JP7243613B2 - エンジン装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジン装置に関する。
従来、この種のエンジン装置としては、エンジンと、ターボ過給機と、ターボ過給機ととラジエータとに冷却水を循環させる電動式ウォーターポンプとを備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このエンジン装置では、エンジンの停止後にターボ過給機の加熱が予想されるときには、エンジンの運転中に冷却水量が増加するように電動式ウォーターポンプを制御し、エンジンのアイドルストップを開始すると電動式ウォーターポンプを停止する。
特開2016-079935号公報
上述のエンジン装置では、エンジンのアイドルストップを開始すると電動式ウォーターポンプを停止するため、ターボ過給機を十分に冷却する前に電動式ウォーターポンプを停止することがある。一方、ターボ過給機の推定温度が所定温度以下になるまで電動式ウォーターポンプにより比較的多くの冷却水を圧送すると、エンジンのアイドルストップ中に異音や振動の原因となり、エンジン装置を搭載する車両の乗員に違和感を与える可能性がある。
本発明のエンジン装置は、過給機を冷却しつつ車両の乗員に違和感を与えるのを抑制することを主目的とする。
本発明のエンジン装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明のエンジン装置は、
車両に搭載され、
過給機を有するエンジンと、
前記過給機とラジエータとに冷却媒体を循環させる電動ポンプを有する冷却装置と、
前記電動ポンプを制御する制御装置と、
を備えるエンジン装置であって、
前記制御装置は、前記エンジンが停止したときに、所定条件が成立している場合、前記エンジンの停止時間が長くなるにつれて前記冷却媒体の流量が減少するように前記電動ポンプを制御する、
ことを要旨とする。
この本発明のエンジン装置では、エンジンが停止したときに、所定条件が成立している場合、エンジンの停止時間が長くなるにつれて冷却媒体の流量が減少するように電動ポンプを制御する。これにより、エンジンの停止中に電動ポンプの出力が徐々に小さくなるから、過給機を冷却しつつ車両の乗員に違和感を与えるのを抑制することができる。
本発明のエンジン装置において、前記所定条件は、前記エンジンの吸気温が第1所定温度以上である条件、前記エンジンの冷却水温が第2所定温度以上である条件、前記エンジンの油温が第3所定温度以上である条件、前記過給機のタービンの温度が第4所定温度以上である条件、のうちの少なくとも1つを含むものとしてもよい。
本発明のエンジン装置において、前記エンジンが停止したときに、前記所定条件が成立している場合、前記エンジンの停止から所定時間に亘って前記電動ポンプを駆動するものとしてもよい。この場合、前記所定時間は、前記エンジンの油温および/または前記過給機のタービンの温度に基づいて設定されるものとしてもよい。
本発明のエンジン装置において、前記エンジンは、第1,第2吸気系および第1,第2排気系を有し、前記過給機は、第1吸気系および第1排気系に設けられた第1過給機と、第2吸気系および第2排気系に設けられた第2過給機とを有するものとしてもよい。
本発明のエンジン装置において、前記制御装置は、前記車両に乗員が乗車中で且つ前記エンジンが停止したときに、前記所定条件が成立している場合、前記エンジンの停止時間が長くなるにつれて前記冷却媒体の流量が減少するように前記電動ポンプを制御するものとしてもよい。
本発明の一実施例としてのエンジン装置20の構成の概略を示す構成図である。 冷却装置60の構成の概略を示す構成図である。 ECU70により実行される処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。 制御時間設定マップの一例を示す説明図である。 流量減少制御の実行時における電動ポンプ64の吐出流量Qcの様子の一例を示す説明図である。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としてのエンジン装置20の構成の概略を示す構成図であり、図2は、冷却装置60の構成の概略を示す構成図である。実施例のエンジン装置20は、一般的な自動車や各種のハイブリッド自動車などに搭載され、図示するように、エンジン22と冷却装置60と電子制御ユニット(以下、「ECU」という)70とを備える。
エンジン22は、ガソリンや軽油などの燃料を用いて各気筒の吸気、圧縮、膨張(爆発燃焼)、排気の各行程により動力を出力する第1,第2バンク32A,32B(それぞれ2気筒や3気筒など)を有する内燃機関として構成されている。このエンジン22は、エアクリーナ24A,24Bにより清浄された空気を吸気管26A,26Bを介して吸気管26Cで合流させて、インタークーラー27、スロットルバルブ28、インテークマニホールド30を介して吸入すると共に各燃料噴射弁から燃料を噴射して空気と燃料とを混合する。そして、この混合気を各吸気バルブを介してエンジン本体32の各燃焼室に吸入し、各点火プラグによる電気火花によって爆発燃焼させて、そのエネルギにより押し下げられる各ピストンの往復運動をクランクシャフトの回転運動に変換する。エンジン本体32の第1バンク32Aの各燃焼室から各排気バルブおよびエキゾーストマニホールド34Aを介して排気管36Aに排出される排気は、触媒38A,40Aを介して外気に排出される。また、エンジン本体32の第2バンク32Bの各燃焼室から各排気バルブおよびエキゾーストマニホールド34Bを介して排気管36Bに排出される排気は、触媒38B,40Bを介して外気に排出される。触媒38A,38B,40A,40Bは、一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)の有害成分を浄化する。
このエンジン22は、排気のエネルギを用いて過給する過給機50A,50Bも備える。過給機50A,50Bは、吸気管26A,26Bに配置されるコンプレッサ52A,52Bと、排気管36A,36Bにおける触媒38A,38Bよりも上流側に配置されると共に連結軸53A,53Bを介してコンプレッサ52A,52Bに接続されるタービン54A,54Bと、排気管36A,36Bにおけるタービン54A,54Bの上流側と下流側(タービン54A,54Bと触媒38A,38Bとの間)とを連絡(バイパス)するバイパス管37A,37Bに配置されるウェイストゲートバルブ56A,56Bとを有する
。この過給機50A,50Bは、ウェイストゲートバルブ56A,56Bの開度を調整することにより、バイパス管37A,37Bを流れる排気の流量とタービン54A,54Bを流れる排気の流量との分配比を調整し、タービン54A,54Bの回転駆動力を調整し、コンプレッサ52A,52Bによる圧縮空気量を調整し、吸気管26A,26B,26Cにおけるコンプレッサ52A,52Bとスロットルバルブ28との間の圧力(以下、「スロットル前吸気圧」という)を調整する。なお、エンジン22は、ウェイストゲートバルブ56A,56Bが全開のときには、過給機50A,50Bが取り付けられていない自然吸気タイプのエンジンと同様に動作可能になっている。
冷却装置60は、冷却媒体を循環させてエンジン装置20を冷却する。図2に示すように、冷却装置60は、冷媒流路62と、電動ポンプ64と、ラジエータ66とを備える。冷媒流路62は、インタークーラー27と、直列に配置された過給機50A,50Bとが並列に冷却媒体を循環させるように構成される。ここで、実施例では、図示するように、過給機50B、過給機50Aの順に冷却媒体が循環するように冷媒流路62が構成されるものとした。電動ポンプ64は、ECU70によって制御され、冷媒流路62に冷却媒体を圧送する。ラジエータ66は、冷却媒体と空気との熱交換により冷却媒体を冷却する。
ECU70は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMや、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポート、通信ポートを備える。ECU70には、各種センサからの信号が入力ポートを介して入力される。ECU70に入力される信号としては、例えば、エンジン22のクランクシャフトのクランク角を検出するクランク角センサからのクランク角θcrや、エンジン22の冷却水の温度を検出する水温センサからの冷却水温Twを挙げることができる。また、吸気管26A,26Bにおけるエアクリーナ24A,24Bとコンプレッサ52A,52Bとの間に取り付けられたエアフローメータ71A,71Bからの吸入空気量Qa1,Qa2や、吸気管26A,26B,26Cにおけるコンプレッサ52A,52Bとスロットルバルブ28との間に取り付けられた圧力センサ72からの圧力(上述のスロットル前吸気圧)Pin1、吸気管26Cにおけるスロットルバルブ28よりも下流側に取り付けられた圧力センサ74からの圧力(以下、「スロットル後吸気圧」という)Pin2、スロットルバルブ28の開度を検出する開度センサからの開度THも挙げることができる。さらに、排気管36Aにおける触媒38Aの上流側および下流側に取り付けられた空燃比センサ76A,78Aからの空燃比AFf1,AFr1や、排気管36Bにおける触媒38Bの上流側および下流側に取り付けられた空燃比センサ76B,78Bからの空燃比AFf2,AFr2も挙げることができる。加えて、ウェイストゲートバルブ56A,56Bの開度を検出する開度センサからの開度Owstや、吸気管26Cにおける吸気の温度を検出する図示しない吸気温センサからの吸気温Ta、エンジン22の潤滑油の温度を検出する図示しない油温センサからの油温Toilも挙げることができる。
ECU70からは、エンジン22を運転制御するための各種制御信号が出力ポートを介して出力される。ECU70から出力される信号としては、例えば、スロットルバルブ28への制御信号や、燃料噴射弁への制御信号、点火プラグへの制御信号、ウェイストゲートバルブ56A,56Bへの制御信号を挙げることができる。また、電動ポンプ64への制御信号も挙げることができる。
ECU70は、クランク角センサからのクランク角θcrに基づいてエンジン22の回転数Neを演算する。また、ECU70は、エアフローメータ71A,71Bからの吸入空気量Qa1,Qa2の和とエンジン22の回転数Neとに基づいて、負荷率(エンジン22の各気筒の燃焼室の1サイクルあたりの行程容積に対する1サイクルで実際の吸入される空気の容積の割合)KLや、過給機50A,50Bのタービン54A,54Bの温度としてタービン温度Tta,Ttbを演算する。
こうして構成された実施例のエンジン装置20では、ECU70は、エンジン22が目標負荷率KL*で運転されるように、スロットルバルブ28の開度を制御する吸入空気量制御や、燃料噴射弁からの燃料噴射量を制御する燃料噴射制御、点火プラグの点火時期を制御する点火制御、ウェイストゲートバルブ56A,56Bの開度を制御する過給制御などを行なう。
次に、こうして構成された実施例のエンジン装置20の動作、特に、エンジン22が自動停止した際の動作について説明する。図3は、ECU70により実行される処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、エンジン装置20を搭載する車両に乗員が乗車中で且つエンジン22が停止したときに実行される。
図3の処理ルーチンが実行されると、エンジンECU24は、最初に、エンジン22の吸気温Taや冷却水温Tw、油温Toil、タービン温度Ttaなどのデータを入力する(ステップS100)。ここで、吸気温Taは、図示しない吸気温センサにより検出された値が入力される。冷却水温Twは、図示しない水温センサにより検出された値が入力される。油温Toilは、図示しない油温センサにより検出された値が入力される。タービン温度Ttaは、吸入空気量Qa1,Qa2の和とエンジン22の回転数Neとに基づいて演算された値が入力される。
こうしてデータを入力すると、吸気温Taを閾値Tarefと比較すると共に(ステップS110)、冷却水温Twを閾値Twrefと比較する(ステップS120)。ここで、閾値Tarefは、電動ポンプ64の駆動が必要か否かを判定するための閾値であり、実験や解析により予め定められた値(例えば、40~50℃程度)が用いられる。閾値Twrefは、電動ポンプ64の駆動が必要か否かを判定するための閾値であり、実験や解析により予め定められた値(例えば、85~95℃程度)が用いられる。ステップS110で吸気温Taが閾値Taref未満のときや、ステップS120で冷却水温Twが閾値Twref未満のときには、電動ポンプ64を駆動する必要がないと判断して、本ルーチンを終了する。
ステップS110で吸気温Taが閾値Taref以上で且つステップS120で冷却水温Twが閾値Twref以上のときには、電動ポンプ64を駆動する必要があると判断して、油温Toilとタービン温度Ttaとに基づいて制御時間Tconを設定する(ステップS130)。そして、設定された制御時間Tconを用いて冷却装置60の流量減少制御を実行して(ステップS140)、本ルーチンを終了する。
ここで、制御時間Tconの設定は、油温Toilおよびタービン温度Ttaと制御時間Tconとの関係を予め求めて制御時間設定マップとして図示しないROMに記憶しておき、油温Toilとタービン温度Ttaとが与えられると、マップから対応する制御時間Tconを導出することにより行なわれる。図4は、制御時間設定マップの一例を示す説明図である。制御時間Tconは、図示するように、油温Toilが高いほど長くなるように且つタービン温度Ttaが高いほど長くなるように設定される。この理由は後述する。
図5は、流量減少制御の実行時における電動ポンプ64の吐出流量Qcの様子の一例を示す説明図である。流量減少制御の実行により、図示するように、電動ポンプ64の吐出流量Qcは、エンジン22の自動停止から制御時間Tconが経過する間に、所定流量Qcmから値0となるように減少する。これにより、過給機50A,50Bを冷却しつつエンジン装置20を搭載する車両の乗員に違和感を与えるのを抑制することができる。
上述のように制御時間Tconを設定した理由は、油温Toilやタービン温度Ttaが高いほど時間をかけて冷却媒体を循環させる必要があると考えられるからである。また、タービン温度Tta,Ttbのうちタービン温度Ttaを制御時間Tconの設定に使用する理由は、過給機50B、過給機50Aの順に冷却媒体が循環するため、タービン温度Ttaがタービン温度Ttbに比して高くなりやすいからである。
なお、イグニッションオフによりエンジン22が停止した場合、吸気温Taが閾値Taref以上で且つ冷却水温Twが閾値Twref以上のときには、一定の吐出流量Qcで駆動すると共に制御時間Tconが経過時に停止するように電動ポンプ64を制御するものとしてもよい。これは、エンジン装置20を搭載した車両の乗員が降車することを想定し、異音や振動が発生しても問題ないと考えられるからである。
以上説明した実施例のエンジン装置20では、エンジン22が停止したときに、吸気温Taが閾値Taref以上で且つ冷却水温Twが閾値Twref以上である場合、エンジン22の停止時間が長くなるにつれて吐出流量Qcが減少するように電動ポンプ64を制御する。これにより、エンジン22の停止中に電動ポンプ64の出力が小さくなり、過給機50A,50Bを冷却しつつ車両の乗員に違和感を与えるのを抑制することができる。
実施例のエンジン装置20では、エンジン装置20を搭載する車両に乗員が乗車中で且つエンジン22が停止したときに図3の処理ルーチンを実行するものとした。しかし、乗員の有無に拘わらずエンジン22が停止したときに図3の処理ルーチンを実行するものとしてもよい。
実施例のエンジン装置20では、冷却装置60の流量減少制御を実行する条件として、吸気温Taが閾値Taref以上で且つ冷却水温Twが閾値Twref以上である条件を用いた。しかし、吸気温Taが閾値Taref以上である条件、冷却水温Twが閾値Twref以上である条件、油温Toilが閾値Toref以上である条件、タービン温度Ttaが閾値Ttref以上である条件、のうちの少なくとも1つを含むものとしてもよい。
実施例のエンジン装置20では、油温Toilとタービン温度Ttaとに基づいて制御時間Tconを設定するものとした。しかし、油温Toilだけに基づいて制御時間Tconを設定するものとしてもよく、タービン温度Ttaだけに基づいて制御時間Tconを設定するものとしてもよい。また、制御時間Tconに一定値を設定するものとしてもよい。
実施例のエンジン装置20では、エンジン22は、吸気系および排気系が2系統で2機の過給機50A,50Bを備えるものとしたが、吸気系および排気系が1系統で1機の過給機を備えるものとしてもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン22が「エンジン」に相当し、冷却装置60が「冷却装置」に相当し、ECU70が「制御装置」に相当する。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、エンジン装置の製造産業などに利用可能である。
20 エンジン装置、22 エンジン、24A,24B エアクリーナ、26 吸気管26A,26B,26C 吸気管、28 スロットルバルブ、30 インテークマニホールド、32 エンジン本体、32A 第1バンク、32B 第2バンク、34A,34B
エキゾーストマニホールド、36A,36B 排気管、37A バイパス管、38A,38B,40A,40B 触媒、50A,50B 過給機、52A,52B コンプレッサ、53A,53B 連結軸、54A,54B タービン、56A,56B ウェイストゲートバルブ、60 冷却装置、62 冷媒流路、64 電動ポンプ、66 ラジエータ、68 インタークーラー、70 ECU、72,74 圧力センサ、76A,76B,78A,78B 空燃比センサ。

Claims (1)

  1. 車両に搭載され、
    過給機を有するエンジンと、
    前記過給機とラジエータとに冷却媒体を循環させる電動ポンプを有する冷却装置と、
    前記電動ポンプを制御する制御装置と、
    を備えるエンジン装置であって、
    前記制御装置は、前記エンジンが停止したときに、所定条件が成立している場合、前記エンジンの停止から制御時間に亘って、前記エンジンの停止時間が長くなるにつれて前記冷却媒体の流量が減少するように前記電動ポンプを制御し、
    前記制御時間は、前記エンジンの油温が高いほど長くなるように、および/または、前記過給機の温度が高いほど長くなるように設定される、
    エンジン装置。
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