JP7249238B2 - 直列多重電力変換装置 - Google Patents

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Description

この発明は、直列多重電力変換装置に関する。
特開2013-258841号公報(特許文献1)には、複数の変換器を直列に多重化した直列多重電力変換装置が開示されている。特許文献1では、交流側を変圧器で多重化する方法を採用している。この方法では、各変換器の交流電圧端子が各変圧器の二次巻線に接続されるとともに、各変圧器の一次巻線が直列接続されて電力系統に接続される。各変換器の交流出力電圧が直列合成された電圧が電力系統に出力される。
特開2013-258841号公報
直列多重電力変換装置は、複数の変換器の出力電圧を合成することで、装置全体の交流出力電圧波形に含まれる高調波成分を低減することができる。しかしながら、各変換器が発生する電力損失によって装置全体の電力損失が増えるため、直列多重電力変換装置の動作効率が低下することが懸念される。
各変換器が発生する電力損失を減らす対策としては、各変換器を構成するスイッチング素子のスイッチング周波数を下げてスイッチング損失を抑える手法を採ることができる。しかしながら、スイッチング周波数を低くすると、交流出力電圧の波形を細かく変化させることができず、その波形を正弦波に近づけにくくなる。その結果、交流出力電圧に含まれる高調波成分の含有率が大きくなってしまう。
この発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、直列多重電力変換装置において、高い動作効率を実現しつつ、交流出力電圧に含まれる高調波成分を低減することである。
この発明のある局面に従う直列多重電力変換装置は、交流電力系統に連携される。直列多重電力変換装置は、一次巻線が交流電力系統に直列に多重接続されるN台(Nは2以上の整数)の変圧器と、N台の変圧器の二次巻線にそれぞれ接続され、交流電力および直流電力の間で双方向の電力変換を行なう第1段~第N段の変換器と、交流電圧指令値に一致するように、各段の変換器の交流出力電圧のPWM制御を行なう制御装置とを備える。各段の変換器は、第1相アームおよび第2相アームを有する単相フルブリッジ回路を有する。第1相アームおよび第2相アームの各々は3レベル回路により構成される。各段の変換器のPWM制御において、制御装置は、交流電圧指令値の4倍の周波数を有する第1搬送波および第2搬送波を有し、交流電圧指令値と第1搬送波との比較により第1相アームの制御指令を生成するとともに、交流電圧指令値の極性を反転させた電圧と第2搬送波との比較により第2相アームの制御指令を生成するように構成される。第1段~第N段の変換器にそれぞれ対応する第1~第Nの第1搬送波は、第N~第1の順番に隣り合う第1搬送波の間に第1の位相差が設定される。第1段~第N段の変換器にそれぞれ対応する第1~第Nの第2搬送波は、第1~第Nの順番に隣り合う第2搬送波の間に第1の位相差が設定される。第N+1-I段の変換器(Iは1以上N以下の整数)に対応する第N+1-Iの第1搬送波は、第I段の変換器に対応する第Iの第2搬送波との間、および第I+1段の変換器に対応する第I+1の第2搬送波との間に第2の位相差が設定される。第1の位相差は2π/Nに等しく、第2の位相差はπ/Nに等しい。
この発明によれば、直列多重電力変換装置において、高い動作効率を実現しつつ、交流出力電圧に含まれる高調波成分を低減することができる。
実施の形態に係る直列多重電力変換装置の主回路構成を示す概略ブロック図である。 図1に示した変換器の具体的な回路構成を示す図である。 単相フルブリッジ3レベル回路の構成を示す図である。 比較例に係る2パルスPWM制御を説明するための波形図である。 4段直列多重変換器の2パルスPWM制御を説明するための波形図である。 実施の形態に係る4段直列多重変換器の2パルスPWM制御を説明するための波形図である。 実施の形態に係る4段直列多重変換器の2パルスPWM制御が奏する効果を説明する図である。 実施の形態に係る4段直列多重変換器の2パルスPWM制御を説明するための波形図である。 図1に示した制御装置のうちの4段直列多重変換器の制御に関する部分を示す回路ブロック図である。 図9に示したPWM制御部の構成を示すブロック図である。 図10に示した搬送波発生器の構成例を示すブロック図である。 図10に示した第1段制御部の構成例を示すブロック図である。 実施の形態に係る3段直列多重変換器の2パルスPWM制御を説明するための波形図である。 実施の形態に係る5段直列多重変換器の2パルスPWM制御を説明するための波形図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
(直列多重電力変換装置の主回路構成)
図1は、実施の形態に係る直列多重電力変換装置1の主回路構成を示す概略ブロック図である。直列多重電力変換装置1は、代表的には、非同期交流系統または異周波数交流系統の電力授受に用いられるBTB(Back to Back)システムに適用される。直列多重電力変換装置1は、たとえば、50-60Hz周波数変換装置である。
図1を参照して、直列多重電力変換装置1は、交流周波数が互いに異なる電力系統2および電力系統3の間に接続される。電力系統2,3の各々は複数の相(たとえば三相)を有する。直列多重電力変換装置1は、交流電圧検出器12,52と、電流検出器13,53と、直流電圧検出器14と、電力変換部10と、制御装置11とを備える。
交流電圧検出器12は、電力系統2の交流電圧を検出し、検出値を示す信号を制御装置11へ出力する。電流検出器13は、電力系統2を流れる電流を検出し、検出値を示す信号を制御装置11へ出力する。交流電圧検出器52は、電力系統3の交流電圧を検出し、検出値を示す信号を制御装置11へ出力する。電流検出器53は、電力系統3を流れる電流を検出し、検出値を示す信号を制御装置11へ出力する。
電力変換部10は、電力系統2および電力系統3の間に接続される。具体的には、電力変換部10は、一方の電力系統2に変圧器21~24を介して連系され、他方の電力系統3に変圧器61~64を介して連系される。電力変換部10は、変圧器21~24と、変換器25~28と、直流母線15~17と、平滑コンデンサC1,C2と、変換器65~68と、変圧器61~64とを含む。直流母線15~17および平滑コンデンサC1,C2は各変換器の直流回路を構成する。
変圧器21~24の一次巻線は電力系統2に接続される。変圧器21~24の各々の一次巻線は、各相直列接続されて星型結線されている。これにより、変換器25~28の各々の交流出力電圧を各相直列合成した電圧が電力系統2に出力される。変圧器21~24の各相二次巻線の一方端33には、変換器25~28の各相電力変換回路の交流端子がそれぞれ接続される。変圧器21~24の各相二次巻線の他方端34には、平滑コンデンサC1,C2に接続された別の各相電力変換回路の交流端子がそれぞれ接続される。変換器25~28は多相フルブリッジ回路を構成している。
例えば、変圧器21の各相二次巻線の一方端33には、直流正母線15および直流負母線17間の直流電圧を各相交流電圧に変換する変換器25の電力変換回路が接続される。変圧器21の各相二次巻線の他方端34には、直流正母線15および直流負母線17間の直流電圧を各相交流電圧に変換する電力変換回路が接続される。各相二次巻線に接続される2つの電力変換回路の直流回路は共通である。
変換器25~28の各々は、GCT(Gate Commutated Turn-Off thyristor)またはIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などの自己消弧型素子を用いた電力変換器で構成されている。本実施の形態では、変換器25~28はいずれも3レベル回路として構成される。変換器25~28の各々の3つの直流電圧端子は、直流正母線15、直流中性点母線16および直流負母線17にそれぞれ接続される。
平滑コンデンサC1,C2は、直流正母線15および直流負母線17の間に直列に接続され、直流正母線15および直流負母線17の間の電圧を平滑化する。平滑コンデンサC1およびC2の接続点には直流中性点母線16が接続される。
直流電圧検出器14は、平滑コンデンサC1の端子間電圧および平滑コンデンサC2の端子間電圧を検出し、検出値を示す信号を制御装置11に出力する。
変換器65~68の各々は、変換器25~28と同様、GCTまたはIGBT等の自己消弧型素子を用いた電力変換器で構成されている。変換器65~68はいずれも3レベル回路として構成される。変換器65~68の各々の3つの直流電圧端子は、直流正母線15、直流中性点母線16および直流負母線17にそれぞれ接続される。
変換器65~68の交流端子は変圧器61~64の二次巻線にそれぞれ接続されている。具体的には、変圧器61~64の二次巻線の各相の一方端69には、変換器65~68の各相電力変換回路の交流端子がそれぞれ接続される。変圧器61~64の二次巻線の各相の他方端70には、平滑コンデンサC1,C2に接続された別の各相電力変換回路の交流端子がそれぞれ接続される。変換器65~68の各々は多相フルブリッジ回路を構成している。
変圧器61~64の一次巻線は電力系統3に接続されている。変圧器61~64の各々の一次巻線は、各相直列接続されて星型結線されている。これにより、変換器65~68の各々の交流出力電圧を各相直列合成した電圧が電力系統3に出力される。
このように、電力変換部10は、変換器25~28の直流端子と変換器65~68の直流端子とを直流母線15~17を介して接続した構成となっている。なお、図1の例では、変換器25~28の直流端子を共通の直流回路に接続した構成としているが、変換器25~28の直流端子を互いに独立した直流回路に接続する構成としてもよい。同様に、変換器65~68の直流端子を互いに独立した直流回路に接続する構成としてもよい。
電力変換部10は、一方の電力系統2(または電力系統3)から他方の電力系統3(または電力系統2)へ電力を融通する。具体的には、電力系統2から電力系統3へ電力を融通する場合、変換器25~28は、変圧器21~24からそれぞれ供給される交流電圧を所望の直流電圧に変換し、変換した直流電圧を直流母線15~17を介して変換器65~68へ供給する。変換器65~68は、変換器25~28から直流母線15~17を介して供給される直流電圧を所望の交流電圧にそれぞれ変換する。変圧器61~64は、変換器65~68の各々の交流出力電圧を直列合成した電圧を電力系統3に出力する。
また、電力系統3から電力系統2へ電力を融通する場合には、変換器65~68は、変圧器61~64からそれぞれ供給される交流電圧を所望の直流電圧に変換し、変換した直流電圧を直流母線15~17を介して変換器25~28へ供給する。変換器25~28は、変換器65~68から直流母線15~17を介して供給される直流電圧を所望の交流電圧にそれぞれ変換する。変圧器21~24は、変換器25~28の各々の交流出力電圧を直列合成した電圧を電力系統2に出力する。
ここで、本願明細書では、交流側が変圧器21~24で直列に多重化されている4台の変換器25~28を互いに区別するために、変換器28を「第1段変換器28」と称し、変換器27を「第2段変換器27」と称し、変換器26を「第3段変換器26」と称し、変換器25を「第4段変換器25」と称する場合がある。また、変換器25~28全体を「4段直列多重変換器20」と称する場合がある。
また、交流側が変圧器61~64で直列に多重化されている4台の変換器65~68を互いに区別するために、変換器68を「第1段変換器68」と称し、変換器67を「第2段変換器67」と称し、変換器66を「第3段変換器66」と称し、変換器65を「第4段変換器65」と称する場合がある。また、変換器65~68全体を「4段直列多重変換器60」と称する場合がある。
なお、4段直列多重変換器20,60の各々において、第1段変換器から第4段変換器は直列多重接続されていればよく、特にこの並び順に限定されることはない。
(変換器の回路構成)
図2は、図1に示した変換器25~28および変換器65~68の具体的な回路構成を示す図である。変換器25~28および変換器65~68は回路構成が同じであるため、図2では代表的に変換器25の回路構成を説明する。
図2を参照して、変換器25は、3レベル回路として構成され、スイッチング素子S1R~S8R,S1S~S8S,S1T~S8Tと、ダイオードD1R~D12R,D1S~D12S,D1T~D12Tとを有する。スイッチング素子は、例えばGCTであるが、自己消弧型のスイッチング素子であれば、これに限定されるものではない。
ここで、変換器25の各相の構成を総括的に説明するため、符号R,S,Tをまとめて符号「k」と示す。スイッチング素子S1kのアノードは、直流正母線15に接続され、そのカソードはスイッチング素子S2kのアノードに接続される。スイッチング素子S2kのカソードはk相二次巻線の一方端33に接続される。スイッチング素子S3kのアノードはk相二次巻線の一方端33に接続され、そのカソードはスイッチング素子S4kのアノードに接続される。スイッチング素子S4kのカソードは直流負母線17に接続される。ダイオードD1k~D4kは、スイッチング素子S1x~S4xにそれぞれ逆並列接続される。ダイオードD9kのカソードはスイッチング素子S1kおよびS2kの接続点に接続され、そのアノードは直流中性点母線16に接続される。ダイオードD10kのカソードは直流中性点母線16に接続され、そのアノードはスイッチング素子S3kおよびS4kの接続点に接続される。
スイッチング素子S5kのアノードは、直流正母線15に接続され、そのカソードはスイッチング素子S6kのアノードに接続される。スイッチング素子S6kのカソードはk相二次巻線の他方端34に接続される。スイッチング素子S7kのアノードはk相二次巻線の他方端34に接続され、そのカソードはスイッチング素子S8kのアノードに接続される。スイッチング素子S8kのカソードは直流負母線17に接続される。ダイオードD5k~D8kは、スイッチング素子S5k~S8kにそれぞれ逆並列接続される。ダイオードD11kのカソードはスイッチング素子S5kおよびS6kの接続点に接続され、そのアノードは直流中性点母線16に接続される。ダイオードD12kのカソードは直流中性点母線16に接続され、そのアノードはスイッチング素子S7kおよびS8kの接続点に接続される。ダイオードD1k~D4k,D5k~D8kは還流ダイオードとして機能し、ダイオードD9k~D12kはクランプダイオードとして機能する。
すなわち、スイッチング素子S1k~S4kおよびダイオードD1k~D4k,D9k,D10kによって1つの電力変換回路が構成されており、スイッチング素子S2kおよびS3kの接続点が交流端子として、変圧器のk相の二次巻線の一方端33に接続される。また、スイッチング素子S5k~S8kおよびダイオードD5k~D8k,D11k,D12kによって別の電力変換回路が構成されており、スイッチング素子S6kおよびS7kの接続点が交流端子として、変圧器のk相の二次巻線の他方端34に接続される。したがって、k相の二次巻線の両端には2つの電力変換回路の交流端子がそれぞれ接続されており、この2つの電力変換回路によって単相フルブリッジ3レベル回路が構成される。
そして、電力系統2,3が三相である場合、合計6つの電力変換回路が直流母線15および直流母線17の間に並列に接続される。言い換えれば、3つの単相フルブリッジ3レベル回路が直流母線15および直流母線17の間に並列に接続される。
図1に戻って、制御装置11は、変換器25~28および変換器65~68の動作を制御する。本実施の形態では、制御装置11は、各変換器を構成するスイッチング素子の制御方式として、PWM(Pulse Width Modulation)制御を適用する。制御装置11は、交流電圧検出器12,52、電流検出器13,53および直流電圧検出器14からの信号等を受けて、PWM制御を実行する。制御装置11は、PWM制御によって、変換器25~28を制御するための制御指令であるゲートパルス信号GC1~GC4を生成し、その生成したゲートパルス信号GC1~GC4を変換器25~28にそれぞれ出力する。また、制御装置11は、PWM制御によって、変換器65~68を制御するための制御指令であるゲートパルス信号GC5~GC8を生成し、その生成したゲートパルス信号GC5~GC8を変換器65~68にそれぞれ出力する。
(2パルスPWM制御)
次に、制御装置11における4段直列多重変換器20,60のPWM制御について説明する。
本実施の形態では、4段直列多重変換器における各変換器のPWM制御に「2パルスPWM制御」を適用する。本願明細書において、2パルスPWM制御とは、交流電圧指令値の半周期(電気角0°~180°の区間または電気角180°~360°の区間)において最大2個のパルス電圧を出力するように、変換器の制御指令を生成する制御である。
<比較例に係る2パルスPWM制御>
最初に、本実施の形態に係る2パルスPWM制御の比較例として、図3に示す単相フルブリッジ3レベル回路を用いて、一般的な2パルスPWM制御を説明する。
図3を参照して、単相フルブリッジ3レベル回路は、直流正母線15および直流負母線17の間に並列に接続される、u相の電力変換回路(以下、「u相アーム」とも称する)と、x相の電力変換回路(以下、「x相アーム」とも称する)とを有する。u相アームの交流端子u(スイッチング素子S2およびS3の接続点)はu相の二次巻線の一方端33に接続され、x相アームの交流端子x(スイッチング素子S6およびS7の接続点)はx相の二次巻線の他方端34に接続される。
図4は、比較例に係る2パルスPWM制御を説明するための波形図である。図4は、電圧指令値とスイッチング素子S1~S8のオンオフ関係を示している。図中のVuはu相アームの交流端子uにおける出力電圧であり、Vxはx相アームの交流端子xにおける出力電圧であり、線間出力電圧Vux(u相電圧Vuとx相電圧Vxとの差分)は変換器の交流出力電圧に対応する。
PWM制御では、交流電圧指令値Vux*(線間電圧指令値)と搬送波Ca,Cbとの高低が比較され、その比較結果に基づいて、u相アームのスイッチング素子S1~S4のオンオフの組み合わせが決定される。また、交流電圧指令値-Vux*と搬送波Ca,Cbとの高低が比較され、その比較結果に基づいて、v相アームのスイッチング素子S5~S8のオンオフの組み合わせが決定される。
搬送波Ca,Cbは、たとえば三角波信号である。搬送波Caは、各相アームの上側グループのスイッチング素子(S1,S3,S5,S7)のスイッチングに用いられる。搬送波Caを「上側用搬送波」とも称する。搬送波Caは最大値が+Vdであり、最小値が0である。
搬送波Cbは、各相アームの下側グループのスイッチング素子(S2,S4,S6,S8)のスイッチングに用いられる。搬送波Cbは「下側用搬送波」とも称する。搬送波Cbは最大値が0であり、最小値が-Vdである。なお、Vdは直流正母線15および直流負母線17間の直流電圧に対応する。上側搬送波Caと下側搬送波Cbとは、周波数および位相は同じである。搬送波Ca,Cbは、交流電圧指令値Vux*の4倍の周波数を有している。
u相アームのスイッチング素子S1~S4は、交流電圧指令値Vux*と搬送波Ca,Cbとの振幅が交差するタイミングでオンオフされる。具体的には、u相アームでは、交流電圧指令値Vux*の極性が正のときに、交流電圧指令値Vux*と搬送波Caとが交差するタイミングでスイッチング素子S1,S3のスイッチングが行なわれ、交流電圧指令値Vux*の極性が負のときに、交流電圧指令値Vux*と搬送波Cbとが交差するタイミングでスイッチング素子S2,S4のスイッチングが行なわれる。
x相アームのスイッチング素子S5~S8は、交流電圧指令値-Vux*と搬送波Ca,Cbとの振幅が交差するタイミングでオンオフされる。具体的には、x相アームでは、交流電圧指令値-Vux*の極性が正のときに、交流電圧指令値-Vux*と搬送波Caとが交差するタイミングでスイッチング素子S5,S7のスイッチングが行なわれ、交流電圧指令値-Vux*の極性が負のときに、交流電圧指令値-Vux*と搬送波Cbとが交差するタイミングでスイッチング素子S6,S8のスイッチングが行なわれる。
これにより、図4に示すように、出力電圧Vu,Vxの各々は±Vd/2,0の3値をとり、線間出力電圧Vuxは±Vd,±Vd/2,0の5値をとる。
図4から明らかなように、PWM制御では、1キャリア周期(搬送波1パルスの周期)間の4つのスイッチング素子のうちの2つが1回ずつオンオフし、残りの2つがオンオフしないため、スイッチング素子1個当たりの平均スイッチング周波数が、搬送波Ca,Cbの周波数の1/2となる。なお、2パルスPWM制御では、搬送波Ca,Cbの周波数が交流電圧指令値Vux*の周波数の4倍であるため、スイッチング素子1個当たりの平均スイッチング周波数が、交流電圧指令値Vux*の周波数の2倍となる。
通常、PWM制御では、搬送波の周波数を低くするほど、スイッチング素子1個当たりの平均スイッチング周波数が減少するため、スイッチング素子に発生する電力損失(スイッチング損失)を抑えることができる。したがって、変換器の動作効率を高めることができる。
しかしながら、その一方で、搬送波の周波数を低くすると、交流出力電圧の波形を細かく変化させることができず、その波形を正弦波に近づけにくくなる。その結果、交流出力電圧に含まれる高調波成分の含有率が大きくなってしまう。このような現象は、図3の変換器を直列多重接続した直列多重変換器においても現れる。
図5は、4段直列多重変換器の2パルスPWM制御を説明するための波形図である。図5(A)には、交流電圧指令値Vux*の半周期(電気角0°~180°の区間)の波形が示されている。交流電圧指令値Vux*の極性は正である。
図5(A)にはさらに、搬送波Cu1~Cu4,Cx1~Cx4の波形が示されている。搬送波Cu1,Cx1は、4段直列多重変換器20における第1段変換器28の2パルスPWM制御に用いられる搬送波である。搬送波Cu2,Cx2は、第2段変換器27の2パルスPWM制御に用いられる搬送波である。搬送波Cu3,Cx3は、第3段変換器26の2パルスPWM制御に用いられる搬送波である。搬送波Cu4,Cx4は、第4段変換器25の2パルスPWM制御に用いられる搬送波である。搬送波Cu1~Cu4,Cx1~Cx4は、図4の搬送波Ca,Cbと振幅および周波数が同じである。
詳細には、搬送波Cu1は、第1段変換器28のu相アームのスイッチング素子S1~S4のスイッチングに用いられる。搬送波Cu1は、上側用搬送波(図4の搬送波Ca)に相当する。搬送波Cx1は、第1段変換器28のx相アームのスイッチング素子S5~S8のスイッチングに用いられる。搬送波Cx1は、下側用搬送波(図4の搬送波Cb)に相当する。ただし、図5(A)では、負の極性の交流電圧指令値-Vux*と搬送波Cx1との比較を、正の極性の交流電圧指令値Vux*と搬送波Cu1との比較と重ね合わせて示すために、搬送波Cx1を正負反転させている。これにより、搬送波Cx1は、搬送波Cu1に対して1/2キャリア周期分(すなわち、π)だけ位相がずれた波形となっている。
搬送波Cu2は第2段変換器27の上側用搬送波(搬送波Ca)に相当し、搬送波Cx2は第2段変換器27の下側用搬送波(搬送波Cb)に相当する。搬送波Cu1,Cx1と同様に、搬送波Cx2は、搬送波Cu2に対して1/2キャリア周期分だけ位相がずれた波形となっている。
搬送波Cu3は第3段変換器26の上側用搬送波(搬送波Ca)に相当し、搬送波Cx3は第3段変換器26の下側用搬送波(搬送波Cb)に相当する。搬送波Cu1,Cx1と同様に、搬送波Cx3は、搬送波Cu3に対して1/2キャリア周期分だけ位相がずれた波形となっている。
搬送波Cu4は第4段変換器25の上側用搬送波(搬送波Ca)に相当し、搬送波Cx4は第4段変換器25の下側用搬送波(搬送波Cb)に相当する。搬送波Cu1,Cx1と同様に、搬送波Cx4は、搬送波Cu4に対して1/2キャリア周期分だけ位相がずれた波形となっている。
さらに、4つの搬送波Cu1~Cu4の間には、位相差が設けられている。図5(A)の例では、Cu4→Cu3→Cu2→Cu1の順に、隣り合う搬送波間で互いに等しい位相差が設けられている。位相差は、1キャリア周期の1/2を4等分したもの(すなわち、π/4)に等しい。これによると、8つの搬送波Cu1~Cu4,Cx1~Cx4の間には、Cx4→Cx3→Cx2→Cx1→Cu4→Cu3→Cu2→Cu1の順に、隣り合う搬送波間で互いに等しい位相差π/4が設けられている。
4段直列多重変換器20の2パルスPWM制御では、第1段変換器28から第4段変換器25の各々において、図4に示した2パルスPWM制御が行なわれる。具体的には、第1段変換器25の2パルスPWM制御では、交流電圧指令値Vux*と搬送波Cu1,Cx1との高低が比較され、その比較結果に基づいて、スイッチング素子S1~S8のオンオフの組み合わせが決定される。なお、交流電圧指令値Vux*と搬送波Cx1との比較結果に基づいたスイッチング素子S5~S8のオンオフの組み合わせは、図4に示した交流電圧指令値-Vux*と下側搬送波Cbとの比較によるスイッチング素子S5~S8の組み合わせと実質的に同じである。
第1段変換器25の2パルスPWM制御と同様に、第2段変換器26の2パルスPWM制御では、交流電圧指令値Vux*と搬送波Cu2,Cx2との高低が比較され、その比較結果に基づいて、スイッチング素子S1~S8のオンオフの組み合わせが決定される。第3段変換器27の2パルスPWM制御では、交流電圧指令値Vux*と搬送波Cu3,Cx3との高低が比較され、その比較結果に基づいて、スイッチング素子S1~S8のオンオフの組み合わせが決定される。第4段変換器28の2パルスPWM制御では、交流電圧指令値Vux*と搬送波Cu4,Cx4との高低が比較され、その比較結果に基づいて、スイッチング素子S1~S8のオンオフの組み合わせが決定される。
図5(B)には、第1段変換器28から第4段変換器25の各々におけるu相アームの出力電圧Vuおよびx相アームの出力電圧Vxの波形が示されている。第1段変換器28の出力電圧Vu1,Vx1、第2段変換器27の出力電圧Vu2,Vx2、第3段変換器26の出力電圧Vu3,Vx3および、第4段変換器25の出力電圧Vu4,Vx4の各々は、0,±Vd/2の3値をとる。図5(B)では各出力電圧を絶対値で表している。
4段直列多重変換器20の交流出力電圧Vuxは、第1段変換器28から第4段変換器25の交流出力電圧Vu1~Vu4,Vx1~Vx4を直列合成したものとなる。図5(C)には、4段直列多重変換器20の交流出力電圧Vuxの波形が示されている。図5(C)に示すように、電気角0°~180°の区間において、交流出力電圧は、第1段変換器28から第4段変換器25の交流出力電圧を積み上げたものとなる。
なお、比較例では、第1段変換器28から第4段変換器25の間で、搬送波Cu1~Cu4の位相をそれぞれπ/4ずらしたことにより、かつ、搬送波Cx1~Cx4の位相をそれぞれπ/4ずらしたことにより、電気角0°~180°の区間において、交流出力電圧Vuxは、0,Vd/2,Vd,3Vd/2,2Vd,5Vd/2,3Vd,7Vd/2,4Vdのいずれかとなる。
しかしながら、図4で説明したように、2パルスPWM制御では、各段の変換器の出力電圧に高調波成分が含まれる。そのため、4段直列多重変換器20の交流出力電圧Vuxにおいても、4台の変換器の高調波成分を合成した高調波成分が含まれることになる。
本実施の形態は、このような問題を解決するために、4段直列多重変換器の交流出力電圧における高調波成分の含有率を低減することを可能とする2パルスPWM制御を提案するものである。
<本実施の形態に係る2パルスPWM制御>
以下、本実施の形態に係る4段直列多重変換器20の2パルスPWM制御について説明する。
図6は、本実施の形態に係る4段直列多重変換器の2パルスPWM制御を説明するための波形図であって、図5と対比される図である。図6(A)には、交流電圧指令値Vux*の半周期(電気角0°~180°の区間)の波形が示されている。
図6(A)にはさらに、搬送波Cu1~Cu4,Cx1~Cx4の波形が示されている。図5と同様に、搬送波Cu1,Cx1は、4段直列多重変換器20における第1段変換器28の2パルスPWM制御に用いられる搬送波であり、搬送波Cu2,Cx2は、第2段変換器27の2パルスPWM制御に用いられる搬送波である。また、搬送波Cu3,Cx3は、第3段変換器26の2パルスPWM制御に用いられる搬送波であり、搬送波Cu4,Cx4は、第4段変換器25の2パルスPWM制御に用いられる搬送波である。搬送波Cu1~Cu4,Cx1~Cx4は、図5の搬送波Cu1~Cu4,Cx1~Cx4と振幅および周波数がそれぞれ同じである。
ただし、本実施の形態では、図5の比較例とは、搬送波Cu1~Cu4,Cx1~Cx4の位相差が異なる。具体的には、4つの搬送波Cu1~Cu4の間には、Cu4→Cu3→Cu2→Cu1の順に、隣り合う搬送波間で互いに等しい位相差が設けられている。位相差は、1キャリア周期を4等分したもの(すなわち、2π/4=π/2)に等しい。搬送波Cu1~Cu4は「第1搬送波」の一実施例に対応する。
また、4つの搬送波Cx1~Cx4の間には、Cx1→Cx2→Cx3→Cx4の順に、隣り合う搬送波間で互いに等しい位相差が設けられている。位相差は、1キャリア周期を4等分したもの(すなわち、2π/4=π/2)に等しい。搬送波Cx1~Cx4は「第2搬送波」の一実施例に対応する。
さらに、搬送波Cu4は、搬送波Cx1および搬送波Cx2の各々との間にπ/4の位相差を有する。搬送波Cu3は、搬送波Cx2および搬送波Cx3の各々との間にπ/4の位相差を有する。搬送波Cu2は、搬送波Cx3および搬送波Cx4の各々との間にπ/4の位相差を有する。搬送波Cu1は、搬送波Cx4および搬送波Cx1の各々との間にπ/4の位相差を有する。
これによると、8つの搬送波Cu1~Cu4,Cx1~Cx4の間には、Cx1→Cu4→Cx2→Cu3→Cx3→Cu2→Cx4→Cu1の順に、隣り合う搬送波間で互いに等しい位相差π/4が設けられている。
4段直列多重変換器20の2パルスPWM制御では、第1段変換器28から第4段変換器25の各々において、図4に示した2パルスPWM制御が行なわれる。具体的には、第1段変換器25の2パルスPWM制御では、交流電圧指令値Vux*と搬送波Cu1,Cx1との高低が比較され、その比較結果に基づいて、スイッチング素子S1~S8のオンオフの組み合わせが決定される。第2段変換器26の2パルスPWM制御では、交流電圧指令値Vux*と搬送波Cu2,Cx2との高低が比較され、その比較結果に基づいて、スイッチング素子S1~S8のオンオフの組み合わせが決定される。第3段変換器27の2パルスPWM制御では、交流電圧指令値Vux*と搬送波Cu3,Cx3との高低が比較され、その比較結果に基づいて、スイッチング素子S1~S8のオンオフの組み合わせが決定される。第4段変換器28の2パルスPWM制御では、交流電圧指令値Vux*と搬送波Cu4,Cx4との高低が比較され、その比較結果に基づいて、スイッチング素子S1~S8のオンオフの組み合わせが決定される。
図6(B)には、第1段変換器28から第4段変換器25の各々におけるu相アームの出力電圧Vuおよびx相アームの出力電圧Vxの波形が示されている。第1段変換器28の出力電圧Vu1,Vx1、第2段変換器27の出力電圧Vu2,Vx2、第3段変換器26の出力電圧Vu3,Vx3および、第4段変換器25の出力電圧Vu4,Vx4の各々は、0,±Vd/2の3値をとる。図6(B)では各出力電圧を絶対値で表している。
4段直列多重変換器20の交流出力電圧Vuxは、第1段変換器28から第4段変換器25の交流出力電圧Vu1~Vu4,Vx1~Vx4を直列合成したものとなる。図6(C)には、4段直列多重変換器20の交流出力電圧Vuxの波形が示されている。図6(C)に示すように、電気角0°~180°の区間において、交流出力電圧は、第1段変換器28から第4段変換器25の交流出力電圧を積み上げたものとなる。
本実施の形態においても、図5(C)の比較例と同様に、電気角0°~180°の区間において、交流出力電圧Vuxは、0,Vd/2,Vd,3Vd/2,2Vd,5Vd/2,3Vd,7Vd/2,4Vdのいずれかとなる。
ただし、本実施の形態では、8つの搬送波Cu1~Cu4,Cx1~Cx4の間に図6(A)に示す位相差を設けたことにより、比較例に比べて、4段直列多重変換器20の交流出力電圧に含まれる高調波成分を低減することができる。図7を用いて、本実施の形態に係る4段直列多重変換器の2パルスPWM制御が奏する効果について説明する。
図7(A)は、比較例に係る4段直列多重変換器の交流出力電圧Vuxの波形であり、図5(C)の波形と同じものである。図7(B)は、本実施の形態に係る4段直列多重変換器の交流出力電圧Vuxの波形であり、図6(C)の波形と同じものである。
図7(C)は、図7(A)の交流出力電圧および図7(B)の交流出力電圧の各々に含まれる高調波成分を解析した結果を示す図である。図7(C)の縦軸は交流出力電圧における高調波成分の含有率(%)を示し、横軸は高調波成分の次数を示す。図7(D)は、図7(C)のグラフを部分的に拡大したものである。
図7(C)および図7(D)では、比較例における含有率が黒塗りまたは斜線で示され、本実施の形態における含有率が白塗りで示されている。図7(C)によると、比較例および本実施の形態のいずれにおいても、3次、5次、7次、・・・49次の高調波成分が観察される。なお、高調波成分の含有率は3次高調波が最も大きい。
比較例と本実施の形態とを比較すると、本実施の形態は、比較例に比べて3次高調波の含有率が小さいことが分かる。5次高調波および7次高調波においても、3次高調波と同様に、本実施の形態のほうが比較例よりも含有率が小さくなっている。
このように本実施の形態に係る4段直列多重変換器の2パルスPWM制御によれば、比較例に係る4段直列多重変換器の2パルスPWM制御と比較して、高調波成分の含有率を低減することができる。
図8は、本実施の形態に係る4段直列多重変換器の2パルスPWM制御を説明するための波形図である。図8には、交流電圧指令値Vux*の1周期(電気角0°~360°)の区間)の波形が示されている。図8の例では、交流電圧指令値Vux*は、正弦波の交流電圧指令値に3次高調波成分を重畳させたものである。このようにすると、線間電圧n基本波振幅を搬送波の振幅よりも大きくすることができるため、電圧利用率を改善することができる。
図8において、電気角0°~180°の区間における交流電圧指令値Vux*と8つの搬送波Cu1~Cu4,Cx1~Cx4との関係は図6で示した通りである。すなわち、8つの搬送波Cu1~Cu4,Cx1~Cx4の間には、Cx1→Cu4→Cx2→Cu3→Cx3→Cu2→Cx4→Cu1の順に、隣り合う搬送波間で互いに等しい位相差π/4が設けられている。正の極性の交流電圧指令値Vux*と搬送波Cuとが一致するタイミングで、各段の変換器におけるu相のスイッチング素子S1,S3のスイッチングが行なわれる。正の極線の交流電圧指令値Vux*と搬送波Cxとが一致するタイミングで、各段の変換器におけるx相のスイッチング素子S6,S8のスイッチングが行なわれる。
電気角180°~360°の区間においても、8つの搬送波Cu1~Cu4,Cx1~Cx4の間には、Cx1→Cu4→Cx2→Cu3→Cx3→Cu2→Cx4→Cu1の順に、隣り合う搬送波間で互いに等しい位相差π/4が設けられている。
ここで、本実施の形態では、搬送波Cu1において、上側搬送波と下側搬送波との間に1/2キャリア周期分(すなわち、π)位相差を設けている。図4に示したように、単相フルブリッジ3レベル回路のPWM制御では、通常、上側搬送波Caと下側搬送波Cbとは同位相としている。これに対し、本実施の形態では、上側搬送波と下側搬送波とを逆位相とする。搬送波Cu2~Cu4,Cx1~Cx4の各々においても、上側搬送波と下側搬送波とを逆位相とする。
(制御装置の制御構造)
次に、本実施の形態に係る直列多重電力変換装置1における制御装置11の制御構造を説明する。
図9は、図1に示した制御装置11のうちの4段直列多重変換器20の制御に関する部分を示す回路ブロック図である。
図9を参照して、制御装置11は、減算器110,112、電流制御部114、2相/3相変換部116、3f重畳演算部118、加算器120,122,124,132、PWM制御部126、乗算器128,130、および平方根134を含む。
d軸電流帰還値Idおよびq軸電流帰還値Iqは、電流検出器13(図1)により検出された電力系統2を流れる交流電流のd軸成分およびq軸成分であり、三相交流電流IR,IS,ITの検出値を3相/2相変換して得られたものである。d軸電流指令Id*およびq軸電流指令Iq*は、交流電流指令のd軸成分およびq軸成分であり、三相の電流指令値IR*,IS*,IT*を3相/2相変換して得られたものである。
減算器110は、d軸電流帰還値Idとd軸電流指令Id*との偏差Δd(=Id-Id*)を算出する。減算器112は、q軸電流帰還値Iqとq軸電流指令Iq*との偏差Δq(=Iq-Iq*)を算出する。
電流制御部114は、偏差Δd,Δqの各々が0となるようにd軸電圧指令Vd*とq軸電圧指令Vq*とを生成する。電流制御部114は、例えば偏差Δd,Δqを比例制御または比例積分制御に従って増幅することによりd軸電圧指令Vd*およびq軸電圧指令Vq*を生成する。
2相/3相変換部116は、d軸電圧指令Vd*およびq軸電圧指令Vq*を2相/3相変換することにより、三相の交流電圧指令値(R相電圧指令値VR♯、S相電圧指令値VS♯、T相電圧指令値VT♯)を生成する。
3f重畳演算部118は、交流電圧指令値VR♯,VS♯,VT♯の各々に重畳する3次高調波成分の重畳比率を算出する。3f重畳演算部118は、電流制御部114により生成されたd軸電圧指令Vd*およびq軸電圧指令Vq*に基づいて、3次高調波成分の重畳比率を算出し、算出した重畳比率に基づいて、各相の3次高調波成分を生成する。具体的には、3f重畳演算部118は、予め交流電圧の振幅値に応じた好適な3次高調波の重畳比率を算出しておき、得られた交流電圧の振幅値と3次高調波の重畳比率との関係をテーブル化しておくことができる。
加算器120は、R相電圧指令値VR♯とR相の3次高調波成分とを加算して、R相電圧指令値VR*を生成する。加算器122は、S相電圧指令値VS♯とS相の3次高調波成分とを加算して、S相電圧指令値VS*を生成する。加算器124は、T相電圧指令値VT♯とT相の3次高調波成分とを加算して、T相電圧指令値VT*を生成する。
乗算器128は、d軸電圧指令Vd*の二乗値Vd*を算出する。乗算器130は、q軸電圧指令Vq*の二乗値Vq*を算出する。加算器132は、d軸電圧指令の二乗値Vd*とq軸電圧指令の二乗値Vq*とを加算する。平方根134は、加算器132の加算結果の平方根(=(Vd*+Vq*1/2)を算出することにより、交流電圧指令値V♯の基本波の振幅を算出する。
PWM制御部126は、交流電圧指令値VR*,VS*,VT*に基づいて、4段直列多重変換器20を制御するためのゲートパルス信号GC1~GC4(図1)を生成する。PWM制御部126は、線間電圧の振幅に基づいてゲートパルス信号GC1~GC4を生成する。
図10は、図9に示したPWM制御部126の構成を示すブロック図である。図10を参照して、PWM制御部126は、第1段制御部141、第2段制御部142、第3段制御部143、第4段制御部144、および搬送波発生器145を含む。
搬送波発生器145は、搬送波Cu1~Cu4,Cx1~Cx4を生成する。搬送波はたとえば三角波信号である。搬送波Cu1~Cu4,Cx1~Cx4は、交流電圧指令値Vux*の2倍の周波数を有している。搬送波Cu1~Cu4,Cx1~Cx4の間には、図6に示した位相差が設けられている。
第1段制御部141は、交流電圧指令値Vux*に基づいて、第1段変換器28におけるスイッチング素子S1~S8のオンオフを制御するための制御指令であるゲートパルス信号GC1を生成する。
第2段制御部142は、交流電圧指令値Vux*に基づいて、第2段変換器27におけるスイッチング素子S1~S8のオンオフを制御するための制御指令であるゲートパルス信号GC2を生成する。
第3段制御部143は、交流電圧指令値Vux*に基づいて、第3段変換器26におけるスイッチング素子S1~S8のオンオフを制御するための制御指令であるゲートパルス信号GC3を生成する。
第4段制御部144は、交流電圧指令値Vux*に基づいて、第4段変換器25におけるスイッチング素子S1~S8のオンオフを制御するための制御指令であるゲートパルス信号GC4を生成する。
図11は、図10に示した搬送波発生器145の構成例を示すブロック図である。図11を参照して、搬送波発生器145は、三角波発生器150と、位相遅延部151~157と、反転器161~168を有する。
三角波発生器150は、交流電圧指令値Vux*の4倍の周波数を有する三角波を発生する。
位相遅延部151~157は、入力信号を位相Δθだけ遅延して出力するように構成される。4段直列多重変換器20の場合、各位相遅延部における位相遅延量Δθはπ/4に設定されている。なお、n台を直列多重接続したn段直列多重変換器の場合には、位相遅延量Δθはπ/nに設定される。
反転器161~168は、入力信号の符号を反転して出力するように構成される。
図11の構成例では、三角波発生器150にて生成された三角波は第1段変換器28のx相アームの上側搬送波Cx1となり、反転器161により上側搬送波Cx1の符号を反転させたものがx相アームの下側搬送波Cx1となる。
上側搬送波Cx1を位相遅延部151により位相Δθ(=π/4)遅延させたものが第4段変換器25のu相アームの上側搬送波Cu4となり、反転器162により上側搬送波Cx4の符号を反転させたものがx相アームの下側搬送波Cu4となる。
上側搬送波Cu4を位相遅延部152により位相Δθ(=π/4)遅延させたものが第2段変換器27のx相アームの上側搬送波Cx2となり、反転器163により上側搬送波Cx2の符号を反転させたものがx相アームの下側搬送波Cx2となる。
上側搬送波Cx2を位相遅延部153により位相Δθ(=π/4)遅延させたものが第3段変換器26のu相アームの上側搬送波Cu3となり、反転器164により上側搬送波Cu3の符号を反転させたものがx相アームの下側搬送波Cx3となる。
上側搬送波Cu3を位相遅延部154により位相Δθ(=π/4)遅延させたものが第3段変換器26のx相アームの上側搬送波Cx3となり、反転器165により上側搬送波Cx3の符号を反転させたものがx相アームの下側搬送波Cx3となる。
上側搬送波Cx3を位相遅延部155により位相Δθ(=π/4)遅延させたものが第2段変換器27のu相アームの上側搬送波Cu2となり、反転器166により上側搬送波Cu2の符号を反転させたものがu相アームの下側搬送波Cu2となる。
上側搬送波Cu2を位相遅延部156により位相Δθ(=π/4)遅延させたものが第4段変換器25のx相アームの上側搬送波Cx4となり、反転器167により上側搬送波Cx4の符号を反転させたものがx相アームの下側搬送波Cx4となる。
上側搬送波Cx4を位相遅延部157により位相Δθ(=π/4)遅延させたものが第1段変換器28のu相アームの上側搬送波Cu2となり、反転器168により上側搬送波Cu1の符号を反転させたものがu相アームの下側搬送波Cu1となる。
図12は、図10に示した第1段制御部141の構成例を示すブロック図である。図11を参照して、第1段制御部141は、乗算器160、比較器COM1~COM4、および反転器I1~I4を含む。
乗算器160は、交流電圧指令値Vux*に「-1」を乗じる。乗算器160の乗算値は、交流電圧指令値-Vux*に値する。
比較器COM1は、非反転入力端子(+端子)に交流電圧指令値Vux*を受け、反転入力端子(-端子)に上側搬送波Cu1を受ける。比較器COM1は、交流電圧指令値Vux*および上側搬送波Cu1の高低を比較し、比較結果を示す信号を出力する。比較器COM1の出力信号は、第1段変換器28のスイッチング素子S1のゲートパルス信号となる。
反転器I1は、比較器COM1の出力信号を反転する。反転器I1の出力信号は、第1段変換器28のスイッチング素子S3のゲートパルス信号となる。
比較器COM2は、非反転入力端子(+端子)に交流電圧指令値Vux*を受け、反転入力端子(-端子)に下側搬送波Cu1を受ける。比較器COM2は、交流電圧指令値Vux*および下側搬送波Cu1の高低を比較し、比較結果を示す信号を出力する。比較器COM2の出力信号は、第1段変換器28のスイッチング素子S2のゲートパルス信号となる。
反転器I2は、比較器COM2の出力信号を反転する。反転器I2の出力信号は、第1段変換器28のスイッチング素子S4のゲートパルス信号となる。
比較器COM3は、非反転入力端子(+端子)に交流電圧指令値-Vux*を受け、反転入力端子(-端子)に上側搬送波Cx1を受ける。比較器COM1は、交流電圧指令値-Vux*および上側搬送波Cx1の高低を比較し、比較結果を示す信号を出力する。比較器COM3の出力信号は、第1段変換器28のスイッチング素子S5のゲートパルス信号となる。
反転器I3は、比較器COM3の出力信号を反転する。反転器I3の出力信号は、第1段変換器28のスイッチング素子S7のゲートパルス信号となる。
比較器COM4は、非反転入力端子(+端子)に交流電圧指令値-Vx*を受け、反転入力端子(-端子)に下側搬送波Cx1を受ける。比較器COM4は、交流電圧指令値-Vux*および下側搬送波Cx1の高低を比較し、比較結果を示す信号を出力する。比較器COM4の出力信号は、第1段変換器28のスイッチング素子S6のゲートパルス信号となる。
反転器I4は、比較器COM4の出力信号を反転する。反転器I4の出力信号は、第1段変換器28のスイッチング素子S8のゲートパルス信号となる。
(その他の構成例)
上述した実施の形態では、4段直列多重変換器の2パルスPWM制御について説明したが、4以外の段数の直列多重変換器に対しても、本実施の形態に係る2パルスPWM制御を適用することができる。
(1)3段直列多重変換器の2パルスPWM制御
図13は、3段直列多重変換器の2パルスPWM制御を説明するための波形図である。図13には、交流電圧指令値Vux*の半周期(電気角0°~180°の区間)の波形が示されている。
図13にはさらに、搬送波Cu1~Cu3,Cx1~Cx3の波形が示されている。搬送波Cu1,Cx1は、3段直列多重変換器における第1段変換器の2パルスPWM制御に用いられる搬送波であり、搬送波Cu2,Cx2は、第2段変換器の2パルスPWM制御に用いられる搬送波であり、搬送波Cu3,Cx3は、第3段変換器の2パルスPWM制御に用いられる搬送波である。搬送波Cu1~Cu3,Cx1~Cx3は、図5の搬送波Cu,Cxと振幅および周波数がそれぞれ同じである。
3段直列多重変換器においては、3つの搬送波Cu1~Cu3の間には、Cu3→Cu2→Cu1の順に、隣り合う搬送波間で互いに等しい位相差が設けられている。位相差は、1キャリア周期を3等分したもの(すなわち、2π/3)に等しい。
また、3つの搬送波Cx1~Cx3の間には、Cx1→Cx2→Cx3の順に、隣り合う搬送波間で互いに等しい位相差が設けられている。位相差は、1キャリア周期を3等分したもの(すなわち、2π/3)に等しい。
さらに、搬送波Cu3は、搬送波Cx1および搬送波Cx2の各々との間にπ/3の位相差を有する。搬送波Cu2は、搬送波Cx2および搬送波Cx3の各々との間にπ/3の位相差を有する。搬送波Cu1は、搬送波Cx3および搬送波Cx1の各々との間にπ/3の位相差を有する。
これによると、6つの搬送波Cu1~Cu3,Cx1~Cx3の間には、Cx1→Cu3→Cx2→Cu2→Cx3→Cu1の順に、隣り合う搬送波間で互いに等しい位相差π/3が設けられている。
さらに、図示は省略するが、搬送波Cu1~Cu3,Cx1~Cx3の各々において、上側搬送波と下側搬送波とを逆位相とする。
3段直列多重変換器の2パルスPWM制御では、第1段変換器から第3段変換器の各々において、図4に示した2パルスPWM制御が行なわれる。具体的には、第1段変換器の2パルスPWM制御では、交流電圧指令値Vux*と搬送波Cu1,Cx1との高低が比較され、その比較結果に基づいて、スイッチング素子S1~S8のオンオフの組み合わせが決定される。第2段変換器の2パルスPWM制御では、交流電圧指令値Vux*と搬送波Cu2,Cx2との高低が比較され、その比較結果に基づいて、スイッチング素子S1~S8のオンオフの組み合わせが決定される。第3段変換器の2パルスPWM制御では、交流電圧指令値Vux*と搬送波Cu3,Cx3との高低が比較され、その比較結果に基づいて、スイッチング素子S1~S8のオンオフの組み合わせが決定される。
(2)5段直列多重変換器の2パルスPWM制御
図14は、5段直列多重変換器の2パルスPWM制御を説明するための波形図である。図14には、交流電圧指令値Vux*の半周期(電気角0°~180°の区間)の波形が示されている。
図14にはさらに、搬送波Cu1~Cu5,Cx1~Cx5の波形が示されている。搬送波Cu1,Cx1は、5段直列多重変換器における第1段変換器の2パルスPWM制御に用いられる搬送波であり、搬送波Cu2,Cx2は、第2段変換器の2パルスPWM制御に用いられる搬送波であり、搬送波Cu3,Cx3は、第3段変換器の2パルスPWM制御に用いられる搬送波である。搬送波Cu4,Cx4は、第4段変換器の2パルスPWM制御に用いられる搬送波であり、搬送波Cu5,Cx5は、第5段変換器の2パルスPWM制御に用いられる搬送波である。搬送波Cu1~Cu5,Cx1~Cx5は、図5の搬送波Cu,Cxと振幅および周波数がそれぞれ同じである。
5段直列多重変換器においては、5つの搬送波Cu1~Cu5の間には、Cu5→Cu4→Cu3→Cu2→Cu1の順に、隣り合う搬送波間で互いに等しい位相差が設けられている。位相差は、1キャリア周期を5等分したもの(すなわち、2π/5)に等しい。
また、5つの搬送波Cx1~Cx5の間には、Cx1→Cx2→Cx3→Cx4→Cx5の順に、隣り合う搬送波間で互いに等しい位相差が設けられている。位相差は、1キャリア周期を5等分したもの(すなわち、2π/5)に等しい。
さらに、搬送波Cu5は、搬送波Cx1および搬送波Cx2の各々との間にπ/5の位相差を有する。搬送波Cu4は、搬送波Cx2および搬送波Cx3の各々との間にπ/5の位相差を有する。搬送波Cu3は、搬送波Cx3および搬送波Cx4の各々との間にπ/5の位相差を有する。搬送波Cu2は、搬送波Cx4および搬送波Cx5の各々との間にπ/5の位相差を有する。搬送波Cu1は、搬送波Cx5および搬送波Cx1の各々との間にπ/5の位相差を有する。
これによると、10個の搬送波Cu1~Cu5,Cx1~Cx5の間には、Cx1→Cu5→Cx2→Cu4→Cx3→Cu3→Cx4→Cu2→Cx5→Cu1の順に、隣り合う搬送波間で互いに等しい位相差π/5が設けられている。
さらに、図示は省略するが、搬送波Cu1~Cu5,Cx1~Cx5の各々において、上側搬送波と下側搬送波とを逆位相とする。
5段直列多重変換器の2パルスPWM制御では、第1段変換器から第5段変換器の各々において、図4に示した2パルスPWM制御が行なわれる。具体的には、第1段変換器の2パルスPWM制御では、交流電圧指令値Vux*と搬送波Cu1,Cx1との高低が比較され、その比較結果に基づいて、スイッチング素子S1~S8のオンオフの組み合わせが決定される。第2段変換器の2パルスPWM制御では、交流電圧指令値Vux*と搬送波Cu2,Cx2との高低が比較され、その比較結果に基づいて、スイッチング素子S1~S8のオンオフの組み合わせが決定される。第3段変換器の2パルスPWM制御では、交流電圧指令値Vux*と搬送波Cu3,Cx3との高低が比較され、その比較結果に基づいて、スイッチング素子S1~S8のオンオフの組み合わせが決定される。第4段変換器の2パルスPWM制御では、交流電圧指令値Vux*と搬送波Cu4,Cx4との高低が比較され、その比較結果に基づいて、スイッチング素子S1~S8のオンオフの組み合わせが決定される。第5段変換器の2パルスPWM制御では、交流電圧指令値Vux*と搬送波Cu5,Cx5との高低が比較され、その比較結果に基づいて、スイッチング素子S1~S8のオンオフの組み合わせが決定される。
(3)N段直列多重変換器の2パルスPWM制御
直列多重される変換器の段数をNとした場合(Nは2以上の自然数)、本実施の形態に係るN段直列多重変換器の2パルスPWM制御は、以下のように表わすことができる。
2パルスPWM制御には、2N個の搬送波Cu1~CuN,Cx1~CxNが用いられる。搬送波CuI,CxIは、第I段変換器の2パルスPWM制御に用いられる搬送波である。ただし、Iは1以上N以下の整数である。搬送波CuI,CxIは、図5の搬送波Cu,Cxと振幅および周波数がそれぞれ同じである。
N段直列多重変換器においては、N個の搬送波Cu1~CuN(第1搬送波)の間には、CuN→CuN-1→CuN-2→・・・→Cu2→Cu1の順に、隣り合う搬送波間で互いに等しい位相差が設けられる。位相差は、1キャリア周期をN等分したもの(すなわち、2π/N)に等しい。
また、N個の搬送波Cx1~CxN(第2搬送波)の間には、Cx1→Cx2→・・・→CxN-2→CxN-1→CxNの順に、隣り合う搬送波間で互いに等しい位相差が設けられている。位相差は、1キャリア周期をN等分したもの(すなわち、2π/N)に等しい。
さらに、第N+1-I段変換器における搬送波CuN+1-Iは、第I段変換器の搬送波CxIおよび第I+1段変換器の搬送波CxI+1の各々との間にπ/Nの位相差を有する。
さらに、図示は省略するが、搬送波Cu1~CuN,Cx1~CxNの各々において、上側搬送波と下側搬送波とを逆位相とする。
このようにすると、N段直列多重変換器の交流出力電圧に含まれる高調波成分を低減することができる。したがって、N段直列多重変換器の動作効率を高めつつ、高調波発生を抑制することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 直列多重電力変換装置、2,3 電力系統、10 電力変換部、11 制御装置、12,52 交流電圧検出器、13,53 電流検出器、14 直流電圧検出器、15 直流正母線、16 直流中性点母線、17 直流負母線、20,60 4段直列多重変換器、21~24,61~64 変圧器、25~28,65~68 変換器、110,112 減算器、114 電流制御部、116 2相/3相変換部、118 3f重畳演算部、120,122,124,132 加算器、126 PWM制御部、128,130,160 乗算器、134 平方根、141 第1段制御部、142 第2段制御部、143 第3段制御部、144 第4段制御部、145 搬送波発生器、150 三角波発生器、151~157 位相遅延部、161~168,I1~I4 反転器、C1,C2 平滑コンデンサ、COM1~COM4 比較器、Ca 上側搬送波、Cb 下側搬送波、GC1~GC8 ゲートパルス信号、Cu,Cu1~Cu5,Cx,Cx1~Cx5 搬送波。

Claims (2)

  1. 交流電力系統に連携される直列多重電力変換装置であって、
    一次巻線が前記交流電力系統に直列に多重接続されるN台(Nは2以上の整数)の変圧器と、
    前記N台の変圧器の二次巻線にそれぞれ接続され、交流電力および直流電力の間で双方向の電力変換を行なう第1段~第N段の変換器と、
    交流電圧指令値に一致するように、各段の変換器の交流出力電圧のPWM制御を行なう制御装置とを備え、
    前記各段の変換器は、第1相アームおよび第2相アームを有する単相フルブリッジ回路を有し、前記第1相アームおよび前記第2相アームの各々は3レベル回路により構成され、
    前記各段の変換器の前記PWM制御において、前記制御装置は、前記交流電圧指令値の4倍の周波数を有する第1搬送波および第2搬送波を有し、前記交流電圧指令値と前記第1搬送波との比較により前記第1相アームの制御指令を生成するとともに、前記交流電圧指令値の極性を反転させた電圧と前記第2搬送波との比較により前記第2相アームの制御指令を生成するように構成され、
    前記第1段~第N段の変換器にそれぞれ対応する第1~第Nの前記第1搬送波は、第N~第1の順番に隣り合う前記第1搬送波の間に第1の位相差が設定され、
    前記第1段~第N段の変換器にそれぞれ対応する第1~第Nの前記第2搬送波は、第1~第Nの順番に隣り合う前記第2搬送波の間に前記第1の位相差が設定され、
    第N+1-I段の変換器(Iは1以上N-1以下の整数)に対応する第N+1-Iの前記第1搬送波は、第I段の変換器に対応する第Iの前記第2搬送波との間、および第I+1段の変換器に対応する第I+1の前記第2搬送波との間に第2の位相差が設定され、
    前記第1段の変換器に対応する第1の前記第1搬送波は、前記第N段の変換器に対応する第Nの前記第2搬送波との間、および前記第1段の変換器に対応する第1の前記第2搬送波との間に前記第2の位相差が設定され、
    前記第1の位相差は2π/Nに等しく、前記第2の位相差はπ/Nに等しい、直列多重電力変換装置。
  2. 前記第1相アームおよび前記第2相アームの各々は、直流正母線および直流負母線の間にこの順に直列接続される第1~第4のスイッチング素子を有し、
    前記第1搬送波および前記第2搬送波の各々は、前記第1および第3のスイッチング素子のスイッチングを制御するための上側搬送波と、前記第2および第4のスイッチング素子のスイッチングを制御するための下側搬送波とを含み、
    前記上側搬送波と前記下側搬送波とはπの位相差を有する、請求項1に記載の直列多重電力変換装置。
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