JP7255768B1 - 軸受損傷把握方法 - Google Patents

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Abstract

軸受(1)の軌道面(10)における少なくとも一つの第1の測定位置P1と、軸受(1)の軌道面(10)とは異なる面である基準面(11)における少なくとも一つの第2の測定位置P2とをECT装置を用いて測定する測定工程と、測定工程の測定結果と、軸受(1)の新品相当の軌道面(10)と基準面(11)とにおけるECT装置による測定値に対応する基準値と、を比較することで軸受の損傷程度を判断する判断工程と、を備える、軸受損傷把握方法。

Description

本発明は、軸受損傷把握方法に関する。
転がり軸受(軸受とも称する。)は、転動体が外輪上及び内輪上の軌道面を転がることにより、軸の回転を支える機械要素である。軸受は理想的な環境で使用されていれば、破損する(寿命を迎える)まで使用可能である。しかしながら、軸受の寿命は、同じ製造工程を経ていても材料のバラつきなどの様々な要因により、必ずしも同じ寿命になるとは限らない。また、使用環境によっては、想定している寿命よりも早期に軸受が破損してしまうこともある。そのため、軸受がいつ壊れるかを把握することができる測定手法は重要な技術であると言える。
これまでに開発されている技術としては、軸受が破損した際に生じる振動を検知する技術や、特許文献1のようにAE(Acoustic Emission)により、き裂発生時を捕らえる手法などが知られている。しかし、これらの技術は軸受に損傷が生じなければ検知することができない。軸受がいつ破損するかを、損傷が生じる前に確認することができれば良いが、目視では軸受の状態を明確に判断することは極めて困難である。
これらの課題を解決するために、軸受の損傷前に寿命を把握する技術が多く研究されている。例えば、特許文献2には、X線測定により材料組織の状態を把握する手法が報告されている。X線測定は材料組織の状態を推定する手法であり、軸受だけでなく、多くの技術分野で使用される測定方法である。しかしながら、X線を用いて軸受の状態を把握するためには、軌道面にX線を直接照射しなくてはならない。そのため、外輪軌道面を測定する場合は、軸受を切断する必要があるため、軸受を再度利用することができない。内輪であっても、大きさによっては測定台に乗せられないため、切断が必要となり、再度利用することができない場合もある。また、X線測定以外の手法として、特許文献3には、磁気を用いた非破壊での状態検知の手法が報告されている。特許文献3の手法は非常に簡易的であり、現場での測定も可能であるが、軸受の状態を評価するためには、新品時との相対比較となる。このため、特許文献3の手法は、測定する軸受の新品時の状態を把握していなければならず、困難性が伴う。
特開平04-036633号公報 特開2014-013188号公報 特開2013-160561号公報
そこで、本発明は、上記の課題に着目してなされたものであり、軸受の損傷程度を、軸受を破壊することなく且つ簡易的に把握することができる、軸受損傷把握方法を提供することを目的としている。
本発明の一態様によれば、軸受の軌道面における少なくとも一つの第1の測定位置と、上記軸受の上記軌道面とは異なる面である基準面における少なくとも一つの第2の測定位置とをECT装置を用いて測定する測定工程と、上記測定工程の測定結果と、上記軸受の新品相当の上記軌道面と上記基準面とにおける上記ECT装置による測定値に対応する基準値と、を比較することで上記軸受の損傷程度を判断する判断工程と、を備える、軸受損傷把握方法が提供される。
本発明の一態様によれば、軸受の損傷程度を、軸受を破壊することなく且つ簡易的に把握することができる、軸受損傷把握方法が提供される。
軸受の外輪と内輪とを示す側面図であり、(A)は外輪を示し、(B)は内輪を示す。 ECT装置を用いて、外輪の軌道面を測定する様子を示す模式図である。 負荷の状態に応じた外輪のECT装置による測定位置を示す側面図であり、(A)は負荷圏がある状態における測定位置を示し、(B)は負荷圏がない状態における測定位置を示す。 負荷の状態に応じた内輪のECT装置による測定位置を示す側面図であり、(A)は負荷圏がある状態における測定位置を示し、(B)は負荷圏がない状態における測定位置を示す。 判断工程における処理フロー図である。 他の軸受の外輪におけるECT装置による測定位置を示す側面図である。 寸法の異なる軸受における初期電圧差と軌道面径との関係を示すグラフである。 寸法の異なる軸受における軌道面の測定電圧値と軌道面径との関係を示すグラフである。
以下の詳細な説明では、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面は模式的なものであり、現実のものとは異なる場合が含まれる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において種々の変更を加えることができる。
<軸受損傷把握方法>
本発明の一実施形態に係る軸受損傷把握方法について説明する。本実施形態では、軸受の内輪又は外輪について損傷程度、つまり軸受の状態を把握する。ここで、把握する軸受の状態とは、新品(未使用)の状態から、使用に伴ってはく離などの損傷が発生する前までの状態を指している。軸受は、使用に伴って、荷重などの影響により、軌道面の材料組織の状態が稼働時間とともに徐々に変化する。材料組織の変化とは、具体的には、熱処理により生成された残留オーステナイトの分解や、ひずみの緩和などである。残留オーステナイトが非磁性層であること、材料中のひずみが磁気特性を左右する磁壁の移動のしやすさに関与するため、材料組織の変化は磁気の変化を伴うことになる。
(測定工程)
本実施形態では、まず、軸受の軌道面における少なくとも一つの第1の測定位置と、軸受の軌道面とは異なる面である基準面における少なくとも一つの第2の測定位置とをECT(Eddy Current Testing)装置(渦流探傷検査装置)を用いて測定する測定工程が行われる。なお、ECT装置による測定をECT測定ともいう。軸受は、外輪と転動体と内輪とを含む。本実施形態では、一例として、図1に示す軸受1の外輪1A又は内輪1Bの損傷を把握する態様について説明する。また、測定される軸受1は、新品の状態ではなく、使用後の状態であり、対象の軸受1を分解することで外輪1A又は内輪1Bの位置をECT装置で測定することができる。さらに、図1に示すように、外輪1A及び内輪1Bにおいて、転動体が転動する面を軌道面10といい、軌道面10以外の面における特定の面を基準面11という。外輪1Aの場合には、内径面の幅方向中央が軌道面10であり、外径面及び端面の少なくとも一方の選択された面が基準面11である。また、内輪1Bの場合には、外径面の幅方向中央が軌道面10であり、内径面及び端面の少なくとも一方の選択された面が基準面11である。なお、本実施形態では、一例として、外輪1Aの外径面及び内輪1Bの内径面を基準面11とする。
ECT装置2は、図2に示すように、渦電流を発生させると同時にこの渦電流によって生じる出力電圧を検出する装置である。ECT装置2は、軸受1における金属材料の表面部に発生した渦電流を感知するためのプローブ20を有する。また、プローブ20の内部には、ブリッジ回路の一部として構成される不図示の試験コイルが搭載される。ECT装置2は、プローブ20の試験コイルに所定の周波数の励磁電流を印加して、軸受の測定面に渦電流を誘導する。それと同時に、ECT装置2は、その渦電流に基づき変化する試験コイルの出力電圧を検出する。
第1の測定位置は、軸受1の軌道面10上の損傷把握をしたい位置である。第1の測定位置は、特に限定されないが、軸受1の最も損傷が大きい箇所を測定するためには、軌道面10のうち最も負荷のかかっている部位であることが好ましい。例えば、図3(A)及び図4(A)に示すように、負荷圏がある外輪1Aや内輪1Bにおいては、荷重が最もかかる径方向位置の軌道面10を第1の測定位置Pとすることが好ましい。また、荷重が最もかかる径方向位置の軌道面10を中心として、この径方向位置の近傍の複数の位置を第1の測定位置Pとしてもよい。また、図3(B)及び図4(B)に示すように、負荷圏がない外輪1Aや内輪1Bにおいては、第1の測定位置Pは特に限定する必要はない。また、負荷圏がない外輪1Aや内輪1Bにおいては、第1の測定位置Pを複数とすることで、測定精度を高めることができる。なお、負荷圏がある場合とは、測定される外輪1Aや内輪1Bが固定輪であるような場合であり、負荷圏がない場合とは、測定される外輪1Aや内輪1Bが回転輪であるような場合である。
第2の測定位置は、基準面11において設定される位置である。基準面11は、上述のように、軌道面10以外に安定して測定できる面の位置であることが好ましく、本実施形態では、外輪1Aが測定対象であれば外径面、内輪1Bが測定対象であれば内径面が測定面として設定される。なお、安定して測定をすることが可能であれば、基準面11は端面などの他の面であっても構わない。また、軸受1は機械に組み込むとフレッチングなどが生じることもあるため、本実施形態のように外輪1Aの外径面又は内輪1Bの内径面を基準面11とする場合は、第2の測定位置としてはできる限り損傷がない位置を選択することが好ましい。また、損傷程度が明らかに厳しい個所は第2の測定位置として不適切であるため、除外することが好ましい。
例えば、図3(A)及び図4(A)に示すように、負荷圏がある外輪1Aや内輪1Bにおいては、荷重がかからない非負荷圏の基準面の位置を第2の測定位置Pとすることが好ましい。この場合、例えば、荷重がかかる負荷圏の180°反対側である非負荷圏の位置を、第2の測定位置Pとすることが好ましい。また、第2の測定位置Pを複数とする場合には、第2の測定位置同士の間隔(測定間隔)は、プローブ20内の鉄心径の2倍以上離した位置とすることが好ましい。例えば、プローブ20内の鉄心径が3mmであれば、測定間隔を6mm以上としてもよい。一方、図3(B)及び図4(B)に示すように、負荷圏がない外輪1Aや内輪1Bにおいては、全周に荷重がかかるため、どの位置を第2の測定位置Pとしてもよい。例えば、図3(B)及び図4(B)の場合には、外周面又は内周面に等間隔で離間した4つの位置を4つの第2の測定位置とする(4等配位置)。なお、第2の測定位置は、少なくとも一点以上であればよく、複数点設ける場合には軸受1の品質を均等に捕らえる観点から、等配位置とすることが好ましい。
測定工程では、ECT装置2を用いて、第1の測定位置P及び第2の測定位置Pにおける出力電圧値を測定する。なお、図2に示す例では、ECT装置2を用いて、外輪1Aの軌道面10における第1の測定位置Pを測定する様子を示す。
(判断工程)
測定工程の後、測定工程の測定結果と、軸受1の新品相当の軌道面10と基準面11とにおけるECT装置2による測定値に対応する基準値とを比較することで、軸受1の損傷程度を判断する判断工程が行われる。判断工程では、図5に示す処理フローに従って、損傷程度の判断が行われる。
判断工程では、測定工程での測定結果から、軸受1の損傷程度が演算される(S100)。ステップS100では、(1)式を用いて、軸受1の損傷程度Dが求められる。なお、Dは軸受1の損傷程度を示す値であり、Vは第1の測定位置PにおけるECT装置2による測定値である第1の電圧値(V)であり、Vは第2の測定位置PにおけるECT装置2による測定値である第2の電圧値(V)であり、Sは基準値である。基準値Sは、軸受1の新品相当の軌道面10と基準面11とにおけるECT装置2による測定値に対応する値であり、例えば、新品相当の軸受1における軌道面10における電圧値と基準面11における電圧値との差分である。また、第1の電圧値と第2の電圧値との差分(V-V)を、測定電圧差ともいう。
D=(V-V)-S ・・・(1)
第1の測定位置Pが複数の場合には、複数の第1の測定位置Pに対応した複数の第1の電圧値Vについて損傷程度Dがそれぞれ求められる。第2の測定位置Pが一つの場合には、第2の電圧値Vとして、測定された一箇所の第2の測定位置Pにおける電圧値が用いられる。一方、第2の測定位置Pが複数の場合には、複数箇所の第2の測定位置Pにおける電圧値の平均値が、第2の電圧値Vとして用いられる。なお、第2の測定位置Pが複数の場合において、軸受1の損傷といった理由で明らかに異常な電圧値が含まれる場合には、この異常値を除いて第2の電圧値Vが設定されてもよい。
ここで、本発明者らが知見した、使用後の軸受1の、第1の測定位置P及び第2の測定位置PにおけるECT装置2による測定結果と、損傷程度との関連性について説明する。例えば、特許文献3に開示されているように、新品時と比較し、使用後の軸受1をECT装置2にて測定すると、変化が現れ、この変化量から軸受1の損傷程度を把握することができる。具体的には、ECT装置による測定結果に対して、軸受1の損傷程度は下記(2)式のように求めることができる。なお、D’は軸受1の損傷程度を示し、Vは使用後の軸受1の軌道面10のECT装置による測定電圧値(測定値ともいう。)を示し、Vは使用前の軸受1の軌道面10のECT装置による測定電圧値を示す。
D’=V-V ・・・(2)
このような損傷把握方法では、事前に使用前の軸受1に対して、軌道面10を渦流探傷検査する必要がある。また、使用前の軸受1の電圧値は、製造ロットの違いなどによる軸受1の成分や製造条件の細かな違いによって変化するため、使用後に評価する軸受1と同じ軸受1の測定値であることが好ましく、測定精度を高めるためには、少なくとも同一製造ロットの軸受1の測定値であることが必要とされる。しかし、対象となる軸受1を使用開始時に測定できれば問題はないが、製造段階で組み立てられてしまう場合には、使用前の軸受1をECT装置で測定することができない。また、製造ロットが同一なものを準備することでも測定精度を高めることができるが、軸受1の大きさによっては容易に準備をすることができない場合がある。
そこで、本発明者らは、新品の軸受1を測定せずとも軸受1の状態を評価する技術について検討し、軌道面10と基準面11とにおける渦流探傷検査の測定結果と、新品相当の基準値とを用いる方法を知見した。また、新品相当の基準値について、製造ロットが同じ製品や寸法が同じ製品に限らず、寸法が異なる他の軸受における新品時の測定結果から、算出できることを知見した。具体的には、本発明者らは、上記の(1)式を用いて、軸受1の損傷程度を評価できることを知見した。
(1)式の基準値Sは、例えば、(3)式を用いて求めることができる。なお、Vは、第3の測定位置におけるECT装置2による測定値である第3の電圧値(V)であり、Vは、第3の測定位置におけるECT装置2による測定値である第3の電圧値(V)である。また、第3の電圧値Vと第4の電圧値Vとの差分(V-V)を、初期電圧差ΔV(V)ともいう。
S=V-V ・・・(3)
(3)式における第3の電圧値V及び第4の電圧値Vは、損傷程度を把握する軸受1と同じ寸法の他の軸受の新品時におけるECT装置2による測定値である。同じ寸法の軸受とは、軌道面径が同じ軸受のことであり、軸受形式が異なる軸受であってもよい。また、損傷程度を把握する軸受1と、他の軸受とは、熱処理などの製造条件が異なるものであってもよい。なお、損傷程度を把握する軸受1と、他の軸受とは、同じ材料であることが好ましい。第3の測定位置は、他の軸受における軌道面の位置であり、第4の測定位置は、他の軸受における基準面の位置である。つまり、他の軸受について、ECT装置2を用いて、第3の電圧値V及び第4の電圧値Vの測定を行うことで、基準値Sを求めることができる。なお、少なくとも一つの第3の測定位置及び少なくとも1つの第4の測定位置で測定を行えばよいが、複数の第3の測定位置及び複数の第4の測定位置で測定を行い、測定された電圧値の平均値を用いることで精度を高めることができる。この場合、他の軸受について、複数の第3の測定位置及び複数の第4の測定位置は、それぞれ等配位置となることが好ましい。また、他の軸受1’の外輪1A’について測定する例を示す図6に示すように、複数の第3の測定位置P及び複数の第4の測定位置Pの数を同一にして、外輪1A’の周方向位置がそれぞれ同じ位置となるように設定してもよい。
また、基準値Sとして、寸法の異なる軸受1のECT装置2による新品時の測定結果から、損傷を把握する軸受に対応した基準値を設定してもよい。この場合、寸法の異なる複数の新品の軸受1に対してECT測定を行い、測定結果から軸受1の寸法と初期電圧差ΔVとの関係を求める。この場合も、寸法の異なる複数の新品の他の軸受に対して、ECT測定を行う。次いで、それぞれの他の軸受について、(4)式を用いて軌道面10における少なくとも一つの第3の測定位置と、基準面11における少なくとも一つの第4の測定位置とからにおける初期電圧差ΔVを求める。このようにすることで、軸受の寸法と初期電圧差ΔVとの関係が得られる。
ΔV=V-V ・・・(4)
図7には、寸法の異なる軸受1の新品時の第3の電圧値Vと第4の電圧値Vとの差分(V-V)である初期電圧差ΔVの測定結果を示す。図7に示す測定では、新品の軸受1の外輪1Aについて、ACTUNI社製のECT装置2を用いて測定を行った。軸受1としては、円すいころ軸受や円筒ころ軸受、自動調心ころ軸受といった異なる軸受形状のものを用いた。また、軸受1の外輪1Aは、軌道面寸法(軌道面中央部の径)が62mm~666mmのものを用いた。なお、測定した軸受1は全て同じ材料であるが、形式によって熱処理条件が異なったものも含まれる。さらに、図6に示すように4等配位置となる4つの第3の測定位置P及び4つの第4の測定位置Pについて測定を行い、測定される電圧値の平均値をそれぞれ第3の電圧値V及び第4の電圧値Vとした。
ECT装置2による測定結果は、2軸のX-Y座標にて表示される。測定条件として、励磁周波数を128kHz、GAINを25dBとし、位相はセンサギャップの影響による電圧値の変化の方向がX軸と平行になるように調整した(プローブ20をサンプル表面に近づけるほど、測定値はプラス方向に変化する)。このようにして測定される電圧をX電圧ともいう。なお、電圧値の変化の方向がX軸と垂直になるように位相を調整した場合に測定される電圧をY電圧ともいう。図7の縦軸は、初期電圧差を示し、横軸は軸受1の軌道面径(mm)を示す。
図7に示すように、軸受1の寸法(軌道面径)と初期電圧差とには相関があり、図7の破線で示すようなグラフとなる。このグラフから、軌道面寸法ごとに変化の傾きが異なることが分かる。つまり、それぞれの寸法範囲ごとに式を求めることで、寸法ごとの初期電圧差を求めることができる。例えば、図7の場合には、軌道面径x(mm)に応じて初期電圧差ΔV(V)は、以下の(5)式~(7)式の関係となる。なお、a~eは定数を示す。
ΔV=ax+b (x<100) ・・・(5)
ΔV=cx+d (100≦x≦200) ・・・(6)
ΔV=e (x>200) ・・・(7)
このため、軸受1の種類に応じて、軸受1の寸法と初期電圧差との関係を予め求めておき、この関係と損傷把握を行う軸受1の寸法とから、損傷把握を行う軸受1の初期電圧差を求めることができる。なお、この手法で得られる式の傾きや切片の値、また式の変化点となる寸法は、ECT装置2の測定条件(励磁周波数、GAINなど)、使用するプローブ20の種類によって異なる。そのため、使用するプローブ20を含めた測定条件ごとに、一次式の傾きと切片とを決定する必要がある。測定条件が変わったとしても初期電圧差ΔVを求める手順は変わらないため、上記の手順に従えば、測定条件ごとの新品相当値である初期電圧差ΔV、つまり基準値Sを得ることができる。なお、軸受1の寸法と初期電圧差との関係式は、直線近似に得られるものに限らず、曲線近似により得られるものであってもよい。
図8には、図7で示した軸受1の軌道面10のみのECT装置2による測定電圧値(X電圧)であり、図7と同様に軌道面寸法でまとめたグラフである。350mm以下の軌道面径では測定電圧値と軌道面寸法とには相関があり、図7に示した初期電圧差と同様の傾向がある。ただし、120mm以下の軌道面径では測定値に大きなバラつきが認められる。このことからも、初期電圧差は寸法によらず、ばらつきを抑えられた測定手法であることがわかる。さらに、図8では軌道面径が430mm及び666mmの測定値(図8の丸く破線で囲んだ領域のプロット)が他の傾向とは異なっている。これは、軌道面径が430mm及び666mmの軸受1が、他の軸受1と熱処理条件が異なるサンプルであるためである。一方で、図7に示した初期電圧差では、この熱処理違いの影響は認められない。その理由としては、差分として採用する外径面も同じ熱処理を経ているためである。このことからも、本実施形態のように軌道面10と基準面11との電圧差を用いて評価する手法は、同じ材料であり、ムラなく均一に熱処理がされているものであれば、熱処理によらず適用可能な方法であると言える。
ステップS100の後、演算された軸受1の損傷程度Dを判定する(S102)。軸受1の測定電圧差(V-V)は、使用状態が軽微であれば、基準値から大きな変化はない。しかし、過酷な環境下で使用しているほど、この変化は大きくなる。ステップステップ102では、この変化量から軸受1の損傷を判定する。
損傷の定義としては様々あるが、例えば、転がり疲労に伴う軌道面の材料組織の状態をX線測定により定量化することで、損傷程度を定める。具体的には、予め試験時間の異なるサンプルを準備し、これらサンプルに対しX線測定を実施し、新品からの材料組織の変化量(残留オーステナイトの変化量と半価幅の変化量又は残留応力をパラメータとする評価)を求める。はく離に至った軸受の材料組織の変化量を100%の使用状態としたとき、はく離に至っていない軸受の材料組織の変化量をはく離に至った軸受の材料組織の変化量と比較し、何%の損傷程度であるかを把握する。ECT装置2の測定結果とその測定位置におけるX線評価結果との相関をまとめることで、ECT測定による軸受損傷把握データベースを作成できる。このデータベースを用いることで、ECT測定結果から使用状態を評価することができ、例えば50%以上の損傷程度と評価されれば交換を促すなど、メンテナンスの評価方法の一つとできれば、これまで以上に軸受を安全かつ有効に使うことができる。
以上の処理により、軸受1の損傷の把握が行われる。本実施形態に係る軸受損傷把握方法によれば、測定電圧差と、軸受1の新品相当の初期電圧差に対応する基準値とから損傷程度Dを算出する。また、初期電圧差としては、軸受1と同じ寸法の他の新品の軸受や、寸法が異なる複数の新品の他の軸受でのECT装置2による測定結果を用いる。これにより、損傷程度を把握する軸受1の新品時の軌道面10の測定電圧値がわからない場合や、製造ロットやサイズが同一の新品の他の軸受が用意できない場合においても、対象の軸受1の損傷程度を把握することができる。また、他の軸受における初期電圧差を事前に測定していればすぐに損傷程度を把握することができるが、事前に他の軸受における初期電圧差を測定していなくとも、必要に応じて後で容易に測定することもできる。さらに、軸受の寸法と初期電圧差との関係性から基準値を決定する場合には、予め、軸受1の材料ごとに、寸法の異なる複数の軸受をECT測定しておいていてもよい。このようにすることで、軸受の寸法と初期電圧差との関係性が事前に把握できているため、対象とする軸受1の損傷程度を短時間で把握することができる。
なお、損傷把握のために使用後の軌道面10を測定する時において、軌道面10のどこに負荷が加わっているかわからない場合、全周負荷圏となって使用された場合は、周方向や軸方向に測定位置をずらしながら複数の第1の測定位置を測定してもよい。このようにすることで、複数の位置の損傷程度を比較し、最も負荷が加わっている箇所を検知することができる。また、その最大の損傷程度をその軸受の損傷程度として評価する。複数点測定することで得られた損傷程度の分布をみることで、軸受の軌道面にどのような負荷が加わっていたかが分かる。つまり、使用状態の把握ができることになる。仮に設計時に想定している荷重の加わり方と異なる使い方、例えば、軌道面中央でなく、軌道面のある一方に強く加わっていることが把握できれば、使用条件を見直すなど、必要に応じ、アドバイスをすることも可能になる。
<変形例>
以上で、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これら説明によって発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明を参照することにより、当業者には、開示された実施形態とともに種々の変形例を含む本発明の別の実施形態も明らかである。従って、特許請求の範囲に記載された発明の実施形態には、本明細書に記載したこれらの変形例を単独または組み合わせて含む実施形態も網羅すると解すべきである。
例えば、図7及び図8に示す例では、X電圧について調査を行ったが、測定電圧値として用いられる電圧値は、Y電圧でもよく、X電圧とY電圧との両方でもよい。
1,1’ 軸受
1A,1A’ 外輪
1B,1B 内輪
10 軌道面
11 基準面
2 ECT装置
20 プローブ

Claims (9)

  1. 軸受の軌道面における少なくとも一つの第1の測定位置と、前記軸受の前記軌道面とは異なる面である基準面における少なくとも一つの第2の測定位置とをECT装置を用いて測定する測定工程と、
    前記測定工程の測定結果と、前記軸受の新品相当の前記軌道面と前記基準面とにおける前記ECT装置による測定値に対応する基準値と、を比較することで前記軸受の損傷程度を判断する判断工程と、
    を備える、軸受損傷把握方法。
  2. 前記判断工程では、前記損傷程度を(1)式を用いて求める、請求項1に記載の軸受損傷把握方法。
    D=(V-V)-S ・・・(1)
    D:損傷程度
    S:基準値(V)
    :第1の測定位置における第1の電圧値(V)
    :第2の測定位置における第2の電圧値(V)
  3. 前記基準値は、前記軸受の新品相当の前記軌道面における少なくとも一つの第3の測定位置と、前記軸受の新品相当の前記基準面における少なくとも一つの第4の測定位置とを前記ECT装置を用いて測定した時の測定値から、(3)式を用いて求められる、請求項2に記載の軸受損傷把握方法。
    S=V-V ・・・(3)
    :第3の測定位置における第3の電圧値(V)
    :第4の測定位置における第4の電圧値(V)
  4. 前記基準値は、前記軸受と同じ寸法の新品の他の軸受について、少なくとも一つの前記第3の測定位置と、少なくとも一つの前記第4の測定位置とを前記ECT装置で測定した時の測定値を用いて設定される、請求項3に記載の軸受損傷把握方法。
  5. 前記基準値は、複数の他の軸受における初期電圧差と寸法との関係から求められ、
    前記複数の他の軸受は、前記寸法の異なるものを含む、新品の軸受であり、
    前記初期電圧差は、前記複数の他の軸受の前記軌道面における少なくとも一つの第3の測定位置と、前記複数の他の軸受の前記基準面における少なくとも一つの第4の測定位置とを前記ECT装置でそれぞれ測定した時の測定値から(4)式を用いて求められる、請求項2に記載の軸受損傷把握方法。
    ΔV=V-V ・・・(4)
    :初期電圧差(V)
    :第3の測定位置における第3の電圧値(V)
    :第4の測定位置における第4の電圧値(V)
  6. 前記寸法として、前記軸受の軌道面径を用いる、請求項5に記載の軸受損傷把握方法。
  7. 前記第1の測定位置は、前記軸受の使用時に最も負荷を受ける最大損傷位置である、請求項1~6のいずれか1項に記載の軸受損傷把握方法。
  8. 前記測定工程では、複数の前記第2の測定位置を測定し、前記測定結果として、前記複数の第2の測定位置における測定値の平均値を用いる、請求項1~6のいずれか1項に記載の軸受損傷把握方法。
  9. 前記軸受が外輪である場合、前記基準面は、前記外輪の外径面又は端面であり、
    前記軸受が内輪である場合、前記基準面は、前記内輪の内径面又は端面である、請求項1~のいずれか1項に記載の軸受損傷把握方法。
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