以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。本発明に係る印字装置は、病理検査において使用するや包埋カセットやスライドガラスに印字を行う装置である。
<第1の実施の形態>
図1は、本発明に係る印字装置1の実施の形態を示す概略斜視図である。印字装置1は、主として、筐体11と、タッチパネル12とを有する。以下、筐体11のタッチパネル12が設けられている側を前側とし、筐体11のタッチパネル12が設けられていない側を後側とする。
筐体11の内部には、図示しないレーザ光照射部が内部に設けられている。タッチパネル12は、液晶パネル等の表示部として機能するとともに、印字装置1への指示を入力する入力部としても機能する。
筐体11の前面11aには、挿入部13が設けられている。挿入部13は、開口部13aと、開閉可能に構成された扉13bとを有する。扉13bが閉まった状態では、開口部13aが扉13bにより覆われ、扉13bが開いた状態では、開口部13aを介して、箱状部材21が筐体11の内部に挿入されたり筐体11から排出されたりする。
箱状部材21は、底面21aと、底面21aの周囲に当接する4枚の側面21bとを有し、底面21a及び側面21bに囲まれた内部空間に被加工物を配設可能である。ここで、被加工物とは、包埋カセットやスライドガラスであるが、本実施の形態では包埋カセットを用いる。
図2は、筐体11の内部構造の概略を示す斜視図である。図2では、筐体11の前面11aの図示を省略している。筐体11の内部には、被加工物に印字を行う印字領域S1が設けられている。印字領域S1は、筐体11の内部において、壁面、底面及び上面により覆われた略箱状の閉鎖空間である。印字領域S1には、箱状部材21が設けられている。印字領域S1の前側の壁面は前面11aであり、印字領域S1の後側の壁面は壁面14である。
図示しないレーザ光照射部は、印字領域S1の上面に設けられている。また、平面視において、レーザ光照射部の位置と箱状部材21の位置とが重なる。したがって、レーザ光照射部の光源は、箱状部材21の内部空間に設けられた被加工物に上方から光Lを照射する。
壁面14には、排気口15が設けられている。排気口15は、開口部15aと、開閉可能に構成された扉15bとを有する。扉15bが閉まった状態では、開口部15aが扉15bにより覆われ、扉15bが開いた状態では、開口部15aを介して印字領域S1と脱臭領域S2(図9、10参照、後に詳述)とが連通する。
なお、排気口15の扉15bは必須ではない。排気口15が扉15bを有しない場合には、開口部15aにより印字領域S1と脱臭領域S2とが常時連通する。
印字領域S1の底面は、筐体11の底面11cである。底面11cには、スライドレール22が設けられている。箱状部材21は、底面21aの両端近傍がスライドレール22上に設けられており、スライドレール22に沿って前後方向(図2矢印参照)に移動可能である。箱状部材21がスライドレール22上に設けられた状態では、底面21aは略水平に設けられている。
筐体11には、箱状部材21を、筐体11の内部に設けられた状態と筐体11の外部に露出した状態との間で平行移動させる駆動部(図示省略)が設けられている。駆動部及びスライドレール22はスライド機構96(図12参照)を構成する。
箱状部材21には、カセットカゴ23(本発明のカゴに相当)が着脱可能に設けられる。カセットカゴ23は、平面視略長方形状の箱状の部材であり、長手方向が箱状部材の移動方向(前後方向)に沿って延設されている。カセットカゴ23の内部には、保持ベース24が設けられている。本発明のラックはカセットカゴ23及び保持ベース24を有し、ラックには包埋カセットCAが複数設けられる。なお、本発明において、ラックは調整部材の一形態である。ここで、包埋カセットCAは、外寸法(本体)が40mm×28mm×6mm程度のノーマルサイズのカセットである。
カセットカゴ23は、箱状部材21の内部に、箱状部材21の移動方向(前後方向)に略直交する方向、すなわち横方向に並んで複数設けられている。図2に示す形態では、3個のカセットカゴ23が横方向に並んで設けられている。
保持ベース24は、平面視略長方形状であり、長手方向が箱状部材21の移動方向である前後方向に沿って延設されている。保持ベース24は、カセットカゴ23の内部に設けられている。
箱状部材21の下方には、受け皿35が設けられている。受け皿35は、箱状部材21に検体が包埋された包埋カセットが設けられた際に、ホルマリンやキシレンが外部に漏れないようにする。
ここで、複数の包埋カセット(ここでは、包埋カセットCA及びキングサイズカセットCB)に対して印字を行う場合について説明する。
図3は、カセットカゴ23及び保持ベース24を有するラックの詳細を示す斜視図である。
保持ベース24は、略板状の底面部24aと、底面部24aに設けられた略板状の把持部24bとを有する。使用者が把持部24bを把持して、カセットカゴ23の内部に保持ベース24を設けたり、保持ベース24をカセットカゴ23から取り出したりする。したがって、カセットカゴ23への包埋カセットCAの出し入れが容易である。
保持ベース24の底面部24a(本発明におけるラックの底面に相当)は、カセットカゴ23の底面23aに沿って設けられており、長手方向が箱状部材21の移動方向(前後方向)に沿っている。また、底面部24aは、前後方向に沿っており、かつ底面21aに略直交する面で切断したときの断面形状が鋸刃状をなしている。鋸刃状の谷部24cと山部24dとは、交互に配置されており、保持ベース24の底面部24aの長手方向にわたって形成されている。
谷部24cと山部24dとの間の傾斜面24eに包埋カセットCAが載置される。包埋カセットCAが傾斜面24eに載置されたときに、加工面W1が略水平となる。
図4は、カセットカゴ23A及び保持ベース24Aを有するラックの詳細を示す斜視図である。本発明において、調整部材の一形態であるラックは、カセットカゴ23A及び保持ベース24Aを有し、このラックには、包埋カセットCAより大きい、例えば外寸法(本体)が65mm×28mm×13mm程度のキングサイズカセットCBが複数設けられる。
カセットカゴ23A(本発明のカゴに相当)は、箱状部材21の内部に、横方向に並んで複数設けられている。図3に示す形態では、3個のカセットカゴ23Aが横方向に並んで設けられている。カセットカゴ23Aは、カセットカゴ23に対して高さが異なる。
保持ベース24Aは、長手方向が箱状部材の移動方向である前後方向に沿って延設されている。保持ベース24Aは、略板状の底面部24Aaと、底面部24Aaに設けられた略板状の把持部24Abとを有する。底面部24Aa(本発明におけるラックの底面に相当)は、カセットカゴ23Aの底面部分に配置される。使用者が把持部24Abを把持して、カセットカゴ23Aの内部に保持ベース24Aを設けたり、保持ベース24Aをカセットカゴ23Aから取り出したりする。したがって、カセットカゴ23AへのキングサイズカセットCBの出し入れが容易である。
保持ベース24Aの底面部24Aaは、箱状部材の移動方向(前後方向)に沿っており、かつ、底面21Aaに略直交する面で切断したときの断面形状が鋸刃状をなしている。鋸刃状の谷部24Acと山部24Adとは、交互に配置されており、保持ベース24Aの底面部24Aaの長手方向にわたって形成されている。
谷部24Acと山部24Adとの間の傾斜面24AeにキングサイズカセットCBが載置される。キングサイズカセットCBが傾斜面24Aeに載置されたときに、加工面W2が略水平となる。
保持ベース24Aは、保持ベース24に対して高さ及び傾斜面の形状が異なる。保持ベース24Aの谷部24Acに対する山部24Adの高さは、保持ベース24の谷部24cに対する山部24dの高さより高い。
図5は、箱状部材21にカセットカゴ23、23Aが混載された様子を示す斜視図である。図6は、箱状部材21にカセットカゴ23、23Aが混載された様子を示す断面図である。図6では、要部を透視している。
カセットカゴ23、23Aの長さ(長手方向に沿った長さ)及び幅(長手方向に略直交する方向の長さ)は略同一であるため、箱状部材21にカセットカゴ23及びカセットカゴ23Aを混載することができる。すなわち、箱状部材21に包埋カセットCA及びキングサイズカセットCBを同時に配設することができる。
レーザ光照射部の光源からの距離を等しくするため、包埋カセットCA及びキングサイズカセットCBが箱状部材21に設けられた状態における加工面W1の高さと加工面W2の高さとを略一致させる。ただし、長さが異なる包埋カセットCA及びキングサイズカセットCBが箱状部材21に同時に設けられた状態において、加工面W1の高さと加工面W2の高さとを略一致させるため、図6に示すように、カセットカゴ23の高さとカセットカゴ23Aの高さを異ならせ、底面23aが設けられている高さと底面23Aaが設けられている高さを異ならせる。ここでは、カセットカゴ23、23Aを箱状部材21に設けたときに、底面23aの高さは底面23Aaの高さより高い。
また、包埋カセットCAとキングサイズカセットCBとの外形寸法の差異、及び包埋カセットCAの底面や側面に対する加工面W1の傾きとキングサイズカセットCBの底面や側面に対する加工面W2の傾きの差異により、保持ベース24の形状と保持ベース24Aの形状とに差異が生じる。具体的には、保持ベース24Aの底面部24Aaにおける谷部24Acに対する山部24Adの高さは、保持ベース24の底面部24aにおける谷部24cに対する山部24dの高さより高い。また、傾斜面24Aeの傾きは、傾斜面24eの傾きより小さい。
このように、複数の包埋カセットCAやキングサイズカセットCBを、加工面W1、W2の高さを揃えて箱状部材21に設けることで、複数の包埋カセットに対して一度に印字を行うことができる。
なお、このときに印字される包埋カセットCAやキングサイズカセットCBは、検体が包埋されていないのものでもよいし、ホルマリン漬けの検体が包埋された後のものでもよい。
なお、図6において、箱状部材21の底面21aとカセットカゴ23の底面23aとの間、及び箱状部材21の底面21aとカセットカゴ23Aの底面23Aaとの間には隙間が存在するが、この隙間には例えば図示しない高さ調整部材が設けられている。
また、図5、6においては、箱状部材21にカセットカゴ23、23Aが合計3個設けられているが、箱状部材21に設けられるカセットカゴ23、23Aの数はこれに限られない。例えば、箱状部材21にカセットカゴ23、23Aが1つだけ設けられていてもよい。
次に、1つの包埋カセットCAに対して印字を行う場合について説明する。図7は、箱状部材21に1つの包埋カセットCAを載置する様子を示す斜視図である。図8は、箱状部材21に1つの包埋カセットCAを載置する様子を示す平面図である。
箱状部材21の内部空間には、図示しない高さ調整部材(本発明の調整部材の一形態である)が設けられている。高さ調整部材は、例えば略直方体形状であり、水平に設けられた上面を有する。この上面には、被加工物(ここでは、包埋カセットCA)が載置される板状部材25が設けられている。板状部材25は、箱状部材21と共に前後方向に移動可能であり、また、高さ調整部材の上面に沿って摺動することで箱状部材21に対して前後方向に移動可能である。
板状部材25は、包埋カセットCAを載置する載置領域A(図8参照)を有する。図7では、包埋カセットCAは、加工面W1が奥側(反射鏡31a(後に詳述)側)を向くように板状部材25に載置されている。載置領域Aは、平面視において(上方から見たときに)包埋カセットCAと重なっているため図示を省略する。
また、箱状部材21を覆うように反射鏡ベース30が設けられている。反射鏡ベース30は、主として、土台部32と、板状部33と、を有する。反射鏡ベース30には、反射鏡31が設けられている。
土台部32は、箱状部材21の両側に設けられた脚32aと、脚32aの上に設けられた板状部32bとを有する。板状部33は、板状部32bの上に載置される板状の部材である。板状部33は略水平に設けられており、板状部33の上に反射鏡31が設けられている。
反射鏡31は、3個の反射鏡31a、31b、31cを有する。反射鏡31a、31b、31cは、それぞれ、水平面に対して傾斜する反射面を有する。反射鏡31b、31cは、反射面が対向するように、かつ、載置領域Aを挟むように配置されている。また、反射鏡31aは、反射鏡31b、31cと略直交して載置領域Aの外側に配置されており、反射面が載置領域Aを向くように配置されている。
上から照射された光は、反射鏡31a、31b、31cで反射して包埋カセットCAの加工面W1及び側面に照射される。また、反射鏡31a、31b、31cで反射した光は、加工面W1及び側面に対して垂直に入射する。これにより、加工面W1及び側面に印字が行われる。
次に、検体が包埋された被加工物を加工するときの脱臭機構について説明する。図9は、筐体11の内部構造の概略を示す斜視図である。図10は、筐体11の内部構造の概略を示す左側面図である。図9、10では、筐体11の前面11a及び図9、10における手前側の側面の図示を省略している。
脱臭領域S2は、印字領域S1に隣接して設けられた略箱状の空間である。脱臭領域S2は、印字領域S1の後方に配置されている。図9、10は排気口15が空いている状態を図示しており、開口部15aを介して印字領域S1と脱臭領域S2とが連通している。
脱臭領域S2には脱臭部40が設けられている。脱臭部40は、主として、第1脱臭部41と、第2脱臭部42と、ファン43とを有する。
ファン43は、筐体11の背面側の壁面11bに、開口部16を覆うように設けられている。ファン43は、開口部15aを介して印字領域S1の空気を脱臭領域S2にむけて流し、脱臭領域S2の空気を開口部16を介して筐体11の外部に排出する。
第1脱臭部41及び第2脱臭部42の幅は、脱臭領域S2の幅と略同一であり、第1脱臭部41及び第2脱臭部42の両側は脱臭領域S2の左右の壁面(壁面14と略直交する右壁面及び左壁面)に隣接している。したがって、印字領域S1から脱臭領域S2に流入した空気は、第1脱臭部41及び第2脱臭部42を通過して筐体11の外部に排出される。なお、脱臭領域S2の右壁面は壁面18であり、脱臭領域S2の左側面は筐体11の左側面(図示省略)である。
第1脱臭部41は、ホルムアルデヒドを吸収する薄板状のシート部材41aを複数有する。シート部材41aは、例えば、セルロース製不織布又はビスコース繊維製不織布に、ホルムアルデヒドを中和する薬剤(例えば、アンモニア)をしみ込ませたものである。シート部材41aは、印字領域S1の後側の壁面14と略平行に設けられており、前後方向に並んで配置されている。
図11は、第1脱臭部41の平面図である。第1脱臭部41は、主として、シート部材41aと、シート部材41aを保持する保持部材41cと、シート部材41a及び保持部材41cを固定する固定部材41bと、を有する。図11における矢印は、空気の流れを示す。
保持部材41cは、シート部材41aの背面及び側面を覆い、シート部材41aの前面を露出させる。したがって、印字領域S1から脱臭領域S2に流入した空気は、まずシート部材41aの前面にぶつかり、シート部材41aでホルムアルデヒドが吸収される。
シート部材41a及び保持部材41cの幅は、固定部材41bの幅より狭い。シート部材41a及び保持部材41cは、固定部材41bの一方の側面に当接するように設けられている。
シート部材41aは、左右交互に設けられている。具体的には、壁面14(図11における下側、図11では図示省略)から見て偶数個目のシート部材41aは、端が脱臭領域S2の右壁面(図11では図示省略)に隣接し、壁面14から見て奇数個目のシート部材41aは、端が脱臭領域S2の左壁面(図11では図示省略)に隣接する。
固定部材41bの両側面は脱臭領域S2の両壁面に当接しているため、脱臭領域S2に流入した空気は、シート部材41a及び保持部材41cの固定部材41bと当接していない側の側面と、脱臭領域S2の壁面との間を通過して後方に流れる。後方に流れた空気は、次のシート部材41aの前面に沿って流れることで、シート部材41aでホルムアルデヒドが吸収される。
このように、複数のシート部材41aを交互に配置することで、シート部材41aの前面に空気を当てる処理を複数回行うことができる。これにより、効率よくホルマリン臭を脱臭することができる。
図9、10の説明に戻る。第2脱臭部42は、活性炭を含む脱臭部材42aと、脱臭部材42aを固定する固定部材42bと、を有する。脱臭部材42aは、例えば多孔質板であり、内部に多数の活性炭の粉末が封入されている。第2脱臭部42は、染色工程で使用されるキシレン由来の強い臭いを脱臭する。
図12は、印字装置1の電気的な構成の一例を示す機能ブロック図である。印字装置1は、主として、制御部90と、記憶部91と、通信部92と、入力部94と、レーザ照射部95と、スライド機構96と、を備える。制御部90は、CPU(Central Processing Unit)90a及びメモリ90bを主に備えて構成される。制御部90では、メモリ90bや記憶部91等に格納された所定のプログラムをCPUが実行することにより、後述する各種の機能部として機能する。
記憶部91は、ハードディスク等で構成される。この記憶部91は、制御部90における処理の実行に必要な各種プログラムや各種の情報、及び処理結果の情報を記憶する。具体的には、記憶部91は、検体番号、患者番号等の印字情報を記憶する。
通信部92は、外部の装置と通信するための通信インターフェース等で構成される。通信部92は、例えば、図示しないサーバ装置との間で各種の情報を送受信する。
入力部94は、主として、タッチパネル94aと、フットスイッチ94bとを有する。ユーザがタッチパネル94aやフットスイッチ94bを操作すると、タッチパネル94aやフットスイッチ94bを介して信号が制御部90に入力される。制御部90は、入力部94からの指示に基づいてレーザ照射部95、スライド機構96等の印字装置1の各部を制御する。
レーザ照射部95は、図示しない光源を有し、光源からレーザ光を出射する。また、レーザ照射部95は、図示しない光学系と、光学系を移動させる移動部(アクチュエータ等の駆動部を含む)とを有し、光学系を移動させることでレーザ光の照射位置を変える。
スライド機構96は、図示しない駆動部(アクチュエータを含む)やセンサを有する。スライド機構96は、センサで箱状部材21の位置を確認しながら、アクチュエータで箱状部材21をスライドレール22に沿って移動させる。
なお、図12は、印字装置1が有する主要なハードウェア構成の一部を示しているに過ぎず、印字装置1は、情報処理装置が一般的に備える他の構成を備えることができる。また、印字装置1は、単一の情報処理装置により構成されるものであっても、通信ネットワーク上に分散した複数の情報処理装置により構成されるものであってもよい。
図13は、制御部90が行う処理の流れを示すフローチャートである。制御部90は、入力部94から指示が入力されると、扉13bを開き、スライド機構96を制御して箱状部材21を筐体11の外部に排出する(ステップS10)。その結果、箱状部材21の内部空間が露出し、被加工物が箱状部材21に配設可能となる。ここで、入力部94からの指示は、例えば、タッチパネル94aに表示されたソフトスイッチが押下されることにより行われる。
制御部90は、入力部94から指示が入力されると、スライド機構96を制御して箱状部材21を筐体11の内部に戻し、扉13bを閉じる(ステップS12)。
制御部90は、入力部94から指示が入力されると、記憶装置93に記憶されている印字情報を取得する(ステップS14)。ステップS14以降の処理は、フットスイッチ94bから指示を入力することが好ましい。なお、ステップS14において、制御部90は、通信部92を介して外部装置から印字情報を取得してもよいし、タッチパネル94aを介して入力された記号や数値等を印字情報として取得してもよい。また、ステップS14において、制御部90は、図示しない読取装置を用いてバーコードや二次元バーコードを読み取ることで印字情報を取得してもよい。
制御部90は、入力部94から指示が入力されると、レーザ照射部95を制御して被加工物に印字を行う(ステップS16)。ステップS10の後で箱状部材21にカゴ(カセットカゴ23、カセットカゴ23A)及び保持ベース(保持ベース24、保持ベース24A)を有するラックを介して包埋カセットCAやキングサイズカセットCBを複数設けた場合には、ステップS16において、複数の包埋カセットCAやキングサイズカセットCBに対して一度に印字を行う。また、ステップS10の後で箱状部材21に高さ調整部材及び板状部材25を設けて板状部材25に包埋カセットを載置した場合には、ステップS16において、反射鏡31を用いて包埋カセットの側面や加工面に印字を行う。
その後、制御部90は、入力部94から指示が入力されると、扉13bを開き、スライド機構96を制御して箱状部材21を筐体11の外部に排出する(ステップS18)。その結果、箱状部材21が露出し、印字済みの被加工物が取り出し可能になる。
本実施の形態によれば、箱状部材21にカゴ(カセットカゴ23、カセットカゴ23A)及び保持ベース(保持ベース24、保持ベース24A)を有するラックを介して包埋カセットCAやキングサイズカセットCBを複数設け、その加工面W1、W2の高さを揃えて箱状部材21に設けることで、一度に複数の包埋カセットに対して印字することができる。
また、本実施の形態によれば、箱状部材21にラックを複数設けるようにした為、任意のラックを組み合わせて箱状部材21に設けることができる。これにより、異なる大きさの包埋カセットを同時に箱状部材21に設けることができる。
また、本実施の形態によれば、複数の大きさのカセットカゴ23、23Aや保持ベース24、24Aを用いることで、異なる大きさの包埋カセットを同時に箱状部材21に設けることができる。その結果、異なる大きさの包埋カセットに対して同時に印字を行うことができる。
また、本実施の形態によれば、箱状部材21に高さ調整部材及び板状部材25を設けて板状部材25に包埋カセットを載置し、箱状部材21を覆うように反射鏡ベース30を設け、反射鏡ベースに反射鏡を設けることで、包埋カセットの加工面や側面にも印字を行うことができる。
また、本実施の形態によれば、レーザ照射部95から照射されたレーザ光を用いるため、ホルマリンやキシレンで濡れた被加工物に対しても印字を行うことができる。
また、本実施の形態によれば、印字領域S1に隣接して脱臭領域S2を設け、脱臭領域S2に脱臭部40を設けることで、ホルマリンやキシレンの臭いを脱臭することができる。
また、本実施の形態によれば、フットスイッチ94bから指示を入力することで、摘出された組織検体の切り出し作業中に印字装置1を手で触ることなく印字処理を行うことができる。
なお、本実施の形態では、図7、8に示すように3枚の反射鏡31を用いたが、反射鏡31の数や大きさはこれに限られない。例えば、載置領域の両側に設けられた2枚の反射鏡のみを用いてもよい。2枚の反射鏡の長さを板状部材25の前後方向の長さを略同じにし、前後方向に沿って複数の包埋カセットを板状部材25に載置してもよい。これにより、複数の包埋カセットに対して、包埋カセットの側面に印字を行うことができる。また、例えば、載置領域の後側の反射鏡31aのみを用いてもよい。これにより、包埋カセットの加工面W1に印字を行うことができる。また、包埋カセットを、加工面が手前側を向くように板状部材25に載置することで、包埋カセットの側面及び背面(加工面と反対側の面)に印字を行うこともできるし、包埋カセットを、加工面が横側を向くように板状部材25に載置することで、包埋カセットの加工面、背面及び一方の側面に印字を行うこともできる。
また、本実施の形態では、印字領域S1から脱臭領域S2に流入した空気は、ホルムアルデヒドの臭いを脱臭する第1脱臭部41と、キシレン由来の臭いを脱臭する第2脱臭部42を通過して筐体11の外部に排出されるが、脱臭領域S2に設けられる第1脱臭部41、第2脱臭部42の数及び配設位置はこれに限られない。例えば、第1脱臭部41及び第2脱臭部42を複数、交互に設けてもよい。また、例えば、第1脱臭部41を1つ設け、第1脱臭部41の両側にそれぞれ第2脱臭部42を設けてもよいし、第2脱臭部42を1つ設け、第2脱臭部42の両側にそれぞれ第1脱臭部41を設けてもよい。
また、本実施の形態では、カセットカゴ23に保持ベース24を着脱可能に設け、カセットカゴ23Aに保持ベース24Aを着脱可能に設けたが、カセットカゴ23及び保持ベース24は一体化された一部品であってもよいし、カセットカゴ23A及び保持ベース24Aも一体化された一部品であってもよい。また、カセットカゴ23及び保持ベース24が一部品である場合には、底面23aは必須なく、カセットカゴ23A及び保持ベース24Aが一部品である場合にも、底面23Aaは必須ではない。
また、本実施の形態では、底面23a、23Aaが鋸刃状をなしており、山部24d、24Adの部分が肉厚になっているが、底面23a、23Aaの板厚が略一定であってもよい。
また、本実施の形態では、カセットカゴ23とカセットカゴ23Aの高さが異なるが、カセットカゴ23、23Aの高さを統一して、カゴを共通化してもよい。この場合には、カセットカゴ23Aに保持ベース24Aや保持ベース24の底面を厚くした保持ベースを着脱可能に設けられるようにし、加工面W1、W2の高さを揃えることで、複数の被加工物に対して一度に印字することができる。
また、本実施の形態では、底面や側面に対して加工面W1、W2が傾いている包埋カセットCA及びキングサイズカセットCBを箱状部材21に設けたが、箱状部材21に設けられる包埋カセットはこれに限られない。箱状部材21には、様々な大きさや形状の包埋カセットを設けることができる。また、箱状部材21には、蓋を有する包埋カセットを設けることもできるし、蓋を有しない包埋カセットを設けることもできる。
<第1の実施の形態の変形例1>
被加工物として略直方体の包埋カセットを用いる場合について説明する。図14は、箱状部材21に外径が略直方体の包埋カセットCA’、CB’が混載された様子を示す断面図である。
カセットカゴ23B、23E(本発明のカゴに相当)が箱状部材21の内部に横方向に並んで設けられている。カセットカゴ23Bとカセットカゴ23Eとは高さが異なる。
カセットカゴ23B、23Eには、それぞれ保持ベース24B、24Eが設けられている。本発明のラックは、カセットカゴ23B及び保持ベース24Bを有し、カセットカゴ23E及び保持ベース24Eを有する。保持ベース24B、24Eは、底面部24Bg、24Egと、把持部24Bh、24Ehとを有する。底面部24Bg、24Eg(本発明におけるラックの底面に相当)は、略平板状であり、底面部24a、24Aaと異なり鋸刃状の断面形状を有しない。底面部24Bg、24Egは、カセットカゴ23B、23Eの底面23Bd、Edに配置される。
なお、保持ベース24B、24Eは、それぞれカセットカゴ23B、23Eに着脱可能に設けられていてもよいし、カセットカゴ23B、23Eと一体化されていてもよい。
包埋カセットCA’、CB’は、それぞれ、カセットカゴ23B、23Eの内部に直立した状態で設けられ、包埋カセットCA’、CB’の加工面W1’、W2’と反対側の面が底面部24Bg、24Egに当接する。
カセットカゴ23Bの高さとカセットカゴ23Eの高さが異なるため、カセットカゴ23B、23Eを箱状部材21に設けたときに、底面23Bdの高さは底面23Edの高さより高い。これにより、包埋カセットCA’、CB’が箱状部材21に設けられた状態における加工面W1’の高さと加工面W2’の高さとが略一致し、レーザ光照射部の光源からの距離が等しくなる。
<第1の実施の形態の変形例2>
被加工物としてスライドガラスを用いる場合について説明する。図15は、スライドガラスに印字を行う様子の概略を示す図である。スライドガラスに印字を行う場合には、箱状部材21に図示しないスライドガラス用カゴを設け、その内部に保持ベース24Cを設ける。
保持ベース24Cは、図示しないスライドガラス用カゴ(本発明のカゴに相当)の底面に沿って設けられている。本発明のラックは、スライドガラス用カゴ及び保持ベース24Cを有する。スライドガラス用カゴは、長手方向が箱状部材21の移動方向に沿って延設された平面視略長方形状の略箱状のカゴである。スライドガラス用カゴ及び保持ベース24Cは、長手方向が箱状部材21の移動方向(前後方向)に沿っている。また、保持ベース24C(本発明におけるラックの底面に相当)は、前後方向に沿っており、かつ底面21aに略直交する面で切断したときの断面形状が鋸刃状をなしている。鋸刃状の谷部24Ccと山部24Cdとは、交互に配置されており、保持ベース24Cの長手方向にわたって形成されている。
谷部24Ccと山部24Cdとの間の傾斜面24CeにスライドガラスGが載置される。スライドガラスGが傾斜面24Ceに載置されたときに、加工部Gaが上向きとなる。加工部Gaは、フロスト加工されており、表面をレーザで削ることで印字が行われる。
このように、略箱状のカゴと、カゴの内部に設けられた保持ベース24Cとを有するラックを用いることで、複数のスライドガラスに対して一度に印字を行うことができる。
なお、血液等が塗抹された塗抹スライドガラスを用いる場合には、図7に示す板状部材25の上に、加工部Gaが上向きとなるようにスライドガラスGを載置し、上方から加工部Gaにレーザ光を照射してもよい。この場合には、反射鏡31は不要である。
また、箱状部材21に、スライドガラス用カゴ及び保持ベース24Cと、カゴ(カセットカゴ23、カセットカゴ23A)及び保持ベース(保持ベース24、保持ベース24A)を一緒に設けることも可能である。そのため、スライドガラスGが傾斜面24Ceに載置されたときの加工部Gaの高さと、傾斜面24e、24Aeに載置されたときの加工面W1、W2の高さとが揃うように、スライドガラス用カゴ及び保持ベース24Cの高さを設定すればよい。
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態は、印字済みの包埋カセットを1つずつ落下させる落下機構を有する形態である。以下、第2の実施の形態にかかる印字装置2について、第1の実施の形態にかかる印字装置1との差異を中心に説明する。また、以下の説明において、印字装置1と同一の部分については同一の符号を付し、説明を省略する。
図16は、印字装置2の実施の形態を示す概略斜視図である。印字装置2は、主として、筐体11Aと、タッチパネル12とを有する。
筐体11の前面11aには、挿入部13及び排出部17が設けられている。排出部17は、開口部17aと、開閉可能に構成された扉17b(図17参照)とを有する。扉17bが閉まった状態では、開口部17aが扉17bにより覆われ、扉17bが開いた状態では、開口部17aを介して被加工物が筐体11から排出される。筐体11から排出された被加工物は、筐体11の前に載置された箱51に落下する。
図17は、筐体11Aの内部構造の概略を示す断面図である。図17では、扉17bが開いた状態を示している。
箱状部材21Aは、箱状部材21と同様に、筐体11の内部に設けられている。レーザ光照射部の光源は、箱状部材21Aの内部空間に設けられた被加工物に上方から光を照射する。
箱状部材21Aと箱状部材21との差異は、底面の構造である。箱状部材21Aの底面21cは、前後方向(図17における左右方向)に移動可能に設けられている。
箱状部材21Aの内部空間には、カセットカゴ23D(本発明のカゴに相当)が着脱可能に設けられる。カセットカゴ23Dには保持ベース24Dが設けられている。カセットカゴ23D及び保持ベース24Dは、ラックを構成し、キングサイズカセットCBが設けられる。
カセットカゴ23Dとカセットカゴ23Aとの差異は、底面の構造である。カセットカゴ23Dの底面23c(本発明におけるラックの底面に相当)は、前後方向(図17における左右方向)に移動可能に設けられている。
保持ベース24Dと保持ベース24Aとの差異は、底面の構造である。保持ベース24Dの底面24f(本発明におけるラックの底面に相当)は、鋸刃状の谷部24Dcで折り曲げ可能に構成されている。図示しない巻取機構は、底面24fを後ろ向きに巻き取る。
底面21c及び底面23cをキングサイズカセットCBの厚さに対応する幅で後方に平行移動させ、底面24fを後ろ向きに巻き取って底面24fを変形させて、キングサイズカセットCBの厚さに対応する幅だけ底面24fを短くする。その結果、キングサイズカセットCBは、1つだけ落下してスロープ52に当たる。
スロープ52は、箱状部材21Aの下側に設けられている。スロープ52は、筐体11の前面11aに近くなるにつれて低くなる傾斜を有する。スロープ52に落下したキングサイズカセットCBは、スロープ52の上面に沿って滑り、開口部17aから筐体11の外部に排出されて箱51に落下する。
図18は、印字装置2の電気的な構成の一例を示す機能ブロック図である。印字装置1は、主として、制御部90と、記憶部91と、通信部92と、入力部94と、レーザ照射部95と、スライド機構96と、落下機構97と、巻取機構98と、を備える。
落下機構97は、図示しない駆動部(アクチュエータを含む)やセンサを有する。落下機構97は、センサで底面21cや底面23cの位置を確認しながら、駆動部で底面21cや底面23cを前後方向に移動させる。
巻取機構98は、図示しない駆動部(アクチュエータを含む)やセンサを有する。巻取機構98は、センサで底面23cの位置や形状を確認しながら、駆動部で底面23cを巻き取って変形させる。
なお、図18は、印字装置2が有する主要なハードウェア構成の一部を示しているに過ぎず、印字装置2は、情報処理装置が一般的に備える他の構成を備えることができる。また、印字装置2は、単一の情報処理装置により構成されるものであっても、通信ネットワーク上に分散した複数の情報処理装置により構成されるものであってもよい。
図19は、制御部90が行う処理の流れを示すフローチャートである。制御部90は、入力部94から指示が入力されると、扉13bを開き、スライド機構96を制御して箱状部材21を筐体11の外部に排出する(ステップS10)。本実施の形態では、排出された箱状部材21にカセットカゴ23、23A及び保持ベース24、24Aを有するラックを介して包埋カセットCAやキングサイズカセットCBを複数設ける。次に、制御部90は、入力部94から指示が入力されると、スライド機構96を制御して箱状部材21を筐体11の内部に戻し、扉13bを閉じる(ステップS12)。
制御部90は、入力部94から指示が入力されると、印字情報を取得する(ステップS20)。ステップS20では、ステップS14と同様、記憶装置93に記憶されている印字情報を取得してもよいし、通信部92を介して外部装置から印字情報を取得してもよいし、タッチパネル94aを介して入力された記号や数値等を印字情報として取得してもよいし、図示しない読取装置を用いてバーコードや二次元バーコードを読み取ることで印字情報を取得してもよい。なお、本実施の形態では、ステップS20以降の処理において、フットスイッチ94bから処理を入力することが好ましく、以下フットスイッチ94bから指示を入力するものとする。
次に、制御部90は、フットスイッチ94bから指示が入力されると、レーザ照射部95を制御して被加工物に印字を行う(ステップS22)。ステップS22では、制御部90は、1つの被加工物に印字を行う。例えば、制御部90は、図示しないセンサや撮像部を用いて箱状部材21に設けられている被加工物を検出し、検出した被加工物の位置に応じてレーザ照射部95から照射されるレーザ光の位置を調整すればよい。
その後、制御部90は、フットスイッチ94bから指示が入力されると、落下機構97を制御して印字済みの被加工物を落下させる(ステップS24)。これにより、印字済みの被加工物のみが印字装置2から取り出される。
次に、制御部90は、すべての処理が終了したか判断する(ステップS26)。処理終了の指示は、例えばタッチパネル94aから入力される。すべての処理が終了していない場合(ステップS26でNO)には、制御部90は処理をステップS20に戻す。すなわち、制御部90は、次にフットスイッチ94bから指示が入力されたら、次の印字情報(例えば、検体番号に枝番を付加)を取得し(ステップS20)、取得した印字情報に基づいて印字処理を行い(ステップS22)、印字済みの被加工物を落下させる(ステップS24)。
すべての処理が終了した場合(ステップS26でYES)には、制御部90は一連の処理を終了する。
本実施の形態によれば、箱状部材21に複数の被加工物を設けておき、1つの被加工物に印字を行い、印字済みの被加工物のみを排出することができる。したがって、摘出された組織検体の切り出し作業中に順番に包埋カセットが必要になる状況において有用である。
また、本実施の形態によれば、フットスイッチ94bから指示を入力することで、摘出された組織検体の切り出し作業中に印字装置2を手で触ることなく、印字済みの被加工物を取得することができる。
なお、本実施の形態では、フットスイッチ94bを踏むことでフットスイッチ94bから指示を入力したが、フットスイッチ94bが複数のペダルを有する場合には、ペダル毎に処理を割り当てることで、フットスイッチ94bを介して制御部90に複数種類の指示を入力してもよい。また、例えば、フットスイッチ94bが1つのペダルのみを有する場合であっても、ペダルが操作された時間(ペダルを踏む時間)に応じて制御部90に異なる処理を入力するようにしてもよい。例えば、短い時間だけフットスイッチ94bが操作された場合には、タッチパネル94aに表示されたソフトスイッチの選択位置を移動させ、長い時間だけフットスイッチ94bが操作された場合には、選択されたソフトスイッチに対応する指示を制御部90に入力するようにしてもよい。
なお、本実施の形態では、スロープ52は前面11aに近くなるにつれて低くなる傾斜を有し、スロープ52に落下した被加工物は、スロープ52の上面に沿って滑り、開口部17aから筐体11の外部に排出されて箱51に落下したが、被加工物が排出されるのは前面11aに限られない。例えば、開口部17aが筐体の任意の外壁(例えば、側面)に設けられており、スロープ52は開口部17aが設けられた外壁に近くなるにつれて低くなる傾斜を有してもよい。これにより、印字済みの被加工物が筐体11の側面から排出される。
<第3の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態は、カセットカゴ23、23A及び保持ベース24、24Aを有するラック又は上面に板状部材25が載置された高さ調整部材を調整部材として用いたが、箱状部材21の内部空間に設ける調整部材はこれに限られない。
本発明の第3の実施の形態は、調整部材としてステーを箱状部材21の内部空間に設ける形態である。第1の実施の形態と第3の実施の形態とでは、調整部材のみが異なるため、以下、第3の実施の形態に係る調整部材について説明する。また、以下の説明において、印字装置1と同一の部分については同一の符号を付し、説明を省略する。
図20は、調整部材である側面ステー26の概略を示す斜視図であり、(A)は包埋カセットCAが設けられていない状態を示し、(B)は包埋カセットCAが設けられる様子を示す図である。図21は、側面ステー26を箱状部材21の内部に設けた様子を示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)は側面図である。
側面ステー26は、被加工物である包埋カセットCA(ここでは、蓋無しの包埋カセットCA)を横向きに載置する部材であり、樹脂(例えば、ABS樹脂)で形成されている。側面ステー26に包埋カセットCAが設けられると、包埋カセットCAの側面が側面ステー26から露出する。
側面ステー26は、主として、把持部26aと、凹部26b、26cと、溝26gとを有する。側面ステー26は直方体形状であり、側面ステー26を箱状部材21の内部に設けたときに、箱状部材21の開口部から側面ステー26の上面26hが露出する。
把持部26aは、上面26hから上向きに突出する部材である。使用者が把持部26aを把持して、側面ステー26を箱状部材21に設けたり、側面ステー26を箱状部材21から取り出したりする。本実施の形態では、把持部26aは板状であるが、把持部26aの形状はこれに限られず、例えば棒状でもよい。また、把持部26aの位置もこれに限られない。
凹部26b、26cは、上面26hに設けられており、包埋カセットCAが内部に設けられる。凹部26b、26cは、長手方向が箱状部材の移動方向(前後方向)に沿って延設されている。図20、21において、前後方向を矢印で示す。
凹部26b、26cの幅L1は、包埋カセットCAの奥行きL3と略等しい。また、凹部26b、26cの深さL2は、包埋カセットCAの幅L4より小さい。したがって、凹部26b、26cに包埋カセットCAが設けられると、包埋カセットCAの一部が上面26hから突出し、包埋カセットCAの側面が側面ステー26から露出する。
本実施の形態では、凹部26b、26cには、それぞれ、横向きにした包埋カセットCAが最大10個ずつ設けられる(図20(B)参照)。したがって、側面ステー26には合計20個の包埋カセットCAを設けることができる。凹部26b、26cに設けられる包埋カセットCAが10個より少ない場合には包埋カセットCAが不安定であるため、仕切り板61(後に詳述)を用いて凹部26b、26cを仕切り、包埋カセットCAが倒れないようにする。
なお、本実施の形態では、包埋カセットCAの前面(傾斜面)が左側に向き、かつ、開口面が手前側に向いた状態で凹部26b、26cに設けられるが、包埋カセットCAの向きはこれに限られない。例えば、凹部26b、26cの内部に設けられたときに、包埋カセットCAの前面が右側に向いていてもよいし、包埋カセットCAの開口面が奥側に向いていてもよい。
側面26d、26eは凹部26bの前後方向に沿った側面であり、側面26dと側面26eとは対向している。側面26e、26fは凹部26cの前後方向に沿った側面であり、側面26eと側面26fとは対向している。側面26d、26e、26fには、それぞれ、複数の溝26gが設けられている。溝26gには、仕切り板61が着脱可能に設けられる。
仕切り板61は、収納時には、上面26hに設けられた溝26iに挿入されている。仕切り板61は、全体として板状であり、板状の本体部61aと、溝26gに挿入される突起部61bと、本体部61aの上側に設けられた把持部61cとを有する。突起部61bは、本体部61aの両側から外向きに突出している。使用者は、把持部61cを把持して、仕切り板61を溝26iから引き抜き、突起部61bを溝26gに挿入する。
側面26d、26e、26fの長手方向が前後方向に沿っているため、側面26dに形成されている溝26g、側面26eに形成されている溝26g及び側面26fに形成されている溝26gは、平面視において、前後方向の位置が同じである。したがって、側面26d、26eに設けられた溝26gに突起部61bが設けられると、本体部61aが左右方向に延設されて凹部26bを仕切る(図21参照)。また、側面26e、26fに設けられた溝26gに突起部61bが設けられると、本体部61aが左右方向(長手方向と略直交する方向)に延設されて凹部26cを仕切る。
図21では、凹部26bに包埋カセットCAが5個設けられている様子を示す。なお、図21では、2枚の仕切り板61のうちの1枚の図示を省略している。溝26gの間隔は包埋カセットCAの高さhと略同じであるため、包埋カセットCAの数に応じて仕切り板61を設ける溝26gを選択することで、仕切り板61が包埋カセットCAに当接し、包埋カセットCAが安定して凹部26bの内部に設けられる。
本実施の形態によれば、箱状部材21に側面ステー26を介して包埋カセットCAを複数設けることで、一度に複数の包埋カセットCAに対して印字することができる。また、箱状部材21に設ける側面ステー26が1つであるため、包埋カセットCAの設置が簡便である。
なお、本実施の形態では、側面ステー26が2つの凹部26b、26cを有したが、側面ステー26が有する凹部の数は2個に限られず、1つでもよいし、3つ以上でもよい。また、凹部26b、26cの大きさ、配置もこれに限られない。本実施の形態では、2つの凹部26b、26cが左右方向に隣接して配置されているが、複数の凹部が前後方向に隣接して配置されていてもよい。また、凹部26b、26cの長手方向が前後方向に沿っているが、凹部26b、26cの長手方向が左右方向に沿っていてもよい。
また、本実施の形態では、凹部26b、26cの前後方向に沿った側面26d、26e、26fにそれぞれ溝26gが設けられているが、凹部26b、26cの左右方向に沿った2つの側面に溝26gが設けられていてもよい。この場合には、平面視において、溝26gの前後方向における位置を同じにすればよい。
また、本実施の形態では、凹部26b、26cは包埋カセットCAが設けられる大きさで形成されているが、例えば1つの凹部を包埋カセットCAが設けられる大きさで形成し、他の凹部をキングサイズカセットCBが設けられる大きさで形成してもよい。キングサイズカセットCBは包埋カセットCAより大きいため、キングサイズカセットCBが設けられる凹部の大きさ及び深さを包埋カセットCAが設けられる凹部の大きさ及び深さより大きくし、凹部に設けられた包埋カセットCAとキングサイズカセットCBとの高さが略一致するようにすればよい。その結果、異なる大きさの包埋カセットに対して同時に印字を行うことができる。また、例えば、1つの凹部を横向きの包埋カセットCA(キングサイズカセットCBでもよい)が設けられる大きさで形成し、他の凹部を縦向きの包埋カセットCA(キングサイズカセットCBでもよい)が設けられる大きさで形成してもよい。また、例えば、1つの凹部の底面(又はその一部)を、底面に略直交する面で切断したときの断面形状が鋸刃状をなすようにしてもよい。
また、本実施の形態では、1つの側面ステー26を箱状部材21に設けたが、複数の側面ステー26を箱状部材21に設けるようにしてもよい。例えば、包埋カセットCAを横向きに載置する側面ステーと、キングサイズカセットCBを横向きに載置する側面ステーとを用意し、所望の側面ステーを組み合わせて箱状部材21に設けるようにしてもよい。
<第3の実施の形態の変形例1>
第3の実施の形態では、溝26gに仕切り板61を挿入して仕切り板61を包埋カセットCAに当接させることで、包埋カセットCAを安定させたが、包埋カセットCAを安定させる方法はこれに限られない。図22は、変形例にかかる側面ステー26Aの概略を示す斜視図であり、(A)は包埋カセットCAが設けられていない状態を示し、(B)は包埋カセットCAが設けられた状態を示す。
側面ステー26Aは、主として、把持部26aと、凹部26m、26nと、仕切り板26jとを有する。側面ステー26と同様に、側面ステー26Aは直方体形状であり、側面ステー26Aを箱状部材21の内部に設けたときに、箱状部材21の開口部から側面ステー26Aの上面26hが露出する。
凹部26m、26nは、上面26hに設けられており、包埋カセットCAが内部に設けられる。凹部26m、26nは、長手方向が前後方向(図22の矢印参照)に沿って延設されている。凹部26m、26nには、それぞれ、左右方向に沿った仕切り板26jが複数設けられている。
仕切り板26jの間隔は包埋カセットCAの高さhと略一致する。そのため、包埋カセットCAが凹部26m、26nの仕切り板26jにより仕切られた空間に挿入されると、仕切り板26jが包埋カセットCAに当接し、包埋カセットCAが安定して凹部26m、26nの内部に設けられる。
<第3の実施の形態の変形例2>
第3の実施の形態では、溝26gに仕切り板61を挿入して仕切り板61を包埋カセットCAに当接させることで、包埋カセットCAを安定させたが、包埋カセットCAを安定させる方法はこれに限られない。図23は、変形例にかかる側面ステー26Bの概略を示す斜視図であり、(A)はキングサイズカセットCBが設けられていない状態の斜視図であり、(B)はキングサイズカセットCBが設けられていない状態の平面図であり、(C)はキングサイズカセットCBが設けられた状態の斜視図である。
側面ステー26Bは、主として、把持部26aと、凹部26oと、凸部26pとを有する。側面ステー26と同様に、側面ステー26Bは直方体形状であり、側面ステー26Bを箱状部材21の内部に設けたときに、箱状部材21の開口部から側面ステー26Bの上面26hが露出する。
凹部26oは、上面26hに設けられており、横向きのキングサイズカセットCBが内部に設けられる。凹部26oは、長手方向が前後方向(図23の矢印参照)に沿って延設されている。凹部26oには、それぞれ、凹部26oの内部に向けて突出する凸部26pが複数設けられている。
凸部26pは、凹部26oの前後方向に沿った2つの側面26q、26rに設けられる。凸部26pの側面は左右方向に沿っており、凸部26pの先端面は前後方向に沿っている。凸部26pの幅は、キングサイズカセットCBの高さと略同一である。
凹部26oは、側面26q、26rに交互に設けられている。言い換えれば、側面26qに設けられた凸部26pと、側面26rに設けられた凸部26pとは対向しない。したがって、凸部26pにより、凹部26oに設けられたキングサイズカセットCBのうち、隣接するキングサイズカセットCBは、左右方向の位置がずれている。
また、凹部26oに設けられたキングサイズカセットCBは、凸部26pに当接し、凸部26pにより左右方向及び前後方向に位置決められる。したがって、キングサイズカセットCBが安定して凹部26oの内部に設けられる。
なお、本変形では、凹部26oにキングサイズカセットCBを設けたが、凹部26oに設けられるカセットはキングサイズカセットCBに限られず、例えば凹部26oに包埋カセットCAを設けてもよい。また、凸部26pの大きさ及び位置は図示した形態に限られない。また、図23では、凹部26oにキングサイズカセットCBが設けられたが、大きさが異なる複数種類の凸部を設けることで、凹部26oにキングサイズカセットCB及び包埋カセットCAを設けることができる。
また、本変形例では、凹部26oの前後方向に沿った側面26q、26rに凸部26pが設けられているが、凹部26oの左右方向に沿った2つの側面に凸部が設けられていてもよい。この場合には、凸部の側面は前後方向に沿っており、凸部の先端面は左右方向に沿っていればよい。
<第4の実施の形態>
本発明の第4の実施の形態は、第3の実施の形態と同様に、調整部材としてステーを箱状部材21の内部空間に設ける形態である。第1の実施の形態と第4の実施の形態とでは、調整部材のみが異なるため、以下、第4の実施の形態に係る調整部材について説明する。また、以下の説明において、印字装置1と同一の部分については同一の符号を付し、説明を省略する。
図24は、調整部材であるホルマリン対応側面ステー27の概略を示す斜視図であり、(A)は包埋カセットCAが設けられた状態を示し、(B)は分解斜視図である。図25は、ホルマリン対応側面ステー27を箱状部材21の内部に設けた様子を示す図である。図24、25において、箱状部材の移動方向(前後方向)を矢印で示す。また、図25では、箱状部材21の内部の様子を透視している。
ホルマリン対応側面ステー27は、被加工物である包埋カセットCAを横向きに載置する部材であり、樹脂(例えば、ABS樹脂)で形成されている。ホルマリン対応側面ステー27は、ホルムアルデヒドに浸漬された検体が封入された包埋カセットCAに対応可能である。ホルマリン対応側面ステー27に包埋カセットCAが設けられると、包埋カセットCAの側面がホルマリン対応側面ステー27から露出する。
ホルマリン対応側面ステー27は、内部が空洞の略直方体形状の部材であり、主として、下側パーツ28と、上側パーツ29とを有する。ホルマリン対応側面ステー27を箱状部材21の内部に設けると、上側パーツ29の天面29aが箱状部材21から露出する。
下側パーツ28と上側パーツ29とは、例えばねじ63により結合されており、下側パーツ28と上側パーツ29とは着脱可能に設けられている。すなわち、下側パーツ28に対して上側パーツ29、すなわち天面29aが着脱可能に構成されている。
下側パーツ28(本発明の第2底面に相当)は、ホルムアルデヒドを吸収する薄板状のシート部材62が載置される略板状の部材である。シート部材62は、例えば、セルロース製不織布又はビスコース繊維製不織布に、ホルムアルデヒドを中和する薬剤(例えば、アンモニア)をしみ込ませたものである。
下側パーツ28は、シート部材62が設けられる凹部28aを有する。平面視において、凹部28aの大きさとシート部材62の大きさとは略同一である。凹部28aは、手前側の側面に開口しており、その開口部28eがシート部材62の挿入口となる。
凹部28aの底面28bには、孔28c及び切り欠き28dが設けられている。平面視において、孔28cは、長手方向が前後方向に沿った長孔であり、切り欠き28dは半円形状である。孔28c及び切り欠き28dは、開口部28eから挿入されたシート部材62を凹部28aの内部に設置するのに用いられる。例えば、孔28cは、使用者が指を入れて開口部28eから挿入されたシート部材62を奥まで押し込んだり、シート部材62を取り出す際に孔28cから露出しているシート部材62を指で挿入口方向へ押しだしたりするのに使用可能である。また、例えば、切り欠き28dは、凹部28a内に設けられたシート部材62を把持して凹部28aから取り出すのに使用可能である。
開口部28eには、凹部28a内に設けられたるシート部材62が開口部28eからズレ落ちないように、突起28fが設けられている。突起28fは、開口部28eの左右両側に、開口部28eの開口面積が狭くなるように、内側に向けて突出している。
上側パーツ29は、下側パーツ28の上側を覆うように設けられている。上側パーツ29は、天面29aと、天面29aの各辺に当接する4枚の側面29bとを有し、内部が空洞である。
天面29aには、横向きの包埋カセットCAが挿入される孔29cが複数形成されている。孔29cに包埋カセットCAを挿入することで、被加工物の数によらず、被加工物を安定してホルマリン対応側面ステー27に設けることができる。
なお、図24、25では、包埋カセットCAの前面(傾斜面側)が左側に向き、かつ、蓋が手前側に向いた状態で孔29cに挿入されるが、包埋カセットCAの向きはこれに限られない。例えば、包埋カセットCAの前面が右側に向いた状態で孔29cに挿入されてもよいし、包埋カセットCAの蓋が奥側に向いた状態で孔29cに挿入されてもよい。
孔29cには、半円状の凹部29dが形成されていてもよい。被加工物として、蓋に突起が付いた包埋カセット(図示せず)を用いる場合には、蓋の突起が凹部29dに挿入されるように、包埋カセットを孔29cに挿入することができる。このとき、包埋カセットは、前面が右側に向いた状態で孔29cに挿入することもできるし、前面が左側に向いた状態で孔29cに挿入することもできる。
包埋カセットCAが孔29cに挿入された状態では、包埋カセットCAの側面がシート部材62に当接する。したがって、検体からホルムアルデヒドが漏れたとしても、ホルムアルデヒドがシート部材62に吸収されるため、臭いが軽減される。
また、天面29aには、突起29eが設けられている。突起29eは、天面29aから、左右方向外側に向けて突出している。したがって、ホルマリン対応側面ステー27を箱状部材21の内部空間に設けると、突起29eが箱状部材21に当接することでホルマリン対応側面ステー27の上下方向が位置決めされる。そして、ホルマリン対応側面ステー27を箱状部材21に設けたときに、天面29aが箱状部材21から露出する。
また、4枚の側面29bのうちの前後方向に沿った2つの側面、及び、下側パーツ28のうちの前後方向に沿った2つの側面が箱状部材21の側面21bに当接することで、ホルマリン対応側面ステー27の左右方向が位置決めされる。
本実施の形態によれば、箱状部材21にホルマリン対応側面ステー27を介して包埋カセットCAを複数設けることで、一度に複数の包埋カセットCAに対して印字することができる。また、本実施の形態によれば、下側パーツ28にシート部材62を設けるため、包埋カセットCAにホルムアルデヒドに浸漬された検体が封入されている場合にも、包埋カセットCAの側面に印字を行うことができる。
また、本実施の形態によれば、シート部材62を用いることでホルムアルデヒドの臭いを低減することができる。特に、ホルマリン対応側面ステー27を脱臭部40と合わせて使用することで、ホルムアルデヒドの臭いを確実に除去することができる。
また、本実施の形態によれば、上側パーツ29が交換可能であるため、異なる大きさの被加工物に対応することができる。例えば、横向きのキングサイズカセットCBが挿入可能な大きさの孔を天面に複数形成した上側パーツを用意し、この上側パーツと包埋カセットCAに対応する上側パーツ29とを使い分けることで異なる大きさの被加工物に対応することができる。
なお、本実施の形態では、異なる形状の被加工物に対応するため、上側パーツ29を交換することで天面29aを交換にしたが、異なる大きさの被加工物に対応する方法はこれに限られない。例えば、天面29aを側面29bから着脱可能に構成(例えば、スライド式)し、天面29aを交換して異なる大きさの被加工物に対応してもよい。
また、本実施の形態では、天面29aに孔29cが5つ設けられていたが、天面29aに設けられる孔の位置及び数はこれに限られない。また、天面29aは横向きのキングサイズカセットCBが挿入される孔を設けてもよい。
また、本実施の形態では、天面29aに設けられた突起29eにより、ホルマリン対応側面ステー27の上下方向を位置決めしたが、ホルマリン対応側面ステー27の上下方向の位置決め方法はこれに限られない。例えば、下側パーツ28に高さ調整用の凸部を設け、凸部を箱状部材21の底面21a(図2参照)に当接させることで、ホルマリン対応側面ステー27の上下方向に位置決めしてもよい。
また、本実施の形態では、ホルマリン対応側面ステー27にシート部材62を設けたが、シート部材62を設ける調整部材はホルマリン対応側面ステー27に限られない。例えば、保持ベース24の底面部24aに多数の孔を設け、底面部24aとカセットカゴ23の底面23aとの間にシート部材62を設けてもよい。
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
また、本発明において、「略」とは、厳密に同一である場合のみでなく、同一性を失わない程度の誤差や変形を含む概念である。例えば、略平行、略直交とは、厳密に平行、直交の場合には限られない。また、例えば、単に平行、直交等と表現する場合においても、厳密に平行、直交等の場合のみでなく、略平行、略直交等の場合を含むものとする。また、本発明において「近傍」とは、例えばAの近傍であるときに、Aの近くであって、Aを含んでも含まなくてもよいことを示す概念である。