JP7235652B2 - 出来立て香付与ないし増強剤 - Google Patents
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Description
しかしながら、これらの技術の問題点としては、原料であるエキスが天然物由来であるため、加熱により出来上がる香気の再現性が低いことや、香調のバリエーションが少なく用途が限られること、製造工程が煩雑であること等が挙げられる。また、喫食時のみならず製造時にも加熱を要するため、喫食時に香り立ちを最も強くすることができない。
しかしながら、この技術の問題点としては、加熱による生成物が1-ピロリン誘導体に限られ、より複雑で自然な調理感を出すことが難しいことや、香調のバリエーションが少なく用途が限られること等が挙げられる。
しかしながら、この技術は、(Z)-ペンタデセナールを添加した直後に香り立ちが最も強くなり、時間の経過(加工・流通・貯蔵の過程)で香気(効果)が薄れてしまうことが避けられない。
しかしながら、この技術の問題点としては、マイクロ波吸収発熱成分、香気発生成分、温度調節成分を別途用いるか、もしくはそれらの成分を有した特殊な容器が必要であり、汎用性が低いことが挙げられる。
しかしながら、この技術の問題点としては、加工・流通・貯蔵の過程で香気成分が次第に失われてしまうことが挙げられる。
しかしながら、この技術の問題点としては、香料に由来する香気成分の保持には効果があるが、低沸点成分が喫食時までに失われやすく、調理時に発生する調理香や出来立て香は感じられにくいことが挙げられる。
[1]下記一般式(1)で表されるα-アミノ酸、シスチン、及びグルタチオンからなる群から選択される1種類又は2種類以上からなるA成分、及び
下記一般式(2)で表されるジカルボニル化合物、下記一般式(3)で表されるメルカプトカルボニル化合物、及び3-メルカプトプロピオン酸からなる群から選択される1種類又は2種類以上からなるB成分を有効成分として含有することを特徴とする出来立て香付与ないし増強剤。
[2]前記A成分及びB成分の加熱反応により、アルデヒド類、ケトン類、チオール類、スルフィド類、及びチオエステル類からなるI群と、ピラジン類、ピロール類、チアゾール類、チオフェン類、フラン類、及びピリジン類からなるII群の、それぞれの成分を少なくとも1種含む出来立て香を生成することを特徴とする[1]に記載の出来立て香付与ないし増強剤。
[3]前記一般式(1)で表されるα-アミノ酸が、アラニン、ロイシン、及びバリンからなる群から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする[1]に記載の出来立て香付与ないし増強剤。
[4]前記一般式(2)で表されるジカルボニル化合物が、ピルビン酸、ピルブアルデヒド、ジアセチル、アセチルプロピオニル、及びアセチルブチリルからなる群から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする[1]~[3]のいずれかに記載の出来立て香付与ないし増強剤。
[5]前記一般式(3)で表されるメルカプトカルボニル化合物が、3-メルカプト-2-ブタノンであることを特徴とする[1]~[4]のいずれかに記載の出来立て香付与ないし増強剤。
[6]合成香料、天然香料、香辛料抽出物、及び溶剤から選ばれる1種又は2種以上を更に含有することを特徴とする[1]~[5]のいずれかに記載の出来立て香付与ないし増強剤。
[7][1]~[6]のいずれかに記載の出来立て香付与ないし増強剤を、0.001~10質量%含有することを特徴とする飲食品。
[8][1]~[6]のいずれかに記載の出来立て香付与ないし増強剤を、0.001~30質量%含有することを特徴とする調味料。
[9][1]~[6]のいずれかに記載の出来立て香付与ないし増強剤を、飲食品全量に対して0.001~10質量%添加する工程を含む、飲食品の製造方法。
[10]前記工程の後に、加熱後密封する工程又は密封後加熱する工程を含むことを特徴とする[9]に記載の飲食品の製造方法。
[11][1]~[6]のいずれかに記載の出来立て香付与ないし増強剤を、調味料全量に対して0.001~30質量%添加する工程を含む、調味料の製造方法。
[12]前記工程の後に、加熱後密封する工程又は密封後加熱する工程を含むことを特徴とする[11]に記載の調味料の製造方法。
以下、本発明の出来立て香付与ないし増強剤について、さらに詳しく説明する。
本発明においては、A成分として、下記一般式(1)で表されるα-アミノ酸、シスチン、及びグルタチオンからなる群から選択される1種類又は2種類以上(以下、「アミノ酸類」ということもある。)が用いられる。
本発明においては、B成分として、下記一般式(2)で表されるジカルボニル化合物、下記一般式(3)で表されるメルカプトカルボニル化合物、及び3-メルカプトプロピオン酸からなる群から選択される1種類又は2種類以上が用いられる。
また、前記一般式(3)で表されるメルカプトカルボニル化合物としては、特に限定されないが、例えば、3-メルカプト-2-ブタノン、3-メルカプト-2-ペンタノン等食品添加物として認可されているものが好適に使用でき、特に3-メルカプト-2-ブタノンが最も好適に使用できる。
前記A成分及びB成分は、加熱工程で失われやすい低沸点成分であるアルデヒド類、ケトン類、チオール類、スルフィド類、及びチオエステル類からなるI群と、加熱調理香に寄与するピラジン類、ピロール類、チアゾール類、チオフェン類、フラン類、及びピリジン類からなるII群の、それぞれの成分の少なくとも一種を生み出す前駆体であり、加熱によりA成分とB成分が反応し、I群及びII群の成分のそれぞれを少なくとも1種を含んだ好ましい出来立て香を生み出す。
前記I群(加熱工程で失われやすい低沸点成分)に属する成分としては、具体的には、アセトアルデヒド、2-メチルブタナール、イソバレルアルデヒド、3-メチル-2-ブテナール、トランス-2-ヘキセナール、2,4-ヘキサジエナール、2,4,6-オクタトリエナール、ノナナール、デカナール、メチオナール、クロトンアルデヒド、2-エチルクロトンアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、2,4-ジメチルベンズアルデヒド、トリルアルデヒド、チグリックアルデヒド、5-アミノペンタナール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、3-メチル-2-ペンタノン、1-ペンテン-3-オン、3-ペンテン-2-オン、4-ヘキセン-3-オン、1-オクテン-3-オン、アリルメルカプタン、3-メチルチオプロパノール、ジアリルジスルフィド、ビス(メチルチオ)メタン、メチルプロペニルトリスルフィド、3,5-ジメチル-1,2,4-トリチオラン、S-エチルチオアセテートなどが例示される。
前記II群(加熱調理香に寄与する成分)に属する成分としては、具体的には、2-メチル-3-フランチオール、フルフラール、2-フリルメチルケトン、5-メチル-2-フルフラール、2-メチルフラン、2,5-ジメチルフラン、2,3,4-トリメチルフラン、2,3,5-トリメチルフラン、テトラメチルフラン、2-アセチル-5-メチルフラン、3-アセチル-2,5-ジメチルフラン、フルフリルアルコール、フラネオール、ソトロン、2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン、チアゾール、2-メチルチアゾール、4-メチルチアゾール、4,5-ジメチルチアゾール、2,4-ジメチルチアゾール、2,4,5-トリメチルチアゾール、2,5-ジエチルチアゾール、2-アセチルチアゾール、2,4-ジメチル-5-アセチルチアゾール、ベンゾチアゾール、4,5-ジメチル-2-イソプロピルチアゾール、チオフェン、2-メチルチオフェン、ブテニルチオフェン、2,5-ジメチルチオフェン、2,4-ジメチルチオフェン、3,4-ジメチルチオフェン、2,5-ジエチルチオフェン、2,3,5-トリメチルチオフェン、2-アセチル-5-メチルチオフェン、2,3,4,5-テトラメチルチオフェン、5-メチル-2-チオフェンカルボキシアルデヒド、5-エチル-2-チオフェンカルボキシアルデヒド、1-メチルピロール、1-エチルピロール、2-アセチルピロール、2,3,4-トリメチルピロール、ピリジン、2-メチルピリジン、3-メチルピリジン、5-エチル-2-メチルピリジン、3,4-ジメチルピリジン、2,4,6-トリメチルピリジン、ピラジン、2-メチルピラジン、2-エチルピラジン、2,3-ジメチルピラジン、2,5-ジメチルピラジン、2,6-ジメチルピラジン、2-エチル-5-メチルピラジン、2-エチル-6-メチルピラジン、2-エチル-3,5(6)-ジメチルピラジン、2,5-ジエチルピラジン、2,6-ジエチルピラジン、3,5-ジエチル-2-メチルピラジン、2,3,5-トリメチルピラジン、2,3,5,6-テトラメチルピラジン、2-アセチル-3-メチルピラジンなどが例示される。
(香料成分)
本実施形態に係る出来立て香付与ないし増強剤には、所望の香気を損なわない限りにおいて、前記A成分及びB成分以外に、着香用の食品添加物が含まれていてもよい。そのような食品添加物としては、特に限定されず、公知のものが使用できるが、例えば、各種の合成香料、天然香料、香辛料抽出物などを挙げることができる。例えば、「特許庁、周知慣用技術集(香料)第II部食品香料、P88-131、平成12年1月14日発行」に記載されている合成香料、天然香料、香辛料抽出物を挙げることができる。
アセトアルデヒド、プロパナール、ブタナール、イソブタナール、2-メチルブタナール、3-メチルブタナール、バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、ヘキサナール、トランス-2-ヘキセナール、ヘプタナール、オクタナール、トランス-2-オクテナール、ノナナール、トランス-2-ノネナール、デカナール、トランス-2-デセナール、トランス-2-ウンデセナール、トランス-2-ドデセナール、2,4-ヘキサジエナール、2,4-ヘプタジエナール、2,4-デカジエナール、2,4-ウンデカジエナール、ウンデカナール、ドデカナール、ベンズアルデヒドなどのアルデヒド類。
エタノール、プロパノール、ブタノール、2-メチルブタノール、アミルアルコール、イソアミルアルコール、ヘキサノール、2-エチルヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ドデカノール、1-ペンテン-3-オール、1-オクテン-3-オール、ベンジルアルコール、フルフリルアルコールなどのアルコール類。
1-ペンテン-3-オン、3-ペンテン-2-オン、1-オクテン-3-オン、3-オクテン-2-オン、アミルメチルケトン、ヘプチルメチルケトンなどのケトン類。
ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド、メチルプロピルトリスルフィド、ビス(メチルチオ)メタン、メチオノール、メチオナールなどの含硫黄化合物類。
チアゾール、ベンゾチアゾール、4,5-ジメチルチアゾール、スルフロール、2-メチルピラジン、2,3-ジメチルピラジン、2,5-ジメチルピラジン、2,6-ジメチルピラジン、2-エチルピラジン、テトラメチルピラジン、インドール、スカトール、フルフラール、5-メチル-2-フルフラール、フラネオール、5-ヒドロキシ-3-メチル-2-シクロペンテン-1-オン、ソトロンなどの複素環化合物類。
バイオレット、ヘイ、オークモスなどの天然香料。
メース、ナツメグ、セージ、コリアンダー、クミン、タイム、オールスパイス、ローレル、カルダモン、セロリ、クローブ、ディル、ジンジャー、フェヌグリーク、パセリ、オレガノ、ホワイトペパー、ブラックペパー、ローズなどの香辛料抽出物。
なお、上記成分は、1種を単独で用いられてもよいし、2種以上の組み合わせで用いられてもよい。
本実施形態に係る出来立て香付与ないし増強剤には、所望の香気を損なわない限りにおいて、前記A成分及びB成分以外に、添加剤として溶剤が含まれていてもよい。このような溶剤としては、上述した香料を溶解しうるものであれば種類や濃度は特に限定されないが、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、トリアセチン等の食品添加物として認められているものが好ましく、特に、水、プロピレングリコールが好ましく用いられる。なお、上記の添加剤は、1種で単独で用いられてもよいし、2種以上の組み合わせで用いられてもよい。
本発明の他の形態としては、上記出来立て香付与ないし増強剤を含有する飲食品である。
本発明に係る出来立て香付与ないし増強剤は、加熱調理香に大きく寄与する香気の前駆体であるA成分及びB成分を含有するため、当該出来立て香付与ないし増強剤を含有する飲食品は、加熱することで食欲をそそる出来立て香を生む効果ないしは出来立て香を増強させる効果が付与される。
こうして製造された飲食品が、喫食時に加熱する飲食品である場合、喫食時に加熱することにより、飲食品に出来立て香を生じさせて、飲食品の風味を増強させることができる。
なかでも、本発明に係る好ましい形態は電子レンジ加熱式冷凍食品である。 電子レンジ加熱の場合、出来立て香付与ないし増強剤にはA成分とB成分に加えて、溶剤として水を使う必要がある。
本実施形態に係る飲食品としては特に限定されず、前記のアイスコーヒー以外に、缶入りコーヒー飲料・缶入り紅茶飲料・缶入りアイスココア等の缶入り飲料、紙パック入りコーヒー飲料・紙パック入り紅茶飲料・紙パック入り牛乳・紙パック入りアイスココア等の紙パック入り飲料、キャラメル・チョコレート類・キャンディー類・グミ・ゼリー等の菓子類、ビスケット類・クッキー等の焼き菓子類、アイスクリーム類・かき氷等の冷菓・氷菓類、ハム・ソーセージ等の畜肉製品、かまぼこ・ちくわ等の魚肉練り製品、餡子・最中・ぜんざい等の和菓子類等が挙げられる。
本実施形態に係る飲食品としては特に限定されず、レトルトカレー類、レトルトハヤシライス、レトルトシチュー類、カレー・ハヤシライス・シチュー等のカレー(ルー)類、レトルトスープ類、レトルトハンバーグ・レトルトミートボール等の食肉加工品、レトルト丼・レトルト雑炊等の米飯類、ハム・ソーセージ等の畜肉製品、かまぼこ・ちくわ等の魚肉練り製品等が挙げられる。
本発明の他の形態としては、上記出来立て香付与ないし増強剤を含有する調味料である。本発明に係る出来立て香付与ないし増強剤は、加熱調理香に大きく寄与する香気の前駆体であるA成分及びB成分を含有するため、当該出来立て香付与ないし増強剤を含有する調味料は、加熱することで食欲をそそる出来立て香を生む効果ないしは出来立て香を増強させる効果が付与される。
本実施形態に係る調味料としては、特に限定されないが、調理をした際に香る、食欲をそそるような出来立て香が求められる調味料であることが好ましく、例えば、冷凍食品に含まれる洋風ソース・和風ソース・ウスターソース・中濃ソース等のソース類、パスタソース・ホイコーローの素・チンジャオロースの素等のメニュー用調味料類、ラーメンスープの素・うどんスープの素等のスープの素、中華料理用加工調味料・和食用加工調味料等の加工調味料類が挙げられる。
本実施形態に係る調味料としては、特に限定されず、醤油・洋風ソース・和風ソース・ウスターソース・中濃ソース等のソース類、味噌、ドレッシング、ジャム、スプレッド、ホイップ等の調味料類が挙げられる。
本実施形態に係る飲食品としては特に限定されず、醤油・洋風ソース・和風ソース・ウスターソース・中濃ソース等のソース類、パスタソース・酢豚の素等のメニュー用調味料類、中華料理用加工調味料・和食用加工調味料等の加工調味料類、ラーメン・うどんのスープの素類又は調味油類、トーストスプレッド、味噌、コンソメ、鍋スープの素等の調味料類が挙げられる。
例えば、喫食時に加熱する飲食品又は喫食時に加熱しない飲食品においては、それぞれ、喫食時の加熱前又は製造工程における最後の加熱前において、飲食品全量中、前記A成分及びB成分の添加量は0.0001~1.5質量%であることが好ましく、0.0005~0.2質量%であることがより好ましい。
また、喫食時に加熱する調味料又は喫食時に加熱しない調味料においては、それぞれ、喫食時の加熱前又は製造工程における最後の加熱前において、全調味料中、前記A成分及びB成分の添加量は0.0001~4.5質量%であることが好ましく、0.0005~0.6質量%であることがより好ましい。
そこで、出来立て香付与ないし増強剤の飲食品又は調味料への添加量は、出来立て香付与ないし増強剤中に含有される前記A成分及びB成分のそれぞれの含有量を考慮して、上記の条件が満たされるように調整されるが、飲食品全量に対しては0.001~10質量%の範囲内であると好ましく、0.01~5質量%であればより一層好ましく、0.05~2質量%であれば最も好ましい。また、調味料全量に対しては0.001~30質量%の範囲内であると好ましく、0.01~15質量%であればより一層好ましく、0.05~6質量%であれば最も好ましい。
加熱方法は特に限定されず、飲食品又は調味料の種類に応じて異なるが、例えば、電子レンジ、オーブン、トースター、フライヤー、スチーム、ボイル、グリル、焼成等、公知の方法を使うことができ、A成分及びB成分の加熱反応により、前記I群及びII群のそれぞれの成分を少なくとも1種を含んだものを得るためには、喫食時に、少なくとも1回、60~500℃で、1~180分の加熱を行うことが好ましい。
[比較品1の調製]
下記表1に示すA成分を含まずB成分のみからなる香料組成物「比較品1」を調製した。
なお、本比較品1においては、前記一般式(2)で表されるジカルボニル化合物である「ピルブアルデヒド」、「アセチルブチリル」、及び「ピルビン酸」を用いた。
比較品1に、A成分として、一般式(1)で表されるα-アミノ酸である「DL-アラニン」及び「L-ロイシン」を添加することで、「発明品1」を調製した。組成を表2に示す。
下記の表3の処方で評価用カレーを作製した。
上記の評価用カレー200gに対して、発明品1及び比較品1のそれぞれを、全量に対して0.1質量%となるように添加し、120℃で20分間レトルトパウチにて殺菌した。殺菌後、喫食時に10分間ボイルした後、8名の良く訓練されたパネルにて官能評価を行った。
(評価基準)
-:無添加品と大差なし
+:少し感じられる
++:強く感じられる
これらのうち、表中には最頻値を記載した。
(評価項目の定義)
出来立て香:調理した直後の料理に感じられるような、軽く香ばしい香り
トップの強さ:出来立て香に伴う、食品サンプルを口に含んだ直後の風味の強さ
ボディの強さ:立体感があり、深みと広がり(=コク)の風味の強さ
スパイシー感の強さ:カレーの素材がもつ香辛料の風味の強さ
また、香気評価及び風味評価の欄は、多かったパネルの意見を抽出した。結果を表4に示す。
[比較品2の調製]
下記の表5に示すA成分を含まずB成分のみからなる香料組成物「比較品2」を調製した。なお、本比較品2においては、前記一般式(2)で表されるジカルボニル化合物である「ピルブアルデヒド」及び「ピルビン酸」と、前記一般式(3)で表されるメルカプトカルボニル化合物である「3-メルカプト-2-ブタノン」を用いた。
比較品2に、A成分として、α-アミノ酸である「DL-アラニン」、「L-ロイシン」及び「L-バリン」を添加することで、「発明品2」を調製した。組成を表6に示す。
下記の表7に記載の処方で評価用ビーフコンソメスープを作製した。
上記評価用ビーフコンソメスープ200gに対して、発明品2及び比較品2のそれぞれを、全量に対して0.1質量%となるように添加し、120℃で20分間レトルトパウチにて殺菌した。殺菌後、喫食時に10分間ボイルした後、8名の良く訓練されたパネルにて官能評価を行った。
(評価基準)
-:無添加品と大差なし
+:少し感じられる
++:強く感じられる
これらのうち、表中には最頻値を記載した。
(評価項目の定義)
出来立て香:調理した直後の料理に感じられるような、軽く香ばしい香り
トップの強さ:出来立て香に伴う、食品サンプルを口に含んだ直後の風味の強さ
ボディの強さ:立体感があり、深みと広がり(=コク)の風味の強さ
ビーフ感の強さ:スープ素材のビーフ風味が引き立つ味わいの強さ
また、香気評価及び風味評価の欄は、多かったパネルの意見を抽出した。
結果を表8に示す。
[比較品3の調製]
下記の表9に示すA成分を含まずB成分のみからなる香料組成物「比較品3」を調製した。なお、本比較品3においては、前記一般式(2)で表されるジカルボニル化合物である「ピルブアルデヒド」及び「ピルビン酸」と、前記一般式(3)で表されるメルカプトカルボニル化合物である「3-メルカプト-2-ブタノン」を用いた。
比較品3にα-アミノ酸である「DL-アラニン」、「L-ロイシン」及び「L-バリン」を添加することで、「発明品3」を調製した。組成を表10に示す。
市販の電子レンジ解凍用餃子約100gに対して、発明品3及び比較品3のそれぞれを、全量に対して0.6質量%となるように添加し、600Wで1分30秒間レンジアップした後、7名の良く訓練されたパネルにて官能評価を行った。
(評価基準)
-:無添加品と大差なし
+:少し感じられる
++:強く感じられる
これらのうち、表中には最頻値を記載した。
(評価項目の定義)
出来立て香:調理した直後の料理に感じられるような、軽く香ばしい香り
トップの強さ:出来立て香に伴う、食品サンプルを口に含んだ直後の風味の強さ
ボディの強さ:立体感があり、深みと広がり(=コク)の風味の強さ
肉汁感の強さ:ジューシーな肉感の風味の強さ
また、香気評価及び風味評価の欄は、多かったパネルの意見を抽出した。
結果を表11に示す。
[比較品4の調製]
下記の表12に示すB成分を含まずA成分のみからなる香料組成物「比較品4」を調製した。なお、本比較品4においては、前記一般式(1)で表されるα-アミノ酸である「DL-アラニン」及び「L-ロイシン」を用いた。
下記の表13に示すA成分を含まずB成分のみからなる香料組成物「比較品5」を調製した。なお、本比較品5においては、前記一般式(2)で表されるジカルボニル化合物である「アセチルブチリル」、「ピルブアルデヒド」及び「ピルビン酸」と、前記一般式(3)で表されるメルカプトカルボニル化合物である「3-メルカプト-2-ブタノン」を用いた。
比較品4と比較品5の処方を合算することで、「発明品4」を調製した。組成を表14に示す。
下記の表15に示すB成分を含まずA成分のみからなる香料組成物「比較品6」を調製した。なお、本比較品6においては、前記一般式(1)で表されるα-アミノ酸である「L-リシン」、「L-ヒスチジン」、「L-システイン」、「L-ロイシン」及び「L-バリン」を用いた。
下記の表16に示すA成分を含まずB成分のみからなる香料組成物「比較品7」を調製した。なお、本比較品7においては、前記一般式(2)で表されるジカルボニル化合物である「アセチルプロピオニル」、「ピルブアルデヒド」、「ジアセチル」及び「ピルビン酸」と、前記一般式(3)で表されるメルカプトカルボニル化合物である「3-メルカプト-2-ブタノン」を用いた。
比較品6と比較品7の処方を合算することで、「発明品5」を調製した。組成を表17に示す。
下記の表18に示すB成分を含まずA成分のみからなる香料組成物「比較品8」を調製した。なお、本比較品8においては、前記一般式(1)で表されるα-アミノ酸である「DL-アラニン」のみを用いた。
下記の表19に示すA成分を含まずB成分のみからなる香料組成物「比較品9」を調製した。なお、本比較品9においては、前記一般式(2)で表されるジカルボニル化合物である「ピルブアルデヒド」のみを用いた。
比較品8と比較品9の処方を合算することで、「発明品6」を調製した。組成を表20に示す。
下記の表21に示すA成分のみからなる香料組成物「比較品10」を調製した。なお、本比較品10においては、前記一般式(1)で表されるα-アミノ酸である「L-システイン」のみを用いた。
下記の表22に示すB成分のみからなる香料組成物「比較品11」を調製した。なお、本比較品11においては、前記一般式(3)で表されるメルカプトカルボニル化合物である「3-メルカプト-2-ブタノン」のみを用いた。
比較品10と比較品11の処方を合算することで、「発明品7」を調製した。組成を表23に示す。
下記の表24に示すA成分のみからなる香料組成物「比較品12」を調製した。なお、本比較品12においては、アミノ酸類である「グルタチオン」のみを用いた。
下記の表25に示すB成分のみからなる香料組成物「比較品13」を調製した。なお、本比較品13においては、前記一般式(2)で表されるジカルボニル化合物である「アセチルプロピオニル」、「ジアセチル」、「ピルビン酸」を用いた。
比較品12と比較品13の処方を合算することで、「発明品8」を調製した。組成を表26に示す。
下記の表27に示すA成分のみからなる香料組成物「比較品14」を調製した。なお、本比較品14においては、アミノ酸類である「シスチン」のみを用いた。
下記の表28に示すB成分のみからなる香料組成物「比較品15」を調製した。なお、本比較品15においては、前記一般式(2)で表されるジカルボニル化合物である「ピルブアルデヒド」、「アセチルブチリル」、「ピルビン酸」を用いた。
比較品14と比較品15の処方を合算することで、「発明品9」を調製した。組成を表29に示す。
前記の本発明品及び比較品を機器分析に供することで、加熱の有無やアミノ酸の有無が、新たに生成する出来立て香に寄与する成分量にどのような変化を与えるのかについて調べた。
得られた分析結果(出来立て香に寄与する成分量:相対質量ppb)を表30~35に示す。なお、加熱はオイルバスにて100℃で30分間行い、分析方法には公知の固相マイクロ抽出(SPME)法を用いた。
下記の表36に示すA成分及びB成分からなる「発明品10」を調製した。なお、本発明品10においては、前記一般式(1)で表されるα-アミノ酸である「DL-アラニン」、前記一般式(2)で表されるジカルボニル化合物である「ピルブアルデヒド」、溶剤としてプロピレングリコールを用いた。
下記の表37に示すA成分及びB成分からなる「発明品11」を調製した。なお、本発明品11においては、前記一般式(1)で表されるα-アミノ酸である「DL-アラニン」、前記一般式(2)で表されるジカルボニル化合物である「ピルブアルデヒド」、溶剤としてトリアセチンを用いた。
前記の本発明品10、11を機器分析に供することで、溶剤の種類が出来立て香に寄与する成分の生成にどのように影響するのかについて調べた。
得られた分析結果(出来立て香に寄与する成分量:相対質量ppb)を表38に示す。なお、加熱はオイルバスにて100℃で30分間行い、分析方法には公知の固相マイクロ抽出(SPME)法を用いた。
Claims (5)
- 下記一般式(1)で表されるα-アミノ酸、シスチン、及びグルタチオンからなる群から選択される1種又は2種以上からなるA成分、及び
下記一般式(2)で表されるジカルボニル化合物(但し、ジアセチルを除く)、及び3-メルカプトプロピオン酸からなる群から選択される1種又は2種以上からなるB成分、
を有効成分として含有することを特徴とする出来立て香付与ないし増強剤。
- 前記A成分及びB成分の加熱反応により、アルデヒド類、ケトン類、チオール類、スルフィド類、及びチオエステル類からなるI群と、ピラジン類、ピロール類、チアゾール類、チオフェン類、フラン類、及びピリジン類からなるII群の、それぞれの成分を少なくとも1種含む出来立て香を生成することを特徴とする請求項1に記載の出来立て香付与ないし増強剤。
- 前記一般式(1)で表されるα-アミノ酸が、アラニン、ロイシン、バリン、及びシステインからなる群から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の出来立て香付与ないし増強剤。
- 前記一般式(2)で表されるジカルボニル化合物が、ピルビン酸、ピルブアルデヒド、アセチルプロピオニル、アセチルブチリル、及びアセチルベンゾイルからなる群から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の出来立て香付与ないし増強剤。
- 合成香料、天然香料、香辛料抽出物、及び溶剤から選ばれる1種又は2種以上を更に含有することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の出来立て香付与ないし増強剤。
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