JP7250987B1 - 植物生長促進剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、植物の生長を効率よく促進できる、リグニン系化合物を有効成分とする植物生長促進剤を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、フェノール性水酸基含量が0.1~3.5重量%、メトキシル基含量が1.0~15.0重量%、スルホン基由来の硫黄原子含量が2.0%以上であるリグニンスルホン酸成分を含む、植物生長促進剤を用いて植物を栽培することを含む、植物の生産方法、並びに、植物生長促進剤、及び、植物の種子又は苗、を含む、植物の栽培用キットを提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、植物生長促進剤に関する。
リグニンは植物組織に含まれる高分子のフェノール性ポリマーである。植物が土壌微生物に分解されると、中間産物としてのリグニン分解物が生成され、微生物蛋白質の分解によってできたペプチド、アミノ酸などとリグニン分解物が結合して腐植酸を生成する。腐植酸は、植物の成長を促進し、また、土壌の保肥力の向上、土壌微生物の活性化効果も有する。そのため、リグニンは農作物等の植物の生長促進を目的として利用されてきた。
特許文献1には、アルカリニトロベンゼン酸化によるアルデヒド収率が10質量%以上であるリグニン分解物を有効成分とする植物活力剤が記載されている。
特許文献2には、リグニンを40質量%以上60質量%以下含有する、植物の種子殻成分の粒状物を含有する植物生育促進剤が記載されている。
特開2017-190331号公報 国際公開第2019/078209号
しかしながら、リグニンのさらなる活用のため、特許文献1及び2の剤よりも、植物に対しより高い生長促進効果を発揮できるリグニン誘導体の開発が求められていた。しかし、収量を十分向上させられない場合があった。本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、植物の生長を効率よく促進できる、リグニン系化合物を有効成分とする植物生長促進剤を提供することを目的とする。
本発明は、以下の〔1〕~〔7〕を提供する。
〔1〕フェノール性水酸基含量が0.1~3.5重量%、メトキシル基含量が1.0~15.0重量%、スルホン基由来の硫黄原子含量が2.0%以上であるリグニンスルホン酸成分を含む、植物生長促進剤。
〔2〕リグニンスルホン酸成分の、
還元性糖類含量が35重量%以下であること、
硫黄原子含量が3.0重量%以上であること、及び
ナトリウム原子含量が0.3重量%以上であること、
の少なくともいずれかを満たす、〔1〕に記載の剤。
〔3〕リグニンスルホン酸成分のカルボキシル基含量が0.1~4.5mmol/gである、〔1〕又は〔2〕に記載の剤。
〔4〕リグニンスルホン酸成分の重量平均分子量(RI)が3,000以上である、〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載の剤。
〔5〕リグニンスルホン酸が、(ポリ)アルキレンオキシドに由来する置換基を有する、〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載の剤。
〔6〕〔1〕~〔5〕のいずれか1項に記載の剤を用いて植物を栽培することを含む、植物の生産方法。
〔7〕〔1〕~〔5〕のいずれか1項に記載の剤、及び、植物の種子又は苗、を含む、植物の栽培用キット。
本発明によれば、様々な植物の生長を促進することができる植物生長促進剤が提供される。本発明の植物生長促進剤は、植物の生育時期、栽培条件にかかわらず適用できるので、農業分野において作物の増産、増収に繋げることができる。
[1.リグニンスルホン酸成分]
本発明の植物生長促進剤は、リグニンスルホン酸成分を含有する。
[リグニンスルホン酸]
リグニンスルホン酸成分は、リグニンスルホン酸を主に含む成分であり、通常、パルプの亜硫酸蒸解に由来する。リグニンスルホン酸は、リグニンのヒドロキシフェニルプロパン構造の側鎖α位の炭素が開裂してスルホン基が導入された骨格を有する化合物である。
リグニンスルホン酸は、塩の形態を取りうる。塩としては例えば、一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩ならびに有機アンモニウム塩が挙げられ、このうち、カルシウム塩、マグネシウム塩、ナトリウム塩、カルシウム・ナトリウム混合塩が好ましい。
[置換基]
リグニンスルホン酸は、スルホン基以外の置換基を含む。置換基は、リグニン由来の置換基でもよいし、変性処理により導入される、本来のリグニンが有しない置換基でもよい。置換基としては、例えば、水酸基(フェノール性水酸基、アルコール性水酸基)、メトキシル基、カルボキシル基、スルホメチル基、アミノメチル基、(ポリ)アルキレンオキサイド基が挙げられる。これらのうち、フェノール性水酸基、メトキシル基、スルホン基、(ポリ)アルキレンオキサイド基を所定の範囲で含むことがより好ましい。これにより、植物の生長を促進することができる。
-フェノール性水酸基-
フェノール性水酸基は、一般に、ベンゼン等の芳香環に直接結合した水酸基である。フェノール性水酸基含量は、リグニンスルホン酸成分全量に対し0.1重量%以上が好ましく、0.5重量%以上がより好ましく、1.0重量%以上がさらに好ましく、1.1重量%以上がさらにより好ましい。上限は、3.5重量%以下が好ましく、3.3重量%以下がより好ましく、3.0重量%以下がさらに好ましく、2.7重量%以下がさらにより好ましい。従って、リグニンスルホン酸のフェノール性水酸基含量は、0.1~3.5重量%が好ましく、0.5~3.3重量%がより好ましく、1.0~3.0重量%がさらに好ましく、1.1~2.7重量%がさらにより好ましい。フェノール性水酸基含量は、分光光度計による吸光度の測定値から定量できる。
-メトキシル基-
メトキシル基は、式:-OCHで表される基である。メトキシル基含量は、リグニンスルホン酸成分全量に対し1.0重量%以上が好ましく、3.0重量%以上がより好ましく、5.0重量%以上がさらに好ましく、6.0重量%以上がさらにより好ましい。上限は、15.0重量%以下が好ましく、13.0重量%以下がより好ましく、12.0重量%以下がさらに好ましく、11.5重量%以下がさらにより好ましい。従って、メトキシル基含量は、1.0~15.0重量%が好ましく、3.0~13.0重量%がより好ましく、5.0~12.0重量%がさらに好ましく、6.0~11.5重量%がさらにより好ましい。リグニンが有するメトキシル基含量は、Viebock及びSchwappach法により測定できる。
-スルホン基-
スルホン基(スルホン酸基、スルホ基)は、一般に、式:-SO (Mはカウンターカチオン(例えば、H、Na、Ca、Mg、NH)である)で表される基である。スルホン基含量は、スルホン基由来の硫黄原子含量(スルホン基S含量)により示すことができる。スルホン基S含量は、リグニンスルホン酸成分全量に対し2.0%以上が好ましく、3.0%以上がより好ましく、4.0%以上がさらに好ましく、4.5%以上がさらにより好ましい。上限は、特に制限はないが、10.0%以下が好ましく、9.0%以下がより好ましく、8.0%以下がさらに好ましく、7.0%以下が更により好ましい。従って、スルホン基S含量は、2.0~10.0%が好ましく、3.0~9.0%がより好ましく、4.0~8.0%がさらに好ましく、4.5~7.0%がさらにより好ましい。スルホン基S含量は、リグニンスルホン酸中の全硫黄原子含量から、無機態の硫黄原子含量を差し引くことにより求めることができる。
-カルボキシル基-
カルボキシル基は、一般に、式:-COOM(Mはカウンターカチオン(例えば、H、Na、Ca、Mg、NH)である)で表される基である。カルボキシル基含量が所定範囲であることが好ましい。すなわち、リグニンスルホン酸成分重量あたり0.1mmol/g以上が好ましく、0.3mmol/g以上がより好ましく、0.5mmol/g以上がさらに好ましい。上限は、4.5mmol/g以下が好ましく、4.0mmol/g以下がより好ましく、3.0mmol/g以下がさらに好ましい。従って、カルボキシル基含量は、0.1~4.5mmol/gが好ましく、0.3~4.0mmol/gがより好ましく、0.5~3.0mmol/gがさらに好ましい。カルボキシル基含量は、中和滴定により求めることができる。
-(ポリ)アルキレングリコール基-
(ポリ)アルキレングリコール基は、(ポリ)アルキレンオキシドに由来する置換基である。ポリアルキレングリコールを構成するアルキレンオキシド単位の平均付加モル数は、通常1以上、5以上又は10以上、好ましくは15以上、より好ましくは20以上、更に好ましくは25以上、又は30以上、更により好ましくは35以上である。これにより、分散性が良好となり得る。中でも、50以上、60以上、70以上、80以上又は90以上であることにより、水面拡展性がより向上するので好ましい。上限は、通常、300以下又は200以下、好ましくは190以下、より好ましくは180以下、更に好ましくは170以下である。これにより分散保持性の低下が抑制され得る。従って、平均付加モル数は、通常10~200、好ましくは15~190、より好ましくは20~180、更に好ましくは25~170である。一方、好ましくは25~300であり、より好ましくは30~200であり、更に好ましくは35~150でもよい。ポリアルキレングリコールの炭素原子数は特に限定されず、通常、2~18であり、好ましくは2~4であり、より好ましくは2~3である。アルキレンオキシド単位としては例えば、エチレンオキシド単位、プロピレンオキシド単位、ブチレンオキシド単位が挙げられ、エチレンオキシド単位又はプロピレンオキシド単位が好ましい。(ポリ)アルキレンオキサイド基を含むリグニンスルホン酸としては、例えば、国際公開第2021/066166号に記載されるリグニン誘導体が挙げられる。
[無機成分]
リグニンスルホン酸成分は、無機成分をさらに含んでもよい。無機成分としては、例えば、硫黄、カルシウム、ナトリウム、マグネシウム、窒素、リン、カリウム、鉄等の無機塩、アンモニア、これらの無機塩の酸化物(例えば、酸化硫黄、酸化マグネシウム、酸化カルシウム)、水酸化物(例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム)、炭酸化物(例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム)、硝酸が挙げられる。無機成分の態様は特に限定されず、リグニンスルホン酸のカウンターカチオン、遊離の無機成分(例えば、リグニンスルホン酸製造時に添加された無機成分)でもよい。これらのうち、硫黄、カルシウム、ナトリウム、マグネシウム、窒素、リン、カリウムのうち少なくともいずれかを含むことが好ましい。
-硫黄イオン-
硫黄イオンの含有量は、リグニンスルホン酸に含まれる硫黄原子含量(全S含量)として表すことができる。全S含量は、3.0重量%以上が好ましく、4.0重量%以上がより好ましく、5.0重量%以上がさらに好ましい。上限は、特に制限はないが、10.0重量%以下が好ましく、9.0重量%以下がより好ましく、8.0重量%以下が更に好ましい。従って、S含量は、3.0~10.0重量%が好ましく、4.0~9.0重量%がより好ましく、5.0~8.0重量%が更に好ましい。全S含量は、ICP発光分光分析法により定量できる。
-酸化硫黄-
リグニンスルホン酸は、酸化硫黄を含んでもよい。酸化硫黄としては、例えば、二酸化硫黄(SO)、三酸化硫黄(SO)、四酸化硫黄(SO)が挙げられ、SO、SOが好ましい。SO含量は、SOがSO態へと変化する可能性があり、通常、0%以上であり、0.001重量%以上が好ましく、0.005重量%以上がより好ましく、0.01重量%以上又は0.04重量%以上が更に好ましい。上限は、3.0重量%以下が好ましく、2.0重量%以下がより好ましく、1.0重量%以下が更に好ましく、0.5重量%以下が更により好ましい。従って、SO含量は、通常、0~3.0重量%であり、0.001~3.0重量%が好ましく、0.005~2.0重量%がより好ましく、0.01~1.0重量%がさらに好ましく、0.04~0.5重量%が更により好ましい。SO含量は、0.2重量%以上が好ましく、0.4重量%以上がより好ましく、0.5重量%以上、2.0%以上又は3.0%以上が更に好ましい。上限は、10重量%以下が好ましく、9.5重量%以下がより好ましく、9.0重量%以下が更に好ましい。従って、SO含量は、0.2~10重量%が好ましく、0.4~9.5重量%がより好ましく、0.5~9.0重量%が更に好ましく、2.0~9.0重量%又は3.0~9.0重量%が更により好ましい。酸化硫黄含量は、イオンクロマト法により定量できる。
-スルホン基Sの全S含量に占める割合-
リグニンスルホン酸に含まれる硫黄原子含量に占めるスルホン基由来の硫黄原子含量の割合は、0.5以上が好ましく、0.6以上がより好ましい。上限は、通常、0.95以下、好ましくは0.9以下であるが特に制限はない。
-SOのSOに占める割合-
リグニンスルホン酸に含まれるSO含量のSO含量に対する比率は、通常、0以上であり、0.01以上が好ましく、0.02以上がより好ましい。上限は、0.5以下が好ましく、0.4以下がより好ましい。
-ナトリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン-
Na、Ca2+、Mg2+の各イオン含量は、それぞれの原子含量として表すことができる。ナトリウム原子含量(Na含量)は、0.3重量%以上が好ましく、0.4重量%以上がより好ましく、0.5重量%以上が更に好ましい。上限は、特に制限はないが、10.0重量%以下が好ましく、9.0重量%以下がより好ましく、8.0重量%以下がより好ましい。従って、Na含量は、0.3~10.0重量%が好ましく、0.4~9.0重量%がより好ましく、0.5~8.0重量%がさらに好ましい。カルシウム原子含量(Ca含量)は、0.001重量%以上が好ましく、0.01重量%以上がより好ましく、0.03重量%以上が更により好ましい。上限は、5.0重量%以下が好ましく、4.0重量%以下がより好ましく、1.0重量%以下が更に好ましい。従って、Ca含量は、0.001~5.0重量%が好ましく、0.01~4.0重量%がより好ましく、0.03~1.0重量%が更に好ましい。マグネシウム原子含量(Mg含量)は、0.05重量%以上が好ましく、0.07重量%以上がより好ましく、0.1重量%以上、0.5重量%以上、1.0重量%以上、2.0重量%以上、3.0重量%以上又は3.2重量%以上が更に好ましい。上限は、10.0重量%以下が好ましく、8.0重量%以下がより好ましく、5.0重量%以下が更に好ましい。従って、Mg含量は、0.05~10.0重量%が好ましく、0.07~8.0重量%がより好ましく、0.1~5.0重量%、0.5~5.0重量%、1.0~5.0重量%、2.0~5.0重量%、3.0~5.0重量%又は3.2~5.0重量%が更に好ましい。Na含量、Ca含量及びMg含量は、誘導結合プラズマ(ICP)法により定量できる。
-還元性糖類-
リグニンスルホン酸成分は、還元性糖類をさらに含むことが好ましい。本明細書において、還元性糖類とは、還元性を有する、すなわち、塩基性溶液中でアルデヒド基又はケトン基を生じる性質を有する糖類をいう。還元性糖類としては、例えば、すべての単糖類;マルトース、ラクトース、アラビノース、スクロースの転化糖等の二糖類;多糖類が挙げられる。還元性糖類は、通常、セルロース、ヘミセルロース、及びそれらの分解物を含む。セルロース及びヘミセルロースの分解物としては、例えば、ラムノース、ガラクトース、アラビノース、キシロース、グルコース、マンノース、フルクトース等の単糖類;キシロオリゴ糖、セロオリゴ糖等のオリゴ糖類、これらの変性物が挙げられる。変性物とは、酸化、スルホン化等の化学変性物であり、例えば、ヒドロキシル基、アルデヒド基、カルボニル基、及びスルホ基等の官能基が糖の骨格中に導入された糖誘導体、当該糖誘導体2つ(2種)以上が結合した化合物が挙げられる。
還元性糖類含量は、0.1重量%以上が好ましく、0.3重量%以上がより好ましく、0.5重量%以上、又は2.0重量%以上が更に好ましい。上限は、35重量%以下が好ましく、30重量%以下がより好ましく、25重量%以下が更に好ましい。従って、還元性糖類含量は、0.1~35重量%が好ましく、0.3~30重量%がより好ましく、0.5~25重量%、又は2.0~25重量%が更に好ましい。還元性糖類の含有量は、Somogyi-Schaffer法によりグルコース量換算値として算出できる。
[他の成分]
リグニンスルホン酸成分は、上記以外の成分を含んでいてもよい。例えば、有機成分、灰分が挙げられる。有機成分としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、バレリアン酸、ピルビン酸、コハク酸、乳酸等の低分子有機物(例えば、炭素原子数5以下の有機酸)が挙げられる。
[重量平均分子量(RI)]
リグニンスルホン酸成分の重量平均分子量(RI)は、3,000以上が好ましく、3,500以上がより好ましく、3,700以上が更に好ましく、4,000以上がさらにより好ましい。上限は、特に制限されないが、50,000以下が好ましく、40,000以下がより好ましく、35,000以下が更に好ましい。従って、重量平均分子量(RI)は、3,000~50,000が好ましく、3,500~50,000がより好ましく、3,700~40,000が更に好ましく、4,000~35,000がさらにより好ましい。本明細書において重量平均分子量(RI)は、GPCにより、示差屈折率検出器(RI)を用いて求められる重量平均分子量である。
[重量平均分子量(UV)]
リグニンスルホン酸成分の重量平均分子量(UV)は、9,000以上が好ましく、11,000以上がより好ましく、15,000以上が更に好ましく、17,000以上が更により好ましい。上限は、特に制限されないが、70,000以下がより好ましく、60,000以下が更に好ましく、57,000以下が更により好ましい。従って、重量平均分子量(UV)は、9,000~70,000が好ましく、11,000~70,000がより好ましく、15,000~60,000が更に好ましく、17,000~57,000が更により好ましい。本明細書において重量平均分子量(UV)は、GPCにより、紫外可視吸光度検出器を用いて求められる重量平均分子量である。
-重量平均分子量の比率RI/UV-
重量平均分子量(RI)の重量平均分子量(UV)に対する比率は、0.95以下が好ましく、0.93以下がより好ましい。下限は、通常0.4以上、好ましくは0.5以上であり、特に制限はない。
リグニンスルホン酸成分としては、例えば、サンリグホン(日本製紙社より2022年7月以降に販売予定)のうち、上記置換基、無機成分量のものを選択して用いてもよい。
[1.2 リグニンスルホン酸成分の製造方法]
リグニンスルホン酸成分の製造方法は、特に限定されないが、例えば、リグノセルロース原料から亜硫酸処理を経る方法、リグニンを分解しスルホン化する方法により製造できる。製造条件を調整することにより、リグニンスルホン酸成分が有する置換基の種類及び含有量、無機成分、還元性糖類等の各成分の種類及び含有量を調整できる。
-原料-
原料の一例としてのリグノセルロース原料は、構成体中にリグノセルロースを含むものであれば特に限定されるものではない。例えば、木材、非木材等のパルプ原料が挙げられる。木材としては、たとえば、ラジアータパイン、エゾマツ、アカマツ、スギ、ヒノキ等の針葉樹木材、シラカバ、ブナ等の広葉樹木材が挙げられる。木材の樹齢、採取部位は問わない。そのため、互いに樹齢の異なる樹木から採取された木材や、互いに樹木の異なる部位から採取された木材を組み合わせて用いてもよい。非木材としては、例えば、竹、ケナフ、葦、稲が挙げられる。リグノセルロース原料は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
原料の他の例としてのリグニンとしては、例えば、天然由来のもの、人工的に製造されたもの(例えば、ヒドロキシケイ皮アルコール類縁体の脱水素重合物)が挙げられる。
-亜硫酸処理-
亜硫酸処理は、亜硫酸及び亜硫酸塩の少なくともいずれかをリグノセルロース原料に接触させて行うことができる。亜硫酸処理の条件は、特に限定されず、リグノセルロース原料に含まれるリグニンの側鎖のα炭素原子にスルホ基が導入され得る条件であればよい。
亜硫酸処理は、亜硫酸蒸解法により行うことが好ましい。これにより、リグノセルロース原料中のリグニンをより定量的にスルホ化することができる。亜硫酸蒸解法は、亜硫酸及び亜硫酸塩の少なくともいずれかの溶液(例えば、水溶液:蒸解液)中で、リグノセルロース原料を高温下で反応させる方法である。当該方法は、サルファイトパルプの製造方法として工業的に確立されており、実施されているため、経済性及び実施容易性の面で有利である。
亜硫酸塩の塩としては、亜硫酸蒸解を行う場合、例えば、マグネシウム塩、カルシウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩が挙げられる。
亜硫酸及び亜硫酸塩の少なくともいずれかの溶液における亜硫酸(SO)濃度は、特に限定されないが、反応薬液100mLに対するSOの質量(g)の比率が、1g/100mL以上が好ましく、亜硫酸蒸解を行う場合には2g/100mL以上がより好ましい。上限は、20g/100mL以下が好ましく、亜硫酸蒸解を行う場合には15g/100mL以下がより好ましい。SO濃度は、1g/100mL~20g/100mLが好ましく、亜硫酸蒸解を行う場合には2g/100mL~15g/100mLがより好ましい。
亜硫酸処理のpH値は特に限定されないが、通常は10以下である。亜硫酸蒸解を行う場合、酸性下で行うことが好ましく、pH5以下がより好ましく、3以下が更に好ましい。これにより、リグニン誘導体(例えば、リグニンスルホン酸)を効率よく取り出すことができ、より高品質のパルプを得ることができる。pH値の下限は、0.1以上が好ましく、亜硫酸蒸解を行う場合には0.5以上がより好ましい。亜硫酸処理の際のpH値は、0.1~10が好ましく、亜硫酸蒸解を行う場合には0.5~5がより好ましく、0.5~3が更に好ましい。
亜硫酸処理の温度は特に限定されないが、170℃以下が好ましく、亜硫酸蒸解を行う場合には150℃以下がより好ましい。下限は、70℃以上が好ましく、亜硫酸蒸解を行う場合には100℃以上がより好ましい。亜硫酸処理の温度条件は、70~170℃が好ましく、亜硫酸蒸解を行う場合には100℃~150℃がより好ましい。
亜硫酸処理の処理時間は特に限定されなく、亜硫酸処理の諸条件にもよるが、0.5~24時間が好ましく、1.0~12時間がより好ましい。
亜硫酸処理においては、リグニンスルホン酸にカウンターカチオンを供給する化合物を添加することが好ましい。カウンターカチオンを供給する化合物を添加することにより、亜硫酸処理におけるpH値を一定に保つことができる。カウンターカチオンを供給する化合物としては、例えば、MgO、Mg(OH)、CaO、Ca(OH)、CaCO、NH、NHOH、NaOH、NaHCO、NaCOが挙げられる。カウンターカチオンは、マグネシウムイオン、ナトリウムイオンが好ましい。
亜硫酸処理において、亜硫酸及び亜硫酸塩の少なくともいずれかの溶液を用いる場合、溶液には必要に応じて、SO2のほかに、上記カウンターカチオン(塩)、蒸解浸透剤(例えば、アントラキノンスルホン酸塩、アントラキノン、テトラヒドロアントラキノン等の環状ケトン化合物)を含ませてもよい。
亜硫酸処理を行う際に用いる設備に限定はなく、例えば、一般に知られている溶解パルプの製造設備等を用いることができる。
亜硫酸及び亜硫酸塩の少なくともいずれかの溶液から中間生成物を分離するには、常法に従って行えばよい。分離方法としては、例えば、亜硫酸蒸解後の亜硫酸蒸解排液の分離方法(例えば、ろ過)が挙げられる。
亜硫酸処理により得られる(例えば、亜硫酸溶液の不溶解物をろ過後のろ液又はろ過残渣として、好ましくはろ液として得られる)リグニンスルホン酸は、そのまま、又は必要に応じて濃縮して有効成分であるリグニンスルホン酸成分として用いてもよい。一方、必要に応じてさらに他の処理を行ってもよい。これにより、純度を高めることができ、又は、原料が本来有しない他の置換基を導入できる。他の処理としては、例えば、アルカリ処理、酸化処理、透析処理、限外濾過処理、修飾処理及びこれらの組み合わせが挙げられる。
(アルカリ処理)
アルカリ処理は、対象サンプルをアルカリ性条件下におけばよい。アルカリ性条件下におくとは、通常、pH値が8以上、好ましくはpH値が9以上の水溶液下におくことをいう。pH値の上限は、通常、14である。
アルカリ処理においては、通常、アルカリ性物質を亜硫酸処理物に接触させる。アルカリ性物質は、特に限定されないが、例えば、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニアが挙げられる。中でも、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムが好ましい。アルカリ性物質は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
亜硫酸処理物にアルカリ性物質を接触させる方法としては、亜硫酸処理物の分散液又は溶液(例えば、水分散液、水溶液)を調製し、該分散液又は溶液中にアルカリ性物質を添加する方法や、亜硫酸処理物にアルカリ性物質の溶液又は分散液(例えば、水分散液、水溶液)を添加する方法が例示される。
アルカリ処理の温度は特に限定されないが、40℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましい。上限は、150℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましく、110℃以下がさらに好ましい。
アルカリ処理におけるアルカリ性物質の量は、亜硫酸処理物の固形分質量に対して、或いは、アルカリ処理抽出物を水性溶媒(例えば、水)に分散した水溶液又は分散液を調製する場合、水溶液又は分散液の質量に対して、0.5~40質量%が好ましく、1.0~30質量%がより好ましい。
アルカリ処理の時間は特に限定されないが、0.1時間以上が好ましく、0.5時間以上がより好ましい。上限は、10時間以下が好ましく、6時間以下がより好ましい。
アルカリ処理に先立ち、必要に応じて、亜硫酸処理物の溶解、分散処理、濃度の調整(水等の水性溶媒の溶液又は分散液の調製)を行ってもよい。分散処理は、ディスクリファイナーの通過、ミキサー、ディスパーザーへの添加、ニーダー処理等により行うことができる。濃度の調整は、例えば、水等の水性溶媒を用いて行うことができる。
(酸化処理)
酸化処理は、亜硫酸処理後に得られる処理物(例えば、ろ過後のろ液)、又はアルカリ処理後の処理物に対して行うことができる。酸化処理は、適宜酸化剤を用いて行えばよく、酸化剤が気体の場合、気体をろ液中に通気することにより行うことができる。酸化剤が液体の場合、液体をろ過残渣やろ液に添加することにより行うことができる。酸化剤は、空気、酸素、過酸化水素、オゾン、又はこれらの組み合わせが好ましい。酸化処理は、アルカリ条件で行うこと(アルカリ酸化処理)が好ましい。アルカリ酸化処理の処理pHは、通常8以上であり、10以上が好ましく、12以上がより好ましい。酸化処理の温度は、通常、20~200℃であり、好ましくは50~180℃である。酸化処理の時間は、通常、0.1時間以上が好ましく、0.5時間以上がより好ましい。上限は、5時間以下が好ましく、3時間以下がより好ましい。
(透析処理又はUF処理)
透析処理は、亜硫酸処理後に得られる処理物(例えば、ろ過後のろ液)に対して行うことができる。透析膜としては、例えば、セルロースアセテート等のセルロース系膜、エチレンビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン等の合成高分子系膜が挙げられ、分子量分画は通常5,000~100,000、好ましくは7,000~80,000、より好ましくは10,000~50,000である。
透析処理の代わりに、限外濾過処理(UF処理)を用いることができる。UF膜としては、公知のUF膜を用いることができる。例えば、中空糸膜、スパイラル膜、チューブラー膜、平膜が挙げられる。UF膜の素材は、公知のものを用いることができる。例えば、酢酸セルロース、芳香族ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリアクリロニトリル、セラミックが挙げられる。なお、UF膜は市販品であってもよい。
UF膜の分画分子量は、5,000~30,000が好ましく、10,000~25,000がより好ましく、15,000~23,000がさらに好ましい。分画分子量が5,000以上のUF膜を用いると、処理液の分離速度が過度に遅くなることを防止し得る。また、分画分子量が30,000以下のUF膜を用いると、処理液からリグニンが分離されなくなることを防止し得る。
UF膜を用いたUF処理による濃縮倍率は、任意に設定できる。すなわち、濃縮液の流出量が任意の量になった時に、UF処理を停止すればよい。好ましくは2~6倍に濃縮することが好ましい。2~6倍に濃縮とは、原液(黒液)量が1/2~1/6量になることを意味する。
UF処理時の処理液の温度は特に限定されない。例えば、20~80℃が好ましく、UF膜材質の耐熱面を考慮すると、20~70℃がより好ましい。UF処理時の処理液のpH値は、2~11が好ましい。UF処理時の黒液の固形分濃度(w/w)は、2~30%が好ましく、5~20%がより好ましい。
修飾処理としては、例えば、加水分解、アルキル化、アルコキシル化、スルホン化、スルホン酸エステル化、スルホメチル化、アミノメチル化、脱スルホン化、アルカリ化、(ポリ)アルキレンオキサイドとの縮合反応など化学的に変性修飾する方法;リグニンスルホン酸を限外濾過により分子量分画する方法が例示される。このうち、化学的な変性修飾の方法としては、加水分解、アルコキシル化、脱スルホン化及びアルキル化、(ポリ)アルキレンオキサイドとの縮合反応(例えば、国際公開第2021/066166号)から選ばれる1又は2以上の反応が好ましい。
[1.3 植物生長促進効果]
リグニンスルホン酸成分は、植物の生長を促進する効果を有する。
[植物]
対象植物は、草本植物、木本植物が挙げられる。草本植物としては、例えば、アブラナ科、マメ科、ウリ科、ナス科、トウガラシ科、バラ科、アオイ科、イネ科、ネギ科、ヒガンバナ科、キク科、ヒユ科、セリ科、ショウガ科、シソ科、サトイモ科、ヒルガオ科、ヤマノイモ科、ハス科等の植物が挙げられる。具体的には例えば、コマツナ、ハクサイ、タマネギ、ネギ、ニンニク、ラッキョウ、ニラ、ツケナ類、チンゲンサイ、キャベツ、カリフラワー、ブロッコリー、メキャベツ、アスパラガス、レタス、サラダナ、セルリー、ホウレンソウ、シュンギク、パセリ、ミツバ、セリ、ウド、ミョウガ、フキ、シソ等の葉菜類;ダイズ、エダマメ、ソラマメ、エンドウ、キュウリ、ナス、メロン、トウモロコシ、カボチャ、スイカ、トマト、ピーマン、イチゴ、オクラ、サヤインゲン等の果菜類;ニンジン、カブ、ダイコン、ゴボウ、ジャガイモ、サトイモ、サツマイモ、ヤマイモ、ショウガ、レンコン等の根菜類;イネ類(例、水稲、陸稲)、ムギ類(例、小麦、大麦);花卉類が挙げられる。木本植物としては、例えば、スギ属(例、スギ)、ヒノキ属(例、ヒノキ)、マツ科(マツ属(例、クロマツ)、カラマツ属(例、カラマツ、グイマツ)、モミ属(例、トドマツ))、ユーカリ属(例、ユーカリ)、サクラ属(例、サクラ、ウメ、ユスラウメ)、マンゴー属(例、マンゴー)、アカシア属、ヤマモモ属、クヌギ属(例、クヌギ)、ブドウ属、リンゴ属、バラ属、ツバキ属(例、チャ)、ジャカランダ属(例、ジャカランダ)、ワニナシ属(例、アボカド)、ナシ属(例、ナシ)、ビャクダン属(例、ビャクダン(サンダルウッド))が挙げられる。これらのうち、草本植物が好ましく、アブラナ科及びマメ科植物がより好ましい。
植物の生長促進としては、例えば、生長量の増加(生長速度増加)、植物体(果実、根など植物体の一部でもよい)の増殖、発芽促進、分化促進(例えば、挿し木、挿し穂等の組織培養)、無機成分(例、マグネシウム、リン、カリウム、カルシウム)の含有量増加、可食部の食味の向上等の品質向上、が挙げられる。葉菜類の場合、発芽率、SPAD値、根の生長量、結球率、結球重、外葉のサイズ等の測定により、確認できる。果菜類のうち可食部が種子であるもの(例えば、ダイズ、エダマメ、ソラマメ)の場合、草丈、子実重、千粒重等の測定により、確認できる。
[1.4 任意成分]
植物生長促進剤は、必要に応じて、リグニンスルホン酸成分以外の成分(任意成分)を含んでもよい。任意成分としては、例えば、リグニンスルホン酸成分以外の植物生長促進成分、賦形剤、着色剤、防腐剤、pH調節剤、安定剤、崩壊剤、担体、結合剤、pH調整剤、消泡剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等の任意成分(製剤用助剤)が挙げられる。
植物生長促進成分としては、例えば、無機成分、銀イオン、抗酸化剤、炭素源、ビタミン類、アミノ酸類、植物ホルモン類等の植物の栄養素の供給源となり得る成分が挙げられる。添加剤の形態は特に限定されず、固形物(例、粉剤、粒剤)、又は液体(例、液肥)のいずれでもよい。
無機成分としては、例えば、必須要素の窒素、リン、カリウム、及び微量要素の硫黄、カルシウム、マグネシウム、鉄、マンガン、亜鉛、ホウ素、モリブデン、塩素、ヨウ素、コバルト等の無機塩、その酸化物、塩化物、硫酸化物、水酸化物、炭酸化物が挙げられる。無機成分としては例えば、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム(消石灰)、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸ナトリウム、リン酸1アンモニウム、リン酸1水素カリウム、リン酸2水素ナトリウム、酸化カリウム(塩加)、塩化カリウム、硫酸カリウム(硫加)、硫酸アンモニウム(硫安)、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸第1鉄、硫酸第2鉄、硫酸マンガン、硫酸亜鉛、硫酸銅、硫酸ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化コバルト、ホウ酸、三酸化モリブデン、モリブデン酸ナトリウム、ヨウ化カリウム、第1リン酸カルシウム、これ等の混合物(例えば、過石(第1リン酸カルシウムと硫酸カルシウムの混合物)、溶リン(く溶性リン酸と、石灰、マグネシウム(苦土)等の混合物)、燐硝安加里(硝酸アンモニウム、硫酸カリウム、リン酸1アンモニウム等の混合物))、これ等の水和物が挙げられる。
抗酸化剤としては、例えば、アスコルビン酸、亜硫酸塩が挙げられ、アスコルビン酸が好ましい。アスコルビン酸は、培地への残留性が低いため、環境汚染を抑制できる。
炭素源としては、例えば、ショ糖等の炭水化物とその誘導体;脂肪酸等の有機酸;エタノール等の1級アルコール、などの化合物が挙げられる。
ビタミン類としては、例えば、ビオチン、チアミン(ビタミンB1)、ピリドキシン(ビタミンB4)、ピリドキサール、ピリドキサミン、パントテン酸カルシウム、イノシトール、ニコチン酸、ニコチン酸アミド及びリボフラビン(ビタミンB2)が挙げられる。
アミノ酸類としては、例えば、グリシン、アラニン、グルタミン酸、システイン、フェニルアラニン及びリジン等が挙げられる。
無機成分、有機資材(例えば、堆肥、油かす、フミン酸等の腐植物質)、微生物資材(例えば、酵母)が挙げられる。任意成分は、1種単独でもよく、2種以上の組み合わせでもよい。
肥料成分は、速効性肥料、緩効性肥料、遅効性肥料でもよく、無機肥料、有機肥料、化成肥料のいずれでもよい。
任意成分の含有量は、任意成分ごとに適量を選択すればよい。
[1.5 剤型、製造方法]
植物生長促進剤の剤型としては、例えば、粉状、顆粒状、粒状、液体状が挙げられ、特に限定されない。顆粒状、粒状であることにより、散布が容易となり得る。また、液体状であることにより、機能成分との混合が容易となり、混合後にスラリーを安定化させることができる。植物生長促進剤は、機能成分とともに製剤化してもよいし、別途製剤化してもよい。植物生長促進剤の製造方法は、剤型に従って適切な方法を適宜選択できる。
[2.植物の生産方法]
上述の植物生長促進剤は、植物の生産に利用できる。これにより、植物の生長を促進でき、農作物の増産に繋げることができる。対象植物は、上述の対象植物の例と同様である。
[使用条件]
植物生長促進剤の使用条件は、特に限定されない。一例を挙げると、植物生産に用いる支持体、及び/又は植物体(例えば、葉、茎)に剤を投与する方法が挙げられる。支持体としては、例えば、砂、土等の自然土壌;籾殻燻炭、ココナッツ繊維、バーミキュライト、パーライト、ピートモス、ガラスビーズ、籾殻等の人工土壌;発泡フェノール樹脂、ロックウール等の多孔性成形品;固化剤(例、寒天又はゲランガム)、これらのうち2以上の組み合わせが挙げられる。投与方法としては、剤型、支持体の種類にもよるが、例えば、散布、塗布が挙げられ(灌水時に水に剤を混合して散布してもよい)、必要に応じてさらに撹拌等の混合処理を行ってもよい。本発明の植物生長促進剤の投与時期は特に限定されず、使用前の支持体に投与してもよく、植物体の苗又は種子からの生育開始後に1回又は複数回添加してもよく、その両方でもよい。本発明の植物生長促進剤の投与量は、植物種、添加時期、栽培条件等により適宜定めればよいが、通常は、リグニンスルホン酸成分に換算して、支持体(例えば、培土)あたり0.000001重量%以上、好ましくは0.00001重量%以上、さらに好ましくは0.00005重量%以上である。上限は、特に限定されないが、通常は10重量%以下である。
植物生長促進剤は、他の植物生長促進剤と併用してもよい。併用の場合、植物生長促進剤と他の剤を混合して同時に投与してもよいし、それぞれ適切な時期に別々に投与してもよい。他の剤としては、上述の肥料の例を挙げることができる。
植物生長促進剤を使用した植物生産にあたり、植物の栽培条件(例、温度、光量、光の種類(例えば、人工光、太陽光)、光量サイクル、灌水量、湿度、炭酸ガス濃度、これらの調整の有無、播種密度、灌水方法、灌水量、栽培施設・容器(例、プランター、ポット、バット、コンテナ、セルトレー)の有無)は、特に限定されず、適宜選択できる。
[3.植物の栽培用キット]
植物生長促進剤は、植物の種子又は苗とともに、植物の栽培用キットを構成してもよい。対象植物は、上述の対象植物の例を挙げることができる。植物種によって、種子又は苗を選択すればよい。栽培用キットは、更に支持体、容器を含んでもよい。支持体、容器としては、上述の支持体、容器の例を挙げることができる。
以下、本発明を実施例により説明する。以下の実施例は、本発明を限定するものではない。
実施例で用いた主な試料の組成を表1に示す。
Figure 0007250987000001
[表1の脚注]
*1 「%」は、試料の乾燥重量に対する質量%を表す。
*2 フェノール性水酸基量
リグニン試料を含むアルカリ性溶液の吸収スペクトルから、同じ濃度のリグニンを含む中性溶液の吸収スペクトルを差し引くことにより、イオン化示差スペクトルが得られ、下記の式よりフェノール性水酸基(%)を求めた。式中、Δαmax[L/(g・cm)]は示差吸光係数を示す(中野準三編「リグニンの化学-基礎と応用- 増補改訂版」ユニ出版、 平成2年5月25日発行 541頁)。
フェノール性水酸基(%)=(17×Δαmax)/4100×100
*3 カルボキシル基量
サンプルの0.5質量%水分散体60mlを調製し、0.1M塩酸水溶液を加えてpH2.5とした。その後、0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHが11になるまで電気伝導度を測定した。電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(a)から、下式を用いて算出した:
カルボキシル基量〔mmol/gサンプル〕=a〔ml〕×0.05/サンプルの質量
*4 還元性糖類量
リグニン肥料中の還元性糖類の含有量は、Somogyi-Schaffer法によって測定した測定値をグルコース量に換算することで算出した。
*5 メトキシル(OCH)基含量
リグニンが有するメトキシル基含量は、Viebock及びSchwappach法によるメトキシル基の定量法(「リグニン化学研究法」、P.336~340、平成6年、ユニ出版発行)によって測定した。
*6 全硫黄原子(S)含量
S含量は、ICP発光分光分析法により定量した。
*7 酸化硫黄(SO、SO)含量
SO含量及びSO含量はそれぞれイオンクロマト法により定量した。
*8 スルホン基の硫黄原子(S)含量
スルホン基のS含量は、以下の式により求めた。
スルホン基のS含量(質量%)=S含量(質量%)-無機態S含量(質量%)
式中、質量%は、リグニンスルホン酸の固形物量に対するS含量の比率である。
S含量は、上述した方法による測定値である。無機態S含量は、上述した方法により求めたSO含量及びSO含量の合計量である。
*9 重量平均分子量(RI)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて以下の条件で測定した。
測定装置;東ソー製
使用カラム;Shodex Column OH-pak SB-806HQ、SB-804HQ、SB-802.5HQ
溶離液;0.05mM硝酸ナトリウム/アセトニトリル 8/2(v/v)
標準物質;ポリエチレングリコール(東ソー社製又はGLサイエンス社製)
検出器;示差屈折計(東ソー社製)
検量線;ポリエチレングリコール基準
*10 重量平均分子量(UV)
検出器としてUV検出器(280nm、東ソー社製)を用いたほかは、上記RI検出による重量平均分子量と同様の条件で行った。
*11 Ca含量、Na含量、Mg含量
各金属イオン(Ca2+、Na、Mg2+)を、誘導結合プラズマ(ICP)法により定量し、定量結果をそれぞれ、Ca含量、Na含量及びMg含量(質量%)に換算して算出した。
<製造例1:試料1の製造>
木材(ラジアータパイン)を亜硫酸蒸解法に基づき亜硫酸処理し中間組成物を得た。亜硫酸処理においては、SO濃度4g/100mLの亜硫酸マグネシウムの溶液を用いて、温度140℃、pH2、処理時間3時間とした。次に不溶解物をろ別し、得られたろ液を固形分が50%となるまでロータリーエバポレーターで濃縮して中間組成物Aを得た。噴霧乾燥にて固形化組成物である試料1を得た。
<製造例2:試料2の製造>
製造例1で得られた中間組成物Aからアルカリ反応(水酸化カルシウム溶液の添加率9wt.%(対固形分)、反応温度90℃、反応時間4時間)及び酸化反応(酸素による処理、酸素圧200kPa、反応時間2時間)し、これをpH7.0に調整した。これを噴霧乾燥することにより固形化組成物である試料2を得た。
<製造例3:試料3の製造>
木材(ラジアータパイン)を亜硫酸蒸解法に基づき亜硫酸処理し中間組成物を得た。亜硫酸処理においては、SO2濃度4g/100mLの亜硫酸ナトリウムの溶液を用いて、温度140℃、pH2、処理時間3時間とした。次に不溶解物をろ別し、得られたろ液をpH5.0に調整した。これを、分画分子量20000のポリスルホン系限外濾過膜を用いて限外濾過処理を行い、その濃縮液を噴霧乾燥することにより固形化組成物である試料3を得た。
<製造例4:試料4の製造>
クラフト蒸解黒液より常法に従いリグニン含有物(クラフトリグニン)を調製した。
針葉樹のクラフト蒸解黒液3kgをビーカーに入れ、60℃に保温、攪拌しながら大気圧下で二酸化炭素をpHが10になるまで吹き込んだ。その後、80℃で1時間攪拌を続け沈殿物3を生成した後、ろ過により脱水し、炭酸リグニンケーキを得た。
得られた炭酸リグニンケーキをビーカーに移し、固形分濃度が15質量%となるように純水を加え、攪拌して均質なスラリーとした。50℃に保温しながら上記スラリーのpHが2になるまで攪拌しながら8N硫酸を添加した。その後50℃で1時間攪拌を続け、沈殿物4を生成した。上記スラリーをブフナー漏斗でろ過し、得られたリグニンケーキ(沈殿物4)に50℃の温水100mlを加え、ろ液の電気伝導率が0.2S/m以下になるまでろ過、洗浄を繰り返し、リグニン含有物を得た。得られたリグニン含有物を50℃の送風乾燥機で乾燥した(固形分濃度:95質量%)。
<製造例5:試料5の製造>
ソーダ蒸解黒液より常法に従いリグニン含有物(ソーダリグニン)を調製した。
稲わらのソーダAQ蒸解黒液200mlをビーカーに入れ、70℃に保温、攪拌しながら大気圧下で二酸化炭素をpHが8になるまで吹き込んだ。その後、70℃で1時間攪拌を続け沈殿物1を生成した後、ろ過により脱水し、炭酸リグニンケーキ(沈殿物1)を得た。
得られた炭酸リグニンケーキをビーカーに移し、固形分濃度が15質量%となるように純水を加え、攪拌して均質なスラリーとした。50℃に保温しながら上記スラリーのpHが2になるまで攪拌しながら8N硫酸を添加した。その後50℃で1時間攪拌を続け、沈殿物2を生成した。上記スラリーをブフナー漏斗でろ過し、得られたリグニンケーキ(沈殿物2)に50℃の温水100mlを加え、ろ液の電気伝導率が0.5S/m以下になるまでろ過、洗浄を繰り返し、リグニン含有物を得た。得られたリグニン含有物を50℃の送風乾燥機で乾燥した(固形分濃度:95質量%)。
<試験例1:コマツナの栽培試験>
(1)太陽光による栽培(実施例1~2及び比較例1~3)
2021年8月23日にコマツナ(アタリヤ農園 こまつな)を播種した。播種間隔は250粒/mとし、ポット(サイズ:7L 寸法450mm×208mm×170mm)1つあたりの播種数20粒とした。培土は、表2に示す各試料及び他の肥料を土壌(「花・野菜 プランターの土 プランター培養土」刀川平和農園製:赤玉土、バーミキュライト、バーク堆肥)5Lに散布し、混合して調製した。天窓部屋の屋内にポットを置いて栽培した。栽培期間中、太陽光が入るよう天窓を開けておいた。天窓には直射日光を避けるため網戸を張った。室内の温度は、外気温と同様であった。水やりの頻度としては、Blankの土壌表面が乾いたタイミング(1~2日に一度程度)とした。水やりの量は、十分土壌が湿るように、また、シャワー状になるノズルで葉に直接水が当たって倒れたりしないよう気をつけながら、毎回等量の水を与えた。
各区について、栽培開始14日目に発芽したものの中から4株選抜した。また、栽培開始28日目に、各個体の茎頂に近い部分から選択した枚の葉について、葉緑素量の目安として、コニカミノルタ製葉緑素計、SPAD-502を用いてSPAD値(Spoil Plant Analysis Development)を測定し、平均値を算出した(N=10)。また、栽培開始42日目に、各個体(N=4)の根はり(根が地中で縦横に張りめぐらされた状態)を目視にて観察し、それぞれの平均的な植物体を用いて下記の基準で評価した:◎ 無添加品に比べて根はりが非常に良好、〇 無添加品に比べて根はりが良好、△ 無添加品に比べて根はりが同等、× 無添加品に比べて根はりが不良(表2)。無添加区と比較した収率換算を行った(表2)。
(2)人工光による栽培(実施例3~6及び比較例4~10)>
2022年2月25日に、表3に示す各試料を用いたほかは(1)の試験と同様に培土を調製し、コマツナの播種を行った。屋内の窓際にポットを置いて栽培し、温度を20℃に設定し、光量サイクルを明期9時間、暗期14時間とし、富士倉社製 植物育成用クリップランプを用いて光照射した。
各区について、栽培開始14日目に発芽した種子の数(20種子あたり)を計数した。また、栽培開始28日目、各個体の茎頂に近い部分から選択した10枚の葉について、葉緑素量の目安として、コニカミノルタ製葉緑素計、SPAD-502を用いてSPAD値(Spoil Plant Analysis Development)を測定し、平均値を算出した(N=10)。また、栽培開始28日目に、各個体(N=4)の根はりを目視にて観察し、(1)の試験と同様の基準で評価した(表3)。
Figure 0007250987000002
Figure 0007250987000003
[表2及び3の脚注]
*1 リン、窒素、カリウムの各元素量は、培土に添加した試料に対する重量%である。
*2 比較例2、5では、市販肥料として、ハチパラエース(緩効性肥料、P10,N10,K10,苦土1)、トヨチュー製を用いた。
*3 比較例3、9及び10、実施例2、6では、酵母(カビトルラ、日本製紙社製)を用いた。
*4 実施例2及び6では、市販肥料と窒素量を合わせるため酵母:試料1(重量比)=9.78:10とした。
*5 比較例10では、実施例6と添加量を合わせるため酵母:リグニン(重量比)=9.78:10とした。
太陽光による栽培試験及び人工光による栽培試験のいずれにおいても、比較例と比べて実施例のほうが根はりが良好であった。また、各実施例はいずれも高いSPAD値を示していた(表2及び3)。
<試験例2:ハクサイの栽培試験(実施例7~9及び比較例11~15)>
8月19日に、ハクサイ(品種:松島新二号)の種子を露地ポット(サイズ:1/2000a=0.05m、1/2000aワグネルポット、東京硝子器械社製)に1ポットあたり3粒ずつ播種した。培土は、表4に示す各試料及び他の肥料を土壌(沖積層、砂壌土)に散布し、混合して調製した。栽培は、屋外で行った。
各区について、同年11月20日に収穫し、収量、ハクサイに含まれるMgOの量、結球重、外葉、結球率を測定し、各測定値について試料無添加(比較例11)を100とした際の指数を算出した(表5)。
Figure 0007250987000004
[表4の脚注]
*1 MgOは、各試料に含まれるMgOの量であり、以下の方法で測定した:分析試料2.5~5gをトールビーカーに正確にとり、塩酸約30ml及び硝酸約10mlを加えて約30分間煮沸し、放冷後水を加えて正確に250~500mlとし乾燥ろ紙でろ過した。試料液の一定量(Mgとして50~500μg、又はMgOとして80~800μgがよい)を100mlのメスフラスコに正確にとり、干渉抑制剤液10ml(塩化ストロンチウム(SrCl・6HO)60.9~152.1gを水及び塩酸420mlに溶かし1000mlとした。あるいは塩化ストロンチウムの代わりに塩化ランタン(LaCl・7HO)53.5gを用いた。)を添加したのち、標線まで水を加え、原子吸光分析装置により波長285.2nmの吸光度を測定した。同時に標準マグネシウム液を数段階に正確にとり、試料液の場合と同一濃度になるように干渉抑制剤液をそれぞれ添加し同一条件で測光して作成した検量線からマグネシウム(Mg)又は酸化マグネシウム(苦土)(MgO)の量を求めた。
Figure 0007250987000005
[表5の脚注]
*1 結球重(g)は、結球したハクサイの重量の平均値である。
*2 MgO(単位:mg)は、ハクサイに含まれるMgO含有量(%)であり、以下の方法で測定した。:ほ場で平均的な大きさを示す10~20株を選んで採取した。中~大型のものは、8~10個を縦に4~8分割し、各々1分割を取った。小型のものは20個体程度取った。その後、葉をはがして広げ通風乾燥した。必要に応じて内、外葉に分けた。乾燥後は、ウィレー型、コーヒーミル型粉砕機で粉砕し、粉末サンプルを得て、上記のMgO測定法と同様に測定した。
*3 外葉(cm)は、外葉の最大葉長(N=3)である。
*4 結球率(%)は、結球した個体の全個体数に占める比率である。
実施例7~9は、比較例と比べてMgO量が高く、外葉が大きかった。中でも、実施例7及び9は、収量、結球重も良好であり、実施例7は結球率も高かった(表5)。
<試験例3:ダイズの栽培試験(実施例10~13及び比較例16~20)>
6月29日にダイズ(品種:タチスズナリ)種子258粒を播種し(播種間隔:20粒/m、1区あたり10a=1000m)、露地栽培した。培土は、表6に示す各試料(市販肥料を含む)を土壌(茨城県産)に散布し、混合して調製した。
同年10月15日に収穫し、各区について、草丈、子実重、千粒重を測定し、子実重については、試料無添加(比較例16)を100とした際の指数を算出した(表7)。
Figure 0007250987000006
[表6の脚注]
*1 N、P、KOの添加量は、各区に共通して添加した市販肥料(サンアンドホープ社製、硫安、過リン酸石灰、硫酸カリ;それぞれ、N:硫安21%、P:過石16.5%、KO:硫加50%)と各区で使用した試料との合計量に対する各成分の添加量である。
*2 MgOは、各試料に含まれるMgOの量であり、試験例2のMgO測定法と同様に測定した。
Figure 0007250987000007
[表7の脚注]
*1 草丈(cm)は、地上面から最上端までの高さ(N=4)である。
*2 子実重(g/m=kg/10a)は、区画(10a)あたりの子実の重量(N=1)である。
*3 千粒重(単位:g)は、子実1000粒平均の重量(N=1)である。
実施例は、無添加(標準区)の比較例16と比べて収穫されたダイズの子実重か、又は草竹がより大きかった。中でも、実施例10は千粒重も高い数値を示していた。
<試験例4:炭酸カルシウム分散試験(B型粘度試験) (実施例14、比較例21~24)>
農薬の増量剤として使用されている炭酸カルシウムの分散性に対する影響を評価した。
炭酸カルシウム(含水率30%)172.44gに水37.56gと表8に示す各分散剤を加えて撹拌し、スラリーを調製した。水と炭酸カルシウムのスラリー濃度は57%、分散剤の添加量(固形分添加率)は、スラリー全量に対し0.05又は0.1%であった。撹拌はホモディスパーで3000rpm、2分行った。撹拌後のスラリーのB型粘度計(東機産業社製)を用いて、20℃、60rpm,No.3ローター又はNo.2ローター、ガードなしの条件で撹拌後の、B型粘度を測定した(表8)。
Figure 0007250987000008
試料3を用いた実施例14は、水のみ、又は試料4~6を用いた比較例21~24よりも低粘度であったことから、本発明の植物生長促進剤は、良好な分散性を示し、培地中で保持され、かつ、肥料成分、農薬成分を含めた分散性を高めることができることが明らかとなった。
<試験例5:試料1を用いた肥効試験(実施例15~25、比較例25~27)>
(1)タマネギ
9月16日に黄タマネギ(貝塚早生)を苗床に播種し、同年11月18日に本穂を土壌(浜積堆積物に由来する赤黄色土、各区13.1m(3.75×3.5m)2連)に定植した。定植条件は、畔幅75cm、2条植、株間12cm、栽植密度2222株/aとし、共通肥料として、くみあい化成11号(N、P、KO)2kg/a、F・T・E(B9%、Mn19%)0.4kg/a及びフミン酸PVAを供試した他、各区について表9の肥料を添加した。翌年6月3日に収穫し、収量を測定した(表10)。
Figure 0007250987000009
Figure 0007250987000010
[表10の脚注]
表10は、欠株の少ない1.8mについての収量調査結果を示した。
(2)コムギ
11月14日(播種当日)に、ポットの下層(ポット開口部から20cm以下まで)に土壌を収容後、その上にリグニン試料(試料1)を表11に示すそれぞれの量収容して(ポット開口部から10cm以下まで)上層に再び土壌を収容し、中層処理区のポットを調製した。これとは別に、11月4日(播種10日前)と14日(播種当日)に、ポットの中層(ポット開口部から10cm以下)まで土壌を収容し、その上にリグニン試料を表11に示すそれぞれの量収容して(ポット開口部まで)、表層処理区のポットを調製した。なお、各処理区について、共通飼料としてN(硫安)2.0g、P(過石又は溶リン)1.0g及びKO(塩加)1.0gを施用した。各処理区について、各ポット3か所(1カ所あたり4粒)にコムギ(小麦農林50号)を11月14日に播種した。そして、同年12月15日に各ポット3本を残すように間引きを行った後、翌年6月15日に各区の成熟を待って刈り取り収穫した(表11)。
Figure 0007250987000011
[表11の注釈]
表11には、1区3連の平均値(1ポット当たりの風乾物量)を示した。
<試験例6:試料2を用いた肥効試験(実施例26~45、比較例28~43)>
(1)キュウリ及びナス
5月9日にキュウリの苗(四葉胡瓜、本葉4枚、草丈8cm)及びナスの苗(一代交配高農早生中良茄子、本葉5枚、草丈18cm)を土壌(洪積層砂壌土)に移植(1区3.3mあたり6本)し、経時的に発育状況を観察した。共通肥料としてフミン酸PVAを供試した他、各区について表12の肥料を添加した。経時的に生育調査及び収量測定を行った(表13、14:N=3)。
Figure 0007250987000012
Figure 0007250987000013
Figure 0007250987000014
[表13及び14の脚注]
生育量は、各区の平均1本あたりの生育量(cm)である。
生育量のカッコ内の数値は、キュウリは葉数、ナスは分枝数を示す。
収量は、各区の3株合計量(g)である。
収量のカッコ内の数値は、個体数を示す。
(2)メロン
メロン(アールス種、南遠2号)を3区(表15)に分け、ビニールハウス内で1区画1m、1連で栽培試験を行った。6月8日に土壌(洪積層植壌土)に播種し、6月15日に仮植し、7月2日に定植(本葉4本)した。その後、摘心(7月18日)、交配(7月21~26日)、摘果(7月29日)、懸垂(7月30日)、袋掛(8月7日)を順次行い、9月4日に収穫した。施肥は、各区について表15に示す肥料と共通肥料(フミン酸、PVA系)を、7月2日に1回目(元肥)、2回目(追肥1回目)は摘果直後、3回目(追肥2回目)はネット出始めに行った。灌水は交配まで2回、交配後に3回行った。殺菌剤及び消毒剤として、ダイセン及びカラセンを7回散布した。温度及び湿度は、以下のとおり管理した:育苗期 昼間30℃夜間22℃;栄養生長期 昼間32℃夜間25℃、夜間湿度75%;結果生長期 昼間32℃夜間24℃、夜間湿度94%;収穫期 窓を開放し湿度を低下させた。収量を測定し、果実を評価した(表16、表17)。
Figure 0007250987000015
Figure 0007250987000016
Figure 0007250987000017
(3)トウモロコシ
ワグネルポット1/2000a(3連)に土壌(以下のいずれか:甲府盆地埋積沖積地畑土壌表土及び八ヶ岳褐色火山灰土壌心土)を収容し、青刈トウモロコシを6月28日に播種し、施肥(表18)した。経時的に生育調査を行い、8月12日に収穫した。
Figure 0007250987000018
[表18の脚注]
三要素、CaCO、リグニン(試料2)、堆肥は、それぞれ0~10cmに全層混和した。
施用肥料は以下のとおりである:硫安21%、過石19.5%、硫加50%;堆肥成分 N 0.59%、P 0.23%、KO 0.66%を控除;リグニン苦土 MgO 5.0%
Figure 0007250987000019
Figure 0007250987000020
(4)カブ
ワグネルポット1/2000aにリグニン(試料2)を添加した土壌(以下のいずれか:甲府盆地埋積沖積地畑土壌表土及び八ヶ岳褐色火山灰土壌心土)を収容し、小カブ(染谷金町)を4月30日に播種し、施肥(表21)した。5月20日及び30日に消毒等を行い、6月7日に除草した。栽培期間中、経時的に生育調査を行い(表22)、6月11日に収穫し、収量を調査した(表23)。
Figure 0007250987000021
Figure 0007250987000022
Figure 0007250987000023
(5)陸稲
土壌(洪積層畑土壌)に、イネ(陸稲農林1号(もち))を、栽植密度を、1条あたり30粒が2条となるよう調整し、5月13日に播種及び施肥(表24)し、同年11月4日に収穫し、生育調査した(表25)。
Figure 0007250987000024
[表24の脚注]
化成肥料:N 1.0kg/10a、P 1.0kg/10a、KO 0.8kg/10a(くみあい燐硝安加里:N 15.0%、P 15.0%、K 12.0%)
リグニン苦土 MgO5.0%
Figure 0007250987000025
(6)夏作ニンジン
土壌を深さ15cmに起耕し、施肥溝に共通肥料及び表26に示す肥料を施用した。畔幅60cmにて作畦し(1区あたり13.1m(3.75m×3.5m))、6月11日にニンジン(黒田五寸人参)を播種(二条撒き)した。株間15cmとなるよう間引きし、約2220株/aとした。作条内深さ10cmのあたりの土壌水分張力がpF2.5を超えるまで乾燥したとき、20~30mmずつ、計180mmの散水かんがいを行った。9月16日に収穫し、収量及び収穫物の成分含有率、養分吸収量を測定した(表27及び28)。
Figure 0007250987000026
Figure 0007250987000027
Figure 0007250987000028
(7)秋作ニンジン
土壌(非固結の洪積世堆積物に由来する腐植に乏しい細粒質土壌)に共通肥料及び表29に示す肥料を施用した(8月2日)。畔幅60cmにて作畦し(1区あたり9m(3m×3m)、3連)、9月1日にニンジン(黒田五寸人参)を播種(二条撒き)した。株間15cmとなるよう間引きし、約2220株/aとした。作条内深さ10cmのあたりの土壌水分張力がpF2.5を超えるまで乾燥したとき、10~20mmずつ、計220mmの散水かんがいを行った。翌年1月6日に収穫し、生育調査及び養分吸収量を測定した(表30)。
Figure 0007250987000029
Figure 0007250987000030
<試験例7:リグニンスルホン酸Caを用いた肥効試験(実施例46~49、比較例44~47)>
(1)タマネギ
9月6日に黄タマネギ(泉州黄玉葱)を置床に播種し、11月10日に本穂を土壌(甲府盆地埋積沖積土壌、壌土)に定植した。定植条件は、畔幅100cm、4条植、茶間18cm、株間12cmとした。施肥は、表31、32の肥料(他にニトロフミン酸PVA等も処理)を、元肥11月6日、追肥は翌年2月23日、3月28日、4月16日に行った。7月9日に収穫し、収量を測定した(表33)。
Figure 0007250987000031
Figure 0007250987000032
Figure 0007250987000033
(2)水稲
6月26日にイネ(Pi5)苗を、水田(水田土壌:花崗岩質砂壌土、1区画10m(3m×3.35m))へ1株3本植した(栽植密度:1mあたり株数32(25cm×12.5cm))。表34に示す肥料を各時期に施用した。9月2日に出穂し、その後、ダイアジノン、PCP、フミロン等の薬剤を散布した。10月31日に収穫し、生育調査、リン酸及びカリ含有率を測定した(表35、36)。
Figure 0007250987000034
Figure 0007250987000035
Figure 0007250987000036

Claims (7)

  1. フェノール性水酸基含量が0.1~3.5重量%、メトキシル基含量が1.0~15.0重量%、スルホン基由来の硫黄原子含量が2.0%以上であるリグニンスルホン酸成分を含む、植物生長促進剤。
  2. リグニンスルホン酸成分の、
    還元性糖類含量が35重量%以下であること、
    硫黄原子含量が3.0重量%以上であること、及び
    ナトリウム原子含量が0.3重量%以上であること、
    の少なくともいずれかを満たす、請求項1に記載の剤。
  3. リグニンスルホン酸成分のカルボキシル基含量が0.1~4.5mmol/gである、請求項1又は2に記載の剤。
  4. リグニンスルホン酸成分の重量平均分子量(RI)が3,000以上である、請求項1又は2に記載の剤。
  5. リグニンスルホン酸が、(ポリ)アルキレンオキシドに由来する置換基を有する、請求項1又は2に記載の剤。
  6. 請求項1又は2に記載の剤を用いて植物を栽培することを含む、植物の生産方法。
  7. 請求項1又は2に記載の剤、及び、植物の種子又は苗、を含む、植物の栽培用キット。
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