JP7254688B2 - インク組成物及び消色方法 - Google Patents
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Description
<1>極大吸収波長が800nm~1200nmである赤外線吸収材料、ラジカル発生剤、及び水を含み、ラジカル発生剤の含有量が、インク組成物の全質量に対して0.3質量%~4質量%であるインク組成物。
<2>赤外線吸収材料の含有量に対するラジカル発生剤の含有量の比率は、質量基準で1~6である<1>に記載のインク組成物。
<3>水溶性有機溶剤をさらに含み、水溶性有機溶剤の含有量は、インク組成物の全質量に対して20質量%~45質量%である、<1>又は<2>に記載のインク組成物。
<4>ラジカル発生剤は、水に対する溶解度が1質量%以上の水溶性重合開始剤である<1>~<3>のいずれか1つに記載のインク組成物。
<5>表面張力が20mN/m~30mN/mである<1>~<4>のいずれか1つに記載のインク組成物。
<6>ラジカル発生剤は、下記式(X)で表される化合物を含む<1>~<5>のいずれか1つに記載のインク組成物。
式(X)中、RX1、RX2、RX3、及びRX4は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、nは、1以上4以下の整数を表す。
<7>式(X)で表される化合物の含有量は、インク組成物の全質量に対して0.5質量%~4質量%である<6>に記載のインク組成物。
<8>フッ素系界面活性剤をさらに含み、フッ素系界面活性剤の含有量は、インク組成物の全質量に対して0.005質量%以上0.1質量%未満である<1>~<7>のいずれか1つに記載のインク組成物。
<9>赤外線吸収材料は、下記式(1)で表される赤外線吸収材料及び下記式(2)で表される赤外線吸収材料からなる群より選択される少なくとも1種である<1>~<8>のいずれか1つに記載のインク組成物。
式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基又はアリール基を表し、
L1は、奇数個のメチン基からなるメチン鎖を表し、
B1及びB2は、それぞれ独立に、芳香族炭化水素環を形成するために必要な原子群又は芳香族ヘテロ環を形成するのに必要な原子群を表す。
Y1及びY2は、それぞれ独立に、-S-、-O-、-NRX1-又はCRX2RX3-を表し、RX1、RX2及びRX3は、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表す。
V1及びV2は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、-OR10、-COR11、-COOR12、-OCOR13、-NR14R15、-NHCOR16、-CONR17R18、-NHCONR19R20、-NHCOOR21、-SR22、-SO2R23、-SO2OR24、-NHSO2R25又はSO2NR26R27を表し、R10~R27は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表す。-COOR12のR12が水素原子である場合及びSO2OR24のR24が水素原子である場合、それぞれ、水素原子が解離していてもよいし、塩の状態であってもよい。
m1及びm2は、それぞれ独立に、0~4の整数を表す。
m1が2~4の整数である場合、複数のV1が、互いに結合して環を形成してもよく、m2が2~4の整数である場合、複数のV2が、互いに結合して環を形成してもよい。
式(1)中のCyで表される部位がカチオン部である場合、X1はアニオンを表し、c1は電荷のバランスを取るために必要な数を表し、
式(1)中のCyで表される部位がアニオン部である場合、X1はカチオンを表し、c1は電荷のバランスを取るために必要な数を表し、
式(1)中のCyで表される部位の電荷が分子内で中和されている場合、X1は存在しない。
<10>式(1)で表される赤外線吸収材料の少なくとも1種が、下記式(1A)で表される赤外線吸収材料及び下記式(1B)で表される赤外線吸収材料からなる群より選択される少なくとも1種である<9>に記載のインク組成物。
式(1A)及び式(1B)中、R1A、R2A、R1B及びR2Bは、それぞれ独立に、アルキル基を表し、
L1A及びL1Bは、7個のメチン基からなるメチン鎖を表し、
V1A、V2A、V1B及びV2Bは、それぞれ独立に、-COOH又は-SO3Hを表し、-COOH及び-SO3Hの水素原子はそれぞれ解離していてもよいし、塩の状態であってもよく、
m11、m21、m12及びm22は、それぞれ独立に、0又は1を表し、
X1A及びX1Bは、カチオンを表し、
c11及びc12は、それぞれ独立に、電荷のバランスを取るために必要な数を表す。
<11><1>~<10>のいずれか1つに記載のインク組成物を、インクジェット記録方式を用いて基材上に付与して、赤外線吸収画像を記録する工程と、赤外線吸収画像に対して活性エネルギー線を照射して、赤外線吸収画像を消色させる工程と、を含む消色方法。
<12>活性エネルギー線は、400nm以下の波長領域に極大発光波長を有する紫外線である<11>に記載の消色方法。
本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本明細書において、「工程」という語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書において、「置換基を有してもよい」という語は、置換基を有しない無置換の場合と、置換基を有する場合の両方を包含する。
本開示のインク組成物は、極大吸収波長が800nm~1200nmである赤外線吸収材料、ラジカル発生剤、及び水を含み、ラジカル発生剤の含有量が、インク組成物の全質量に対して0.5質量%~4質量%である。
本開示のインク組成物は、極大吸収波長が800nm~1200nmである赤外線吸収材料を含む。
L1は、奇数個のメチン基からなるメチン鎖を表し、
B1及びB2は、それぞれ独立に、芳香族炭化水素環を形成するために必要な原子群又は芳香族ヘテロ環を形成するのに必要な原子群を表す。
Y1及びY2は、それぞれ独立に、-S-、-O-、-NRX1-又はCRX2RX3-を表し、RX1、RX2及びRX3は、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表す。
V1及びV2は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、-OR10、-COR11、-COOR12、-OCOR13、-NR14R15、-NHCOR16、-CONR17R18、-NHCONR19R20、-NHCOOR21、-SR22、-SO2R23、-SO2OR24、-NHSO2R25又はSO2NR26R27を表し、R10~R27は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表す。-COOR12のR12が水素原子である場合及びSO2OR24のR24が水素原子である場合、それぞれ、水素原子が解離していてもよいし、塩の状態であってもよい。
m1及びm2は、それぞれ独立に、0~4の整数を表す。
m1が2~4の整数である場合、複数のV1が、互いに結合して環を形成してもよく、m2が2~4の整数である場合、複数のV2が、互いに結合して環を形成してもよい。
式(1)中のCyで表される部位がカチオン部である場合、X1はアニオンを表し、c1は電荷のバランスを取るために必要な数を表し、
式(1)中のCyで表される部位がアニオン部である場合、X1はカチオンを表し、c1は電荷のバランスを取るために必要な数を表し、
式(1)中のCyで表される部位の電荷が分子内で中和されている場合、X1は存在しない。
赤外線吸収材料中のスルホ基が塩の形態である場合、塩の形態のスルホ基は、スルホネート基(-SO3 -基)と、X1で表されるカチオンとから形成されているものであってもよい。
L1は、3個、5個又は7個のメチン基からなるメチン鎖が好ましく、5個又は7個のメチン基からなるメチン鎖がより好ましく、7個のメチン基からなるメチン鎖がさらに好ましい。
RX1、RX2及びRX3は、アルキル基であることが好ましい。アルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~5がより好ましく、1~3がさらに好ましい。アルキル基は、直鎖状アルキル基、分岐鎖状アルキル基、及び環状アルキル基のいずれでもよい。中でも、直鎖状アルキル基又は分岐鎖状アルキル基が好ましく、直鎖状アルキル基がより好ましい。アルキル基としては、メチル基又はエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
m1及びm2は、それぞれ独立に、0~4の整数を表す。
m1が2~4の整数である場合、複数のV1が、互いに結合して環を形成してもよく、m2が2~4の整数である場合、複数のV2が、互いに結合して環を形成してもよい。
式(1)中のCyで表される部位がアニオン部である場合、X1はカチオンを表し、c1は電荷のバランスを取るために必要な数を表し、
式(1)中のCyで表される部位の電荷が分子内で中和されている場合、X1は存在しない。
この場合、式(1)で表される赤外線吸収材料中に占める式(1A)で表される赤外線吸収材料及び式(1B)で表される赤外線吸収材料の割合は、好ましくは50質量%~100質量%であり、より好ましくは60質量%~100質量%であり、さらに好ましくは80質量%~100質量%である。
式(1A)及び式(1B)中、R1A、R2A、R1B及びR2Bは、それぞれ独立に、アルキル基を表し、
L1A及びL1Bは、7個のメチン基からなるメチン鎖を表し、
V1A、V2A、V1B及びV2Bは、それぞれ独立に、-COOH又は-SO3Hを表し、-COOH及び-SO3Hの水素原子はそれぞれ解離していてもよいし、塩の状態であってもよく、
m11、m21、m12及びm22は、それぞれ独立に、0又は1を表し、
X1A及びX1Bは、カチオンを表し、
c11及びc12は、それぞれ独立に、電荷のバランスを取るために必要な数を表す。
c2は電荷のバランスを取るために必要な数を表し、2であることが好ましい。
本開示のインク組成物は、少なくとも1種のラジカル発生剤を含む。ラジカル発生剤はラジカルを発生する作用を有する化合物であれば特に限定されない。画像記録後の消色性の観点から、ラジカル発生剤は、水に対する溶解度が1質量%以上の水溶性重合開始剤であることが好ましい。水溶性重合開始剤の水に対する溶解度は3質量%以上であることが好ましく、より好ましくは5質量%以上である。ラジカル発生剤の水溶性が高いと、赤外線吸収画像中にラジカル発生剤が均一に存在し、赤外線吸収材料の近傍にラジカル発生剤が存在できると考えられる。そのため、ラジカルによる赤外線吸収材料の分解効率が高く、消色性が良いと考えられる。
また、RX1~RX4において、アルキル基は、直鎖状アルキル基、分岐鎖状アルキル基、環状アルキル基のいずれでもよい。
RX1~RX4におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基及びシクロヘキシル基が挙げられ、メチル基、エチル基、n-プロピル基又はイソプロピル基が好ましい。
また、RX1~RX4において、アルコキシ基は、直鎖状アルコキシ基、分岐鎖状アルコキシ基、環状アルコキシ基のいずれでもよい。
RX1~RX4におけるアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブトキシ基、s-ブトキシ基、t-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、及びシクロヘキシルオキシ基が挙げられ、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基又はイソプロピルオキシ基が好ましい。
また、RX1~RX4において、アルキルチオ基は、直鎖状アルキルチオ基、分岐鎖状アルキルチオ基、環状アルキルチオ基のいずれでもよい。
RX1~RX4におけるアルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n-ブチルチオ基、s-ブチルチオ基、t-ブチルチオ基、n-ペンチルチオ基、n-ヘキシルチオ基及びシクロヘキシルチオ基が挙げられ、メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基又はイソプロピルチオ基が好ましい。
また、RX1~RX4において、アシル基は、直鎖状アシル基であってもよいし、分岐鎖状アシル基であってもよい。
RX1~RX4におけるアシル基としては、ホルミル基、アセチル基、エチルアシル基、n-プロピルアシル基及びイソプロピルアシル基が挙げられ、ホルミル基、アセチル基、又はエチルアシル基が好ましい。
本開示のインク組成物は、水を含有する。水の含有量は、インク組成物の全質量に対して50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましい。また、水の含有量は、インク組成物の全質量に対して99質量%以下であることが好ましく、98質量%以下であることがより好ましく、95質量%以下であることがさらに好ましい。
本開示のインク組成物は、少なくとも1種の界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤又はノニオン性界面活性剤のいずれであってもよい。
<有機溶剤>
本開示のインク組成物は、少なくとも1種の有機溶剤を含んでいてもよい。有機溶剤は、水に対する溶解度が1質量%以上の水溶性有機溶剤であることが好ましい。また、水溶性有機溶剤の水に対する溶解度は5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることがさらに好ましい。
・アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、
・多価アルコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール、2-メチルプロパンジオール等)、
・多価アルコールエーテル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等)、
・アミン(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、モルホリン、N-エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、
・アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等)、
・複素環化合物(例えば、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2-オキサゾリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、γ-ブチロラクトン等)、
・スルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシド)、
・スルホン(例えば、スルホラン)、
・その他(例えば、尿素、アセトニトリル、アセトン等)
本開示のインク組成物は、その他の成分として、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の添加剤が挙げられる。上記各成分については、特開2008-144004号公報の段落0044~0050に記載の化合物を使用することが可能である。
本開示において、インク組成物の粘度は特に限定されないが、インクジェット記録方式で吐出する場合には、吐出安定性の観点から30mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは0.5mPa・s~20mPa・s、さらに好ましくは1mPa・s~15mPa・sである。なお、インク組成物の粘度は回転式粘度計、例えば、東機産業社製の製品名「VISCOMETER TV-22」を用いて25℃の条件下で測定されるものである。
本開示の消色方法は、上記インク組成物を、インクジェット記録方式を用いて基材上に付与して、赤外線吸収画像を記録する工程と、赤外線吸収画像に対して活性エネルギー線を照射して、赤外線吸収画像を消色させる工程と、を含む。
本開示の消色方法では、まず、上記インク組成物を、インクジェット記録方式を用いて基材上に付与して、赤外線吸収画像を記録する。
基材は、赤外線吸収画像を記録することができれば特に限定されず、紙、布、木材、金属板、及びプラスチックフィルムが挙げられる。
非浸透性基材には、表面処理が施されていてもよい。
表面処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理、熱処理、摩耗処理、光照射処理(UV処理)及び火炎処理が挙げられる。例えば、インク組成物を非浸透性基材上に付与して赤外線吸収画像を記録する前に、あらかじめ非浸透性基材の表面にコロナ処理を施すと、非浸透性基材の表面エネルギーが増大し、非浸透性基材の表面の湿潤及び非浸透性基材へのインク組成物の接着が促進される。コロナ処理は、例えば、コロナマスター(信光電気計社製、PS-10S)を用いて行なうことができる。コロナ処理の条件は、非浸透性基材の種類、インク組成物の組成等に応じて適宜選択すればよい。例えば、下記の処理条件が挙げられる。
・処理電圧:10kV~15.6kV
・処理速度:30mm/s~100mm/s
インクジェット記録方式には特に制限はなく、公知の方式、例えば、静電誘引力を利用してインク組成物を吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインク組成物に照射して放射圧を利用してインク組成物を吐出させる音響インクジェット方式、及びインク組成物を加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式が挙げられる。
本開示の画像記録方法では、赤外線吸収画像を記録した後、赤外線吸収画像を乾燥させることが好ましい。
赤外線吸収画像を乾燥させる方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。乾燥手段としては、例えば、ヒータ等の公知の加熱手段、ドライヤ等の公知の送風手段、及び、これらを組み合わせた手段が挙げられる。
本開示の消色方法では、赤外線吸収画像に対して活性エネルギー線を照射して、赤外線吸収画像を消色させる。活性エネルギー線を照射すると、赤外線吸収画像中のラジカル発生剤がラジカルを発生し、発生したラジカルによって、赤外線吸収画像中の赤外線吸収材料が分解して、消色する。活性エネルギー線としては、例えば、α線、γ線、紫外線、可視光線、赤外線及び電子線が挙げられる。中でも、活性エネルギー線は、400nm以下の波長領域に極大発光波長を有する紫外線(以下、「UV」ともいう)であることが好ましい。
本開示の消色方法は、上記工程以外の他の工程を含んでいてもよい。他の工程としては、基材上にインク組成物を付与する前に、インク組成物を凝集させる成分を含む前処理液を付与する前処理液付与工程が挙げられる。
[インク組成物の調製]
インク組成物中の各成分の含有量(質量%)が表1及び表2に記載の含有量となるように、各成分を混合した。水の含有量は、インク組成物の全質量を100質量%としたときの残部である。インク組成物の具体的な調製方法は以下のとおりである。
・S-10
特許第3590694号公報に記載されている方法を参考にして、下記構造式で表される赤外線吸収材料(S-10)を合成した。赤外線吸収材料(S-10)の極大吸収波長は、809nmであった。
赤外線吸収材料(C-43)は、下記構造式で表されるシアニン系化合物である。赤外線吸収材料(C-43)の極大吸収波長は、970nmであった。
赤外線吸収材料(C-46)は、下記構造式で表されるシアニン系化合物である。赤外線吸収材料(C-46)の極大吸収波長は、930nmであった。
赤外線吸収材料(C-49)は、下記構造式で表されるシアニン系化合物である。赤外線吸収材料(C-49)の極大吸収波長は、844nmであった。
赤外線吸収材料(D-1)は、下記構造式で表されるジインモニウム系化合物である。赤外線吸収材料(D-1)の極大吸収波長は、1100nmであった。
・プロピレングリコール
・ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル
・オルフィンE1010:アセチレングリコール系界面活性剤、日信化学工業社製
・Capstone FS-63:フッ素系界面活性剤、Chemours社製
・Capstone FS-31:フッ素系界面活性剤、Chemours社製
・Omnirad 2959:1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル- 1-プロパン-1-オン、IGM Resins B.V.社製
Omnirad 2959の水に対する溶解度は、0.5質量%であった。
化合物(X)-1は、下記構造式で表される化合物である。化合物(X)-1の水に対する溶解度は、1質量%であった。
調製したインク組成物を、インクジェット記録装置(製品名「FUJIFILM DMP-2831])に付属のインクカートリッジに充填した。解像度600dpi(dot per inch)×600dpi、打滴量10pLの条件で、コート紙(製品名「OKトップコート+」、王子製紙社製)上に、網点率100%のインク画像を記録した。インク画像に、100℃の温風を1分間当てて、乾燥させ、画像記録物を得た。得られた画像記録物について、850nmにおける相対反射率を、紫外可視近赤外分光光度計(製品名「V-570」、日本分光社製)と積分球ユニット(製品名「INL-471」、日本分光社製)を用いて測定した。評価基準は以下のとおりである。評価A及び評価Bは、実用上問題ないレベルである。
A:相対反射率が40%未満である。
B:相対反射率が40%以上80%未満である。
C:相対反射率が80%以上である。
赤外線吸収性の評価と同様に、画像記録物を得た。紫外線照射装置(製品名「CSOT-40」、GSユアサ社製)にメタルハライドランプを設置して、出力120Wの条件下、10m/分の速度で、画像記録物に対して紫外線を照射した。紫外線照射前と紫外線照射後に、光学濃度計(製品名「FD-7」、コニカミノルタ社製)を用いて、画像記録物の光学濃度(OD)を測定した。評価基準は以下のとおりである。評価A~Cは、実用上問題ないレベルである。なお、紫外線照射前の画像記録物はいずれも、ODが0.2より大きかった。
A:紫外線照射後の画像記録物において、ODが0.1以下である。
B:紫外線照射後の画像記録物において、ODが0.1より大きく、0.15以下である。
C:紫外線照射後の画像記録物において、ODが0.15より大きく、0.2以下である。
D:紫外線照射後の画像記録物において、ODが0.2より大きい。
調製したインク組成物を、インクジェット記録装置(製品名「FUJIFILM DMP-2831])に付属のインクカートリッジに充填した。解像度600dpi×600dpi、打滴量10pLの条件で、10分間連続的にインク組成物を吐出した。吐出停止後、ノズルを目視で観察した。全ノズル数に対する不吐出ノズル数の割合(%)を、「不吐出ノズル率」とした。評価基準は以下のとおりである。評価A及び評価Bは、実用上問題ないレベルである。
A:不吐出ノズル率が5%未満である。
B:不吐出ノズル率が5%以上10%未満である。
C:不吐出ノズル率が10%以上である。
Claims (11)
- 極大吸収波長が800nm~1200nmである赤外線吸収材料、ラジカル発生剤、及び水を含み、
前記ラジカル発生剤の含有量が、インク組成物の全質量に対して0.3質量%~4質量%であり、
前記赤外線吸収材料は、下記式(1)で表される赤外線吸収材料及び下記式(2)で表される赤外線吸収材料からなる群より選択される少なくとも1種であるインク組成物。
式(1)中、R 1 及びR 2 は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基又はアリール基を表し、
L 1 は、奇数個のメチン基からなるメチン鎖を表し、
B 1 及びB 2 は、それぞれ独立に、芳香族炭化水素環を形成するために必要な原子群又は芳香族ヘテロ環を形成するのに必要な原子群を表す。
Y 1 及びY 2 は、それぞれ独立に、-S-、-O-、-NR X1 -又はCR X2 R X3 -を表し、R X1 、R X2 及びR X3 は、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表す。
V 1 及びV 2 は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、-OR 10 、-COR 11 、-COOR 12 、-OCOR 13 、-NR 14 R 15 、-NHCOR 16 、-CONR 17 R 18 、-NHCONR 19 R 20 、-NHCOOR 21 、-SR 22 、-SO 2 R 23 、-SO 2 OR 24 、-NHSO 2 R 25 又はSO 2 NR 26 R 27 を表し、R 10 ~R 27 は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表す。-COOR 12 のR 12 が水素原子である場合及びSO 2 OR 24 のR 24 が水素原子である場合、それぞれ、水素原子が解離していてもよいし、塩の状態であってもよい。
m1及びm2は、それぞれ独立に、0~4の整数を表す。
m1が2~4の整数である場合、複数のV 1 が、互いに結合して環を形成してもよく、m2が2~4の整数である場合、複数のV 2 が、互いに結合して環を形成してもよい。
式(1)中のCyで表される部位がカチオン部である場合、X 1 はアニオンを表し、c1は電荷のバランスを取るために必要な数を表し、
式(1)中のCyで表される部位がアニオン部である場合、X 1 はカチオンを表し、c1は電荷のバランスを取るために必要な数を表し、
式(1)中のCyで表される部位の電荷が分子内で中和されている場合、X 1 は存在しない。
式(2)中、R 11 ~R 18 は、それぞれ独立に、アルキル基又はアリール基を表し、V 11 ~V 15 は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基またはシアノ基を表し、X2はアニオンを表し、c2は電荷のバランスを取るために必要な数を表し、n1~n5は、それぞれ独立に、0~4である。 - 前記赤外線吸収材料の含有量に対する前記ラジカル発生剤の含有量の比率は、質量基準で1~6である請求項1に記載のインク組成物。
- 水溶性有機溶剤をさらに含み、
前記水溶性有機溶剤の含有量は、インク組成物の全質量に対して20質量%~45質量%である、請求項1又は請求項2に記載のインク組成物。 - 前記ラジカル発生剤は、水に対する溶解度が1質量%以上の水溶性重合開始剤である請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 表面張力が20mN/m~30mN/mである請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 前記式(X)で表される化合物の含有量は、インク組成物の全質量に対して0.5質量%~4質量%である請求項6に記載のインク組成物。
- フッ素系界面活性剤をさらに含み、
前記フッ素系界面活性剤の含有量は、インク組成物の全質量に対して0.005質量%以上0.1質量%未満である請求項1~請求項7のいずれか1項に記載のインク組成物。 - 前記式(1)で表される赤外線吸収材料の少なくとも1種が、下記式(1A)で表される赤外線吸収材料及び下記式(1B)で表される赤外線吸収材料からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1~請求項8のいずれか1項に記載のインク組成物。
式(1A)及び式(1B)中、R1A、R2A、R1B及びR2Bは、それぞれ独立に、アルキル基を表し、
L1A及びL1Bは、7個のメチン基からなるメチン鎖を表し、
V1A、V2A、V1B及びV2Bは、それぞれ独立に、-COOH又は-SO3Hを表し、-COOH及び-SO3Hの水素原子はそれぞれ解離していてもよいし、塩の状態であってもよく、
m11、m21、m12及びm22は、それぞれ独立に、0又は1を表し、
X1A及びX1Bは、カチオンを表し、
c11及びc12は、それぞれ独立に、電荷のバランスを取るために必要な数を表す。 - 請求項1~請求項9のいずれか1項に記載のインク組成物を、インクジェット記録方式を用いて基材上に付与して、赤外線吸収画像を記録する工程と、
前記赤外線吸収画像に対して活性エネルギー線を照射して、前記赤外線吸収画像を消色させる工程と、を含む消色方法。 - 前記活性エネルギー線は、400nm以下の波長領域に極大発光波長を有する紫外線である請求項10に記載の消色方法。
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