JP7248222B2 - 熱伝導性部材の製造方法、及びディスペンサ装置 - Google Patents

熱伝導性部材の製造方法、及びディスペンサ装置 Download PDF

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Description

本発明は、熱伝導性部材の製造方法、及び例えば熱伝導性部材の製造方法で使用されるディスペンサ装置に関する。
コンピュータ、自動車部品、携帯電話等の電子機器では、半導体素子や機械部品等の発熱体から生じる熱を放熱するためにヒートシンクなどの放熱体が一般的に用いられる。放熱体への熱の伝熱効率を高める目的で、発熱体と放熱体の間には、熱伝導性シートなどの熱伝導性部材が配置されることが知られている。
熱伝導性シートは、一般的には、高分子マトリクスと、高分子マトリクス中に分散された熱伝導性充填材とを含有する。熱伝導性シートは、特定の方向の熱伝導性を高めるために、形状に異方性を有する異方性充填材を一方向に配向させていることが多い。
異方性充填材が一方向に配向された熱伝導性シートは、例えば、延伸させ、また押出成形等により異方性充填材をシート面方向に沿って配向させた1次シートを複数作製し、1次シートを硬化又は半硬化させ、その1次シートを複数積層して一体化したものを垂直にスライスすることで製造される。この製造方法を流動配向法ともいう。流動配向法によれば、微小厚みの単位層が多数積層されて構成される熱伝導性シートが得られる。また、異方性充填材は、シートの厚さ方向に配向させることが可能である(例えば、特許文献1参照)。
また、熱伝導性シートの高分子マトリクスとしては、熱伝導性、耐熱性などの観点から、シリコーン樹脂が広く使用される。しかし、シリコーン樹脂を高分子マトリクスに使用して流動配向法により、熱伝導性シートを製造しようとすると、1次シート同士の接着性が弱くなり、スライス工程などにおいて、1次シートと1次シートの間で剥離が生じるなどの不具合が起こることがある。そのため、例えば特許文献2では、シリコーン樹脂を高分子マトリクスに使用する場合、1次シート間の接着性を高めるために、1次シート表面に真空紫外線(VUV)を照射したうえで、1次シートを重ねることが開示されている。
特開2013-254880号公報 国際公開第2020/105601号
しかしながら、特許文献1に開示されるように、押出成形により1次シートを成形し、その後スライスする方法では、各工程において端材が多く発生して、材料の無駄が多いという問題がある。また、特許文献2に開示されるように、VUV照射を使用すると、設備が大掛かりとなることから、簡易な設備により製造できることが望まれている。
そこで、本発明は、材料の無駄が少なく、簡易な設備により、異方性熱伝導性充填材が一方向に配向した熱伝導性部材を適切に製造することができる、熱伝導性部材の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、幅広形状の吐出口を備えるディスペンサ装置を用いて、所定の物性を有する熱伝導性組成物をシート状に吐出して、積み重ねて積層体とすることで、上記課題を解決できることを見出し、以下の本発明を完成させた。本発明は、以下の[1]~[16]を要旨とする。
[1]液状樹脂と異方性熱伝導性充填材とを含み、直径3mmの押圧面を有する押し棒で、突き刺し速さ10mm/minの速度で突き刺したときの応力である突き刺し荷重が8~60gfである熱伝導性組成物を調製する工程と、
幅広形状の吐出口を備えるディスペンサ装置を用いて、前記熱伝導性組成物をシート状に複数重なるように吐出することで積層体を得る工程と、
を備える、熱伝導性部材の製造方法。
[2]前記液状樹脂が、硬化可能な液状樹脂であり、
前記積層体を得た後に、前記熱伝導性組成物を硬化する工程をさらに備える、上記[1]に記載の熱伝導性部材の製造方法。
[3]前記積層体を、積層面に交差する方向に切断する工程をさらに備える上記[1]又は[2]に記載の熱伝導性部材の製造方法。
[4]前記液状樹脂が揮発性化合物を含む、上記[1]~[3]のいずれか1項に記載の熱伝導性部材の製造方法。
[5]前記揮発性化合物を揮発させる工程をさらに備える上記[4]に記載の熱伝導性組成物の製造方法。
[6]前記積層体を、積層方向に圧縮して75~97%の厚さに圧縮変形させる工程をさらに備える、上記[1]~[5]のいずれか1項に記載の熱伝導性部材の製造方法。
[7]前記シート状に吐出した前記熱伝導性組成物を切断しながら重ねることで、前記積層体には複数のシート体が重ねられている、上記[1]~[6]のいずれか1項に記載の熱伝導性部材の製造方法。
[8]前記吐出口に設けられ、前記吐出口の長手方向に沿って移動するカッターにより、前記シート状に吐出した前記熱伝導性組成物を切断する上記[7]に記載の熱伝導性部材の製造方法。
[9]前記シート状に吐出した前記熱伝導性組成物を折り重ねて前記積層体を得る上記[1]~[6]のいずれか1項に記載の熱伝導性部材の製造方法。
[10]放熱体と発熱体の間に、前記熱伝導性組成物をシート状に複数重なるように吐出して、前記放熱体と発熱体の間に積層体を形成する上記[1]~[9]のいずれか1項に記載の熱伝導性部材の製造方法。
[11]前記熱伝導性組成物が、前記放熱体と発熱体を結ぶ方向にシート状に吐出される上記[10]に記載の熱伝導性部材の製造方法。
[12]前記積層体における各シート体の厚みが、0.1~9.0mmである上記[1]~[11]のいずれか1項に記載の熱伝導性部材の製造方法。
[13]前記熱伝導性組成物を室温で吐出する上記[1]~[12]のいずれか1項に記載の熱伝導性部材の製造方法。
[14]ヘッドと、流動性材料を前記ヘッドに供給する供給路とを備え、
前記ヘッドが、幅広形状の吐出口と、前記供給路と前記吐出口を接続する接続路とを有し、
前記接続路が、前記供給路から前記吐出口に向かって、一方向の内径が大きくなって前記吐出口に接続される、ディスペンサ装置。
[15]前記吐出口に配置され、前記吐出口の長手方向に沿って移動するカッターをさらに備える上記[14]に記載のディスペンサ装置。
[16]前記ヘッド、及び前記流動性材料が吐出される被吐出部材の少なくともいずれかが、前記吐出口の長手方向に直交する方向に移動可能である上記[14]又は[15]に記載のディスペンサ装置。
本発明によれば、材料の無駄が少なく、簡易な設備により、異方性熱伝導性充填材が一方向に配向した熱伝導性部材を適切に製造することができる。
一実施形態に係るディスペンサ装置を示す模式図である。 ディスペンサ装置のヘッドを示す正面図である。 第1の実施形態に係る熱伝導性部材の製造方法における工程2を説明するための模式図である。 第1の実施形態に係る熱伝導性部材の製造方法における工程5を説明するための模式図である。 熱伝導性部材の一例を示す模式的な断面図である。 第2の実施形態に係る熱伝導性部材の製造方法を説明するための模式図である。 第3の実施形態に係る熱伝導性部材の製造方法を説明するための模式図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。以下では、まずは、熱伝導性部材の製造方法に使用されるディスペンサ装置について説明する。
[ディスペンサ装置]
図1に示すとおり、ディスペンサ装置50は、ヘッド51と、流動性材料をヘッド51に供給する供給路52とを備える。ヘッド51は、吐出口53と接続路54とを備える。接続路54は、吐出口53と供給路52とを接続する。ヘッド51の下方には、テーブル57が設けられ、吐出口53がテーブル57に対向している。
なお、流動性材料は、本製造方法では、熱伝導性組成物であり、流動性を有し、かつテーブル57などに吐出された際に一定の形状(例えば、シート形状)を保持できるものであればよい。また、以下の説明では、流動性材料が吐出される方向をMD(Machine Direction)、横方向をTD(Transverse Direction)とする。MDは、TDに直交する方向である。また、MD及びTDの両方に垂直な上下方向をZDとして説明する。
ヘッド51は、図2に示すとおり、横方向(TD)に延在する形状を有し、その下面51Aに吐出口53が設けられる。吐出口53は、幅広形状であり、すなわち、図1、2に示すとおりに、横方向(TD)が長手方向になる、細長の形状を有する。なお、吐出口53は、一般的に矩形である。
吐出口53のサイズは、特に限定されないが、TDにおける長さL1が例えば2~100cm、好ましくは5~50cmであり、MDにおける長さL2が例えば0.1~9.0mm、好ましくは1.0~5.0mmである。また、長さ比L1/L2が例えば3~1000、好ましくは5~500、より好ましくは20~200である。
接続路54は、供給路52から吐出口53に向かって、一方向(TD)の内径が、吐出口の長さL1に対応する大きさまで大きくなって、吐出口53に接続される。また、接続路54は、供給路52から吐出口53に向かって、TDに直交する方向(MD)の内径が、長さL2に対応する大きさまで小さくなって、吐出口53に接続される。
ディスペンサ装置50において、供給路52の一方の端部は、タンク56に接続される。タンク56には、図示しないポンプが設けられており、ポンプによってタンク56に貯留された流動性材料を、加圧した状態で、供給路52を介してヘッド51に供給することが可能である。供給路52は、加圧された流動性材料を供給できるように耐圧性の管体により形成される。
テーブル57は、MD(すなわち、吐出口53の長手方向に直交する方向)に沿って移動可能であり、吐出口53から流動性材料が吐出されつつ、テーブル57がMDに移動することで、吐出口53から吐出される流動性材料は、MDに流動してシート状となる。吐出されたシート状の流動性材料の厚みは、概ね長さL2と同じとなる。
また、テーブル57は、ZDにも移動可能であり、例えば、シート状に吐出された流動性材料の上に、さらに流動性材料を重ねて吐出する場合には、下方に移動させるとよい。
また、ディスペンサ装置50は、吐出口53に配置されたカッター58を備える。本実施形態において、カッター58は、下面51Aの下側に配置されたワイヤーカッターである。ワイヤーカッターは、その両端がヘッド51に設けられた取付部51X,51Yに取り付けられている。取付部51X,51Yは、ヘッド51において、TD(すなわち、吐出口53の長手方向)に沿って移動可能であり、これら取付部51X,51Yを移動させることで、カッター58も横方向(TD)に沿って移動可能である。そして、カッター58をTDに移動させることで、吐出口53から吐出された流動性材料を切断することが可能になる。なお、カッター58は、後述する第2の実施形態のように、各層を形成するごとに流動性材料を切断しないような場合には、省略してもよい。
なお、ディスペンサ装置50は、テーブル57の代わりに、ヘッド51を移動可能にしてもよい。ヘッド51は、具体的にはMDに移動可能であるとよく、さらにはZDに移動可能であってもよい。ヘッドがMDに移動することで、テーブル57を移動させることなく、流動性材料をMDに沿ってシート状に吐出させることができる。また、ヘッドがZDに移動することで、テーブル57を移動させることなく、シート状に吐出した流動性材料の上に、さらに流動性材料を吐出できるようになる。
なお、ディスペンサ装置50は、テーブル57及びヘッド51の一方のみが移動可能であってもよいが、両方が移動可能であってもよい。
また、流動性材料が吐出される部材(被吐出部材)は、テーブル57である必要はなく、テーブル57が省略され、テーブル57以外の部材であってもよい。また、テーブル57上に配置された部材であってもよい。これら被吐出部材は、テーブル57と同様にZD、又はMDに沿って移動できればよい。
さらに、ディスペンサ装置50のヘッド51は、上端部を中心に揺動可能であってもよい。ヘッド51が上端部を中心に揺動すると、例えば、後述する第3の実施形態に示すように、被吐出部材の上側に配置された2つの部材間に、流動性材料を吐出する場合に、流動性材料を2つの部材それぞれに接触させて吐出することなどが可能になる。
また、ディスペンサ装置50のタンク56は1つであったが、液状樹脂が2液硬化型の場合には、第1液と、第2液それぞれを貯留するタンクが設けられ、ヘッド51に供給する直前に混合されてから、ヘッド51に供給されてもよい。
[第1の実施形態]
<熱伝導性部材の製造方法>
次に、本発明の第1の実施形態に係る熱伝導性部材の製造方法について詳細に説明する。第1の実施形態に係る熱伝導性部材は、以下の工程1~5を備える製造方法により熱伝導性部材を製造する。なお、第1の実施形態では、工程1~工程5をこの順に実行するとよい。
工程1:硬化可能な液状樹脂と熱伝導性充填材とを含む熱伝導性組成物を調製する工程
工程2:ディスペンサ装置を用いて、工程1で得られた熱伝導性組成物をシート状に複数重なるように吐出することで積層体を得る工程
工程3:得られた積層体を積層方向に圧縮する工程
工程4:熱伝導性組成物を硬化する工程
工程5:積層体を積層面に交差する方向に沿って切断する工程
[工程1]
工程1では、硬化可能な液状樹脂と熱伝導性充填材とを含む熱伝導性組成物を調製する。熱伝導性組成物は、熱伝導性充填材として、異方性熱伝導性充填材(以下、単に「異方性充填材」ともいう)を含有する。異方性充填材は、形状に異方性を有する熱伝導性充填材であり、配向が可能な充填材である。本製造方法において、異方性充填材は、工程2において、吐出方向に配向するので、熱伝導性部材の一方向の熱伝導率を高めることができる。ただし、熱伝導性組成物は、熱伝導性充填材として、異方性充填材に加えて、非異方性熱伝導性充填材(以下、単に「非異方性充填材」ともいう)を含有することが好ましい。熱伝導性充填材の詳細については後述する。
工程1において用意される熱伝導性組成物は、突き刺し速さ10mm/minのときの突き刺し荷重が8~60gfとなるものである。上記の突き刺し荷重が8gf以上未満となると、ディスペンサ装置から吐出された、シート状の熱伝導性組成物を複数重ねていくと、熱伝導性組成物が自重で広がって、一定以上の厚さを有する積層体を得ることができない、配向が乱れるなどの不具合が生じる。また、60gfより大きくなると、ディスペンサ装置50から熱伝導性組成物を吐出できないなどの不具合が生じる。自重による広がりを一層抑制する観点から突き刺し荷重は10gf以上が好ましく、16gf以上がより好ましい。また、ディスペンサ装置50からの吐出性を良好にする観点から、突き刺し荷重は50gf以下が好ましく、35gf以下がより好ましい。
突き刺し速さ10mm/minのときの突き刺し荷重は、直径3mmの押圧面を有する押し棒で、突き刺し速さ10mm/minの速度で、熱伝導性組成物を突き刺したときの応力である。なお、突き刺し荷重の測定は、熱伝導性組成物が吐出口から吐出される温度(吐出温度)で行う。
突き刺し荷重は、熱伝導性組成物に使用される原料を適宜選択することで調整できる。具体的には、液状樹脂の粘度、異方性充填材の種類及び配合量、後述する非異方性充填材の種類及び配合量、液状樹脂以外の液状成分の配合の有無、種類及び含有量などにより調整できる。
本発明において、熱伝導性組成物は、ディスペンサ装置よりシート状に吐出され、かつ重ねて積層体とするために、高粘度である必要がある。一般的に、熱伝導性組成物の粘性を示す指標としては、B型粘度計などの粘度計で測定される粘度が一般的であるが、異方性充填材を含有する高粘度の熱伝導性組成物は、B型粘度計の回転子が試料に対して滑るなどし、粘度計で粘度を正確に測定することが難しいことがある。
一方で、突き刺し荷重の値は、異方性充填材などの熱伝導性充填材を含有し、かつ高粘度である組成物の粘性を表す指標として有効であり、そのため、本発明においては、突き刺し荷重を採用する。
また、熱伝導性組成物は、突き刺し速さ100mm/minのときの突き刺し荷重が、10~100gfであることが好ましい。突き刺し速さ100mm/minのときの突き刺し荷重を上記範囲内とすることで、自重による広がりをより一層抑制しつつ、ディスペンサ装置からの吐出性も良好にしやすくなる。これら観点から、突き刺し速さ100mm/minのときの突き刺し荷重は、13gf以上がより好ましく、25gf以上がさらに好ましく、また、75gf以下がより好ましく、45gf以下がさらに好ましい。
なお、突き刺し速さ100mm/minのときの突き刺し荷重は、突き刺し速さ以外は、突き刺し速さ10mm/minのときの突き刺し荷重と同様の方法で測定できる。
また、硬化可能な液状樹脂は、主剤と、主剤を硬化させるための硬化剤からなるものであることが好ましい。その場合、工程1では、硬化可能な液状樹脂の主剤に少なくとも異方性充填材を配合した第1液と、硬化可能な液状樹脂の硬化剤に少なくとも異方性充填材を配合した第2液とを準備するとよい。第1液及び第2液には、異方性充填材以外にも適宜後述する非異方性充填材、液状成分などのその他の成分を配合してもよい。第1液及び第2液は、混合してタンク61に貯留させてもよいし、別々のタンクに貯留しておいて工程2の直前に混合してもよい。
[工程2]
工程1で得られた熱伝導性組成物は、ディスペンサ装置50のタンク56(図1参照)に充填するとよい。そして、不図示のポンプを駆動させることで、供給路52を介して、加圧された状態の熱伝導性組成物を、ヘッド51に供給して、図3(A)に示す通りに熱伝導性組成物Rを吐出口53から外部に吐出する。この際、図3(A)に示すように、熱伝導性組成物Rの吐出とともに、テーブル57をMDの一方向(「順方向」ともいう)に移動させることで、テーブル57の上にシート状に熱伝導性組成物Rが吐出されることになる。
熱伝導性組成物RがMDに沿って一定の長さで吐出された後、カッター58をTD(図3では紙面垂直方向)に沿って移動させて、図3(B)に示すように、吐出口53から吐出された熱伝導性組成物Rを切断し、1枚目のシート体S1がテーブル57の上に形成されることになる。
次に、図3(C)に示すように、テーブル57を下方に移動させる。その後、図3(D)に示すとおりに、シート体S1の上に、熱伝導性組成物Rを吐出するとともに、テーブル57をMDに沿う逆方向(上記した順方向とは反対方向)に移動させる。
そして、MDに沿って一定の長さで吐出された後に、図3(E)に示すとおりに、カッター58により、吐出口53から吐出された熱伝導性組成物Rを切断して、2枚目のシート体S2がシートS1の上に形成されることになる。
この後、再度テーブル57を下方向に移動させ、上記動作を繰り返すことで、複数枚のシート体S1,S2,・・・Sn(nは任意の整数)が重ねられた積層体22を得る(図4(A)参照)。なお、図4では、多数のシート体が重ねられる態様が示されるが、シート体の重ねられる数(層数)は2以上であれば特に限定されず、例えば10以上であってもよいし、また、1000以下程度であってもよいし、100以下程度であってもよい。
工程2において、吐出口53から熱伝導性組成物Rを吐出する際の温度(吐出温度)は、室温であることが好ましい。工程2において、吐出温度を室温とすることで、ディスペンサ装置50に加熱装置などを設ける必要がなく、装置を簡素化できる。
なお、ここでいう室温とは、ディスペンサ装置が設置される環境温度と実質的に同じであることを意味する。したがって、ディスペンサ装置50で、加熱装置により熱伝導性組成物Rが加熱されずに、熱伝導性組成物Rが吐出される態様も、吐出温度が室温である態様に含めるものとする。具体的な吐出温度は、例えば0~40℃程度であり、好ましくは10~30℃程度である。
工程2において、熱伝導性組成物Rは、MDに沿って吐出されることで、熱伝導性組成物Rに配合される異方性充填材は、吐出方向(MD)に配向される。これにより、各シート体S1,S2,・・・Snにおいて、異方性充填材は、シート体の面方向に沿う一方向(MD)に沿って配向することになる。そして、異方性充填材は、後述する通り、熱伝導性部材の単位層においても面方向に沿う一方向に沿って配向することになり、それにより、熱伝導性部材の厚み方向に沿って配向することが可能になる。
異方性充填材の配向をより具体的に説明すると、異方性充填材が後述する通り繊維状充填材であるときは、面方向に沿う一方向(MD、後述する熱伝導性部材においては厚み方向)に対して、繊維状充填材の長軸のなす角度が30°未満の異方性充填材の数の割合が、異方性充填材全量に対して、50%を超える状態にあることをいい、該割合は、好ましくは80%を超える。
また、異方性充填材が鱗片状充填材であるときは、面方向に沿う一方向(MD、後述する熱伝導性部材においては厚み方向)に対して、鱗片状充填材の鱗片面のなす角度が30°未満の異方性充填材の数の割合が、異方性充填材全量に対して、50%を超える状態にあることをいい、該割合は、好ましくは80%を超えるものとすることができる。
なお、異方性充填材に関しては、熱伝導率を高める観点から、面方向に沿う一方向(MD、後述する熱伝導性部材においては厚み方向)に対する、長軸のなす角度または鱗片面のなす角度を0°以上10°未満とすることが好ましく、0°以上5°未満とすることがより好ましい。なお、これら角度は、一定数(例えば、任意の異方性充填材を50個)の異方性充填材の配向角度の平均値である。
さらに異方性充填材は、繊維状または鱗片状のいずれでもないときも、面方向に沿う一方向(すなわち、MD、熱伝導性部材においては厚み方向)に対して異方性充填材の長軸のなす角度が30°未満の異方性充填材の数の割合が、異方性充填材全量に対して、50%を超える状態にあることをいい、該割合は、好ましくは80%を超えるものとする。
また、異方性充填材が鱗片状材料である場合、異方性充填材は、さらに、鱗片面の法線方向が所定方向を向くことが好ましく、具体的には、各シート体の厚み方向(ZD、後述する複数の単位層13の積層方向)に向くことが好ましい。このように法線方向が積層方向に向くことで、一方向の熱伝導性(熱伝導性部材においては厚さ方向)の熱伝導性が向上する。また、シート状の熱伝導性部材の面方向に沿い、かつ積層方向に直交する方向の熱伝導性も向上する。
なお、鱗片面の法線方向がシート体の厚み方向(すなわち、積層方向)に向くとは、厚み方向(積層方向)に対して法線方向のなす角度が30°未満の鱗片状材料の数の割合が50%を超える状態にあることをいい、該割合は、好ましくは80%を超える。
工程2で得られた積層体において、各シート体S1,S2,・・・Snの厚さは、特に限定されないが、0.1~9.0mmが好ましい。シート体の厚さを0.1mm以上とすることで、吐出圧を高くしなくても、熱伝導性組成物Rを吐出することができ、熱伝導性充填材を多量に配合した熱伝導性組成物でも容易に吐出することができる。また、9.0mm以下とすることで異方性充填材の配向性を高めやすい。これら観点から、各シート体S1,S2,・・・Snの厚さは、より好ましくは0.5~7mmである。なお、シートの吐出厚さ(積層しないシート体の厚さ)に対して積層体における各シート体の厚さは積層する熱伝導性組成物それ自体の重さで圧縮されて薄くなることがあり、その結果各シート体の厚さは例えば吐出厚さの80%~100%の厚さであり、好ましくは90~100%である。
[工程3]
工程3では、工程2で得られた積層体22を積層方向に加圧することによって圧縮するとよい。工程3では、積層体22を加圧によって圧縮することで、複数枚のシート体S1,S2,・・・Snが、互いに密着することが可能になり、シート体間で剥離することなどを防止する。なお、複数枚のシート体は、未硬化であるので、液状樹脂としてシリコーン樹脂を使用するような場合であっても、加圧による圧縮によってシート体同士を強固に接着させることが可能である。
積層体22は、元の厚みを100%とすると、圧縮されることで75~97%の厚さに圧縮変形することが好ましい。上記範囲内で圧縮変形することで、積層体22を過度に変形させずに、シート体同士を強固に接着させやすくなる。また、積層体22は、85~95%の厚さに圧縮変形することがより好ましい。
なお、積層体22は、圧縮されることで,塑性圧縮変形するものであり、したがって、圧縮変形した積層体は、加圧から解放されても、積層体22の厚さが、上記範囲内の厚さに維持されることになる。
積層体の圧縮は、例えばローラやプレスを用いて加圧することで行うことができる。加圧するときの圧力は、特に限定されないが、一例として、ローラを用いるときは、圧力を0.3~3kgf/50mmとすることが好ましい。
[工程4]
次に、工程4では、工程3で圧縮変形された積層体を硬化する。硬化方法は、硬化可能な液状樹脂の種類に応じて適宜設定するとよい。例えば、硬化可能な液状樹脂が光硬化性であれば、紫外線などを積層体に対して照射して、積層体(熱伝導性組成物)を硬化すればよい。また、硬化可能な液状樹脂が熱硬化性であれば、加熱することにより積層体(熱伝導性組成物)を硬化すればよい。
硬化可能な液状樹脂は、熱硬化性であることが好ましい。したがって、工程4における熱伝導性組成物の硬化は、加熱により行うことが好ましい。具体的には、例えば、50~150℃程度の温度で行うとよい。また、加熱時間は、例えば10分~10時間程度である。
なお、熱伝導性組成物に、後述する通りに揮発性化合物が配合される場合には、いずれかのタイミングで揮発性化合物を揮発させるとよい。具体的には、硬化時の加熱により揮発されるものとしてもよい。より詳しくは、硬化時の加熱では最初に熱伝導性組成物が硬化して、さらに加熱を続けるか、または温度を高くして加熱することで、揮発性化合物を揮発させることができる。
ただし、後述の工程5の後に、さらに加熱する工程を実施することで揮発させることが好ましい。工程5においてシート状にすることで、積層体である場合よりも効率よく揮発性化合物を揮発させることができるためである。また、硬化時の加熱により一部を揮発させ、かつ後述の工程5の後にさらに揮発性化合物を揮発させてもよい。
後述の工程5の後に加熱を行う場合、特に限定されないが、例えば70~170℃、好ましくは100~160℃で加熱を行うとよく、加熱時間は、例えば30分~24時間程度である。
[工程5]
次に、図4(B)に示すように、刃物18によって、硬化された積層体22をシート体S1、S2、・・・Snの積層方向に沿って切断し、シート状の熱伝導性部材10(熱伝導性シート)を得る。この際、積層体22は、異方性充填材の配向方向と直交する方向に切断するとよい。刃物18としては、例えば、カミソリ刃やカッターナイフ等の両刃や片刃、丸刃、ワイヤー刃、鋸刃等を用いることができる。積層体22は、刃物18を用いて、例えば、押切、剪断、回転、摺動等の方法により切断される。
なお、工程5における切断方向は、積層方向に一致する方向であることが好ましいが、積層体22の積層面に対して交差する方向である限り、積層方向に一致する方向からずれていてもよい。
以上の本実施形態の製造方法によれば、大掛かりな設備を使用することなく、また、端材などをあまり発生させることなく、異方性充填材が一方向に配向した、熱伝導性部材を製造できる。したがって、材料の無駄が少なく、かつ簡易な設備により、熱伝導性が良好な熱伝導性部材を製造することができる。
また、本実施形態の製造方法によれば、積層体22を得る際、熱伝導性組成物Rは、各層ごとに切断しているので、積層体22の端部において、厚みが均一となりやすくかつ配向も乱れにくくなり、より一層端材の発生を抑制できる。
[熱伝導性部材]
上記の製造方法によって得られた、熱伝導性部材の一例を図5に示す。熱伝導性部材10は、シート状であり、それぞれがマトリックス樹脂11と、熱伝導性充填材とを含有する複数の単位層13を備える。複数の単位層13は、一方向xに沿って積層されており、隣接する単位層13同士が互いに接着されている。各単位層13において、マトリックス樹脂11は、熱伝導性充填材を保持するマトリクス樹脂となるものであり、マトリックス樹脂11には、熱伝導性充填材が分散するように配合される。マトリックス樹脂11は、上記した硬化可能な液状樹脂が硬化されたものであり、好ましくはシリコーン樹脂である。単位層13が積層される方向xは、熱伝導性部材の厚さ方向zに垂直な方向である。
図5に示す熱伝導性部材10は、熱伝導性充填材として、異方性充填材14と、非異方性充填材15とを含有する。異方性充填材14は、シート状の熱伝導性部材10の厚さ方向zに配向している。すなわち、異方性充填材14は、各単位層13の面方向に沿う一方向に沿って配向している。熱伝導性部材10は、厚さ方向zに配向する異方性充填材14を含有することで、厚さ方向の熱伝導性が向上する。また、熱伝導性部材10は、さらに非異方性充填材15を含有することでも熱伝導性がさらに向上する。
ただし、熱伝導性部材10は、非異方性充填材15を含有しなくてもよい。
熱伝導性部材10において、マトリックス樹脂11の充填率は、体積%で表すと、熱伝導性部材全体に対して、好ましくは15~60体積%、より好ましくは20~45体積%である。
また、熱伝導性部材10において、異方性充填材14の充填率は、体積基準で表すと、熱伝導性部材全体に対して、好ましくは2~45体積%、より好ましくは8~35体積%である。異方性充填材14の充填率が上記範囲内であると、熱伝導性部材10に高い熱伝導性を付与できるとともに、ディスペンサ装置により好適に製造できる。
また、非異方性充填材15を含有する場合、非異方性充填材15の充填率は、体積基準で表すと、熱伝導性部材に対して、10~75体積%が好ましく、30~60体積%がより好ましい。
熱伝導性部材10は、その厚み方向zにおける両面10A、10Bにおいて、異方性充填材14が露出している。また、露出した異方性充填材14は、両面10A,10Bそれぞれより突出していてもよい。熱伝導性部材10は、両面10A,10Bに異方性充填材14が露出することで、両面10A、10Bが非粘着面となる。なお、熱伝導性部材は、上記した刃物による切断により、両面10A,10Bが切断面となるので、両面10A,10Bにおいて異方性充填材14が露出する。ただし、両面10A,10Bのいずれか一方又は両方は、異方性充填材が露出せずに粘着面となってもよい。
熱伝導性部材10の厚さは、熱伝導性部材が搭載される電子機器の形状や用途に応じて、適宜変更される。熱伝導性部材の厚さは、特に限定されないが、例えば0.1~5mmの範囲で使用されるとよい。
また、各単位層13の厚さは、特に限定されないが、0.1~8.5mmが好ましく、0.5~6mmがより好ましい。なお、単位層13の厚さは、単位層13の積層方向zに沿う単位層13の長さである。
熱伝導性部材は、電子機器内部などにおいて使用される。具体的には、熱伝導性部材は、発熱体と放熱体との間に介在させられ、発熱体で発した熱を熱伝導して放熱体に移動させ、放熱体から放熱させる。ここで、発熱体としては、電子機器内部で使用されるCPU、パワーアンプ、電源などの各種の電子部品が挙げられる。また、放熱体は、ヒートシンク、ヒートポンプ、電子機器の金属筐体などが挙げられる。熱伝導性部材10は、両面10A、10Bそれぞれが、発熱体及び放熱体それぞれに密着し、かつ圧縮して使用されるとよい。
[熱伝導性組成物]
以下、熱伝導性組成物に使用される成分について詳細に説明する。
(液状樹脂)
本実施形態において熱伝導性組成物は、上記の通り硬化可能な液状樹脂を含有する。硬化可能な液状樹脂を使用することで、ディスペンサ装置から適切にシート状に熱伝導性組成物を吐出できるとともに、硬化することで熱伝導性部材に適切な機械強度を付与できる。なお、本明細書において液状とは、25℃、1気圧下で液体のものをいう。硬化可能な液状樹脂としては、光硬化性であってもよいし、熱硬化性であってもよいが、熱硬化性であることが好ましい。
硬化可能な液状樹脂としては、具体的には、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリイソブチレン樹脂などが挙げられる。
また、硬化可能な液状樹脂としては、上記に限定されず、アクリルゴム、ニトリルゴム、イソプレンゴム、ウレタンゴム、エチレンプロピレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、ブチルゴム等でもよい。これらゴムを使用する場合、未架橋ゴムを使用すればよく、熱伝導性組成物にはさらに、架橋剤を配合させればよい。
硬化可能な液状樹脂としては、上記の中では、シリコーン樹脂が好ましい。シリコーン樹脂は、熱硬化性である硬化型シリコーン樹脂であれば特に限定されないが、付加反応型のものを使用することが好ましい。付加反応型の場合、硬化型シリコーン樹脂は、主剤となるシリコーン化合物(オルガノポリシロキサン)と、主剤を硬化させる硬化剤とからなることが好ましい。
主剤として使用されるシリコーン化合物は、アルケニル基含有オルガノポリシロキサンが好ましく、具体的には、ビニル両末端ポリジメチルシロキサン、ビニル両末端ポリフェニルメチルシロキサン、ビニル両末端ジメチルシロキサン-ジフェニルシロキサンコポリマー、ビニル両末端ジメチルシロキサン-フェニルメチルシロキサンコポリマー、ビニル両末端ジメチルシロキサン-ジエチルシロキサンコポリマーなどのビニル両末端オルガノポリシロキサンなどが挙げられる。
硬化剤としては、上記した主剤であるシリコーン化合物を硬化できるものであれば、特に限定されないが、ヒドロシリル基(SiH)を2つ以上有するオルガノポリシロキサンである、オルガノハイドロジェンポリシロキサンが好ましい。
液状樹脂は、特に限定されないが、粘度が例えば30~2000mPa・s程度、好ましくは100~500mPa・s程度である。粘度を上記範囲とすることで、突き刺し荷重を上記した所定の範囲内に調整しやすくなる。なお、ここでいう粘度とは、回転粘度計(ブルックフィールド粘度計DV-E、スピンドルSC4-14)を用いて、回転速度10rpmで測定された粘度であり、測定温度は熱伝導性組成物の吐出時の温度である。
なお、液状樹脂の粘度は、上記のシリコーン樹脂のように、主剤と硬化剤からなる場合には、これらを混合した後の粘度である。
(異方性充填材)
異方性充填材は、形状に異方性を有する熱伝導性充填材であり、配向が可能な充填材である。異方性充填材としては、繊維状材料、鱗片状材料などが挙げられる。異方性充填材は、一般的にアスペクト比が高いものであり、アスペクト比が2を越えるものであり、5以上であることがより好ましい。アスペクト比を2より大きくすることで、異方性充填材を吐出方向に配向させやすくなり、熱伝導性部材の熱伝導性を高めやすい。
また、アスペクト比の上限は、特に限定されないが、実用的には100である。
なお、アスペクト比とは、異方性充填材の短軸方向の長さに対する長軸方向の長さの比であり、繊維状材料においては、繊維長/繊維の直径を意味し、鱗片状材料においては鱗片状材料の長軸方向の長さ/厚さを意味する。
熱伝導性組成物における異方性充填材の含有量は、液状樹脂100質量部に対して10~500質量部であることが好ましく、50~350質量部であることがより好ましい。異方性充填材の含有量を10質量部以上とすることで、熱伝導性部材の熱伝導性を高めやすくなる。また、上記範囲内とすることで、熱伝導性組成物の上記した突き刺し荷重の値が適切になりやすい。
異方性充填材は、繊維状材料である場合、その平均繊維長が、好ましくは10~500μm、より好ましくは20~350μmである。平均繊維長を10μm以上とすると、各熱伝導性部材において異方性充填材同士が適切に接触して、熱の伝達経路が確保され、熱伝導性部材の熱伝導性が良好になる。
一方、平均繊維長を500μm以下とすると、異方性充填材の嵩が低くなり、液状樹脂中に高充填できるようになる。
なお、上記の平均繊維長は、異方性充填材を顕微鏡で観察して算出することができる。より具体的には、電子顕微鏡や光学顕微鏡を用いて、任意の異方性充填材50個の繊維長を測定して、その平均値(相加平均値)を平均繊維長とすることができる。
なお、例えば、熱伝導性部材に配合される異方性充填材は、マトリクス樹脂を溶かして分離した異方性充填材について、同様に平均繊維長を測定するとよい。この際、繊維を粉砕しないように大きなシェアがかからないようにする。また、熱伝導性部材から異方性充填材を分離することが難しい場合は、X線CT装置を用いて、異方性充填材の繊維長を測定して、平均繊維長を算出してもよい。なお、本発明において、任意のものとは無作為に選んだものをいう。
また、異方性充填材が鱗片状材料である場合、その平均粒径は、5~400μmが好ましく、10~300μmがより好ましい。また、20~200μmが特に好ましい。平均粒径を5μm以上とすることで、熱伝導性部材において異方性充填材同士が接触しやすくなり、熱の伝達経路が確保され、熱伝導性部材の熱伝導性が良好になる。一方、平均粒径を400μm以下とすると、異方性充填材の嵩が低くなり、液状樹脂中の異方性充填材を高充填にすることが可能になる。
なお、鱗片状材料の平均粒径は、異方性充填材を顕微鏡で観察して長径を直径として算出することができる。より具体的には、前記平均繊維長と同様に電子顕微鏡、光学顕微鏡、X線CT装置を用いて、任意の異方性充填材50個の長径を測定して、その平均値(相加平均値)を平均粒径とすることができる。また、前記異方性充填材の厚さについても同様に電子顕微鏡、光学顕微鏡、X線CT装置を用いて測定することができる。
異方性充填材は、熱伝導性を有する公知の材料を使用すればよい。また、異方性充填材は、導電性を有していてもよいし、絶縁性を有していてもよい。異方性充填材が絶縁性を有すると、熱伝導性部材の異方性充填材が配向する方向の絶縁性を高めることができるため、電気機器において好適に使用することが可能になる。なお、本発明において導電性を有するとは例えば体積抵抗率が1×10Ω・cm以下の場合をいうものとする。また、絶縁性を有するとは例えば体積抵抗率が1×10Ω・cmを超える場合をいうものとする。
異方性充填材としては、具体的には、炭素繊維、鱗片状炭素粉末で代表される炭素系材料、金属繊維で代表される金属材料や金属酸化物、窒化ホウ素や金属窒化物、金属炭化物、金属水酸化物、ポリパラフェニレンベンゾオキサゾール繊維等が挙げられる。これらの中では、炭素系材料は、比重が小さく、液状樹脂中への分散性が良好なため好ましく、中でも熱伝導率が高い、黒鉛化炭素材料がより好ましい。また、窒化ホウ素、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維は絶縁性を有する観点から好ましく、中でも窒化ホウ素がより好ましい。窒化ホウ素は、特に限定されないが、鱗片状材料として使用されることが好ましい。鱗片状の窒化ホウ素は、凝集されてもよいし、凝集されていなくてもよいが、一部又は全部が凝集されていないことが好ましい。
異方性充填材は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
異方性充填材は、特に限定されないが、異方性を有する方向(すなわち、長軸方向)に沿う熱伝導率が、一般的に30W/m・K以上であり、好ましくは100W/m・K以上である。異方性充填材の熱伝導率は、その上限が特に限定されないが、例えば2000W/m・K以下である。熱伝導率の測定方法は、レーザーフラッシュ法である。
異方性充填材は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。例えば、異方性充填材として、少なくとも2つの互いに異なる平均粒径または平均繊維長を有する異方性充填材を使用してもよい。大きさの異なる異方性充填材を使用すると、相対的に大きな異方性充填材の間に小さな異方性充填材が入り込むことにより、異方性充填材を液状樹脂中に高密度に充填できるとともに、熱の伝導効率を高められると考えられる。
異方性充填材として用いる炭素繊維は、黒鉛化炭素繊維が好ましい。また、鱗片状炭素粉末としては、鱗片状黒鉛粉末が好ましい。異方性充填材は、これらの中でも、黒鉛化炭素繊維がより好ましい。
黒鉛化炭素繊維は、グラファイトの結晶面が繊維軸方向に連なっており、その繊維軸方向に高い熱伝導率を備える。そのため、その繊維軸方向を所定の方向に揃えることで、特定方向の熱伝導率を高めることができる。また、鱗片状黒鉛粉末は、グラファイトの結晶面が鱗片面の面内方向に連なっており、その面内方向に高い熱伝導率を備える。そのため、その鱗片面を所定の方向に揃えることで、特定方向の熱伝導率を高めることができる。黒鉛化炭素繊維および鱗片黒鉛粉末は、高い黒鉛化度をもつものが好ましい。
上記した黒鉛化炭素繊維などの黒鉛化炭素材料としては、以下の原料を黒鉛化したものを用いることができる。例えば、ナフタレン等の縮合多環炭化水素化合物、PAN(ポリアクリロニトリル)、ピッチ等の縮合複素環化合物等が挙げられるが、特に黒鉛化度の高い黒鉛化メソフェーズピッチやポリイミド、ポリベンザゾールを用いることが好ましい。例えばメソフェーズピッチを用いることにより、後述する紡糸工程において、ピッチがその異方性により繊維軸方向に配向され、その繊維軸方向へ優れた熱伝導性を有する黒鉛化炭素繊維を得ることができる。
黒鉛化炭素繊維におけるメソフェーズピッチの使用態様は、紡糸可能ならば特に限定されず、メソフェーズピッチを単独で用いてもよいし、他の原料と組み合わせて用いてもよい。ただし、メソフェーズピッチを単独で用いること、すなわち、メソフェーズピッチ含有量100%の黒鉛化炭素繊維が、高熱伝導化、紡糸性及び品質の安定性の面から最も好ましい。
黒鉛化炭素繊維は、紡糸、不融化及び炭化の各処理を順次行い、所定の粒径に粉砕又は切断した後に黒鉛化したものや、炭化後に粉砕又は切断した後に黒鉛化したものを用いることができる。黒鉛化前に粉砕又は切断する場合には、粉砕で新たに表面に露出した表面において黒鉛化処理時に縮重合反応、環化反応が進みやすくなるため、黒鉛化度を高めて、より一層熱伝導性を向上させた黒鉛化炭素繊維を得ることができる。一方、紡糸した炭素繊維を黒鉛化した後に粉砕する場合は、黒鉛化後の炭素繊維が剛いため粉砕し易く、短時間の粉砕で比較的繊維長分布の狭い炭素繊維粉末を得ることができる。
黒鉛化炭素繊維の平均繊維長は、好ましくは50~500μm、より好ましくは70~350μmである。また、黒鉛化炭素繊維のアスペクト比は上記したとおり2を超えており、好ましくは5以上である。黒鉛化炭素繊維の熱伝導率は、特に限定されないが、繊維軸方向における熱伝導率が、好ましくは400W/m・K以上、より好ましくは800W/m・K以上である。
(非異方性充填材)
上記の通り、熱伝導性組成物は、さらに、非異方性充填材を含有してもよい。非異方性充填材は、異方性充填材とともに熱伝導性部材に熱伝導性を付与する材料である。本実施形態では、非異方性充填材が含有されることで、配向した異方性充填材の間の隙間に充填材が介在し、熱伝導率の高い熱伝導性部材が得られる。
非異方性充填材は、形状に異方性を実質的に有しない充填材であり、後述するとおり、熱伝導性組成物が吐出口から一方向に吐出されるなど、異方性充填材が所定の方向に配向する環境下においても、その所定の方向に配向しない充填材である。
非異方性充填材は、そのアスペクト比が2以下であり、1.5以下であることがより好ましい。このようにアスペクト比が低い非異方性充填材が含有されることで、異方性充填材の隙間に熱伝導性を有する充填材が適切に介在され、熱伝導率の高い熱伝導性部材が得られる。また、アスペクト比を2以下とすることで、熱伝導性組成物の突き刺し荷重が上昇するのを防止して、高充填にすることが可能になる。
非異方性充填材は、導電性を有してもよいが、絶縁性を有することが好ましく、熱伝導性部材においては、異方性充填材及び非異方性充填材の両方が絶縁性を有することが好ましい。このように、異方性充填材及び非異方性充填材の両方が絶縁性であると、熱伝導性部材の異方性充填材が配向される方向の絶縁性をより一層高めやすくなる。
非異方性充填材の具体例は、例えば、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属水酸化物、炭素材料、金属以外の酸化物、窒化物、炭化物などが挙げられる。また、非異方性充填材の形状は、球状、不定形の粉末などが挙げられる。
非異方性充填材において、金属としては、アルミニウム、銅、ニッケルなど、金属酸化物としては、アルミナに代表される酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛など、金属窒化物としては窒化アルミニウムなどを例示することができる。金属水酸化物としては、水酸化アルミニウムが挙げられる。さらに、炭素材料としては球状黒鉛などが挙げられる。金属以外の酸化物、窒化物、炭化物としては、石英、窒化ホウ素、炭化ケイ素などが挙げられる。
これらの中でも、酸化アルミニウムやアルミニウムは、熱伝導率が高く、球状のものが入手しやすい点で好ましく、水酸化アルミニウムは入手し易く熱伝導性部材の難燃性を高めることができる点で好ましい。
絶縁性を有する非異方性充填材としては、上記した中でも、金属酸化物、金属窒化物、金属水酸化物、金属炭化物が挙げられるが、特に酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムが好ましい。
非異方性充填材は、上記したものを1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
非異方性充填材の平均粒径は0.1~100μmであることが好ましく、0.3~50μmであることがより好ましい。また、0.5~15μmであることが特に好ましい。平均粒径を50μm以下とすることで、異方性充填材の配向を乱すなどの不具合が生じにくくなる。また、平均粒径を0.1μm以上とすることで、非異方性充填材の比表面積が必要以上に大きくならず、多量に配合しても突き刺し荷重が上昇しにくく、非異方性充填材を高充填しやすくなる。
なお、非異方性充填材の平均粒径は、電子顕微鏡等で観察して測定できる。より具体的には、前記異方性充填材における測定と同様に電子顕微鏡や光学顕微鏡、X線CT装置を用いて、任意の非異方性充填材50個の粒径を測定して、その平均値(相加平均値)を平均粒径とすることができる。
熱伝導性組成物における非異方性充填材の含有量は、液状樹脂100質量部に対して、50~1500質量部の範囲であることが好ましく、200~800質量部の範囲であることがより好ましい。50質量部以上とすることで、異方性充填材同士の隙間に介在する非異方性充填材の量が一定量以上となり、熱伝導性が良好になる。一方、1500質量部以下とすることで、含有量に応じた熱伝導性を高める効果を得ることができ、また、非異方性充填材により異方性充填材による熱伝導を阻害したりすることもない。さらには、上記範囲内とすることで、熱伝導性組成物の上記した突き刺し荷重の値が適切になりやすい。また、200~800質量部の範囲内にすることで、熱伝導性部材の熱伝導性に優れ、突き刺し荷重も好適となる。
(液状成分)
熱伝導性組成物は、上記した液状樹脂以外にも、液状成分を含有してもよい。液状成分を含有することで、熱伝導性充填剤の含有量を多くしても、突き刺し荷重を所定の範囲内に調整しやすくなる。液状成分としては、後述する通り、揮発性化合物及びシリコーンオイルが挙げられる。揮発性化合物及びシリコーンオイルは、いずれか一方を使用してもよいし、両方を使用してもよい。
熱伝導性組成物において、液状樹脂以外の液状成分は、好ましくは5~120質量部、より好ましくは10~80質量部、さらに好ましくは15~50質量部である。上記範囲内とすることで、熱伝導性充填剤の含有量を多くしても、突き刺し荷重を所定の範囲内に調整できる。
(揮発性化合物)
本明細書において、揮発性化合物は、熱重量分析で2℃/分の条件で昇温したときの重量減少が90%となる温度T1が70~300℃の範囲にあること、及び沸点(1気圧)が60~200℃の範囲にあることの少なくともいずれかの性質を備える化合物を意味する。ここで、重量減少が90%となる温度T1とは、熱重量分析前の試料の重量を100%として、そのうち90%の重量が減少する温度(すなわち、測定前の重量の10%となる温度)を意味する。
熱伝導性組成物は、揮発性化合物を含有することで、熱伝導性充填剤の含有量を多くしても、突き刺し荷重を低く維持でき、ディスペンサ装置からの吐出時に吐出性を良好にできる。一方で、熱伝導性部材の製造過程において揮発させることで、熱伝導性部材における熱伝導性充填剤の充填率を高めることができる。したがって、熱伝導性組成物は、揮発性化合物を含有することで、熱伝導性部材の熱伝導率を高くしつつ、吐出性も良好にできる。
揮発性化合物としては、例えば、揮発性シラン化合物、揮発性溶媒などが挙げられ、中でも揮発性シラン化合物が好ましい。
上記揮発性シラン化合物としては、例えばアルコキシシラン化合物が挙げられる。アルコキシシラン化合物は、ケイ素原子(Si)が持つ4個の結合のうち、1~3個がアルコキシ基と結合し、残余の結合が有機置換基と結合した構造を有する化合物である。アルコキシシラン化合物の有するアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロトキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、及びヘキサトキシ基が挙げられる。アルコキシシラン化合物は、二量体として含有されていてもよい。
アルコキシシラン化合物の中でも、入手容易性の観点から、メトキシ基又はエトキシ基を有するアルコキシシラン化合物が好ましい。アルコキシシラン化合物の有するアルコキシ基の数は、無機物としての熱伝導性充填材との親和性を高めるという観点から、3であることが好ましい。アルコキシシラン化合物は、トリメトキシシラン化合物及びトリエトキシシラン化合物から選ばれる少なくとも一種であることがより好ましい。
アルコキシシラン化合物の有する有機置換基に含まれる官能基としては、例えば、アクリロイル基、アルキル基、カルボキシル基、ビニル基、メタクリル基、芳香族基、アミノ基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、エポキシ基、ヒドロキシル基、及びメルカプト基が挙げられる。ここで、上記液状樹脂として、付加反応型の硬化型シリコーン樹脂を用い、かつ白金触媒を使用する場合、オルガノポリシロキサンの硬化反応に影響を与え難いアルコキシシラン化合物を選択して用いることが好ましい。具体的には、白金触媒を含む付加反応型のオルガノポリシロキサンを用いる場合、アルコキシシラン化合物の有機置換基は、アミノ基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ヒドロキシル基、又はメルカプト基を含まないことが好ましい。
アルコキシシラン化合物は、熱伝導性充填材の分散性を高めることで、熱伝導性充填材を高充填し易くなることから、ケイ素原子に結合したアルキル基を有するアルキルアルコキシシラン化合物、すなわち、有機置換基としてアルキル基を有するアルコキシシラン化合物を含むことが好ましい。ケイ素原子に結合したアルキル基の炭素数は、4以上であることが好ましい。また、ケイ素原子に結合したアルキル基の炭素数は、アルコキシシラン化合物自体の粘度が比較的低く、熱伝導性組成物の粘度を低く抑えるという観点から、16以下であることが好ましい。
アルコキシシラン化合物は、一種類又は二種類以上を使用することができる。アルコキシシラン化合物の具体例としては、アルキル基含有アルコキシシラン化合物、ビニル基含有アルコキシシラン化合物、アクリロイル基含有アルコキシシラン化合物、メタクリル基含有アルコキシシラン化合物、芳香族基含有アルコキシシラン化合物、アミノ基含有アルコキシシラン化合物、イソシアネート基含有アルコキシシラン化合物、イソシアヌレート基含有アルコキシシラン化合物、エポキシ基含有アルコキシシラン化合物、及びメルカプト基含有アルコキシシラン化合物が挙げられる。これらの中では、アルキル基含有アルコキシシラン化合物が好ましい。
アルキル基含有アルコキシシラン化合物としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n-ヘキシルトリメトキシシラン、n-ヘキシルトリエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、n-オクチルトリエトキシシラン、及びn-デシルトリメトキシシランが挙げられる。アルキル基含有アルコキシシラン化合物の中でも、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n-ヘキシルトリメトキシシラン、n-ヘキシルトリエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、n-オクチルトリエトキシシラン、及びn-デシルトリメトキシシランから選ばれる少なくとも一種が好ましく、n-オクチルトリエトキシシラン及びn-デシルトリメトキシシランから選ばれる少なくとも一種がより好ましく、n-デシルトリメトキシシランが特に好ましい。
上記揮発性溶媒としては、沸点(1気圧)が60~200℃、好ましくは沸点が100~130℃の溶媒を使用することができる。また、揮発性溶媒は、オルガノポリシロキサンの硬化温度よりも10℃以上高い沸点を有することが好ましく、20℃以上高い沸点を有することがより好ましい。
揮発性溶媒の種類は、上記要件を満足する溶媒を適宜選択することができるが、例えばトルエン等の芳香族化合物を使用することが好ましい。
揮発性化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
熱伝導性組成物における揮発性化合物の含有量は、液状樹脂100質量部に対して、好ましくは5~100質量部であり、より好ましくは10~70質量部、さらに好ましくは12~45質量部である。
(シリコーンオイル)
熱伝導性組成物は、上記の通りシリコーンオイルを含有してもよい。シリコーンオイルを含有することで、熱伝導性組成物に揮発性化合物を配合することで、熱伝導性充填剤の含有量を多くしても、突き刺し荷重を所定の範囲内に調整できる。そのため、熱伝導性部材の熱伝導率を高くしつつ、熱伝導性組成物の吐出性を良好にできる。
シリコーンオイルとしては、ストレートシリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが挙げられる。ストレートシリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル(ジメチルポリシロキサン)、メチルフェニルシリコーンオイル(メチルフェニルポリシロキサン)等が挙げられる。
変性シリコーンオイルとしては、例えば、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アラルキル変性シリコーンオイル、フロロアルキル変性シリコーンオイル、長鎖アルキル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸エステル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸アミド変性シリコーンオイル、及びフェニル変性シリコーンオイルが挙げられる。
シリコーンオイルの中でも、ストレートシリコーンオイルが好ましい。
シリコーンオイルは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
シリコーンオイルの動粘度は、熱伝導性組成物の吐出性を良好にする観点から、好ましくは25℃において10~10,000mm/s以下、より好ましくは50~1,000mm/s以下である。
シリコーンオイルの含有量は、液状樹脂100質量部に対して、好ましくは1~70質量部、より好ましくは2~50質量部、更に好ましくは3~20質量部の範囲である。
(添加成分)
熱伝導性組成物には、さらに熱伝導性部材としての機能を損なわない範囲で種々の添加剤を配合させてもよい。添加剤としては、例えば、分散剤、カップリング剤、粘着剤、難燃剤、酸化防止剤、着色剤、沈降防止剤などから選択される少なくとも1種以上が挙げられる。
また、硬化可能な液状樹脂の硬化を促進させる硬化触媒などが配合されてもよい。硬化触媒としては、液状樹脂が硬化型シリコーン樹脂の場合には、白金系触媒が挙げられる。また、硬化可能な液状樹脂として、未架橋ゴムを使用する場合には、硫黄化合物、過酸化物などの架橋剤を含有してもよい。
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態に係る熱伝導性部材の製造方法について、詳細に説明する。
第1の実施形態においては、吐出された熱伝導性組成物Rを切断しながら重ねることで、積層体には複数のシート体S1,S2,・・・Snが重ねられていた。それに対して、本実施形態では、各層を形成するごとにカッター58によって切断せずに、積層体は、シート状に吐出した熱伝導性組成物(シート体S)が折り重ねられて形成される。
以下第2の実施形態について第1の実施形態との相違点のみを詳細に説明する。以下、説明を省略する内容は、第1の実施形態と同様である
本実施形態においては、図6(A)に示すように、第1の実施形態と同様に、熱伝導性組成物Rの吐出とともに、テーブル57をMDの一方向(順方向)に移動させることで、テーブル57の上にシート状に熱伝導性組成物Rが吐出される。
次に、本実施形態では、上記のように一定の長さが吐出された後、熱伝導性組成物Rをカッターによって切断することなく、そのまま、図6(B)のように、テーブル57を下方に移動させる。
その後、図6(C)に示すとおりに、テーブル57の上に吐出された熱伝導性組成物Rの上に、引き続き、熱伝導性組成物Rを吐出させつつ、テーブル57をMDに沿う逆方向(上記した順方向とは反対方向)に一定距離移動させる。このような動作が繰り返されることで、図6(D)に示す通り、テーブル57上には、熱伝導性組成物Rからなるシート体Sが複数層折り重ねられ、積層体22Bが得られる。積層体22Bの層数は、特に限定されず、第1の実施形態で述べたとおりである。得られた積層体22Bは、その後、第1の実施形態と同様の工程により、熱伝導性部材に成形されるとよい。得られる熱伝導性部材の詳細は、第1の実施形態と同様である。
本実施形態でも、大掛かりな設備を使用することなく、また、端材などをあまり発生させることなく、異方性充填材を含有し、異方性充填材が一方向に配向した熱伝導性部材を製造できる。したがって、材料の無駄が少なく、簡易な設備により、熱伝導性が良好な熱伝導性部材を製造することができる。
なお、本実施形態の製造方法によれば、積層体22Bを得る際、熱伝導性組成物Rは、各層ごとに切断せずに、積層体22Bの端部において折り返し部分23Bが設けられる。折り返し部分23Bは、厚みが変動しやすく端部以外の部分とは異なる厚みを有したり、異方性充填材の配向が乱れたりすることがある。したがって、そのような場合には、折り返し部分23Bは、適宜切除すればよい。切除された折り返し部分23Bは、熱伝導性部材として使用できない端材となるが、押出成形などにより熱伝導性部材を製造する場合に比べると端材の発生量は少なく抑えることができる。
[第1及び第2の実施形態の変形例]
以上の第1及び第2の実施形態は、本発明の一実施形態を示すものであって、本発明は、以上の構成に限定されず、様々な改変が可能である。具体的には、上記工程3~工程5のいずれかの工程は、適宜省略されてもよい。
例えば、工程3が省略されると、熱伝導性部材における単位層間の接着性が低くなりやすいが、高い機械強度が必要とされない用途などで使用できる。また、工程3が省略される場合、工程4では圧縮変形されない積層体が硬化される。その他の構成は、第1及び第2の実施形態と同様である。
また、工程5が省略されると、シート状の熱伝導性部材ではなく、積層体がそのまま熱伝導性部材として使用されることになる。
また、例えば、工程4(すなわち、硬化)が省略されると、熱伝導性部材は機械強度が低くなるので、熱伝導性部材は、高い機械強度が必要とされない用途などにおいて使用されるとよい。なお、工程4が省略されると、積層体を切断することが容易ではなく、例えば熱伝導性部材を大量に生産することなどが難しくなるので、工程4を省略する場合には、併せて工程5も省略することが好ましい。
なお、工程4を省略する場合、熱伝導性組成物に含有される液状樹脂は、硬化可能な液状樹脂である必要がなく、加熱や光照射されても硬化しない液状樹脂であってもよい。具体的には、例えば、液状樹脂として上記した未架橋ゴムが使用され、かつ熱伝導性組成物に架橋剤が配合されなくてもよい。
また、工程4と工程5以外にも、工程3~5のうち、2つ以上の工程が省略されてもよい。例えば、工程3と工程4とを省略してもよいし、工程3と工程5を省略してもよい。さらには、工程3~5の全てを省略してもよい。工程4と工程5が省略され、或いは、工程3~5の全てが省略される場合には、未硬化の液状樹脂がそのままマトリックス樹脂となり、積層体がそのまま熱伝導性部材として使用されるとよい。
さらに、上記各実施形態において、テーブル57をMD、ZDに移動させたが、テーブル57を移動させる代わりにヘッド51をMD、ZDに移動させてもよいし、テーブル57及びヘッド51の両方を移動させてもよい。
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。第1及び第2の実施形態においては、テーブル57上に熱伝導性組成物が吐出されて、積層体が形成されたが、熱伝導性組成物は、テーブル57以外に吐出されてもよく、例えば、実使用される部材上に吐出され、そのまま熱伝導性部材として使用されるとよい。具体的には、発熱体と放熱体の間に、熱伝導性組成物がシート状に複数重なるように吐出され、放熱体と発熱体の間に積層体を形成するとよい。
以下、第3の実施形態に係る熱伝導性部材の製造方法について図7を参照しつつ詳細に説明する。以下の説明においては、第1及び第2の実施形態との相違点のみ詳細に説明し、説明を省略する内容は、第1及び第2の実施形態と同様である
本実施形態でも、上記各実施形態と同様に工程1、2を順次行うとよい。すなわち、工程1において調製された熱伝導性組成物を、工程2において、ディスペンサ装置のヘッド51から吐出させて、積層体22Cを形成する。本実施形態では、積層体22Cの形成は、以下の通り行うとよい。
なお、以下の説明では、放熱体61が、ベース部61Bと、ベース部61Bに接続する側部61Aとを備え、側部61Aと、発熱体62の間において、ベース部61B(被吐出部材)の上に熱伝導性組成物が吐出される態様について説明する。放熱体61及び発熱体62の具体例は上記の通りである。
まず、図7に示すように、テーブル57上に、放熱体61と、発熱体62とを載せる。そして、放熱体61の側部61Aと発熱体62の間において、ベース部61B上に熱伝導性組成物Rを吐出する。この際、第2の実施形態と同様に、テーブル57(すなわち、放熱体61、発熱体62)をMD及び下方向に移動させながら、シート体Sが折り重ねられて形成される積層体22Cを形成する。なお、積層体22Cの形成において熱伝導性組成物Rを吐出する際、ディスペンサ装置のヘッド51は、図7に示すとおり、典型的には、放熱体61と発熱体62の間に配置されることになる。
ここで、積層体22Cの形成において、熱伝導性組成物Rの吐出方向(MD)は、放熱体61(側部61A)と発熱体62を結ぶ方向であり、積層体22Cにおいて、異方性充填材は、放熱体61(側部61A)と発熱体62を結ぶ方向に配向することになる。したがって、発熱体62で発した熱を、効率的に放熱体61(側部61A)に移動させ、放熱体61から放熱させることが可能である。
以上の通り、本実施形態でも、大掛かりな設備を使用することなく、また、端材を発生させることなく、異方性充填材を含有し、異方性充填材が一方向に配向した熱伝導性部材を製造できる。また、大掛かりな設備を使用しないため、例えば、電子機器の使用現場にディスペンサ装置を持ち込み、現場にて発熱体と放熱体の間に熱伝導性部材を形成することも可能になる。
さらに、本実施形態では、熱伝導性組成物Rより形成された積層体22Cは、放熱体61の側部61Aと発熱体62それぞれに接触するように形成されるとよい。積層体22Cは、放熱体61の側部61Aと発熱体62それぞれに接触することで、発熱体62で発した熱を放熱体61の側部61Aから効率的に放熱させることができる。
なお、積層体22Cを放熱体61の側部61Aと発熱体62に接触させるために、積層体22Cの両端部(すなわち、折り返し部分23Cやその近傍部分)を形成する際、図7に示すように、ヘッド51の上端部を中心に揺動させたうえで熱伝導性組成物Rを吐出させるとよい。
本実施形態では、図7に示すように側部61Aと発熱体62の間に形成された積層体22Cは、そのまま熱伝導性部材として使用するとよい。ただし、第1及び第2の実施形態と同様に、工程3及び工程4の一方又は両方が行われてもよいが、少なくとも工程4を行うことが好ましい。工程3、4の詳細は、上記で説明したとおりである。
また、工程4を実行する場合には、第1の実施形態で説明したとおり、前記熱伝導性組成物として、第1液と、第2液とを準備して、これを工程2の直前に混合して工程2が行われてもよい。
なお、工程3を行い、積層体22Cを圧縮変形させると、積層体22Cは、面方向に一定量広がる。したがって、工程3を行う場合には、積層体22Cの両端部を形成する際にヘッド51を揺動させなくてもよい。
工程2においてヘッド51を揺動させずに積層体22Cを形成することで、積層体22CのMDにおける両端部が放熱体61の側部61A、及び発熱体62に接触していなくても、工程3の実施により積層体22CがMDに広がり積層体22Cを放熱体61の側部61A、発熱体62に接触させることが可能になる。
また、以上の第3の実施得形態の説明では、第2の実施形態と同様に、積層体22Cを作製する際、各層を形成するごとにカッター58によって切断されず、積層体22Cは、シート体Sが折り重ねられて形成される態様を示した。ただし、第1の実施形態で示した通り、各層を形成するごとにカッターによって切断して、切断して形成した複数のシート体S1、S2・・・Snを重ねて、積層体22Cを得てもよい。
本実施形態では、テーブル57の上に、放熱体61、発熱体62を配置して、これらをMD及び下方向に移動させて、積層体22Cを得たが、テーブル57の上に放熱体61、発熱体62を配置する必要はなく、放熱体61、発熱体62をMD及び下方向に移動させることができる限り、テーブル57は省略してもよい。また、第1及び第2の実施形態で説明したとおり、ディスペンサ装置のヘッド51をMD及び下方向に移動させてもよい。
また、本実施形態では、積層体22Cは、放熱体61の一部(ベース部61B)上に積層されて形成されたが、積層体22Cは、放熱体61の一部の上に形成される必要はなく、放熱体61とは別部材上に積層されてもよい。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
本実施例及び比較例で使用した原料は、以下の通りである。
[硬化可能な液状樹脂]
硬化型シリコーン樹脂:アルケニル基含有オルガノポリシロキサンからなる主剤と、ハイドロジェンオルガノポリシロキサンからなる硬化剤、これらの混合物の25℃における粘度:300mPa・s
[液状成分]
メチルフェニルポリシロキサン:25℃における動粘度125mm/s、屈折率1.496
n-デシルトリメトキシシラン:熱重量分析で2℃/分の条件で昇温したときの重量減少が90%となる温度T1は187℃
[異方性充填材]
窒化ホウ素(1):鱗片状、アスペクト比4~8、平均粒径40μm
窒化ホウ素(2):鱗片状、アスペクト比2~3、平均粒径10μm
[非異方性充填材]
酸化アルミニウム(1):球状、平均粒径0.5μm
酸化アルミニウム(2):球状、平均粒径4μm
酸化アルミニウム(3):球状、平均粒径71μm
水酸化アルミニウム:不定形、平均粒径1μm
[実施例1]
(工程1)
硬化型シリコーン樹脂としてのアルケニル基含有オルガノポリシロキサン(主剤)とハイドロジェンオルガノポリシロキサン(硬化剤)(合計で100質量部)と、メチルフェニルポリシロキサン3質量部と、n-デシルトリメトキシシラン12質量部、窒化ホウ素(1)168質量部と、酸化アルミニウム(1)274質量部と、酸化アルミニウム(2)239質量部とを混合して、熱伝導性組成物を得た。得られた熱伝導性組成物の突き刺し荷重は、表1に示す通りであった。
(工程2)
得られた熱伝導性組成物を、図1に示すディスペンサ装置のタンクに充填して、圧力0.5MPaでヘッドに供給して、長さL1=50mm、長さL2=3mmの矩形の吐出口から、25℃で熱伝導性組成物を吐出させた。この際、テーブルを速度100mm/分でMDの順方向に移動させて、厚み3mmでシート状の熱伝導性組成物を長さ50mm分吐出させた。長さ50mm吐出後、カッターによりシート状の熱伝導性組成物を切断して、1枚目のシート体をテーブルの上に形成した。その後、テーブルを下方向に移動させ、引き続き、テーブルを速度100mm/分でMDの逆方向に移動させて、同厚み、同長さで熱伝導性組成物を吐出後、カッターにより切断して、1枚目のシート体の上に2枚目のシート体を重ねた。この動作を、シート体が20枚重ね合わされるまで繰り返し、積層体を得た。
(工程3~5)
次いで、25℃の環境下、ローラにより1.5kgf/50mmの圧力で加圧して、圧縮変形した積層体を得たうえで、80℃、480分加熱することで積層体を硬化させた。次いで、積層方向に平行で、かつ異方性充填材の配向方向に垂直にスライスして、さらに150℃、300分加熱することでn-デシルトリメトキシシランを揮発させて、各単位層の厚さが2mm、厚さ2mmのシート状の熱伝導性部材を得た。
[実施例2~5、比較例1、2]
熱伝導性組成物の配合を表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様に実施した。
[突き刺し荷重]
熱伝導性組成物の突き刺し荷重は、以下の方法で測定した。
熱伝導性組成物を脱泡し、脱泡した30gの熱伝導性組成物を直径25mmの円筒状の容器に導入した。次いで、先端に直径3mm、厚さ1mmの円盤状の部材を有する突き刺し棒(棒の直径1mm)を10mm/分の速度(突き刺し速度)で、突き刺し棒の先端側から容器に導入された熱伝導性組成物に押し付けていき、突き刺し棒の先端が液面から深さ12mmに到達した際の荷重(gf)を測定した。突き刺し棒の材質は、ステンレスであった。測定は25℃で行った。
突き刺し荷重は、突き刺し棒の突き刺し速度を100mm/分にした場合も同様に測定した。
各実施例、及び比較例を以下の評価基準で評価した。
(1)ディスペンサ装置の吐出性
工程2において、熱伝導性組成物がディスペンサ装置により吐出できたか否か、また、吐出できた場合、吐出した熱伝導性組成物が、単層の状態で形状を維持しているかどうかを目視で確認し、以下の評価基準で評価した。
A:吐出でき、単層の状態で、面方向への広がりがなく、吐出した形状を維持できた。
B:吐出でき、単層の状態で、面方向への広がりが10%未満で僅かであり、吐出した形状をほぼ維持できた。
C:吐出できたが、単層の状態で、面方向への広がりが10%以上で大きく、吐出した形状を維持できなかった。
D:吐出できなかった。
(2)積層性
工程2において、複数のシート体を重ね合わせて得た積層体の形状維持性を、以下の評価基準で評価した。
A:自重で広がらず、設計通りの厚みを有する積層体が得られた。
B:自重で広がったものの、25%未満の少ない広がりであり、概ね設計通りの厚みを有する積層体が得られた。
C:自重で25%以上と大きく広がり、設計通りの厚みを有する積層体を得られなかった。
(3)積層体の圧縮試験
工程2で得られた積層体を1kPaの圧力で10秒間加圧したときの圧縮率(厚み変化)を示す。
(4)端材の発生量
熱伝導性部材を得るまでの工程で発生した端材量を以下の評価基準で評価した。
A:吐出した熱伝導性組成物のうちの多くを熱伝導性部材の形成に使用できた。
C:吐出した熱伝導性組成物のうちの多くを熱伝導性部材の形成に使用できなかった。
(5)異方性充填材の配向性
得られた熱伝導性部材において、異方性充填材の配向性により以下の評価基準で評価した。
A:熱伝導性部材の厚さ方向に異方性充填材が配向していた。
B:熱伝導性部材の厚さ方向に異方性充填材が配向していたが、配向性はやや乱れていた。
C:熱伝導性部材の厚さ方向に異方性充填材が配向していなかった。
Figure 0007248222000001

※なお、充填率は、n-デシルトリメトキシシランを全量揮発したものとして、各成分の比重と質量部より算出した。
以上各実施例に示すように、ディスペンサ装置を使用して、所定の突き刺し荷重となる熱伝導性組成物をシート状に吐出して積層することで、異方性充填材が一方向に配向した熱伝導性部材を、良好な吐出性で、かつ吐出時及び積層時に自重により殆ど広がることなく、配向が乱れず、設計通りの厚みで製造することができた。また、大掛かりな製造設備を使用せずに熱伝導性部材を製造でき、その製造過程において端材がほとんど発生しなかった。そのため、材料の無駄が少なく、簡易な設備により、熱伝導性が良好な熱伝導性部材を製造できたといえる。
それに対して、比較例では、突き刺し荷重が低いため、ディスペンサ装置を使用して、熱伝導性組成物をシート状に吐出して積層すると、吐出時及び積層時に自重により熱伝導性組成物が広がり、熱伝導性部材を設計通りの厚みで製造することができなかった。
10 熱伝導性部材
11 マトリックス樹脂
13 単位層
14 異方性充填材
15 非異方性充填材
18 刃物
22、22B、22C 積層体
23B、23C 折り返し部分
50 ディスペンサ装置
51 ヘッド
52 供給路
53 吐出口
54 接続路
57 テーブル
58 カッター
61 放熱体
62 発熱体
R 熱伝導性組成物
S,S1,S2,・・・,Sn シート体

Claims (13)

  1. 液状樹脂と異方性熱伝導性充填材とを含み、直径3mmの押圧面を有する押し棒で、突き刺し速さ10mm/minの速度で突き刺したときの応力である突き刺し荷重が8~60gfである熱伝導性組成物を調製する工程と、
    幅広形状の吐出口を備えるディスペンサ装置を用いて、前記熱伝導性組成物をシート状に複数重なるように吐出することで積層体を得る工程と、
    を備える、熱伝導性部材の製造方法。
  2. 前記液状樹脂が、硬化可能な液状樹脂であり、
    前記積層体を得た後に、前記熱伝導性組成物を硬化する工程をさらに備える、請求項1に記載の熱伝導性部材の製造方法。
  3. 前記積層体を、積層面に交差する方向に切断する工程をさらに備える請求項1又は2に記載の熱伝導性部材の製造方法。
  4. 前記液状樹脂が揮発性化合物を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の熱伝導性部材の製造方法。
  5. 前記揮発性化合物を揮発させる工程をさらに備える請求項4に記載の熱伝導性組成物の製造方法。
  6. 前記積層体を、積層方向に圧縮して75~97%の厚さに圧縮変形させる工程をさらに備える、請求項1~5のいずれか1項に記載の熱伝導性部材の製造方法。
  7. 前記シート状に吐出した前記熱伝導性組成物を切断しながら重ねることで、前記積層体には複数のシート体が重ねられている、請求項1~6のいずれか1項に記載の熱伝導性部材の製造方法。
  8. 前記吐出口に設けられ、前記吐出口の長手方向に沿って移動するカッターにより、前記シート状に吐出した前記熱伝導性組成物を切断する請求項7に記載の熱伝導性部材の製造方法。
  9. 前記シート状に吐出した前記熱伝導性組成物を折り重ねて前記積層体を得る請求項1~6のいずれか1項に記載の熱伝導性部材の製造方法。
  10. 放熱体と発熱体の間に、前記熱伝導性組成物をシート状に複数重なるように吐出して、前記放熱体と発熱体の間に積層体を形成する請求項1~9のいずれか1項に記載の熱伝導性部材の製造方法。
  11. 前記熱伝導性組成物が、前記放熱体と発熱体を結ぶ方向にシート状に吐出される請求項10に記載の熱伝導性部材の製造方法。
  12. 前記積層体における各シート体の厚みが、0.1~9.0mmである請求項1~11のいずれか1項に記載の熱伝導性部材の製造方法。
  13. 前記熱伝導性組成物を室温で吐出する請求項1~12のいずれか1項に記載の熱伝導性部材の製造方法。
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