JP7239319B2 - ブレーキ装置、車輪モジュール、および、移動機構 - Google Patents

ブレーキ装置、車輪モジュール、および、移動機構 Download PDF

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Description

本発明は、ブレーキ装置、車輪モジュール、および、移動機構に関する。
従来、駆動モータの回転シャフトの回転を規制するブレーキ装置が種々提案されている。ブレーキ装置としては、例えば、バネを用いてアーマチュアを回転シャフトとともに回転する回転円板へ付勢することで回転シャフトの回転を規制する一方、電磁コイルに通電してアーマチュアを回転体から離間させることで制動を解除するブレーキ装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
特開平5-39817号公報
ところで、回転円板は、回転シャフトの回転を規制するために、回転シャフトに対して軸方向に移動することを許容されるものである。従って、回転円板は、回転シャフトに固定されるスプラインハブ(ボス)に対して、径方向において隙間が形成されている。一方、回転円板は、回転シャフトの回転を規制していない状態においては、スプラインハブに対して軸方向に移動自在であるとともに、径方向おいても移動自在となる。つまり、回転円板は、径方向において隙間分移動することが許容されることとなり、振動・騒音が発生する恐れがある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、回転シャフトの非回転規制状態における振動・騒音の発生を抑制することができるブレーキ装置、車輪モジュール、および、移動機構を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係るブレーキ装置は、ブレーキ体と、摩擦体と、一対の非回転体と、移動機構と、回転力伝達機構と、弾性部材とを少なくとも備える。ブレーキ体は、ホイールを回転させる駆動部の回転シャフトと一体回転し、かつ前記回転シャフトの軸方向に移動自在に支持される。摩擦体は、前記ブレーキ体を挟んで、軸方向において配置される。一対の非回転体は、前記摩擦体を挟んで、軸方向において配置される。移動機構は、前記一対の非回転体の軸方向における相対距離を変更する。回転力伝達機構は、前記回転シャフトの回転力を前記ブレーキ体に伝達する。弾性部材は、前記回転シャフトと一体回転し、かつ前記ブレーキ体を径方向に付勢する。さらに前記回転シャフトの回転力を前記ブレーキ体に伝達する回転力伝達機構を備える。前記回転力伝達機構は、前記回転シャフトに固定され、かつ前記ブレーキ体が軸方向に移動自在に支持されるとともに一体回転するボスである。前記弾性部材は、前記ボスの外周面のうち、軸方向から見た場合に、前記回転シャフトの中心において交差する2方向に対応する位置に、それぞれ固定されている。前記弾性部材は、軸方向に延在する本体部と、前記本体部の両端部から前記本体部の延在方向と直交し、前記回転シャフト側の方向にそれぞれ突出し、前記回転力伝達機構の受け部を把持する一対の把持部と、前記本体部の軸方向の一端側に設けられた、径方向に突出しない平坦部と、前記本体部の軸方向の他端側に設けられた前記ブレーキ体側に径方向へ突出する突出部とを有し、前記一端側は前記一対の非回転体のうち固定される非回転体の側である。
本発明の一態様によれば、回転シャフトの非回転規制状態における振動・騒音の発生を抑制することができる。
図1は、第1の実施形態に係る車輪モジュールを備えた台車の外観を示す斜視図である。 図2は、車輪モジュールの外観を示す斜視図である。 図3は、図2のI-I線断面図である。 図4は、図3に示すブレーキ装置付近の拡大図である。 図5は、図4に示す弾性部材付近の拡大図の要部拡大図である。 図6は、図4のII-II線断面図である。 図7は、弾性部材を示す斜視図である。 図8は、車輪モジュールの制御システムの機能的構成を示すブロック図である。 図9は、制御装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
[実施形態]
以下、実施形態に係るブレーキ装置、車輪モジュールおよび移動機構について図面を参照して説明する。なお、図面は模式的なものであり、図面における各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合がある。また、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
<車輪モジュールを備えた台車の構成>
図1は、実施形態に係るブレーキ装置を備えた台車の外観を示す斜視図である。図1に示すように、台車100は、荷台110と、取っ手120と、ブレーキ装置20を有する車輪モジュール200とを備える。荷台110は、機体を構成する。
荷台110は、厚板状に形成された部材であり、表面に荷物が載せられる。取っ手120は、利用者が台車100を移動する際に把持するための湾曲した棒状の部材であり、荷台110の上面に取り付けられている。車輪モジュール200は、図示していないバッテリなどの電源から供給される駆動電流によって回転する車輪であり、荷台110の裏面に取り付けられている。
車輪モジュール200は、台車100の移動機構として用いられる。例えば、車輪モジュール200は、利用者が荷台110に荷物を載せて運搬する際の補助用に駆動されたり、台車100が他の台車100に追従して自走する機能を有する場合に、他の台車100との間の距離に応じて駆動されたりする。なお、車輪モジュール200は、台車100に前輪として備えられてもよいし、中輪として備えられてもよいし、後輪として備えられてもよいし、前輪・中輪・後輪のいずれか2以上の組み合わせとして備えられてもよい。例えば、6輪の台車とした場合、旋回性能が高くなるが、4輪等、備えられる車輪の数は限定されない。
また、車輪モジュール200は、例えば、運送・搬送用ロボットや、清掃用ロボット等の所謂サービスロボットの移動機構として用いることもできる。
図2は、車輪モジュール200の外観を示す斜視図である。図2に示すように、車輪モジュール200は、接続部材210と、車輪部220とを有する。なお、車輪モジュール200は、車輪部220のみで構成されてもよい。図2(図3~図7も含む)は、X方向が本実施形態における車輪モジュール200の軸方向であり、Y方向が軸方向と直交し、本実施形態における車輪モジュール200の前後方向であり、Z方向は、軸方向および前後方向と直交し、本実施形態における車輪モジュール200の上下方向であり、鉛直方向である。
接続部材210は、台車100と車輪部220とを接続する部材である。例えば、接続部材210は、固定部211と、第1保持部212と、第2保持部213とを備える。なお、固定部211と第1保持部212とは、別体に形成されてもよいし、一体に形成されてもよい。
固定部211は、厚板状に形成されるとともに、上面211aが台車100における荷台110(図1参照)の裏面に取り付けられて固定される。第1保持部212は、固定部211の端部から下方に延在する部材である。第2保持部213は、第1保持部212の下方に配置され、第1保持部212の下端との間に車輪部220の一部を挟んだ状態で、例えばネジなどにより、第1保持部212に取り付けられる。これにより、車輪部220は、第1保持部212および第2保持部213によって保持されつつ、固定部211を介して台車100に接続される。
車輪部220は、タイヤ10と、ホイール11(後述する図3参照)と、駆動部12と、移動中の台車100の減速・停止を行うための車輪モジュール200の制動動作、および停止中の台車100の移動を規制するための車輪モジュール200の停止保持動作の少なくとも一方を行うブレーキ装置20と、規制解除部40とを備える。
図3は、図2のI-I線断面図であり、また、軸方向に沿った車輪モジュール200の断面図である。図3に示すように、タイヤ10は、ゴムなど弾力性を有する部材によって形成される。例えば、タイヤ10は、円筒状の部材であり、直径は100~300mmであるが、これに限られない。ホイール11は、円筒状に形成され、外周側にタイヤ10が取り付けられる。
<駆動部の構成>
駆動部12は、ホイール11の内側、具体的には、ホイール11よりも径方向内側に配置され、回転軸Aを中心にホイール11を回転させる。例えば、駆動部12は、ステータ15と、ロータ16と、回転シャフト17と、筐体18とを備える。
例えば、ステータ15とロータ16とはインナーロータ型のモータを構成しており、駆動電流が供給されることによって、回転軸Aを中心にロータ16が回転する。ロータ16の回転によって発生した回転力は、回転シャフト17および歯車機構(例えば遊星歯車機構。図示せず)を介してホイール11に伝達される。これにより、ホイール11とともにタイヤ10が回転する。
ステータ15は、駆動電流によって、回転軸Aを中心にロータ16を回転させる。具体的には、ステータ15は、中空の円筒状に形成されたステータ基部の内周面に複数の突極が周方向に並べて配置された構成を有しており、各突極にコイルが巻回される。
ロータ16は、ステータ15よりも径方向内側に配置されており、ステータ15に対して回転軸Aを中心に回転することで、ホイール11を回転させる。具体的には、ロータ16は、円柱状に形成された基部の外周面に沿って複数の磁石が周方向に並べて配置された構成を有しており、各磁石が、ステータ15の各コイルと対向するように配置される。これにより、ロータ16は、ステータ15のコイルに駆動電流が流れた際にコイルに発生する電磁力によって、回転軸Aを中心に回転する。
回転シャフト17は、軸心が回転軸Aと一致するように配置され、ロータ16の中心を貫通した状態で、ロータ16に固定されている。ここで、回転シャフト17は、ベアリング19a,19bを介して回転自在に筐体18に支持される。これにより、回転シャフト17は、ロータ16の回転に応じて、回転軸Aを中心に回転する。回転シャフト17は、駆動部12側と反対側に段差部17aが形成され、段差部17aよりも駆動部12側の外径よりも、駆動部12側と反対側の外径が小さく形成されている。回転シャフト17は、段差部17aよりも駆動部12側と反対側に孔部17bが形成されている(図6参照)。
筐体18は、ホイール11の内側に配置され、上記したステータ15、ロータ16、回転シャフト17および図示しない歯車機構などを収容する。
<ブレーキ装置の構成>
次に、ブレーキ装置20について説明する。ブレーキ装置20は、回転シャフト17の回転を規制する装置であり、円筒状のケース部30に収容される(図2参照)。ブレーキ装置20としては、例えば無励磁作動ブレーキ(負作動電磁ブレーキ)を用いることができる。かかるブレーキ装置20などについて図4以降を参照して詳しく説明する。
図4は、図3に示すブレーキ装置20付近の拡大図である。図4に示すように、ブレーキ装置20は、ボス21と、ブレーキディスク22と、弾性部材23と、摩擦板24と、固定部25と、アーマチュア26と、ばね部材27と、電磁コイル28と、スプリングピン29を備える。
図5は、図4に示す弾性部材付近の拡大図の要部拡大図である。図6は、図4のII-II線断面図である。図5および図6に示すように、ボス21は、回転シャフト17の回転力をブレーキディスク22に伝達するものである。ボス21は、具体的に、軸方向から見た場合に、矩形状に形成されている。ボス21は、貫通穴21aと、貫通孔21bと、溝部21cと、受け部21dとを有する。なお、ボス21は、回転力伝達機構の一例である。なお、回転力伝達機構は、ボス21に限定されるものではなく、スプラインハブなどであってもよい。
貫通穴21aは、軸方向に沿って形成されており、軸方向における両端部が外部と連通する。貫通穴21aは、回転シャフト17のうち、段差部17aよりも駆動部12側と反対側の部分が挿入され、段差部17aにおいて、ボス21の駆動部12側への移動が規制される。
貫通孔21bは、ボス21を回転シャフト17に固定するものである。貫通孔21bは、径方向に沿って形成されており、端部がボス21の外周面において外部と連通する。貫通孔21bは、ボス21が回転シャフト17に挿入された状態において、孔部17bと対向する。ここで、ボス21は、スプリングピン29が貫通孔21bおよび孔部17bに挿通されることで、回転シャフト17に対するボス21の軸方向および周方向への移動が規制され、回転シャフト17に固定される。
溝部21cは、弾性部材23を収容するものであり、ボス21の外周面から内側に凹んで形成されている。溝部21cは、ボス21の外周面において、軸方向から見た場合に、回転シャフト17の中心において交差する2方向、具体的には直交する2方向に形成されている。ここでは、溝部21cは、軸方向から見た場合において、ボス21の外周面のうち直交する4辺のうち、隣り合う2辺にそれぞれ形成されている。
受け部21dは、弾性部材23が固定するものであり、溝部21cの底面として形成されている。受け部21dは、溝部21cにおいて回転シャフト17から径方向外側に突出して形成されている。ここで、受け部21dは、軸方向における両端面が径方向内側に向かうにともない、受け部21dの内部に向かって傾斜する傾斜面として形成されている。受け部21dは、受け部21dに弾性部材23が固定された状態、かつ弾性部材23に外力が作用していない状態において、後述する突出部23dがボス21の外周面よりも径方向外側に突出するように、径方向外側の頂面が弾性部材23の厚みを考慮して形成されている。
ブレーキディスク22は、例えば円板状に形成される部材である。ブレーキディスク22は、ボス21が挿入される挿入穴22aが形成されている。挿入穴22aは、挿入されるボス21に対するブレーキディスク22の相対回転を規制する形状に形成されている。つまり、ブレーキディスク22は、ホイール11を回転させる駆動部10の回転シャフト17と一体回転するものである。ブレーキディスク22は、具体的には、軸方向から見た場合における外周面と相似形状の内周面により挿入穴22aが形成されている。従って、ボス21とブレーキディスク22との間には、ボス21に対してブレーキディスク22が軸方向に移動自在となるように、隙間Hが形成されている。つまり、ブレーキディスク22は、ボス21に対して軸方向に移動自在に支持されることで、回転シャフト17に対して軸方向に移動自在に支持される。なお、ブレーキディスク22は、ブレーキ体の一例である。
図7は、弾性部材を示す斜視図である。図5~図7に示すように、弾性部材23は、回転シャフト17と一体回転し、かつブレーキディスク22を径方向に付勢するものである。弾性部材23は、弾性を有する材料、例えば金属材料により構成されており、受け部21dにそれぞれ対応するものであり、受け部21dにそれぞれ固定される。つまり、弾性部材23は、ボス21の外周面のうち、軸方向から見た場合に、回転シャフト17の中心において交差する2方向、具体的には直交する2方向に対応する位置に、それぞれ固定されている。弾性部材23は、本体部23aと、一対の把持部23b、23c、突出部23dとを有する。
本体部23aは、弾性部材23がボス21に固定された状態において、ブレーキディスク22の内周面と径方向において対向するものである。本体部23aは、軸方向を延在方向とする平板状に形成されている。
一対の把持部23b,23cは、受け部21dを弾性変形した状態で把持するものである。一対の把持部23b,23cは、本体部23aの軸方向における両端部から本体部23aの延在方向、すなわち軸方向と直交する方向である径方向にそれぞれ突出するものである。一対の把持部23b,23cは、軸方向における長さが本体部23aよりも短く形成されている。一対の把持部23b,23cは、軸方向における最も短い長さL2が、本体部23aの長さL1よりも短くなるように、径方向に突出するにともない、互いに近接するように傾斜して形成されている。つまり、弾性部材23を受け部21dに固定する場合は、一対の把持部23b,23cの軸方向における長さが本体部23aよりも長くなるように、一対の把持部23b、23cを軸方向における外側に押し広げることで、弾性変形させ、受け部21dの軸方向における両端面に弾性変形した状態で接触させる。
突出部23dは、ブレーキディスク22と弾性変形した状態で接触するものである。突出部23dは、弾性部材23がボス21に固定された状態、かつ弾性部材23に外力が作用していない状態において、ボス21の外周面よりも径方向においてブレーキディスク22側に突出して形成されている。
摩擦板24は、ブレーキディスク22と摺接して回転シャフト17の回転を規制する。具体的には、摩擦板24は、第1摩擦板24aと、第2摩擦板24bとを備える。第1、第2摩擦板24a,24bは、例えば環状に形成され、中央の孔には回転シャフト17が貫通するように配置される。
また、第1摩擦板24aと第2摩擦板24bとは、ブレーキディスク22を間に挟むようにして回転軸Aの方向に沿って配置される。上記のように構成された第1、第2摩擦板24a,24bは、具体的には、ブレーキディスク22の軸方向における両表面に取り付けられており、ブレーキディスク22の回転シャフト17に対する軸方向の移動にともない、移動する。なお、第1、第2摩擦板24a,24bを含む摩擦板24は、摩擦体の一例である。
固定部25は、例えば環状に形成され、中央の孔には回転シャフト17が貫通するように配置される。また、固定部25は、第2摩擦板24bに対して回転軸Aの方向に沿って隣接するように配置される。詳しくは、固定部25は、第2摩擦板24bにおいてブレーキディスク22やばね部材27が配置される側の面とは反対側の面と対向するように配置されて、ケース部30に固定される。つまり、固定部25は、回転シャフト17が回転しても、一体回転するものではない。固定部25は、アーマチュア26ともに、第1、第2摩擦板24a,24bを挟んで、軸方向において配置されるものである。なお、固定部25は、非回転体の一例である。
アーマチュア26は、磁性を有し、例えば環状に形成される。また、アーマチュア26の中央の孔には、回転シャフト17が貫通するように配置される。アーマチュア26は、第1摩擦板24aに対して回転軸Aの方向に沿って隣接するように配置される。詳しくは、アーマチュア26は、第1摩擦板24aにおいてブレーキディスク22やばね部材27が配置される側の面と対向するように配置されて、電磁コイル28を介してケース部30に固定される。アーマチュア26は、固定部25ともに、第1、第2摩擦板24a,24bを挟んで、軸方向において配置されるものである。なお、アーマチュア26は、非回転体の一例である。
ばね部材27は、一端がアーマチュア26と当接するように配置される。ばね部材27としては、例えばコイルばねを用いることができる。また、ばね部材27は、他端がピン41と当接するように配置される。ばね部材27およびピン41は、アーマチュア26と隣接する電磁コイル28に形成された孔28c内に配置される。
上記したピン41は、規制解除部40の構成要素である。図4は、規制解除部40が作動する前の状態を示しており、かかる状態では、ばね部材27は、ピン41とアーマチュア26との間に圧縮されて介装される。これにより、ばね部材27は、矢印F1で示すように、アーマチュア26、ブレーキディスク22を固定部25側へ付勢することとなる。上記したように、かかる付勢により、第1、第2摩擦板24a,24bは、アーマチュア26および固定部25に対してそれぞれ摺接して摩擦が生じ、回転シャフト17の回転が規制される。
なお、上記では、アーマチュア26およびブレーキディスク22を固定部25側へ付勢する部材をばね部材27としたが、これに限定されるものではなく、付勢できればその他の部材であってもよい。
電磁コイル28は、ヨーク28aと、コイル28bとを備える。ヨーク28aは、円筒状に形成され、中央の孔には、回転シャフト17が貫通するように配置される。コイル28bは、ヨーク28aの外周側に巻回される。なお、ヨーク28aには、上記したばね部材27やピン41が配置される孔28cが形成される。なお、電磁コイル28は、ばね部材27とともに、固定部25およびアーマチュア26の軸方向における相対距離を変更する移動機構の一例である。
ブレーキ装置20は、ばね部材27により、回転シャフト17の回転が規制される回転規制状態から回転シャフト17の回転の規制の解除される非回転規制状態への移行は、電磁コイル28へ通電することで行われる。例えば、図示しないバッテリなどの電源からコイル28bに駆動電流が供給されると、電磁力が発生し、アーマチュア26は、ばね部材27の付勢力に抗して電磁コイル28側へ吸着される。これにより、固定部25およびアーマチュア26との軸方向における相対距離が長くなり、ブレーキディスク22が固定部25およびアーマチュア26から離間、すなわち第1摩擦板24aがアーマチュア26から離間するとともに、第2摩擦板24bが固定部25から離間し、よって回転シャフト17の回転の規制が解除され、非回転規制状態となる。
このように、電磁コイル28は、通電によってばね部材27の付勢力に抗してブレーキディスク22を固定部25およびアーマチュア26から離間から離間させて、回転シャフト17の回転の規制を解除する。
<規制解除部の構成>
ところで、例えば上記した電磁コイル28へ通電できないような故障やバッテリ切れ等が発生した場合、電磁コイル28では、回転シャフト17の回転の規制を解除することができない。
そこで、本実施形態に係る車輪モジュール200にあっては、例えば、手動操作によって回転シャフト17の回転の規制を解除できる規制解除部40を備えるようにした。また、本実施形態に係る車輪モジュール200においては、規制解除部40を用いた手動操作によって回転シャフト17の回転の規制が解除されたことを検出できるようにした。
規制解除部40は、上記したピン41を備える。規制解除部40は、通常、ピン41の軸方向における移動を規制しているピン規制状態から、操作部を操作することで、ピン41の軸方向における移動を解除して、ばね部材27が付勢力F1を発生させない状態とする非ピン規制状態に移行させるものである。
<センサの構成>
次に、車輪モジュール200が備えるセンサについて図4を参照して説明する。車輪モジュール200は、解除検出センサ61と、回転角センサ71とを備える。
解除検出センサ61は、規制解除部40によって回転シャフト17の回転の規制が解除されたことを検出する。これにより、例えば、後述するように、手動操作によって回転シャフト17の回転の規制が解除されたときに適した駆動部12の制御などを行うことが可能となり、よって安全性を向上させることができる。
上記した解除検出センサ61は、例えば、ホールICなどを含み、検出用マグネット62の移動(スラスト移動)に伴う磁束の変化を検出することで、検出用マグネット62までの距離を検出する近接センサである。
検出用マグネット62は、規制解除部40によって非回転規制状態となることで、軸方向に移動する部材、例えば操作部に取り付けられ、かかる検出用マグネット62と対向する位置に解除検出センサ61が配置されるようにした。なお、解除検出センサ61は、ケース部30内に設けられた基板60に搭載される。
これにより、解除検出センサ61は、規制解除部40によって非回転規制状態となり、検出用マグネット62が離間する方向へ移動した場合に、規制解除部40によって回転シャフト17の回転の規制が解除されたことを検出することができる。具体的には、解除検出センサ61は、規制解除部40によって非回転規制状態となると、規制解除部40による回転シャフト17の回転の規制の解除を示す解除信号を出力する。
また、解除検出センサ61は、回転シャフト17の回転軸Aと同軸上に配置されるようにした。これにより、回転シャフト17の回転軸A上にあるスペースを有効に利用できるとともに、車輪モジュール200の径方向に対する小型化を図ることが可能となる。
回転角センサ71は、回転シャフト17の回転角を検出する。例えば、回転角センサ71は、ホールICなどを含み、検出用マグネット72の回転に伴う磁束の変化を検出することで、検出用マグネット72の回転角を検出するエンコーダである。
検出用マグネット72は、回転シャフト17が回転しても、非回転となる部材において、回転シャフト17の回転軸A上に取り付けられ、かかる検出用マグネット72と対向する位置、言い換えれば、回転シャフト17と同軸上に回転角センサ71が配置されるようにした。
これにより、回転角センサ71は、回転シャフト17の回転角を検出することができ、検出された回転シャフト17の回転角を示す回転角信号を出力する。
このように、回転角センサ71は、回転シャフト17の回転軸Aと同軸上に配置されることから、回転シャフト17の回転軸A上にあるスペースを有効に利用できるとともに、車輪モジュール200の径方向に対する小型化を図ることが可能となる。
また、回転角センサ71は、基板60に搭載される。すなわち、解除検出センサ61および回転角センサ71は、同一の基板60に設けられる。詳しくは、基板60は、回転シャフト17よりも駆動部12側と反対側に配置されるとともに、2つの主面60a,60bのうち、一方の主面60aに解除検出センサ61が設けられ、一方の主面60aとは反対側の他方の主面60cに回転角センサ71が設けられる。
これにより、解除検出センサ61と回転角センサ71とで、基板60を共有化できるとともに、共有化によって不要となる基板の分だけ、車輪モジュール200を小型にすることができる。
また、解除検出センサ61と回転角センサ71とがともに、回転シャフト17の回転軸Aと同軸上に配置されることから、回転シャフト17の回転軸A上にあるスペースをより一層有効に利用できるとともに、車輪モジュール200の径方向に対するさらなる小型化を図ることが可能となる。
なお、図示は省略するが、車輪モジュール200は、解除検出センサ61や回転角センサ71以外の各種センサ81(図7参照)を備えてもよい。各種センサ81は、例えば車輪モジュール200の駆動制御に用いられるセンサである。各種センサ81としては、ユーザからの始動要求を検出するセンサや、台車100が他の台車100に追従して自走する機能を有する場合に他の台車100との間の距離を検出するセンサなどを含むが、これらに限定されるものではない。各種センサ81は、検出された情報を示す信号を出力する。
<制御システムの構成>
次いで、本実施形態に係る車輪モジュール200の制御システムについて説明する。図8は、本実施形態に係る車輪モジュール200の制御システムSの機能的構成を示すブロック図である。
図8に示すように、制御システムSは、制御装置80と、駆動部12と、ブレーキ装置20とを備える。制御装置80は、解除検出センサ61と、回転角センサ71と、各種センサ81と、制御部90とを備える。
解除検出センサ61は、規制解除部40により非回転規制状態となると、解除信号を制御部90へ出力する。回転角センサ71は、回転シャフト17の回転角が検出された場合、回転角信号を制御部90へ出力する。各種センサ81は、検出された情報を示す信号を制御部90へ出力する。
制御部90は、例えばCPUなどを有するマイクロコンピュータである。制御部90は、解除検出センサ61などから出力された種々の信号に基づいて、駆動部12やブレーキ装置20を制御する。
例えば、制御部90は、回転角センサ71からの回転角信号に基づいて、駆動部12やブレーキ装置20へ駆動指令を出力する制御を行うことで、台車100の速度や位置などを制御することができる。
ところで、上記した規制解除部40は、例えば、ブレーキ装置20へ通電できないような故障やバッテリ切れ等が発生した場合、ブレーキ装置20が回転シャフト17の回転を規制した状態で固定されるため、手動操作によって回転シャフト17の回転の規制を解除する。そのため、例えば、手動操作による回転規制の解除がなされた状態のまま、駆動部12を再度駆動させてしまうと、電磁ブレーキがかからないため、回転シャフト17の回転が規制されず、停止できないおそれがあった。
そこで、本実施形態に係る制御部90は、解除検出センサ61から解除信号が出力されているか否かを判定し、判定結果に基づいて駆動部12を制御するようにした。例えば、制御部90は、解除検出センサ61から解除信号が出力されていると判定された場合、駆動部12の駆動を制限することができる。
なお、駆動部12の駆動の制限には、例えば、台車100の上限速度を下げる、最大旋回角度を狭くするなどの制限を設けることに限られるものではなく、駆動部12での駆動の禁止が含まれてもよい。
このように、手動操作による回転規制の解除がなされた状態のままのときの、駆動部12の駆動を制限することで、車輪モジュール200を備えた台車100の安全性を向上させることができる。
なお、制御部90は、解除検出センサ61から解除信号が出力されていると判定された場合、手動操作による回転規制の解除がなされていることをユーザに対して通知するようにしてもよい。
<制御装置の制御処理>
次に、制御装置における具体的な処理手順について図9を用いて説明する。図9は、制御装置80が実行する処理手順を示すフローチャートである。
図9に示すように、制御装置80の制御部90は、回転角センサ71の回転角度信号などに基づいて、駆動部12などへの駆動指令が出力されたか否かを判定する(ステップS10)。制御部90は、駆動指令が出力されたと判定されない場合(ステップS10,No)、以降の処理をスキップする。
制御部90は、駆動指令が出力されたと判定された場合(ステップS10,Yes)、解除検出センサ61から解除信号があるか否かを判定する(ステップS11)。制御部90は、解除信号がないと判定された場合(ステップS11,No)、駆動指令に応じて駆動部12を制御する、言い換えると、通常制御(モータ駆動)を行う(ステップS12)。他方、制御部90は、解除信号があると判定された場合(ステップS11,Yes)、駆動部12の駆動の制限(モータ駆動制限)を行う(ステップS13)。
上述したように、実施形態に係るブレーキ装置20は、ボス21と、ブレーキディスク22と、弾性部材23と、一対の摩擦体24a,24bと、固定部25と、アーマチュア26と、ばね部材27と、電磁コイル28と、を少なくとも備える。ブレーキディスク22は、ホイール11を回転させる駆動部12の回転シャフト17と一体回転し、かつ回転シャフト17の軸方向に移動自在に支持される。一対の摩擦体24a,24bは、ブレーキディスク22を挟んで、軸方向において配置される。固定部25およびアーマチュア26は、一対の摩擦体24a,24bを挟んで、軸方向において配置される。ばね部材27および電磁コイル28は、固定部25およびアーマチュア26の軸方向における相対距離を変更する。ボス21は、回転シャフト17の回転力をブレーキディスク22に伝達する。弾性部材23は、回転シャフト17と一体回転し、かつブレーキディスク22を径方向に付勢する。
ここで、各弾性部材23が各溝部21cに収容され、一対の把持部23b、23cにより受け部21dが把持された状態では、突出部23dがボス21の外周面よりも、径方向外側に突出する。各弾性部材23は、突出部23dがブレーキディスク22の内周面に接触することで、弾性変形した状態となる。ブレーキディスク22は、図6に示すように、各弾性部材23が弾性変形することで発生する付勢力により、各弾性部材23が配置されている側と中心を挟んで反対側に押されることとなり、ボス21の外周面と、ブレーキディスク22の内周面とが接触する。つまり、各弾性部材23が配置されている側と中心を挟んで反対側における隙間Hがなくなり、各弾性部材23が配置されている側は、隙間Hが存在するが、各弾性部材23がブレーキディスク22に対して弾性変形した状態で接触する。これにより、回転シャフト17の非回転規制状態、すなわち、ブレーキディスク22が回転シャフト17に対して、軸方向における移動が許容されている状態において、回転シャフト17に対するブレーキディスク22の径方向への移動が弾性部材23により規制される。つまり、径方向においてブレーキディスク22と回転シャフト17との隙間Hがない状態と同じ状態とすることができるので、振動・騒音の発生を抑制することができる。
なお、上記した実施形態では、弾性部材23をボス21に対して、回転シャフト17の中心において直交する2方向に対応する位置に固定したが、これに限定されるものではなく、例えば、交差する2方向に対応する位置に固定してもよく、直交する4方向、例えば、幅方向、上下方向に対応する位置に固定してもよい。
また、上記した実施形態では、回転力伝達機構として、ボス21を構成要素として含むが、これに限定されるものではなく、回転シャフト17が回転力伝達機構として機能してもよい。この場合、例えば、回転シャフト17のブレーキディスク22に径方向において対向する位置の形状を軸方向から見た場合に、矩形状に形成し、回転シャフト17の外周面のうち、矩形状の部分に内側に凹んで形成される溝部と、受け部とを形成し、受け部を一対の把持部23b、23cに把持させることで、弾性部材23を回転シャフト17に固定する。これにより、弾性部材23がボス21に固定される場合と比較して、ブレーキ装置20の部品点数の削減、組立性の向上を図ることができる。
また、上記した実施形態では、摩擦板24は、ブレーキディスク22を第1摩擦板24aと第2摩擦板24bとで挟むように構成したが、これに限定されるものではなく、例えば、複数種類の形状に形成された摩擦体を積層させる多板式などその他の摩擦板であってもよい。
また、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
11 ホイール、12 駆動部、17 回転シャフト、20 ブレーキ装置、21 ボス、21d 受け部、22 ブレーキディスク、23 弾性部材、24 摩擦板、25 固定部、26 アーマチュア、27 ばね部材、28 電磁コイル、29 ネジ、200 車輪モジュール

Claims (3)

  1. ホイールを回転させる駆動部の回転シャフトと一体回転し、かつ前記回転シャフトの軸方向に移動自在に支持されるブレーキ体と、
    前記ブレーキ体を挟んで、軸方向において配置される摩擦体と、
    前記摩擦体を挟んで、軸方向において配置される一対の非回転体と、
    前記一対の非回転体の軸方向における相対距離を変更する移動機構と、
    前記回転シャフトと一体回転し、かつ前記ブレーキ体を径方向に付勢する弾性部材と、
    を備え、
    前記回転シャフトの回転力を前記ブレーキ体に伝達する回転力伝達機構を備え、
    前記回転力伝達機構は、前記回転シャフトに固定され、かつ前記ブレーキ体が軸方向に移動自在に支持されるとともに一体回転するボスであり、
    前記弾性部材は、前記ボスの外周面のうち、軸方向から見た場合に、前記回転シャフトの中心において交差する2方向に対応する位置に、それぞれ固定されており、
    前記弾性部材は、
    軸方向に延在する本体部と、
    前記本体部の両端部から前記本体部の延在方向と直交し、前記回転シャフト側の方向にそれぞれ突出し、前記回転力伝達機構の受け部を把持する一対の把持部と、
    前記本体部の軸方向の一端側に設けられた、径方向に突出しない平坦部と、前記本体部の軸方向の他端側に設けられた前記ブレーキ体側に径方向へ突出する突出部とを有し、前記一端側は前記一対の非回転体のうち固定される非回転体の側であり、
    前記回転シャフトの非回転規制状態において、前記弾性部材の前記突出部が前記ブレーキ体に接触して径方向に付勢する、
    ブレーキ装置。
  2. ホイールと、
    前記ホイールを回転させる駆動部と、
    請求項に記載のブレーキ装置と、
    を備える、
    車輪モジュール。
  3. 請求項に記載の車輪モジュールを備える、移動機構。
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