以下、本発明に係るシリンジ用キャップ、シリンジ組立体及びプレフィルドシリンジについて好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。プレフィルドシリンジ及びその構成要素に関する以下の説明では、図1の左側を「先端」、右側を「基端」という。
(第1実施形態)
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係るプレフィルドシリンジ12Aは、シリンジ本体14と、シリンジ本体14に着脱可能なシリンジ用キャップ10A(以下、単に「キャップ10A」ということがある。)とを備える。
シリンジ本体14は、シリンジ外筒16と、シリンジ外筒16内に摺動可能に挿入されたガスケット18と、ガスケット18に接続された押子20とを備える。本実施形態では、シリンジ外筒16及びキャップ10Aによりシリンジ組立体22Aが構成され、そのシリンジ組立体22Aのシリンジ外筒16内に薬剤Mを充填した状態で押子20が接続されたガスケット18を挿入することによってプレフィルドシリンジ12Aが組み立てられる。
シリンジ外筒16は、軸方向に延在する円筒状の胴体部24と、胴体部24の先端部から先端方向に突出する中空状のノズル部26と、ノズル部26の外周側に設けられたシリンジ側接続部28と、胴体部24の基端部に設けられたフランジ部30とを有する。胴体部24、ノズル部26、シリンジ側接続部28及びフランジ部30は、一体的に形成されている。
図2に示すように、ノズル部26は、先端に薬剤吐出口26aが設けられた円筒状部材であって、ルアーコネクタとして構成されている。シリンジ側接続部28は、ノズル部26と同心状に胴体部24の先端部から先端側に突出し、内周面に雌ねじ部32が形成されたロックアダプタである。シリンジ側接続部28には、キャップ10A及び図示しない注射針等が着脱可能である。
シリンジ外筒16の構成材料は、特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリエチレン、環状ポリオレフィン、ポリメチルペンテン1等のポリオレフィンや、ポリエステル、ナイロン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、フッ素樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアセタール樹脂(POM)等の樹脂材料や、ガラス等で形成されるとよい。シリンジ外筒16は、実質的に透明に構成されている。
図1において、ガスケット18は、シリンジ外筒16内を液密に且つ軸方向に摺動可能であり、シリンジ外筒16内に充填された薬剤Mを送り出す。押子20の先端は、ガスケット18に接続されている。
図2及び図3に示すように、キャップ10Aは、未開封状態でノズル部26の薬剤吐出口26aを塞ぐキャップ本体34と、キャップ本体34を覆う筒状のカバー部材36とを備える。
キャップ本体34の構成材料としては、ゴム又は合成樹脂性エラストマー等が挙げられる。ゴムとしては、例えば、イソプレンゴム、ブチルゴム、ラテックスゴム、シリコーンゴム等を用いることができる。合成樹脂性エラストマーとしては、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー等を用いることができる。
キャップ本体34は、装着筒部38(装着部)と、装着筒部38の先端から先端方向に延出した先端延出部40とを含む。装着筒部38は、装着筒部38の先端部に位置して薬剤吐出口26aを液密に封止可能な封止部42と、封止部42から隆起した隆起部44とを有する。封止部42は、ノズル部26の先端部、具体的にはノズル部26の先端面又はノズル部26の先端部の側周面に当接することで、薬剤吐出口26aを封止する。先端延出部40は、後述するように、ユーザが外部から視認するための視認部として機能する。
なお、薬剤吐出口26aを液密に封止するとは、薬剤Mがキャップ本体34の外部に漏れないことを指す。このため、封止部42がノズル部26の先端部の側周面とのみ当接している場合であっても、封止部42は薬剤吐出口26aを液密に封止している。
装着筒部38の内周面の基端部には、ノズル部26の先端部に当接可能な環状の当接凸部46(当接部)が設けられている(図5B参照)。キャップ本体34がノズル部26に装着された装着状態(未開封状態)において、当接凸部46は、圧縮変形した状態でノズル部26の外周面に接触している。
装着筒部38の外周面には、環状の膨出部48が設けられている。膨出部48は、キャップ本体34の最大外径となる部分である。膨出部48は、キャップ本体34の装着状態でノズル部26と後述する筒状接続部54とに挟まれて圧縮変形されている。
先端延出部40は、円柱状に構成されている。装着筒部38及び先端延出部40は、例えば、赤色等のユーザが比較的認識し易い色に着色されていてもよい。装着筒部38及び先端延出部40への着色は、装着筒部38及び先端延出部40の外表面に塗料を塗布してもよいし、予め着色されたゴム又は合成樹脂によってキャップ本体34を構成してもよい。
カバー部材36は、キャップ本体34がカバー部材36内をカバー部材36の中心軸Axに沿って変位するための収容空間Sを画成している。カバー部材36は、筒本体部材50、筒状マスク部材51及び先端カバー部材52を備える。
筒本体部材50は、円筒状に構成されており、透明性を有する樹脂材料(実質的に透明な樹脂材料)により構成されている。筒本体部材50は、その基端部に位置して螺合によりシリンジ側に着脱可能な筒状接続部54(基端筒状部)と、筒状接続部54の先端から先端方向に延びる先端筒状部56とを有する。
筒状接続部54の内周面の基端部には、径方向内方に延びる複数の係合爪部60(係合部、係合突起)が設けられている。複数の係合爪部60は、筒状接続部54の周方向に沿って間欠的に設けられている。具体的には、複数の係合爪部60は、筒状接続部54の周方向に沿って等間隔に設けられている。複数の係合爪部60の突出端(内端部)によって形成される孔の内径は、キャップ本体34の装着筒部38の基端部の外径よりも小さい。
すなわち、各係合爪部60のうち先端方向を指向する面は、カバー部材36の中心軸Axと直交する方向に延在した平坦面であって、キャップ本体34の基端面に接触可能である。また、係合爪部60は、係合爪部60の基端側に、先端方向内向きに傾斜した傾斜面を有している。
これにより、キャップ本体34を筒本体部材50の基端から筒本体部材50内に挿入して組み付ける際に、キャップ本体34が係合爪部60を容易に乗り越えることができる。筒状接続部54は、外部からカバー部材36内を目視するための基端表示部55を有する。基端表示部55は、筒状接続部54の外周部全体から構成されている。
先端筒状部56の基端には、シリンジ側接続部28の先端に当接可能な挿入規制部62が設けられている。挿入規制部62は、シリンジ側接続部28の先端に当接することで、筒状接続部54のシリンジ側接続部28とノズル部26との間への挿入長を規制する。筒状接続部54は、筒本体部材50と同心状に設けられた円筒部材であって、外周面に雌ねじ部32に螺合可能な雄ねじ部64が形成されている。
図3において、先端筒状部56の外周面の基端部には、環状凹部66が形成されている。環状凹部66の底面には、2つの貫通孔68が形成されている。2つの貫通孔68は、互いに対向している。
図3及び図4に示すように、先端筒状部56の外周面のうち環状凹部66よりも先端側には、カバー部材36の中心軸Axに沿って延在した2つの回り止め凸部69が形成されている。2つの回り止め凸部69は、先端筒状部56の周方向に位相が180°ずれた位置に設けられている。
図2において、先端筒状部56の内周面のうち環状凹部66の先端側には、先端カバー部材52を係止するための係止凸部70が径方向内方に向かって突出している。係止凸部70は、互いに対向するように2つ設けられている。
図2及び図3に示すように、筒状マスク部材51は、円筒状に構成されており、透明性を有しない樹脂材料(実質的に不透明な樹脂材料)により構成されている。筒状マスク部材51は、筒状マスク部材51の先端に設けられてキャップ本体34を筒状マスク部材51から露出させるための開口部71を有する。
筒状マスク部材51は、ユーザが手指によって摘み易い大きさに形成されている。筒状マスク部材51の外周面には、ユーザの手指の滑り止めとして機能する滑り止め部72が形成されている。滑り止め部72は、軸線方向に延在したリブ74が周方向に等間隔に複数設けられることによって形成されている。本実施形態では、リブ74は、先端筒状部56の周方向に6つ設けられている。このように、リブ74の数を6つにすることによって、筒本体部材50の成形性(射出成形の精度)が向上する。
図3及び図4において、筒状マスク部材51の内周面には、軸線方向に延在した複数の回り止め凹部75が周方向に等間隔に設けられている。本実施形態では、回り止め凹部75は、筒状マスク部材51の周方向に6つ設けられている。回り止め凹部75は、リブ74の反対側(裏側)に位置している。6つの回り止め凹部75のうちの2つには、先端筒状部56の2つの回り止め凸部69が挿入されている。回り止め凹部75の数は、回り止め凸部69の数に対応した数であってもよい。
図2において、先端カバー部材52は、縦断面が略U字状に形成されており、筒本体部材50と共にキャップ10Aを操作するユーザがキャップ本体34に触れることができないように、キャップ本体34を覆うものである。すなわち、先端カバー部材52は、接触阻止機能を有する。先端カバー部材52は、キャップ本体34が筒本体部材50の先端側の開口部77から離脱することを阻止する離脱阻止部としての機能も有する。
図2及び図3に示すように、先端カバー部材52は、筒状マスク部材51の開口部71から先端側に突出するように筒本体部材50の先端筒状部56に基端部が嵌合された環状部76と、環状部76の先端部に設けられた先端壁78とを有する。
環状部76は、先端側の環状周壁部80と、環状周壁部80から基端方向へ延びる筒状の延出内筒部82とからなる。環状部76の内径は、その先端から基端まで一定であり、先端延出部40の外径よりも大きい。換言すれば、先端カバー部材52の内径は、環状周壁部80の先端から延出内筒部82の基端にかけて実質的に均一である。
延出内筒部82の基端は、筒状接続部54の先端に接触している。延出内筒部82の外周面のうち筒本体部材50の環状凹部66に対応する部位には、筒本体部材50の係止凸部70に接触する円環状の係止爪84が設けられている。係止爪84の外径は、係止凸部70の離間間隔よりも大きい。本実施形態では、筒本体部材50及び先端カバー部材52は無色であるが、着色されていても構わない。
このようなキャップ10Aにおいて、キャップ本体34は、装着筒部38の少なくとも一部が筒状接続部54内に位置し、且つ、封止部42がノズル部26の薬剤吐出口26aを液密に封止する第1の位置(図2に示す位置)から、キャップ本体34の基端部が基端表示部55よりも先端側に位置する第2の位置(図5Bに示す位置)まで、収容空間S内を先端方向に向かって変位可能である。
図2に示すように、カバー部材36は、筒状接続部54、延出筒状部90及び係合爪部60を備える。筒状接続部54は、実質的に透明であり、カバー部材36の基端部に設けられる。延出筒状部90は、筒状接続部54から先端方向に延びている。延出筒状部90は、第1筒状部92及び第2筒状部94を有する。
第1筒状部92は、先端に開口部71と、内部に先端延出部40を収容可能な第1空間S1とを有する。第1筒状部92は、第1筒状部92の内周部を形成する延出内筒部82と、第1筒状部92の外周部を形成する筒状マスク部材51と、延出内筒部82及び筒状マスク部材51との間に位置する先端筒状部56とを含む。延出筒状部90の基端部(第1筒状部92)は、筒状接続部54の基端表示部55に隣接し、且つ、実質的に不透明である。
筒状接続部54は、第1筒状部92の基端から基端方向に延び、内部に装着筒部38(キャップ本体34の基端部)を収納可能な空間を有する。係合爪部60は、キャップ本体34の基端部に係合するように、筒状接続部54の内周面から突出しており、且つ、第1の位置に配置されたキャップ本体34の基端よりも基端側に配置されている。
第2筒状部94は、全体が透明であり、第1筒状部92の開口部71から先端方向に延びている。第2筒状部94は、環状周壁部80、先端壁78及び第2空間S2を備える。環状周壁部80は、第2空間S2を外部から目視するための先端表示部96を有する。先端表示部96は、環状周壁部80の全体から構成されている。先端壁78は、環状周壁部80の先端に設けられている。第2空間S2は、環状周壁部80、先端壁78及び第1筒状部92の先端の内縁から画成される。第1空間S1と第2空間S2とは、収容空間Sの一部を構成する。
このようなプレフィルドシリンジ12Aでは、図2に示すように、キャップ10Aの未開封状態で、キャップ本体34は、装着筒部38が筒状接続部54内に位置する第1の位置にある。キャップ本体34が第1の位置にある際に、装着筒部38の外周面の少なくとも一部が基端表示部55を介して視認可能である。
また、キャップ本体34が第1の位置にある際に、先端延出部40は、第1筒状部92の第1空間S1内に位置し、先端延出部40の外周面が実質的に視認できない。具体的に、キャップ本体34の先端は、筒状マスク部材51の開口部71よりも基端方向且つ先端カバー部材52の延出内筒部82内に位置している。これにより、先端延出部40の外周部は、実質的に不透明な第1筒状部92(筒状マスク部材51)に隠され、外部から視認できない。また、装着筒部38は、ノズル部26に装着された状態となっており、装着筒部38の封止部42は、ノズル部26の薬剤吐出口26aを液密に封止している。
キャップ10Aをシリンジ本体14から開封する場合、雄ねじ部64と雌ねじ部32との螺合を解除した状態でカバー部材36をシリンジ外筒16から引き抜く。そうすると、筒状接続部54の係合爪部60がキャップ本体34の基端面に接触する。そして、キャップ本体34が筒状接続部54によって先端方向に押され、装着筒部38がノズル部26から離脱される。これにより、キャップ10Aが開封されるに至る。
開封済みのキャップ10Aをシリンジ外筒16にリキャップする場合、シリンジ外筒16のノズル部26の先端部を筒状接続部54の基端側の開口部から筒状接続部54に挿入する。そうすると、ノズル部26の先端部がキャップ本体34の当接凸部46に接触する(図5A参照)。
続いて、筒本体部材50とシリンジ外筒16とを互いに近接させると、キャップ本体34の当接凸部46とノズル部26の先端部との当接により、第1の位置にあるキャップ本体34は、ノズル部26に押されて筒本体部材50に対して先端方向に変位し、先端延出部40が筒状マスク部材51の先端側の開口部71から先端側に突出する。
そして、図5Bに示すように、筒状接続部54の雄ねじ部64をシリンジ側接続部28の雌ねじ部32に螺合させることにより、開封済みのキャップ10Aがシリンジ外筒16に対してリキャップ(再装着)される。このとき、キャップ本体34は、キャップ本体34の基端部が基端表示部55よりも先端側に位置する第2位置にある。
キャップ本体34が第2の位置にある際に、キャップ本体34の基端部は、延出筒状部90の基端よりも先端側に位置し、且つ、キャップ本体34の基端部の外周面が延出筒状部90の基端部(第1筒状部92、筒状マスク部材51)に覆われる。換言すれば、キャップ本体34が第2の位置にある際に、キャップ本体34の基端部は、筒状接続部54よりも先端側に位置する。
このため、キャップ本体34が第2の位置にある際に、キャップ本体34の外周面は、基端表示部55を介して実質的に視認できない。また、キャップ本体34が第2の位置にある際に、先端延出部40は、第2筒状部94の第2空間S2に位置する。このため、視認部として機能する先端延出部40の外周部は、透明な第2筒状部94(先端カバー部材52)を介して、外部から視認可能となる。
この場合、本実施形態に係るキャップ10A、シリンジ組立体22A及びプレフィルドシリンジ12Aは、以下の効果を奏する。
キャップ10Aにおいて、キャップ本体34が第1の位置に位置した際に(キャップ10Aの未開封状態で)、ユーザは、基端表示部55を介して装着筒部38の外周面を視認することができる。また、キャップ本体34が第2の位置に位置した際に(キャップ10Aの開封済み状態で)、ユーザは、基端表示部55を介してキャップ本体34の外周面を実質的に視認できなくなる。すなわち、キャップ10Aの未開封状態と開封済み状態とで、キャップ本体34(装着筒部38)の見え方が変化する。よって、ユーザは、キャップ10Aの未開封状態と開封済み状態とを容易且つ確実に判別することができる。
延出筒状部90の基端部は、筒状接続部54の基端表示部55に隣接し、且つ、実質的に不透明である。キャップ本体34が第2の位置にある際に、キャップ本体34の基端部は延出筒状部90の基端よりも先端側に位置し、且つ、キャップ本体34の基端部の外周面が延出筒状部90の基端部に覆われる。
このような構成によれば、キャップ本体34が第2の位置にある際に、実質的に不透明な延出筒状部90の基端部によってキャップ本体34の基端部の外周面をより確実に視認できなくなる。そのため、キャップ本体34が第1の位置から第2の位置に変位した際に、ユーザは、キャップ本体34の見え方の変化を一層容易に認識することができる。
筒状接続部54は、実質的に透明である。基端表示部55は、筒状接続部54の外周部全体から構成されている。キャップ本体34が第1の位置にある際に、装着筒部38の外周面が、筒状接続部54を介して視認可能である。キャップ本体34が第2の位置にある際に、キャップ本体34の基端部は、筒状接続部54よりも先端側に位置する。
このような構成によれば、キャップ本体34が第1の位置にある際に、装着筒部38の外周面をより確実に視認することができる。そのため、キャップ本体34が第1の位置から第2の位置に変位した際に、ユーザは、キャップ本体34の見え方の変化を一層容易に認識することができる。
係合爪部60は、キャップ本体34の基端部に係合するように、筒状接続部54の内周面から突出しており、且つ第1の位置に配置されたキャップ本体34の基端よりも基端側に配置されている。
このような構成によれば、キャップ本体34が第1の位置から第2の位置に変位する際に、係合爪部60が邪魔にならないため、キャップ本体34を円滑に変位させることができる。
キャップ本体34は、装着筒部38の先端に配置された先端延出部40を備える。延出筒状部90は、先端に開口部71と、内部に先端延出部40を収納可能な第1空間S1と、を有し、実質的に不透明な第1筒状部92と、第1筒状部92の開口部71から先端方向に延びる第2筒状部94とを備える。第2筒状部94は、第1筒状部92の先端から先端方向に延びる環状周壁部80と、環状周壁部80の先端に配置された先端壁78と、環状周壁部80、先端壁78及び第1筒状部92の先端の内縁から画成される第2空間S2とを有する。
環状周壁部80は、第2空間S2内を外部から目視するための先端表示部96を有する。第1空間S1と第2空間S2とは、収容空間Sの一部を構成している。キャップ本体34が第1の位置にある際に、視認部(先端延出部40)は、第1筒状部92の第1空間S1内に位置し、視認部(先端延出部40)の外周面が実質的に視認できない。キャップ本体34が第2の位置にある際に、視認部(先端延出部40)は、第2筒状部94の第2空間S2内に位置し、視認部(先端延出部40)の外周面が視認可能となる。
このような構成によれば、キャップ本体34が第1の位置から第2の位置に変位する際に、視認部(先端延出部40)の外周面が実質的に視認できない状態から視認可能となるため、ユーザは、キャップ本体34の見え方の変化を一層容易に認識することができる。
第2筒状部94は、少なくとも環状周壁部80が実質的に透明である。先端表示部96は、環状周壁部80の全体から構成されている。
このような構成によれば、キャップ本体34が第2の位置にある際に、視認部(先端延出部40)の視認性が良くなる。そのため、ユーザは、キャップ本体34の見え方の変化を一層容易に認識することができる。
カバー部材36は、第1筒状部92の少なくとも外周部を構成し、実質的に不透明な筒状マスク部材51と、第2筒状部94を有し、実質的に透明な先端カバー部材52と、筒状接続部54とを備える。
このような構成によれば、キャップ本体34が第1の位置にある際に、キャップ本体34の視認部(先端延出部40)を筒状マスク部材51によって隠すことができる。また、キャップ本体34が第2の位置にある際に、キャップ本体34の基端部(装着筒部38)の外周面を筒状マスク部材51によって隠すことができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るプレフィルドシリンジ12Bについて説明する。なお、プレフィルドシリンジ12Bの説明において、上述したプレフィルドシリンジ12Aと同一の構成については、同一の参照符号を付し、その説明を省略する。また、プレフィルドシリンジ12Bにおいて、上述したプレフィルドシリンジ12Aと同様の構成については同様の効果を奏する。
図6Aに示すように、プレフィルドシリンジ12Bは、シリンジ本体14と、キャップ10Bとを備える。本実施形態では、シリンジ本体14のシリンジ外筒16及びキャップ10Bによりシリンジ組立体22Bが構成される。
キャップ10Bは、キャップ本体34と、カバー部材100とを備える。カバー部材100は、キャップ本体34がカバー部材100内をカバー部材100の中心軸Axに沿って変位する収容空間Sを画成する。カバー部材100は、筒本体部材102及び筒状マスク部材104を有する。
筒本体部材102は、円筒状に構成されており、透明性を有する樹脂材料(実質的に透明な樹脂材料)により構成されている。筒本体部材102は、その基端部に位置する筒状接続部54と、筒状接続部54の先端から先端方向に延びる先端筒状部106とを有する。筒状接続部54の内周面の基端部には、係合爪部60が設けられている。先端筒状部106の基端には、シリンジ側接続部28の先端に当接可能な挿入規制部62が設けられている。
筒状マスク部材104は、透明性を有しない樹脂材料(実質的に不透明な樹脂材料)により構成されている。筒状マスク部材104は、透明な筒本体部材102の先端部の外周面を覆う円筒状のマスク本体108と、筒本体部材102の先端側の開口部110を閉塞する先端閉塞部112とを含む。
マスク本体108は、先端筒状部106の外周面の全体を覆うように先端筒状部106に外嵌している。すなわち、マスク本体108は、先端筒状部106の基端(挿入規制部62)から先端筒状部106の先端まで延在している。先端閉塞部112は、マスク本体108とは別部材である。先端閉塞部112は、閉塞部本体114と、閉塞部本体114から基端方向に突出して筒本体部材102の先端側の開口部110に嵌入される嵌合凸部116とを有する。閉塞部本体114の外縁部は、先端筒状部106の先端とマスク本体108の先端とに当接している。つまり、先端閉塞部112は、先端筒状部106に対するマスク本体108の抜け止めとして機能する。
このようなキャップ10Bにおいて、カバー部材100は、筒状接続部54、延出筒状部118及び係合爪部60を備える。延出筒状部118は、筒状接続部54から先端方向に延びている。延出筒状部118は、先端筒状部106と筒状マスク部材104とを有する。
本実施形態に係るキャップ10Bでは、キャップ本体34が第1の位置にある際に、キャップ本体34の基端部(装着筒部38)の外周面が基端表示部55を介して視認可能である。また、キャップ本体34が第1の位置にある際に、先端延出部40の全体がマスク本体108の基端よりも先端側に位置しているため、先端延出部40の外周面が実質的に視認できない(図6A参照)。一方、キャップ本体34が第2の位置にある際に、キャップ本体34の基端がマスク本体108の基端よりも先端側に位置するため、キャップ本体34の全体が実質的に視認できなくなる(図6B参照)。
本実施形態において、カバー部材100は、収容空間Sの基端部を画成し、係合爪部60を有する実質的に透明な筒本体部材102と、筒本体部材102の先端部の外周面を覆う実質的に不透明な筒状マスク部材104とを備える。筒状接続部54は、筒本体部材102の基端部から構成され、延出筒状部118は、筒本体部材102の先端部と筒状マスク部材104とを有する。
このような構成によれば、キャップ本体34が第1の位置にある際に、キャップ本体34の先端延出部40を筒状マスク部材104によって隠すことができる。また、キャップ本体34が第2の位置にある際に、キャップ本体34の基端部(装着筒部38)の外周面を筒状マスク部材104によって隠すことができる。
筒本体部材102は、先端に開口部110を有する。筒状マスク部材104は、筒本体部材102の先端部の外周面を覆う筒状のマスク本体108と、筒本体部材102の開口部110を閉塞する先端閉塞部112とを有する。
このような構成によれば、キャップ本体34が第1の位置にある際に、キャップ本体34をマスク本体108によって確実に隠すことができる。また、キャップ本体34が第1の位置から第2の位置に変位する際に、キャップ本体34が筒本体部材102の先端側から離脱することを先端閉塞部112によって防止することができる。
キャップ10Bにおいて、マスク本体108は、先端筒状部106の内周面に設けられてもよい。キャップ10Bにおいて、筒本体部材102は、延出筒状部118の基端部のみを形成してもよい。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係るプレフィルドシリンジ12Cについて説明する。なお、プレフィルドシリンジ12Cの説明において、上述したプレフィルドシリンジ12Bと同一の構成については、同一の参照符号を付し、その説明を省略する。また、プレフィルドシリンジ12Cにおいて、上述したプレフィルドシリンジ12A、12Bと同様の構成については同様の効果を奏する。
図7Aに示すように、プレフィルドシリンジ12Cは、シリンジ本体14と、キャップ10Cとを備える。本実施形態では、シリンジ本体14のシリンジ外筒16及びキャップ10Cによりシリンジ組立体22Cが構成される。
キャップ10Cは、キャップ本体34と、カバー部材120とを備える。カバー部材120は、キャップ本体34がカバー部材120内を中心軸Axに沿って変位するための収容空間Sを画成する。カバー部材120は、筒本体部材122及び先端閉塞部112を有する。
筒本体部材122は、円筒状に構成されており、透明性を有しない樹脂材料(実質的に不透明な樹脂材料)により構成されている。筒本体部材122は、その基端部に位置する筒状接続部54と、筒状接続部54の先端から先端方向に延びる先端筒状部106とを有する。
図7A及び図8に示すように、筒状接続部54は、外部から筒状接続部54内を目視するための基端表示部126を有する。基端表示部126は、筒状接続部54の側壁部に形成された2つの窓部128を含む。2つの窓部128は、筒状接続部54の周方向に180°位相がずれて配置されている。各窓部128は、筒状接続部54の先端側に位置している。換言すれば、キャップ本体34が第1の位置にある際に、各窓部128は、キャップ本体34の装着筒部38に対向する。各窓部128は、円形状に形成されている(図8参照)。図7Aにおいて、先端閉塞部112は、筒本体部材122の先端側の開口部124を閉塞する。
このようなキャップ10Cにおいて、カバー部材120は、筒状接続部54、延出筒状部134及び係合爪部60を備える。延出筒状部134は、筒状接続部54から先端方向に延びている。延出筒状部134は、先端筒状部106と先端閉塞部112とを有する。
本実施形態に係るキャップ10Cでは、キャップ本体34が第1の位置にある際に、キャップ本体34の基端部(装着筒部38)の外周面が基端表示部126(窓部128)を介して視認可能である。また、キャップ本体34が第1の位置にある際に、先端延出部40の全体が基端表示部126(窓部128)よりも先端側に位置しているため、先端延出部40の外周面が実質的に視認できない(図7A参照)。一方、キャップ本体34が第2の位置にある際に、キャップ本体34の基端が基端表示部126(窓部128)の基端よりも先端側に位置するため、キャップ本体34の全体が実質的に視認できなくなる(図7B参照)。
本実施形態において、筒状接続部54は、実質的に不透明であり、且つ、筒状接続部54の側壁部に径方向に開口し、基端表示部126を構成する窓部128を有する。キャップ本体34が第1の位置にある際に、装着筒部38の外周面の少なくとも一部が、窓部128を介して視認可能であり、キャップ本体34が第2の位置にある際に、キャップ本体34の基端部は窓部128よりも先端側に位置する。
このような構成によれば、キャップ本体34が第1の位置にある際に、窓部128を介して装着筒部38の外周面の一部を確実に視認することができる。
キャップ10Cにおいて、窓部128の大きさ、形状、位置、数については、適宜変更可能である。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態に係るプレフィルドシリンジ12Dについて説明する。なお、プレフィルドシリンジ12Dの説明において、上述したプレフィルドシリンジ12Aと同一の構成については、同一の参照符号を付し、その説明を省略する。また、プレフィルドシリンジ12Dにおいて、上述したプレフィルドシリンジ12Aと同様の構成については同様の効果を奏する。
図9に示すように、プレフィルドシリンジ12Dは、シリンジ本体140と、シリンジ本体140に着脱可能なキャップ10Dとを備える。シリンジ本体140は、生体の皮膚に穿刺可能な針体142と、針体142の基端側に設けられたシリンジ外筒144とを備える。本実施形態では、シリンジ外筒144、針体142及びキャップ10Dによりシリンジ組立体22Dが構成され、そのシリンジ組立体22Dのシリンジ外筒144内に薬剤Mを充填した状態で押子20(図1参照)が接続されたガスケット18(図1参照)を挿入することによってプレフィルドシリンジ12Dが組み立てられる。
図9及び図10において、針体142は、先端に鋭利な針先を有する中空状の管状部材である。針体142の先端には、シリンジ外筒144内の薬剤Mを吐出するための薬剤吐出口142aが形成されている。針体142は、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム或いはアルミニウム合金、チタン或いはチタン合金のような金属材料又はポリフェニレンサルファイド等の硬質樹脂材料等によって構成される。針体142は、キャップ10Dによって保護される。
シリンジ外筒144は、軸方向に延在する円筒状の胴体部24と、胴体部24の先端部から先端方向に突出する針ハブ146とを有する。胴体部24の先端部は、針ハブ146の基端に向かって縮径した肩部24aを構成している。シリンジ外筒144の構成材料としては、上述したシリンジ外筒16と同様の構成材料が挙げられる。
図9において、針ハブ146には、針体142の基端側が挿入される針挿入孔148が形成されている。針体142の基端側は、針挿入孔148を構成する壁面に対して固定されている。針体142の固定方法としては、インサート成形、高周波やレーザーによる熱溶着、接着剤による接着等が挙げられる。このような針ハブ146と針体142とから、先端に薬剤吐出口142aを有するノズル部150が構成されている。
図9及び図10に示すように、キャップ10Dは、未開封状態でノズル部150(針体142)の薬剤吐出口142aを塞ぐキャップ本体152と、キャップ本体152を覆うカバー部材154とを備える。キャップ本体152の構成材料としては、上述したキャップ本体34の構成材料と同様のものが挙げられる。
キャップ本体152は、針ハブ146が装着される装着筒部156(装着部)と、装着筒部156の先端から先端方向に延出した先端延出部158と、装着筒部156の基端部に設けられた大径基端部160とを有する。装着筒部156は、装着筒部156の先端部に位置して薬剤吐出口142aを液密に封止可能な封止部162を含む。封止部162は、針体142の先端部が穿刺されることによって薬剤吐出口142aを封止する。先端延出部158は、後述するように、ユーザが外部から視認するための視認部として機能する。先端延出部158は、円柱状に構成されている。
装着筒部156の基端部には、ノズル部150(針ハブ146)の先端部に当接可能な環状の当接凸部164(当接部)が設けられている。装着筒部156内には、針体142及び針ハブ146を収容する空間S3が形成されている。大径基端部160は、装着筒部156の外径よりも大きな外径を有する。
カバー部材154は、キャップ本体152がカバー部材154内をカバー部材154の中心軸Axに沿って変位するための収容空間Sを画成している。カバー部材154は、筒本体部材166、筒状マスク部材168及び先端カバー部材170を備える。
筒本体部材166は、円筒状に構成されており、透明性を有する樹脂材料(実質的に透明な樹脂材料)により構成されている。筒本体部材166は、筒本体部材166の基端部を構成する基端筒状部172と、基端筒状部172から先端方向に延びる先端筒状部174とを含む。基端筒状部172は、外部から筒本体部材166(カバー部材154)内を目視するための基端表示部176を有する。
図9及び図10に示すように、筒本体部材166の外径は、ユーザが手指によって摘み易い大きさに形成されている。筒本体部材166の外周面には、ユーザの手指の滑り止めとして機能する滑り止め部178が形成されている。滑り止め部178は、周方向に延在した複数の環状のリブ180が軸線方向に互いに離間して設けられることによって形成されている。
筒本体部材166の内周面の基端部には、キャップ本体152の基端面に接触する複数(図10では6つ)の係合爪部182(係合部、係合突起)が筒本体部材166の周方向に等間隔に設けられている。つまり、周方向に互いに隣接する係合爪部182の間には所定の隙間が形成されている。各係合爪部182は、筒本体部材166の内周面から先端方向へ傾斜するように延び、筒本体部材166の径方向に弾性変形可能に構成されている。
各係合爪部182の先端面は、平坦に形成されている。各係合爪部182が弾性変形していない状態で、複数の係合爪部182の内端によって形成される中央孔184の孔径は、大径基端部160の外径よりも小さい。筒本体部材166の内周面の先端部には、先端カバー部材170を係止するための円環状の係止溝186が形成されている。
筒状マスク部材168は、透明性を有しない樹脂材料(実質的に不透明な樹脂材料)によりフィルム状に形成されている。筒状マスク部材168は、筒本体部材166(先端筒状部174)の外周面に設けられている。筒状マスク部材168は、例えば、いわゆるシュリンクフィルムとして構成されている。つまり、筒状マスク部材168は、熱収縮によって筒本体部材166の外周面に密着されている。ただし、筒状マスク部材168は、フィルム材に限定されず、硬質な樹脂材料によって筒状に構成されてもよい。筒状マスク部材168は、接着剤等によって筒本体部材166の外周面に接着されてもよい。
筒状マスク部材168は、先端筒状部174の先端から基端表示部176の先端まで延在している。すなわち、筒本体部材166の基端表示部176は、筒状マスク部材168によって覆われていない。筒状マスク部材168は、キャップ本体152が第1の位置に位置する際に、先端延出部158及び装着筒部156の一部を外部から実質的に視認できないように覆っている。
先端カバー部材170は、透明性を有する樹脂材料で一体的に成形されている。本実施形態では、筒本体部材166及び先端カバー部材170は無色であるが、着色されていても構わない。先端カバー部材170は、縦断面が略U字状に形成されており、筒本体部材166と共に、キャップ10Dを操作するユーザがキャップ本体152に触れることができないように、キャップ本体152を覆うものである。
すなわち、先端カバー部材170は、接触阻止機能を有する。また、先端カバー部材170は、キャップ本体152が筒本体部材166の先端側から離脱することを阻止する離脱阻止部としての機能も有する。先端カバー部材170は、筒状マスク部材168の開口部188から先端側に突出するように筒本体部材166の先端部に基端部が嵌合された環状部190と、環状部190の先端部に設けられた先端壁192とを有する。
環状部190は、先端側の環状周壁部194と、環状周壁部194の基端から基端方向へ延びる筒状の延出内筒部196とからなる。環状部190の内径は、その先端から基端まで一定であり、先端延出部158の外径よりも僅かに大きい(図2参照)。延出内筒部196の外周面には、筒本体部材166の係止溝186に装着可能な円環状の係止爪198が設けられている。
このようなキャップ10Dにおいて、キャップ本体152は、装着筒部156の少なくとも一部が基端筒状部172内に位置し、且つ、封止部162がノズル部150(針体142)の薬剤吐出口142aを液密に封止する第1の位置(図9に示す位置)から、キャップ本体152の基端部が基端表示部176よりも先端側に位置する第2の位置(図11Bに示す位置)まで、収容空間S内を先端方向に向かって変位可能である。
図9において、カバー部材154は、基端筒状部172、延出筒状部200及び係合爪部182を備える。先端筒状部174は、基端筒状部172から先端方向に延びている。延出筒状部200は、第1筒状部202及び第2筒状部204を有する。
第1筒状部202は、先端に開口部188と、内部に先端延出部158を収容可能な第1空間S1とを有する。第1筒状部202は、実質的に不透明に構成されている。第1筒状部202は、延出内筒部196、先端筒状部174及び筒状マスク部材168を含む。
第2筒状部204は、全体が透明であり、第1筒状部202の開口部188から先端方向に延びている。第2筒状部204は、環状周壁部194と、先端壁192と、第2空間S2とを有する。環状周壁部194は、第1筒状部202の先端から先端方向に延びる。第2空間S2は、環状周壁部194、先端壁192及び第1筒状部202の先端の内縁から画成される。環状周壁部194は、第2空間S2内を外部から目視するための先端表示部206を有する。先端表示部206は、環状周壁部194の全体から構成されている。第1空間S1と第2空間S2とは、収容空間Sの一部を構成する。
このようなプレフィルドシリンジ12Dでは、キャップ10Dの未開封状態で、キャップ本体152は、装着筒部156の一部が基端筒状部172内に位置する第1の位置にある。キャップ本体152が第1の位置にある際に、装着筒部156の外周面の一部が基端表示部176を介して視認可能である。
また、キャップ本体152が第1の位置にある際に、先端延出部158は、第1筒状部202の第1空間S1内に位置し、先端延出部158の外周面が実質的に視認できない。具体的に、キャップ本体152の先端は、筒状マスク部材168の開口部188よりも基端方向且つ先端カバー部材170の延出内筒部196内に位置している。これにより、先端延出部158の外周部は、実質的に不透明な第1筒状部202(筒状マスク部材168)に隠され、外部から視認できない。また、装着筒部156は、針ハブ146に装着された状態となっており、装着筒部156の封止部162は、針体142の薬剤吐出口142aを液密に封止している。
キャップ10Dをシリンジ本体140から開封する場合、カバー部材154をシリンジ外筒144から引き抜く。そうすると、カバー部材154の係合爪部182がキャップ本体152の基端面に接触する。そして、キャップ本体152が筒状接続部54によって先端方向に押され、装着筒部156がノズル部150から離脱される。これにより、キャップ10Dが開封されるに至る。
開封済みのキャップ10Dをシリンジ外筒144にリキャップする場合、キャップ本体152の基端方向からキャップ本体152の空間S3に針体142及び針ハブ146を挿入させる。そうすると、図11Aにおいて、キャップ本体152の当接凸部164が針ハブ146の先端面に接触して先端方向に押され、キャップ本体152が第1の位置から第2の位置まで変位する。図11Bにおいて、キャップ本体152が第2の位置にある際に、キャップ本体152の基端部は、先端筒状部174の基端よりも先端側に位置し、且つ、キャップ本体152の基端部の外周面が先端筒状部174の基端部(第1筒状部202、筒状マスク部材168)に覆われる。
換言すれば、キャップ本体152が第2の位置にある際に、キャップ本体152の基端部は、基端表示部176よりも先端側に位置する。このため、キャップ本体152が第2の位置にある際に、キャップ本体152の外周面は、基端表示部176を介して実質的に視認できない。また、キャップ本体152が第2の位置にある際に、先端延出部158は、第2筒状部204の第2空間S2に位置する。このため、視認部として機能する先端延出部158の外周部は、透明な第2筒状部204(先端カバー部材170)を介して、外部から視認可能となる。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態に係るプレフィルドシリンジ12Eについて説明する。なお、プレフィルドシリンジ12Eの説明において、上述したプレフィルドシリンジ12A、12Dと同一の構成については、同一の参照符号を付し、その説明を省略する。また、また、プレフィルドシリンジ12Eにおいて、上述したプレフィルドシリンジ12A、12Dと同様の構成については同様の効果を奏する。
図12に示すように、プレフィルドシリンジ12Eは、シリンジ本体210と、シリンジ本体210に着脱可能なキャップ10Eとを備える。シリンジ本体210は、シリンジ外筒212を有する。本実施形態では、シリンジ外筒212及びキャップ10Eによりシリンジ組立体22Eが構成され、そのシリンジ組立体22Eのシリンジ外筒212内に薬剤Mを充填した状態で押子20(図1参照)が接続されたガスケット18(図1参照)を挿入することによってプレフィルドシリンジ12Eが組み立てられる。
図12及び図13に示すように、シリンジ外筒212は、胴体部24の先端部から先端方向に突出する中空状のノズル部214を有する。ノズル部214は、先端に薬剤吐出口214aが設けられたメスルアーであって、ノズル部214の外周面には、図示しないオスルアーを装着するための先端側突出部216と、キャップ10Eの未開封状態で後述する筒本体部材240の内周面が接触する基端側突出部218とが設けられている。ノズル部214の内周面の基端には、キャップ本体222を係止するための環状凸部220が設けられている(図12参照)。シリンジ外筒212の構成材料は、上述したシリンジ外筒16と同様のものが挙げられる。
キャップ10Eは、キャップ本体222と、キャップ本体222を覆うカバー部材224とを有する。キャップ本体222の構成材料としては、上述したキャップ本体34の構成材料と同様のものが挙げられる。
キャップ本体222は、キャップ本体222の先端部に位置する先端延出部226と、先端延出部226の基端側に設けられた中間部228と、中間部228の基端側に設けられた装着部230とを有する。先端延出部226は、後述するように、ユーザが外部から視認するための視認部として機能する。
先端延出部226の外径は、ノズル部214の先端外径よりも大きい。中間部228は、その全長に亘って先端延出部226の外径よりも小さな外径を有する。先端延出部226と中間部228との境界部には、基端方向に向いた基端段差面232が形成されている。
装着部230は、中間部228の外径よりも小さい外径を有し、ノズル部214内に挿入される。装着部230の外周面には、ノズル部214の内周面に液密に接触する複数(図12及び図13では3つ)の円環状のシール突起234(封止部)と、環状凸部220に嵌合する環状凹部236とが設けられている。複数のシール突起234は、キャップ本体222の軸方向に等間隔に離間している。環状凹部236は、装着部230の基端部に位置している。また、装着部230の基端部は、ノズル部214の内周面に液密に接触する。
このようなキャップ本体222は、装着部230がノズル部214内に挿入されて、装着部230の基端部がノズル部214の内周面に液密に接触することによって、ノズル部214が封止される。キャップ本体222には、その先端面に開口した肉抜き部238(肉抜き空間)が形成されている。肉抜き部238は、装着部230における最も基端側に位置するシール突起234の位置まで延在している。
図12において、カバー部材224は、キャップ本体222がカバー部材224内をカバー部材224の中心軸Axに沿って変位するための収容空間Sを画成している。カバー部材224は、筒本体部材240、筒状マスク部材242及び先端カバー部材170を備える。
筒本体部材240は、円筒状に構成されており、透明性を有する樹脂材料(実質的に透明な樹脂材料)により構成されている。筒本体部材240は、筒本体部材240の基端部を構成する基端筒状部244と、基端筒状部244から先端方向に延びる先端筒状部246とを含む。基端筒状部244は、外部から筒本体部材240(カバー部材224)内を目視するための基端表示部248を有する。
図12及び図13に示すように、先端筒状部246の外径は、ユーザが手指によって摘み易い大きさに形成されている。先端筒状部246の内周面の先端部には、先端カバー部材170を係止するための円環状の係止溝186が形成されている。
筒本体部材240の内周面には、基端段差面232に接触する複数(図13では3つ)の係合爪部250(係合部、係合突起)が筒本体部材240の周方向に等間隔設けられている。つまり、周方向に互いに隣接する係合爪部250の間には所定の隙間が形成されている。各係合爪部250は、筒本体部材240の内周面から先端方向へ傾斜するように延び、筒本体部材240の径方向に弾性変形可能に構成されている。各係合爪部250の先端面は、平坦に形成されている。複数の係合爪部250の内端によって形成される中央孔252の孔径は、先端延出部226の外径よりも小さい。筒本体部材240の基端側の内径は、シリンジ外筒212の胴体部24の外径に嵌合する大きさに設定されている。
筒状マスク部材242は、透明性を有しない樹脂材料(実質的に不透明な樹脂材料)によりフィルム状に形成されている。筒状マスク部材242は、筒本体部材240(先端筒状部246)の外周面に設けられている。筒状マスク部材242は、上述した筒状マスク部材168と同様に構成されている。筒状マスク部材242は、筒状マスク部材242の先端に設けられてキャップ本体222を筒状マスク部材242から露出させるための開口部245を有する。
筒状マスク部材242は、先端筒状部246の先端から基端表示部248の先端まで延在している。すなわち、筒本体部材240の基端表示部248は、筒状マスク部材242によって覆われていない。筒状マスク部材242は、キャップ本体222が第1の位置に位置する際に、先端延出部226及び装着部230の一部を外部から実質的に視認できないように覆っている。
このようなキャップ10Eにおいて、キャップ本体222は、装着部230の一部が基端筒状部244内に位置し、且つ、封止部42がノズル部214の薬剤吐出口214aを液密に封止する第1の位置(図12に示す位置)から、キャップ本体222の基端部が基端表示部248よりも先端側に位置する第2の位置(図14Bに示す位置)まで、収容空間S内を先端方向に向かって変位可能である。
カバー部材224は、基端筒状部244、延出筒状部254及び係合爪部250を備える。延出筒状部254は、基端筒状部244から先端方向に延びている。先端筒状部246は、第1筒状部256及び第2筒状部258を有する。
第1筒状部256は、先端に開口部245と、内部に先端延出部226を収容可能な第1空間S1とを有する。第1筒状部256は、実質的に不透明に構成されている。第1筒状部256は、延出内筒部196、先端筒状部246及び筒状マスク部材242を含む。
第2筒状部258は、全体が略透明であり、第1筒状部256の開口部245から先端方向に延びている。第2筒状部258は、環状周壁部194と、先端壁192と、第2空間S2とを有する。環状周壁部194は、第1筒状部256の先端から先端方向に延びる。第2空間S2は、環状周壁部194、先端壁192及び第1筒状部256の先端の内縁から画成される。環状周壁部194は、第2空間S2内を外部から目視するための先端表示部206を有する。先端表示部206は、環状周壁部194の全体から構成されている。第1空間S1と第2空間S2とは、収容空間Sの一部を構成する。
このようなプレフィルドシリンジ12Eでは、キャップ10Eの未開封状態で、キャップ本体222は、装着部230の一部が基端筒状部244内に位置する第1の位置にある。キャップ本体222が第1の位置にある際に、装着筒部38の外周面の少なくとも一部が基端表示部248を介して視認可能である。また、キャップ本体222が第1の位置にある際に、先端延出部226は、第1筒状部256の第1空間S1内に位置し、先端延出部226の外周面が実質的に視認できない。
具体的に、キャップ本体222の先端は、筒状マスク部材242の開口部245よりも基端方向且つ先端カバー部材170の延出内筒部82内に位置している。これにより、先端延出部226の外周部は、実質的に不透明な第1筒状部256(筒状マスク部材242)に隠され、外部から視認できない。また、装着筒部38は、ノズル部214に装着された状態となっており、装着部230のシール突起234は、ノズル部214の薬剤吐出口214aを液密に封止している。
キャップ10Eを開封する場合、ユーザは、カバー部材224をシリンジ本体210に対して先端方向に相対変位させる。そうすると、カバー部材224がキャップ本体222に対して先端方向に変位するため、各係合爪部250が基端段差面232に接触する。そして、カバー部材224をシリンジ本体210に対して先端方向にさらに相対変位させると、各係合爪部250によって基端段差面232が先端方向に押され、キャップ本体222の装着部230がノズル部214内から抜け出る。これにより、キャップ10Eが開封されるに至る。
開封済みのキャップ10Eをシリンジ本体210にリキャップする場合、図14Aに示すように、カバー部材224をシリンジ本体210に対して基端方向に相対変位させる。そうすると、キャップ本体222の装着部230の基端部がノズル部214に接触してキャップ本体222の基端方向の変位が規制される。そして、カバー部材224をシリンジ本体210に対して基端方向にさらに相対変位させると、カバー部材224がキャップ本体222に対して基端方向に変位するため、先端延出部226が第1筒状部256の開口部245よりも先端方向に突出する。すなわち、キャップ本体222が第1の位置から第2の位置まで変位する。
図14Bにおいて、キャップ本体222が第2の位置にある際に、キャップ本体222の基端部は、先端筒状部246の基端よりも先端側に位置し、且つ、キャップ本体222の基端部の外周面が先端筒状部246の基端部(第1筒状部256、筒状マスク部材242)に覆われる。換言すれば、キャップ本体222が第2の位置にある際に、キャップ本体222の基端部は、基端表示部248よりも先端側に位置する。このため、キャップ本体222が第2の位置にある際に、キャップ本体222の外周面は、基端表示部248を介して実質的に視認できない。また、キャップ本体222が第2の位置にある際に、先端延出部226は、第2筒状部258の第2空間S2に位置する。このため、視認部として機能する先端延出部226の外周部は、透明な第2筒状部258(先端カバー部材170)を介して、外部から視認可能となる。
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態に係るプレフィルドシリンジ12Fについて説明する。なお、プレフィルドシリンジ12Fにおいて、上述したプレフィルドシリンジ12Aと同一の構成については、同一の参照符号を付し、その説明を省略する。また、プレフィルドシリンジ12Fにおいて、上述したプレフィルドシリンジ12Aと同様の構成については同様の効果を奏する。
図15Aに示すように、プレフィルドシリンジ12Fは、シリンジ本体14と、キャップ10Fとを備える。本実施形態では、シリンジ本体14のシリンジ外筒16及びキャップ10Fによりシリンジ組立体22Fが構成される。
キャップ10Fは、キャップ本体34と、カバー部材260とを備える。カバー部材260は、キャップ本体34がカバー部材260内をカバー部材260の中心軸Axに沿って変位する収容空間Sを画成する。カバー部材260は、筒本体部材262及び筒状マスク部材264を有する。
筒本体部材262は、円筒状に構成されており、透明性を有する樹脂材料(実質的に透明な樹脂材料)により構成されている。筒本体部材262は、その基端部に位置する筒状接続部54と、筒状接続部54の先端から先端方向に延びる先端筒状部266とを有する。筒状接続部54の内周面の基端部には、係合爪部60が設けられている。先端筒状部266の基端には、シリンジ側接続部28の先端に当接可能な挿入規制部62が設けられている。
筒状マスク部材264は、透明性を有しない樹脂材料(実質的に不透明な樹脂材料)により構成されている。筒状マスク部材264は、透明な筒本体部材262の先端部の内周面を覆う円筒状のマスク本体268と、筒本体部材262の先端側の開口部270を閉塞する先端閉塞部272とを含む。
マスク本体268は、先端筒状部266の内周面の全体を覆うように先端筒状部266に内嵌している。すなわち、マスク本体268は、先端筒状部266の基端(挿入規制部62)から先端筒状部266の先端まで延在している。先端閉塞部272の外縁部は、先端筒状部266の先端に当接している。
このようなキャップ10Fにおいて、カバー部材260は、筒状接続部54、延出筒状部274及び係合爪部60を備える。延出筒状部274は、筒状接続部54から先端方向に延びている。延出筒状部274は、先端筒状部266と筒状マスク部材264とを有する。
本実施形態に係るキャップ10Fでは、キャップ本体34が第1の位置にある際に、キャップ本体34の基端部(装着筒部38)の外周面が基端表示部55を介して視認可能である。また、キャップ本体34が第1の位置にある際に、先端延出部40の全体がマスク本体268の基端よりも先端側に位置しているため、先端延出部40の外周面が実質的に視認できない(図15A参照)。一方、キャップ本体34が第2の位置にある際に、キャップ本体34の基端がマスク本体268の基端よりも先端側に位置するため、キャップ本体34の全体が実質的に視認できなくなる(図15B参照)。
本実施形態において、カバー部材260は、収容空間Sの基端部を画成し、係合爪部60を有する実質的に透明な筒本体部材262と、筒本体部材262の先端部の内周面を覆う実質的に不透明な筒状マスク部材264とを備える。筒状接続部54は、筒本体部材262の基端部から構成され、延出筒状部274は、筒本体部材262の先端部と筒状マスク部材264とを有する。
このような構成によれば、キャップ本体34が第1の位置にある際に、キャップ本体34の先端延出部40を筒状マスク部材264によって隠すことができる。また、キャップ本体34が第2の位置にある際に、キャップ本体34の基端部(装着筒部38)の外周面を筒状マスク部材264によって隠すことができる。
筒本体部材262は、先端に開口部270を有する。筒状マスク部材264は、筒本体部材262の先端部の内周面を覆う筒状のマスク本体268と、筒本体部材262の開口部270を閉塞する先端閉塞部272とを有する。
このような構成によれば、キャップ本体34が第1の位置にある際に、キャップ本体34をマスク本体268によって確実に隠すことができる。また、キャップ本体34が第1の位置から第2の位置に変位する際に、キャップ本体34が筒本体部材262の先端側から離脱することを先端閉塞部272によって防止することができる。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能である。
本発明は、例えば、押子20を有しないプレフィルドシリンジ12A~12Fでもよい。この場合、プレフィルドシリンジ12A~12Fには、ガスケット18を先端方向へ押圧する押圧部材が別途装着される。また、キャップ本体34から当接凸部46を省略したキャップ10A~10C、10F、シリンジ組立体22A~22C、22F又はプレフィルドシリンジ12A~12C、12Fでもよい。この場合、装着筒部38の基端側の開口部の内径をシリンジ外筒16のノズル部26の先端外径よりも小さくすることにより、装着筒部38の基端がノズル部26の先端部と当接可能な当接部として機能する。
また、視認部として機能する先端延出部40、158、226がキャップ本体34、152、222の先端を含まず、第1の位置において、キャップ本体34、152、222の先端が筒状マスク部材51、168、242の開口部71、188、245より先端側に突出するように、キャップ本体34、152、222を構成してもよい。この場合、キャップ本体34、152、222の視認部として機能する先端延出部40、158、226は、キャップ本体34、152、222が第1の位置にある際に筒状マスク部材51、168、242内に位置する一方、キャップ本体34が第2の位置にある際に筒状マスク部材51、168、242の開口部71、188、245から突出するように設けられている。
このような先端延出部40、158、226としては、キャップ本体34、152、222の先端よりも少し基端側の外周面を赤色等に着色することで形成されたものや、キャップ本体34、152、222の先端突出部の先端よりも少し基端側の外周部を覆うように嵌め込まれた着色部材から形成されたもの等が挙げられる。このような構成であっても、ユーザは、キャップ10A、10D、10Eの未開封状態と、リキャップ状態とを容易且つ確実に判別することができる。
先端カバー部材52、170の先端壁78、192には、ユーザの手指が挿入することができない程度の大きさの孔が形成されていてもよい。このような孔を先端壁78、192に形成した場合、先端壁78、192の孔に治具を挿入してキャップ本体34、152、222をノズル部26。150、214に押し込むことにより、先に組み立てたキャップ10A、10D、10Eをシリンジ外筒16、144、212に装着することができる。
なお、キャップ10A~10Fがシリンジ本体14、140、210から取り外された状態では、キャップ本体34、152、222は、装着部230(装着筒部38、156)がノズル部26、150、214に押圧されることなく、第1の位置から第2の位置まで移動可能である。このため、キャップ本体34、152、222が第2の位置に配置された状態で、シリンジ本体14、140、210から取り外されたキャップ10A~10Fをシリンジ本体14、140、210に再装着した場合には、キャップ本体34、152、222の第1の位置から第2の位置までの変位は起こらない。この場合でも、第2の位置に配置されたキャップ本体34、152、222の装着部230(装着筒部38、156)がノズル部26、150、214に当接することにより、キャップ本体34、152、222の第2の位置から第1の位置への変位が規制され、キャップ本体34、152、222の外周面が基端表示部55、126、176、248を介して実質的に視認できなくなる。このため、ユーザは、キャップ10A~10Fの未開封状態と、開封済み状態とを容易且つ確実に判別することができる。
キャップ10Aにおいて、筒状マスク部材51は、筒状マスク部材168、242のようにフィルム状に形成されていてもよい。キャップ10A、10B、10Fにおいて、筒本体部材50、102、262の筒状接続部54の側壁部に上述した窓部128を形成してもよい。この場合、筒本体部材50、102、262を実質的に不透明に構成すると共に筒状マスク部材51、104、264を省略してもよい。キャップ10C、10Dにおいて、先端カバー部材170は、実質的に不透明に構成されてもよい。
キャップ10A、10B、10D、10Eにおいて、筒状マスク部材51、104、168、242は、筒本体部材50、102、166、240の内周面を覆うように設けられてもよい。
以上の実施形態をまとめると、以下のようになる。
上記実施形態は、内部に薬剤(M)を収容可能な胴体部(24)と、前記胴体部(24)の先端部から先端方向に突出し、先端に薬剤吐出口(26a、142a、214a)を有するノズル部(26、150、214)とを備えたシリンジ本体(14、140、210)に着脱可能なシリンジ用キャップ(10A~10F)であって、前記ノズル部(26、150、214)に装着可能な装着部(38、156、230)を有するキャップ本体(34、152、222)と、前記キャップ本体(34、152、222)を覆う筒状のカバー部材(36、100、120、154、224、260)と、を備え、前記装着部(38、156、230)は、前記薬剤吐出口(26a、142a、214a)を液密に封止する封止部(42、162)と、前記封止部(42、162)よりも基端側に配置された前記キャップ本体(34、152、222)の基端部と、を有し、前記カバー部材(36、100、120、154、224、260)は、前記キャップ本体(34、152、222)が前記カバー部材(36、100、120、154、224、260)内を前記カバー部材(36、100、120、154、224、260)の中心軸(Ax)に沿って変位するための収容空間(S)を画成し、前記カバー部材(36、100、120、154、224、260)は、前記カバー部材(36、100、120、154、224、260)の基端部に設けられ、外部から前記カバー部材(36、100、120、154、224、260)内を目視するための基端表示部(55、126、176、248)を有する基端筒状部(54、172、244)と、前記基端筒状部(54、172、244)から先端方向に延びる延出筒状部(90、118、134、200、254、274)と、前記カバー部材(36、100、120、154、224、260)の内周面から突出し、前記キャップ本体(34、152、222)に係合することにより前記キャップ本体(34、152、222)の前記カバー部材(36、100、120、154、224、260)に対する基端方向への離脱を防止する係合突起(60、182、250)と、を有し、前記キャップ本体(34、152、222)は、前記装着部(38、156、230)の少なくとも一部が前記基端筒状部(54、172、244)内に位置し、且つ、前記封止部(42、162)が前記ノズル部(26、150、214)の前記薬剤吐出口(26a、142a、214a)を液密に封止する第1の位置から、前記キャップ本体(34、152、222)の前記基端部が前記基端表示部(55、126、176、248)よりも先端側に位置する第2の位置まで、前記収容空間(S)内を先端方向に向かって変位可能であり、前記キャップ本体(34、152、222)が前記第1の位置に位置した状態で、前記シリンジ本体(14、140、210)から取り外された前記シリンジ用キャップ(10A~10F)の前記装着部(38、156、230)を前記シリンジ本体(14、140、210)の前記ノズル部(26、150、214)に近づけた際に、前記キャップ本体(34、152、222)を前記第1の位置から前記第2の位置まで変位させるように、前記装着部(38、156、230)が前記シリンジ本体(14、140、210)の前記ノズル部(26、150、214)によって先端方向へ押圧され、前記キャップ本体(34、152、222)が前記第1の位置に位置した際に、前記装着部(38、156、230)の外周面の少なくとも一部が、前記基端表示部(55、126、176、248)を介して視認可能であり、前記キャップ本体(34、152、222)が前記第2の位置に位置した際に、前記キャップ本体(34、152、222)の外周面が、前記基端表示部(55、126、176、248)を介して実質的に視認できない、シリンジ用キャップ(10A~10F)を開示している。
上記のシリンジ用キャップ(10A~10F)において、前記延出筒状部(90、118、134、200、254、274)の少なくとも基端部は、前記基端筒状部(54、172、244)の前記基端表示部(55、126、176、248)に隣接し、且つ、実質的に不透明であり、前記キャップ本体(34、152、222)が前記第2の位置にある際に、前記キャップ本体(34、152、222)の前記基端部は前記延出筒状部(90、118、134、200、254、274)の基端よりも先端側に位置し、且つ、前記キャップ本体(34、152、222)の前記基端部の外周面が前記延出筒状部(90、118、134、200、254、274)の前記基端部に覆われてもよい。
上記のシリンジ用キャップ(10A、10B、10D~10F)において、前記基端筒状部(54、172、244)は、実質的に透明であり、前記基端表示部(55、176、248)は、前記基端筒状部(54、172、244)の外周部全体から構成されており、前記キャップ本体(34、152、222)が前記第1の位置にある際に、前記装着部(38、156、230)の前記外周面の前記少なくとも一部が、前記基端筒状部(54、172、244)を介して視認可能であり、前記キャップ本体(34、152、222)が前記第2の位置にある際に、前記キャップ本体(34、152、222)の前記基端部は前記基端筒状部(54、172、244)よりも先端側に位置してもよい。
上記のシリンジ用キャップ(10A~10D、10F)において、前記係合突起(60、182)は、前記キャップ本体(34、152)の基端部に係合するように、前記基端筒状部(54、172)の内周面から突出しており、且つ、前記第1の位置に配置されたキャップ本体(34、152)の基端よりも基端側に配置されてもよい。
上記のシリンジ用キャップ(10A、10D、10E)において、前記キャップ本体(34、152、222)は、前記装着部(38、156、230)の先端に配置された視認部(40、158、226)を備え、前記延出筒状部(90、200、254)は、先端に開口部(71、188、245)と、内部に前記視認部(40、158、226)を収納可能な第1空間(S1)と、を有し、実質的に不透明な第1筒状部(92、202、256)と、前記第1筒状部(92、202、256)の前記開口部(71、188、245)から先端方向に延びる第2筒状部(94、204、258)と、を備え、前記第2筒状部(94、204、258)は、前記第1筒状部(92、202、256)の前記先端から先端方向に延びる環状周壁部(80、194)と、前記環状周壁部(80、194)の先端に配置された先端壁(78、192)と、前記環状周壁部(80、194)、前記先端壁(78、192)及び前記第1筒状部(92、202、256)の前記先端の内縁から画成される第2空間(S2)と、を有し、前記環状周壁部(80、194)は、前記第2空間(S2)内を外部から目視するための先端表示部(96、206)を有し、前記第1空間(S1)と前記第2空間(S2)とは、前記収容空間(S)の一部を構成しており、前記キャップ本体(34、152、222)が前記第1の位置にある際に、前記視認部(40、158、226)は、前記第1筒状部(92、202、256)の前記第1空間(S1)内に位置し、前記視認部(40、158、226)の外周面が実質的に視認できず、前記キャップ本体(34、152、222)が前記第2の位置にある際に、前記視認部(40、158、226)は、前記第2筒状部(94、204、258)の前記第2空間(S2)内に位置し、前記視認部(40、158、226)の外周面が視認可能となってもよい。
上記のシリンジ用キャップ(10A、10D、10E)において、前記第2筒状部(94、204、258)は、少なくとも前記環状周壁部(80、194)が実質的に透明であり、前記先端表示部(96、206)は、前記環状周壁部(80、194)の全体から構成されてもよい。
上記のシリンジ用キャップ(10A、10D、10E)において、前記カバー部材(36、154、224)は、前記第1筒状部(92、202、256)の少なくとも外周部を構成し、実質的に不透明な筒状マスク部材(51、168、242)と、前記第2筒状部(94、204、258)を有し、実質的に透明な先端カバー部材(52、170)と、前記基端筒状部(54、172、244)と、を備えてもよい。
上記のシリンジ用キャップ(10A、10B、10D~10F)において、前記カバー部材(36、100、154、224、260)は、前記収容空間(S)の少なくも基端部を画成し、前記係合突起(60、182、250)を有する実質的に透明な筒本体部材(50、102、166、240、262)と、前記筒本体部材(50、102、166、240、262)の先端部の外周面又は内周面を覆う、実質的に不透明な筒状マスク部材(51、104、168、242、264)と、を備え、前記基端筒状部(54、172、244)は、前記筒本体部材(50、102、166、240、262)の基端部から構成され、前記延出筒状部(90、118、200、254、274)は、前記筒本体部材(50、102、166、240、262)の前記先端部と前記筒状マスク部材(51、104、168、242、264)とを有してもよい。
上記のシリンジ用キャップ(10B、10F)において、前記筒本体部材(102、262)は、先端に開口部(110、270)を有し、前記筒状マスク部材(104、264)は、前記筒本体部材(102、262)の前記先端部の前記外周面又は前記内周面を覆う筒状のマスク本体(108、268)と、前記筒本体部材(102、262)の前記開口部(110、270)を閉塞する先端閉塞部(112、272)と、を有してもよい。
上記のシリンジ用キャップ(10C)において、前記基端筒状部(54)は、実質的に不透明であり、且つ、前記基端筒状部(54)の側壁部に径方向に開口し、前記基端表示部(126)を構成する窓部(128)を有し、前記キャップ本体(34)が前記第1の位置にある際に、前記装着部(38)の前記外周面の前記少なくとも一部が、前記窓部(128)を介して視認可能であり、前記キャップ本体(34)が前記第2の位置にある際に、前記キャップ本体(34)の前記基端部は前記窓部(128)よりも先端側に位置してもよい。
上記のシリンジ用キャップ(10A、10B、10C、10F)において、前記シリンジ本体(14)は、内周面に雌ねじ部(32)を有し、前記ノズル部(26)の外周部を覆う筒状のロックアダプタ(28)を備え、前記装着部(38)は、前記ノズル部(26)を収容可能な筒状の装着筒部(38)であって、前記装着筒部(38)は、前記装着筒部(38)の先端部に位置する前記封止部(42)と、前記装着筒部(38)の基端部に位置し、前記ノズル部(26)の先端部と当接可能な当接部(46)と、を有し、前記カバー部材(36、100、120、260)の前記基端筒状部(54)は、前記ロックアダプタ(28)と前記ノズル部(26)との間に挿入可能な筒状接続部(54)を有し、前記筒状接続部(54)は、前記筒状接続部(54)の外周部に前記ロックアダプタ(28)の前記雌ねじ部(32)と螺合可能な雄ねじ部(64)を有し、前記筒状接続部(54)の前記雄ねじ部(64)と前記ロックアダプタ(28)の前記雌ねじ部(32)との螺合により前記シリンジ用キャップ(10A、10B、10C、10F)が前記シリンジ本体(14)に装着され、且つ、前記キャップ本体(34)が前記第1の位置に位置する状態で、前記装着筒部(38)は前記筒状接続部(54)と前記ノズル部(26)との間に挿入され、前記封止部(42)は前記薬剤吐出口(26a)を液密に封止し、前記シリンジ用キャップ(10A、10B、10C、10F)が前記シリンジ本体(14)から外された状態で前記筒状接続部(54)の前記雄ねじ部(64)が前記ロックアダプタ(28)の前記雌ねじ部(32)に螺合する際に、前記キャップ本体(34)の前記当接部(46)が前記ノズル部(26)の前記先端部に押圧されることにより、前記キャップ本体(34)が前記第1の位置から前記第2の位置まで変位してもよい。
上記実施形態は、上述したシリンジ用キャップ(10A~10F)と、前記シリンジ本体(14、140、210)を構成して薬剤(M)を収容可能なシリンジ外筒(16、144、212)と、を備える、シリンジ組立体(22A~22F)を開示している。
上記実施形態は、上述したシリンジ組立体(22A~22F)と、前記シリンジ外筒(16、144、212)内に充填された薬剤(M)と、前記シリンジ外筒(16、144、212)内を液密に且つ軸方向に摺動可能なガスケット(18)と、を備える、プレフィルドシリンジ(12A~12F)を開示している。