JP7256382B2 - 発光装置の製造方法 - Google Patents

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Description

本開示は、発光装置の製造方法に関する。
特許文献1には、導体回路の上面に貴金属めっきが形成された基板と、基板上に配置された発光素子と、導体回路の上面および発光素子を被覆する例えばシリコーン樹脂からなる絶縁樹脂とを備えた発光装置が開示されている。
特開2013-143517号公報
しかしながら、特許文献1の発光装置では、シリコーン樹脂を硬化する際に、貴金属めっきを構成する金属粒子が樹脂の硬化阻害を引き起こす可能性があり、硬化後の樹脂が基板から剥離してしまう可能性がある。
そこで、本発明の一実施形態では、硬化後の樹脂と基板との剥離を抑制する発光装置の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一実施形態の発光装置の製造方法は、表面に銀又は金を含む金属層を有する電極を備える基板を準備する工程と、電極の表面にある銀粒子または金粒子の一部をヨウ素イオンを含む溶液を用いて除去する除去工程と、電極上に発光素子を配置する工程と、電極の表面上にシリコーン樹脂を母材とする液状の樹脂材料を配置し、樹脂材料を加熱して硬化した樹脂部を得る工程と、を備える。
本発明の一実施形態により、硬化後の樹脂と基板との剥離を抑制する発光装置の製造方法を提供することが可能となる。
実施形態1に係る発光装置の模式的斜視図である。 実施形態1に係る発光装置の模式的斜視図である。 実施形態1に係る発光装置の模式的上面図である。 図1C中の1D-1D線における模式断面図である。 基板の模式的上面図である。 図2A中の2B-2B線における模式的断面図である。 基板10の浸漬状態を示す模式図である。 基板上に発光素子を載置する様子を示す模式的断面図である。 基板上に発光素子を載置する様子を示す模式的断面図である。 樹脂部を形成した後の発光装置を示す模式的断面図である。 実施形態2に係る発光装置の模式的上面図である。 実施形態2に係る発光装置の模式的下面図である。 図3A中の3C-3C線における模式的端面図である。 実施形態2で用いる基板を示す模式的上面図である。 図4Aの破線部を拡大した部分拡大図である。 基板10の浸漬状態を示す模式図である。 実施形態2で用いる樹脂付きリードフレームを示す模式的上面図である。
以下、図面に基づいて詳細に説明する。複数の図面に表れる同一符号の部分は同一もしくは同等の部分又は部材を示す。
さらに以下は、本発明の技術思想を具体化するための発光装置を例示するものであって、本発明を以下に限定するものではない。構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、理解を容易にする等のために誇張している場合がある。
(実施形態1)
図1Aおよび図1Bは実施形態1に係る発光装置100の模式的斜視図であり、図1Cは発光装置100の模式的上面図であり、図1Dは図1C中の1D-1D線における模式的断面図である。
図1A等に示す発光装置100は、電極11a,11bを備える基板10と、基板10上に配置され電極11a,11bと電気的に接続される発光素子20と、発光素子20の側面を取り囲み基板10の上面と接する樹脂部30とを備える。実施形態1に係る発光装置100は、さらに発光素子20の側面に配置される導光部材25と、発光素子20の上面上に配置される透光性部材40とを備えている。
以下、側面発光型(サイドビュータイプ)の発光装置を例に取って説明する。なお、本開示の発光装置は、側面発光型(サイドビュータイプ)の発光装置に限定されず、上面発光型(トップビュータイプ)の発光装置であってもよい。
発光装置100は、基板10を有する。基板10は、発光素子20を配置するための部材である。基板10は、上面10aと、上面10aの反対側に位置する下面10bと、上面10aと隣接し、上面10aと直交する第1面10cとを有する。第1面10c側が発光装置100の実装面となる。
基板10は、基材15と、基板10の上面10aに配置される電極11a,11bと、基板10の下面10bに配置される電極12a,12bと、電極11a,11bおよび電極12a,12bを電気的に接続する内部電極13a,13bとを備えている。基板10は、下面10bにおいて、下面10bと第1面10cとに開口する窪み8を有することができる。これにより、半田を用いて発光装置100を実装基板に実装する際に、窪み8内に半田を入り込ませることで発光装置100と実装基板との接合強度を向上させることができる。窪み8内には電極11a,11bおよび電極12a,12bと電気的に接続する金属膜を配置することができる。
基材15は、発光素子20からの熱を効率的に放熱するために、例えば、放熱性の高い繊維強化樹脂等の樹脂部材を用いることができる。電極11a,11bおよび電極12a,12bは、導電性を有し、発光素子20に給電するための電極として機能する。電極11a,11bおよび電極12a,12bは、例えば、放熱性の高い銅や銅合金等を母材として用いることができる。
基板10の上面10aに配置される電極11a,11bは、表面に銀又は金を含む金属層7を有する。これにより、発光素子20が発する光を効率良く上方に反射させることができる。また、基板10の下面10bに配置される電極12a,12bおよび窪み8内の金属層も同様に表面に銀又は金を含む金属層7を有することができる。これにより、例えば、電極の母材が酸化または硫化することを防ぐことができる。
樹脂部30は、発光装置100の外表面の一部を構成する。樹脂部30は、光反射率が高い部材であることが好ましい。これにより、発光素子20からの光を効率的に反射させることができる。樹脂部30は、例えば白色の部材である。また、樹脂部30は、発光素子20の側面を被覆し、基板10の上面に接している。樹脂部30が発光素子20の側方に位置することで、発光素子20から側方に進む光を樹脂部30で反射させることができる。また、樹脂部30は、発光素子20の下面も被覆することが好ましい。これにより、例えば、発光素子20から下方に出射される光を上方に反射させることができる。また、発光素子20の下面を樹脂部30が被覆することで、発光素子20と樹脂部30との密着強度を向上させることができる。
樹脂部30は、母材としてシリコーン樹脂を含む。この場合のシリコーン樹脂は、シリコーン変性樹脂を含む。樹脂部30の母材としてシリコーン樹脂を用いることで、耐熱性および耐光性に優れた発光装置とすることができる。樹脂部30は、上記の母材となる樹脂材料に、光反射性物質を含有することが好ましい。光反射性物質としては、発光素子からの光を吸収しにくく、且つ、母材となる樹脂材料に対して屈折率差の大きい部材を用いることが好ましい。このような光反射性物質は、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等である。
実施形態1に係る発光装置100では、外側面において樹脂部30と基板10とが略同一面になっている。これにより、発光装置100を実装基板に実装する際に、発光装置100の占有面積を小さくすることができる。
また、図1Dで示すように、実施形態1に係る発光装置100は、発光素子20の側面に配置される導光部材25と、発光素子20の上面上に配置される透光性部材40とをさらに備えている。
導光部材25は、発光素子20の側面を被覆し、発光素子20の側面から出射される光を発光装置100の上面方向に導光する。発光素子20の側面に導光部材25を配置することで、発光素子20の側面に到達した光の一部が該側面で反射され発光素子20内で減衰することを抑制することができる。図1Dで示す発光装置100では、導光部材25は、発光素子20の側面に加えて上面も被覆している。
透光性部材40は、発光素子20の上面上に配置されている。透光性部材40は波長変換粒子42を含むことができる。波長変換粒子42は、発光素子20が発する一次光の少なくとも一部を吸収して、一次光とは異なる波長の二次光を発する部材である。透光性部材40に波長変換粒子42を含有させることにより、発光素子20が発する一次光と、波長変換粒子42が発する二次光とが混色された混色光を出力することができる。
波長変換粒子42は透光性部材40中に均一に分散させてもよく、また、透光性部材40の上面よりも発光素子20の近傍に波長変換粒子42を偏在させてもよい。透光性部材40の上面よりも発光素子20の近傍に波長変換粒子42を偏在させることで、水分に弱い波長変換粒子42が水分によって劣化することを容易に抑制することができる。水分に弱い波長変換粒子42としては、例えばマンガン賦活フッ化物系蛍光体を挙げることができる。マンガン賦活フッ化物系蛍光体は、スペクトル線幅の比較的狭い発光が得られるため、色再現性の観点において好ましい蛍光体である。波長変換粒子42は、1種の波長変換粒子であってもよく、また複数種の波長変換粒子であってもよい。
透光性部材40は、単層であってもよく多層であってもよい。透光性部材40が複数の層を有する場合、各層の母材は同じであってもよく、異なっていてもよい。
(発光装置100の製造方法)
発光装置100の製造方法は、(A)基板10を準備する工程と、(B)ヨウ素イオンを含む溶液5を用いる除去工程と、(C)基板10上に発光素子20を配置する工程と、(D)基板10の電極11a,11bの表面上に樹脂部30を形成する工程と、を備える。
以下、図2A~図2Fを参照して各工程について詳細に説明する。
[(A)基板10を準備する工程]
まず、図2Aおよび図2Bで示すように、表面に銀又は金を含む金属層7を有する電極11a,11bを備える基板10を準備する。図2Aは基板10の模式的上面図であり、図2Bは図2A中の2B-2B線における模式的断面図である。基板10は、例えば、樹脂、セラミックスまたはガラスなどの絶縁性部材を母材として含む平板状の基材15を準備し、電界めっき又は無電解めっきにより基材15の上面および下面に電極11a,11b,12a,12bを形成して作製される。基材15の上面に位置する一対の電極11a,11bと、基材15の下面に位置する一対の電極12a,12bとは、孔(スルーホール)に配置された金属膜により電気的に接続されている。孔の内側は、金属膜のみが充填されて配置されていてもよく、孔の内側面に金属膜が配置され、その内側にエポキシ樹脂等の樹脂材料が充填されていてもよい。孔の内側に樹脂材料を充填することで、孔の延長線上に位置する金属層7の表面の平坦度を向上させることができる。
基板10は、下面側に窪み8を有することができる。窪み8は、ドリルやレーザ等の公知の方法で形成することができる。ドリルにより窪み8を形成する場合、先端が先細りのドリルを用いて形成することが好ましい。これにより、局所的に窪み8を設けやすくなり、窪み8を形成する工程が容易になる。窪み8内には、無電解メッキ等により金属膜を形成することができる。
次に、電極11a,11bの表面に銀又は金を含む金属層7を形成する。金属層7は、電極11a,11bの表面が酸化等することを抑制する役割を有する。金属層7は、例えば、めっき、スパッタまたは蒸着により形成される。金属層7は、特にめっき法により形成されることが好ましい。これにより、金属層7の膜厚の制御が容易になる。
金属層7は、銀合金または金合金であってもよい。銀合金は、例えば、銀金合金、銀インジウム合金または銀パラジウム合金である。金合金は、例えば、金銀合金、金インジウム合金、金パラジウム合金、金コバルト合金、金ニッケル合金または金銅合金である。金属層7における銀、金、銀合金または金合金の含有率は、例えば、85質量%以上であり、90質量%以上が好ましい。
金属層7は、単層でも複数層でもよい。金属層7が複数層である場合、銀又は金を含む金属層は最表面に位置する。金属層7が複数層である場合、例えば、電極11a,11b側から、リンを含むニッケル層と、ニッケル層上に形成されたパラジウム層と、パラジウム層上に形成された第1金層と、第1金層上に形成された第2金層と、を配置することができる。ニッケルはリンを含むことで硬度が向上するため、電極11a,11bの硬度が向上する。これにより、例えば、複数の発光装置100を備える集合基板から電極11a,11bを通って各発光装置に個片化する場合に、電極11a,11bにおいて切断バリが発生しにくいという効果を有する。また、電極11a,11bが銅又は銅合金である場合に、上記の金属層を積層することで、銅または銅合金に含まれる銅成分が拡散することを抑制することができる。これにより、各金属層間の密着性の低下を抑制することができる。また、金属層7の最表面に金層が位置することで、電極11a,11bの表面における酸化や硫化等の腐食を抑制することができる。また、第1金層は無電解めっき法で形成し、第2金層は電解めっき法で形成することが好ましい。最表面に位置する第2金層を電解めっき法により形成することで、第2金層内の硫黄等の触媒毒の含有を少なくすることができる。これにより、樹脂部30として白金系触媒を用いた付加反応型シリコーン樹脂を用いた場合に、触媒内の白金と第2金層内の硫黄等が反応することを抑制することができる。その結果、白金系触媒を用いた付加反応型シリコーン樹脂が硬化不良を起こすことを抑制することができる。
なお、基板10を準備するとは、基板10を製造して準備する場合と、予め製造された基板10を購入して準備する場合の双方を含む。また、図2Aおよび図2Bでは、基板10として一の発光装置100に対応する基板を示したが、本発明の基板10はこれに限られない。基板10は、複数の発光装置に対応する複数の基板が集合的に配列された集合基板であってもよい。基板10として集合基板を用いる場合は、後述の樹脂部30を形成する工程の後に各基板領域ごとに個片化される。
[(B)ヨウ素イオンを含む溶液5を用いる除去工程]
次に、準備した基板10に対して、ヨウ素イオンを含む溶液5を用いた除去工程を行う。具体的には、ヨウ素イオンを含む溶液5を用いて、電極11a,11bの表面にある銀粒子または金粒子の一部を溶解して除去する。銀粒子または金粒子が形成されている表面に後述するシリコーン樹脂を配置した場合、銀粒子または金粒子に起因してシリコーン樹脂の一部が硬化阻害を起こし、硬化後のシリコーン樹脂の密着強度が低下することがある。そこで、本発明においては、シリコーン樹脂を配置する前に、電極の表面にある銀粒子または金粒子の一部を溶解して除去する。これにより、硬化阻害を起こす電極表面の状態を改変することができ、硬化後のシリコーン樹脂と基板10との密着強度を向上させることができる。
シリコーン樹脂が硬化阻害を起こすメカニズムは、硬化前のシリコーン樹脂内に微小な金属粒子が混入し、シリコーン樹脂内の熱伝導がそれらの金属粒子に阻害されている、または、シリコーン樹脂の硬化を促進する白金触媒と、金属粒子の表面に付着する有機酸などの化合物(リンまたは硫黄等)とが反応して白金触媒の働きが阻害されている、ことが推測される。
本工程では、図2Cで示すように、ヨウ素イオンを含む溶液5中に基板10を浸漬する。ヨウ素イオンを含む溶液5は、後述するように水等により希釈して用いてもよく、希釈せずに用いてもよい。希釈前の溶液および希釈後の溶液を、ヨウ素イオンを含む溶液5として説明することがある。基板10の浸漬時間は、例えば、1分~30分であり、5分~15分であることが好ましい。これにより、電極11a,11bの表面にある銀粒子または金粒子の一部を溶解して除去することができる。なお、ヨウ素イオンを含む溶液5は、例えば、基板10の表面にスプレーにより噴射してもよく、ディスペンサ等により塗布してもよい。
ヨウ素イオンを含む溶液5は、例えば、ヨウ素ヨウ化カリウムを含む溶液、ヨウ化リチウムを含む溶液またはヨウ化ナトリウムを含む溶液である。ヨウ素イオンを含む溶液5は、水により希釈されていることが好ましい。好適には、ヨウ素イオンを含む溶液5は、純水または超純水により希釈される。ヨウ素イオンを含む溶液5が水等により希釈されることで、金属層7のうち所望の範囲(例えば厚み)の金属粒子のみを除去することができ、金属層7の光反射率が著しく低下することを抑制することができる。希釈後の溶液全体に対するヨウ素イオンを含む溶液5の濃度は、0.02%以下とすることが好ましく、0.001%以下とすることがより好ましい。
また、ヨウ素イオンを含む溶液5を用いる除去工程において、金属層7の表面から100nm以下の厚みに位置する銀粒子または金粒子を除去することが好ましい。これにより、除去工程後において、金属層7の光反射率が著しく低下することを抑制することができる。例えば、金属層7の厚みに対して、1/20以下の厚みに相当する金属粒子を除去することが好ましく、1/25以下の厚みに相当する金属粒子を除去することがより好ましい。これにより、シリコーン樹脂の硬化阻害を抑制しつつ、電極11a,11bの光反射率の低下を抑制することができる。
次に、必要に応じて、基板10の表面を水等により洗浄する洗浄工程を行う。これにより、基板10の表面に残存する銀粒子または金粒子の一部およびヨウ素イオンを含む溶液を確実に基板10上から除去することができる。電極11a,11bの表面に銀などの酸化しやすい金属が存在する場合、水を使用する替わりにフッ素系不活性液体などの不活性液体を使用して洗浄することもできる。
[(C)基板10上に発光素子20を配置する工程]
次に、図2Dで示すように基板10の電極11a,11b上に発光素子20を配置する。発光素子20は、下面に一対の素子電極を有し、発光素子20の下面に位置する一対の素子電極と、基板10の電極11a,11bとが対向するように配置されている。発光素子20は、接合部材(図示せず)を介して基板10の電極11a,11bに接続されている。
次に、発光装置100が透光性部材40を有する場合は、発光素子20の上面上に接着剤24を配置し、発光素子20と透光性部材40とを接着させる。透光性部材40を接着させた後の接着剤24は、図2Eで示すように硬化後に導光部材25となる。
[(D)樹脂部30を形成する工程]
次に、図2Fに示すように、基板10の電極11a,11bの表面上にシリコーン樹脂を母材とする液状の樹脂材料を配置する。例えば、基板10を金型内に配置し、金型内に液状のシリコーン樹脂を注入することで、発光素子20の側面を取り囲みつつ基板10の表面と接するシリコーン樹脂を配置することができる。
その後、樹脂材料を加熱して樹脂材料を硬化させる工程を行う。これにより、樹脂部30を得ることができる。本発明では、シリコーン樹脂を配置する前に、電極表面の微小な金属粒子の一部を除去しているため、硬化後の樹脂部30と基板10との密着性が良好となる。硬化後の樹脂部30と基板10との接合強度は、例えば、単位面積当たりのシェア強度が200gf/mm以上であり、240gf/mm以上であることが好ましく、260gf/mm以上であることがより好ましい。
複数の発光装置100を備える集合基板を用いて各発光装置を得る場合は、樹脂部30を形成する工程の後に個片化される。これにより、複数の発光装置100を得ることができる。
以下、本発明の発光装置100に用いられる各部材について詳細に説明する。
(基板10)
基板10は、発光素子20を載置するための部材である。基板10は、基材15と基材15の表面に形成される電極11a,11bとを有する。
(基材15)
基材15は、母材として、樹脂若しくは繊維強化樹脂、セラミックス、ガラスなどの絶縁性部材を用いることができる。樹脂若しくは繊維強化樹脂としては、エポキシ樹脂、ガラスエポキシ、ビスマレイミドトリアジン(BT)、ポリイミドなどが挙げられる。セラミックスとしては、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ジルコニウム、窒化ジルコニウム、酸化チタン、窒化チタン、若しくはこれらの混合物などが挙げられる。基材15は、これらの材料のうち、発光素子20の線膨張係数に近い線膨張係数を有する材料から選択することが好ましい。基材15の厚みは、適宜選択できるが、基材15の強度を確保するという観点から、0.05mm以上であることが好ましく、0.2mm以上であることがより好ましい。また、基材15の厚みは、発光装置の総厚を小さくするという観点から、0.5mm以下であることが好ましく、0.4mm以下であることがより好ましい。
(電極11a,11b)
電極11a,11bは、基材15の表面に配置され、発光素子20と電気的に接続される。電極11a,11bの母材は、銅、鉄、ニッケル、タングステン、クロム、アルミニウム、銀、金、チタン、パラジウム、ロジウム、又はこれらの合金で形成することができる。特に、各電極の母材は、放熱性が良好な銅又は銅合金を含むことが好ましい。また、各電極は、導電性の接合部材の濡れ性、光反射性または硫化耐性等を向上させるために、銀又は金を含む金属層7を表面に有する。
(発光素子20)
発光素子20は、例えばLEDチップである。発光素子20は、例えば、紫外~可視域の発光が可能な窒化物半導体(InAlGa1-x-yN、0≦x、0≦y、x+y≦1)を含む半導体積層構造を有し得る。発光素子20の発光ピーク波長は、発光装置の発光効率、波長変換粒子の励起スペクトル及び混色性等を考慮して、400nm以上530nm以下が好ましく、420nm以上490nm以下がより好ましく、450nm以上475nm以下がさらに好ましい。
発光素子は1つでもよく、2つ以上でもよい。発光素子が複数ある場合は、複数の発光素子は、例えば、青色光を出射する複数の青色発光素子、青色光、緑色光および赤色光をそれぞれ出射する3つの発光素子、または、青色光を出射する発光素子と緑色光を出射する発光素子とを組み合わせたものを用いることができる。発光装置100を液晶表示装置等の光源として用いる場合、発光素子として、青色光を出射する1つの発光素子、青色光を出射する2つの発光素子、青色光を出射する3つ以上の発光素子、または、青色光を出射する発光素子と緑色光を出射する発光素子とを組み合わせたものを用いることが好ましい。青色光を出射する発光素子と緑色光を出射する発光素子は、いずれも半値幅が40nm以下の発光素子を用いることが好ましく、半値幅が30nm以下の発光素子を用いることがより好ましい。これにより、青色光および緑色光が容易に鋭いピークを持つことができる。その結果、例えば、発光装置を液晶表示装置等の光源として用いる場合、液晶表示装置は高い色再現性を達成することができる。また、複数の発光素子は、直列、並列、または直列と並列を組み合わせた接続方法で電気的に接続することができる。
発光素子20の平面形状は、特に限定されないが、正方形状や一方向に長い長方形状とすることができる。また、発光素子20の平面形状として、六角形状やその他の多角形状としてもよい。発光素子20は、一対の素子電極を有する。素子電極は、金、銀、銅、錫、白金、ロジウム、チタン、アルミニウム、タングステン、パラジウム、ニッケル又はこれらの合金で構成することができる。発光素子20の側面は、発光素子20の上面に対して垂直であってもよいし、内側又は外側に傾斜していてもよい。
(樹脂部30)
樹脂部30は、発光装置100の上面方向への光取り出し効率の観点から、発光素子20の発光ピーク波長における光反射率が、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。さらに、樹脂部30は、白色であることが好ましい。樹脂部30は、母材となる樹脂材料に光反射性物質を含有することができる。樹脂部30は、液体状の樹脂材料を硬化することにより得ることができる。樹脂部30は、トランスファ成形、射出成形、圧縮成形またはポッティング法などにより形成することができる。
(透光性部材40)
透光性部材40は発光素子20上に設けられ、発光素子20を保護する部材である。透光性部材40の母材としては、発光素子20の光に対して透光性を有するものが用いられる。本明細書において透光性を有するとは、発光素子20の発光ピーク波長における光透過率が、60%以上であることを指し、好ましくは70%以上であり、より好ましくは80%以上である。透光性部材40の母材は、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、又はこれらの変性樹脂を用いることができる。また、透光性部材40の母材はガラスであってもよい。特に、シリコーン樹脂及びエポキシ樹脂は、耐熱性及び耐光性に優れるため好適に用いられる。シリコーン樹脂としては、ジメチルシリコーン樹脂、フェニル-メチルシリコーン樹脂、ジフェニルシリコーン樹脂などが挙げられる。なお、本明細書における変性樹脂とは、ハイブリッド樹脂を含む。
透光性部材40は、光拡散粒子を含有していてもよい。光拡散粒子としては、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛などが挙げられる。光拡散粒子は、これらのうちの1種を単独で、又はこれらのうちの2種以上を組み合わせて用いることができる。特に、光拡散粒子として、線膨張係数の小さい酸化珪素を用いることが好ましい。また、光拡散粒子として、ナノ粒子を用いることが好ましい。これにより、発光素子が発する光の散乱が増大し、波長変換粒子の使用量を低減することができる。なお、ナノ粒子とは粒径が1nm以上100nm以下の粒子のことをいう。また、本明細書における粒径とは、主にD50で定義される。
波長変換粒子42としては、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えばY(Al,Ga)12:Ce)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えばLu(Al,Ga)12:Ce)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えばTb(Al,Ga)12:Ce)、シリケート系蛍光体(例えば(Ba,Sr)SiO:Eu)、クロロシリケート系蛍光体(例えばCaMg(SiOCl:Eu)、βサイアロン系蛍光体(例えばSi6-zAl8-z:Eu(0<z<4.2))、SGS系蛍光体(例えばSrGa:Eu)、アルカリ土類アルミネート系蛍光体(例えば(Ba,Sr,Ca)MgAl1017-x:Eu,Mn)、αサイアロン系蛍光体(例えばM(Si,Al)12(O,N)16(但し、0<z≦2であり、MはLi、Mg、Ca、Y、及びLaとCeを除くランタニド元素)、窒素含有アルミノ珪酸カルシウム系蛍光体(例えば(Sr,Ca)AlSiN:Eu)、マンガン賦活フッ化物系蛍光体(一般式(I)A[M1-aMn]で表される蛍光体(但し、上記一般式(I)中、Aは、K、Li、Na、Rb、Cs及びNHからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、Mは、第4族元素及び第14族元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、aは0<a<0.2を満たす))が挙げられる。イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体は、Yの一部をGdで置換することで発光ピーク波長を長波長側にシフトさせることができる。また、マンガン賦活フッ化物系蛍光体の代表例としては、マンガン賦活フッ化珪酸カリウムの蛍光体(例えばKSiF:Mn)が挙げられる。波長変換粒子42は、上に示す蛍光体のうちの1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、透光性部材40は、波長変換粒子42と例えばアルミナなどの無機物との焼結体、又は波長変換粒子42の板状結晶であってもよい。
(導光部材25)
導光部材25は、特に、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性の透光性樹脂であることが好ましい。導光部材25は、光の透過率が高いことが好ましい。そのため、通常は、導光部材25に、光を反射、吸収又は散乱する添加物は実質的に含有しないことが好ましい。添加物を実質的に含有しないとは、添加物が不可避的に混入することを排除しないことを意味する。なお、導光部材25は、上述の透光性部材40と同様の光拡散粒子及び/又は波長変換粒子を含有してもよい。
(実施形態2)
図3Aは実施形態2に係る発光装置200の模式的上面図であり、図3Bは発光装置200の模式的下面図であり、図3Cは図3A中の3C-3C線における模式的端面図である。図3Aでは、凹部2の内部が分かりやすいように第2樹脂部30bを省略して図示している。
発光装置200は、一対の電極11a,11bと一対の電極11a、11bと一体に形成される第1樹脂部30aとを備え、凹部2を備える樹脂パッケージ90と、凹部2の底面に載置される発光素子20と、凹部2内に配置され発光素子20を被覆する第2樹脂部30bとを備える。
(発光装置200の製造方法)
発光装置200の製造方法は、(A)基板10を準備する工程と、(B)ヨウ素イオンを含む溶液5を用いる除去工程と、(C)基板10の電極11a,11bの表面上に第1樹脂部30aを形成する工程と、(D)基板10上に発光素子20を配置する工程と、を備える。
以下、図4A~図4Dを参照して各工程について詳細に説明する。
[(A)基板10を準備する工程]
まず、図4Aおよび図4Bで示すように、一対の電極11a,11bを複数対備え、上面10aおよび下面10bを有する基板10を準備する。図4Aは基板10を示す模式的上面図であり、図4Bは図4A中の破線部を拡大した部分拡大図である。基板10は、例えば、銅、銅合金又はニッケル合金からなる平板状の板材にエッチング加工またはプレス加工等を施し、その表面に銀又は金を含む金属層7を形成することにより形成される。金属層7は、例えば、電解めっき法または無電解めっき法により形成される。なお、基板10は、予め金属層7が形成された基板10を購入等して準備してもよい。
[(B)ヨウ素イオンを含む溶液5を用いる除去工程]
次に、準備した基板10に対して、ヨウ素イオンを含む溶液5を用いた除去工程を行う。具体的には、図4Cで示すように、ヨウ素イオンを含む溶液5中に基板10を浸漬する。ヨウ素イオンを含む溶液5は、水等により希釈して用いることが好ましい。これにより、金属層7の表面に位置する金属粒子を所望の範囲で除去することができる。希釈後の溶液全体に対するヨウ素イオンを含む溶液5の濃度は、0.02%以下とすることが好ましく、0.001%以下とすることがより好ましい。
[(C)第1樹脂部30aを形成する工程]
次に、基板10の表面上に第1樹脂部30aを形成する。例えば、基板10を樹脂成型金型内に配置し、複数対の電極11a,11bが所定の位置に配置されるように支持する。そして、金型のキャビティー内に液状のシリコーン樹脂を注入する。その後、金型内でシリコーン樹脂に熱を加え仮硬化を行い、金型から取り出し本硬化を行う。これにより、図4Dで示すように、基板10と第1樹脂部30aとを備え、上面側に複数の凹部2を有する樹脂成形体付リードフレームを得ることができる。第1樹脂部30aの形成は、例えば、トランスファモールド法や射出成形法などによって行うことができる。
凹部2の底面において、金属層7が露出する。これにより、発光素子20が発する光が金属層7で反射され効率的に上方に取り出すことができる。また、一対の電極11a,11bの表面上に金属層7が位置することで、電極の母材が酸化又は硫化することを抑制することができる。
第1樹脂部30aは、基板10の下面10bの一部を露出させる。これにより、個片化後の発光装置200において、発光素子20から発生する熱を基板10の下面10b側から効率的に放出することができる。
[(D)一対の電極11a,11b上に発光素子20を配置する工程]
次に、一対の電極11a,11b上に発光素子20を配置する。発光素子20は、例えば、ダイボンド材を用いて一対の電極11a,11b上に配置される。その後、発光素子20の上面にある正負電極と一対の電極11a,11bとがワイヤにより電気的に接続される。なお、発光素子20は、正負電極を有する一の面を一対の電極11a,11bの上面に対向した状態で、一対の電極11a,11b上に配置してもよい。
次に、凹部2内に第2樹脂部30bを配置する。第2樹脂部30bは発光素子20を被覆し、発光素子等を外力や埃、水分などから保護する役割を有する。第2樹脂部30bは、波長変換粒子42を含有することができる。第2樹脂部30bは、例えば、ディスペンサ等を用いて凹部2内に第2樹脂部30bとなる樹脂材料を配置する。その後、樹脂材料に熱を加えて硬化させる。第2樹脂部30bは、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、又はこれらの変性樹脂を用いることができる。
次に、発光素子20および第2樹脂部30b等が配置された樹脂付きリードフレームを個片化する。これにより、複数の発光装置200を得ることができる。個片化の方法としては、例えば、リードカット金型、ダイシングソー又はレーザ光を用いて個片化することができる。
発光装置200の製造方法では、シリコーン樹脂を母材とする第1樹脂部30aを基板10上に形成する前に、ヨウ素イオンを含む溶液5を用いて電極11a,11bの表面に位置する金属粒子を除去する。これにより、シリコーン樹脂に熱を加えて硬化する際に、シリコーン樹脂が十分に硬化され、硬化後の第1樹脂部30aと基板10との密着強度が良好になる。また、第2樹脂部30bとして、例えばシリコーン樹脂を母材とする樹脂材料を用いることで、硬化後の第2樹脂部30bと基板10との密着強度が向上する。
(発光装置200の製造方法の変形例)
発光装置200では、第1樹脂部30aの母材がシリコーン樹脂である場合を例に取って説明したが、発光装置200はこれに限られない。第1樹脂部30aの母材は、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、又はこれらの変性樹脂を用いることができる。この場合、第2樹脂部30bとして、シリコーン樹脂を用いる。
第2樹脂部30bの母材の樹脂材料としてシリコーン樹脂を用いる場合、ヨウ素イオンを含む溶液5を用いる除去工程は、発光素子20を配置する工程の後であって、第2樹脂部30bを配置する工程の前に行ってもよい。
ヨウ素イオンを含む溶液5を用いる除去工程を第2樹脂部30bを配置する工程の前に行うことで、硬化後の第2樹脂部30bと基板10との密着強度が向上する。
100 発光装置
200 発光装置
2 凹部
5 ヨウ素イオンを含む溶液
7 金属層
8 窪み
10 基板
10a 上面
10b 下面
10c 第1面
11a,11b,12a,12b 電極
13a,13b 内部電極
15 基材
20 発光素子
24 接着剤
25 導光部材
30 樹脂部
30a 第1樹脂部
30b 第2樹脂部
40 透光性部材
42 波長変換粒子

Claims (7)

  1. 表面に銀又は金を含む金属層を有する電極を備える基板を準備する工程と、
    前記電極の表面にある銀粒子または金粒子の一部をヨウ素イオンを含む溶液を用いて除去する除去工程と、
    前記電極上に発光素子を配置する工程と、
    前記電極の表面上にシリコーン樹脂を母材とする液状の樹脂材料を配置し、前記樹脂材料を加熱して硬化した樹脂部を得る工程と、
    を備え
    前記除去工程は、前記金属層の厚みに対して、1/20以下の厚みに相当する前記電極の表面にある銀粒子または金粒子を除去する発光装置の製造方法。
  2. 前記除去工程は、前記ヨウ素イオンを含む溶液を水、純水または超純水で希釈する工程を含み、希釈後の溶液全体に対する前記ヨウ素イオンを含む溶液の濃度は0.02%以下である、請求項1に記載の発光装置の製造方法。
  3. 前記除去工程は、前記金属層の表面から100nm以下の厚みに位置する前記銀粒子または金粒子を除去する工程を含む、請求項1または2に記載の発光装置の製造方法。
  4. 前記除去工程は、前記銀粒子または金粒子の一部および前記溶液を前記基板上から除去する洗浄工程を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
  5. 前記除去工程は、前記ヨウ素イオンを含む溶液中に前記基板を1分~30分間浸漬する工程を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
  6. 前記基板を準備する工程において、前記金属層は電解めっき法により形成される、請求項1~5のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
  7. 前記基板を準備する工程において、前記金属層は第1金層と、前記第1金層上に形成された第2金層と、を有し、
    前記第1金層は無電解めっき法により形成され、
    前記第2金層は電解めっき法により形成される、請求項1~5のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
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