JP7240724B2 - 温度計 - Google Patents

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Description

本発明は、高温測定用の温度計に関する。
例えば、特許文献1には、2本の素線が固形焼結絶縁管に通されて相互に絶縁されており、固形焼結絶縁管より延出するそれぞれの素線の一端部は接続されて測温接点が形成され、少なくとも測温接点を含む先端側は、両端が閉じられた保護管内に収められている高温用の熱電対が開示されている。この文献には、2本の素線が、1本の絶縁管に形成された2つの孔にそれぞれ通されて絶縁される態様だけではなく、それぞれが中空状の絶縁管2本に、素線を1本ずつ通して絶縁することも開示されている。
このような構成では、素線同士の絶縁を図ることはできるが、高温測定後に素線が断線してしまう事態が発生することがある。このような事態について、図1を用いて説明する。
図1(a)は、測定前の状態を表しており、保護管100内に2孔を有する絶縁管102を設け、素線104及び106をそれぞれ絶縁管102のいずれかの孔に通して、素線104及び106の先端部分が接続されて測温接点108が形成されている。素線104及び106は、絶縁管102の孔内壁に接触することはあるが、孔の内壁に付着して固定されてしまうことはない。一方で、絶縁管102より上方に延出した素線104及び106は、絶縁管102の端部で曲がりやすく、延出した素線104及び106の、絶縁管102の孔内への移動は制限される。
次に、図1(b)に、高温測定時の状態を示す。高温測定時には、被測定対象である高温体200に、保護管100ごと差し入れるようにして測定を行う。このような場合、図1(b)では誇張して表されているが、保護管100内の絶縁管102並びに素線104及び106には、主に先端部分で、熱膨張による伸びが発生している。特に、例えばセラミックス製の絶縁管102よりも、金属製の素線104及び106は伸びが大きい。さらに、点線X内に示すように、素線106は、高温で軟化し、絶縁管102の孔の内壁に付着してしまうことがある。
このように、絶縁管102の孔の内壁に素線106が付着してしまった後、室温に戻すと、図1(c)に示すように、絶縁管102並びに素線104及び106には熱収縮が発生するが、素線104及び106の方が熱収縮の度合いが高いため、点線Yで示すように軟化した部分や脆弱な部分で断線が発生してしまうことがある。
図1では、熱電対を例に示したが、リード線に繋がれた感温素子を測温接点の代わりに用いた温度計でも、同様の構成を採用することがあり、その場合にはリード線の断線が発生することがある。
特開2002-22554号公報
本発明の目的は、一側面としては、高温においても、温度計における素線又はリード線の断線を抑制するための技術を提供することである。
本発明の第1の態様に係る温度計は、第1の素線と、第2の素線と、第1の管と、第2の管と、第3の管と、第4の管とを有する。そして、第1の素線は、第1の管の孔に通されており、第2の素線は、第2の管の孔に通されている。さらに、第1の素線が通されている第1の管は、第3の管の孔に通されており、第2の素線が通されている第2の管は、第4の管の孔に通されている。また、第1の管と第3の管との少なくともいずれかが絶縁性材料にて形成されており、第2の管と第4の管との少なくともいずれかが絶縁性材料にて形成されており、第1及び第2の素線の端部に測温接点が形成されている。このような構成において、第1の管は、第3の管の孔内において可動であり、第2の管は、第4の管の孔内において可動であることを特徴とする。
本発明の第2の態様に係る温度計は、第1のリード線と、第2のリード線と、第1の管と、第2の管と、第3の管と、第4の管と、感温素子とを有する。そして、第1のリード線は、第1の管の孔に通されており、第2のリード線は、第2の管の孔に通されている。さらに、第1のリード線が通されている第1の管は、第3の管の孔に通されており、第2のリード線が通されている第2の管は、第4の管の孔に通されている。また、第1の管と第3の管とのいずれかが絶縁性材料にて形成されており、第2の管と第4の管とのいずれかが絶縁性材料にて形成されており、第1及び第2のリード線の端部に感温素子が接続されている。このような構成において、第1の管は、第3の管の孔内において可動であり、第2の管は、第4の管の孔内において可動であることを特徴とする。
一側面によれば、高温においても、温度計における素線又はリード線の断線を抑制できるようになる。
図1は、従来技術の問題を示すための図である。 図2は、第1の実施の形態に係る熱電対を示す図である。 図3は、第1の実施の形態に係る熱電対が断線しにくいこと示すための図である。 図4は、第2の実施の形態に係る熱電対を示す図である。 図5は、第3の実施の形態に係る温度計を示す図である。
[実施の形態1]
図2に本実施の形態に係る熱電対の構成を示す。図2(a)は、熱電対の側面断面図を示し、図2(b)は、AA’断面における上面図を示す。なお、ここでは分かりやすくするために保護管に収容されていない状態を示している。
本実施の形態に係る熱電対は、2孔を有する第1の絶縁管1と、各々1孔を有する第2の絶縁管2及び3と、熱電対素線4及び5と、熱電対素線4及び5の一端部が接続されて形成された測温接点6とを有する。
第2の絶縁管2は、第1の絶縁管1の一つの孔に通されている。第2の絶縁管3は、第1の絶縁管1の他の一つの孔に通されている。第2の絶縁管2及び3は、第1の絶縁管1の孔内において長手方向に可動である。すなわち、第1の絶縁管1の内径よりも、第2の絶縁管2及び3の外径の方が小さくなっている。また、熱電対素線4及び5の径は、第2の絶縁管2及び3の内径よりも小さくなっており、熱電対素線4及び5は、第2の絶縁管2及び3により被覆されているわけではない。
なお、第1の絶縁管1と第2の絶縁管2及び3の長さは、図2ではほぼ同じとなっているが、測温接点6とは異なる端部では両者が完全には重ならない部分が生ずることもある。
なお、第1の絶縁管1並びに第2の絶縁管2及び3には、セラミックス又は耐火物に代表される絶縁性の材料を用いる。一例として、ハフニア、アルミナ、サファイア、マグネシア、窒化ホウ素、ムライト、イットリア、ベリリア、又はジルコニア等を用いたものであっても良い。
また、熱電対素線4及び5は、R、S、B、C、Pt/Pd熱電対に代表される熱電対素線の他にも、レニウム、イリジウム、ルテニウム、ロジウム、白金、パラジウム、金、タングステン、タンタル、モリブデン、ニオブ、ハフニウム、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅に代表される金属およびこれらの合金材料、炭素に代表される非金属材料、およびこれら金属と卑金属の化合物である導電性材料を採用しても良い。
次に図3を用いて本実施の形態に係る熱電対において素線の断線が抑制できる理由について説明する。
図3(a)は、測定前の状態を表しており、本実施の形態に係る熱電対は、測温接点6側が閉じられた保護管7内に収容されている。これは図2に示したものと実質的に同じである。
次に、図3(b)に、高温測定時の状態を示す。高温測定時には、被測定対象である高温体200に、保護管7ごと差し入れるようにして測定を行う。このような高温測定時には、図1(b)について述べたように、第1の絶縁管1、第2の絶縁管2及び3、熱電対素線4及び5は、測温接点6側で熱膨張による伸びが発生している。
さらに、図1(b)と同様に、点線Z内に示すように、例えば熱電対素線4は高温で軟化し、第2の絶縁管2の孔の内壁に付着してしまうこともある。図1(b)の場合と異なるのは、第1の絶縁管1の孔の内壁ではなく、第1の絶縁管1の孔内をスライドできる第2の絶縁管2の孔の内壁に付着することである。第2の絶縁管2も、熱膨張により延びるが、熱電対素線4の付着が生ずると、当該熱電対素線4の伸びに応じて、第1の絶縁管1の孔内で下方にスライド移動する。なお、図3(b)では、熱電対素線5が付着していない第2の絶縁管3も同様に下方にスライド移動している様子を示しているが、このような場合には第2の絶縁管2と同じようにはスライド移動しない場合もある。
その後室温に戻すと、図3(c)に示すように、第1の絶縁管1、第2の絶縁管2及び3、熱電対素線4及び5の熱収縮が起こり、図3(a)の状態に戻ろうとする。図1(c)では、絶縁管102と素線106の熱収縮率が異なるため、軟化した部分や脆弱な部分で断線していたが、本実施の形態では、熱電対素線4が付着してしまった第2の絶縁管2は、熱電対素線4の収縮に応じて、第1の絶縁管1の孔内において上方にスライド移動する。そのため、熱収縮率の差が緩和され、熱電対素線4の断線が抑制される。
このように、第2の絶縁管2及び3は、第1の絶縁管1の孔内において可動であるため、熱電対素線4又は5の付着が発生したとしても、第2の絶縁管2及び3の孔に通されている熱電対素線4及び5の熱膨張及び熱収縮に応じてスライド移動することで、熱電対素線4及び5の断線が抑制される。
なお、第1の絶縁管1と第2の絶縁管2及び3とを両方とも絶縁管とする例を示したが、熱電対素線4と熱電対素線5との絶縁が図れればよいので、何れか一方のみ絶縁管とすれば足りる。他方については、金属または半導体のような導電性材料を用いても良い。
また、熱電対素線4及び5は、高温になると軟化するだけではなく、一部蒸発して他方の素線を汚染する場合がある。本実施の形態のように第2の絶縁管2及び3を導入することで、熱電対素線4及び5との隙間が削減されて、他方の素線の汚染を抑制することもできるようになる。
なお、アルミナ製の第1の絶縁管1と、アルミナ製の第2の絶縁管2及び3と、パラジウムの熱電対素線4と、白金の熱電対素線5とを用いた実験では、室温から1500℃までの昇温及び降温を実施し、断線がないことを確認すると共に、降温後に熱電対素線4及び5を第2の絶縁管2及び3と共に第1の絶縁管1から取り出せることを確認している。
[実施の形態2]
本実施の形態に係る熱電対の構成を図4に示す。図4(a)は、熱電対の側面断面図を示し、図4(b)は、BB’断面における上面図を示す。
本実施の形態では、第1の実施の形態に係る第1の絶縁管1に代わって、第3の絶縁管10及び11を用いるものである。すなわち、2孔の第1の絶縁管1を、1孔の第3の絶縁管2つに分離したものである。逆に言えば、1孔の第3の絶縁管2つを一体化させれば、2孔の第1の絶縁管1となる。
本実施の形態では、第2の絶縁管2は、第3の絶縁管10の一つの孔に通されている。第2の絶縁管3は、第3の絶縁管11の一つの孔に通されている。第2の絶縁管2は、第3の絶縁管10の孔内において長手方向に可動である。また、第2の絶縁管3は、第3の絶縁管11の孔内において長手方向に可動である。すなわち、第3の絶縁管10の内径よりも、第2の絶縁管2の外径の方が小さくなっており、第3の絶縁管11の内径よりも、第2の絶縁管3の外径の方が小さくなっている。
その他の構成及び測定時における作用については、第1の実施の形態と同様である。
なお、第3の絶縁管10と第3の絶縁管11とは同じ素材でなくても良い。また、第3の絶縁管10と第2の絶縁管2とのうち少なくとも何れかが絶縁性材料で形成されていれば良く、第3の絶縁管11と第2の絶縁管3とのうち少なくとも何れかが絶縁性材料で形成されていれば良い。
[実施の形態3]
第1及び第2の実施の形態では熱電対を示したが、測温接点を、例えば測温抵抗体やサーミスタ測温体のような感温素子に置換し、熱電対素線をリード線に置換した他の温度計でも、同様の構成がリード線の断線を抑制させる。
図5に本実施の形態に係る温度計の構成を示す。図5(a)は、本実施の形態に係る温度計の側面断面図を示し、図5(b)は、CC’断面における上面図を示す。
本実施の形態に係る温度計は、第2の実施の形態に類似しており、1孔の第3の絶縁管10及び11と、1孔の第2の絶縁管2及び3と、リード線14及び15と、感温素子16とを有する。
第2の絶縁管2は、第3の絶縁管10の孔に通されており、第2の絶縁管3は、第3の絶縁管11の孔に通されている。リード線14は、第2の絶縁管2の孔に通されており、リード線15は、第2の絶縁管3の孔に通されている。リード線14及び15の一端部には、感温素子16が接続されている。第2の絶縁管2は、第3の絶縁管10の孔内において長手方向に可動である。同様に、第2の絶縁管3は、第3の絶縁管11の孔内において長手方向に可動である。すなわち、第3の絶縁管10及び11の内径よりも、第2の絶縁管2及び3の外径の方が小さくなっている。また、リード線14及び15の径は、第2の絶縁管2及び3の内径よりも小さくなっており、リード線14及び15は、第2の絶縁管2及び3により被覆されているわけではない。
このような温度計の場合にも、第1の実施の形態で述べたような作用にて、リード線14及び15の断線を抑制させることができるようになる。
第2の実施の形態で述べたように、第3の絶縁管10及び11は一体化させても良く、他の事項も、第2の実施の形態と同様に変更することができる。
以上本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば第2の絶縁管2及び3については、複数の短い管に分離しても良い。第2の絶縁管2及び3の外側の第1の絶縁管1又は第3の絶縁管10及び11についても、複数の短い管に分離される場合もある。さらに、上では管の孔の形状が円形の例を示したが、矩形その他の多角形であってもよい。同様に、熱電対素線及びリード線の断面形状についても、円形の例を示したが、矩形その他の多角形であってもよい。さらに、熱電対素線やリード線は2本以上の複数本であってもよい。
さらに、上で述べた材料については一例であり、測定を行う温度に適した他の材料を用いるようにしてもよい。
以上述べた実施の形態をまとめると以下のようになる。
本実施の形態における第1の態様に係る温度計は、第1の素線と、第2の素線と、第1の管と、第2の管と、第3の管と、第4の管とを有する。そして、第1の素線は、第1の管の孔に通されており、第2の素線は、第2の管の孔に通されている。さらに、第1の素線が通されている第1の管は、第3の管の孔に通されており、第2の素線が通されている第2の管は、第4の管の孔に通されている。また、第1の管と第3の管との少なくともいずれかが絶縁性材料にて形成されており、第2の管と第4の管との少なくともいずれかが絶縁性材料にて形成されており、第1及び第2の素線の端部に測温接点が形成されている。このような構成において、第1の管は、第3の管の孔内において可動であり、第2の管は、第4の管の孔内において可動であることを特徴とする。
このような二重管構造で内側の管が可動であれば、高温にて第1及び第2の素線が軟化して付着するような場合においても、昇温及び降温時に第1及び第2の素線の伸縮に応じて内側の管が移動するので、断線を抑制できるようになる。なお、第3の管と第4の管とが一体化されている場合もある。すなわち、外側の管は2孔以上の管1つであってもよい。
本実施の形態における第2の態様に係る温度計は、第1のリード線と、第2のリード線と、第1の管と、第2の管と、第3の管と、第4の管と、感温素子とを有する。そして、第1のリード線は、第1の管の孔に通されており、第2のリード線は、第2の管の孔に通されている。さらに、第1のリード線が通されている第1の管は、第3の管の孔に通されており、第2のリード線が通されている第2の管は、第4の管の孔に通されている。また、第1の管と第3の管とのいずれかが絶縁性材料にて形成されており、第2の管と第4の管とのいずれかが絶縁性材料にて形成されており、第1及び第2のリード線の端部に感温素子が接続されている。このような構成において、第1の管は、第3の管の孔内において可動であり、第2の管は、第4の管の孔内において可動であることを特徴とする。
リード線と感温素子とを含む温度計であっても、リード線の断線を抑制できるようになる。なお、第3の管と第4の管とが一体化されている場合もある。すなわち、外側の管は2孔以上の管1つであってもよい。
1 第1の絶縁管
2、3 第2の絶縁管
4、5 熱電対素線
6 測温接点

Claims (4)

  1. 第1の素線と、
    第2の素線と、
    第1の管と、
    第2の管と、
    第3の管と、
    第4の管と、
    を有し、
    前記第1の素線は、前記第1の管の孔に通されており、
    前記第2の素線は、前記第2の管の孔に通されており、
    前記第1の素線が通されている前記第1の管は、前記第3の管の孔に通されており、
    前記第2の素線が通されている前記第2の管は、前記第4の管の孔に通されており、
    前記第1の管と前記第3の管との少なくともいずれかが絶縁性材料にて形成されており、
    前記第2の管と前記第4の管との少なくともいずれかが絶縁性材料にて形成されており、
    前記第1及び第2の素線の端部に測温接点が形成されており、
    前記第1の管は、前記第3の管の孔内において可動であり、
    前記第2の管は、前記第4の管の孔内において可動である
    温度計。
  2. 前記第3の管と前記第4の管とが一体化されている
    請求項1記載の温度計。
  3. 第1のリード線と、
    第2のリード線と、
    第1の管と、
    第2の管と、
    第3の管と、
    第4の管と、
    感温素子と、
    を有し、
    前記第1のリード線は、前記第1の管の孔に通されており、
    前記第2のリード線は、前記第2の管の孔に通されており、
    前記第1のリード線が通されている前記第1の管は、前記第3の管の孔に通されており、
    前記第2のリード線が通されている前記第2の管は、前記第4の管の孔に通されており、
    前記第1の管と前記第3の管とのいずれかが絶縁性材料にて形成されており、
    前記第2の管と前記第4の管とのいずれかが絶縁性材料にて形成されており、
    前記第1及び第2のリード線の端部に前記感温素子が接続されており、
    前記第1の管は、前記第3の管の孔内において可動であり、
    前記第2の管は、前記第4の管の孔内において可動である
    温度計。
  4. 前記第3の管と前記第4の管とが一体化されている
    請求項3記載の温度計。
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