JP7238899B2 - スレッド材、偽造防止用紙及びその製造方法 - Google Patents

スレッド材、偽造防止用紙及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、偽造防止用紙用のスレッド材、並びに偽造防止用紙及びその製造方法に関する。
従来、偽造防止効果を有する繊維状又は細片形状のスレッド材を含む偽造防止用紙は、種々、知られている(特許文献1及び2参照)。
特開2004-53870号公報 特開2005-325482号公報
例えば、真珠光沢感に優れた繊維状のスレッド材である光学干渉性繊維を含む偽造防止用紙;真珠光沢感に優れた細片形状を有するスレッド材を含む偽造防止用紙;などが提案されている。これらの偽造防止用紙は、カラーコピー機で複写したり、スキャナで読み取ったデータをインクジェットプリンターでプリントしたりしても、スレッド材の真珠光沢感を再現できないので、偽造防止印刷物の用途に好適に利用できる。
また、例えば、着色紙、紫外線の照射で発光する蛍光発色紙、等のシート状物から製造された、プランシェ(planchettes)と呼ばれる直径1mm~2mmの丸い細片形状のスレッド材も知られている。このスレッド材を含む偽造防止用紙は、カナダの50ドル紙幣に採用された実績がある。
さらに、例えば、屈折率の異なる複数の高分子樹脂を百数十層、溶融押し出し及び延伸して得られる「多層光干渉フィルム」と呼ばれる特殊なフィルムを、グリッターと呼ばれる細片形状に打ち抜いて得られるスレッド材も知られている。このスレッド材は、多層光干渉フィルムが発現する干渉色により、偽造防止機能を発揮する。
上述した技術では、目視で確認できる視角での色変化によって、容易に偽造防止技術が利用されている事を認識できる。しかし、近年、更に高いセキュリティー性が求められている。そこで、偏光を利用してセキュリティレベルを向上させる試みが行われている。具体的には、反射偏光子を備えるスレッド材について検討が進められている。
反射偏光子を備えるスレッド材を含む偽造防止用紙は、視角での色変化に加えて、偏光板を用いて観察した場合にその偏光板に応じて異なる像が見えるので、セキュリティレベルを高めることができる。例えば、円偏光分離機能を有する反射偏光子を備えるスレッド材は、右円偏光板及び左円偏光板の一方を用いて観察した場合には当該スレッド材を見ることができ、他方を用いて観察した場合には当該スレッド材を見ることができない。よって、このように使用する偏光板に応じて異なる像が見えることを利用して、セキュリティレベルを向上させることができる。
反射偏光子は一般に薄いため、抄紙時に破損したり折れたりするので、偽造防止用紙において変形しやすい。そこで、特許文献1及び2では、スレッド材の剛性を高めるために、反射偏光子に組み合わせて透明な樹脂製の基材フィルムをスレッド材に設けることが提案されている。このように基材フィルムを備えるスレッド材は、自己支持性を有し、抄紙時における破損及び折れを抑制できる。
ところが、前記のように基材フィルム及び反射偏光子を備えるスレッド材を含む紙料を抄紙して得た偽造防止用紙を本発明者が観察したところ、偏光板に応じた異なる像を見ることができないスレッド材があることが判明した。例えば、円偏光分離機能を有する反射偏光子を備えるあるスレッド材を観察した場合に、右円偏光板及び左円偏光板のいずれを用いて観察しても、同じ像しか見えないことがあった。
本発明は、前記の課題に鑑みて創案されたもので、抄紙時における変形を抑制でき、且つ、偏光板に応じた異なる像を見ることができないスレッド材の発生を抑制できる、偽造防止用紙用のスレッド材;並びに、そのスレッド材を含む偽造防止用紙及びその製造方法;を提供することを目的とする。
本発明者は、前記の課題を解決するべく、鋭意検討し、下記の知見を得た。スレッド材を含む紙料を単純に抄紙すると、得られた偽造防止用紙でスレッド材はランダムな向きで配置される。そうすると、スレッド材は、基材フィルムを外側、反射偏光子を内側として配置されることがありえる。そのように配置されたスレッド材の反射偏光子で反射した偏光は、通常、基材フィルムを通って、観察者の目に入る。ところが、一般に樹脂製の基材フィルムはレターデーションを有するので、基材フィルムを透過することにより偏光の偏光状態は変化する。例えば、反射偏光子で反射した光が右円偏光のみを含む場合でも、その反射光が基材フィルムを透過することによって、右円偏光及び左円偏光の両方を含むように反射光の偏光状態が変化する。そのため、この反射光の少なくとも一部が、観察に用いる偏光板を常に透過でき、その結果、偏光板に応じた異なる像を見ることができないことがあった。
そこで、本発明者は更に検討を進めたところ、レターデーションが小さい光学等方性の基材フィルムを採用したスレッド材では、偽造防止用紙での形状を維持しながら、スレッド材の向きに依らず、偏光板に応じた異なる像を見ることができることを見い出した。そして、このようにスレッド材の向きに依らず、そのスレッド材が偏光板に応じた異なる像を見せる場合、異なる像を見ることができないスレッド材の発生を抑制できる、との知見を得た。この知見に基づいて、本発明者は本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記のものを含む。
〔1〕 偽造防止用紙に設けるためのスレッド材であって、
前記スレッド材が、樹脂で形成された第一基材フィルムと、反射偏光子とを備え、
測定波長590nmにおける前記第一基材フィルムの面内レターデーションが、10nm以下であり、
測定波長590nmにおける前記第一基材フィルムの厚み方向のレターデーションが、-10nm以上10nm以下である、スレッド材。
〔2〕 前記反射偏光子が、円偏光分離素子である、〔1〕に記載のスレッド材。
〔3〕 前記スレッド材が、更に第二基材フィルムを備え、
測定波長590nmにおける前記第二基材フィルムの面内レターデーションが、10nm以下であり、
測定波長590nmにおける前記第二基材フィルムの厚み方向のレターデーションが、-10nm以上10nm以下である、〔1〕又は〔2〕に記載のスレッド材。
〔4〕 〔1〕~〔3〕のいずれか一項に記載のスレッド材を含む、偽造防止用紙。
〔5〕 〔1〕~〔3〕のいずれか一項に記載のスレッド材を含む紙料を抄紙することを含む、偽造防止用紙の製造方法。
本発明によれば、抄紙時における変形を抑制でき、且つ、偏光板に応じた異なる像を見ることができないスレッド材の発生を抑制できる、偽造防止用紙用のスレッド材;並びに、そのスレッド材を含む偽造防止用紙及びその製造方法;を提供できる。
図1は、本発明の一実施形態に係るスレッド材を模式的に示す断面図である。 図2は、スレッド材を含む偽造防止用紙の例を模式的に示す断面図である。 図3は、本発明の別の一実施形態に係るスレッド材を模式的に示す断面図である。
以下、実施形態及び例示物を示して本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施形態及び例示物に限定されるものでは無く、本発明の請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において、任意に変更して実施できる。
以下の説明において、フィルムの面内レタデーションReは、別に断らない限り、Re=(nx-ny)×dで表される値である。また、フィルムの厚み方向のレタデーションRthは、別に断らない限り、Rth=[{(nx+ny)/2}-nz]×dで表される値である。ここで、nxは、フィルムの厚み方向に垂直な方向(面内方向)であって最大の屈折率を与える方向の屈折率を表す。nyは、前記面内方向であってnxの方向に直交する方向の屈折率を表す。nzは厚み方向の屈折率を表す。dは、フィルムの厚みを表す。測定波長は、別に断らない限り、590nmである。
[1.スレッド材の実施形態]
図1は、本発明の一実施形態に係るスレッド材100を模式的に示す断面図である。図1に示すように、本発明の一実施形態に係るスレッド材100は、第一基材フィルム110と、反射偏光子120とを備える。
第一基材フィルム110は、樹脂で形成された樹脂フィルムであり、反射偏光子120を支持するための支持フィルムとして機能する。反射偏光子120の剛性が低い場合でも、第一基材フィルム110が破損及び折れを生じ難いので、スレッド材100は全体として高い機械的強度を有し、よって自己支持性を獲得できる。
また、第一基材フィルム110は、面内レターデーションRe及び厚み方向のレターデーションRthが小さい光学等方性の樹脂フィルムである。よって、第一基材フィルム110は、当該第一基材フィルム110を透過する光の偏光状態を変化させる能力が小さい。したがって、反射偏光子120で反射した偏光の偏光状態は、第一基材フィルム110を透過することによる変化が小さい。
反射偏光子120は、当該反射偏光子120に入射した一部の偏光のみを反射させることができる偏光子である。反射偏光子120は、例えば、ある方向に振動方向を有する直線偏光のみを反射させる直線偏光分離素子であってもよい。直線偏光の振動方向とは、直線偏光の電場の振動方向を表す。また、反射偏光子120は、例えば、右円偏光及び左円偏光のうちの一方の円偏光のみを反射させる円偏光分離素子であってもよい。
以下の説明において、反射偏光子120が当該反射偏光子120に入射した一部の偏光のみを反射させる機能を発揮できる波長帯域を、「反射帯域」ということがある。反射偏光子120の反射帯域の範囲及び帯域幅は、任意である。例えば、反射偏光子120の反射帯域は、可視領域の全体を含んでいてもよい。可視領域とは、通常、400nm以上800nm以下の波長域をいう。また、例えば、反射偏光子120の反射帯域は、特定の色に対応した可視領域の一部のみであってもよい。
スレッド材100は、偽造防止用紙に設けるための部材である。具体的には、スレッド材100は、当該スレッド材100を含む紙料を抄紙して偽造防止用紙を製造するために用いられる。よって、得られた偽造防止用紙はスレッド材100を含む。そして、偏光板を通して見た場合のスレッド材100の見え方が特殊であることを利用して、偽造防止用紙のセキュリティレベルの向上が達成される。
以下、スレッド材100を利用した偽造防止の仕組みを、例を示して説明する。図2は、スレッド材100X及び100Yを含む偽造防止用紙200の例を模式的に示す断面図である。この図2では、スレッド材100X及び100Yの反射偏光子120において反射する光の経路を概略的に示す。実際の偽造防止用紙では、下記に説明する以外にも、様々な光の吸収及び反射が発生しうるが、以下の説明では、作用の説明の便宜上、主な光の経路を概略的に説明する。また、図2に示す例では、可視領域において右円偏光の一部(具体的には、反射帯域の光)を反射させ、右円偏光の残りの一部及び左円偏光の全部を透過させる反射偏光子120を備えるスレッド材100X及び100Yを採用している。
スレッド材100X及び100Yは、第一基材フィルム110による自己支持性を有するので、当該スレッド材100X及び100Yを含む紙料を抄紙する際に、スレッド材100X及び100Yの破損及び折れを抑制できる。したがって、抄紙時のスレッド材100X及び100Yの変形が抑制できるので、得られる偽造防止用紙200において、スレッド材100X及び100Yは、抄紙前の形状を維持できる。ただし、通常の抄紙では、スレッド材100X及び100Yの表裏の調整が難しいので、偽造防止用紙200においてスレッド材100X及び100Yはランダムな向きで配置されうる。よって、偽造防止用紙200には、ある向きで配置されたスレッド材100Xと、それとは別の向きで配置されたスレッド材100Yとが含まれうる。
この偽造防止用紙200に、右円偏光を含む光Lが入射した場合、その光Lは、偽造防止用紙200の繊維の隙間を通り、スレッド材100X及び100Yへと入射する。この光の右円偏光の一部は、反射偏光子120で反射されて反射光LRとなり、残りは透過光LLとなる。ここで、反射は、反射偏光子120の表面だけでなく内部でも発生しうるが、模式的な表現として、図2では、反射は反射偏光子120の表面において発生しているものとして図示する。
一方のスレッド材100Xの反射偏光子120での反射光LRは、偽造防止用紙200の繊維の隙間を通り、偽造防止用紙200の外部へと進む。この反射光LRは、右円偏光であるので、右円偏光板210を透過できるが、左円偏光板220を透過できない。よって、スレッド材100Xを観察する観察者は、右円偏光板210を用いた観察と、左円偏光板220を用いた観察とで、異なる像を見ることができる。具体的には、右円偏光210を通した観察によれば、観察者は、反射光LRによる像が見えるので、スレッド材100Xを見ることができる。しかし、左円偏光板220を通した観察によれば、観察者は、反射光LRによる像が見え難いので、スレッド材100Xが見え難いか、見えない。
また、他方のスレッド材100Yの反射偏光子120での反射光LRは、第一基材フィルム110を通った後で、偽造防止用紙200の繊維の隙間を通って、偽造防止用紙200の外部へと進む。第一基材フィルム110が光学等方性を有するので、反射光LRの偏光状態は、第一基材フィルム110を透過することによる変化が小さい。したがって、反射光LRは、右円偏光のままで第一基材フィルム110を透過するので、右円偏光板210を透過できるが、左円偏光板220を透過できない。よって、スレッド材100Yを観察する観察者は、スレッド材100Xを観察する場合と同じく、右円偏光板210を用いた観察と、左円偏光板220を用いた観察とで、異なる像を見ることができる。
したがって、観察者は、表裏の向きに依らず、全てのスレッド材100X及び100Yについて、右円偏光板210を通した観察と左円偏光220を通した観察とで異なる像を見ることができる。よって、全てのスレッド材100X及び100Yについて異なる像を見ることができるのであるから、偏光板210及び220に応じた異なる像を見ることができないスレッド材の発生は抑制される。
前記のように偏光板210及び220に応じて異なる像を見ることができた場合、その偽造防止用紙200は真正なものであると判定できる。また、このような偏光板210及び220に応じた異なる像が見えなかった場合、その偽造防止用紙は、非真正なものであると判断できる。そして、このような真正性の識別が可能なスレッド材100X及び100Yを含む偽造防止用紙200の偽造が困難であることを利用して、セキュリティレベルの向上が達成できる。
前記に示す例では、偽造防止用紙200の内部にスレッド材100X及び100Yが含まれた例を示したが、スレッド材100X及び100Yの一部又は全体が偽造防止用紙200の表面に露出していてもよい。スレッド材100X及び100Yの一部又は全体が偽造防止用紙200の表面に露出している場合にも、上述した例と同じ利点を得ることができる。
スレッド材は、第一基材フィルム及び反射偏光子に組み合わせて、更に任意の要素を含んでいてもよい。例えば、スレッド材は、第一基材フィルム及び反射偏光子に組み合わせて、第二基材フィルムを含んでいてもよい。以下、この第二基材フィルムを含むスレッド材について、説明する。
図3は、本発明の別の一実施形態に係るスレッド材300を模式的に示す断面図である。図3に示すように、スレッド材300は、第一基材フィルム110及び反射偏光子120に組み合わせて、更に第二基材フィルム310を含んでいてもよい。第二基材フィルム310としては、樹脂で形成された樹脂フィルムを用いることが好ましい。第二基材フィルム310を備えることにより、第一基材フィルム110及び第二基材フィルム310の両方が支持フィルムとして機能できるので、スレッド材300の自己支持性を効果的に高めることができる。よって、抄紙時のスレッド材300の変形を効果的に抑制できる。さらに、第二基材フィルム310は、面内レターデーションRe及び厚み方向のレターデーションRthが小さい光学等方性の樹脂フィルムが好ましい。光学等方性の第二基材フィルム310を採用することにより、反射偏光子120で反射した偏光が第二基材フィルム310を透過した場合に、その偏光の偏光状態の変化を小さくできる。よって、偽造防止用紙での表裏の向きに依らず、偏光板に応じた異なる像を見ることができるスレッド材310を得ることができる。
第二基材フィルム310の位置は任意であるが、スレッド材300は、第一基材フィルム110、反射偏光子120及び第二基材フィルム310を、厚み方向においてこの順に備えることが好ましい。このような位置に第二基材フィルム310を備えるスレッド材300は、第一基材フィルム110及び第二基材フィルム310によって反射偏光子120の両側を保護できるので、寿命を長くできる。
また、スレッド材は、任意の要素として、接着層を備えていてもよい。例えば、スレッド材は、第一基材フィルムと反射偏光子とを接着する接着層、第二基材フィルムと反射偏光子とを接着する接着層、などを備えていてもよい。
さらに、スレッド材は、親水性層を備えていてもよい。この親水性層は、通常、スレッド材の最表面層として設けられる。第一基材フィルム、反射偏光子及び第二基材フィルムの親水性が低い場合、偽造防止用紙に含まれる繊維とスレッド材との接着力が低くなることがありえる。これに対し、スレッド材に親水性層を設ければ、繊維とスレッド材との接着力を高めることができるので、偽造防止用紙の耐久性を向上させることができる。更に、この親水性層は、スレッド材と、偽造防止用紙の繊維とを接着する接着層として機能することが好ましい。
前記の接着層、親水性層などの任意の層は、通常、第一基材フィルム層と同じく光学等方性を有する。よって、これら任意の層を備えていても、偏光板に応じた異なる像を見ることができないスレッド材の発生は抑制できる。
[2.第一基材フィルム]
第一基材フィルムの面内レターデーションReは、通常10nm以下、好ましくは9nm以下、より好ましくは7nm以下である。第一基材フィルムの面内レターデーションReがこのように小さいことにより、第一基材フィルムを厚み方向に透過する光の偏光状態の変化を抑制できる。よって、正面方向から偽造防止用紙を観察した場合に、偽造防止用紙でのスレッド材の表裏の向きに依らず、偏光板に応じた異なる像を見ることができる。したがって、偏光板に応じた異なる像を見ることができないスレッド材の発生を抑制できる。
第一基材フィルムの厚み方向のレターデーションRthは、通常-10nm以上、好ましくは-9nm以上、より好ましくは-8nm以上であり、通常10nm以下、好ましくは9nm以下、より好ましくは8nm以下である。第一基材フィルムの厚み方向のレターデーションRthがこのように小さいことにより、第一基材フィルムを厚み方向に平行でも垂直でもない傾斜方向に透過する光の偏光状態の変化を抑制できる。よって、傾斜方向から偽造防止用紙を観察した場合に、偽造防止用紙でのスレッド材の表裏の向きに依らず、偏光板に応じた異なる像を見ることができる。したがって、偏光板に応じた異なる像を見ることができないスレッド材の発生を抑制できる。
第一基材フィルムを形成する樹脂としては、任意の樹脂を用いることができる。中でも、樹脂としては、第一基材フィルムの製造を容易にする観点から、熱可塑性樹脂が好ましい。この熱可塑性樹脂は、重合体と、必要に応じて任意の成分を含みうる。
重合体としては、例えば、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、及び脂環式構造含有重合体などが挙げられる。また、重合体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。中でも、透明性、低吸湿性、寸法安定性及び加工性の観点から、脂環式構造含有重合体が好適である。脂環式構造含有重合体は、主鎖及び/又は側鎖に脂環式構造を有する重合体であり、例えば、特開2007-057971号公報に記載のものを用いうる。熱可塑性樹脂における重合体の割合は、好ましくは80重量%~100重量%、より好ましくは90重量%~100重量%、特に好ましくは95重量%~100重量%である。
任意の成分としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、ブルーイング剤等が挙げられる。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
第一基材フィルムの製造方法としては、例えば、キャスト成形法、インフレーション成形法、押出成形法などが挙げられ、中でも押出成形法が好ましい。
第一基材フィルムの厚みは、所望の厚みのスレッド材が得られる範囲で、任意である。スレッド材の自己支持性を高くする観点では、第一基材フィルムの厚みは、好ましくは5μm以上、より好ましくは7.5μm以上、特に好ましくは10μm以上である。また、スレッド材を薄くする観点では、第一基材フィルムの厚みは、好ましくは30μm以下、より好ましくは25μm以下、特に好ましくは20μm以下である。
[3.反射偏光子]
反射偏光子は、1以上の反射帯域において、当該反射偏光子に入射した一部の偏光のみを反射する機能を発揮できる。反射偏光子の反射帯域は、可視領域を含むことが好ましい。反射帯域が可視領域を含むとは、反射帯域が可視領域の少なくとも一部を含むことをいう。このように可視領域に反射帯域を有する反射偏光子は、肉眼により当該反射偏光子の反射光を視認できる。よって、このような反射偏光子を備えるスレッド材は、広範な用途への適用が可能である。
反射偏光子が可視領域に反射帯域を有する場合、可視領域にある反射帯域の数は、1でもよく、2以上でもよい。例えば、帯域幅の狭い反射帯域を1つだけ可視領域に有する反射偏光子は、その反射帯域に対応した単色(例えば、赤色、緑色、青色等)の反射光を得ることができる。また、例えば、可視領域全体を覆うほど帯域幅の広い反射帯域を1つだけ可視領域に有する反射偏光子は、その反射帯域に対応した混色(通常は、銀色)の反射光を得ることができる。さらに、例えば、2以上の反射帯域を可視領域に有する反射偏光子は、それらの反射帯域それぞれに対応する色の混色の反射光を得ることができる。
前記の反射帯域1つ当たりの帯域幅は、好ましくは100nm以上、好ましくは200nm以上、特に好ましくは400nm以上である。特に、反射偏光子は、可視領域において前記の帯域幅を有する反射帯域を有することがより好ましい。これにより、スレッド材1つ当たりの反射光量を上げることが可能となり、より意匠性及び視認性に優れたスレッド材を得ることができる。
反射偏光子としては、直線偏光分離素子を用いてもよく、円偏光分離素子を用いてもよい。直線偏光分離素子としては、例えば、特許第3448626号公報に記載されているような、複屈折を利用した直線偏光分離素子を用いうる。ただし、偽造の困難性を高める観点、及び、真正性の判定の操作を容易に行う観点では、反射偏光子として円偏光分離素子を用いることが好ましい。
円偏光分離素子としては、コレステリック樹脂の層を用いることが好ましい。コレステリック樹脂とは、コレステリック規則性を有する樹脂をいう。コレステリック規則性とは、ある平面上では分子軸が一定の方向に並んでいるが、それに重なる次の平面では分子軸の方向が少し角度をなしてずれ、さらに次の平面ではさらに角度がずれるというように、重なって配列している平面を順次透過して進むに従って当該平面中の分子軸の角度がずれて(ねじれて)いく構造である。即ち、ある層の内部の分子がコレステリック規則性を有する場合、分子は、層の内部のある第一の平面上では分子軸が一定の方向になるよう並ぶ。層の内部の、当該第一の平面に重なる次の第二の平面では、分子軸の方向が、第一の平面における分子軸の方向と、少し角度をなしてずれる。当該第二の平面にさらに重なる次の第三の平面では、分子軸の方向が、第二の平面における分子軸の方向から、さらに角度をなしてずれる。このように、重なって配列している平面において、当該平面中の分子軸の角度が順次ずれて(ねじれて)いく。このように分子軸の方向がねじれてゆく構造は、通常はらせん構造であり、光学的にカイラルな構造である。
通常、コレステリック樹脂の層は、右円偏光及び左円偏光のうちの一方の円偏光を透過させ、他方の円偏光の一部又は全部を反射させる円偏光分離機能を発揮できる。コレステリック樹脂の層における反射は、円偏光を、そのキラリティを維持したまま反射する。この際、円偏光分離機能を発揮する波長範囲としての反射帯域を調整することにより、コレステリック樹脂の層の反射色を調整できる。
コレステリック樹脂の層が円偏光分離機能を発揮する具体的な波長は、一般に、コレステリック樹脂の層におけるらせん構造のピッチに依存する。らせん構造のピッチとは、らせん構造において分子軸の方向が平面を進むに従って少しずつ角度がずれていき、そして再びもとの分子軸方向に戻るまでの平面法線方向の距離である。このらせん構造のピッチの大きさを変えることによって、円偏光分離機能を発揮する波長を変えることができる。
例えば、液晶化合物を用いて形成されるコレステリック樹脂の層では、螺旋構造において分子軸が捩れる時の回転軸を表す螺旋軸と、コレステリック樹脂の層の法線とが平行である場合、螺旋構造のピッチpと反射される円偏光の波長λとは、通常、式(X)および式(Y)の関係を有する。
式(X):λ=n×p×cosθ
式(Y):n×p×cosθ≦λ≦n×p×cosθ
式(X)及び式(Y)中、λは反射帯域の中心波長(以下、「反射中心波長」ということがある。)を表し、nは液晶化合物の短軸方向の屈折率を表し、nは前記液晶化合物の長軸方向の屈折率を表し、nは(n+n)/2を表し、pは螺旋構造のピッチを表し、θは光の入射角(面の法線との間になす角度)を表す。
したがって、反射中心波長λは、コレステリック樹脂の層における重合体の螺旋構造のピッチpに依存する。この螺旋構造のピッチpを変えることによって、反射帯域を変えることができる。よって、螺旋構造のピッチpは、コレステリック樹脂の層に反射させたい円偏光の波長に応じて設定することが好ましい。ピッチpを調整する方法としては、例えば、特開2009-300662号公報に記載の方法を用いうる。具体例を挙げると、コレステリック液晶組成物において、カイラル剤の種類を調整したり、カイラル剤の量を調整したりする方法が挙げられる。
コレステリック樹脂の層としては、例えば、(i)らせん構造のピッチの大きさを段階的に変化させたコレステリック樹脂の層、及び、(ii)らせん構造のピッチの大きさを連続的に変化させたコレステリック樹脂の層、等が挙げられる。
(i)らせん構造のピッチを段階的に変化させたコレステリック樹脂の層は、例えば、らせん構造のピッチが異なる複数のコレステリック樹脂の層を積層することによって得ることができる。積層は、予めらせん構造のピッチが異なる複数のコレステリック樹脂の層を作製した後に、各層を粘着剤又は接着剤を介して固着することによって行なうことができる。または、積層は、あるコレステリック樹脂の層を形成した上に、別のコレステリック樹脂の層を順次形成していくことによって行なうこともできる。
(ii)らせん構造のピッチの大きさを連続的に変化させたコレステリック樹脂の層は、例えば、液晶組成物の層に、1回以上の活性エネルギー線の照射処理及び/又は加温処理を含む広帯域化処理を施した後で、その液晶組成物の層を硬化させて得ることができる。前記の広帯域化処理によれば、らせん構造のピッチを厚み方向において連続的に変化させることができるので、コレステリック樹脂の層の反射帯域を拡張することができ、そのため、広帯域化処理と呼ばれる。
コレステリック樹脂の層は、1層のみからなる単層構造の層でもよく、2層以上の層を含む複層構造の層であってもよい。コレステリック樹脂の層に含まれる層の数は、製造のし易さの観点から、1~100であることが好ましく、1~20であることがより好ましい。
反射偏光子の製造方法は、任意である。例えば、円偏光分離素子としてコレステリック樹脂の層を含む円偏光分離膜を製造する方法としては、適切な支持体上にコレステリック液晶組成物の層を設け、前記層を硬化してコレステリック樹脂の層を得る方法が挙げられる。便宜上「液晶組成物」と称する材料は、2以上の物質の混合物のみならず、単一の物質からなる材料をも包含する。また、コレステリック液晶組成物とは、当該液晶組成物に含まれる液晶化合物を配向させた場合に、液晶化合物がコレステリック規則性を有した液晶相(コレステリック液晶相)を呈することができる組成物をいう。
コレステリック液晶組成物としては、液晶化合物を含み、更に必要に応じて任意の成分を含む液晶組成物を用いることができる。液晶化合物としては、高分子化合物である液晶化合物、及び重合性液晶化合物を用いることができる。高い熱安定性を得る上では、重合性液晶化合物を用いることが好ましい。重合性液晶化合物を、コレステリック規則性を呈した状態で重合させることにより、コレステリック液晶組成物の層を硬化させ、コレステリック規則性を呈したまま硬化した非液晶性のコレステリック樹脂の層を得ることができる。コレステリック液晶組成物としては、例えば、国際公開第2016/002765号に記載されたものを用いることができる。
支持体としては、通常、コレステリック液晶組成物の層を支持できる平坦な支持面を有する任意の部材を用いることができる。このような支持体として、通常は、樹脂フィルムを用いる。また、支持体の支持面には、コレステリック液晶組成物の層における液晶化合物の配向を促進するため、配向規制力を付与するための処理が施されていてもよい。ここで、ある面の配向規制力とは、コレステリック液晶組成物中の液晶化合物を配向させうる、その面の性質をいう。支持面に配向規制力を付与するための前記の処理としては、例えば、ラビング処理、配向膜形成処理、延伸処理、イオンビーム配向処理等が挙げられる。
通常は、コレステリック液晶組成物を支持体の支持面に塗工することにより、コレステリック液晶組成物の層を設ける。塗工方法の例としては、カーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、印刷コーティング法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、ギャップコーティング法、及びディッピング法が挙げられる。
コレステリック液晶組成物の層を設けた後で、必要に応じて、コレステリック液晶組成物の層に配向処理を施してもよい。配向処理は、通常、コレステリック液晶組成物の層を、所定の配向温度に加温することによって行われる。このような配向処理を施すことにより、コレステリック液晶組成物に含まれる液晶化合物が配向し、コレステリック規則性を呈した状態となる。具体的な配向温度は、コレステリック液晶組成物の組成に応じて調整されるが、例えば、50℃~150℃の範囲でありうる。また、配光処理の処理時間は、例えば、0.5分間~10分間でありうる。
ただし、コレステリック液晶組成物に含まれる液晶化合物の配向は、コレステリック液晶組成物の塗工により直ちに達成される場合がありえる。そのため、配向処理は、必ずしもコレステリック液晶組成物の層に施さなくてもよい。
液晶化合物を配向させた後で、コレステリック液晶組成物の層を硬化させて、コレステリック樹脂の層が得られる。この工程では、通常、コレステリック液晶組成物に含まれる重合性液晶化合物等の重合成分を重合させて、コレステリック液晶組成物の層を硬化させる。重合方法としては、コレステリック液晶組成物に含まれる成分の性質に適合した方法を選択しうる。重合方法としては、例えば、活性エネルギー線を照射する方法、及び、熱重合法が挙げられる。中でも、室温で重合反応を進行させられるので、活性エネルギー線を照射する方法が好ましい。ここで、照射される活性エネルギー線には、可視光線、紫外線、及び赤外線等の光、並びに電子線等の任意のエネルギー線が含まれうる。また、活性エネルギー線の照射によってコレステリック液晶組成物の層を硬化させる場合、照射される活性エネルギー線の強度は、例えば、50mJ/cm~10,000mJ/cm2でありうる。
また、液晶化合物を配向させた後、コレステリック液晶組成物の層を硬化させる前に、コレステリック液晶組成物の層に広帯域化処理を施してもよい。このような広帯域化処理は、例えば、1回以上の活性エネルギー線の照射処理と加温処理との組み合わせにより行うことができる。広帯域化処理における照射処理は、例えば、波長200nm~500nmの光を0.01秒~3分照射することにより行うことができる。この際、照射される光のエネルギーは、例えば、0.01mJ/cm~50mJ/cm2としうる。また、加熱処理は、例えば、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上、好ましくは200℃以下、より好ましくは140℃以下の温度に加熱することにより行うことができる。この際の加熱時間は、好ましくは1秒以上、より好ましくは5秒以上、また、通常3分以下、好ましくは120秒以下の時間としうる。このような広帯域化処理を行うことにより、らせん構造のピッチの大きさを連続的に大きく変化させて、広い反射帯域を得ることができる。
前記の活性エネルギー線の照射は、空気下で行ってもよく、又はその工程の一部又は全部を、酸素濃度を制御した雰囲気(例えば、窒素雰囲気下)で行ってもよい。
前記のコレステリック液晶組成物の塗工及び硬化の工程は、1回に限られず、塗工及び硬化を複数回繰り返して行ってもよい。これにより、2層以上を含む厚いコレステリック樹脂層が得られる。
前述した製造方法では、コレステリック規則性におけるねじれ方向は、使用するカイラル剤の構造により適宜選択できる。例えば、ねじれを右方向とする場合には、右旋性を付与するカイラル剤を含むコレステリック液晶組成物を用い、ねじれ方向を左方向とする場合には、左旋性を付与するカイラル剤を含むコレステリック液晶組成物を用いる。
反射偏光子の厚みは、特段の制限は無く、偽造防止用紙の用途及びデザインに応じて任意に設定できる。反射偏光子の具体的な厚みは、当該反射偏光子で反射される偏光の目視での視認性を高める観点では、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは0.75μm以上、特に好ましくは1μm以上である。また、反射偏光子の具体的な厚みは、反射偏光子が反射する偏光を遮ることができる偏光板を通して観察した場合のスレッド材の透明性を高める観点では、好ましくは10μm以下、より好ましくは7.5μm以下、特に好ましくは5μm以下である。
[4.第二基材フィルム]
第二基材フィルムの面内レターデーションReは、通常、第一基材フィルムの面内レターデーションReの範囲と同じ範囲にある。これにより、第一基材フィルムにおいて説明したのと同じ利点を得ることができる。第一基材フィルムの面内レターデーションReと第二基材フィルムの面内レターデーションReとは、同一でもよく、異なっていてもよい。
第二基材フィルムの厚み方向のレターデーションRthは、通常、第一基材フィルムの厚み方向のレターデーションRthの範囲と同じ範囲にある。これにより、第一基材フィルムにおいて説明したのと同じ利点を得ることができる。第一基材フィルムの厚み方向のレターデーションRthと第二基材フィルムの厚み方向のレターデーションRthとは、同一でもよく、異なっていてもよい。
第二基材フィルムを形成する樹脂としては、第一基材フィルムを形成する樹脂として説明した範囲の樹脂と同じものを用いうる。第一基材フィルムに含まれる樹脂と第二基材フィルムに含まれる樹脂とは、同一でもよく、異なっていてもよい。
第二基材フィルムは、例えば、第一基材フィルムと同じ方法によって製造できる。
第二基材フィルムの厚みは、通常、第一基材フィルムの厚みの範囲と同じ範囲にある。これにより、第一基材フィルムにおいて説明したのと同じ利点を得ることができる。第一基材フィルムの厚みと第二基材フィルムの厚みとは、異なっていてもよいが、スレッド材の反りを抑制する観点では、同一であることが好ましい。
[5.スレッド材の形状、サイズ及び製造方法]
スレッド材の形状は任意であり、例えば、紐状、柱状、シート状などでありうる。中でも、意匠性に優れた偽造防止用紙を得る観点では、スレッド材は、シート状の部材であることが好ましい。シート状のスレッド材を厚み方向から見た平面形状は、任意であり、例えば、円形、楕円形、多角形などの図形状であってもよく、文字、数字等の記号状であってもよい。
スレッド材の面方向のサイズは、任意である。スレッド材の面方向のサイズとは、スレッド材の厚み方向に垂直な方向のサイズを表す。目視での視認性を高めるためには、スレッド材の面方向のサイズは、1mm~10mmが好ましく、5mm程度であることが多い。
スレッド材の厚みは、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上、特に好ましくは20μm以上であり、好ましくは40μm以下、より好ましくは35μm以下、特に好ましくは30μm以下である。スレッド材の厚みが前記範囲の下限値以上である場合、スレッド材の自己支持性を高くできる。また、スレッド材の厚みが前記範囲の上限値以下である場合、スレッド材を一般的な紙よりも薄くできる。よって、スレッド材が紙の繊維に覆われずに大きく突出することを抑制できるので、偽造防止用紙からのスレッド材の脱落を抑制できる。
スレッド材の製造方法は、特に制限は無い。例えば、スレッド材は、第一基材フィルム及び反射偏光子を用意する工程と、用意した第一基材フィルム及び反射偏光子を貼り合わせる方法と、を含む方法によって、製造できる。第一基材フィルム及び反射偏光子の貼り合わせには、必要に応じて、接着剤を用いてもよい。
前記の製造方法では、第一基材フィルム及び反射偏光子を貼り合わせことにより、通常、それらの第一基材フィルム及び反射偏光子を含む原反シートが得られる。工業的な生産性を高めるため、原反シートは、サイズの大きなシートとして製造されることが多い。そこで、前記の製造方法は、原反シートを、所望のサイズ及び形状に加工する工程を含んでいてもよい。例えば、打ち抜き加工法、切断加工法などの方法によって原反シートを加工して、所望のスレッド材を得てもよい。
前記の製造方法は、更に任意の工程を含んでいてもよい。任意の工程としては、例えば、スレッド材に第二基材フィルム、接着層及び親水性層等の任意の要素を設ける工程;スレッド材に表面処理を施す工程;などが挙げられる。
[6.偽造防止用紙]
偽造防止用紙は、上述したスレッド材を含む。通常、偽造防止用紙は、紙の繊維で形成された基紙と、この基紙に設けられたスレッド材とを含む。スレッド材は、通常、当該スレッド材の少なくとも一部が基紙の内に含まれることで、基紙に固定される。よって、スレッド材の全体が基紙の中にあってもよく、スレッド材の一部が基紙の中にあり残りが基紙の外にあってもよい。
このような偽造防止用紙は、スレッド材を含む紙料を抄紙することを含む製造方法によって、製造できる。この製造方法は、例えば、パルプ等の繊維、水等の溶媒、及びスレッド材を含む組成物としての紙料を用意する工程と、この紙料を抄紙する工程と、を含んでいてもよい。紙料を抄紙する工程は、例えば、必要に応じて脱水しながら紙料を成形して紙料の固形分を含むウェブを得る工程、ウェブを乾燥する工程、複数のウェブを重ねる工程、ウェブに凹凸を形成する工程、などを含みうる。
偽造防止用紙の用途としては、偽造の回避が望まれる任意の紙が挙げられる。偽造防止用紙の用途の具体例を挙げると、紙幣、証券、証紙、旅券、金券、包装紙、開封シール等が挙げられる。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は以下に説明する実施例に限定されるものではなく、本発明の請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、「C.S.F.」は、カナダ標準ろ水度を示す。
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温常圧大気中において行った。
[フィルムのレターデーションの測定方法]
基材フィルムの面内レタデーションRe及び厚み方向のレタデーションRthは、複屈折量測定計(Axometrics社製「Axoscan」)を用いて、測定波長590nmで測定した。
[正面方向での偽造防止用紙の評価方法]
右円偏光板を通して、偽造防止用紙を観察した。また、左円偏光板を通して、偽造防止用紙を観察した。これらの観察を、偽造防止用紙の紙面に対して垂直な正面方向で行った。観察結果を、下記の基準で評価した。
「A」:右円偏光板を通して見える像と、左円偏光板を通して見える像とが、全てのスレッド材で明確に異なっていた。
「B」:右円偏光板を通して見える像と、左円偏光板を通して見える像とが、全てのスレッド材で異なっていた。
「C」:右円偏光板を通して見える像と、左円偏光板を通して見える像とが、一部のスレッドは異なっていたが、残りのスレッド材で同じであった。
「D」:右円偏光板を通して見える像と、左円偏光板を通して見える像とが、全てのスレッド材で同じであった。
[傾斜方向での偽造防止用紙の評価方法]
右円偏光板を通して、偽造防止用紙を観察した。また、左円偏光板を通して、偽造防止用紙を観察した。これらの観察を、偽造防止用紙の紙面の極角60°の傾斜方向で行った。観察結果を、下記の基準で評価した。
「A」:右円偏光板を通して見える像と、左円偏光板を通して見える像とが、全てのスレッド材で明確に異なっていた。
「B」:右円偏光板を通して見える像と、左円偏光板を通して見える像とが、全てのスレッド材で異なっていた。
「C」:右円偏光板を通して見える像と、左円偏光板を通して見える像とが、一部のスレッドは異なっていたが、残りのスレッド材で同じであった。
「D」:右円偏光板を通して見える像と、左円偏光板を通して見える像とが、全てのスレッド材で同じであった。
[総合評価方法]
前記の(i)偽造防止用紙の紙面に対して垂直な正面方向の観察結果と、(ii)偽造防止用紙の紙面に対して極角60°の傾斜方向の観察結果とから、下記の基準で、総合評価を行った。
「A」:正面方向及び傾斜方向の両方において、右円偏光板を通して見える像と、左円偏光板を通して見える像とが、全てのスレッド材で明確に異なっていた。
「B」:正面方向及び傾斜方向の両方において、右円偏光板を通して見える像と、左円偏光板を通して見える像とが、全てのスレッド材で異なっていた。
「C」:正面方向及び傾斜方向の一方において、右円偏光板を通して見える像と、左円偏光板を通して見える像とが、一部のスレッドでは異なっていたが、残りのスレッド材で同じであった。
「D」:正面方向及び傾斜方向の両方において、右円偏光板を通して見える像と、左円偏光板を通して見える像とが、少なくとも一部のスレッド材で異なっていた。
[製造例1.コレステリック液晶組成物の製造]
下記式(X1)で表される化合物25.5部、下記式(X2)で表される重合性の液晶性化合物11部、カイラル剤(BASF社製「LC756」)2.3部、重合開始剤(チバスペシャルティケミカルズ社製「イルガキュアOXE02」)1.2部、界面活性剤(ネオス社製「フタージェント209F」)0.04部、及び溶媒としてシクロペンタノン60部を混合して、コレステリック液晶組成物を調整した。
Figure 0007238899000001
前記の式(X1)で表される化合物は、特許第5365519号公報に記載された方法に基づいて製造されたものを使用した。また、前記の式(X2)で表される化合物は、特許第4054392号公報に記載された方法に従い製造したものを使用した。
[製造例2:円偏光分離膜aの製造]
支持体として、ポリエステルフィルム(東洋紡製「コスモシャインA4100」、膜厚100μm、片面に易接着処理面を有する)を用意した。この支持体の易接着処理面とは反対側の面に、ラビング処理を施した。支持体のラビング処理面に、コレステリック液晶組成物を、♯12のワイヤーバーを使用して塗布して、液晶組成物の層を形成した。この液晶組成物の層に、130℃で5分間加熱する配向処理を施した。その後、当該液晶組成物の層に対して、0.1mJ/cm~45mJ/cmの微弱な紫外線の照射処理と、それに続く100℃で1分間の加温処理と、からなるプロセスを2回行う広帯域化処理を施した後で、窒素雰囲気下で200mJ/cmの紫外線を照射して硬化させて、厚み5.2μmのコレステリック樹脂層としての円偏光分離膜aを支持体上に得た。得られた円偏光分離膜aは、波長範囲がおよそ380nmから780nmに、約50%の反射率を持っていた。こうして得られた支持体及び円偏光分離膜aを備えたフィルムを、「偏光分離フィルムa」と呼ぶことがある。
[製造例3:円偏光分離膜bの製造]
支持体として、ポリエステルフィルム(東洋紡製「コスモシャインA4100」、膜厚100μm、片面に易接着処理面を有する)を用意した。この支持体の易接着処理面とは反対側の面に、ラビング処理を施した。支持体のラビング処理面に、コレステリック液晶組成物を、♯10のワイヤーバーを使用して塗布して、液晶組成物の層を形成した。この液晶組成物の層に、130℃で5分間加熱する配向処理を施した。その後、当該液晶組成物の層に対して、窒素雰囲気下で200mJ/cmの紫外線を照射して硬化させて、厚み3.1μmのコレステリック樹脂層としての円偏光分離膜bを支持体上に得た。得られた円偏光分離膜bは、波長範囲がおよそ500nmから600nmに、約50%の反射率を持っていた。こうして得られた支持体及び円偏光分離膜bを備えたフィルムを、「偏光分離フィルムb」と呼ぶことがある。
[製造例4:基材フィルムAの製造]
熱可塑性ノルボルネン樹脂のペレット(日本ゼオン社製「ZEONOR1420R」、ガラス転移温度137℃)を90℃で5時間乾燥させた。乾燥させたペレットを押出機に供給し、押出機内で溶融させた。その後、溶融した樹脂を、ポリマーパイプ及びポリマーフィルターを通し、Tダイからキャスティングドラム上にフィルム状に押し出し、冷却して、厚み25μm、面内レタデーションRe1.5nm、厚み方向のレタデーションRth3.5nmの基材フィルムAを得た。
[製造例5:基材フィルムBの製造]
製膜条件を変更したこと以外は製造例4と同じ操作により、厚みが13μm、面内レタデーションReが0.8nm、厚み方向のレタデーションRthが1.8nmの基材フィルムBを製造した。
[製造例6:基材フィルムCの製造]
製膜条件を変更したこと以外は製造例4と同じ操作により、厚みが35μm、面内レタデーションReが10nm、厚み方向のレタデーションRthが10nmの基材フィルムCを得た。
[製造例7:基材フィルムDの製造]
製膜条件を変更したこと以外は製造例4と同じ操作により、厚みが25μm、面内レタデーションReが20nm、厚み方向のレタデーションRthが5nmの基材フィルムDを得た。
[製造例8:基材フィルムEの製造]
製膜条件を変更したこと以外は製造例4と同じ操作により、厚みが25μm、面内レタデーションReが5nm、厚み方向のレタデーションRthが25nmの基材フィルムEを得た。
[製造例9:基材フィルムFの製造]
製膜条件を変更したこと以外は製造例4と同じ操作により、厚みが25μm、面内レタデーションReが20nm、厚み方向のレタデーションRthが20nmの基材フィルムFを得た。
[実施例1]
(スレッド材Aの製造)
製造例2で製造した偏光分離フィルムaの円偏光分離膜aの表面(支持体とは反対側の面)に、コロナ放電処理を施した。また、製造例4で製造した基材フィルムAの両面に、コロナ放電処理を施した。円偏光分離膜aのコロナ放電処理面と、基材フィルムAの片方のコロナ放電処理面とを、紫外線硬化型の接着剤(ADEKA製「アデカアークルズ KRX-7007」)を介して、ローラーを用いて貼り合わせた。接着剤に、窒素雰囲気下で、200mJ/cmの紫外線を照射して硬化させて、「支持体/円偏光分離膜a/接着層/基材フィルムA」の層構成を有する積層体を得た。この積層体から支持体を剥離して、中間フィルムを得た。中間フィルムの円偏光分離膜a側の面(支持体の剥離によって現れた円偏光分離膜aの表面)に、コロナ放電処理を施した。中間フィルムの両面に、濃度5重量%のポリビニルアルコール水溶液を、#2のワイヤーバーを使用して塗布し、塗膜を乾燥して、膜厚0.1μmの親水性層を形成した。ポリビニルアルコールは、抄紙機の乾燥ゾーンで軟化もしくは溶融して、繊維とスレッド材Aとを接着できる接着剤として機能する。これにより、「親水性層/円偏光分離膜a/接着層/基材フィルムA/親水性層」の層構成を有する原反シートを得た。
前記の原反シートを、先端が対辺2mmの6角形の形状をした打ち抜きポンチを用いて打ち抜いて、6角形の細片形状のスレッド材Aを大量に製造した。
(紙料の製造)
NBKP(針葉樹晒クラフトパルプ)30重量部及びLBKP(広葉樹晒クラフトパルプ)70重量部をC.S.F.が360mLのろ水に叩解し、これにカオリン15重量部、紙力増強剤(荒川化学工業社製「ポリストロン117」)0.5重量部、サイズ剤(荒川化学工業社製「サイズパインE」)1.0重量部、及び適量の硫酸バンド(硫酸アルミニウム)を加え、スラリーを調製した。このスラリーに、前記のスレッド材Aを混合して、第一の紙料を得た。スレッド材Aの量は、製造される偽造防止用紙の乾燥重量100重量%に対し、その偽造防止用紙に含まれるスレッド材Aの重量が1.5重量%となるように調整した。
また、スレッド材Aを含まない前記のスラリーを、第二の紙料として用意した。
(偽造防止用紙の製造)
4槽式円網抄紙機を用意した。この抄紙機は、ウェブの流れ方向で上流から順に、第一槽、第二槽、第三層及び第四槽を備えていた。
抄紙機の第一槽及び第四槽に、スレッド材Aを含む第一の紙料を供給した。また、抄紙機の第二槽及び第三槽に、スレッド材Aを含まない第二の紙料を供給した。そして、常法に従い前記の紙料から4層構造のウェブを作製し、このウェブに、第一群の多筒式シリンダードライヤーを用いた乾燥と、サイズプレス装置を用いたポリビニルアルコール(クラレ社製「クラレPVA117」)の5%水溶液の塗工と、第二群の多筒式シリンダードライヤーを用いた乾燥と、をこの順に行って、偽造防止用紙を得た。この偽造防止用紙は、第一槽~第四槽にそれぞれ対応した第一紙層~第四紙層を厚み方向においてこの順で含む4層構造の紙であり、その紙全体の坪量は100g/m、第一紙層~第四紙層それぞれの坪量は25g/mであった。スレッド材Aは、外層としての第一紙層及び第四紙層のみに含まれ、内層としての第二紙層及び第三紙層には含まれていなかった。
こうして得られた偽造防止用紙を、上述した方法によって評価した。
[実施例2]
製造例2で製造した偏光分離フィルムaの代わりに、製造例3で製造した偏光分離フィルムbを用いた。また、製造例4で製造した基材フィルムAの代わりに、製造例5で製造した基材フィルムBを用いた。以上の事項以外は、実施例1と同じ操作を行って、「親水性層/円偏光分離膜b/接着層/基材フィルムB/親水性層」の層構成を有するスレッド材Bの製造、並びに、そのスレッド材Bを含む偽造防止用紙の製造及び評価を行った。
[実施例3]
(スレッド材Cの製造)
製造例2で製造した偏光分離フィルムaの円偏光分離膜aの表面(支持体とは反対側の面)に、コロナ放電処理を施した。また、製造例5で製造した基材フィルムBの両面に、コロナ放電処理を施した。円偏光分離膜aのコロナ放電処理面と、基材フィルムBの片方のコロナ放電処理面とを、紫外線硬化型の接着剤(ADEKA製「アデカアークルズ KRX-7007」)を介して、ローラーを用いて貼り合わせた。接着剤に、窒素雰囲気下で、200mJ/cmの紫外線を照射して硬化させて、「支持体/円偏光分離膜a/接着層/基材フィルムB」の層構成を有する積層体を得た。この積層体から支持体を剥離して、第一中間フィルムを得た。第一中間フィルムの円偏光分離膜a側の面(支持体の剥離によって現れた円偏光分離膜aの表面)に、コロナ放電処理を施した。
別の基材フィルムBを用意し、その基材フィルムBの両面に、コロナ放電処理を施した。この基材フィルムBの片方のコロナ放電処理面と、第一中間フィルムの円偏光分離膜aのコロナ放電処理面とを、紫外線硬化型の接着剤(ADEKA製「アデカアークルズ KRX-7007」)を介して、ローラーを用いて貼り合わせた。接着剤に、窒素雰囲気下で、200mJ/cmの紫外線を照射して硬化させて、「基材フィルムB/接着層/円偏光分離膜a/接着層/基材フィルムB」の層構成を有する第二中間フィルムを得た。
第二中間フィルムの両面に、濃度5重量%のポリビニルアルコール水溶液を、#2のワイヤーバーを使用して塗布し、塗膜を乾燥して、膜厚0.1μmの親水性層を形成した。これにより、「親水性層/基材フィルムB/接着層/円偏光分離膜a/接着層/基材フィルムB/親水性層」の層構成を有する原反シートを得た。
前記の原反シートを、先端が対辺2mmの6角形の形状をした打ち抜きポンチを用いて打ち抜いて、6角形の細片形状のスレッド材Cを大量に製造した。
(紙料及び偽造防止用紙の製造)
実施例1で製造したスレッド材Aの代わりに、本実施例で製造したスレッド材Cを用いたこと以外は、実施例1の工程(紙料の製造)及び工程(偽造防止用紙の製造)と同じ操作を行って、スレッド材Cを含む偽造防止用紙の製造及び評価を行った。
[実施例4]
製造例2で製造した偏光分離フィルムaの代わりに、製造例3で製造した偏光分離フィルムbを用いた。また、製造例4で製造した基材フィルムAの代わりに、製造例6で製造した基材フィルムCを用いた。以上の事項以外は、実施例1と同じ操作を行って、「親水性層/円偏光分離膜b/接着層/基材フィルムC/親水性層」の層構成を有するスレッド材Dの製造、並びに、そのスレッド材Dを含む偽造防止用紙の製造及び評価を行った。
[比較例1]
製造例2で製造した偏光分離フィルムaの代わりに、製造例3で製造した偏光分離フィルムbを用いた。また、製造例4で製造した基材フィルムAの代わりに、製造例7で製造した基材フィルムDを用いた。以上の事項以外は、実施例1と同じ操作を行って、「親水性層/円偏光分離膜b/接着層/基材フィルムD/親水性層」の層構成を有するスレッド材Eの製造、並びに、そのスレッド材Eを含む偽造防止用紙の製造及び評価を行った。
[比較例2]
製造例4で製造した基材フィルムAの代わりに、製造例8で製造した基材フィルムEを用いた。以上の事項以外は、実施例1と同じ操作を行って、「親水性層/円偏光分離膜a/接着層/基材フィルムE/親水性層」の層構成を有するスレッド材Fの製造、並びに、そのスレッド材Fを含む偽造防止用紙の製造及び評価を行った。
[比較例3]
製造例2で製造した偏光分離フィルムaの代わりに、製造例3で製造した偏光分離フィルムbを用いた。また、製造例4で製造した基材フィルムAの代わりに、製造例9で製造した基材フィルムFを用いた。以上の事項以外は、実施例1と同じ操作を行って、「親水性層/円偏光分離膜b/接着層/基材フィルムF/親水性層」の層構成を有するスレッド材Gの製造、並びに、そのスレッド材Gを含む偽造防止用紙の製造及び評価を行った。
[比較例4]
製造例2で製造した偏光分離フィルムaの代わりに、製造例3で製造した偏光分離フィルムbを用いた。また、製造例4で製造した基材フィルムAの代わりに、厚み25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(面内レターデーションRe=263nm、厚み方向のレターデーションRth=761nm)を用いた。以上の事項以外は、実施例1と同じ操作を行って、「親水性層/円偏光分離膜b/接着層/ポリエチレンテレフタレートフィルム/親水性層」の層構成を有するスレッド材Hの製造、並びに、そのスレッド材Hを含む偽造防止用紙の製造及び評価を行った。
[結果]
前記の実施例及び比較例の結果を、下記の表に示す。また、前記の実施例及び比較例のいずれにおいても、偽造防止用紙に設けられたスレッド材は、全て、抄紙前の6角形の形状を維持していた。
Figure 0007238899000002
100 スレッド材
110 第一基材フィルム
120 反射偏光子
200 偽造防止用紙
210 右円偏光板
220 左円偏光板
300 スレッド材
310 第二基材フィルム

Claims (5)

  1. 偽造防止用紙に設けるためのスレッド材であって、
    前記スレッド材が、樹脂で形成された第一基材フィルムと、反射偏光子とを備え、
    測定波長590nmにおける前記第一基材フィルムの面内レターデーションが、10nm以下であり、
    測定波長590nmにおける前記第一基材フィルムの厚み方向のレターデーションが、-10nm以上10nm以下である、スレッド材。
  2. 前記反射偏光子が、円偏光分離素子である、請求項1に記載のスレッド材。
  3. 前記スレッド材が、更に第二基材フィルムを備え、
    測定波長590nmにおける前記第二基材フィルムの面内レターデーションが、10nm以下であり、
    測定波長590nmにおける前記第二基材フィルムの厚み方向のレターデーションが、-10nm以上10nm以下である、請求項1又は2に記載のスレッド材。
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載のスレッド材を含む、偽造防止用紙。
  5. 請求項1~3のいずれか一項に記載のスレッド材を含む紙料を抄紙することを含む、偽造防止用紙の製造方法。
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