JP7252525B1 - 厚鋼板の脆性亀裂伝播停止性能の評価方法 - Google Patents

厚鋼板の脆性亀裂伝播停止性能の評価方法 Download PDF

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Abstract

厚鋼板の脆性亀裂伝播停止性能の評価方法を提供する技術である。板厚50mm以上の厚鋼板の脆性亀裂伝播停止性能を、板厚中央位置と、板厚中央位置とは異なる破面形態を示す板厚中間位置における特性値を小型試験であるシャルピー衝撃試験を用いてそれぞれ評価し、得られた特性値を組み合わせて、大型試験で得られる厚鋼板の脆性亀裂伝播停止性能を推定する。板厚中央位置では、圧延方向から時計回りにまたは反時計回りにα°(:15~45°の範囲の角度)回転したR方向に採取した試験片を用いるR方向Vノッチシャルピー衝撃試験の遷移温度TctRで、板厚中間位置では、圧延方向に採取した試験片を用いるL方向Vノッチシャルピー衝撃試験の破面遷移温度TmtLで評価し、それらを組み合わせた遷移温度Twを用いて、厚鋼板の脆性亀裂伝播停止性能を推定する。これにより、厚鋼板の脆性亀裂伝播停止性能を、簡便かつ精度よく評価することができる。

Description

本発明は、板厚が40mm以上の厚鋼板の脆性亀裂伝播停止性能の評価方法に係り、とくに小型試験片を用いた簡便な評価方法に関する。
船舶、海洋構造物、低温貯蔵タンクおよび建築・土木構造物等の大型構造物において、脆性破壊に伴う事故が発生すると、経済や環境に大きな影響を及ぼす。そのため、とくに大型構造物に対しては常に、構造物の安全性向上が求められている。使用される鋼材に対しては、使用温度において優れた靭性、優れた脆性破壊伝播停止性能を有することが要求されている。
脆性破壊伝播停止性能の評価は、従来から、ESSO試験や二重引張試験に代表される大型試験によって行われている。しかし、これらの大型試験は、多くの日数や多大の費用を要するため、簡便に行うことが難しいという問題がある。そのため、WES 3003-1995には、Vノッチシャルピー衝撃試験の破面遷移温度vTrsから脆性破壊伝播停止性能を予測する手法が制定されている。しかし、近年開発された、板厚50mmを超える鋼材に対しては、予測精度が悪く、簡便に評価を行うことが難しいという状況にある。
例えば、特許文献1には、板厚中心部および表面から板厚の1/4の位置から採取しプレスノッチを導入したシャルピー衝撃試験片を用いて、シャルピー衝撃試験を行い、それぞれ得られた、脆性破面率が75%となる破面遷移温度に基づいて、脆性破壊伝播停止性能を評価する、厚鋼板の脆性破壊伝播停止性能の評価方法が記載されている。
また、特許文献2には、50mm以上の厚鋼板の脆性破壊伝播停止性能を小型試験で評価するにあたり、厚鋼板の板厚の中心部位置から採取した、矩形断面が100mm超えの変形プレスノッチシャルピー試験片を用いてシャルピー衝撃試験を実施し、得られた、吸収エネルギーが特定値を示す遷移温度、あるいは脆性破面率が特定値を示す遷移温度BATTに基づいて、脆性破壊伝播停止性能を評価する、厚鋼板の脆性破壊伝播停止性能の評価方法が記載されている。
また、非特許文献1には、板厚方向各位置で靭性に分布があることに起因して、ESSO試験により求まる脆性破壊伝播停止性能Kca値は、低靭性領域の影響を強く受けるとして、板厚方向各位置における靭性値をその鋼板の面積平均値とし、板厚中央部の値を重み付けして脆性破壊伝播停止性能を評価する技術が記載されている。
特開2011-33457号公報 国際公開第2014/208072号
溶接学会全国大会講演概要vol.49(1991), p.108
しかしながら、特許文献1に記載された技術は、厚鋼板の板厚中心部および表面から板厚の1/4の位置から採取したプレスノッチシャルピー衝撃試験片を用いて、脆性破壊伝播停止性能を評価しており、表層の靭性値が反映されていない。したがって、表層におけるシアリップ発生が脆性亀裂伝播停止に大きく影響するような厚鋼板では、脆性亀裂伝播停止靭性値Kcaとの相関性が低くなる。また、シアリップ発生が少ないが、板厚方向での破壊形態が大きく異なるような厚鋼板では、脆性亀裂伝播停止靭性値Kcaとの相関性が低くなるという問題がある。さらに、脆性破壊伝播停止性能が高い鋼板では、板厚1/4位置でのプレスノッチシャルピー衝撃試験において、ノッチ底からの脆性亀裂の発生が困難な場合がある。よって、適正なプレスノッチシャルピー衝撃試験結果を得ることが難しいという問題があった。
また、特許文献2に記載された技術では、通常のシャルピー衝撃試験と同様のサイズのプレスノッチシャルピー衝撃試験片を用いて、試験片を板厚中央部1箇所から採取して、厚鋼板の脆性亀裂伝播停止性能を評価している。その評価では、板厚60~80mmの厚鋼板においては、プレスノッチシャルピー衝撃試験を用いた小型試験結果により得られた特性値と厚鋼板の脆性亀裂伝播停止性能の間には高い相関性が見られた。しかし、板厚が80mmを超えてさらに厚くなる場合には、精度が低下する場合があるという問題があった。
そこで、本発明は、小型試験を用いる簡便な方法で、厚鋼板の脆性亀裂伝播停止性能を精度高く評価できる、厚鋼板の脆性亀裂伝播停止性能の評価方法を提供することを目的とする。なお、本発明が対象とする厚鋼板は、板厚:50mm以上、好ましくは120mm以下で、好ましくは、板厚中央部、板厚中間位置で、脆性亀裂伝播形態が変化する厚鋼板とする。
ここでいう「板厚中央部」は、板厚の1/2位置(板厚中央位置)を中心として、板厚の3/8~5/8位置の範囲というものとする。また、「板厚中間位置」は、板厚の1/6~3/8位置、および板厚の5/8~5/6位置の板厚中央部から対称的に離れた位置をいうものとする。
本発明者らは、上記した目的を達成するため、まず、最近の厚鋼板9種(板厚100mm;EH40~EH47級)について、大型試験であるESSO試験を実施しKcaが8000N/mm3/2となる温度TKca=8000(℃)を求めた。同時に小型試験であるプレスノッチシャルピー衝撃試験(試験片10mm角×長さ55mm)を実施し、吸収エネルギーが40Jとなる温度E40J(℃)を求めた。なお、プレスノッチシャルピー衝撃試験は、板厚中央位置1箇所から採取した試験片(L方向試験片)を用いた。
得られた温度TKca=8000(℃)と温度E40J(℃)との相関関係から、回帰式として、次(a)式を得た。
Kca=8000=0.93×E40J+10.06 ・・・(a)
ここで、回帰残差σは13.30である。
(a)式を用いて得られたTKca=8000を予測TKca=8000*として、得られた温度TKca=8000(℃)と予測TKca=8000*(℃)との関係で図2に示す。「〇」で表記したものは、上記厚鋼板9種の試験値であり、またTKca=8000=予測TKca=8000*の関係式を破線で示している。
なお、この回帰式をもとに、バラツキの範囲(予測誤差:+2σ)内で温度TKca=8000の上限値を推定する推定式は、次(b)式で与えられる。
Kca=8000**=0.93×E40J+36.66 ・・・(b)
図2において、TKca=8000とTKca=8000**の関係は、TKca=8000=予測TKca=8000*の関係式の破線を、TKca=8000軸に増加させた、もう一方の破線である。
(b)式で与えられる推定式を用いて、例えば、TKca=8000が-10℃となるために必要な予測温度TKca=8000*(℃)(推定値)は-38℃となる。本実験で用いた厚鋼板9種はすべてTKca=8000がすべて―10℃未満であるものの、図2から、予測温度TKca=8000*(推定値)=-38℃を超える値を示す厚鋼板は4種もあり、予測温度TKca=8000*(推定値)以下となる比率は5/9(55%)と、推定精度が低いことがわかる。
このような最近の厚鋼板においては、板厚中央位置1箇所から採取した試験片によるプレスノッチシャルピー衝撃試験結果を用いる厚鋼板の脆性亀裂伝播停止性能の評価方法では、相関性に乏しい評価結果しか得られないことがわかる。相関性が低いため、安全側の検討に設定された2σ(予測誤差)が大きく、大型試験を実施すれば所望の脆性亀裂伝播停止性能を有していることを示すことができる厚鋼板まで、小型試験による「推定値を超える」と評価されることになる。
そこで、高い脆性亀裂伝播停止性能を有する最近の厚鋼板(板厚:100mm、EH40~47級)について、脆性亀裂伝播停止試験(CAT試験)を実施した。そしてまず、試験後、得られた大型試験片(試験温度:-30℃)の破面を観察した。試験片の破面形態を模式的に図1に示す。
切欠部4・脆化部5で発生した脆性亀裂は、試験部に突入して進展1し、板厚中央部では、実際の破面ではばらつきもあるが主亀裂3がおよそ斜め35°方向(荷重方向に垂直な平面に対して斜め35°方向)に進展したのち停止2する破面形態を示している。さらに、斜め方向に進展する主亀裂3の端で所定の間隔ごとに、表面から板厚方向に35%の位置から15%の位置まで、および、表面から板厚方向に65%の位置から85%の位置まで、比較的平坦に進展して停止する亀裂(平坦破面6)が複数、形成された破面形態となっている。これら平坦破面6は、各亀裂の発生位置の高さが異なることから、かなり大きなリガメントを有する階段状の段差7を形成していることになる。
このような破面形態から判断すると、この厚鋼板の脆性亀裂伝播停止性能は、板厚中央部の靭性に加えて、板厚中央部とは異なる破面を形成する部位(板厚中間位置)の靭性にも強く影響されていると言える。また、この厚鋼板の非貫通の試験片の観察から、亀裂伝播停止時には表層近傍はつながっていることが確認され、この種の厚鋼板では、表層近傍は、脆性亀裂伝播停止性能に影響することが少ないとの知見を得た。
このような板厚中央位置以外の板厚方向位置で板厚中央位置とは異なる破面形態を呈し、しかも延性亀裂やリガメントが多く存在する破面形態を示す場合には、亀裂前縁の動的応力拡大係数が低下し、亀裂伝播が停止しやすい状況になる。したがって、板厚中央位置とは異なる破面形態を呈する板厚方向位置(板厚中間位置)の靭性が、厚鋼板全体の脆性亀裂伝播停止性能に大きく影響するであろうと推察される。
このようなことから、板厚中央位置、および板厚中央位置とは異なる破面形態を示す板厚方向位置(板厚中間位置)で、所定の特性値を示す温度を小型試験でそれぞれ評価した。そして得られた所定の特性値を示す温度を組み合わせて厚鋼板の脆性亀裂伝播停止性能を推定すれば、厚鋼板の脆性亀裂伝播停止性能を、精度高く、信頼性高く評価できることに想到した。なお、上記した破面観察から、板厚中間位置は、比較的平坦に進展して停止する亀裂(平坦破面)が複数形成された、表面から板厚方向に35%の位置から15%の位置まで、および、表面から板厚方向に65%の位置から85%の位置まで、とすることが好ましいことを知見した。また、上記した板厚中間位置の範囲が、表面から板厚方向に25%の位置(板厚1/4t位置)を含むことから、板厚中間位置は、表面から板厚方向に25%の位置(板厚1/4t位置)で代表させてもよいことを知見した。
さらに、上記した大型試験片の破面観察から明らかなように、板厚中央部では、発生した脆性亀裂(主亀裂)は、試験部に突入してから、荷重方向と直交する平面に完全には沿わずに、荷重方向と直交する平面に対しおよそ斜め35°傾斜して進展し、停止する破面形態を示している。これに対し、板厚中央部における小型試験(シャルピー衝撃試験)では、通常、採取方向を圧延方向(L方向)とする試験片9を用いており、上記した大型試験の板厚中央部における脆性亀裂伝播挙動と異なる破面形態を示すことに注目した。
そこで、本発明者らは、板厚中央部における小型試験(シャルピー衝撃試験)を、採取方向が鋼板面内で圧延方向(L方向)から時計回りに、または反時計回りに角度α°回転した方向(R方向)とするR方向試験片を用いるシャルピー衝撃試験(以下、R方向シャルピー衝撃試験10とも称する)とすることに思い至った。これにより、小型試験における脆性亀裂の伝播挙動が、上記した大型試験の板厚中央部における脆性亀裂伝播挙動に近い、フラットな破面形態を呈することを知見した(図3参照)。
その結果、板厚中央部における小型試験では、試験片を圧延方向から時計回りにまたは反時計回りにα°回転したR方向に採取するR方向シャルピー衝撃試験10として、得られた所定の特性値を示す温度を求める。この値により大型試験における脆性亀裂伝播停止性能を予測すれば、更なる予測精度の向上が期待できることに想到した。なお、具体的には、α°は、上記した破面観察から、大型試験体の破面形態に合わせる観点から破面の進展方向に近い角度である、15~45°の範囲の角度とすることが好ましいことを知見した。なお、破面の進展方向は、複数の大型の脆性破壊試験の破面形態を評価した結果からばらつきがありながらも、主として15~45°程度の角度範囲にあることを見い出している。
一方、板厚中間位置では、板厚中央位置と破面形態が異なり、比較的平坦に脆性亀裂が進行することから、板厚中間位置における小型試験では、試験片を圧延方向に採取(L方向採取)するL方向シャルピー衝撃試験9とすることとした。
本発明は、上記した知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨は次のとおりである。
[1]厚鋼板の脆性亀裂伝播停止性能の評価方法であって、小型試験を用いて得られた所定の特性値を示す温度から大型試験により得られる脆性亀裂伝播停止性能を評価するに当たり、
前記厚鋼板の全厚試験片を用いた脆性亀裂伝播停止試験を行い、得られた破面の形態観察から、前記破面の進行方向を特定するとともに、板厚中央位置と異なる破面形態を示す板厚方向の位置範囲を板厚中間位置として特定し、
前記小型試験を、前記板厚中央位置では、前記厚鋼板の圧延方向を基準として、前記厚鋼板の板面と平行な面内で反時計回りにまたは時計回りに所定の角度α(°)回転したR方向に採取したVノッチシャルピー衝撃試験片を用いるR方向Vノッチシャルピー衝撃試験とし、前記板厚中間位置では、前記厚鋼板の圧延方向に採取したVノッチシャルピー衝撃試験片を用いるL方向Vノッチシャルピー衝撃試験として、
前記板厚中央位置におけるR方向Vノッチシャルピー衝撃試験の遷移温度TctRと、前記板厚中間位置におけるL方向Vノッチシャルピー衝撃試験の遷移温度TmtLとを組み合わせた、下記(1)式で定義される組合せ遷移温度Twとして、該組合せ遷移温度Twから、下記(2)式を用いて脆性亀裂伝播停止靭性Kcaがk1となる温度TKca=k1を推定し、厚鋼板の脆性亀裂伝播停止性能を評価することを特徴とする厚鋼板の脆性亀裂伝播停止性能の評価方法である。

Tw=B1×TmtL+B2×TctR ・・・(1)
Kca=k1=A1×Tw+C1 ・・・(2)
ここで、Tw:小型試験を用いて得られた組合せ遷移温度(℃)、TKca=k1:脆性亀裂伝播停止靭性Kcaがk1となる温度(℃)、TmtL:板厚中間位置におけるL方向Vノッチシャルピー衝撃試験の遷移温度(℃)、TctR:板厚中央位置におけるR方向Vノッチシャルピー衝撃試験の遷移温度(℃)、A1、B1、B2、C1:係数である。
[2]厚鋼板の脆性亀裂伝播停止性能の評価方法であって、小型試験を用いて得られた所定の特性値を示す温度から大型試験により得られる脆性亀裂伝播停止性能を評価するに当たり、前記厚鋼板の全厚試験片を用いた脆性亀裂伝播停止試験を行い、得られた破面の形態観察から、前記破面の進行方向を特定するとともに、前記板厚中央位置と異なる破面形態を示す板厚方向の位置範囲を板厚中間位置として特定し、
前記小型試験を、前記板厚中央位置では、前記厚鋼板の圧延方向を基準として、前記厚鋼板の板面と平行な面内で反時計回りにまたは時計回りに所定の角度α(°)回転したR方向に採取したVノッチシャルピー衝撃試験片を用いるR方向Vノッチシャルピー衝撃試験とし、前記板厚中間位置では、前記厚鋼板の圧延方向に採取したVノッチシャルピー衝撃試験片を用いるL方向Vノッチシャルピー衝撃試験として、
前記板厚中央位置におけるR方向Vノッチシャルピー衝撃試験の遷移温度TctRと、前記板厚中間位置におけるL方向Vノッチシャルピー衝撃試験の遷移温度TmtLとを組み合わせた、下記(1a)式で定義される組合せ遷移温度Twとして、該組合せ遷移温度Twから、下記(2a)式を用いて、CAT試験における脆性亀裂が伝播しない温度CATを推定し、厚鋼板の脆性亀裂伝播停止性能を評価することを特徴とする厚鋼板の脆性亀裂伝播停止性能の評価方法である。

Tw=E1×TmtL+E2×TctR ・・・(1a)
CAT=D1×Tw+F1 ・・・(2a)
ここで、Tw:小型試験を用いて得られた組合せ遷移温度(℃)、CAT:CAT試験における脆性亀裂が伝播しない温度(℃)、TmtL:板厚中間位置におけるL方向Vノッチシャルピー衝撃試験の遷移温度(℃)、TctR:板厚中央位置におけるR方向Vノッチシャルピー衝撃試験の遷移温度(℃)、D1、E1、E2、F1:係数である。
[3]前記所定の角度α(°)が、15~45°の範囲の角度であることを特徴とする[1]または[2]に記載の厚鋼板の脆性亀裂伝播停止性能の評価方法である。
本発明によれば、ESSO試験等の大型の脆性亀裂伝播停止試験を行うことなく、シャルピー衝撃試験等と同様なサイズの試験片を用いる小型試験による靭性評価結果から、厚鋼板の脆性亀裂伝播停止性能を、簡便かつ精度よく評価することができ、産業上格段の効果を奏する。
脆性亀裂伝播停止試験(CAT試験)後のCAT全厚試験片の破面形態の一例を模式的に示す説明図である。 ESSO試験により求めた温度TKca=8000と、板厚中央位置におけるプレスノッチシャルピー衝撃試験のエネルギー遷移温度E40Jから求めた予測温度(推定温度)TKca=8000*(TKca=8000**)との関係を示すグラフである。 大型試験(ESSO試験)の試験片板厚中央部における破面状況と小型試験(シャルピー衝撃試験)の試験片の採取方向との関係を模式的に示す説明図である。 ESSO試験により求めた温度TKca=8000と組合せ遷移温度から求めた予測温度(推定温度)TKca=8000*(TKca=8000**)との関係を示すグラフである。
本発明は、板厚40mm以上、好ましくは50mm以上120mm以下の厚鋼板の脆性亀裂伝播停止性能を、小型試験を用いて得られた所定の特性値を示す温度から評価する、厚鋼板の脆性亀裂伝播停止性能の評価方法である。
高い脆性亀裂伝播停止性能を有する最近の厚鋼板について、脆性亀裂伝播停止試験を実施し破面を観察すると、図1に模式的に示すような破面形態を呈する。すなわち、板厚中央部では、主亀裂(脆性亀裂)3が斜め35°方向に進展1したのち停止2している。さらに、斜め方向に進展する主亀裂3に隣接して所定の間隔ごとに、表面から板厚方向に35%の位置から15%の位置まで、および、表面から板厚方向に65%の位置から85%の位置まで、比較的平坦に進展して停止する平坦な亀裂(平坦破面6)が複数形成された破面形態を示している。これら平坦破面6は、主亀裂3が斜めに進展しているため各亀裂の発生位置の高さが異なり、これら平坦破面6の間でかなり大きなリガメントを有する階段状の段差(延性破面)7を形成している。
このような破面形態から判断すると、板厚中央位置の靭性に加えて、板厚中央位置とは異なる破面を形成する板厚方向位置(以下、板厚中間位置と称する)の靭性が厚鋼板全体の脆性亀裂伝播停止性能に大きく影響していると推察される。なお、この厚鋼板の非貫通の試験片の観察から、伝播停止時には表層近傍はつながっていることが確認され、この種の厚鋼板では、表層近傍は、脆性亀裂伝播停止性能に影響することは少ないといえる。
そこで、本発明では、まず、対象とする厚鋼板について、数枚、好ましくは3~5枚の全厚試験片を用いて適切な試験温度で、大型試験の脆性亀裂伝播停止試験を実施し、得られた試験片の破面形態を観察し、破面の進行方向を特定するとともに、板厚中央位置と異なる破面形態を示す板厚方向の位置範囲を板厚中間位置として特定する。なお、この種の厚鋼板では、板厚中間位置は、表裏面から(1/6~3/8)tの範囲の位置となることが多く、表裏面からt/4位置で代表してもよい場合が多い。なお、「板厚中央位置」、「板厚1/4位置」は、板厚の±5%の範囲を許容するものとする。すなわち、「板厚1/4位置」は、(1.05板厚)/4~(0.95板厚/4)の範囲を含むものとする。
全厚の大型試験としては、ESSO試験8、CAT試験、プレスノッチ曲げ試験等が例示されるが、本発明ではこれに限定されない。例えば、減厚試験片を用いるESSO試験8、CAT試験、プレスノッチ曲げ試験等としてもよいが、その場合には、板厚中央位置とは異なる破面形態を示す特性変化領域である板厚中間位置を含む試験片厚さとすることが肝要となる。なお、複数の板厚位置で小型試験を実施して、特性変化領域を見出すことができれば、大型試験片による破面観察を省略しても良い。
なお、本発明で使用する小型試験は、シャルピー衝撃試験とし、使用する試験片サイズは常用(例えば10mm角)のサイズとする。また、試験片に導入するノッチは、試験の簡便性の観点から、プレスノッチに代えて、Vノッチとする。
そして、本発明では、厚鋼板の脆性亀裂伝播停止性能は、板厚中央位置の所定の特性値を示す温度、および、板厚中央位置とは異なる破面形態を示す板厚中間位置の所定の特性値を示す温度に、大きく影響されていると考え、小型試験は、厚鋼板の板厚中央位置および板厚中間位置で行うこととした。
さらに、本発明では、上記した大型試験片の破面形態観察において、板厚中央部における主亀裂(脆性亀裂)3の進展1する方向を特定する。主亀裂3の進展方向は、大型試験片の荷重方向に直交する平面、すなわち、通常であれば、圧延方向に直交する平面、を基準とし、その平面とのなす角度を測定して求めるものとする。本発明が対象とする厚鋼板では、大型試験片の破面観察から、大型試験片の荷重方向に直交する平面とのなす角度で、α=15~45°の範囲の角度となることが多い。
そして、本発明では、大型試験片の脆性亀裂伝播状況と、小型試験の試験片の亀裂伝播状況とが近い状況となるように、小型試験の試験片を、厚鋼板の圧延方向11を基準にして、厚鋼板の板面と平行な面内で、時計回りにまたは反時計回りに、上記した角度α(°)回転した方向(R方向)に採取することとした。以下、このような試験片を用いたシャルピー衝撃試験をR方向シャルピー衝撃試験10と称する。図3では、αは45°としている。
このようなことから、本発明では、板厚中央位置における小型試験として、R方向シャルピー衝撃試験10を実施し、板厚中央位置における所定の特性値を示す温度を求める。一方、厚鋼板の板厚中間位置では、破面観察からも明らかなように、亀裂は、荷重が作用して延性破壊端から再度脆性亀裂が発生して停止し、平坦破面を呈している。本発明では小型試験として、同様な破壊形態である、延性亀裂から脆性亀裂が発生するシャルピー衝撃試験であるL方向Vノッチシャルピー衝撃試験9を実施し、板厚中間位置における所定の特性値を示す温度を求める。L方向Vノッチシャルピー衝撃試験9では、試験片はL方向(圧延方向11)に採取した試験片を用いる。
厚鋼板の板厚中央位置では、R方向Vノッチシャルピー衝撃試験10を実施し、得られたエネルギー遷移温度または破面遷移温度TctRを、板厚中央位置の所定の特性値を示す温度(遷移温度)とする。
また、厚鋼板の板厚中間位置では、L方向Vノッチシャルピー衝撃試験9を実施し、得られたエネルギー遷移温度または破面遷移温度TmtLを、板厚方向中間位置の所定の特性値を示す温度(遷移温度)とする。なお、Vノッチシャルピー衝撃試験片は、加工が容易であるとともに、加工直後に試験を行うことが可能であり、試験工程を簡素化できるという利点がある。プレスノッチシャルピー衝撃試験片ではプレス加工を施す必要があり、余分な手間を要する。しかも、高靭性鋼板では、プレスノッチ導入により、ノッチ直下の領域が脆化されたとしても、試験時に脆性亀裂が安定して発生せず、また、脆性亀裂が安定して発生する温度では、脆性亀裂が停止しない可能性があり、結果として安定した試験を実施できない。
本発明では、小型試験を用いて得られた所定の特性値を示す温度(遷移温度)として、板厚方向の2位置で求めた、上記した板厚中央位置の遷移温度TctRと上記した板厚中間位置の遷移温度TmtLとを組み合わせた組合せ遷移温度Twを用いる。Twは、次式で表す。
Tw=TmtL+G1×TctR
ここで、G1は係数である。
これは、上記した最近の厚鋼板についての破面形態の観察から、厚鋼板の脆性亀裂伝播停止性能には、板厚中央位置の靭性および板厚中間位置の靭性が強く影響していることに基づく。なお、全厚での脆性亀裂伝播停止性能への影響の程度に応じて、TmtLとTctRの加重平均としてもよい。その場合、Twは、次(1)式で表す。
Tw=B1×TmtL+B2×TctR ・・・(1)
ここで、B1、B2は係数である。
具体的には、例えば、板厚中央位置の遷移温度TctRとして遷移温度vT(t/2R)を、板厚中間位置を板厚1/4位置とした場合には、TmtLとして遷移温度vT(t/4L)を用い、加重平均として例えば、18:92を適用し、次式
Tw=0.92×vT(t/4L)+0.18×vT(t/2R)
としてもよい。なお、vTは、吸収エネルギー値が延性破面100%時の吸収エネルギー値の50%となる温度(℃)をいう。
また、加重平均として18:92を適用するのは、板厚中間位置で得られる階段状の破面形態が、脆性亀裂伝播停止性能を著しく向上させること、およびこの加重平均の配分を用いることにより、大型試験結果と小型試験結果の相関性が高くなることに基づく。なお、本発明では、上記した加重平均に限定されることはない。
そして、小型試験を用いて得られた組合せ遷移温度Twと大型試験により得られた厚鋼板の脆性破壊伝播停止性能との相関関係を、予め求めておく。
大型試験として、ESSO試験を用いた場合には、厚鋼板の脆性破壊伝播停止性能として、脆性亀裂伝播停止靭性Kcaがk1となる温度TKca=k1を用いる。
そのような相関関係式は、次(2)式で表す。
Kca=k1=A1×Tw+C1 ・・・(2)
ここで、A1、C1は係数である。
小型試験を用いて得られた組合せ遷移温度Twから、(2)式を用いて、脆性亀裂伝播停止靭性Kcaがk1となる温度TKca=k1を推定する。
なお、大型試験として、CAT試験を用いても良い。その場合、厚鋼板の脆性破壊伝播停止性能として、脆性亀裂が伝播しない温度CAT(℃)を用いる。
そのような相関関係式は、次(2a)式で表す。
CAT=D1×Tw+F1 ・・・(2a)
ここで、D1、F1は係数である。
小型試験を用いて得られた組合せ遷移温度Twから、(2a)式を用いて、CAT試験における脆性亀裂が伝播しない温度CATを推定する。なお、その場合、組合せ遷移温度Twは、(1)式と同様に、TmtLとTctRの加重平均として次(1a)式と表わす。
Tw=E1×TmtL+E2×TctR ・・・(1a)
ここで、E1、E2は係数である。
以下、さらに実施例を用いて本発明について説明する。
最近の厚鋼板9種(板厚100mm;EH40~EH47級)を用意し、全厚試験片を用いて温度勾配型ESSO試験を実施し、脆性亀裂伝播停止靭性Kcaが8000N/mm3/2となる温度TKca=8000(℃)を算出した。
また、試験後、破面形態を観察し、破面の進行方向を特定するとともに、板厚中央位置の破面とは異なる破面形態を示す板厚位置の範囲を板厚中間位置として特定した。そして、試験した厚鋼板では、板厚中間位置は板厚t/4位置で代表してもよいことを確認した。
また、破面形態を観察し、板厚中央位置における破面の進展方向を特定した。破面の進展方向は、大型試験片の荷重方向に直交する平面、すなわち、圧延方向に直交する平面を基準とし、該平面とのなす角度を測定して求めた。破面の進展方向は、圧延方向に直交する平面とのなす角度で、ばらつきはあるものの14.5~49.0°の範囲であり、主としてα:15~45°の範囲内となっていることを確認した。
小型試験として、Vノッチシャルピー衝撃試験片(10mm角×長さ55mm)を使用してシャルピー衝撃試験を実施し、小型試験を用いた所定の特性値を示す温度を求めた。板厚中央位置では、Vノッチシャルピー衝撃試験片を、長さ方向が圧延方向から反時計回りにα:45°回転したR方向となるように採取して、Vノッチシャルピー衝撃試験(R方向Vノッチシャルピー衝撃試験)を実施した。次いで、吸収エネルギー値が延性破面100%時の吸収エネルギー値の50%となる温度vT(t/2R)(℃)を求め、板厚中央位置の遷移温度TctRとした。また、板厚中間位置では、Vノッチシャルピー衝撃試験片を、長さ方向が圧延方向と一致するL方向となるように採取して、Vノッチシャルピー衝撃試験(L方向Vノッチシャルピー衝撃試験)を実施した。次いで、吸収エネルギー値が延性破面100%時の吸収エネルギー値の50%となる温度vT(t/4L)(℃)を求め、板厚中間位置の遷移温度TmtLとした。
そして、得られたTctRとTmtLとを組み合わせて、加重平均して、小型試験により得られた組合せ遷移温度Tw(=0.18×vT(t/2R)+0.92×vT(t/4L))とした。得られた温度TKca=8000(℃)と組合せ遷移温度Tw(℃)との相関関係から、回帰式として、次(3)式を得た。
Kca=8000=0.18×vT(t/2R)+0.92×vT(t/4L)+59.97 ・・・(3)
ここで、回帰残差σは11.60である。
この回帰式(3)式から予測温度TKca=8000*を求め、得られた結果を、温度TKca=8000と予測温度TKca=8000*との関係で図4に示す。「〇」で表記したものは、上記厚鋼板9種の試験値であり、また、TKca=8000=予測TKca=8000*の関係式を破線で示している。なお、上記した回帰式((3)式)に基づき、バラツキの範囲内でTKca=8000の上限値を推定する推定式を、次(4)式とした。
Kca=8000**=0.18×vT(t/2R)+0.92×vT(t/4L)+83.17 ・・・(4)
図4において、TKca=8000とTKca=8000**の関係は、TKca=8000=予測TKca=8000*の関係式の破線を、TKca=8000軸に増加させた、もう一方の破線である。この推定式から、TKca=8000が-10℃となるために必要な予測温度TKca=8000*を推定すると、図4に示すように、予測温度TKca=8000*=-32℃となる。図4から、予測温度TKca=8000*=-32℃を超える値を示す厚鋼板は2種であり、7/9(78%)が規定値(TKca=8000:-10℃)以下となっており、上述の図2に示す場合(5/9)に比べ、予測誤差は小さくなっていることがわかる。
図4から、本発明の評価方法による予測温度TKca=8000*はTKca=8000と相関性も高く、2σは20℃以下であり、温度TKca=8000を小さい予測誤差で推定可能であることがわかる。
このように、本発明の評価方法によれば、大型試験を実施することなく、板厚中央位置と、板厚中央位置とは破面形態が異なる板厚中間位置の2位置における小型試験結果から、簡便に厚鋼板の脆性亀裂伝播停止性能を精度高く評価でき、本発明評価方法の有用性が確認できた。
1:(脆性亀裂)進展
2:(脆性亀裂)停止
3:主亀裂(斜め方向に進展する亀裂)
4:切欠部
5:脆化部
6:平坦破面
7:階段状の段差
8:ESSO試験
9:L方向シャルピー衝撃試験
10:R方向シャルピー衝撃試験(α:15~45°)
11:圧延方向

Claims (3)

  1. 厚鋼板の脆性亀裂伝播停止性能の評価方法であって、小型試験を用いて得られた所定の特性値を示す温度から大型試験により得られる脆性亀裂伝播停止性能を評価するに当たり、
    前記厚鋼板の全厚試験片を用いた脆性亀裂伝播停止試験を行い、得られた破面の形態観察から、前記破面の進行方向を特定するとともに、板厚中央位置と異なる破面形態を示す板厚方向の位置範囲を板厚中間位置として特定し、
    前記小型試験を、前記板厚中央位置では、前記厚鋼板の圧延方向を基準として、前記厚鋼板の板面と平行な面内で反時計回りにまたは時計回りに所定の角度α(°)回転したR方向に採取したVノッチシャルピー衝撃試験片を用いるR方向Vノッチシャルピー衝撃試験とし、前記板厚中間位置では、前記厚鋼板の圧延方向に採取したVノッチシャルピー衝撃試験片を用いるL方向Vノッチシャルピー衝撃試験として、
    前記板厚中央位置におけるR方向Vノッチシャルピー衝撃試験の遷移温度TctRと、前記板厚中間位置におけるL方向Vノッチシャルピー衝撃試験の遷移温度TmtLとを組み合わせた、下記(1)式で定義される組合せ遷移温度Twとして、該組合せ遷移温度Twから、下記(2)式を用いて脆性亀裂伝播停止靭性Kcaがk1となる温度TKca=k1を推定し、厚鋼板の脆性亀裂伝播停止性能を評価することを特徴とする厚鋼板の脆性亀裂伝播停止性能の評価方法。

    Tw=B1×TmtL+B2×TctR ・・・(1)
    Kca=k1=A1×Tw+C1 ・・・(2)
    ここで、Tw:小型試験を用いて得られた組合せ遷移温度(℃)、TKca=k1:脆性亀裂伝播停止靭性Kcaがk1となる温度(℃)、TmtL:板厚中間位置におけるL方向Vノッチシャルピー衝撃試験の遷移温度(℃)、TctR:板厚中央位置におけるR方向Vノッチシャルピー衝撃試験の遷移温度(℃)、A1、B1、B2、C1:係数である。
  2. 厚鋼板の脆性亀裂伝播停止性能の評価方法であって、小型試験を用いて得られた所定の特性値を示す温度から大型試験により得られる脆性亀裂伝播停止性能を評価するに当たり、前記厚鋼板の全厚試験片を用いた脆性亀裂伝播停止試験を行い、得られた破面の形態観察から、前記破面の進行方向を特定するとともに、前記板厚中央位置と異なる破面形態を示す板厚方向の位置範囲を板厚中間位置として特定し、
    前記小型試験を、前記板厚中央位置では、前記厚鋼板の圧延方向を基準として、前記厚鋼板の板面と平行な面内で反時計回りにまたは時計回りに所定の角度α(°)回転したR方向に採取したVノッチシャルピー衝撃試験片を用いるR方向Vノッチシャルピー衝撃試験とし、前記板厚中間位置では、前記厚鋼板の圧延方向に採取したVノッチシャルピー衝撃試験片を用いるL方向Vノッチシャルピー衝撃試験として、
    前記板厚中央位置におけるR方向Vノッチシャルピー衝撃試験の遷移温度TctRと、前記板厚中間位置におけるL方向Vノッチシャルピー衝撃試験の遷移温度TmtLとを組み合わせた、下記(1a)式で定義される組合せ遷移温度Twとして、該組合せ遷移温度Twから、下記(2a)式を用いて、CAT試験における脆性亀裂が伝播しない温度CATを推定し、厚鋼板の脆性亀裂伝播停止性能を評価することを特徴とする厚鋼板の脆性亀裂伝播停止性能の評価方法。

    Tw=E1×TmtL+E2×TctR ・・・(1a)
    CAT=D1×Tw+F1 ・・・(2a)
    ここで、Tw:小型試験を用いて得られた組合せ遷移温度(℃)、CAT:CAT試験における脆性亀裂が伝播しない温度(℃)、TmtL:板厚中間位置におけるL方向Vノッチシャルピー衝撃試験の遷移温度(℃)、TctR:板厚中央位置におけるR方向Vノッチシャルピー衝撃試験の遷移温度(℃)、D1、E1、E2、F1:係数である。
  3. 前記所定の角度α(°)が、15~45°の範囲の角度であることを特徴とする請求項1または2に記載の厚鋼板の脆性亀裂伝播停止性能の評価方法。
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