JP7257995B2 - フレキシブル発光デバイス、照明装置および画像表示装置 - Google Patents

フレキシブル発光デバイス、照明装置および画像表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、フレキシブル発光デバイス、照明装置および画像表示装置に関する。
2つの基板を一定の間隔をあけて配置すると、両基板の間の空隙が空気層となる。この
ように、前記基板間に形成された空気層は、例えば、光を全反射する低屈折層として機能
する。このため、例えば、光学フィルムであれば、プリズム、偏光フィルムおよび偏光板
等の部材を、一定の距離を持って配置することにより、前記部材間に、低屈折率層となる
空気層を設けている。しかし、このように、空気層を形成するには、各部材を一定の距離
を持って配置しなければならないため、部材を、順に積層していくことができず、製造に
手間がかかる。
このような問題を解消するために、部材間の空隙により形成される空気層に代わり、低
屈折性を示すフィルム等の部材の開発が試みられている。前記部材について、高い空孔率
と強度とを両立させた例として、レンズ反射防止層への適用事例がある(例えば、特許文
献1~4参照)。この方法では、レンズ上に空隙層を形成した後に、150℃以上の高い
温度を長時間かけて焼成させるが、得られた空隙層の可撓性が劣るという課題があった。
一方で、焼成処理を行わない空隙層の適用事例がある(例えば、非特許文献1参照)。し
かし、この方法では、得られた空隙層の膜強度が劣るため、耐衝撃性を付与できないとい
う課題があった。
また、長尺状の樹脂支持体上に、シリカエアロゲル膜を形成する方法を開示した事例が
ある(例えば、特許文献5及び6参照)。しかし、ここで得られるシリカエアロゲル膜の
屈折率は、1.30を超えるものであるため、空気層の代わりには到底なり得ない。
一方、発光デバイスとしては、可撓性を有するフレキシブルデバイスが、近年注目され
ている(特許文献7および8)。
特開2006-297329号公報 特開2006-221144号公報 特開2006-011175号公報 特開2008-040171号公報 特開2006-096019号公報 特開2006-096967号公報 特開昭61-32392号公報 特開2004-281086号公報
J.Mater.Chem.,2011,21,14830-14837
しかしながら、フレキシブルデバイスには、変形させて曲率が大きくなると光の進路が
変わり、光漏れが発生するという問題がある。
そこで、本発明は、変形させても光漏れが起こりにくいフレキシブルデバイスであるフ
レキシブル発光デバイスと、前記フレキシブル発光デバイスを用いた照明装置および画像
表示装置とを提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明のフレキシブル発光デバイスは、発光体層と、低屈
折率層と、高屈折率層とが前記順序で積層され、前記低屈折率層は、前記発光体層よりも
屈折率が低く、ヘイズが5%未満であり、前記高屈折率層は、前記低屈折率層よりも屈折
率が高い、ことを特徴とする。
本発明の照明装置は、本発明のフレキシブル発光デバイスを含むことを特徴とする。
本発明の画像表示装置は、本発明のフレキシブル発光デバイスを含むことを特徴とする
本発明のフレキシブル発光デバイスは、前記の構成を有することにより、変形させても
光漏れが起こりにくい。本発明のフレキシブル発光デバイスの用途は特に限定されないが
、例えば、前記本発明の照明装置および画像表示装置に用いることができる。
図1は、本発明のフレキシブル発光デバイスの構造の一例を模式的に示す断面図である。 図2は、本発明のフレキシブル発光デバイスの製造工程の一例を模式的に示す工程断面図である。 図3は、発光体層10上に低屈折率層20を形成する方法の例を模式的に示す工程断面図である。 図4は、本発明のフレキシブル発光デバイスの製造方法における工程の一部と、それに用いる装置の一例とを模式的に示す図である。 図5は、本発明のフレキシブル発光デバイスの製造方法における工程の一部と、それに用いる装置の別の一例とを模式的に示す図である。 図6は、実施例および比較例のフレキシブル発光デバイスを変形させた(曲げた)場合の光漏れの状態を示す写真である。
以下、本発明について、例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、本発明は、以下
の説明により何ら限定されない。
本発明のフレキシブル発光デバイス(以下、単に「フレキシブル発光デバイス」、また
は「本発明のフレキシブルデバイス」もしくは単に「フレキシブルデバイス」ともいうこ
とがある。)は、可撓性を有する(すなわちフレキシブルな)発光体層の上に低屈折率層
を積層させてフレキシブルデバイスが構成されている。この構成により、前記発光体層か
ら前記低屈折率層側に光が出射する際に、正面方向(前記発光体層の光出射面に垂直な方
向)から角度が大きくずれた出射光に対しては、前記発光体層と前記低屈折率層との界面
で全反射が起こる。前記全反射により反射された光は、発光体層側に返り、視認側に漏れ
ない(出射しない)。これにより、正面方向から角度が大きくずれた不要な方向への光漏
れを抑制することができる。したがって、本発明のフレキシブル発光デバイスは、変形さ
せて曲率が大きくなっても光漏れが起こりにくい。発光体層上に低屈折率層が無く、直接
高屈折率層(例えば、カバー層等)が積層されている場合、光漏れが起こりやすいが、本
発明によれば、前記低屈折率層が存在することで、前述のとおり光漏れを抑制できる。
本発明のフレキシブル発光デバイスは、前述のとおり、発光体層と、低屈折率層と、高
屈折率層とが前記順序で積層されている。前記各層間には、他の構成要素(例えば他の層
)が適宜存在しても良いし、存在していなくても良い。例えば、各層が、粘接着層を介し
て積層されていても良く、より具体的には、例えば、後述するように、前記高屈折率層と
前記低屈折率層とを、粘接着層を介して積層させても良い。または、例えば、前記発光体
層と、前記低屈折率層とを、粘接着層を介して積層させても良い。また、本発明において
、「フレキシブル発光デバイス」は、可撓性を有する(フレキシブルな)発光デバイスを
言い、例えば、前記フレキシブルデバイスを構成する各層が、それぞれ可撓性を有する。
前記低屈折率層の屈折率は、特に限定されないが、例えば、1.20未満、1.15以
下、1.10以下であり、その下限が、例えば、1.05以上、1.06以上、1.07
以上であり、その範囲が、例えば、1.05以上~1.20未満、1.06以上~1.1
5以下、1.07以上~1.10以下である。
本発明のフレキシブル発光デバイスにおいて、前記発光体層が、有機EL(electro-lu
minescenceの略)層を含んでいても良い。すなわち、本発明のフレキシブル発光デバイス
は、有機ELデバイスであっても良い。また、本発明のフレキシブル発光デバイスは、有
機ELデバイスに限定されず、どのような発光デバイスでも良い。有機ELデバイス以外
の例としては、例えば、無機EL、電子ペーパー、発光ダイオード等が挙げられる。なお
、有機ELデバイス(有機EL素子)は、OLED(organic light emitting diode
すなわち有機発光ダイオード)ともいう場合がある。
本発明のフレキシブル発光デバイスにおいて、前記発光体層は、さらに、基材と、第1
電極と、第2電極とを含み、前記基材上に、前記第1電極、前記有機EL層、および前記
第2電極が、前記順序で積層されていても良い。また、前記基材において、前記第1電極
、前記有機EL層、および前記第2電極が積層された側と反対側に、前記低屈折率層およ
び前記高屈折率層が積層されていても良い。
本発明のフレキシブル発光デバイスは、例えば、前記低屈折率層において、膜強度を示
すベンコット(登録商標)による耐擦傷性が、60~100%であっても良い。また、例
えば、前記低屈折率層において、可撓性を示すMIT試験による耐折回数が、100回以
上であっても良い。
本発明のフレキシブル発光デバイスは、例えば、前記低屈折率層において、微細な空隙
構造を形成する一種類または複数種類の構成単位同士が化学的に結合していても良い。前
記構成単位同士は、例えば、直接的な結合を含んでいても良いし、間接的な結合を含んで
いても良い。なお、本発明のフレキシブル発光デバイスの前記低屈折率層中において、前
記一種類または複数種類の構成単位同士は、例えば、少なくとも一部が化学的に結合して
いれば良い。具体的には、例えば、構成単位同士が接触していても化学的に結合していな
い部分が存在していても良い。また、本発明において、構成単位同士が「間接的に結合し
ている」とは、構成単位量以下の少量のバインダー成分を仲介して構成単位同士が結合し
ていることを指す。構成単位同士が「直接的に結合している」とは、構成単位同士が、バ
インダー成分等を介さずに直接結合していることを指す。
本発明のフレキシブル発光デバイスの前記低屈折率層において、例えば、前記構成単位
同士の結合が、水素結合もしくは共有結合を含んでいても良い。前記構成単位は、例えば
、粒子状、繊維状、平板状の少なくとも一つの形状を有する構造からなっていても良い。
前記粒子状および平板状の構成単位は、例えば、無機物からなっていても良い。また、前
記粒子状構成単位の構成元素は、例えば、Si、Mg、Al、Ti、ZnおよびZrから
なる群から選択される少なくとも一つの元素を含んでいても良い。粒子状を形成する構造
体(構成単位)は、実粒子でも中空粒子でもよく、具体的にはシリコーン粒子や微細孔を
有するシリコーン粒子、シリカ中空ナノ粒子やシリカ中空ナノバルーン等が挙げられる。
繊維状の構成単位は、例えば、直径がナノサイズのナノファイバーであり、具体的にはセ
ルロースナノファイバーやアルミナナノファイバー等が挙げられる。平板状の構成単位は
、例えば、ナノクレイが挙げられ、具体的にはナノサイズのベントナイト(例えばクニピ
アF[商品名])等が挙げられる。前記繊維状の構成単位は、特に限定されないが、例え
ば、カーボンナノファイバー、セルロースナノファイバー、アルミナナノファイバー、キ
チンナノファイバー、キトサンナノファイバー、ポリマーナノファイバー、ガラスナノフ
ァイバー、およびシリカナノファイバーからなる群から選択される少なくとも一つの繊維
状物質であっても良い。
本発明のフレキシブル発光デバイスは、例えば、前記低屈折率層が、微細孔粒子を含む
多孔体である。なお、本発明において、「粒子」(例えば、前記微細孔粒子等)の形状は
、特に限定されず、例えば、球状でも良いが、非球状系等でも良い。また、本発明におい
て、前記微細孔粒子は、例えば、前述のとおり、ゾルゲル数珠状粒子、ナノ粒子(中空ナ
ノシリカ・ナノバルーン粒子)、ナノ繊維等であっても良い。
本発明のフレキシブル発光デバイスは、例えば、前記低屈折率層が、40%以上の空隙
率である。
本発明のフレキシブル発光デバイスにおける前記低屈折率層は、例えば、孔の空隙サイ
ズが、2~200nmである。
本発明のフレキシブル発光デバイスにおける前記低屈折率層は、例えば、厚みが、0.
01~100μmである。
本発明のフレキシブル発光デバイスにおける前記低屈折率層は、透明性を示すヘイズが
、5%未満であり、好ましくは3%以下であり、より好ましくは2%以下であり、特に好
ましくは1%以下である。
前記低屈折率層は、例えば、光照射および加熱の少なくとも一方により前記低屈折率層
の強度を高める作用をする酸または塩基を含んでいても良い。
本発明のフレキシブル発光デバイスの製造方法において、例えば、前記構成単位同士を
直接的に結合させて前記低屈折率層を形成しても良く、前記構成単位同士を間接的に結合
させて前記低屈折率層を形成しても良い。また、例えば、前記構成単位同士の結合が、水
素結合もしくは共有結合を含むように前記低屈折率層を形成しても良い。
本発明のフレキシブル発光デバイスの製造方法において、例えば、前記構成単位が、粒
子状、繊維状、および平板状からなる群から選択される少なくとも一つの形状の構成単位
であっても良い。前記粒子状および平板状の構成単位は、例えば、無機物からなっていて
も良い。また、例えば、前記粒子状構成単位の構成元素が、Si、Mg、Al、Ti、Z
nおよびZrからなる群から選択される少なくとも一つの元素を含んでいても良い。また
、前記構成単位は、例えば、微細孔粒子であっても良い。
以下、本発明の例について、さらに具体的かつ詳細に説明する。ただし、本発明は、以
下の説明により限定および制限されない。
[1.フレキシブル発光デバイス]
本発明のフレキシブル発光デバイスは、前述のとおり、発光体層と、低屈折率層と、高
屈折率層とが前記順序で積層されており、前記各層間には、他の構成要素(例えば他の層
)が適宜存在しても良いし、存在していなくても良い。なお、以下においては、主に、前
記発光体層が有機EL層を含む場合、すなわち、本発明のフレキシブル発光デバイスが有
機ELデバイスである場合を例に挙げて説明する。しかし、前述のとおり、本発明のフレ
キシブル発光デバイスは、有機ELデバイスに限定されず、その他の任意のフレキシブル
発光デバイスであっても良い。すなわち、前記発光体層は、有機EL層に代えて、または
有機EL層に加え、他の任意の発光層を含んでいても良い。
[1-1.フレキシブル発光デバイスの構成例]
図1の断面図に、本発明のフレキシブル発光デバイスの構成の一例を模式的に示す。図
示のとおり、このフレキシブル発光デバイス1は、発光体層10と、低屈折率層20と、
高屈折率層30とが、前記順序で積層されている。発光体層10は、基材11上に、第1
電極12、有機EL層(発光層)13および第2電極14が、前記順序で積層されて構成
されている。そして、低屈折率層20および高屈折率層30は、基材11において、第1
電極12、有機EL層(発光層)13および第2電極14が積層されている面と反対側の
面上に積層されている。
基材11としては、特に限定されないが、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)
、ステンレス(SUS)等の金属板および金属箔、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレ
ン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、
メタクリル樹脂(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナ
フタレート(PEN)、アクリル、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、シ
クロオレフィンポリマー(COP)、トリアセテート(TAC)、等の樹脂板および樹脂
フィルム、フレキシブルガラス等を用いることができる。本発明においては、これらの基
材に限定されず、例えば、後述するロール・トゥー・ロールプロセスでの製造に適用可能
な他の材料を用いることもできる。前記基材としては、例えば、幅が10~100mmの
範囲内、かつ、長さが10~2000mの範囲内で、かつ、曲率半径が30mm以上で復
元可能な長尺帯状基板を用いることが好ましい。より好ましくは、幅が30~60mmの
範囲内、長さが200~2000mの範囲内、復元可能な曲率半径が10mm以上の範囲
内の長尺帯状基材である。
なお、図1のフレキシブル発光デバイスの形態では、有機EL層13からの発光を基材
11の側から取り出す(光を出射する)ため、基材11は、透光性が高い基材であること
が好ましい。基材11と反対側から発光を取り出す場合(例えば、図1において、第2電
極14上[紙面下側]に、低屈折率層20および高屈折率層30が前記順序で積層されて
いる場合)は、基材11が透光性でなくても良い。
また、前記基材として導電性基材を用いる場合、有機EL素子の形成面は、絶縁性を確
保する必要がある。そのため、導電性基材を用いる場合、導電性基材上に絶縁層を設ける
必要がある。前記絶縁層としては、例えば、無機絶縁層、有機絶縁層、および、無機絶縁
層と有機絶縁層との積層体等を用いることができる。前記有機EL素子は、前記絶縁層上
に形成すればよい。
前記無機絶縁層は、金属および半金属の少なくとも1種を含むことが好ましい。前記金
属または前記半金属の少なくとも1種は、酸化物、窒化物、炭化物、酸化窒化物、酸化炭
化物、窒化炭化物および酸化窒化炭化物からなる群から選ばれる少なくとも1種であるこ
とが好ましい。金属としては、例えば、亜鉛、アルミニウム、チタン、銅、マグネシウム
などがあげられ、半金属としては、例えば、ケイ素、ビスマス、ゲルマニウムなどがあげ
られる。
前記有機絶縁層は、絶縁性の樹脂層を使用することができる。前記導電性基板は、製造
プロセス上、150~300℃に加熱される場合があるため、150℃以上のガラス転移
温度を有する耐熱性樹脂を選択することが好ましい。具体的には、アクリル樹脂、ノルボ
ルネン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、
ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポ
リエーテルケトン樹脂、ポリフェニルスルホン樹脂およびこれらの樹脂の複合体等があげ
られる。これらの中で、前記樹脂としては、アクリル樹脂、ノルボルネン樹脂、エポキシ
樹脂およびポリイミド樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい
第1電極(第1電極層)12は、特に限定されないが、例えば、インジウム錫酸化物(
ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)、インジウム亜鉛酸化物(I
ZO(登録商標))、金、白金、ニッケル、タングステン、銅およびアルミニウム等の金
属、リチウムおよびセシウム等のアルカリ金属、マグネシウムおよびカルシウム等のアル
カリ土類金属、イッテルビウム等の希土類金属、アルミニウム-リチウム合金およびマグ
ネシウム-銀合金等の合金等を用いることができる。
第1電極12の形成方法は、特に限定されず、例えば、一般的な方法を適宜用いても良
い。第1電極12は、例えば、スパッタ法、蒸着法、CVD法、フォトリソグラフィー法
等で形成することができる。第1電極12は、例えば、シャドーマスクを用いて形成して
も良い。前記シャドーマスクは、ステンレス(SUS)、アルミニウム(Al)および銅
(Cu)等の金属からなるものがあげられるが、これらに限定されるものではない。前記
シャドーマスクの厚みは、10~2000μmであることが好ましく、より好ましくは2
0~500μmである。
つぎに、有機EL層13は、正孔輸送層と発光層と電子輸送層とを少なくとも有し、必
要に応じて、正孔注入層、電子注入層等を有していてもよい。第1電極12が陽極であり
、第2電極(第2電極層)14が陰極である場合、有機EL層13は、第1電極12から
第2電極14に向かって、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層および
電子注入層が、この順に積層されている。一方、第1電極12が陰極であり、第2電極1
4が陽極である場合、有機EL層13は、第2電極14から第1電極12に向かって、例
えば、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層および電子注入層が、この順に積層
されている。
正孔輸送層の形成材料は、正孔輸送機能を有する材料であれば特に限定されない。前記
正孔輸送層の形成材料としては、例えば、4,4’-ビス[N-(1-ナフチル)-N-
フェニルアミノ]ビフェニル(NPB)および4,4’-ビス[N-(3-メチルフェニ
ル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(TPD)等の芳香族アミン化合物、1,3-ビ
ス(N-カルバゾリル)ベンゼン等のカルバゾール誘導体、高分子化合物等があげられる
。正孔輸送層の形成材料は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、正孔輸送層は、2層以上の多層構造であってもよい。
正孔注入層の形成材料は、特に限定されず、例えば、HAT-CN(1,4,5,8,
9,12-ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル)、バナジウム酸化物、ニオ
ブ酸化物およびタンタル酸化物等の金属酸化物、フタロシアニン等のフタロシアニン化合
物、3,4-エチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の混合物(PEDO
T/PSS)等の高分子化合物、前記正孔輸送層の形成材料等があげられる。正孔注入層
の形成材料は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
発光層の形成材料は、発光性を有する材料であれば特に限定されない。発光層の形成材
料としては、例えば、低分子蛍光発光材料や低分子燐光発光材料などの低分子発光材料を
用いることができる。また、発光層の形成材料は、発光機能と電子輸送機能または正孔輸
送機能とを併有するものでもよい。
前記低分子発光材料としては、例えば、4,4’-ビス(2,2’-ジフェニルビニル
)-ビフェニル(DPVBi)等の芳香族ジメチリデン化合物、5-メチル-2-[2-
[4-(5-メチル-2-ベンゾオキサゾリル)フェニル]ビニル]ベンゾオキサゾール
等のオキサジアゾール化合物、3-(4-ビフェニルイル)-4-フェニル-5-t-ブ
チルフェニル-1,2,4-トリアゾール等のトリアゾール誘導体、1,4-ビス(2-
メチルスチリル)ベンゼン等のスチリルベンゼン化合物、アゾメチン亜鉛錯体およびトリ
ス(8-キノリノラト)アルミニウム(Alq)等の有機金属錯体ベンゾキノン誘導体
、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、フルオレノン誘導体等があげられる。
また、発光層の形成材料として、ホスト材料中に発光性のドーパント材料をドープした
ものを用いてもよい。
前記ホスト材料としては、例えば、上述の低分子発光材料を用いることができ、これら
以外に、1,3-ビス(N-カルバゾリル)ベンゼン(mCP)、2,6-ビス(N-カ
ルバゾリル)ピリジン、9,9-ジ(4-ジカルバゾール-ベンジル)フルオレン(CP
F)、4,4’-ビス(カルバゾール-9-イル)-9,9-ジメチル-フルオレン(D
MFL-CBP)等のカルバゾール誘導体等を用いることができる。
前記ドーパント材料としては、例えば、トリス(2-フェニルピリジル)イリジウム(
III)(Ir(ppy))およびトリス(1-フェニルイソキノリン)イリジウム(
III)(Ir(piq))等の有機イリジウム錯体等の燐光発光性金属錯体、スチリ
ル誘導体、ペリレン誘導体などを用いることができる。
さらに、発光層の形成材料には、上述の正孔輸送層の形成材料、後述の電子輸送層の形
成材料および各種添加剤等が含まれていてもよい。
電子輸送層の形成材料は、電子輸送機能を有する材料であれば特に限定されない。電子
輸送層の形成材料としては、例えば、ビス(2-メチル-8-キノリノラト)(4-フェ
ニルフェノラト)アルミニウム(BAlq)等の金属錯体、2-(4-ビフェニリル)-
5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール(PBD)およ
び1,3-ビス[5-(p-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾー
ル-2-イル]ベンゼン(OXD-7)等の複素芳香族化合物、ポリ(2,5-ピリジン
-ジイル)(PPy)等の高分子化合物等があげられる。電子輸送層の形成材料は、1種
を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、電子輸送層は、2層以上の
多層構造であってもよい。
電子注入層の形成材料は、特に限定されず、例えば、フッ化リチウム(LiF)および
フッ化セシウム(CsF)等のアルカリ金属化合物、フッ化カルシウム(CaF)のよ
うなアルカリ土類金属化合物、前記電子輸送層の形成材料等があげられる。電子注入層の
形成材料は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、電子注入
層は、2層以上の多層構造であってもよい。
前記有機EL層を構成する各層の形成方法は、特に限定されず、一般的な方法で良く、
例えば、スパッタ法、蒸着法、インクジェット法、コート法等があげられる。前記有機E
L層のパターニング方法として、シャドーマスク法やフォトリソグラフィー法あげられる
が、有機EL層へのダメージ、レジスト残渣、工程数などの観点から、有機EL層形成工
程において、有機EL層形成用シャドーマスクを用いて形成されることが好ましい。
第2電極14としては、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫
酸化物(ITSO)、金、白金、ニッケル、タングステン、銅およびアルミニウム等の金
属、リチウムおよびセシウム等のアルカリ金属、マグネシウムおよびカルシウム等のアル
カリ土類金属、イッテルビウム等の希土類金属、アルミニウム-リチウム合金およびマグ
ネシウム-銀合金等の合金等を用いることができる。
第2電極14の形成方法も特に限定されず、一般的な方法で良く、例えば、スパッタ法
、蒸着法、CVD法等で形成することができる。前記第2電極層のパターニング方法とし
て、例えば、シャドーマスク法、フォトリソグラフィー法等が挙げられる。
また、第1電極12および第2電極14は、前述のとおり、どちらが陰極でも陽極でも
良い。図1のフレキシブル発光デバイスの形態では、有機EL層13からの発光を第1電
極12の側から取り出す(光を出射する)ため、第1電極12は、透光性が高い材質(例
えばITO、IZO、IGZO、SnO2、ZnO、AZO、ATO等)であることが好
ましい。第2電極14の側から発光を取り出す場合(例えば、図1において、第2電極1
4上[紙面下側]に、低屈折率層20および高屈折率層30が前記順序で積層されている
場合)は、第2電極14が、透光性が高い材質であることが好ましい。
また、高屈折率層30については、低屈折率層20よりも屈折率が高いこと以外は特に
限定されず、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ステンレス(SUS)等の金
属板および金属箔、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(P
S)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、メタクリル樹脂(PMMA)、
ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、アクリ
ル、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、シクロオレフィンポリマー(CO
P)、トリアセテート(TAC)、等の樹脂板および樹脂フィルム、プラスチック、フレ
キシブルガラス等を用いることができる。高屈折率層30は、透光性の高い材質であるこ
とが好ましい。
つぎに、本発明のフレキシブル発光デバイスにおける低屈折率層(以下「本発明の低屈
折率層」ともいう。)において詳述する。図1の低屈折率層20は、以下の説明を援用で
きる。
[1-2.低屈折率層]
本発明の低屈折率層は、例えば、樹脂フィルム上に積層されていても良く、前記樹脂フ
ィルム上に、直接積層されてもよいし、他の層を介して積層されてもよい。
本発明の低屈折率層は、例えば、前述のように、膜強度を示すベンコット(登録商標)
による耐擦傷性が、60~100%であっても良い。このような膜強度を有することによ
り、例えば、製造時の巻き取りや使用時等における物理的衝撃にも強い。前記耐擦傷性は
、その下限が、例えば、60%以上、80%以上、90%以上であり、その上限が、例え
ば、100%以下、99%以下、98%以下であり、その範囲が、例えば、60~100
%、80~99%、90~98%である。
本発明の低屈折率層は、例えば、膜強度を示すベンコット(登録商標)による耐擦傷性
が、60~100%であり、可撓性を示すMIT試験による耐折回数が、100回以上で
ある。前記耐擦傷性は、例えば、前記低屈折率層がケイ素(Si)を含む場合、以下のよ
うな方法により測定できる。また、前記低屈折率層がケイ素(Si)以外の元素を含む場
合、例えば、下記の方法に準じて測定できる。
(耐擦傷性の評価)
(1) アクリルフィルムに塗工・成膜をした空隙層(本発明の低屈折率層)を、直径1
5mm程度の円状にサンプリングする。
(2) 次に、前記サンプルについて、蛍光X線(島津製作所社製:ZSX Primu
sII)でケイ素を同定して、Si塗布量(Si)を測定する。つぎに、前記アクリルフ
ィルム上の前記空隙層について、前述のサンプリングした近傍から、50mm×100m
mに前記空隙層をカットし、これをガラス板(厚み3mm)に固定した後、ベンコット(
登録商標)による摺動試験を行う。摺動条件は、重り100g、10往復とする。
(3) 摺動を終えた前記空隙層から、前記(1)と同様にサンプリングおよび蛍光X測
定を行うことで、擦傷試験後のSi残存量(Si)を測定する。耐擦傷性は、ベンコッ
ト(登録商標)による摺動試験前後のSi残存率(%)で定義し、以下の式で表される。
耐擦傷性(%)=[残存したSi量(Si)/Si塗布量(Si)]×100(%)
本発明の低屈折率層は、例えば、前述のように、可撓性を示すMIT試験による耐折回
数が、100回以上である。本発明は、このような可撓性を有することから、連続製造時
における巻き取りや使用時等における取扱い性に優れる。
前記耐折回数は、その下限が、例えば、100回以上、500回以上、1000回以上
であり、その上限が、特に制限されず、例えば、10000回以下であり、その範囲が、
例えば、100~10000回、500~10000回、1000~10000回である
前記可撓性は、例えば、物質の変形のし易さを意味する。前記MIT試験による耐折回
数は、例えば、以下のような方法により測定できる。
(耐折試験の評価)
前記空隙層(本発明の低屈折率層)を、20mm×80mmの短冊状にカットした後、
MIT耐折試験機(テスター産業社製:BE-202)に取り付け、1.0Nの荷重をか
ける。前記空隙層を抱き込むチャック部は、R2.0mmを使用し、耐折回数を最大10
000回行い、前記空隙層が破断した時点の回数を耐折回数とする。
本発明の低屈折率層において膜密度は、膜密度は、特に制限されず、その下限が、例え
ば、1g/cm以上、10g/cm以上、15g/cm以上であり、その上限が、
例えば、50g/cm以下、40g/cm以下、30g/cm以下、2.1g/c
以下であり、その範囲が、例えば、5~50g/cm、10~40g/cm、1
5~30g/cm、1~2.1g/cmである。また、本発明の低屈折率層において
、前記膜密度に基づく空孔率は、その下限が、例えば、50%以上、70%以上、85%
以上であり、その上限が、例えば、98%以下、95%以下であり、その範囲が、例えば
、50~98%、70~95%、85~95%である。
前記膜密度は、例えば、以下のような方法により測定でき、前記空孔率は、例えば、前
記膜密度に基づいて、以下のようにして算出できる。
(膜密度、空孔率の評価)
基材(アクリルフィルム)上に空隙層(本発明の低屈折率層)を形成した後、この積層
体における前記空隙層について、X線回折装置(RIGAKU社製:RINT-2000
)を用いて全反射領域のX線反射率を測定した。そして、Intensityと2θのフ
ィッティグを行った後に、前記積層体(空隙層・基材)の全反射臨界角から膜密度(g/
cm)を算出し、さらに、空孔率(P%)を、以下の式より算出した。
空孔率(P%)=45.48×膜密度(g/cm)+100(%)
本発明の低屈折率層は、例えば、孔構造を有しており、孔の空隙サイズは、空隙(孔)
の長軸の直径および短軸の直径のうち、前記長軸の直径を指すものとする。好ましい空孔
サイズは、例えば、2nm~500nmである。前記空隙サイズは、その下限が、例えば
、2nm以上、5nm以上、10nm以上、20nm以上であり、その上限が、例えば、
500nm以下、200nm以下、100nm以下であり、その範囲が、例えば、2nm
~500nm、5nm~500nm、10nm~200nm、20nm~100nmであ
る。空隙サイズは、空隙構造を用いる用途に応じて、好ましい空隙サイズが決まるため、
例えば、目的に応じて、所望の空隙サイズに調整する必要がある。空隙サイズは、例えば
、以下の方法により評価できる。
(空隙サイズの評価)
本発明において、前記空隙サイズは、BET試験法により定量化できる。具体的には、
比表面積測定装置(マイクロメリティック社製:ASAP2020)のキャピラリに、サ
ンプル(本発明の低屈折率層)を0.1g投入した後、室温で24時間、減圧乾燥を行っ
て、空隙構造内の気体を脱気する。そして、前記サンプルに窒素ガスを吸着させることで
吸着等温線を描き、細孔分布を求める。これによって、空隙サイズが評価できる。
本発明の低屈折率層は、例えば、前述のように孔構造(多孔質構造)を有していればよ
く、例えば、前記孔構造が連続した連泡構造体であってもよい。前記連泡構造体とは、例
えば、前記本発明の低屈折率層(例えばシリコーン多孔体)において、三次元的に、孔構
造が連なっていることを意味し、前記孔構造の内部空隙が連続している状態ともいえる。
多孔質体が連泡構造を有する場合、これにより、バルク体中に占める空孔率を高めること
が可能であるが、中空シリカのような独泡粒子を使用する場合は、連泡構造を形成できな
い。これに対して、本発明の低屈折率層は、例えば、シリカゾル粒子(ゾルを形成するゲ
ル状ケイ素化合物の粉砕物)を使用する場合、前記粒子が三次元の樹状構造を有するため
に、塗工膜(前記ゲル状ケイ素化合物の粉砕物を含むゾルの塗工膜)中で、前記樹状粒子
が沈降・堆積することで、容易に連泡構造を形成することが可能である。また、本発明の
低屈折率層は、より好ましくは、連泡構造が複数の細孔分布を有するモノリス構造を形成
することが好ましい。前記モノリス構造は、例えば、ナノサイズの微細な空隙が存在する
構造と、同ナノ空隙が集合した連泡構造として存在する階層構造を指す。前記モノリス構
造を形成する場合、例えば、微細な空隙で膜強度を付与しつつ、粗大な連泡空隙で高い空
孔率を付与し、膜強度と高空孔率とを両立することができる。それらのモノリス構造を形
成するには、例えば、まず、前記シリカゾル粒子に粉砕する前段階のゲル(ゲル状ケイ素
化合物)において、生成する空隙構造の細孔分布を制御することが好ましい。また、例え
ば、前記ゲル状ケイ素化合物を粉砕する際、粉砕後のシリカゾル粒子の粒度分布を所望の
サイズに制御することで、前記モノリス構造を形成させることができる。
本発明の低屈折率層において、透明性を示すヘイズは、特に制限されず、その上限は、
例えば、5%未満であり、好ましくは3%未満である。また、その下限は、例えば、0.
1%以上、0.2%以上であり、その範囲が、例えば、0.1%以上5%未満、0.2%
以上3%未満、である。
前記ヘイズは、例えば、以下のような方法により測定できる。
(ヘイズの評価)
空隙層(本発明の低屈折率層)を50mm×50mmのサイズにカットし、ヘイズメー
ター(村上色彩技術研究所社製:HM-150)にセットしてヘイズを測定する。ヘイズ
値については、以下の式より算出を行う。
ヘイズ(%)=[拡散透過率(%)/全光線透過率(%)]×100(%)
前記屈折率は、一般に、真空中の光の波面の伝達速度と、媒質内の伝播速度との比を、
その媒質の屈折率という。本発明の低屈折率層の屈折率は、その上限が、例えば、1.2
0以下、1.15以下であり、その下限が、例えば、1.05以上、1.06以上、1.
07以上であり、その範囲が、例えば、1.05以上~1.20以下、1.06以上~1
.20以下、1.07以上~1.15以下である。
本発明において、屈折率(例えば、本発明の低屈折率層の屈折率)は、特に断らない限
り、波長550nmにおいて測定した屈折率をいう。また、屈折率の測定方法は、特に限
定されず、例えば、下記の方法により測定できる。
(屈折率の評価)
アクリルフィルムに空隙層(本発明の低屈折率層)を形成した後に、50mm×50m
mのサイズにカットし、これを粘着層でガラス板(厚み:3mm)の表面に貼合する。前
記ガラス板の裏面中央部(直径20mm程度)を黒マジックで塗りつぶして、前記ガラス
板の裏面で反射しないサンプルを調製する。エリプソメーター(J.A.Woollam
Japan社製:VASE)に前記サンプルをセットし、500nmの波長、入射角5
0~80度の条件で、屈折率を測定し、その平均値を屈折率とする。
本発明の低屈折率層が、例えば、前記樹脂フィルム上に形成されている場合、前記樹脂
フィルムとの密着性を示す粘着ピール強度は、特に制限されず、その下限が、例えば、1
N/25mm以上、2N/25mm以上、3N/25mm%以上であり、その上限が、例
えば、30N/25mm以下、20N/25mm以下、10N/25mm以下であり、そ
の範囲が、例えば、1~30N/25mm、2~20N/25mm、3~10N/25m
mである。
前記粘着ピール強度の測定方法は、特に限定されず、例えば、下記の方法により測定で
きる。
(ピール強度の評価)
アクリルフィルムに空隙層(本発明の低屈折率層)を形成した後に、50mm×140
mmの短冊状にサンプリングを行い、前記サンプルをステンレス板に両面テープで固定す
る。PETフィルム(T100:三菱樹脂フィルム社製)にアクリル粘着層(厚み20μ
m)を貼合し、25mm×100mmにカットした粘着テープ片を、先ほどの前記空隙層
に貼合し、前記PETフィルムとのラミネートを行う。次に、前記サンプルを、引っ張り
試験機(島津製作所社製:AG-Xplus)にチャック間距離が100mmになるよう
にチャッキングした後に、0.3m/minの引張速度で引っ張り試験を行う。50mm
ピール試験を行った平均試験力を、ピール強度とする。
本発明の低屈折率層の厚みは、特に制限されず、その下限が、例えば、0.01μm以
上、0.05μm以上、0.1μm以上、0.3μm以上であり、その上限が、例えば、
100μm以下、80μm以下、50μm以下、10μm以下であり、その範囲が、例え
ば、0.01~100μmである。
本発明の低屈折率層は、例えば、前述のようにゲル状化合物の粉砕物を含み、前記粉砕
物同士が化学的に結合している。本発明の低屈折率層において、前記粉砕物同士の化学的
な結合(化学結合)の形態は、特に制限されず、前記化学結合の具体例は、例えば、架橋
結合等が挙げられる。なお、前記粉砕物同士を化学的に結合させる方法は、本発明の製造
方法において、詳細を述べる。
前記ゲル状化合物のゲル形態は、特に制限されない。「ゲル」とは、一般に、溶質が、
相互作用のために独立した運動性を失って集合した構造をもち、固化した状態をいう。ま
た、ゲルの中でも、一般に、ウェットゲルは、分散媒を含み、分散媒中で溶質が一様な構
造をとるものをいい、キセロゲルは、溶媒が除去されて、溶質が、空隙を持つ網目構造を
とるものをいう。本発明において、前記ゲル状化合物は、例えば、ウェットゲルでもよい
し、キセロゲルでもよい。
前記ゲル状化合物は、例えば、モノマー化合物をゲル化したゲル化物が挙げられる。具
体的に、前記ゲル状ケイ素化合物は、例えば、前記モノマーのケイ素化合物が互いに結合
したゲル化物、具体例として、前記モノマーのケイ素化合物が互いに水素結合または分子
間力結合したゲル化物が挙げられる。前記結合は、例えば、脱水縮合による結合が挙げら
れる。前記ゲル化の方法は、本発明の製造方法において後述する。
本発明の低屈折率層において、前記粉砕物の粒度バラツキを示す体積平均粒子径は、特
に制限されず、その下限が、例えば、0.10μm以上、0.20μm以上、0.40μ
m以上であり、その上限が、例えば、2.00μm以下、1.50μm以下、1.00μ
m以下であり、その範囲が、例えば、0.10μm~2.00μm、0.20μm~1.
50μm、0.40μm~1.00μmである。前記粒度分布は、例えば、動的光散乱法
、レーザー回折法等の粒度分布評価装置、および走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電
子顕微鏡(TEM)等の電子顕微鏡等により測定することができる。
また、前記粉砕物の粒度バラツキを示す粒度分布は、特に制限されず、例えば、粒径0
.4μm~1μmの粒子が、50~99.9重量%、80~99.8重量%、90~99
.7重量%であり、または、粒径1μm~2μmの粒子が、0.1~50重量%、0.2
~20重量%、0.3~10重量%である。前記粒度分布は、例えば、粒度分布評価装置
または電子顕微鏡により測定することができる。
本発明の低屈折率層において、前記ゲル状化合物の種類は、特に制限されない。前記ゲ
ル状化合物としては、例えば、ゲル状ケイ素化合物が例示できる。以下に、ゲル状化合物
がゲル状ケイ素化合物である場合を例として説明するが、本発明は、これには制限されな
い。
前記架橋結合は、例えば、シロキサン結合である。シロキサン結合は、例えば、以下に
示す、T2の結合、T3の結合、T4の結合が例示できる。本発明の低屈折率層がシロキ
サン結合を有する場合、例えば、いずれか一種の結合を有してもよいし、いずれか二種の
結合を有してもよいし、三種全ての結合を有してもよい。前記シロキサン結合のうち、T
2およびT3の比率が多いほど、可撓性に富み、ゲル本来の特性を期待できるが、膜強度
が脆弱になる。一方で、前記シロキサン結合のうちT4比率が多いと、膜強度と発現しや
すいが、空隙サイズが小さくなり、可撓性が脆くなる。このため、例えば、用途に応じて
、T2、T3、T4比率を変えることが好ましい。
Figure 0007257995000001
本発明の低屈折率層が前記シロキサン結合を有する場合、T2、T3およびT4の割合
は、例えば、T2を「1」として相対的に表した場合、T2:T3:T4=1:[1~1
00]:[0~50]、1:[1~80]:[1~40]、1:[5~60]:[1~3
0]である。
また、本発明の低屈折率層は、例えば、含まれるケイ素原子がシロキサン結合している
ことが好ましい。具体例として、前記低屈折率層に含まれる全ケイ素原子のうち、未結合
のケイ素原子(つまり、残留シラノール)の割合は、例えば、50%未満、30%以下、
15%以下である。
前記ゲル状化合物が、前記ゲル状ケイ素化合物の場合、前記モノマーのケイ素化合物は
、特に制限されない。前記モノマーのケイ素化合物は、例えば、下記式(1)で表される
化合物が挙げられる。前記ゲル状ケイ素化合物が、前述のように、モノマーのケイ素化合
物が互いに水素結合または分子間力結合したゲル化物の場合、式(1)のモノマー間は、
例えば、それぞれの水酸基を介して水素結合できる。
Figure 0007257995000002
前記式(1)中、例えば、Xは、2、3または4であり、Rは、直鎖もしくは分枝ア
ルキル基、である。前記Rの炭素数は、例えば、1~6、1~4、1~2である。前記
直鎖アルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、
ヘキシル基等が挙げられ、前記分枝アルキル基は、例えば、イソプロピル基、イソブチル
基等が挙げられる。前記Xは、例えば、3または4である。
前記式(1)で表されるケイ素化合物の具体例としては、例えば、Xが3である下記式
(1’)に示す化合物が挙げられる。下記式(1’)において、Rは、前記式(1)と
同様であり、例えば、メチル基である。Rがメチル基の場合、前記ケイ素化合物は、ト
リス(ヒドロキシ)メチルシランである。前記Xが3の場合、前記ケイ素化合物は、例え
ば、3つの官能基を有する3官能シランである。
Figure 0007257995000003
また、前記式(1)で表されるケイ素化合物の具体例としては、例えば、Xが4である
化合物が挙げられる。この場合、前記ケイ素化合物は、例えば、4つの官能基を有する4
官能シランである。
前記モノマーのケイ素化合物は、例えば、ケイ素化合物前駆体の加水分解物でもよい。
前記ケイ素化合物前駆体としては、例えば、加水分解により前記ケイ素化合物を生成でき
るものであればよく、具体例として、下記式(2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0007257995000004
前記式(2)中、例えば、Xは、2、3または4であり、
およびRは、それぞれ、直鎖もしくは分枝アルキル基であり、
およびRは、同一でも異なっていても良く、
は、Xが2の場合、互いに同一でも異なっていても良く、
は、互いに同一でも異なっていても良い。
前記XおよびRは、例えば、前記式(1)におけるXおよびRと同じである。また
、前記Rは、例えば、式(1)におけるRの例示が援用できる。
前記式(2)で表されるケイ素化合物前駆体の具体例としては、例えば、Xが3である
下記式(2’)に示す化合物が挙げられる。下記式(2’)において、RおよびR
、それぞれ、前記式(2)と同様である。RおよびRがメチル基の場合、前記ケイ素
化合物前駆体は、トリメトキシ(メチル)シラン(以下、「MTMS」ともいう)である
Figure 0007257995000005
前記モノマーのケイ素化合物は、例えば、低屈折率性に優れる点から、前記3官能シラ
ンが好ましい。また、前記モノマーのケイ素化合物は、例えば、強度(例えば、耐擦傷性
)に優れる点から、前記4官能シランが好ましい。また、前記ゲル状ケイ素化合物の原料
となる前記モノマーのケイ素化合物は、例えば、一種類のみを使用してもよいし、二種類
以上を併用してもよい。具体例として、前記モノマーのケイ素化合物として、例えば、前
記3官能シランのみを含んでもよいし、前記4官能シランのみを含んでもよいし、前記3
官能シランと前記4官能シランの両方を含んでもよいし、さらに、その他のケイ素化合物
を含んでもよい。前記モノマーのケイ素化合物として、二種類以上のケイ素化合物を使用
する場合、その比率は、特に制限されず、適宜設定できる。
本発明の低屈折率層は、例えば、前記微細な空隙構造を形成する一種類または複数種類
の構成単位同士を化学的に結合させるための触媒を含んでいても良い。前記触媒の含有率
は、特に限定されないが、前記微細な空隙構造を形成する一種類または複数種類の構成単
位の重量に対し、例えば、0.01~20重量%、0.05~10重量%、または0.1
~5重量%である。
また、本発明の低屈折率層は、例えば、さらに、前記微細な空隙構造を形成する一種類
または複数種類の構成単位同士を間接的に結合させるための架橋補助剤を含んでいても良
い。前記架橋補助剤の含有率は、特に限定されないが、例えば、前記微細な空隙構造を形
成する一種類または複数種類の構成単位の重量に対して0.01~20重量%、0.05
~15重量%、または0.1~10重量%である。
本発明の低屈折率層の形態は、特に制限されないが、フィルム形状が通常である。
本発明の低屈折率層は、例えば、ロール体であっても良い。より具体的には、本発明の
低屈折率層は、例えば、さらに樹脂フィルムを含み、長尺な前記樹脂フィルム上に、前記
低屈折率層が形成されてもよい。この場合、前記積層フィルム(前記樹脂フィルムと本発
明の低屈折率層との積層体)には別の長尺フィルムが積層されていてもよく、前記樹脂フ
ィルムと前記低屈折率層とを含む積層フィルムに、別の長尺樹脂フィルム(例えば、合紙
、離型フィルム、表面保護フィルム等)を積層した後、ロール体に巻かれた形態であって
もよい。
本発明の低屈折率層の製造方法は、特に制限されないが、例えば、以下に示す製造方法
(以下「本発明の製造方法」という場合がある。)により製造することができる。
[1-3.低屈折率層の製造方法]
本発明の低屈折率層の製造方法は、例えば、微細孔粒子を含む液を作製する工程、基材
(例えば樹脂フィルム)上に前記液を塗工する工程、および塗工された液を乾燥する工程
を含むことが好ましいが、このかぎりでは無い。前記微細孔粒子を含む液(以下「微細孔
粒子含有液」という場合がある。)は、特に限定されないが、例えば、前記微細孔粒子を
含む懸濁液である。なお、以下において、主に、前記微細孔粒子が、ゲル状化合物の粉砕
物であり、前記低屈折率層がゲル状化合物の粉砕物を含む多孔体(好ましくはシリコーン
多孔体)である場合について説明する。ただし、本発明は、前記微細孔粒子が、ゲル状化
合物の粉砕物以外である場合も、同様に実施することができる。本発明の積層フィルムロ
ールの製造方法において、前記低屈折率層は、例えば、微細孔粒子同士が化学的に結合し
ている多孔体であり、前記低屈折率層形成工程において、例えば、前記微細孔粒子同士を
化学的に結合させる。前記微細孔粒子が、例えば、ケイ素化合物の微細孔粒子であり、前
記多孔体が、シリコーン多孔体である。前記ケイ素化合物の微細孔粒子が、例えば、ゲル
状シリカ化合物の粉砕体を含む。また、前記低屈折率層の別形態として、ナノファイバー
等の繊維状物質からなり、該繊維状物質が絡まり合い空隙を含む形で層を成している空隙
層がある。製造方法においては、前記微細孔粒子と同様である。さらに他にも、中空ナノ
粒子やナノクレイを用いた空隙層、中空ナノバルーンやフッ化マグネシウムを用いて形成
した空隙層も含まれる。また、それらの低屈折率層は単一の構成物質からなる空隙層であ
ってもよいし、また複数の構成物質からなる空隙層であってもよい。空隙層の形態も単一
の前記形態であってもよいし、複数の前記形態からなる空隙層であってもよい。以下にお
いては、主に、前記微細孔粒子同士が化学的に結合している多孔体の空隙層について説明
する。
本発明の製造方法によれば、優れた低屈折率を示す低屈折率層が形成される。その理由
は、例えば、以下のように推測されるが、本発明は、この推測には制限されない。
本発明の製造方法で使用する前記粉砕物は、前記ゲル状ケイ素化合物を粉砕したもので
あるため、前記粉砕前のゲル状ケイ素化合物の三次元構造が、三次元基本構造に分散され
た状態となっている。そして、本発明の製造方法では、前記ゲル状ケイ素化合物の粉砕物
を前記基材上に塗工することで、前記三次元基本構造に基づく多孔性構造の前駆体が形成
される。つまり、本発明の製造方法によれば、前記ゲル状ケイ素化合物の三次元構造とは
異なる、前記三次元基本構造の前記粉砕物から形成された新たな多孔構造が形成される。
このため、最終的に得られる前記低屈折率層は、例えば、空気層と同程度に機能する低屈
折率を奏することができる。また、本発明の製造方法においては、さらに、前記粉砕物同
士を化学的に結合させるため、前記新たな三次元構造が固定化される。このため、最終的
に得られる前記低屈折率層は、空隙を有する構造であるが、十分な強度と可撓性とを維持
できる。このように、本発明の製造方法により得られる低屈折率層は、例えば、前記空気
層の代替品として、低屈折性という機能の面において、また、強度と可撓性においても、
有用である。また、前記空気層の場合、例えば、部材と部材とを、両者の間にスペーサー
等を介することで間隙を設けて積層することにより、前記部材間に空気層を形成する必要
があった。しかし、本発明の製造方法により得られる低屈折率層は、例えば、目的の部位
に配置するのみで、前記空気層と同程度に機能する低屈折性を発揮させることができる。
したがって、前述のように、前記空気層を形成するよりも、容易且つ簡便に、前記空気層
と同程度に機能する低屈折性を、例えば、光学部材に付与することができる。
本発明の製造方法は、特に記載しない限り、前記本発明の低屈折率層の説明を援用でき
る。
本発明の製造方法において、前記ゲル状化合物およびその粉砕物、前記モノマー化合物
および前記モノマー化合物の前駆体は、前記本発明の多孔質構造における説明を援用でき
る。
本発明の製造方法は、例えば、前述のように、微細孔粒子を含む液を作製する工程を有
する。前記微細孔粒子がゲル状化合物の粉砕物である場合は、前記粉砕物は、例えば、前
記ゲル状化合物を粉砕して得られる。前記ゲル状化合物の粉砕によって、前述のように、
前記ゲル状化合物の三次元構造が破壊され、三次元基本構造に分散される。
以下に、前記モノマー化合物のゲル化による前記ゲル状化合物の生成、前記ゲル状化合
物の粉砕による粉砕物の調製について説明するが、本発明は、以下の例示には制限されな
い。
前記モノマー化合物のゲル化は、例えば、前記モノマー化合物を、互いに水素結合させ
ることまたは分子間力結合させることで行うことができる。
前記モノマー化合物は、例えば、前記本発明の低屈折率層において述べた前記式(1)
で表されるケイ素化合物が挙げられる。
Figure 0007257995000006
前記式(1)のケイ素化合物は、水酸基を有するため、前記式(1)のモノマー間は、
例えば、それぞれの水酸基を介して、水素結合または分子間力結合が可能である。
また、前記ケイ素化合物は、前述のように、前記ケイ素化合物前駆体の加水分解物でも
よく、例えば、前記本発明の低屈折率層において述べた前記式(2)で表されるケイ素化
合物前駆体を、加水分解して生成してもよい。
Figure 0007257995000007
前記モノマー化合物前駆体の加水分解の方法は、特に制限されず、例えば、触媒存在下
での化学反応により行うことができる。前記触媒としては、例えば、シュウ酸、酢酸等の
酸等が挙げられる。前記加水分解反応は、例えば、シュウ酸の水溶液を、前記ケイ素化合
物とジメチルスルホキシドとの混合液(例えば懸濁液)に、室温環境下でゆっくり滴下混
合させた後に、そのまま30分程度撹拌することで行うことができる。前記ケイ素化合物
前駆体を加水分解する際は、例えば、前記ケイ素化合物前駆体のアルコキシ基を完全に加
水分解することで、その後のゲル化・熟成・空隙構造形成後の加熱・固定化を、さらに効
率良く発現することができる。
前記モノマー化合物のゲル化は、例えば、前記モノマー間の脱水縮合反応により行うこ
とができる。前記脱水縮合反応は、例えば、触媒存在下で行うことが好ましく、前記触媒
としては、例えば、塩酸、シュウ酸、硫酸等の酸触媒、およびアンモニア、水酸化カリウ
ム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム等の塩基触媒等の、脱水縮合触媒が挙げられ
る。前記脱水縮合触媒は、塩基触媒が特に好ましい。前記脱水縮合反応において、前記モ
ノマー化合物に対する前記触媒の添加量は、特に制限されず、前記モノマー化合物1モル
に対して、触媒は、例えば、0.01~10モル、0.05~7モル、0.1~5モルで
ある。
前記モノマー化合物のゲル化は、例えば、溶媒中で行うことが好ましい。前記溶媒にお
ける前記モノマー化合物の割合は、特に制限されない。前記溶媒は、例えば、ジメチルス
ルホキシド(DMSO)、N-メチルピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルアセトア
ミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド(DMF)、γ-ブチルラクトン(GBL)、
アセトニトリル(MeCN)、エチレングリコールエチルエーテル(EGEE)等が挙げ
られる。前記溶媒は、例えば、1種類でもよいし、2種類以上を併用してもよい。前記ゲ
ル化に使用する溶媒を、以下、「ゲル化用溶媒」ともいう。
前記ゲル化の条件は、特に制限されない。前記モノマー化合物を含む前記溶媒に対する
処理温度は、例えば、20~30℃、22~28℃、24~26℃であり、処理時間は、
例えば、1~60分、5~40分、10~30分である。前記脱水縮合反応を行う場合、
その処理条件は、特に制限されず、これらの例示を援用できる。前記ゲル化を行うことで
、例えば、シロキサン結合が成長し、シリカ一次粒子が形成され、さらに反応が進行する
ことで、前記一次粒子同士が、数珠状に連なり三次元構造のゲルが生成される。
前記ゲル化により得られた前記ゲル状化合物は、ゲル化反応の後、熟成処理を施すこと
が好ましい。前記熟成処理により、例えば、ゲル化で得られた三次元構造を有するゲルの
一次粒子をさらに成長させることで、粒子自体のサイズを大きくすることが可能であり、
結果的には、粒子同士が接触しているネック部分の接触状態を、点接触から面接触に増や
すことができる。上記のような熟成処理を行ったゲルは、例えば、ゲル自体の強度が増加
し、結果的には、粉砕を行った後の三次元基本構造の強度を向上できる。これにより、例
えば、前記粉砕物を塗工した後の乾燥工程において、前記三次元基本構造が堆積した空隙
構造の細孔サイズが、乾燥過程の溶媒揮発に伴って収縮することを抑制できる。
前記熟成処理は、例えば、所定の温度で所定の時間、前記ゲル状化合物をインキュベー
トすることにより行える。前記所定の温度は、特に制限されず、その下限が、例えば、3
0℃以上、35℃以上、40℃以上であり、その上限が、例えば、80℃以下、75℃以
下、70℃以下であり、その範囲が、例えば、30~80℃、35~75℃、40~70
℃である。前記所定の時間は、特に制限されず、その下限が、例えば、5時間以上、10
時間以上、15時間以上であり、その上限が、例えば、50時間以下、40時間以下、3
0時間以下であり、その範囲が、例えば、5~50時間、10~40時間、15~30時
間である。なお、熟成の最適な条件については、例えば、前記のシリカ一次粒子サイズの
増大、およびネック部分の接触面積の増大が得られる条件が主目的である。さらには、使
用している溶媒の沸点を考慮することが好ましく、例えば、熟成温度が高すぎると、溶媒
が過剰に揮発してしまい、塗工液(ゲル液)濃度の濃縮により三次元空隙構造の細孔が閉
口する等の不具合が生じる可能性がある。一方で、例えば、熟成温度が低すぎる場合は、
前記の熟成による効果が十分に得られないばかりでなく、量産プロセスの経時での温度バ
ラツキが増大することとなり、品質に劣る製品ができる可能性がある。
前記熟成処理は、例えば、前記ゲル化処理と同じ溶媒を使用でき、具体的には、前記ゲ
ル処理後の反応物(つまり、前記ゲル状化合物を含む前記溶媒)に対して、そのまま施す
ことが好ましい。ゲル化後の熟成処理を終えた前記ゲル(前記ゲル状化合物、例えば、前
記ゲル状ケイ素化合物)に含まれる残留シラノール基のモル数は、例えば、添加した原材
料(例えば、前記モノマー化合物前駆体)のアルコキシ基のモル数を100とした場合の
残留シラノール基の割合であり、その下限が、例えば、50%以上、40%以上、30%
以上であり、その上限が、例えば、1%以下、3%以下、5%以下であり、その範囲が、
例えば、1~50%、3~40%、5~30%である。ゲルの硬度を上げる目的では、例
えば、残留シラノール基のモル数が低いほど好ましい。シラノール基のモル数が高すぎる
と、例えば、シリコーン多孔体の前駆体が架橋されるまでに、空隙構造を保持できなくな
る可能性がある。一方で、シラノール基のモル数が低すぎると、例えば、前記微細孔粒子
含有液(例えば懸濁液)を作製する工程および/またはその後の工程において、ゲル状化
合物の粉砕物を架橋できなくなり、十分な膜強度を付与できなくなる可能性がある。なお
、上記はシラノール基の例であるが、例えば、モノマーのケイ素化合物を各種反応性官能
基で修飾した場合は、各々の官能基に対しても同様の現象を適用できるものとする。
前記モノマー化合物を前記ゲル化用溶媒中でゲル化した後、得られたゲル状化合物を粉
砕する。前記粉砕は、例えば、前記ゲル化用溶媒中のゲル状化合物に対して、そのまま粉
砕処理を施してもよいし、前記ゲル化用溶媒を他の溶媒に置換してから、前記他の溶媒中
のゲル状化合物に対して、粉砕処理を施してもよい。また、例えば、ゲル化反応に用いた
触媒および用いた溶媒が、熟成工程後も残存することで、液の経時ゲル化(ポットライフ
)、乾燥工程時の乾燥効率低下を発生させる場合は、他の溶媒に置換することが好ましい
。前記他の溶媒を、以下、「粉砕用溶媒」ともいう。
前記粉砕用溶媒は、特に制限されず、例えば、有機溶媒が使用できる。前記有機溶媒は
、例えば、沸点130℃以下、沸点100℃以下、沸点85℃以下の溶媒が挙げられる。
具体例としては、例えば、イソプロピルアルコール(IPA)、エタノール、メタノール
、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、メチルセロソル
ブ、アセトン、ジメチルホムアミド(DMF)等が挙げられる。前記粉砕用溶媒は、例え
ば、1種類でもよいし、2種類以上の併用でもよい。
前記ゲル化用溶媒と前記粉砕用溶媒との組合せは、特に制限されず、例えば、DMSO
とIPAとの組合せ、DMSOとエタノール、DMSOとメタノール、DMSOとブタノ
ールの組合せ等が挙げられる。このように、前記ゲル化用溶媒を前記粉砕用溶媒に置換す
ることで、例えば、後述する塗膜形成において、より均一な塗工膜を形成することができ
る。
前記ゲル状化合物の粉砕方法は、特に制限されず、例えば、超音波ホモジナイザー、高
速回転ホモジナイザー、その他のキャビテーション現象を用いる粉砕装置もしくは高圧で
液同士を斜向衝突させる粉砕装置等により行うことができる。ボールミル等のメディア粉
砕を行う装置は、例えば、粉砕時にゲルの空隙構造を物理的に破壊するのに対し、ホモジ
ナイザー等の本発明に好ましいキャビテーション方式粉砕装置は、例えば、メディアレス
方式のため、ゲル三次元構造にすでに内包されている比較的弱い結合のシリカ粒子接合面
を、高速のせん断力で剥離する。これにより、得られるゾル三次元構造は、例えば、一定
範囲の粒度分布をもつ空隙構造を保持することができ、塗工・乾燥時の堆積による空隙構
造を再形成できる。前記粉砕の条件は、特に制限されず、例えば、瞬間的に高速の流れを
与えることで、溶媒を揮発させることなくゲルを粉砕することができることが好ましい。
例えば、前述のような粒度バラツキ(例えば、体積平均粒子径または粒度分布)の粉砕物
となるように粉砕することが好ましい。仮に粉砕時間・強度等の仕事量が不足した場合は
、例えば、粗粒が残ることとなり緻密な細孔を形成できないばかりか外観欠点も増加し高
い品質を得ることができない可能性がある。一方で、仕事量が過多な場合は、例えば、所
望の粒度分布よりも微細なゾル粒子となり、塗工・乾燥後に堆積した空隙サイズが微細と
なり、所望の空孔率に満たない可能性がある。
以上のようにして、前記微細孔粒子を含む液(例えば懸濁液)を作製することができる
。さらに、前記微細孔粒子を含む液を作製した後に、または作製工程中に、前記微細孔粒
子同士を化学的に結合させる触媒を加えることにより、前記微細孔粒子および前記触媒を
含む含有液を作製することができる。前記触媒の添加量は、特に限定されないが、前記微
細孔粒子(例えば、ゲル状ケイ素化合物の粉砕物)の重量に対し、例えば、0.01~2
0重量%、0.05~10重量%、または0.1~5重量%である。この触媒により、例
えば、後述の結合工程において、前記微細孔粒子同士を化学的に結合させることができる
。前記触媒は、例えば、前記微細孔粒子同士の架橋結合を促進する触媒であっても良い。
前記微細孔粒子同士を化学的に結合させる化学反応としては、シリカゾル分子に含まれる
残留シラノール基の脱水縮合反応を利用することが好ましい。シラノール基の水酸基同士
の反応を前記触媒で促進することで、短時間で空隙構造を硬化させる連続成膜が可能であ
る。前記触媒としては、例えば、光活性触媒および熱活性触媒が挙げられる。前記光活性
触媒によれば、例えば、加熱によらずに前記微細孔粒子同士を化学的に結合(例えば架橋
結合)させることができる。これによれば、例えば、加熱による収縮が起こりにくいため
、より高い空隙率を維持できる。また、前記触媒に加え、またはこれに代えて、触媒を発
生する物質(触媒発生剤)を用いても良い。例えば、前記触媒が架橋反応促進剤であり、
前記触媒発生剤が、前記架橋反応促進剤を発生する物質でも良い。例えば、前記光活性触
媒に加え、またはこれに代えて、光により触媒を発生する物質(光触媒発生剤)を用いて
も良いし、前記熱活性触媒に加え、またはこれに代えて、熱により触媒を発生する物質(
熱触媒発生剤)を用いても良い。前記光触媒発生剤としては、特に限定されないが、例え
ば、光塩基発生剤(光照射により塩基性触媒を発生する触媒)、光酸発生剤(光照射によ
り酸性触媒を発生する物質)等が挙げられ、光塩基剤が好ましい。前記光塩基発生剤とし
ては、例えば、9-アントリルメチル N,N-ジエチルカルバメート(9-anthrylmethy
l N,N-diethylcarbamate、商品名WPBG-018)、(E)-1-[3-(2-ヒド
ロキシフェニル)-2-プロペノイル]ピペリジン((E)-1-[3-(2-hydroxyphenyl)-2-pro
penoyl]piperidine、商品名WPBG-027)、1-(アントラキノン-2-イル)エ
チル イミダゾールカルボキシレート(1-(anthraquinon-2-yl)ethyl imidazolecarboxy
late、商品名WPBG-140)、2-ニトロフェニルメチル 4-メタクリロイルオキ
シピペリジン-1-カルボキシラート(商品名WPBG-165)、1,2-ジイソプロ
ピル-3-〔ビス(ジメチルアミノ)メチレン〕グアニジウム 2-(3-ベンゾイルフ
ェニル)プロピオナート(商品名WPBG-266)、1,2-ジシクロヘキシル-4,
4,5,5-テトラメチルビグアニジウム n-ブチルトリフェニルボラート(商品名W
PBG-300)、および2-(9-オキソキサンテン-2-イル)プロピオン酸1,5,7-トリアザ
ビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(東京化成工業株式会社)、4-ピペリジンメタノールを含む
化合物(商品名HDPD-PB100:ヘレウス社製)等が挙げられる。なお、前記「WPBG」を
含む商品名は、いずれも和光純薬工業株式会社の商品名である。前記光酸発生剤としては
、例えば、芳香族スルホニウム塩(商品名SP-170:ADEKA社)、トリアリールスルホニウ
ム塩(商品名CPI101A:サンアプロ社)、芳香族ヨードニウム塩(商品名Irgacure250:チ
バ・ジャパン社)等が挙げられる。また、前記微細孔粒子同士を化学的に結合させる触媒
は、前記光活性触媒に限定されず、例えば、尿素のような熱活性触媒でも良い。前記微細
孔粒子同士を化学的に結合させる触媒は、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、
水酸化アンモニウム等の塩基触媒、塩酸、酢酸、シュウ酸等の酸触媒等が挙げられる。こ
れらの中で、塩基触媒が好ましい。前記微細孔粒子同士を化学的に結合させる触媒は、例
えば、前記粉砕物(微細孔粒子)を含むゾル粒子液(例えば懸濁液)に、塗工直前に添加
して使用する、または前記触媒を溶媒に混合した混合液として使用することができる。前
記混合液は、例えば、前記ゾル粒子液に直接添加して溶解した塗工液、前記触媒を溶媒に
溶解した溶液、前記触媒を溶媒に分散した分散液でもよい。前記溶媒は、特に制限されず
、例えば、各種有機溶剤、水、緩衝液等が挙げられる。
また、例えば、前記微細孔粒子が、3官能以下の飽和結合官能基を少なくとも含むケイ
素化合物から得られたゲル状ケイ素化合物の粉砕物である場合、前記微細孔粒子を含む液
を作製した後に、または作製工程中に、さらに、前記微細孔粒子同士を間接的に結合させ
るための架橋補助剤を添加してもよい。この架橋補助剤が、粒子同士の間に入り込み、粒
子と架橋補助剤が各々相互作用もしくは結合することで、距離的に多少離れた粒子同士も
結合させることが可能であり、効率よく強度を上げることが可能となる。前記架橋補助剤
としては、多架橋シランモノマーが好ましい。前記多架橋シランモノマーは、具体的には
、例えば、2以上3以下のアルコキシシリル基を有し、アルコキシシリル基間の鎖長が炭
素数1以上10以下であっても良く、炭素以外の元素も含んでもよい。前記架橋補助剤と
しては、例えば、ビス(トリメトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)エタ
ン、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(ト
リエトキシシリル)プロパン、ビス(トリメトキシシリル)プロパン、ビス(トリエトキ
シシリル)ブタン、ビス(トリメトキシシリル)ブタン、ビス(トリエトキシシリル)ペ
ンタン、ビス(トリメトキシシリル)ペンタン、ビス(トリエトキシシリル)ヘキサン、
ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、ビス(トリメトキシシリル)-N-ブチル-N-プロピ
ル-エタン-1,2-ジアミン、トリス-(3-トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート
、トリス-(3-トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。この架
橋補助剤の添加量としては、特に限定されないが、例えば、前記ケイ素化合物の微細孔粒
子の重量に対して0.01~20重量%、0.05~15重量%、または0.1~10重
量%である。
つぎに、本発明の製造方法は、前述のように、樹脂フィルム上に前記微細孔粒子含有液
(例えば懸濁液)を塗工する工程を有する。前記塗工は、例えば、後述する各種塗工方式
を用いることができ、また、これらに限定されない。また、前記粉砕物を含む溶媒を、前
記基材に、直接塗工することにより、前記多孔体の前駆体(塗工膜)を形成することがで
きる。前記多孔体の前駆体は、例えば、塗工層ということもできる。また、前記多孔体前
駆体、つまり、後述する結合工程前の前記多孔体の前駆体は、例えば、前記本発明の低屈
折率層に対する前駆膜(または前駆層)ということもできる。前記多孔体の前駆体(塗工
膜)を形成することにより、例えば、前記三次元構造が破壊された前記粉砕物が沈降・堆
積することによって、新たな三次元構造が構築される。
前記溶媒(以下、「塗工用溶媒」ともいう。)は、特に制限されず、例えば、有機溶媒
が使用できる。前記有機溶媒は、例えば、沸点130℃以下の溶媒が挙げられる。具体例
としては、例えば、IPA、エタノール、メタノール、ブタノール等が挙げられ、また、
前記粉砕用溶媒と同様のものが使用できる。本発明が、前記ゲル状化合物を粉砕する工程
を含む場合、前記多孔体の前駆体の形成工程においては、例えば、前記ゲル状化合物の粉
砕物を含む前記粉砕用溶媒を、そのまま使用してもよい。
前記塗工工程においては、例えば、前記溶媒に分散させたゾル状の前記粉砕物(以下、
「ゾル粒子液」ともいう。)を、前記基材上に塗工することが好ましい。本発明のゾル粒
子液は、例えば、基材上に塗工・乾燥した後に、結合工程により化学架橋を行うことで、
一定レベル以上の膜強度を有する空隙層を、連続成膜することが可能である。なお、本発
明における「ゾル」とは、ゲルの三次元構造を粉砕することで、空隙構造の一部を保持し
たナノ三次元構造のシリカゾル粒子が溶媒中に分散して流動性を示す状態をいう。
前記溶媒における前記粉砕物の濃度は、特に制限されず、例えば、0.3~50%(v
/v)、0.5~30%(v/v)、1.0~10%(v/v)である。前記粉砕物の濃度
が高すぎると、例えば、前記ゾル粒子溶液の流動性が著しく低下し、塗工時の凝集物・塗
工スジを発生させる可能性がある。一方で、前記粉砕物の濃度が低すぎると、例えば、前
記ゾル粒子液の溶媒の乾燥に相当の時間がかかるだけでなく、乾燥直後の残留溶媒も高く
なるために、空孔率が低下してしまう可能性がある。
前記ゾルの物性は、特に制限されない。前記ゾルのせん断粘度は、例えば、10001
/sのせん断速度において、例えば、粘度100cPa・s以下、粘度10cPa・s以
下、粘度1cPa・s以下である。せん断粘度が高すぎると、例えば、塗工スジが発生し
、グラビア塗工の転写率の低下等の不具合が見られる可能性がある。逆に、せん断粘度が
低すぎる場合は、例えば、塗工時のウェット塗布厚みを厚くすることができず、乾燥後に
所望の厚みが得られない可能性がある。
前記基材に対する前記粉砕物の塗工量は、特に制限されず、例えば、所望の前記シリコ
ーン多孔体の厚み等に応じて、適宜設定できる。具体例として、厚み0.1~1000μ
mの前記シリコーン多孔体を形成する場合、前記基材に対する前記粉砕物の塗工量は、前
記基材の面積1mあたり、例えば、0.01~60000μg、0.1~5000μg
、1~50μgである。前記ゾル粒子液の好ましい塗工量は、例えば、液の濃度や塗工方
式等と関係するため、一義的に定義することは難しいが、生産性を考慮すると、できるだ
け薄層で塗工することが好ましい。塗布量が多すぎると、例えば、溶媒が揮発する前に乾
燥炉で乾燥される可能性が高くなる。これにより、溶媒中でナノ粉砕ゾル粒子が沈降・堆
積し、空隙構造を形成する前に、溶媒が乾燥することで、空隙の形成が阻害されて空孔率
が大きく低下する可能性がある。一方で、塗布量が薄過ぎると、基材の凹凸・親疎水性の
バラツキ等により塗工ハジキが発生するリスクが高くなる可能性がある。
さらに、本発明の製造方法は、例えば、前述のように、塗工された微細孔粒子含有液(
多孔体の前駆体(塗工膜))を乾燥する工程を有する。前記乾燥処理によって、例えば、
前記多孔体の前駆体中の前記溶媒(前記ゾル粒子液に含まれる溶媒)を除去するだけでな
く、乾燥処理中に、ゾル粒子を沈降・堆積させ、空隙構造を形成させることを目的として
いる。前記乾燥処理の温度は、例えば、50~250℃、60~150℃、70~130
℃であり、前記乾燥処理の時間は、例えば、0.1~30分、0.2~10分、0.3~
3分である。乾燥処理温度、および時間については、例えば、連続生産性や高い空孔率の
発現の関連では、より低く短いほうが好ましい。条件が厳しすぎると、例えば、基材が樹
脂フィルムの場合、前記基材のガラス転移温度に近づくことで、前記基材が乾燥炉の中で
伸展してしまい、塗工直後に、形成された空隙構造にクラック等の欠点が発生する可能性
がある。一方で、条件が緩すぎる場合、例えば、乾燥炉を出たタイミングで残留溶媒を含
むため、次工程でロールと擦れた際に、スクラッチ傷が入る等の外観上の不具合が発生す
る可能性がある。
前記乾燥処理は、例えば、自然乾燥でもよいし、加熱乾燥でもよいし、減圧乾燥でもよ
い。前記乾燥方法は、特に制限されず、例えば、一般的な加熱手段が使用できる。前記加
熱手段は、例えば、熱風器、加熱ロール、遠赤外線ヒーター等が挙げられる。中でも、工
業的に連続生産することを前提とした場合は、加熱乾燥を用いることが好ましい。また、
使用される溶媒については、乾燥時の溶媒揮発に伴う収縮応力の発生、それによる空隙層
(前記シリコーン多孔体)のクラック現象を抑える目的で、表面張力が低い溶媒が好まし
い。前記溶媒としては、例えば、イソプロピルアルコール(IPA)に代表される低級ア
ルコール、ヘキサン、ペルフルオロヘキサン等が挙げられるが、これらに限定されない。
前記乾燥処理は、例えば、自然乾燥でもよいし、加熱乾燥でもよいし、減圧乾燥でもよ
い。前記乾燥方法は、特に制限されず、例えば、一般的な加熱手段が使用できる。前記加
熱手段は、例えば、熱風器、加熱ロール、遠赤外線ヒーター等が挙げられる。中でも、工
業的に連続生産することを前提とした場合は、加熱乾燥を用いることが好ましい。また、
使用される溶媒については、乾燥時の溶媒揮発に伴う収縮応力の発生、それによる空隙層
(前記シリコーン多孔体)のクラック現象を抑える目的で、表面張力が低い溶媒が好まし
い。前記溶媒としては、例えば、イソプロピルアルコール(IPA)に代表される低級ア
ルコール、ヘキサン、ペルフルオロヘキサン等が挙げられるが、これらに限定されない。
また、上記IPA等にペルフルオロ系界面活性剤もしくはシリコン系界面活性剤を少量添
加し表面張力を低下させてもよい。
本発明の製造方法によれば、例えば、前記多孔体の前駆体における前記粉砕物の三次元
構造が、固定化される。従来の焼結による固定化を行う場合は、例えば、200℃以上の
高温処理を行うことで、シラノール基の脱水縮合、シロキサン結合の形成を誘発する。本
発明においては、上記の脱水縮合反応を触媒する各種添加剤を反応させることで、例えば
、基材が樹脂フィルムの場合に、前記基材にダメージを起こすことなく、100℃前後の
比較的低い乾燥温度、および数分未満の短い処理時間で、連続的に空隙構造を形成、固定
化することができる。
前記化学的に結合させる方法は、特に制限されず、例えば、前記ゲル状ケイ素化合物の
種類に応じて、適宜決定できる。具体例として、前記化学的な結合は、例えば、前記粉砕
物同士の化学的な架橋結合により行うことができ、その他にも、例えば、酸化チタン等の
無機粒子等を、前記粉砕物に添加した場合、前記無機粒子と前記粉砕物とを化学的に架橋
結合させることも考えられる。また、酵素等の生体触媒を担持させる場合も、触媒活性点
とは別の部位と前記粉砕物とを化学架橋結合させる場合もある。したがって、本発明は、
例えば、前記ゾル粒子同士で形成する空隙層(シリコーン多孔体)だけでなく、有機無機
ハイブリッド空隙層、ホストゲスト空隙層等の応用展開が考えられるが、これらに限定さ
れない。
前記結合は、例えば、前記ゲル状化合物の粉砕物の種類に応じて、前記粉砕物(微細孔
粒子)同士を化学的に結合させる触媒存在下での化学反応により行うことができる。前記
触媒は、例えば、微細孔粒子同士の架橋結合を促進する触媒であっても良い。本発明にお
ける化学反応としては、シリカゾル分子に含まれる残留シラノール基の脱水縮合反応を利
用することが好ましい。シラノール基の水酸基同士の反応を前記触媒で促進することで、
短時間で空隙構造を硬化させる連続成膜が可能である。前記触媒としては、例えば、水酸
化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム等の塩基触媒、塩酸、酢酸、シュウ
酸等の酸触媒等が挙げられるが、これらに限定されない。前記脱水縮合反応の触媒は、塩
基触媒が特に好ましい。また、光(例えば紫外線)を照射することで触媒活性が発現する
、光酸発生触媒、光塩基発生触媒、光酸発生剤、光塩基発生剤等も好ましく用いることが
できる。光酸発生触媒、光塩基発生触媒、光酸発生剤、および光塩基発生剤としては、特
に限定されないが、例えば、前述のとおりである。前記触媒は、例えば、前述のとおり、
前記微細孔粒子含有液を作製する工程において、前記微細孔粒子含有液(例えば、前記粉
砕物(微細孔粒子)の懸濁液)に添加することができる。より具体的には、例えば、前記
粉砕物(微細孔粒子)を含むゾル粒子液(例えば懸濁液)に、前記触媒を塗工直前に添加
して使用する、または前記触媒を溶媒に混合した混合液として使用することが好ましい。
前記混合液は、例えば、前記ゾル粒子液に直接添加して溶解した塗工液、前記触媒を溶媒
に溶解した溶液、前記触媒を溶媒に分散した分散液でもよい。前記溶媒は、特に制限され
ず、前述のとおり、例えば、水、緩衝液等が挙げられる。
前記触媒存在下での化学反応は、本発明の製造方法におけるどの段階で行う(起こる)
かは、特に限定されない。前記化学反応は、例えば、事前に前記ゾル粒子液(例えば懸濁
液)に添加された前記触媒を含む前記塗工膜に対し光照射もしくは加熱、または、前記塗
工膜に、前記触媒を吹き付けてから光照射もしくは加熱、または、前記触媒に吹き付けな
がら光照射もしくは加熱することによって、行うことができる。例えば、前記触媒が光活
性触媒である場合は、光照射により、前記微細孔粒子同士を化学的に結合させて前記低屈
折率層を形成することができる。また、前記触媒が、熱活性触媒である場合は、加熱によ
り、前記微細孔粒子同士を化学的に結合させて前記低屈折率層を形成することができる。
前記光照射における積算光量は、特に限定されないが、@360nm換算で、例えば、2
00~800mJ/cm、250~600mJ/cm、または300~400mJ/
cmである。照射量が十分でなく触媒発生剤の光吸収による分解が進まず効果が不十分
となることを防止する観点からは、200mJ/cm以上の積算光量が良い。また、空
隙層下の基材にダメージがかかり熱ジワが発生することを防止する観点からは、800m
J/cm以下の積算光量が良い。前記加熱処理の条件は、特に制限されず、前記加熱温
度は、例えば、50~250℃、60~150℃、70~130℃であり、前記加熱時間
は、例えば、0.1~30分、0.2~10分、0.3~3分である。または、塗工され
た前記ゾル粒子液(例えば懸濁液)を乾燥する工程が、前記触媒存在下での化学反応を行
う工程を兼ねていても良い。すなわち、塗工された前記ゾル粒子液(例えば懸濁液)を乾
燥する工程において、前記触媒存在下での化学反応により、前記粉砕物(微細孔粒子)同
士を化学的に結合させても良い。この場合において、前記乾燥工程後に前記塗工膜をさら
に加熱することにより、前記粉砕物(微細孔粒子)同士をさらに強固に結合させても良い
。さらに、前記触媒存在下での化学反応は、前記微細孔粒子含有液(例えば懸濁液)を作
製する工程、および、前記微細孔粒子含有液を塗工する工程においても起こる場合がある
と推測される。しかしながら、この推測は、本発明を何ら限定しない。また、使用される
溶媒については、例えば、乾燥時の溶媒揮発に伴う収縮応力の発生、それによる空隙層の
クラック現象を抑える目的で、表面張力が低い溶媒が好ましい。例えば、イソプロピルア
ルコール(IPA)に代表される低級アルコール、ヘキサン、ペルフルオロヘキサン等が
挙げられるが、これらに限定されない。
以上のようにして、本発明の低屈折率層を製造することができるが、本発明の製造方法
は、これに限定されない。
また、得られた本発明の低屈折率層に対し、例えば、加熱エージング等の処理をして強
度を向上させる強度向上工程(以下「エージング工程」ともいう場合がある。)を行って
も良い。例えば、本発明の低屈折率層が樹脂フィルム上に積層されている場合、前記強度
向上工程(エージング工程)により、前記樹脂フィルムに対する粘着ピール強度を向上さ
せることができる。前記強度向上工程(エージング工程)においては、例えば、本発明の
低屈折率層を加熱しても良い。前記エージング工程における温度は、例えば40~80℃
、50~70℃、55~65℃である。前記反応の時間は、例えば5~30hr、7~2
5hr、または10~20hrである。前記エージング工程においては、例えば、加熱温
度を低温にすることで、前記低屈折率層の収縮を抑制しながら粘着ピール強度を向上させ
、高空隙率と強度の両立を達成できる。
前記強度向上工程(エージング工程)において起こる現象およびメカニズムは不明であ
るが、例えば、本発明の低屈折率層中に含まれる触媒により、前記微細孔粒子同士の化学
的な結合(例えば架橋反応)がさらに進むことにより、強度が向上すると考えられる。具
体例として、前記微細孔粒子が、ケイ素化合物の微細孔粒子(例えばゲル状シリカ化合物
の粉砕体)であって、前記低屈折率層中に残留シラノール基(OH基)が存在する場合、
前記残留シラノール基同士が架橋反応により化学的に結合すると考えられる。なお、本発
明の低屈折率層中に含まれる触媒は、特に限定されないが、例えば、前記結合工程で用い
た触媒でも良いし、前記結合工程で用いた光塩基発生触媒が光照射により発生した塩基性
物質、前記結合工程で用いた光酸発生触媒が光照射により発生した酸性物質等でも良い。
ただし、この説明は例示であり、本発明を限定しない。
また、本発明の低屈折率層上に、さらに粘接着層を形成しても良い(粘接着層形成工程
)。具体的には、例えば、本発明の低屈折率層上に、粘着剤または接着剤を塗布(塗工)
することにより、前記粘接着層を形成しても良い。また、基材上に前記粘接着層が積層さ
れた粘着テープ等の、前記粘接着層側を、本発明の低屈折率層上に貼り合せることにより
、本発明の低屈折率層上に前記粘接着層を形成しても良い。この場合、前記粘着テープ等
の基材は、そのまま貼り合せたままにしても良いし、前記粘接着層から剥離しても良い。
本発明において、「粘着剤」および「粘着層」は、例えば、被着体の再剥離を前提とした
剤または層をいう。本発明において、「接着剤」および「接着層」は、例えば、被着体の
再剥離を前提としない剤または層をいう。ただし、本発明において、「粘着剤」と「接着
剤」は、必ずしも明確に区別できるものではなく、「粘着層」と「接着層」は、必ずしも
明確に区別できるものではない。本発明において、前記粘接着層を形成する粘着剤または
接着剤は特に限定されず、例えば、一般的な粘着剤または接着剤等が使用できる。前記粘
着剤または接着剤としては、例えば、アクリル系、ビニルアルコール系、シリコーン系、
ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリエーテル系等のポリマー製接着剤、ゴム系接着剤
等が挙げられる。また、グルタルアルデヒド、メラミン、シュウ酸等のビニルアルコール
系ポリマーの水溶性架橋剤等から構成される接着剤等も挙げられる。これら粘着剤および
接着剤は、1種類のみ用いても、複数種類を併用(例えば、混合、積層等)しても良い。
前記粘接着層の厚みは、特に制限されないが、例えば、0.1~100μm、5~50μ
m、10~30μm、または12~25μmである。
さらに、本発明の低屈折率層を、前記粘接着層と反応させて、本発明の低屈折率層と前
記粘接着層との中間に配置された中間層を形成しても良い(中間層形成工程)。前記中間
層により、例えば、本発明の低屈折率層と前記粘接着層とが剥離しにくくなる。この理由
(メカニズム)は不明であるが、例えば、前記中間層の投錨性(投錨効果)によると推測
される。前記投錨性(投錨効果)とは、前記空隙層と前記中間層との界面付近において、
前記中間層が前記空隙層内部に入り組んだ構造をしていることにより、前記界面が強固に
固定される現象(効果)をいう。ただし、この理由(メカニズム)は、推測される理由(
メカニズム)の一例であり、本発明を限定しない。本発明の低屈折率層と前記粘接着層と
の反応も、特に限定されないが、例えば、触媒作用による反応でも良い。前記触媒は、例
えば、本発明の低屈折率層中に含まれる触媒でも良い。具体的には、例えば、前記結合工
程で用いた触媒でも良いし、前記結合工程で用いた光塩基発生触媒が光照射により発生し
た塩基性物質、前記結合工程で用いた光酸発生触媒が光照射により発生した酸性物質等で
も良い。また、本発明の低屈折率層と前記粘接着層との反応は、例えば、新たな化学結合
が生成される反応(例えば架橋反応)でも良い。前記反応の温度は、例えば40~80℃
、50~70℃、55~65℃である。前記反応の時間は、例えば5~30hr、7~2
5hr、または10~20hrである。また、この中間層形成工程が、本発明の低屈折率
層の強度を向上させる前記強度向上工程(エージング工程)を兼ねていても良い。
このようにして得られる本発明の低屈折率層は、例えば、さらに、他のフィルム(層)
と積層して、前記多孔質構造を含む積層構造体としてもよい。この場合、前記積層構造体
において、各構成要素は、例えば、粘着剤または接着剤を介して積層させてもよい。
前記各構成要素の積層は、例えば、効率的であることから、長尺フィルムを用いた連続
処理(いわゆるRoll to Roll等)により積層を行ってもよく、基材が成形物
・素子等の場合はバッチ処理を行ったものを積層してもよい。
[1-4.フレキシブル発光デバイスの製造方法]
つぎに、本発明のフレキシブル発光デバイスの製造方法について、図2~5を用いて例
を挙げて説明する。なお、図2~5において、図1と同一の部材は、同一の符号で示して
いる。
まず、図2の断面図に、本発明のフレキシブル発光デバイスの製造方法における工程の
一例を、模式的に示す。まず、図示のとおり、発光体層10上に粘接着層40が積層され
、さらに粘接着層40が保護層(セパレータ)50で被覆された粘接着層付き積層体を準
備する。
なお、図2において、発光体層10は、簡略化のために、詳細の図示を省略している。
図2の発光体層10において、低屈折率層20および高屈折率層30を積層させる側に粘
接着層40を積層させる。例えば、図1のフレキシブル発光デバイス1のように、第1電
極12、有機EL層(発光層)13および第2電極14と反対側に低屈折率層20および
高屈折率層30を積層させる場合は、基材11において、第1電極12、有機EL層(発
光層)13および第2電極14と反対側に粘接着層40を積層させる。また、発光体層1
0の製造方法は、特に限定されず、例えば、基材11上に、第1電極12、有機EL層(
発光層)13および第2電極14を、前述の方法により、順次形成すれば良い。
つぎに、図示のとおり、保護層50を粘接着層から剥離する保護層剥離工程(A)を行
う。これにより、発光体層10上に粘接着層40が積層され、保護層が無くて粘着剤が露
出した粘接着層付き積層体を得ることができる。なお、本発明において、保護層剥離工程
(A)は必須ではなく、最初から、発光体層10上に粘接着層40が積層され、保護層が
無くて粘着剤が露出した粘接着層付き積層体を準備しても良い。一方、図示のとおり、高
屈折率層30上に低屈折率層20が積層された積層体を準備する。高屈折率層30は、特
に限定されないが、前述のとおり、金属板、金属箔、樹脂板、樹脂フィルム、フレキシブ
ルガラス等である。そして、発光体層10上に粘接着層40が積層された粘接着層付き積
層体の粘接着層40側を、低屈折率層20に貼り合わせる、貼り合わせ工程(B)を行う
。このようにして、本発明のフレキシブル発光デバイス1Aを得ることができる。図示の
とおり、フレキシブル発光デバイス1Aは、高屈折率層30上に、低屈折率層20、粘接
着層40および発光体層10が、前記順序で積層されている。
高屈折率層30上に低屈折率層20が積層された積層体は、例えば、図3(a)または
図3(b)の工程断面図に示す製造方法により製造することができる。まず、図3(a)
の製造方法では、図示のとおり、高屈折率層30上に、前記ゲル状化合物の粉砕物のゾル
粒子液20’’を塗工する塗工工程(1)、および、ゾル粒子液20’’を乾燥させて、
低屈折率層20を形成する塗工膜形成工程(乾燥工程)(2)により、高屈折率層30上
に低屈折率層20が積層された基材付き低屈折率層を製造することができる。一方、図3
(b)の製造方法は、さらに、化学処理工程(3)を含む。具体的には、図3(b)の製
造方法は、図示のとおり、高屈折率層30上に、前記ゲル状化合物の粉砕物のゾル粒子液
20’’を塗工する塗工工程(1)、ゾル粒子液20’’を乾燥させて、前記低屈折率層
の前駆層である塗工膜20’を形成する塗工膜形成工程(乾燥工程)(2)、および、塗
工膜20’に化学処理(例えば、架橋処理)をして、低屈折率層20を形成する化学処理
工程(例えば、架橋処理工程)(3)を含む。このようにして、図示のとおり、高屈折率
層30上に低屈折率層20を形成できる。なお、低屈折率と膜強度の高さ(強さ)とはト
レードオフになる場合があるので、この点を考慮して、前記化学処理工程(例えば、架橋
工程)(3)を行うか行わないかを決定しても良い。また、例えば、図2(a)に示した
ように乾燥工程(2)により低屈折率層20を形成した後に、低屈折率層20を、樹脂フ
ィルム等(図示せず)により被覆して保護しても良い。これにより、例えば、化学処理工
程(架橋工程)(3)により低屈折率層20の強度を向上させなくても、低屈折率層20
を破壊することなく連続生産できる。なお、低屈折率層20を被覆して保護するための前
記樹脂フィルムは、例えば、前記貼り合わせ工程(B)の直前に低屈折率層20から剥離
しても良い。
前記塗工工程(1)において、ゾル粒子液20’’の塗工方法は特に限定されず、一般
的な塗工方法を採用できる。前記塗工方法としては、例えば、スロットダイ法、リバース
グラビアコート法、マイクログラビア法(マイクログラビアコート法)、ディップ法(デ
ィップコート法)、スピンコート法、刷毛塗り法、ロールコート法、フレキソ印刷法、ワ
イヤーバーコート法、スプレーコート法、エクストルージョンコート法、カーテンコート
法、リバースコート法等が挙げられる。これらの中で、生産性、塗膜の平滑性等の観点か
ら、エクストルージョンコート法、カーテンコート法、ロールコート法、マイクログラビ
アコート法等が好ましい。前記ゾル粒子液20’’の塗工量は、特に限定されず、例えば
、低屈折率層20の厚みが適切になるように、適宜設定可能である。低屈折率層20の厚
みは、特に限定されず、例えば、前述の通りである。
前記乾燥工程(2)において、ゾル粒子液20’’を乾燥し(すなわち、ゾル粒子液2
0’’に含まれる分散媒を除去し)、塗工膜(前駆層)20’を形成する。乾燥処理の条
件は、特に限定されず、前述の通りである。
さらに、前記化学処理工程(3)において、塗工前に添加した前記触媒(例えば、光活
性触媒またはKOH等の熱活性触媒)を含む塗工膜20’に対し、光照射または加熱し、
塗工膜20’中の前記粉砕物同士を化学的に結合させて(例えば、架橋させて)、低屈折
率層20を形成する。前記化学処理工程(3)における光照射または加熱条件は、特に限
定されず、前述の通りである。高屈折率層30として、例えば、前記樹脂フィルムを使用
することで、前記樹脂フィルム(高屈折率層30)上に、直接、低屈折率層20を積層す
ることもできる。
また、前記低屈折率層の形成方法は、前記工程(1)~(3)以外の工程を、適宜含ん
でいても良いし、含んでいなくても良い。例えば、低屈折率層20を形成する前記化学処
理工程(例えば、架橋処理工程)(3)の後に、強度向上工程(エージング工程)(4)
を行っても良い。前記強度向上工程(エージング工程)(4)においては、低屈折率層2
0の強度を向上させ、強度が向上した低屈折率層とする。前記強度向上工程(エージング
工程)(4)は、特に限定されないが、例えば前述のとおりである。また、例えば、図1
のとおり粘接着層40を低屈折率層20に貼り合わせる、貼り合わせ工程(B)を行い、
貼り合わせ工程(B)後に、低屈折率層20を粘接着層40と反応させて中間層(図示せ
ず)を形成する中間層形成工程(5)を行っても良い。なお、前記貼り合わせ工程は、例
えば、前記乾燥工程(2)または前記化学処理工程(3)の後に行うことができる。前記
中間層形成工程(5)は、例えば、低屈折率層20の強度を向上させる工程(強度向上工
程)を兼ねていても良い。前記中間層形成工程(5)は、特に限定されないが、例えば、
前述のとおりである。なお、前述のとおり、低屈折率と膜強度の高さ(強さ)とはトレー
ドオフになる場合があるので、この点を考慮して、前記強度向上工程(エージング工程)
(4)および前記中間層形成工程(5)を行うか行わないかを決定しても良い。例えば、
本発明の積層フィルムの製造方法においては、前述のとおり、低屈折率層の膜強度が低く
ても前記低屈折率層が破壊されにくいので、前記強度向上工程(エージング工程)(4)
および前記中間層形成工程(5)を行わなくても良い場合がある。例えば、前記乾燥工程
(2)または化学処理工程(3)により低屈折率層20を形成した後に、低屈折率層20
を、樹脂フィルム等(図示せず)により被覆して保護しても良い。これにより、例えば、
前記強度向上工程(エージング工程)(4)および前記中間層形成工程(5)により低屈
折率層20の強度を向上させなくても、低屈折率層20を破壊することなく連続生産でき
る。なお、低屈折率層20を被覆して保護するための前記樹脂フィルムは、例えば、前記
貼り合わせ工程(B)の直前に低屈折率層20から剥離しても良い。
つぎに、図4に、スロットダイ法の塗工装置およびそれを用いた本発明の積層フィルム
の製造方法の一例を模式的に示す。なお、図4は、断面図であるが、見易さのため、ハッ
チを省略している。
図示のとおり、この装置を用いた方法における各工程は、高屈折率層30を、ローラに
よって一方向に搬送しながら行う。搬送速度は、特に限定されず、例えば、1~100m
/分、3~50m/分、5~30m/分である。
まず、送り出しローラ101から高屈折率層30を繰り出して搬送しながら、塗工ロー
ル102において、高屈折率層30にゾル粒子液20’’を塗工する塗工工程(1)を行
い、続いて、オーブンゾーン110内で乾燥工程(2)に移行する。図2の塗工装置では
、塗工工程(1)の後、乾燥工程(2)に先立ち、予備乾燥工程を行う。予備乾燥工程は
、加熱をせずに、室温で行うことができる。乾燥工程(2)においては、加熱手段111
を用いる。加熱手段111としては、前述のとおり、熱風器、加熱ロール、遠赤外線ヒー
ター等を適宜用いることができる。また、例えば、乾燥工程(2)を複数の工程に分け、
後の乾燥工程になるほど乾燥温度を高くしても良い。
乾燥工程(2)の後に、化学処理ゾーン120内で化学処理工程(架橋工程)(3)を
行う。化学処理工程(3)においては、例えば、乾燥後の塗工膜20’が光活性触媒を含
む場合、高屈折率層30の上下に配置したランプ(光照射手段)121で光照射する。ま
たは、例えば、乾燥後の塗工膜20’が熱活性触媒を含む場合、ランプ(光照射装置)1
21に代えて熱風器(加熱手段)を用い、高屈折率層30の上下に配置した熱風器121
で高屈折率層30を加熱する。この架橋処理により、塗工膜20’中の前記粉砕物同士の
化学的結合が起こり、低屈折率層20が硬化・強化される。なお、本例では、乾燥工程(
2)の後に化学処理工程(3)を行っているが、前述のとおり、本発明の製造方法のどの
段階で前記粉砕物同士の化学的結合を起こさせるかは、特に限定されない。例えば、前述
のように、乾燥工程(2)が化学処理工程(3)を兼ねていても良い。また、乾燥工程(
2)において前記化学的結合が起こった場合でも、さらに化学処理工程(3)を行い、前
記粉砕物同士の化学的結合を、さらに強固にしても良い。また、乾燥工程(2)よりも前
の工程(例えば、予備乾燥工程、塗工工程(1)、塗工液(例えば懸濁液)を作製する工
程等)において、前記粉砕物同士の化学的結合が起こっても良い。また、前述のとおり、
本発明において、化学処理工程(架橋工程)(3)は、任意であり、行わなくても良い。
例えば、前述のとおり、図1(a)に示したように乾燥工程(2)により低屈折率層20
を形成した後に、低屈折率層20を、長尺状の樹脂フィルム等(図示せず)により被覆し
て保護しても良い。これにより、例えば、化学処理工程(架橋工程)(3)により低屈折
率層20の強度を向上させなくても、低屈折率層20を破壊することなく連続生産できる
。なお、低屈折率層20を被覆して保護するための前記樹脂フィルムは、例えば、後述す
る貼り合わせ工程(B)の直前に低屈折率層20から剥離しても良い。
一方、発光体層10上に粘接着層40が積層され、さらに粘接着層40が保護層(セパ
レータ)50で被覆された粘接着層付き積層体が、ロール状に巻き取られたロール106
を準備する。そして、図示のとおり、ロール106から保護層50を剥離する保護層剥離
工程(A)を行う。剥離した保護層50は、図示のとおり、巻き取ってロール107とす
る。
そして、化学処理工程(架橋工程)(3)の後(化学処理工程(架橋工程)(3)を行
わなかった場合は乾燥工程(2)の後)、発光体層10上に粘接着層40が積層された粘
接着層付き積層体の粘接着層40側を、低屈折率層20に貼り合わせる、貼り合わせ工程
(B)を行う。このようにして、図1に示した構造の積層フィルム1Aを、長尺状の積層
フィルムとして得ることができる。製造した積層フィルム1Aは、巻き取りロール105
により巻き取る。
図5に、マイクログラビア法(マイクログラビアコート法)の塗工装置およびそれを用
いた前記低屈折率層の形成方法の一例を模式的に示す。なお、同図は、断面図であるが、
見易さのため、ハッチを省略している。
図示のとおり、この装置を用いた方法における各工程は、図4と同様、高屈折率層30
を、ローラによって一方向に搬送しながら行う。搬送速度は、特に限定されず、例えば、
1~100m/分、3~50m/分、5~30m/分である。
まず、送り出しローラ201から高屈折率層30を繰り出して搬送しながら、高屈折率
層30にゾル粒子液20’’を塗工する塗工工程(1)を行う。ゾル粒子液20’’の塗
工は、図示のとおり、液溜め202、ドクター(ドクターナイフ)203およびマイクロ
グラビア204を用いて行う。具体的には、液溜め202に貯留されているゾル粒子液2
0’’を、マイクログラビア204表面に付着させ、さらに、ドクター203で所定の厚
さに制御しながら、マイクログラビア204で高屈折率層30表面に塗工する。なお、マ
イクログラビア204は、例示であり、これに限定されるものではなく、他の任意の塗工
手段を用いても良い。
つぎに、乾燥工程(2)を行う。具体的には、図示のとおり、オーブンゾーン210中
に、ゾル粒子液20’’が塗工された高屈折率層30を搬送し、オーブンゾーン210内
の加熱手段211により加熱してゾル粒子液20’’を乾燥する。加熱手段211は、例
えば、図2と同様でも良い。また、例えば、オーブンゾーン210を複数の区分に分ける
ことにより、乾燥工程(2)を複数の工程に分け、後の乾燥工程になるほど乾燥温度を高
くしても良い。乾燥工程(2)の後に、化学処理ゾーン220内で、化学処理工程(3)
を行う。化学処理工程(3)においては、例えば、乾燥後の塗工膜20’が光活性触媒を
含む場合、高屈折率層30の上下に配置したランプ(光照射手段)221で光照射する。
または、例えば、乾燥後の塗工膜20’が熱活性触媒を含む場合、ランプ(光照射装置)
221に代えて熱風器(加熱手段)を用い、高屈折率層30の下方に配置した熱風器(加
熱手段)221で、高屈折率層30を加熱する。この架橋処理により、塗工膜20’中の
前記粉砕物同士の化学的結合が起こり、低屈折率層20が形成される。また、前述のとお
り、本発明において、化学処理工程(架橋工程)(3)は、任意であり、行わなくても良
い。例えば、図3での説明と同様に、乾燥工程(2)により低屈折率層20を形成した後
に、低屈折率層20を、長尺状の樹脂フィルム等(図示せず)により被覆して保護しても
良い。前記樹脂フィルムは、例えば、後述する貼り合わせ工程(B)の直前に低屈折率層
20から剥離しても良い。
一方、発光体層10上に粘接着層40が積層され、さらに粘接着層40が保護層(セパ
レータ)50で被覆された粘接着層付き積層体が、ロール状に巻き取られたロール261
を準備する。そして、図示のとおり、ロール261から保護層50を剥離する保護層剥離
工程(A)を行う。剥離した保護層50は、図示のとおり、巻き取ってロール271とす
る。
そして、化学処理工程(架橋工程)(3)の後(化学処理工程(架橋工程)(3)を行
わなかった場合は乾燥工程(2)の後)、発光体層10上に粘接着層40が積層された粘
接着層付き積層体の粘接着層40側を、低屈折率層20に貼り合わせる、貼り合わせ工程
(B)を行う。このようにして、図1に示した構造の積層フィルム1Aを、長尺状の積層
フィルムとして得ることができる。製造した積層フィルム1Aは、巻き取りロール251
により巻き取る。
そして、図4または5により製造した積層フィルム1Aを、例えば、適宜カットして図
2のフレキシブル発光デバイス1Aとすれば良い。なお、積層フィルム1Aの製造工程に
おいて、例えば、化学処理工程(架橋工程)(3)の後に、前述のとおり、前記強度向上
工程(エージング工程)(4)および前記中間層形成工程(5)の一方または両方を行っ
ても良いし、行わなくても良い。
[2.フレキシブル発光デバイスの用途]
本発明のフレキシブル発光デバイスは、例えば、前述のとおり、照明装置または画像表
示装置に用いることができる。より具体的には、本発明のフレキシブル発光デバイスは、
例えば、有機EL照明装置、有機EL画像表示装置、または電子ペーパー、無機EL画像
表示装置、LED画像表示装置のフレキシブル発光デバイスとして用いることができる。
ただし、本発明のフレキシブル発光デバイスは、これらに限定されず、どのような用途に
用いても良い。
つぎに、本発明の実施例について説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定さ
れない。
[参考例1:塗工液の調製]
(1)ケイ素化合物のゲル化
DMSO 2.2gに、ケイ素化合物の前駆体であるMTMSを0.95g溶解させた
。前記混合液に、0.01mol/Lのシュウ酸水溶液を0.5g添加し、室温で30分
撹拌を行うことでMTMSを加水分解して、トリス(ヒドロキシ)メチルシランを生成し
た。
DMSO 5.5gに、28%濃度のアンモニア水0.38g、および純水0.2gを
添加した後、さらに、前記加水分解処理した前記混合液を追添し、室温で15分撹拌する
ことで、トリストリス(ヒドロキシ)メチルシランのゲル化を行い、ゲル状ケイ素化合物
を得た。
(2)熟成処理
前記ゲル化処理を行った混合液を、そのまま、40℃で20時間インキュベートして、
熟成処理を行った。
(3)粉砕処理
つぎに、前記熟成処理したゲル状ケイ素化合物を、スパチュラを用いて数mm~数cm
サイズの顆粒状に砕いた。そこに、IPA 40gを添加し、軽く撹拌した後、室温で6
時間静置して、ゲル中の溶媒および触媒をデカンテーションした。同様のデカンテーショ
ン処理を3回繰り返し、溶媒置換を完了した。そして、前記混合液中の前記ゲル状ケイ素
化合物を粉砕処理(高圧メディアレス粉砕)した。前記粉砕処理(高圧メディアレス粉砕
)は、ホモジナイザー(商品名 UH-50、エスエムテー社製)を使用し、5ccのス
クリュー瓶に、前記溶媒置換を完了したゲル状化合物1.85gおよびIPA 1.15
gを秤量した後、50W、20kHzの条件で2分間の粉砕で行った。
前記粉砕処理によって、前記混合液中の前記ゲル状ケイ素化合物が粉砕されたことによ
り、前記混合液は、前記粉砕物のゾル液となった。前記混合液に含まれる前記粉砕物の粒
度バラツキを示す体積平均粒子径を、動的光散乱式ナノトラック粒度分析計(日機装社製
、UPA-EX150型)にて確認したところ、0.50~0.70であった。さらに、このゾ
ル液0.75gに対し、光塩基発生剤(和光純薬工業株式会社:商品名WPBG266)
の1.5%濃度MEK(メチルエチルケトン)溶液を0.062g、ビス(トリメトキシ
シリル)エタンの5%濃度MEK溶液を0.036gの比率で添加し、塗工液を得た。
[参考例2:塗工液を用いた低屈折率層の形成]
厚さ600μm、100m長、屈折率1.51のアクリルフィルム(高屈折率層)の表
面に、参考例1で調製した塗工液を塗布(塗工)して、塗工膜を形成した。この時の前記
塗工膜のWet厚み(乾燥させる前の厚み)は、約27μmであった。前記塗工膜を、温度
100℃で1分処理して乾燥し、さらに、乾燥後の塗工膜に、波長360nmの光を用い
て300mJ/cmの光照射量(エネルギー)でUV照射し、前記フィルム(高屈折率
層)上に低屈折率層が形成された積層体を得た。なお、この低屈折率層の屈折率を前述の
方法により測定したところ、1.18であった。
[実施例1]
以下のようにして、本実施例のフレキシブル発光デバイスを製造した。本実施例のフレ
キシブル発光デバイスは、フレキシブルOLED(有機発光ダイオードすなわち有機EL
デバイス)である。本実施例のフレキシブル発光デバイスは、図2のフレキシブル発光デ
バイス1Aと同様、発光体層10に、粘接着層40を介して低屈折率層20が積層され、
その上に、高屈折率層30が積層されている。発光体層10は、図1に示すように、基材
11の、低屈折率層20および高屈折率層30が積層されている側とは反対側の面上に、
第1電極12、有機EL層13、および第2電極14が、前記順序で積層されている。
まず、高屈折率層30上に低屈折率層20が積層された積層体を、参考例2の方法によ
り製造した。なお、本実施例において、低屈折率層20のヘイズは0.7%であった。一
方、特開2014-89825号公報に記載されている方法により、基材11上に第1電
極12、有機EL層13、および第2電極14が積層された発光体層(OLED層)10
を製造した。そして、発光体層10の基材11側に、日東電工社製のアクリル系粘着剤を
厚み20μmで塗布して粘接着層を形成し、その上に前記積層体の低屈折率層20側を貼
り合わせて、本実施例のフレキシブル発光デバイス(OLED)を製造した。
[比較例1]
高屈折率層30上に低屈折率層20が積層された積層体に代えて、低屈折率層20を形
成しない高屈折率層30のみを発光体層(OLED層)10の基材11側に貼り合わせた
こと以外は、実施例1と同様にしてフレキシブル発光デバイス(OLED)を製造した。
実施例1および比較例1のOLEDを、それぞれ、曲げ半径R=7mmとなるように曲
げ、端部の光漏れを確認した。その結果、図6の写真に示すように、実施例1のOLED
では光漏れは見られなかったが、比較例1のOLEDでは光漏れが確認された。
以上、説明したとおり、本発明のフレキシブル発光デバイスは、変形させても光漏れが
起こりにくい。本発明のフレキシブル発光デバイスは、例えば、前述のとおり、照明装置
または画像表示装置に用いることができる。より具体的には、本発明のフレキシブル発光
デバイスは、例えば、有機EL照明装置、有機EL画像表示装置、または電子ペーパー、
無機EL画像表示装置、LED画像表示装置のフレキシブル発光デバイスとして用いるこ
とができる。ただし、本発明のフレキシブル発光デバイスは、これらに限定されず、どの
ような用途に用いても良い。
10 発光体層
11 基材
12 第1電極
13 有機EL層
14 第2電極
20 低屈折率層
20’ 塗工膜(前駆層)
20’’ ゾル粒子液
30 高屈折率層
40 粘接着層
50 保護層(セパレータ)
101 送り出しローラ
102 塗工ロール
110 オーブンゾーン
111 熱風器(加熱手段)
120 化学処理ゾーン
121 ランプ(光照射手段)または熱風器(加熱手段)
105 巻き取りロール
106、107 ロール
201 送り出しローラ
202 液溜め
203 ドクター(ドクターナイフ)
204 マイクログラビア
210 オーブンゾーン
211 加熱手段
220 化学処理ゾーン
221 ランプ(光照射手段)または熱風器(加熱手段)
251 巻き取りロール
261、271 ロール

Claims (5)

  1. 発光体層と、低屈折率層と、高屈折率層とが前記順序で積層され、
    前記発光体層が、基材と、第1電極と、有機EL層と、第2電極とを含み、
    前記基材上に、前記第1電極、前記有機EL層、および前記第2電極が、前記順序で積層されており、
    前記基材において、前記第1電極、前記有機EL層、および前記第2電極が積層された側と反対側に、前記低屈折率層および前記高屈折率層が積層されており、
    前記低屈折率層は、前記発光体層よりも屈折率が低く、ヘイズが5%未満であり、
    前記高屈折率層は、前記低屈折率層よりも屈折率が高く
    記低屈折率層は、前記発光体層上に直接積層されているか、または粘接着層を介して積層されている
    ことを特徴とするフレキシブル発光デバイス。
  2. 前記低屈折率層の屈折率が1.20未満である請求項1記載のフレキシブル発光デバイス。
  3. 前記低屈折率層は、ゲル状ケイ素化合物の粉砕体同士が共有結合により化学的にかつ直接的に結合して形成されている請求項1または2記載のフレキシブル発光デバイス。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載のフレキシブル発光デバイスを含む照明装置。
  5. 請求項1から3のいずれか一項に記載のフレキシブル発光デバイスを含む画像表示装置。
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