JP7243228B2 - 無機繊維シート及び無機繊維シートの製造方法 - Google Patents

無機繊維シート及び無機繊維シートの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、高耐熱性を必要とする、電気絶縁材、電子基板などの電気機器部材、不燃シートや不燃ボードなどの建材、断熱材、パッキン材、クッション材、ガスケットなど機械部材等の広範な分野での製造等に好適に用いられる無機繊維シートの製造方法に関する。
ガラス繊維等の無機繊維を主体繊維とする耐熱紙は、広く産業分野で使用されている。 中でも大きな比重を占める用途として、耐熱電子基板や建築用不燃ボード、耐熱ガスケットなどの基材としての使用があげられ、そのような用途で用いられる場合は、目的に応じた機能材や填料を含侵して使用されることが多い。
ここで、無機繊維自体には自己接着性がない。従来の無機繊維シートにおいては、パルプや熱融着性樹脂、熱可塑性樹脂などの有機バインダーを添加して湿式抄紙していた。従来の無機繊維シートは、150°C以上においてシート強度低下を生じ、また有機バインダーの分解・溶融・燃焼、および、それらに伴うガスの発生が問題となる。
よって従来の無機繊維シートを耐熱用途・難燃用途に使用する場合には、難燃剤を含侵したり、あらかじめ焼成して有機分を焼き飛ばしたりする必要があった。
しかしながら難燃剤を含浸した場合、本来必要な機能材や填料の含浸量が減少することとなる。また、焼成を行う場合には作業工程の増加やエネルギーコストの増加を招くこととなる。
そのためこれまで、有機バインダーを可能な限り削減し、主として無機バインダーによって強度を発揮させる無機繊維耐熱紙が提案されてきた。また例えば特許文献1では、繊維分として生体溶解性セラミック繊維とガラス繊維と有機繊維を用い、無機バインダーとしてセピオライト20~60重量%をカチオン性バインダーとともに内添して湿式抄造をすることで、セピオライトを凝集させて結着力を発揮させている。 また例えば特許文献2では、繊維分としてパルプあるいは合成パルプとガラス繊維、無機バインダーとしてセピオライトを内添して湿式抄造するが、セピオライトの内添比率を40~80重量%と多量とすることで耐熱強度を発揮させている。
しかしながら、特許文献1、2に記載の繊維シートは、湿式抄造時にパルプや有機バインダー繊維の結着力を利用してウェブを形成しているため、可燃成分を含有し、耐火性能が低いものである。
特開2013-234410公報 特開平07-252794公報
本発明は、上記した状況に鑑みてなされたものであって、耐熱性のみならず優れた耐火性を有する無機繊維シートを提供するものである。
本発明は以下の構成を有する。
[1]無機繊維51~99質量%と含水ケイ酸塩鉱物1~49質量%とを含有する無機繊維シートであり、前記無機繊維シートを200°C雰囲気で1時間処理した後の引張強度が処理前の前記無機繊維シートの引張強度の0.75以上であり、前記無機繊維シートを500°C雰囲気で2時間焼成した後の引張強度が処理前の前記無機繊維シートの引張強度の0.70以上である耐熱無機繊維シート。
[2]坪量が5~350g/mである、[1]に記載の耐熱無機繊維シート。
[3]灰分が95%以上である、[1]または[2]に記載の耐熱無機繊維シート。
[4]無機繊維を含むスラリーAを調整する工程、含水ケイ酸塩鉱物を含有するスラリーBを調整する工程、スラリーAを用いて湿式抄紙法によりシートを得る工程と、前記シートの表面にスラリーBを塗布する工程を有する、耐熱無機繊維シートの製造方法。
本発明に係る耐熱無機繊維シートは、無機繊維と含水ケイ酸塩鉱物とからなるため、高い耐熱性を発揮し得るとともに、無機繊維のもつ可撓性、絶縁性、耐アルカリ性、耐水性、機械的強度等の種々の優れた特性を活かしつつ、含水ケイ酸塩鉱物のもつ優れた耐火性、シール性、絶縁性、可撓性、耐薬品性といった特性を向上させあるいは付与することができる。
本発明に係る耐熱無機繊維シートは、耐熱性が必要とされる用途に、単独で、あるいは種々の機能材を含侵した状態で使用した状態で使用することができ、発電所や石油精製、石油化学、製紙、製鉄、その他産業の配管の接合部等に用いられるガスケット、バルブ、ポンプの等の回転部のシールパッキン等のシール部、また建材用耐熱ボード、耐熱電子基板、蓄電池の延焼防止耐熱材などに使用できる。 本発明の無機繊維シートは有機分の含有量が極めて少ないため、あらかじめ有機分除去のための焼成処理をせずとも不燃材として使用できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
〔無機繊維シート〕
無機繊維51~99質量%と含水ケイ酸塩鉱物1~49質量%とを含有し、より好ましくは無機繊維60~95質量%と含水ケイ酸塩鉱物5~40質量%とを含有する。
無機繊維シート中の無機繊維の含有量を51質量%以上とすることでシートに良好なクッション性、断熱性、機能材担持性を付与することができ、99質量%以下とすることで含水ケイ酸塩鉱物による無機繊維の結着を確保し無機繊維シートの強度を保つことができる。
無機繊維シート中の含水ケイ酸塩鉱物の含有量を1質量%以上とすることで無機繊維の結着を確保し無機繊維シートの強度を保つことができ、49質量%以下とすることでシートに良好なクッション性、断熱性、機能材担持性を付与することができる。
本発明の無機繊維シートに用いられる無機繊維の種類としては特に制限はなく、ガラス繊維、セラミック繊維、ロックウール、バサルト繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、炭化ケイ素繊維、ジルコニア繊維、チタン酸カリウム繊維等から1種類単独または2種類以上を使用することができる。なかでも比較的安価に耐熱性および力学強度が得られ、連続長繊維を製造可能であるガラス繊維を使用することが望ましい。
本発明の無機繊維シートに用いられるガラス繊維の種類としては特に制限はなく、生産量の多いEガラスの他、高強度のSガラス、耐酸性に優れるCガラス等を使用できる。コストの観点からは、安価なEガラスを使用することが好ましい。
ガラス繊維は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
無機繊維には、その製法に起因して、非繊維状物の「ショット」が含有されるものがある。ショットの含有量が多い無機繊維を用いると、得られる無機繊維シートにおいて穴開き、粉落ち等が問題となる場合がある。そのため、無機繊維としては、ショットの含有率が20質量%以下のものを使用することが好ましい。
本発明の無機繊維シートは、その製造工程において、主に無機繊維同士の交絡によって紙匹を形成しているため、前記無機繊維の平均のアスペクト比(繊維長÷繊維径の値)は1200以上が好ましく、1500以上が更に好ましい。
アスペクト比を上記範囲内とすることによって、無機繊維同士が十分な交絡し、後述する含水ケイ酸塩鉱物の働きと合わせて十分な無機繊維シートの強度が得られる。
本発明の無機繊維シートで使用される無機繊維の繊維径は、たとえばガラス繊維の場合には、平均値として3μm以上のものが好ましい。上記の下限値以上であれば、WHO吸入繊維に該当せず、人体に対して安全である。また、ガラス繊維の繊維径の上限は、平均値として10μmがより好ましい。上記の上限値以下であれば、得られる無機繊維シートの強度が優れる。
また、無機繊維シートの目開きが大きくなりすぎず、機能材を充分に担持でき、性能の優れる耐熱材を製造できる。無機繊維は、異なる繊維径のものを併用してもよい。繊維径の平均値は、100本の繊維の繊維径を顕微鏡観察により測定し、算出する。
繊維長の下限値は、長さ加重平均繊維長が、6mm以上であることが好ましく、9mm以上であることがより好ましい。 長さ加重平均繊維長が上記の下限値以上であると、湿式抄造時の湿紙強度を十分とする無機繊維同士の交絡が得られる。 無機繊維の繊維長の上限値は15mm以下であることが好ましく、13mm以下がより好ましい。上記の上限値以下であると、得られる無機繊維シートの地合が優れる傾向にある。 無機繊維は、異なる繊維長のものを併用してもよい。長さ加重平均繊維長は、100本の繊維の繊維長を顕微鏡観察により測定し、算出する。
含水ケイ酸塩鉱物としては、繊維状の鉱物であるセピオライト、パリゴルスカイト、ワラストナイト、アタパルジャイト等が挙げられる。なかでも、交絡した無機繊維同士を結着して無機繊維シートに強度を付与する効果に優れる点から、セピオライトが好ましい。セピオライトには、成因の違いにより、高温高圧化における熱水作用を受け、結晶化度が高く、長繊維で明瞭な繊維状形態を示すα型(従来、山皮とも呼ばれる。)と、浅海底や湖底での堆積作用を成因とし、結晶化度が低く、短繊維(塊状または粘土状形態である。)のβ型とがある。
β型セピオライトは、長繊維で明瞭な繊維状形態を示すα型セピオライトに比べ、短繊維であるため、塗工により無機繊維同士が交絡した紙匹の内部まで侵入して無機繊維シート内の無機繊維同士を均一に結着することができる。
含水ケイ酸塩鉱物(C)としては、SiO2の含有量が55~65質量%、Al2O3の含有量が1~4質量%、MgOの含有量が15~30質量%、Fe2O3の含有量が0.1~2質量%、CaOの含有量が0.1~1質量%、Na2Oの含有量が0.001~0.2質量%、K2Oの含有量が0.1~1質量%、強熱減量(1000°Cで1時間加熱した場合の質量減少率。)が5~15質量%の組成を有するものが好ましい(ただし、SiO2+Al2O3+MgO+Fe2O3+CaOの含有量+Na2O+K2O+強熱減量=100質量%。)。
含水ケイ酸塩鉱物(C)の吸油量としては、主体繊維への定着性の点から、150~400%が好ましく、200~350%がより好ましい。
本明細書において、含水ケイ酸塩鉱物(C)の吸油量は、JIS K 5101に準拠して求めた値である。
無機繊維シートは、本発明の効果を損なわない範囲でパルプ、有機合成繊維、有機バインダー等の有機成分を含有してもよい。有機分の比率が大きいと、有機分の分解・溶融・燃焼によるガス発生やシートの燃焼、脆化等を招くため、有機成分の含有量は無機繊維シートの5重量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。
パルプとしては針葉樹パルプ、広葉樹パルプなどの木材パルプ、ケナフパルプ、がバスパルプなどの非木材パルプ等から1種以上を使用できる。パルプは、叩解パルプでも未叩解パルプでもよい。なかでも、比較的安価で安定供給可能な木材パルプが好ましい。
有機合成繊維としては、たとえば、ポリプロピレン繊維、ポリブテン繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、キュプラ繊維、アセテート繊維、ポリ塩化ビニル繊維、アクリル繊維、ポリエステル繊維、ポリウレタン繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ポリアミドイミド繊維、ポリイミド繊維、ポリアリレート繊維、ポリエーテルイミド繊維、ビニロン繊維、ポリカーボネート繊維、エチレン-ビニルアセテート繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、アラミド繊維等の化学繊維等が挙げられる。有機合成繊維は1種以上を使用できる。
有機バインダーとしては、無機繊維シートの製造工程中の加熱により少なくとも一部が溶融する熱可塑性樹脂等が挙げられ、無機繊維シートの製造工程で設定される乾燥温度の温度等に応じて選択できる。有機バインダー成分の形態には制限はなく、繊維状、粒状、エマルション、液状等のいずれであってもよい。
熱可塑性樹脂としては、たとえば、ポリエチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン-ビニルアルコール共重合体等が挙げられる。また、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)等のゴム系エマルジョンを使用してもよい。熱可塑性樹脂は1種以上を使用できる。
また、有機バインダー成分としては、融点の異なる2種以上の材料が複合化し、より低融点の部分が溶融してバインダーとして作用する複合繊維を使用してもよい。複合繊維としては、芯鞘繊維、サイドバイサイド繊維等が挙げられる。芯鞘繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等からなる高融点の芯部の周りに、ポリエチレン等からなる低融点の鞘部が形成された繊維等が挙げられる。
有機バインダー成分としては、無機繊維シートの製造工程中の加熱により硬化して繊維同士を接着させる熱硬化型樹脂も使用できる。
熱硬化型樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂などが挙げられる。熱硬化型樹脂は1種以上を使用できる。
有機バインダーとしては、特に制限されないが、接着力に優れる点から、繊維状あるいは粒子状等の形態をもつPVA樹脂を用いることが好ましい。また、無機繊維シート耐水性が必要な場合にはアクリル樹脂エマルション等を用いることも好ましい態様として挙げられる。
本発明の無機繊維シートは、前記無機繊維シートを200°C雰囲気で1時間処理した後の引張強度が処理前の前記無機繊維シートの引張強度の0.75以上であり、前記無機繊維シートを550°C雰囲気で2時間焼成した後の引張強度が処理前の前記無機繊維シートの引張強度の0.70以上である。
前記無機繊維シートは、前記無機繊維が1方向に配向した繊維配向方向を有している場合は、前記無機繊維シートを200°C雰囲気で1時間処理した後の前記繊維配向方向の引張強度が処理前の前記繊維配向方向の引張強度の0.75以上であることが好ましく、前記無機繊維シートを550°C雰囲気で2時間焼成した後の前記繊維配向方向の引張強度が処理前の前記繊維配向方向の引張強度の0.70以上であることが好ましい。
上述した無機繊維シートの使用材料をその好ましい範囲で適宜選択調整するとともに、以下に説明する本発明の無機繊維シートの製造方法によって無機繊維シートを製造することによって、高温処理後の無機繊維シートの引張強度が上記引張強度の条件を満たす無機繊維シートを得ることができる。
無機繊維シートを200°C雰囲気で1時間処理した後の引張強度が処理前の前記無機繊維シートの引張強度の0.75以上であるということは、前記無機繊維シートが従来の無機繊維紙と比較し高い耐熱性を有することを示している。
前記無機繊維シートを550°C雰囲気で2時間焼成した後の引張強度が処理前の前記無機繊維シートの引張強度の0.70以上であるということは、無機繊維シート中の無機成分の結合力のみによって無機繊維シートが必要十分な強度を有していることを示している。
本発明の無機繊維シートは、灰分が95%以上であることが好ましい。灰分が95%以上であれば、燃焼による無機繊維シートの劣化が少なく、燃焼により発生する煙が極めて少ない。
〔無機繊維シートの製造方法〕
本発明の無機繊維シートの製造方法は、ガラス繊維および生体溶解性無機繊維からなる群より選ばれる1種類以上の無機繊維を含むスラリーAを調整する工程(i)、含水ケイ酸塩鉱物を含有するスラリーBを調整する工程(ii)、スラリーAを用いて湿式抄紙法によりシートを得る工程(iii)と、前記シートの表面にスラリーBを塗布する工程(iv)を有する。
(工程(i))
無機繊維シートの製造に用いられるスラリーAは、ガラス繊維および生体溶解性無機繊維からなる群より選ばれる1種以上の無機繊維を含有する。スラリーAに用いる無機繊維の種類、アスペクト比、繊維径、繊維長は、上記本発明の無機繊維シートが含有する無機繊維として説明した通りである。
本発明の無機繊維シートの製造方法は、本発明の効果を損なわない範囲において、スラリーAが含水ケイ酸塩鉱物又は他の無機バインダー成分を含有する態様を除外するものではない。
スラリーAに含水ケイ酸塩鉱物又は他の無機バインダー成分を添加する場合、製造後の無機繊維シートに含まれる含水ケイ酸塩鉱物の全質量中、10質量%以下となるように調整することが好ましく、0質量%となるように調整することがより好ましい。
スラリーAには必要に応じて分散剤、消泡剤、粘度調整剤、濡れ剤、架橋剤、シランカップリング剤、pH調整剤、着色剤などを添加することができる。
(工程(ii))
無機繊維シートの製造に用いられるスラリーBは、含水ケイ酸塩鉱物を分散媒に分散させたものである。分散媒は水であることが好ましい。スラリーBの濃度は含水ケイ酸塩鉱物が均一に分散できる濃度であって、工程(iii)においてシートに付着する含水ケイ酸塩鉱物の量が、製造完了後の無機繊維シートの1~49質量%の範囲の所望の値となるように調整される。スラリーBには必要に応じて分散剤、消泡剤、粘度調整剤、濡れ剤、架橋剤、シランカップリング剤、pH調整剤、着色剤などを添加することができる。
(工程(iii))
スラリーAを用いて湿式抄紙法によりシートを得る工程で用いる湿式抄紙法は、公知の抄紙機で抄紙する方法を用いることができる。抄紙機としては、円網抄紙機、傾斜型抄紙機、長網抄紙機、短網抄紙機が挙げられ、これら抄紙機の同種または異種を組み合わせて多層抄紙を行ってもよい。
(工程(iv))
工程(iii)で得られたシートに対し、表面にスラリーBを塗布する。
スラリーBを塗布する方法は、スプレーコーター、カーテンコーター、バーコーター、ロールコーター、ブレードコーター等が挙げられる。
スラリーBの塗布は、抄紙工程内で行っても、抄紙後別途コーターで行ってもよい。
本発明者等は、含水ケイ酸塩鉱物をスラリーAにのみ添加した場合には、充分な強度の耐熱性無機繊維シートが得られず、一方、スラリーBによって無機繊維紙匹の表面から含水ケイ酸塩鉱物を塗布することにより、充分な強度の耐熱性無機繊維シートが得られることを見出した。その理由は、以下のように考えられる。
含水ケイ酸塩鉱物を含む原料スラリーを湿式抄紙して不織布を製造する場合には、微細な含水ケイ酸塩鉱物が抄紙用ワイヤーをすり抜けてしまわないように、原料スラリーに凝集剤を添加し、含水ケイ酸塩鉱物を凝集させて凝集体とする必要が生じる。凝集体とすることにより、含水ケイ酸塩鉱物が抄紙用ワイヤーをすり抜けず、含水ケイ酸塩鉱物の歩留まりが向上する。また、抄紙時の濾水性にも優れる。
しかしながら、このように抄紙時に含水ケイ酸塩鉱物を凝集させると、繊維と繊維の間に凝集体が割り込む構造となり、得られる無機繊維シートには含水ケイ酸塩鉱物の凝集体が不均一に点在し、ほぼ無機繊維のみの疎な部分と含水ケイ酸塩鉱物の多い密な部分が生じることになる。その結果、得られる無機繊維シートは疎な部分の強度が低く、全体としての強度も不充分となる。また、無機繊維シートの地合いも劣る。
本発明の製造方法によれば、高アスペクト比の無機繊維からなるスラリーAを用いて抄造することによって、ウェブとしての形状を保つために必要な湿紙強度が得られる。主として高アスペクト比の無機繊維からなるスラリーAを用いて抄造した紙匹に、主として水ケイ酸塩鉱物からなるスラリーBを塗布する本発明の製造方法によれば、含水ケイ酸塩鉱物が凝集することなく均一に無機繊維表面に絡まるように付着し、強度に優れた耐熱性無機繊維シートを得ることができるのである。
工程(iv)で塗布する含水ケイ酸塩鉱物の量は、製造後の無機繊維シートに対して、1~49質量%であり、5~40質量%がより好ましい。含水ケイ酸塩鉱物の含有量が上記範囲の下限値以上とすることで、製造後の無機繊維シートの強度が得られ易い。一方、上記範囲の上限値以下とすることで、シート内部に微細な空隙が確保され、断熱性、クッション性が得られ、また機能材担持量を確保できる。
スラリーBには、分散剤、保液剤、粘度調整剤、pH調整剤、有機バインダー成分、無機バインダー成分、充填剤等を必要に応じ添加してもよい。
有機バインダー成分、無機バインダー成分としては、工程(i)において例示した有機バインダー成分、含水ケイ酸塩鉱物以外の無機バインダー成分を使用できる。充填剤としても、工程(i)において例示した充填剤を使用できる。
また、これらの各成分をスラリーBに添加するのではなく、これらの成分のうちの少なくとも1種を含むスラリーを別途調製して、工程(iv)の前または後に塗布してもよい。
なお、ここで有機バインダー成分、無機バインダー成分、充填剤等を用いる場合には、
最終的に得られる無機繊維シート中の各含有量が、すでに上述した範囲内となるように、
その使用量を調整することが好ましい。
(乾燥工程)
工程(iv)の後、湿潤状態の無機繊維シートは、公知の抄紙機で使用される方法によって脱水および乾燥を行うことが好ましい。脱水および乾燥の方法に特に制限はなく、たとえばヤンキードライヤー、シリンダードライヤー、エアドライヤー、赤外線ドライヤー等の公知のドライヤーを用いることができる。乾燥温度は特に制限されないが、通常100°C~180°C程度である。
本発明の無機繊維シートの坪量には特に限定はなく、たとえば5~350g/mとすることができるが、10~300g/mがより好ましい。坪量が上記範囲の下限値以上であれば、無機繊維シートの強度が充分に得られ、上記範囲の上限値以下であればハンドリングのよい剛度に抑えられる。
以下、実施例および比較例によって、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されない。
<実施例1>
チョップドストランドガラス繊維(1)(径6μm、長さ10mm)を水に分散することにより、スラリーA1(固形分濃度:0.2質量%)を得た。ついで、傾斜型抄紙機を用いて湿式抄紙法にて、スラリーAを抄紙し、湿潤ウェブ(紙匹)を形成した。
該湿潤ウェブに、β型セピオライトを水に分散させたスラリーB1を、得られる無機繊維シート100質量%中のβ型セピオライトの含有量が20質量%となるようにスプレー塗布し、乾燥し、表1に示す坪量、厚み、灰分の無機繊維シートを得た。
得られた無機繊維シートは前記傾斜型抄紙機の流れ方向に無機繊維が配向していた。
なお、β型セピオライトの含有量は、β型セピオライトを水に分散させたスラリーを付着させる前後の不織布の質量差から求められる。
<実施例2>
実施例1と坪量を変更した他は同様にして、表1に示す坪量、厚み、灰分の無機繊維シートを得た。
<比較例1>
チョップドストランドガラス繊維(2)(径9μm、長さ:12mm)およびPVAバインダー繊維を水に分散して、スラリーA2(固形分濃度:0.2質量%)を得た。ついで、長網式抄紙機を用いて湿式抄紙法にて、スラリーAを抄紙し、湿潤ウェブ(紙匹)を形成した。
該湿潤ウェブに、アクリル樹脂を、を水に分散させたスラリーB2を、得られる無機繊維シート100質量%中のアクリル樹脂の含有量が2質量%となるようにスプレー塗布し、表1に示す坪量、厚み、灰分の無機繊維シートを得た。
<比較例2>
比較例1と坪量を変更した他は同様にして、表1に示す坪量、厚み、灰分の無機繊維シートを得た。
<比較例3>
チョップドストランドガラス繊維(3)(径3μm、長さ:3mm)、及び広葉樹パルプ、PVAバインダー繊維を水に加え、これらの合計濃度が0.2質量%になるように調整し、原料スラリーを得た。ついで、湿式抄紙法にて、原料スラリーを抄紙し、湿潤ウェブを形成した。
該湿潤ウェブに、アクリル樹脂を、得られるシート100質量%中の付着量が5質量%となるようにスプレー塗布し、さらに、β型セピオライトを水に分散させたスラリーを、得られる無機繊維シート100質量%中のβ型セピオライトの含有量が25質量%となるようにスプレー塗布し、表1に示す坪量、厚み、灰分のシートを得た。
上記実施例および比較例で得られた無機繊維シートの坪量、厚みを表1に示した。
<灰分の測定>
上記実施例および比較例で得られた無機繊維シートについて以下の方法で灰分の測定を行った。測定値を表1に示した。
無機繊維シートから1g以上の試験片を切り出し、100°Cの高温乾燥器内に24時間放置したのち、シリカゲル入りデシケーターに2時間放置した。
空のるつぼをマッフル炉に入れ、525°C30分間加熱し、室温まで冷却して質量を0.1mgの精度で秤量した(Mm(mg))。次いで、前記の試験片をるつぼに入れた状態で、ただちに秤量(Ms(mg))した。
前記試験片を入れたるつぼをマッフル炉で525°C2時間加熱したのち、マッフル炉から取り出して、シリカゲル入りデシケーターで室温まで冷却して、灰化物を含むるつぼを質量を0.1mgの精度で秤量した(Ma(mg))。
灰分の計算は次による。
灰分X(%)= (Ma - Mm)÷(Ms - Mm)×100
<引張強度の測定>
上記実施例および比較例で得られた無機繊維シートについて以下の方法で引張強度の測定を行った。引張強度比率dおよびeを表1に示した。
(引張強度測定a)
得られた無機繊維シートから、前記流れ方向に沿った長さ240mm、幅15mmのサンプルを切り出した。
前記サンプルをJIS P8113に準じた方法で、23°C50%RH環境下で引張試験機(機種名: RTC-1210A、株式会社オリエンテック製)に試験長さ180mmとなるようセットして前記流れ方向に沿った引張強度を測定し、得られた値を引張強度aとした。
(引張強度測定b)
得られた無機繊維シートから、前記流れ方向に沿った長さ240mm、幅15mmのサンプルを切り出した。
前記サンプルを引張試験機(機種名:RTC-1210A、株式会社オリエンテック製)に試験長さ180mmとなるようセットし、引張試験機用恒温槽(機種名:TKC-R3T-C、株式会社オリエンテック製)にて200°Cで1時間加熱し、加熱したままの状態で、サンプル温度および雰囲気以外は前項同様に前記流れ方向に沿った引張強度を測定し、得られた値を引張強度bとした。
(引張強度測定c)
得られた無機繊維シートから、前記流れ方向に沿った長さ240mm、幅15mmのサンプルを切り出し、500°Cで2時間焼成した。
前記焼成サンプルをJIS P8113に準じた方法で、23°C50%RH環境下で引張試験機(機種名:テンシロン万能材料試験機RTC-1210A、株式会社オリエンテック製)に試験長さ180mmとなるようセットして前記流れ方向に沿った引張強度を測定し、得られた値を引張強度cとした。
引張強度比率d=(引張強度測定b)/(引張強度測定a)
引張強度比率e=(引張強度測定c)/(引張強度測定a)
<耐熱性評価>
上記実施例および比較例で得られた無機繊維シートから、前記流れ方向に沿った長さ300mm、幅200mmのサンプルを切り出した。このサンプルを50°Cの高温乾燥器内に24時間放置したのち、シリカゲル入りデシケーターに2時間放置した。このサンプルを鉛直に対し45°の角度で支持枠に固定し、アルコールランプの炎の長さを60mmに調整したのち炎の先端が試験体の中央下部に接するように30秒間加熱したときの、無機繊維シートからの煙の発生および形状変化を以下の基準に基づいて評価した。その結果を表1に示した。
(煙の発生評価基準)
○:煙の発生が目視で認められず、耐火性材料として優れている。
×:煙の発生が目視で認められ、無機繊維シートの成分の一部が分解または燃焼しており、耐火性材料として使用するには問題がある。
(形状変化評価基準)
○:加熱後にサンプルを支持枠から外して水平に保持したとき、形状変化が目視で認められず、耐熱性または耐火性材料として優れている。
×:加熱後にサンプルを支持枠から外して水平に保持したとき、加熱部位を中心に撓むまたは切れるなどの形状変化の発生が見られ、耐火性材料として使用するには問題がある。
Figure 0007243228000001
本発明の無機繊維シートである実施例1~2の無機繊維シートは、耐熱耐火性材料として優れたものであった。

Claims (3)

  1. 無機繊維51~99質量%と含水ケイ酸塩鉱物1~49質量%とを含有する無機繊維シートであり、
    前記無機繊維シートを200°C空気雰囲気で1時間処理した後の引張強度が処理前の前記無機繊維シートの引張強度の0.75以上であり、
    前記無機繊維シートを500°C空気雰囲気で2時間焼成した後の引張強度が処理前の前記無機繊維シートの引張強度の0.70以上であり、
    前記無機繊維の繊維長が6mm以上15mm以下であり、
    前記無機繊維がガラス繊維であり、灰分が95%以上である無機繊維シート。
  2. 坪量が5~350g/m2である、請求項1に記載の無機繊維シート。
  3. 請求項1または2に記載の無機繊維シートの製造方法であって、
    無機繊維を含むスラリーAを調整する工程、含水ケイ酸塩鉱物を含有するスラリーBを調整する工程、スラリーAを用いて湿式抄紙法によりシートを得る工程と、前記シートの表面にスラリーBを塗布する工程を有する、無機繊維シートの製造方法。
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