以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
図15は、沸騰水型原子炉を表す概略図、図16は、沸騰水型原子炉を表す水平概略図である。
本実施形態の原子炉は、軽水を原子炉冷却材及び中性子減速材として使用し、この軽水を炉心で沸騰させて蒸気を発生させる沸騰水型原子炉である。
図15および図16に示すように、沸騰水型原子炉100は、原子炉格納容器101内に原子炉102が格納されて構成される。原子炉格納容器101は、原子炉建屋103内に設置され、上端部に上蓋104が取付けられることで密封される。原子炉格納容器101は、内部に形成されたドライウェル105と、冷却水が充填された圧力抑制プールが内部に形成される複数の圧力抑制室106とを有する。ドライウェル105は、ベント通路107を介して圧力抑制室106に連結され、ベント通路107の先端部が圧力抑制プールの冷却水中に浸漬される。
原子炉建屋103は、原子炉格納容器101を支持し、上蓋104の上方に複数に分割されて放射線遮へい体として機能する複数のシールドプラグ108が配置され、複数のシールドプラグ108により原子炉格納容器101が密閉保持される。
原子炉102は、上蓋109が取付けられて構成される原子炉容器110、核燃料物質を含む複数の燃料集合体が装荷された炉心111、気水分離器112、蒸気乾燥器113などにより構成される。この場合、炉心111、気水分離器112、蒸気乾燥器113は、原子炉容器110内に配置される。原子炉容器110は、内部に炉心シュラウド114が配置され、炉心111を取り囲んでいる。炉心111は、内部に複数の燃料集合体が装荷され、この各燃料集合体は、下端部が炉心支持板115により支持され、上端部が上部格子板116によって保持される。気水分離器112は、上部格子板116よりも上方に配置され、蒸気乾燥器113が気水分離器112の上方に配置される。
複数の制御棒117は、下方から炉心111に挿入されるように配置される。複数の制御棒117は、制御棒案内管(図示略)内に配置され、上下方向に移動自在となり、炉心111の内部に配置されている燃料集合体間に対して出し入れされて原子炉出力が制御される。制御棒駆動機構118は、原子炉容器110の下鏡に取付けられており、各制御棒案内管内の制御棒117に連結されている。
原子炉容器110は、炉心構造物として、前述した炉心111だけでなく、気水分離器112、蒸気乾燥器113、炉心シュラウド114、炉心支持板115、上部格子板116、制御棒117などが内部に配置される。
また、原子炉容器110は、原子炉格納容器101内の底部に設けられたコンクリートマット119上に設けられた筒状のペデスタル120上に据付けられる。そして、筒状のγ線遮蔽体121が、ペデスタル120の上端に設置され、原子炉容器110の外側を取り囲んでいる。
ところで、このような原子力発電プラントにて、原子炉容器110の内部の炉心111などが溶融すると、溶融した燃料など溶融物が原子炉容器110の底部に堆積したり、原子炉容器110をも溶融してコンクリートマット119に落下したりする。この場合、原子炉格納容器101は、内部に冷却水が噴射されることで冷却され、ペデスタル120内に冷却水が貯留されることで溶融物が冷却されて固化する。固化した溶融物は、放射性廃棄物Mとして回収対象となる。
本実施形態の作業装置は、原子炉格納容器101の内部にある放射性廃棄物(デブリ)Mを回収する放射性廃棄物の回収装置10である。放射性廃棄物の回収装置10は、作業機器11と、作業機器の案内装置12とを備える。
原子炉建屋103は、中央部に原子炉102(原子炉容器110)を支持する原子炉格納容器101が配置され、原子炉格納容器101の外側に外部の地面Gとほぼ同じ高さを有する部屋21が設けられる。部屋21は、原子炉102の正常運転時には、作業者が被爆することなく安全に立ち入ることができる空間である。部屋21は、機材などを搬入可能な開口部22が形成され、搬出入路23が設けられる。部屋21は、コンクリート構造壁を貫通して原子炉格納容器101内に連通する作業孔24が設けられる。
エンクロージャ25は、原子炉建屋103におけるグランドレベルの部屋21に設置され、周囲が放射線遮へい壁により気密に形成され、原子炉格納容器101の作業孔24に連結される。この場合、エンクロージャ25は、鉄筋コンクリートにより製造することが望ましく、その他、タングステン、ステンレス、鉛、劣化ウランなどを材料として使用してもよい。
まず、作業機器の案内装置12について説明する。図1は、本実施形態の作業機器の案内装置を表す概略図、図2は、作業機器の案内装置の作動状態を表す概略図、図3は、ガイド部材の連結部を表す概略図、図4は、図3のIV-IV断面図、図5は、図3のV-V断面図、図6は、ガイド部材の作動状態を表す概略図である。
本実施形態において、図1および図15に示すように、作業機器の案内装置12は、放射性廃棄物Mを処理する作業機器11を原子炉格納容器101の外部から作業孔24を通して原子炉格納容器101の内部に移動して案内するものである。作業機器の案内装置12は、ガイド機構31と、操作用索状32とを備える。
図1に示すように、ガイド機構31は、複数(本実施形態では、4個)のガイド部材41,42,43,44を有する。複数のガイド部材41,42,43,44は、基端部側(図1の左側)から先端部側(図1の右側)に向けて長さが短くなる。すなわち、第1ガイド部材41、第2ガイド部材42、第3ガイド部材43、第4ガイド部材44の順に軸方向の全長が徐々に短くなる。なお、複数のガイド部材41,42,43,44の長さは、一例であって、この構成に限定されるものではない。例えば、複数のガイド部材41,42,43,44の全てまたは一部の長さを同じにしてもよく、または、複数のガイド部材41,42,43,44の先端部側の長さを長くしてもよい。複数のガイド部材41,42,43,44は、円筒形状をなし、外径が同径であり、内側に作業機器11の案内通路45,46,47,48がそれぞれ設けられる。複数の案内通路45,46,47,48を形成する複数のガイド部材41,42,43,44は、内径が同径である。
複数のガイド部材41,42,43,44は、軸方向に沿って直列に配置されると共に、互いに所定角度まで屈曲自在に連結される。複数のガイド部材41,42,43,44は、端部同士が鉛直方向(図1の上下方向)の下部で直列方向(軸方向)に交差する水平方向(図1の紙面直交方向)の連結軸49,50,51により屈曲自在に連結される。そのため、図2に示すように、複数のガイド部材41,42,43,44は、第1ガイド部材41が支持されたとき、第1ガイド部材41に対して第2ガイド部材42が自重により下方へ屈曲可能であり、第2ガイド部材42に対して第3ガイド部材43が自重により下方へ屈曲可能であり、第3ガイド部材43に対して第4ガイド部材44が自重により下方へ屈曲可能である。
図1に示すように、操作用索状32は、複数(本実施形態では、3本)の索状体(例えば、ワイヤロープ)61,62,63を有する。複数の索状体61,62,63は、ガイド機構31(ガイド部材41,42,43,44)の外側をガイド機構31の基端部側から先端部側に向けて配索される。複数の索状体61,62,63は、基端部が後述するウインチ90(図7参照)に個別に巻き取られ、先端部が第2ガイド部材42と第3ガイド部材43と第4ガイド部材44にそれぞれ連結される。そのため、図2に示すように、操作用索状32は、複数の索状体61,62,63を操作して張力を緩めることで、第1ガイド部材41に対して第2ガイド部材42、第3ガイド部材43、第4ガイド部材44を重力により下方へ屈曲することができる。一方、操作用索状32は、複数の索状体61,62,63を操作して張力を付与することで、第1ガイド部材41に対して第2ガイド部材42、第3ガイド部材43、第4ガイド部材44を重力に抗して直線状態または所定の屈曲角度に維持することができる。
ここで、第1ガイド部材41と第2ガイド部材42との関係について説明する。図3から図5に示すように、原子炉格納容器101の作業孔24は、内部にエンクロージャ25における円筒形状をなすガイド筒71が固定されている。ガイド筒71は、内面の下部にレール部72が固定されると共に、補強部材73が固定されている。
第1ガイド部材41の先端下部にブラケット52が固定され、第2ガイド部材42の基端下部にブラケット53が固定される。ブラケット52とブラケット53は、厚さ方向に重なり、連結軸49が貫通することで、回動自在に連結される。また、第1ガイド部材41は、下部にブラケット54が固定され、ブラケット54に支持軸55により車輪((移動補助体))56が装着される。なお、第1ガイド部材41は、軸方向の所定間隔ごとに車輪56が装着される。また、第2ガイド部材42も、図示しないが、同様に車輪が装着される。
第1ガイド部材41は、先端上部に支持部材57が固定される。支持部材57は、円筒を中心で軸方向に切断した半円の湾曲形状をなし、第1ガイド部材41の先端上部の外面に第2ガイド部材42側に延出して固定される。支持部材57は、第1ガイド部材41の径方向に沿う水平方向のおける両側の外側に複数の案内シーブ64,65,66が回転自在に装着される。第1案内シーブ64は、第1ガイド部材41の中心よりやや上方側に配置され、第2案内シーブ65と第3案内シーブ66は、第1ガイド部材41の中心に重なって配置される。第1ガイド部材41の外側で軸方向に沿って配索される第1索状体61は、先端部が第1案内シーブ64に掛け回された後、鉛直方向の下方へ方向を変え、第2ガイド部材42の基端部に固定軸67により連結される。
なお、図1に示すように、第1ガイド部材41および第2ガイド部材42の外側で軸方向に沿って配索される第2索状体62は、先端部が第2案内シーブ65に掛け回された後、鉛直方向の下方へ方向を変え、第3ガイド部材43の基端部に固定軸68により連結される。また、第1ガイド部材41と第2ガイド部材42と第3ガイド部材43の外側で軸方向に沿って配索される第3索状体63は、先端部が第3案内シーブ66に掛け回された後、鉛直方向の下方へ方向を変え、第4ガイド部材44の基端部に固定軸69により連結される。そして、案内シーブ64,65,66は、複数のガイド部材41,42,43,44における所定の位置に複数設けられ、複数の索状体61,62,63を所定の位置までガイドしている。
そのため、複数のガイド部材41,42,43,44は、ガイド筒71を通過するとき、車輪56がガイド筒71のレール部72を転動することで、ガイド機構31を原子炉格納容器101の外部から内部に安定して送り出すことができる。そして、ガイド機構31の複数のガイド部材42,43,44が原子炉格納容器101の内部に送り出されると、図6に示すように、第1索状体61を繰り出して張力を緩めていくと、第1ガイド部材41に対して第2ガイド部材42を重力により下方へ屈曲させることができる。
なお、上述の説明では、第1ガイド部材41と第2ガイド部材42との関係についてのみ説明したが、第2ガイド部材42と第3ガイド部材43との関係、第3ガイド部材43と第4ガイド部材44との関係についても同様である。
図7は、エンクロージャの内部を表す概略図、図8は、エンクロージャの内部でのガイド部材の連結作業を表す概略図である。
図7に示すように、エンクロージャ25は、原子炉格納容器101の外側に設置され、作業孔24(ガイド筒71)に連通する。エンクロージャ25は、外部空間と隔離された空間部を形成するものであり、作業者は、エンクロージャ25の外部から遠隔操作または図示しないマニピュレータを用いて内部の作業を行うことができる。エンクロージャ25は、内部の床面に作業孔24の軸方向に沿ってガイドレール81が敷設され、ガイドレール81に送り出し装置としての複数の搬送台車82が移動自在に支持される。複数のガイド部材41,42,43,44は、複数の搬送台車82に支持され、複数の搬送台車82をガイドレール81に沿って移動することで、複数のガイド部材41,42,43,44を作業孔24(ガイド筒71)から原子炉格納容器101の内部に送り出すことができる。
また、エンクロージャ25は、作業孔24(ガイド筒71)の近傍に、複数の搬送台車82により送り出される複数のガイド部材41,42,43,44の上面を支持する支持ローラ83が設けられる。更に、エンクロージャ25は、天井部に複数のガイド部材41,42,43,44を移動するクレーン85が設けられる。
そして、エンクロージャ25は、作業孔24(ガイド筒71)と反対側の位置にウインチ90が設けられる。ウインチ90は、操作用索状32の索状体61,62,63を巻き取ったり、繰り出したりするものである。ウインチ90は、3個の駆動体91,92,93と、3個の案内シーブ94,95,96が設けられる。第1駆動体91は、第1索状体61の基端部側を巻き取り、第1案内シーブ94を介してガイド機構31側に配索する。第2駆動体92は、第2索状体62の基端部側を巻き取り、第2案内シーブ95を介してガイド機構31側に配索する。第3駆動体93は、第3索状体63の基端部側を巻き取り、第3案内シーブ96を介してガイド機構31側に配索する。
ここで、複数のガイド部材41,42,43,44は、連結軸49,50,51により屈曲自在に連結されているが、エンクロージャ25の大きさを考慮して分割してもよい。例えば、図7及び図8に示すように、第1ガイド部材41は、ガイド部材41a,41bに分割される。すると、ガイド部材41aの長さと、互いに連結された複数のガイド部材41b,42,43,44の長さとがほぼ同じ長さになる。
そのため、まず、クレーン85を遠隔操作し、複数のガイド部材41b,42,43,44を吊り上げて複数の搬送台車82に搭載し、複数の搬送台車82をガイドレール81に沿って移動し、複数のガイド部材41b,42,43,44を作業孔24(ガイド筒71)から原子炉格納容器101の内部に送り出す。このとき、ガイド部材41bが支持ローラ83に支持されると共に、複数の車輪56がガイド筒71内に載置する位置で停止する。次に、クレーン85を遠隔操作し、残りのガイド部材41aを吊り上げて複数の搬送台車82に搭載し、複数の搬送台車82をガイドレール81に沿って移動し、ガイド部材41aの端部とガイド部材41bの端部を密着して連結作業を行う。ガイド部材41a,41bの連結作業は、例えば、連結部材による連結などが考えられるが、内面の突起物が発生しないようにすることが好ましい。ガイド部材41a,41bの連結作業が完了すると、再び、複数の搬送台車82をガイドレール81に沿って移動することで、第1ガイド部材41を作業孔24(ガイド筒71)から原子炉格納容器101の内部に送り出す。
ガイド機構31(複数のガイド部材41,42,43,44)を作業孔24(ガイド筒71)から原子炉格納容器101の内部に送り出すとき、内部に作業機器11を搭載しておく。図8に示すように、作業機器11は、ガイド機構31の内部に設けられる案内通路45,46,47,48を移動可能である。すなわち、作業機器11は、遠隔操作により自走可能である。作業機器11は、下部に駆動輪(駆動装置)151を有する。また、作業機器11は、先端部に照明付きのカメラ152が設けられる。また、作業機器11は、後端部に作業機器11を案内通路45,46,47,48に保持させる保持装置153が設けられる。そして、作業機器11は、内部に加工装置154が収容される。
以下、本実施形態の放射性廃棄物の回収装置10による原子炉格納容器101の内部にある放射性廃棄物(デブリ)Mを回収する作業について説明する。図9から図14は、作業機器の案内装置に作動を説明するための概略図である。
図9に示すように、原子炉格納容器101は、壁部に作業孔24が設けられ、作業孔24にガイド筒71が固定される。ペデスタル120は、壁部に作業孔131が形成される。原子炉格納容器101の作業孔24(ガイド筒71)とペデスタル120の作業孔131との間にスロープ132が設置されている。但し、本実施形態の放射性廃棄物の回収装置10を適用した場合、スロープ132がなくてもよい。また、原子炉102におけるドライウェル105のコンクリートマット119上に放射性廃棄物Mが存在する。このような状態にて、内部に作業機器11が収容された作業機器の案内装置12を作業孔24,131からドライウェル105に延出し、作業機器11に収容された加工装置154を用いて放射性廃棄物Mの回収作業を行う。
まず、作業機器11(加工装置154)が収容された作業機器の案内装置12のガイド機構31を、原子炉格納容器101の外部(エンクロージャ25)から作業孔24(ガイド筒71)を通して原子炉格納容器101の内部に送り込む。図10に示すように、ガイド機構31の第3ガイド部材43および第4ガイド部材44が原子炉格納容器101の内部に送り込まれると、図11に示すように、次に、第2索状体62を所定量だけ繰り出して第2ガイド部材42に対して第3ガイド部材43を下方に所定角度だけ屈曲させる。このとき、作業者は、作業機器11に設けられたカメラ152の撮影画像に基づいて第2索状体62の繰り出し量を調整する。
なお、ここで、作業者は、作業機器11に設けられたカメラ152の撮影画像によりガイド機構31の先端部に保持された作業機器11の位置を把握するようにしたが、この構成に限定されるものではない。例えば、複数のガイド部材41,42,43,44の連結軸49,50,51の位置に、屈曲角度を検出する角度検出器を設ける。すると、ガイド機構31の送り出し量と、ガイド部材41,42,43,44の屈曲角度に基づいてガイド機構31の先端部の位置、つまり、作業機器11の位置を把握することができる。
続いて、図12に示すように、更に、ガイド機構31を原子炉格納容器101の内部に送り込み、第3ガイド部材43および第4ガイド部材44をペデスタル120の作業孔131に挿入していく。第3ガイド部材43および第4ガイド部材44がペデスタル120の作業孔131からドライウェル105に挿入されると、図13に示すように、今度は、第1索状体61を所定量だけ繰り出して第1ガイド部材41に対して第2ガイド部材42を下方に所定角度だけ屈曲させる一方、第2索状体62を巻き取って第2ガイド部材42に対して第3ガイド部材43を直線状態とする。そして、第3索状体63を所定量だけ繰り出して第3ガイド部材43に対して第4ガイド部材44を下方に所定角度だけ屈曲させる。ここで、作業機器11を自走させて第4ガイド部材44から突出させる。
そして、図14に示すように、作業機器11は、保持装置153により第4ガイド部材44の先端部に保持された状態で、内部の加工装置154を外部に出す。ここで、加工装置154を作動し、コンクリートマット119上に放射性廃棄物Mを、例えば、切削して回収する。その後、加工装置154による放射性廃棄物Mの回収作業が完了すると、加工装置154を作業機器11内に戻し、作業機器11を第3ガイド部材43および第4ガイド部材44内に戻し、前述した逆の作動により作業機器11が収容された作業機器の案内装置12を原子炉格納容器101の外部に移動する。
ここで、上述した作業機器11としての具体的な加工装置について説明する。本実施形態では、3種類の加工装置を使用して放射性廃棄物の回収作業を実施する。
図17は、本実施形態の第1作業機器を表す側面概略図、図18は、第1作業機器を表す平面概略図、図19は、第1作業機器を表す正面概略図、図20は、第1作業機器を表す下面概略図、図21は、第1作業機器の走行状態を表す概略図、図22は、第1作業機器の別の走行状態を表す概略図、図23は、第1作業機器の加工状態を表す概略図である。
図17から図20に示すように、第1加工装置200は、第1保持台車201と、第1作業台車202と、連結装置203と、マニピュレータ204と、第1加工具205とを有する。
第1保持台車201は、自走可能である。第1保持台車201は、前後の車輪211,212を有する。車輪211,212は、車軸213,214により連結され、車軸213,214に傘歯車215,216が固定される。第1保持台車201は、下部に駆動装置217が設けられる。駆動装置217は、駆動傘歯車218が傘歯車216に噛み合う。傘歯車215,216は、ロッド219の端部に固定された傘歯車220,221に噛み合う。そのため、駆動装置217を駆動すると、駆動傘歯車218が回転し、回転力が傘歯車221、ロッド219、傘歯車220,215を介して車軸213に伝達され、車輪211が正回転または逆回転する。また、駆動傘歯車218の回転力が傘歯車216を介して車軸214に伝達され、車輪212が正回転または逆回転する。
第1保持台車201は、保持装置222を有する。保持装置222は、シリンダ機構(例えば、エアシリンダや油圧シリンダなど)223と、複数のローラ224とを有する。そのため、シリンダ機構223を作動して複数のローラ224を上昇させ、ガイド機構31の天井部に押圧する。すると、第1保持台車201は、上下移動が拘束され、車輪211,212の停止により前後方向を拘束することでその位置に保持される。また、第1保持台車201は、連結機構225を介して駆動力伝達ケーブル226が着脱自在に連結される。
第1作業台車202は、第1保持台車201とほぼ同様の構成をなし、自走可能である。なお、第1保持台車201と第1作業台車202の一方だけを自走可能としてもよい。第1作業台車202は、前後の車輪231,232と、補助車輪233とを有する。車輪231,232は、図示しない駆動装置により回転可能である。第1作業台車202は、保持装置234を有する。保持装置234は、シリンダ機構235と、複数のローラ236とを有する。そのため、シリンダ機構235を作動して複数のローラ236を上昇させ、ガイド機構31の天井部に押圧する。すると、第1作業台車202は、上下移動が拘束され、車輪211,212の停止により前後方向を拘束することでその位置に保持される。
連結装置203は、複数のリンク241が連結ピン242により回動自在に連結されて構成される。連結ピン242により連結された複数のリンク241は、左右一対配置され、長手方向の一端部が第1保持台車201に連結され、他端部が第1作業台車202に連結される。連結装置203は、各連結ピン242により回転体243が回転自在に装着される。そのため、第1保持台車201と第1作業台車202は、連結装置203により屈曲自在に連結される。そして、第1保持台車201と第1作業台車202が屈曲して移動するとき、連結装置203は、各回転体243がガイド機構31の底部に接触して回転することで、移動の抵抗になることがない。
マニピュレータ204は、第1作業台車202の先端部に設けられる。マニピュレータ204は、複数(本実施形態では、3個)のアーム251,252,253が連結軸254,255,256により回動自在に連結されて構成される。また、アーム252,253は、連結軸255,256により回転体257,258が回動自在に装着される。なお、マニピュレータ204は、鉛直方向に回動するだけでなく、鉛直方向および鉛直方向に直交する水平方向(左右方向)に回動する構成としてもよい。そして、アーム253は、先端部に第1加工具205が着脱自在に装着される。第1加工具205は、例えば、切削工具や切断工具などである。そのため、マニピュレータ204は、図23に示すように、アーム251,252,253を回動することで、第1加工具205により障害物Nの加工が可能である。また、マニピュレータ204は、図21および図22に示すように、回転体257,258がガイド機構31の底部や天井部に接触して回転することで、第1加工具205の荷重を支持することができると共に、第1作業台車202の走行姿勢を安定させることができる。
なお、第1作業台車202は、先端部にカメラ261と照明装置262が装着される。また、第1保持台車201に連結された駆動力伝達ケーブル226は、電力ケーブル、信号ケーブル、送水管、エア供給管などを有し、第1保持台車201から連結装置203を通して第1作業台車202に付設され、駆動装置217、保持装置222,234、マニピュレータ204、第1加工具205、カメラ261、照明装置262などに接続され、電力を供給可能である。
図24は、本実施形態の第2作業機器を表す側面概略図、図25は、第2作業機器を表す平面概略図、図26は、第2作業機器を表す図24のXXVI-XXVI断面図、図27は、第2作業機器の作動状態を表す概略図、図28は、第2作業機器の加工状態を表す概略図である。
図24から図26に示すように、第2加工装置300は、第2保持台車301と、第2作業台車302と、連結装置303と、マニピュレータ304と、第2加工具305とを有する。
第2保持台車301は、自走可能である。第2保持台車301は、前後の車輪311,312と、補助車輪313とを有する。車輪311,312は、第1保持台車201(図17参照)と同様に、図示しない駆動装置により回転可能である。第2保持台車301は、保持装置314を有する。保持装置314は、シリンダ機構315と、複数のローラ316とを有する。そのため、シリンダ機構315を作動して複数のローラ316を上昇させ、ガイド機構31の天井部に押圧する。すると、第2保持台車301は、上下移動が拘束され、車輪211,212の停止により前後方向を拘束することでその位置に保持される。また、第2保持台車301は、第1保持台車201と同様に、連結装置を介して駆動力伝達ケーブルが着脱自在に連結される。
第2保持台車301は、牽引装置321を有する。第2保持台車301は、長手方向に沿ってねじ軸322が軸受323により回転自在に支持される。ねじ軸322は、一端部に従動歯車324が固定される。第2保持台車301は、ねじ軸322に隣接して駆動装置325が設けられる。駆動装置325は、駆動歯車326が従動歯車324に噛み合う。また、第2保持台車301は、スライド部材327がねじ軸322に平行なガイドレール328により移動自在支持されると共に、ねじ軸322が螺合する。そのため、駆動装置325を駆動すると、駆動歯車326が回転し、回転力が従動歯車324を介してねじ軸322に伝達される。すると、ねじ軸322の回転に伴ってスライド部材327がガイドレール328に沿って移動する。
第2作業台車302は、第2保持台車301とほぼ同様の構成をなし、自走可能である。なお、第2保持台車301と第2作業台車302の一方だけを自走可能としてもよい。第2作業台車302は、前後の車輪331,332と、補助車輪333とを有する。車輪331,332は、図示しない駆動装置により回転可能である。第2作業台車302は、保持装置334を有する。保持装置334は、シリンダ機構335と、複数のローラ336とを有する。そのため、シリンダ機構335を作動して複数のローラ336を上昇させ、ガイド機構31の天井部に押圧する。すると、第2作業台車302は、上下移動が拘束され、車輪211,212の停止により前後方向を拘束することでその位置に保持される。
連結装置303は、複数の連結部材341が連結リンク342により回動自在に連結されて構成される。複数の連結部材341は、側面視が逆T字形状をなすと共に、断面視で上方が開口するU字形状をなす。複数の連結部材341は、下端部同士が連結リンク342により互いに回動自在に連結される。複数の連結部材341は、長手方向の一端部が第2保持台車301に連結され、他端部が第2作業台車302に連結される。連結装置303は、複数の連結部材341の下部に回転体343がそれぞれ回転自在に装着される。複数の連結部材341は、前後に隣接する上端部の間にスリーブ344がそれぞれ配置される。左右のケーブル345は、各連結部材341の左右の上端部と各スリーブ344とを交互に挿通し、一端部が第2保持台車301に設けられた牽引装置321のスライド部材327に連結され、他端部が第2作業台車302に連結される。
そのため、第2保持台車301と第2作業台車302は、連結装置303により屈曲自在に連結される。牽引装置321によりケーブル345を牽引すると、各連結部材341の左右の上端部と各スリーブ344とが隙間なく密着し、連結装置303における複数の連結部材341が一直線状に配置される。一方、牽引装置321によりケーブル345の牽引を緩めると、図27に示すように、各連結部材341の左右の上端部と各スリーブ344との間に隙間なく形成され、連結装置303における複数の連結部材341の先端部側が自重により下方に垂れ下がって屈曲(湾曲)状に配置される。
マニピュレータ304は、第2作業台車302に設けられる。マニピュレータ304は、複数(本実施形態では、4個)のアーム351,352,353,354が連結軸355,356,357,358により回動自在に連結されて構成される。なお、マニピュレータ304は、鉛直方向に回動するだけでなく、水平方向に回動する構成としてもよい。そして、アーム354は、先端部に第2加工具305が着脱自在に装着される。第2加工具305は、例えば、切削工具や切断工具などである。連結装置303は、複数の連結部材341により収容空間部359が設けられる。マニピュレータ304および第2加工具305は、第2保持台車301側を向いた状態で、収容空間部359に収容可能である。そのため、マニピュレータ304は、図28に示すように、アーム351,352,353,354を回動することで、第2加工具305により放射性廃棄物Mの加工が可能である。このとき、第2加工具305は、放射性廃棄物Mをすり鉢状の凹部(作業空間M1)に加工することが好ましい。
また、第2作業台車302は、先端部に接地パッド361が水平な連結軸362により回動自在に装着される。接地パッド361は、放射性廃棄物Mの表面に接地して第2加工具305の反力を受け止め可能である。なお、第2作業台車302は、図示しないが、先端部にカメラと照明装置が装着される。また、第2保持台車301に連結された駆動力伝達ケーブルは、電力ケーブルを有し、駆動装置、保持装置314,334、マニピュレータ304、第2加工具305、カメラ、照明装置などに接続され、電力を供給可能である。
図29は、本実施形態の第3作業機器を表す側面概略図、図30は、第3作業機器を表す平面概略図、図31は、第3作業機器を表す下面概略図、図32は、第3作業機器の作動を説明する説明図、図33は、第3作業機器の作動を説明する説明図、図34は、第3作業機器の作動状態を表す概略図、図35は、第3作業機器の加工状態を表す概略図である。
図29から図31に示すように、第3加工装置400は、第3保持台車401と、第3作業台車402と、連結装置403と、マニピュレータ404と、第3加工具405とを有する。
第3保持台車401は、自走可能である。第3保持台車401は、前後の車輪411,412と、補助車輪413とを有する。車輪411,412は、第1保持台車201(図17参照)と同様に、図示しない駆動装置により回転可能である。第3保持台車401は、保持装置414を有する。保持装置414は、シリンダ機構415と、複数のローラ416とを有する。そのため、シリンダ機構415を作動して複数のローラ416を上昇させ、ガイド機構31の天井部に押圧する。すると、第3保持台車401は、上下移動が拘束され、車輪211,212の停止により前後方向を拘束することでその位置に保持される。また、第3保持台車401は、第1保持台車201と同様に、連結装置を介して駆動力伝達ケーブルが着脱自在に連結される。
第3保持台車401は、牽引装置421を有する。第3保持台車401は、駆動リール422が水平な回転軸423により回転自在に支持される。駆動リール422は、駆動装置424により駆動回転可能である。また、第3保持台車401は、駆動リール422より第3作業台車402側に一対の第1シーブ425と、一対の第2シーブ426とが回転自在に支持される。
第3作業台車402は、第3保持台車401とほぼ同様の構成をなし、自走可能である。第3作業台車402は、前後の車輪431,432と、複数(本実施形態では、4個)の補助輪433とを有する。車輪431,432は、図示しない駆動装置により回転可能である。第3作業台車402は、保持装置434を有する。保持装置434は、シリンダ機構435と、複数のローラ436とを有する。そのため、シリンダ機構435を作動して複数のローラ436を上昇させ、ガイド機構31の天井部に押圧する。すると、第3作業台車402は、上下移動が拘束され、車輪211,212の停止により前後方向を拘束することでその位置に保持される。
連結装置403は、複数の連結部材441が連結リンク442により回動自在に連結されて構成される。複数の連結部材441は、側面視がI字形状をなす。複数の連結部材441は、下端部同士が連結リンク442により互いに回動自在に連結される。また、複数の連結部材441は、上端部同士が長孔443および連結ピン444により各連結部材441の配列方向に沿って所定長さだけ互いに移動自在に連結される。複数の連結部材441は、長手方向の一端部が第3保持台車401に連結され、他端部が補助台車445に連結される。補助台車445は、車輪446が設けられ、第3作業台車402に隣接して配置される。ケーブル447は、中間部が連結装置403(連結部材441)に設けられる複数の支持部材448に支持され、一端部が第3保持台車401に設けられた牽引装置421の駆動リール422に巻き取られ、他端部が2本に分岐され、補助台車445の一対のシーブ449に支持された後に第3作業台車402に連結される。
また、第3保持台車401に連結された駆動力伝達ケーブルは、電力ケーブル(駆動力伝達ケーブル)450を有し、駆動装置、保持装置414,434、マニピュレータ404、第3加工具405、カメラ、照明装置などに接続され、電力を供給可能である。電力ケーブル450は、第3保持台車401から連結装置403および補助台車445を介して第3作業台車402に掛け渡される。連結装置403は、内部に電力ケーブル450が迂回するように支持される。なお、補助台車445は、凸部461を有し、第3作業台車402は、凹部462を有し、補助台車445の凸部461が第3作業台車402の凹部462に嵌合することで、補助台車445と第3作業台車402が位置決めされる。なお、補助台車445の凸部461と第3作業台車402の凹部462とが磁力により密着される。
そのため、第3保持台車401と第3作業台車402は、連結装置403により屈曲自在に連結される。牽引装置421によりケーブル447を牽引すると、各連結部材441が上方に屈曲する。一方、牽引装置421によりケーブル447の牽引を緩めると、各連結部材341が自重により下方に屈曲する。また、第3保持台車401と連結装置403と補助台車445に対して第3作業台車402が自走して離間可能である。このとき、連結装置403の内部に迂回している電力ケーブル450が引き出される。すなわち、図32に示すように、電力ケーブル450は、一端部側が連結装置403の各連結部材441に支持され、他端部側が第3作業台車402の支持部材463に支持される。そのため、補助台車445に対して第3作業台車402が密着しているとき、電力ケーブル450は、各連結部材441に支持された部分と、支持部材463に支持された部分の間の部分が弛まされている。一方、図33に示すように、補助台車445に対して第3作業台車402が離間しているとき、電力ケーブル450は、各連結部材441に支持された部分と、支持部材463に支持された部分の間の部分が引き出される。
マニピュレータ404は、第3作業台車402に設けられる。マニピュレータ404は、複数(本実施形態では、4個)のアーム451,452,453,454が連結軸455,456,457,458により回動自在に連結されて構成される。なお、マニピュレータ404は、鉛直方向に回動するだけでなく、水平方向に回動する構成としてもよい。そして、アーム454は、先端部に第3加工具405が着脱自在に装着される。第3加工具405は、例えば、切削工具や切断工具などである。そのため、図34に示すように、第3保持台車401がガイド機構31に保持された状態で、連結装置403を介して第3作業台車402が外部に突出し、複数の補助輪433が放射性廃棄物Mの表面に着地する。そして、図35に示すように、第3作業台車402が放射性廃棄物Mの表面を自走し、アーム451,452,453,454を回動することで、第3加工具405により放射性廃棄物Mの加工が可能である。
なお、第3作業台車402は、図示しないが、先端部にカメラと照明装置が装着される。
上述した加工装置200,300,400による放射性廃棄物の回収作業について説明する。図36は、放射性廃棄物の回収作業を表すフローチャートである。
図36に示すように、ステップS11にて、まず、作業機器11として図示しない検査装置を作業機器の案内装置12を構成するガイド機構31の内部に収容する。ステップS12にて、検査装置が収容された状態で、作業機器の案内装置12を構成するガイド機構31を原子炉格納容器101の外部から内部に送り込む。検査装置は、自走可能であり、少なくとも先端部にカメラと照明装置が装着される。作業者は、検査装置のカメラが撮影した画像を見ながら、ガイド機構31を送り出す。ガイド機構31の先端部がペデスタル120(図11参照)に到達すると、ガイド機構31の送り込みを停止する。ステップS13にて、検査装置を自走させてエンクロージャ25に戻す。
ステップS14にて、第1加工装置200(図17参照)を作業機器の案内装置12(ガイド機構31)の先端部まで移動する。ステップS15にて、作業機器の案内装置12移動しながら第1加工装置200により加工作業を実施する。すなわち、図17に示すように、第1作業台車202をガイド機構31の内部に保持し、マニピュレータ204を作動することで、第1加工具205により障害物としての配管やフレームなどを切断して除去する。そして、作業機器の案内装置12(ガイド機構31)の先端部がドライウェル105(図13参照)に挿入されると、ガイド機構31の送り込みを停止する。ステップS16にて、第1加工装置200を自走させてエンクロージャ25に戻す。
ステップS17にて、第2加工装置300(図24参照)を作業機器の案内装置12(ガイド機構31)の先端部まで移動する。ステップS18にて、第2加工装置300により加工作業を実施する。すなわち、図27に示すように、まず、第2保持台車301をガイド機構31の内部に保持し、牽引装置321によりケーブル345の牽引を緩めて連結装置303を屈曲させる。次に、図28に示すように、第2作業台車302を下降して接地パッド361を放射性廃棄物Mの表面(作業位置に連続する接地面)に接地する。この状態で、マニピュレータ304を作動することで、第2加工具305により放射性廃棄物Mをすり鉢状の凹部に切削し、作業空間M1を形成する。作業空間M1が形成させると、ステップS19にて、第2加工装置300を自走させてエンクロージャ25に戻す。
ステップS20にて、第3加工装置400(図29参照)を作業機器の案内装置12(ガイド機構31)の先端部まで移動する。ステップS21にて、第3加工装置400により加工作業を実施する。すなわち、図29に示すように、まず、第3保持台車401をガイド機構31の内部に保持し、牽引装置421によりケーブル447の牽引を調整して連結装置403を屈曲させる。次に、第3作業台車402を下降して補助輪433を介して放射性廃棄物Mの表面に着地させる。そして、図35に示すように、第3作業台車402を自走させながら、マニピュレータ404を作動することで、第3加工具405により放射性廃棄物Mの切削回収作業を実施する。所定量の放射性廃棄物Mが切削されると、ステップS22にて、第3加工装置400を自走させてエンクロージャ25に戻す。
その後、作業機器の案内装置12(ガイド機構31)を通して回収装置が往復移動することで、切削した放射性廃棄物Mを回収する。
上述した加工装置200,300,400による放射性廃棄物の回収作業では、第3加工具405により放射性廃棄物Mを切削して回収するように説明したが、この方法に限定されるものではない。図37は、作業機器による加工状態の変形例を表す側面概略図、図38は、作業機器による加工状態の変形例を表す平面概略図、図39は、作業機器による加工状態の変形例を表す側面拡大概略図である。
図37に示すように、原子炉格納容器101は、底部のコンクリートマット119上に筒状のペデスタル120が設けられ、ペデスタル120内のコンクリートマット119上に放射性廃棄物Mが存在する。ペデスタル120は、内部の底部に周方向に沿ってケーブルダクト141が設けられ、放射性廃棄物Mは、ケーブルダクト141上にも存在する。
図38および図39に示すように、第3加工装置400は、放射性廃棄物Mおよびケーブルダクト141に対して、第1鉛直方向に沿う第1切断線142と、第2鉛直方向に沿う第2切断線143と、水平方向に沿う第3切断線144を形成することで、所定の大きさの多数のブロック形状に切断する。
まず、第3加工装置400は、ケーブルダクト141の天井部141aと、天井部141a上に放射性廃棄物Mを切断して除去する。次に、第3加工装置400は、ケーブルダクト141の縦壁部141bと、縦壁部141bに付着している放射性廃棄物Mを切断して除去する。図39は、ケーブルダクト141の天井部141aと放射性廃棄物Mが除去された状態である。この状態から、第3切断線144、第1切断線142、第2切断線143の順に形成することで、縦壁部141bの一部と放射性廃棄物Mからなる格子状のブロック体M2を切り出す。この方法により、第3切断線144、第1切断線142、第2切断線143の順に形成し、多数のブロック体M2を順次切り出していく。多数のブロック体M2は、ほぼ同じ大きさであることが好ましい。
なお、上述した作業機器の案内装置は、この構成に限定されるものではない。図40は、本実施形態の作業機器の案内装置の第1変形例を表す側面概略図、図41は、作業機器の案内装置の第1変形例を表す平面概略図、図42は、作業機器の案内装置の第1変形例を表す縦断面図、図43は、作業機器の案内装置の第1変形例の作動を表す縦断面図である。
図40および図41に示すように、第1変形例の作業機器の案内装置12Aにおいて、第1ガイド部材41は、先端部に中間ブラケット501が水平方向に沿う連結軸49により鉛直方向に屈曲自在に連結される。中間ブラケット501は、先端部に第2ガイド部材42の基端部が鉛直方向に沿う連結軸502により水平方向に屈曲自在に連結される。第1索状体61は、一対の索状体61a,61bは、第1ガイド部材41の外側に配置され、先端部がそれぞれ第1案内シーブ64a,64bに掛け回された後、鉛直方向の下方へ方向を変え、第2ガイド部材42の基端部に固定軸67a,67bにより連結される。
そのため、第1索状体61a,61bを同量だけ操作して張力を緩めることで、第1ガイド部材41に対して第2ガイド部材42を重力により下方へ屈曲することができる。このとき、図41および図43に示すように、一方の第1索状体61aに対して、他方の第1索状体61bを長い量だけ引き出し操作して張力を緩めると、第1ガイド部材41に対して第2ガイド部材42を重力により下方へ屈曲することができると共に、第1ガイド部材41に対して第2ガイド部材42を水平方向の一方へ角度θだけ屈曲することができる。
なお、ここでは、ガイド部材41,42の屈曲部について説明したが、ガイド部材42,43,44の屈曲部に対しても適用することができる。
図44は、本実施形態の作業機器の案内装置の第2変形例を表す側面概略図、図45は、作業機器の案内装置の第2変形例を表す縦断面図である。
図44および図45に示すように、第2変形例の作業機器の案内装置12Bにおいて、第1ガイド部材41は、第1案内通路45に洗浄液を噴出可能な洗浄装置510が設けられる。洗浄装置510は、複数の給水管511と、複数のノズル512とを有する。複数の給水管511は、第1ガイド部材41の外側の角部にそれぞれ配置される。複数のノズル512は、第1ガイド部材41の内部の角部にそれぞれ設けられ、各給水管511に連結される。複数のノズル512は、第1ガイド部材41の長手方向に所定間隔をあけて複数設けられる。
そのため、作業機器11が作業装置の案内装置12により原子炉格納容器101の内部に移動するとき、複数のノズル512は、作業機器11に対して洗浄液を噴出する。そのため、作業機器11は、洗浄液が付着された状態で、作業位置まで移動し、各種の作業を行う。一方、作業機器11は、作業位置で各種の作業を行った後、作業装置の案内装置12により原子炉格納容器101の外部に戻る。このとき、複数のノズル512は、作業機器11に対して洗浄液を噴出する。そのため、作業機器11は、洗浄液により付着している放射性物質などが除去される。
なお、ここでは、第1ガイド部材41に洗浄装置510を設けたが、ガイド部材42,43,44に洗浄装置を設けてもよい。この場合、作業機器11に噴出した洗浄液が原子炉格納容器101の内部に落下するように、ガイド部材42,43,44を傾斜させて
洗浄液を噴出することが好ましい。
このように本実施形態の作業機器の案内装置にあっては、内側に作業機器11の案内通路45,46,47,48が設けられる複数のガイド部材41,42,43,44が直列に配置されると共に互いに屈曲自在に連結されるガイド機構31と、ガイド機構31の外側をガイド機構31の基端部側から先端部側に配索されて先端部が複数のガイド部材41,42,43,44にそれぞれ連結される複数の索状体61,62,63を有する操作用索状32とを備え、複数の索状体61,62,63を操作することでガイド機構31を複数のガイド部材41,42,43,44の連結位置で屈曲可能である。
そのため、ガイド機構31を原子炉格納容器101の外部から作業孔24を通して内部に送り出し、複数の索状体61,62,63を操作することで複数のガイド部材41,42,43,44を屈曲させ、先端部側の第4ガイド部材44を所定の位置に位置させた後にその位置に維持する。すると、ガイド機構31における複数のガイド部材41,42,43,44により、原子炉格納容器101の外部から作業孔24を通して内部の所定の位置まで案内通路45,46,47,48が確保される。そのため、作業機器11を原子炉格納容器101の外部から案内通路45,46,47,48を通して内部の所定の位置まで案内することができる。その結果、原子炉格納容器101の内部に作業機器投入前の案内通路の配置が不要となり、放射性廃棄物Mの回収作業における作業性の向上を図ることができると共に、作業の安全性の向上を図ることができる。
本実施形態の作業機器の案内装置では、3個以上のガイド部材41,42,43,44を屈曲自在に連結する。そのため、複数の索状体61,62,63を操作して複数のガイド部材41,42,43,44を屈曲させるとき、先端部側のガイド部材42,43,44を所望の位置に容易に移動させることができ、作業機器11の位置調整を容易に行うことができ、作業性の向上を図ることができる。
本実施形態の作業機器の案内装置では、複数のガイド部材41,42,43,44の端部同士の連結は、端部同士が水平方向に沿う連結軸49,50,51により屈曲自在に連結され、自重により複数のガイド部材41,42,43,44の連結位置で屈曲可能である。そのため、ガイド部材41,42,43,44を屈曲させるための駆動源を不要として装置の簡素化を図ることができる。
本実施形態の作業機器の案内装置では、複数のガイド部材41,42,43,44は、複数の索状体61,62,63に張力を付与することで、直線状態または所定の屈曲角度に維持される。そのため、ガイド部材41,42,43,44の屈曲部に駆動源を装着する必要がなく、構造の簡素化を図ることができる。
本実施形態の作業機器の案内装置では、複数のガイド部材41,42,43,44において、それぞれ隣り合う2つのガイド部材41,42は、基端側のガイド部材41,42,43,の先端外側に案内シーブ64,65,66が装着され、複数の索状体61,62,63は、案内シーブ64,65,66に掛け回されてから先端側の複数のガイド部材42,43,44に連結され、複数の索状体61,62,63を操作することで先端部側のガイド部材42,43,44の連結位置で屈曲可能である。そのため、索状体61,62,63を案内シーブ64,65,66により複数のガイド部材41,42,43,44に沿って配索することができると共に、索状体61,62,63や案内シーブ64,65,66を複数のガイド部材41,42,43,44の内部にある案内通路45,46,47,48に配置する必要がなく、案内通路45,46,47,48における作業機器11の移動に支障をきたすことがない。
本実施形態の作業機器の案内装置では、複数のガイド部材41,42,43,44は、作業孔24での移動を補助する移動補助部としての車輪56が設けられる。そのため、ガイド部材41,42,43,44は、車輪56によりガイド筒71を走行することから、ガイド部材41,42,43,44の走行安定性を向上することができる。
本実施形態の作業機器の案内装置では、原子炉格納容器101の外側に作業孔24に連通するエンクロージャ25を設置し、エンクロージャ25は、内部にガイド機構31を作業孔24から原子炉格納容器101の内部に送り出す送り出し装置としての搬送台車82が設けられる。そのため、放射性廃棄物Mが存在する空間部をエンクロージャ25により隔離し、エンクロージャ25に設けられた搬送台車82を用いてガイド機構31を作業孔24から原子炉格納容器101の内部に送り出すため、エンクロージャ25の外部で作業する作業者の安全性を向上することができる。
本実施形態の作業機器の案内装置では、複数のガイド部材41,42,43,44の屈曲角度を検出する角度検出器を設ける。そのため、ガイド機構31を原子炉格納容器101の内部に送り出し、複数のガイド部材41,42,43,44を連結位置で屈曲させたとき、角度検出器がガイド部材41,42,43,44の屈曲角度を検出することから、ガイド機構31の送り出し量と、ガイド部材41,42,43,44の屈曲に基づいてガイド機構31の先端部の位置を把握することができ、作業性の向上を図ることができる。
本実施形態の作業機器の案内装置では、複数のガイド部材41,42,43,44は、連結位置で鉛直方向に屈曲可能であると共に、水平方向に屈曲可能である。そのため、原子炉格納容器の内部に対して作業機器11を案内する範囲を拡大することができる。
本実施形態の作業機器の案内装置では、複数のガイド部材41,42,43,44は、案内通路45,46,47,48に洗浄液を噴出可能な洗浄装置510が設けられる。そのため、作業機器11に対して洗浄装置510が洗浄液を噴出し、作業機器11の狭隘部に洗浄液を付着させることで、作業機器11の狭隘部への汚染物質の侵入を抑制することができる。また、作業が終了した作業機器11を案内通路45,46,47,48から原子炉格納容器の外部に戻すとき、放射能などで汚染された作業機器11に対して洗浄装置510が洗浄液を噴出し、作業機器11を洗浄することができる。
また、本実施形態の作業装置にあっては、作業機器の案内装置12と、ガイド機構31の内部に設けられる案内通路45,46,47,48を移動可能な作業機器11とを備える。
そのため、作業機器の案内装置12を作動することで、ガイド機構31における複数のガイド部材41,42,43,44により、原子炉格納容器101の外部から作業孔24を通して内部の所定の位置まで案内通路45,46,47,48が確保される。そのため、作業機器11を原子炉格納容器101の外部から案内通路45,46,47,48を通して内部の所定の位置まで案内することができる。その結果、原子炉格納容器101の内部に作業機器11を所定の位置まで案内するための通路を設置する必要がなく、また、作業終了後にこの通路を解体する必要もなく、放射性廃棄物Mの回収作業における作業性の向上を図ることができる。
本実施形態の作業装置では、ガイド機構31は、作業機器11を前記案内通路45,46,47,48に収容した状態で、原子炉格納容器101の外部から作業孔24を通して内部に送り出される。そのため、作業機器11を容易に原子炉格納容器101の内部に送り出すことができる。
本実施形態の作業装置では、作業機器11は、先端部に照明付きのカメラ152が設けられる。そのため、複数のガイド部材41,42,43,44が屈曲して原子炉格納容器101の内部に案内通路45,46,47,48を確保するとき、作業者はカメラ152の映像を見ながら複数のガイド部材41,42,43,44を安全に屈曲させることができ、作業性を向上することができる。
本実施形態の作業装置では、作業機器11は、案内通路45,46,47,48を移動可能な駆動装置としての駆動輪151が設けられると共に、案内通路45,46,47,48の所定の位置に保持可能な保持装置153が設けられる。そのため、作業機器11を駆動輪151により事前に複数のガイド部材41,42,43,44の内部に収納することができると共に、複数のガイド部材41,42,43,44が屈曲して原子炉格納容器101の内部に案内通路45,46,47,48を確保するとき、作業機器を保持装置153により所定の位置に保持することができる。
本実施形態の作業装置では、作業機器11は、内部に加工装置154が収容される。そのため、作業機器11が案内通路45,46,47,48を移動して放射性廃棄物Mの回収位置に到達したとき、内部に収容された加工装置154を取り出して放射性廃棄物Mの加工作業や回収作業を行うことができる。
本実施形態の作業装置では、加工具205,305,405が案内通路48から外部に突出可能な加工装置200,300,400を有し、加工装置200,300,400は、案内通路48に保持可能な保持台車201,301,401と、案内通路48から外部に突出可能な作業台車202,302,402と、保持台車201,301,401と作業台車202,302,402とを屈曲自在に連結する連結装置203,303,403とを有する。そのため、保持台車201,301,401が案内通路48に保持された状態で、作業台車202,302,402が案内通路48から外部に突出し、作業台車202,302,402は、連結装置203,303,403により保持台車201,301,401に対して屈曲自在であることから、所望の作業位置に対して各種の作業を行うことができる。
本実施形態の作業装置では、連結装置303,403は、互いに回動自在に連結される複数の連結部材341,441と、保持台車301,401に設けられる牽引装置321,421と、一端部が牽引装置321,421に連結されて他端部が作業台車302,402に連結されるケーブル345,447とを有する。そのため、保持台車301,401の牽引装置321,421によるケーブル345,447の牽引動作により、複数の連結部材341,441を下端部を支点として鉛直方向の下方へ回動することができ、簡単な構成で作業台車を所望の位置に移動することができる。
本実施形態の作業装置では、複数の連結部材441は、複数の連結部材441の配列方向に沿って所定長さだけ互いに移動自在に連結される。そのため、保持台車401の牽引装置421によるケーブル447の牽引動作により、複数の連結部材441を下端部を支点として鉛直方向の上方や下方へ回動することができ、簡単な構成で作業台車を所望の位置に移動することができる。
本実施形態の作業装置では、複数の連結部材341は、U字形状をなすことで、内部に収容空間部359が設けられ、第2加工具305が収容空間部359に収容可能である。そのため、第2加工具305を複数の連結部材341に設けられた収容空間部359に収容することで、全長を短くすることができ、案内通路48での第2加工装置300の走行性を向上することができる。
本実施形態の作業装置では、作業台車302は、先端部に作業位置に連続する接地面に接地して第2加工具の反力を受け止め可能な接地パッド361が設けられる。そのため、第2作業台車302が接地パッド361により安定して支持されることとなり、案内装置12が第2加工具305の反力を受け止める必要がほとんどなく、案内装置12の簡素化を図ることができると共に、第2加工具305による作業の安定性を向上することができる。
本実施形態の作業装置では、第3保持台車401と第3作業台車402との間に電力ケーブル450が掛け渡され、連結装置403の内部に電力ケーブル450が迂回するように支持される。そのため、連結装置403の内部に電力ケーブル450を迂回して支持させることで、別途電力ケーブル450を支持する装置を不要として装置の簡素化を図ることができる。
本実施形態の作業機器の案内方法にあっては、作業機器11を案内通路45,46,47,48の先端部側に収容する工程と、作業機器11が案内通路45,46,47,48に収容された状態でガイド機構31を原子炉格納容器101の外部から作業孔24を通して内部に送り出す工程とを有する。
そのため、作業機器11をガイド機構31の案内通路45,46,47,48に収容したままで、ガイド機構31を原子炉格納容器101の外部から内部に送り出すことから、容易に作業機器11を原子炉格納容器101内の所定の位置に案内することができる。
本実施形態の放射性廃棄物の回収方法にあっては、作業機器11としての加工装置200,300,400が案内通路45,46,47,48に収容された状態でガイド機構31を原子炉格納容器101の外部から作業孔24を通して内部に送り出す工程と、案内通路45,46,47,48から第1加工装置200の第1加工具205を外部に突出して作業位置までの障害物を除去する工程と、案内通路45,46,47,48から第2加工装置300の第2加工具305を外部に突出して作業位置で放射性廃棄物Mを切削して作業空間M1を確保する工程と、作業空間M1で第3加工装置400の第3加工具405により放射性廃棄物Mを切削する工程とを有する。そのため、容易に加工装置200,300,400を原子炉格納容器101内の所定の位置に案内することができる。
本実施形態の放射性廃棄物の回収方法では、工程の切り替え時に加工装置200,300,400の種類を交換して作業を行う。そのため、各工程で適正に所定の作業を行うことができる。
本実施形態の放射性廃棄物の回収方法では、作業位置で放射性廃棄物Mを切削してすり鉢形状の作業空間M1を形成する。そのため、加工装置200,300,400の加工具205,305,405により放射性廃棄物Mを切削するとき、切削物がすり鉢形状の作業空間M1に溜まることで、放射性廃棄物Mの飛散を抑制することができる。
本実施形態の放射性廃棄物の回収方法では、作業空間M1で第3加工装置400の第3加工具405により放射性廃棄物Mを格子状に加工して放射性廃棄物Mのブロック体(回収物)M2を形成する。そのため、切削して切り出した放射性廃棄物Mのブロック体M2がほぼ同様の大きさとなり、放射性廃棄物Mを効率よく搬出することができる。
なお、上述した実施形態にて、ガイド機構を構成するガイド部材の数は、実施形態に限定されるものではない。また、それに合わせて、操作用索状を構成する索状体の数も実施形態に限定されるものではない。
また、上述した実施形態にて、ガイド部材を円筒形状としたが、角筒形状であってもよく、また、筒に限らず、作業機器が移動自在であれば、例えば、C型断面をなす所定長さの部材であってもよい。
また、上述した実施形態にて、作業機器11の先端部に照明付きのカメラ152を設けたが、作業機器の案内装置12におけるガイド機構31の先端部に照明付きのカメラを設けてもよい。