JP7244962B1 - 左官鏝 - Google Patents

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【課題】 塗装対象面が曲面である場合でも塗装材を適切に塗り付けることができる左官鏝を提供する。【解決手段】 板状の弾性部材で形成され、所定の幅寸法と所定の長さ寸法を有する鏝板と、鏝板の表面に設けられ、使用者が指を係合させる所定間隔で離隔した2つの把持部と、を備えている。【選択図】 図1

Description

特許法第30条第2項適用 展示日 令和3年10月7日 展示会名 JAPAN DIY HOMECENTER SHOW 2021 開催場所 幕張メッセ国際展示場4、5、6番ホール(千葉県千葉市美浜区中瀬2丁目1) 公開者 三木市 販売日 令和3年10月20日 販売した場所 関忠株式会社(兵庫県三木市末広3丁目4-33) 公開者 株式会社五百蔵製作所
本出願は、左官鏝に関する。
従来、壁や床などの表面(この明細書及び特許請求の範囲の書類中では「塗装対象面」という。)に漆喰や珪藻土、モルタル等の材料(以下、「塗装材」という)を塗り付ける場合には、左官鏝が用いられている。この明細書及び特許請求の範囲の書類中における「塗り付け」は、「下塗り」、「中塗り」、「仕上げ」の塗り付けを含み、塗装材を均すことも含む。一般的に、塗装材を塗装対象面に塗り付ける左官鏝は、平板状の鏝板を有している。
この種の先行技術として、平板状に形成された鏝板の表面(背)に柄が設けられた左官鏝が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような左官鏝では、作業者が柄を把持し、鏝板の裏面(腹)で塗装材を塗装対象面に塗り付けている。
特開2016-14285号公報
しかし、上記したような左官鏝は、鏝板が平板状であるため、塗装対象面が曲面である場合には塗装材を塗り付けることができない。また、壁の角や浴槽の角などを小さな曲面で仕上げる場合なども、従来の左官鏝では塗装材を塗り付けることができない。また、片手でしか作業ができない狭隘な場所なども、従来の左官鏝では作業ができない。
このため、曲面の塗装対象面を適切に仕上げることができる左官鏝が切望されている。
そこで、本出願は、塗装対象面が曲面でも塗装材を適切に塗り付けることができる左官鏝を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本出願は、板状の弾性部材で形成され、所定の幅寸法と所定の長さ寸法を有する鏝板と、前記鏝板の表面に設けられ、使用者が指を係合させる所定間隔で離隔した2つの把持部と、を備えている。
この構成により、把持部に指を係合させ、指で把持部の間の鏝板を湾曲させることができる。鏝板を湾曲させることにより、湾曲させた状態の鏝板の下面で曲面の塗装対象面に塗装材を塗り付けることができる。
また、前記鏝板は、長手方向の前記把持部の位置よりも外方に所定長さのフリー部をそれぞれ有していてもよい。このように構成すれば、鏝板を把持部の間で湾曲させ、把持部で曲面の塗装対象面に押え付けているときに、鏝板の長手方向の把持部の位置よりも外方に曲げられないフリー部があるため、把持部よりも外方位置はフリー部の弾性で塗装対象面を押えて綺麗に仕上げることができる。
また、前記把持部は、前記使用者が指を係合させる係合部材を有し、前記係合部材は、伸縮可能な弾性材で形成されていてもよい。このように構成すれば、作業者が把持部の係合部材に指を係合させるときに係合部材が伸縮して係合しやすくなる。
また、前記係合部材は、前記鏝板の幅方向に長さを調節する調節部材をさらに有していてもよい。このように構成すれば、作業者の指の太さが異なる場合でも、作業者に応じて係合部材の長さを調節することができる。
また、前記係合部材は、前記把持部に対して着脱可能に取り付けられていてもよい。このように構成すれば、係合部材が汚れた場合や損傷した場合でも、把持部から取り外して容易に交換することができる。また、交換することで係合部材の柄を変更することができる。
本出願によれば、塗装対象面が曲面でも塗装材を適切に塗り付けることができる左官鏝を提供することが可能となる。
図1は、本出願の一実施形態に係る左官鏝を示す斜視図である。 図2は、図1に示す左官鏝の平面図である。 図3は、図1に示す左官鏝を持つ例を示す斜視図である。 図4は、図1に示す左官鏝の第1使用状態を示す斜視図である。 図5は、図1に示す左官鏝の第2使用状態を示す斜視図である。 図6は、図1に示す左官鏝の第3使用状態を示す斜視図である。
以下、本出願に係る左官鏝1の一実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、図示する左官鏝1は、鏝板10の板厚などを誇張して示している。また、把持部20の形態や係合部材22の形態などは、以下の実施形態に限定されない。
(左官鏝の構成)
図1は、一実施形態に係る左官鏝1を示す斜視図である。図2は、図1に示す左官鏝1の平面図である。この実施形態の左官鏝1は、鏝板10と、鏝板10の表面に設けられ、所定間隔で離隔した2つの把持部20と、を備えている。把持部20には、使用者が指を係合させる係合部材22が設けられている。
<鏝板>
鏝板10は、板状の弾性部材で構成されている。鏝板10の弾性は、例えば、作業者が2つの把持部20を指で把持し、鏝板10を、長手方向において、弾性的に湾曲させることができる程度の弾性をいう。この明細書及び特許請求の範囲の書類中では、「弾性的に湾曲」を単に「湾曲」という。この湾曲させることができる程度の具体的な数値の目安としては、例えば、曲率半径が数センチメートル程度で湾曲させることを含む。鏝板10を湾曲させる形態としては、U字状に湾曲させることが好ましい。鏝板10は、板状の弾性部材の材質と厚みとを、適宜選択することによって、鏝板10の適切な弾性を得ることができる。また、鏝板10の弾性は、実際に曲げて見て、決定すればよい。鏝板10の材質としては、金属、プラスチック等が例示される。
この実施形態の鏝板10は、ステンレス鋼からなる薄板で構成されている。ステンレス鋼及び炭素鋼のヤング率は、190~205KN/mmであり、鏝板10の材質として好適である。プラスチック(強化プラスチックを含む)は、そのヤング率が材料によって大きく異なるので、試作等によって、好適な材質及び厚みを選択することが好ましい。
鏝板10の平面視における形状(以下、平面形状という)は、特に限定されない。左官鏝1の用途によって、適宜、鏝板10の平面形状を選択することができる。鏝板10の平面形状の大きさは、所定の幅寸法と所定の長さ寸法を有しており、用途によって適宜決定すればよい。この実施形態の鏝板10は、平面形状が矩形状となっており、長さ:230mm×幅:35mm×厚み:0.2mmとなっている。鏝板10の大きさや厚みは一例であり、鏝板10の大きさや厚みは作業に応じて決定すればよい。また、この実施形態の鏝板10は、四隅を面取りしている。面取りは、あってもよく、なくてもよい。
把持部20は、鏝板10の長手方向中央部分から長手方向に所定間隔で離隔した位置に配置されている。2つの把持部20は、鏝板10の長手方向の中央部分11を適切な半径で湾曲させることができる位置に配置されている。2つの把持部20の間隔は、左官鏝1の用途を考慮して決定される。この実施形態の2つの把持部20は、中心間隔を100mmとして配置されている。把持部20の所定間隔は、後述するように指で持ちやすい寸法としている。
また、この実施形態では、鏝板10の長手方向寸法が、2つの把持部20を所定間隔で鏝板10に配置した状態で、鏝板10の長手方向の把持部20の位置よりも外方に、所定長さのフリー部12をそれぞれ有する寸法となっている。すなわち、鏝板10は、把持部20を持って湾曲させた状態で、長手方向の把持部20の位置よりも外方に曲げられないフリー部12がある。鏝板10は、長手方向外方の両端部にフリー部12を設けることで、塗装対象面50(図3~図5)を仕上げるときに、鏝板10を塗装対象面50に押え付ける把持部20の長手方向外方位置は、フリー部12の弾性のみで押えるようにできる。これにより、鏝板10を塗装対象面50に押え付けるときには把持部20の位置で塗装対象面50に力を作用させるが、把持部20の外方位置はフリー部12の弾性で塗装対象面50を押えるので、塗装対象面50を綺麗に仕上げることができる。なお、鏝板10に把持部20を配置する所定間隔は一例であり、2つの把持部20の配置間隔は特に限定されない。また、フリー部12が無い構成であってもよい。
<把持部>
把持部20は、鏝板10に固定する固定部材21と、固定部材21に取り付けられた係合部材22とを有している。固定部材21は、鏝板10に固定する固定部21aと、固定部21aの鏝板幅方向両端部から立ち上がる支持部21bとを有している。固定部材21は、鉄等の金属を曲げたものを用いることができる。固定部材21の材質は、樹脂等であってもよく、特に限定されない。2つの把持部20は同一の構成であるため、詳細な符号は一方のみに付している。
固定部材21は、固定部21aが鏝板10に固定されている。この実施形態では、固定部21aが鏝板10に接着によって固定されている。固定部材21は、固定部21aを鏝板10に溶接、ネジ止めなどで固定してもよい。固定部材21の固定方法は、この実施形態に限定されない。
固定部材21の支持部21bには、上記係合部材22が取り付けられている。支持部21bには、所定高さの位置にそれぞれ貫通孔21cが設けられており、この貫通孔21cに係合部材22が挿通されて取り付けられている。この実施形態の係合部材22は、伸縮可能な弾性材で形成されている。伸縮可能な弾性材としては、ゴム材などを用いることができる。係合部材22は、弾性材に限定されない。作業者が指を掛けることができる構成であれば、他の構成であってもよい。また、この実施形態では、係合部材22が鏝板10の幅方向に平行に配置されているが、係合部材22はそれぞれ傾いて配置されていてもよい。
係合部材22は、一方の端部が貫通孔21cの直径よりも大きい固定端22aとなっており、他方の端部から両方の貫通孔21cに挿通されている。係合部材22には、貫通孔21cから突出している他方の端部に調節部材23が設けられている。調節部材23は、貫通孔21cから突出している係合部材22の長さを調節することで、支持部21bの間の係合部材22の長さを調節することができる。この実施形態の調節部材23は、係合部材22が挿通される孔部24aを有する留め部材24と、留め部材24の孔部24aに挿通されている係合部材22を押圧する押え部材25とを有している。押え部材25は、例えば、バネ力で係合部材22を留め部材24に押圧して留める構成などを用いることができる。調節部材23は、押え部材25による係合部材22の押え状態を解除すれば、留め部材24を係合部材22の延びる方向に位置調節できる。この実施形態の調節部材23は一例であり、他の構成の調節部材23であってもよい。
このように、この実施形態では、係合部材22の長さを、固定部21aと係合部材22との間に作業者が指を入れることができる長さに調節することができる。係合部材22の長さは、作業者が各自の指に応じて調節できる。
また、係合部材22は、固定部材21に対して着脱可能に取り付けられているため、係合部材22が汚れた場合や損傷した場合などには、固定部材21の支持部21bから取り外して容易に交換することができる。しかも、交換することで好みの柄に変更することもでき、使用者の好みに応じた係合部材22にできる。
また、この実施形態では、固定部材21と係合部材22とが別体で構成されているが、係合部材22を固定部材21と一体的に形成してもよい。この場合、係合部材22の長さ調節ができない構成を含む。
(左官鏝を持つ例)
図3は、図1に示す左官鏝1を持つ例を示す斜視図である。上記左官鏝1は、作業者が把持部20の係合部材22の部分に指を入れて持つことができる。例えば、図示するように、親指F1と人差し指F2を把持部20の係合部材22と固定部材21との間に入れて持つことができる。
(左官鏝の使用状態)
図4は、上記左官鏝1の第1使用状態を示す斜視図である。図5は、上記左官鏝1の第2使用状態を示す斜視図である。図6は、上記左官鏝1の第3使用状態を示す斜視図である。上記左官鏝1を、これらの図に基づいて使用状態に一例を説明する。なお、以下の使用状態における左官鏝1を持つ指の使い方は一例であり、左官鏝1は作業者が好ましい持ち方で持つことができる。
上記左官鏝1で塗装材を塗り付ける曲面の塗装対象面50としては、建物の柱、曲面にデザインされた壁等が例示される。なお、構造物(浴槽、壁、柱等)の角部、曲面にデザインされた壁等が塗装対象面50であってもよい。左官鏝1を用いる塗装対象面50としては、壁では、漆喰、珪藻土、聚楽土、モルタル、ジョリパッド等の塗装材が用いられた場所で使用できる。また、構造物では、コンクリート等の塗装材が用いられた場所で使用できる。また、左官鏝1の使用は、塗装対象面50における下塗り、中塗り及び仕上げ塗りのいずれの作業でも使用できる。
<第1使用状態>
図4に示すように、上記左官鏝1は、塗装対象面50が凸状の曲面であったとしても、把持部20の係合部材22と固定部材21との間に入れた親指F1と人差し指F2のいずれか又は両方に力を入れることで、鏝板10の中央部分11を凹状に湾曲させることができる。鏝板10の湾曲状態(曲率)は、作業者が指に加える力加減を調節することで、塗装対象面50の曲面に一致するようにできる。この例の塗装対象面50の曲面は、凸状の曲面であるため、鏝板10を中央部分11が凹状となるように湾曲させる。また、左官鏝1は、作業者が指に加える力を調節することで鏝板10を湾曲させる曲率半径を変化させることができる。
そして、このように鏝板10を湾曲させた状態で、左官鏝1を塗装対象面50に押し付けることができる。しかも、この例では、親指F1と人差し指F2との間の手の部分で鏝板10の中央部分11をさらに押し付けることができる。これにより、作業者の感覚に応じた力加減で鏝板10を塗装対象面50に押し付けて、塗装材に応じた好ましい仕上げ面に仕上げることができる。また、鏝板10をステンレス鋼などの金属とすることで、金属による綺麗な仕上げ面とすることができる。しかも、鏝板10は、細かな力加減で中央部分11の湾曲状態、押え力を調節できるので、この点でも仕上げ面を綺麗にできる。
また、鏝板10を湾曲させた状態で、左官鏝1を塗装対象面50に沿って移動させることで、鏝板10の下面(腹)によって塗装材を引き延ばしながら塗り付け作業(例えば、仕上げ作業)を行うことができる。また、例えば、漸次曲率が変化するような塗装対象面50であっても、左官鏝1は、作業者が指の力加減を調節することで鏝板10の湾曲状態を塗装対象面50の曲面に合うように変化させながら移動させて連続的に仕上げることができる。
<第2使用状態>
図5に示すように、上記左官鏝1は、塗装対象面50が凹状の湾曲面であったとしても、鏝板10の中央部分11を凸状に湾曲させることで対応できる。
この例の場合、塗装対象面50が凹状の曲面である場合、作業者は、鏝板10の中央部分11が奥に突出する凸状(手前が凹状)となるように、鏝板10を湾曲させる。これ以外は、上記第1使用状態と同様にして、塗装を行うことができる。
<第3使用状態>
図6に示すように、上記左官鏝1の場合、2つの把持部20の係合部材22に左右の手の指をそれぞれ掛けて、両手で持つこともできる。この例の左官鏝1は、左右の手の人差し指F2で持っている。例えば、塗装対象面50が、片手での作業ではなく両手の作業が好ましい場合には、このような持ち方で対応できる。この場合も、左右の指の力加減を調節して鏝板10の中央部分11を適切に湾曲させることができる。
この例の場合、塗装対象面50が凹状の曲面であるため、作業者は、鏝板10の中央部分11を凸状(手前が凹状)となるように、鏝板10を湾曲させる。なお、塗装対象面50が凸状の曲面である場合、作業者は、鏝板10の中央部分11を凹状(手前が凸状)となるように、鏝板10を湾曲させればよい。また、左右の把持部20で、鏝板10の中央部分11を捩るように曲げて使用することもできる。これ以外は、上記第1使用状態と同様にして、塗装を行うことができる。
このように、上記左官鏝1によれば、曲面の塗装対象面50に対して鏝板10を適切に湾曲させ、塗装材を適切に塗り付けることができる。
(その他の実施形態)
上記した実施形態は一例を示しており、本出願の要旨を損なわない範囲での種々の変更は可能であり、本出願は上記した実施形態に限定されるものではない。
1 左官鏝
10 鏝板
11 中央部分
12 フリー部
20 把持部
21 固定部材
21a 固定部
21b 支持部
21c 貫通孔
22 係合部材
22a 固定端
23 調節部材
50 塗装対象面
F1 親指
F2 人差し指

Claims (3)

  1. 板状の弾性部材で形成され、所定の幅寸法と所定の長さ寸法を有する鏝板と、
    前記鏝板の表面に設けられ、使用者が指を係合させる所定間隔で離隔した2つの把持部と、を備え、
    前記把持部は、前記使用者が指を係合させる係合部材を有し、
    前記係合部材は、弾性材で形成されており、
    前記係合部材は、前記鏝板の幅方向に長さを調節する調節部材をさらに有している、左官鏝。
  2. 前記鏝板は、長手方向の前記把持部の位置よりも外方に所定長さのフリー部をそれぞれ有している、請求項1に記載の左官鏝。
  3. 前記係合部材は、前記把持部に対して着脱可能に取り付けられている、請求項1又は2に記載の左官鏝。
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