本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施形態により限定されるものではない。
[1.構成]
本実施形態に係る印刷制御装置を含む印刷システムの構成の一例について、図1を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係る印刷制御装置を含む印刷システムの構成の一例を示すブロック図である。
図1に示す印刷システム1000は、情報処理装置としての印刷制御装置100と、印刷装置200と、印刷制御装置100及び印刷装置200を通信可能に接続するネットワーク300とを含んでいる。
印刷装置200は、印刷対象データに対応する印刷ジョブデータにしたがって、印刷ジョブデータに対応する画像を印刷する装置である。
印刷制御装置100は、複数の印刷対象データの各々を所定の用紙に印刷するための制御を行うための情報処理装置であり、例えば市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータで構成され、印刷装置200による印刷の制御を行う。この印刷制御装置100は、ネットワーク300を介して印刷装置200に接続可能であれば任意の場所に設置されてもよいが、例えば、複数の印刷対象データの各々を所定の用紙に印刷する部署(例えばNVOCCにおいて輸出入帳票を準備する港湾支所)に1台設置されている。なお、印刷制御装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。また、印刷制御装置100は、印刷システム1000内において複数台設置されていてもよく、複数台の印刷制御装置100の間で同期をとることで1台の印刷制御装置100として機能してもよい。
印刷制御装置100は、制御部102と、通信インターフェース部104と、記憶部106と、入出力インターフェース部108とを備えている。印刷制御装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置及び専用線等の有線又は無線の通信回線を介して、印刷制御装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、印刷制御装置100と印刷装置200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。したがって、通信インターフェース部104は、他の情報処理装置からの入力情報等を、ネットワーク300を介して受け付けることが可能に構成されているとともに、所定の情報処理装置に対して所定の情報を出力することが可能に構成されている。
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、及びファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラム(本発明のプログラムを含む)が記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び光ディスク等を用いることができる。また、この記憶部106には、本発明のプログラムを実施するために用いられる各種のデータが書き出し/読み出し可能に格納されている。
入出力インターフェース部108には、入力装置112及び出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、及びマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。
制御部102は、印刷制御装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
さらに図1を参照しながら、記憶部106及び制御部102の構成について詳述する。
記憶部106は、図1に示されるように、印刷対象データ記憶領域106aと、印刷区分管理マスタ106bと、印刷設定マスタ106cと、印刷ジョブデータ記憶領域106dと、印刷管理マスタ106eとを含む。また、記憶部106は、その他のマスタやデータ記憶領域を備えていてもよい。
印刷対象データ記憶領域106a及び印刷ジョブデータ記憶領域106dは、それぞれ、後述する印刷対象データ及び印刷ジョブデータを記憶するための領域であり、必要に応じて各データを出力可能に保持する。
印刷区分管理マスタ106bは、印刷対象データに対応する書面の区分及び種類を管理するためのマスタである。印刷設定マスタ106cは、印刷対象データの種類を識別するための印刷対象識別情報と、当該印刷対象データを印刷すべき用紙がセットされた印刷装置の給紙トレイに関する給紙トレイ情報とを互いに関連付けたマスタである。印刷管理マスタ106eは、印刷対象データの印刷中フラグを管理するためのマスタである。これらマスタの詳細については後述する。
制御部102は、図1に示されるように、複数のモジュールを備えている。図1に示す例では、制御部102は、印刷部数設定部102aと、印刷ジョブデータ作成部102bと、印刷ジョブ出力部102cと、規制部102dとを備えている。
印刷部数設定部102aは、複数の印刷対象データの各々に対して印刷部数の設定を受け付けるための印刷部数設定手段として機能するモジュールである。印刷ジョブデータ作成部102bは、複数の印刷対象データに対応する1群の印刷ジョブデータを作成する印刷ジョブデータ作成手段として機能するモジュールである。印刷ジョブ出力部102cは、1群の印刷ジョブデータの少なくとも一部を印刷装置へ出力する印刷ジョブ出力手段として機能するモジュールである。規制部102dは、印刷ジョブデータの作成中及び印刷ジョブデータの出力中の場合に他の印刷対象データの受付けを規制する規制手段として機能するモジュールである。各部の機能は、後述する処理内容を実現する機能を含む。
[2.処理]
次に、図1に示す印刷システム1000において実行される印刷制御方法を例示的に説明する。
図2は、図1の印刷システム1000において、印刷制御装置100が実行する印刷制御方法の処理手順を示すフローチャートである。この図2に示す処理は、概略的には、複数の印刷対象データの各々を所定の用紙に印刷するための制御を行うというものであり、本処理の大部分は、印刷制御装置100の制御部102において実行される。なお、以下では、運送サービス業界においてNVOCCが印刷システム1000を用いて、1群の多種にわたる帳票をまとめて印刷する場合を例に挙げて説明する。
図2において、まず、ステップS201では、印刷制御装置100は、マスタ登録を受け付ける。登録対象のマスタとしては、図1に示した印刷区分管理マスタと、図1に示した印刷設定マスタを挙げることができる。印刷区分管理マスタ及び印刷設定マスタ以外に、後述する印刷管理マスタも用意されている。また、それらマスタ以外に、印刷対象データの種類ごとに印刷順序を設定したマスタを用意しておくことが好ましい。マスタが既に構築されている場合には、ステップS201において、ユーザ入力に基づいた修正や新規登録等のマスタ編集が行われてもよい。また、他のマスタのデータを読み出してコピー又は上書きすることによって新規のマスタが構築されたり既存のマスタの更新が行われたりしてもよく、また、これに代えて、外部記憶装置に記録された他のマスタへ印刷制御装置100をアクセス可能に構成し、アクセス可能になった時点でマスタが新規に構築されたとみなしてもよい。
図3は、図2のステップS201において登録される印刷区分管理マスタの構成例を模式的に示す図である。
図3に示す印刷区分管理マスタは、印刷対象データとなり得る書面(例えば伝票)の書面区分情報(例えば伝票区分)及び書面種類情報(例えば伝票種類)と、それらの組み合わせを特定するための書面識別情報(例えば伝票ID)とを関連付けたマスタである。図3に示す例では、書面区分情報として、「ORIGINAL」と「Sea Waybill」の2種類が登録されており、さらに、各書面区分情報につき、1群の書面種類が登録されている。そして、図3に示されるように、同一の書面種類であっても書面区分情報の相違によって異なる書面識別情報を登録することができる。なお、書面区分情報は、後述する処理において印刷対象区分情報として認識される。
図3に示す印刷区分管理マスタの例では、輸出入帳票に必要な書面に関する情報が管理されている。図3に示される書面区分情報「ORIGINAL」は、NVOCCが船会社に代わって発行する船荷証券(H.B/L)に関連する1群の帳票を識別するための区分情報であり、書面区分情報「Sea Waybill」は、NVOCCが船会社に代わって用意する貨物受取り(海上運送状)に関連する1群の帳票を識別するための区分情報である。船荷証券(H.B/L)に関連する1群の帳票も貨物受取り(海上運送状)に関連する1群の帳票も、図3に示されるように、BillOfLading(B/L原本)、FreightMemo(請求書)、領収書、Non-Nego(Non Negotiable B/L;原本控え)、外地(NVOCCの外地支店向けの書面)、営業控え(NVOCCの自社用控え又は荷主用控え)といった同一種類の書面を含んで構成される。
図4は、図2のステップS201において登録される印刷設定マスタの構成例を模式的に示す図である。
図4に示す印刷設定マスタは、印刷対象データの種類を識別するための印刷対象識別情報と、当該印刷対象データを印刷すべき用紙がセットされた印刷装置の給紙トレイに関する給紙トレイ情報とを互いに関連付けたマスタの一例である。図4に示す印刷設定マスタには、印刷対象識別情報として、印刷ジョブIDが登録され、給紙トレイ情報として、印刷装置を特定するための情報(例えば印刷装置名)と、当該印刷装置の給紙トレイに収容される用紙のサイズに関する情報(例えば紙サイズ情報及び紙幅情報)と、給紙トレイを特定するための情報(例えば給紙方法情報)とが登録されており、さらに、各情報の組み合わせを特定するための特定情報(例えばパターンID)が登録されている。ここで、上記給紙トレイ情報は、給紙トレイそのものに関する情報だけでなく、紙幅情報や、給紙の仕方に関する情報を含むため、印刷設定情報として機能する。印刷設定情報としては、上述の情報に限られることはなく、印字領域に関する情報等を含んでいてもよい。
また、本実施形態では、図4に示す印刷設定マスタにおけるパターンIDと、図3に示した印刷区分管理マスタにおける書面識別情報(例えば伝票ID)とが互いに同じ情報(数値)によって紐付けられている。この場合、パターンIDが印刷対象識別情報として機能する。これにより、印刷対象データの種類ごとに、又は印刷対象データの区分及び種類の組み合わせごとに、印刷装置のどの給紙トレイに収容された用紙に対して印刷ジョブを実行するのかを設定することができるようになる。なお、パターンIDが印刷対象識別情報として機能するので、印刷ジョブIDとして任意のジョブ名を登録してもよい。この場合、例えば、輸出入帳票(B/L)に関する印刷ジョブ名として、複数のパターンIDに共通して「BillOfLading」を登録してもよく、これにより、1群の印刷ジョブを特定しやすくすることができる。
次に、ステップS202では、一又は複数の印刷対象データの選択がなされるのを待機する。このとき、ユーザは、まず、図5に模式的に示される1群のデータ(例えば輸出入に係る業務の受注伝票データ)のリストを表示させ、続いて、表示されたリストから一又は複数の印刷対象データを選択する。なお、1群のデータのリストは、印刷処理に先立って新たに作成したものであってもよいし、予め記録されているものを呼び出したものであってもよいし、他の記憶装置にアクセスして読み出したものであってもよい。図5は、図2のステップS202で選択され得る一又は複数の印刷対象データとなり得る1群のデータのリストを模式的に示す図である。図5に示すように、1群のデータを構成する各データは、少なくとも、印刷区分管理マスタで管理している書面区分情報(伝票区分)を含むことが好ましい。また、各データは、用紙(伝票)に印刷すべき情報として、例えば、図5に示すように、受注伝票データを識別する情報(例:伝票番号)及び取引先の業者名(例:船会社名)を含み、さらに、図5には示されていないが、貨物を特定するための情報、貨物の輸送先に関する情報、荷主名に関する情報等を参照可能に含んでいる。
続くステップS203では、選択された印刷対象データについて印刷指示画面の起動指示がなされるかどうかを判別する。ステップS203の判別の結果、印刷指示画面の起動指示がなされない場合には(ステップS203でNo)、ステップS201に戻って、ステップS201の各種マスタの編集又はステップS202の印刷対象データの選択を待機し、他方、印刷指示画面の起動指示がなされた場合には(ステップS203でYes)、図6に示すような印刷指示画面を表示する。
図6は、図2のステップS202で選択された印刷対象データに対して印刷指示画面の起動指示がなされた場合に表示される表示画面の構成例を示す図である。
図6に示す印刷指示画面では、図2のステップS202で選択された印刷対象データの各々がレコードとして表示され、各レコードには、ステップS202で選択された順に行番号が付され、印刷されることを前提にチェックボックスはONの状態で表示される。これにより、ユーザの利便性を高めることができる。また、図6に示す印刷指示画面では、各レコードに対応する印刷対象データが含み得る書面種類を特定する情報が並んでいる。この書面種類を特定する情報の並び順は、予め設定された印刷順序に沿って並んでおり、これにより、ユーザは、1群の印刷対象データが印刷された場合に出力される印刷物の並び順を視覚的に把握することができる。なお、図6に示す印刷指示画面上で、書面種類を特定する情報の並び順を変更できるように構成してもよいし、図6に示す印刷指示画面を表示するための表示データを作成する際に参照されるマスタを用意し、当該マスタに印刷指示画面上での並び順をデフォルトで設定又は変更できるようにしてもよいし、又は、書面種類を特定する情報の並び順を印刷区分管理マスタに登録された順(伝票IDが示す数値順)にしてもよい。さらに、各レコードには、書面種類を特定する情報ごとにセルが設けられており、このセルには、印刷部数を設定することができるようになっている。設定すべき印刷部数として、図6に示すようにデフォルトの数値を表示するようにしてもよく、これにより、ユーザの利便性をより高めることができる。
そして、ステップS204では、印刷指示画面において、各印刷対象データの印刷部数が設定されるのを待機する。なお、印刷指示画面が起動された状態で、印刷対象データの追加又は削除といった編集がなされてもよく、そのような編集は、図6に示す印刷指示画面中のチェックボックスを用いることにより実施できる。印刷部数が設定された場合、又は、デフォルトで印刷部数が設定されておりユーザが設定の変更を要しない場合には、印刷指示画面上の印刷ボタンが押下されるのを待機する。
また、ステップS204の処理と並行して、ステップS205では、他の印刷ジョブが実行中でないかどうかを判別する。このステップS205の判別処理は、少なくとも印刷指示画面が起動されている間に実施される。他の印刷ジョブが実行中であるかどうかの判別は、後述する印刷管理マスタにおける印刷中フラグを確認することにより行われる。
そして、ステップS205の判別の結果、他の印刷ジョブが実行中でない場合には(ステップS205でYes)、図6に示す印刷指示画面中の印刷ボタンが押下されるのを待機し(ステップS206)、印刷ボタンが押下されたら(ステップS206でYes)、印刷ボタン押下時点で選択されている印刷対象データの各々につき印刷フラグをON(True)にセットし(ステップS207)、1群の印刷ジョブデータの作成処理を実行する(ステップS208)。1群の印刷ジョブデータとは、選択された印刷対象データを設定部数分印刷するための印刷ジョブデータの集合であり、その一例は、図8に示されている。ステップS208の1群の印刷ジョブデータの作成処理については、図9を用いて詳述する。
ここで、印刷中フラグについて図7を用いて説明する。図7は、図2のステップS207で印刷中フラグがONにセットされた状態にある印刷管理マスタの構成例を模式的に示す図である。
図7に示されるように、印刷中フラグは、印刷対象データの各々について設定される。ここで、印刷中フラグが設定される印刷対象データは、印刷指示画面において選択された印刷対象データであり、印刷ボタン押下時点で確定し、印刷管理マスタにおいて各印刷対象データに対応する新たなレコードが作成される。図7に示す例では、各印刷対象データに対応するレコードは、伝票番号で管理されているが、各印刷対象データを特定可能な情報であれば他の情報を用いて管理してもよい。本実施形態では、印刷中フラグは、印刷ボタンの押下後から印刷終了までの間、ON(True)にセットされ、印刷が完了した印刷対象データから順次OFF(False)に更新されるように構成されている。そして、印刷対象データに対応する印刷中フラグのうち少なくとも1つがONにセットされている場合には、印刷管理マスタで管理されている1群の印刷対象データが印刷中であると判断され、他方、印刷対象データに対応する印刷中フラグのすべてがOFFにセットされている場合には、印刷管理マスタで管理されている1群の印刷対象データの全てが印刷済みであると判断されるようになっている。図7に示す例では、印刷ボタン押下直後の状態が示されているため、全ての印刷対象データに対して印刷フラグがONにセットされており、これにより、1群の印刷対象データについて印刷中の状態にあると判断されるようになっている。なお、上記の「印刷中である」状態とは、印刷ジョブデータの作成中及び印刷ジョブデータの出力中の状態を含む。
図9は、図2のステップS208において実行される1群の印刷ジョブデータ作成処理の詳細を示すサブルーチンのフローチャートである。
図9において、まず、ステップS901では、印刷ボタンの押下により確定した1群の印刷対象データの中から、一つの印刷対象データを選択する。この印刷対象データの選択は、通常、印刷指示画面に表示された印刷対象データのレコードのうちチェックボックスがONのレコードでかつ行番号が小さい順で行われる。続くステップS902では、ステップS901で選択した印刷対象データに含まれる印刷対象区分情報を取得する。これにより、印刷対象データの書面区分情報(伝票区分)を取得することが可能となる。
そして、ステップS903では、予め設定された印刷順序にしたがってセルの読み出しを行う。セルとは、印刷指示画面上における行番号と各書面の種類(伝票種類)の組み合わせで定まるマスをいい、各セルには、ステップS204で既に印刷部数が設定されており、印刷ボタンの押下により確定している。したがって、セルの読み出しを行うことにより、印刷ジョブデータを作成すべき印刷対象データと、当該印刷対象データの書面種類情報(伝票種類)と、印刷部数とが取得されることになる。ここで、「予め設定された印刷順序」とは、本実施形態では、印刷指示画面上における各行番号のレコードについての複数の種類の書面の並び順(図6に示す例では、「FreightMemo」から「他社」へ向かう順)をいい、この並び順でセルの読み出し順が定まるようになっている。なお、印刷指示画面上における複数の種類の書面の並び順で説明したが、これに代えて、複数の書面の並び順に応じた並び順を予め印刷順序として記憶しておきセルの読み出し順を決定してもよいし、又は、印刷指示画面を構成する表示画面データ中の並び順に応じてセルの読み出し順を決定してもよいし、印刷対象データの種類ごとに印刷順序を設定したマスタを用意してもよい。
続いてステップS904では、ステップS903で読み出したセルに対応する印刷対象データのパターンIDを特定する。パターンIDとは、図3に示した印刷設定マスタにおけるパターンIDである。パターンIDの特定は、ステップS902で取得した印刷対象区分情報(すなわち書面区分情報、例えば伝票区分)と、ステップS903で特定された書面種類情報(伝票種類)の組み合わせで、印刷管理マスタ及び印刷設定マスタを参照することで実行される。図6に示した印刷指示画面上の行番号「1」の印刷対象データの1番目のセルを例に挙げて説明すると、印刷対象データの伝票区分は「ORIGINAL」であり、かつ、伝票種類は「Freight memo」であるので、この組み合わせは、印刷管理マスタ上では伝票IDが「2」であり、伝票ID「2」に対応するパターンIDは「2」である。そして、このようにパターンIDを特定することで、印刷設定マスタから給紙トレイ情報を取得する。
その後、ステップS905では、ステップS903で読み出したセルに設定されている印刷部数の数値が「1」以上であるかどうかを判別する。ステップS905の判別の結果、印刷部数の数値が「1」以上である場合には、ステップS906に進み、設定されている印刷部数に応じた印刷ジョブデータの作成を行い、ステップS907に進む。他方、ステップS905の判別の結果、印刷部数の数値が「1」以上でない場合(すなわち、「0(ゼロ)」又はNull(設定なし)の場合)には、ステップS906をスキップして印刷ジョブデータの作成を行うことなく、ステップS907に進む。これにより、各セルについての処理が完了する。
ここで、印刷ジョブデータについて説明する。印刷ジョブデータは、印刷対象データから取得可能な情報から抽出された、所定の用紙(例えば通常の印刷用紙又は帳票ごとに専用の専用紙)に印刷すべき情報と、所定の用紙に対する印刷位置を特定する情報とを含む。さらに、本実施形態では、印刷ジョブデータは、印刷設定マスタから取得した印刷ジョブID及び印刷設定マスタから取得した給紙トレイ情報を含む。これにより、印刷ジョブIDごとに設定された所定の給紙トレイに収容された用紙に対して印刷を行うことができる。そのため、ユーザは、印刷指示のたびに給紙トレイを選択したり、印刷指示のたびに給紙トレイに収容されている用紙を変更したりする手間を省くことができる。さらに、所定の用紙が帳票である場合、帳票で印刷すべき項目は予め定まっていることが多いため、印刷対象データとして指定された伝票データから前記帳票に印刷すべき項目に関する項目情報を抽出し、かつ、前記印刷設定マスタから給紙トレイ情報を取得することにより印刷位置を特定することにより、前記印刷ジョブデータの作成を行うことが好ましい。この場合における項目情報の抽出と、印刷位置の特定は、公知の方法又はそれに準じた方法で実施可能であるため、その方法についての説明は割愛する。さらに、本実施形態では、各印刷ジョブデータは、図8に示すように、印刷装置において印刷すべき順序を指定する情報としてシーケンス番号(Seq番号)を含み、これにより、1群の印刷ジョブデータの印刷状況を追跡(モニタリング)することが可能となる。なお、図8に示す例では、各印刷ジョブデータは、印刷部数に関する情報を含むとしているが、これに代えて、印刷部数に応じた印刷ジョブが作成されるようにしてもよい。
そして、ステップS907では、次のセルがあるかどうかを判別する。ステップS907の判別の結果、次のセルがある場合には(ステップS907でYes)、当該セルについての処理を行うべく、ステップS903に戻って、ステップS903~S906の一連の処理を行う。他方、ステップS907の判別の結果、次のセルがない場合、すなわちすべてのセルについての処理が完了した場合には(ステップS907でNo)、ステップS908に進む。
ステップS908では、次の印刷対象データのレコードがあるかどうかを判別する。ステップS908の判別の結果、次の印刷対象データがある場合には(ステップS908でYes)、当該印刷対象データのレコードについての処理を行うべく、ステップS901に戻って、ステップS901~S907の一連の処理を行う。他方、ステップS908の判別の結果、次の印刷対象データのレコードがない場合、すなわちすべての印刷対象データについての処理が完了した場合には(ステップS908でNo)、図9に示した処理を完了する。この結果、図8に示したような1群の印刷ジョブデータが完成する。そして、図2の処理に戻り、ステップS209の処理に進む。
図2に戻り、ステップS209では、1群の印刷ジョブデータを印刷装置へ出力する。なお、印刷装置への出力は、1群の印刷ジョブデータの作成の完了を待たずに、1部の印刷ジョブデータの作成が完了するたびに行ってもよい。引き続き、印刷ジョブの進行をモニタリングする(ステップS210)。印刷ジョブの進行は、印刷装置から印刷ジョブの進行状況に関する情報を取得することでモニタリングすることができる。そして、ステップS211では、1群の印刷ジョブデータを構成する各印刷ジョブデータに対応する印刷ジョブが完了するたびに、対応する印刷対象データの印刷中フラグをOFF(False)にセットし、最終的に全ての印刷ジョブが完了したら全ての印刷ジョブデータに対応する印刷対象データの印刷中フラグをOFFにセットする。図10は、図2のステップS211の処理の結果、全ての印刷ジョブに対応する印刷対象データの印刷中フラグがOFFにされた状態を模式的に示す図である。このようにして全ての印刷ジョブが完了したら、必要に応じて印刷管理マスタのレコードを消去するか又はログとして退避させ、図2に示す処理を完了する。
他方、ステップS205の判別の結果、他の印刷ジョブが実行中である場合(ステップS205でNo)がある。このような場合は、1群の印刷ジョブの実行に時間を要する場合に起こりうる。例えば、NVOCCが荷主ごとに1群の印刷ジョブを起動する場合、ある荷主分の印刷ジョブの完了を待つことなく、次の荷主分の印刷ジョブを起動させた場合に起こりうる。特に、輸出入帳票は多種の帳票から構成されており、かつ、場合によっては有価証券である船荷証券を含むため、他の帳票、特に異なる荷主分の帳票が混在することは回避されなければならないという事情がある。そこで、本実施形態では、他の印刷ジョブが実行中であるかどうかを、印刷管理マスタを参照して、印刷中フラグが1つでもON(True)にセットされている印刷対象データがないかどうかにより判別するように構成されている。図11は、図7又は図10に示したような印刷管理マスタにおいて、複数の印刷中フラグのうち2つがONにセットされている状態を模式的に示す図である。図11に示すように1つでも印刷中フラグがONにセットされている場合には、他の印刷ジョブが実行中であると判別される。
そして、他の印刷ジョブが実行中である場合(ステップS205でNo)には、ステップS220へ進み、所定の規制処理を行う。規制処理の一例は、他の印刷対象データ(例えば次の荷主分の印刷対象データ)の受付けを規制することであり、具体例を挙げると、印刷対象データが選択されても、印刷ボタンを押下できないように規制することである。図12は、図6に示したような印刷指示画面において、印刷ボタンが押下できないように規制された状態を模式的に示す図である。なお、規制処理は上述の具体例に限られることはなく、例えばチェックボックスをONにセットできないようにしてもよいし、印刷指示画面が起動されないようにしてもよい。
ステップS220の規制処理と並行して、ステップS221では、他の印刷ジョブに対応する印刷中フラグがすべてOFF(False)に更新されるのを待機し(ステップS221)、印刷中フラグがすべてOFFに更新されたら、ステップS222において、ステップS220で実施した規制処理を解除する。この結果、例えば印刷ボタンを押下できるようになる。そして、ステップS206に進み、印刷ボタンが押下されたら後続の処理を行って1群の印刷対象データに対応する印刷ジョブを実行し、図2に示す処理を完了する。
以上詳細に説明したように、図2に示した本発明の印刷制御方法に係る処理によれば、複数の印刷対象データの各々を所定の用紙に印刷するに際し、前記複数の印刷対象データに対して予め設定された印刷順序(図6に示す書面種類の並び順)及び印刷部数(ステップS204)、並びに、印刷対象データの種類を識別するための印刷対象識別情報と、当該印刷対象データを印刷すべき用紙がセットされた印刷装置の給紙トレイに関する給紙トレイ情報とを互いに関連付けた印刷設定マスタ(図4)を参照して、前記複数の印刷対象データに対応する1群の印刷ジョブデータが作成される(ステップS208及び図9;印刷ジョブデータ作成手段)ように制御される。これにより、多数におよぶ書面(例えば輸出入帳票)であっても、個別に印刷指示を行うことなく、まとめて印刷指示を行うことができる。そのため、ユーザの利便性を高めることができる。
また、図2の処理によれば、1群の印刷対象データに対して予め設定された区分に関する印刷対象区分情報に基づき、前記複数の印刷対象データの印刷対象識別情報を取得する(ステップS902)。これにより、印刷対象データに対応する書面区分が複数である場合において同一種類の書面を区別することが可能となる。そのため、ユーザは、印刷部数を設定するだけで、同一種類の書面であっても、書面区分ごとに異なる用紙に印刷をすることができるため(図4参照)、ユーザの利便性をさらに優れたものとすることができる。
さらに、図2の処理によれば、作成した1群の印刷ジョブデータの一部又は全部を印刷装置へ出力可能に構成されており(ステップS209;印刷ジョブ出力手段)、印刷ジョブデータの作成中(ステップ207~S208)及び印刷ジョブデータの出力中(ステップS209~S211)の場合には、他の印刷対象データの受付けが規制される(ステップS220;規制手段)。これにより、2群以上の印刷ジョブデータに対応する印刷ジョブの結果物である印刷物が互いに混在することをなくすことができる。そのため、ユーザは、印刷物の選別又は印刷物の確認を行う手間を大幅に削減することができ、結果、ユーザの利便性を優れたものとすることができる。
また、図2の処理によれば、前記用紙が帳票である場合には、指定された伝票データから前記帳票に印刷すべき項目に関する項目情報を抽出し、かつ、前記印刷設定マスタから給紙トレイ情報を取得することにより印刷位置を特定することにより、前記印刷ジョブデータの作成を行う(ステップS906)。これにより、帳票の印刷を円滑に行うことができ、そのため、ユーザの利便性をより高めることができる。特に、前記帳票が輸出入帳票であり、前記伝票データが、輸出入に係る業務の受注伝票データである場合、抽出すべき項目情報はほぼ一定であるため、印刷をさらに円滑に行うことができる。
また、図2の処理によれば、前記複数の印刷対象データの各々に対して印刷部数の設定を受け付ける可能に構成されている(ステップS204及び図6;印刷部数設定手段)。これにより、印刷部数の変更を容易に行うことができ、もってユーザの利便性をさらに高めることができる。
なお、上述した図2の処理では、印刷対象データの選択を待ってから、印刷指示画面の起動を行う例について説明したが、これに代えて、印刷指示画面が起動されてから印刷対象データを選択(追加)できるようにしてもよい。
なお、上述した実施形態では、印刷管理マスタ及び印刷設定マスタを、複数の書面区分情報及び複数の書面種類情報を含むように構成されている。これに代えて、書面区分情報ごとに印刷管理マスタ及び印刷設定マスタを用意してもよい。
また、上述した実施形態では、図4に示す印刷設定マスタにおけるパターンIDと、図3に示した印刷区分管理マスタにおける書面識別情報(例えば伝票ID)とが互いに同じ情報(数値)によって紐付けられているとした。これに代えて、図4に示す印刷設定マスタにおけるパターンIDと、図3に示した印刷区分管理マスタにおける書面識別情報(例えば伝票ID)とを互いに紐付けた別のマスタを用意してもよいし、印刷区分管理マスタと印刷設定マスタとを統合してもよい。又は、上述のとおりステップS902において書面区分情報を取得可能であるので、パターンIDを設定することなく、書面区分情報及び書面種類情報の組み合わせから、対応する書面種類情報の給紙トレイ情報を取得するようにしてもよい。
なお、上述した実施形態では、印刷中フラグを印刷ボタンの押下から印刷完了までの間にわたってONにセットするとしたが、これに代えて、印刷対象データに対応する印刷ジョブの実行開始から印刷完了までの間にわたって印刷中フラグをONにセットするようにしてもよい。
[3.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
また、印刷制御装置100及び印刷システム1000に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
例えば、印刷制御装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて印刷制御装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
また、このコンピュータプログラムは、印刷制御装置100に対して任意のネットワーク(例えばネットワーク300)を介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。したがって、本明細書で説明した処理を実行するためのプログラムを格納した記録媒体もまた本発明を構成することとなる。
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、及び、ウェブページ用ファイル等を格納する。
また、印刷制御装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、印刷制御装置100は、当該装置に本明細書で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。