JP7238005B2 - 少なくとも１つの電子温度センサを較正するための方法 - Google Patents

Description

本発明は、少なくとも１つの電子温度センサを較正するための方法に関する。

本発明はまた、そのような較正方法を実装するように構成された組立体に関し、組立体は、少なくとも１つの電子温度センサと接続した移動体機器を備える。

電子温度センサの分野では、センサは一般に工場で較正される。（たとえば、熱密封箱または試験台を介して）自動でまたは操作者により行われるこの動作は、そのようなセンサの製造に追加ステップを加え、それにより、追加費用を発生させる。それに加えて、エンドユーザの環境条件に対して生産環境条件が異なるので、工場の較正は多くの場合信頼できない。したがって、同じ較正場所に置かれた複数の同一センサ間で相違が明らかになることがある。

これらの欠点のすべてまたは一部を解決するために、直接にセンサのユーザにより工場の外で行われる、電子温度センサを較正するための方法が公知である。そのような方法は、たとえば欧州特許出願公開第３４７０８０５（Ａ１）号明細書に記述されている。この文書は、温度センサを取り替えなければならないときはいつも、装着可能な体温計用温度センサを較正するための方法について記述している。方法は、分離できるように嵌合することができる温度センサに関するベース抵抗値をサンプリングするベース抵抗獲得ステップを備える。温度計は、ユーザが自分の手首上で使用する間に置いてよい腕輪上に取り付けられる。センサを較正するために必要な、温度に対する較正係数を、体温計の主ユニットの計算構成要素を使って計算する。較正係数の計算は、獲得したベース抵抗値と標準温度ゲージを介してあらかじめ測定したベース抵抗値との間の差に基づき行われる。較正係数は、測定機器の記憶媒体に記憶され、体温計の主ユニットに伝送される。その後、装着可能な体温計からコンピュータタブレットまたはスマートホンに向けて（たとえば、Ｂｌｕｅｔｏｏｔｈ通信プロトコルを介して）無線データ通信を行い、それにより、開業医がこの患者の身体上で測定した温度を（患者がセンサを較正した後）遠隔で読み出すことが可能になる。

しかしながら、そのような較正方法の１つの欠点は、較正を行うためにベース抵抗だけではなく温度ゲージも使用する必要があることである。この動作は、比較的複雑であり、センサのユーザにとって制限的である。他の公知の電子温度センサ較正方法は、外部温度計のユーザが使用することを伴い、それにより、同じ欠点につながる。

欧州特許出願公開第３４７０８０５（Ａ１）号明細書

したがって、本発明の目的は、簡略化された制限的ではない手法で直接にセンサの対象となる環境でユーザが自分でセンサの較正を行うことを可能にする、少なくとも１つの電子温度センサを較正するための方法を提案することである。

この目的を達成するために、本発明は、独立請求項１で言及する特徴を備える、少なくとも１つの電子温度センサを較正するための方法に関する。

較正方法の具体的形態について従属請求項２～５で規定する。

本発明による較正方法は、詳細にはデータ入力インタフェースに結合したアプリケーションを記憶する移動体機器を使用するおかげで、簡略化された制限的ではない手法で温度センサの較正をユーザが自分で行うことを可能にする。実際にはユーザは、直接に自分の移動体機器でセンサと協力して温度センサの較正を容易に行ってよい。さらに、本発明によるそのような方法は、ユーザが直接に温度センサの対象となる環境で温度センサの較正を行うので、特に信頼性がある。最後に、本発明によるそのような較正方法は間接的に、そのように較正された１つまたは複数の温度センサの生産を著しく簡略化可能にする。

本発明の第１の実施形態によれば、センサが測定した各未加工の温度値の較正および補正の曲線を計算するステップは、移動体機器により行われ、較正パラメータは、記憶するステップの間に移動体機器により記憶され、センサは、片方向データリンクを介して、補正されていない未加工の温度値を移動体機器に伝送する。この第１の実施形態は、温度センサ内部の電子的構成要素のサイズを低減し（計算および補正のステップは移動体機器により行われる）、したがって、センサの製造費用を低減するという利点を提供する。

本発明の第２の実施形態によれば、センサが測定した各未加工の温度値の較正および補正の曲線を計算するステップは、温度センサにより行われ、較正パラメータは、記憶するステップの間にセンサに記憶され、移動体機器は、双方向データリンクを介してセンサに前記少なくとも１つの所定の初期温度値を伝送し、センサは、双方向データリンクを介して移動体機器に、補正された温度値を伝送する。この第２の実施形態は、センサのユーザが較正を一度だけ行い、センサはその後、その後のすべてのセンサ使用に対して正しく較正されるという利点を提供する。さらに、温度センサは、すでに補正された温度値を提供する。

本発明の第３の実施形態によれば、較正曲線を計算するステップは、移動体機器により行われ、センサが測定した各未加工の温度値を補正するステップは、温度センサにより行われ、較正パラメータは、記憶するステップの間にセンサに記憶され、移動体機器は、双方向データリンクを介してセンサに前記較正パラメータを伝送し、センサは、双方向データリンクを介して移動体機器に、補正された温度値を伝送する。この第３の実施形態は、センサのユーザが較正を一度だけ行い、センサはその後、その後のすべてのセンサ使用に対して正しく較正されるという利点を提供する。さらに、温度センサは、すでに補正された温度値を提供する。最後に、上記で記述した第２の実施形態に対して、本発明の第３の実施形態による方法は、センサが行う計算の回数を低減可能にする（計算するステップは移動体機器により行われる）。

この目的を達成するために、本発明はまた、上記で記述した較正方法などの、独立請求項６で言及する特徴を備える較正方法を実装するように構成された組立体に関する。

本発明による、少なくとも１つの電子温度センサを較正するための方法の目的、利点、および特徴は、添付図面が例示する少なくとも１つの限定しない実施形態に基づく以下の記述で明らかになるであろう。

第１の代替実施形態での、本発明による較正方法を実装するように構成された組立体の略図である。 第２の代替実施形態での、図１の略図に類似する略図である。 本発明による、少なくとも１つの電子温度センサを較正するための方法のステップを示す流れ図である。

図１は、第１の代替形態による組立体１を示す。組立体１は、本発明による、少なくとも１つの電子温度センサ２を較正するための方法を実装するように構成される。温度センサ２を除いて、組立体１はまた、温度センサ２と接続した移動体機器４を備える。図１の具体的代替実施形態によれば、温度センサ２と移動体機器４の間のデータリンク６は片方向である。移動体機器４は、典型的にはスマートホンタイプの移動体機器、コンピュータタブレット、またはさらにまたラップトップであり、これは、本発明の範囲を限定するものではない。

電子温度センサ２は、温度を測定するための手段（図示せず）を除き、データリンク６を介してデータを伝送するための手段８を備える。データ伝送手段８は、たとえばアンテナに結合した無線通信送信機から構成される。

移動体機器４は、データ処理手段、およびデータ処理手段に連結した記憶手段を備え、これらの異なる手段は、明解さの理由で図１に示していない。データ処理手段は、たとえば１つまたは複数のプロセッサから構成される。記憶手段は、データ入力インタフェースに結合した専用アプリケーションを記憶する。

データリンク６は、たとえば無線リンクである。データリンク６は、典型的にはＢｌｕｅｔｏｏｔｈ通信規格に従う無線リンクであり、これは、本発明の範囲を限定するものではない。あるいは、データリンク６は、任意のタイプの、所有権のあるフォーマットに従うリンクであってよい。

その後、温度センサ２は、最初に複数の所定の環境に置かれることが想定される。好ましくは、温度センサ２は、最初に少なくとも３つの別個の所定の環境に置かれる。これらの所定の環境ごとに、移動体機器４のユーザは、データ入力インタフェースを介して移動体機器４の専用アプリケーションの中に所定の初期温度値を入力する。したがって、好ましくは、少なくとも３つの所定の初期温度値を直接に移動体機器４の専用アプリケーションの中にあらかじめ入力する。所定の環境ごとに、所定の初期温度値は、この環境の実際の温度に対応し、任意の適切な手段により、ユーザによりあらかじめ決定される。

次に、図１の組立体により実装された、本発明の第１の実施形態による、少なくとも１つの電子温度センサ２を較正するための方法について、図３を参照して記述する。所定の環境ごとに、温度センサ２は、移動体機器４にこの環境で測定した未加工の初期温度値を伝送する。

初期ステップ１０の間、移動体機器４は、各所定の初期温度値および各対応する未加工の初期温度値に基づき較正曲線を計算する。より具体的には、移動体機器４のデータ処理手段は、所定の初期温度値、および機器４の記憶手段に記憶した未加工の温度値に基づき、この較正曲線の計算を行う。明らかに、この較正曲線はセンサタイプに依存し、最も簡単なことは、負温度係数（ｎｅｇａｔｉｖｅ ｔｅｍｐｅｒａｔｕｒｅ ｃｏｅｆｆｉｃｉｅｎｔ、ＮＴＣ）抵抗または正温度係数（ｐｏｓｉｔｉｖｅ ｔｅｍｐｅｒａｔｕｒｅ ｃｏｅｆｆｉｃｉｅｎｔ、ＰＴＣ）抵抗を選ぶことである。この初期ステップ１０の終わりに、移動体機器４の処理手段は、較正曲線から較正パラメータを決定する。

次のステップ１２の間、移動体機器４は、較正曲線から決定した較正パラメータを記憶する。より具体的には、移動体機器４の記憶手段に較正パラメータを記憶する。

最終ステップ１４の間、組立体１を公称動作条件で使用する。したがって、電子温度センサ２は、片方向データリンク６を介して移動体機器４に、補正されていない未加工の温度値を伝送する。移動体機器４は次いで、あらかじめ決定された較正パラメータを用いて、センサ２が測定した未加工の各温度値を補正する。

図２は、第２の代替実施形態による組立体１を示す。この第２の代替実施形態では、第１の代替実施形態の参照番号と同じ参照番号を用いて記述する要素は、第１の代替実施形態の要素と同一であり、したがって、再度詳細に記述することはない。温度を測定するための手段、およびリンク６を介してデータを伝送するための手段８を除いて、温度センサ２はまた、データ処理手段、およびデータ処理手段に連結した記憶手段を備える。これらのさまざまな手段は、明解さの理由で図２に示していない。たとえば、データ処理手段は、最も簡単な計算構成要素であるマイクロプロセッサから構成される。温度センサ２と移動体機器４の間のデータリンク６は双方向リンクである。

次に、図２の組立体により実装される、少なくとも１つの電子温度センサ２を較正するための方法について、本発明の第２の実施形態に従って記述する。所定の環境ごとに、移動体機器４は、双方向データリンク６を介して温度センサ２に、ユーザが移動体機器４の専用アプリケーションの中に入力した所定の初期温度値を伝送する。

初期ステップ１０の間、温度センサ２は、各所定の初期温度値（移動体機器４が伝送する）および各対応する未加工の初期温度値（各対応する未加工の初期温度値は、センサ２が測定する）に基づき較正曲線を計算する。より具体的には、温度センサ２のデータ処理手段は、所定の初期温度値および対応する未加工の温度値に基づきこの較正曲線の計算を行う。この初期ステップ１０の終わりに、温度センサ２の処理手段は、較正曲線から較正パラメータを決定する。

次のステップ１２の間、温度センサ２は、較正曲線から決定した較正パラメータを記憶する。より具体的には、温度センサ２の記憶手段に較正パラメータを記憶する。

最終ステップ１４の間、組立体１を公称動作条件で使用する。電子温度センサ２は次いで、あらかじめ決定された較正パラメータを用いて、測定した各未加工の温度値を補正する。このステップ１４の終わりに、温度センサ２は、双方向データリンク６を介して移動体機器４に、補正された温度値を伝送する。

次に、図２の組立体により実装される、少なくとも１つの電子温度センサ２を較正するための方法について、本発明の第３の実施形態に従って記述する。所定の環境ごとに、温度センサ２は、移動体機器４に、この環境で測定した未加工の初期温度値を伝送する。

初期ステップ１０の間、移動体機器４は、（移動体機器４の専用アプリケーションの中にユーザがあらかじめ入力した）各所定の初期温度値および各対応する未加工の初期温度値に基づき較正曲線を計算する。より具体的には、移動体機器４のデータ処理手段は、所定の初期温度値、および機器４の記憶手段に記憶した未加工の温度値に基づき、この較正曲線の計算を行う。この初期ステップ１０の終わりに、移動体機器４の処理手段は、較正曲線から較正パラメータを決定する。移動体機器４は次いで、双方向データリンク６を介して温度センサ２に、このようにして決定した較正パラメータを伝送する。

次のステップ１２の間、温度センサ２は、移動体機器４が伝送した較正パラメータを記憶する。より具体的には、温度センサ２の記憶手段に較正パラメータを記憶する。

最終ステップ１４の間、組立体１を公称動作条件で使用する。電子温度センサ２は次いで、電子温度センサ２の記憶手段に記憶した較正パラメータを用いて、測定した各未加工の温度値を補正する。このステップ１４の終わりに、温度センサ２は、双方向データリンク６を介して移動体機器４に、補正された温度値を伝送する。

したがって、本発明による較正方法は、簡略化された信頼性のある非制限的な手法で、さらには直接にセンサの対象となる環境で温度センサの較正をユーザが自分で行うことを可能にすることが認識される。

本発明について単一温度センサ２の較正を参照して記述してきたが、当業者は、本発明による較正方法が移動体機器４の同じユーザにより複数の温度センサ２の較正に同じ方法で適用されることを理解されよう。

１ 組立体
２ 電子温度センサ
４ 移動体機器
６ 片方向データリンク、双方向データリンク
８ データを伝送するための手段

Claims (6)

1. 移動体機器（４）と接続（６）された少なくとも１つの電子温度センサ（２）を較正および使用するための方法であって、前記移動体機器（４）および前記少なくとも１つの電子温度センサ（２）は、組立体（１）の一部を形成し、前記移動体機器（４）は、データ処理手段、および前記データ処理手段に連結した記憶手段を備え、前記記憶手段は、データ入力インタフェースに結合したアプリケーションを記憶し、前記電子温度センサ（２）は、最初にユーザにより複数の所定の環境に置かれ、これらの前記環境ごとに、この前記環境の実際の温度に対応する所定の初期温度値は、前記ユーザによりあらかじめ決定され、かつ、較正前に、前記データ入力インタフェースを介して直接に前記移動体機器（４）の専用の前記アプリケーションの中に、前記ユーザによりあらかじめ入力され、前記電子温度センサ（２）は、前記所定の環境ごとに、前記所定の環境で測定した未加工の初期温度値を提供し、
   前記方法は、
   －前記アプリケーションに入力された前記複数の所定の環境の実際の温度に対応する前記所定の初期温度値、および前記電子温度センサ（２）が提供する対応する前記複数の所定の環境で測定した前記未加工の初期温度値に基づき１つの較正曲線を計算するステップ（１０）と、
   －前記移動体機器（４）に、または前記電子温度センサ（２）に、前記較正曲線から決定した較正パラメータを記憶するステップ（１２）と、
   －前記較正パラメータを用いて、前記電子温度センサ（２）が測定した各前記未加工の温度値を補正するステップ（１４）と
   を備える方法。
2. 前記電子温度センサ（２）が測定した各前記未加工の温度値の前記較正および前記補正の曲線（１４）を計算する前記ステップ（１０）は、前記移動体機器（４）により行われること、ならびに前記較正パラメータは、記憶する前記ステップ（１２）の間に前記移動体機器に記憶され、前記電子温度センサ（２）は、片方向データリンク（６）を介して前記移動体機器（４）に、補正されていない前記未加工の温度値を伝送することを特徴とする、請求項１に記載の方法。
3. 前記電子温度センサ（２）が測定した各前記未加工の温度値の前記較正および前記補正の曲線（１４）を計算する前記ステップ（１０）は、前記電子温度センサ（２）により行われること、ならびに前記較正パラメータは、記憶する前記ステップ（１２）の間に前記電子温度センサ（２）に記憶され、前記移動体機器（４）は、双方向データリンク（６）を介して前記電子温度センサ（２）に少なくとも１つの前記所定の初期温度値を伝送し、前記電子温度センサ（２）は、前記双方向データリンク（６）を介して前記移動体機器（４）に、補正された温度値を伝送することを特徴とする、請求項１に記載の方法。
4. 前記較正曲線を計算する前記ステップ（１０）は、前記移動体機器（４）により行われること、前記電子温度センサ（２）が測定した各前記未加工の温度値を補正する前記ステップ（１４）は、前記電子温度センサ（２）により行われること、ならびに前記較正パラメータは、記憶する前記ステップ（１２）の間に前記電子温度センサ（２）に記憶され、前記移動体機器（４）は、双方向データリンク（６）を介して前記電子温度センサ（２）に前記較正パラメータを伝送し、前記電子温度センサ（２）は、前記双方向データリンク（６）を介して前記移動体機器（４）に、前記補正された温度値を伝送することを特徴とする、請求項１に記載の方法。
5. 前記電子温度センサ（２）は、最初に前記ユーザにより少なくとも３つの別個の前記所定の環境に置かれ、前記ユーザにより直接に前記移動体機器（４）の前記アプリケーションの中に少なくとも３つの前記所定の初期温度値をあらかじめ入力し、各前記初期温度値は、前記環境の中の１つ環境の実際の温度に対応することを特徴とする、請求項１～４のいずれか一項に記載の方法。
6. 少なくとも１つの電子温度センサ（２）と接続（６）した移動体機器（４）を備える組立体（１）であって、請求項１～５のいずれか一項に記載の較正方法を実装するように構成される組立体（１）。

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