JP2012122993A - 残留オーステナイト量の測定方法 - Google Patents

残留オーステナイト量の測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】被検体に含まれる残留オーステナイトの量を、該被検体の製造工程内においてオンラインで安価に測定することができる残留オーステナイト量の測定方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の残留オーステナイト量の測定方法によれば、被検体に含まれる残留オーステナイト量を渦電流方式の測定装置を用いて測定することができるため、該被検体の製造工程内においてオンラインで安価に測定することができる。また、予め取得した電圧差ΔV、残留オーステナイト量、及び、球状炭化物量の関係式から得られるパラメータを利用して、2つ以上の励磁周波数におけるパラメータを求め、前記式に代入した連立方程式を解くことにより、良好で精度の高い測定を行うことができる。したがって、所定の熱処理が施された高炭素クロム軸受鋼製に含まれる残留オーステナイト量を、良好な精度で測定することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、被検体に含まれる残留オーステナイトの量を測定する方法に関する。
転がり軸受は、軸受内部に異物(例えば、塵埃、摩耗粉)が混入するような厳しい潤滑環境下(以下、「異物混入潤滑環境」と記すこともある。)で使用される場合があるため、そのような場合でも長寿命な転がり軸受の開発が望まれている。異物混入潤滑環境下で使用される転がり軸受を長寿命化する手法として、異物によって形成された圧痕縁への応力集中を緩和する効果のある残留オーステナイトを、転がり軸受を構成する鋼材中に確保することが有効である。
残留オーステナイトを鋼材中に確保する手法としては、例えば特許文献1に開示されているように、浸炭あるいは浸炭窒化を施すことによって、鋼材中の残留オーステナイトの量を増加させる方法が知られている。そして、浸炭や浸炭窒化を施すことによって、鋼材中の残留オーステナイト量を20〜45体積%とすることができる。したがって、異物混入潤滑環境下において転がり軸受が長寿命であることを保証するためには、転がり軸受を構成する鋼材中に含まれる残留オーステナイトの量を検査することが好ましい。
残留オーステナイトをはじめとした第二相の体積率を測定する手法としては、X線回折を用いた手法が一般的である。これは、第一相及び第二相による回折X線を検出し、その回折曲線の面積比から体積率を測定する手法であり、鋼材中の残留オーステナイトの体積率を高精度に測定することができる。
しかしながら、X線回折装置は一般的に大きな装置であるため、転がり軸受の製造工程においてはオフラインでの測定となること、測定可能なワークサイズが制限されること、人体に有害な放射線を発生すること、といった様々な問題があり、転がり軸受の検査保証に用いることは好適ではない。
また、X線回折を用いる手法以外の第二相の測定方法としては、第一相と第二相の磁気的特性の違いを利用した手法が知られている。
例えば、特許文献2に開示されているように、被検体の飽和磁化量を測定し、被検体と同一の材料で残留オーステナイト量が0体積%である場合の飽和磁化量との比をとることによって、残留オーステナイト量を測定する手法が知られている。
しかしながら、本手法は、被検体を飽和磁化まで磁化する必要があることから、被検体のサイズが大きい場合には大きな装置が必要となること、得られる測定結果は被検体全体での残留オーステナイト量であることから、浸炭や浸炭窒化等を施した製品の表層部における残留オーステナイト量を測定するのには適さないといった問題がある。
さらに、特許文献3に開示されているように、渦電流探傷の原理を用いて準安定オーステナイトステンレス鋼における加工誘起マルテンサイト量を測定する手法が知られている。また、特開文献4に開示されているように、特許文献3に記載されている手法と同様の原理を用いて、鋳鉄中のパーライト率を測定する手法が知られている。これら特許文献3及び4に記載されている手法はいずれも、渦電流信号と、測定したい第二相との直接的な相関(検量線)に基づいた測定である。また、渦電流探傷装置は安価で小型であることから、転がり軸受の製造工程内においてオンラインで検査測定するのに適している。
特開昭64−55423号公報 特開2003−90825号公報 特開平10−10090号公報 特開2003−262618号公報
しかしながら、鋼材に焼入れ及び焼戻しを施した場合に、鋼材の残留オーステナイト量のみが変化することはない。すなわち、残留オーステナイト量の変化が、熱処理条件のバラツキによって生じる場合には、それと同時に転位密度、析出物量、結晶粒径といった、物質の磁性に影響する様々な品質も変化する。したがって、図5のように、焼入れ及び焼戻しを施した鋼材の渦電流信号と残留オーステナイト量との間に一意的な相関性はなく、残留オーステナイト量の検量線として用いることはできない。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、被検体に含まれる残留オーステナイトの量を、該被検体の製造工程内においてオンラインで安価に測定することができる残留オーステナイト量の測定方法を提供することを目的とする。
以上の課題を解決するため、本発明の一態様に係る残留オーステナイト量の測定方法は、被検体に接触又は近接させた試験コイルに2つ以上の励磁周波数の交流電流を印加し、該交流電流により前記試験コイル内に誘導された磁界により、前記被検体に渦電流を発生させ、発生した前記渦電流により誘導された磁界による前記試験コイルのインピーダンスの変化を渦電流信号として検出し、検出した2つ以上の前記渦電流信号により前記被検体に含まれるオーステナイトの量を測定することを特徴とする。
上記残留オーステナイト量の測定方法においては、前記渦電流信号と、下記式で表わされるパラメータPγとの相関を、残留オーステナイト量及び球状炭化物量が既知の試料を用いて予め取得しておき、下記式の係数αが励磁周波数に依存することを利用してオーステナイトの量を測定することが好ましい。
γ=(残留オーステナイト量(体積%))+(係数α)×(球状炭化物量(体積%))
そして、その場合には、2つ以上の励磁周波数において前記被検体の渦電流信号を検出し、検出した2つ以上の該渦電流信号と予め取得した前記相関とからパラメータPγを求めることにより、前記式で表わされる方程式を2つ以上取得し、この連立方程式の解を求めることによりオーステナイトの量を測定することがより好ましい。
また、上記残留オーステナイト量の測定方法においては、前記試験コイルのインピーダンスの変化を検出する際に、まず基準試料を用いて、前記試験コイルのインピーダンスの変化を検知するブリッジ回路に生じる電圧がゼロとなるように前記ブリッジ回路を調整した後に、前記被検体に前記試験コイルを接触又は近接させ、前記試験コイルのインピーダンスの変化により前記ブリッジ回路に生じる電圧を、電圧ベクトルとしてX-Y平面にプロットし、このプロットと原点との距離を、前記被検体の渦電流信号とすることが好ましい。
本発明の残留オーステナイト量の測定方法によれば、被検体に含まれる残留オーステナイトの量を、該被検体の製造工程内においてオンラインで安価に測定することができる。
渦電流測定装置による測定結果を示したグラフである。 電圧差ΔVとパラメータPγとの相関を示したグラフである。 係数αと励磁周波数との相関を示したグラフである。 本実施形態に係る残留オーステナイト量の測定方法による残留オーステナイト量の測定値とX線回折による測定値との比較を示したグラフである。 電圧差ΔVと残留オーステナイト量の相関を示したグラフである。
以下、本発明に係る残留オーステナイト量の測定方法の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
残留オーステナイトを含有する鋼製の被検体について、渦電流信号を検出し、検出した渦電流信号により、該被検体に含まれるオーステナイトの量を測定した。以下にその方法を説明する。
被検体は、高炭素クロム軸受鋼製であり、所定の熱処理(焼入れ及び焼戻し)が施されて所定量の残留オーステナイトを含有している。なお、被検体の材質は高炭素クロム軸受鋼に限定されるものではなく、残留オーステナイトを含有しているならば、他種の鋼や純鉄でも差し支えない。
また、本実施形態において、渦電流信号の測定に用いられる渦電流測定装置は、渦電流方式の測定装置であり、試験コイル、試験コイルに交流電流を流す発振器、試験コイルのインピーダンス変化を検知するためのブリッジ回路、増幅器、移相器、位相検波器、表示器等から構成されている。
渦電流測定装置内の発振器により試験コイルに交流電流を流すと、該電流に誘導されて試験コイル内に磁界が発生する。ここで、試験コイルに被検体を接触又は近接させると、試験コイル内に発生した磁界により被検体に渦電流が発生する。さらに、該渦電流により、試験コイル内の前記磁界を打ち消す方向に磁界が誘導されるため、試験コイルのインピーダンスに変化が生じる。ここで、試験コイル内の前記磁界により被検体に発生する渦電流は、被検体の導電率や透磁率によって変化するため、材質の異なる被検体を試験コイルに接触又は近接させると試験コイルのインピーダンスは異なるものとなる。
本実施形態の残留オーステナイト量の測定方法においては、所定の基準試料を用意し、この基準試料について渦電流測定装置を用いて渦電流信号の検出を行う際に、渦電流測定装置内のブリッジ回路の可変抵抗を調整して、ブリッジ回路の平衡条件を満たし、該ブリッジ回路に生じる電圧がゼロとなるように調整する。ここで、基準試料とは材質が異なる被検体、又は、材質が同一で含有するオーステナイトの量が異なる被検体を測定すると、前述した原理により試験コイルのインピーダンスが変化するため、ブリッジ回路の平衡が崩れ、ブリッジ回路に電圧が生じる。この電圧は、増幅器、位相検波器により電圧ベクトルとしてX−Y平面にプロットされる。具体的には、2つの位相検波器を用いて、一方の制御信号の位相をX、他方の位相をXとは90°異なるYとすることにより、ブリッジ回路に生じた電圧情報(電圧ベクトル)をX電圧及びY電圧としてX−Y平面にプロットすることができる。
本実施形態の残留オーステナイト量の測定方法においては、このような機能を有する電子磁気工業株式会社製の渦電流測定装置を用いて、X電圧及びY電圧を渦電流信号として計測した。
図1は、種々の条件の焼入れ及び焼戻しを施すことにより残留オーステナイト量(0〜35体積%)を種々変更した高炭素クロム軸受鋼を被検体として、渦電流測定装置を用いて測定を行った結果を示している。なお、全被検体のうちの1つの被検体を基準試料としており、試験コイルと被検体の距離(リフトオフ)による電圧変化がX軸上になるように移相器により調整している。また、試験コイルに印加した交流電流の励磁周波数は200kHzである。
残留オーステナイト量の異なる複数の被検体のX電圧及びY電圧を測定し、X−Y平面にプロットすると、図1に示すように、一つの直線状にプロットされる。なお、基準試料は、X−Y平面原点にプロットされることとなる。そこで、X−Y平面の第3象限側を正として、原点からプロットまでの距離を算出した。この距離が、渦電流信号(以下、「電圧差ΔV」と記すこともある。)に相当する。なお、この電圧差ΔVは、試験コイルのインピーダンスの変化(試験コイルのインピーダンス情報)を示している。
図5は、被検体に含まれる残留オーステナイト量と渦電流測定装置で測定した電圧差ΔVとの関係を示したグラフである。図5における残留オーステナイト量は、X線回折により測定した数値である。
図5からわかるように、被検体に含まれる残留オーステナイト量が15体積%以上である場合においては、残留オーステナイト量と電圧差ΔVとの間に相関性は認められない。この理由は以下のように考えられる。
鋼の磁性に影響を及ぼす材料因子としては、非磁性相、転位密度、析出物、結晶粒界等が挙げられる。熱処理によって非磁性相である残留オーステナイトが変化する場合には、同時に転位密度、析出物、結晶粒界も変化する。そのため、残留オーステナイト量が15体積%以上の被検体においては、転位密度、析出物、結晶粒界が磁性に及ぼす影響が大きくなり、渦電流にも影響を及ぼすため、残留オーステナイト量と電圧差ΔVとの間の相関性が乏しくなるものと考えられる。
そこで、残留オーステナイト量の他に、転位密度を表わすものとしてマルテンサイトの量、析出物を表わすものとして球状炭化物の量、結晶粒界を表すものとして旧オーステナイト結晶粒界の量を測定し、電圧差ΔVとの相関を検討した。なお、マルテンサイトの量はX線回折により測定した。その際には、X線回折の測定チャートのピークの半価幅により、マルテンサイトの量を算出した。また、球状炭化物量および結晶粒界の量は、被検体をエッチングして球状炭化物や結晶粒界を現出させた後、金属顕微鏡及び走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察することにより測定した。
図2は、電圧差ΔVとパラメータPγとの相関を示したグラフである。
図2に示すように、被検体の電圧差ΔVは、残留オーステナイト量と球状炭化物量に影響され、以下の式で表わされるパラメータPγと直線的な相関があることが明らかになった。
γ=(残留オーステナイト量(体積%))+(係数α)×(球状炭化物量(体積%))
さらに、複数の励磁周波数によって被検体の電圧差ΔVを測定した結果、前記式における係数αは励磁周波数に依存することが明らかになった。図3は、係数αと励磁周波数との相関を示したグラフである。
このことから、以下のようにして、残留オーステナイト量を測定することができる。
まず、材質が同一で且つ含有する残留オーステナイト量及び球状炭化物量がそれぞれ異なる複数の試料を準備し、その残留オーステナイト量と球状炭化物量を測定する。この際、残留オーステナイト量はX線回折によって、球状炭化物量はエッチング後にSEM観察することによって測定した。
次に、渦電流測定装置によって、2つ以上の励磁周波数で上記各試料の電圧差ΔVを測定する。それぞれの励磁周波数におけるΔVと、残留オーステナイト量及び球状炭化物量の相関を解析し、ΔVとPγが最も良い相関となる係数αを導出する。ここで、図3に示したように係数αは測定した励磁周波数に依存するため、それぞれの励磁周波数に応じた係数αが導出される。係数αと、残留オーステナイト量及び球状炭化物量からPγを算出して、図2に示すPγとΔVの相関図を作図する。すなわち、PγとΔVの相関図は、測定した励磁周波数に応じて複数得られ、これが残留オーステナイト量を測定するためのデータベースとなる。
次に、渦電流測定装置によって、材質が前記試料と同一で且つ残留オーステナイト量が未知である被検体の電圧差ΔVを2つ以上の励磁周波数(試料の場合に用いたものと同一の励磁周波数)で測定して、上述した方法により求めたそれぞれの励磁周波数における電圧差ΔVとパラメータPγとの相関を用いて、それぞれの励磁周波数における被検体のパラメータPγを求める。
このように求めたパラメータPγと励磁周波数に応じた係数αを前記式に代入すると、用いた励磁周波数の個数の前記式が取得できるので、これらの式からなる連立方程式を解くことによって、被検体の残留オーステナイト量を算出することができる。
図4は、本実施形態に係る残留オーステナイト量の測定方法による測定値とX線回折による測定値との比較を示したグラフである。本実施形態に係る残留オーステナイト量の測定方法による測定値は、具体的には、2kHz、20kHz、200kHz、2MHzの4つの励磁周波数にて被検体を測定することにより得られたものである。すなわち、測定により取得した4つの前記式のうち任意の2式を選択して連立方程式を6組作り、これら6組の連立方程式をそれぞれ解いて得られた6個の解の平均値を、被検体の残留オーステナイト量の測定値とした。
図4に示す通り、本実施形態に係る測定方法によれば、良好な精度で残留オーステナイト量を測定できることがわかる。本実施形態の係る方法によれば、最低2つの励磁周波数で測定すれば被検体の残留オーステナイト量を求めることができる。しかし、上述のように、より多くの励磁周波数で測定した方が、残留オーステナイト量をより精度よく測定することができる。
なお、本実施形態において示した電圧差ΔVとPγの相関図、及び、係数αと励磁周波数の相関は、高炭素クロム軸受鋼の残留オーステナイト量を測定するためのデータベースの一例である。したがって、異なる材質の残留オーステナイト量を測定する場合、又は、本実施形態とは異なる渦電流測定装置を用いる場合には、実施形態に示した方法により、材質や測定装置に応じたデータベースを取得すればよい。
本実施形態においては、X−Y平面の第3象限側を正として原点からプロットまでの距離をΔVとして用いたが、プロットのY電圧の値をΔVとして用いてもよい。
また、励磁周波数は、1kHz〜2MHzであることが好ましい。1kHz未満であると渦電流の浸透深さが大きくなるため、被検体の表層部の残留オーステナイト量の測定には適さないからである。また、2MHzより大きいと、渦電流の浸透深さが小さくなり、表面性状の影響が大きくなるため、測定精度が低下するおそれがあるためである。
さらに、選択される2つ以上の励磁周波数は、それぞれ10倍以上異なる周波数であることが好ましい。10倍未満の近い励磁周波数であると、前記式の係数αの値が近くなるため、測定精度が低下する可能性があるためである。
本実施形態の残留オーステナイト量の測定方法によれば、被検体に含まれる残留オーステナイト量を渦電流方式の測定装置を用いて測定することができるため、安価に被検体の残留オーステナイト量を測定することができる。また、渦電流方式の測定装置を用いることにより、被検体の製造工程内においてオンラインで測定を行うことができる。
さらに、本実施形態の残留オーステナイト量の測定方法によれば、予め取得した電圧差ΔV、残留オーステナイト量、及び、球状炭化物量との関係から得られるパラメータPγを利用して、2以上の励磁周波数におけるパラメータPγを求め、前記式に代入した連立方程式を解くことにより、良好で精度の高い測定を行うことができる。したがって、所定の熱処理(焼入れ及び焼戻し)が施された高炭素クロム軸受鋼製に含まれる残留オーステナイト量を、良好な精度で測定することができる。
また、電圧差ΔVは、基準試料を用いて、ブリッジ回路に生じる電圧がゼロとなるように調整した後、被検体を測定した際にブリッジ回路に生じる電圧を検出し、増幅器、位相検波器により、X−Y平面に試験コイルのインピーダンス情報(電圧ベクトル)としてプロットされた点の原点からの距離、あるいはY電圧の値である。このように、試験コイルのインピーダンス情報をX−Y平面にプロットする機能は、市販の渦電流測定装置に通常備えられているため、ΔVを容易に求めることができる。
なお、本発明の残留オーステナイト量の測定方法は、種々の被検体の測定に用いることができるが、転がり軸受の軸受部品(例えば、内輪、外輪、転動体)に確保される残留オーステナイト量の測定に適している。また、本発明の残留オーステナイト量の測定方法によれば、転がり軸受の保証にも用いることが可能である。このとき、内輪、外輪、転動体のうち少なくとも1つの品質が保証されていればよいが、全ての品質が保証されていることが好ましい。
また、転がり軸受を構成する部材はリング状のものが多く、製品によってその曲率が異なる。そのため、様々な製品において、精度よく測定するためには、曲率などの形状因子に対する、電圧差ΔVの変化を予め取得しておくことが好ましい。

Claims (4)

  1. 被検体に接触又は近接させた試験コイルに2つ以上の励磁周波数の交流電流を印加し、該交流電流により前記試験コイル内に誘導された磁界により、前記被検体に渦電流を発生させ、発生した前記渦電流により誘導された磁界による前記試験コイルのインピーダンスの変化を渦電流信号として検出し、検出した2つ以上の前記渦電流信号により前記被検体に含まれるオーステナイトの量を測定することを特徴とする残留オーステナイト量の測定方法。
  2. 前記渦電流信号と、下記式で表わされるパラメータPγとの相関を、残留オーステナイト量及び球状炭化物量が既知の試料を用いて予め取得しておき、下記式の係数αが励磁周波数に依存することを利用してオーステナイトの量を測定することを特徴とする、請求項1に記載の残留オーステナイト量の測定方法。
    γ=(残留オーステナイト量(体積%))+(係数α)×(球状炭化物量(体積%))
  3. 2つ以上の励磁周波数において前記被検体の渦電流信号を検出し、検出した2つ以上の該渦電流信号と予め取得した前記相関とからパラメータPγを求めることにより、前記式で表わされる方程式を2つ以上取得し、この連立方程式の解を求めることによりオーステナイトの量を測定することを特徴とする、請求項2に記載の残留オーステナイト量の測定方法。
  4. 前記試験コイルのインピーダンスの変化を検出する際に、まず基準試料を用いて、前記試験コイルのインピーダンスの変化を検知するブリッジ回路に生じる電圧がゼロとなるように前記ブリッジ回路を調整した後に、前記被検体に前記試験コイルを接触又は近接させ、前記試験コイルのインピーダンスの変化により前記ブリッジ回路に生じる電圧を、電圧ベクトルとしてX-Y平面にプロットし、このプロットと原点との距離を、前記被検体の渦電流信号とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の残留オーステナイト量の測定方法。
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