜構造は、グリセリンを含む。別の実施形態において、ラメラ膜構造は、ペンチレングリコールを含む。別の実施形態において、ラメラ膜構造は、ペンチレングリコール及びグリセリンを含む。
皮膚科学的に許容される賦形剤
本発明の組成物は、少なくとも1種の皮膚科学的に許容される賦形剤をさらに含んでもよい。
ある実施形態において、皮膚科学的に許容される賦形剤は、酸化防止剤、キレート剤、防腐剤、着色剤、感覚剤、保湿剤、湿潤剤、及びpH調整剤、並びにそれらの混合物からなる群から選択される。
ある実施形態において、本発明の組成物は、慣用乳化剤を含まないか、又は実質的に含まない。
酸化防止剤
本発明の組成物は、酸化防止剤をさらに含んでもよい。ある実施形態において、酸化防止剤は、2種以上の酸化防止剤の混合物である。
酸化防止剤は、組成物を酸化(例えば、酸敗すること)から保護することができ、及び/又は口唇への適用後に口唇コンディショニング利益を与える。トコフェロール、酢酸トコフェリル、一部のボタニカルバター、ニアシンアミド、プテロスチルベン(トランス-3,5-ジメトキシ-4-ヒドロキシスチルベン)マグノロール、及び緑茶抽出物(単独又はそれらの組み合わせで)は、組成物における使用に適する例示的な天然生成物酸化防止剤である。他の適当な酸化防止剤には、アスコルビン酸及びそのエステル、例えば、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル、ビタミンE TPGS、フェルラ酸エチル、フェルラ酸、レスベラトロール、2,2-ジメチルクロマン(Lipochroman(登録商標))、シンガパイン(singapine)、テトラヒドロクルクミン又は他のクルクミン誘導体、ヒドロキシチロソール、ビス-エチルヘキシルヒドロキシジメトキシベンジルマロレート(Ronacare AP(登録商標))、ジメチルメトキシクロマニルパルミテート(Chromabright(登録商標))、又はそれらの組み合わせもしくは混合物が含まれる。これらの酸化防止剤のすべての組み合わせ又は混合物も、本明細書での使用に適することが認識される。一実施形態において、酸化防止剤は、トコフェロール、又はトコフェロールとパルミチン酸アスコルビルとの混合物である。別の実施形態において、酸化防止剤は、ニアシンアミドである。
適当には、酸化防止剤は、組成物の全重量に基づいて、約0.001重量%~約1重量%の量で存在する。
キレート剤
本発明の組成物は、キレート剤をさらに含んでもよい。ある実施形態において、キレート剤は、2種以上のキレート剤の混合物である。
例示的なキレート剤には、限定されないが、クエン酸、グルクロン酸、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸亜鉛、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレンジアミン二コハク酸(EDDS)、ホスホレート、それらの塩、又はそれらの組み合わせもしくは混合物が含まれる。
一実施形態において、キレート剤は、EDTA又はその塩、例えば、EDTAのカリウム、ナトリウム又はカルシウム塩である。別の実施形態において、キレート剤は、エチレンジアミンコハク酸又はその塩、例えば、カリウム、ナトリウムもしくはカルシウム塩である。1つの特定の実施形態において、キレート剤は、エチレンジアミン二コハク酸三ナトリウムである。
適当には、キレート剤は、組成物の全重量に基づいて、約0.1重量%~約1重量%の量で存在する。
防腐剤
本発明の組成物は、防腐剤をさらに含んでもよい。ある実施形態において、防腐剤は、2種以上の防腐剤の混合物である。
例示的な防腐剤には、限定されないが、ベンジルアルコール、ジアゾリジニル尿素もしくは他の置換尿素及びヒダントイン誘導体、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、フェノキシエタノール、ソルビン酸、安息香酸、プロピレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、それらの塩、又はそれらの組み合わせもしくは混合物が含まれる。
ある実施形態において、防腐剤は、非慣用防腐剤、例えば、カプリロイルグリシン、1,2-ヘキサンジオール及び他のグリコール類の組み合わせである。他の適当なグリコール類には、限定されないが、カプリリルグリコール及び/又はペンチレングリコールが含まれる。一実施形態において、防腐剤は、ペンチレングリコール及びヘキシレングリコールの混合物である。
適当には、これらの防腐剤は、組成物の全重量に基づいて、約0.01重量%~約5重量%の量で存在する。別の実施形態において、防腐剤は、約0.01重量%~約2重量%の量で存在する。
一実施形態において、カプリロイルグリシンは、約0.5重量%~約2重量%の量で存在し、追加のグリコール類は、組成物の全重量に基づいて、5重量%までの量で添加され得る。適当には、防腐剤は、組成物の全重量に基づいて、約0.5重量%~約2重量%の量での少なくともカプリロイルグリシン及びカプリリルグリコールの組み合わせである。
代わりの実施形態において、本発明の組成物は、慣用防腐剤を含まない。
保湿剤
本発明の組成物は、保湿剤をさらに含んでもよい。本組成物で有用な例示的な保湿剤には、限定されないが、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、カルボン酸ピロリドンナトリウム、α-ヒドロキシ酸、β-ヒドロキシ酸、エトキシル化及びプロポキシル化ポリオール、多糖類、パンテノール、ソルビトール、ヒアルロン酸及びその塩、例えば、ナトリウム、カリウム又はカルシウム塩、並びにそれらの混合物が含まれる。
適当には、保湿剤は、組成物の全重量に基づいて、約0.5重量%~約10重量%の量で存在する。
湿潤剤
本発明の組成物は、湿潤剤をさらに含んでもよい。本組成物で有用な例示的な湿潤剤には、限定されないが、グリセリン、ベタイン、サルコシン、パンテノール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、カプリリルグリコール、ソルビトール及びグルコース、並びにそれらの混合物が含まれる。
一実施形態において、湿潤剤は、グリセリン及びパンテノールの混合物である。
適当には、湿潤剤は、組成物の全重量に基づいて、約1重量%~約15重量%の量で存在する。
pH調整剤
本発明の組成物は、pH調整剤をさらに含んでもよい。一実施形態において、pH調整剤は、塩基である。適当な塩基には、アミン、重炭酸塩、炭酸塩、及び水酸化物、例えば、アルカリ又はアルカリ土類金属水酸化物、並びに遷移金属水酸化物が含まれる。ある実施形態において、塩基は、ナトリウム水酸化物又はカリウム水酸化物である。
別の実施形態において、pH調整剤は、酸、酸塩、又はそれらの混合物である。適当には、酸は、乳酸、酢酸、マレイン酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、ホウ酸、ソルビン酸、酒石酸、エデト酸、リン酸、硝酸、アスコルビン酸、デヒドロ酢酸、リンゴ酸、プロピオン酸、硫酸及び塩酸、又はそれらの組み合わせもしくは混合物からなる群から選択される。
さらに別の実施形態において、pH調整剤は、緩衝剤である。適当には、緩衝剤は、クエン酸塩/クエン酸、酢酸塩/酢酸、リン酸塩/リン酸、プロピオン酸塩/プロピオン酸、乳酸塩/乳酸、炭酸塩/炭酸、アンモニウム/アンモニア及びエデト酸塩/エデト酸、又はそれらの組み合わせもしくは混合物からなる群から選択される。
着色剤
本発明の組成物は、組成物及び/又は口唇に色を付与する着色剤をさらに含んでもよい。リップバルムの場合、着色剤は、適用中に口唇への着色剤の移行を可能にする、量、粒子サイズ、及び/又はマトリックスのものであるべきでない。リップスティックの場合、口唇に色を移行及び付与する着色剤が使用されるべきである。着色剤には、例えば、天然着色剤、例えば、植物抽出物、天然鉱物、カーマイン、合成及び/又は加工着色剤材料、例えば、酸化鉄、合成染料、有機化合物、レーキ着色剤、及び唇での使用のためのFDA認定着色剤が含まれる。上記リストは、着色剤の網羅的リストではなく、当業者は、他の着色剤の使用を考慮してもよい。着色剤の配合物は、市販されている。市販着色剤の一例は、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド(59.5%)、二酸化チタン(39.6%)、リン酸ヒマシ油(0.5%)及びトリエトキシカプリリルシラン(0.4%)を含有する。二酸化チタンを含有する着色剤の使用は、日焼け止め剤、例えば、アボベンゾンの安定性に影響を与え得る。被覆二酸化チタンを含有する着色剤は、アボベンゾンの安定性を増強し得る。場合により、一部の実施形態において、色増強剤、例えば、真珠光沢材料等を含むことが望ましくあり得る。
感覚剤
本発明の組成物は、感覚剤をさらに含んでもよい。感覚剤は、例えば、皮膚及び/又は唇と接触する場合に、加熱又は冷却等の感覚認知を開始する組成物である。例示的な感覚剤には、限定されないが、ミント抽出物、シナモン抽出物及びカプサイシンが含まれる。好ましい感覚剤は、天然源に由来する。しかしながら、合成感覚剤は、本発明の範囲内である。感覚剤は、典型的には高い効力を有し、したがって、低レベルで相当の影響をもたらし得る。適当には、感覚剤は、組成物の全重量に基づいて、約0.05重量%~約5重量%の量で存在する。
薬学的活性剤
本発明の組成物は、薬学的に許容される活性剤をさらに含んでもよい。
例示的な薬学的活性剤には、限定されないが、抗炎症剤、抗細菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗寄生虫剤、栄養剤、日焼け止め剤(sunscreen)、日焼け止めクリーム(sun block)、及びそれらの混合物が含まれる。適当には、薬学的活性剤は、活性剤の性質、処置される状態、及び組成物に依存して、約0.001重量%~約30重量%の量で存在する。
一実施形態において、薬学的活性剤は、抗炎症剤である。例示的な抗炎症剤は、限定されないが、ラクタミドモノエタノールアミド(MEA)、オレアミドMEA、アセトアミドMEA(AMEA)、パルミトイルMEA(PMEA)、N-アセチルホスファチジルエタノールアミン、N-アセチルエタノールアミン、N-オレイルエタノールアミン、N-リノレノイルエタノールアミン、N-アシルエタノールアミン、及びN-アシル-2-ヒドロキシ-プロピルアミンを含めて、ニアシンアミド及びN-アシルアルカノールアミンである。一実施形態において、N-アシルアルカノールアミンは、組成物の全重量に基づいて、約0.01重量%~約2重量%の量で存在する。
一実施形態において、N-アシルアルカノールアミンは、パルミチジルMEA(PMEA)である。
適当には、N-アシルアルカノールアミンは、組成物の全重量に基づいて、約0.01重量%~約2重量%の量で存在する。
別の実施形態において、抗炎症剤は、ニアシンアミドである。
適当には、ニアシンアミドは、組成物の全重量に基づいて、約0.01重量%~約5重量%の量で存在する。
別の実施形態において、薬学的活性剤は、日焼け止め剤である。適当には、日焼け止め剤は、UVA及び/又はUVB日焼け止め剤である。適当には、日焼け止め剤は、UVA日焼け止め剤及びUVB日焼け止め剤の組み合わせである。
UVA及びUVB放射線からの効果的保護は、UVAとUVBとの両方の放射線から効果的保護を達成するために、相当の量の日焼け止め剤、及びしばしば、有機日焼け止め剤の混合物の使用を必要とする。290nm~320nmの波長範囲の放射線である、UVB放射線は、伝統的に日焼けを引き起こす放射線と特徴付けられてきた。加えて、UVB放射線は、皮膚における酵素的及び非酵素的酸化防止剤を減少させ、皮膚における自然な保護機構を損ない、それにより、DNA損傷及び潜在的皮膚がんの一因となり得る。320nm~400nmの波長範囲の放射線である、UVA放射線の危険は、最近認識されたに過ぎない。UVA放射線への慢性的曝露は、遺伝子p53 DNAに損傷を生じさせ、恐らくはがんをもたらし得る。さらに、より長いUVA波長は、皮膚組織中への比較的深い侵入を可能にし、皮膚にその形状を与える弾性線維及びコラーゲンに損傷を生じさせ、したがって、皺付き及び結果として、未成熟皮膚老化をもたらす。したがって、UVA及びUVB放射線からの皮膚の保護は、皮膚健康及びより全体として健康全体にとって重要である。
本明細書での目的のために、波長範囲は以下のとおりである:UVA1:340~400nm、UVA2:320~340nm、及びUVB:290~。適当なUVA1及びUVA2フィルタには、限定されないが、アボベンゾン(ブチルメトキシジベンゾイルメタン)(パーソル1789、ユーソレックス9020)、ビスジスリゾール二ナトリウム(ネオヘリオパンAP)、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート(ユビナールAプラス)、ドロメトリゾールトリシロキサン(メクソリルXL)、アントラニル酸メンチル(メラジメート)、オキシベンゾン、スリソベンゼン及びジオキシベンゾン、並びにそれらの混合物が含まれる。
UVBフィルタには、限定されないが、アミロキサート、4-アミノ安息香酸(PABA)、シノキサート、エチルヘキシルトリアゾン/オクチルトリアゾン(ユビナールT150)、ホモサレート、4-メチルベンジリデンカンファー(パーソル5000)、オクチルメトキシシンナメート(オクチノキサート)(パーソルMCX)、サリチル酸オクチル/サリチル酸エチルヘキシル(オクチサラート)、パジメートO(エスカロール507)、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(エンスリゾール)、ポリシリコーン-15(パーソルSLX)、エンザカメン、及びサリチル酸トロールアミン、並びにそれらの混合物が含まれる。
UVA+UVBフィルタには、限定されないが、ベモトリジノール(チノソーブS)、ベンゾフェノン1~12、ジオキシベンゾン、テレフタリリデンジカンファースルホン酸(エカムスル(Ecamsule))(メキソリルSX)、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン/イスコトリジノール(ユバソーブHEB)、オクトクリレン、オキシベンゾン(ユーソレックス4360)、ベンゾフェノン-4(スリソベンゾン)、ビスオクトリゾール(チノソーブM)、ヘリオレックス(アボベンゾン及びオキシベンゾンの組み合わせ)、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(エンスリゾール)、ベンゾフェノン-8、及びそれらの混合物が含まれる。
本発明で有用な他の例示的な日焼け止め剤(重量%でのそれぞれの日焼け止め剤の最大適当量とともに)には、限定されないが、アミノ安息香酸(約15%)、アボベンゾン(約3%)、シノキサート(約3%)、オクチルメトキシシンナメート(オクチノキサート)(約10%)、ホモサレート(約15%)、メラジメート(約5%)、オクトクリレン(約10%)、サリチル酸エチルヘキシル(サリチル酸オクチル又はオクチサレートとしても知られる)(約5%)、オキシベンゾン(約6%)、ジオキシベンゾン(約3%)、オクチルジメチルPABA(パジメートO)(約8%)、p-アミルジメチルPABA(パジメートA)(約3%)、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(エンスリゾール)(約4%)、スリソベンゼン(約10%)、サリチル酸トロールアミン(約12%)、ベンゾフェノン(約10%)、ベンジリジン化合物、例えば、4-メチルベンジリジンカンファー(パーソル5000)(約6%)、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(約5%)、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(ベモトリジノール又はチノソーブS)(約10%)、カンファーベンズアルコニウムメトスルフェート(約6%)、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート(ユビナールAプラス)(約10%)、ジエチルヘキシルブタミドトリアジン(ユバソーブHEB)(約10%)、フェニルジベンジルミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム(ビスジスリゾール二ナトリウム又はネオヘリオパンAP)(約10%)、ドロメトリゾールトリシロキサン(シラトリアゾール又はメキソリルXL)(約15%)、エチルヘキシルジメチルパラ-アミノ安息香酸(約8%)、メトキシナモン酸エチルヘキシル(約10%)、エチルヘキシルトリアゾン(ユビナールT150)(約5%)、p-メトキシシナモン酸イソアミル(約10%)、4-メチルベンジリデンカンファー(約10%)、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(ビスオクトリゾール又はチノソーブM)(約10%)、PEG-25パラマイノ安息香酸(約5%)、フェニルベンズアミドメチルベンジリデンカンファー(約6%)、シナモン酸ジイソプロピルメチル(約10%)、ジメトキシフェニル-[1-(3,4)-4,4-ジメチル]1,3ペンタンジオン(約7%)、エチルヘキシルジメチルオキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオネート(約3%)、フェルラ酸(約10%)、グリセリルエチルヘキサノエートジメトキシシンナメート(約10%)、グリセロールパラ-アミノ安息香酸(約10%)、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(約3%)及びパーソルSLX(ベンジリデンマロネートポリシロキサン)、並びにそれらの混合物が含まれる。前述のリストで列挙された量は、個別にそれぞれの日焼け止め剤についてのものである。日焼け止め剤の組み合わせ又は混合物が使用される一部の実施形態において、日焼け止め剤の全組み合わせ量は、それぞれの個別日焼け止め剤についての最大適当量の総和以下であってもよい。
本明細書で使用される場合、用語「シンナメート類」には、オクチノキサート、シノキサート及びp-メトキシシナモン酸イソアミルが含まれる。
本明細書で使用される場合、用語「サリチレート類」には、オクチサレート、ホモサレート、及びサリチル酸トロールアミンが含まれる。
本明細書で使用される場合、用語「ベンゾフェノン類」には、オキシベンゾン、スリソベンゾン、及びジオキシベンゾンが含まれる。
本明細書で使用される場合、用語「PABA及び誘導体」には、PABA(p-アミノ安息香酸)、オクチルジメチルPABA(パジメートO)、p-アミルジメチルPABA(パジメートA)、エチル4[ビス(ヒドロキシプロピル)]アミノベンゾエート、及びグリセリルPABAが含まれる。
アボベンゾン、及びベンゾフェノン類、並びに一部の他の日焼け止め剤は、光不安定性である。したがって、これらの日焼け止め剤は、最終製品の光安定性を増加させるために他の日焼け止め剤又は安定剤としばしば組み合わされる。本明細書で効果促進剤(booster)とも称される一部の適当な光安定剤には、限定されないが、オクトクリレン、2,6-ナフタレン酸ジエチルヘキシル、及びシリンギリデンマロン酸ジエチルヘキシルが含まれる。一実施形態において、光安定剤は、シリンギリデンマロン酸ジエチルヘキシルである。
単一日焼け止め剤が、組成物中で使用されてもよいが、典型的には日焼け止め剤の組み合わせが、それぞれの日焼け止め剤が、それがUV線(UVR)を吸収する特徴的波長範囲を有するとおりに使用され、典型的にはその範囲は、それに対して保護が望まれる範囲全体よりも小さい。したがって、日焼け止め剤の組み合わせの使用は、波長のより広い範囲にわたって保護を与える。さらに、保護の効力は、日焼け止め剤の量にも関係する。規制機関が、使用され得るそれぞれの日焼け止め剤の量を制限するので、複数の日焼け止め剤の使用は、SPFを改善する一方で、規制遵守を維持する。
有機日焼け止め剤及びそれらの効果的波長範囲(適当量と一緒の)は、以下のとおりである:アミノ安息香酸(260nm~313nm、約5%~約15%);パジメートO(290nm~315nm、約1.4%~約8%);ジオキシベンゾン(260nm~380nm、約1%~約3%);オキシベンゾン(270nm~350nm、約2%~約6%);スリソベンゾン(260nm~375nm、約5%~約10%);シノキサート(270nm~328nm、約1%~約3%);オクトクリレン(250nm~360nm、約7%~約10%);アボベンゾン(320nm~400nm、約1%~約3%);サリチル酸オクチル(280nm~320nm、約3%~約5%);ホモサレート(295nm~315nm、約4%~約15%);サリチル酸トロールアミン(260nm~320nm、約5%~約12%);オクチノキサート(290nm~320nm、約2%~約7.5%)。
一実施形態において、第1の日焼け止め剤は約280nm~約315nmを含む効果的波長範囲を有し、第2の日焼け止め剤は約315nm~約400nmを含む効果的波長範囲を有する、少なくとも2種の日焼け止め剤が使用される。
一実施形態において、少なくとも1種のUVA日焼け止め剤は、アボベンゾン、及び/又はジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート(ユビナールAプラス)である。
ある実施形態において、少なくとも1種のUVB日焼け止め剤は、単独又はそれらの混合物で、エチルヘキシルトリアゾン(ユビナールT150)、メトキシシナモン酸オクチル(オクチノキサート)、及び/又はサリチル酸オクチル(オクチサレート)である。
ある実施形態において、UVA+UVBフィルタである、少なくとも1種の日焼け止め剤は、ベモトリジノール(チノソーブS)、イスコトリジノール(ユバソーブHEB)、オクトクリレン、及びビスコトリゾール(チノソーブM)、並びにそれらの混合物である。
一実施形態において、サンフィルタは、ベモトリジノール、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート、p-メトキシシナモン酸イソアミル、場合によりチノソーブA2Bの組み合わせを含む。
別の実施形態において、サンフィルタは、チノソーブS、チノソーブM、及びメトキシシナモン酸オクチルの組み合わせを含む。
別の実施形態において、サンフィルタは、チノソーブS、チノソーブM、メトキシシナモン酸オクチル、及びユビナールAプラスの組み合わせを含む。
別の実施形態において、少なくとも1つのラメラ膜構造は、(i)約0.5重量%~約2.5重量%の量で存在するリン脂質、(ii)約2重量%~約10重量%の量で存在する脂肪アルコール、及び(iii)約0.5重量%~約2.5重量%の量で存在する脂肪酸を含み、ここで、すべての百分率は、組成物の全重量に基づく。
さらに別の実施形態において、少なくとも1つのラメラ膜構造は、(i)約0.5重量%~約2.5重量%の量で存在するリン脂質、(ii)約2重量%~約7.5重量%の量で存在する脂肪アルコール、(iii)約0.25重量%~約2.5重量%の量で存在する脂肪酸、及び(iv)約0.25重量%~約2.5重量%の量で存在する、分枝脂肪酸と分枝脂肪アルコールとのエステルを含み、ここで、すべての百分率は、組成物の全重量に基づく。
さらに別の実施形態において、少なくとも1つのラメラ膜構造は、(i)約0.5重量%~約2.5重量%の量で存在するリン脂質、(ii)約2重量%~約7.5重量%の量で存在する脂肪アルコール、及び(iii)約0.25重量%~約2.5重量%の量で存在する、分枝脂肪酸と分枝脂肪アルコールとのエステルを含み、ここで、すべての百分率は、組成物の全重量に基づく。
したがって、ある実施形態において、本発明は、
a)不連続油相、
b)水を含む連続水相、
c)増粘剤、
d)1種以上のグリセリンのモノ脂肪酸エステル及び/もしくは1種以上のグリコールのモノ脂肪酸エステル、又はそれらの混合物、並びに
e)(i)約0.5重量%~約5重量%の量で存在するリン脂質、及び(ii) 約2重量%~約15重量%の量で存在する脂肪アルコールを含む少なくとも1つのラメラ膜構造
を含む、局所用水中油型エマルジョン組成物であって、
使用時に、グリセリンのモノ脂肪酸エステル及び/又はグリコールのモノ脂肪酸エステルを含有しない組成物よりも小さい、修正WVTR試験方法を使用してインビトロで測定された水蒸気透過率を有する、組成物を提供する。
ある実施形態において、組成物は、修正WVTR試験方法を使用してインビトロで測定された約70g.m-2.時間-1未満の水蒸気透過率を有する。別の実施形態において、組成物は、修正WVTR試験方法を使用してインビトロで測定された約65g.m-2.時間-1未満の水蒸気透過率を有する。
一実施形態において、本発明は、
a)不連続油相、
b)水を含む連続水相、
c)増粘剤、
d)1種以上のグリセリンのモノ脂肪酸エステル及び/もしくは1グリコールの種以上のモノ脂肪酸エステル、又はそれらの混合物、並びに
e)(i)約0.5重量%~約2.5重量%の量で存在するリン脂質、(ii) 約2重量%~約10重量%の量で存在する脂肪アルコール、及び(iii)約0.5重量%~約2.5重量%の量で存在する脂肪酸を含む少なくとも1つのラメラ膜構造
を含む、局所用水中油型エマルジョン組成物であって、
使用時に、グリセリンのモノ脂肪酸エステル及び/又はグリコールのモノ脂肪酸エステルを含有しない組成物よりも小さい、修正WVTR試験方法を使用してインビトロで測定された水蒸気透過率を有する、組成物を提供する。
別の実施形態において、本発明は、
a)不連続油相、
b)水を含む連続水相、
c)増粘剤、
d)1種以上のグリセリンのモノ脂肪酸エステル及び/もしくは1グリコールの種以上のモノ脂肪酸エステル、又はそれらの混合物、並びに
e)(i)約0.5重量%~約2.5重量%の量で存在するリン脂質、(ii) 約2重量%~約10重量%の量で存在する脂肪アルコール、(iii)約0.5重量%~約2.5重量%の量で存在する脂肪酸、及び(iv)約0.25重量%~約2.5重量%の量で存在する分枝脂肪酸と分枝脂肪アルコールとのエステルを含む少なくとも1つのラメラ膜構造
を含む、局所用水中油型エマルジョン組成物であって、
使用時に、グリセリンのモノ脂肪酸エステル及び/又はグリコールのモノ脂肪酸エステルを含有しない組成物よりも小さい、修正WVTR試験方法を使用してインビトロで測定された水蒸気透過率を有する、組成物を提供する。
さらに別の実施形態において、本発明は、
a)不連続油相、
b)水を含む連続水相、
c)増粘剤、
d)1種以上のグリセリンのモノ脂肪酸エステル及び/もしくは1グリコールの種以上のモノ脂肪酸エステル、又はそれらの混合物、並びに
e)(i)水素化ホスファチジルコリンであるリン脂質、(ii) ベヘニルアルコール、(iii)ベヘン酸、及び(iv)イソステアリン酸イソステアリルを含む少なくとも1つのラメラ膜構造
を含む、局所用水中油型エマルジョン組成物であって、
使用時に、グリセリンのモノ脂肪酸エステル及び/又はグリコールのモノ脂肪酸エステルを含有しない組成物よりも小さい、修正WVTR試験方法を使用してインビトロで測定された水蒸気透過率を有する、組成物を提供する。
さらなる実施形態において、本発明は、
a)不連続油相、
b)水を含む連続水相、
c)増粘剤、
d)1種以上のグリセリンのモノ脂肪酸エステル及び/もしくは1グリコールの種以上のモノ脂肪酸エステル、又はそれらの混合物、並びに
e)(i)水素化ホスファチジルコリン、(ii) ベヘニルアルコール及びセチルアルコールの混合物、(iii)ベヘン酸、並びに(iv)イソステアリン酸イソステアリルを含む少なくとも1つのラメラ膜構造
を含む、局所用水中油型エマルジョン組成物であって、
使用時に、グリセリンのモノ脂肪酸エステル及び/又はグリコールのモノ脂肪酸エステルを含有しない組成物よりも小さい、修正WVTR試験方法を使用してインビトロで測定された水蒸気透過率を有する、組成物を提供する。
一実施形態において、本発明は、
a)不連続油相、
b)水を含む連続水相、
c)増粘剤、
d)1種以上のグリセリンのモノ脂肪酸エステル及び/もしくは1グリコールの種以上のモノ脂肪酸エステル、又はそれらの混合物、並びに
e)(i)約0.5重量%~約2.5重量%の量で存在する水素化ホスファチジルコリン、(ii)セチルアルコール及びベヘニルアルコールの混合物である、 約2重量%~約7.5重量%の量で存在する脂肪アルコール、(iii)ベヘン酸である、約0.5重量%~約2.5重量%の量で存在する脂肪酸、並びに(iv)イソステアリン酸イソステアリルである、約0.25重量%~約2.5重量%の量で存在する分枝脂肪酸と分枝脂肪アルコールとのエステルを含む少なくとも1つのラメラ膜構造
を含む、局所用水中油型エマルジョン組成物であって、
使用時に、グリセリンのモノ脂肪酸エステル及び/又はグリコールのモノ脂肪酸エステルを含有しない組成物よりも小さい、修正WVTR試験方法を使用してインビトロで測定された水蒸気透過率を有する、組成物を提供する。
ある実施形態において、少なくとも1つのラメラ膜構造は、(i)リン脂質及び(ii)直鎖C12~C36脂肪アルコールを含む。
別の実施形態において、少なくとも1つのラメラ膜構造は、(i)リン脂質、(ii)直鎖C12~C36脂肪アルコール、及び(iii)直鎖C12~C36脂肪酸を含む。
さらに別の実施形態において、少なくとも1つのラメラ膜構造は、(i)リン脂質、(ii)直鎖C12~C36脂肪アルコール、(iii)直鎖C12~C36脂肪酸、及び(iv)C12~C30分枝鎖脂肪酸とC12~C3分枝鎖脂肪アルコールとのエステルを含む。
実施形態において、
a)不連続油相、
b)水を含む連続水相、
c)増粘剤、
d)1種以上のグリセリンのモノ脂肪酸エステル及び/もしくは1グリコールの種以上のモノ脂肪酸エステル、又はそれらの混合物、並びに
e)(i)水素化ホスファチジルコリン、(ii)セチルアルコール及びベヘニルアルコールの混合物、(iii)ベヘン酸、並びに(iv)イソステアリン酸イソステアリルを含む少なくとも1つのラメラ膜構造
を含む、局所用水中油型エマルジョン組成物であって、
使用時に、グリセリンのモノ脂肪酸エステル及び/又はグリコールのモノ脂肪酸エステルを含有しない組成物よりも小さい、修正WVTR試験方法を使用してインビトロで測定された水蒸気透過率を有する、組成物を提供する。
ある実施形態において、組成物は、修正WVTR試験方法を使用してインビトロで測定された約70g.m-2.時間-1未満の水蒸気透過率を有する。別の実施形態において、組成物は、修正WVTR試験方法を使用してインビトロで測定された約65g.m-2.時間-1未満の水蒸気透過率を有する。別の実施形態において、組成物は、修正WVTR試験方法を使用してインビトロで測定された約60g.m-2.時間-1未満の水蒸気透過率を有する。
本配合物は、必要な賦形剤として伝統的界面活性剤を含まないことが留意されるべきである。したがって、一実施形態において、本発明の配合物は、少量、例えば、0.5重量%、0.4重量%未満、0.3重量%未満、0.2重量%未満、0.1重量%未満、及び無の0.0重量%の伝統的界面活性剤を含み得る。そのようなものとして、これは、アニオン性、カチオン性、非イオン性及び双性イオン性界面活性剤が意味される。
伝統的アニオン性界面活性剤には、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸ナトリウム(ドデシル硫酸ナトリウム、SLS、又はSDS)、及び関連アルキル-エーテル硫酸ラウレス
硫酸ナトリウム(ラウリルエーテル硫酸ナトリウム又はSLES)、ドキュセート(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)、パーフルオロオクタンスルホネート(PFOS)、アルキル-アリールエーテルホスフェート及びアルキルエーテルホスフェートが含まれる。伝統的カチオン性界面活性剤には、臭化セントリモニウム(CTAB)、塩化セチルピリジニウム(CPC)、及び塩化ベンザルコニウム(BAC)が含まれる。伝統的双性イオン性界面活性剤には、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、及びコカミドプロピルベタインが含まれる。伝統的非イオン性界面活性剤には、ポリエチレングリコールアルキルエーテル(例えば、Brij)、ポリプロピレングリコールアルキルエーテル;グルコシドアルキルエーテル、例えば、デシルグルコシド、ラウリルグルコシド、及びオクチルグルコシド;ポリエチレングリコールオクチルフェニルエーテル、例えば、トリトンX-100;ポリエチレングリコールアルキルフェニルエーテル、例えば、ノノキシノール-9;グリセロールアルキルエステル、例えば、ラウリル酸グリセリル;ポリオキシエチレングリコールソルビタンアルキルエステル、例えば、ポリソルベート;ソルビタンアルキルエステル、例えば、スパム;並びにポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとのブロックコポリマー、例えば、ポロキサマーが含まれる。
定義
本明細書で使用される場合、「脂肪アルコール」又は「脂肪酸」等に関連して使用されるような用語「長鎖」又は「脂肪の(fatty)」は、直鎖又は分枝、飽和又は不飽和であってもよく、かつ適当には12~36個の炭素原子から構成される炭化水素主鎖を指す。一実施形態において、鎖は、16~26個の炭素原子である。別の実施形態において、鎖は、16~22個の炭素原子である。一実施形態において、鎖は、22~30個の炭素原子である。一実施形態において、鎖は、16~26個の炭素原子である。別の実施形態において、鎖は、16~22個の炭素原子である。別の実施形態において、鎖は、20~22個の炭素原子である。別の実施形態において、鎖は、20~30個の炭素原子、適当には22~30個の炭素原子である。別の実施形態において、鎖は、22~28個の炭素原子である。
本明細書で使用される場合の用語「適用する(applying)」は、健全な医療又は化粧実践において、皮膚科学的障害、状態又は外観にプラス効果を与えるように、対象の唇に局所用組成物を送達する任意の方法を指す。組成物は、好ましくはそれらが口唇全体に及ぶように投与される。
本明細書で使用される場合、句「有効量」又は「治療有効量」は、適用の領域にプラス効果を有するのに十分な組成物又はその成分の量を指す。したがって、これらの量は、健全な医学的助言の範囲内で、処置される皮膚障害、状態又は外観を緩和するのに十分であるが、深刻な副作用を回避するのには十分低い。有効量は、時間にわたって繰り返して適用される場合、症状の実質的な軽減をもたらす。有効量は、処置される特定の状態(単数又は複数)、状態の重症度、処置の期間、及び使用される組成物の具体的成分によって変わる。
日焼け止め剤の「有効量」は、測定可能な日焼け止め指数(Sun Protection Factor(SPF))値及び/又はUVA保護値を有することにより決定して、太陽放射からの測定可能な保護を与えるのに十分な日焼け止め剤の量である。
用語「SPF」(日焼け止め指数)は、非保護皮膚で最小紅斑線量をもたらすのに必要なUVBエネルギーで除した、日焼け止め剤処置皮膚で最小紅斑線量をもたらすのに必要なUVBエネルギーを意味する。
用語「約」は、当業者によって決定して具体化された特定のパラメータについての許容される範囲内を意味し、これは、値がどのように測定又は決定されるか、すなわち、測定系の制限に、部分的に依存する。例えば、「約」は、所与の値の10%までの範囲を意味し得る。
本明細書で使用される場合、句「その塩」は、薬学的に許容される塩を指す。このような塩には、(1)酸、例えば、酢酸、安息香酸、クエン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グルタル酸、グリコール酸、塩酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、リン酸、プロピオン酸、ソルビン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、天然及び合成誘導アミノ酸、及びそれらの混合物等によって形成された、酸付加塩;あるいは(2)親化合物に存在する酸性プロトンが、(i)金属イオン、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、もしくはアルミニウムイオンによって置き換えられているか、又は(ii)有機塩基、例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン及びN-メチルグルカミン等をプロトン化する、のいずれかである場合に形成される塩が含まれる。
本明細書で使用される場合の「%」は、特に断りのない限り、全組成物の重量による百分率を意味する。すべての百分率は、特に断りのない限り、調製された最終組成物の重量パーセントに基づき、すべての合計は、100重量%に等しい。
用語「重量/重量」又は「重量による(by weight)」は、特に断りのない限り、百分率として表された、組成物の全重量に対する所与の成分又は成分の具体化された組み合わせの重量を意味する。
本明細書で使用される場合、モルは、その分子量に基づく、化学種の量の尺度である。モル数=質量/モル質量
モル%(mole%)(mol%)は単に、百分率として表された、述べられたラメラ形成性種のすべてのモルの全数に対する配合物に使用される所与のラメラ形成性成分のモルの数である。
本明細書で使用される場合、用語「フィトステロール」は、植物ステロール及び植物スタノールを指す。植物ステロールは、野菜油(vegetable oil)に出現している最大濃度で、全植物に見出される天然に出現しているコレステロール様分子である。植物スタノールは、それぞれの植物ステロールの水素化化合物である。フィトステロールは、一般的な野菜油の天然成分である。
本明細書で使用される場合、用語「敏感な皮膚(sensitive skin)」は、敏感度、炎症又は刺激を測定する適当なアッセイでのパラメータによって例示されて、皮膚刺激又は皮膚炎症の度合いを指す。
本明細書で使用される場合の用語「a」及び「an」は、「1つ以上」の挙げられた成分を指すことが理解されるべきである。特に断りのない限り、単数形の使用は、複数形を含むことは、当業者に明らかである。
本明細書で使用される場合の用語「及び/又は」、リストの個別的要素(したがって、これらは、これらの要素が「及び」又はそれぞれ「又は」で選択的に連結されると理解されることになるように連結されている)を、両方とも追加的に、及びまた二者択一的に包含する。さらに、単数形で使用される用語は、当然に複数形も含む。
本出願を通して、様々な実施形態の記載が、「含む(comprising)」の言語を使用するが、しかしながら、一部の具体的な例では、ある実施形態はまた、言語「から本質的になる(consisting essentially of」又は「からなる(consisting of)」を使用して記載され得る。
本明細書で使用される場合、状態に関連しての「処置する(treat)」は、(1)状態、又は状態の生物学的発現の1つ以上を改善もしくは予防すること、(2)(a)状態をもたらし、もしくは状態の原因である生物学的カスケードにおける1つ以上の点又は(b)状態の生物学的発現の1つ以上を妨害すること、(3)状態に伴う症状又は作用の1つ以上を緩和すること、あるいは(4)状態、又は状態の生物学的発現の1つ以上の進行を遅延させることを意味する。
上に示されたとおりに、状態の「処置」には、状態の予防が含まれる。当業者は、「予防」が絶対的用語でないことを理解する。医学において、「予防」は、状態もしくはその生物学的発現の見込みもしくは重症度を実質的に縮小させ、又はこのような状態もしくはその生物学的発現の発症を遅延させるための薬物の予防的投与を指すと理解される。
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される賦形剤」は、医薬組成物に形態又は稠度を与えることに関与する、薬学的に許容される材料、組成物又はビヒクルを意味する。各賦形剤は、個人に投与される場合に本発明の化合物の効力を実質的に減少させる相互作用及び薬学的に許容されない医薬組成物をもたらす相互作用が回避されるように組み合わされる場合、医薬組成物の他の構成成分と適合されなければならない。加えて、各賦形剤は当然に、それを薬学的に許容されるようにさせるために十分に高い純度のものでなければならない。
具体化された成分を「実質的に含まない(substantially free)」は、約1重量%未満の具体化された成分を有する組成物を指す。具体化された成分を「含まない(free)」は、具体化された成分が非存在である組成物を指す。
物質が半固体である指定は、約20℃~約40℃の温度範囲の物質の物理的状態を意味すると取られるべきである。
用語「有機日焼け止め剤」は、ヒト皮膚をUVA及び/又はUVB放射線から保護することができ、有機化学物質として化学の当業者によって分類される化合物のクラスである、化合物又は化合物の混合物を意味する。
用語「無機日焼け止め剤」は、ヒト皮膚をUVA及び/又はUVB放射線から保護することができ、無機化学物質として化学の当業者によって分類される化合物のクラスである、化合物又は化合物の混合物を意味する。例示的な無機日焼け止め剤には、限定されないが、酸化亜鉛及び二酸化チタンが含まれる。
本明細書で使用される場合、「哺乳動物」には、限定されないが、小児、成人及び老人の患者を含めて、ヒトを含む。
以下の実施例は、本発明を例証するものであり、それに対する限定であることは意図されない。
本明細書で使用される場合、他の用語は、当技術分野での周知の意味によって定義されることが意味される。
材料及び方法
主として長鎖脂肪酸のグリセリドの混合物を含有する高融点脂質は、コンプリトールATO 888(以下「CA8」)(J.B. Brubachら、Int J Pharm、336(2007年)248~256頁)である。CA8は、薬物マトリックスからの薬物放出挙動を改変するために広く使用されるワックス状材料である(F.Q. Liら、International Journal of Pharmaceutics、324(2006年)152~157頁)。この脂質混合物は、長鎖脂肪酸の源として使用することができ、その結果として、化粧品使用のための長鎖脂肪酸の様々な誘導体を得るための適当な出発材料である。
ベヘノイルグリセリドの物理的特性及び脂質相充填挙動は、示差走査熱量測定(DSC)、フーリエ変換赤外分光法(FT-IR)、及びラングミュア単層試験(Langmuir monolayer study)を使用して試験した。これらは、斜方晶充填脂質相を形成するグリセリルエステル誘導体で必要とされる構造的機能性を特定するのに役立った。このデータは、本発明の革新的脂質がSC脂質中の天然出現分子の挙動及び側方充填構造を模倣して、皮膚配合物中で現在使用される閉塞性材料の技術的に実行可能な代用を与えることを実証するのに役立つ。
CA8は、Gattefosseから得た。溶媒及び他の化学薬品は、それぞれ、Bie&Berntsena-s及びFLUKAから購入したミリスチン酸及びパルミチン酸を除いて、Sigma-Aldrichから購入した。ノボザイム435(Candida Antarctica lipase B)は、ノボザイムA/S(Bagsvaerd、デンマーク国)により提供された。カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド及びホスファチジルコリン(C16及びC18飽和アシル鎖のミックス)は、それぞれ、BASF、Florham Park、NJ、米国及びLipoid Newark、NJ、米国から購入した。ペンチレングリコールは、Symrise、Teterboro、NJ、米国から得た。Mp Biomedicals、Solon、OHは、グリセリンのために使用される供給者であった。ポリマー混合物は、異なる供給者、すなわち、キサンタンガム(CP Kelco、Leatherhead、Surrey、英国)、ナトリウムカルボマー(3V Inc.、Georgetown、SC、米国)、Carbomer Interpolymer Type A(Lubrizol、Cleveland、OH、米国)、ヒドロキシエチルセルロース(Ashland Inc.、Covington、KY、米国)から得た。NMRスペクトルは、溶媒重水素化クロロホルムを使用してBruker Avance III 400分光計で取得した。HPLC分析は、以下の条件を使用して種々のグリセリドについて行った:蒸発光散乱検出器(ELSD)及び検出器(SEDEX 80)も加えて備えた、Finnigan Surveyor LCポンプを収容するThermo Scientific HPLCで、C-18カラム(150×4.0mm;粒子サイズ、5μM)を使用して流量1mL/分で35分におけるB中A(A=アセトニトリル及びB=イソプロパノール/ヘキサン2:1)70~30%。
短行程蒸留(SPD)
KD5システムを使用した。この装置は、供給タンク、内部にロータ及び凝縮器をもつ加熱ジャケットにより囲まれた円筒体、残留物及び蒸留物受器、並びに拡散ポンプを含む2つの真空ポンプからなる。熱分離は、1×10-3ミリバールで行い、使用した供給速度は、100mL/時間であった。185℃をモノグリセリドの蒸留のために使用し、265℃を、主としてジグリセリドを蒸留し、残渣に純トリグリセリドを得るために使用した。
ベヘノイルグリセリド及び類似物の合成
グリセロールモノベヘネート(1):撹拌磁石付きのコーティング反応器で、1当量(equivalent)(以下、「当量(eq)」)のベヘン酸及び10当量のグリセロールを55℃でt-ブタノールに溶解させた。続いて、15質量%の酵素(ノボザイム435)を添加した。2時間後、酵素をろ別し、t-ブタノールを乾燥まで蒸発させた。その後、得られた反応混合物をクロロホルムに希釈し、飽和炭酸ナトリウム溶液を使用して未反応ベヘン酸を除去した。得られた有機層をブライン溶液で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、乾燥まで蒸発させ、77℃の融点を有する白色固体を得た。 1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 4.25-4.09 (m, 2H), 3.97-3.89 (m, 1H), 3.73-3.55 (m, 2H), 2.35 (t, J= 7.2 Hz, 2H), 1.70-1.53 (m, 2H), 1.48-1.02 (m, 36H), 0.88 (t, J= 6.8 Hz, 3H); HPLC- ELSD: rt = 4.79分 (%面積 = 95).
グリセロールジベヘネート(2):代わりに2当量のベヘン酸及び1当量のグリセロールを使用して、ジグリセリドの形成を促進した(Z.-Q. Duanら、Process Biochemistry、45(2010年)1923~1927頁)以外は、化合物1について記載したものと同様の手順を行って、化合物2を得た。
所望の化合物2を単離するために、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル8:2)を必要とした。これにより、75℃の融点を有する白色固体が得られた。1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ4.33-3.98 (m, 5H), 2.28 (t, J= 7.6 Hz, 4H), 1.65-1.42 (m, 4H), 1.38-0.97 (m, 72H), 0.81 (t, J= 7.2 Hz, 6H); HPLC- ELSD: rt = 11.05分 (%面積 = 93).
アセチル化グリセロールモノベヘネート(3):グリセロールモノベヘネート、12当量の無水酢酸及び2.4当量のトリメチルアミンを、撹拌磁石付きの丸底フラスコに添加し、還流で24時間反応させた。このステップに続いて、反応混合物をクロロホルムに溶解させ、有機層を飽和塩化アンモニウム溶液、飽和炭酸ナトリウム溶液、及びブライン溶液で洗浄した。最後に、無水硫酸ナトリウムで有機層を乾燥させ、ろ過し、乾燥まで蒸発させた。1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ5.31-5.20 (m, 1H), 4.35-4.24 (m, 2H), 4.20-4.10 (m, 2H), 2.31 (t, J= 7.6 Hz, 2H), 2.08 (d, J= 4 Hz, 6H), 1.68-1.53 (t, 2H), 1.48-1.01 (m, 36H), 0.87 (t, J= 7.2 Hz, 3H); HPLC- ELSD: rt = 4.18分 (%面積 = 91).
アセチル化グリセロールジベヘネート(4):出発材料として化合物2を使用した以外は、化合物3を合成するのに使用したものと同様の手順に従った。1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ5.32-5.20 (m, 1H), 4.37-4.09 (m, 5H), 2.32 (t, J= 7.6 Hz, 4H), 2.07 (s, 3H), 1.69-1.49 (m, 4H), 1.47-1.01 (m, 72H), 0.88 (t, J= 6.8 Hz, 6H); HPLC- ELSD: rt = 11.53分 (%面積 = 90).
ベヘン酸の非対称ジグリセリド(5a-b)の合成:1当量の短鎖脂肪酸(C8~C18)、20当量のグリセロールをt-ブタノールに溶解させた。続いて、5重量%のノボザイム435を添加し、反応を室温で2時間行った。その後、酵素をろ過により除去し、混合物を十分に蒸発させ、反応混合物をDCMに溶解させた。続いて、DCM層を飽和炭酸ナトリウム水溶液で洗浄して、反応しなかった脂肪酸を除去した。その後、有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、蒸発乾固させた。最後に、2当量の得られたモノグリセリド、1当量のベヘン酸、1当量のEDC(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド)、0.4当量のDMAP(4-ジメチルアミノピリジン)を、DCM中40℃で45分間反応させた。45分が経過した後、反応混合物をDCMに希釈し、飽和塩化アンモニウム水溶液、飽和炭酸ナトリウム溶液、及びブライン溶液で洗い流した。その後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、蒸発乾固させ、得られた固体をヘキサンに溶解させ、未反応モノグリセリドを水中80%エタノールで洗い流した。必要に応じて、溶離液として8:2ヘキサン;酢酸エチルを使用してカラムクロマトグラフィーを行った。
2-ヒドロキシ-3-(オクタノイルオキシ)プロピルドコサノエート(5a):57℃の融点を有する白色固体; 1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 4.25 - 4.04 (m, 4H), 2.35 (t, J = 7.5 Hz, 4H), 1.68 - 1.52 (m, 4H), 1.36 - 1.20 (m, 42H), 0.95 - 0.83 (m, 6H); HPLC- ELSD: rt = 5.23分 (%面積 = 90.4)
3-(デカノイルオキシ)-2-ヒドロキシプロピルドコサノエート(5b):66℃の融点を有する白色固体; 1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 4.24 - 4.03 (m, 5H), 2.35 (t, J = 7.6 Hz, 4H), 1.69 - 1.59 (m, 4H), 1.27 (m, 48H), 0.89 (t, J = 6,4 Hz, 6H); HPLC- ELSD: rt = 5.73 min (%面積 = 97).
3-(ドデカノイルオキシ)-2-ヒドロキシプロピルドコサノエート(5c):68℃の融点を有する白色固体; 1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 4.22 - 4.05 (m, 4H), 2.35 (t, J = 7.6 Hz, 4H), 1.67 - 1.58 (m, 4H), 1.27 (m, 51H), 0.89 (t, J =6.4 Hz, 6H); HPLC- ELSD: rt = 6.15分 (%面積 = 96).
2-ヒドロキシ-3-(テトラデカノイルオキシ)プロピルドコサノエート(5d): 69℃の融点を有する白色固体; 1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 4.22 - 4.05 (m, 6H), 2.35 (t, J = 7.6 Hz, 4H), 1.67 - 1.60 (m, 4H), 1.27 (m, 56H), 0.93 - 0.82 (m, 6H); HPLC- ELSD: rt = 6.85分 (%面積 = 93).
2-ヒドロキシ-3-(パルミトイルオキシ)プロピルドコサノエート(5e): 74℃の融点を有する白色固体; 1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 4.23 - 4.06 (m, 2H), 2.35 (t, J = 7.6 Hz, 4H), 1.68 - 1.57 (m, 4H), 1.27 (m, 60H), 0.89 (t, J = 6.4 Hz, 6H); HPLC- ELSD: rt = 7.97分 (%面積 = 98).
2-ヒドロキシ-3-(ステアロイルオキシ)プロピルドコサノエート(5f): 64℃の融点を有する白色固体; 1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 4.23 - 4.05 (m, 5H), 2.35 (t, J = 7.6 Hz, 4H), 1.67 - 1.58 (m, 4H), 1.27 (m, 71H), 0.89 (t, 6.4 Hz, 6H); HPLC- ELSD: rt = 8.55分 (%面積 = 97).
エチレングリコールモノベヘネート(6): 化学的カップリングを、40℃でEDC/DMAP並びに出発材料としてエチレングリコール及びベヘン酸を使用して行った。その後、反応混合物をDCMに溶解させ、飽和Na2CO3溶液で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、十分に蒸発させた。得られた混合物をヘキサンに溶解させ、エタノール80%の溶液で洗浄した。これにより、71℃の融点を有する白色固体を得た; 1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 4.24- 4.15 (m, 2H), 3.85-3.77 (m, 2H), 2.33 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 1.94 (b, 1H), 1.69 - 1.55 (m, 2H), 1.48-1.03 (m, 36H), 0.89 (t, J= 6.4 Hz, 3H); HPLC- ELSD: rt = 4.54分 (%面積 = 98).
示差走査熱量測定(DSC)
DSC装置Perkin-Elmer Cetus、Norwalk、米国を使用して、種々のベヘノイル脂質の熱特性を分析した。アルミニウム製パンに、8~12mgの対象の脂質を密封し、20mL/分のパージ窒素雰囲気下でDSCシステムの中に入れた。-60℃~90℃の温度範囲での冷却及び加熱実行のために1分当たり5℃の走査速度を使用した。DSC走査を、MicroCal Origin 8.6ソフトウェアを使用して分析した。
フーリエ変換赤外分光法(FT-IR)
FT-IRスペクトルは、PIKE Technologies MIRACLE(商標)1回反射水平ATR付きのQ-interline FTLA2000-154を使用して取得した。スペクトルはすべて、室温で記録し、Savitsky-Golayアルゴリズムを使用して誘導体化した(derivatized) 43。FT-IRにより分析した試料を前もって溶融させ、冷却した。
ラングミュア膜及び原子間力顕微鏡法
ラングミュア-ブロジェット試験(Langmuir-Blodgett study)を行うために、Correaら44が報告したものと同様の手順に従った。単層測定は、150mM塩化ナトリウム溶液及び1mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)四ナトリウム塩をpH5.5で使用して行った。概して、クロロホルム:メタノール(9:1)中脂質のおよそ2mg/mLの溶液の20μL未満を水表面上に広げ、溶媒を20分間蒸発させた。その後、単層を、崩壊するまで約9Å2/鎖/分の一定速度で圧縮した。条件を設定した後、AFM試験のために、単層の堆積を、膜が崩壊してしまう直前の圧力で雲母板上で行った。AFM測定は、タッピングモード下、周囲空気中で行った。バネ定数26N/m及び共鳴周波数300kHzを有するマイクロカンチレバー(Olympus Inc.、日本国)上のシリコンチップを測定のために使用した。試料を二通りで分析した。
簡単エマルジョンビヒクル中の配合物製造
簡単化ベース配合物を用いて、表1に詳述されたとおりのいくつかの推定閉塞性脂質をスクリーニングした。製造は、小規模ロータスタータアタッチメントを備えたIKAデジタルT25 Ultra Turraxホモジナイザ(Wilmington、NC、米国)を使用して10g規模で行った。3重量%で対象の推定閉塞性薬剤と一緒の油相を85℃、水相を75℃に加熱した。水相を油相に添加し、55℃の温度に達するまで、この混合物を13,000rpmで数分間ホモジナイズした。次いで、ポリマーを添加し、この系を50℃にホモジナイズし、その後、エマルジョン容器を、新鮮に引かれた水が入っている二次容器に入れ、冷却を補助する一方で、25~30℃の温度にホモジナイズした。エマルジョンが入っている容器を秤量し、水蒸発に起因する損失を補正した。最終ホモジナイゼーションを行い、系を、さらなる試験前に、周囲実験室条件で24時間保存した。
表1の簡単化エマルジョン系を使用して、様々な追加的な賦形剤の組み合わせを添加した。
配合物番号2は、SP+3%の、C22アシル鎖のトリアシルグリセリド混合物である。
配合物番号3は、SP+3%の、C22アシル鎖のアシル化モノアシルグリセリドである。
配合物番号4は、SP+3%の、合成C22アシル鎖 (より単分散の鎖長)のアシル化モノアシルグリセリド混合物である。
配合物番号5は、SP+3%の、分画物(鎖長の点でより多分散性)としてC22アシル鎖のアシル化モノアシルグリセリドである。
配合物番号6は、SP+3%の、C22アシル鎖のジアシルグリセリド混合物である。
配合物番号7は、SP+3%の、C22アシル鎖のアセチル化ジアシルグリセリド混合物である。
配合物2~配合物7はすべて、表1の簡単化系について本明細書で記載されたのと同じ方法で調製した。
配合物8は、以下のとおりに、使用して調製した:
1. すべての成分(ポリマーを除く)を反応容器に添加し、85℃(±3℃)に加熱する。
2. ポリマーを添加し、60℃の温度に達するまで12,000rpmでホモジナイズする。
3. 新鮮に引いた水の水浴に反応容器を入れる。組成物をホモジナイズし、40℃の温度に冷却する。
4. pHを5.5(±0.3)に調整する。
5. 水を添加して、蒸発損失を補償する。
6. 2分間再ホモジナイズする。
水蒸気透過率(WVTR)
皮膚上に閉塞性層を形成する組成物の能力を、水蒸気透過率(WVTR)を測定することによって評価した。Pennick, et al., Intl J Cosmetic Sci, 2012, 34, 567-574、及びG. Pennick, et al., Int J Cosmet Sci, 32 (2010) 304-312に基づく以下の方法を、以下に注記するとおりの小さい変更とともに使用した。この方法は、「修正WVTR試験方法」と本明細書(及び特許請求の範囲)で参照される。
1. Vitro-Skin(IMS Inc.、Portland、ME)を、穴あけパンチを使用して円形ディスクに切断した。ディスクを分析天秤(Pennickらの論文におけるとおりのVitro-Corneumではない)で秤量した。
2. ディスクに、接着テープで、粗削り面を上にして、対抗する端部にテープを付け、空気式駆動部(Byko Drive)のガラス表面に固定した。秤量バーを駆動アームの上に置き、及び50μmゲージブロックを秤量バーの前に置いた。
3. 試験クリームをゲージブロックの前に適用し、空気式アームを作動させると、クリームの薄膜が、テープ付きVitro-Skinディスクを含む表面に適用される。典型的には、4つのディスクをアームの単一パスでコーティングした。ボタンを押し、ディスクの最初のコートが行われた。コートディスクを8~10分間放置した。
4. 接着テープを注意深く取り外し、ディスクを室温でメッシュの乾燥トレイ上に置いた。駆動装置の表面を清浄化し、次いで、このプロセス(ステップ1~3)を次の試料のために繰り返した。
5. 試料がすべて、クリームのそれらの最初のコートを受けると直ぐに、第1の試料(及び最も乾燥した試料)を、クリームの最初のコートに垂直な第2の適用のために適所に固定した。次いで、ディスクを取り外し、60分間部分的に乾燥させた。このプロセスを他の試料についても繰り返した。
6. コートディスクを再秤量し、適用クリームの重量を決定した。
7. 部分的乾燥に続いて、WVTRセルを190μLの脱イオン水で満たした。次いで、所定の位置にねじ込んだWVTRセルの上部を使用して、水の上の適所に、コート面を上にして、ディスクを固定した。次いで、負荷されたセルを再秤量して、初期重量を得た。WVTRセルは、SMS(Surface Measurement Systems、英国)から市販されているPayneセルである。
8. WVTRセルを、デシケータ中シリカゲル乾燥剤の上に置いた。相対湿度は、典型的には24~28%RHであった。セルを定期的に取り出した。
9. 重量値は、45~240分の期間をかけて決定した。WVTRは、Pennickら(Intl J Cosmetic Sci、第34巻、567~574頁、2012年)により記載された標準WVTR式を使用して、計算した。非正規化WVTR値を得た。
WVTR値は、式1を使用して45~180分の期間にわたって計算した:
膜の面積は、1.22×10-4m2であった。W0.75及びW3.0は、それぞれ、0.75及び3時間の時点でのグラム単位のWVTRセル重量であった。試料は、少なくとも三通りで測定した。
試料はすべて、ブランク及び100%石油ジェリー(PJ)対照と比較した。PJは、WVTR試験で閉塞性薬剤であると一貫して証明されている(Pennick, et al., Int J Cosmet Sci, 32 (2010) 304-312)ので、正対照として選択した。
統計的方法
すべてのデータは、GraphPad Prism5(GraphPad Software、San Diego、CA、米国)に移行する前にマイクロソフトエクセルに集めた。データを、D'Agostino及びPearsonオムニバス正規性検定、次いで、ANOVA検定を使用して正規性について検査し、その後、事後比較を、Bonferroni検定、及びDunnet's検定を使用して行った。統計的有意性は、95%に設定した。
結果及び検討
短行程蒸留(SPD)。表2は、CA8の脂肪酸組成を示し、述べられたとおり、この材料は、主としてベヘノイルグリセリドを含有する。SPDを使用して、CA8を分画した。所望のグリセリドを分離するために使用した任意条件は、モノグリセリド(FGMB)を蒸留するために、およそ100mL/時間の供給速度、及び1×10-3ミリバールの真空圧とともに、185℃の温度であった。265℃の温度、1×10-3ミリバールの真空圧及び100mL/時間の供給速度で、ジグリセリド(FGDB)を蒸留し、トリグリセリド(FGTB)を残留物受器に収集した。HPLC結果によれば、分画されたモノグリセリド、ジグリセリド、及びトリグリセリドは、それぞれ、91%、96%、99%の近似純度を有して得られ、脂肪酸は、各試料に等しく分布していた。
ベヘノイル脂質の合成
グリセロールモノベヘネート1、グリセロールジベヘネート2を、ノボザイム435を使用して合成した(スキーム1参照)。アセチル化グリセリド3~4を、還流させながら、それぞれのグリセリドと無水酢酸との反応によって得た。さらに、より短い脂肪酸鎖(C8~C18)及びベヘノイル鎖を含有する一連の非対称ジグリセリドを合成した。最初に、種々のモノグリセリドを、ノボザイム435及び過剰のグリセロールを使用してエステル化反応を行うことによって得、その後、得られたモノグリセリドをそれぞれに、カップリング剤としてEDC/DMAPを使用してベヘン酸にカップリングして、グリセリル誘導体5a~5fを合成した。非対称ジグリセリドはすべて、比較的良好な収率で得たが、反応の収率と、前に合成されたモノグリセリドの脂肪酸鎖の長さとの間に相関はまったく見られなかった。しかしながら、逆相HPLCにより種々の誘導体を分析したときに予想されたとおり、より長い脂肪アシル鎖を含有するジグリセリドは、より長い保持時間を示した(5f>5e>5d>5c>5b>5a)。さらに、アシル化グリセロールの代わりにアシル化エチレングリコールを含有するグリセロールモノベヘネートの類似物を合成して、CH-OH官能基の数の減少が、ベヘノイル脂質の閉塞特性に影響を与えるかどうか評価した。したがって、化合物6は、EDC/DMAPを使用して良好な収率で合成した。
スキーム1は、ベヘン酸の誘導体の合成、すなわち、a)ベヘノイルグリセリドの合成経路;b)C22脂肪酸鎖及びより短い脂肪酸鎖(C8~C18)を含有する非対称ジグリセリドを得るために従った合成手順;および)エチレングリコールモノベヘネートを得るために行った化学的カップリングについて記載する。
示差走査熱量測定 (DSC)特徴評価
以下の表3に示されるとおり、グリセリドはすべて、80℃未満の融点を提示した。CA8からのモノグリセリドは、CA8からのジグリセリド(mp=71~74℃)、及びCA8からのトリグリセリド(mp=68℃)よりも高い融点(mp=79℃)を提示した。DSC結果によれば、FGMB及びFGDBの両方ともは、異性体の混合物、すなわち、それぞれ、1-モノグリセリド及び2-モノグリセリド並びに1,2-ジグリセリド及び1,3-ジグリセリドの存在を示唆する2つの融解転移を示した。さらに、脂質の融点は、脂肪アシル鎖の数の増加とともに低下した。例えば、合成グリセリルモノベヘネート1は、グリセリルジベヘネート2(mp=75℃)よりも高い融点(mp=77℃)を提示した。後者は、より高い融点をもたらす、分子間のより強い水素結合相互作用によって説明されると考えられる。したがって、化合物1のアシル化も、元の分子よりもより低い融点を有する分子(化合物3:mp=53℃)を生成した。非対称ジグリセリド5の場合、分子は57℃~74℃の融点を示し、誘導体の融点は、脂肪酸鎖の1つが長さでC8からC18に増加するにつれて、わずかに増加することが示された。後者が予想されるが、その理由は、ファンデルワールズ相互作用は脂肪酸鎖の長さの増加とともにより強くなり、より多くのエネルギーがこれらの非供給結合を破壊するために必要とされるからである。さらに、化合物6(mp=71℃)は、FGMB及び合成グリセロールモノベヘネート1よりも低い融点を示し、化合物6を融解させるのにより少ないエネルギーが必要とされるのでモノグリセリドについて観察されたものに対して組織化がより低い充填挙動を示唆した。したがって、DSCデータに基づいて、モノアシル化グリセロールは、本明細書で用いられたこれらのベヘノイル脂質の残部よりも良好な充填挙動を示すと考えられる。
FT-IR特徴評価
FT-IR分光法試験は、ベヘン酸から誘導された種々の脂質エステルの分子組織化を理解するためのさらに別の方法を与えた。したがって、FT-IRは、完全に伸びたオールトランス炭化水素鎖から無秩序鎖への間の転移を予想することができ、その理由は、これが、それぞれ約2850cm-1及び2920cm-1での対称及び非対称伸縮の両方で、振動数増加をもたらすからである(D.J. Moore, et al., Acta Derm Venereol Suppl(Stockh), 208 (2000) 16-22)。表3に示されるとおりに、ベヘノイル脂質はすべて、脂肪アシル鎖の対称及び非対称伸縮に対応する両方のピークを、それぞれ約2850cm-1及び2920cm-1で示し、完全に伸びたオールトランス脂肪アシル鎖の存在を示唆した。さらに、FT-IRは、側方アシル鎖充填についての洞察を与えた(M. Boncheva, et al., Biochim Biophys Acta, 1778 (2008) 1344-1355)。FT-IR分光法は、脂質の斜方晶、六方晶、又は流体充填についての情報をもたらすことができる。最も組織化された相は、斜方晶充填であり、ここでは、アルキル鎖はすべて、高密度長方形結晶格子で組織化されたオールトランス立体配座を示す。FT-IRは、CA8、FGMB、FGDB、化合物1及び化合物2並びに化合物6が、斜方晶充填を示すことを示唆する。しかしながら、CA8及び化合物2は、六方晶及び斜方晶の相の混合物を示し、その理由は、FT-IRのスペクトルの740~700cm-1領域のピークの一方が、他方よりも相当に小さいからである。前の結果は、グリセリドの混合物であるCA8によって説明することができる。HPLC分析は、それが、およそ13%のモノグリセリド、55%のジグリセリド、及び32%のトリグリセリドから構成されることを示す。化合物2は、その両方ともがより少なく緊密に充填するその能力に影響を与え得る、2つの異性体をもつ化合物である。
グリセロール分子中のヒドロキシル基のマルチアシル化は、FGTB、及び化合物3、並びに非対称ジグリセリド5a~5fについてのFT-IR結果が、これらの分子はすべて、六方晶充填を示すことを示唆するので、グリセリドが充填する仕方に負の影響も有すると思われる。逆に、モノアシル化は、FGMB、グリセロールモノベヘネート1及び化合物6により実証されたとおりにより緊密な充填を促進する。したがって、これらの結果は、グリセロールモノベヘネート、及び恐らくジベヘネート並びにエチレングリコールモノベヘネートが閉塞特性を提示し得ることを示唆する。したがって、これらの脂質から構成されるスキンケア配合物系を、それらが水蒸気透過損失を低減するかどうかわかるように設計した。
ラングミュア単層試験
これらのベヘノイル脂質の充填挙動をより良く理解するために、CA8、化合物1、化合物2、化合物6並びにFGMB及びFGDBの単層を、ラングミュア-ブロジェット装置でさらに試験し、CA8と比較した。この手法は、i)化合物が形成し得る膜の安定性(最終圧力が高ければ高いほど、安定性はより高い);ii)脂質が良く組織化する仕方(最初と最終の面積の差が大きれば大きいほど、所与の脂質が示す圧縮特性はより良好である);及びiii)二次元系に制限された場合の分子が密に充填する仕方(面積最終が小さければ小さいほど、互いの脂質鎖はより近い)についての情報を与える。これらの属性は、閉塞性構造、特に一緒に密に充填する能力を生じることに重要と考えられ、その理由は、これが、水分損失に対する拡散性バリアとして作用し、閉塞性局所用生成物を生じさせるより大きな能力を示唆するからである。図2及び表4に示されるとおりに、ラングミュア単層の結果は、グリセリルジベヘネート2が、評価されたモノベヘネート化合物(FGMB並びに化合物1及び化合物6)よりもより不十分に充填した単層をもたらすので、FT-IRデータと一致している。これは、鎖当たりの最終及び最初の面積の差によってさらに実証され;最大の差の一つは、評価化合物の中でもグリセロールジベヘネート2(面積最終-最初=17.5Å2/鎖)で見られる。他方で、グリセロールモノベヘネート1は、最小の面積最終(面積最終=17Å2/鎖)及び最高崩壊圧力(圧力最終=58mN/m)を示し、より緊密な側方充填及びより高い安定性を示唆した。しかしながら、崩壊圧力では、最終面積は、分子の断面(すなわち、円筒状脂肪アシル鎖の断面は19Å2である)に等しいか又は近似しているはずであり、化合物1の鎖当たり最終面積は、予想されるよりも低い17Å2が得られた。この結果は、グリセロールモノベヘネート1が、30mN/mよりも高い圧力で二重層を形成し始め得たことを支持する。さらに、図1及び表3で観察されるとおりに、FGMBは、化合物1よりも不安定で、かつ組織化が低い単層を提示した。後者が予想されるが、その理由は、FGMBが、より短い脂肪アシルグリセリドを含有するグリセロールモノベヘネートのより純度の低い形態であり、より短い脂肪アシルグリセリドは、より組織化されより安定な単層を提示するFGMBの能力に影響を与え得るからであり、これは、化合物1について得られた値(圧力最終=57mN/m及び面積最初-最終=9Å2/鎖)と比較して、評価材料の最終圧力及び鎖当たりの最初と最終面積の差(圧力最終=53mN/m及び面積最初-最終=14Å2/鎖)により示されるとおりである。さらに、ラングミュア膜試験は、水素供与体の除去が、化合物1と比較して、相当により低い崩壊圧力(P最終=39mN/m)及び最終の鎖当たり面積(面積最終=23Å2/鎖)を示す化合物6について見られる結果により実証されるとおりに、単層の形成に有利に働かないことを示した。表4に示されるとおりに、FGDBは、その純粋形態(化合物2)よりもより組織化された単層を示した。例えば、FGDBは、化合物2である、その純粋形態と同じ崩壊圧力(P最終=40mN/m)を示したが;しかしながら、FGDBは、より小さい鎖当たり最終面積(面積最終=19Å2/鎖)を提示した。後者は、FGDBが、充填挙動を改善し得る小部分のFGMBも含有することによって説明され得る。さらに、CA8は、鎖当たり最初及び最終面積の最大差(面積最初-最終)=37Å2/鎖)を提示して、すべての試験材料の最悪充填挙動を示した。したがって、ラングミュア単層の結果は、FGMB及び化合物1が、皮膚閉塞性生成物を試み、生成するための評価した一連のベヘノイル脂質の最も有望な化合物であることを示唆する。
上で参照されたとおりの図2は、pH5.5で150mMのNaCl及び1mMのEDTAを含有する水性表面上の脂質の表面圧力-面積等温線を実証する。
原子間力顕微鏡法画像化
FGMB及び化合物1は、ラングミュア単層及びFT-IR試験により評価される場合に、最も潜在的に閉塞性のベヘノイル脂質として特定された。それらを、雲母基板上の膜堆積後のAFM画像化によってさらに評価した。膜は一様のように見えた。しかしながら、化合物1の単層は、3nm及び4.5nmの厚さを有する領域も示し、分子が完全に伸びているか、又は恐らくは二重層構造を形成している膜中の面積があることを示唆する。後者は、34mN/mよりも高い圧力で、膜が、典型的には円筒状脂肪アシル鎖の断面について予想される面積/鎖(面積最終=19Å2/鎖)よりも低い面積/鎖(面積最終<19Å2/鎖)をもたらすので、ラングミュア単層試験と一致している。さらに、AFM画像の高速フーリエ変換フィルタリング(FFTF)も、これが画像分析についての強力なツールであるので使用した。フーリエ画像は、狭いピークとしての繰り返しパターンを反映し、その座標は、それらの周期性及び方向を記述する。このようなピークは、特徴形態(features form)又は周期性の予備知識なしに、画像処理によって検出するのが容易である。
化合物1は、画像化処理の結果よりもむしろシステムの特性を反映するFFTF後の縞模様を示した。このタイプの縞パターンは、リグノセリン酸(C24)について前に観察された。しかしながら、FGMBは、このようなパターンを示さなかった。したがって、FGMBの場合、混合物中に存在するより短い鎖のモノグリセリドが、グリセロールモノベヘネートの分子間にインターカレートされ得、次に脂質のより閉塞性の混合物を生成するのに役立ち得ることを推定することができる。
水蒸気透過率(WVTR)
処理なしブランク対照配合物及び2つの石油ジェリー(PJ)配合物(PJが、これらの種類の試験で一貫して完全な閉塞をもたらしたので正の対照として役立つための)を含めて、11の配合物を作製した。WVTR試験におけるこれらの配合物の結果を図1に示す。WVTRは、皮膚特性を模倣するポリマー膜(Vitroskin)を通しての水分透過を推定するインビトロ方法である。ポリマー膜を、対象の脂質を取り込んでいるエマルジョン配合物でコーティングする。CA8を除く配合物はすべて、ブランク対照よりも有意に優れていた。合成及び分画化合物のすべては、ラングミュア単層試験で予測されたとおりにCA8(WVTR=101g.m-2時間-1)よりも良好に機能した。FGMBは、代わりに10%のペトロラタムを含有する同様の配合物と同等であるWVTR(51g.m-2時間-1)を提示し、3%のペトロラタムを含有するものよりも水蒸気透過を可能にすることが有意により少なかった(P<0.001)。FGMBは、グリセロールモノベヘネート1(WVTR=64g.m-2時間-1;P<0.05)よりも低いWVTRを示し、これは、主としてグリセロールモノベヘネートを含有するグリセリドの混合物が、純ベヘノイル脂質1に比べてより閉塞性の系を提供することを示唆する。これも、FFTFデータと一致しているように思われる。WVTR=51 g.m-2時間-1を示したFGMBをFGDB(WVTR=76g.m-2時間-1)及びFGTB(WVTR=94g.m-2時間-1)と比較すると、水素結合供与体の数が減少するにつれて、材料は閉塞性がより少なくなることを認めることができる。FGMBは、そのジ-及びトリグリセリド部分の両方と有意に異なった(P<0.001)。後者は、水素結合相互作用がより緊密な充填挙動及びより高い融点を促進したことを示すDSCデータと一致している。さらに、FT-IR及びDSCデータにより予測されるとおりに、化合物3(WVTR=90g.m-2時間-1)は、グリセロールモノベヘネート1(WVTR=64g.m-2時間-1;P<0.001)よりも閉塞性が有意により少なかった。さらに、ラングミュア単層試験及びDSCデータから推定されるとおりに、化合物6は、化合物1よりも統計的に有意ではないが、数値的により高いWVTR(WVTR=70g.m-2時間-1)を示し、CH-OH官能基の数の減少が、ベヘノイル脂質の閉塞特性に負の効果を有することを示唆する。配合物8は、約65~70g.m-2時間-1のWVTRを与えた(図1にはない)。化合物1は、96%のグリセロールモノベヘネートから構成され、FGMBは、およそ88%のベヘノイル脂質から構成され、残り12%はより短い脂肪アシル鎖のグリセリドであるので(表2参照)、FGMBにより示されるより良好な閉塞特性は、より短い脂肪アシル脂質が、より少なく緊密に充填され得る長鎖ベヘノイル脂質間の充填性領域であり得ることを示唆することができる。WVTR結果は、SC脂質と同様な側方充填特性を示す閉塞性脂肪両親媒性物質を例証及び特定する。
重大な安全性課題を有することなくヒトSCに見出される脂質と同様の物理的属性を有する閉塞性材料の持続可能で商業的に実行可能な源を見出すことは困難である。したがって、このような閉塞性脂肪両親媒性物質は、処置に対する確立された手法が皮膚を閉塞することである乾燥性皮膚状態の処置において大きな潜在性価値がある。本明細書での試験は、分画及び合成ベヘノイルモノグリセリドが、WVTRを低減し得、次に、緊密に充填された側方集合体を形成するそれらの能力によって皮膚バリア機能を改善し得ることを実証する。データは、他の長鎖モノグリセリドが、単独、又は組み合わせてのいずれでも、皮膚バリア機能の改善に価値を有し得ることをさらに示唆する。FGMBは、より長い及びより短いアシル鎖長の関連種ととものおよそ88%のグリセリルモノベヘネートである。これらのモノグリセリドは、3%ペトロラタム含有配合物より優れている顕著な低減を与え、10%ペトロラタムのもののWVTRと同等であった。機構的に、結果は、水素結合供与体として作用するグリセリドの能力が、強い分子間相互作用を確立し、次に、より閉塞性の化学種を生成させることが重要であることを示唆する。このようにして、グリセロールモノベヘネートは、インビトロで水分損失を低減し、SCを通して水分損失を低減する潜在性を有し、それにより、乾燥性皮膚状態の処置に役立つ「皮膚様」脂肪両親媒性物質であることを示した。
上記記載は、本発明をその好ましい実施形態も含めて十分に開示する。本明細書に具体的に開示された実施形態の変更及び改善は、以下の特許請求の範囲の範囲内である。さらに詳述することなしに、当業者は、本記載を使用して、本発明を最大限に用いることができると考えられる。したがって、本明細書での実施例は、単に例証的なものであり、本発明の範囲を決して限定するものではないと解釈されるべきである。独占的所有権又は特権が特許請求される本発明の実施形態は、以下のとおりに定義される。