以下、実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本明細書の実施形態においては、全体を通じて、同一の部材には同一の符号を付している。また、図面中に、正面Fの方向及び後方(背面壁)Bの方向を、実線矢印で示している。また、左右は、正面Fから見た状態を指すものとする。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る基板収納容器の分解斜視図である。図2は、容器本体の正面図であり、図3は、容器本体の底面図であり、図4は、容器本体の断面平面図である。図5は、給気弁を含む部位の断面斜視図である。
図1に示される基板収納容器1は、複数枚の基板Wを収納する容器本体2と、この容器本体2の開口に着脱自在に装着される蓋体4と、を備えている。基板収納容器1に収納される基板Wとしては、直径が300mmや450mmの半導体ウェーハ、マスクガラスなどが挙げられる。
容器本体2は、正面開口枠2aと、背面壁2bと、右側壁2cと、左側壁2dと、天面2eと、底面2fとで形成される、いわゆるフロントオープンボックスタイプのものである。
蓋体4は、容器本体2の正面開口枠2aの開口に装着されるもので、図示しないシールガスケットが容器本体2の正面開口枠2aに対向するように取付けられている。この蓋体4を容器本体2に装着した際、シールガスケットは容器本体2と蓋体4との間の周縁部に密着し、基板収納容器1の内部空間の気密性を維持するように構成されている。この気密性が維持された基板収納容器1の内部空間の空気は、後述する気体置換ユニット3R,3Lにより気体Gで置換される。
容器本体2の背面壁2bには、更に後方Bに突出する突出部が左右両側に形成されている(図4参照)。この突出部は、容器本体2の正面Fの開口を上向きにして載置される際に、脚部として機能する。また、容器本体2の背面壁2bの中央外側には、収納された基板Wの枚数の補助となる目盛りなどが表示される(図1参照)。
容器本体2の右側壁2c及び左側壁2dの外側の中央付近には、握持操作用に機能するグリップ23がそれぞれ取付けられている。
また、容器本体2の右側壁2c及び左側壁2dの内側には、収納される基板Wを水平に支持する左右一対の支持片21がそれぞれ複数設けられ、右側壁2c及び左側壁2dの内側の後方B側には、基板Wを後方Bに向けて挿入した際に、基板Wの挿入位置を規制する位置規制部22がそれぞれ設けられている。
この左右一対の支持片21は、上下方向に所定のピッチで配列され、各支持片21が基板Wの周縁を支持する細長い板状に形成されている。本実施形態では、25枚の基板Wが支持できるように支持片21が設けられているが、基板Wの最大収納枚数は25枚に限らない。
このとき、基板Wは、容器本体2に必要に応じて満載状態で収納されたり、満載状態より少ない数が収納されたり、収納位置が変えられたりするため、容器本体2への収納枚数及び収納状態は、基板収納容器1の使用態様によって種々異なる。例えば、複数枚の基板Wが、上方又は下方に偏って収納されたり、1つ置きに収納されたりすることもある。
容器本体2の天面2eの外側には、ロボティックフランジなどのトップフランジ25が取付けられている。このトップフランジ25は、例えば、半導体製造工場の天井搬送車に把持され、工程間を搬送されたり、半導体加工装置などの蓋体開閉装置に位置決めに利用されたりする。
容器本体2の底面2fの外側には、容器本体2を位置決め、載置するためのボトムプレート26が取付けられている。
容器本体2や蓋体4、また、グリップ23、トップフランジ25、ボトムプレート26などの付属品は、所要の樹脂を含有する成形材料により射出成形されたり、射出成形された複数の部品の組み合わせにより構成されたりする。成形材料に含まれる樹脂としては、例えばポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、液晶ポリマーといった熱可塑性樹脂やこれらのアロイなどが挙げられる。
また、これらの樹脂には、カーボン繊維、カーボンパウダー、カーボンナノチューブ、導電性ポリマーなどからなる導電性物質やアニオン、カチオン、非イオン系などの各種帯電防止剤が必要に応じて添加される。さらに、紫外線吸収剤や、剛性を向上させる強化繊維なども必要に応じて添加される。なお、容器本体2、蓋体4、グリップ23、トップフランジ25及びボトムプレート26などは、透明、不透明、半透明のいずれでもよいが、容器本体2及び蓋体4は、透明が好ましい。
容器本体2の底面2fには、3つの給気弁50と1つの排気弁60とが設けられている。これらの給気弁50及び排気弁60は、基板収納容器1の外部から内部空間に又は内部空間から外部に気体(例えば、後述の気体G)を流通させることにより、収納した基板Wの表面の変質を抑制したり、基板収納容器1の内部空間と外部との圧力差を解消したりするように機能する。
このうち、2つの給気弁50が、底面2fの後方Bの左右両側に設けられている。そして、気体置換ユニット3R,3Lの下部は、気体が流通するように、これら2つの給気弁50に接続されている。また、1つの給気弁50と1つの排気弁60とが、底面2fの正面F付近の左又は右側に設けられている。
給気弁50は、容器本体2の底面2fに形成された凹部に装着されたグロメット50aと、グロメット50aの端部に取付けられた、通気性を有するフィルタ部材51と、逆止弁52とを有している(図5参照)。
グロメット50aは、エラストマーなどの弾性樹脂部材で形成されている。フィルタ部材51は、供給される気体を濾過し、塵埃を除去するもので、不織布フィルタなどが用いられる。逆止弁52は、弁を閉止する方向にコイルバネ53により付勢されて、バルブハウジング54に収容されている(図5参照)。
一方、排気弁60は、逆止弁(図示なし)を有するとともに、例えば、湿度(又は濃度)センサを取付けることで、基板収納容器1の内部空間の気体を置換した後、基板収納容器1の内部空間の湿度(又は濃度)の測定を行うことができ、基板収納容器1の内部空間の気体の置換が正常に行われているかの管理を行うことができる。
本実施形態では、基板収納容器1は、気体置換ユニット3R,3Lと、円形断面部材7(障害物の一例)とを更に備える。
気体置換ユニット3R,3L及び円形断面部材7は、基板収納容器1の内部空間内の気体を気体Gで置換する際に機能する。
[気体置換ユニット]
ここでは、まず、基板収納容器1の内部空間を気体置換ユニット3R,3Lにより気体Gに置換する構成について説明する。図6は、本実施形態の気体置換ユニットの斜視図であり、図7は、本実施形態の気体置換ユニットの分解斜視図である。図8は、本実施形態の気体置換ユニットの(a)正面図、(b)平面図、(c)底面図、(d)背面図である。図9は、本実施形態の気体置換ユニットの図8におけるA-A断面図である。なお、図6から図9は、正面Fから見て右側の気体置換ユニット3Rについて示す。
気体置換ユニット3R,3Lは、容器本体2の内部空間を気体Gで置換するもので、基板Wが挿入された状態でも基板Wと干渉しないように、容器本体2の後方B(背面壁2b又は突出部付近)の左右両側に、長手方向を縦にして備えられている(図1及び2参照)。
この気体置換ユニット3R,3Lは、容器本体2の内部空間に気体Gを吹出すものである。吹出す気体Gとしては、不活性ガスやドライエアが挙げられる。さらに、不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガスなどが挙げられるが、コスト面から窒素ガスが好ましい。気体置換ユニット3Lは、図2に示されるように、気体置換ユニット3Rと左右対称なものである点を除いて、同じ形状・構造であるから、以下では、気体置換ユニット3Rについて主に説明する。
図6に示される気体置換ユニット3Rは、ハウジング部材31と、カバー部材32とを含み、略5角形柱状に形成されているが、形状はこれに限られない。また、気体置換ユニット3Rは、容器本体2などと同様の樹脂で形成されても、異なる樹脂で形成されてもよい。
ハウジング部材31は、気体Gを貯留するように、一方(後方Bの方向)が開口した面となる箱状に形成されており、カバー部材32は、板状を形成し、この開口した面を覆うように、爪などの係止手段(係合手段)や超音波などの溶着手段によって取付けられている(図7参照)。これらのハウジング部材31とカバー部材32とで、気体Gを貯留する空間が形成されている。
ここで、ハウジング部材31は、所定の角度で交差し、大きさの異なる2つの面部31A,31Bを有している。面部31Aと面部31Bとの交差角度は、内角で120°から170°の範囲である。また、面部31Aの面積は、面部31Bの面積より大きく形成されている。
ハウジング部材31の下面部31Cには、給気弁50からの気体Gが流れ込む円筒状の接続具311が突出して設けられている。接続具311の近傍には、気体置換ユニット3Rの左右方向の回転を止め、回転方向の位置決めをする回止め突起312が形成されている(図8参照)。一方、ハウジング部材31の上面部31Dには、容器本体2に位置決め固定するための円柱状の位置決め突起313が形成されている。
本実施形態では、ハウジング部材31は、その面部31A、面部31B、下面部31C及び上面部31Dが一体成形されているが、下面部31C又は上面部31Dの少なくとも一方が別体に成形されてもよい。
ハウジング部材31の面部31Aには、図8(a)に示すように、横長の略矩形状の吹出孔が、縦方向(長手方向)に上から順に、第1吹出孔31a,31b,31c・・・31x,31y,31z(以下、必要に応じて「第1吹出孔群31a-z」という。)が26か所に形成されている。
ハウジング部材31の面部31Bには、同じく横長の略矩形状の吹出孔が、縦方向(長手方向)に上から順に、第3吹出孔33a,33b,33c・・・33x,33y,33z(以下、必要に応じて「第3吹出孔群33a-z」という。)として26か所に形成されている。
第1吹出孔群31a-zと、第3吹出孔群33a-zとを、所定の角度で交差する面部31A,31Bにそれぞれ形成することにより、気体Gの吹出方向を異ならせることができ、気体Gが基板収納容器1の内部空間に拡散し易くなる。
最上段の第1吹出孔31aの開口高さは、2段目の第1吹出孔31bの開口高さよりも、少し大きく、すなわち、第1吹出孔31aの開口面積は、第1吹出孔31bの開口面積よりも、少し大きい。また、第1吹出孔31bから第1吹出孔31uまでの開口面積は、すべて等しく、第1吹出孔31vから第1吹出孔31yまでの開口面積は、第1吹出孔31uの開口面積よりも徐々に大きくなり、第1吹出孔31zの開口面積は、第1吹出孔31yの開口面積よりも小さい。また、第3吹出孔群33a-zについても同様である。
そして、最下段の第1吹出孔31z及び第3吹出孔33zは、容器本体2の最下段の支持片21に支持された基板Wよりも下方に位置している。ただし、最下段の基板Wよりも下方に位置する第1吹出孔31z及び第3吹出孔33zは、1つに限らず複数であってもよい。
このように、第1吹出孔群31a-z及び第3吹出孔群33a-zは、最上段の第1吹出孔31a及び第3吹出孔33aの開口面積を大きくしているため、最上段の基板Wと、容器本体2の天面2eの内面との間に形成される空間が、他の段の基板Wと隣接する段の基板Wとの間に形成される空間よりも大きくても、最上段の第1吹出孔31aから吹き出される気体Gの風量が多くなるため、基板Wの上方の空間における気体Gの湿度又は濃度が、基板Wの位置(段目)によって異なることがなく、均一な状態になる。
そして、第1吹出孔群31a-z及び第3吹出孔33a-zは、下方側の開口面積を大きくしているため、下方から供給される気体Gの直進性が高くても、第1吹出孔群31a-z及び第3吹出孔33a-zの下方から上方にわたって、気体Gが均一に吹き出される。また、最下段の基板Wの下にも第1吹出孔31z及び第3吹出孔33zが形成されているので、最下段の基板Wと底面2fとの間にも、気体Gが吹き出されるから、クリーンルーム内のダウンフローのエアが容器本体2の正面Fの開口から内部に侵入しても、底面2fの上面を正面Fに向かって吹出す気体Gによって、必要以上に流れ込むことがない。
一方、カバー部材32には、図8(d)に示すように、略矩形又は正方形状の吹出孔が、縦方向(長手方向)に上から順に、第2吹出孔32a,32b・・32e,32f(以下、必要に応じて「第2吹出孔群32a-f」という。)として6か所に形成されている。最上段の第2吹出孔32aの高さ位置は、第1吹出孔31cの高さ位置と略同じで、以下、第2吹出孔32bと第1吹出孔31hとが、第2吹出孔32cと第1吹出孔31mとが、第2吹出孔32dと第1吹出孔31sとが、第2吹出孔32eと第1吹出孔31wとが、第2吹出孔32fと第1吹出孔31yとが、略同じ高さでそれぞれ一致している。
ここで、第1吹出孔群31a-z、第2吹出孔群32a-f及び第3吹出孔群33a-zのそれぞれの合計開口面積S1,S2,S3の比率は、容器本体2に収納された複数の基板W間での湿度のバラツキがより小さくなるように調節できる。開口面積の調節は、第1吹出孔群31a-z、第2吹出孔群32a-f及び第3吹出孔群33a-zの各吹出孔が異なるハウジング部材31及びカバー部材32を準備することや、適宜の吹出孔を閉止することで実施できる。
図4に戻って、気体置換ユニット3R,3Lは、上述したように容器本体2の後方B(背面壁2b又は突出部付近)の左右両側に備えられているため、吹出した気体Gを基板収納容器1の内部空間に均一に拡散させるためには、基本的に第1吹出孔群31a-z及び第3吹出孔群33a-zから正面F側に向かって吹出し、空気を気体Gで置換することになる。このとき、第1吹出孔群31a-z及び第3吹出孔群33a-zが設けられた位置よりも後方B側の、背面壁2bから右側壁2c又は左側壁2d付近にも空気が存在するため、後方Bに向かって第2吹出孔群32a-fから気体Gを吹出す方がよい。
そして、第1吹出孔群31a-z及び第3吹出孔群33a-zが設けられた位置よりも正面F側の空間は、第1吹出孔群31a-z及び第3吹出孔群33a-zが設けられた位置よりも後方B側の空間と比較するとかなり大きいため、正面F側を向く第1吹出孔群31a-zの合計開口面積S1及び第3吹出孔群33a-zの合計開口面積S3は、後方B側を向く第2吹出孔群32a-fの合計開口面積S2よりも、大きくする方がよい。
また、気体置換ユニット3R,3Lは、前述したように基本的に正面F側に向かって気体Gを吹出すが、右側壁2c又は左側壁2d付近に備えられるため、右側壁2c又は左側壁2dに沿って正面Fに向かう気体Gは、少なくてもよいが、逆に、容器本体2の中央に向かう気体Gは、多い方がよい。そのため、第1吹出孔群31a-zの合計開口面積S1は、第3吹出孔群33a-zの合計開口面積S2よりも、大きくする方がよい。
これらを踏まえると、第1吹出孔群31a-z、第2吹出孔群32a-f及び第3吹出孔群33a-zのそれぞれの合計開口面積S1,S2,S3は、S1:S2:S3=3:1:2などとしてもよい。
図7に戻って、ハウジング部材31の内側には、通気性を有するフィルタ部材34が設けられており、同じくカバー部材32の内側には、通気性を有するフィルタ部材35が設けられている。フィルタ部材34,35としては、例えば、不織布フィルタなどが挙げられる。
そして、円筒状の接続具311から導入された気体Gは、ハウジング部材31とカバー部材32とで形成される空間に導入され、貯留される。貯留された気体Gは、フィルタ部材34,35を介して、第1吹出孔群31a-z、第2吹出孔群32a-f及び第3吹出孔群33a-zから容器本体2の内部空間に吹き出される。
気体置換ユニット3Rの容器本体2への取付方法について説明する。図10は、容器本体の(a)正面概略図、(b)気体置換ユニット上部取付部の拡大斜視図である。図11は、気体置換ユニットの上部取付部の拡大斜視図である。図12は、気体置換ユニットの下部取付部の拡大図である。なお、図12では、円形断面部材7の図示は省略されている。
気体置換ユニット3Rは、位置決め固定部材8及びオフセット部材9により容器本体2に取付けられている。具体的には、気体置換ユニット3Rの上部が、位置決め固定部材8に取付けられ、気体置換ユニット3Rの下部が、オフセット部材9に取付けられる。
そこで、容器本体2の背面壁2bの左右両側には、位置決め固定部材8を固定するために、円形の貫通孔27が形成されており、また、貫通孔27の上部には、ストッパ28が形成されている。一方、容器本体2の底面2fの左右両側には、オフセット部材9を固定するために、取付孔29が形成されている。この取付孔29は、円形でなく大きな円と小さな円を繋いだ略楕円形状で形成されている。
図11に示される位置決め固定部材8は、細長い形状で、一端側が略板状で、他端側が矩形の軸で形成されている。この軸の周囲には、3つの円盤状のフランジ81,82,83が他端側に向かって形成されている。軸端のフランジ83と中間のフランジ82は、背面壁2bの貫通孔27の径より小さく形成され、貫通孔27に挿入される。中間のフランジ82には、小径の段部が形成され、Oリング84Aが嵌め込まれている。内側のフランジ81にも、小径の段部が形成され、Oリング84Bが嵌め込まれている。内側のフランジ81及びOリング84Bは、貫通孔27の径より大きく形成されており、位置決め固定部材8の他端側を貫通孔27に挿入した際、容器本体2とフランジ81の間にOリング84Bが挟まるため、気体Gが漏れることがない。
位置決め固定部材8を貫通孔27に挿入後、軸端のフランジ83と容器本体2の間に位置する矩形の軸に、内側が矩形状に形成され、外径が貫通孔27より大きいCリング85を挟むことにより、位置決め固定部材8が貫通孔27を介して容器本体2に固定される。具体的には、軸端のフランジ83を外側に引っ張りながら、Oリング84Bをフランジ81と容器本体2との間で潰しながら、Cリング85を差し込むことで密封性が高まる。
また、位置決め固定部材8の一端側は、上方に屈曲した板形状で、細長いスリット86が形成されている。このスリット86には、ハウジング部材31の位置決め突起313とストッパ28が嵌り込む。端部87は、更に上部に湾曲し、その更に先端にはU字型の切欠き88が形成されている。
図12に示されるオフセット部材9は、底面2fの内側に位置するオフセットプレート押さえ90と、底面2fの外側に位置するオフセットプレート95との間に、気体Gが流通する隙間が形成されるように、Oリング94を介して組立てられている(図5参照)。
オフセットプレート押さえ90には、ハウジング部材31の回止め突起312が嵌まり込む凹部92が形成されており、回止め突起312が凹部92に嵌まり込むことで、回転する気体置換ユニット3Rの方向及び位置が決まる。また、オフセットプレート押さえ90には、気体置換ユニット3Rの接続具311を差し込む差込孔が形成されており、接続具311は、パッキン93を介して差し込まれる。取付孔29には、このオフセットプレート押さえ90がOリング91を介して嵌め込まれる(図5参照)。
オフセットプレート95は、平面視で、パッキン93の中心位置からズレた位置に、給気弁50の中心が位置するように、給気弁50を嵌め込む凹部が形成されている(図5参照)。
このような構成により、気体置換ユニット3Rは、まず下部の接続具311がオフセット部材9に取付けられ、その後、上部の位置決め突起313が位置決め固定部材8に取付けられて、容器本体2に取付けられる。
具体的には、気体置換ユニット3Rの下部の接続具311をパッキン93に差し込んで傾いた状態から、気体置換ユニット3Rの上部の位置決め突起313を、端部87側からスリット86に向かって押し込むことで、位置決め固定部材8が湾曲して、位置決め突起313が、スリット86に嵌り込む。と同時に、位置決め突起313は、ストッパ28にも当接することで、スリット86内での位置が決められ、気体置換ユニット3Rの上部が位置決め固定される。
なお、本実施形態では、気体置換ユニット3Rは、ハウジング部材31が前側に設けられるが、これに限られない。例えば、図13に示す変形例による気体置換ユニット3Rの場合、ハウジング部材31が背面側に設けられ、カバー部材32が前面側に設けられる。そして、カバー部材32には、面部31A、31Bが形成され、第1吹出孔群31a-z及び第3吹出孔群33a-zが形成される。また、カバー部材32には、第2吹出孔群32a-fが形成される。
また、上記実施形態の気体置換ユニット3R,3Lにおいて、第1吹出孔群31a-z、第3吹出孔群33a-z及び第2吹出孔32a-fの開口面積や数量や配置も上記実施形態に限らず、底面2fの上面に沿って吹き込むダウンフローエアなどの外部からエアに対向できるように、下方の吹出風量を増やすように構成してもよい。
また、第2吹出孔群32a-fを選択的に塞いだり、追加で穿設したりすることで、正面F方向及び後方B方向への吹出風量の比率を調整してもよい。さらに、オフセット部材9の凹部92の位置を変更することで、気体置換ユニット3R,3Lの方向方を変更してもよい。あるいは、ハウジング部材31の2つの面部31A,31Bの交差角度を変更したり、面積変更して、吹出方向及び/又は吹出風量の比率を調整してもよい。なお、これらの変更は、成形金型に入れ子を用いることで対応することができる。
また、ハウジング部材31は、上部でなく中央部で位置決め固定されてもよく、あるいは、上部及び中央部で位置決め固定されてもよい。このとき、背面壁2bに形成される貫通孔27の位置は、適宜変更され、位置決め固定部材8の形状も適宜変更される。
上記実施形態において、気体置換ユニット3R,3Lの他に、他の気体置換ユニットを複数備えてもよいし、逆に気体置換ユニット3R又は3Lのいずれか1つであってもよい。また、気体置換ユニット3R,3Lは、後方Bの左右の2か所に限らず、後方Bの中央部に基板Wと干渉しない領域があれば、その領域に配置してもよい。
[円形断面部材]
円形断面部材7は、右と左の気体置換ユニット3R,3Lに対して設けられる。気体置換ユニット3Lに対して設けられる円形断面部材7は、気体置換ユニット3Rに対して設けられる円形断面部材7と実質的に同様であるので(左右対称となるだけの相違であるので)、ここでは、気体置換ユニット3Rに対して設けられる円形断面部材7について主に説明する。
図14は、気体置換ユニット3Rと円形断面部材7を示す斜視図である。図15は、気体置換ユニット3Rと円形断面部材7を示す3面図であり、(a)は、気体置換ユニット3Rの上面を視た図、(b)は、気体置換ユニット3Rの正面を視た図であり、(c)は、気体置換ユニット3Rの側面を視た図である。
円形断面部材7は、上下方向に視て円形の断面形状である。円形断面部材7は、気体置換ユニット3Rと同じ材料により形成されてよい。円形断面部材7は、気体置換ユニット3Rの上下方向の全体にわたり、上下方向に延在する。
円形断面部材7は、好ましくは、気体置換ユニット3Rに対して複数本設けられる。本実施形態では、円形断面部材7は、気体置換ユニット3Rに対して5本設けられる。ただし、円形断面部材7の本数は任意である。
円形断面部材7は、気体置換ユニット3Rに対して前側にわずかにオフセットする態様で延在してよい。すなわち、図15に示すように、円形断面部材7は、気体置換ユニット3Rに対して前側に所定距離Lだけ離れて延在する。所定距離Lは、例えば1mm~10mmであってよい。
5本の円形断面部材7は、例えば上下端や中間部等において、横方向に延在する部位(図示せず)により連結されてもよい。この場合、横方向に延在する部位は、断面形状が円形であってもよい。5本の円形断面部材7は、気体置換ユニット3Rと一体に成形されてもよいし、気体置換ユニット3Rとは別に形成されて気体置換ユニット3Rに嵌合や熱溶着等により結合されてもよい。
5本のうちの2本の円形断面部材7(以下、他と区別する際は、「第1円形断面部材71」とも称する)は、図14及び図15に示すように、第1吹出孔群31a-zからの気体の吹出し方向に視て、第1吹出孔群31a-zに重なる位置に設けられる。第1円形断面部材71は、第1吹出孔群31a-zから吹き出される気体の流れに対して作用する。本実施形態では、第1円形断面部材71は、第1吹出孔群31a-zを形成するすべての第1吹出孔31a,31b,31c・・・31x,31y,31zに対して重なる態様で設けられるが、変形例では、第1円形断面部材71は、第1吹出孔31a,31b,31c・・・31x,31y,31zのうちの、一部の第1吹出孔に対してのみ重なる態様で設けられてもよい。すなわち、第1円形断面部材71は、上下方向で一部が省略される構成であってもよい。
なお、本実施形態では、第1円形断面部材71は、互いに等間隔に配置されるが、異なる間隔で配置されてもよい。また、本実施形態では、第1円形断面部材71として2本の円形断面部材7が設けられるが、本数は任意である。従って、第1吹出孔群31a-zに対して、1本の円形断面部材7だけが設けられてもよい。
5本のうちの、残りの3本の円形断面部材7(以下、他と区別する際は、「第2円形断面部材72」とも称する)は、図14及び図15に示すように、第3吹出孔群33a-zからの気体の吹出し方向に視て、第3吹出孔群33a-zに重なる位置に設けられる。第2円形断面部材72は、第3吹出孔群33a-zから吹き出される気体の流れに対して作用する。本実施形態では、第2円形断面部材72は、第3吹出孔群33a-zを形成するすべての第3吹出孔33a,33b,33c・・・33x,33y,33zに対して重なる態様で設けられるが、変形例では、第2円形断面部材72は、第3吹出孔33a,33b,33c・・・33x,33y,33zのうちの、一部の第3吹出孔に対してのみ重なる態様で設けられてもよい。
なお、本実施形態では、第2円形断面部材72として3本の円形断面部材7が設けられるが、本数は任意である。従って、第3吹出孔群33a-zに対して、1本の円形断面部材7だけが設けられてもよい。
また、本実施形態では、第2吹出孔群32a-f(図8等参照)に対して同様の円形断面部材は設けられないが、変形例では、第2吹出孔群32a-fに対して同様の円形断面部材が設けられてもよい。
第1円形断面部材71は、第1吹出孔群31a-zから吹き出される気体の流れに対して後流側にカルマン渦を形成する態様で、作用する。第2円形断面部材72は、第3吹出孔群33a-zから吹き出される気体の流れに対して後流側にカルマン渦を形成する態様で、作用する。
図16は、第1円形断面部材71によるカルマン渦が生成される態様を模式的に示す図であり、上下方向に視た断面図である。なお、第2円形断面部材72についても同様である。図16では、第1円形断面部材71まわりの気体Gの流れが矢印で模式的に示される。
カルマン渦は、それ自体広く知られているように、円形断面又はその類(例えば楕円形断面)の物体を、流体の流れに配置すると、物体の後流側に左右交互に生成される渦(図16の渦Vt参照)である。本実施形態では、円形断面部材7によって、かかるカルマン渦を積極的に発生させることで、気体Gの拡散を促進し、効率的な気体の置換を実現できる。
次に、本実施形態における、気体Gの流れについて説明する。
給気弁50から高圧で導入された気体Gは、フィルタ部材51(図5参照)を通過し、オフセットプレート押さえ90とオフセットプレート95との隙間を流れ、後方Bのオフセットプレート押さえ90と気体置換ユニット3Rの下部の接続具311との接続部に向かう。
その後、気体Gは気体置換ユニット3Rの貯留空間を進みながら(図9参照)、第1吹出孔群31a-z、第3吹出孔群33a-z及び第2吹出孔群32a-fから吹き出される。このとき、気体Gは、正面F側の中央付近及び右側壁2cに向かう方向と、後方B側の背面壁2bに向かう方向との、異なる3方向に吹き出される(図4参照)。
ここで、第1吹出孔群31a-zから容器本体2の正面F側の中央付近に向かって吹き出される気体Gの方向及び第3吹出孔群33a-zから容器本体2の右側壁2c又は左側壁2dに向かって吹き出される気体Gの方向について具体的に説明する。
第1吹出孔群31a-z又は第3吹出孔群33a-zの吹出開口の延長方向、つまり、第1吹出孔群31a-z又は第3吹出孔群33a-zが形成された面部31A又は面部31Bの中央を通る法線が、右側壁2c又は左側壁2dに交差することなく、容器本体2の正面開口枠2aの開口に到達する範囲であることが好ましい。更に好ましくは、気体置換ユニット3Rの場合、面部31Aの法線が、容器本体2の正面開口枠2aの開口からの法線NL(垂線)に対して10°から40°の範囲であり、面部31Bの法線が、容器本体2の正面開口枠2aの開口からの法線NL(垂線)を挟んで、中央側5°から右側壁2c側10°の範囲である。なお、気体置換ユニット3Lの場合は、気体置換ユニット3Rと対称となる。
このような範囲となるように、面部31A及び面部31B(あるいは、第1吹出孔群31a-z及び第3吹出孔群33a-z)を形成し、気体置換ユニット3R,3Lを容器本体2の内部に備えることで、各吹出孔から吹き出された気体Gは、容器本体2の右側壁2c又は左側壁2dに、衝突して反射することがない。そのため、気体Gの気流に乱れが起きることがないから、容器本体2の内部空間を気体Gで素早く確実に置換することができる。
ここで、本実施形態では、上述のように円形断面部材7が配置されるので、各吹出孔から吹き出された気体Gは、早い段階(気体置換ユニット3Rの近傍)で拡散されて、上述の方向に流れる。すなわち、円形断面部材7が配置されない場合は、各吹出孔から吹き出された気体Gは、カルマン渦が生じない流れによって最終的には拡散されることになるが、円形断面部材7が配置される場合は、各吹出孔から吹き出された直後から拡散される。この結果、気体置換ユニット3R,3Lの近傍での気体の置換が促進されるので、容器本体2の内部空間を気体Gで、より効率的に置換できる。
なお、蓋体4が容器本体2に装着されている場合には、容器本体2に気体Gが高圧で供給され、内部空間に充満すると、気体Gは、図3に示した排気弁60から容器本体2の外部に流出する。この空気の流出により、基板収納容器1の内部空間がパージガスである気体Gに置換される。
一方、蓋体4が装着されていない場合には、図示しないクリーンルームなど外部装置からのダウンフローのエアが、容器本体2の正面Fから流れ込むが、このエアに抗しながら、基板収納容器1の内部空間がパージガスである気体Gに置換される。
このように、本実施形態によれば、上述のように円形断面部材7が配置されるので、気体置換ユニット3R,3Lから吹出した気体Gは、円形断面部材7を通過することで円形断面部材7の後流側でカルマン渦を形成する。この結果、気体置換ユニット3R,3Lから吹出した気体Gは、気体置換ユニット3R,3Lの近傍から拡散されるので、気体置換ユニット3R,3Lの近傍での気体の置換を効率的に実現できる。
また、本実施形態では、ハウジング部材31の上部又は中央部の少なくとも一方が、容器本体2の背面壁2bに形成された貫通孔27を用いて位置決め固定される。これにより、貫通孔27に簡単に着脱できる位置決め固定部材8を用いて、気体置換ユニット3R,3Lを取付けるため、容器本体2から気体置換ユニット3R,3Lを簡単に取付け又は取外しをすることができる。容器本体2を洗浄する際も、気体置換ユニット3R,3Lを容易に取外すことができ、容器本体2内を隅々まで洗浄することができる。また、取外した気体置換ユニット3R,3Lも簡単に洗浄することができる。
また、本実施形態では、気体置換ユニット3R,3Lは、ハウジング部材31及びカバー部材32の内側に通気性を有するフィルタ部材34,35を含んでいる。これにより、供給される気体Gに塵埃が含まれていても、フィルタ部材34,35で捕獲するため、容器本体2内に吹出ることがなく、基板収納容器1の内部空間が汚染されることがない。
本実施形態では、気体Gは、窒素ガス又はドライエアである。これにより、基板収納容器1の内部空間が、不活性又は低湿度に維持されるので、基板Wの表面は変質することがない。
[第2実施形態]
次に、図17以降を参照して、円形断面部材に関連する他の実施形態(第2実施形態)について説明する。
図17及び図18は、第2実施形態による円形断面部材7Aの説明図であり、図17は、気体置換ユニット3Rと円形断面部材7Aを示す斜視図であり、図18は、気体置換ユニット3Rと円形断面部材7Aを示す3面図である。図18において、(a)は、気体置換ユニット3Rの上面を視た図、(b)は、気体置換ユニット3Rの正面を視た図であり、(c)は、気体置換ユニット3Rの側面を視た図である。
本実施形態は、円形断面部材7が円形断面部材7Aで置換された以外は、上述した第1実施形態と同じであってよい。
円形断面部材7Aは、右と左の気体置換ユニット3R,3Lに対して設けられる。気体置換ユニット3Lに対して設けられる円形断面部材7Aは、気体置換ユニット3Rに対して設けられる円形断面部材7Aと実質的に同様であるので(左右対称となるだけの相違であるので)、ここでは、気体置換ユニット3Rに対して設けられる円形断面部材7Aについて主に説明する。
円形断面部材7Aは、図17に示すように、横方向(水平方向)に延在する。円形断面部材7Aは、長手方向に垂直に切断した断面視で、円形の断面形状である。円形断面部材7Aは、気体置換ユニット3Rと同じ材料により形成されてよい。円形断面部材7Aは、気体置換ユニット3Rの横方向の全体にわたり、横方向に延在する。
円形断面部材7Aは、好ましくは、気体置換ユニット3Rに対して複数本設けられる。本実施形態では、円形断面部材7Aは、気体置換ユニット3Rに対して26本設けられる。ただし、円形断面部材7Aの本数は任意である。
円形断面部材7Aは、気体置換ユニット3Rに対して前側にわずかにオフセットする態様で延在してよい。すなわち、図18に示すように、円形断面部材7Aは、気体置換ユニット3Rに対して前側に所定距離Lだけ離れて延在する。所定距離Lは、例えば1mm~10mmであってよい。
26本の円形断面部材7Aは、例えば上下端や中間部等において、上下方向に延在する部位(図示せず)により連結されてもよい。この場合、上下方向に延在する部位は、断面形状が円形であってもよい。26本の円形断面部材7Aは、気体置換ユニット3Rと一体に成形されてもよいし、気体置換ユニット3Rとは別に形成されて気体置換ユニット3Rに嵌合や熱溶着等により結合されてもよい。
図17及び図18では、26本の円形断面部材7Aは、上下方向に延在する左右の枠部750間に延在する。26本の円形断面部材7Aは、枠部750と一体に形成される。左右の枠部750は、それぞれ、爪部770,771,772を有する。26本の円形断面部材7Aは、爪部770,771,772が気体置換ユニット3Rに嵌合することで、枠部750とともに気体置換ユニット3Rに結合される。
図17及び図18では、爪部771は、気体置換ユニット3Rに形成される凸部370の上側に上下方向に当接し、爪部772は、気体置換ユニット3Rに形成される凸部370の下側に上下方向に当接する。これにより、気体置換ユニット3Rに対する26本の円形断面部材7A(及び枠部750)の上下方向の位置ズレを防止できる。
なお、変形例では、枠部750が省略されてもよいし、爪部770,771,772のいずれも凸部370と上下方向に当接しない構成であってもよいし、爪部770,771,772と凸部370の当接態様が異なってもよい。
26本の円形断面部材7Aは、図17及び図18に示すように、第1吹出孔群31a-zからの気体の吹出し方向に視て、第1吹出孔群31a-zに重なる位置に設けられる。第1円形断面部材7Aは、第1吹出孔群31a-zから吹き出される気体の流れに対して作用する。本実施形態では、26本の円形断面部材7Aは、第1吹出孔群31a-zを形成するすべての第1吹出孔31a,31b,31c・・・31x,31y,31zに対してそれぞれ重なる態様で設けられる。すなわち、26本の円形断面部材7Aは、26個の第1吹出孔31a,31b,31c・・・31x,31y,31zに対応して設けられる。ただし、変形例では、円形断面部材7Aは、第1吹出孔31a,31b,31c・・・31x,31y,31zのうちの、一部の第1吹出孔に対してのみ重なる態様で設けられてもよい。ここで、図18では、最も高い位置と最も低い位置にある2本の円形断面部材7Aは、第1吹出孔33a,33z及び第3吹出孔3a,33zに対して上下方向にわずかに偏心して配置されているが、すべての円形断面部材7Aは、それぞれ、対応する高さ位の第1吹出孔33a,33z及び第3吹出孔3a,33zに対して上下方向の中央部に配置される方が、上述したカルマン渦の効果的な発生の観点からは好ましい。
また、26本の円形断面部材7Aは、図17及び図18に示すように、図17及び図18に示すように、第3吹出孔群33a-zからの気体の吹出し方向に視て、第3吹出孔群33a-zに重なる位置に設けられる。円形断面部材7Aは、第3吹出孔群33a-zから吹き出される気体の流れに対して作用する。本実施形態では、円形断面部材7Aは、第3吹出孔群33a-zを形成するすべての第3吹出孔33a,33b,33c・・・33x,33y,33zに対して重なる態様で設けられるが、変形例では、円形断面部材7Aは、第3吹出孔33a,33b,33c・・・33x,33y,33zのうちの、一部の第3吹出孔に対してのみ重なる態様で設けられてもよい。 なお、本実施形態では、26本の円形断面部材7Aは、第1吹出孔群31a-zに重なる部位と、第3吹出孔群33a-zに重なる部位とが一体的に形成されるが、別々に形成されてもよい。
また、本実施形態では、第2吹出孔群32a-fに対して同様の円形断面部材は設けられないが、変形例では、第2吹出孔群32a-fに対して同様の円形断面部材が設けられてもよい。
円形断面部材7Aは、第1吹出孔群31a-z及び第3吹出孔群33a-zから吹き出される気体の流れに対して後流側にカルマン渦を形成する態様で、作用する。なお、この作用については、上述した第1実施形態による円形断面部材7と同様である。
なお、本実施形態では、26本の円形断面部材7Aは、第1吹出孔群31a-zに重なる部位と、第3吹出孔群33a-zに重なる部位とが一体的に形成されるが、別々に形成されてもよい。
また、本実施形態では、第2吹出孔群32a-fに対して同様の円形断面部材は設けられないが、変形例では、第2吹出孔群32a-fに対して同様の円形断面部材が設けられてもよい。
本実施形態によっても、上述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
[第3実施形態]
次に、図19を参照して、円形断面部材に関連する他の実施形態(第3実施形態)について説明する。
図19は、第3実施形態による円形断面部材7Bが適用された基板収納容器1Bを示す断面平面図であり、前出の図4に対応する図である。
基板収納容器1Bは、上述した第1実施形態による基板収納容器1に対して、円形断面部材7Bが追加された点が主に異なる。
本実施形態の円形断面部材7Bは、気体置換ユニットではなく、給気弁50の吹出孔511aに直接的に設けられる点が異なる。円形断面部材7Bは、3つの給気弁50のうちの、底面2fの正面F付近に設けられる給気弁50に対して設けられる。なお、第3実施形態においては、底面2fの後方Bの左右両側の給気弁50に対して設けられる気体置換ユニット3R,3Lに対して、上述した円形断面部材7が設けられるが、変形例では、上述した円形断面部材7は省略されてもよい。また、円形断面部材7に代えて、上述した第2実施形態による円形断面部材7Aが設けられてもよい。
3つの給気弁50のうちの、底面2fの正面F付近に設けられる給気弁50に対しては、図5に示したようなオフセット部材9は設けられることがなく、フィルタ部材51の上部に設けられる格子部材511が容器本体2の内部に露出する。以下、給気弁50とは、特に言及しない限り、3つの給気弁50のうちの、底面2fの正面F付近に設けられる給気弁50を意味するものとする。
図20は、図19のP部の拡大図である。
円形断面部材7Bは、図20に示すように、横方向(水平方向)に延在する。円形断面部材7Bは、長手方向に垂直に切断した断面視で、円形の断面形状である。円形断面部材7Bは、気体置換ユニット3Rと同じ材料により形成されてよい。円形断面部材7Bは、給気弁50の格子部材511の横方向の全体にわたり、横方向に延在する。
円形断面部材7Bは、好ましくは、格子部材511に対して複数本設けられる。本実施形態では、円形断面部材7Bは、格子部材511に対して4本設けられる。ただし、円形断面部材7Bの本数は任意である。
円形断面部材7Bは、格子部材511に対して上側にわずかにオフセットする態様で延在してよい。すなわち、円形断面部材7Bは、格子部材511に対して上側に所定距離(図示せず)だけ離れて延在する。所定距離は、例えば1mm~10mmであってよい。円形断面部材7Bは、格子部材511と一体に成形されてもよいし、格子部材511とは別に形成されて格子部材511に嵌合や熱溶着等により結合されてもよい。
円形断面部材7Bは、図20に示すように、格子部材511が形成する吹出孔511aからの気体の吹出し方向に視て、吹出孔511aに重なる位置に設けられる。第1円形断面部材7Bは、吹出孔511aから吹き出される気体の流れに対して作用する。
円形断面部材7Bは、吹出孔511aから吹き出される気体の流れに対して後流側にカルマン渦を形成する態様で、作用する。なお、この作用については、上述した第1実施形態による円形断面部材7と同様である。
本実施形態によっても、上述した第1実施形態と同様の原理に基づいて、同様の効果が得られる。すなわち、格子部材511の吹出孔511aから吹出した気体Gは、円形断面部材7Bを通過することで円形断面部材7Bの後流側でカルマン渦を形成する。この結果、格子部材511の吹出孔511aから吹出した気体Gは、格子部材511の近傍から拡散されるので、格子部材511の近傍での気体の置換(容器本体2内の下方側での気体の置換)を効率的に実現できる。
以上、各実施形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施形態の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。
例えば、上述した第1実施形態及び第2実施形態では、特定の形態の気体置換ユニット3R,3Lに対して円形断面部材7、7Aが設けられるが、円形断面部材7、7Aのような円形断面部材が適用可能な気体置換ユニット3R,3Lの形態は、任意である。例えば、WO/2016/013536号に開示されるような、左右で分離していないタイプの気体置換ユニットにも適用可能である。具体的には、図21に模式的に示すように、気体置換ユニット3Jに円形断面部材7Cが設けられてもよい。この場合、円形断面部材7Cは、上下方向に視て円形の断面形状を有する。この場合、円形断面部材7Cは、図21に示すように、吹出孔39a,39bからの気体Gの吹き出し方向に視て、吹出孔39a,39bに重なる態様で設けられる。同様に、円形断面部材7Cは、気体置換ユニット3Jに対して前側に所定距離Lだけオフセットしてよい。なお、図21に示す例では、円形断面部材7Cは、特定の数だけ設けられるが、円形断面部材7Cの数は任意である。また、円形断面部材7Cは、上下方向に延在するが、これに代えて又は加えて、上述した第2実施形態の場合のように、横方向に延在する円形断面部材が設けられてもよい。