JP7231374B2 - 室内温熱環境解析方法 - Google Patents

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特許法第30条第2項適用 (1)一般社団法人日本建築学会が平成30年7月20日に発行した「2018年度大会(東北)学術講演梗概集」において発表(予稿発表) (2)一般社団法人日本建築学会が平成30年9月4日~6日に開催した「2018年度日本建築学会大会(東北)」において平成30年9月6日に発表(学会発表)
本発明は、大規模な室内空間の温熱環境を解析する室内温熱環境解析方法に関する。
従来より、空調システムをコンピュータで解析する空調システム解析方法が提案されている(特許文献1)。特許文献1に記載の手法は、100m程度の小規模な室内空間を対象として、空調システムシミュレーション(例えば、HVACSIM+)と数値流体力学(CFD:Computational Fluid Dynamics)を連成させたものである。この特許文献1に記載の手法では、室内空間の温熱気流分布を考慮しつつ、空調システムを解析することができる。
なお、数値流体力学とは、NS(Navier Stokes)方程式等の流体方程式をコンピュータで解くことで、流体をシミュレーションする手法である。
特許第4390164号公報
近年、半導体製造工場のクリーンルーム等においても、省エネ化を図るため、空調システムを解析したいという強い要望がある。しかしながら、前記した従来技術は、クリーンルームのような、1000m以上の大規模な室内空間に適用した場合、解析時間が長く、解析精度が低くなるという問題がある。
そこで、本発明は、解析時間が短く、解析精度が高い室内温熱環境解析方法を提供することを課題とする。
前記した課題に鑑みて、本発明に係る室内温熱環境解析方法は、大規模な室内空間を表した室内モデルと、室内空間に空気を循環させる循環空調機を表した空調設備モデルとを用いて、室内空間の温熱環境を解析する室内温熱環境解析方法であって、カスケード制御のシミュレーションにおけるサンプリングタイムを設定する設定ステップと、室内空間の還気温度及び室内温度が収束するまで、室内モデルを用いて、循環空調機の給気温度を境界条件として、所定の解析間隔で室内空間の数値流体力学を行う解析ステップと、解析間隔に解析サイクルを実行した回数を表す解析カウンタを乗じた解析時間がサンプリングタイムの倍数である場合、カスケード制御のシミュレーションを行う判定する判定ステップと、判定ステップでカスケード制御を行うと判定した場合、空調設備モデルを用いて、スレーブ側PI制御において循環空調機の給気温度制御値を算出する前記カスケード制御のシミュレーションを行う制御ステップと、制御ステップで給気温度制御値を算出した場合、次回以降の解析ステップで境界条件として用いる給気温度を給気温度制御値で更新する更新ステップと、予め設定された終了条件を満たしているか否かを判定し、終了条件を満たしていない場合、解析ステップの処理に戻り、終了条件を満たしている場合、処理を終了する終了ステップと、を備えることを特徴とする。
かかる室内温熱環境解析方法によれば、数値流体力学とカスケード制御(PI制御)とを連成解析できると共に、適切なサンプリングタイムでカスケード制御を行うことができる。これにより、従来技術で時間を要していた空調システムシミュレーションを省略できるので、解析時間を短く、解析精度を高くすることができる。
また、本発明に係る室内温熱環境解析方法において、室内モデルは、室内空間と、天井プレナムチャンバと、床下レタンチャンバとを解析対象領域として表し、天井プレナムチャンバ及び床下レタンチャンバを接続するレタンダクトと、室内温度を計測する室内温度計測位置と、循環空調機の給気温度を計測する給気温度計測位置とを有し、空調設備モデルは、レタンダクトから還気された空気を温度制御してレタンダクトに給気する循環空調機を表すことが好ましい。
かかる室内温熱環境解析方法によれば、解析精度をより向上させることができる。
また、本発明に係る室内温熱環境解析方法において、解析ステップでは、カスケード制御のシミュレーションとして、室内温度計測位置の室内温度と予め設定された目標室内温度との関係から第1制御値を算出するマスタ側PI制御と、第1制御値を目標給気温度として設定し、給気温度計測位置の給気温度と目標給気温度との関係から給気温度制御値を算出するスレーブ側PI制御と、を実行することが好ましい。
かかる室内温熱環境解析方法によれば、解析ステップにおいて、従来のカスケード制御で制御目標値としていた冷水弁制御値を給気温度制御値に置き換えたので、解析時間をより短く、解析精度をより高くすることができる。
また、本発明に係る室内温熱環境解析方法において、設定ステップでは、マスタ側PI制御のI値とスレーブ側PI制御のI値との最大公約数、かつ、最大公約数が数値流体力学の解析間隔で割り切れる値をサンプリングタイムとして設定することが好ましい。
かかる室内温熱環境解析方法によれば、適切なサンプリングタイムでカスケード制御を行うので、数値流体力学とカスケード制御とを連成する際のオーバーシュートを抑制することができる。
また、本発明に係る室内温熱環境解析方法において、室内空間は、半導体製造工場のクリーンルームであることが好ましい。
かかる室内温熱環境解析方法によれば、大規模な室内空間を有する半導体製造工場のクリーンルームにおいて、温熱環境の解析時間を短く、解析精度を高くすることができる。
本発明によれば、数値流体力学とカスケード制御とを連成解析すると共に、適切なサンプリングタイムでカスケード制御を行うことができる。これにより、従来技術で時間を要していた空調システムシミュレーションを省略できるので、解析時間を短く、解析精度を高くすることができる。
実施形態において、室内モデル及び空調設備モデルを表す概念図である。 実施形態に係る室内温熱環境解析処理を示すフローチャートである。 実施例において、サンプリングタイムを0.5秒と40秒とした場合において、室内温度と給気温度の時間推移を示すグラフである。 実施例において、室内温熱環境解析処理の解析結果の一例を示す、クリーンルームのパース画像である。 実施例において、室内温熱環境解析処理の解析結果の一例を示す、クリーンルームにおける空調制御箇所の断面画像である。 実施例において、シミュレーションを3時間継続したときの室内温度及び給気温度の変化を示すグラフである。 実施例において、クリーンルームでのエネルギ収支を算出した結果を示すグラフである。
(実施形態)
[室内モデル、空調設備モデル]
以下、本発明の実施形態について適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実施形態において、同一の手段には同一の符号を付し、説明を省略した。
図1を参照し、本実施形態で用いる室内モデル1及び空調設備モデル2について説明する。
図1に示すように、室内モデル1及び空調設備モデル2は、コンピュータで室内空間の温熱環境を解析(シミュレーション)するために、室内空間及び空調設備をモデル化したものである。例えば、室内モデル1及び空調設備モデル2は、後記する室内温熱環境解析処理を実行するコンピュータに予め記憶させておく。
室内モデル1は、大規模な室内空間を表したモデルである。本実施形態では、室内モデル1が、半導体製造工場のクリーンルームを表すこととする。この室内モデル1では、解析対象領域として、クリーンルーム10、天井プレナムチャンバ11、及び、床下レタンチャンバ12が設定されている。また、室内モデル1では、室内温度センサ13、レタンダクト14、給気温度センサ15、ファンフィルタユニット(FFU:Fan Filter Unit)16が設定されている。
クリーンルーム10は、1000m以上の大規模な室内空間を有しており、例えば、清浄度クラスが1000である。このクリーンルーム10には、室内温度センサ13及び半導体製造装置30が配置されている。また、クリーンルーム10には、ファンフィルタユニット16からの給気孔(不図示)が天井に設けられ、床下レタンチャンバ12への還気孔(不図示)が床下に設けられる。
天井プレナムチャンバ11は、クリーンルーム10に給気する空気を溜める空間である。この天井プレナムチャンバ11は、天井を挟んで、クリーンルーム10の上側に位置する。天井プレナムチャンバ11内の空気は、後記するファンフィルタユニット16により、天井の給気孔を通じてクリーンルーム10に給気される。
床下レタンチャンバ12は、クリーンルーム10から還気された空気を溜める空間である。この床下レタンチャンバ12は、床下を挟んで、クリーンルーム10の下側に位置する。クリーンルーム10内の空気は、床下の還気孔を通じて、床下レタンチャンバ12に還気される。
室内温度センサ13は、クリーンルーム10の室内温度を計測するセンサである。つまり、室内温度センサ13の位置が、クリーンルーム10の室内温度を計測する室内温度計測位置となる。例えば、室内温度センサ13は、クリーンルーム10の天井であって、半導体製造装置30に対向するように取り付けられている。この室内温度センサ13が計測する室内温度は、後記するカスケード制御(マスタ側PI制御)のフィードバック信号として利用される。
レタンダクト14は、天井プレナムチャンバ11及び床下レタンチャンバ12を接続するダクトである。レタンダクト14は、天井プレナムチャンバ11及び床下レタンチャンバ12の間を接続する胴部14を有する。また、レタンダクト14には、床下レタンチャンバ12の側壁から突出するように、胴部14の一端に還気孔14INが設けられる。また、レタンダクト14には、天井プレナムチャンバ11の側壁から突出するように、胴部14の他端に給気孔14OUTが設けられる。また、レタンダクト14は、胴部14からの一部空気を循環空調機20に分岐させる分岐路14と、循環空調機20からの空気を胴部14に戻す分岐路14とを有する。さらに、レタンダクト14は、図示を省略した外気処理空調機からの空気を取り入れる導入路14を有する。なお、外気処理空調機は、外気の湿度を調整してレタンダクト14に導入するものである。
給気温度センサ15は、循環空調機20の給気温度を計測するセンサである。つまり、給気温度センサ15の位置が、循環空調機20の給気温度を計測する給気温度計測位置となる。例えば、給気温度センサ15は、分岐路14の途中であって、分岐路14の内壁面に取り付けられている。この給気温度センサ15が計測する給気温度は、カスケード制御(スレーブ側PI制御)のフィードバック信号として利用される。
なお、この給気温度は、循環空調機20が吹き出した空気の温度であるから、吹き出し温度と呼ばれることもある。
ファンフィルタユニット16は、図示を省略したファン及びフィルタを備える。このファンフィルタユニット16は、天井プレナムチャンバ11内の空気を吸い込み、吸い込んだ空気をフィルタで浄化し、浄化した空気をクリーンルーム10に供給する。
空調設備モデル2は、クリーンルーム10に空気を循環させる循環空調機20を表したモデルである。この循環空調機20は、冷却水により、クリーンルーム10に循環させる空気の温度(給気温度)を調整する。つまり、循環空調機20は、分岐路14から取り入れた空気を冷却水で所定温度まで冷却し、冷却した空気を分岐路14から戻している。
以上の室内モデル1及び空調設備モデル2を用いることで、クリーンルーム10における温熱環境の解析精度をより向上させることができる。
半導体製造装置30は、半導体の製造に用いる一般的な電気炉やエッジング装置であり、半導体を製造する際に大量に発熱する。この半導体製造装置30の発熱量は、予め定義しておくことが好ましい。例えば、半導体製造装置30の発熱量定義方法は、以下の参考文献に記載されているので、詳細な説明を省略する。
参考文献:2018年度日本建築学会大会(東北)学術講演梗概集、第1419頁~第1422頁、一般社団法人日本建築学会
図1のクリーンルーム10における空気の流れを説明する(図1では空気の流れを矢印で図示)。外気処理空調機で湿度を調整した空気が導入路14から導入され、胴部14を流れる空気と混合される。給気孔14OUTから吹き出した空気は、天井プレナムチャンバ11に一時的に溜まり、ファンフィルタユニット16で清浄された後、クリーンルーム10に給気される。クリーンルーム10内の空気は、外気風量と同様の空気が半導体製造装置30で装置排気され、残りが床下レタンチャンバ12に還気される。床下レタンチャンバ12に還気された空気は、還気孔14INから吸い込まれ、その一部が分岐路14に分岐する。分岐路14で分岐した空気は、循環空調機20で温度調整された後、分岐路14を通過して胴部14に再び戻る。
なお、図1では、説明を簡易にするため、半導体製造装置30及びファンフィルタユニット16が1個であることとして説明したが、室内モデル1では、これらの個数は任意である。
また、室内モデル1及び空調設備モデル2が前記したものに限定されないことは言うまでもない。
[室内温熱環境解析処理]
図2を参照し、本実施形態に係る室内温熱環境解析処理について説明する。本実施形態では、一般的なコンピュータが、図2の室内温熱環境解析処理を実行することとする。
ステップS1では、室内温熱環境解析処理に必要な初期値をコンピュータに設定する。ここで、数値流体力学により非定常現象を再現するために事前に定常解析を行い、その定常解析の結果を初期値として設定する。例えば、初期値としては、クリーンルーム10の室内温度初期値、循環空調機20の給気温度初期値、クリーンルーム10の気流分布をあげることができる。ここでは、循環空調機20の給気温度初期値を、後記するステップS5Aで境界条件(循環空調機20の給気温度)として参照するため、メモリやハードディスク等の記憶装置に書き込む。
ステップS2では、コンピュータが、カスケード制御のシミュレーションに必要なパラメータ及びサンプリングタイムを設定する(設定ステップ)。このステップS2では、カスケード制御のパラメータとして、マスタ側PI制御の目標室内温度、P値及びI値と、スレーブ側PI制御のP値及びI値とを手動で設定する。
また、ステップS2では、カスケード制御のサンプリングタイムとして、マスタ側PI制御のI値とスレーブ側PI制御のI値との最大公約数、かつ、その最大公約数が数値流体力学の解析間隔で割り切れる値を算出し、その値を設定する。
なお、サンプリングタイムとは、シミュレーション内の時間軸で、カスケード制御を実行する間隔のことである。
また、数値流体力学の解析間隔とは、シミュレーション内の時間軸で、ステップS4からステップS9までの解析サイクルを実行する間隔のことである。例えば、数値流体力学の解析間隔が0.5秒の場合、シミュレーション内で0.5秒が経過する都度、数値流体力学が実行される。
ステップS3では、コンピュータが、解析カウンタtをゼロに初期化する。なお、解析カウンタtとは、解析サイクルを実行した回数を表すカウンタである。
ステップS4では、コンピュータが、解析カウンタtをインクリメントする。
ステップS5Aでは、コンピュータが、室内モデル1を用いて、循環空調機20の給気温度を境界条件として、所定の解析間隔で室内空間の数値流体力学を行う。まず、ステップS5Aでは、記憶装置から境界条件(ステップS1の給気温度初期値、又は、ステップS6の給気温度制御値)を読み出し、循環空調機20の給気温度とする。そして、ステップS5Aでは、NS方程式等の流体方程式により数値流体力学を行い、クリーンルーム10の温熱気流分布を解析する。このステップS5Aの解析結果には、少なくとも、床下レタンチャンバ12からレタンダクト14に還気される空気の温度(還気温度)と、給気温度センサ15が計測する室内温度とが含まれる。
ステップS5Bでは、コンピュータが、ステップS5Aの解析結果が収束したか否かを判定する。具体的には、ステップS5Bでは、ステップS5Aで求めた還気温度及び室内温度が、予め設定した一定値に収束したか否かを判定する。
なお、ステップS5A及びステップS5Bが、請求項に記載の解析ステップに相当する。
ここで、解析結果が収束しない場合(ステップS5BでNo)、コンピュータは、ステップS5Aの処理に戻る。つまり、コンピュータは、還気温度及び室内温度が一定値に収束するまで、ステップS5Aの演算を繰り返す。
一方、解析結果が収束した場合(ステップS5BでYes)、コンピュータは、ステップS6の処理に進む。なお、コンピュータは、還気温度及び室内温度が収束せずとも、ステップS5Aの処理を予め設定した時間(例えば、1秒間)継続した場合、ステップS6の処理に進んでもよい。
ステップS6では、コンピュータが、数値流体力学の解析時間がサンプリングタイムの倍数であるか否かにより、カスケード制御のシミュレーションを行うか否かを判定する(判定ステップ)。この解析時間は、解析間隔(例えば、0.5秒)に解析カウンタtを乗じた時間で求められる。
ここで、解析時間がサンプリングタイムの倍数である場合(ステップS6でYes)、コンピュータは、カスケード制御のシミュレーションを行うと判定し、ステップS7の処理に進む。
一方、解析時間がサンプリングタイムの倍数でない場合(ステップS6でNo)、コンピュータは、カスケード制御のシミュレーションを行わないと判定し、ステップS9の処理に進む。
ステップS7では、コンピュータが、空調設備モデル2を用いて、スレーブ側PI制御において循環空調機20の給気温度制御値を算出するカスケード制御のシミュレーションを行う(制御ステップ)。
<カスケード制御のシミュレーション>
ここで、図1を参照し、カスケード制御のシミュレーションについて詳細に説明する。
従来の空調システムでは、以下のように、(1)マスタ側PI制御と(2)スレーブ側PI制御の2つを組み合わせたカスケード制御を行っている。なお、図1では、室内温度T1等を丸数字で図示した。
(1)マスタ側PI制御
室内温度T1と目標室内温度SP1との関係から、第1制御値TC1をPI制御する。
(2)スレーブ側PI制御
マスタ側PI制御で求めた第1制御値TC1を目標給気温度SP2として設定する。そして、給気温度T2と目標給気温度SP2との関係から、冷水弁制御値CVCをPI制御する。
ここで、(1)マスタ側PI制御と(2)スレーブ側PI制御のアナロジは同一である。また、冷却水による温度制御は、循環空調機20の性質上、空気温度を直接制御できないことから、空気が冷水に接触する面積をコントロールすることで、目標温度に近づけるものである。この冷却水による温度制御速度が遅く、かつ、大規模な室内空間を有するクリーンルーム10が解析対象のため、冷水弁制御値CVCを給気温度制御値TC2に置き換えても問題ないと考えられる。これにより、クリーンルーム10における温熱環境の解析時間をより短く、解析精度をより高くすることができる。
つまり、ステップS7では、(1´)マスタ側PI制御と(2´)スレーブ側PI制御の2つを組み合わせたカスケード制御のシミュレーションを行う。なお、第1制御値TC1は、特定の制御対象が存在しない、シミュレーションのために定義した仮想的な制御値である。
(1´)マスタ側PI制御
室内温度T1と目標室内温度SP1との関係から、第1制御値TC1をPI制御のシミュレーションにより求める。
(2´)スレーブ側PI制御
マスタ側PI制御で求めた第1制御値TC1を目標給気温度SP2として設定する。そして、給気温度T2と目標給気温度SP2との関係から、給気温度制御値TC2をPI制御のシミュレーションにより求める。
図2に戻り、室内温熱環境解析処理の説明を続ける。
ステップS8では、コンピュータが、次回以降のステップS5Aで境界条件となる給気温度を、ステップS7で算出した給気温度制御値TC2で更新する(更新ステップ)。ここでは、ステップS7で算出した給気温度制御値TC2を、次回以降の解析サイクルの境界条件(循環空調機20の給気温度)として参照するため、記憶装置に書き込む。
ステップS9では、コンピュータが、予め設定された終了条件を満たしているか否かにより、室内温熱環境解析処理を終了するか否かを判定する(終了ステップ)。具体的には、ステップS9では、コンピュータが、解析カウンタtが所定の終了回数(例えば、100回)に達したか否かを終了条件として設定する。
ここで、終了条件を満たしていない場合(ステップS9でNo)、コンピュータは、ステップS4の処理に戻る。
一方、終了条件を満たした場合(ステップS9でYes)、コンピュータは、室内温熱環境解析処理を終了する。
[作用・効果]
図2の室内温熱環境解析処理によれば、ステップS5Aの数値流体力学とステップS7のカスケード制御とを連成解析することができる。さらに、室内温熱環境解析処理によれば、適切なサンプリングタイムでステップS7のカスケード制御のシミュレーションを行うことができる。これにより、室内温熱環境解析処理では、従来技術で時間を要していた空調システムシミュレーションを省略できるので、クリーンルーム10における温熱環境の解析時間を短く、解析精度を高くすることができる。すなわち、室内温熱環境解析処理では、サンプリングタイムの概念を導入し、カスケード制御の安定化と解析時間の大幅な短縮とを実現している。
(変形例)
以上、本発明の実施形態を詳述してきたが、本発明は前記した実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
前記した実施形態では、室内モデルが半導体製造工場のクリーンルームを表すこととして説明したが、これに限定されない。
前記した実施形態では、カスケード制御でPI制御を行うこととして説明したが、PID制御を行ってもよい。つまり、マスタ側PID制御とスレーブ側PID制御とを組み合わせたカスケード制御を行ってもよい。
(実施例)
以下、本発明の実施例について説明する。
この実施例では、以下のパラメータを用いて、図2の室内温熱環境解析処理を実行し、クリーンルームの温熱環境を解析した。
マスタ側PI制御では、目標室内温度SP1=23.0℃、P値=10.0、I値=400秒、SP下限:13.0℃、SP上限:23.0℃とした。SP下限及びSP上限は、それぞれ、循環空調機の性能に応じた最低目標温度、及び、循環空調機が送風の状態である最高目標温度を表す。また、スレーブ側PI制御では、目標給気温度SP2=第1制御値TC1、P値=30.0℃、I値=120秒とした。また、数値流体力学の解析間隔を0.5秒とした。
まず、カスケード制御のサンプリングタイムについて説明する。
ここで、マスタ側PI制御のI値=400秒とスレーブ側PI制御のI値=120秒との最大公約数が40秒となる。この最大公約数40秒は、数値流体力学の解析間隔0.5秒で割り切れる値である。従って、カスケード制御のサンプリングタイムは、40秒となる。なお、割り切れるとは、除算をしたときに余りが発生しないことをいう。
次に、室内温熱環境解析処理の解析結果について説明する。
図3には、サンプリングタイムが0.5秒及び40秒の場合における室内温度T1と給気温度T2の時間推移を図示した。
サンプリングタイムが0.5秒の場合、室内温度T1と給気温度T2が安定せず、オーバーシュートが発生していることがわかる(図3左)。一方、サンプリングタイムが40.0秒の場合、室内温度T1と給気温度T2が安定し、オーバーシュートが発生していないことがわかる(図3右)。このように、室内温熱環境解析処理では、適切なサンプリングタイムでカスケード制御を行うので、数値流体力学とカスケード制御とを連成する際に問題となるオーバーシュートを抑制することができる。さらに、室内温熱環境解析処理では、空調システムシミュレーションのトランザクションタイムを削減できるので、従来技術に比べて、解析時間を1/100~1/10程度に短縮することができる。
図4では、室内温熱環境解析処理の解析結果として、クリーンルームのパース表示を示した。また、図5では、クリーンルームにおける空調制御箇所の断面を示した。図4の半導体製造装置(縦型炉)の発熱条件が時間と共に変化し、その変化に呼応して、クリーンルームの室内温度T1も変化する。その室内温度T1の変化を室内温度センサ(CR内センサ)が計測し、給気温度T2を刻々と変化させる。
図6には、シミュレーションを3時間継続したときの室内温度T1及び給気温度T2の変化を示した。図6に示すように、室内温度T1が目標室内温度SP1の23℃に近づいており、給気温度T2が18℃から19℃に徐々に変化しており、実測実験と一致する良好な結果となった。
図7には、室内温熱環境解析処理の解析結果から、クリーンルームでのエネルギ収支を算出した結果を示した。室内温熱環境解析処理は、大規模な室内空間の温度分布が、どのように時間変化するかを求めるだけでなく、その空間内での発熱エネルギとその発熱を除去するために費やしたエネルギとの収支を算出できる。つまり、この室内温熱環境解析処理の活用方法の一つとして、エネルギ収支を求められることから、パラメータを変更した様々なケースでエネルギ収支を評価するFS(Feasibility Study)を行うことができる。
1 室内モデル
10 クリーンルーム
11 天井プレナムチャンバ
12 床下レタンチャンバ
13 室内温度センサ(室内温度計測位置)
14 レタンダクト
14 胴部
14,14 分岐路
14 導入路
14IN 還気孔
14OUT 給気孔
15 給気温度センサ(給気温度計測位置)
16 ファンフィルタユニット
2 空調設備モデル
20 循環空調機
30 半導体製造装置

Claims (5)

  1. 大規模な室内空間を表した室内モデルと、前記室内空間に空気を循環させる循環空調機を表した空調設備モデルとを用いて、前記室内空間の温熱環境を解析する室内温熱環境解析方法であって、
    カスケード制御のシミュレーションにおけるサンプリングタイムを設定する設定ステップと、
    前記室内空間の還気温度及び室内温度が収束するまで、前記室内モデルを用いて、前記循環空調機の給気温度を境界条件として、所定の解析間隔で前記室内空間の数値流体力学を行う解析ステップと、
    前記解析間隔に解析サイクルを実行した回数を表す解析カウンタを乗じた解析時間が前記サンプリングタイムの倍数である場合、前記カスケード制御のシミュレーションを行う判定する判定ステップと、
    前記判定ステップで前記カスケード制御を行うと判定した場合、前記空調設備モデルを用いて、スレーブ側PI制御において前記循環空調機の給気温度制御値を算出する前記カスケード制御のシミュレーションを行う制御ステップと、
    前記制御ステップで前記給気温度制御値を算出した場合、次回以降の前記解析ステップで前記境界条件として用いる給気温度を当該給気温度制御値で更新する更新ステップと、
    予め設定された終了条件を満たしているか否かを判定し、前記終了条件を満たしていない場合、前記解析ステップの処理に戻り、前記終了条件を満たしている場合、処理を終了する終了ステップと、
    を備えることを特徴とする室内温熱環境解析方法。
  2. 前記室内モデルは、前記室内空間と、天井プレナムチャンバと、床下レタンチャンバとを解析対象領域として表し、前記天井プレナムチャンバ及び前記床下レタンチャンバを接続するレタンダクトと、前記室内温度を計測する室内温度計測位置と、前記循環空調機の給気温度を計測する給気温度計測位置とを有し、
    前記空調設備モデルは、前記レタンダクトから還気された空気を温度制御して前記レタンダクトに給気する前記循環空調機を表すことを特徴とする請求項1に記載の室内温熱環境解析方法。
  3. 前記解析ステップでは、前記カスケード制御のシミュレーションとして、
    前記室内温度計測位置の室内温度と予め設定された目標室内温度との関係から第1制御値を算出するマスタ側PI制御と、
    前記第1制御値を目標給気温度として設定し、前記給気温度計測位置の給気温度と前記目標給気温度との関係から前記給気温度制御値を算出する前記スレーブ側PI制御と、を実行することを特徴とする請求項2に記載の室内温熱環境解析方法。
  4. 前記設定ステップでは、
    前記マスタ側PI制御のI値と前記スレーブ側PI制御のI値との最大公約数、かつ、前記最大公約数が前記数値流体力学の解析間隔で割り切れる値を前記サンプリングタイムとして設定することを特徴とする請求項3に記載の室内温熱環境解析方法。
  5. 前記室内空間は、半導体製造工場のクリーンルームであることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の室内温熱環境解析方法。
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