以下、エレベータにおける一実施形態について、図1~図22を参照しながら説明する。なお、各図(図23~図30も同様)において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
図1及び図2に示すように、エレベータ1は、例えば、本実施形態のように、かご2と、かご2を上下方向D3に移動させるかご駆動部3と、上下方向D3へ延び、かご2をガイドするかごレール4a~4dとを備えていてもよい。また、エレベータ1は、エレベータ1の全体を制御する処理装置5と、情報が入力される入力部6と、情報を出力する出力部7とを備えていてもよい。
特に限定されないが、本実施形態においては、かご駆動部3は、リニアモータであって、エレベータ1は、リニアモータ式の駆動方式であり、例えば、かご2に接続されるロープ等を備えていない。なお、エレベータ1は、例えば、ロープ式の駆動方式である、という構成でもよく、また、例えば、油圧式の駆動方式である、という構成でもよい。
各図において、第1方向D1は、水平方向と平行な方向である第1横方向D1であり、第2方向D2は、水平方向と平行な方向であって、且つ、第1横方向D1と直交する第2横方向D2であり、第3方向D3は、第1横方向D1及び第2横方向D2と直交する鉛直方向であって、上下方向D3である。なお、例えば、かご2に対して人が乗り降りする方向は、第1横方向D1としてもよい。
入力部6は、図示していないが、例えば、かご2内及び乗場等に配置されて乗客に操作される操作盤と、保守員に操作される保守盤とを備えていてもよい。保守盤は、例えば、かご2外に常設されていてもよく、また、例えば、処理装置5等に電気的に着脱可能であってもよい。また、操作盤には、例えば、戸開閉指示情報、行先階指示情報、行先方向指示情報等が入力されてもよく、保守盤には、例えば、保守に関する情報(例えば、かご2の昇降指示情報等)が入力されてもよい。
出力部7は、図示していないが、例えば、かご2内及び乗場等に配置される出力盤と、外部装置(例えば、中央監視装置等)へ向けて情報を送信する送信手段とを備えていてもよい。特に限定されないが、出力盤は、例えば、音声部(例えば、ブザー、スピーカ)、表示部(例えば、表示板、表示灯)等を備えていてもよい。
処理装置5は、例えば、本実施形態のように、各情報(データ)を取得する取得部5aと、各情報を記憶する記憶部5bと、各情報を演算する演算部5cと、各部2,3,7,31を制御する制御部5dとを備えていてもよい。取得部5aは、例えば、入力部6に入力されたり、外部装置(例えば、中央監視装置)等から送信された情報を受信したりすることによって、情報を取得してもよい。
処理装置5は、例えば、一つの装置で構成されていてもよく、また、例えば、互いに通信可能な複数の装置で構成されていてもよい。具体的には、処理装置5の各部5a~5dは、例えば、一つの装置に備えられていてもよく、また、例えば、互いに通信可能な複数の装置に分散して備えられていてもよい。
なお、処理装置5は、CPU及びMPU等のプロセッサ(例えば、演算部5c、制御部5d)、ROM及びRAM等のメモリ(例えば、取得部5a、記憶部5b)、各種インターフェイス(例えば、取得部5a)等を備えるコンピュータである。そして、メモリに格納されたプログラムをプロセッサが実行し、ソフトウェア及びハードウェアが協働することによって、処理装置5の各部5a~5dが実現されている。
図1~図3に示すように、かご駆動部3であるリニアモータ3は、例えば、本実施形態のように、昇降路に対して固定されるモータ固定子3aと、かご2に接続され、モータ固定子3aに対して可動であるモータ可動子3bとを備えていてもよい。そして、例えば、モータ可動子3bは、磁石を備え、モータ固定子3aは、磁石に上下方向D3の電磁力を与えるコイルを備えている、という構成でもよい。
特に限定されないが、エレベータ1においては、例えば、本実施形態のように、リニアモータ3は、かご2を第2横方向D2で挟むように、一対備えられていてもよい。また、特に限定されないが、各リニアモータ3においては、例えば、本実施形態のように、モータ可動子3bは、上下方向D3に離れて一対備えられていてもよい。
かご2は、例えば、本実施形態のように、かご室8a及びかご枠8bを有するかご本体部8と、モータ可動子3bに接続され、かごレール4a~4dにガイドされる第1及び第2かごガイド部9,10と、かごガイド部9,10とかご本体部8とを接続するかご接続部2aとを備えていてもよい。
かご接続部2aは、例えば、本実施形態のように、かごガイド部9,10がかご本体部8に可動となるように、かごガイド部9,10とかご本体部8とを接続していてもよい。これにより、例えば、かごガイド部9,10の振動をかご本体部8のかご室8aに伝達することを抑制することができる。特に限定されないが、かご接続部2aは、例えば、弾性部材(例えば、積層ゴム等)としてもよい。
第1及び第2かごガイド部9,10は、例えば、本実施形態のように、かご2を第2横方向D2で挟むように、配置されていてもよい。なお、本実施形態においては、一つのリニアモータ3に対して、モータ可動子3bが上下方向D3に離れて一対備えられているため、第1及び第2かごガイド部9,10のそれぞれも、上下方向D3に離れて一対備えられていてもよい。
かごガイド部9,10は、例えば、本実施形態のように、かご接続部2aに固定されるガイド枠部9a,10aと、ガイド枠部9a,10aに接続され、かごレール4a~4dにガイドされる被ガイド部9b,10bとを備えていてもよい。特に限定されないが、被ガイド部9b,10bは、例えば、本実施形態のように、かごレール4a~4dにガイドされるローラとしてもよい。
また、特に限定されないが、ローラは、第1横方向D1でかごレール4a~4dに当たるローラと、第2横方向D2でかごレール4a~4dに当たるローラとを備えており、各ローラの回転軸の位置は、例えば、ガイド枠部9a,10aに対して不変であり、固定されている、という構成でもよい。これにより、かごガイド部9,10がかごレール4a~4dに対して横方向D1,D2に移動することを抑制することができる。
かごレール4a~4dの個数は、特に限定されず、例えば、二つでもよく、また、例えば、本実施形態のように、四つでもよい。具体的には、例えば、本実施形態のように、かごレール4a~4dは、第1かごガイド部9をガイドする第1及び第3かごレール4a,4cと、第2かごガイド部10をガイドする第2及び第4かごレール4b,4dとを含んでいてもよい。
第1及び第3かごレール4a,4cと、第2及び第4かごレール4b,4dとは、かご2を挟むように、第2横方向D2で離れていてもよい。また、第1及び第3かごレール4a,4cは、例えば、第1横方向D1で離れていてもよく、また、第2及び第4かごレール4b,4dは、例えば、第1横方向D1で離れていてもよい。
図2及び図3に示すように、エレベータ1は、例えば、本実施形態のように、かご2をかごレール4a~4dに停止させる停止装置11と、かご2が停止装置11によってかごレール4a~4dに停止する状態を解除する解除装置12(図2のみ図示している)とを備えていてもよい。なお、かご2及び停止装置11を備える装置は、例えば、エレベータかご装置1aという。
停止装置11は、例えば、本実施形態のように、複数の停止部13と、複数の停止部13が連動するように複数の停止部13に接続され、複数の停止部13へ力を伝達する伝達部14とを備えていてもよい。なお、本実施形態においては、停止装置11は、下方の第1及び第2かごガイド部9,10に接続されているが、例えば、上方の第1及び第2かごガイド部9,10に接続されていてもよい。
停止部13の個数は、特に限定されず、例えば、二つでもよく、また、例えば、本実施形態のように、四つでもよく、かご2をかごレール4a~4dに停止できる個数であればよい。また、例えば、本実施形態のように、停止部13の個数は、かごレール4a~4dの個数と同じであってもよい。
各停止部13は、例えば、本実施形態のように、かごガイド部9,10に対して固定される停止固定部15と、伝達部14に接続され、停止固定部15に対して可動である停止可動部16とを備えていてもよい。停止可動部16は、例えば、停止固定部15と接することによって停止固定部15と協働してかご2を停止させる停止位置(図4参照)と、停止位置よりも下方の待機位置(図3参照)との間で、停止固定部15に対して可動であってもよい。
伝達部14は、例えば、本実施形態のように、第1横方向D1を軸にして回転可能な第1及び第2軸14a,14bと、軸14a,14bに固定され、停止可動部16に回転可能に接続される回転材14c~14fとを備えていてもよい。これにより、各軸14a,14bが連動して回転することによって、各回転材14c~14fが連動して回転するため、各停止可動部16は、連動して上下方向D3へ移動する。
停止装置11は、例えば、本実施形態のように、かご2が設定加速度で下方へ移動したときに、停止可動部16を停止位置へ移動させる第1非常停止機構17と、かご2が設定速度で移動したときに、停止可動部16を停止位置へ移動させる第2非常停止機構18と、を備えていてもよい。また、停止装置11は、例えば、本実施形態のように、第1かごガイド部9と第2かごガイド部10とにそれぞれ接続されるベース部19を備えていてもよい。
ここで、第1非常停止機構17の構成について、図4及び図5を参照しながら説明する。なお、第1非常停止機構17は、過加速度停止機構ともいう。また、第1非常停止機構17の構成は、以下の構成に限定されない。
図4に示すように、第1非常停止機構17は、例えば、本実施形態のように、弾性復元力によって停止可動部16を停止位置へ移動させる停止弾性部20と、停止可動部16が待機位置に位置するときに、停止可動部16の重量を支持する支持部21とを備えていてもよい。なお、例えば、本実施形態のように、停止部13及び伝達部14は、第1非常停止機構17を構成していてもよい。
停止可動部16は、例えば、本実施形態のように、楔状に形成される可動本体部16aと、可動本体部16aと伝達部14の回転材14c~14fとを接続する可動接続部16bとを備えていてもよい。そして、例えば、停止可動部16が停止位置に位置するときに、可動本体部16aが、停止固定部15と協働してかごレール4a~4dに加圧して接触することによって、かご2は、かごレール4a~4dに停止する、という構成でもよい。
伝達部14は、例えば、本実施形態のように、第1及び第2回転材14c,14dにそれぞれ回転可能に接続される長尺材14gと、ベース部19に固定され、停止弾性部20の第1端を保持する第1保持材14hと、長尺材14gに固定され、停止弾性部20の第2端を保持する第2保持材14iとを備えていてもよい。なお、伝達部14の第1及び第2軸14a,14bは、例えば、本実施形態のように、ベース部19に回転可能に接続されていてもよい。
停止弾性部20は、例えば、本実施形態のように、長尺材14gの長手方向に弾性変形してもよい。これにより、停止弾性部20の弾性復元力は、伝達部14によって、停止可動部16に伝達される。なお、特に限定されないが、停止弾性部20は、例えば、本実施形態のように、弦巻ばねとしてもよい。
支持部21は、例えば、本実施形態のように、停止可動部16を直接的に下方から支持していてもよく、また、例えば、伝達部14を支持することによって、停止可動部16を間接的に支持していてもよい。これにより、停止可動部16が待機位置に位置するときに、支持部21が停止可動部16の重量を支持しているため、停止弾性部20は、停止可動部16の一部の重量によって、弾性変形している。
したがって、待機位置は、釣合位置よりも、上方の位置となっている。なお、釣合位置とは、かご2の加速度がゼロである場合に、停止可動部16の重量が停止弾性部20の弾性復元量と釣り合う位置のことである。
ここで、第1非常停止機構17の動作について、図4及び図5を参照しながら説明する。なお、第1非常停止機構17の動作は、以下の動作に限定されない。
図4に示すように、例えば、かご2の加速度がゼロである場合に、停止弾性部20は、停止可動部16の重量(詳細には、伝達部14等の重量も含む)を受けることによって、収縮するように弾性変形する。それに対して、かご2が加速度を有して下方へ移動した場合には、停止可動部16に対して上方への慣性力(具体的には、停止可動部16の質量とかご2の移動加速度との積)が働く。
これにより、停止可動部16の見掛けの重量(質量による重力と当該慣性力との合力)が、停止弾性部20が停止可動部16に加える上方への弾性復元力よりも、小さくなった場合に、停止可動部16は、上方へ移動する。なお、停止可動部16の見掛けの重量が小さいほど、即ち、かご2の下方への加速度が大きいほど、停止弾性部20の弾性復元量が大きくなるため、停止可動部16の位置は、上方になる。
したがって、かご2の下方への加速度が基準加速度以上となることによって、停止可動部16は、待機位置から上方へ移動することになる。その結果、例えば、かご2の下方への加速度が基準加速度未満である場合に、停止可動部16が待機位置から移動することを抑制することができる。
特に限定されないが、基準加速度は、例えば、かご2の定格加速度(通常運転時の最大加速度)よりも、大きくてもよく、例えば、重力加速度の10%としてもよい。これにより、かご2が通常運転しているときに、停止可動部16を待機位置で保持することができる。したがって、例えば、停止可動部16を不必要に上下方向D3に移動することを抑制することができる。
また、例えば、かご2内で乗客が飛び跳ねた場合等に、かご2の下方への加速度は、瞬間的に、重力加速度の50%程度となることがある。そこで、基準加速度は、例えば、重力加速度の50%とすることが好ましい。これにより、例えば、かご2内で乗客が飛び跳ねた場合等に、停止可動部16が上下方向D3に移動することを抑制することができる。
そして、かご2が設定加速度で下方へ移動した場合には、図5に示すように、停止可動部16は、停止位置まで上方へ移動する。これにより、停止可動部16は、停止固定部15と協働して、かご2をかごレール4a,4bに停止させる。したがって、かご2が設定加速度で下方へ移動した場合に、電気信号を用いることなく、停止装置11によってかご2をかごレール4a,4bに停止させることができる。なお、特に限定されないが、設定加速度は、例えば、重力加速度の70%~90%としてもよい。
なお、例えば、第1非常停止機構17が動作して、かご2が停止装置11によってかごレール4a~4dに停止した後に、エレベータ1を復旧させるために、停止可動部16は、例えば、解除装置12(図2参照)によって、停止位置から下方へ移動される。このとき、停止可動部16の移動を阻害するものが存在しないため、停止可動部16は、自重によって、待機位置まで移動する。したがって、停止可動部16(第1非常停止機構17)は、例えば、電気信号等を用いることなく、待機位置まで自動的に移動する。
ところで、本実施形態においては、第1及び第2かごガイド部9,10は、かご接続部2aによって、かご本体部8に対して可動である(図3参照)。それに対して、図5に示すように、ベース部19は、例えば、本実施形態のように、第1かごガイド部9に回転可能に接続される第1接続部19aと、第2かごガイド部10に可動に接続される第2接続部19bとを備えていてもよい。
これにより、第1及び第2かごガイド部9,10がかご本体部8に対して移動した場合に、ベース部19がかご本体部8に対して移動するため、伝達部14も、かご本体部8に対して移動する。したがって、第1及び第2かごガイド部9,10がかご本体部8に対して移動した場合でも、停止固定部15に対する停止可動部16の位置を適正にすることができる。
特に限定されないが、ベース部19の第2接続部19bは、例えば、本実施形態のように、第2かごガイド部10の被接続部10cを内周面でガイドする長尺なガイド孔としてもよい。これにより、ベース部19の第2接続部19bは、第2かごガイド部10に対して可動であり、しかも、ベース部19の第1接続部19aは、第1かごガイド部9に対して回転可能となる。
次に、第2非常停止機構18の構成について、図6を参照しながら説明する。なお、第2非常停止機構18は、過速度停止機構ともいう。また、第2非常停止機構18の構成は、以下の構成に限定されない。
図6に示すように、第2非常停止機構18は、例えば、本実施形態のように、かご2の移動速度を検出する調速部22と、停止可動部16が停止位置へ移動するように、停止可動部16に上方への力を加える停止加力部23と、調速部22の検出に基づいて、停止加力部23が停止可動部16に力を加えることを起動する起動部24とを備えていてもよい。なお、例えば、本実施形態のように、停止部13及び伝達部14(具体的には、軸14a,14b、回転材14c~14f、長尺材14g)は、第2非常停止機構18を構成していてもよい。
調速部22は、例えば、本実施形態のように、第1かごガイド部9に対して回転可能に接続されるガバナローラ22aと、ガバナローラ22aが回転することに伴って、公転軸を軸にして公転する錘22b,22bと、ガバナローラ22aと錘22bとを接続する錘接続部22cと、公転軸へ近づく方向への弾性復元力を錘22bに加える調速弾性部22dとを備えていてもよい。
ガバナローラ22aは、例えば、本実施形態のように、第3かごレール4cに接するように配置されていてもよい。これにより、かご2が移動することに伴って、ガバナローラ22aは、回転する。したがって、かご2の移動速度が速いほど、錘22bに働く遠心力が大きくなるため、錘22bの位置は、公転軸から離れることになる。そして、かご2が設定速度で移動した場合に、錘22bは、設定位置に位置する。
なお、例えば、ガバナローラ22aは、かごレール4a~4dとは別のレールに接することによって、かご2の移動に伴って回転する、という構成でもよい。このように、特に限定されないが、本実施形態に係る停止装置11においては、ガバナロープがない調速部22、即ち、ガバナロープレスの調速部22とすることができる。また、錘接続部22cは、例えば、本実施形態のように、錘22bが公転軸から離れることに伴って、第2横方向D2に移動する調速移動部22eを備えていてもよい。
また、例えば、本実施形態のように、伝達部14は、停止加力部23から力を受けるために、第1軸14aに固定される係合部14jを備え、停止加力部23は、動作することによって、係合部14jを押す動作部23aを備えている、という構成でもよい。これにより、停止加力部23が、伝達部14から分離されているため、停止弾性部20(図4及び図5参照)の弾性復元力による伝達部14の動作、即ち、停止弾性部20の弾性復元力による停止可動部16の移動は、停止加力部23によって阻害されない。
停止加力部23は、例えば、本実施形態のように、停止可動部16に弾性復元力を加えるために、動作部23aに弾性復元力を加える加力弾性部23bと、第1かごガイド部9に固定される接続材24aに固定され、加力弾性部23bの第1端を保持する第1保持材23cと、動作部23aに固定され、加力弾性部23bの第2端を保持する第2保持材23dとを備えていてもよい。
加力弾性部23bは、例えば、本実施形態のように、動作部23aが係合部14jに当たる第2横方向D2に、弾性変形してもよい。これにより、加力弾性部23bの第2横方向D2への弾性復元力が、動作部23aに加えられる。なお、特に限定されないが、加力弾性部23bは、例えば、本実施形態のように、弦巻ばねとしてもよい。
起動部24は、例えば、本実施形態のように、動作部23aに回転可能に接続される第1回転部25と、第1回転部25の第1端部25aを当て止めする第1当止部26と、第1当止部26と協働して第1回転部25の回転を阻止するために、第1回転部25の第2端部25bを当て止めする第2回転部27と、第2回転部27の回転を阻止するために、第2回転部27を当て止めする回転阻止部28とを備えていてもよい。
これにより、回転阻止部28が第2回転部27の回転を阻止し、第1当止部26と第2回転部27とが第1回転部25の回転を阻止することによって、動作部23aの動作は、阻止されている。一方、回転阻止部28が第2回転部27の回転の阻止を解除することによって、第1及び第2回転部25,27が回転可能になるため、動作部23aは、加力弾性部23bの弾性復元力によって、動作する。
第2回転部27は、例えば、本実施形態のように、第1回転部25の第2端部25bを当て止めする第2当止部27aと、回転阻止部28に当て止めされる被当止部27bと、第2当止部27aと被当止部27bとの間に配置され、回転の軸となる軸部27cとを備えていてもよい。そして、各当止部26,27aは、例えば、本実施形態のように、加力弾性部23bが動作部23aに加える弾性復元力の方向(第2方向D2の矢印方向)と反対方向から、第1回転部25の端部25a,25bを当て止めしていてもよい。
例えば、本実施形態のように、第1当止部26は、接続材24aに固定され、回転阻止部28は、調速移動部22eに固定されている、という構成でもよい。また、第2回転部27は、接続材24aに回転可能に接続されていてもよい。即ち、第2回転部27の軸部27cの位置は、例えば、第1かごガイド部9及び調速部22の公転軸に対して、不変で固定されていてもよい。
なお、例えば、本実施形態のように、第1及び第2回転部25,27のテコの原理によって、第2回転部27が回転阻止部28に加える力は、加力弾性部23bが動作部23aに加える力よりも、小さくなっていてもよい。これにより、第2回転部27と回転阻止部28との間に生じる摩擦力を小さくすることができるため、調速移動部22eの移動を円滑にすることができる。
しかも、回転阻止部28は、例えば、本実施形態のように、第2回転部27の被当止部27bを上方から当て止めしていてもよい。これにより、回転阻止部28が第2回転部27の自重を受けないため、第2回転部27と回転阻止部28との間に生じる摩擦力をさらに小さくすることができる。したがって、調速移動部22eの移動をさらに円滑にすることができる。
また、被当止部27bは、例えば、転動可能な転動体(例えば、ローラ)としてもよい。これにより、第2回転部27と回転阻止部28との間に生じる摩擦力を効率的に小さくすることができる。したがって、調速移動部22eの移動を効率的に円滑にすることができるため、例えば、調速部22でかご2の速度の検出を正確に行うことができる。
ここで、第2非常停止機構18の動作について、図6~図11を参照しながら説明する。なお、第2非常停止機構18の動作は、以下の動作に限定されない。
まず、かご2の移動速度が設定速度未満である場合には、図6に示すように、回転阻止部28が第2回転部27を当て止めしているため、第1及び第2回転部25,27の回転は、阻止されている。これにより、第2回転部27は、起動前位置に位置しており、停止可動部16は、待機位置に位置している。
それに対して、例えば、かご2が設定速度で下方へ移動し、図7に示すように、錘22bが設定位置まで移動したときに、回転阻止部28は、第2回転部27の当て止めを解除する位置まで第2横方向D2へ移動する。したがって、第1及び第2回転部25,27の回転が可能となる。
これにより、図8に示すように、加力弾性部23bが復元するため、動作部23aは、第2横方向D2に移動することによって、係合部14jを押して、加力弾性部23bの弾性復元力を係合部14jに加える。それに伴って、第1軸14aが回転するため、停止可動部16は、停止位置まで移動する。
したがって、停止可動部16は、停止固定部15と協働して、かご2をかごレール4a~4dに停止させる。その結果、かご2が設定速度で移動した場合に、電気信号を用いることなく、停止装置11によってかご2をかごレール4a~4dに停止させることができる。なお、特に限定されないが、設定速度は、例えば、かご2の定格速度(通常運転時の最大速度)よりも大きくしてもよく、例えば、かご2の定格速度の110%~120%としてもよい。
なお、かご2の移動速度が設定速度未満である場合には、調速移動部22eが移動しても、停止加力部23による力が停止可動部16に加えられないため、停止弾性部20の弾性復元力による停止可動部16の移動は、停止加力部23によって阻害されない。即ち、停止弾性部20による停止可動部16の移動は、停止加力部23による停止可動部16の移動から、独立されている。これにより、例えば、停止可動部16が停止位置に位置するときの加速度が、設定加速度からずれることを抑制することができる。
また、かご2が設定速度で移動したときに、停止加力部23が停止可動部16に力を加えることを開始して、停止可動部16を停止位置まで一気に移動させる。即ち、停止加力部23による停止可動部16の移動は、停止弾性部20による停止可動部16の移動から、独立されている。これにより、例えば、停止可動部16が停止位置に位置するときの速度が、設定速度からずれることを抑制することができる。
ところで、例えば、第2非常停止機構18が動作して、かご2が停止装置11によってかごレール4a~4dに停止した後に、エレベータ1を復旧させるために、停止可動部16は、例えば、解除装置12(図2参照)によって、停止位置から下方へ移動される。なお、図8及び図9に示すように、停止可動部16が停止位置に位置しているときに、第2回転部27は、起動後位置に位置している。
そして、第2回転部27は、例えば、本実施形態のように、起動前位置から起動後位置の間の位置において、起動前位置へ戻る方向(図6~図11において、時計回り方向)へ回転するような重量バランスであってもよい。特に限定されないが、第2回転部27は、例えば、本実施形態のように、軸部27cに対して被当止部27b側に配置される錘部27dを備えていてもよい。
これにより、図10に示すように、停止可動部16が下方へ移動することに伴って、第2回転部27は、起動前位置へ戻るように回転する。具体的には、第2回転部27の第2当止部27aが第1回転部25の第2端部25bに当て止めされる位置まで、第2回転部27は、回転する。
そして、第2回転部27の被当止部27bが、回転阻止部28に固定される係合部29に当たる。このとき、例えば、本実施形のように、第2回転部27が重量により係合部29に加える力は、調速弾性部22dの弾性復元力よりも大きくなっていてもよい。これにより、係合部29は、第2回転部27の重量によって、第2横方向D2へ移動する。なお、調速弾性部22dの弾性係数は、例えば、停止弾性部20(図4及び図5参照)及び加力弾性部23bの弾性係数よりも、小さくなっていてもよい。
さらに、停止可動部16が下方へ移動することによって、第2回転部27が係合部29をさらに押すため、係合部29は、第2横方向D2へさらに移動する。そして、図11に示すように、停止可動部16が待機位置まで移動することによって、第2回転部27は、起動前位置まで回転する。
その後、係合部29、回転阻止部28及び調速移動部22eが、調速弾性部22dの弾性復元力によって、第2横方向D2へ移動するため、図6に示すように、回転阻止部28は、第2回転部27の回転を阻止する。したがって、停止可動部16が停止位置から待機位置へ移動することによって、起動部24(第2非常停止機構18)は、電気信号等を用いることなく、起動前の状態に自動的に復旧する。なお、起動部24(第2非常停止機構18)は、例えば、手動操作されることによって、起動前の状態に復旧する、という構成でもよい。
このように、本実施形態に係るエレベータ1は、かご2の移動が異常である(例えば、設定加速度で下方に移動する、設定速度で移動する)場合に、電気信号を用いることなく、停止装置11によってかご2をかごレール4a~4dに停止させることができる。一方で、エレベータ1は、例えば、本実施形態のように、電気信号を用いて、停止装置11によってかご2をかごレール4a~4dに停止させる通常停止機構30を備えていてもよい。
次に、通常停止機構30の構成について、図12~図14を参照しながら説明する。なお、通常停止機構30は、保守用停止機構ともいう。また、通常停止機構30の構成は、以下の構成に限定されない。
図12~図14に示すように、通常停止機構30は、例えば、本実施形態のように、停止可動部16をかごレール4aに保持させるレール保持部31を備えていてもよい。なお、例えば、本実施形態のように、停止部13は、通常停止機構30を構成していてもよい。
レール保持部31は、例えば、本実施形態のように、停止可動部16に対して可動である保持可動部31aと、停止可動部16の可動接続部16bに固定される保持本体部31bと、かごレール4aに近づく方向へ保持可動部31aに力を加える保持加力部31cと、かごレール4aから離れる方向に弾性復元力を保持可動部31aに加える保持弾性部31dとを備えていてもよい。
保持可動部31aは、例えば、かごレール4aから離れる退避位置(図13参照)と、かごレール4aに接する保持位置(図14参照)との間を、第2横方向D2へ移動してもよい。そして、保持可動部31aの先端部は、例えば、かごレール4aに対して滑り難い構成を採用してもよい。
例えば、かごレール4aに対する保持可動部31aの先端部の摩擦係数は、かごレール4aに対する保持可動部31aの他の部分の摩擦係数よりも、大きくてもよい。また、例えば、保持可動部31aの先端部は、かごレール4aに吸引される磁石で形成されていてもよい。
保持本体部31bは、例えば、本実施形態のように、保持可動部31aが停止可動部16に対して上下方向D3で移動することを規制する保持規制部31eを備えていてもよい。例えば、本実施形態のように、保持本体部31bは、内部に保持可動部31aを配置するように筒状に形成されることによって、内周面で保持規制部31eを構成し、保持規制部31eは、保持位置から退避位置までに亘って、保持可動部31aにスライドされる、という構成でもよい。
これにより、保持規制部31eは、保持位置から退避位置までに亘って、保持可動部31aを上下方向D3で当て止めしている。したがって、保持規制部31eは、保持位置から退避位置までに亘って、保持可動部31aが停止可動部16に対して上下方向D3で移動することを規制する。
特に限定されないが、保持加力部31cは、例えば、本実施形態のように、磁性を有する保持可動部31aに電磁力を加える電磁コイルとしてもよい。これにより、保持加力部31cは、通電がされた場合に、保持可動部31aに力を加え、通電が停止された場合に、保持可動部31aに力を加えない、という構成である。
また、特に限定されないが、保持弾性部31dは、例えば、本実施形態のように、保持可動部31aが移動する方向に弾性変形する弦巻バネとしてもよい。例えば、レール保持部31は、保持可動部31aに固定されて且つ保持本体部31bから外部へ突出する突出部31fと、突出部31fに固定され、保持本体部31bとの間で保持弾性部31dを保持する保持材31gとを備えていてもよい。
そして、保持加力部31cが保持可動部31aに加える力は、例えば、本実施形態のように、保持弾性部31dが保持可動部31aに加える力よりも、大きくなっていてもよい。これにより、保持加力部31cへの通電がされた場合には、保持可動部31aは、保持加力部31cの力によって、保持位置に位置し(図14参照)、保持加力部31cへの通電が停止された場合には、保持可動部31aは、保持弾性部31dの力によって、退避位置に位置する(図13参照)。
なお、保持弾性部31dは、例えば、本実施形態のように、保持可動部31aが退避位置に位置するときに、弾性変形することなく復元していてもよい。これにより、保持可動部31aが保持位置に位置するときに、保持弾性部31dの弾性変形量を小さくすることができる。
したがって、保持可動部31aが保持位置に位置するときに、保持弾性部31dが保持可動部31aに加える弾性復元力は、小さくなる。その結果、保持可動部31aがかごレール4aに接するときの圧力を大きくすることができるため、例えば、停止可動部16をかごレール4aに確実に保持させることができる。
また、レール保持部31は、例えば、本実施形態のように、かごレール4aを挟むように一対備えられていてもよい。これにより、一対の保持可動部31a,31aがかごレール4aの両側から加圧して接するため、一対の保持可動部31a,31aは、かごレール4aを挟み込む。したがって、停止可動部16をかごレール4aに確実に保持することができる。
なお、一つのかごレール4a~4dに対するレール保持部31の個数は、特に限定されず、例えば、本実施形態のように、二つでもよく、また、例えば、一つでもよい。またレール保持部31は、例えば、全部のかごレール4a~4dに対してそれぞれ備えられていてもよく、また、例えば、一つ又は一部のかごレール4a~4dに対して備えられていてもよい。
ここで、通常停止機構30の動作について、図14~図16を参照しながら説明する。なお、通常停止機構30の動作は、以下の動作に限定されない。
まず、図14及び図15に示すように、かご2をかごレール4a~4dに停止させたい位置で、保持可動部31aは、保持位置へ移動する。これにより、保持可動部31a,31aがかごレール4aに加圧して接するため、停止可動部16は、かごレール4aに保持される。そして、レール保持部31が停止可動部16をかごレール4aに保持させた状態で、かご2は、下方へ移動する。
これにより、停止固定部15は、停止可動部16に対して下方へ移動するため、停止可動部16は、停止位置へ向けて移動することになる。このとき、保持規制部31eが、保持位置に位置する保持可動部31aを上下方向D3で規制しているため、保持可動部31aが停止可動部16に対して上下方向D3で移動することを抑制することができる。
そして、図16に示すように、停止可動部16は、停止位置まで移動する。これにより、停止可動部16と停止固定部15とが協働することによって、かご2は、かごレール4a~4dに停止する。したがって、必要に応じて、かご2をかごレール4a~4cに停止させることができる。
なお、通常停止機構30の動作は、例えば、手動操作によって行われてもよく、また、例えば、本実施形態のように、処理装置5(図1参照)によって、自動制御によって行われてもよい。例えば、処理装置5は、本実施形態のように、かご2をかごレール4a~4dに停止させる停止指示の情報を取得することによって、レール保持部31で停止可動部16をかごレール4aに保持させ、その後、かご2を下方へ移動させてもよい。
なお、例えば、本実施形態のように、入力部6(図1参照)に、当該停止指示の情報が入力されることによって、処理装置5は、当該停止指示の情報を取得してもよい。また、例えば、外部装置から当該停止指示の情報を受信することによって、処理装置5は、当該停止指示の情報を取得してもよい。
次に、解除装置12の構成について、図17及び図18を参照しながら説明する。なお、解除装置12の構成は、以下の構成に限定されない。
図17及び図18に示すように、解除装置12は、例えば、本実施形態のように、停止可動部16と一体となって停止固定部15に対して可動である第1解除部32と、昇降路に対して位置が固定される第2解除部33と、かごレール4aと第2解除部33とを接続する解除接続部34とを備えていてもよい。なお、解除接続部34は、例えば、昇降路と第2解除部33とを接続してもよい。
第1解除部32は、例えば、本実施形態のように、停止可動部16と一体となって停止固定部15に対して可動である第1解除本体部32aと、基端部が第1解除本体部32aの先端部に回転可能に接続される第1解除回転部32bと、第1解除回転部32bの先端部が下方へ行く方向に第1解除回転部32bが第1解除本体部32aに対して回転することを規制する第1回転規制部32cとを備えていてもよい。
なお、第1解除本体部32aは、例えば、本実施形態のように、伝達部14の第1軸14aに固定されていてもよい。これにより、第1軸14aが回転することによって、停止可動部16及び第1解除本体部32aが移動するため、停止可動部16及び第1解除本体部32aは、一体となって、停止固定部15に対して移動する。
そして、例えば、本実施形態のように、停止可動部16が待機位置に位置するときに、第1解除部32は、先端部が下方に位置するように、第2横方向D2に対して斜めに延びており(図17参照)、停止可動部16が停止位置に位置するときに、第1解除部32は、第2横方向D2に沿って延びている(図18参照)、という構成でもよい。これにより、停止可動部16が停止位置の方へ位置するほど、第1解除部32の先端部は、第2横方向D2で、第1軸14aから離れることになる。
第2解除部33は、例えば、本実施形態のように、昇降路に対して位置が固定される軸部33aを軸にして回転可能となるように、解除接続部34に接続されていてもよい。そして、解除装置12は、例えば、本実施形態のように、第2解除部33の先端部が上設定位置よりも上方へ移動することを規制する上規制部35と、第2解除部33の先端部が下設定位置よりも下方へ移動することを規制する下規制部36とを備えていてもよい。
軸部33aは、例えば、本実施形態のように、第2解除部33の基端部に配置されていてもよい。これにより、第2解除部33が第1解除部32から離れており、第2解除部33に外力が加えられていないときに、第2解除部33の重量バランスによって、第2解除部33の先端部は、軸部33aよりも下方に位置することになる。
そして、例えば、本実施形態のように、第2解除部33が下規制部36に下方から当て止めされているときに、第2解除部33は、先端部が下方に位置するように、第2横方向D2に対して斜めに延びており(図17参照)、第2解除部33が上規制部35に上方から当て止めされているときに、第2解除部33は、第2横方向D2に沿って延びている(図18参照)、という構成でもよい。
これにより、第2解除部33の先端部が上方へ位置するほど、第2解除部33の先端部は、第2横方向D2で、軸部33aから離れることになる。なお、例えば、下規制部36が存在せず、第2解除部33bの重量バランスによって、第2解除部33は、先端部が下方に位置するように、第2横方向D2に対して斜めに延びる、という構成でもよい。
また、図18に示すように、例えば、本実施形態のように、停止可動部16が停止位置に位置するときに、第2解除部33は、上下方向D3視で第1解除部32と重なる重なり部33bを先端部に備えていてもよい。そして、図17に示すように、停止可動部16が待機位置に位置するときに、重なり部33bは、上下方向D3視で第1解除部32と離れていてもよい。
なお、例えば、本実施形態のように、第2解除部33が第1解除部32から離れているときに、第2解除部33の重量バランスによって、第2解除部33の先端部が軸部33aよりも下方に位置しているため、重なり部33bは、軸部33aよりも下方に位置していてもよい。また、例えば、解除装置12は、第2解除部33が第1解除部32から離れているときに重なり部33bが軸部33aよりも下方に位置するように、第2解除部33に弾性復元力を加える弾性材(例えば、バネ)を備えていてもよい。
ここで、解除装置12の動作について、図17~図22を参照しながら説明する。なお、解除装置12の動作は、以下の動作に限定されない。
まず、かご2が通常の速度及び加速度で移動している場合には、図17に示すように、停止可動部16が待機位置に位置しているため、第2解除部33の重なり部33bは、上下方向D3視で、第1解除部32から離れている。これにより、第2解除部33が第1解除部32に当たることを抑制することができるため、例えば、解除装置12は、かご2の移動を阻害しない。
一方、かご2が停止装置11によってかごレール4a~4dに停止された場合に、図18に示すように、停止可動部16が停止位置に位置しているため、第2解除部33の重なり部33bは、上下方向D3視で、第1解除部32と重なっている。なお、停止可動部16が停止位置に位置する状態においては、かご2は、上方へのみ移動することができる。また、かご2が上方へ移動することに伴って、停止可動部16は、例えば、停止位置よりも僅かに下方に位置することになってもよい。
そして、かご2が第2解除部33の位置まで上方へ移動した場合に、第2解除部33の重なり部33bは、第1解除部32と当たることになる。このとき、第1回転規制部32cは、第1解除回転部32bの回転を規制している。
これにより、かご2がさらに上方へ移動することによって、図19に示すように、第1解除部32が、重なり部33bを下方から支持するため、第2解除部33は、上規制部35に当たる位置まで軸部33aを軸にして回転する。したがって、重なり部33bが上設定位置まで上方へ移動するため、重なり部33bが第1解除部32と重なる最大範囲は、大きくなる。
そして、重なり部33bが上規制部35によって上設定位置よりも上方へ移動することを規制されているため、かご2がさらに上方へ移動することによって、第1解除部32は、停止可動部16と一体となって停止固定部15に対して移動する。具体的には、停止可動部16は、停止固定部15に対して下方へ移動し、待機位置へ向けて移動する。
そして、重なり部33bが第1解除部32と重なる最大範囲が、大きくなっているため、停止可動部16が下方へ移動する距離は、大きくなる。これにより、例えば、図20に示すように、停止可動部16は、解除装置12によって、待機位置まで移動してもよい。これにより、動作する前の状態に停止装置11を戻す作業を容易にすることができる。
なお、解除装置12の動作は、例えば、手動操作によって行われてもよく、また、例えば、処理装置5(図1参照)によって、自動操作によって行われてもよい。例えば、処理装置5は、停止可動部16を停止位置から下方へ移動させる移動指示(復旧指示)の情報を取得することによって、かご2を第2解除部33の位置まで上方へ移動させて、停止可動部16を待機位置へ移動させてもよい。
なお、例えば、入力部6(図1参照)に、当該移動指示の情報が入力されることによって、処理装置5は、当該移動指示の情報を取得してもよい。また、例えば、外部装置から当該移動指示の情報を受信することによって、処理装置5は、当該移動の情報を取得してもよい。
ところで、例えば、停止可動部16が停止位置又はその近くに位置している状態で、かご2が下方へ移動しているときに、図21に示すように、第1解除部32が第2解除部33に当たる場合がある。それに対して、図22に示すように、第1解除回転部32bは、第1解除本体部32aに対して、先端部が上方へ行く方向に回転する。
これにより、第1解除本体部32aが第2解除部33から力を受けることを抑制することができる。したがって、例えば、第1及び第2解除部32,33が損傷することを抑制することができたり、また、例えば、停止可動部16の動作に影響を及ぼすことを抑制したりすることができる。なお、第1解除部32は、例えば、回転した第1解除回転部32bが第1回転規制部32cに回転を規制される位置まで戻って保持されるように、第1解除回転部32bに力を加える弾性材(例えば、バネ)を備えていてもよい。
また、第1解除部32に対する第2解除部33の個数は、特に限定されない。第2解除部33は、例えば、一つの第1解除部32に対して、一つだけ配置されていてもよい。具体的には、かご2が最上階の乗場よりも上方に位置したときに、第2解除部33は、第1解除部32と当たるように配置されていてもよい。これにより、かご2の通常運転時に、第1解除部32と第2解除部33とが当たることを抑制することができる。
また、解除装置12の個数は、特に限定されない。解除装置12は、例えば、全部の停止部13(停止可動部16)に対してそれぞれ備えられていてもよく、また、例えば、一つ又は一部の停止部13(停止可動部16)に対して備えられていてもよい。
以上より、本実施形態のように、エレベータ1は、かご2と、前記かご2をガイドするかごレール4a~4dと、前記かご2を前記かごレール4a~4dに停止させる停止装置11と、を備え、前記停止装置11は、前記かご2に固定される停止固定部15と、前記停止固定部15と協働して前記かご2を停止させる停止位置と、前記停止位置よりも下方である待機位置と、の間で、前記停止固定部15に対して可動である停止可動部16と、を備える、エレベータ1であって、前記停止位置に位置する前記停止可動部16を前記待機位置へ向けて移動させる解除装置12を備える、という構成が好ましい。
斯かる構成によれば、停止位置に位置する停止可動部16は、解除装置12によって、待機位置へ向けて移動する。これにより、動作する前の状態に停止装置11を戻す作業を容易にすることができる。
また、本実施形態のように、エレベータ1においては、前記解除装置12は、前記停止可動部16と一体となって可動である第1解除部32と、昇降路に対して位置が固定される第2解除部33と、を備え、前記第2解除部33は、前記停止可動部16が前記停止位置に位置するときに、上下方向D3視で前記第1解除部32と重なる重なり部33bを備え、前記重なり部33bは、前記停止可動部16が前記待機位置に位置するときに、上下方向D3視で前記第1解除部32から離れる、という構成が好ましい。
斯かる構成によれば、停止可動部16が停止位置に位置するときに、第2解除部33の重なり部33bは、上下方向D3視で、第1解除部32と重なっている。したがって、停止可動部16が停止位置に位置する状態で、かご2が上方へ移動することによって、第1解除部32が第2解除部33の重なり部33bに当たる。これにより、第1解除部32が停止可動部16と一体となって移動するため、停止位置に位置する停止可動部16は、待機位置へ向けて下方へ移動する。
しかも、停止可動部16が待機位置に位置するときに、重なり部33bは、上下方向D3視で、第1解除部32から離れている。したがって、停止可動部16が待機位置に位置する状態で、かご2が上下方向D3へ移動しても、重なり部33bが第1解除部32に当たることを抑制することができる。
また、本実施形態のように、エレベータ1においては、前記第2解除部33は、前記昇降路に対して位置が固定される軸部33aを軸にして回転可能であり、前記重なり部33bは、前記第2解除部33の先端部に配置され、前記第2解除部33が前記第1解除部32から離れているときに、前記軸部33aよりも下方に位置し、前記解除装置12は、前記重なり部33bが設定位置よりも上方へ移動することを規制する上規制部35をさらに備える、という構成が好ましい。
斯かる構成によれば、停止可動部16が停止位置に位置する状態で、かご2が上方へ移動することによって、第1解除部32は、軸部33aよりも下方に位置する重なり部33bに当たる。その後、かご2が上方へさらに移動することによって、第2解除部33が軸部33aを軸にして回転するため、重なり部33bが上下方向D3視で第1解除部32と重なる最大範囲は、大きくなる。
そして、重なり部33bが、上規制部35によって、設定位置よりも上方へ移動することを規制されるため、第1解除部32は、停止可動部16と一体となって、停止固定部15に対して下方へ移動する。これにより、解除装置12によって、停止可動部16が停止位置から下方へ移動する距離は、大きくなる。
また、本実施形態のように、エレベータ1においては、前記第1解除部32は、前記停止可動部16と一体となって可動である第1解除本体部32aと、基端部が前記第1解除本体部32aの先端部に回転可能に接続される第1解除回転部32bと、前記第1解除回転部32bの先端部が下方へ行く方向に前記第1解除回転部32bが前記第1解除本体部32aに対して回転することを規制する第1回転規制部32cと、を備える、という構成が好ましい。
斯かる構成によれば、停止可動部16が停止位置に位置する状態で、かご2が上方へ移動することによって、第1解除回転部32bは、重なり部33bに当たる。このとき、第1回転規制部32cによって、第1解除回転部32bは、第1解除本体部32aに対して、先端部が下方へ行く方向に回転することを規制されている。
これにより、かご2がさらに上方へ移動することによって、第1解除本体部32a及び第1解除回転部32bは、停止固定部15に対して、停止可動部16と一体となって移動する。したがって、停止位置に位置する停止可動部16は、待機位置へ向けて下方へ移動する。
一方で、停止可動部16が停止位置に位置する状態で、かご2が下方へ移動しているときに、第1解除回転部32bが重なり部33bに当たった場合には、第1解除回転部32bは、第1解除本体部32aに対して、先端部が上方へ行く方向に回転する。これにより、第1解除本体部32aが重なり部33bから力を受けることを抑制することができる。
また、本実施形態のように、エレベータ1においては、前記解除装置12は、前記停止可動部16を前記停止位置から前記待機位置まで移動させる、という構成が好ましい。
斯かる構成によれば、停止可動部16は、解除装置12によって、停止位置から待機位置まで移動することになる。これにより、動作する前の状態に停止装置11を戻す作業をさらに容易にすることができる。
なお、エレベータ1は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、エレベータ1は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
(1)上記実施形態に係るエレベータ1においては、停止可動部16は、待機位置で、支持部21に支持されており、待機位置は、釣合位置よりも上方の位置である、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。例えば、支持部21が存在しておらず、停止可動部16の待機位置は、釣合位置である、という構成でもよい。
(2)また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、第2非常停止機構18の停止加力部23は、伝達部14を押すことによって、停止可動部16に力を加える、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。例えば、停止加力部23は、伝達部14を介することなく、停止可動部16を直接的に押すことによって、停止可動部16に力を加える、という構成でもよい。
(3)また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、第1及び第2かごガイド部9,10は、かご本体部8に可動に接続されている、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。例えば、第1及び第2かごガイド部9,10は、かご本体部8に不動に固定されている、という構成でもよい。斯かる構成の一例として、被ガイド部9b,10bは、かご枠8bに接続されている、という構成でもよい。
(4)また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、第2非常停止機構18の係合部29は、第2回転部27の重量によって、第2横方向D2へ移動させられる、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。例えば、図23及び図24に示すように、第2非常停止機構18の係合部29は、停止可動部16に加えられる力によって、第2横方向D2へ移動させられる、という構成でもよい。
ここで、図23及び図24の第2非常停止機構18について、以下に説明する。
図23及び図24に示すように、例えば、第1回転部25は、第1端部25aに、第1当止部26を挟むように配置されて且つ第1当止部26にそれぞれ当て止めされる第1及び第2被当止部25c,25dを備えており、第2回転部27は、第1回転部25の第2端部25bを第2当止部27aの反対側から当て止めする第3当止部27eを備えている、という構成でもよい。
そして、図23及び図24に係る構成によれば、図23に示すように、第2回転部27が起動後位置に位置している状態から、図24に示すように、停止可動部16が下方へ移動することに伴って、動作部23a及び第1回転部25は、第2横方向D2(図23及び図24においては、左方向)へ移動する。これにより、第1回転部25の第2被当止部25dが第1当止部26に当て止めされているため、第1回転部25が回転する。
それに伴って、第2回転部27の第3当止部27eが第1回転部25の第2端部25bを当て止めしているため、第2回転部27は、起動前位置へ戻る方向(図23及び図24においては、時計回り方向)に回転する。したがって、停止可動部16に加えられる力(例えば、解除装置12が伝達部14に加える力)によって、第2回転部27は、回転する。
その後、第2回転部27が係合部29に当たり、第2回転部27に加えられる力が、調速弾性部22dの弾性復元力よりも大きい場合には、係合部29は、第2横方向D2へ移動する。そして、停止可動部16が待機位置まで移動することによって、第2回転部27が起動前位置まで回転し、起動部24(第2非常停止機構18)は、電気信号等を用いることなく、起動前の状態に自動的に復旧する。
(5)また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、停止加力部23は、かご2が設定速度で移動したときに、停止可動部16に力を加えることを開始する、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。例えば、停止加力部23は、調速部22の調速移動部22eの移動が開始したときに、停止可動部16に力を加えることによって、停止可動部16の上方向への可動を開始する、という構成でもよい。
(6)また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、起動部24は、第1及び第2回転部25,27を備えている、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。例えば、起動部24は、例えば、接続材24aに回転可能に接続されるL字状の一つの回転部25のみを備えており、回転部25の第1端部25aは、動作部23aに当て止めされ、回転部25の第2端部25bは、回転阻止部28に当て止めされる、という構成でもよい。
(7)また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、通常停止機構30は、レール保持部31が停止可動部16をかごレール4aに保持した状態で、かご2を下方へ移動させる、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。
例えば、通常停止機構30は、停止可動部16に上方への力を加えることによって、停止可動部16を停止位置まで移動させる、という構成でもよい。斯かる構成の一例として、通常停止機構30は、回転阻止部28に力を加えることによって回転阻止部28を移動し、回転阻止部28が第2回転部27の回転を阻止していることを解除することによって、停止可動部16を停止位置まで移動させる、という構成でもよい。
(8)また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、保持可動部31aがかごレール4aに接する保持位置に位置することによって、レール保持部31は、停止可動部16をかごレール4aに保持させる、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。例えば、図25及び図26に示すように、レール保持部31は、停止可動部16をかごレール4aへ向けて移動させることによって、停止可動部16をかごレール4aに保持させる、という構成でもよい。
ここで、図25及び図26のレール保持部31について、以下に説明する。
図25及び図26に示すように、レール保持部31は、例えば、停止可動部16をかごレール4aへ向けて移動させる保持移動部37を備えていてもよい。保持移動部37は、例えば、第1可動本体部16aに固定される第1保持固定部37aと、第2可動本体部16aに固定される第2保持固定部37bと、第1保持固定部37aと第2保持固定部37bとを接続する保持接続部37cと、保持接続部37cに力を加える移動加力部37dとを備えていてもよい。
保持接続部37cは、例えば、第2保持固定部37bに固定され、第1保持固定部37aにスライド可能に構成されていてもよい。移動加力部37dは、例えば、磁性を有する保持接続部37cに電磁力を加える電磁コイルとしてもよい。これにより、移動加力部37dは、通電がされた場合に、保持接続部37cに力を加え、通電が停止された場合に、保持接続部37cに力を加えない、という構成である。
そして、図25及び図26に係る構成によれば、図25に示すように、移動加力部37dへの通電が停止されている場合には、保持接続部37cは、第1保持固定部37aに対して第2横方向D2で自由に移動可能である。これにより、第1及び第2可動本体部16a,16aは、可動接続部16bに対して第2横方向D2で自由に移動可能である。したがって、第1及び第2可動本体部16a,16aは、かごレール4aから離れている。
一方、移動加力部37dへの通電がされた場合には、保持接続部37cに力が加えられるため、図26に示すように、第1及び第2可動本体部16a,16aは、互いに近づくように、移動する。これにより、第1及び第2可動本体部16a,16aは、かごレール4aに加圧して接する。
したがって、停止可動部16がかごレール4aへ向けて移動し、停止可動部16がかごレール4aに接することによって、レール保持部31は、停止可動部16をかごレール4aに保持させる。なお、特に限定されないが、保持移動部37は、第1及び第2可動本体部16a,16aが互いに離れるように、保持接続部37cに弾性復元力を加える弾性材(例えば、バネ)を備えていてもよい。
(9)また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、保持規制部31eは、保持位置から退避位置までに亘って、保持可動部31aが停止可動部16に対して上下方向D3で移動することを規制する、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。例えば、保持可動部31aが保持位置に位置するときにだけ、保持規制部31eは、保持可動部31aが停止可動部16に対して上下方向D3で移動することを規制する、という構成でもよい。なお、レール保持部31は、保持規制部31eを備えていなくてもよい。
(10)また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、かごレール4aに近づく方向へ保持可動部31aに力を加える保持加力部31cは、電磁コイルであり、、かごレール4aから離れる方向へ保持可動部31aに力を加える加力源は、保持弾性部31dである、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。例えば、かごレール4aに近づく方向及び離れる方向の両方向へ保持可動部31aに力を加える加力源は、共通の装置(例えば、リニアモータ)である、という構成でもよい。
(11)また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、解除装置12は、停止可動部16と一体となって可動である第1解除部32と、昇降路に対して位置が固定される第2解除部33とを備えている、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。例えば、解除装置12は、伝達部14の回転材14c~14fを押して停止可動部16に下方への力を加えることによって、停止可動部16を停止位置から下方へ移動させる、という構成でもよい。
(12)また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、第2解除部33は、解除接続部34に回転可能に接続されることによって、昇降路に対して回転可能である、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。例えば、第2解除部33は、解除接続部34に不動に固定されることによって、昇降路に対して不動に固定されている、という構成でもよい。
(13)また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、解除装置12は、停止可動部16を停止位置から待機位置まで移動させる、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。例えば、解除装置12は、停止可動部16を停止位置から、停止位置と待機位置との間の位置まで移動させる、という構成でもよい。そして、停止可動部16は、手動操作によって、待機位置まで移動される、という構成でもよい。
(14)また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、第1解除部32は、停止可動部16と一体となって可動である第1解除本体部32aと、基端部が第1解除本体部32aの先端部に回転可能に接続される第1解除回転部32bとを備えている、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。例えば、図27~図30に示すように、第1解除部32は、全体が停止可動部16と一体となって移動する、という構成でもよい。
(15)また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、第2解除部33は、全体が一体となって回転する、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。例えば、図27~図30に示すように、第2解除部33は、第2解除本体部33cと、第2解除本体部33cに回転可能に接続される第2解除回転部33dと、第2解除回転部33dの回転を規制する第2回転規制部33eとを備えている、という構成でもよい。
ここで、図27~図30の解除装置12について、以下に説明する。
図27に示すように、第2解除部33は、例えば、昇降路に対して位置が固定される軸部33aを軸にして回転可能な第2解除本体部33cと、基端部が第2解除本体部33cの先端部に回転可能に接続される第2解除回転部33dと、第2解除回転部33dの先端部が上方へ行く方向に第2解除回転部33dが第2解除本体部33cに対して回転することを規制する第2回転規制部33eとを備えていてもよい。
そして、重なり部33bは、例えば、第2解除回転部33dに配置されていてもよい。なお、例えば、第2解除本体部33cの全体は、解除接続部34に不動に固定されることによって、昇降路に対して不動に固定されていてもよい。また、例えば、、第1解除部32は、上記実施形態のように、第1解除本体部32a、第1解除回転部32b及び第1回転規制部32cを備えていてもよい。
そして、図27に係る構成によれば、かご2が第2解除部33の位置まで上方へ移動した場合に、第2解除部33の重なり部33bは、第1解除部32と当たる。このとき、第2回転規制部33eは、第2解除回転部33dの回転を規制している。
これにより、かご2がさらに上方へ移動することによって、図27に示すように、第2解除部33は、上規制部35に当たる位置まで軸部33aを軸にして回転する。そして、かご2がさらに上方向へ移動することによって、図28に示すように、第1解除部32が停止可動部16と一体となって停止固定部15に対して移動する。したがって、停止可動部16は、停止固定部15に対して下方へ移動し、待機位置へ向けて移動する。
また、例えば、停止可動部16が停止位置又はその近くに位置している状態で、かご2が下方へ移動しているときに、図29に示すように、第1解除部32が第2解除部33に当たる場合がある。それに対して、図30に示すように、第2解除回転部33dは、第2解除本体部33cに対して、先端部が下方へ行く方向に回転する。
これにより、第2解除本体部33cが第1解除部32から力を受けることを抑制することができる。なお、第2解除部33は、例えば、回転した第2解除回転部33dが第2回転規制部33eに回転を規制される位置まで戻って保持されるように、第2解除回転部33dに力を加える弾性材(例えば、バネ)を備えていてもよい。
このように、図27~図30に示すように、エレベータ1においては、前記第2解除部33は、前記昇降路に対して位置が固定される第2解除本体部33cと、前記重なり部33bを有し、基端部が前記第2解除本体部33cの先端部に回転可能に接続される第2解除回転部33dと、前記第2解除回転部33dの先端部が上方へ行く方向に前記第2解除回転部33dが前記第2解除本体部33cに対して回転することを規制する第2回転規制部33eと、を備える、という構成が好ましい。
斯かる構成によれば、停止可動部16が停止位置に位置する状態で、かご2が上方へ移動することによって、第1解除部32は、第2解除回転部33dの重なり部33bに当たる。このとき、第2回転規制部33eによって、第2解除回転部33dは、第2解除本体部33cに対して、先端部が上方へ行く方向に回転することを規制されている。
これにより、かご2がさらに上方へ移動しても、第2解除本体部33c及び第2解除回転部33dが一体となっているため、第1解除部32は、第2解除部33から力を受けて、移動する。したがって、停止位置に位置する停止可動部16は、待機位置へ向けて下方へ移動する。
一方で、停止可動部16が停止位置に位置する状態で、かご2が下方へ移動しているときに、第1解除部32が第2解除回転部33dの重なり部33bに当たった場合には、第2解除回転部33dは、第2解除本体部33cに対して、先端部が下方へ行く方向に回転する。これにより、第2解除本体部33cが第1解除部32から力を受けることを抑制することができる。
(16)また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、第1非常停止機構17は、直接的に又は間接的に停止可動部16を当て止めして待機位置で保持する機構を備えていない、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。例えば、第1非常停止機構17は、直接的に又は間接的に停止可動部16を当て止めして待機位置で保持する保持材を備えており、保持材は、かご2が設定加速度で下方へ移動したときに、停止可動部16の保持を解除する、という構成でもよい。
(17)また、上記実施形態に係るエレベータ1は、第1非常停止機構17及び第2非常停止機構18の両方を備えている、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。例えば、エレベータ1は、第1非常停止機構17又は第2非常停止機構18の何れか一方のみを備えている、という構成でもよい。
(18)また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、第1非常停止機構17は、電気信号を用いることなく、停止可動部16を停止位置まで移動させる、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。
例えば、第1非常停止機構17は、電気信号を用いて、停止可動部16を停止位置まで移動させる、という構成でもよい。斯かる構成の一例として、第1非常停止機構17は、ガバナローラ22aの回転を検出する回転検出部(例えば、エンコーダ)を備え、回転検出部の検出に基づいて、かご2が設定加速度で下方へ移動した場合に、停止可動部16に力を加えることによって、停止可動部16を停止位置まで移動させる、という構成でもよい。
(19)また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、第2非常停止機構18は、電気信号を用いることなく、停止可動部16を停止位置まで移動させる、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。
例えば、第2非常停止機構18は、電気信号を用いて、停止可動部16を停止位置まで移動させる、という構成でもよい。斯かる構成の一例として、第2非常停止機構18は、ガバナローラ22aの回転を検出する回転検出部(例えば、エンコーダ)を備え、回転検出部の検出に基づいて、かご2が設定速度で移動した場合に、停止可動部16に力を加えることによって、停止可動部16を停止位置まで移動させる、という構成でもよい。