JP7250982B1 - 光検出素子の活性層形成用インク組成物、膜、及び光検出素子 - Google Patents

光検出素子の活性層形成用インク組成物、膜、及び光検出素子 Download PDF

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Abstract

【課題】暗電流が低減された光電変換素子の活性層を製造しうる、組成物。【解決手段】p型半導体、n型半導体、界面活性剤、及び溶媒を含む、組成物。p型半導体、n型半導体、及び界面活性剤を含む膜。第1の電極と、当該膜と、第2の電極とをこの順で含む、有機光電変換素子。当該有機光電変換素子を含む光検出素子。【選択図】図1

Description

本発明は、組成物、膜、有機光電変換素子、及び光検出素子に関する。
近年、活性層に有機化合物を含む有機光電変換素子が注目されている。かかる有機光電変換素子を含む光検出素子の特性を向上させる試みも行われている(非特許文献1参照)。
Yazhong Wang,et al.,Mater.Horiz.,2022,9,220-251
光検出素子に含まれる光電変換素子は、暗状態で流れる電流(暗電流)が、小さいことが好ましい。したがって、暗電流が低減された光電変換素子の活性層を製造しうる、組成物;暗電流が低減された光電変換素子の活性層として機能しうる膜;かかる膜を含む、有機光電変換素子;かかる有機光電変換素子を含む、暗電流が低減された光検出素子;が求められる。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を進めたところ、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下を提供する。
[1] p型半導体、n型半導体、界面活性剤、及び溶媒を含む、組成物。
[2] 前記p型半導体が、ドナー・アクセプター構造を有する高分子化合物である、[1]に記載の組成物。
[3] 前記p型半導体が、下記式(I)で表される構成単位及び下記式(II)で表される構成単位からなる群より選択される一種以上の構成単位を含む高分子化合物である、[1]又は[2]に記載の組成物。
Figure 0007250982000002
(式(I)中、
Ar及びArは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい3価の芳香族複素環基を表し、
Zは下記式(Z-1)~式(Z-7)のいずれか1つで表される基を表す。
Figure 0007250982000003
(式(Z-1)~(Z-7)中、Rは、
水素原子、
ハロゲン原子、
置換基を有していてもよいアルキル基、
置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
置換基を有していてもよいアルケニル基、
置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、
置換基を有していてもよいアルキニル基、
置換基を有していてもよいシクロアルキニル基、
置換基を有していてもよいアリール基、
置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、
置換基を有していてもよいシクロアルキルオキシ基、
置換基を有していてもよいアリールオキシ基、
置換基を有していてもよいアルキルチオ基、
置換基を有していてもよいシクロアルキルチオ基、
置換基を有していてもよいアリールチオ基、
置換基を有していてもよい1価の複素環基、
置換基を有していてもよい置換アミノ基、
置換基を有していてもよいイミン残基、
置換基を有していてもよいアミド基、
置換基を有していてもよい酸イミド基、
置換基を有していてもよい置換オキシカルボニル基、
シアノ基、
ニトロ基、
-C(=O)-Rで表される基、又は
-SO-Rで表される基を表し、
及びRは、それぞれ独立して、
水素原子、
置換基を有していてもよいアルキル基、
置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
置換基を有していてもよいアリール基、
置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、
置換基を有していてもよいシクロアルキルオキシ基、
置換基を有していてもよいアリールオキシ基、又は
置換基を有していてもよい1価の複素環基を表す。
式(Z-1)~式(Z-7)中、Rが2つある場合、2つあるRは同一であっても異なっていてもよい。))
Figure 0007250982000004
(式(II)中、Arは2価の芳香族複素環基を表す。)
[4] 前記n型半導体が、フラーレン誘導体である、[1]~[3]のいずれか一項に記載の組成物。
[5] 前記n型半導体が、非フラーレン化合物である、[1]~[3]のいずれか一項に記載の組成物。
[6] 前記溶媒が、芳香族炭化水素溶媒を含む、[1]~[5]のいずれか一項に記載の組成物。
[7] 前記界面活性剤が、ノニオン性界面活性剤である、[1]~[6]のいずれか一項に記載の組成物。
[8] 前記界面活性剤が、ポリ(メタ)アクリレート構造を有する化合物である、[1]~[7]のいずれか一項に記載の組成物。
[9] 前記界面活性剤が、オルガノポリシロキサン構造を有する化合物である、[1]~[8]のいずれか一項に記載の組成物。
[10] 前記界面活性剤が、フッ素系界面活性剤である、[1]~[9]のいずれか一項に記載の組成物。
[11] p型半導体、n型半導体、及び界面活性剤を含む膜。
[12] 第1の電極と、[11]に記載の膜と、第2の電極とをこの順で含む、有機光電変換素子。
[13] [12]に記載の有機光電変換素子を含む、光検出素子。
本発明によれば、暗電流が低減された光電変換素子の活性層を製造しうる、組成物;暗電流が低減された光電変換素子の活性層として機能しうる膜;かかる膜を含む、有機光電変換素子;かかる有機光電変換素子を含む、暗電流が低減された光検出素子;が提供されうる。
図1は、光電変換素子の構成例を模式的に示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、図面は、発明が理解できる程度に、構成要素の形状、大きさ及び配置が概略的に示されているに過ぎない。本発明は以下の記述によって限定されるものではなく、各構成要素は本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。以下の説明に用いる図面において、同様の構成要素については同一の符号を付して示し、重複する説明については省略する場合がある。また、本発明の実施形態にかかる構成は、必ずしも図示例の配置で使用されるとは限らない。以下に示す実施形態の構成要素は、適宜組み合わせうる。
[1.共通する用語の説明]
本明細書において、「高分子化合物」とは、分子量分布を有し、ポリスチレン換算の数平均分子量が、1×10以上1×10以下である重合体を意味する。高分子化合物に含まれる構成単位は、合計100モル%である。
本明細書において、「構成単位」とは、高分子化合物中に1個以上存在する単位を意味する。「単量体単位」とは、当該単量体(モノマー)を重合することにより得られうる構造を有する単位を意味する。「単量体単位」は、その製造方法により限定されない。
本明細書において、「水素原子」は、軽水素原子であっても、重水素原子であってもよい。
本明細書において、「ハロゲン原子」の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
「置換基を有していてもよい」態様には、化合物又は基を構成するすべての水素原子が無置換の場合、及び1個以上の水素原子の一部又は全部が置換基によって置換されている場合の両方の態様が含まれる。
置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、シクロアルキニル基、アルキルオキシ基、シクロアルキルオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、1価の複素環基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、置換アミノ基、アシル基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、置換オキシカルボニル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、及びニトロ基が挙げられる。
本明細書において、「アルキル基」は置換基を有していてもよい。「アルキル基」は、特に断らない限り、直鎖状及び分岐状のいずれであってもよい。直鎖状のアルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1~50であり、好ましくは1~30であり、より好ましくは1~20である。分岐状又は環状であるアルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~50であり、好ましくは3~30であり、より好ましくは4~20である。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソアミル基、2-エチルブチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、3-n-プロピルヘプチル基、n-デシル基、3,7-ジメチルオクチル基、2-エチルオクチル基、2-n-ヘキシル-デシル基、n-ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基等の非置換アルキル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、3-フェニルプロピル基、3-(4-メチルフェニル)プロピル基、3-(3,5-ジ-n-ヘキシルフェニル)プロピル基、6-エチルオキシヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基等の置換アルキル基が挙げられる。
「シクロアルキル基」は、単環の基であってもよく、多環の基であってもよい。シクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。シクロアルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~30であり、好ましくは3~20である。
シクロアルキル基の例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、アダマンチル基などの、置換基を有さないアルキル基、及びこれらの基における水素原子が、アルキル基、アルキルオキシ基、アリール基、フッ素原子などの置換基で置換された基が挙げられる。
置換基を有するシクロアルキル基の具体例としては、メチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基が挙げられる。
「アルケニル基」は、直鎖状でもあってもよく、分岐状であってもよい。アルケニル基は、置換基を有していてもよい。アルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2~30であり、好ましくは2~20である。
アルケニル基の例としては、ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、1-ヘキセニル基、5-ヘキセニル基、7-オクテニル基などの、置換基を有しないアルケニル基、及びこれらの基における水素原子が、アルキルオキシ基、アリール基、フッ素原子などの置換基で置換された基が挙げられる。
「シクロアルケニル基」は、単環の基であってもよく、多環の基であってもよい。シクロアルケニル基は、置換基を有していてもよい。シクロアルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~30であり、好ましくは3~20である。
シクロアルケニル基の例としては、シクロヘキセニル基などの、置換基を有さないシクロアルケニル基、及びこれらの基における水素原子が、アルキル基、アルキルオキシ基、アリール基、フッ素原子などの置換基で置換された基が挙げられる。
置換基を有するシクロアルケニル基の例としては、メチルシクロヘキセニル基、及びエチルシクロヘキセニル基が挙げられる。
「アルキニル基」は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。アルキニル基は、置換基を有していてもよい。アルキニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2~30であり、好ましくは2~20である。
アルキニル基の例としては、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、3-ペンチニル基、4-ペンチニル基、1-ヘキシニル基、5-ヘキシニル基などの、置換基を有しないアルキニル基、及びこれらの基における水素原子が、アルキルオキシ基、アリール基、フッ素原子などの置換基で置換された基が挙げられる。
「シクロアルキニル基」は、単環の基であってもよく、多環の基であってもよい。シクロアルキニル基は、置換基を有していてもよい。シクロアルキニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常4~30であり、好ましくは4~20である。
シクロアルキニル基の例としては、シクロヘキシニル基などの、置換基を有しないシクロアルキニル基、及びこれらの基における水素原子が、アルキル基、アルキルオキシ基、アリール基、フッ素原子などの置換基で置換された基が挙げられる。
置換基を有するシクロアルキニル基の例としては、メチルシクロヘキシニル基、及びエチルシクロヘキシニル基が挙げられる。
「アルキルオキシ基」は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。アルキルオキシ基は、置換基を有していてもよい。アルキルオキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1~30であり、好ましくは1~20である。
アルキルオキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、n-ノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、3,7-ジメチルオクチルオキシ基、3-ヘプチルドデシルオキシ基、ラウリルオキシ基などの、置換基を有しないアルキルオキシ基、及びこれらの基における水素原子が、アルキルオキシ基、アリール基、フッ素原子等の置換基で置換された基が挙げられる。
「シクロアルキルオキシ基」が有するシクロアルキル基は、単環の基であってもよく、多環の基であってもよい。シクロアルキルオキシ基は、置換基を有していてもよい。シクロアルキルオキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~30であり、好ましくは3~20である。
シクロアルキルオキシ基の例としては、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基などの、置換基を有しないシクロアルキルオキシ基、及びこれらの基における水素原子が、フッ素原子、アルキル基などの置換基で置換された基が挙げられる。
「アルキルチオ基」は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。アルキルチオ基は、置換基を有していてもよい。アルキルチオ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1~30であり、好ましくは1~20である。
置換基を有していてもよいアルキルチオ基の例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n-ブチルチオ基、イソブチルチオ基、tert-ブチルチオ基、n-ペンチルチオ基、n-ヘキシルチオ基、n-ヘプチルチオ基、n-オクチルチオ基、2-エチルヘキシルチオ基、n-ノニルチオ基、n-デシルチオ基、3,7-ジメチルオクチルチオ基、3-ヘプチルドデシルチオ基、ラウリルチオ基、及びトリフルオロメチルチオ基が挙げられる。
「シクロアルキルチオ基」が有するシクロアルキル基は、単環の基であってもよく、多環の基であってもよい。シクロアルキルチオ基は、置換基を有していてもよい。シクロアルキルチオ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~30であり、好ましくは3~20である。
置換基を有していてもよいシクロアルキルチオ基の例としては、シクロヘキシルチオ基が挙げられる。
「p価の芳香族炭素環基」とは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子p個を除いた残りの原子団を意味する。芳香族炭化水素には、縮合環を有する化合物、独立したベンゼン環及び縮合環からなる群から選ばれる2つ以上が、直接又はビニレン等の2価の基を介して結合した化合物も含まれる。p価の芳香族炭素環基は、置換基をさらに有していてもよい。
「アリール基」は、1価の芳香族炭素環基を意味する。アリール基は置換基を有していてもよい。アリール基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含まないで、通常6~60であり、好ましくは6~48である。
アリール基の例としては、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-アントラセニル基、2-アントラセニル基、9-アントラセニル基、1-ピレニル基、2-ピレニル基、4-ピレニル基、2-フルオレニル基、3-フルオレニル基、4-フルオレニル基、2-フェニルフェニル基、3-フェニルフェニル基、4-フェニルフェニル基などの、置換基を有しないアリール基、及びこれらの基における水素原子が、アルキル基、アルキルオキシ基、アリール基、フッ素原子などの置換基で置換された基が挙げられる。
「アリールオキシ基」は、置換基を有していてもよい。アリールオキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6~60であり、好ましくは6~48である。
アリールオキシ基の例としては、フェノキシ基、1-ナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基、1-アントラセニルオキシ基、9-アントラセニルオキシ基、1-ピレニルオキシ基などの置換基を有しないアリールオキシ基、及びこれらの基における水素原子が、アルキル基、アルキルオキシ基、フッ素原子などの置換基で置換された基が挙げられる。
「アリールチオ基」は、置換基を有していてもよい。アリールチオ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6~60であり、好ましくは6~48である。
置換基を有していてもよいアリールチオ基の例としては、フェニルチオ基、C1~C12アルキルオキシフェニルチオ基、C1~C12アルキルフェニルチオ基、1-ナフチルチオ基、2-ナフチルチオ基、及びペンタフルオロフェニルチオ基が挙げられる。「C1~C12」は、その直後に記載された基の炭素原子数が1~12であることを表す。さらに、「Cm~Cn」は、その直後に記載された基の炭素原子数がm~nであることを表す。以下同様である。
「p価の複素環基」(pは、1以上の整数を表す。)は、置換基を有していてもよい複素環式化合物から環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子のうちのp個の水素原子を除いた残りの原子団を意味する。「p価の複素環基」には、「p価の芳香族複素環基」が含まれる。「p価の芳香族複素環基」は、置換基を有していてもよい芳香族複素環式化合物から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうちのp個の水素原子を除いた残りの原子団を意味する。
芳香族複素環式化合物には、複素環自体が芳香族性を示す化合物に加えて、複素環自体は芳香族性を示さなくとも、複素環に芳香環が縮環している化合物が包含される。
芳香族複素環式化合物のうち、複素環自体が芳香族性を示す化合物の具体例としては、オキサジアゾール、チアジアゾール、チアゾール、オキサゾール、チオフェン、ピロール、ホスホール、フラン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジン、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、カルバゾール、及びジベンゾホスホールが挙げられる。
芳香族複素環式化合物のうち、複素環自体が芳香族性を示さず、複素環に芳香環が縮環している化合物の具体例としては、フェノキサジン、フェノチアジン、ジベンゾボロール、ジベンゾシロール、及びベンゾピランが挙げられる。
p価の複素環基は、置換基を有していてもよい。p価の複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2~60であり、好ましくは2~20である。
1価の複素環基の例としては、1価の芳香族複素環基(例、チエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、ピリミジニル基、トリアジニル基)、1価の非芳香族複素環基(例、ピペリジル基、ピペラジル基)、及びこれらの基における水素原子が、アルキル基、アルキルオキシ基、フッ素原子などの置換基で置換された基が挙げられる。
「置換アミノ基」は、置換基を有するアミノ基を意味する。アミノ基が有する置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及び1価の複素環基が好ましい。置換アミノ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2~30である。
置換アミノ基の例としては、ジアルキルアミノ基(例、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基)、ジアリールアミノ基(例、ジフェニルアミノ基、ビス(4-メチルフェニル)アミノ基、ビス(4-tert-ブチルフェニル)アミノ基、ビス(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)アミノ基)が挙げられる。
「アシル基」は、置換基を有していてもよい。アシル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2~20であり、好ましくは2~18である。アシル基の具体例としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、トリフルオロアセチル基、及びペンタフルオロベンゾイル基が挙げられる。
「イミン残基」とは、イミン化合物から、炭素原子-窒素原子二重結合を構成する炭素原子又は窒素原子に直接結合する水素原子を1個除いた残りの原子団を意味する。「イミン化合物」とは、分子内に、炭素原子-窒素原子二重結合を有する有機化合物を意味する。イミン化合物の例としては、アルジミン、ケチミン、及びアルジミン中の炭素原子-窒素原子二重結合を構成する窒素原子に結合している水素原子が、アルキル基、シクロアルキル基などの置換基で置換された化合物が挙げられる。
イミン残基の炭素原子数は、通常2~20であり、好ましくは2~18である。イミン残基の例としては、下記の構造式で表される基が挙げられる。
Figure 0007250982000005
「アミド基」とは、アミドから窒素原子に結合した水素原子1つを除いた残りの原子団を意味する。アミド基の炭素原子数は、通常1~20程度であり、好ましくは1~18である。アミド基の具体例としては、ホルムアミド基、アセトアミド基、プロピオアミド基、ブチロアミド基、ベンズアミド基、トリフルオロアセトアミド基、ペンタフルオロベンズアミド基、ジホルムアミド基、ジアセトアミド基、ジプロピオアミド基、ジブチロアミド基、ジベンズアミド基、ジトリフルオロアセトアミド基、及びジペンタフルオロベンズアミド基が挙げられる。
「酸イミド基」とは、酸イミドから窒素原子に結合した水素原子1つを除いた残りの原子団を意味する。酸イミド基の炭素原子数は、通常4~20である。酸イミド基の具体例としては、以下に示す基が挙げられる。
Figure 0007250982000006
「置換オキシカルボニル基」とは、R’-O-(C=O)-で表される基を意味する。ここで、R’は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
置換オキシカルボニル基は、炭素原子数が通常2~60であり、好ましくは炭素原子数が2~48である。
置換オキシカルボニル基の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、2-エチルヘキシルオキシカルボニル基、ノニルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基、3,7-ジメチルオクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、トリフルオロメトキシカルボニル基、ペンタフルオロエトキシカルボニル基、パーフルオロブトキシカルボニル基、パーフルオロヘキシルオキシカルボニル基、パーフルオロオクチルオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、ナフトキシカルボニル基、及びピリジルオキシカルボニル基が挙げられる。
「アルキルスルホニル基」は、直鎖状でもあってもよく、分岐状であってもよい。アルキルスルホニル基は、置換基を有していてもよい。アルキルスルホニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1~30である。アルキルスルホニル基の具体例としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、及びドデシルスルホニル基が挙げられる。
化学式に付される「*」は、結合手を表す。
「π共役系」とは、π電子が複数の結合にわたって非局在化している系を意味する。
「(メタ)アクリル」には、アクリル、メタクリル、及びこれらの組み合わせが含まれる。
「(メタ)アクリレート」には、アクリレート、メタクリレート、及びこれらの組み合わせが含まれる。
化学式において、「Me」はメチル基を表し、「Et」はエチル基を表し、「Bu」はブチル基を表す。
「溶媒」は、分散媒でありうる。
[2.組成物]
本発明の一実施形態に係る組成物は、p型半導体、n型半導体、界面活性剤、及び溶媒を含む。組成物は、p型半導体、n型半導体、界面活性剤、及び溶媒に加えて、必要に応じて任意の成分を含んでいてもよい。
組成物は、溶液であってもよく、分散液、エマルション(乳濁液)、サスペンション(懸濁液)等の分散液であってもよい。
本実施形態の組成物から得られる膜を含む光電変換素子は、暗電流が低減されている。
[2.1.界面活性剤]
界面活性剤は、添加により界面の性質を変化させる物質を意味する。界面活性剤は、通常、一つの分子中に親水基及び疎水基の両方を有する。
本実施形態に係る組成物が界面活性剤を含む場合、組成物から得られる膜を含む光電変換素子の暗電流を、効果的に低減しうる。
本実施形態の組成物が界面活性剤を含むことにより、光電変換素子の暗電流を効果的に低減しうる理由については、本発明を限定するものではないが、以下のように推察される。
通常、電極、中間層などの塗布対象上に、組成物を塗布して塗膜を形成し、更に塗膜を乾燥させて、膜(活性層)を形成する。塗膜の表面には、界面活性剤が膜状に存在すると考えられ、塗膜が乾燥すると、塗膜の表面に偏在する界面活性剤はそのまま偏析し、固化すると考えられる。その結果、得られた膜(活性層)の表面には、界面活性剤の薄膜が存在して絶縁層として機能し、光電変換素子の暗電流を低減させると考えられる。
または、p型半導体及びn型半導体によって形成されうる相分離構造が、界面活性剤の作用により変化すると考えられ、その変化により、光電変換素子の暗電流が低減されると考えられる。
本実施形態に係る組成物から得られる膜を含む光電変換素子の暗電流を、効果的に低減しうる界面活性剤としては、分子中の親水基及び疎水基の種類をそれぞれ適切に選択することで好適な界面活性剤を選択することができる。
本実施形態の組成物に含まれる界面活性剤において、親水基の種類から選定する場合、非イオン性(ノニオン性)に分類される界面活性剤を採用することが好ましい。本実施形態の組成物に含まれる溶媒には芳香族炭化水素溶媒などの非水系溶媒が用いられる。溶媒への溶解性に優れることからも、ノニオン性界面活性剤が好ましい。親水性基の例としては、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドなどのエポキシ基を有する基、アミノ基、ケトン基、カルボキシル基、スルホン基などが挙げられる。界面活性剤は、親水基として、これらから選ばれる1種又は2種以上の基を有していてもよい。
本実施形態の組成物に含まれる界面活性剤において、疎水基の種類から選定する場合、疎水基がポリ(メタ)アクリレート構造を有するアクリル系界面活性剤、オルガノポリシロキサン構造を有するシリコーン系界面活性剤、これらの基が有する水素原子の一部又は全部が、フッ素原子に置換されたフッ素系界面活性剤が挙げられる。
一実施形態において、界面活性剤は、ポリ(メタ)アクリレート構造を有することが好ましい。ここで、ポリ(メタ)アクリレート構造は、下記式(SF-1)で表される構造である。組成物が、ポリ(メタ)アクリレート構造を有することにより、光電変換素子の暗電流を効果的に低減しうる。界面活性剤は、ポリ(メタ)アクリレート構造に加えて、任意の構成単位を含んでいてもよい。ポリ(メタ)アクリレート構造を有する界面活性剤は、オリゴマー、ポリマーであり得る。
Figure 0007250982000007
式(SF-1)中、複数存在するRsf1は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表す。
複数存在するRsf2は、それぞれ独立して、有機基を表す。複数のRsf2のうちの二つ以上が一緒になって、架橋基を形成してもよい。
sf2は、好ましくは、それぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基、アルキルオキシアルキル基、ポリオキシアルキレン基を有する基、アリール基、アリールアルキル基、アリールオキシアルキル基を表し、これらの基は置換基(例えば、フッ素原子)を有していてもよい。
sf2により表されるアルキル基の好ましい具体例としては、アルキル基が有する水素原子の一部がフッ素原子により置換されているフッ素原子置換アルキル基(例、ジフルオロメチル基、2,2-ジフルオロエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロブチル基、1,1-ジメチル-2,2,3,3-テトラフルオロプロピル基、1,1-ジメチル-2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル基、2-(パーフルオロプロピル)エチル基、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチル基、1,1-ジメチル-2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロブチル基、1,1-ジメチル-2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチル基、2-(パーフルオロブチル)エチル基、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-デカフルオロヘキシル基、パーフルオロペンチルメチル基、1,1-ジメチル-2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチル基、1,1-ジメチル-2,2,3,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロペンチル基、2-(パーフルオロペンチル)エチル基、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7-ドデカフルオロヘプチル基、パーフルオロヘキシルメチル基、2-(パーフルオロヘキシル)エチル基、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8-テトラデカフルオロオクチル基、パーフルオロヘプチルメチル基、2-(パーフルオロヘプチル)エチル基、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9-ヘキサデカフルオロノニル基、パーフルオロオクチルメチル基、2-(パーフルオロオクチル)エチル基、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10-オクタデカフルオロデシル基、パーフルオロノニルメチル基、2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブチル基、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチル基、3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキシル基、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリドデカフルオロオクチル基)、アルキル基が有する水素原子のすべてがフッ素原子により置換されているフッ素原子置換アルキル基(パーフルオロアルキル基)(例、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロ-n-プロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ノナフルオロ-n-ブチル基、ノナフルオロイソブチル基、ノナフルオロ-s-ブチル基、ノナフルオロ-t-ブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロヘプチル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロノニル基、パーフルオロデシル基)が挙げられる。
式(SF-1)中、n(繰り返し単位数)は、例えば、2以上、3以上、4以上、5以上、10以上であり、例えば、3000以下である。
ポリ(メタ)アクリレート構造を有する界面活性剤として、市販品を使用できる。
ポリ(メタ)アクリレート構造を有する市販のノニオン性界面活性剤の例としては、「F-556」、「R-40」、「メガファック F-110(MEGAFACE F-110)」、「メガファック F-113(MEGAFACE F-113)」、「メガファック F-120(MEGAFACE F-120)」、「メガファック F-812(MEGAFACE F-812)」、「メガファック F-142D(MEGAFACE F-142D)」、「メガファック F-144D(MEGAFACE F-144D)」、「メガファック F-150(MEGAFACE F-150)」、「メガファック F-171(MEGAFACE F-171)」、「メガファック F-173(MEGAFACE F-173)」、「メガファック F-177(MEGAFACE F-177)」、「メガファック F-183(MEGAFACE F-183)」、「メガファック F-195(MEGAFACE F-195)」、「メガファック F-824(MEGAFACE F-824)」、「メガファック F-833(MEGAFACE F-833)」、「メガファック F-114(MEGAFACE F-114)」、「メガファック F-410(MEGAFACE F-410)」、「メガファック F-493(MEGAFACE F-493)」、「メガファック F-494(MEGAFACE F-494)」、「メガファック F-443(MEGAFACE F-443)」、「メガファック F-444(MEGAFACE F-444)」、「メガファック F-445(MEGAFACE F-445)」、「メガファック F-446(MEGAFACE F-446)」、「メガファック F-470(MEGAFACE F-470)」、「メガファック F-471(MEGAFACE F-471)」、「メガファック F-474(MEGAFACE F-474)」、「メガファック F-475(MEGAFACE F-475)」、「メガファック F-477(MEGAFACE F-477)」、「メガファック F-478(MEGAFACE F-478)」、「メガファック F-479(MEGAFACE F-479)」、「メガファック F-480SF(MEGAFACE F-480SF)」、「メガファック F-482(MEGAFACE F-482)」、「メガファック F-483(MEGAFACE F-483)」、「メガファック F-484(MEGAFACE F-484)」、「メガファック F-486(MEGAFACE F-486)」、「メガファック F-487(MEGAFACE F-487)」、「メガファック F-489(MEGAFACE F-489)」、「メガファック F-172D(MEGAFACE F-172D)」、「メガファック F-178K(MEGAFACE F-178 K)」、「メガファック F-178RM(MEGAFACE F-178RM)」、「メガファック R-08(MEGAFACE R-08)」、「メガファック R-30(MEGAFACE R-30)」、「メガファック F-472SF(MEGAFACE F-472SF)」、「メガファック BL-20(MEGAFACE BL-20)」、「メガファック R-61(MEGAFACE R-61)」、「メガファック R-90(MEGAFACE R-90)」、「メガファック ESM-1(MEGAFACE ESM-1)」、「メガファック MCF-350SF(MEGAFACE MCF-350SF)」(以上、DIC社製)、
「フタージェント100」、「フタージェント100C」、「フタージェント110」、「フタージェント150」、「フタージェント150CH」、「フタージェントA」、「フタージェント100A-K」、「フタージェント501」、「フタージェント300」、「フタージェント310」、「フタージェント320」、「フタージェント400SW」、「FTX-400P」、「フタージェント251」、「フタージェント215M」、「フタージェント212MH」、「フタージェント250」、「フタージェント222F」、「フタージェント212D」、「FTX-218」、「FTX-209F」、「FTX-213F」、「FTX-233F」、「フタージェント245F」、「FTX-208G」、「FTX-240G」、「FTX-206D」、「FTX-220D」、「FTX-230D」、「FTX-240D」、「FTX-207S」、「FTX-211S」、「FTX-220S」、「FTX-230S」、「FTX-750FM」、「FTX-730FM」、「FTX-730FL」、「FTX-710FS」、「FTX-710FM」、「FTX-710FL」、「FTX-750LL」、「FTX-730LS」、「FTX-730LM」、「FTX-730LL」、「FTX-710LL」(以上、ネオス社製)、
「BYK-300」、「BYK-302」、「BYK-306」、「BYK-307」、「BYK-310」、「BYK-315」、「BYK-320」、「BYK-322」、「BYK-323」、「BYK-325」、「BYK-330」、「BYK-331」、「BYK-333」、「BYK-337」、「BYK-340」、「BYK-344」、「BYK-370」、「BYK-375」、「BYK-377」、「BYK-350」、「BYK-352」、「BYK-354」、「BYK-355」、「BYK-356」、「BYK-358N」、「BYK-361N」、「BYK-357」、「BYK-390」、「BYK-392」、「BYK-UV3500」、「BYK-UV3510」、「BYK-UV3570」、「BYK-Silclean 3700」(以上、ビックケミー・ジャパン社製)、
「TEGO Rad2100」、「TEGO Rad2200 N」、「TEGO Rad2250」、「TEGO Rad2300」、「TEGO Rad2500」、「TEGO Rad2600」、「TEGO Rad2700」(以上、エボニック・インダストリーズ社製)が挙げられる。
一実施形態において、界面活性剤は、オルガノポリシロキサン構造を有することが好ましい。ここで、オルガノポリシロキサン構造は、下記式(SF-2)で表される構造である。組成物が、オルガノポリシロキサン構造を有することにより、光電変換素子の暗電流を効果的に低減しうる。界面活性剤は、オルガノポリシロキサン構造に加えて、任意の構成単位を含んでいてもよい。オルガノポリシロキサン構造を有する界面活性剤は、オリゴマー、ポリマーであり得る。
Figure 0007250982000008
式(SF-2)中、複数存在するRsf3は、それぞれ独立して、有機基を表す。
sf3は、好ましくは、それぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、ポリオキシアルキレン基を有する基、又は-(C=O)-O-で表される構造を有する基(例えば、-(C=O)-O-で表される構造を1以上、2以上、又は3以上有する基)を表し、これらの基は、置換基を有していてもよい。
オルガノポリシロキサン構造を有する界面活性剤は、任意の末端基を有しうる。
オルガノポリシロキサン構造を有する界面活性剤が有しうる末端基の例としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルキルオキシ基、シクロアルキルオキシ基、ポリオキシアルキレン基を有する基、アリール基、アリールアルキル基、及びポリ(メタ)アクリロイル基が挙げられ、これらの基は置換基(例、フッ素原子)を有していてもよい。
式(SF-2)中、n(繰り返し単位数)の範囲は、例えば、2以上、3以上、4以上、5以上、10以上であり、例えば3000以下である。
オルガノポリシロキサン構造を有する界面活性剤として、市販品を使用できる。
オルガノポリシロキサン構造を有する市販のノニオン性界面活性剤の例としては、
商品名「BYK-300」、「BYK-301/302」、「BYK-306」、「BYK-307」、「BYK-310」、「BYK-315」、「BYK-313」、「BYK-320」、「BYK-322」、「BYK-323」、「BYK-325」、「BYK-330」、「BYK-331」、「BYK-333」、「BYK-337」、「BYK-341」、「BYK-344」、「BYK-345/346」、「BYK-347」、「BYK-348」、「BYK-349」、「BYK-370」、「BYK-375」、「BYK-377」、「BYK-378」、「BYK-UV3500」、「BYK-UV3510」、「BYK-UV3570」、「BYK-3550」、「BYK-SILCLEAN3700」、「BYK-SILCLEAN3720」(以上、ビックケミー・ジャパン社製)、
商品名「AC FS 180」、「AC FS 360」、「AC S 20」(以上、Algin Chemie製)、商品名「ポリフローKL-400X」、「ポリフローKL-400HF」、「ポリフローKL-401」、「ポリフローKL-402」、「ポリフローKL-403」、「ポリフローKL-404」、「ポリフローKL-700」(以上、共栄社化学社製)、
商品名「KP-301」、「KP-306」、「KP-109」、「KP-310」、「KP-310B」、「KP-323」、「KP-326」、「KP-341」、「KP-104」、「KP-110」、「KP-112」、「KP-360A」、「KP-361」、「KP-354」、「KP-355」、「KP-356」、「KP-357」、「KP-358」、「KP-359」、「KP-362」、「KP-365」、「KP-366」、「KP-368」、「KP-369」、「KP-330」、「KP-620」、「KP-625」「KP-650」、「KP-651」、「KP-390」、「KP-391」、「KP-392」(以上、信越化学工業社製)、
商品名「LP-7001」、「LP-7002」、「SH28PA」、「8032 ADDITIVE」、「57 ADDITIVE」、「L-7604」、「FZ-2110」、「FZ-2105」、「67 ADDITIVE」、「8618 ADDITIVE」、「3 ADDITIVE」、「56 ADDITIVE」(以上、東レ・ダウコーニング社製)、「TEGO WET 270」(エボニック・デグサ・ジャパン社製)、「NBX-15」(ネオス社製)が挙げられる。
一実施形態において、界面活性剤は、フッ素系界面活性剤であることが好ましい。ここで、フッ素系界面活性剤とは、その分子中に、フッ素原子を含む界面活性剤を意味する。組成物がフッ素系界面活性剤を含むことにより、光電変換素子の暗電流を効果的に低減しうる。
フッ素系界面活性剤として、市販品を使用できる。
市販のフッ素系界面活性剤の例としては、「F-556」、「R-40」、メガファックF171、同F172、同F173、同F176、同F177、同F141、同F142、同F143、同F144、同R30、同F437、同F475、同F479、同F482、同F554、同F780、RS-72-K(以上、DIC社製)、
フロラードFC430、同FC431、同FC171、ノベックFC4430、同FC4432(以上、スリーエムジャパン社製)、
サーフロンS-382、同SC-101、同SC-103、同SC-104、同SC-105、同SC-1068、同SC-381、同SC-383、同S-393、同KH-40(以上、旭硝子社製)、
PF636、PF656、PF6320、PF6520、PF7002(以上、OMNOVA社製)が挙げられる。
(性状)
界面活性剤は、25℃、1atmにおいて、液体であることが好ましい。界面活性剤が25℃、1atmにおいて液体であることにより、組成物中における溶解性が良好となる。
(粘度)
界面活性剤の粘度ηは、好ましくは1mPa・s以上、より好ましくは10mPa・s以上、更に好ましくは100mPa・s以上であり、好ましくは10,000mPa・s以下、より好ましくは5,000mPa・s以下である。界面活性剤の粘度ηが、前記範囲内にある場合、光電変換素子の暗電流を効果的に低減しうる。
ここで、粘度ηは、レオメーターにより、温度25℃、せん断速度100(1/s)において測定された値である。
(分子量)
界面活性剤のピーク分子量Mpは、好ましくは100以上、より好ましくは1000以上であり、好ましくは10,000以下、より好ましくは5,000以下である。界面活性剤のピーク分子量Mpが、前記範囲内にある場合、光電変換素子の暗電流を効果的に低減しうる。
ここで、界面活性剤のピーク分子量Mpは、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により、測定された値である。ピーク分子量Mpは、下記の測定条件で測定されるGPCクロマトグラムにおける、ピークトップの値としうる。
GPCの移動相としてはo-ジクロロベンゼンを用い、1.0mL/minの流速で流す。カラムとしては、昭和電工社製、Shodex KD-806Mを用い、ガードカラムとしては、昭和電工社製、Shodex KD-Gを用いる。
検出器としてはUV-vis検出器(島津製作所社製、SPD-M20A)及び示差屈折率検出器(島津製作所社製、RID-10A)を用いる。
測定対象の化合物(重合体)は、溶媒である1-クロロナフタレンに、0.05質量%の濃度になるように混合して、80℃で2時間撹拌することで溶解させた溶解液とする。
得られた溶解液を、上記測定装置(GPC)にサンプルとして10μL注入することで、ピーク分子量(Mp)を測定する。
(フッ素含有量)
界面活性剤が、フッ素系界面活性剤である場合、界面活性剤のフッ素含有量は、好ましくはフッ素系界面活性剤中の溶媒を除く固形分を100質量%として、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。界面活性剤のフッ素含有率が前記範囲内にある場合、光電変換素子の暗電流を効果的に低減しうる。界面活性剤のフッ素含有率が、前記上限値以下である場合、組成物から得られる膜(活性膜)の撥水性が低下して、膜上に水系塗布液を容易に塗布しうる。
界面活性剤中のフッ素含有率は、燃焼イオンクロマトグラフィー等により測定できる。
(界面活性剤の含有割合)
組成物中の界面活性剤の含有割合は、溶媒の総質量を100質量%として、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であり、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。
組成物中の界面活性剤の含有割合は、n型半導体、p型半導体、及び界面活性剤の総質量を100質量%として、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
組成物中の界面活性剤の含有割合が、前記範囲内にある場合、光電変換素子の暗電流を効果的に低減しうる。
[2.2.p型半導体]
本実施形態の組成物に含まれるp型半導体は、一種単独であっても、二種以上の組み合わせであってもよい。
p型半導体は、低分子化合物であってもよく、高分子化合物であってもよく、好ましくは高分子化合物であり、更に好ましくはπ共役系高分子化合物である。
高分子化合物であるp型半導体の例としては、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミン構造を含むポリシロキサン誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体が挙げられる。
(ドナー・アクセプター構造)
p型半導体は、ドナー・アクセプター構造を有する高分子化合物であることが好ましい。ドナー・アクセプター構造は、ドナー構成単位とアクセプター構成単位とを含む。ドナー構成単位は、π電子が過剰である構成単位であり、アクセプター構成単位は、π電子が欠乏している構成単位である。
ドナー・アクセプター構造を有する高分子化合物を構成しうる構成単位には、ドナー構成単位とアクセプター構成単位とが直接的に結合した構成単位、さらにはドナー構成単位とアクセプター構成単位とが、任意好適なスペーサー(基又は構成単位)を介して結合した構成単位も含まれる。
p型半導体は、暗電流を効果的に低減する観点から、下記式(I)で表される構成単位及び下記式(II)で表される構成単位からなる群より選択される一種以上の構成単位を含む高分子化合物であることが好ましい。
(式(I)で表される構成単位)
Figure 0007250982000009
式(I)中、Ar及びArは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい3価の芳香族複素環基を表し、Zは下記式(Z-1)~式(Z-7)のいずれか1つで表される基を表す。
Figure 0007250982000010
式(Z-1)~(Z-7)中、Rは、
水素原子、
ハロゲン原子、
置換基を有していてもよいアルキル基、
置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
置換基を有していてもよいアルケニル基、
置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、
置換基を有していてもよいアルキニル基、
置換基を有していてもよいシクロアルキニル基、
置換基を有していてもよいアリール基、
置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、
置換基を有していてもよいシクロアルキルオキシ基、
置換基を有していてもよいアリールオキシ基、
置換基を有していてもよいアルキルチオ基、
置換基を有していてもよいシクロアルキルチオ基、
置換基を有していてもよいアリールチオ基、
置換基を有していてもよい1価の複素環基、
置換基を有していてもよい置換アミノ基、
置換基を有していてもよいイミン残基、
置換基を有していてもよいアミド基、
置換基を有していてもよい酸イミド基、
置換基を有していてもよい置換オキシカルボニル基、
シアノ基、
ニトロ基、
-C(=O)-Rで表される基、又は
-SO-Rで表される基を表し、
及びRは、それぞれ独立して、
水素原子、
置換基を有していてもよいアルキル基、
置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
置換基を有していてもよいアリール基、
置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、
置換基を有していてもよいシクロアルキルオキシ基、
置換基を有していてもよいアリールオキシ基、又は
置換基を有していてもよい1価の複素環基を表す。
式(Z-1)~式(Z-7)中、Rが2つある場合、2つあるRは同一であっても異なっていてもよい。Zは、好ましくは式(Z-4)又は式(Z-5)で表される基である。
式(Z-1)~(Z-7)中のRは、好ましくは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基であり、より好ましくは水素原子又はアルキル基であり、更に好ましくは、水素原子又は炭素原子数1~40のアルキル基であり、より好ましくは水素原子又は炭素原子数1~30のアルキル基であり、特に好ましくは水素原子又は炭素原子数1~20のアルキル基である。これらの基は、置換基を有していてもよい。Rが複数存在する場合、複数存在するRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
式(I)で表される構成単位は、下記式(I-1)で表される構成単位であることが好ましい。
Figure 0007250982000011
式(I-1)中、Zは前記と同様の意味を表す。
式(I-1)で表される構成単位の例としては、下記式(501)~式(505)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 0007250982000012
上記式(501)~式(505)中、Rは前記と同様の意味を表す。Rが2つ存在する場合、2つのRは互いに同一であっても異なっていてもよい。
式(I)で表される構成単位は、好ましくは前記式(501)で表される基である。
(式(II)で表される構成単位)
Figure 0007250982000013
前記式(II)中、Arは2価の芳香族複素環基を表す。Arで表される2価の芳香族複素環基の炭素原子数は、通常2~60であり、好ましくは4~60であり、より好ましくは4~20である。Arで表される2価の芳香族複素環基は置換基を有していてもよい。
式(II)で表される構成単位としては、下記式(II-1)~(II-8)のいずれかで表される構成単位が好ましい。
Figure 0007250982000014
式(II-1)~式(II-8)中、X及びXは、それぞれ独立して、硫黄原子又は酸素原子を表し、Z及びZは、それぞれ独立して、=C(R)-で表される基又は窒素原子を表し、Rは、式(Z-1)~(Z-7)における定義と同じである。複数存在するRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
式(II-6)中、2つのRは、好ましくは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、又はハロゲン原子であり、より好ましくは、同時に水素原子又はハロゲン原子であり、更に好ましくは、同時にハロゲン原子である。
原料化合物の入手性の観点から、式(II-1)~式(II-8)中のX及びXは、いずれも硫黄原子であることが好ましい。
Arで表される2価の芳香族複素環基の例としては、下記式(101)~式(190)で表される基が挙げられる。これらの基は、置換基を有していてもよい。
Figure 0007250982000015
Figure 0007250982000016
Figure 0007250982000017
Figure 0007250982000018
式(101)~式(190)中、Rは前記と同じ意味を表す。Rが複数存在する場合、複数のRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
p型半導体は、前記式(I)で表される構成単位及び/又は前記式(II)で表される構成単位に加えて、アリーレン基を有していてもよい。アリーレン基は、2価の芳香族炭素環基を意味する。アリーレン基は、置換基を有していてもよい。
アリーレン基における、置換基を除いた部分の炭素原子数は、通常6~60であり、好ましくは6~20である。置換基を含めたアリーレン基の炭素原子数は、通常6~100である。
アリーレン基の例としては、フェニレン基、ナフタレン-ジイル基、アントラセン-ジイル基、ビフェニル-ジイル基、ターフェニル-ジイル基、フルオレン-ジイル基、及びベンゾフルオレン-ジイル基が挙げられる。
p型半導体が、式(I)で表される構成単位及び/又は式(II)で表される構成単位を含む高分子化合物である場合、式(I)で表される構成単位及び式(II)で表される構成単位の合計量は、通常20~100モル%であり、p型半導体としての電荷輸送性を向上させるので、好ましくは40~100モル%であり、より好ましくは50~100モル%である。ただし、高分子化合物が含むすべての構成単位の量を100モル%とする。
p型半導体の好適な具体例としては、下記の高分子化合物が挙げられる。
Figure 0007250982000019
(p型半導体の含有量)
組成物におけるp型半導体の含有量は、必要とされる機能層(活性層)の厚さ、所望の特性等に応じて、任意好適な含有量とすることができる。
例えば、組成物におけるp型半導体の含有量は、組成物を100質量%として、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
[2.3.n型半導体]
本実施形態の組成物に含まれるn型半導体は、一種単独であっても、二種以上の組み合わせであってもよい。
n型半導体は、低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。n型半導体の例としては、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8-ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、C60フラーレン等のフラーレン及びその誘導体であるフラーレン誘導体(以下、フラーレン化合物という場合がある。)、並びに、バソクプロイン等のフェナントレン誘導体が挙げられる。
n型半導体は、C60フラーレン等のフラーレン及びその誘導体であるフラーレン誘導体であってもよく、非フラーレン化合物であってもよい。以下、フラーレン及びフラーレン誘導体を、フラーレン化合物という場合がある。非フラーレン化合物は、フラーレン及びフラーレン誘導体以外の化合物を意味する。
(フラーレン化合物)
一実施形態において、組成物に含まれるn型半導体としては、フラーレン及びフラーレン誘導体から選ばれる1種以上が好ましく、フラーレン誘導体がより好ましい。
フラーレンの例としては、C60フラーレン、C70フラーレン、C76フラーレン、C78フラーレン、及びC84フラーレンが挙げられる。フラーレン誘導体の例としては、これらのフラーレンの誘導体が挙げられる。フラーレン誘導体とは、フラーレンの少なくとも一部が修飾された化合物を意味する。
フラーレン誘導体の例としては、下記式で表される化合物が挙げられる。
Figure 0007250982000020
式中、
は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、又はエステル構造を有する基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数あるRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
は、アルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数あるRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
で表されるエステル構造を有する基の例としては、下記式で表される基が挙げられる。
Figure 0007250982000021
式中、u1は、1~6の整数を表す。u2は、0~6の整数を表す。Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
60フラーレン誘導体の例としては、下記の化合物が挙げられる。
Figure 0007250982000022
70フラーレン誘導体の例としては、下記の化合物が挙げられる。
Figure 0007250982000023
フラーレン誘導体の具体例としては、[6,6]-フェニル-C61酪酸メチルエステル(C60PCBM、[6,6]-Phenyl C61 butyric acid methyl ester)、[6,6]-フェニル-C71酪酸メチルエステル(C70PCBM、[6,6]-Phenyl C71 butyric acid methyl ester)、[6,6]-フェニル-C85酪酸メチルエステル(C84PCBM、[6,6]-Phenyl C85 butyric acid methyl ester)、及び[6,6]-チエニル-C61酪酸メチルエステル([6,6]-Thienyl C61 butyric acid methyl ester)が挙げられる。
(非フラーレン化合物)
別の実施形態において、組成物に含まれるn型半導体は、非フラーレン化合物であることが好ましい。非フラーレン化合物としては、多種の化合物が公知であり、従来公知の任意好適な非フラーレン化合物を本実施形態においてn型半導体として用いることができる。
一実施形態において、組成物に含まれるn型半導体は、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド構造を含む化合物であることが好ましい。非フラーレン化合物であるペリレンテトラカルボン酸ジイミド構造を含む化合物の例としては、下記式で表される化合物が挙げられる。
Figure 0007250982000024
Figure 0007250982000025
Figure 0007250982000026
Figure 0007250982000027
式中、Rは、前記定義のとおりである。複数あるRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
一実施形態において、n型半導体は、好ましくは、下記式(V)で表される化合物である。下記式(V)で表される化合物は、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド構造を含む非フラーレン化合物である。
Figure 0007250982000028
前記式(V)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、置換基を有していてもよいシクロアルキルオキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよい1価の芳香族複素環基を表す。複数あるRは互いに同一であっても異なっていてもよい。
好ましくは、複数あるRは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよいアルキル基である。
は、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、置換基を有していてもよいシクロアルキルオキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよい1価の芳香族複素環基を表す。複数あるRは同一であっても異なっていてもよい。
別の実施形態において、n型半導体は、下記式(VI)で表される化合物であることが好ましい。

-B10-A (VI)
式(VI)中、
及びAは、それぞれ独立に、電子求引性の基を表し、B10は、π共役系を含む基を表す。
及びAである電子求引性の基の例としては、-CH=C(-CN)で表される基、及び下記式(a-1)~式(a-9)で表される基が挙げられる。
Figure 0007250982000029
式(a-1)~式(a-7)中、
Tは、置換基を有していてもよい炭素環、又は置換基を有していてもよい複素環を表す。炭素環及び複素環は、単環であってもよく、縮合環であってもよい。これらの環が置換基を複数有する場合、複数ある置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
Tである置換基を有していてもよい炭素環の例としては、芳香族炭素環が挙げられ、好ましくは芳香族炭素環である。Tである置換基を有していてもよい炭素環の具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、ピレン環、及びフェナントレン環が挙げられ、好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、及びフェナントレン環であり、より好ましくはベンゼン環及びナフタレン環であり、更に好ましくはベンゼン環である。これらの環は、置換基を有していてもよい。
Tである置換基を有していてもよい複素環の例としては、芳香族複素環が挙げられ、好ましくは芳香族複素環である。Tである置換基を有していてもよい複素環の具体例としては、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、及びチエノチオフェン環が挙げられ、好ましくはチオフェン環、ピリジン環、ピラジン環、チアゾール環、及びチエノチオフェン環であり、より好ましくはチオフェン環である。これらの環は、置換基を有していてもよい。
Tである炭素環又は複素環が有し得る置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アリール基、及び1価の複素環基が挙げられ、好ましくはフッ素原子、及び/又は炭素原子数1~6のアルキル基である。
、X、及びXは、それぞれ独立して、酸素原子、硫黄原子、アルキリデン基、又は=C(-CN)で表される基を表し、好ましくは、酸素原子、硫黄原子、又は=C(-CN)で表される基である。
は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、置換基を有していてもよいアリール基又は1価の複素環基を表す。
a1、Ra2、Ra3、Ra4、及びRa5は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、置換基を有していてもよいアリール基又は1価の複素環基を表し、好ましくは、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基である。
Figure 0007250982000030
式(a-8)及び式(a-9)中、Ra6及びRa7は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、置換基を有していてもよいシクロアルキルオキシ基、置換基を有していてもよい1価の芳香族炭素環基、又は置換基を有していてもよい1価の芳香族複素環基を表し、複数あるRa6及びRa7は、同一であっても異なっていてもよい。
及びAである電子求引性の基としては、下記の式(a-1-1)~式(a-1-4)並びに式(a-6-1)及び式(a-7-1)のいずれかで表される基が好ましく、式(a-1-1)で表される基がより好ましい。ここで、複数あるRa10は、それぞれ独立して、水素原子又は置換基を表し、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。Ra3、Ra4、及びRa5は、それぞれ独立して、前記と同義であり、好ましくはそれぞれ独立して置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。
Figure 0007250982000031
10であるπ共役系を含む基の例としては、後述する式(VII)で表される化合物における、-(Sn1-B11-(Sn2-で表される基が挙げられる。
本実施形態において、n型半導体は、下記式(VII)で表される化合物であることが好ましい。

-(Sn1-B11-(Sn2-A (VII)
式(VII)中、A及びAは、それぞれ独立に、電子求引性の基を表す。A及びAの例及び好ましい例は、前記式(VI)におけるA及びAについて説明した例及び好ましい例と同様である。
及びSは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい2価の炭素環基、置換基を有していてもよい2価の複素環基、-C(Rs1)=C(Rs2)-で表される基(ここで、Rs1及びRs2は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基(好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよい1価の複素環基)を表す。)、又は-C≡C-で表される基を表す。
及びSで表される、置換基を有していてもよい2価の炭素環基及び置換基を有していてもよい2価の複素環基は、縮合環であってもよい。2価の炭素環基又は2価の複素環基が、複数の置換基を有する場合、複数ある置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
式(VII)中、n1及びn2は、それぞれ独立に、0以上の整数を表し、好ましくはそれぞれ独立に、0又は1を表し、より好ましくは、同時に0又は1を表す。
2価の炭素環基の例としては、2価の芳香族炭素環基が挙げられる。
2価の複素環基の例としては、2価の芳香族複素環基が挙げられる。
2価の芳香族炭素環基又は2価の芳香族複素環基が縮合環である場合、縮合環を構成する環の全部が芳香族性を有する縮合環であってもよく、一部のみが芳香族性を有する縮合環であってもよい。
及びSの例としては、既に説明したArで表される2価の芳香族複素環基の例として挙げられた式(101)~(190)のいずれかで表される基、及びこれらの基における水素原子が置換基で置換された基が挙げられる。
及びSは、好ましくは、それぞれ独立に、下記式(s-1)又は(s-2)で表される基を表す。
Figure 0007250982000032
式(s-1)及び(s-2)中、
は、酸素原子又は硫黄原子を表す。
a10は、前記定義のとおりである。
及びSは、好ましくは、それぞれ独立に、式(142)、式(148)、若しくは式(184)で表される基、又はこれらの基における水素原子が置換基で置換された基であり、より好ましくは、前記式(142)若しくは式(184)で表される基、又は式(184)で表される基における1つの水素原子が、アルキルオキシ基で置換された基である。
11は、炭素環構造及び複素環構造からなる群から選択された2以上の構造の縮合環基であり、かつオルト-ペリ縮合構造を含まない縮合環基であり、かつ置換基を有していてもよい縮合環基を表す。
11で表される縮合環基は、互いに同一である2以上の構造を縮合した構造を含んでいてもよい。
11で表される縮合環基が複数の置換基を有する場合、複数ある置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
11で表される縮合環基を構成し得る炭素環構造の例としては、下記式(Cy1)又は式(Cy2)で表される環構造が挙げられる。
Figure 0007250982000033
11で表される縮合環基を構成し得る複素環構造の例としては、下記式(Cy3)~式(Cy10)のいずれかで表される環構造が挙げられる。
Figure 0007250982000034
式(VII)中、B11は、好ましくは、前記式(Cy1)~式(Cy10)で表される構造からなる群から選択された2以上の構造の縮合環基であって、オルト-ペリ縮合構造を含まない縮合環基であり、かつ置換基を有していてもよい縮合環基である。B11は、式(Cy1)~式(Cy10)で表される構造のうち、2以上の同一の構造が縮合した構造を含んでいてもよい。
11は、より好ましくは、式(Cy1)~式(Cy6)及び式(Cy8)で表される構造からなる群から選択された2以上の構造の縮合環基であって、オルト-ペリ縮合構造を含まない縮合環基であり、かつ置換基を有していてもよい縮合環基である。
11である縮合環基が有していてもよい置換基は、好ましくは置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、及び置換基を有していてもよい1価の複素環基である。B11で表される縮合環基が有していてもよいアリール基は、例えば、アルキル基により置換されていてもよい。
11である縮合環基の例としては、下記式(b-1)~式(b-14)で表される基、及びこれらの基における水素原子が、置換基(好ましくは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、又は置換基を有していてもよい1価の複素環基)で置換された基が挙げられる。
11である縮合環基としては、下記式(b-2)又は(b-3)で表される基、又はこれらの基における水素原子が、置換基(好ましくは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、又は置換基を有していてもよい1価の複素環基)で置換された基が好ましく、下記式(b-2)又は(b-3)で表される基がより好ましい。
Figure 0007250982000035
Figure 0007250982000036
式(b-1)~式(b-14)中、
a10は、前記定義のとおりである。
式(b-1)~式(b-14)中、複数あるRa10は、それぞれ独立して、好ましくは置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基である。
式(VI)又は式(VII)で表される化合物の例としては、下記式で表される化合物が挙げられる。
Figure 0007250982000037
Figure 0007250982000038
上記式中、Rは、前記定義のとおりであり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
上記式中、Rは、好ましくは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよいアルキルオキシ基である。
組成物は、n型半導体として、非フラーレン化合物のみを含んでいてもよく、フラーレン化合物のみを含んでいてもよく、非フラーレン化合物とフラーレン化合物とを組み合わせて含んでいてもよい。
組成物に含まれるn型半導体の好適な具体例として、下記式で表される化合物が挙げられる。
Figure 0007250982000039
(n型半導体の含有量)
組成物におけるn型半導体の含有量は、必要とされる機能層(活性層)の厚さ、所望の特性等に応じて、任意好適な含有量とすることができる。
例えば、組成物におけるn型半導体の含有量は、組成物を100質量%として、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
(p型半導体のn型半導体に対する質量比(p型半導体/n型半導体))
組成物中のp型半導体のn型半導体に対する質量比(p型半導体/n型半導体)は、好ましくは1/9以上であり、より好ましくは1/5以上であり、更に好ましくは1/3以上であり、好ましくは9/1以下であり、より好ましくは5/1以下であり、更に好ましくは3/1以下である。ここで、当該質量比は、組成物がp型半導体を複数種含む場合は、p型半導体の総質量についての比であり、組成物がn型半導体を複数種含む場合は、n型半導体の総質量についての比である。
[2.4.溶媒]
本実施形態の組成物に含まれる溶媒は、一種単独でもよく、二種以上の組み合わせであってもよい。
本実施形態の組成物は、溶媒として、芳香族炭化水素を含んでいてもよく、芳香族炭化水素を含むことが好ましい。当該芳香族炭化水素は置換基を有していてもよい。芳香族炭化水素としては、特に既に説明したp型半導体を溶解させることができる化合物であることが好ましい。
溶媒として用いられうる芳香族炭化水素としては、例えば、トルエン、キシレン(例、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン)、トリメチルベンゼン(例、メシチレン、1,2,4-トリメチルベンゼン(プソイドクメン))、ブチルベンゼン(例、n-ブチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、tert-ブチルベンゼン)、メチルナフタレン(例、1-メチルナフタレン)、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(テトラリン)、インダン、1-クロロナフタレン、クロロベンゼン及びジクロロベンゼン(1,2-ジクロロベンゼン)が挙げられる。
溶媒は、1種のみの芳香族炭化水素から構成されていても、2種以上の芳香族炭化水素から構成されていてもよい。
溶媒を構成しうる芳香族炭化水素は、好ましくは、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、メシチレン、1,2,4-トリメチルベンゼン、n-ブチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、tert-ブチルベンゼン、メチルナフタレン、テトラリン、1-クロロナフタレン、クロロベンゼン及びジクロロベンゼン(1,2-ジクロロベンゼン)からなる群から選択される1種以上である。
溶媒中の芳香族炭化水素溶媒の含有量は、溶媒の総質量を100質量%として、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上であり、通常100質量%以下である。
本実施形態の組成物は、溶媒として、ハロゲン化アルキルを含んでいてもよい。溶媒として用いられうるハロゲン化アルキルとしては、例えば、クロロホルムが挙げられる。
本実施形態の組成物は、前記の溶媒に加えて、特にn型半導体の溶解性を高める観点から選択されるさらなる溶媒を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態において、さらなる溶媒の例としては、芳香族カルボニル化合物、芳香族エステル化合物及び含窒素複素環式化合物が挙げられる。本実施形態の組成物は、溶媒として、芳香族カルボニル化合物、芳香族エステル化合物及び含窒素複素環式化合物からなる群より選択される一種又は二種以上の化合物を含んでいてもよい。
芳香族カルボニル化合物としては、例えば、アセトフェノン、プロピオフェノン、ブチロフェノン、シクロへキシルフェニルケトン、ベンゾフェノンが挙げられ、これらの化合物は置換基を有していてもよい。
芳香族エステル化合物としては、例えば、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸イソプロピル、安息香酸ベンジル、安息香酸シクロへキシル、安息香酸フェニルが挙げられ、これらの化合物は置換基を有していてもよい。
含窒素複素環式化合物としては、例えば、ピリジン、キノリン、キノキサリン、1,2,3,4-テトラヒドロキノリン、ピリミジン、ピラジン、及びキナゾリンが挙げられ、これらの含窒素複素環式化合物は置換基を有していてもよい。
含窒素複素環式化合物は、環構造に直接的に結合する置換基を有していてもよい。含窒素複素環式化合物の環構造が有していてもよい置換基としては、例えば、炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数1~5のアルコキシ基、ハロゲン原子、及びアルキルチオ基が挙げられる。
本実施形態の組成物に含まれる溶媒の総質量は、組成物の全質量を100質量%としたときに、p型半導体及びn型半導体の溶解性をより向上させる観点から、好ましくは90質量%以上であり、より好ましくは92質量%以上であり、更に好ましくは95質量%以上であり、組成物中のp型半導体及びn型半導体の濃度をより高くして一定の厚さ以上の層を形成し易くする観点から、好ましくは99.9質量%以下である。
[2.5.任意成分]
本実施形態に係る組成物は、前記のp型半導体、n型半導体、界面活性剤、及び溶媒に加えて、本発明の目的及び効果を損なわない限度において、任意の成分を含んでいてもよい。任意の成分の例としては、紫外線吸収剤、酸化防止剤、吸収した光により電荷を発生させる機能を増感するための増感剤、及び紫外線からの安定性を増すための光安定剤が挙げられる。
組成物における任意成分の合計の含有量は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であり、通常0質量%以上であり、0質量%であってもよい。
[2.6.組成物の性状など]
組成物中、p型半導体及びn型半導体は溶解していても分散していてもよい。組成物中、p型半導体及びn型半導体は、少なくとも一部が溶解していることが好ましい。
本実施形態の組成物における、p型半導体及びn型半導体の合計の濃度は、必要とされる機能層(活性層)の厚さ、所望の特性等に応じて、任意好適な濃度とすることができる。p型半導体及びn型半導体の合計の濃度は、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上であり、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下であり、更に好ましくは0.01質量%以上20質量%以下であり、更に好ましくは0.01質量%以上10質量%以下であり、更に好ましくは0.01質量%以上5質量%以下であり、特に好ましくは0.1質量%以上5質量%以下である。
[2.7.組成物の製造方法]
組成物は、従来公知の方法により製造することができる。溶媒と、p型半導体、n型半導体、及び界面活性剤とを、溶媒の沸点以下の温度まで加温して混合してもよい。
溶媒と、p型半導体、n型半導体、及び界面活性剤とを混合した後、得られた混合物をフィルターを用いて濾過し、得られた濾液を組成物としてよい。フィルターとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂で形成されたフィルターを用いることができる。
[2.8.組成物の用途]
組成物は、塗布法によりp型半導体、n型半導体、及び界面活性剤を含む膜を形成するためのインクとして好適に用いられ得る。
本明細書において、「インク」は、塗布法に用いられる液状物を意味しており、着色した液に限定されない。また、「塗布法」は、液状物を用いて膜(層)を形成する方法を包含する。塗布法の例としては、スロットダイコート法、スリットコート法、ナイフコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットコート法、ディスペンサー印刷法、ノズルコート法、及びキャピラリーコート法が挙げられる。
[3.膜]
本発明の一実施形態に係る膜は、p型半導体、n型半導体、及び界面活性剤を含む。当該膜は、光電変換素子に含まれる活性層として好適に用いられうる。
膜に含まれるp型半導体、n型半導体、及び界面活性剤の例及び好ましい例はそれぞれ、前記組成物に含まれうる、p型半導体、n型半導体、及び界面活性剤の例及び好ましい例と同様である。
本実施形態の膜におけるp型半導体の含有量は、所望の特性等に応じて、任意好適な含有量とすることができる。
例えば、膜におけるp型半導体の含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、好ましくは99質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。
本実施形態の膜におけるn型半導体の含有量は、所望の特性等に応じて、任意好適な含有量とすることができる。
例えば、膜におけるn型半導体の含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、好ましくは99質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。
本実施形態の膜における、p型半導体のn型半導体に対する質量割合(p型半導体/n型半導体)は、通常、膜を製造するための組成物におけるp型半導体のn型半導体に対する質量割合と同じである。
本実施形態の膜における、界面活性剤の含有割合は、n型半導体、p型半導体、及び界面活性剤の総質量を100質量%として、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
本実施形態の膜は、溶媒を実質的に含まないことが好ましい。
本実施形態の膜における、溶媒の含有量は、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下であり、通常0質量%以上であり、0質量%であってもよい。
本実施形態の膜は、任意の方法により製造されうる。例えば、本実施形態の膜は、前記組成物を塗布対象に塗布して塗膜を得る工程(i)、及び得られた塗膜から溶媒を除去する工程(ii)を含む製造方法により製造されうる。
(工程(i))
工程(i)において、組成物を塗布対象に塗布する方法としては、既に説明した従来公知の任意の塗布法を用いることができる。
工程(i)において、組成物は、任意の塗布対象に塗布される。組成物は、光電変換素子の製造工程において、例えば、電極(陽極又は陰極)、電子輸送層、又は正孔輸送層などの光電変換素子が含みうる機能層に塗布されうる。
(工程(ii))
工程(ii)において、工程(i)により形成された組成物の塗膜から、溶媒を除去する方法としては、任意好適な方法を用いることができる。溶媒を除去する方法の例としては、熱風乾燥法、赤外線加熱乾燥法、フラッシュランプアニール乾燥法、減圧乾燥法などの乾燥法が挙げられる。
[4.有機光電変換素子]
[4.1.光電変換素子の構成]
本実施形態にかかる光電変換素子は、第1電極と、第2の電極と、該第1電極及び第2の電極の間に設けられている活性層とを含み、該活性層が既に説明した膜である。
以下、図面を参照して本実施形態の光電変換素子の構成例について具体的に説明する。
図1は、光電変換素子の構成例を模式的に示す図である。
図1に示されるように、光電変換素子10は、支持基板11に設けられている。光電変換素子10は、支持基板11に接するように設けられている第1の電極12と、第1の電極12に接するように設けられている第1の中間層13と、第1の中間層13に接するように設けられている活性層14と、活性層14に接するように設けられている第2の中間層15と、第2の中間層15に接するように設けられている第2の電極16とを備えている。この構成例では、第2の電極16に接するように封止部材17がさらに設けられている。本実施形態では、第1の中間層13及び第2の中間層15の両方が設けられているが、第1の中間層13及び第2の中間層15のいずれか一つのみが設けられていてもよい。例えば、第1の中間層13が設けられていなくてもよい。例えば、第2の中間層15が設けられていなくてもよい。
以下、本実施形態の光電変換素子に含まれ得る構成要素について具体的に説明する。
(基板)
光電変換素子は、通常、基板(支持基板)上に形成される。また、さらに基板(封止基板)により封止される場合もある。基板には、通常、第1の電極及び第2の電極からなる一対の電極のうちの一方が形成される。基板の材料は、特に有機化合物を含む層を形成する際に化学的に変化しない材料であれば特に限定されない。
基板の材料としては、例えば、ガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコンが挙げられる。不透明な基板が用いられる場合には、不透明な基板側に設けられる電極とは反対側の電極(換言すると、不透明な基板から遠い側の電極)が透明又は半透明の電極とされることが好ましい。
(電極)
光電変換素子は、一対の電極である第1の電極及び第2の電極を含んでいる。第1の電極及び第2の電極のうち、少なくとも一方の電極は、光を入射させるために、透明又は半透明の電極とすることが好ましい。
透明又は半透明の電極の材料の例としては、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜が挙げられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、及びそれらの複合体であるインジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、NESA等の導電性材料、金、白金、銀、銅が挙げられる。透明又は半透明である電極の材料としては、ITO、IZO、酸化スズが好ましい。また、電極として、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体などの有機化合物が材料として用いられる透明導電膜を用いてもよい。透明又は半透明の電極は、第1の電極であっても第2の電極であってもよい。
一対の電極のうちの一方の電極が透明又は半透明であれば、他方の電極は光透過性の低い電極であってもよい。光透過性の低い電極の材料の例としては、金属、及び導電性高分子が挙げられる。光透過性の低い電極の材料の具体例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム等の金属、及びこれらのうちの2種以上の合金、又は、これらのうちの1種以上の金属と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン及び錫からなる群から選ばれる1種以上の金属との合金、グラファイト、グラファイト層間化合物、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体が挙げられる。合金としては、マグネシウム-銀合金、マグネシウム-インジウム合金、マグネシウム-アルミニウム合金、インジウム-銀合金、リチウム-アルミニウム合金、リチウム-マグネシウム合金、リチウム-インジウム合金、及びカルシウム-アルミニウム合金が挙げられる。
(活性層)
本実施形態の光電変換素子は、活性層として、既に説明した膜を含む。本実施形態の活性層は、バルクヘテロジャンクション型の構造を有している。
本実施形態において、活性層の厚さは、特に限定されない。活性層の厚さは、例えば、暗電流の抑制と生じた光電流の取り出しとのバランスを考慮して、任意好適な厚さとすることができる。活性層の厚さは、特に暗電流をより低減する観点から、好ましくは100nm以上であり、より好ましくは150nm以上であり、更に好ましくは200nm以上である。また、活性層の厚さは、好ましくは10μm以下であり、より好ましくは5μm以下であり、更に好ましくは1μm以下である。
(中間層)
図1に示されるとおり、本実施形態の光電変換素子は、光電変換効率などの特性を向上させるための構成要素として、例えば、電荷輸送層(電子輸送層、正孔輸送層、電子注入層、正孔注入層)などの中間層(バッファー層)を備えていることが好ましい。
また、中間層に用いられる材料の例としては、カルシウムなどの金属、酸化モリブデン、酸化亜鉛などの無機酸化物半導体、及びPEDOT(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン))とPSS(ポリ(4-スチレンスルホネート))との混合物(PEDOT:PSS)が挙げられる。
中間層は、従来公知の任意好適な形成方法により形成することができる。中間層は、真空蒸着法や活性層の形成方法と同様の塗布法により形成することができる。
図1に示されるように、本実施形態の光電変換素子は、第1の電極と活性層との間に、第1の中間層としての電子輸送層を備えることが好ましい。本実施形態の光電変換素子は、第2の電極と活性層との間に、第2の中間層としての正孔輸送層を備えていてもよく、備えていなくてもよい。
また別の実施形態では、光電変換素子は、第2の電極と活性層との間に、第2の中間層としての電子輸送層を備えていることが好ましい。この別の実施形態では、光電変換素子は、第1の電極と活性層との間に、第1の中間層としての正孔輸送層を備えていてもよく、備えていなくてもよい。
電子輸送層は、活性層から電極へと電子を輸送する機能を有する。正孔輸送層は、活性層から電極へと正孔を輸送する機能を有する。
電極に接して設けられる電子輸送層を、特に電子注入層という場合がある。電極に接して設けられる電子輸送層(電子注入層)は、電極への電子の注入を促進する機能を有する。電子輸送層(電子注入層)は、活性層に接していてもよい。
電子輸送層は、電子輸送性材料を含む。電子輸送性材料の例としては、ポリアルキレンイミン及びその誘導体、フルオレン構造を含む高分子化合物、カルシウムなどの金属、金属酸化物が挙げられる。
ポリアルキレンイミン及びその誘導体の例としては、エチレンイミン、プロピレンイミン、ブチレンイミン、ジメチルエチレンイミン、ペンチレンイミン、ヘキシレンイミン、ヘプチレンイミン、オクチレンイミンといった炭素原子数2~8のアルキレンイミン、特に炭素原子数2~4のアルキレンイミンの1種又は2種以上を常法により重合して得られるポリマー、並びにそれらを種々の化合物と反応させて化学的に変性させたポリマーが挙げられる。ポリアルキレンイミン及びその誘導体としては、ポリエチレンイミン(PEI)及びエトキシ化ポリエチレンイミン(PEIE)が好ましい。
フルオレン構造を含む高分子化合物の例としては、ポリ[(9,9-ビス(3’-(N,N-ジメチルアミノ)プロピル)-2,7-フルオレン)-オルト-2,7-(9,9’-ジオクチルフルオレン)](PFN)及びPFN-P2が挙げられる。
金属酸化物の例としては、酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、アルミニウムドープ酸化亜鉛、酸化チタン及び酸化ニオブが挙げられる。金属酸化物としては、亜鉛を含む金属酸化物が好ましく、中でも酸化亜鉛が好ましい。
その他の電子輸送性材料の例としては、ポリ(4-ビニルフェノール)、ペリレンジイミドが挙げられる。
電極に接して設けられる正孔輸送層を、特に正孔注入層という場合がある。電極に接して設けられる正孔輸送層(正孔注入層)は、活性層で発生した正孔の電極への注入を促進する機能を有する。
正孔輸送層は、正孔輸送性材料を含む。正孔輸送性材料の例としては、ポリチオフェン及びその誘導体、芳香族アミン化合物、芳香族アミン残基を有する構成単位を含む高分子化合物、CuSCN、CuI、NiO、酸化タングステン(WO)及び酸化モリブデン(MoO)が挙げられる。
(封止部材)
本実施形態の光電変換素子は、封止部材をさらに含み、かかる封止部材により封止された封止体とすることが好ましい。
封止部材は任意好適な従来公知の部材を用いることができる。封止部材の例としては、基板(封止基板)であるガラス基板とUV硬化性樹脂などの封止材(接着剤)との組合せが挙げられる。
封止部材は、1層以上の層構造である封止層であってもよい。封止層を構成する層の例としては、ガスバリア層、ガスバリア性フィルムが挙げられる。
封止層は、水分を遮断する性質(水蒸気バリア性)又は酸素を遮断する性質(酸素バリア性)を有する材料により形成することが好ましい。封止層の材料として好適な材料の例としては、三フッ化ポリエチレン、ポリ三フッ化塩化エチレン(PCTFE)、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、脂環式ポリオレフィン、エチレン-ビニルアルコール共重合体などの有機材料、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、ダイヤモンドライクカーボンなどの無機材料などが挙げられる。
封止部材は、通常、光電変換素子が適用される、例えば後述する適用例のデバイスに組み込まれる際において実施され得る加熱処理に耐えうる材料により構成される。
別の実施形態では、第1の中間層13及び第2の中間層15の両方、又はいずれかが、設けられていなくてもよい。
[4.2.光電変換素子の製造方法]
本実施形態の光電変換素子は、従来公知の任意好適な製造方法により製造しうる。本実施形態の光電変換素子は、構成要素を形成するにあたり選択された材料に好適な工程を組み合わせて製造しうる。
以下、本発明の実施形態として、基板(支持基板)、第1の電極、正孔輸送層、活性層、電子輸送層、第2の電極がこの順に互いに接する構成を有する光電変換素子の製造方法を説明する。
(基板を用意する工程)
本工程では、例えば第1の電極が設けられた支持基板を用意する。また、既に説明した電極の材料により形成された導電性の薄膜が設けられた基板を市場より入手し、必要に応じて、導電性の薄膜をパターニングして第1の電極を形成することにより、第1の電極が設けられた支持基板を用意することができる。
本実施形態にかかる光電変換素子の製造方法において、支持基板上に第1の電極を形成する場合の第1の電極の形成方法は特に限定されない。第1の電極は、既に説明した材料を、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、めっき法、塗布法などの従来公知の任意好適な方法によって、第1の電極を形成すべき構成(例、支持基板、活性層、正孔輸送層)上に形成することができる。
(正孔輸送層の形成工程)
光電変換素子の製造方法は、活性層と第1の電極との間に設けられる正孔輸送層(正孔注入層)を形成する工程を含んでいてもよい。
正孔輸送層の形成方法は特に限定されない。正孔輸送層の形成工程をより簡便にする観点からは、従来公知の任意好適な塗布法によって正孔輸送層を形成することが好ましい。正孔輸送層は、例えば、既に説明した正孔輸送層を構成しうる材料と溶媒とを含む塗布液を用いる塗布法や真空蒸着法により形成することができる。
(活性層の形成工程)
本実施形態の光電変換素子の製造方法においては、正孔輸送層上に活性層が形成される。活性層は、任意好適な従来公知の形成工程により形成することができる。本実施形態において、活性層は、既に説明した組成物を用いる塗布法により製造することができる。
活性層は、既に説明した「膜」と同様にして形成することができる。本実施形態では、p型半導体と、n型半導体と、界面活性剤と、溶媒とを含む組成物を、正孔輸送層上に塗布して塗膜を形成する工程、次いで、前記塗膜を乾燥させる工程を含む工程により、活性層を形成することができる。
(電子輸送層の形成工程)
本実施形態の光電変換素子の製造方法は、活性層に接するように設けられた電子輸送層(電子注入層)を形成する工程を含みうる。
電子輸送層の形成方法は特に限定されない。電子輸送層の形成工程をより簡便にする観点からは、従来公知の任意好適な真空蒸着法によって電子輸送層を形成することが好ましい。
(第2の電極の形成工程)
第2の電極の形成方法は特に限定されない。第2の電極は、例えば、上記例示の電極の材料を、塗布法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、めっき法など従来公知の任意好適な方法によって形成することができる。以上の工程により、本実施形態の光電変換素子が製造される。
(封止体の形成工程)
封止体の形成にあたり、本実施形態では、従来公知の任意好適な封止材(接着剤)及び基板(封止基板)を用いる。具体的には、製造された光電変換素子の周辺を囲むように、支持基板上に、例えばUV硬化性樹脂などの封止材を塗布した後、封止材により隙間なく貼り合わせた後、選択された封止材に好適な、UV光の照射などの方法を用いて支持基板と封止基板との間隙に光電変換素子を封止することにより、光電変換素子の封止体を得ることができる。
[4.3.光電変換素子の適用例]
本実施形態の光電変換素子の用途としては、光検出素子、太陽電池が挙げられる。本実施形態の光電変換素子は、光が照射されることにより、電極間に光起電力を発生させることができ、太陽電池として動作させることができる。光電変換素子を複数集積することにより太陽電池モジュールとすることもできる。
本実施形態の光電変換素子は、電極間に電圧(逆バイアス電圧)を印加した状態で、透明又は半透明の電極側から光を照射することにより、光電流を流すことができ、光検出素子(光センサー)として動作させることができる。また、光検出素子を複数集積することによりイメージセンサーとして用いることもできる。本実施形態の光電変換素子は、特に光検出素子として好適に用いることができる。
本実施形態にかかる光電変換素子は、光検出素子として、ワークステーション、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末、入退室管理システム、デジタルカメラ、及び医療機器などの種々の電子装置が備える検出部に好適に適用することができる。
本実施形態の光電変換素子は、上記例示の電子装置が備える、例えば、X線撮像装置及びCMOSイメージセンサーなどの固体撮像装置用のイメージ検出部(例えば、X線センサーなどのイメージセンサー)、指紋検出部、顔検出部、静脈検出部及び虹彩検出部などの生体の一部分の所定の特徴を検出する生体情報認証装置の検出部(例えば、近赤外線センサー)、パルスオキシメータなどの光学バイオセンサーの検出部などに好適に適用することができる。
本実施形態の光電変換素子は、固体撮像装置用のイメージ検出部として、さらにはTime-of-flight(TOF)型距離測定装置(TOF型測距装置)に好適に適用することもできる。
TOF型測距装置では、光源からの放射光が測定対象物において反射された反射光を光電変換素子で受光させることにより距離を測定する。具体的には、光源から放射された照射光が測定対象物で反射して反射光として戻るまでの飛行時間を検出して測定対象物までの距離を求める。TOF型には、直接TOF方式と間接TOF方式とが存在する。直接TOF方式では光源から光を照射した時刻と反射光を光電変換素子で受光した時刻との差を直接計測し、間接TOF方式では飛行時間に依存した電荷蓄積量の変化を時間変化に換算することで距離を計測する。間接TOF方式で用いられる電荷蓄積により飛行時間を得る測距原理には、光源からの放射光と測定対象で反射される反射光との位相から飛行時間を求める連続波(特に正弦波)変調方式とパルス変調方式とがあるが、本実施形態の光電変換素子は、これらの方式のいずれの測定装置にも適用することができる。
[5.光検出素子]
前記のとおり、本実施形態の光電変換素子は、照射された光を、受光量に応じた電気信号に変換し、電極を介して外部回路に出力しうる光検出機能を有しうる。よって、本発明の実施形態にかかる光電変換素子は、光検出機能を有する光検出素子として特に好適に適用されうる。ここで、本実施形態の光検出素子は、光電変換素子そのものであってもよく、光電変換素子に加えて、電圧制御のためなどの機能素子をさらに含んでいてもよい。
以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示す。本発明は下記の実施例に限定されない。以下の実施例は、特に断りのない限り、常温(20℃±15℃)及び常圧(1atm)の条件下で行った。また、「%」及び「部」は、特に断りのない限り、それぞれ「質量%」及び「質量部」を表す。
<使用された半導体材料>
(p型半導体)
p型半導体材料P-1として、国際公開第2013/051676号に記載の方法を参考に合成された高分子化合物を使用した。
p型半導体材料P-2として、国際公開第2011/052709号に記載の方法を参考に合成された高分子化合物を使用した。
p型半導体材料P-3として、高分子化合物である、1-material社製、商品名:PM6を使用した。
p型半導体材料P-4として、高分子化合物である、1-material社製、商品名:PCE10を使用した。
(n型半導体)
n型半導体材料N-1として、ハーベス社製、商品名:Guard Surf NC-1010を使用した。
n型半導体材料N-2として、フロンティアカーボン社製、商品名:E100を使用した。
n型半導体材料N-3として、1-material社製、商品名:Y6を使用した。
p型半導体材料P-1~P-4及びn型半導体材料N-1~N-3の具体的構造を、下記表1及び表2に示す。
Figure 0007250982000040
Figure 0007250982000041
<使用される界面活性剤>
実施例において使用される界面活性剤は、下記のとおりである。
「F-556」:DIC社製、ノニオン性、ポリ(メタ)アクリレート構造を有するフッ素系界面活性剤。
「R-40」:DIC社製、ノニオン性、ポリ(メタ)アクリレート構造を有するフッ素系界面活性剤。
「KP-620」:信越化学工業社製、ノニオン性、オルガノポリシロキサン構造を有する界面活性剤。
「KP-323」:信越化学工業社製、ノニオン性、オルガノポリシロキサン構造を有する界面活性剤。
前記界面活性剤の物性を、下表に示す。下表において、「F」はフッ素原子を表す。
Figure 0007250982000042
界面活性剤の粘度ηは、以下の方法及び条件により測定された。
アントンパール社製モジュラーコンパクトレオメータMCR302を用いて、温度25℃、せん断速度100(S-1)の粘度ηを測定した。
界面活性剤のMp(ピーク分子量)は、以下の方法及び条件により測定された。
GPCの移動相としてはo-ジクロロベンゼンを用い、1.0mL/minの流速で流した。カラムとしては、昭和電工社製、Shodex KD-806Mを用い、ガードカラムとしては、昭和電工社製、Shodex KD-Gを用いた。
検出器としてはUV-vis検出器(島津製作所社製、SPD-M20A)及び示差屈折率検出器(島津製作所社製、RID-10A)を用いた。
測定対象の化合物(重合体)は、溶媒である1-クロロナフタレンに、0.05質量%の濃度になるように混合して、80℃で2時間撹拌することで溶解させた溶解液とした。
得られた溶解液を、上記測定装置(GPC)にサンプルとして10μL注入することで、ピーク分子量(Mp)を測定した。
<実施例1>
プソイドクメン、テトラリン、及び安息香酸ブチルを、それぞれ質量比87%、10%、及び3%となるように混合し、インク溶媒を調製した。界面活性剤として、DIC社製「F-556」を用いた。インク溶媒と界面活性剤とを、質量比が99.9%:0.1%となるように混合し、混合物(a)を得た。
混合物(a)に対し、p型半導体として材料P-1及びn型半導体として材料N-1を混合して、混合物(b)を得た。p型半導体の混合量は、インク組成物(混合物(b))全体に対して1.5質量%となる量とした。n型半導体の混合量は、インク組成物(混合物(b))全体の質量に対して1.5質量%となる量とした。得られた混合物(b)を60℃で6時間撹拌し、次いでフィルターにてろ過を行うことにより、インク組成物I-1を得た。インク組成物I-1に含まれる、溶媒、p型半導体、n型半導体、及び界面活性剤の合計を100質量%とした場合、界面活性剤の含有割合は、0.097質量%である。
<実施例2>
インク溶媒と界面活性剤とを、質量比が99.0%:1.0%となるように混合して、混合物(a)を得た。
以上の事項以外は、実施例1と同様に操作して、インク組成物I-2を得た。インク組成物I-2に含まれる、溶媒、p型半導体、n型半導体、及び界面活性剤の合計を100質量%とした場合、界面活性剤の含有割合は、0.97質量%である。
<実施例3>
界面活性剤として、信越化学工業社製「KP-620」を用いた。
以上の事項以外は、実施例1と同様に操作して、インク組成物I-3を得た。
<比較例1>
混合物(a)の代わりに、界面活性剤の含まれていないインク溶媒を用いた。
以上の事項以外は、実施例1と同様に操作して、インク組成物I-C1を得た。
<実施例4>
プソイドクメン、及び1,2-ジメトキシベンゼンを、それぞれ質量比97%、3%となるように混合し、インク溶媒を調製した。
以上の事項以外は、実施例1と同様に操作して、インク組成物I-4を得た。
<比較例2>
混合物(a)の代わりに、界面活性剤の含まれていないインク溶媒を用いた。
以上の事項以外は、実施例4と同様に操作して、インク組成物I-C2を得た。
<実施例5>
p型半導体として、材料P-2を用い、n型半導体として、材料N-2を用いた。
界面活性剤として、DIC社製「R-40」を用いた。
以上の事項以外は、実施例1と同様に操作して、インク組成物I-5を得た。
<実施例6>
p型半導体として、材料P-2を用い、n型半導体として、材料N-2を用いた。
以上の事項以外は、実施例1と同様に操作して、インク組成物I-6を得た。
<比較例3>
混合物(a)の代わりに、界面活性剤の含まれていないインク溶媒を用いた。
以上の事項以外は、実施例5と同様に操作して、インク組成物I-C3を得た。
<実施例7>
p型半導体として、材料P-3を用い、n型半導体として、材料N-2を用いた。
インク溶媒として、o-ジクロロベンゼンを用いた。
以上の事項以外は、実施例1と同様に操作して、インク組成物I-7を得た。
<比較例4>
混合物(a)の代わりに、界面活性剤の含まれていないインク溶媒を用いた。
以上の事項以外は、実施例7と同様に操作して、インク組成物I-C4を得た。
<実施例8>
p型半導体として、材料P-4を用い、n型半導体として、材料N-2を用いた。
インク溶媒として、o-ジクロロベンゼンを用いた。
以上の事項以外は、実施例1と同様に操作して、インク組成物I-8を得た。
<比較例5>
混合物(a)の代わりに、界面活性剤の含まれていないインク溶媒を用いた。
以上の事項以外は、実施例8と同様に操作して、インク組成物I-C5を得た。
<実施例9>
p型半導体として、材料P-1を用い、n型半導体として、材料N-2を用いた。
以上の事項以外は、実施例1と同様に操作して、インク組成物I-9を得た。
<比較例6>
混合物(a)の代わりに、界面活性剤の含まれていないインク溶媒を用いた。
以上の事項以外は、実施例9と同様に操作して、インク組成物I-C6を得た。
<実施例10>
p型半導体として、材料P-1を用い、n型半導体として、材料N-3を用いた。
以上の事項以外は、実施例1と同様に操作して、インク組成物I-10を得た。
<比較例7>
混合物(a)の代わりに、界面活性剤の含まれていないインク溶媒を用いた。
以上の事項以外は、実施例10と同様に操作して、インク組成物I-C7を得た。
<実施例11>
p型半導体として、材料P-3を用い、n型半導体として、材料N-3を用いた。
以上の事項以外は、実施例1と同様に操作して、インク組成物I-11を得た。
<比較例8>
混合物(a)の代わりに、界面活性剤の含まれていないインク溶媒を用いた。
以上の事項以外は、実施例11と同様に操作して、インク組成物I-C8を得た。
実施例及び比較例に係るインク組成物の配合を、下表に示す。
下表において、界面活性剤の添加量は、混合物(b)を100質量%とした値を示す。
Figure 0007250982000043
<光電変換素子の製造及び評価>
実施例及び比較例で製造した各インク組成物を用いて、下記の光電変換素子の製造方法A又は製造方法Bに従って光電変換素子を製造し、暗電流(Jd)を測定した。
[光電変換素子の製造方法A]
(A-1.基板の用意)
スパッタ法により100nmの厚さで第1の電極としてのITO膜が形成されたガラス基板(以下、単にガラス基板という。)を用意した。次いで、当該ガラス基板に対してオゾン紫外線(UV)処理による表面処理を行った。
(A-2.活性層の形成)
インク組成物を、ガラス基板のITO膜上に、スピンコート法により塗布して、塗膜を形成した。塗膜が形成されたガラス基板をホットプレート上に載せ、大気中において70℃で2分間の条件で塗膜を乾燥させた。続いて、塗膜が形成されたガラス基板をホットプレート上に載せ、窒素ガス雰囲気下において、100℃で10分間の条件で塗膜を更に乾燥させた。これにより、ITO膜上に、活性層が形成された。形成された活性層の厚さは、約250nmであった。
(A-3.電子輸送層の形成)
次いで、酸化亜鉛ナノ粒子(粒径20~30nm)の45質量%イソプロパノール分散液(テイカ社製、HTD-711Z)を、当該イソプロパノール分散液の10倍質量部の3-ペンタノールで希釈し、塗布液を調製した。この塗布液を、スピンコート法により形成された活性層上に、40nmの厚さで塗布し、70℃で5分間の加熱処理を施した。これにより、活性層上に電子輸送層が形成された。
(A-4.電極の形成)
その後、抵抗加熱蒸着装置を用いて、電子輸送層上に、電極(第2の電極)であるAg膜を約80nmの厚さで形成した。
(A-5.封止層の形成)
次いで、紫外線(UV)硬化性封止剤を、電極(第2の電極)が形成されたガラス基板の周囲に塗布し、さらにガラス板を電極の上方に貼り合わせた後、UV光を照射することで封止剤を硬化させて封止し、光電変換素子を得た。得られた光電変換素子の形状は2mm×2mmの正方形であった。
以上の製造方法により、ガラス基板、第1の電極、活性層、電子輸送層、及び第2の電極が、この順に設けられている、光電変換素子A(光検出素子A)が得られた。
[光電変換素子の製造方法B]
(B-1.基板の用意)
スパッタ法により100nmの厚さでITO膜が形成されたガラス基板を用意した。次いで、当該ガラス基板に対してオゾンUV処理による表面処理を行った。
(B-2.電子輸送層の形成)
次に、ガラス基板を、ポリエチレンイミン80%エトキシ化水溶液(シグマアルドリッチ社製、37質量%水溶液)を、濃度が0.1質量%となるように水で希釈して得られた希釈溶液に、5分間浸漬した。次いで、希釈溶液からガラス基板を引き上げた後にホットプレート上に載せ、大気中において100℃で10分間の条件で乾燥させた。
次いで、乾燥させたガラス基板を水で洗浄し、洗浄後のガラス基板をホットプレート上に載せ、大気中において100℃で10分間の条件で乾燥させた。これにより、第1の電極としてのITO膜上に電子輸送層を形成した。
(B-3.活性層の形成)
次に、インク組成物を、ITO膜上に形成された電子輸送層上に、スロットダイコート法により塗布して塗膜を形成した。次いで、真空乾燥処理(圧力10Pa、70℃)を5分間行った。乾燥処理された塗膜が形成されたガラス基板をホットプレート上に載せ、100℃で12分間の条件で乾燥させることにより活性層を形成した。形成された活性層の厚さは、約530nmであった。
(B-4.電極の形成)
次いで、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸を水に溶解させた懸濁液(ヘレウス社製、Clevios F HC Solar)を、形成された活性層上に、スピンコート法により塗布して塗膜を形成した。塗膜が活性層上に形成されたガラス基板をオーブンに入れ、85℃で30分間の条件で乾燥させることにより第2の電極を形成した。形成された第2の電極の厚さは、約120nmであった。
(B-5.封止層の形成)
次いで、紫外線(UV)硬化性封止剤を、電極(第2の電極)が形成されたガラス基板の周囲に塗布し、さらにガラス板を電極の上方に貼り合わせた後、UV光を照射することで封止剤を硬化させて封止し、光電変換素子を得た。得られた光電変換素子の形状は2mm×2mmの正方形であった。
以上の製造方法により、ガラス基板、第1の電極、電子輸送層、活性層、及び第2の電極が、この順に設けられている、光電変換素子B(光検出素子B)が得られた。
[光電変換素子の評価]
前記の製造方法A又は製造方法Bにより製造された光電変換素子に、暗所においてJV測定を行い、-5Vにおける暗電流(Jd)を求めた。JV測定にはソースメータ―(2450型、ケースレー社製)を用いた。
<評価結果>
評価結果を下表に示す。
下表において、評価1~4の暗電流(Jd)相対値は、評価1の暗電流を100とした場合の相対値である。評価5~6のJd相対値は、評価5の暗電流を100とした場合の相対値である。評価7~9のJd相対値は、評価7の暗電流を100とした場合の相対値である。評価10~11、評価12~13、評価14~15、評価16~17、評価18~19のJd相対値は、それぞれ評価10、評価12、評価14、評価16、評価18の暗電流を100とした場合の相対値である。
下表において、「素子A」は、製造方法Aにより製造された光電変換素子Aを表し、「素子B」は、製造方法Bにより製造された光電変換素子Bを表す。
Figure 0007250982000044
以上の結果より、界面活性剤を含む組成物から製造された活性層を備える光電変換素子は、界面活性剤を含まない組成物から製造された活性層を備える光電変換素子と比較して、暗電流が低下することが分かる。
また界面活性剤を含む組成物から製造された活性層を備える光電変換素子は、光電変換素子A及び光電変換素子Bのいずれの構造を有していても、暗電流が低下することが分かる。
10 光電変換素子
11 支持基板
12 第1の電極
13 第1の中間層
14 活性層
15 第2の中間層
16 第2の電極
17 封止部材

Claims (13)

  1. 光検出素子の活性層形成用インク組成物であって、
    p型半導体、n型半導体、界面活性剤、及び溶媒を含み、
    前記界面活性剤が、ノニオン性界面活性剤、ポリ(メタ)アクリレート構造を有する化合物、オルガノポリシロキサン構造を有する化合物及びフッ素系界面活性剤からなる群より選ばれるいずれかを含み、
    前記インク組成物における前記界面活性剤の含有量が、前記p型半導体、前記n型半導体、及び前記界面活性剤の総質量を100質量%として、0.1質量%以上であり、{0.97/(1.5+1.5+0.97)×100}質量%以下である光検出素子の活性層形成用インク組成物。
  2. 光検出素子の活性層形成用インク組成物であって、
    p型半導体、n型半導体、界面活性剤、及び溶媒を含み、
    前記界面活性剤が、ノニオン性界面活性剤、ポリ(メタ)アクリレート構造を有する化合物、オルガノポリシロキサン構造を有する化合物及びフッ素系界面活性剤からなる群より選ばれるいずれかを含み、
    前記インク組成物における前記界面活性剤の含有量が、溶媒の総質量を100質量%として、0.01質量%以上1.0質量%以下である、光検出素子の活性層形成用インク組成物。
  3. 光検出素子の活性層形成用インク組成物であって、
    p型半導体、n型半導体、界面活性剤、及び溶媒を含み、
    前記界面活性剤が、ノニオン性界面活性剤、ポリ(メタ)アクリレート構造を有する化合物、オルガノポリシロキサン構造を有する化合物及びフッ素系界面活性剤からなる群より選ばれるいずれかを含み、
    前記インク組成物における前記界面活性剤の含有量が、前記p型半導体、前記n型半導体、及び前記界面活性剤の総質量を100質量%として、0.1質量%以上10質量%以下である、光検出素子の活性層形成用インク組成物。
  4. 前記p型半導体が、ドナー・アクセプター構造を有する高分子化合物である、請求項1~3のいずれか一項に記載の光検出素子の活性層形成用インク組成物。
  5. 前記p型半導体が、下記式(I)で表される構成単位及び下記式(II)で表される構成単位からなる群より選択される一種以上の構成単位を含む高分子化合物である、請求項1~3のいずれか一項に記載の光検出素子の活性層形成用インク組成物。
    Figure 0007250982000045
    (式(I)中、
    Ar及びArは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい3価の芳香族複素環基を表し、
    Zは下記式(Z-1)~式(Z-7)のいずれか1つで表される基を表す。
    Figure 0007250982000046
    (式(Z-1)~(Z-7)中、Rは、
    水素原子、
    ハロゲン原子、
    置換基を有していてもよいアルキル基、
    置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
    置換基を有していてもよいアルケニル基、
    置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、
    置換基を有していてもよいアルキニル基、
    置換基を有していてもよいシクロアルキニル基、
    置換基を有していてもよいアリール基、
    置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、
    置換基を有していてもよいシクロアルキルオキシ基、
    置換基を有していてもよいアリールオキシ基、
    置換基を有していてもよいアルキルチオ基、
    置換基を有していてもよいシクロアルキルチオ基、
    置換基を有していてもよいアリールチオ基、
    置換基を有していてもよい1価の複素環基、
    置換基を有していてもよい置換アミノ基、
    置換基を有していてもよいイミン残基、
    置換基を有していてもよいアミド基、
    置換基を有していてもよい酸イミド基、
    置換基を有していてもよい置換オキシカルボニル基、
    シアノ基、
    ニトロ基、
    -C(=O)-Rで表される基、又は
    -SO-Rで表される基を表し、
    及びRは、それぞれ独立して、
    水素原子、
    置換基を有していてもよいアルキル基、
    置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
    置換基を有していてもよいアリール基、
    置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、
    置換基を有していてもよいシクロアルキルオキシ基、
    置換基を有していてもよいアリールオキシ基、又は
    置換基を有していてもよい1価の複素環基を表す。
    式(Z-1)~式(Z-7)中、Rが2つある場合、2つあるRは同一であっても異なっていてもよい。))
    Figure 0007250982000047
    (式(II)中、Arは2価の芳香族複素環基を表す。)
  6. 前記n型半導体が、フラーレン誘導体である、請求項1~3のいずれか一項に記載の光検出素子の活性層形成用インク組成物。
  7. 前記n型半導体が、非フラーレン化合物である、請求項1~3のいずれか一項に記載の光検出素子の活性層形成用インク組成物。
  8. 前記溶媒が、芳香族炭化水素溶媒を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の光検出素子の活性層形成用インク組成物。
  9. 光検出素子に含まれる有機光電変換素子に含まれる、膜であって、
    前記膜が、
    p型半導体、n型半導体、及び界面活性剤を含み、
    前記界面活性剤が、ノニオン性界面活性剤、ポリ(メタ)アクリレート構造を有する化合物、オルガノポリシロキサン構造を有する化合物及びフッ素系界面活性剤からなる群より選ばれるいずれかを含み、
    前記膜における前記界面活性剤の含有量が、前記p型半導体、前記n型半導体、及び前記界面活性剤の総質量を100質量%として、0.1質量%以上{0.97/(1.5+1.5+0.97)×100}質量%以下である、膜。
  10. 光検出素子に含まれる有機光電変換素子に含まれる、膜であって、
    前記膜が、
    p型半導体、n型半導体、及び界面活性剤を含み、
    前記界面活性剤が、ノニオン性界面活性剤、ポリ(メタ)アクリレート構造を有する化合物、オルガノポリシロキサン構造を有する化合物及びフッ素系界面活性剤からなる群より選ばれるいずれかを含み、
    前記膜における前記界面活性剤の含有量が、前記p型半導体、前記n型半導体、及び前記界面活性剤の総質量を100質量%として、0.1質量%以上10質量%以下である、膜。
  11. 第1の電極と、請求項9又は10に記載の膜と、第2の電極とをこの順で含む有機光電変換素子を含む、光検出素子
  12. p型半導体、n型半導体、及び界面活性剤を含み、請求項1~3のいずれか一項に記載の光検出素子の活性層形成用インク組成物から形成された膜。
  13. 第1の電極と、請求項12に記載の膜と、第2の電極とをこの順で含む有機光電変換素子を含む、光検出素子。
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