JP5857649B2 - 残留オーステナイト量の測定方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、X線回折装置は一般的に大きな装置であるため、転がり軸受の製造工程においてはオフラインでの測定となること、測定可能なワークサイズが制限されること、人体に有害な放射線を発生すること、といった様々な問題があり、転がり軸受の検査保証に用いることは好適ではない。
例えば、特許文献2に開示されているように、被検体の飽和磁化量を測定し、被検体と同一の材料で残留オーステナイト量が0体積%である場合の飽和磁化量との比をとることによって、残留オーステナイト量を測定する手法が知られている。
しかしながら、本手法は、被検体を飽和磁化まで磁化する必要があることから、被検体のサイズが大きい場合には大きな装置が必要となること、得られる測定結果は被検体全体での残留オーステナイト量であることから、浸炭や浸炭窒化等を施した製品の表層部における残留オーステナイト量を測定するのには適さないといった問題がある。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、被検体に含まれる残留オーステナイトの量を、該被検体の製造工程内においてオンラインで安価に測定することができる残留オーステナイト量の測定方法を提供することを目的とする。
Pγ=(残留オーステナイト量(体積%))+(係数αf)×(球状炭化物量(体積%))
そして、その場合には、2つ以上の励磁周波数において前記被検体の渦電流信号を検出し、検出した2つ以上の該渦電流信号と予め取得した前記相関とからパラメータPγを求めることにより、前記式で表わされる方程式を2つ以上取得し、この連立方程式の解を求めることによりオーステナイトの量を測定することがより好ましい。
残留オーステナイトを含有する鋼製の被検体について、渦電流信号を検出し、検出した渦電流信号により、該被検体に含まれるオーステナイトの量を測定した。以下にその方法を説明する。
被検体は、高炭素クロム軸受鋼製であり、所定の熱処理(焼入れ及び焼戻し)が施されて所定量の残留オーステナイトを含有している。なお、被検体の材質は高炭素クロム軸受鋼に限定されるものではなく、残留オーステナイトを含有しているならば、他種の鋼や純鉄でも差し支えない。
渦電流測定装置内の発振器により試験コイルに交流電流を流すと、該電流に誘導されて試験コイル内に磁界が発生する。ここで、試験コイルに被検体を接触又は近接させると、試験コイル内に発生した磁界により被検体に渦電流が発生する。さらに、該渦電流により、試験コイル内の前記磁界を打ち消す方向に磁界が誘導されるため、試験コイルのインピーダンスに変化が生じる。ここで、試験コイル内の前記磁界により被検体に発生する渦電流は、被検体の導電率や透磁率によって変化するため、材質の異なる被検体を試験コイルに接触又は近接させると試験コイルのインピーダンスは異なるものとなる。
図1は、種々の条件の焼入れ及び焼戻しを施すことにより残留オーステナイト量(0〜35体積%)を種々変更した高炭素クロム軸受鋼を被検体として、渦電流測定装置を用いて測定を行った結果を示している。なお、全被検体のうちの1つの被検体を基準試料としており、試験コイルと被検体の距離(リフトオフ)による電圧変化がX軸上になるように移相器により調整している。また、試験コイルに印加した交流電流の励磁周波数は200kHzである。
図5からわかるように、被検体に含まれる残留オーステナイト量が15体積%以上である場合においては、残留オーステナイト量と電圧差ΔVとの間に相関性は認められない。この理由は以下のように考えられる。
図2に示すように、被検体の電圧差ΔVは、残留オーステナイト量と球状炭化物量に影響され、以下の式で表わされるパラメータPγと直線的な相関があることが明らかになった。
Pγ=(残留オーステナイト量(体積%))+(係数αf)×(球状炭化物量(体積%))
さらに、複数の励磁周波数によって被検体の電圧差ΔVを測定した結果、前記式における係数αfは励磁周波数に依存することが明らかになった。図3は、係数αfと励磁周波数との相関を示したグラフである。
まず、材質が同一で且つ含有する残留オーステナイト量及び球状炭化物量がそれぞれ異なる複数の試料を準備し、その残留オーステナイト量と球状炭化物量を測定する。この際、残留オーステナイト量はX線回折によって、球状炭化物量はエッチング後にSEM観察することによって測定した。
このように求めたパラメータPγと励磁周波数に応じた係数αfを前記式に代入すると、用いた励磁周波数の個数の前記式が取得できるので、これらの式からなる連立方程式を解くことによって、被検体の残留オーステナイト量を算出することができる。
本実施形態においては、X−Y平面の第3象限側を正として原点からプロットまでの距離をΔVとして用いたが、プロットのY電圧の値をΔVとして用いてもよい。
さらに、選択される2つ以上の励磁周波数は、それぞれ10倍以上異なる周波数であることが好ましい。10倍未満の近い励磁周波数であると、前記式の係数αfの値が近くなるため、測定精度が低下する可能性があるためである。
本実施形態の残留オーステナイト量の測定方法によれば、被検体に含まれる残留オーステナイト量を渦電流方式の測定装置を用いて測定することができるため、安価に被検体の残留オーステナイト量を測定することができる。また、渦電流方式の測定装置を用いることにより、被検体の製造工程内においてオンラインで測定を行うことができる。
また、転がり軸受を構成する部材はリング状のものが多く、製品によってその曲率が異なる。そのため、様々な製品において、精度よく測定するためには、曲率などの形状因子に対する、電圧差ΔVの変化を予め取得しておくことが好ましい。
Claims (3)
- 被検体に接触又は近接させた試験コイルに2つ以上の励磁周波数の交流電流を印加し、該交流電流により前記試験コイル内に誘導された磁界により、前記被検体に渦電流を発生させ、発生した前記渦電流により誘導された磁界による前記試験コイルのインピーダンスの変化を渦電流信号として検出し、
前記渦電流信号と、下記式で表わされるパラメータPγとの相関を、残留オーステナイト量及び球状炭化物量が既知の試料を用いて予め取得しておき、下記式の係数α f が励磁周波数に依存することを利用して、検出した2つ以上の前記渦電流信号により前記被検体に含まれるオーステナイトの量を測定することを特徴とする残留オーステナイト量の測定方法。
Pγ=(残留オーステナイト量(体積%))+(係数α f )×(球状炭化物量(体積%)) - 2つ以上の励磁周波数において前記被検体の渦電流信号を検出し、検出した2つ以上の該渦電流信号と予め取得した前記相関とからパラメータPγを求めることにより、前記式で表わされる方程式を2つ以上取得し、この連立方程式の解を求めることによりオーステナイトの量を測定することを特徴とする、請求項1に記載の残留オーステナイト量の測定方法。
- 前記試験コイルのインピーダンスの変化を検出する際に、まず基準試料を用いて、前記試験コイルのインピーダンスの変化を検知するブリッジ回路に生じる電圧がゼロとなるように前記ブリッジ回路を調整した後に、前記被検体に前記試験コイルを接触又は近接させ、前記試験コイルのインピーダンスの変化により前記ブリッジ回路に生じる電圧を、電圧ベクトルとしてX- Y平面にプロットし、このプロットと原点との距離を、前記被検体の渦電流信号とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の残留オーステナイト量の測定方法。
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