以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。各実施形態では撮像装置の一例としてのデジタルスチルカメラ(以下、単にカメラという)を示すが、撮像機能を有する各種装置への適用が可能である。
[第1実施形態]
先ず、本実施形態に係る撮像素子を用いた撮像装置の全体構成を説明する。図1は、本実施形態に係るカメラ100の機能構成例を示す図である。被写体側を前側と定義して各部の位置関係を説明する。
第1レンズ群101は撮像光学系(結像光学系)の前端に配置され、光軸方向に進退可能に保持される。絞り兼用シャッタ102は、静止画撮像時の露光時間を制御するシャッタ機能と、開口径を調節することで撮像時の光量調節を行う絞り機能を有する。第2レンズ群103は、絞り兼用シャッタ102と一体となって光軸方向に進退可能である。第2レンズ群103と第1レンズ群101との進退動作の連動により、変倍作用(ズーム機能)を実現することができる。第3レンズ群105は、光軸方向の進退により焦点調節を行うフォーカスレンズである。光学ローパスフィルタ106は、撮影画像の偽色やモアレを軽減するための光学素子である。撮像素子107は、例えばCMOS(相補型金属酸化膜半導体)イメージセンサであり、結像光学系の結像面に配置され、入射した光を光電変換によって電気信号に変換する。
ズームアクチュエータ111は、不図示のカム筒を回動することで、第1レンズ群101と第2レンズ群103を光軸方向に進退駆動して変倍動作を行う。絞りシャッタアクチュエータ112は、絞り兼用シャッタ102の開口径を制御して撮影光量を調節すると共に、静止画撮影時の露光時間の調節を行う。フォーカスアクチュエータ113は、第3レンズ群105を光軸方向に進退駆動して焦点調節動作を行う。
撮影時の被写体照明用の電子フラッシュ114は、キセノン管を用いた閃光照明装置または連続発光するLEDを備えた照明装置が用いられる。AF(自動焦点調節)補助光発光部115は、所定の開口パターンを有したマスクの像を、投影レンズを介して被写界に投影し、暗い被写体あるいは低コントラスト被写体に対する焦点検出能力を向上させる。
CPU(中央演算処理装置)121はカメラ100の制御を司る中枢部である。CPU121は演算部、ROM(リード・オンリ・メモリ)、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、通信インターフェイス回路を有する。CPU121はROMに記憶された所定のプログラムを実行し、カメラ100が備える各種回路の制御を行うことでAF処理、撮影処理、画像処理、記録処理等の一連の処理を行う。
電子フラッシュ制御回路122は、撮影動作に同期して電子フラッシュ114の点灯制御を行う。補助光制御回路123は、焦点検出動作に同期してAF補助光発光部115の点灯制御を行う。
撮像素子制御回路124は、撮像素子107の撮像動作を制御すると共に、撮像素子107から取得した画像信号をA/D変換してデジタル画像信号をCPU121に出力する。画像処理回路125は、撮像素子107により取得される画像のガンマ変換、カラー補間、JPEG(Joint Photographic Experts Group)圧縮等の処理を行う。
フォーカス駆動回路126は、撮像光学系の焦点状態検出結果に基づいてフォーカスアクチュエータ113を駆動し、第3レンズ群105を光軸方向に進退駆動して焦点調節を行う。絞りシャッタ駆動回路127は、絞りシャッタアクチュエータ112を駆動して絞り兼用シャッタ102の開口を制御する。ズーム駆動回路128は、撮影者のズーム操作指示にしたがってズームアクチュエータ111を駆動する。
表示器131はLCD(液晶ディスプレイ)等の表示デバイスを備え、カメラ100の撮影モードに関する情報、撮影前のプレビュー画像と撮影後の確認用画像、焦点検出時の合焦状態の表示画像等を表示する。操作スイッチ群132は、電源スイッチ、レリーズ(撮影トリガ)スイッチ、ズーム操作スイッチ、撮影モード選択スイッチ等を備える。フラッシュメモリ133はカメラ100に着脱可能な記録媒体であり、撮影済み画像データ等を記録する。
次に図2を参照して撮像素子107を説明する。図2はCMOSイメージセンサ(撮像素子)の全体構成を概略的に示す図である。画素アレイ201は、光電変換部と信号読み出し回路を有する多数の画素部が2次元アレイ状に配置された構成である。
垂直選択回路202は所定行を選択し、所定行に含まれる画素部から信号が垂直信号線に出力される。垂直信号線は画素列毎もしくは複数の画素列毎に1つ、または画素列毎に複数設けることが可能である。列回路203には複数の垂直信号線から並列に読み出された信号が入力される。列回路203は、信号の増幅やノイズ除去等の処理を行う。
水平選択回路204は列回路203に保持された信号を順次、ランダム、または同時に不図示の水平出力線へ出力する。なお、撮像素子制御回路124に搭載されるA/D変換機能を列回路203に搭載してもよいし、画素毎に搭載してもよい。また、CMOSイメージセンサ内に撮像動作の制御信号回路を搭載してもよい。
図3は画素アレイ201の画素配列を4列×4行の範囲で示し、2分割された光電変換部(301,302参照)を8列×4行の範囲で示す模式図である。図3の紙面に垂直な方向をz方向とし、紙面内の左右方向をx方向とし、上下方向をy方向としてx、y、z軸による直交座標系を定義する。
画素群300は2行×2列の画素部からなる。R(赤)の分光感度を有する画素300Rが左上に位置し、G(緑)の分光感度を有する画素300Gが右上と左下にそれぞれ位置する。B(青)の分光感度を有する画素300Bが右下に位置する。
各画素部は2列1行に配列された光電変換部により構成されている。受光部を構成する複数の光電変換部は、完全電荷転送が可能なフォトダイオード(PDとも記す)で構成されている。1つの画素部の中で、x方向にて相対的にx座標値が小さい側に配置されたPDをPDA、相対的にx座標値が大きい側に配置されたPDをPDBと呼ぶことにする。
図3に示す4列×4行の画素(8列×4行のPD)を平面上に多数配置することで撮像画像信号および焦点検出信号の取得が可能である。なお、画素アレイ201の一部には、光電変換部をPDAとPDBに分割せず、1つの光電変換部のみを有する画素部が存在してもよい。
図4(A)は、図3に示した画素配列の1つの画素300Gを、撮像素子107の受光面側(+z側)から見た場合の平面図である。図4(B)は、図4(A)のa-a断面を-y側から見た場合の断面図である。画素300Gでは、各画素部の受光面側に入射光を集光するためのマイクロレンズ401が形成されている。x方向に2分割され、y方向には分割されていないPDAとPDBが形成されている。各画素部には、マイクロレンズ401と、PDAおよびPDBとの間に、カラーフィルタ402が形成される。必要に応じて、焦点検出画素毎にカラーフィルタの分光透過率を変えてもよいし、カラーフィルタを省略してもよい。
図4に示す画素300Gに入射した光は、マイクロレンズ401により集光される。そしてカラーフィルタ402で分光された後、PDAおよびPDBで受光される。PDAおよびPDBでは、受光量に応じて電子とホール(正孔)が対生成し、空乏層で分離される。負電荷の電子は、信号電荷としてn型半導体領域に収集・蓄積され、正電荷のホールは定電圧源(不図示)に接続されたp型半導体領域を通じて撮像素子外部へ排出される。なお、光電変換部を構成するn型半導体領域とp型半導体領域を逆にすることで、ホールの正電荷を信号電荷としてもよい。
図3に示す画素300R、300Bについても画素300Gと同様の構成を有しており、カラーフィルタ402により各色に分光された光に応じた信号電荷が収集・蓄積される。
図5と図6を参照して、本実施形態の画素構造と瞳分割との対応関係について説明する。図5は、図4(B)に示した本実施形態の画素構造のa-a断面と、結像光学系の射出瞳面との関係を示す概略図である。射出瞳面については光軸方向をz方向とし、図5の紙面内にx方向およびy方向を示しており、x、y、z軸による直交座標系を定義する。図6は、射出瞳面のx軸に沿った瞳受光領域の瞳強度分布例を示す図である。
画素部の受光面と瞳領域500とは、マイクロレンズによっておおむね共役関係になっている。瞳領域500は第1の瞳部分領域501と第2の瞳部分領域502を有する。PDAの受光領域と瞳部分領域501とが対応し、PDBの受光領域と瞳部分領域502とが対応する関係である。つまり被写体からの光のうち、第1の瞳部分領域501を通過した光はマイクロレンズ401を介して第1の光電変換部PDAに入射する。また、第2の瞳部分領域501を通過した光はマイクロレンズ401を介して第2の光電変換部PDAに入射する。
図6の横軸はx座標値を表し、縦軸は光電変換部PDA,PDBの受光強度を表す。PDA,PDBの瞳強度分布は、射出瞳のx(軸)方向にて分割された分布である。PDAの瞳強度分布を示すグラフ曲線はx(軸)方向にて座標値x1の位置にピークを有し、PDBの瞳強度分布を示すグラフ曲線はx(軸)方向にて座標値x2の位置にピークを有する。
以下では図3に示したように、x(軸)方向に規則的に配列されたPDA群の各出力から取得される被写体像をA像とする。また、x(軸)方向に規則的に配列されたPDB群の各出力から取得される被写体像をB像とする。A像とB像との像ズレ量(相対位置)を検出することで、x(軸)方向に輝度分布を有する被写体像のデフォーカス量(合焦ずれ量)を検出することができる。
図7を参照して、画素信号の読み出し動作について説明する。図7は、本実施形態の画素等価回路図であり、1つの画素部の構成要素であるPD301,302、複数のスイッチング素子(FET等のトランジスタ)、蓄積容量部704を示す。蓄積容量部704は複数のPDに対して共通の蓄積容量を有する。
PDA301には転送トランジスタ(TA)701が接続され、PDB302には転送トランジスタ(TB)702が接続されている。TA701はPDA301に蓄積された電荷をフローティングディフュージョン部(以下、FD部と記す)703へ転送し、TB702はPDB302に蓄積された電荷をFD部703へ転送する。蓄積トランジスタ(S)705とリセットトランジスタ(R)706は直列に接続され、蓄積トランジスタ(S)705がFD部703と接続されている。蓄積容量部(CS)704は蓄積トランジスタ(S)705とリセットトランジスタ(R)706との接続点に接続されている。増幅トランジスタ(SF)707は、そのゲートがFD部703に接続されており、選択トランジスタ(X)708を介して垂直信号線への信号出力が行われる。
図8は、蓄積期間中の、PDA、PDB、TA、TB、FD、S、CSと、PDAとPDBとの分離801の信号電荷に対するポテンシャルの位置依存性を模式的に示す図である。PDAとPDBとの分離801のポテンシャル障壁を高さ802で示し、TA、TB部のポテンシャル障壁を高さ803で示し、Sのポテンシャル障壁を高さ804で示している。高さ802はTA、TB部のポテンシャル障壁の高さ803より高く、かつ、TA、TB部のポテンシャル障壁の高さ803はSのポテンシャル障壁の高さ804より高い。これにより、蓄積期間中においてPDAまたはPDBの出力が飽和した場合に、飽和を超えた分の電荷は、FD、CSに移動して蓄積される。なお、TA、TB、Sの各ポテンシャル障壁の高さについては、不純物濃度と蓄積期間中のゲート電圧の両方で調整可能である。
図9は、画素駆動シーケンスの1例を示すタイミングチャートである。本明細書において、図9に示す画素駆動シーケンスをシーケンス1Aと呼称する。図9中の時刻t1~t12は、シーケンス中の各タイミングを表しており、本明細書中では、各タイミングを(tj)と表記する(j=1~12)。また、φXは選択トランジスタ(X)708のオン/オフを表しており、オン時を上側のレベルで示し、オフ時を下側のレベルで示す。例えば、時刻t1でXはオンであり、時刻t3でXはオフである。他のトランジスタ(R、S、TA、TB)についても同様である。また、本明細書中では説明上、Xがオンの期間を、その画素の信号読み出し期間と呼称し、Xがオフの期間を蓄積期間と呼称する。図10(A)から(C)はそれぞれ、図9中のタイミングを示す(t2)、(t3)、(t5)において蓄積された電荷の例を概略的に示す模式図である。
まず、蓄積期間前に、R、S、TA、TBがオンとなって、PDA、PDB、FD、CSのリセットが行われる(t1)。その後、R、TA、TBをオフにした後のFDおよびCSの電圧が、SFを用いて画素から読み出される(t2)。FDおよびCSの電圧から得られる信号を信号N2と呼称する。
蓄積期間中、図10(A)に示すように、PDAまたはPDBの出力が飽和するまでの間、電荷はPDA、PDBそれぞれに蓄積される(t2)。続いて、PDAまたはPDBの出力が飽和すると(t3)、図10(B)に示すように、FD,CSに電荷が移動して蓄積される。この状態では、FDは蓄積された信号電荷により電圧が低くなっているため、信号読み出し用の電圧振幅を確保することができない。そこで、蓄積期間の終了後に、Sをオンにして、FDとCSの電荷を混合させる処理が行われる(t5)。その後、Sをオフした後のFDの電圧が、SFを用いて画素から読み出される(t6)。この電圧から得られる信号を信号N1と呼称する。図10(C)に示すように、蓄積期間中にPDA、PDBのどちらかとFDの出力が飽和した場合でも、容量の大きいCSと信号電荷を共有することで、FDに蓄積された電荷を失うことなく、信号読み出し用の電圧振幅を確保することができる。
次にTAがオンとなって、PDAに蓄積された信号電荷がFDに転送される(t7)。そしてTAがオフとなった後に、FDの電圧がSFを用いて画素から読み出される(t8)。この電圧から得られる信号を信号N1+S1Aと呼称する。続いて、TBがオンとなって、PDBに蓄積された信号電荷がFDに転送される(t9)。そしてTBがオフとなった後に、FDの電圧がSFを用いて画素から読み出される(t10)。この電圧から得られる信号を信号N1+S1A+S1Bと呼称する。時刻t9において、時刻t7で転送しきれなかった電荷をFDに転送するためにTAとTBの両方をオンにしてもよい。
次に、蓄積トラジスタSがオンとなってFDとCSとが接続され、FDに転送された電荷とCSに蓄積された電荷とが混合する。続いて、TA、TBがともにオンとなり、PDA、PDBに蓄積された電荷のうちの時刻t7、t9で転送しきれなかった電荷が存在した場合、FDとCSに転送される(t11)。続いて、TA、TBがともにオフになった後のFDおよびCSの電圧がSFを用いて画素から読み出される(t12)。この電圧から得られる信号を信号N2+S2A+Bと呼称する。
各画素から読み出される信号は、第1の信号N1、第2の信号N1+S1A、第3の信号N1+S1A+S1B、第4の信号N2+S2A+B、第5の信号N2の5信号である。各信号に対して以下の演算処理が行われる。
(N1+S1A)-N1=S1A
(N1+S1A+S1B)-(N1+S1A)=S1B
(N2+S2A+B)-N2=S2A+B
これらの演算処理によって、ランダムノイズおよび固定パターンノイズを除去することができ、信号S1A、信号S1B、信号S2A+Bが取得される。
図11は各信号電荷量と光量との関係を示すグラフである。横軸は光量を表し、縦軸はPDA、PDBの光量比を一定としたときの、蓄積期間の終了後における、PDA、PDB、FD、CSそれぞれに蓄積される信号電荷量を表す。以下、光量を示す区間ごとにシーケンス1Aにおけるデフォーカス量の算出と撮像の方法を説明する。図11に示すように区間1101、1102、1103の順に光量が大きい。
区間1101では、PDA、PDBでそれぞれ発生した電荷が各別のPDに蓄積されており、信号S1Aと信号S1Bが取得される。信号S1Aと信号S1BからA像、B像の信号をそれぞれ求めてデフォーカス量を算出するとともに、信号S1Aと信号S1Bとの加算により、A+B像信号を算出して撮像画像を取得できる。
区間1102ではPDBの出力が飽和する。PDAで発生した電荷はPDAで蓄積され、PDBで発生した電荷はPDBとFDで蓄積されており、信号S1Aと信号S2A+Bから、デフォーカス量を算出しつつ、撮像画像を取得できる。区間1103はPDA、PDBがともに飽和する区間である。区間1103でも信号S2A+BからA+B像信号を算出して撮像画像を取得できる。
本実施形態では、撮像信号がA+B像の信号であることを活用し、PDA、PDBに対してFD、CS、Sを共有する。これにより、PDA、PDBそれぞれについてFD、CS、Sを有する構成と比較して、回路構成を簡単化するとともに信号読み出し回数を低減して高速化を実現できる。
図24から図26を参照して、比較例の撮像素子について説明する。図24は比較例の撮像素子における画素等価回路図である。図25は比較例の撮像素子における画素の最小ポテンシャルを概略的に示す図である。図26は比較例の撮像素子における信号電荷量と光量との関係を示すグラフである。横軸は光量を表し、縦軸はPDA、PDBの光量比を一定としたときの、蓄積期間の終了後における、PDA、PDBそれぞれに蓄積される信号電荷量を表す。区間2601は光量が相対的に小さい区間であり、区間2602は光量が区間2601よりも大きい区間である。
図24に示す比較例の撮像素子の画素部は、PDA2401、PDB2402と、各PDに接続されたTA2403、TB2404と、FD2405、R2406、SF2407、X2408を有する。図7に示す構成との相違点はSおよびCSが無いことである。
図25に示すように、PDAとPDBとの分離2501のポテンシャル障壁を、その高さ2502で表している。高さ2502はTA、TBのポテンシャル障壁の高さ2503よりも低く設定されている。これにより、蓄積期間中に、PDAの出力が飽和した場合には、PDAの飽和量を超えた分の電荷がPDBに移動して蓄積される。またPDBの出力が飽和した場合には、PDBの飽和量を超えた分の電荷がPDAに移動して蓄積される。このようにすることで、S1A信号とS1B信号については、図26の区間2601にてPDAで発生した電荷がPDAに蓄積され、PDBで発生した電荷がPDBに蓄積される。S1A信号とS1B信号から、A像、B像の信号をそれぞれ求めて相関演算を行うことにより、デフォーカス量を算出できる。図26に示す両方の区間2601、2602でA+B像を求めて撮像画像を取得することができる。しかし、比較例の場合、PDAとPDBの片方の出力が飽和する光量以上の範囲ではデフォーカス量を算出できないので焦点調節可能な範囲が制限される。
図12は、本実施形態に係る別の画素駆動シーケンスの1例を示すタイミングチャートである。本明細書において図12に示す画素駆動シーケンスをシーケンス1Bと呼称する。図9に示したシーケンス1Aとシーケンス1Bとの相違点は、TAとTBに係るオン・オフの順序を逆にしている点である。
シーケンス1Aでは、信号N1の取得後のタイミング(t7)でオンであるトランジスタがTAであり、タイミング(t8)で読み出す電圧から得られる信号が信号N1+S1Aである。これに対して、シーケンス1Bでは、タイミング(t7)でオンであるトランジスタがTBであり、タイミング(t8)で読み出す電圧から得られる信号が信号N1+S1Bである。また、タイミング(t9)でオンであるトランジスタに関し、シーケンス1AではTBであるのに対して、シーケンスBではTAである。
タイミング(t10)で読み出す電圧から得られる信号についてはシーケンス1A、シーケンス1Bともに、信号N1+S1A+S1Bである。このようにすることで、PDAの出力が飽和し、PDBの出力が飽和していない場合に、信号S1B、信号S2A+Bを用いて、デフォーカス量の算出と撮像画像の取得を行うことができる。
シーケンス1AではPDBの出力が飽和し、かつPDAの出力が飽和していない場合にデフォーカス量の算出が可能である。シーケンス1BではPDAの出力が飽和し、かつPDBの出力が飽和していない場合にデフォーカス量の算出が可能である。シーケンス1Aと1Bとを組み合わせることで、PDA、PDBの各出力が共に飽和していない場合に加えて、PDA、PDBのどちらか片方の出力が飽和してもデフォーカス量の算出が可能となる。シーケンス1Aで駆動される画素部と、シーケンス1Bで駆動される画素部については、以下の方法がある。
・撮像画像に係る1つのフレーム内において画素アレイの第1の領域でシーケンス1Aの制御を行い、画素アレイの第2の領域でシーケンス1Bの制御を行う第1の方法。
・撮像画像に係る複数のフレームのうちの、第1のフレームでシーケンス1Aの制御を行い、第2のフレームでシーケンス1Bの制御を行う第2の方法。
第1の方法には、例えば同一フレーム内で偶数行と奇数行、偶数列と奇数列、画素アレイの上半分と下半分、あるいは左半分と右半分で各シーケンスを共存させる方法がある。また第2の方法では、異なるフレーム間でシーケンス1Aと1Bとを適時に切り替える方法がある。第1の方法を採用する場合、受光部の瞳分割方向において同じシーケンスを用いることが好ましい。図13を参照して、シーケンス1Aで駆動される画素部と、シーケンス1Bで駆動される画素部の配置を説明する。
図13では、受光部にて光電変換部がx(軸)方向において分割されている場合を示す。図13の紙面に垂直な方向をz方向とし、紙面内で互いに直交する、左右方向をx方向とし、上下方向をy方向としてx、y、z軸による直交座標系を定義する。x(軸)方向に沿ってシーケンスは同じであり、y(軸)方向において、シーケンス1Aで駆動される画素部と、シーケンス1Bで駆動される画素部とが交互に配置される。
本実施形態では、前記比較例に対して、PDAとPDBの両方の出力が飽和する光量までデフォーカス量の算出が可能である。よって、デフォーカス量の算出が可能な光量の範囲を拡げることができ、PDAとPDBとの光量差が大きい場合でもデフォーカス量を算出することができる。
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態を説明する。本実施形態において第1実施形態と同様の部分については詳細な説明を省略し、主に相違点を説明する。このような説明の省略方法については後述の実施形態でも同じである。
図14は、本実施形態に係る撮像素子の画素配列を、4行×4列の範囲で示す図である。本実施形態では、各画素部における第1の方向にてN分割され、第1の方向と直交する第2の方向にてM分割された光電変換部の例を示す。例えばN=M=2とした4分割の場合、画素部内における相対位置が同じである各画素部の光電変換部が画素アレイにて分割方向に並べて配置される。
本実施形態においても、第1実施形態と同様、2行×2列の画素群1400において対角線上の2画素にGの分光感度を有する画素1400Gが配置される。図14には画素1400Gが有する光電変換部1400GA,1400GB,1400GC,1400GDを示す。他の2画素はRの分光感度を有する画素1400RとBの分光感度を有する画素1400Bである。さらに、各画素は2行2列に配列された第1から第4のPDにより構成されている。x、y、zの各軸からなる直交座標系の設定については図3と同じである。相対的に、x座標値およびy座標値がともに小さい側に配置された第1のPDをPDAと表記し、x座標値が大きく、y座標値が小さい側に配置された第2のPDをPDBと表記する。相対的に、x座標値が小さく、y座標値が大きい側に配置された第3のPDをPDCと表記し、x座標値およびy座標値がともに大きい側に配置された第4のPDをPDDと表記する。
図15(A)は、図14に示す撮像素子を構成する1つの画素1400Gを、撮像素子の受光面側(+z側)から見た場合の平面図である。図15(B)は図15(A)のc-c断面を、-y側から見た場合の断面図である。本実施形態の画素1400Gでは、各画素の受光側に入射光を集光するためのマイクロレンズ401と、カラーフィルタ402が形成されている。画素1400Gは受光面にて4つのPDA1501、PDB1502、PDC1503、PDD1504を備える。
PDA1501とPDC1503から得られる信号を加算した信号を信号SLとし、PDB1502とPDD1504から得られる信号を加算した信号を信号SRとする。またPDA1501とPDB1502から得られる信号を加算した信号を信号SBとし、PDC1503とPDD1504から得られる信号を加算した信号を信号SUとする。図14に示すように、x(軸)、y(軸)方向に規則的に画素が配列されている。信号SL群、信号SR群、信号SB群、信号SU群から得られる被写体像を、それぞれL像、R像、B像、U像とする。本実施形態のB像は第1実施形態のB像とは異なることに注意を要する。L像とR像との像ズレ量(相対位置)を検出することで、x(軸)方向において輝度分布を有する被写体像のデフォーカス量(合焦ずれ量)を検出することができる。また、B像とU像との像ズレ量(相対位置)を検出することで、y(軸)方向において輝度分布を有する被写体像のデフォーカス量(合焦ずれ量)を検出することができる。信号の加算については、画素内で電荷同士を足し合わせてもよいし、または、それぞれの信号を画素から読み出した後に足し合わせてもよい。
次に画素信号の読み出し動作について説明する。図16は、本実施形態の画素等価回路図であり、1つの画素部の構成要素を示す。PDA1501、PDB1502、PDC1503、PDD1504にはそれぞれ、転送トランジスタTA1601、TB1602、Tc1603、TD1604が接続されている。TA1601はPDA1501に蓄積された電荷を転送し、TB1602はPDB1502に蓄積された電荷を転送する。TC1603はPDC1503に蓄積された電荷を転送し、TD1604はPDD1504に蓄積された電荷を転送する。FD部1605は各転送トランジスタ1601から1604に接続されている。CS1606、S1607、R1608、SF1609、X1610については第1実施形態と同じ構成を有する。
図17は信号電荷に対するポテンシャルを模式的に示す図である。蓄積期間中の、PDA、PDB、PDC、PDD、TA、TB、TC、TD、FD、S、CSと、PDAとPDBとの分離1701、PDCとPDDとの分離1702の信号電荷に対するポテンシャルをそれぞれ示す。光電変換部同士の分離(1701、1702、不図示のPDAとPDCとの分離、不図示のPDBとPDDとの分離)のポテンシャル障壁を、その高さ1703で示す。高さ1703はTA、TB、TC、TDのポテンシャル障壁の高さ1704より高く、かつTA、TB、TC、TDのポテンシャル障壁の高さ1704はSのポテンシャル障壁の高さ1705よりも高い。
図18は、画素駆動シーケンスの1例を示すタイミングチャートである。本明細書において図18に示す画素駆動シーケンスをシーケンス2Aと呼称する。図18中の時刻t1~t16は、シーケンス中の各タイミングを表しており、各タイミングを(tj)と表記する(j=1~16)。記号については図9での表記法を踏襲することで、それらの詳細な説明を割愛する。このことは後述の実施形態でも同じである。
蓄積期間前に、R、S、TA、TB、TC、TDがオンとなってPDA、PDB、PDC、PDD、FD、CSのリセットが行われる(t1)。その後、R、TA、TB、TC、TDがオフになった後のFDおよびCSの電圧が、SFを用いて画素から読み出される(t2)。この電圧から得られる信号を信号N2と呼称する。
蓄積期間中、各PDの出力が飽和するまでの間、電荷は各PDに蓄積される(t3)。続いて、PDの出力が飽和すると、飽和したPDからFD,CSに電荷が移動して蓄積される。この状態では、FDは信号電荷により電圧が低くなっているため、信号読み出し用の電圧振幅を確保することができない。そこで、蓄積期間の終了後に、Sをオンにして、FDとCSの電荷を混合させる処理が行われる(t5)。その後、Sがオフになった後にFDの電圧がSFを用いて画素から読み出される(t6)。この電圧から得られる信号を信号N1と呼称する。
次にTAがオンになって、PDAに蓄積された信号電荷がFDに転送される(t7)。TAがオフになった後に、FDの電圧が、SFを用いて画素から読み出される(t8)。この電圧から得られる信号を信号N1+S1Aと呼称する。続いて、TBがオンになって、PDBに蓄積された信号電荷がFDに転送される(t9)。TBがオフになった後にFDの電圧がSFを用いて画素から読み出される(t10)。この電圧から得られる信号を信号N1+S1A+S1Bと呼称する。
続いて、TCがオンになって、PDCに蓄積された信号電荷がFDに転送される(t11)。TCがオフになった後にFDの電圧がSFを用いて画素から読み出される(t12)。この電圧から得られる信号を信号N1+S1A+S1B+S1Cと呼称する。続いて、TDがオンになって、PDDに蓄積された信号電荷がFDに転送される(t13)。TDがオフになった後にFDの電圧がSFを用いて画素から読み出される(t14)。この電圧から得られる信号を信号N1+S1A+S1B+S1C+S1Dと呼称する。
次に、SがオンになってFDとCSとが接続され、FDに転送された電荷とCSに蓄積された電荷が混合する。続いて、TA、TB、TC、TDがオンになってPDA、PDB、PDC、PDDに蓄積された電荷のうちt7、t9、t11、t13で転送しきれなかった電荷が、FDとCSに転送される(t15)。続いて、TA、TB、TC、TDがオフになった後のFDおよびCSの電圧が、SFを用いて画素から読み出される(t16)。この電圧から得られる信号を信号N2+S2A+B+C+Dと呼称する。
各画素から読みされる信号は、信号N1、信号N1+S1A、信号N1+S1A+S1B、信号N1+S1A+S1B+S1C、信号N1+S1A+S1B+S1C+S1D、信号N2、信号N2+S2A+B+C+Dの7信号である。各信号に対して以下の演算処理が行われる。
(N1+S1A)-N1=S1A
(N1+S1A+S1B)-(N1+S1A)=S1B
(N1+S1A+S1B+S1C)-(N1+S1A+S1B)=S1C
(N1+S1A+S1B+S1C+S1D)-(N1+S1A+S1B+S1C)=S1D
(N2+S2A+B+C+D)-N2=S2A+B+C+D
これらの演算処理を行うことで、ランダムノイズおよび固定パターンノイズを除去することができ、信号S1A、信号S1B、信号S1C、信号S1D、信号S2A+B+C+Dが取得される。
図19は各信号電荷量と光量との関係を示すグラフである。横軸は光量を表し、縦軸はPDA、PDB、PDC、PDDの光量比を一定としたときの、蓄積期間の終了後における、PDA、PDB、PDC、PDD、FD、CSそれぞれに蓄積される信号電荷量を表す。以下、光量を示す区間ごとに、シーケンス2Aにおけるデフォーカス量の算出と撮像の方法を説明する。図19に示すように区間1901、1902、1903、1904の順に光量が大きい。
区間1901では、PDA、PDB、PDC、PDDでそれぞれ発生した電荷が各別のPDに蓄積される。信号S1Aと信号S1Cとの加算によるL像信号、信号S1Bと信号S1Dとの加算によるR像信号、信号S1Aと信号S1Bとの加算によるB像信号、信号S1Cと信号S1Dとの加算によるU像信号をそれぞれ求めることができる。L像群とR像群からx(軸)方向において輝度分布を有する被写体像のデフォーカス量を算出することが可能である。またU像群とB像群からy(軸)方向において輝度分布を有する被写体像のデフォーカス量を算出することが可能である。信号S1A、信号S1B、信号S1C、信号S1Dの加算によって撮像画像に対応する撮像信号を取得可能である。
区間1902では、PDAで発生した電荷はPDAに蓄積され、PDBで発生した電荷はPDBに蓄積され、PDCで発生した電荷はPDCに蓄積される。PDDで発生した電荷はPDDとFDに蓄積されている。信号S1Aと信号S1Cとの加算によるL像信号、信号S1Aと信号S1Bとの加算によるB像信号をそれぞれ求めることができる。また信号S2A+B+C+Dから、信号S1Aと信号S1Cを減算することでR像信号が求まる。信号S2A+B+C+Dから、信号S1Aと信号S1Bを減算することでU像信号が求まる。L像群とR像群からx(軸)方向において輝度分布を有する被写体像のデフォーカス量を算出することが可能である。U像群とB像群からy(軸)方向において輝度分布を有する被写体像のデフォーカス量を算出することできるとともに、信号S2A+B+C+Dから撮像画像に対応する撮像信号を取得可能である。
区間1903では、PDAで発生した電荷はPDAに蓄積され、PDCで発生した電荷はPDCに蓄積される。PDBで発生した電荷はPDBとFDに蓄積され、PDDで発生した電荷はPDDとFDで蓄積されている。信号S1Aと信号S1Cとの加算によりL像信号が求まる。信号S2A+B+C+Dから、信号S1Aと信号S1Cを減算することでR像信号が求まる。L像群とR像群からx(軸)方向において輝度分布を有する被写体像のデフォーカス量を求めることができるとともに、信号S2A+B+C+Dから撮像画像に対応する撮像信号を取得可能である。
区間1904は、4つのPDのうちの3つ以上のPDの出力が飽和している光量区間である。区間1904でも信号S2A+B+C+Dから撮像画像に対応する撮像信号を取得することができる。
本実施形態では、4つの光電変換部から1つずつ電荷転送が行われて、それぞれの転送毎に信号電圧が読み出される。本実施形態によれば、各画素部が4分割の光電変換部を備える構成において、デフォーカス量の算出が可能な光量の範囲を拡げることができる。本実施形態においても、シーケンス2Aにおける、t7、t9、t11、t13(図18)のタイミングでオンにするトランジスタの順序を変更した別のシーケンスを併用することが可能である。
[第3実施形態]
次に本発明の第3実施形態を説明する。本実施形態における画素構成は第2実施形態と同じであるが、画素駆動シーケンスが相違し、受光部(光電変換部)を2つずつ組にしてFD部への電荷転送が行われる。
図20は本実施形態に係る画素駆動シーケンスの1例を示すタイミングチャートである。本明細書において図20に示すシーケンスをシーケンス3Lと呼称する。まず、蓄積期間前に、R、S、TA、TB、TC、TDがオンになってPDA、PDB、PDC、PDD、FD、CSのリセットが行われる(t1)。その後、R、TA、TB、TC、TDがオフになった後にFDおよびCSの電圧が増幅トランジスタSFを用いて画素から読み出される(t2)。この電圧から得られる信号を信号N2と呼称する。
蓄積期間中において、光電変換部の出力が飽和するまでの間、電荷は光電変換部にそれぞれ蓄積される(t3)。続いて、光電変換部の出力が飽和すると、FD,CSに電荷が蓄積される。この状態では、FDは信号電荷で埋まっているため、信号読み出し用の電圧振幅を確保することができない。そこで、蓄積期間の終了後に、Sをオンにして、FDとCSの電荷を混合させる処理が行われる(t5)。その後、Sがオフになった後のFDの電圧が、SFを用いて画素から読み出される(t6)。この電圧から得られる信号を信号N1と呼称する。
次にTA、TCがオンとなり、PDAとPDCに蓄積された信号電荷がFDに転送される(t7)。そしてTA、TCがオフになった後にFDの電圧がSFを用いて画素から読み出される(t8)。この電圧から得られる信号を信号N1+S1Lと呼称する。続いて、TB、TDがオンとなり、PDBとPDBに蓄積された信号電荷がFDに転送される(t9)。そしてTB、TDがオフになった後にFDの電圧が増幅トランジスタSFを用いて画素から読み出される(t10)。この電圧から得られる信号を信号N1+S1L+S1Rと呼称する。
次に、SがオンになってFDとCSとが接続され、FDに転送された電荷とCSに蓄積された電荷とが混合する。続いて、TA、TB、TC、TDがオンになってPDA、PDB、PDC、PDDに蓄積された電荷のうち、時刻t7、t9で転送しきれなかった電荷がFDとCSに転送される(t11)。続いて、TA、TB、TC、TDがオフになった後のFDおよびCSの電圧はSFを用いて画素から読み出される(t12)。この電圧から得られる信号を信号N2+S2L+Rと呼称する。
各画素から読み出される信号は、信号N1、信号N1+S1L、信号N1+S1L+S1R、信号N2、信号N2+S2L+Rの5信号である。各信号に対して以下の演算処理が行われる。
(N1+S1L)-N1=S1L
(N1+S1L+S1R)-(N1+S1L)=S1R
(N2+S2L+R)-N2=S2L+R
これらの演算処理を行うことで、ランダムノイズおよび固定パターンノイズを除去することができ、信号S1L、信号S1R、信号S2L+Rを取得できる。
図19を参照して、PDA、PDB、PDC、PDDの光量比を一定としたときの、蓄積期間の終了後における、PDA、PDB、PDC、PDD、FD、CSそれぞれに蓄積される信号電荷量と光量の関係について説明する。図19に示す光量区間1901から1904ごとに、シーケンス3Lにおけるデフォーカス量算出と撮像の方法を説明する。
区間1901,1903では、PDAで発生した電荷はPDAに蓄積され、PDBで発生した電荷はPDBに蓄積され、PDCで発生した電荷はPDCに蓄積され、PDDで発生した電荷はPDDに蓄積されている。信号S1Lと信号S1RからL像、R像の各信号を求めて、デフォーカス量を算出すると共に、L像信号とR像信号の加算により撮像画像に対応する撮像信号を取得することができる。
区間1902では、信号S1LからL像信号が求まり、信号S2L+Rから信号S1Lを減算することでR像信号が求まる。よって、L像群とR像群からx(軸)方向において輝度分布を有する被写体像のデフォーカス量を算出することができる。区間1904では、信号S2L+Rから撮像画像に対応する撮像信号を取得することができる。
このように、シーケンス3Lでは、PDAとPDCの出力が飽和していない場合にデフォーカス量を算出することが可能である。
図21から図23には、画素駆動シーケンスの別例を示す。図21に示すシーケンス3R、図22に示すシーケンス3B、図23に示すシーケンス3Uについて、シーケンス3Lとの相違点を説明する。
図21のシーケンス3Rでは、時刻t7にてTB、TDがオンとなり、PDBとPDDに蓄積された信号電荷がFDに転送される。そしてTB、TDがオフになった後にFDの電圧がSFを用いて画素から読み出される(t8)。続いて、TA、TCがオンとなり、PDAとPDCに蓄積された信号電荷がFDに転送される(t9)。そしてTA、TCがオフになった後にFDの電圧がSFを用いて画素から読み出される(t10)。PDBとPDDの出力が飽和していなければ、PDAやPDCの出力が飽和した場合でもデフォーカス量の算出が可能である。
図22に示すシーケンス3Bでは、時刻t7にてTA、TBがオンとなり、PDAとPDBに蓄積された信号電荷がFDに転送される。そしてTA、TBがオフになった後にFDの電圧がSFを用いて画素から読み出される(t8)。続いて、TC、TDがオンとなり、PDCとPDDに蓄積された信号電荷がFDに転送される(t9)。そしてTC、TDがオフになった後に、FDの電圧がSFを用いて画素から読み出される(t10)。PDAとPDBの出力が飽和していなければ、PDCやPDDの出力が飽和した場合でもデフォーカス量の算出が可能である。
図23に示すシーケンス3Uでは、時刻t7にてTC、TDがオンとなり、PDCとPDDに蓄積された信号電荷がFDに転送される。そしてTC、TDがオフになった後にFDの電圧がSFを用いて画素から読み出される(t8)。続いて、TA、TBがオンとなり、PDAとPDBに蓄積された信号電荷がFDに転送される(t9)。そしてTA、TBがオフになった後にFDの電圧がSFを用いて画素から読み出される(t10)。PDCとPDDの出力が飽和していなければ、PDAやPDBの出力が飽和した場合でもデフォーカス量の算出が可能である。
4つのシーケンスL,R,B,Uを組み合わせることで、1つの画素部を構成する4つのPDの内、1つのPDの出力が飽和している場合や、隣接する2つのPDの出力が飽和している場合でも、デフォーカス量を算出することが可能となる。
前記実施形態によれば、各画素内で分割された光電変換部の出力が飽和した場合でも、より正確な位相差信号を高速に取得可能な撮像素子および撮像装置を提供できる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。前記実施形態では画素部内に第1の容量部であるFD部703と、第2の容量部である蓄積容量部704を備える例を示した。これに限らず、例えば第1の容量部がFD部と、該FD部に接続可能な付加容量部を備え、FD部に付加容量部を接続することで、撮像感度に応じて容量の切り替えが可能な構成等に適用可能である。