<構成>以下、この実施例の構成について説明する。
自動車などの車両における、車室内の前部に計器装置(車両用計器)を設ける。図1は、車両用計器1の分解斜視図である。車両用計器1は、奥側から手前側へ向かって順に、メータカバー2と、(回路) 基板3と、ハウジング4(ロワハウジング)と、文字板5と、アッパハウジング6と、フロントカバー7とを備えている。これらは、それぞれ、主に樹脂などによって形成され、前後に隣接するものとほぼ同じ(平面)形状を有して、互い重ね合わせたり嵌め合わせたりしてビスなどの固定具8で適宜固定することによって、一体に組み立てられるように構成されている。
この実施例の車両用計器1は、複数の計器部を1つにまとめてユニット化した集合メータ(コンビネーションメータ)となっている。但し、車両用計器1は、集合メータに限るものではない。計器部には、指針9を有するアナログ式のものや、指針9を有していないデジタル式のものなどがある。指針9は、文字板5の表面とほぼ平行に設置され、文字板5の表面に沿って回動される。
集合メータでは、複数の計器部は、複数の表示領域13に分けて配置される。車両用計器1の表示部は、各表示領域13などに形成される。この実施例では、複数の表示領域13は、左右(車幅方向)に離して配置されており、左右の表示領域13の間には、液晶パネルや有機ELパネルなどの表示装置14が設けられている。表示装置14は、ビスなどの固定具8aでハウジング4などに固定される。但し、車両用計器1の構成はこれに限るものではない。
より具体的には、上記車両用計器1は、計器部として、速度計や回転計などの主計器部11や、燃料計や水温計などの副計器部12などを備えている。この実施例では、主計器部11となる速度計と回転計はアナログ式のものとされている。また、副計器部12となる燃料計や水温計も、アナログ式のものとされている。但し、車両用計器1の構成は、これに限るものではなく、例えば、副計器部12はデジタル式などとしても良い。
左右の表示領域13には、主計器部11となる速度計や回転計が、それぞれ別々に分けて配置される。そして、速度計や回転計の各表示領域13の内部には、副計器部12となる燃料計や水温計が、主計器部11と組み合わせてそれぞれ設けられる。各表示領域13では、主計器部11が上側に配置され、副計器部12が下側に配置されている。例えば、図2は、左側の表示領域13を示しており、左側の表示領域13には、回転計と水温計とが上下に組み合わせて設けられている。但し、主計器部11と副計器部12との組み合わせや、主計器部11に対する副計器部12の配置などについては、これに限るものではない。
ここで、図1の車両用計器1の各構成について説明する。
上記したメータカバー2は、車両用計器1の本体を構成するものであり、背面板となるものである。上記した(回路)基板3には、各種の電子部品や、上記したアナログ式の計器部を駆動するためのアクチュエータやスイッチなどが適宜取り付けられている。
上記したハウジング4は、(回路)基板3の表面全体を覆うものである。このハウジング4は、裏面側に基板3を収容するための空間を形成し得るように、全体として所要の厚みに構成されている。そのために、ハウジング4は、少なくとも、表面板4aと、この表面板4aの周縁部に沿って設けられる側面板4bとを有している。側面板4bは、(回路)基板3の側(裏面側)へ、ほぼ面直方向にほぼ一定の長さ(または幅)で延びており、これによって、ハウジング4は、浅い箱状になっている。表面板4aのほぼ中央部には、表示装置14を収容設置するための取付用凹部4cが形成されている。
文字板5は、主に、各計器部(主計器部11や副計器部12)の表示を行うためのもの(または、表示部を構成するためのもの)である。集合メータの場合、各計器部の表示を別々の文字板5に分けて行うこともできるが、この実施例では、1枚の文字板5にまとめて形成している。この文字板5は、速度計などのための第一の表示領域13と、回転計などのための第二の表示領域13とを左右に離して有すると共に、左右の表示領域13の間に、表示装置14を露出させるための開口部5aを有している。
図2に示すように、文字板5の内部に形成される各表示領域13は、ほぼ円形状とされており、内周部が指針回動領域15とされる共に、外周部が数値メモリ領域16とされている。
指針回動領域15は、指針9が回動する領域のことである。文字板5の指針回動領域15には指針軸孔5bが形成される。指針軸孔5bは、主計器部11のものと、副計器部12のものとが上下に隔てて二個形成されている。また、指針回動領域15における指針軸孔5bの周囲には、表示灯や警告灯などとなる複数のインジケーター17などが配置されている。なお、インジケーター17は、文字板5の内部における、左右の表示領域13の間の部分にも必要に応じて形成することができる。
数値メモリ領域16は、指針9が指し示す数値16aやメモリ16bなどが周方向に沿って配置・形成される領域である。例えば、主計器部11の数値16aやメモリ16bは、速度やエンジン回転数などの運転情報を表すものとされる。なお、数値メモリ領域16には、数値16aやメモリ16b以外に、文字や記号などを適宜表示することができる。また、数値メモリ領域16の数値16aには、数値と同様に使われる文字(例えば、水温計のHやC)なども含むことができる。
文字板5は、図2Aに示すように、主に、透明な薄い樹脂フィルム18によって構成されている。そして、文字板5は、この透明な樹脂フィルム18の表面と裏面の少なくとも一方に対し、数値メモリ領域16を構成する数値16aやメモリ16bなどを残した状態で、ほぼ全面に遮光層18aを(例えば、印刷などで)形成したものとされている。これにより、数値16aやメモリ16bは透光部となる。
また、指針回動領域15についても、インジケーター17の図柄や記号などを残して上記した遮光層18aが形成される。これにより、インジケーター17の図柄や記号なども透光部となる。
数値メモリ領域16の数値16aやメモリ16b、インジケーター17の図柄や記号などの透光部には、特に図示しないが、透光性や半透光性の着色層などを(例えば、印刷などで)形成しても良い。計器部の数値16aやメモリ16bの着色層は、通常時(非照明時)でも外部から視認できるように、例えば、明色系のものとすることができる。また、インジケーター17の図柄や記号などの着色層については、通常時(非照明時)に外部から視認できないように、例えば、暗色系のものとすることができる。
なお、例えば、車両用計器1を、照明時のみに表示部が見える、いわゆるブラックフェースメータやその他の特殊効果を有するメータなどとする場合には、インジケーター17と同様に、計器部の数値16aやメモリ16bなどの着色層を、通常時(非照明時)に外部から視認できないように、暗色系のものなどとしても良い。遮光層18aや着色層などは、それぞれ単層または多層に設けることができる。また、文字板5の表面や裏面には、必要に応じて、上記した遮光層18aや着色層以外の層を設けることもできる。
図1に戻って、上記したアッパハウジング6は、文字板5の周囲を取り囲む枠状の部材である。アッパハウジング6の本体の周縁部には、外光の入射を抑制するためのフード部6aが手前側へ向かって一体に突出形成されている。また、アッパハウジング6の本体の内部には、各表示領域13を仕切って計器部を単眼風に見せるなどのための仕切部6bを適宜設けることができる。この実施例では、仕切部6bは、各表示領域13をほぼ円形に仕切るものとされる。
上記したフロントカバー7は、アッパハウジング6 のフード部6aの先端部に取り付けられる。このフロントカバー7は、透明樹脂によって構成されている。但し、車両用計器1および各部の構成は、これに限るものではない。
そして、このような車両用計器1を、昼間や夜間などに視認できるようにするために、車両用計器1に計器照明装置21を設けて、計器照明装置21で照明し得るようにする。以下、主に図3などを用いて計器照明装置21について説明する(図1、図2も併せて参照する)。
計器照明装置21には、表示領域13の数値メモリ領域16に形成された主計器部11や副計器部12のための数値16aやメモリ16bなどを一括して照明するためのもの(計器照明21a)と、指針回動領域15などに設けられた複数のインジケーター17の図柄や記号などを個別に照明するためのもの(インジケーター照明21b)とがある。
そして、計器照明21aのために、基板3に計器照明用光源22を取付ける。計器照明用光源22には、例えば、LEDなどが使用される。この計器照明用光源22を、文字板5の表示領域13から外れた位置に設置して、ハウジング4に設けた開口部4d内に臨ませるようにする。
ここで、表示領域13から外れた位置とは、要するに、平面的に見て数値メモリ領域16よりも外側となる外周側の位置または部分のことである。この位置は、例えば、文字板5の表面側にアッパハウジング6を取付けたときに、アッパハウジング6で計器照明用光源22を外部から見えないように隠すことができるような位置などとされる。なお、計器照明用光源22は、可能な限り数値メモリ領域16に近い位置に設けるのが、計器照明装置21の構成を簡略化したり、効率的に照明を行わせたりする上では好ましい。この実施例では、計器照明用光源22は、表示領域13の図中頂部となる位置の上側に設置されている。
更に、計器照明装置21では、文字板5の裏側に、図4に示すような、平面視ほぼ円弧状またはほぼ円形状の導光体23が設けられる。この導光体23は、計器照明用光源22からの照明光24(図3)を数値メモリ領域16の各数値16aやメモリ16bなどへ導くためのものである。そのために、この導光体23は、数値メモリ領域16にほぼ沿った形状をしている。
導光体23は、平面的に見て、ほぼ全体がほぼ均一な幅を有して、周方向に延びるものとするのが望ましい。この実施例では、主計器部11と対応する部分がほぼ均一な幅とされている。導光体23は、数値メモリ領域16の幅とほぼ同じ幅か数値メモリ領域16よりも若干広い幅などに形成される。
そして、導光体23には、計器照明用光源22と近接する位置(頂部など)に入光部23aが一体に突設形成される。この実施例では、入光部23aは、計器照明用光源22を両側から挟んで対向するように二箇所設けられることで、各入光部23aから入光された照明光24を導光体23の両側へ(均等に)分配させ得るようにしている。
この導光体23は、図3に示すように、ハウジング4に設けられた平面視ほぼ円弧状またはほぼ円形状の収容凹部25に収容される(図5~図7)。
図7に示すように、導光体23は、ほぼ均一な厚みを有する透明な樹脂製の板状体(導光板)などで構成される。導光体23は、ハウジング4の表面板4aよりも厚肉とされると共に、ハウジング4の側面板4bの幅(面直方向の長さ)よりも薄肉とされる。導光体23は、ハウジング4の表面板4aとほぼ面一な状態または表面板4aよりも表面が若干低くなった状態で、収容凹部25内に設置される。
図5~図7(主に図7)に示すように、ハウジング4の収容凹部25は、底面25aと側面25bとを有しており、底面25aは、導光体23とほぼ同様の平面形状とされる。側面25bは、導光体23の厚みとほぼ同様の深さとされる。側面25bは、内周壁と外周壁とを有しており、これらは、それぞれ底面25aの内周縁部と外周縁部から立ち上げられる。
照明光24は、導光体23の表面側と裏面側との間で反射を繰り返しながら、導光体23の内部を進んで行く。このように導光体23の内部を照明光24が進んで行けるようにするためには、導光体23の表面側や裏面側に、反射部26を設けることが必要になる。導光体23の表面側とは、具体的には、導光体23の表面や文字板5の裏面のことである。また、導光体23の裏面側とは、具体的には、導光体23の裏面や収容凹部25の底面25aのことである。
そして、導光体23自体には、照明光24を表面側(文字板5の側)へ反射させるための反射部26として、導光体23の裏面(のほぼ全面)に、細かい凹凸部27が形成される(図4)。細かい凹凸部27は照明光24を乱反射させるためのもの(いわゆるシボ模様など)である。凹凸部27は、導光体23の各部における照明光24の反射の仕方を調整するために、各部で粗さや密度を異ならせて設けることができる。例えば、照明光24の反射を強くしたい部分については凹凸部27を粗くしたり密にしたりし、また、照明光24の反射を弱くしたい部分については凹凸部27を細かくしたり疎にしたりする。但し、凹凸部27による反射の調整の仕方はこれに限るものではない。なお、凹凸部27は、入光部23aの裏面には設ける必要がない。また、導光体23の表面には、凹凸部27のような反射部26は、特に設けられていない。
そして、図8(図2A)に示すように、導光体23の外部で照明光24を導光体23の裏面側へ反射させるための反射部26として、文字板5の裏面の最下層には、反射層28が形成される。反射層28は、白色やその他の明色の印刷層などとすることができる。反射層28は、文字板5の裏面の遮光層18aなどの上に重ねて形成することができる。反射層28は、数値16aやメモリ16bなどの透光部またはその周囲を除いて設けられる。なお、反射層28は、数値メモリ領域16に限らず、インジケーター17の図柄や記号などの透光部またはその周囲を除いて、文字板5のほぼ裏面全体に設けることもできる。
また、図5(~図7)に示すように、導光体23の外部で照明光24を導光体23の表面側へ反射させるための反射部26として、収容凹部25は、少なくとも底面25aが反射面29とされる。この反射面29は、反射率の高い白色やその他の明色の樹脂などによって形成される。収容凹部25の底面25aは、反射率がより高まるように平滑面などとすることができる。なお、この実施例では、ハウジング4を白色やその他の明色の樹脂などで形成し、少なくとも表面板4aを平滑面などとすることで、ハウジング4の全体または表面板4aの全体を反射部26の反射面29となるようにしている。但し、反射面29は、収容凹部25、または、収容凹部25の底面25aのみとしても良い。
一方、図3に示すように、指針回動領域15に設けられるインジケーター照明21bは、導光体23の内周部分に設置された個別光源31によって行われる。個別光源31には、例えば、LEDなどが使用される。個別光源31は基板3に取付けられると共に、ハウジング4の収容凹部25の内側に多数形成された光源収容孔32の内部に配置される。
インジケーター17は、インジケーター照明21bをオン(点灯)することによって外部から視認できるようになり、インジケーター照明21bをオフ(消灯)することによって外部から視認できなくなる。
上記のような基本的な構成に対し、この実施例では、以下のような構成を備えることができる。
なお、計器照明装置21は、少なくとも、文字板5と、文字板5の裏面側に配設されて文字板5へ照明光24を導く導光体23とを有して、計器照明21aが可能なものとされる。
(1)図3に示すように、導光体23は、照明光24が局所的に集光される集光部41を有するものとしても良い。
集光部41の位置またはその周辺に対して、集光部41に集光された照明光24の反射を低減可能な反射低減部42を設けるようにする。
ここで、集光部41は、導光体23の内部で照明光24がそれ以上進めなくなって滞る場所(行き止まり部)などのことである。集光部41では、集光された照明光24が、(導光体23の表面側と裏面側との間を)その場で繰り返し反射するような現象が生じる。
集光部41は、主に、導光体23の形状が急変する部分などに発生される。特に、照明光24の進行が妨げられるような形状変化部分に集光部41が生じ易い。具体的には、計器照明21aでは、照明光24は、ほぼ円形の導光体23の周方向へ進むようになっているので、集光部41は、導光体23の周方向における、幅が変化している部分やその周辺などに形成され易い。
この実施例では、照明光24は、計器照明用光源22の位置(図中上側)から導光体23の周方向の反対側(図中下側)へ向かって進んで行くようになっており、上側には主計器部11が配置され、下側には副計器部12が配置されると共に、主計器部11と副計器部12とで、表示の幅や表示の位置などが異なっているので、主計器部11と副計器部12との境界部分に特に集光部41が発生し易い。
集光部41の位置またはその周辺とは、集光部41の真下や真上およびその周辺部分のことである。その周辺とは、無制限に広い範囲ではなく、計器照明21aに影響が出ない程度の僅かな範囲である。よって、導光体23に集光部41がある場合に、反射低減部42は、計器照明21aに影響を与えない範囲内に限って設けられる。
反射低減部42は、どのような構成としても良い。反射低減部42は、例えば、図8(図2A)に示すように、文字板5の裏面に局所的に低反射塗装43を施したものなどとしても良い。この局所的な低反射塗装43は、導光体23の表面と直接対向するように反射層28に重ねて設けられる。この文字板5の裏面に設けられる局所的な低反射塗装43は、導光体23の外部に設けられる反射低減部42であり(外部反射低減部)、また、導光体23の表面側に設けられる反射低減部42でもある(表面側反射低減部)。
文字板5の裏面に設けられる局所的な低反射塗装43によって、集光部41における導光体23の表面側と裏面側との間での照明光24の繰り返しの反射が抑制または阻害される。この低反射塗装43が、導光体23の裏面側へ向かう照明光24の反射を低減することで、間接的に文字板5へ向かう照明光24の量を減少させることができる。
低反射塗装43は、例えば、黒色などの暗色系の色の塗装、特に、艶消し塗装や、光を吸収するコーティング材などによる塗装などとすることができる。なお、この反射低減部42としての低反射塗装43は、単独で用いても良いが、後述するような、他の反射低減部42などと適宜組み合わせて用いることができる。
(2)図3に示すように、反射低減部42は、導光体23の裏面側における、集光部41に集光された照明光24の文字板5側への反射を低減可能なものとしても良い。
ここで、導光体23の裏面側に設けられる反射低減部42(裏面側反射低減部)は、導光体23の表面側へ向かう照明光24の反射を低減することで、文字板5へ向かう照明光24を直接低減させる。また、導光体23の裏面側に設けられる反射低減部42は、集光部41における導光体23の表面側と裏面側との間での照明光24の繰り返しの反射を抑制または阻害する。
導光体23の裏面側は、上記したように、導光体23の裏面や、収容凹部25の底面25aのことである。導光体23の裏面に設けられる反射低減部42は、導光体23自体に対して設けられる反射低減部42(内部反射低減部)であり、収容凹部25の底面25aに設けられる反射低減部42は、導光体23の外部に設けられる反射低減部42(外部反射低減部)である。反射低減部42は、これらのうちのどちらか一方または両方に設けることができる。
例えば、導光体23の外部に設けられる反射低減部42は、収容凹部25の底面25aに局所的に低反射塗装43を施したものなどとしても良い(図5A)。
低反射塗装43については、上記と同様である。なお、反射低減部42は、単独で用いても良いが、他の反射低減部42などと適宜組み合わせて用いることができる。
(3)反射低減部42は、文字板5の裏面側に配設されたハウジング4の、導光体23を収容する収容凹部25の底面25aに対して局所的に形成された凹所51としても良い(図6、図7)。
ここで、収容凹部25の底面25aの局所的な凹所51は、導光体23の裏面側で、且つ、導光体23の外部に設けられる反射低減部42(裏面側反射低減部および外部反射低減部)である。凹所51は、収容凹部25の底面25aよりも深い局所的な凹みとされる。凹所51は、深いほど効果的であり、可能な限り深くするのが好ましいが、構造的にはハウジング4の側面板4bの高さが、凹所51の深さのほぼ限界となるので、凹所51は、側面板4bの高さの範囲内で最適な深さにする。
凹所51は底51aがあっても(図7A)、底51aがなくても(図7B)良いが、凹所51の底51aをなくすことで、凹所51を実質的に深くしたのと同様の効果を得ることができる。但し、この場合には、凹所51からの光漏れ対策が必要になる。光漏れ対策は、例えば、凹所51の底部分に設けた穴51bを、遮光性を有する低反射膜や低反射部材などの遮光部材53で外側から塞ぐことなどによって行うことなどができる。
なお、反射低減部42としてのとしての凹所51は、単独で用いても良いが、他の反射低減部42などと適宜組み合わせて用いることができる。例えば、凹所51の側壁や底51aなどの少なくともいずれかに、上記した低反射塗装43などを施すようにしても良い(図7A、図7B)。
(4)図4に示すように、反射低減部42は、導光体23の裏面に局所的に形成された反射部非形成部55としても良い。
ここで、反射部非形成部55は、導光体23の裏面側で、且つ、導光体23自体に設けられる反射低減部42である(裏面側反射低減部および内部反射低減部)。反射部非形成部55は、導光体23の裏面に上記したような反射部26としての凹凸部27を意図的に設けないようにした部分(凹凸部非形成部)のことである。反射部非形成部55は、凹凸部27がないことで平滑面などになる。このように、導光体23の裏面に凹凸部27を設けない部分を形成することによって、その部分では、導光体23の裏面での照明光24の反射が大幅に低減される。なお、反射部非形成部55は、単独で用いても良いが、他の反射低減部42などと適宜組み合わせて用いることができる。
(5)集光部41は、エッジ状部61を含んでも良い。
ここで、エッジ状部61は、例えば、導光体23に外方へ突出する凹部や、内方へ引っ込む凸部などの集光部41を形成することで、凹部や凸部の少なくとも一部に形成される単数または複数の角状の部分である。エッジ状部61は、計器照明21aに輝度の高い部分を生じさせて、輝度ムラを引き起こす主原因となることから、均一な照明が必要とされる計器照明21aにとっては最も望ましくない形状の一つである。エッジ状部61は、角度が小さくなるほど、集光が強くなる傾向にあるものと考えられる。よって、導光体23にエッジ状部61を設けざるを得ない場合には、エッジ状部61は、可能な限り計器照明21aに影響が出ない位置に、可能な限り数値16aやメモリ16bなどから離して、可能な限り大きな角度で設けるようにするのが好ましい。
図2に示すように、通常、インジケーター17は、導光体23の内周部分(指針回動領域15)や、左右の表示領域13間の位置に設けられているが、この実施例では、設計上の理由やその他の理由などによって、上記位置に収まりきれなくなっており、収まりきれなかったインジケーター17のいくつか(インジケーター17A)を、例外的に数値メモリ領域16内の位置(数値メモリ領域16の下部の外周側の位置)に設けるようにしている。
これに応じて、図4(図3)に示すように、導光体23の外周下部における、上記インジケーター17Aと干渉する位置に切欠部62(または切欠形状部)を設けるようにしている。そして、この切欠部62の両端部が集光部41となり、切欠部62の両端部の外周側の部分がエッジ状部61となっている。このエッジ状部61は、切欠部62によって導光体23の幅が急激に狭くなっている部分の外側に位置しているため、照明光24が特に強く集光される部分となる。
より具体的には、この実施例では、インジケーター17Aを、数値メモリ領域16における、主計器部11と、副計器部12との間(境界部分)となる二箇所の位置にそれぞれ配置するようにしている。なお、インジケーター17Aは、どちらか一箇所だけ設けるようにしても良い(以下、二箇所に設けた例として説明する)。
そして、切欠部62は、導光体23の副計器部12の位置の外周側(下側)に、二個のインジケーター17Aの間に跨るように形成されたほぼ下向きの円弧状のものとされている。この切欠部62は、導光体23の外周下部を、ほぼインジケーター17Aの直径程度分またはそれ以上の幅で連続的に切り欠いたものとされている。
更に、導光体23には、副計器部12の位置の内周側(上側)に、数値16aやメモリ16bの径方向の位置に合わせて導光体23の幅を広げるための拡幅部63が形成されている。この拡幅部63は、切欠部62とほぼ対応する範囲に形成されているが、導光体23の副計器部12の部分は、拡幅部63を有していても、導光体23の幅が主計器部11の部分の幅よりも狭くなっている。
そして、切欠部62や拡幅部63などには、集光部41やエッジ状部61が生じ難くなるように、可能な限りアール部64などを設けるようにしているが、アール部64を形成するスペースが確保できない部分についてはエッジ状部61が残ってしまう。この実施例では、上記したように、切欠部62の両端部の外周側の部分がエッジ状部61になる。
この際、輝度ムラを防止するために、集光部41やエッジ状部61は、主計器部11のための数値16aやメモリ16bの位置と重ならないようにする必要がある。そこで、主計器部11のための数値16aやメモリ16bと切欠部62の端部との間に離隔部65を設けて、切欠部62の端部を、可能な限りインジケーター17Aの側へ寄せるようにしている。そして、上記した反射低減部42の低反射塗装43や凹所51や反射部非形成部55などを、離隔部65の位置またはその周辺に設けるようにしている。なお、反射低減部42と離隔部65の位置は、完全に一致されている必要はなく、若干ズレていても良い。同様に、集光部41と反射低減部42の位置も、完全に一致されている必要はなく、若干ズレていても良い。
<作用>以下、この実施例の作用について説明する。
車両用計器1は、文字板5の指針回動領域15に沿って指針9が回動され、数値メモリ領域16に形成された数値16aやメモリ16bを指針9が指し示すようになっており、指針9が指している数値16aやメモリ16bを読むことで、速度やエンジン回転数などの運転情報を得ることができる。
このような車両用計器1は、計器照明装置21を備えることで、昼間や夜間などに、より明瞭に車両用計器1を視認できるようになる。
計器照明装置21には、数値メモリ領域16を一括して照明するための計器照明21aと、指針回動領域15の内側やその他の位置に設置された複数のインジケーター17,17Aなどを個別に照明するためのインジケーター照明21bとがある。
計器照明21aは、計器照明用光源22を点灯することによって行われる。また、インジケーター照明21bは、指針回動領域15の内側やその他の位置に設けられた個別光源31をそれぞれ点灯することによって行われる。
計器照明21aでは、計器照明用光源22を点灯することで、計器照明用光源22からの照明光24が、導光体23の内部へ導かれる。そして、導光体23の内部へ導かれた照明光24は、文字板5の側へ反射されて、文字板5の数値メモリ領域16に形成された数値16aやメモリ16bなどの透光部を通して文字板5の表面側へ出射されることで、計器照明21aが行われる。
この際、照明光24は、導光体23の表面側(導光体23の表面や文字板5の裏面)と、導光体23の裏面側(導光体23の裏面や収容凹部25の底面25a)との間で反射を繰り返しながら、導光体23の内部を進んで行く。
そして、導光体23に、形状が急変している部分などがあると、照明光24が進めなくなってその部分に照明光24が集光し、集光部41となる。集光部41があると、他の部分に照明光24が行き届き難くなるなどの不具合が生じる。
更に、このような集光部41では、集光された多くの照明光24が、その場で反射を繰り返し、最終的に、文字板5へ向かうことになるので、集光部41の部分だけ輝度が高くなってしまい、計器照明21aの輝度ムラの原因となる。
そのため、導光体23は、形状が急変する部分などができないようにすることで、集光部41を発生させないようにする必要があることから、導光体23に対する造形の自由度や車両用計器1(や計器照明装置21)に対する設計上の自由度が低くなっていた。
一方で、車両用計器1や計器部の多様化を図るために、導光体23の造形上の制限などをなくしたいという要望が生じている。
<効果>この実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
(効果 1)導光体23は集光部41を有するものとしても良い。これにより、導光体23に対する造形の自由度や車両用計器1(や計器照明装置21)に対する設計上の自由度を上げることができる。
その上で、集光部41の位置またはその周辺に対して反射低減部42を設けるようにする。これにより、反射低減部42が、集光部41に集光された照明光24のその場での反射の繰り返しを抑制する。そのため、最終的に文字板5側へ向けて反射される照明光24の量も減少されるので、集光部41の位置またはその周辺で計器照明21aの輝度が局所的に高くなる現象が抑制される。よって、集光部41による計器照明21aの輝度ムラをなくしたり低減したりすることができる。
(効果 2)反射低減部42は、導光体23の裏面側にて、集光部41に集光された照明光24の文字板5側への反射を低減可能なものとしても良い。これにより、有効な反射低減部42を導光体23の裏面側に確実に設けることができる。また、導光体23の裏面側に設けた反射低減部42によって、導光体23の裏面側で反射して文字板5側へ向かう照明光24を、直接且つ効果的に低減することができる。よって、集光部41による計器照明21aの輝度ムラをなくしたり低減したりすることができる。
(効果 3)計器照明装置21は、反射低減部42として、収容凹部25の底面25aに対して局所的な凹所51を設けても良い。これにより、集光部41に集光された照明光24が、収容凹部25の底面25aに対して局所的に深くなっている凹所51へ入ることとなり、凹所51内で乱反射して拡散され減衰されるようになる。よって、凹所51から出る照明光24の量を減少させて、文字板5側へ向かう照明光24の量を低減することができる。よって、集光部41による計器照明21aの輝度ムラをなくしたり低減したりすることができる。
そして、収容凹部25の底面25aに局所的に凹所51を形成するだけで良いので、構造的にも簡単であり、ハウジング4や収容凹部25の形状を大きく変更せずに容易に反射低減部42を設けることができる。反射低減部42としての局所的な凹所51は、他の反射低減部42よりも高い反射低減効果が得られるので、機能的にもコスト的にも有利である。
(効果 4)計器照明装置21は、反射低減部42として、導光体23の裏面に局所的に反射部非形成部55を設けても良い。導光体23の裏面に反射部非形成部55を設けることで、反射部非形成部55の位置では、照明光24を導光体23の表面側へ反射できなくするまたは反射し難くすることができる。これにより、文字板5へ向かう照明光24の量を局所的に低減できる。
そのため、反射部非形成部55を集光部41またはその周辺に設けるようにすれば、集光部41においても集光された照明光24を、反射部非形成部55によって文字板5へ向けて反射できなくするまたは反射し難くすることが可能になる。よって、集光部41による計器照明21aの輝度ムラをなくしたり低減したりすることができる。
そして、導光体23の裏面に局所的に反射部非形成部55を設けるだけで良いので、構造が簡単であり、ハウジング4や収容凹部25の形状を大きく変更せずに容易に反射低減部42を設けることができる。
(効果 5)集光部41は、エッジ状部61を含んでいても良い。エッジ状部61は、尖った形をしている部分のことである。エッジ状部61は、形状の変化が特に著しいため、集光部41の中でも特に集光が起こり易い部分となって、計器照明21aに輝度ムラを引き起こす原因になる。そのため、これまでは導光体23にエッジ状部61を形成しないようにすることが要請されていた。しかし、エッジ状部61を反射低減部42と組み合わせて設けるようにすれば、エッジ状部61があっても輝度ムラを防止できるので、導光体23にエッジ状部61を積極的に作ることが可能になる。しかも、導光体23にエッジ状部61が単数または複数設けられても、反射低減部42を単数または複数設けることで、対処することが可能になる。そして、反射低減部42によって輝度ムラを比較的容易にコントロールできるので、導光体23の造形の自由度を格段に上げることができる。