JP7239755B1 - 防振装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】量産される市販材料を使って浮き構造体夫々の個別の設計に合わせて簡単に形成できるようにする。【解決手段】弾性支持された浮き構造体に対し、水平方向の振動を吸収して横方向に支持し、躯体の第1縦壁部2Aに取り付ける第1固定フレーム4と、浮き構造体の第2縦壁部1Aに取り付ける第2固定フレーム5と、第1固定フレーム4又は第2固定フレーム5の内の一方に、断面四角形の角柱状軸心部材6をその軸心方向が上下方向になるように取り付け、他方に角柱状軸心部材6の周部を囲繞する四角筒部材7を取り付け、四角筒部材7と角柱状軸心部材6との間の周部における対向面間夫々に平板状の弾性板部材8を介在してある。【選択図】図2

Description

本発明は、躯体に弾性支持された浮き構造体に対し、水平方向の振動を吸収して横方向に支持する防振装置に関する。
従来、前記防振装置は、図7、図8に示すように、前記躯体の第1縦壁部2Aに取り付ける第1固定フレーム4と、前記浮き構造体の第2縦壁部1Aに取り付ける第2固定フレーム5との内のいずれか一方に、断面円形の軸心部材20をその軸心方向が上下方向になるように連設し、他方に前記軸心部材20の周部を囲繞する部分円筒形部21を連設し、前記部分円筒形部21と前記軸心部材20との間に円筒形状の弾性円筒部材22を介在してあった(例えば、特許文献1参照)。
特許第4255198号公報
上述した従来の弾性円筒部材22は、製造するのにゴムなどを型成形で行うのであるが、浮き構造体の大きさや形状、その他、そのものの重量などが防振する設備により異なり、そのために、その設計に伴い個別に要求される防振性能に合わせて、寸法や弾性性能にあった大きさや形状毎に、個別に特別成形を行わなければならず、手間が多くかかり、量産は困難でコスト高になりがちであった。
また、建物又は浮き構造体の内の一方の横方向に振動するエネルギーが、断面円形の軸心部材20の湾曲側面と部分円筒形部21の湾曲内周面との夫々の曲面間で、弾性円筒部材22を介して吸収される際に、夫々の円筒形状の一部の母線に集中するために、大荷重が作用したときには、防振装置とすることには困難性があった。
従って、本発明の目的は、上記問題点を解消し、量産される市販材料を使って浮き構造体夫々の個別の設計に合わせて簡単に形成できるようにするところにある。
本発明の第1の特徴構成は、躯体に弾性支持された浮き構造体に対し、水平方向の振動を吸収して横方向に支持する防振装置であって、前記躯体の第1縦壁部に取り付ける第1固定フレームと、前記浮き構造体の第2縦壁部に取り付ける第2固定フレームと、を備え、前記第1固定フレーム又は前記第2固定フレームの内の一方に、断面四角形の角柱状軸心部材をその軸心方向が上下方向になるように取り付け、他方に前記角柱状軸心部材の周部を囲繞する四角筒部材を取り付け、前記四角筒部材と前記角柱状軸心部材との間の周部における対向面間夫々に平板状の弾性板部材を介在してあるところにある。
本発明の第1の特徴構成によれば、建物において、その躯体の第1縦壁部に取り付けられた第1固定フレームと、浮き構造体の第2縦壁部に取り付けられた第2固定フレームのいずれかに、連接される角柱状軸心部材と、その角柱状軸心部材の周部を囲繞する四角筒部材との間に介在する弾性板部材が、建物と浮き構造体間の相対的な振動を吸収して他方に伝達するのを防止できるだけでなく、建物又は浮き構造体の内の一方の横方向に振動するエネルギーが、角柱状軸心部材の側面と四角筒部材の内側面との夫々の平面間で、弾性板部材を介して吸収される際に、夫々の面全体で均等に分散され、そのために、従来装置に比べて夫々の面全体で荷重を受けることができるために、大荷重への対応が可能となった。
その上、角柱状軸心部材の全周を四角筒部材が囲繞するために、従来例のように、軸心部材の全周を囲繞していない部分円筒形部を備えた第1固定フレームにより弾性円筒部材を介して防振するのに比べて、大荷重の外力に対する防振性能を良好に発揮できる。
しかも、振動エネルギーを吸収するのに、弾性板部材を使用するために、浮き構造体の大きさや形状、その他、そのものの重量などの設計に伴い要求される防振性能に合わせて、市販の板状の弾性体を、前記四角筒部材と前記角柱状軸心部材との間の隙間空間の寸法に合わせて裁断するだけで済み、個別の特別成形を必要とせずに少ない手間で安価に製造することができる。
本発明の第2の特徴構成は、前記四角筒部材と前記角柱状軸心部材との間の周部の四隅に前記弾性板部材の介在しない空隙部を設けたところにある。
本発明の第2の特徴構成によれば、四隅に空隙があるので、寸法誤差による弾性板状部材の嵌入が困難になることもなく、また、無理な嵌入による上下方向の滑りが妨げられることもなく、四角筒部材及び角柱状軸心部材と弾性板部材との面接触で水平方向の振動エネルギーを吸収等できる。
その上、前記四角筒部材と前記角柱状軸心部材との間で作用する横方向の外力の内、夫々の面に直交する方向以外の方向の外力に対しては、2軸方向に分散して複数の弾性板部材で受け止めて防振効果を発揮でき、結果的に、金物形状を標準化できると共に、防振材を必要強度、防振性能に合わせて市販品の中から選定できるようになった。
本発明の第3の特徴構成は、前記弾性板部材は、前記角柱状軸心部材又は前記四角筒部材のいずれか一方にのみ接着してあり、前記角柱状軸心部材の上下長さを前記四角筒部材の上下長さよりも大きく形成してある。
本発明の第3の特徴構成によれば、本発明の第1の特徴構成による上述の作用効果を叶えることができるのに加えて、前記弾性板部材は、前記角柱状軸心部材又は前記四角筒部材のいずれか一方にのみ接着してあり、前記角柱状軸心部材の上下長さを前記四角筒部材の上下長さよりも大きく形成してあることにより、建物の躯体に対して浮き構造体が、相対的に上下方向に振動しても、角柱状軸心部材と四角筒部材とは相対的な上下動が許容される。
従って、建物と浮き構造体との間での振動伝達が良好に防止される。
本発明の第4の特徴構成は、前記弾性板部材は、前記角柱状軸心部材又は前記四角筒部材のいずれか一方にのみ接着してあると共に、他方との間に隙間を設けたところにある。
本発明の第4の特徴構成によれば、前記隙間により角柱状軸心部材と四角筒部材との相対的な上下スライドがしやすくなり、防振装置を現場で設置する時のレベル調整が一層容易になる。
本発明の第5の特徴構成は、前記弾性板部材は、弾性樹脂板と硬質部材との貼合せ体であり、前記角柱状軸心部材又は前記四角筒部材のいずれか一方にのみ硬質部材側で接着したところにある。
本発明の第5の特徴構成によれば、弾性板部材を弾性樹脂板と硬質部材との貼合せ体とすることで、弾性板部材の反り返り等の変形による離脱を防ぎ、四角筒部材と角柱状軸心部材との距離に合わせ、適宜クリアランスの調整が可能である。しかも、四角筒部材または角柱状軸心部材と擦れるのは弾性樹脂板であり、摺動の騒音等も発生しない。
そのうえ、前記弾性板部材は、前記角柱状軸心部材又は前記四角筒部材のいずれか一方にのみ接着してあるために、前記角柱状軸心部材又は前記四角筒部材の上下スライドがしやすくなり、防振装置を現場で設置する時のレベル調整がしやすくなる。
本発明の第6の特徴構成は、前記第1固定フレームを前記第1縦壁部に対してボルトを介して固定すると共に、そのボルトに対するボルト挿通孔を前記ボルトの本数よりも上下に多く設け、あるいは、前記第2固定フレームを前記第2縦壁部に対してボルトを介して固定すると共に、そのボルトに対するボルト挿通孔を前記ボルトの本数よりも上下に多く設け、前記第1固定フレーム又は第2固定フレームの内の一方に、前記角柱状軸心部材を取り付けたところにある。
本発明の第6の特徴構成によれば、上下に本数の多い前記ボルト挿通孔に対して前記ボルトを選択的に挿通させて固定することにより、防振装置の現場における上下設置位置調整が可能になり、施工性を向上させることができる。
本発明の防振装置の取り付け状態を示す概略図である。 本発明の防振装置の取り付け状態を示す側面図である。 本発明の分解斜視図である。 本発明の斜視図である。 防振装置の図6のB-B横断平面図である。 防振装置の図5のA-A縦断面図である。 従来例の分解斜視図である。 従来例の設置状態を示す側面図である。 防振装置の防振具を示す斜視図である。 防振装置の防振具を示す平面図である。 防振装置の防振具を示す正面図である。 防振装置の防振具を示す右側面図である。 防振装置の防振具を示す背面図である。 図10のC-C縦断面図である。 図12のD-D横断面図である。 防振装置の防振具の分解斜視図である。
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。尚、図面において従来例と同一の符号で表示した部分は、同一又は相当の部分を示している。
図1に示すように、建物の躯体で囲まれた空間内に音響ホールやスタジオ等を形成するのに、その対象室1内からの発生音や振動が室外に漏洩したり、建築物外や隣室からの騒音や振動が、対象室1内に侵入しないように、対象室1は、建物の躯体2で囲まれた空間内で底部を弾性支持された浮き構造体として構成されている。
そして、浮き構造体である対象室1は、その周囲の複数個所に配置された防振装置3によって、水平方向の振動を吸収するように横方向に支持されている。
前記防振装置3は、図2~図6に示すように、躯体2の第1縦壁部2Aに取り付ける第1固定フレーム4と、浮き構造体の第2縦壁部1Aに取り付ける第2固定フレーム5とを設け、第2固定フレーム5に、断面四角形の角柱状軸心部材6をその軸心方向が上下方向になるように取り付け、第1固定フレーム4に前記角柱状軸心部材6の周部を囲繞する四角筒部材7を溶接により一体に取り付け、前記四角筒部材7と前記角柱状軸心部材6との間の周部4箇所における対向面間夫々に、各別に4枚の平板状の弾性板部材8を介在してある。
第1固定フレーム4、第2固定フレーム5、角柱状軸心部材6、四角筒部材7は、夫々金属製から形成してあり、弾性板部材8は、ポリウレタン系の弾性樹脂から形成してあり、角柱状軸心部材6の外周面に接着してある。
また、前記角柱状軸心部材6の上下長さを、四角筒部材7の上下長さよりも大きく形成してあり、角柱状軸心部材6と四角筒部材7との上下寸法のクリアランス内で、浮き構造体が上下に振動しても許容できるように構成してある。
従って、角柱状軸心部材6に接着してある弾性板部材8も、四角筒部材7の上下寸法よりも大に形成してある。
前記四角筒部材7と前記角柱状軸心部材6との間の周部の四隅に、弾性板部材8の介在しない空隙部Eを設けてあり、寸法誤差による弾性板部材8の嵌入が困難になることもなく、また、無理な嵌入による上下方向の滑りが妨げられることもなく、四角筒部材7及び角柱状軸心部材6と弾性板部材8との面接触で水平方向の振動エネルギーを吸収等できるように形成してある。
前記角柱状軸心部材6は、図2、図3、図4、図6に示すように、縦断面形状がコの字形状の第2固定フレーム5の一対の突出部分に挿通させて取り付けるボルト9に、同心状に挿通させて取付けた角筒形状物で構成してある。
尚、図2~図6における10は、弾性板部材8が既製品の場合、角柱状軸心部材6の外面と四角筒部材7の内面との対向面間の間隙を、弾性板部材8の厚みが少し不足する場合に、追加する金属板などの硬質部材から成る調整板であり、角柱状軸心部材6と弾性板部材8との双方に接着させてある。
つまり、弾性板部材8を弾性樹脂板と硬質部材(調整板10)との貼合せ体とすることで、弾性板部材8の反り返り等の変形による離脱を防ぎ、四角筒部材7と角柱状軸心部材6との距離に合わせ、適宜クリアランスの調整が可能である。しかも、四角筒部材7または角柱状軸心部材6と擦れるのは弾性樹脂板であり、摺動の騒音等も発生しない。
尚、弾性板部材8と四角筒部材7との間は、非接着でわずかな隙間があり、角柱状軸心部材6と四角筒部材7とは上下相対移動が可能で、防振装置3を現場で設置する際のレベル調整を容易にできるように構成してある。
〔別実施形態〕
以下に他の実施の形態を説明する。
なお、以下の他の実施形態において、上記実施形態と同様の部材には同一の符号を附してある。
〈1〉 前記第2固定フレーム5に、断面四角形の角柱状軸心部材6をその軸心方向が上下方向になるように連設し、第1固定フレーム4に前記角柱状軸心部材6の周部を囲繞する四角筒部材7を連設したが、その反対に、第1固定フレーム4に角柱状軸心部材6を連設し、第2固定フレーム5に四角筒部材7を連設してあってもよい。
〈2〉 前記第1固定フレーム4と第2固定フレーム5とは、いずれか一方が第1縦壁部2Aに取り付けると共に、他方が第2縦壁部1Aに取り付けてもよいばかりか、それらの取り付け方法は、ボルトによる固定以外に金属溶接による固定であってもよい。また、図2~図6に示すように、ボルト11による取付の際には、上下に取り付け位置を変更調整できるように、ボルト挿通孔12をボルト11の本数よりも多く上下に余分に設けておいて、それらのボルト挿通孔12に対するボルト11を選択的に固定調整できるようにしてあってもよい。この場合、2本のボルト11よりもボルト挿通孔12の数を、上下に3箇所以上に設けてあってもよい。
〈3〉 前記弾性板部材8は、先の実施形態で説明した弾性樹脂に限るものではなく、ゴムから成形された板状物であってもよい。
〈4〉 前記弾性板部材8は、前記四角筒部材7と前記角柱状軸心部材6との間の周部4箇所における対向面間夫々に、各1枚設ける以外に、市販の弾性板部材8を複数枚重ねて配置してあってもよい。
〈5〉 前記弾性板部材8は、角柱状軸心部材6に接着してある例を示したが、四角筒部材7の内面に接着してあってもよいが、この場合は、上下長さが、四角筒部材7の上下端からあまり出ないように形成してある方が良い。
〈6〉 前記浮き構造体は、建物の躯体で囲まれた空間内で底部を弾性支持されたものを例として実施形態を示したが、建物外部に設置されるものでもよい。
なお、本発明に係る防振装置3における防振具は、図9~図16に示すように、対象物に固定される固定部材(第2固定フレーム5)と、角柱状軸心部材6と、四角筒部材7と、4枚の平板状の弾性板部材8とを備え、第2固定フレーム5にボルト9を介して取り付けられている。第2固定フレーム5は断面コの字状を呈しているが、この形状に限られない。角柱状軸心部材6の上面と下面との間には、2枚の矩形の板状部材を適宜間隔をおいて設けているが、この部材の枚数や形状は限定されない。弾性板部材8は角柱状軸心部材6の外面に調整板10を介して接着させているが、調整板10は弾性板部材8の厚さに応じて省略可能である。また、弾性板部材8を角柱状軸心部材6の外面又は四角筒部材7の内面の一方に直接接着させてもよい。なお、寸法は限定されないが、例えば、角柱状軸心部材6は、200mm四方で高さが100mmである。
尚、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
1A 第2縦壁部
2 躯体
2A 第1縦壁部
4 第1固定フレーム
5 第2固定フレーム
6 角柱状軸心部材
7 四角筒部材
8 弾性板部材
E 空隙部

Claims (6)

  1. 躯体に弾性支持された浮き構造体に対し、水平方向の振動を吸収して横方向に支持する防振装置であって、
    前記躯体の第1縦壁部に取り付ける第1固定フレームと、
    前記浮き構造体の第2縦壁部に取り付ける第2固定フレームと、を備え、
    前記第1固定フレーム又は前記第2固定フレームの内の一方に、断面四角形の角柱状軸心部材をその軸心方向が上下方向になるように取り付け、
    他方に前記角柱状軸心部材の周部を囲繞する四角筒部材を取り付け、
    前記四角筒部材と前記角柱状軸心部材との間の周部における対向面間夫々に平板状の弾性板部材を介在してある防振装置。
  2. 前記四角筒部材と前記角柱状軸心部材との間の周部の四隅に前記弾性板部材の介在しない空隙部を設けてある請求項1に記載の防振装置。
  3. 前記弾性板部材は、前記角柱状軸心部材又は前記四角筒部材のいずれか一方にのみ接着してあり、前記角柱状軸心部材の上下長さを前記四角筒部材の上下長さよりも大きく形成してある請求項1または2に記載の防振装置。
  4. 前記弾性板部材は、前記角柱状軸心部材又は前記四角筒部材のいずれか一方にのみ接着してあると共に、他方との間に隙間を設けてある請求項1~3のいずれかに記載の防振装置。
  5. 前記弾性板部材は、弾性樹脂板と硬質部材との貼合せ体であり、前記角柱状軸心部材又は前記四角筒部材のいずれか一方にのみ硬質部材側で接着してある請求項1~4のいずれかに記載の防振装置。
  6. 前記第1固定フレームを前記第1縦壁部に対してボルトを介して固定すると共に、そのボルトに対するボルト挿通孔を前記ボルトの本数よりも上下に多く設け、あるいは、
    前記第2固定フレームを前記第2縦壁部に対してボルトを介して固定すると共に、そのボルトに対するボルト挿通孔を前記ボルトの本数よりも上下に多く設け、
    前記第1固定フレーム又は第2固定フレームの内の一方に、前記角柱状軸心部材を取り付けてある請求項1~5のいずれか1項に記載の防振装置。
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