B.リケニフォルミス(B.licheniformis)のDSM13株のRghR2タンパク質とB.リケニフォルミス(B.licheniformis)のBra7株のRghR2タンパク質とのアミノ酸配列アラインメントを示す図である。図1に示したように、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)単離体Bra7由来のRghR2タンパク質、Bra7由来の単離体であるT5、ATCC-6598及びATCC-9789(例えば、配列番号4の全長変異RghR2タンパク質を参照されたい)は、それぞれアミノ酸「Ala-Ala-Ala-Ile-Ser-Arg」の直接反復を含む。例えば、図1に示したように、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)単離体Bra7由来の変異RghR2タンパク質、Bra7誘導体であるT5、ATCC-6598及びATCC-9789(配列番号4)は、下記:Ala32-Ala33-Ala34-Ile35-Ser36-Arg37-Ala38-Ala39-Ala40-Ile41-Ser42-Arg43(配列番号6)のような挿入された6アミノ酸反復「AAISR」を含む。対照的に、図1に示したように、例えばDSM13、ATCC-27811及びDSM603などのB.リケニフォルミス(B.licheniformis)単離体由来の天然RghR2タンパク質は、配列番号6に規定した反復「Ala-Ala-Ala-Ile-Ser-Arg」配列を含まない(例えば、配列番号2の全長天然RghR2タンパク質を参照されたい)。
特にHindIII及びNotI、pE194感温性レプリコン(Tsレプリコン)、カナマイシンコーディング配列(Kan)、カナマイシンプロモーター(pKanマーカー)、リボソーム終了配列(Term rrnB)、β-ラクタマーゼ(「Bla」)遺伝子及びI-Sce部位が存在する様々な制限酵素部位を含むプラスミド「pCZ105」を示す図である。
遺伝子組み換え「pCZ105 rghR2」プラスミドを示す図である。このプラスミドは、pE194感温性レプリコン(Tsレプリコン)、カナマイシンコーディング配列(Kan)、カナマイシンプロモーター(pKanマーカー)、リボソーム終了配列(Term rrnB)、I-Sce部位、18塩基対(18bp)欠失rghR2遺伝子及びrghR2フランキング領域を含む。
プラスミド「pBLComK」のマップを示す図である。このプラスミドは、pBR322複製起点をコードするDNA配列、エンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus faecalis)スペクチノマイシン耐性(Specr)遺伝子spc(aad9とも呼ばれる)、バチルス綱(Bacilli)における複製のためのB.サブチリス(B.subtilis)(natto)プラスミドpTA1060rep遺伝子、(B.サブチリス(B.subtilis)xylAプロモーターにより制御される)B.リケニフォルミス(B.licheniformis)comK遺伝子及びB.サブチリス(B.subtilis)xylR遺伝子を含む。
コントロール(親)B.リケニフォルミス(B.licheniformis)宿主細胞(すなわち、18bpのrghR2重複;rghR2dupを含むB.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞)及びB.リケニフォルミス197(B.licheniformis)クローン(すなわち、回復rghR2遺伝子(rghR2rest)を含むB.リケニフォルミス(B.licheniformis)娘細胞)の徐放性マイクロタイタープレート実験(実施例2を参照されたい)の結果を示している棒グラフを示す図である。より特別には、図5に示したように、薄灰色の棒は、コントロールに対する相対光学密度(細胞密度)を表し、黒色の棒は、コントロールに比較した異種パエニバチルス・クルドラノリチクス(Peanibacillus curdlanolyticus)の変異α-アミラーゼの相対産生力価を表す。
コントロール(親;rghR2dup)株に比較した、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)のrghR2rest株(すなわち、娘細胞、クローン197)の特異的な相対的タンパク質産生(すなわち、P.クルドラノリチクス(P.curdlanolyticus)のα-アミラーゼ)を示す図である。
(親)コントロール宿主細胞と比較した、崩壊したBLi03644遺伝子(ΔBLi03644)、崩壊したabrB1遺伝子(ΔabrB1)、崩壊したyvzC遺伝子(ΔyvzC)又は崩壊したabh遺伝子(Δabh)を含む改変B.リケニフォルミス(B.licheniformis)宿主細胞内で発現したP.クルドラノリチクス(P.curdlanolyticus)のα-アミラーゼ(黒色棒)の(タンパク質)産生を示す図である。これらの細胞培養のOD600は、図7において灰色の棒として提示した。
ボールド体で示したDNA結合に関係する残基をコードする、DSM13 rghR2遺伝子内のコドンを示す図である。B.リケニフォルミス(B.licheniformis)株であるBra7、T5、ATCC-9789及びATCC-6598のrghR2遺伝子内で重複している18bp配列は、ボックス内に記載されており、配列特異的DNA結合部位をコードすると予測される領域内に位置する。
リパーゼ/エステラーゼ活性を含む異種EC3.1.1.3酵素の産生を示す図である。図9のSDS-PAGEに示したように、リパーゼ/エステラーゼ活性を含む異種EC3.1.1.3酵素は、18bp重複を有するrghR2遺伝子(rghR2dup)を含むB.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞に対してB.リケニフォルミス(B.licheniformis)のrghR2rest細胞内で改善されている。
生物学的配列の簡単な説明
配列番号1は、配列番号2の天然バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)RghR2タンパク質をコードする核酸配列である。
配列番号2は、配列番号1の核酸配列によってコードされた天然B.リケニフォルミス(B.licheniformis)RghR2タンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号3は、配列番号4の変異B.リケニフォルミス(B.licheniformis)RghR2タンパク質をコードする変異B.リケニフォルミス(B.licheniformis)核酸配列である。より特別には、配列番号3の変異核酸配列は、配列番号1の核酸配列中には存在しない、18塩基対(bp)ヌクレオチド重複を含む。
配列番号4は、配列番号3の核酸配列によってコードされた変異RghR2タンパク質のアミノ酸配列である。より特別には、配列番号4の変異RghR2タンパク質は、(配列番号4の)アミノ酸残基36~41で「Ala-Ala-Ala-Ile-Ser-Arg」の6アミノ酸残基反復を含むが、配列番号2の天然RghR2タンパク質は、アミノ酸残基36~41で「Ala-Ala-Ala-Ile-Ser-Arg」の6アミノ酸残基反復を含まない。
配列番号5は、天然B.リケニフォルミス(B.licheniformis)RghR2タンパク質(すなわち、配列番号1によってコードされた)のアミノ酸残基30~35(Ala30-Ala31-Ala32-Ile33-Ser34-Arg35)を示している。
配列番号6は、配列番号4内のアミノ酸36~41位で配列番号5の反復を含む、(配列番号3によってコードされた変異B.リケニフォルミス(B.licheniformis)RghR2タンパク質のアミノ酸残基30~41(Ala30-Ala31-Ala32-Ile33-Ser34-Arg35-Ala36-Ala37-Ala38-Ile39-Ser40-Arg41)を示している。したがって、配列番号3に規定した18bpヌクレオチド重複は、本明細書では配列番号6に規定された「Ala-Ala-Ala-Ile-Ser-Arg-Ala-Ala-Ala-Ile-Ser-Arg」として示されている、Ala-Ala-Ala-Ile-Ser-Argの6アミノ酸反復をコードする。
配列番号7は、プライマー369の核酸配列である。
配列番号8は、プライマー378の核酸配列である。
配列番号9は、プライマー379の核酸配列である。
配列番号10は、プライマー380の核酸配列である。
配列番号11は、プライマー381の核酸配列である。
配列番号12は、プライマー384の核酸配列である。
配列番号13は、プライマー752の核酸配列である。
配列番号14は、プライマー753の核酸配列である。
配列番号15は、配列番号16の天然バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)RghR1タンパク質をコードする核酸配列である。
配列番号16は、配列番号15の核酸配列によってコードされた天然B.リケニフォルミス(B.licheniformis)RghR1タンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号17は、配列番号18のB.リケニフォルミス(B.licheniformis)YvzCタンパク質をコードする核酸配列である。
配列番号18は、配列番号17の核酸配列によってコードされたB.リケニフォルミス(B.licheniformis)YvzCタンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号19は、配列番号20のB.リケニフォルミス(B.licheniformis)Bli03644タンパク質をコードする核酸配列である。
配列番号20は、配列番号19の核酸配列によってコードされたB.リケニフォルミス(B.licheniformis)Bli03644タンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号21は、配列番号22のB.リケニフォルミス(B.licheniformis)AbrB1タンパク質をコードする核酸配列である。
配列番号22は、配列番号21の核酸配列によってコードされたB.リケニフォルミス(B.licheniformis)AbrB1タンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号23は、配列番号24のB.リケニフォルミス(B.licheniformis)Abh(AbrB2)タンパク質をコードする核酸配列である。
配列番号24は、配列番号23の核酸配列によってコードされたB.リケニフォルミス(B.licheniformis)Abh(AbrB2)タンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号25は、配列番号26のB.リケニフォルミス(B.licheniformis)RpmJタンパク質をコードする核酸配列である。
配列番号26は、配列番号25の核酸配列によってコードされたB.リケニフォルミス(B.licheniformis)RpmJタンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号27は、配列番号28のB.リケニフォルミス(B.licheniformis)RpIMタンパク質をコードする核酸配列である。
配列番号28は、配列番号27の核酸配列によってコードされたB.リケニフォルミス(B.licheniformis)RpIMタンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号29は、配列番号30のB.リケニフォルミス(B.licheniformis)BLi00412タンパク質をコードする核酸配列である。
配列番号30は、配列番号29の核酸配列によってコードされたB.リケニフォルミス(B.licheniformis)BLi00412タンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号31は、配列番号32のB.リケニフォルミス(B.licheniformis)RapKタンパク質をコードする核酸配列である。
配列番号32は、配列番号31の核酸配列によってコードされたB.リケニフォルミス(B.licheniformis)RapKタンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号33は、配列番号34のB.リケニフォルミス(B.licheniformis)PhrKタンパク質をコードする核酸配列である。
配列番号34は、配列番号33の核酸配列によってコードされたB.リケニフォルミス(B.licheniformis)PhrKタンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号35は、配列番号36のB.リケニフォルミス(B.licheniformis)BLi00753タンパク質をコードする核酸配列である。
配列番号36は、配列番号35の核酸配列によってコードされたB.リケニフォルミス(B.licheniformis)BLi00753タンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号37は、配列番号38のB.リケニフォルミス(B.licheniformis)YfjTタンパク質をコードする核酸配列である。
配列番号38は、配列番号37の核酸配列によってコードされたB.リケニフォルミス(B.licheniformis)YfjTタンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号39は、配列番号40のB.リケニフォルミス(B.licheniformis)BLi00828タンパク質をコードする核酸配列である。
配列番号40は、配列番号39の核酸配列によってコードされたB.リケニフォルミス(B.licheniformis)BLi00828タンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号41は、配列番号42のB.リケニフォルミス(B.licheniformis)YhdXタンパク質をコードする核酸配列である。
配列番号42は、配列番号41の核酸配列によってコードされたB.リケニフォルミス(B.licheniformis)YhdXタンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号43は、配列番号44のB.リケニフォルミス(B.licheniformis)YhzCタンパク質をコードする核酸配列である。
配列番号44は、配列番号43の核酸配列によってコードされたB.リケニフォルミス(B.licheniformis)YhzCタンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号45は、配列番号46のB.リケニフォルミス(B.licheniformis)Terf2タンパク質をコードする核酸配列である。
配列番号46は、配列番号45の核酸配列によってコードされたB.リケニフォルミス(B.licheniformis)Terf2タンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号47は、配列番号48のB.リケニフォルミス(B.licheniformis)ZosAタンパク質をコードする核酸配列である。
配列番号48は、配列番号47の核酸配列によってコードされたB.リケニフォルミス(B.licheniformis)ZosAタンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号49は、配列番号50のB.リケニフォルミス(B.licheniformis)AbbAタンパク質をコードする核酸配列である。
配列番号50は、配列番号49の核酸配列によってコードされたB.リケニフォルミス(B.licheniformis)AbbAタンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号51は、配列番号52のB.リケニフォルミス(B.licheniformis)SpeGタンパク質をコードする核酸配列である。
配列番号52は、配列番号51の核酸配列によってコードされたB.リケニフォルミス(B.licheniformis)SpeGタンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号53は、配列番号54のB.リケニフォルミス(B.licheniformis)YppFタンパク質をコードする核酸配列である。
配列番号54は、配列番号53の核酸配列によってコードされたB.リケニフォルミス(B.licheniformis)YppFタンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号55は、配列番号56のB.リケニフォルミス(B.licheniformis)BLi02543タンパク質をコードする核酸配列である。
配列番号56は、配列番号55の核酸配列によってコードされたB.リケニフォルミス(B.licheniformis)BLi02543タンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号57は、配列番号58のB.リケニフォルミス(B.licheniformis)MntRタンパク質をコードする核酸配列である。
配列番号58は、配列番号57の核酸配列によってコードされたB.リケニフォルミス(B.licheniformis)MntRタンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号59は、配列番号60のB.リケニフォルミス(B.licheniformis)BLi02768タンパク質をコードする核酸配列である。
配列番号60は、配列番号59の核酸配列によってコードされたB.リケニフォルミス(B.licheniformis)BLi02768タンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号61は、配列番号62のB.リケニフォルミス(B.licheniformis)SspAタンパク質をコードする核酸配列である。
配列番号62は、配列番号61の核酸配列によってコードされたB.リケニフォルミス(B.licheniformis)SspAタンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号63は、配列番号64のB.リケニフォルミス(B.licheniformis)BLi03127タンパク質をコードする核酸配列である。
配列番号64は、配列番号63の核酸配列によってコードされたB.リケニフォルミス(B.licheniformis)BLi03127タンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号65は、配列番号66のB.リケニフォルミス(B.licheniformis)BLi03635タンパク質をコードする核酸配列である。
配列番号66は、配列番号65の核酸配列によってコードされたB.リケニフォルミス(B.licheniformis)BLi03635タンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号67は、配列番号68のB.リケニフォルミス(B.licheniformis)MrgAタンパク質をコードする核酸配列である。
配列番号68は、配列番号67の核酸配列によってコードされたB.リケニフォルミス(B.licheniformis)MrgAタンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号69は、配列番号70のB.リケニフォルミス(B.licheniformis)Spo0Fタンパク質をコードする核酸配列である。
配列番号70は、配列番号69の核酸配列によってコードされたB.リケニフォルミス(B.licheniformis)Spo0Fタンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号71は、配列番号72のB.リケニフォルミス(B.licheniformis)YwjGタンパク質をコードする核酸配列である。
配列番号72は、配列番号71の核酸配列によってコードされたB.リケニフォルミス(B.licheniformis)YwjGタンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号73は、配列番号74のB.リケニフォルミス(B.licheniformis)YwqI2タンパク質をコードする核酸配列である。
配列番号74は、配列番号73の核酸配列によってコードされたB.リケニフォルミス(B.licheniformis)YwqI2タンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号75は、配列番号76のB.リケニフォルミス(B.licheniformis)BLi04199タンパク質をコードする核酸配列である。
配列番号76は、配列番号75の核酸配列によってコードされたB.リケニフォルミス(B.licheniformis)BLi04199タンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号77は、配列番号78のB.リケニフォルミス(B.licheniformis)BLi04200タンパク質をコードする核酸配列である。
配列番号78は、配列番号77の核酸配列によってコードされたB.リケニフォルミス(B.licheniformis)BLi04200タンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号79は、配列番号80のB.リケニフォルミス(B.licheniformis)LicTタンパク質をコードする核酸配列である。
配列番号80は、配列番号79の核酸配列によってコードされたB.リケニフォルミス(B.licheniformis)LicTタンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号81は、配列番号82のB.リケニフォルミス(B.licheniformis)BgIHタンパク質をコードする核酸配列である。
配列番号82は、配列番号81の核酸配列によってコードされたB.リケニフォルミス(B.licheniformis)Bg1Hタンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号83は、配列番号84のB.リケニフォルミス(B.licheniformis)Bg1Pタンパク質をコードする核酸配列である。
配列番号84は、配列番号83の核酸配列によってコードされたB.リケニフォルミス(B.licheniformis)Bg1Pタンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号85は、配列番号86のB.リケニフォルミス(B.licheniformis)ComKタンパク質をコードする核酸配列である。
配列番号86は、配列番号85の核酸配列によってコードされたB.リケニフォルミス(B.licheniformis)ComKタンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号87は、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)のBra7株の18bp重複のヌクレオチド配列である。
配列番号88は、S.ピオゲネス(S.pyogenes)Cas9タンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号89は、アシドミノコッカス種(Acidominococcus sp.)Cpf1タンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号90は、N.グレゴリイ(N.gregoryi)Agoタンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号91は、配列番号88のS.ピオゲネス(S.pyogenes)Cas9タンパク質をコードする核酸配列である。
配列番号92は、配列番号88のS.ピオゲネス(S.pyogenes)Cas9タンパク質をコードするコドン最適化核酸配列である。
配列番号93は、B.サブチリス(B.subtilis)aprEプロモーターの核酸配列である。
配列番号94は、B.サブチリス(B.subtilis)xylAプロモーターの核酸配列である。
配列番号95は、spacプロモーター核酸配列である。
配列番号96は、Hyper-spankプロモーター核酸配列である。
配列番号97は、B.サブチリス(B.subtilis)vegプロモーターの核酸配列である。
配列番号98は、B.サブチリス(B.subtilis)nprEプロモーターの核酸配列である。
配列番号99は、T5ファージN25プロモーターの核酸配列である。
配列番号100は、B.サブチリス(B.subtilis)groEプロモーターの核酸配列である。
配列番号101は、B.サブチリス(B.subtilis)AraAプロモーターの核酸配列である。
配列番号102は、B.サブチリス(B.subtilis)AraA2プロモーターの核酸配列である。
配列番号103は、λファージT0ターミネーターの核酸配列である。
配列番号104は、Cas9発現カセットの核酸配列である。
配列番号105は、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)(Bra7)の18bp重複の核酸配列である。
配列番号106は、17bpのVTの核酸配列である。
配列番号107は、18bpのVTの核酸配列である。
配列番号108は、19bpのVTの核酸配列である。
配列番号109は、20bpのVTの核酸配列である。
配列番号110は、Cas9エンドヌクレアーゼ認識ドメインをコードする核酸配列である。
配列番号111は、18bp重複を標的とするガイド-RNA(gRNA)をコードする核酸配列である。
配列番号112は、gRNA発現カセットをコードする核酸配列である。
配列番号113は、18bp重複の5’側(上流)である500bpの核酸配列である。
配列番号114は、18bp重複の3’側(下流)である500bpの核酸配列である。
配列番号115は、rghR2(18bp重複)編集鋳型核酸配列である。
配列番号116は、rghR2遺伝子を含むB.リケニフォルミス(B.licheniformis)(Bra7)核酸配列である。
配列番号117は、rghR2遺伝子座に向けられたフォワードプライマー配列である。
配列番号118は、rghR2遺伝子座に向けられたリバースプライマー配列である。
配列番号119は、編集されたrghR2遺伝子座を含む核酸配列である。
配列番号120は、rghR2シーケンシングプライマーである。
配列番号121は、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)yvc標的部位1核酸配列である。
配列番号122は、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)yvc標的部位2核酸配列である。
配列番号123は、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)yvc標的部位3核酸配列である。
配列番号124は、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)yvc標的部位4核酸配列である。
配列番号125は、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)yvc標的部位5核酸配列である。
配列番号126は、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)yvc標的部位6核酸配列である。
配列番号127は、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)yvc標的部位7核酸配列である。
配列番号128は、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)yvc標的部位8核酸配列である。
配列番号129は、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)yvc標的部位9核酸配列である。
配列番号130は、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)yvc標的部位10核酸配列である。
配列番号131は、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)yvc標的部位11核酸配列である。
配列番号132は、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)yvc標的部位12核酸配列である。
配列番号133は、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)yvc標的部位13核酸配列である。
配列番号134は、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)yvc標的部位14核酸配列である。
配列番号135は、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)yvc標的部位15核酸配列である。
配列番号136は、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)yvc標的部位16核酸配列である。
配列番号137は、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)yvc標的部位17核酸配列である。
配列番号138は、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)yvc標的部位18核酸配列である。
配列番号139は、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)yvc標的部位19核酸配列である。
配列番号140は、サイトファガ種(Cytophaga sp.)の変異#1α-アミラーゼ発現カセットを含む核酸配列である。
配列番号141は、ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)の変異α-アミラーゼ発現カセットを含む核酸配列である。
配列番号142は、シュードモナス種(Pseudomonas sp.)AM1の変異α-アミラーゼ発現カセットを含む核酸配列である。
配列番号143は、サイトファガ種(Cytophaga sp.)の変異体#2のα-アミラーゼ発現カセットを含む核酸配列である。
配列番号144は、対立遺伝子glcT1(C199T)を含む合成核酸配列である。
本開示は、概して、増加したタンパク質産生能力を有するバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)細胞/株を得るための組成物及び方法に関する。本開示の所定の実施形態は、変異rghR2遺伝子を含む親B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞/株に由来する遺伝子改変されたバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)細胞/株に関する。したがって、本開示の所定の実施形態は、配列番号4のRghR2タンパク質をコードする染色体rghR2遺伝子(変異体)を含む親B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞に由来する改変B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞であって、改変細胞が、配列番号2のRghR2タンパク質をコードするrghR2遺伝子の遺伝子改変を含む、改変B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞に関する。本開示の所定の他の実施形態は、配列番号4との90%の配列同一性を含むRghR2タンパク質をコードするrghR2遺伝子を含む親B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞由来の改変B.リケニフォルミス(B.licheniformis)であって、改変細胞が、配列番号2との90%の配列同一性を含むRghR2タンパク質をコードするrghR2遺伝子の遺伝子改変を含み、改変細胞が、(すなわち、未改変親細胞と比較して)増加した量の関心対象のタンパク質を産生する、改変B.リケニフォルミス(B.licheniformis)に関する。
他の実施形態では、本開示は、配列番号4との90%の配列同一性を含むRghR2タンパク質をコードするrghR2遺伝子を含む親B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞に由来する改変B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞であって、改変細胞が、その中に導入された、配列番号2との90%の配列同一性を含むRghR2タンパク質をコードする核酸配列と機能的に連結した5’プロモーター領域を含むポリヌクレオチド構築物を含み、改変細胞が、(未改変親細胞と比較して)増加した量の関心対象のタンパク質を産生する、改変B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞に関する。
他の実施形態では、本開示は、配列番号2との90%の配列同一性を含むRghR2タンパク質をコードするrghR2遺伝子を含む親B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞に由来する改変B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞であって、改変細胞が、yvzC、Bli03644、AbrB1及びabh(AbrB2)から選択された少なくとも1つの内在性B.リケニフォルミス(B.licheniformis)遺伝子を欠失させる、崩壊させる、不活性化する、又は下方制御する遺伝子改変を含み、改変細胞が、(未改変親細胞と比較して)増加した量の関心対象のタンパク質を産生する、改変B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞に関する。
他の実施形態では、本開示は、配列番号4との90%の配列同一性を含むRghR2タンパク質をコードするrghR2遺伝子を含む親B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞に由来する改変B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞であって、改変細胞が、yvzC、Bli03644、AbrB1及びabh(AbrB2)から選択された少なくとも1つの内在性B.リケニフォルミス(B.licheniformis)遺伝子を欠失させる、崩壊させる、不活性化する、又は下方制御する遺伝子改変を含み、改変細胞が、(未改変親細胞と比較して)増加した量の関心対象のタンパク質を産生する、改変B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞に関する。
所定の他の実施形態では、本開示は、配列番号4との90%の配列同一性を含むRghR2タンパク質をコードするrghR2遺伝子を含む親B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞に由来する改変B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞であって、改変細胞が、rghR2遺伝子内の18ヌクレオチド(18bp)重複を欠失させる遺伝子改変を含む、改変B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞に関する。
他の実施形態では、本開示は、配列番号4との90%の配列同一性を含むRghR2タンパク質をコードするrghR2遺伝子を含む親B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞に由来する改変B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞であって、改変細胞が、rghR2遺伝子を欠失させる、崩壊させる、不活性化する、又は下方制御する遺伝子改変を含む、改変B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞に関する。
他の実施形態では、本開示は、親B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞に由来する改変B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞であって、改変細胞が、YvzCタンパク質(配列番号18)、BLi03644タンパク質(配列番号20)、AbrB1タンパク質(配列番号22)及び/又はAbh(AbrB2)タンパク質(配列番号24)をコードする少なくとも1つの内在性B.リケニフォルミス(B.licheniformis)遺伝子を欠失させる、崩壊させる、不活性化する、又は下方制御する遺伝子改変を含み、改変細胞が、(未改変親細胞と比較して)増加した量の関心対象のタンパク質を産生する、改変B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞に関する。
他の実施形態では、親B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞に由来する改変B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞は、配列番号2の回復rghR2遺伝子並びにYvzCタンパク質(配列番号18)、BLi03644タンパク質(配列番号20)、AbrB1タンパク質(配列番号22)及び/又はAbh(AbrB2)タンパク質(配列番号24)をコードする少なくとも1つの内在性B.リケニフォルミス(B.licheniformis)遺伝子を欠失させる、崩壊させる、不活性化する、又は下方制御する遺伝子改変を含み、改変細胞が、(未改変親細胞と比較して)増加した量の関心対象のタンパク質を産生する。
所定の他の実施形態では、親B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞に由来する改変B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞は、rghR2rest遺伝子並びに変異GlcTタンパク質のアミノ酸67位)でロイシン(L)からフェニルアラニン(F)への置換(L67Fを含む変異GlcT(転写アンチターミネーション)タンパク質をコードする対立遺伝子glcT1(C199T)を含む核酸構築物(配列番号143)を含む。
本開示の他の実施形態は、親B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞中の不活性RghR2タンパク質の活性を回復させるための方法に関する。本開示の所定の他の実施形態は、そのような組成物及び改変B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞中の関心対象のタンパク質の産生を増加させるための方法に関する。他の実施形態では、本開示は、本開示の方法によって改変及び産生された単離B.リケニフォルミス(B.licheniformis)(娘)細胞に関する。
I.定義
本開示の改変B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞及び本明細書に記載したそれらの方法を考慮して、以下の用語及び句を定義する。本明細書中に定義されていない用語は、当該技術分野において使用されるそれらの通例の意味に一致するはずである。
他に定義されていない限り、本明細書で使用する技術用語及び科学用語は全て、本発明の組成物及び方法が属する分野の当業者であれば一般に理解する意味と同一の意味を有する。本組成物及び本方法を実施又は試験する際、本明細書に記載のものに類似した、又は同等の方法及び材料を使用することができるが、以下では説明に役立つ代表的な方法及び材料を記載する。本明細書で引用した全ての刊行物及び特許は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
特許請求の範囲が、任意選択的な要素を排除するように記載されていることにもさらに留意されたい。したがって、この記述は、特許請求項の構成要素の列挙に関連して「唯一(solely)」、「ただ~のみ(only)」、「~を除いて(excluding)」、「~を含まない(not including)」などの排他的な用語の使用、又は「否定的な」限定の使用のための先行文として機能することを意図している。
本開示を読めば当業者には明らかなように、本明細書に記載及び例示する個々の実施形態のそれぞれは、本明細書に記載する本組成物及び方法の範囲又は精神から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴から容易に分離又は組み合わせることができる別個の構成要素及び特徴を有する。記載した方法はいずれも、記載した事象の順序で、又は論理的に可能な他の任意の順序で実施することができる。
本明細書で使用する「天然バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)染色体rghR2遺伝子」は、配列番号2のRghR2タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む(例えば、表1及び図1を参照されたい)。
本明細書で使用する「変異18BP」B.リケニフォルミス(B.licheniformis)染色体rghR2遺伝子」は、配列番号4の変異RghR2タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む(例えば、表1及び図1を参照されたい)。
本明細書で使用する、配列番号4の変異RghR2タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む「変異18BPのB.リケニフォルミス(B.licheniformis)染色体rghR2遺伝子」は、「rghR2dup」と略記することができ、その(6アミノ酸反復「AAASIR」を含む)変異RghR2タンパク質は、「RghR2dup」と略記することができる。
本明細書で使用する「変異B.リケニフォルミス(B.licheniformis)染色体rghR2遺伝子」には、コードされたRghR2タンパク質のヘリックスターンヘリックス(HTH)ドメインにおける1つ以上のヌクレオチド挿入、1つ以上のヌクレオチド欠失、1つ以上のヌクレオチド重複及び/又は1つ以上のヌクレオチド置換を含む変異RghR2タンパク質をコードする任意のB.リケニフォルミス(B.licheniformis)染色体rghR2遺伝子が含まれ、そのコードされたRghR2タンパク質のHTHドメイン内における1つ以上のヌクレオチド挿入、1つ以上のヌクレオチド欠失、1つ以上のヌクレオチド重複及び/又は1つ以上のヌクレオチド置換は、転写調節タンパク質としてのRghR2タンパク質を実質的に不活性化する。
本明細書で規定したように、配列番号2の天然B.リケニフォルミス(B.licheniformis)RghR2タンパク質は、配列番号2のアミノ酸残基5~58内に含まれる。
例えば、所定の実施形態では、当業者であれば、配列番号1の天然rghR2遺伝子配列に対してrghR2遺伝子を容易にスクリーニング/シーケンシングし、コードされたRghR2タンパク質のHTHドメイン内の突然変異(例えば、ヌクレオチド挿入、欠失、置換、重複など)を含む変異RghR2タンパク質をコードする「変異B.リケニフォルミス(B.licheniformis)染色体rghR2遺伝子」配列を同定することができる。
したがって、所定の実施形態では、本開示は、「変異B.リケニフォルミス(B.licheniformis)染色体rghR2遺伝子」配列(すなわち、HTHドメイン内に突然変異を含む変異RghR2タンパク質をコードする)を含む親B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞に関する。他の実施形態では、本開示は、「変異B.リケニフォルミス(B.licheniformis)染色体rghR2遺伝子」配列(すなわち、HTHドメイン内に突然変異を含む変異RghR2タンパク質をコードする)を含む親B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞に由来する改変B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞であって、改変細胞が、配列番号2の天然RghR2タンパク質をコードする回復rghR2遺伝子を含む、改変B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞に関する。
本明細書で使用する(i)「変異18BPのB.リケニフォルミス(B.licheniformis)染色体rghR2遺伝子」(配列番号3)又は(ii)「変異B.リケニフォルミス(B.licheniformis)染色体rghR2遺伝子」(すなわち、配列番号2のアミノ酸残基5~58内に含まれるコードされたRghR2タンパク質のHTHドメイン内に突然変異を含む)のいずれかを含む親B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞に由来する改変B.リケニフォルミス(B.licheniformis)であって、改変B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞は、配列番号2の天然RghR2タンパク質をコードする回復rghR2遺伝子を含み、「改変細胞内の回復rghR2遺伝子」は、本明細書では「rghR2rest」と略記することができ、コードされたその天然タンパク質は、「RghR2rest」と略記することができる。
より詳細には、上記の表1に示したように、本開示の「変異18BPのB.リケニフォルミス(B.licheniformis)染色体rghR2遺伝子」(配列番号3)は、「Ala-Ala-Ala-Ile-Ser-Arg」(以下では「AAAISR」)である6アミノ酸の連続的反復をコードする18ヌクレオチド(18bp)重複を含み、コードされた変異RghR2タンパク質の一次アミノ酸配列は、配列番号4に規定されており(表1及び図1を参照されたい)、下記:「Ala-Ala-Ala-Ile-Ser-Arg-Ala-Ala-Ala-Ile-Ser-Arg」;以下では「AAAISRAAAISR」(配列番号6)のようなこれらの6アミノ酸の線状(連続的)反復を含む。例えば、RghR2dupタンパク質(配列番号4)中に存在する6アミノ酸反復は表1に提示されており、この140アミノ酸タンパク質の反復アミノ酸残基は、配列番号4のA38~R43位でボールド体のアミノ酸を含む。
対照的に、本開示の「天然B.リケニフォルミス(B.licheniformis)染色体rghR2遺伝子(配列番号1)」は、この18ヌクレオチド(18bp)重複を含んでいない。したがって、天然rghR2遺伝子は、配列番号2の天然RghR2タンパク質(これは、配列番号6に提示した、連続反復「AAAISR」を含んでいない)をコードする。例えば、コードされた天然RghR2タンパク質の一次アミノ酸配列は表1に示されているが、「AAAISR」の6アミノ酸反復は、この134アミノ酸タンパク質の38~43位(配列番号2)には存在しない。
本明細書に規定するように、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)株Bra7(若しくはBra7株)は、伝統的な遺伝的改良法を使用して野生型B.リケニフォルミス(B.licheniformis)親株から発生/由来したB.リケニフォルミス(B.licheniformis)宿主細胞である。本開示の所定の実施形態及び説明は、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)株Bra7に関するが、本開示の組成物及び方法は、特定のバチルス属(Bacillus)種には限定されるものではなく、本開示の組成物及び方法はB.リケニフォルミス(B.licheniformis)宿主細胞の特定株に限定されるものでもない。
本明細書で使用する「Bra7株のB.リケニフォルミス(B.licheniformis)の誘導体」は、特に、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)の親Bra7(株)宿主細胞に由来するB.リケニフォルミス(B.licheniformis)(娘)細胞を指す。より特別には、本明細書で使用する「Bra7株のB.リケニフォルミス(B.licheniformis)の誘導体」は、国際公開第2008/024372号パンフレットに記載された5つの遺伝子欠失(Δcat、ΔamyL、Δspo、ΔaprL、ΔendoGluC)を含むB.リケニフォルミス(B.licheniformis)のBra7親株に由来するB.リケニフォルミス(B.licheniformis)宿主細胞である。
本明細書で使用する、本明細書では任意選択的に「PcuAmyl-v6」と略記される異種パエニバチルス・クルドラノリチクス(Peanibacillus curdlanolyticus)の変異α-アミラーゼ(例えば、実施例2及び4を参照されたい)は、国際公開第2014/164834号パンフレットに開示されている。
本明細書で使用する、本明細書で「サイトファガ種(Cytophaga sp.)α-アミラーゼ変異体#1」(例えば、実施例5を参照されたい)及び「サイトファガ種(Cytophaga sp.)α-アミラーゼ変異体#2」(例えば、実施例11及び12)」と呼ぶサイトファガ種(Cytophaga sp.)の変異α-アミラーゼは、国際公開第2014/164777号パンフレット;同第2012/164800号パンフレット及び同第2014/164834号パンフレットに開示されている。
本明細書で使用する「変異ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)の変異アミラーゼ」(例えば、実施例5を参照されたい)は、国際公開第2009/149130号パンフレットに開示された変異G.ステアロサーモフィルス(G.stearothermophilus)のα-アミラーゼである。
本明細書で使用する、国際公開第2008/153805号パンフレット及び米国特許出願第2014/0057324号明細書に概して開示されているそれらの改良されたアルカリ性の性能/安定性を含むバチルス種(Bacillus sp.)第707号に由来する変異α-アミラーゼである「変異アルカリ性α-アミラーゼ」(例えば、実施例9を参照されたい)は、本明細書ではアルカリ性α-アミラーゼ「変異体1」、アルカリ性α-アミラーゼ「変異体2」、アルカリ性α-アミラーゼ「変異体3」及びアルカリ性α-アミラーゼ「変異体4」と呼ばれる。
本明細書で使用するシュードモナス種(Pseudomonas sp.)AM1の「G4アミラーゼ(変異体)」(例えば、実施例8を参照されたい)は、国際公開第2010/133644号パンフレットに開示されている。
本明細書で使用する「リパーゼ/エステラーゼ活性を含む酵素をコードする」異種DNA/核酸配列(例えば、実施例10を参照されたい)、そのようなDNA/核酸配列は、リパーゼ/エステラーゼ活性を含む酵素番号「EC3.1.1.3酵素」をコードする。
本明細書で使用する、対立遺伝子glcT1を含むB.リケニフォルミス(B.licheniformis)(娘)細胞(例えば、実施例12を参照されたい)、対立遺伝子glcT1は、2018年1月3日に出願された米国仮特許出願第62/613,339号明細書に記載されたように、変異GlcTタンパク質のアミノ酸67位(F67)でフェニルアラニン(F)を含む変異GlcT(転写アンチターミネーション)タンパク質をコードする。
したがって、所定の実施形態では、「天然B.リケニフォルミス(B.licheniformis)染色体rghR2遺伝子」は、配列番号2との少なくとも90%の配列同一性を含むRghR2タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む。他の実施形態では、「天然B.リケニフォルミス(B.licheniformis)染色体rghR2遺伝子」は、配列番号2との90%の配列同一性を含むRghR2タンパク質がB.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞内で転写調節タンパク質として活性であることを前提に、配列番号2との少なくとも90%の配列同一性を含むRghR2タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む。所定の他の実施形態では、「天然B.リケニフォルミス(B.licheniformis)染色体rghR2遺伝子」は、配列番号2との90%の配列同一性を含むRghR2タンパク質が、配列番号6に規定したアミノ酸AAAISRの反復を含まないことを前提に、配列番号2との少なくとも90%の配列同一性を含むRghR2タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む。
所定の実施形態では、rghR2dup遺伝子は、配列番号4のRghR2タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む。所定の実施形態では、rghR2dup遺伝子は、配列番号4との少なくとも90%の配列同一性を含むRghR2タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む。所定の実施形態では、rghR2dup遺伝子は、配列番号4との90%の配列同一性を含むRghR2タンパク質が、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞内で転写調節タンパク質として実質的に不活性であることを前提に、配列番号4との少なくとも90%の配列同一性を含むRghR2タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む。所定の他の実施形態では、rghR2dup遺伝子は、配列番号4との90%の配列同一性を含むRghR2タンパク質が、配列番号6に規定したアミノ酸AAAISRの反復を含むことを前提に、配列番号4との少なくとも90%の配列同一性を含むRghR2タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む。
他の実施形態では、本開示の変異rghR2遺伝子は、配列番号1のヌクレオチド111位と112位との間の天然rghR2遺伝子の核酸配列において挿入された、欠失した、重複したなどの少なくとも1、2、3、4、5、10、18、20個などのヌクレオチドを含む任意のB.リケニフォルミス(B.licheniformis)のrghR2遺伝子を含み、それにより天然rghR2遺伝子を天然rghR2遺伝子の核酸配列内に挿入された少なくとも1、2、3、4、5、10、18、20個などのヌクレオチドを含む変異rghR2遺伝子に変換させる。
したがって、他の実施形態では、実質的に不活性であるRghR2タンパク質は、RghR2タンパク質のアミノ酸残基37と38との間に挿入された少なくとも1、2、3、4、5、6、7個などのアミノ酸を含む変異RghR2タンパク質をさらに含み(すなわち、配列番号2の活性RghR2タンパク質配列を参照して)、そのようなアミノ酸挿入(すなわち、残基37と38との間)は、RghR2タンパク質を転写調節タンパク質として実質的に不活性にさせる。
したがって、所定の実施形態では、変異rghR2遺伝子によってコードされた変異RghR2タンパク質は、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞内で実質的に「転写調節タンパク質として不活性」である。
本明細書で規定した、「アミノ酸AAAISRの6アミノ酸反復を含む、配列番号4のRghR2dupタンパク質」は、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)内で実質的に「転写調節タンパク質として不活性」である。
本明細書で規定した、配列番号2のコードされたRghR2の「HTHドメイン内の突然変異を含む変異rghR2タンパク質をコードする変異rghR2遺伝子」は、配列番号2の天然RghR2タンパク質と比較して、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞内で実質的に「転写調節タンパク質として不活性」である。
所定の実施形態では、実質的に「転写調節タンパク質として不活性」である変異RghR2タンパク質をコードするrghR2遺伝子は、当業者には公知であるDNA結合アッセイにおいて(天然RghR2タンパク質;配列番号2と比較して)変異RghR2タンパク質をスクリーニングすることによって決定される。
例えば、本明細書では、上記に規定したHTHドメインを含む転写調節タンパク質であるRghR2タンパク質は、その転写調節活性を発揮するためにはDNAに十分に結合しなければならないことが企図されている。したがって、1種以上の変異RghR2タンパク質(すなわち、突然変異HTHドメインを含む)に比較して天然RghR2タンパク質のDNA結合親和性を比較することによって、天然RghR2タンパク質に対して変異RghR2タンパク質の減少したDNA結合親和性は、実質的に「転写調節タンパク質として不活性」であるそのような変異RghR2タンパク質にとって必然的結果である。例えば、本明細書で企図したように、有意に減少したDNA結合親和性(又は、DNA結合の完全な消失)を有する変異RghR2タンパク質(すなわち、突然変異HTHドメインを含む)は、転写調節タンパク質として実質的に活性である天然RghR2タンパク質と比較して、転写調節タンパク質の実質的な減少(又は完全な消失)を有するであろう。
したがって、所定の実施形態では、本開示の変異rghR2遺伝子には、図8に示したような、rghR2遺伝子のこれらの(DNA結合)領域内のヌクレオチドの挿入、重複、欠失、非同義置換などを含む任意のB.リケニフォルミス(B.licheniformis)のrghR2遺伝子変異体が含まれる。例えば、本開示の図8は、DNA結合に包含されるRghR2タンパク質内のアミノ酸残基をコードすると予測される所定のrghR2コドン(すなわち、図8におけるボールド体のヌクレオチド)を示している。したがって、所定の実施形態では、本開示の変異rghR2遺伝子は、rghR2遺伝子のこれらの(DNA結合)領域内の1つ以上のヌクレオチドの挿入、重複、欠失、非同義置換などを含む変異rghR2遺伝子である。より特別には、所定の実施形態では、rghR2遺伝子のDNA結合領域内のヌクレオチドの挿入、重複、欠失、非同義置換などを含む変異rghR2遺伝子は、実質的に不活性なRghR2タンパク質をコードする。
実質的に「転写調節タンパク質として不活性」であるRghR2タンパク質という語句には、rghR2遺伝子のこれらの(DNA結合)領域内の1つ以上のヌクレオチドの挿入、重複、欠失、非同義置換(など)を含む変異rghR2遺伝子によってコードされた変異RghR2タンパク質を含み、ここでコードされた変異タンパク質は、転写調節タンパク質として実質的に不活性である。
本明細書で使用する用語「同等位置」は、特に配列番号4のアミノ酸残基32~43に由来する配列番号4のRghR2ポリペプチド配列と整列させた後のアミノ酸残基位置を指す。配列番号4について上述した12連続アミノ酸残基(すなわち、同等位置)(すなわち、配列番号4の残基32~43)は、配列番号6のアミノ酸配列(「AAAISRAAAISR」)に示されている。したがって、所定の実施形態では、本開示の変異RghR2タンパク質をコードする遺伝子若しくはORFは、コードされたRghR2タンパク質のアミノ酸配列の同等位置を配列番号6に規定した反復アミノ酸配列と比較することによって同定することができるが、ここで配列番号6の反復配列の存在は、本開示の変異RghR2タンパク質を示す。
用語「改変」及び「遺伝子改変」は、互換的に使用され:(a)遺伝子(若しくはそのORF)内での1つ以上のヌクレオチドの導入、置換若しくは除去又は遺伝子若しくはそのORF内での1つ以上のヌクレオチドの導入、置換若しくは除去、(b)遺伝子崩壊、(c)遺伝子変換、(d)遺伝子欠失、(e)遺伝子の下方制御、(f)本明細書に開示した任意の1つ以上の遺伝子の特異的変異誘発及び/又は(g)ランダム突然変異誘発が含まれる。例えば、本明細書で使用する遺伝子改変には、rghR2、rghR1、abrB1、rpmJ、rpIM、BLi00412、rapK、phrK、BLi00753、yfjT、BLi00828、yhdX、yhzC、terf2、zosA、abbA、speG、yppF、BLi02543、mntR、BLi02768、sspA、BLi03127、BLi03635、mrgA、BLi03644、yvzC、spo0F、ywjG、ywq12、BLi04199、BLi04200、licT、bglH及びbglPからなる群から選択される1つ以上の遺伝子の改変が含まれるがそれらに限定されない。
本明細書で使用する「遺伝子の崩壊」、「遺伝子崩壊」、「遺伝子の不活性化」及び「遺伝子不活性化」は、互換的に使用され、宿主細胞が機能的遺伝子産物(例えば、タンパク質)を産生することを妨げる任意の遺伝子改変を広く指す。典型的な遺伝子破壊方法には、ポリペプチドコーディング配列、プロモーター、エンハンサー又はまた別の調節エレメントを含む遺伝子の任意の部分の完全若しくは部分的な消失又は同一物の突然変異誘発が含まれるが、ここで突然変異誘発は、標的遺伝子を崩壊/不活性化し、機能的遺伝子産物(すなわち、タンパク質)の産生を実質的に減少若しくは防止する、置換、挿入、欠失、逆位並びにそれらの任意の組み合わせ及び変形形態を包含する。
本明細書で使用する用語、遺伝子発現の「下方制御」及び遺伝子発現の「上方制御」には、遺伝子のより低い(下方制御された)又はより高い(上方制御された)発現を生じさせる任意の方法が含まれる。例えば、遺伝子の下方制御は、RNA誘導遺伝子サイレンシング、例えばプロモーター、リボソーム結合部位(RBS)/シャイン・ダルガーノ配列、未翻訳領域(UTR)、コドン変化などの制御要素の遺伝子改変によって達成され得る。
本明細書で使用する語句「18ヌクレオチド重複を欠失させる」又は「18bp重複を欠失させる」又は「18ヌクレオチド重複を欠失させることにより細胞を改変する」は、特に18ヌクレオチド重複を含む変異rghR2遺伝子(rghR2dup)を含む親バチルス属(Bacillus)細胞の遺伝子改変を意味しており、その重複は、変異RghR2タンパク質内のアミノ酸「AAAISR」(配列番号6)の反復をコードする(RghR2dup;例えば、配列番号4を参照されたい;配列番号4の32~37位でのアミノ酸「AAAISR」は、配列番号4の38~43位で連続的に反復される)。
したがって、所定の実施形態では、本開示の改変バチルス属(Bacillus)細胞は、配列番号6の「AAAISR」反復配列をコードする18ヌクレオチド重複を含む変異染色体rghR2遺伝子(例えば、rghR2dup;配列番号3)を含む親Bacillus(Bacillus)細胞に由来するが、ここで改変Bacillus(Bacillus)細胞は、「18ヌクレオチド重複を欠失させること」によって改変され、それにより天然rghR2タンパク質をコードする「回復」rghR2遺伝子配列(rghR2rest;配列番号1)を含む改変Bacillus(Bacillus)細胞が生じる。親Bacillus(Bacillus)細胞内の18ヌクレオチド重複を欠失させるための方法には、下記の第IV章でさらに記載する相同組み換え、CRSIPR-Cas9遺伝子編集、メガヌクレアーゼ遺伝子編集、TALEN遺伝子編集、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)編集などが含まれるが、それらに限定されない。したがって、所定の実施形態では、本開示は、「回復」rghR2遺伝子を含む改変バチルス属(Bacillus)細胞に向けられる。
本明細書で使用する「宿主」細胞は、新たに導入されるDNA配列のための宿主又は発現ビヒクルとして作用する能力を有する細胞を指す。これは、本開示の所定の実施形態では、宿主細胞は、バチルス種(Bacillus sp.)又はE.コリ(E.coli)細胞である。
本明細書で使用する「親細胞」、「親宿主細胞」又は「親B.リケニフォルミス(B.licheniformis)(宿主)細胞」は、互換的に使用することができ、「未改変」親B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞を指す。例えば、「親」細胞は、「親」細胞のゲノムが(例えば親細胞に導入された1つ以上の突然変異によって)変更させられて、改変「娘」細胞を生成する微生物の任意の細胞又は株を指す。
本明細書で規定する「改変細胞」、「改変宿主細胞」又は「改変B.リケニフォルミス(B.licheniformis)(宿主)細胞」は、互換的に使用することができ、改変B.リケニフォルミス(B.licheniformis)(娘)細胞がそれに由来する「親」B.リケニフォルミス(B.licheniformis)宿主細胞内に存在しない少なくとも1つの遺伝子改変を含む組み換えB.リケニフォルミス(B.licheniformis)(宿主)細胞を指す。例えば、所定の実施形態では、本開示の「親B.リケニフォルミス(B.licheniformis)(宿主)細胞」は、配列番号4の変異RghR2タンパク質をコードする配列番号3の染色体rghR2遺伝子(rghR2dup)を含み、本開示の「改変」B.リケニフォルミス(B.licheniformis)宿主細胞(すなわち、配列番号3の染色体rghR2遺伝子を含む親B.リケニフォルミス(B.licheniformis)宿主細胞に由来する)は、配列番号3における18ヌクレオチド重複を欠失する遺伝子改変を含み、それにより配列番号2の天然RghR2タンパク質をコードする天然rghR2遺伝子(rghR2rest)を含む改変(回復)B.リケニフォルミス(B.licheniformis)宿主細胞を生じさせる。
所定の実施形態では、「未改変」B.リケニフォルミス(B.licheniformis)(親)細胞は、特に、「改変」B.リケニフォルミス(B.licheniformis)(娘)細胞と比較した場合、又はそれに対して、「コントロール細胞」と呼ぶことができる。本明細書で使用するように、「未改変」(親)細胞(すなわち、コントロール細胞)内の関心対照のタンパク質(POI)の発現及び/又は産生が、「改変」(娘)細胞中の同一POIの発現及び/又は産生と比較される場合、「改変」及び「未改変」細胞は、実質的に同一条件(すなわち、培地、温度、pHなどの同一条件)下で増殖/培養/発酵されることは理解されるであろう。
本明細書で使用する、「バチルス(Bacillus)属」には、当業者には公知である「バチルス(Bacillus)」属内の全ての種が含まれ、例えば、B.サブチリス(B.subtilis)、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)、B.レンツス(B.lentus)、B.ブレビス(B.brevis)、B.ステアロサーモフィルス(B.stearothermophilus)、B.アルカロフィルス(B.alkalophilus)、B.アミロリケファシエンス(B.amyloliquefaciens)、B.クラウシイ(B.clausii)、B.ハロデュランス(B.halodurans)、B.メガテリウム(B.megaterium)、B.コアグランス(B.coagulans)、B.サークランス(B.circulans)、B.ラウツス(B.lautus)及びB.チューリンギエンシス(B.thuringiensis)が挙げられるが、それらに限定されない。バチルス(Bacillus)属が分類学的再編成を受け続けていることは認識されている。したがって、この属は、例えば、現在、「ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)」と称されている「B.ステアロサーモフィルス(B.stearothermophilus)」などの生物を含むがそれらに限定されない再分類されている種を含むことが意図されている。
本明細書で規定した用語、「増加した発現」、「強化された発現」、「POI産生の増加した発現」、「増加した産生」、「POIの増加した産生」などの用語は、「改変」B.リケニフォルミス(B.licheniformis)(娘)細胞を指し、ここで、「増加する(increase)」は、常に同一POIを発現/産生する「未改変」(親)B.リケニフォルミス(B.licheniformis)(親)細胞に比較して(~に対して)である。
本明細書で使用する用語「発現」は、本開示の核酸分子に由来するセンス(mRNA)若しくはアンチセンスRNAの転写及び安定した蓄積を指す。発現は、またmRNAのポリペプチドへの翻訳を指し得る。したがって、用語「発現」には、例えば、転写、転写後改変、翻訳、翻訳後改変、分泌などを含むがそれらに限定されないポリペプチドの産生に関与する任意の工程が含まれる。
本明細書で規定した、例えば語句「改変宿主細胞が(未改変)親宿主細胞と比較して関心対象のタンパク質の増加した量を発現/産生する」において使用する複合用語「発現/産生する」は、本開示の宿主細胞内の関心対象のタンパク質の発現及び産生に関与する任意の工程を含むことが意図されている。
同様に、本明細書で使用する、例えば「改変宿主細胞が(未改変)親宿主細胞に比較して増加した量の1種以上の関心対象のタンパク質を発現/産生する」などの語句において使用した場合の「増加した量」は、特に、改変宿主細胞内で発現/産生した任意の関心対象のタンパク質(POI)の「増加した量」を指すが、この「増加した量」は常に同一POIを発現/産生する(未改変)親B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞に関し、ここで改変及び未改変細胞は、同一条件(例えば、培地、温度、pHなどの同一条件)下で増殖/培養/発酵させられる。例えば、増加した量のPOIは、内在性B.リケニフォルミス(B.licheniformis)POI又は本開示の改変B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞内で発現した内在性B.リケニフォルミス(B.licheniformis)POI若しくは異種POIであってよい。
したがって、本明細書で使用するタンパク質産生を「増加させる」又は「増加した」タンパク質産生は、産生したタンパク質(例えば、関心対象のタンパク質)の増加した量を指す。タンパク質は、宿主細胞の内部で産生されても、培養培地中へ分泌(又は、輸送)されてもよい。所定の実施形態では、関心対象のタンパク質は、培養培地中へ産生(分泌)される。増加したタンパク質産生は、例えば、親宿主細胞と比較して、より高い最大レベルのタンパク質若しくは酵素活性(例えば、プロテアーゼ活性、アミラーゼ活性、セルラーゼ活性、ヘミセルラーゼ活性など)又は産生される総細胞外タンパク質として検出され得る。
本明細書で使用する「核酸」は、ヌクレオチド若しくはポリヌクレオチド配列、及びそれらの断片若しくは部分、並びに、センス鎖又はアンチセンス鎖のいずれを表していても、二本鎖であっても一本鎖であってもよい、ゲノム若しくは合成起源のDNA、cDNA及びRNAを指す。遺伝子コードの縮重の結果として、多数のヌクレオチド配列が所与のタンパク質をコードし得ることは理解されよう。
本明細書に記載したポリヌクレオチド(若しくは核酸分子)には、「遺伝子」、「ベクター」及び「プラスミド」が含まれることは理解されている。
したがって、用語「遺伝子」は、タンパク質のコーディング配列の全部又は一部を含む、アミノ酸の特定配列をコードするポリヌクレオチドを指し、例えば、遺伝子が発現する条件を決定する、プロモーター配列などの調節(非転写)DNA配列を含み得る。遺伝子の転写領域は、イントロン、5’側-非翻訳領域(UTR)及び3’側-UTRを含む非翻訳領域(UTR)並びにコーディング配列を含み得る。
本明細書で使用する場合、用語「コーディング配列」は、その(コードする)タンパク質産物のアミノ酸配列を直接特定するヌクレオチド配列を指す。コーディング配列の境界は、一般に、オープンリーディングフレーム(以下では、「ORF」)によって決定されて、通常はATG開始コドンで始まる。コーディング配列には、典型的には、DNA、cDNA及び組み換えヌクレオチド配列が含まれる。
本明細書で規定した用語「オープンリーディングフレーム」(以下では、「ORF」)という用語は、(i)開始コドン、(ii)アミノ酸を表す一連の2つ以上のコドン及び(iii)終止コドンからなる(天然型であるか、非天然型であるか、又は合成であるかにかかわらず)連続するリーディングフレームを含む核酸又は核酸配列を意味し、ORFは、5’側から3’側の方向に読まれる(又は、翻訳される)。
本明細書で使用する用語「プロモーター」は、コーディング配列若しくは機能的RNAの発現を制御できる核酸配列を指す。一般に、コーディング配列は、プロモーター配列の3’側末端側(下流)に位置する。プロモーターは、それらの全体が天然遺伝子に由来してもよい、又は、天然に存在する異なるプロモーターに由来する異なる要素から構成されていてもよい、又は、合成核酸区間を含んでいてさえよい。種々のプロモーターが、種々の細胞型で、種々の生育段階で、又は種々の環境若しくは生理的条件に応答して、遺伝子の発現を指示し得ることは、当業者には理解されている。大多数の場合にほとんどの細胞型で遺伝子の発現を誘発するプロモーターは、一般に、「構成的プロモーター」と呼ばれている。ほとんどの場合、調節配列の正確な境界は完全には明らかになっていないため、種々の長さのDNA断片が同一プロモーター活性を有し得ることがさらに認識されている。
本明細書で使用する用語「機能的に連結した」は、一方の機能が他方により影響されるような、単一核酸断片上での核酸配列の会合を指す。例えば、プロモーターは、それがそのコーディング配列の発現に影響を及ぼすことができる(すなわち、コーディング配列がプロモーターの転写制御下にある)場合、コーディング配列に機能的に連結している。コーディング配列は、センス若しくはアンチセンス配向で調節配列に機能的に連結され得る。
核酸は、他の核酸配列との機能的関係に置かれた場合、「機能的に連結している」。例えば、分泌リーダー(すなわち、シグナルペプチド)をコードするDNAは、ポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現する場合、ポリペプチドのためのDNAに機能的に連結している;プロモーター若しくはエンハンサーは、配列の転写に影響を及ぼす場合、コーディング配列に機能的に連結している;又はリボソーム結合部位は、翻訳を促進するように配置されている場合、コーディング配列に機能的に連結している。一般に、「機能的に連結した」は、連結されるDNA配列が隣接している、及び分泌リーダーの場合には、隣接してリーディング期にあることを意味する。しかし、エンハンサーは、隣接している必要はない。連結は、便宜的な制限部位でのライゲーションによって行われる。そのような部位が存在しない場合は、従来の手法にしたがって、合成オリゴヌクレオチドアダプター若しくはリンカーが使用される。
本明細書で使用する「関心対象のタンパク質コーディング配列の遺伝子に連結した関心対象の遺伝子の発現を制御する機能的プロモーター配列(又はそれらのオープンリーディングフレーム)」は、バチルス属(Bacillus)におけるコーディング配列の転写及び翻訳を制御するプロモーター配列を指す。例えば、所定の実施形態では、本開示は、5’プロモーター(又は、5’プロモーター領域若しくはタンデム5’プロモーターなど)を含むポリヌクレオチドであって、そのプロモーター領域が配列番号2のRghR2タンパク質をコードする核酸配列に機能的に連結しているポリヌクレオチドに向けられる。したがって、所定の実施形態では、機能的プロモーター配列は、配列番号2のRghR2タンパク質をコードするrghR2遺伝子の発現を制御する。他の実施形態では、機能的プロモーター配列は、バチルス属(Bacillus)細胞中、より特別にはB.リケニフォルミス(B.licheniformis)宿主細胞中の関心対象のタンパク質をコードする異種遺伝子(若しくは内在性遺伝子)の発現を制御する。
本明細書で規定した「好適な調節配列」は、コーディング配列の上流(5’側非コーディング配列)、コーディング配列内又はコーディング配列の下流(3’側非コーディング配列)に位置しており、関連するコーディング配列の転写、RNAプロセシング若しくは安定性又は翻訳に影響を及ぼすヌクレオチド配列を指す。調節配列は、プロモーター、翻訳リーダー配列、RNAプロセシング部位、エフェクター結合部位及びステムループ構造を含み得る。
本明細書で定義した、例えば「細菌細胞内に導入すること」又は「B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞内に少なくとも1つのポリヌクレオチドオープンリーディングフレーム(ORF)、又はその遺伝子、又はそのベクターを導入すること」などの語句に使用される用語「導入すること」は、プロトプラスト融合法、天然若しくは人工形質転換(例えば、塩化カルシウム、エレクトロポレーション)法、形質導入法、トランスフェクション法、共役法などを含むがそれらに限定されない、ポリヌクレオチドを細胞内に導入するための当技術分野で公知の方法を含む(例えば、Ferrari et al.,1989を参照されたい)。
本明細書で使用する「形質転換された」又は「形質転換」は、細胞が組み換えDNA技術の使用によって形質転換されていることを指す。形質転換は、典型的には、1つ以上のヌクレオチド配列(例えば、1つのポリヌクレオチド、ORF若しくは遺伝子)を細胞内に挿入することによって発生する。挿入されたヌクレオチド配列は、異種ヌクレオチド配列(すなわち、形質転換対象である細胞中に天然には存在しない配列)であってよい。例えば、本開示の所定の実施形態では、配列番号4の変異RghR2タンパク質をコードする変異rghR2遺伝子を含む親B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞は、親細胞内に配列番号2の天然RghR2タンパク質をコードする核酸配列に機能的に連結したプロモーターを含むポリヌクレオチド構築物を導入することによって改変(例えば、形質転換)され、それによって結果として、「未改変」(親)細胞に由来する改変B.リケニフォルミス(B.licheniformis)(娘)宿主細胞が生じる。
本明細書で使用する「形質転換」は、DNAが、染色体成分又は自己複製染色体外ベクターとして維持されるように、外生DNAを宿主細胞内に導入することを指す。本明細書で使用する「トランスフォーミングDNA」、「トランスフォーミング配列」及び「DNA構築物」は、配列を宿主細胞内若しくは生物内に導入するために使用されるDNAを指す。トランスフォーミングDNAは、配列を宿主細胞若しくは生物内に導入するために使用されるDNAである。このDNAは、in vitroでPCR又は任意の他の好適な技術によって生成され得る。一部の実施形態では、トランスフォーミングDNAは、入来配列を含むが、他の実施形態では、トランスフォーミングDNAは、相同ボックスによってフランキングされた入来配列をさらに含む。さらに別の実施形態では、トランスフォーミングDNAは、末端に付加された、他の非相同配列(すなわち、スタッファー配列若しくはフランキング配列)を含む。末端は、例えば、ベクター内への挿入など、トランスフォーミングDNAが閉環を形成するように閉じることができる。
核酸配列を細胞内に導入する状況において本明細書で使用する用語「導入(された)」は、核酸配列を細胞内に移すために好適な任意の方法を指す。導入のためのこのような方法には、プロトプラスト融合法、トランスフェクション法、形質転換法、エレクトロポレーション法、接合法及び形質導入法が含まれるが、これらに限定されない(例えば、Ferrari et al.,1989を参照されたい)。
本明細書で使用する「入来配列」は、バチルス属(Bacillus)染色体内に導入されるDNA配列を指す。一部の実施形態では、入来配列は、DNA構築物の一部である。他の実施形態では、入来配列は、1種以上の関心対象のタンパク質をコードする。一部の実施形態では、入来配列は、形質転換対象の細胞のゲノム内に既に存在していても、存在していなくてもよい(すなわち、相同配列若しくは非相同配列のいずれかであってよい)配列を含む。一部の実施形態では、入来配列は、1種以上の関心対象のタンパク質、遺伝子及び/又は突然変異若しくは改変遺伝子をコードする。代替実施形態では、入来配列は、機能的な野生型遺伝子若しくはオペロン、機能的な突然変異遺伝子若しくはオペロン又は非機能的な遺伝子若しくはオペロンをコードする。一部の実施形態では、非機能的配列は、遺伝子の機能を崩壊させるために遺伝子内に挿入され得る。また別の実施形態では、入来配列は、選択マーカーを含む。さらに別の実施形態では、入来配列は、2つの相同ボックスを含む。
本明細書で使用する「相同ボックス」は、バチルス属(Bacillus)染色体内の配列と相同である核酸配列を指す。より詳細には、相同ボックスは、本発明にしたがって、欠失させられる、崩壊させられる、不活性化させられる、下方制御されるなどの遺伝子又は遺伝子の一部の直接的フランキングコーディング領域との約80~100%の配列同一性、約90~100%の配列同一性又は約95~100%の配列同一性を有する上流又は下流領域である。これらの配列は、バチルス属(Bacillus)染色体内にDNA構築物が組み込まれる場所を指令し、バチルス属(Bacillus)染色体のどの部分が入来配列により置換されるのかを指令する。本開示を限定することは意図していないが、相同ボックスは、約1塩基対(bp)~200キロ塩基(kb)を含み得る。好ましくは、相同ボックスは、約1bp~10.0kb;1bp~5.0kb;1bp~2.5kb;1bp~1.0kb及び0.25kb~2.5kbを含む。相同ボックスは、約10.0kb、5.0kb、2.5kb、2.0kb、1.5kb、1.0kb、0.5kb、0.25kb~0.1kbもまた含み得る。一部の実施形態では、選択マーカーの5側’及び3’側末端は、相同ボックスによってフランキングされるが、ここで相同ボックスは、遺伝子のコーディング領域を直接的にフランキングする核酸配列を含む。
本開示のさらにまた別の実施形態では、DNAアレイ解析(例えば、本明細書に記載したトランスクリプトーム解析)によって決定される不適切な時間に活性である遺伝子の欠失、崩壊、不活性化又は下方制御は、関心対象のタンパク質の強化された発現を提供する。本明細書で使用する「トランスクリプトーム解析」は、遺伝子転写の解析を指す。
本明細書で使用する用語「選択可能マーカーコーディングヌクレオチド配列」は、宿主細胞内で発現することができ、選択可能マーカーの発現が発現した遺伝子を含有する細胞に対応する選択的作用物質の存在下又は必須栄養素の欠如下で増殖する能力を付与する、ヌクレオチド配列を指す。
本明細書で使用する用語「選択可能マーカー」及び「選択マーカー」は、ベクターを含有するそれらの宿主の選択を容易にさせる、宿主細胞内で発現することができる核酸(例えば、遺伝子)を指す。そのような選択可能マーカーの例としては、抗微生物剤が挙げられるが、それらに限定されない。したがって、用語「選択可能マーカー」は、宿主細胞が関心対象の入来DNAを取り上げたか、又は何らかの他の反応が発生したことの兆候を提供する遺伝子を指す。典型的には、選択可能マーカーは、形質転換中に外生配列を受け入れていない細胞から外生DNAを含有する細胞を区別することを可能にする抗微生物剤耐性又は代謝有利性を宿主細胞に付与する遺伝子である。
「存在する選択可能マーカー」は、形質転換対象の微生物の染色体上に所在する選択マーカーである。存在する選択可能マーカーは、トランスフォーミングDNA構築物上の選択可能マーカーとは異なる遺伝子をコードする。選択マーカーは、当業者には周知である。上記で示したように、マーカーは、微生物耐性マーカー(例えば、ampR、phleoR、specR、kanR、eryR、tetR、cmpR及びneoR(例えば、Guerot-Fleury,1995;Palmeros et al.,2000;及びTrieu-Cuot et al.,1983を参照されたい)であってよい。一部の実施形態では、本発明は、クロラムフェニコール耐性遺伝子(例えば、pC194上に存在する遺伝子並びにバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)のゲノム内に存在する耐性遺伝子)を提供する。この耐性遺伝子は、本発明において、並びに染色体に組み込まれたカセット及び統合的プラスミドの染色体増幅を包含する実施形態では、特に有用である(例えば、Albertini and Galizzi,1985;Stahl and Ferrari,1984を参照されたい)。本発明にしたがって有用な他のマーカーとしては、限定はされないが、セリン、リシン、トリプトファンなどの栄養要求性マーカー及びβ-ガラクトシダーゼなどの検出マーカーが挙げられるが、それらに限定されない。
本明細書で規定した宿主細胞「ゲノム」、細菌(宿主)細胞「ゲノム」又はB.リケニフォルミス(B.licheniformis)(宿主)細胞「ゲノム」は、染色体遺伝子及び染色体外遺伝子を含む。
本明細書で使用する用語「プラスミド」、「ベクター」及び「カセット」は、細胞の中央代謝には典型的には関与しない遺伝子を運ぶことが多い、通常は環状の二本鎖DNA分子の形態にある染色体外要素を指す。そのような要素は、多数のヌクレオチド配列が、選択された遺伝子産物のためのプロモーター断片及びDNA配列を適切な3’側未翻訳配列と共に細胞内に導入できる固有の構成に接合又は再結合されている任意の起源に由来する、線状若しくは環状の、一本鎖若しくは二本鎖のDNA若しくはRNAの自己複製配列、ゲノム組み込み配列、ファージ又はヌクレオチド配列であってよい。
本明細書で使用する「形質転換カセット」は、遺伝子(若しくは、そのORF)を含み、外来遺伝子に加えて、特定の宿主細胞の形質転換を促進する要素を有する特異的ベクターを指す。
本明細書で使用する用語「ベクター」は、細胞内で複製(増殖)することができ、新たな遺伝子若しくはDNAセグメントを細胞中に運ぶことができる任意の核酸を指す。したがって、この用語は、様々な宿主細胞間を輸送するために設計された核酸構築物を指す。ベクターとしては、「エピソーム」(すなわち、自律的に複製するか、又は宿主生物の染色体に組み込むことができる)である、ウイルス、バクテリオファージ、プロウイルス、プラスミド、ファージミド、トランスポゾン、並びにYAC(酵母人工染色体)、BAC(細菌人工染色体)、PLAC(植物人工染色体)などの人工染色体が挙げられる。
「発現ベクター」は、細胞内で異種DNAを組み込んで発現させる能力を有するベクターを指す。多数の原核生物及び真核生物の発現ベクターは、商業的に入手可能であり、当業者には公知である。適切な発現ベクターの選択は、当業者の知識の範囲内に含まれる。
本明細書で使用する用語「発現カセット」及び「発現ベクター」は、標的細胞中の特定核酸の転写を許容する一連の特定の核酸要素を用いて、組み換えにより、又は合成的に生成される核酸構築物(すなわち、これらは、上述したベクター若しくはベクター要素である)を指す。組み換え発現カセットは、プラスミド、染色体、ミトコンドリアDNA、プラスチドDNA、ウイルス若しくは核酸断片内に組み込むことができる。典型的には、発現ベクターの組み換え発現カセット部分には、他の配列の中でも、転写対象の核酸配列及びプロモーターが含まれる。一部の実施形態では、DNA構築物には、標的細胞内の特定の核酸の転写を許容する一連の特定の核酸要素もまた含まれる。所定の実施形態では、本開示のDNA構築物は、本明細書に規定した選択マーカー及び不活性化染色体セグメント若しくは遺伝子セグメント若しくはDNAセグメントを含む。
本明細書で使用する「ターゲティングベクター」は、その中にターゲティングベクターが形質転換される宿主細胞の染色体内の領域に相同のポリヌクレオチド配列を含み、その領域で相同組み換えを駆動できるベクターである。例えば、ターゲティングベクターは、相同組み換えによって宿主細胞の染色体内に突然変異を導入する際に使用される。一部の実施形態では、ターゲティングベクターは、例えば末端に付加される他の非相同配列(すなわち、スタッファー配列又はフランキング配列)を含む。末端は、例えば、ベクター内への挿入など、ターゲティングベクターが閉環を形成するように閉じることができる。例えば、所定の実施形態では、配列番号4の変異RghR2タンパク質をコードする変異rghR2遺伝子を含む親B.リケニフォルミス(B.licheniformis)(宿主)細胞は、「回復」天然rghR2遺伝子を含む改変宿主細胞が配列番号2の天然RghR2タンパク質をコードするように、内在性B.リケニフォルミス(B.licheniformis)の変異rghR2遺伝子の18ヌクレオチド重複を欠失させるために設計されている1つ以上の「ターゲティングベクター」を親細胞内に導入することによって改変(例えば、形質転換)される。適切なベクターの(例えば、rghR2遺伝子内の18ヌクレオチド重複を欠失させるための)選択及び/又は構築は、当業者の知識の範囲内に明確に含まれる。
本明細書で使用する用語「プラスミド」は、クローニングベクターとして使用され、多くの細菌や一部の真核生物において染色体外の自己複製遺伝要素を形成する、環状の二本鎖(ds)DNA構築物を指す。一部の実施形態では、プラスミドは、宿主細胞のゲノム内に組み込まれる。
本明細書で使用する用語「関心対象のタンパク質」若しくは「POI」は、改変B.リケニフォルミス(B.licheniformis)(娘)宿主細胞中で発現するのが望ましく、POIは、増加したレベル(すなわち、「未改変」(親)細胞に比較して)で発現する。したがって、本明細書で使用するPOIは、酵素、基質結合タンパク質、界面活性タンパク質、構造タンパク質、受容体タンパク質などであってよい。所定の実施形態では、本開示の改変細胞は、親細胞に比較して増加した量の関心対象の異種タンパク質若しくは関心対象の内在性タンパク質を産生する。特定の実施形態では、本開示の改変細胞によって産生した関心対象のタンパク質の増加した量は、親細胞と比較して、少なくとも0.5%の増加、少なくとも1.0%の増加、少なくとも5.0%の増加又は5.0%超の増加である。
同様に、本明細書で規定した「関心対象の遺伝子」若しくは「GOI」は、POIをコードする核酸配列(例えば、ポリヌクレオチド、遺伝子若しくはオープンリーディングフレーム)を指す。「関心対象のタンパク質」をコードする「関心対象の遺伝子」は、天然型遺伝子、突然変異遺伝子又は合成遺伝子であってよい。
本明細書で使用する用語「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、互換的に使用され、ペプチド結合によって連結されたアミノ酸残基を含む任意の長さのポリマーを指す。本明細書では、アミノ酸残基に対し、従来の1文字又は3文字コードを使用する。ポリペプチドは、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、改変アミノ酸を含むことができ、非アミノ酸によって分断されていてもよい。ポリポチペプチドという用語には、自然に、又は介入、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化などの介入、又は例えば標識化成分との共役結合などの任意の他の操作若しくは改変などを介して改変されているアミノ酸ポリマーも包含される。また、この定義の範囲内には、例えば、アミノ酸(例えば、非天然アミノ酸などを含む)の1つ以上のアナログを含有するポリペプチド、並びに当該技術分野において知られる他の改変も含まれる。
所定の実施形態では、本開示の遺伝子は、例えば酵素(例えば、アセチルエステラーゼ、アミノペプチダーゼ、アミラーゼ、アラビナーゼ、アラビノフラノシダーゼ、炭酸脱水酵素、カルボキシペプチダーゼ、カタラーゼ、セルラーゼ、キチナーゼ、キモシン、クチナーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、エピメラーゼ、エステラーゼ、α-ガラクトシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、α-グルカナーゼ、グルカンリアーゼ(glucan lysases)、エンド-β-グルカナーゼ、グルコアミラーゼ、グルコースオキシダーゼ、α-グルコシダーゼ、β-グルコシダーゼ、グルクロニダーゼ、グリコシルヒドロラーゼ、ヘミセルラーゼ、ヘキソースオキシダーゼ、ヒドロラーゼ、インベルターゼ、イソメラーゼ、ラッカーゼ、リパーゼ、リアーゼ、マンノシダーゼ、オキシダーゼ、酸化還元酵素、ペクチン酸リアーゼ、ペクチンアセチルエステラーゼ、ペクチンデポリメラーゼ、ペクチンメチルエステラーゼ、ペクチン分解酵素、ペルヒドロラーゼ、ポリオールオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、フィターゼ、ポリガラクツロナーゼ、プロテアーゼ、ペプチダーゼ、ラムノ-ガラクツロナーゼ、リボヌクレアーゼ、トランスフェラーゼ、輸送タンパク質、トランスグルタミナーゼ、キシラナーゼ、ヘキソースオキシダーゼ及びこれらの組み合わせなどの商業的に関連する工業用の関心対象のタンパク質をコードする。
本明細書で使用する「変異」ポリペプチドは、典型的には組み換えDNA技術による、1個以上のアミノ酸の置換、付加若しくは欠失による親(若しくは参照)ポリペプチドに由来するポリペプチドを指す。変異ポリペプチドは、少数のアミノ酸残基によって親ポリペプチドと異なる可能性があり、親(参照)ポリペプチドとの一次アミノ酸配列の相同性/同一性のレベルによって定義され得る。
好ましくは、変異ポリペプチドは、親(参照)ポリペプチド配列との少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%さえのアミノ酸配列同一性を有する。本明細書で使用する「変異」ポリヌクレオチドは、変異ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを指し、ここで「変異ポリヌクレオチド」は、親ポリヌクレオチドと規定の程度の配列相同性/同一性を有する、又はストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で親ポリヌクレオチド(若しくはその相補体)とハイブリダイズする。好ましくは、変異ポリヌクレオチドは、親(参照)ポリヌクレオチド配列との少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%さえのヌクレオチド配列同一性を有する。
本明細書で使用する「突然変異」は、核酸配列内の任意の変化又は変更を指す。点突然変異、欠失突然変異、サイレント突然変異、フレームシフト突然変異、スプライシング突然変異などを含む数種のタイプの突然変異が存在する。突然変異は、特異的に(例えば、部位特異的変異誘発によって)又はランダムに(例えば、化学薬品、修復マイナス細菌株を通しての継代によって)行われ得る。
本明細書で使用するポリペプチド若しくはその配列に関連して、用語「置換」は、1つのアミノ酸とまた別のアミノ酸との取り換え(すなわち、置換)を意味する。
本明細書で規定した「内在性遺伝子」は、生物のゲノム中の天然の位置に存在する遺伝子を指す。
本明細書で規定した「異種」遺伝子、「非内在性」遺伝子又は「外来」遺伝子は、通常は宿主生物中では見出されないが、遺伝子導入によって宿主生物に導入された遺伝子(若しくはORF)を指す。本明細書で使用する用語「外来」遺伝子は、非天然生物中に挿入された天然遺伝子(若しくはORF)及び/又は天然若しくは非天然生物中に挿入されたキメラ遺伝子を含む。
本明細書で規定した「異種」核酸構築物若しくは「異種」核酸配列は、その中でそれが発現する細胞に対して天然ではない配列の部分を有する。
本明細書で規定した「異種制御配列」は、天然では関心対象の遺伝子の発現を調節(制御)するために機能しない遺伝子発現制御配列(例えば、プロモーター若しくはエンハンサー)を指す。一般に、異種核酸配列は、その中にそれらが存在する細胞又はゲノムの一部に対して内在性(天然)ではなく、感染、トランスフェクション、形質転換、マイクロインジェクション、エレクトロポレーションなどによって細胞に付加されている。「異種」核酸構築物は、天然宿主細胞内で見出される制御配列/DNAコーディング配列の組み合わせと同一又は異なる制御配列/DNAコーディング(ORF)配列の組み合わせを含有し得る。
本明細書で使用する用語「シグナル配列」及び「シグナルペプチド」は、成熟タンパク質若しくはタンパク質の前駆体形の分泌又は直接輸送に関与する可能性があるアミノ酸残基の配列を指す。シグナル配列は、典型的には、前駆体若しくは成熟タンパク質配列のN末端に所在する。シグナル配列は、内在性であっても外在性であってもよい。シグナル配列は、通常は、成熟タンパク質には存在しない。シグナル配列は、典型的には、タンパク質が輸送された後にシグナルペプチダーゼによってタンパク質から切断される。
用語「由来する」には、用語「~から出た」、「~から得た」、「入手可能な」及び「作成された」が含まれ、一般には、1つの特定の材料若しくは組成物が別の材料若しくは組成物にその起源が見出されるか、又は他の特定の材料若しくは組成物を参照して記載できる特徴を有することを示す。
本明細書で使用する用語「相同性」は、相同ポリヌクレオチド若しくは相同ポリペプチドに関する。2つ以上のポリヌクレオチド若しくは2つ以上のポリペプチドが相同である場合、これは、それらの相同のポリヌクレオチド若しくはポリペプチドが、少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より一層好ましくは少なくとも85%、さらにより好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、及び最も好ましくは少なくとも98%の「同一性度」を有することを意味している。2つのポリヌクレオチド若しくはポリペプチドが、本明細書で規定したように相同であるほどの十分に高い同一性度を有するか否かは、当該技術分野で公知であるコンピュータープログラム、例えば、GCGプログラムパッケージで提供される「GAP」(Program Manual for the Wisconsin Package、Version 8,August 1994、Genetics Computer Group,575 Science Drive,Madison,Wisconsin,USA 53711)を使用して2つの配列を整列させることにより適切に調査することができる(Needleman and Wunsch,(1970))。DNA配列比較のために次の設定:5.0のGAP作成ペナルティ及び0.3のGAP伸長ペナルティを用いるGAPを使用して。
本明細書で使用する用語「パーセント(%)同一性」は、配列アライメントプログラムを使用して整列させたときの、ポリペプチドをコードする核酸配列間又はポリペプチドのアミノ酸配列間の核酸又はアミノ酸配列の同一性のレベルを指す。
本明細書で使用する用語「比生産性」は、所定の期間にわたって、細胞1個当たり、単位時間当たりに産生するタンパク質の総量を指す。
本明細書で規定した用語「精製(された)」、「単離(された)」又は「濃縮(された)」は、生体分子(例えば、ポリペプチド若しくはポリヌクレオチド)が、それが本来結合している、天然型の一部若しくは全部の構成要素から分離することによって、その天然状態から改変されることを指す。そのような単離若しくは精製は、最終組成物中に望ましくない全細胞、細胞残屑、不純物、外来タンパク質又は酵素を除くための、例えばイオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、疎水性分離、透析、プロテアーゼ処理、硫酸アンモニウム沈澱若しくは他のタンパク質塩析、遠心分離、サイズ排除クロマトグラフィー、濾過、精密濾過、ゲル電気泳動若しくは勾配による分離などの当該技術分野で公知の分離技術によって実施することができる。精製若しくは単離した生体分子組成物には、その後さらに、追加の便益を付与する構成要素、例えば、活性化剤、抗阻害剤、望ましいイオン、pH調節化合物又は他の酵素若しくは化学物質を添加することができる。
本明細書で使用する「ComKポリペプチド」は、コンピテンス開発の前の最終自己調節制御スイッチとして作用する転写因子DNA結合及び取り込み並びに組み換えに関与する後期反射能遺伝子の発現の活性化に関与するcomK遺伝子の産物であると規定されている;(Liu and Zuber,1998,Hamoen et al.,1998)。典型的なComK核酸及びポリペプチド配列は、それぞれ配列番号85及び配列番号86に規定されている。
本明細書で使用する「相同遺伝子」は、種が異なるが通常は関連する種に由来する、相互に対応する、及び相互に同一若しくは極めて類似する1対の遺伝子を指す。この用語は、種分化(すなわち、新規な種の発生)によって分離された遺伝子(例えば、オルソロガス遺伝子)並びに遺伝子重複によって分離されてきた遺伝子(例えば、パラロガス遺伝子)を包含する。
本明細書で使用する「オルソログ」及び「オルソロガス遺伝子」は、種分化によって共通の先祖遺伝子(すなわち、相同遺伝子)から生じた異なる種の遺伝子を指す。典型的には、オルソログは、進化の過程中に同一機能を保持している。オルソログの同定は、新規にシーケンシングされるゲノムにおける信頼性の高い遺伝子機能の予測に使用される。
本明細書で使用する「パラログ」及び「パラロガス遺伝子」は、ゲノム内での複製に関係する遺伝子を指す。オルソログは進化の過程を通して同一機能を保持するが、他方、パラログは、一部の機能の多くは元の機能に関連するものの新規な機能を展開する。パラログ遺伝子の例としては、全部がセリンプロテイナーゼであり、同一種において一緒に発生するトリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ及びトロンビンをコードする遺伝子が挙げられるが、それらに限定されない。
本明細書で使用する「相同性」は、配列類似性若しくは同一性を指すが、同一性が好ましい。この相同性は、当該技術分野で公知の標準技術を使用して決定される(例えば、Smith and Waterman,1981;Needleman and Wunsch,1970;Pearson and Lipman,1988;Wisconsin Genetics Software Package(Genetics Computer Group,Madison,WI)のGAP、BESTFIT、FASTA及びTFASTAなどのプログラム;並びにDevereux et al.,1984を参照されたい)。
本明細書で使用する「アナログ配列」は、遺伝子の機能が、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)細胞に由来する遺伝子と実質的に同一である配列である。さらに、アナログ遺伝子は、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)細胞の配列と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を含む。アナログ配列は、公知の配列アラインメント法によって決定される。一般に使用されるアラインメント法はBLASTであるが、配列を整列させる際には他の方法もまた使用される。
本明細書で使用する用語「ハイブリダイゼーション」は、当該技術分野で公知であるように、それによって核酸鎖がその相補鎖と塩基対を形成することによって接合するプロセスを指す。核酸配列は、2つの配列が中から高ストリンジェンシーなハイブリダイゼーション条件及び洗浄条件下で互いに特異的にハイブリダイズする場合、参照核酸配列に「選択的にハイブリダイズ可能」であると考えられる。ハイブリダイゼーション条件は、核酸結合複合体若しくはプローブの融解温度(Tm)に基づいている。例えば、「最大ストリンジェンシー」は、典型的には、Tm-5℃(プローブのTmより5℃低い);「高ストリンジェンシー」は、Tmより約5~10℃低い;「中間ストリンジェンシー」は、プローブのTmより約10~20℃低い;及び「低ストリンジェンシー」は、Tmより約20~25℃低い温度で起こる。機能的には、最大ストリンジェンシー条件は、ハイブリダイゼーションプローブと厳密な同一性若しくはほぼ厳密な同一性を有する配列を同定するために用いることができ、一方、中間若しくは低ストリンジェンシーハイブリダイゼーションは、ポリヌクレオチド配列ホモログを同定若しくは検出するために用いることができる。中~高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、当該技術分野ではよく知られている。高ストリンジェンシー条件の例としては、50%のホルムアミド、5×のSSC、5×のデンハルト溶液、0.5%のSDS及び100pg/mLの変性キャリアDNA中における約42℃でのハイブリダイゼーション、その後の2×のSSC及び0.5%のSDS中における室温での2回の洗浄並びに0.1×のSSC及び0.5%のSDS中における42℃での2回の洗浄が挙げられる。中ストリンジェンシー条件の例としては、20%のホルムアミド、5×のSSC(150mMのNaCl、15mMのクエン酸三ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×のデンハルト溶液、10%の硫酸デキストラン及び20mg/mLの変性剪断サケ精子DNAを含む溶液中における37℃での一晩のインキュベーション、その後の1×のSSC中における約37~50℃でのフィルターの洗浄が挙げられる。当業者であれば、例えばプローブ長などの因子を適応させるために必要な温度、イオン強度などの調整方法を知っている。
本明細書で使用する「組み換え」は、異種核酸配列の導入によって改変されている、又は細胞がそのように改変された細胞に由来する細胞又はベクターへの言及が含まれる。したがって、例えば、組み換え細胞は、細胞の天然(非組み換え)形態内の同一形態においては見出されない遺伝子を発現する、又はヒトが意図的に介入した結果として、さもなければ異常に発現する、過少発現する、若しくは全く発現しない天然遺伝子を発現する。「組み換え」、「組み換える」又は「組み換え」核酸を生成することは、一般に、2つ以上の核酸断片の集合体であるが、ここで集合体は、キメラ遺伝子を発生させる。
本明細書で使用する「フランキング配列」は、考察対象の配列の上流又は下流のいずれかにある任意の配列を指す(例えば、遺伝子A-B-Cについては、遺伝子BがA及びC遺伝子配列にフランキングされている)。所定の実施形態では、入来配列は、両側で相同ボックスにフランキングされている。また別の実施形態においては、入来配列及び相同ボックスは、両側でスタッファー配列によってフランキングされている単位を含む。一部の実施形態では、フランキング配列は、一方の側(3’又は5’)にのみ存在するが、好ましい実施形態では、フランキングされている配列の両側に存在する。各相同ボックスの配列は、バチルス属(Bacillus)染色体内の配列と相同である。これらの配列は、バチルス属(Bacillus)染色体内に新規な構築物が組み込まれ、バチルス属(Bacillus)染色体のどの部分が入来配列により置換されるかを指令する。他の実施形態において、選択マーカーの5’側及び3’側末端は、不活化染色体断片の一部を含むポリヌクレオチド配列によってフランキングされている。一部の実施形態では、フランキング配列は、片方の側(3’又は5’のいずれか)にのみ存在するが、他の実施形態では、フランキングされている配列の両側に存在する。
本明細書で使用する用語「スタッファー配列」は、相同ボックスをフランキングする任意の追加DNA(典型的にはベクター配列)を指す。しかし、この用語は、任意の非相同DNA配列を包含する。何らかの理論によって制限されることなく、スタッファー配列は、DNA取り込みを開始する細胞にとって重要ではない標的を提供する。
II.B.リケニフォルミス(B.LICHENIFORMIS)RGHR1/RGHR2転写制御因子
バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)yvaN遺伝子は、rapG、rapH(Hayashi et al.,2006)及びrapD(Ogura & Fujita,2007)並びに改名されたrghRのリプレッサー(rapG及びrapHリプレッサー)であると同定された。rghRの下流には、機能は未知であるが、配列相同性に基づくとHTH型(ヘリックスターンヘリックス)転写調節因子をコードする遺伝子yvaOが存在する。「RghR」と「YvaO」との間のアミノ酸配列同一性は、およそ52%である。B.サブチリス(B.subtilis)の上流には、遺伝子yvzC及びyvaMが存在する。yvzC遺伝子は、さらに推定HTH型転写調節因子をコードするが、yvaMの翻訳産物は、推定ヒドロラーゼである。
より特別には、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)は、「RghR1」及び「RghR2」と命名されているバチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)RghR/YvaOの2つのホモログをコードする。B.サブチリス(B.subtilis)(168株)「RghR」タンパク質とB.リケニフォルミス(B.licheniformis)(DSM13株)「RghR1」タンパク質との間のアミノ酸配列同一性は、およそ59%である;及びB.サブチリス(B.subtilis)(168株)「RghR」とB.リケニフォルミス(B.licheniformis)(DSM13株)「RghR2」との間のアミノ酸配列同一性は、およそ57%である。
B.リケニフォルミス(B.licheniformis)のrghR1の上流には、2つの遺伝子、yvzC(BLi03645;配列番号17)転写調節因子及びBLi03644(配列番号19)転写調節因子が存在する。B.リケニフォルミス(B.licheniformis)YvzCは、B.サブチリス(B.subtilis)YvzCのホモログである。しかしながら、Bli03644は転写調節因子のAbrBファミリーに属しており、推定ヒドロラーゼYvaMのホモログではない。
より特別には、下記の実施例の項で提示及び考察するように、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)(DSM13株=ATTC14580)は、推定HTH型転写調節因子をコードする、rghR2(KEGGゲノムT00200 B.リケニフォルミス(B.licheniformis)のDSM13の遺伝子番号BLi03647)と命名された遺伝子を含有する。B.リケニフォルミス(B.licheniformis)(DSM13)のrghR2の核酸配列は、配列番号1に提示されており、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)(DSM13)のRghR2タンパク質のコードされたアミノ酸配列は、配列番号2に示されている。
例えば、本開示の出願人は、(1)B.リケニフォルミス(B.licheniformis)のBra7株のゲノム、(2)Bra7株のB.リケニフォルミス(B.licheniformis)の誘導体のゲノム、(3)B.リケニフォルミス(B.licheniformis)のATCC-9789株のゲノム(www.atcc.org/Products/All/9789.aspx)及び(4)B.リケニフォルミス(B.licheniformis)のATCC-6598株のゲノム(www.atcc.org/en/Products/All/6598.aspx)をシーケンシングしたが、これはこれらのB.リケニフォルミス(B.licheniformis)株全部がrghR2遺伝子内に18ヌクレオチド(18bp)の重複、(すなわち、反復)を有することを明らかにした(例えば、配列番号3を参照されたい;ヌクレオチド「GCCGCAGCCATTTCCAGA」は、連続順序で2回繰り返されるが、そのヌクレオチド重複は配列番号87に規定されている)及びこの18ヌクレオチド配列は、配列番号4の変異RghR2タンパク質が「AAAISR」の反復を含む(すなわち、配列番号6に示したように;AAAISR-AAAISR)ように、アミノ酸「AAAISR」(配列番号5)をコードする。
したがって、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)のBra7株(配列番号4)のRghR2タンパク質のアミノ酸配列は、配列番号4に示したように、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)のBra7誘導体、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)ATCC-9789株及びB.リケニフォルミス(B.licheniformis)ATCC-6598株のRghR2の配列と同一である。
B.リケニフォルミス(B.licheniformis)のBra7株のRghR2タンパク質のアミノ酸配列(配列番号4)とB.リケニフォルミス(B.licheniformis)のDSM13株のRghR2タンパク質のアミノ酸配列(配列番号2)とのアラインメントは、配列番号4における反復(AAAISR)を例示している図1に示した。配列「AAAISR」の挿入(反復)は、図8に示したようにヘリックスターンヘリックス(HTH)ドメイン内、及びRghR2タンパク質の配列特異的DNA結合部位の近くにある。
例えば、配列番号4の(例えば、rghR2dup遺伝子によってコードされた)RghR2タンパク質は、140個のアミノ酸残基、約16.1kDaの分子量、+4.5の理論的正味電荷及び9.38の理論的等電点(PI)(一次アミノ酸配列に基づく分子量、正味電荷及びPIの計算)を含むが、他方配列番号2の(例えば、天然若しくはrghR2rest遺伝子によってコードされた)RghR2タンパク質は、134個のアミノ酸残基、約15.6kDaの分子量、+3.5の理論的正味電荷及び8.85の理論的等電点(PI)(一次アミノ酸配列に基づく分子量、正味電荷及びPIの計算)を含む。同様に、Pfam解析(バージョン31.0)を使用したRghR2タンパク質の評価は、RghR2タンパク質が、HTHドメインが配列番号2のRghR2タンパク質のアミノ酸残基5~58内に含まれている、HTHファミリー_31(HTH_31;clan-0123)のヘリックスターンヘリックス(HTH)ドメインを含むことを示している。例えば、配列番号4の変異RghR2タンパク質をコードするB.リケニフォルミス(B.licheniformis)のBra7株のrghR2遺伝子は、6アミノ酸反復「AAAISR」の重複を含むが(図1)、この6アミノ酸反復は、HTHドメイン(アミノ酸)配列のほぼ中央に所在する。
特定の理論、作用機序若しくは作用様式によって拘束されることを望むものではないが、本明細書では、配列番号4における配列「AAAISR」の挿入(反復)は、転写調節因子としてのRghR2タンパク質の機能に有意な影響を及ぼす、又は完全に無効にさえすることが企図されている。例えば、転写調節因子として、RghR2は、数個の他の遺伝子の発現を直接的及び間接的に調節するであろう(例えば、実施例3を参照されたい)。したがって、配列番号6に規定した「AAAISR」アミノ酸反復をコードするこの18bpヌクレオチド重複によるRghR2の不活性化は、細胞の生理機能に影響を及ぼす、したがって、細胞増殖及び異種タンパク質産生のような因子に大きな影響を及ぼす可能性があると企図されている。より特別には、配列番号3の中に存在するこの18bpヌクレオチド重複が及ぼす大きな影響は、実施例2において、様々な異種酵素を産生するBra7(株)細胞内のB.リケニフォルミス(B.licheniformis)の誘導体のrghR2遺伝子内の18bp重複を取り除く(例えば、欠失させる)ことによって詳細に調査した。より特別には、図4に示したように、rghR2の18bp重複の欠失は、培養したときにバイオマス中での減少を示したが、同時に改良されたアミラーゼ産生力価(すなわち、関心対象のタンパク質の増加した産生)を証明した。したがって、図5に示したように、比生産性(酵素産生/OD600)は、rghR2の回復(すなわち、Δ18bp重複)株において少なくとも係数2は改善された。
III.B.リケニフォルミス(B.LICHENIFORMIS)rghR2変異細胞及びrghR2回復細胞において上方制御及び下方制御された遺伝子のトランスクリプトーム解析
実施例3において規定したように、Bra7株細胞のB.リケニフォルミス(B.licheniformis)の誘導体(すなわち、18bp重複を有するrghR2を含む;配列番号3)及びこの株のrghR2回復変異体(すなわち、18bp重複の除去による;配列番号1)のトランスクリプトーム解析は、数個の遺伝子の転写がrghR2によって調節されることを明らかにした。例えば、rghR2回復株において少なくとも2倍(すなわち、18bp重複を含むrghR2不活性株に比較して)上方制御及び下方制御された遺伝子の転写は、実施例3、表2及び表3に示されている。
より特別には、本明細書では、rghR2回復B.リケニフォルミス(B.licheniformis)株(すなわち、配列番号2のRghR2タンパク質をコードするrghR2遺伝子を含む)又はrghR2不活性化B.リケニフォルミス(B.licheniformis)株(すなわち、配列番号4のRghR2タンパク質をコードするrghR2遺伝子を含む)のいずれかでの表3における1つ以上の遺伝子の欠失、崩壊、不活性化又は下方制御が、rghR2遺伝子の再活性化によって観察された作用(すなわち、rghR2遺伝子内の18bp反復の除去/欠失を介して)に類似して、これらの改変宿主細胞内でのタンパク質産生にプラスの作用を有するであろうことは企図されている。そこで、実施例4に示したように、これらの遺伝子(すなわち、Bli03644(配列番号19);yvzC(配列番号17);abrB1(配列番号21)及びabh(配列番号23))のサブセットの不活性化(例えば、欠失、崩壊又は下方制御)が異種タンパク質産生に及ぼす作用を探索した。例えば、Bli03644、abrB1、yvzC及びabh遺伝子は、異種α-アミラーゼを産生するB.リケニフォルミス(B.licheniformis)のBra7誘導体中への抗生物質マーカーの挿入によって不活性化した。そこで、アミラーゼ産生は、4つの単一ノックアウト株(すなわち、ΔBLi03644、ΔabrB1、ΔyvzC及びΔabh)中で決定し、コントロールとしての親株と比較した(実施例2に記載したように)。より特別には、図7に示したように、Bli03644、abrB1、yvzC及びabhの不活性化は、改良されたアミラーゼ産生を生じさせたが、他方細胞増殖(OD600)はあまり影響を受けなかった(すなわち、増加した比生産性(Qp)を示している)。
IV.分子生物学
上記に規定したように、本開示の所定の実施形態は、配列番号4との90%の配列同一性を含むRghR2タンパク質をコードするrghR2遺伝子を含む親B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞に由来する改変B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞であって、改変細胞が、配列番号2との90%の配列同一性を含むRghR2タンパク質をコードするrghR2遺伝子の遺伝子改変を含む、改変B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞に関する。他の実施形態では、配列番号4のRghR2タンパク質をコードするrghR2遺伝子を含む親B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞に由来する改変B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞であって、改変細胞が、配列番号2のRghR2タンパク質をコードする回復rghR2遺伝子を含む、改変B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞に関する。また別の他の実施形態では、本開示は、配列番号2との90%の配列同一性を含むRghR2タンパク質をコードするrghR2遺伝子並びにabrB1、rpmJ、rpIM、BLi00412、rapK、phrK、BLi00753、yfjT、BLi00828、yhdX、yhzC、terf2、zosA、abbA、speG、yppF、BLi02543、mntR、BLi02768、sspA、BLi03127、BLi03635、mrgA、BLi03644、yvzC、rghR1、spo0F、ywjG、ywq12、BLi04199、BLi04200、licT、bglH及びbglPからなる群から選択される少なくとも1つの内在性B.リケニフォルミス(B.licheniformis)遺伝子を欠失させる、崩壊させる、不活性化する、又は下方制御する遺伝子改変を含む、親B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞に由来する改変B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞に関する。また別の実施形態では、本開示は、配列番号4との90%の配列同一性を含むRghR2タンパク質をコードするrghR2遺伝子並びにabrB1、rpmJ、rpIM、BLi00412、rapK、phrK、BLi00753、yfjT、BLi00828、yhdX、yhzC、terf2、zosA、abbA、speG、yppF、BLi02543、mntR、BLi02768、sspA、BLi03127、BLi03635、mrgA、BLi03644、yvzC、rghR1、spo0F、ywjG、ywq12、BLi04199、BLi04200、licT、bglH及びbglPからなる群から選択される少なくとも1つの内在性B.リケニフォルミス(B.licheniformis)遺伝子を欠失させる、崩壊させる、不活性化する、又は下方制御する遺伝子改変を含む、親B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞に由来する改変B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞に関する。他の実施形態は、RghR2タンパク質のHTHドメインのコーディング配列を変化させる遺伝子改変に関する。
したがって、本開示の所定の実施形態は、改変(rghR2rest)細胞を生成するために本開示の親B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞を遺伝子改変(変化)させるための組成物及び方法、並びにより特別には、(すなわち、(未改変)親B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞と比較して)増加した量の関心対象の内在性若しくは異種タンパク質を産生する改変B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞を提供する。
そこで、本開示の所定の実施形態は、バチルス属(Bacillus)細胞を遺伝子改変するための方法であって、その改変が、(a)遺伝子(若しくはそのORF)内での1つ以上のヌクレオチドの導入、置換若しくは除去又は遺伝子若しくはそのORFの転写若しくは翻訳のために必要とされる調節要素内の1つ以上のヌクレオチドの導入、置換若しくは除去、(b)遺伝子の崩壊、(c)遺伝子の変換、(d)遺伝子の欠失、(e)遺伝子の下方制御、(f)部位特異的変異誘発及び/又は(g)ランダム突然変異誘発を含むがそれらに限定されない方法に向けられる。例えば、本明細書で使用する遺伝子改変には、rghR1、rghR2、abrB1、rpmJ、rpIM、BLi00412、rapK、phrK、BLi00753、yfjT、BLi00828、yhdX、yhzC、terf2、zosA、abbA、speG、yppF、BLi02543、mntR、BLi02768、sspA、BLi03127、BLi03635、mrgA、BLi03644、yvzC、spo0F、ywjG、ywq12、BLi04199、BLi04200、licT、bglH及びbglPからなる群から選択される1つ以上の遺伝子の改変が含まれるがそれらに限定されない。
所定の実施形態では、本開示の改変バチルス属(Bacillus)細胞は、当分野において周知である方法、例えば、挿入、崩壊、置換又は欠失を使用して、上記に規定した遺伝子の発現を減少させる、又は排除することによって構築される。改変若しくは不活性化対象の遺伝子の部分は、例えば、コーディング領域又はコーディング領域を発現させるために必要とされる調節要素であってよい。
そのような調節配列若しくは制御配列の例は、プロモーター配列若しくはその機能的部分(すなわち、核酸配列の発現に影響を及ぼすために十分である部分)であり得る。改変のための他の制御配列には、リーダー配列、プロペプチド配列、シグナル配列、転写ターミネーター、転写活性化因子などが含まれるがそれらに限定されない。
所定の他の実施形態では、改変バチルス属(Bacillus)細胞は、本開示の上記の遺伝子の少なくとも1つの発現を排除若しくは減少させるための遺伝子欠失によって構築される。遺伝子欠失技術は、遺伝子の部分的若しくは完全除去を可能にし、それによりそれらの発現を排除する、又は非機能的(若しくは活性が減少した)タンパク質産物を発現させる。そのような方法では、遺伝子の欠失は、遺伝子をフランキングする5’及び3’領域を隣接して含有するために構築されていたプラスミドを使用する相同組み換えによって遂行され得る。隣接する5’及び3’領域は、例えば、プラスミドが細胞内で樹立されることを可能にする許容温度で第2選択可能マーカーと会合しているpE194などの感温性プラスミド上のバチルス属(Bacillus)細胞内に導入され得る。細胞はその後、相同フランキング領域の1つで染色体内に組み込まれたプラスミドを有する細胞を選択するために非許容温度へ転位させられる。プラスミドを組み込むための選択は、第2選択可能マーカーについての選択によって実施される。組み込み後、第2相同フランキング領域でさえの組み換えは、選択せずに細胞を数世代にわたり許容温度へ転位させることによって刺激される。細胞は、単一コロニーを得るためにプレーティングされ、コロニーは両方の選択可能マーカーの消失について試験される(例えば、Perego,1993を参照されたい)。したがって、当業者であれば(例えば、rghR1、rghR2、abrB1、rpmJ、rpIM、BLi00412、rapK、phrK、BLi00753、yfjT、BLi00828、yhdX、yhzC、terf2、zosA、abbA、speG、yppF、BLi02543、mntR、BLi02768、sspA、BLi03127、BLi03635、mrgA、BLi03644、yvzC、spo0F、ywjG、ywq12、BLi04199、BLi04200、licT、bglH及びbglP遺伝子(核酸)配列並びにそれらのコードされたタンパク質配列を参照することにより)、完全若しくは部分的欠失のために好適な遺伝子のコーディング配列及び/又は遺伝子の非コーディング配列内のヌクレオチド領域を容易に同定することができよう。
他の実施形態では、本開示の改変バチルス属(Bacillus)細胞は、それらの転写若しくは翻訳のために必要とされる遺伝子若しくは調節要素内の1つ以上のヌクレオチドを導入する、置換する、又は除去することによって構築される。例えば、ヌクレオチドは、停止コドンの導入、開始コドンの除去又はオープンリーディングフレームのフレームシフトを生じさせるように挿入又は除去され得る。そのような改変は、当分野において公知の方法にしたがって、部位特異的突然変異誘発又はPCR生成突然変異誘発によって実施され得る(例えば、Botstein and Shortle,1985;Lo et al.,1985;Higuchi et al.,1988;Shimada,1996;Ho et al.,1989;Horton et al.,1989及びSarkar and Sommer,1990を参照されたい)。したがって、所定の実施形態では、本開示の遺伝子は、完全若しくは部分的欠失によって不活性化される。
また別の実施形態では、改変バチルス属(Bacillus)細胞は、遺伝子変換のプロセスによって構築される(例えば、Iglesias and Trautner,1983を参照されたい)。例えば、遺伝子変換法では、遺伝子に対応する核酸配列は、in vitroで突然変異させられて欠陥のある核酸配列を産生し、この核酸配列は、その後親バチルス属(Bacillus)細胞に形質転換されて欠陥のある遺伝子を産生する。相同組み換えによって、欠陥のある核酸配列は、内在性遺伝子に取って代わる。欠陥のある遺伝子若しくは遺伝子断片が、欠陥のある遺伝子を含有する形質転換体を選択するために使用され得るマーカーもまたコードするのが望ましい場合がある。例えば、欠陥のある遺伝子は、選択可能マーカーと会合している非複製プラスミド若しくは感温性プラスミド上で導入され得る。プラスミドを組み込むための選択は、プラスミド複製を許容しない条件下でのマーカーについての選択によって実施される。遺伝子置換をもたらす第2組み換え事象についての選択は、選択可能マーカーの消失及び突然変異遺伝子の獲得についてのコロニーの調査によって実施される(Perego,1993)。又は、欠陥のある核酸配列は、下記で記載するように、遺伝子の1つ以上のヌクレオチドの挿入、置換又は欠失を含有し得る。
他の実施形態では、改変バチルス属(Bacillus)細胞は、遺伝子の核酸配列と相補的であるヌクレオチド配列を使用する確立されたアンチセンス技術によって構築される(Parish and Stoker,1997)。より詳細には、バチルス属(Bacillus)細胞による遺伝子の発現は、この遺伝子の核酸配列と相補的なヌクレオチド配列を導入することにより低減させる(下方制御する)又は排除することができ、これは細胞内で転写されることがあり、この細胞内で産生されるmRNAにハイブリダイズすることができる。そこで、相補的アンチセンスヌクレオチド配列がmRNAにハイブリダイズすることを許容する条件下では、翻訳されるタンパク質の量は低減又は除去される。そのようなアンチセンス法には、それらに限定されないが、RNA干渉(RNAi)、低分子干渉RNA(siRNA)、ミクロRNA(miRNA)、アンチセンスオリゴヌクレオチドなどが含まれ、これらは全部が当業者であれば周知である。
他の実施形態では、改変バチルス属(Bacillus)細胞は、CRISPR-Cas9編集によって産生/構築される。例えば、rghR1、rghR2、abrB1、rpmJ、rpIM、BLi00412、rapK、phrK、BLi00753、yfjT、BLi00828、yhdX、yhzC、terf2、zosA、abbA、speG、yppF、BLi02543、mntR、BLi02768、sspA、BLi03127、BLi03635、mrgA、BLi03644、yvzC、spo0F、ywjG、ywq12、BLi04199、BLi04200、licT、bglH及び/又はbglPをコードする遺伝子は、DNA上の標的配列にエンドヌクレアーゼを動員するガイドRNA(例えば、Cas9)及びCpf1若しくはガイドDNA(例えば、NgAgo)のいずれかを結合することによってそれらの標的DNAを見出す核酸誘導エンドヌクレアーゼによって崩壊(又は欠失若しくは下方制御)され得るが、ここでエンドヌクレアーゼはDNA内で一本鎖若しくは二本鎖切断を生成できる。この標的化DNA切断は、DNA修復のための基質となり、遺伝子を崩壊若しくは欠失させるための提供された編集鋳型と再結合し得る。例えば、核酸誘導エンドヌクレアーゼをコードする遺伝子(このためにはS.ピオゲネス(S.pyogenes)由来のCas9)又はCas9ヌクレアーゼをコードするコドン最適化遺伝子は、バチルス属(Bacillus)細胞内で活性なプロモーター及びバチルス属(Bacillus)細胞内で活性なターミネーターと機能的に連結しており、これによりバチルス属(Bacillus)Cas9発現カセットが作成される。同様に、関心対象の遺伝子に固有の1つ以上の標的部位は、当業者であれば容易に同定できる。例えば、関心対象の遺伝子内の標的部位に向けられたgRNAをコードするDNA構築物を構築するためには、可変ターゲティングドメイン(VT)は、そのヌクレオチドが、S.ピオゲネス(S.pyogenes)Cas9(CER)に対するCas9エンドヌクレアーゼ認識ドメインをコードするDNAに融合している、(PAM)プロトスペーサー隣接モチーフ(TGG)の5’側である標的部位のヌクレオチドを含むであろう。VTドメインをコードするDNAとCERドメインをコードするDNAとの組み合わせは、それによりgRNAをコードするDNAを生成する。したがって、gRNAのためのバチルス属(Bacillus)発現カセットは、バチルス属(Bacillus)細胞内で活性なプロモーター及びバチルス属(Bacillus)細胞内で活性なターミネーターにgRNAをコードするDNAを機能的に連結させることによって作成される。
所定の実施形態では、エンドヌクレアーゼによって誘導されたDNA切断は、入来配列を用いて修復/置換される。例えば、上述したCas9発現カセット及びgRNA発現カセットによって生成されたDNA切断を精密に修復するためには、細胞のDNA修復機構が編集鋳型を利用できるように、ヌクレオチド編集鋳型が提供される。例えば、標的化遺伝子の約500bpの5’側は、編集鋳型を生成するために標的化遺伝子の約500bpの3’側に融合させることができ、その鋳型は、RGENによって生成されたDNA切断を修復するためにバチルス属(Bacillus)宿主の機構によって使用される。
Cas9発現カセット、gRNA発現カセット及び編集鋳型は、多数の様々な方法(例えば、プロトプラスト融合法、エレクトロポレーション法、天然コンピテンス又は誘導コンピテンス)を使用して糸状菌細胞に共送達することができる。形質転換細胞は、遺伝子座をフォワードプライマー及びリバースプライマーを用いて増幅させることによる、標的遺伝子座をPCR増幅させることによってスクリーニングされる。これらのプライマーは、野生型遺伝子座又はRGENによって編集されている改変遺伝子座を増幅させることができる。これらの断片は、次に編集されたコロニーを同定するためにシーケンシングプライマーを使用してシーケンシングされる(例えば、下記の実施例6及び7を参照されたい)。
さらに他の実施形態では、改変バチルス属(Bacillus)細胞は、化学的突然変異誘発(例えば、Hopwood,1970を参照されたい)及び転座(例えば、Youngman et al.,1983を参照されたい)を含むがそれらに限定されない当分野において周知の方法を使用して、ランダム突然変異誘発又は特異的突然変異誘発によって構築される。遺伝子の改変は、親細胞に突然変異誘発を受けさせること、及びその中で遺伝子の発現が低減若しくは排除されている突然変異細胞についてスクリーニングすることによって実施され得る。特異的であってもランダムであってもよい突然変異誘発は、例えば、好適な物理的若しくは化学的変異誘発剤の使用によって、好適なオリゴヌクレオチドの使用によって、又はDNA配列をPCR生成変異誘発(PCR-generated mutagenesis)にかけることによって実施され得る。さらに、この突然変異誘発は、これらの突然変異誘発法の任意の組合せの使用により実施され得る。
本発明のために好適な物理的若しくは化学的突然変異誘発剤の例としては、紫外線(UV)照射、ヒドロキシルアミン、N-メチル-N’-ニトロ-N-ニトロソグアニジン(MNNG)、N-メチル-N’-ニトロソグアニジン(NTG)、O-メチルヒドロキシルアミン、亜硝酸、メタンスルホン酸エチル(EMS)、亜硫酸水素ナトリウム、蟻酸及びヌクレオチドアナログが挙げられる。そのような薬剤を使用する場合、突然変異誘発は、典型的には、好適な条件下で最適な変異誘発剤の存在下で突然変異誘発対象の親細胞をインキュベートする工程、及び遺伝子の減少した発現を示す、又は発現を示さない突然変異細胞を選択する工程によって実施される。
所定の他の実施形態では、改変バチルス属(Bacillus)細胞は、rghR1、rghR2、abrB1、rpmJ、rpIM、BLi00412、rapK、phrK、BLi00753、yfjT、BLi00828、yhdX、yhzC、terf2、zosA、abbA、speG、yppF、BLi02543、mntR、BLi02768、sspA、BLi03127、BLi03635、mrgA、BLi03644、yvzC、spo0F、ywjG、ywq12、BLi04199、BLi04200、licT、bglH及びbglPから選択される内在性遺伝子の欠失を含む。したがって、所定のこれらの実施形態では、改変バチルス属(Bacillus)細胞は、上述したように構築される。
他の実施形態では、改変バチルス属(Bacillus)細胞は、rghR1、rghR2、abrB1、rpmJ、rpIM、BLi00412、rapK、phrK、BLi00753、yfjT、BLi00828、yhdX、yhzC、terf2、zosA、abbA、speG、yppF、BLi02543、mntR、BLi02768、sspA、BLi03127、BLi03635、mrgA、BLi03644、yvzC、spo0F、ywjG、ywq12、BLi04199、BLi04200、licT、bglH及びbglPから選択される内在性遺伝子の崩壊を含む。所定の実施形態では、本開示のポリヌクレオチド崩壊カセットは、マーカー遺伝子を含む。
他の実施形態では、改変バチルス属(Bacillus)細胞は、rghR1、rghR2、abrB1、rpmJ、rpIM、BLi00412、rapK、phrK、BLi00753、yfjT、BLi00828、yhdX、yhzC、terf2、zosA、abbA、speG、yppF、BLi02543、mntR、BLi02768、sspA、BLi03127、BLi03635、mrgA、BLi03644、yvzC、spo0F、ywjG、ywq12、BLi04199、BLi04200、licT、bglH及びbglPから選択される下方制御された内在性遺伝子を含む。例えば、所定の実施形態では、上記に規定した1つ以上の遺伝子を下方制御する工程は、その遺伝子の上流若しくは下流の調節要素を欠失させる、又は崩壊させる工程を含む。
国際公開第2003/083125号パンフレットは、E.コリ(E.coli)を迂回するためにPCR融合を使用する、例えばバチルス属(Bacillus)欠失株及びDNA構築物の作成などの、バチルス属(Bacillus)細胞を改変するための方法を開示している。国際公開第2002/14490号パンフレットは、(1)統合的プラスミド(pComK)の構築及び形質転換、(2)コーディング配列、シグナル配列及びプロペプチド配列のランダム突然変異誘発、(3)相同組み換え、(4)形質転換DNAに非相同フランクを付加することにより形質転換効率を増加させること、(5)二重交差組み込みを最適化すること、(6)部位特異的突然変異誘発、及び(7)マーカーレス欠失を含むバチルス属(Bacillus)細胞を改変するための方法を開示している。
当業者であれば、細菌細胞(例えば、E.コリ(E.coli)及びバチルス種(Bacillus spp.))中にポリヌクレオチド配列を導入するために好適な方法を十分に承知している(例えば、Ferrari et al.,1989;Saunders et al.,1984;Hoch et al.,1967;Mann et al.,1986;Holubova,1985;Chang et al.,1979;Vorobjeva et al.,1980;Smith et al.,1986;Fisher et.al.,1981及びMcDonald,1984を参照されたい)。実際に、プロトプラスト形質転換及び会合、形質導入並びにプロトプラスト融合を含む形質転換などの方法は公知であり、本開示での使用に適している。形質転換法は、特に、本開示のDNA構築物を宿主細胞内に導入するために好ましい。
一般に使用される方法に加えて、一部の実施形態では、宿主細胞は、直接的に形質転換させられる(すなわち、宿主細胞内に導入する前にDNA構築物を増幅させるために、又はさもなければプロセシングするために中間細胞が使用されない)。DNA構築物の宿主細胞内への導入には、プラスミド若しくはベクター内へ挿入することなく、DNAを宿主細胞内に導入するために当分野において公知であるそれらの物理的及び化学的方法が含まれる。そのような方法としては、限定されないが、塩化カルシウム沈降法、エレクトロポレーション法、裸のDNA法、リポソーム法などが挙げられる。追加の実施形態では、DNA構築物は、プラスミドに挿入することなく、プラスミドと共に同時形質転換させられる。また別の実施形態では、選択マーカーは、当分野において公知の方法によって改変バチルス属(Bacillus)株から欠失させられる、又は実質的に切除される(例えば、Stahl et al.,1984及びPalmeros et al.,2000を参照されたい)。一部の実施形態では、宿主染色体由来のベクターの分解は、染色体内のフランキング領域を残すが、他方では固有の染色体領域を除去する。
バチルス属(Bacillus)細胞内での遺伝子の発現において使用するためのプロモーター及びプロモーター配列、それらのオープンリーディングフレーム(ORF)及び/又はそれらの変異配列は、一般に当業者には公知である。本開示のプロモーター配列は、一般に、それらがバチルス属(Bacillus)細胞(例えば、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞、B.サブチリス(B.subtilis)細胞など)内で機能的であるように選択される。所定の典型的なバチルス属(Bacillus)プロモーター配列は、表6に提示した。同様に、バチルス属(Bacillus)細胞内での遺伝子発現を駆動するために有用なプロモーターには、B.サブチリス(B.subtilis)のアルカリプロテアーゼ(aprE)プロモーター(Stahl et al.,1984)、B.サブチリス(B.subtilis)のα-アミラーゼプロモーター(Yang et al.,1983)、B.アミロリケファシエンス(B.amyloliquefaciens)のα-アミラーゼプロモーター(Tarkinen et al.,1983)、B.サブチリス(B.subtilis)由来の天然プロテアーゼ(nprE)プロモーター(Yang et al.,1984)、突然変異aprEプロモーター(国際公開第2001/51643号パンフレット)又はB.リケニフォルミス(B.licheniformis)若しくは他の関連バチルス属(Bacillus)由来の任意の他のプロモーターが含まれるが、それらに限定されない。所定の他の実施形態では、プロモーターは、米国特許出願公開第2014/0329309号明細書に開示されたリボソームタンパク質プロモーター若しくはリボソームRNAプロモーター(例えば、rrnIプロモーター)である。バチルス属(Bacillus)細胞内で広範囲の活性(プロモーター強度)を備えるプロモーターライブラリーをスクリーニング及び作成するための方法は、国際公開第2003/089604号パンフレットに記載されている。
V.関心対象のタンパク質を産生するための改変細胞の培養
他の実施形態では、本開示は、未改変(親)細胞と比較して(すなわち、それに対して)改変バチルス属(Bacillus)細胞のタンパク質生産性を増加させるための方法を提供する。所定の実施形態では、本開示は、改変細菌細胞を発酵させる/培養する工程を含む関心対象のタンパク質(POI)を産生する方法に向けられるが、ここで改変細胞は、POIを培養培地中に分泌する。本開示の改変及び未改変バチルス属(Bacillus)細胞を発酵させるためには、当該技術分野で周知の発酵方法を適用することができる。
一部の実施形態では、細胞は、バッチ又は連続発酵条件下で培養される。古典的なバッチ発酵は、培地の組成が発酵の開始時に設定され、発酵中には変更されない閉鎖系である。発酵の開始時に、培地には所望の生物が接種される。この方法では、この系にいかなる成分も添加することなく醗酵が許容される。典型的には、バッチ発酵は、炭素源の添加に関して「バッチ」であると見なされ、pH及び酸素濃度などの因子を制御することが頻繁に行われる。バッチシステムの代謝産物及びバイオマス組成物は、発酵が停止される時点まで絶えず変化する。典型的なバッチ培養内では、細胞は静的誘導期を経由して高増殖対数期へ進行し、最終的には増殖率が減少若しくは停止する静止期に進む。未処理であれば、静止期にある細胞は最終的には死滅する。一般に、対数期の細胞は、生成物の大部分の産生を担っている。
標準バッチ系に関する好適な変形形態は、「フェドバッチ発酵」系である。典型的なバッチ系のこの変形形態では、発酵が進行するにつれて基質が徐々に加えられる。フェドバッチ系は、異化代謝産物抑制が細胞の代謝を抑制する可能性が高い場合、及び培地中で限定量の基質を有することが所望である場合に有用である。フェドバッチ系内での実際の基質濃度の測定は困難であり、このため例えばpH、溶存酸素及びCO2などの排気ガスの部分圧などの測定可能な因子の変化に基づいて推定される。バッチ及びフェドバッチ発酵は、当該技術分野において一般的であり、公知である。
連続発酵は、定義された発酵培地がバイオリアクターに連続的に加えられ、同時に処理のために等量の馴化培地が除去される開放系である。連続発酵は、一般に、細胞が主として対数増殖期にある一定の高密度で培養を維持する。連続発酵は、細胞の増殖及び/又は産生物の濃度に影響を及ぼす1つ以上の因子の調節を許容する。例えば、1つの実施形態では、例えば炭素源又は窒素源などの制限栄養素が一定比率で維持され、他の全てのパラメータは調節することができる。他の系では、培地の濁度によって測定される細胞濃度を一定に保ちながら、増殖に影響を及ぼす多数の因子は連続的に変化させられ得る。連続系は、定常状態の増殖条件を維持しようとする。したがって、培地を取り出すことによる細胞損失は、発酵中の細胞増殖速度と平衡させられなければならない。連続発酵プロセスのための栄養素及び増殖因子を調節する方法並びに産物形成速度を最大化するための手法は、工業微生物学の分野においては周知である。
したがって、所定の実施形態では、形質転換(改変)宿主細胞によって産生されたPOIは、従来の手順、例えば、宿主細胞を培地から遠心分離若しくは濾過によって分離する、又は、必要であれば、細胞を破壊し、上清を細胞破砕物及び残屑から取り除くことによって、培養培地から回収することができる。典型的には、清浄化後、上清若しくは濾液のタンパク質成分は、塩、例えば、硫酸アンモニウムによって沈澱させられる。その後、沈澱したタンパク質は可溶化され、様々なクロマトグラフ法、例えば、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過によって精製され得る。
VI.改変(宿主)細胞により産生される関心対象のタンパク質
本開示の関心対象のタンパク質(POI)は、任意の内在性若しくは異種タンパク質であってよく、そのようなPOIの変異体であってよい。タンパク質は、1つ以上のジスルフィド架橋を含有し得る、又はその機能的形態が単量体若しくは多量体であるタンパク質であり、すなわち、タンパク質は、四次構造を有し、複数の同一(相同)若しくは非同一(異種)サブユニットから構成され、ここで、POI若しくはその変異POIは、好ましくは関心対象の特性を備えるタンパク質である。
例えば、下記の実施例の項において規定するように、本開示の改変(rghR2rest)バチルス属(Bacillus)細胞は、増加した量の異種POI(例えば、実施例2及び5に規定した異種アミラーゼ)を産生するが、他方培養された場合はバイオマス中での減少を示す。したがって、所定の実施形態では、本開示の改変細胞は、内在性POI、異種POI又はそれらの1つ以上の組み合わせを発現する。例えば、所定の実施形態では、本開示の改変バチルス属(Bacillus)細胞は、その未改変(親)細胞と比較して、少なくとも約0.5%超、少なくとも約1%超、少なくとも約5%超、少なくとも約6%超、少なくとも約7%超、少なくとも約8%超、少なくとも約9%超又は少なくとも約10%以上のPOIを産生する。
所定の実施形態では、本開示の改変バチルス属(Bacillus)細胞は、(未改変)親バチルス属(Bacillus)細胞と比較して、POIの増加した比生産性(Qp)を示す。例えば、比生産性(Qp)の検出は、タンパク質産生を評価するための好適な方法である。比生産性(Qp)は、下記の方程式:
「Qp=gP/gDCW・hr」
(式中、「gP」は、タンク中で産生したタンパク質のグラム数であり;「gDCW」は、タンク中の乾燥細胞重量(DCW)のグラム数であり、「hr」は、産生時間並びに増殖時間を含む、接種時点からの発酵時間である)によって決定できる。
したがって、所定の他の実施形態では、本開示の改変バチルス属(Bacillus)細胞は、未改変(親)細胞と比較して、少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%又は少なくとも約10%以上の比生産性(Qp)の増加を含む。
所定の実施形態では、POI若しくはその変異POIは、アセチルエステラーゼ、アミノペプチダーゼ、アミラーゼ、アラビナーゼ、アラビノフラノシダーゼ、炭酸脱水酵素、カルボキシペプチダーゼ、カタラーゼ、セルラーゼ、キチナーゼ、キモシン、クチナーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、エピメラーゼ、エステラーゼ、α-ガラクトシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、α-グルカナーゼ、グルカンリアーゼ(glucan lysases)、エンド-β-グルカナーゼ、グルコアミラーゼ、グルコースオキシダーゼ、α-グルコシダーゼ、β-グルコシダーゼ、グルクロニダーゼ、グリコシルヒドロラーゼ、ヘミセルラーゼ、ヘキソースオキシダーゼ、ヒドロラーゼ、インベルターゼ、イソメラーゼ、ラッカーゼ、リガーゼ、リパーゼ、リアーゼ、マンノシダーゼ、オキシダーゼ、酸化還元酵素、ペクチン酸リアーゼ、ペクチンアセチルエステラーゼ、ペクチンデポリメラーゼ、ペクチンメチルエステラーゼ、ペクチン分解酵素、ペルヒドロラーゼ、ポリオールオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、フィターゼ、ポリガラクツロナーゼ、プロテアーゼ、ペプチダーゼ、ラムノ-ガラクツロナーゼ、リボヌクレアーゼ、トランスフェラーゼ、輸送タンパク質、トランスグルタミナーゼ、キシラナーゼ、ヘキソースオキシダーゼ及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
したがって、所定の実施形態では、POI若しくはその変異POIは、酵素番号(EC)のEC1、EC2、EC3、EC4、EC5若しくはEC6から選択される酵素である。
例えば、所定の実施形態では、POIは、EC1.10.3.2(例えば、ラッカーゼ)、EC1.10.3.3(例えば、L-アスコルビン酸オキシダーゼ)、EC1.1.1.1(例えば、アルコール脱水素酵素)、EC1.11.1.10(例えば、塩化物ペルオキシダーゼ)、EC1.11.1.17(例えば、ペルオキシダーゼ)、EC1.1.1.27(例えば、L-乳酸脱水素酵素)、EC1.1.1.47(例えば、グルコース1-脱水素酵素)、EC1.1.3.X(例えば、グルコースオキシダーゼ)、EC1.1.3.10(例えば、ピラノースオキシダーゼ)、EC1.13.11.X(例えば、ジオキシゲナーゼ)、EC1.13.11.12(例えば、リノール酸13S-リポキシゲナーゼ)、EC1.1.3.13(例えば、アルコールオキシダーゼ)、EC1.14.14.1(例えば、モノオキシゲナーゼ)、EC1.14.18.1(例えば、モノフェノールモノオキシゲナーゼ)、EC1.15.1.1(例えば、スーパーオキシドジスムターゼ)、EC1.1.5.9(以前のEC1.1.99.10、例えば、グルコース脱水素酵素)、EC1.1.99.18(例えば、セロビオース脱水素酵素)、EC1.1.99.29(例えば、ピラノース脱水素酵素)、EC1.2.1.X(例えば、脂肪酸還元酵素)、EC1.2.1.10(例えば、アセトアルデヒド脱水素酵素)、EC1.5.3.X(例えば、フルクトシルアミン還元酵素)、EC1.8.1.X(例えば、ジスルフィド還元酵素)及びEC1.8.3.2(例えば、チオールオキシダーゼ)から選択されるEC1酵素(酸化還元酵素)を含むがそれらに限定されない酸化還元酵素である。
所定の実施形態では、POIは、EC2.3.2.13(例えば、トランスグルタミナーゼ)、EC2.4.1.X(例えば、ヘキソシルトランスフェラーゼ)、EC2.4.1.40(例えば、アルテルナスクラーゼ(alternasucrase)、EC2.4.1.18(例えば、1,4α-グルカン分枝酵素)、EC2.4.1.19(例えば、シクロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼ)、EC2.4.1.2(例えば、デキストリンデキストラナーゼ)、EC2.4.1.20(例えば、セロビオースホスホリラーゼ)、EC2.4.1.25(例えば、4-α-グルカノトランスフェラーゼ)、EC2.4.1.333(例えば、1,2-β-オリゴグルカンリントランスフェラーゼ)、EC2.4.1.4(例えば、アミロスクラーゼ)、EC2.4.1.5(例えば、デキストランスクラーゼ)、EC2.4.1.69(例えば、ガラクトシド2-α-L-フコシルトランスフェラーゼ)、EC2.4.1.9(例えば、イヌロスクラーゼ)、EC2.7.1.17(例えば、キシルロキナーゼ)、EC2.7.7.89(以前のEC3.1.4.15、例えば、[グルタミンシンテターゼ]-アデニリル-L-チロシンホスホリラーゼ)、EC2.7.9.4(例えば、αグルカンキナーゼ)及びEC2.7.9.5(例えば、ホスホグルカンキナーゼ)から選択されるEC2(トランスフェラーゼ)酵素を含むがそれらに限定されないトランスフェラーゼ酵素である。
他の実施形態では、POIは、EC3.1.X.X(例えば、エステラーゼ)、EC3.1.1.1(例えば、ペクチナーゼ)、EC3.1.1.14(例えば、クロロフィラーゼ)、EC3.1.1.20(例えば、タンナーゼ)、EC3.1.1.23(例えば、グリセロール-エステルアシルヒドロラーゼ)、EC3.1.1.26(例えば、ガラクトリパーゼ)、EC3.1.1.32(例えば、ホスホリパーゼA1)、EC3.1.1.4(例えば、ホスホリパーゼA2)、EC3.1.1.6(例えば、アセチルエステラーゼ)、EC3.1.1.72(例えば、アセチルキシランエステラーゼ)、EC3.1.1.73(例えば、フェルロイルエステラーゼ)、EC3.1.1.74(例えば、クチナーゼ)、EC3.1.1.86(例えば、ラムノガラクツロナンアセチルエステラーゼ)、EC3.1.1.87(例えば、フモシンB1エステラーゼ)、EC3.1.26.5(例えば、リボヌクレアーゼP)、EC3.1.3.X(例えば、リン酸加水分解酵素)、EC3.1.30.1(例えば、アスペルギルス(Aspergillus)ヌクレアーゼS1)、EC3.1.30.2(例えば、セルチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)ヌクレアーゼ)、EC3.1.3.1(例えば、アルカリホスファターゼ)、EC3.1.3.2(例えば、酸性ホスファターゼ)、EC3.1.3.8(例えば、3-フィターゼ)、EC3.1.4.1(例えば、ホスホジエステラーゼI)、EC3.1.4.11(例えば、ホスホイノシチドホスホリパーゼC)、EC3.1.4.3(例えば、ホスホリパーゼC)、EC3.1.4.4(例えば、ホスホリパーゼD)、EC3.1.6.1(例えば、アリールスルファターゼ)、EC3.1.8.2(例えば、ジイソプロピル-フルオロホスファターゼ)、EC3.2.1.10(例えば、オリゴ-1,6-グルコシダーゼ)、EC3.2.1.101(例えば、マンナンエンド-1,6-α-マンノシダーゼ)、EC3.2.1.11(例えば、α-1,6-グルカン-6-グルカノヒドロラーゼ)、EC3.2.1.131(例えば、キシランα-1,2-グルクロノシダーゼ)、EC3.2.1.132(例えば、キトサンN-アセチルグルコサミノヒドロラーゼ)、EC3.2.1.139(例えば、α-グルクロニダーゼ)、EC3.2.1.14(例えば、キチナーゼ)、EC3.2.1.151(例えば、キシログルカン特異的エンド-β-1,4-グルカナーゼ)、EC3.2.1.155(例えば、キシログルカン特異的エキソ-β-1,4-グルカナーゼ)、EC3.2.1.164(例えば、ガラクタンエンド-1,6-β-ガラクトシダーゼ)、EC3.2.1.17(例えば、リゾチーム)、EC3.2.1.171(例えば、ラムノガラクツロナンヒドロラーゼ)、EC3.2.1.174(例えば、ラムノガラクツロナンラムノヒドロラーゼ)、EC3.2.1.2(例えば、β-アミラーゼ)、EC3.2.1.20(例えば、α-グルコシダーゼ)、EC3.2.1.22(例えば、α-ガラクトシダーゼ)、EC3.2.1.25(例えば、β-マンノシダーゼ)、EC3.2.1.26(例えば、β-フルクトフラノシダーゼ)、EC3.2.1.37(例えば、キシラン1,4-β-キシロシダーゼ)、EC3.2.1.39(例えば、グルカンエンド-1,3-β-D-グルコシダーゼ)、EC3.2.1.40(例えば、α-L-ラムノシダーゼ)、EC3.2.1.51(例えば、α-L-フコシダーゼ)、EC3.2.1.52(例えば、β-N-アセチルヘキソサミニダーゼ)、EC3.2.1.55(例えば、α-N-アラビノフラノシダーゼ)、EC3.2.1.58(例えば、グルカン1,3-β-グルコシダーゼ)、EC3.2.1.59(例えば、グルカンエンド-1,3-α-グルコシダーゼ)、EC3.2.1.67(例えば、ガラクツラン1,4-α-ガクツロニダーゼ)、EC3.2.1.68(例えば、イソアミラーゼ)、EC3.2.1.7(例えば、1-β-D-フルクタンフルクタノヒドロラーゼ)、EC3.2.1.74(例えば、グルカン1,4-β-グルコシダーゼ)、EC3.2.1.75(例えば、グルカンエンド-1,6-β-グルコシダーゼ)、EC3.2.1.77(例えば、マンナン1,2-(1,3)-α-マンノシダーゼ)、EC3.2.1.80(例えば、フルクタンβ-フルクトシダーゼ)、EC3.2.1.82(例えば、エキソ-ポリ-α-ガラクツロニシダーゼ)、EC3.2.1.83(例えば、κ-カラギナーゼ)、EC3.2.1.89(例えば、アラビノガラクタンエンド-1,4-β-ガラクトシダーゼ)、EC3.2.1.91(例えば、セルロース1,4-β-セロビオシダーゼ)、EC3.2.1.96(例えば、マンノシル-グリコプロテインエンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼ)、EC3.2.1.99(例えば、アラビナンエンド-1,5-α-L-アラビナナーゼ)、EC3.4.X.X(例えば、ペプチダーゼ)、EC3.4.11.X(例えば、アミノペプチダーゼ)、EC3.4.11.1(例えば、ロイシルアミノペプチダーゼ)、EC3.4.11.18(例えば、メチオニルアミノペプチダーゼ)、EC3.4.13.9(例えば、Xaa-Proジペプチダーゼ)、EC3.4.14.5(例えば、ジペプチジル-ペプチダーゼIV)、EC3.4.16.X(例えば、セリン型カルボキシペプチダーゼ)、EC3.4.16.5(例えば、カルボキシペプチダーゼC)、EC3.4.19.3(例えば、ピログルタミル-ペプチダーゼI)、EC3.4.21.X(例えば、セリンエンドペプチダーゼ)、EC3.4.21.1(例えば、キモトリプシン)、EC3.4.21.19(例えば、グルタミルエンドペプチダーゼ)、EC3.4.21.26(例えば、プロリルオリゴペプチダーゼ)、EC3.4.21.4(例えば、トリプシン)、EC3.4.21.5(例えば、トロンビン)、EC3.4.21.63(例えば、オリジン)、EC3.4.21.65(例えば、テルモミコリン)、EC3.4.21.80(例えば、ストレプトグリシンA)、EC3.4.22.X(例えば、システインエンドペプチダーゼ)、EC3.4.22.14(例えば、アクチニダイン)、EC3.4.22.2(例えば、パパイン)、EC3.4.22.3(例えば、フィカイン)、EC3.4.22.32(例えば、ステムブロメライン)、EC3.4.22.33(例えば、フルーツブロメライン)、EC3.4.22.6(例えば、キモパパイン)、EC3.4.23.1(例えば、ペプシンA)、EC3.4.23.2(例えば、ペプシンB)、EC3.4.23.22(例えば、エンドチアペプシン)、EC3.4.23.23(例えば、ムコールペプシン)、EC3.4.23.3(例えば、ガストリクシン)、EC3.4.24.X(例えば、メタロエンドペプチダーゼ)、EC3.4.24.39(例えば、ドイテロリシン)、EC3.4.24.40(例えば、セラリシン)、EC3.5.1.1(例えば、アスパラギナーゼ)、EC3.5.1.11(例えば、ペニシリンアミダーゼ)、EC3.5.1.14(例えば、N-アシル-脂肪族-L-アミノ酸アミドヒドロラーゼ)、EC3.5.1.2(例えば、L-グルタミンアミドヒドロラーゼ)、EC3.5.1.28(例えば、N-アセチルムラモイル-L-アラニンアミダーゼ)、EC3.5.1.4(例えば、アミダーゼ)、EC3.5.1.44(例えば、タンパク質-L-グルタミンアミドヒドロラーゼ)、EC3.5.1.5(例えば、ウレアーゼ)、EC3.5.1.52(例えば、ペプチド-N(4)-(N-アセチル-β-グルコサミニル)アスパラギンアミダーゼ)、EC3.5.1.81(例えば、N-アシル-D-アミノ酸デアシラーゼ)、EC3.5.4.6(例えば、AMPデアミナーゼ)及びEC3.5.5.1(例えば、ニトリラーゼ)から選択されるEC3(ヒドロラーゼ)酵素を含むがそれらに限定されないヒドロラーゼ酵素である。
他の実施形態では、POIは、EC4.1.2.10(例えば、マンデロニトリルリアーゼ)、EC4.1.3.3(例えば、N-アセチルノイラミン酸リアーゼ)、EC4.2.1.1(例えば、炭酸脱水酵素)、EC4.2.2.-(例えば、ラムノガラクツロナンリアーゼ)、EC4.2.2.10(例えば、ペクチンリアーゼ)、EC4.2.2.22(例えば、ペクチン酸三糖リアーゼ)、EC4.2.2.23(例えば、ラムノガラクツロナンエンドリアーゼ)及びEC4.2.2.3(例えば、マンヌロン酸特異的アルギン酸リアーゼ)から選択されるEC4(リアーゼ)酵素を含むがそれらに限定されないリアーゼ酵素である。
所定の他の実施形態では、POIは、EC5.1.3.3(例えば、アルドース1-エピメラーゼ)、EC5.1.3.30(例えば、D-プシコース3-エピメラーゼ)、EC5.4.99.11(例えば、イソマルツロースシンターゼ)及びEC5.4.99.15(例えば、(1→4)-α-D-グルカン1-α-D-グルコシルムターゼ)から選択されるEC5(イソメラーゼ)酵素を含むがそれらに限定されないイソメラーゼ酵素である。
さらに他の実施形態では、POIは、EC6.2.1.12(例えば、4-クマリン酸塩:補酵素Aリガーゼ)及びEC6.3.2.28(例えば、L-アミノ酸α-リガーゼ)9から選択されるEC6(リガーゼ)酵素を含むがそれらに限定されないリガーゼ酵素である。
したがって、所定の実施形態では、工業用プロテアーゼを産生するバチルス属(Bacillus)宿主細胞は、特に好ましい発現宿主を提供する。同様に、所定の他の実施形態では、工業用アミラーゼを産生するバチルス属(Bacillus)宿主細胞は、特に好ましい発現宿主を提供する。
例えば、典型的にはバチルス種(Bacillus spp.)によって分泌されるプロテアーゼには、2つの一般型、すなわち、中性(若しくは「金属プロテアーゼ」)及びアルカリ性(若しくは「セリン」)プロテアーゼがある。例えば、バチルス・サブチリシン(Bacillus subtilisin)タンパク質(酵素)は、本開示において使用するための典型的なセリンプロテアーゼである。極めて様々なバチルス・サブチリシン(Bacillus subtilisin)、例えば、サブチリシン168、サブチリシンBPN’、サブチリシンカールスバーグ、サブチリシンDY、サブチリシン147及びサブチリシン309が同定及びシーケンシングされている(例えば、国際公開第1989/06279号パンフレット;及びStahl et al.,1984を参照されたい)。本開示の一部の実施形態では、改変バチルス属(Bacillus)細胞は、突然変異(mutant)(すなわち、変異)プロテアーゼを産生する。数多くの参考文献、例えば国際公開第1999/20770号パンフレット;同第1999/20726号パンフレット;同第1999/20769号パンフレット;同第1989/06279号パンフレット;米国再発行特許第34,606号明細書;米国特許第4,914,031号明細書;同第4,980,288号明細書;同第5,208,158号明細書;同第5,310,675号明細書;同第5,336,611号明細書;同第5,399,283号明細書;同第5,441,882号明細書;同第5,482,849号明細書;同第5,631,217号明細書;同第5,665,587号明細書;同第5,700,676号明細書;同第5,741,694号明細書;同第5,858,757号明細書;同第5,880,080号明細書;同第6,197,567号明細書及び同第6,218,165号明細書は、変異プロテアーゼの例を提供する。したがって、所定の実施形態では、本開示の改変バチルス属(Bacillus)細胞は、プロテアーゼをコードする発現構築物を含む。
所定の他の実施形態では、本開示の改変バチルス属(Bacillus)細胞は、アミラーゼをコードする発現構築物を含む。広範囲のアミラーゼ酵素及びそれらの変異体は、当業者には公知である。例えば、国際公開第2006/037484号パンフレット及び同第2006/037483号パンフレットは、改善された溶媒安定性を有する変異α-アミラーゼを開示しており、国際公開第1994/18314号パンフレットは、酸化的に安定性であるα-アミラーゼ変異体について記載しており、国際公開第1999/19467号パンフレット、同第2000/29560号パンフレット及び同第2000/60059号パンフレットは、Termamyl様α-アミラーゼ変異体を開示しており、国際公開第2008/112459号パンフレットは、バチルス種(Bacillus sp.)707番に由来するα-アミラーゼ変異体を開示しており、国際公開第1999/43794号パンフレットは、マルト生成α-アミラーゼ変異体を開示しており、国際公開第1990/11352号パンフレットは、超耐熱性α-アミラーゼ変異体を開示しており、国際公開第2006/089107号パンフレットは、粒状デンプン加水分解活性を有するα-アミラーゼ変異体を開示している。
他の実施形態では、本開示の改変細胞内で発現及び産生したPOI若しくは変異POIは、ペプチド、ペプチドホルモン、増殖因子、凝固因子、ケモカイン、サイトカイン、リンホカイン、抗体、受容体、接着分子、微生物抗原(例えば、HBV表面抗原、HPV E7など)、及びそれらの変異体、それらの断片などである。他のタイプの関心対象のタンパク質(若しくは変異体)は、食品又は作物に栄養価を提供することのできるタンパク質であり得る。非限定的な例としては、抗栄養因子の形成を阻害できる植物タンパク質及びより望ましいアミノ酸組成(例えば、非トランスジェニック植物より高いリシン含量)を有する植物タンパク質が挙げられる。
細胞内及び細胞外で発現したタンパク質の活性を検出及び測定するためには、当業者には公知の様々な方法がある。特に、プロテアーゼについては、280nmでの吸光度として測定される、又はフォリン法を使用して比色定量により測定されるカゼイン又はヘモグロビンからの酸可溶性ペプチドの放出に基づくアッセイがある(Bergmeyer et al.,1984)。他のアッセイには、発色性基質の可溶化が包含される(例えば、Ward,1983を参照されたい)。他の典型的なアッセイとしては、スクシニル-Ala-Ala-Pro-Phe-パラ-ニトロアニリドアッセイ(SAAPFpNA)及び2,4,6-トリニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム塩アッセイ(TNBSアッセイ)が挙げられる。当業者には公知である多数の追加の文献は、好適な方法を提供する(例えば、Wells et al.,1983;Christianson et al.,1994及びHsia et al.,1999を参照されたい)。
国際公開第2014/164777号パンフレットは、本明細書に記載したアミラーゼ活性のために有用なCeralpha α-アミラーゼ活性アッセイを開示している。
宿主細胞中の関心対象のタンパク質の分泌レベルを決定し、発現したタンパク質を検出するための手段には、タンパク質に特異的なポリクローナル抗体若しくはモノクローナル抗体いずれかを用いるイムノアッセイの使用が挙げられる。その例としては、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、蛍光免疫測定法(FIA)及び蛍光活性化セルソーティング(FACS)が挙げられる。
本開示の一部の態様は、限定するものと解釈すべきでない以下の実施例に照らせばさらに理解することができる。材料及び方法の変更は、当業者には明白であろう。
実施例1
バチルス・リケニフォルミス(BACILLUS LICHENIFORMIS)株のrghR2遺伝子内の18bp配列の重複
バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)のDSM13株(ATTC14580)は、推定HTH型転写調節因子をコードするrghR2(BLi03647)と命名された遺伝子を含有する。B.リケニフォルミス(B.licheniformis)のDSM13のrghR2の核酸配列は、配列番号1に示されており、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)のDSM13のRghR2タンパク質のコードされたアミノ酸配列は、配列番号2に示されている。
(a)B.リケニフォルミス(B.licheniformis)のBra7株、(b)B.リケニフォルミス(B.licheniformis)のBra7誘導体、(c)B.リケニフォルミス(B.licheniformis)のATCC-9789株(www.atcc.org/Products/All/9789.aspx)及び(d)B.リケニフォルミス(B.licheniformis)のATCC-6598株(www.atcc.org/en/Products/All/6598.aspx)のゲノムのシーケンシングは、これらのB.リケニフォルミス(B.licheniformis)の全部がrghR2遺伝子内の18ヌクレオチドの重複を有することを明らかにし、18bpヌクレオチド重複は、配列番号3:GCCGCAGCCATTTCCAGAに示されている。
したがって、(a)B.リケニフォルミス(B.licheniformis)のBra7株のrghR2遺伝子(配列番号3)のヌクレオチド配列は、配列番号3に示したように、(b)B.リケニフォルミス(B.licheniformis)のBra7誘導体、(c)ATCC-9789及び(d)ATCC-6598のrghR2遺伝子のヌクレオチド配列と同一である。同様に、配列番号4に示したように、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)のBra7株(配列番号5)のRghR2タンパク質のアミノ酸配列は、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)のBra7誘導体、ATCC-9789及びATCC-6598のRghR2のアミノ酸配列と同一である。
反復アミノ酸(AAAISR)を例示している、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)のBra7株のRghR2アミノ酸配列(配列番号4)とB.リケニフォルミス(B.licheniformis)のDSM13株のRghR2アミノ酸配列(配列番号2)とのアラインメントは、図1に示した。配列「AAAISR」の挿入は、図8に示したようにヘリックスターンヘリックス(HTH)ドメイン内にあり、配列特異的DNA結合部位の近くにある。挿入は、rghR2転写調節因子(すなわち、実質的に不活性な転写調節タンパク質)の「機能」に有意な影響を及ぼす、又は完全に無効にさえすると予測することができる。例えば、転写調節因子として、RghR2は、数個の他の遺伝子の発現を直接的及び間接的に調節するであろう。本明細書では、(例えば、配列番号6に規定した「AAAISR」アミノ酸反復をコードする配列番号5に規定した18bp重複による)RghR2の不活性化は、細胞生理学に影響を及ぼし、その結果として、増殖及びその異種タンパク質産生のような因子に大きな影響を及ぼし得ることは、企図されている。そこで、増殖及び異種タンパク質産生に及ぼす大きな影響について、様々な異種酵素を産生するB.リケニフォルミス(B.licheniformis)のBra7株誘導体細胞内でのrghR2遺伝子における18bpヌクレオチド重複を除去することによってさらに試験した。
実施例2
rghR2内の18bp重複の除去並びにそれが細胞増殖及び異種酵素産生に及ぼす作用
B.リケニフォルミス(B.licheniformis)のBra7誘導体株(及びこの宿主株に関連若しくは由来する株)内の18bp重複を除去するために、2回のPCR増幅をBra7のゲノムDNA上で実施した。第1回のPCR増幅は、プライマー378及び379(表2)を用いて実施し、第2回PCR増幅は、プライマー380及び381(表2)を用いてBra7のゲノムDNA上で実施した。両方の断片は、ゲル精製し、18bp重複の欠失を備えるrghR2断片を産生するために、プライマー378及び381を使用する融合PCRにおいて使用した。この断片は、HindIII及びNotIを用いて消化し、ゲル精製後に、HindIII及びNotI消化及びゲル精製感温性組み込みプラスミドpCZ105(図2)内にライゲートすると、プラスミド「pZC105_rghR2」が産生した(図3)。
プラスミドpZC105_rghR2は、ローリングサークル増幅し(GE Healthcare Europe GmbH,Eindhoven,The Netherlands)、天然B.リケニフォルミス(B.licheniformis)アミラーゼ(AmyL)遺伝子が欠如するが、異種パエニバチルス・クルドラノリチクス(Peanibacillus curdlanolyticus)の変異α-アミラーゼをコードする発現カセットを有するB.リケニフォルミス(B.licheniformis)(Bra7誘導体)株内で形質転換させた。したがって、発現カセットは、強力なプロモーターの背後にP.クルドラノリチクス(P.curdlanolyticus)の変異α-アミラーゼをコードする遺伝子を含み、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)のゲノム内に組み込まれる。異種P.クルドラノリチクス(P.curdlanolyticus)の変異α-アミラーゼの配列は、詳細にはその全体として参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2014/164834号パンフレットに開示されている(すなわち、配列番号35)。
細胞は、以前に2016年10月27日に出願された国際出願第PCT/US2016/059078号明細書に記載されたようにプラスミドpBLComKを使用してコンピテントにされた(図4)。細胞は、30mg/Lのカナマイシンを含有するLuria寒天上でプレーティングし、37℃で一晩培養した。形成されたコロニーを新鮮Luria寒天上で再画線培養し、37℃で一晩培養した。単一コロニーを採取し、ゲノム内への組み込みを促進するために振とうしながら、Luriaブロス中で一晩42℃で培養した。引き続いて、細胞は、30mg/Lのカナマイシンを含有するLuria寒天上でプレーティングし、37℃で一晩培養した。プライマー369及び384を使用するPCRによってゲノム内への組み込みの検証後、適正なクローンを37℃でLuriaブロス中で一晩培養し、その後にLuria寒天上でプレーティングした。単一コロニーをLB寒天プレート及び30mg/Lのカナマイシンを含有するLB寒天プレート上で再画線培養し、二重交差事象によるゲノムからのベクター部分の除去を検証するために37℃で一晩培養した。カナマイシンの存在下で増殖できなかったコロニーをプライマー752及び753(表2)を使用するPCRにかけ、得られた断片をシーケンシングした。これはrghR2遺伝子内の18bp重複の除去を確証した。
検証したクローンの1つであるクローン197をその後の試験のために使用した。rghR2回復宿主中でP.クルドラノリチクス(P.curdlanolyticus)のα-アミラーゼを発現するクローン197(すなわち、rghR2rest、18bp重複の除去)及びP.クルドラノリチクス(P.curdlanolyticus)のα-アミラーゼを発現する親コントロール株(すなわち、18bp重複を含むrghR2を含む)をトリプトンソイブロス(TSB)培地に接種し、振とうしながら37℃で一晩培養した。主要培養物は、グルコース徐放性マイクロタイタープレート(srMTP;PS Biotech GmbH,Herzogenrath,Germany)を使用してアミラーゼ産生培地中において0.1のOD660でこの予備培養物から接種した。プレートは、37℃で振とうしながら72時間培養した。
72時間後、OD600を測定し(図5)、100μLの細胞は、50%のプロピレングリコール(Sigma Aldrich,Zwijndrecht,The Netherlands)を用いて1:1に希釈し、振とうしながら40℃で1時間インキュベートした。インキュベーション後、アミラーゼ活性は、Megazyme社の取扱説明書に記載されたように、及び国際出願第PCT/US2016/059078号明細書に開示されたように、Ceralpha試薬(Megazyme,Wicklow,Ireland)を使用して測定した。
図5に示したように、rghR2の18bp重複の欠失は、培養したときにバイオマス中での減少を示したが、同時に改良されたアミラーゼ産生力価を証明した。例えば、図6は、異種α-アミラーゼの比生産性(酵素生成/OD600)がrghR2回復株において少なくとも係数2は改善されたことを示している。
実施例3
RghR2調節遺伝子
Bra7産生株(すなわち、18bp重複を有するrghR2を含む)及びこの株のrghR2回復(rghR2rest)変異体のトランスクリプトーム解析は、数個の遺伝子の転写がRghR2によって調節されることを明らかにした(表3)。rghR2回復株において少なくとも2倍(すなわち、18bp重複を含むrghR2不活性株に比較して)下方制御された遺伝子の転写は、表4に示した。rghR2回復株及びrghR2不活性化株(例えば、18bp挿入による)の両方におけるこれらの遺伝子の(さらなる)下方制御又はこれらの遺伝子の欠失は、タンパク質産生にプラスの作用を有する。これは、18bp反復の除去によるrghR2の再活性化によって見られる作用と類似の作用であろう。このため、これらの遺伝子(Bli03644、yvzC、abrB1、abh)のサブセットの不活性化が異種タンパク質産生に及ぼす作用を下記の実施例4において記載するように調査した。
実施例4
RghR2調節遺伝子の不活性化及びそれらが異種タンパク質産生に及ぼす作用
Bli03644、abrB1、yvzC及びabh遺伝子は、異種α-アミラーゼ(すなわち、国際公開第2014/164834号パンフレットにおいて開示されたP.クルドラノリチクス(P.curdlanolyticus)の変異α-アミラーゼ)を産生するBra7株内の抗生物質マーカーの挿入によって不活性化されたが、ここで異種α-アミラーゼ産生は、実施例2に記載したように、4つの単一ノックアウト株(ΔBLi03644、ΔabrB1、ΔyvzC及びΔabh)内で決定し、親(コントロール)株と比較した。例えば、図7に示したように、Bli03644、abrB1、yvzC及びabhの不活性化は、改良された異種α-アミラーゼ産生を生じさせたが、他方細胞増殖(OD600)は余り影響を受けなかった。
実施例5
rghR2restを含む改変細胞中のアミラーゼの強化された産生
本実施例では、18bp重複を有するrghR2遺伝子(配列番号3)を含むB.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞及び18bp重複が欠如するrghR2遺伝子(rghR2rest;配列番号1)を含むB.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞はどちらも、下記の:10mLの播種培地(15g/Lの酵母抽出物、5.5g/Lのデキストロース、3g/Lのリン酸カリウム、1g/Lの硫酸マグネシウム)中の冷凍バイアル(1mL、20%のグリセロール)から接種された、(a)B.リケニフォルミス(B.licheniformis)のゲノム内に組み込まれた異種サイトファガ種(Cytophaga sp.)の1番変異体のα-アミラーゼ発現カセット(配列番号140)又は(b)B.リケニフォルミス(B.licheniformis)のゲノム内に組み込まれた変異ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)のα-アミラーゼ発現カセット(配列番号141)のいずれかの単一コピーを含む。培養物は、OD600がおよそ2となるまで、310RPMで換気式100mLのフラスコ内において38℃で増殖させた。各培養物から0.25mLを100mLの換気機能付きフラスコ内の25mLの産生培地(30g/Lの2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、アミノ酸を含まず硫酸アンモニウムを含む6.7g/Lの酵母窒素塩基、硫酸アンモニウム若しくはアミノ酸を含まない1.7g/Lの酵母窒素塩基、0.7g/Lのソイトン、水酸化アンモニウムを用いてpH6.8)に移し、2個の14mm径のグルコース供給ビーズを添加し、このフラスコは、蒸発した水の損失を定期的に置換しながら84時間にわたり38℃、310RPMでインキュベートした。
84時間後、各フラスコからサンプルを採取し、遠心した。10分の1(0.1)mLの上清を0.9mLのブラッドフォード試薬と混合した。波長595nmの吸光度として色を測定し、標準曲線と比較してタンパク質濃度を決定した。ペレットをプロピレングリコール中に再懸濁させ、30分間加温し、上記と同様にブラッドフォード試薬を用いてアッセイした。2回の測定の凝集体によりアミラーゼ力価を決定し、表5に示した。
したがって、上記の表5に示したように、rghR2遺伝子内の天然に存在する18bp重複の除去を示しているrghR2rest対立遺伝子を含む両方のB.リケニフォルミス(B.licheniformis)株は、複数の異種アミラーゼ分子を産生するために有益である。
実施例6
CRISPR-Cas9編集及びRghR2遺伝子内の18bp重複の欠失
本実施例では、核酸誘導エンドヌクレアーゼ(例えば、S.ピオゲネス(S.pyogenes)由来Cas9(配列番号91))をコードする遺伝子又はそれらのコドン最適化遺伝子(例えば、配列番号92のCas9ヌクレアーゼ)は、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)内で活性なプロモーター(例えば、下記の表6を参照されたい)及びB.リケニフォルミス(B.licheniformis)内で活性なターミネーター(例えば、配列番号103)に機能的に連結しており、それによりB.リケニフォルミス(B.licheniformis)のCas9発現カセット(配列番号104)を作成する。
18bp重複が欠如するrghR2遺伝子が標的部位を含有していないように、rghR2の18bp重複対立遺伝子に固有の標的部位(配列番号105)は、同定することができる。
同様に、18bp重複内の固有の標的部位を標的とするガイドRNA(gRNA)をコードするDNA構築物(配列番号105)を構築するために、配列番号106、配列番号107、配列番号108若しくは配列番号109(それらのヌクレオチドはプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)ヌクレオチド「TGG」の上流5’側である)の標的部位ヌクレオチドを含む可変標的化ドメイン(VT)は、S.ピオゲネス(S.pyogenes)のCas9に対するCas9エンドヌクレアーゼ認識ドメイン(CER、配列番号110)をコードするDNAに融合する。
VTドメインをコードするDNAとCERドメインをコードするDNAとの組み合わせ(融合)は、gRNAをコードするDNA(例えば、rghR2内の18bp重複由来の標的部位(配列番号105)を標的化するgRNAをコードするDNA)を生成し、配列番号111を生成する。
gRNAのためのB.リケニフォルミス(B.licheniformis)の発現カセットは、gRNAをコードするDNA(配列番号111)をB.リケニフォルミス(B.licheniformis)内で活性なプロモーター(例えば、表6)及びgRNA発現カセット(spac-gRNA-t0 配列番号112)を作成するB.リケニフォルミス(B.licheniformis)内で活性なターミネーター(例えば、配列番号103)を機能的に連結させることによって作成される。Cas9発現カセット(配列番号104)及びgRNA発現カセット(配列番号112)によって生成されたDNA切断を正確に修復するためには、細胞の修復機構によって使用すべき編集鋳型が提供されなければならない。例えば、18bp重複の500bp上流(5’側)(配列番号113)は、18bp重複の500bp下流(3’側)(配列番号114)に融合して、RGENによって生成されたDNA切断を修復するためにB.リケニフォルミス(B.licheniformis)の宿主機構によって使用され得る編集鋳型(配列番号115)を生成する。
Cas9発現カセット(配列番号104)、gRNA発現カセット(配列番号112)及び編集鋳型(配列番号115)は、多数の様々な方法(例えば、プロトプラスト融合法、エレクトロポレーション法、天然コンピテンス又は誘導コンピテンス)を使用してB.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞に共送達される。形質転換細胞は、フォワードプライマー(配列番号117)及びリバースプライマー(配列番号118)を備える遺伝子座を増幅させることによりrghR2遺伝子座(配列番号116)を増幅させることによってスクリーニングされる。これらのプライマーは、野生型遺伝子座(配列番号116)又はRGEN(配列番号119)によって編集されていた回復遺伝子座を増幅させる。これらの断片は、次に編集されたコロニーを同定するために、シーケンシングプライマー(配列番号120)を使用してシーケンシングされる。
したがって、本実施例に記載したように、rghR2レギュロン内の遺伝子のいずれも、その遺伝子を不活性化する、強化する、下方制御する若しくは欠失させるために類似の方法で編集され得る。
実施例7
CRISPR-Cas9編集及び遺伝子の下方制御
本実施例では、CRSIPR-Cas9編集による関心対象の遺伝子の調節(例えば、下方制御)について記載する。遺伝子発現レベルを調節するための典型的な方法は、標的遺伝子の転写を強化若しくは拮抗させるためのヌクレオチド誘導エンドヌクレアーゼのヌクレアーゼ欠陥変異体(例えば、Cas9 D10A/N863A若しくはD10A/H840A)の使用である。これらのCas9変異体は、タンパク質配列内に存在する全てのヌクレアーゼドメインに対して不活性である。これらのCas9変異体は、このため、RNA誘導DNA結合活性を保持するが、同種標的部位に結合した場合にDNA構築物のいずれの鎖を切断することもできない。
例えば、ヌクレアーゼ欠陥Cas9タンパク質は、(実施例6に記載したように構築された)B.リケニフォルミス(B.licheniformis)の発現カセットとして発現することができ、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)のgRNA発現カセットと結合された場合に、Cas9タンパク質は、細胞内の特異的標的配列に向けられる。Cas9(変異)タンパク質の特異的標的部位への結合は、細胞のDNA上の転写機構の結合若しくは移動を遮断し、それにより産生する遺伝子産物の量を減少させることができる。
さらに、結合活性は、転写機構がより容易に遺伝子に結合する、又は伸長させることを可能にする領域内でDNAを局所的に溶融させることによって転写を強化することができ、これは産生する遺伝子産物の量を増加させるであろう。したがって、rghR2レギュロン(若しくはB.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞内の任意の他の遺伝子)は、この方法を使用して遺伝子発現の調節(上方制御若しくは下方制御)の標的とすることができる。
例えば、ヌクレアーゼ欠陥Cas9タンパク質を有するybcZ遺伝子を標的とするためには、標的とし得るybcZ ORF内の19の固有の標的部位(配列番号121~139)がある。これらの標的配列は、実施例6で記載したように、gRNA発現カセット内に作成することができる。
ヌクレアーゼ欠陥Cas9発現カセット(例えば、上記の実施例6で記載したように構築した)と標的遺伝子のためのgRNA発現カセットとの共送達は、遺伝子内の転写をサイレンシング若しくは活性化することにより遺伝子量の変化(調節)を可能にする。複数のgRNA発現カセットを同時に送達することによって、同時の複数の遺伝子の標的化及び調節が可能である。遺伝子調節(上方制御若しくは下方制御)は、ヌクレアーゼ欠陥Cas9発現カセット及びRNA発現カセットを含有する細胞内で、例えばRNAseqなどの、当業者には公知である方法によって容易に監視される。
実施例8
rghR2restを含む改変細胞中の異種G4アミラーゼの強化された産生
本実施例では、18bp重複(配列番号3)を有するrghR2遺伝子を含むB.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞及び18bp重複が欠如するrghR2遺伝子(rghR2rest;配列番号1)を含むB.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞は、どちらもシュードモナス種(Pseudomonas sp.)AMIの異種G4アミラーゼ(変異体)をコードする発現カセット(配列番号142)の単一コピーを含む(例えば、特に参照により全体として本明細書に組み込まれる、国際公開第2010/133644号パンフレットを参照されたい)。どちらの株も実施例2に記載したように培養し、48時間後に採取した試料は、上述したようにCeralpha試薬を用いてアッセイした。rghR2内に18bp重複を含む株に比較したrghR2rest株内の比生産性(G4アミラーゼ産生/OD600)における倍率差は、表7に示した。
したがって、上記の表7に示したように、異種G4アミラーゼの比生産性(Qp)は、rghR2遺伝子内に18bp重複を含むB.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞に対してB.リケニフォルミス(B.licheniformis)のrghR2rest細胞内では有意に改善される。
実施例9
rghR2restを含む改変細胞中のアルカリアミラーゼの強化された産生
本実施例では、18bp重複を有するrghR2遺伝子(配列番号3)を含むB.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞及びrghR2rest(配列番号1)を含むB.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞はどちらも、下記の:(1)B.リケニフォルミス(B.licheniformis)のゲノム内に組み込まれたアルカリα-アミラーゼ変異体1のための発現カセット、(2)B.リケニフォルミス(B.licheniformis)のゲノム内に組み込まれたアルカリα-アミラーゼ変異体2のための発現カセット、(3)B.リケニフォルミス(B.licheniformis)のゲノム内に組み込まれたアルカリα-アミラーゼ変異体3のための発現カセット又は(4)B.リケニフォルミス(B.licheniformis)のゲノム内に組み込まれたアルカリα-アミラーゼ変異体4のための発現カセットのいずれかの単一コピーを含む。株は、フェドバッチ系中で発酵させ、発酵の終了時に試料を採取し、実施例2に記載したようにMegazyme社のCeralpha試薬を使用してα-アミラーゼ活性についてアッセイした。rghR2内に18bp重複を含む株と比較して、rghR2内に18bp重複を含まない株中のアミラーゼ産生における倍率差は、表8に示した。
したがって、上記の表8に示したように、フェドバッチ培養中のアルカリアミラーゼの産生は、rghR2遺伝子内に18bp重複を含むB.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞に対してB.リケニフォルミス(B.licheniformis)のrghR2rest細胞内では改善される。
実施例10
rghR2restを含むバチルス属(Bacillus)細胞中の強化されたリパーゼ産生
本実施例では、18bp重複を有するrghR2遺伝子(配列番号3)を含むB.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞及びrghR2rest遺伝子(配列番号1)を含むB.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞はどちらも、リパーゼ/エステラーゼ活性を含む異種EC3.1.1.3酵素をコードする発現カセットの単一コピーを含む。したがって、どちらの株も実施例2に記載したように培養し、48時間後に採取した等量試料は、供給業者の取扱説明書にしたがってSDS-PAGE(ThermoFischer社のInvitrogen 4~12%のNuPAGE Bis-Trisゲル)にかけた。染色したSDS-PAGEタンパク質ゲル(図9)は、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)のrghR2rest株によって産生したEC3.1.1.3酵素(約28kDa)の増加したレベルを示している(図9、レーン1を参照されたい)。したがって、上記の表9に示したように、異種リパーゼ/エステラーゼ酵素の産生は、18bp重複を有するrghR2遺伝子を含むB.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞に比較して、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)のrghR2rest細胞内では改善される。
実施例11
フェドバッチ培養中におけるrghR2rest株内のα-アミラーゼの強化された産生
本実施例では、18bp重複を有するrghR2遺伝子(配列番号3)を含むB.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞及びrghR2rest遺伝子(配列番号1)を含むB.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞はどちらも、国際公開第2014/164834号パンフレットに記載された異種サイトファガ種(Cytophaga sp.)の変異体#2のα-アミラーゼをコードする発現カセット(配列番号143)の単一コピーを含む。どちらの株も標準フェドバッチ発酵条件下で増殖させた。アミラーゼ活性は、実施例2に記載したようにMegazyme社のCeralpha試薬を使用して発酵を通して監視した。rghR2遺伝子内の18bp重複を含むB.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞に比較したB.リケニフォルミス(B.licheniformis)のrghR2rest細胞の比生産性における倍率差は、下記の表9に示した。
したがって、表9に示したように、異種サイトファガ種(Cytophaga sp.)の変異体#2のα-アミラーゼを産生するB.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞についての比生産性は、18bp重複を有するrghR2遺伝子を含む細胞に比較して、rghR2rest遺伝子を含む細胞内では10%改善される。
実施例12
対立遺伝子rghR2rest及びglcT1を含む改変B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞中の強化されたアミラーゼ産生
本実施例では、異種α-アミラーゼ発現カセットは、親及び改変B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞のBF62及びBF169内に導入された。より特別には、異種α-アミラーゼ発現カセットを用いて形質転換された親B.リケニフォルミス(B.licheniformis)宿主は、「BF134」と命名された。同様に、下記の表10に規定したように、異種α-アミラーゼ発現カセットを用いて形質転換されたrghR2rest遺伝子を含むB.リケニフォルミス(B.licheniformis)(娘)細胞「BF62」は、「BF165」と命名され、対立遺伝子glcT1及びrghr2rest遺伝子を含むB.リケニフォルミス(B.licheniformis)(娘)細胞「BF169」は、「BF260」と命名された。
B.リケニフォルミス(B.licheniformis)の対立遺伝子glcT1は、本明細書に参照により全体として組み込まれる、2018年1月3日に出願された米国仮特許出願第62/613,339号明細書に記載されたように、変異GlcTタンパク質のアミノ酸67位(F67)でフェニルアラニン(F)を含む変異GlcT(転写アンチターミネーション)タンパク質をコードする。
したがって、キシロース誘導性comK発現カセットを運ぶプラスミドを含む親及び改変B.リケニフォルミス(B.licheniformis)のBF62及びBF169細胞(表10)は、125mLのバッフル付きフラスコ内に100μg/mLの二塩酸スペクチノマイシンを含有する15mLのLブロス(1(w/v)%のトリプトン、0.5(w/v)%の酵母抽出物、1(w/v)%のNaCl)中で37℃及び250RPMで一晩増殖させた。一晩培養物は、250mLのバッフル付きフラスコ内内に100μg/mLの二塩酸スペクチノマイシンを含有する25mLの新鮮Lブロス中で0.7(OD600単位)に希釈した。細胞は、37℃(250RPM)で1時間増殖させた。D-キシロースは、50(w/v)%のストックからの0.1(w/v)%に加えた。細胞は37℃(250RPM)でさらに4時間増殖させ、7分間にわたり1,700×gでペレット化した。
細胞は、使用済み培地を使用して元の培養の4分の1量に再懸濁させた。100μLの濃縮細胞を(5’側~3’側方向へ)野生型B.サブチリス(B.subtilis)のaprE 5’-UTR(WT-5’-UTR)と機能的に連結された同一5’側catH相同性アーム、catH遺伝子及びspoVGrrnIpハイブリッドプロモーターを含むおよそ1μgの発現カセットと混合したが、ここでWT-5’-UTRは、最終シグナル配列をコードして、その後に変異G.ステアロサーモフィルス(G.stearothermophirus)のα-アミラーゼをコードするDNA(ORF)が続くDNAに機能的に連結させた。変異G.ステアロサーモフィルス(G.stearothermophilus)のα-アミラーゼをコードするDNA(ORF)の3’側末端は、3’側catH相同性アームに機能的に連結されたlatターミネーターに機能的に連結された。形質転換反応は、37℃、10,000RPMでおよそ90分間インキュベートした。
形質転換ミックスは、1.5(w/v)%寒天を用いて固化した10μg/mLのクロラムフェニコールを含有するLブロスが充填されたペトリ皿上でプレーティングした。プレートは、37℃で2日間にわたりインキュベートした。コロニーは、1.5(w/v)%寒天を用いて固化した1(w/v)%の不溶性コーンスターチを含有するLブロスが充填されたペトリ皿上で画線精製した。プレートは、コロニーが形成されるまで、37℃で24時間インキュベートした。デンプン加水分解は、ハローを形成する、コロニーを取り囲んでいる不溶性デンプンの除去によって指示されたので、これを使用して変異G.ステアロサーモフィルス(G.stearothermophilus)のα-アミラーゼタンパク質を発現する形質転換体を選択した。コロニーPCRを使用して、標準技術並びにフォワード及びリバースプライマー対を使用してコロニーを生成するハローからcatH遺伝子座を増幅させた。発現カセットを含む配列検証済みB.リケニフォルミス(B.licheniformis)(娘)細胞を保存し、表10の第3列に示したように命名した。
したがって、α-アミラーゼ発現カセットを含むBF165(すなわち、rghr2rest)及びBF260(すなわち、rghr2rest+glcT1)と命名されたB.リケニフォルミス(B.licheniformis)株は、小規模条件下でα-アミラーゼの産生について評価された。これらの株は、1(w/v)%の不溶性デンプンを含有するL寒天プレート上で画線精製し、およそ24時間にわたり37℃で増殖させた。単一ハロー陽性コロニーは、15mLのトリプティックソイブロス(1.7(w/v)%のトリプトン、0.3(w/v)%のソイトン、0.25(w/v)%のグルコース、0.5%(w/v)%の塩化ナトリウム、0.25%(w/v)のリン酸二ナトリウム)中に接種し、6時間にわたり37℃(250RPM)で増殖させた。引き続いて、この0.025mLの種培養は、25mLのフラスコ増殖培地(水酸化アンモニウムと共に、微量金属を含有する4(w/v)%のMES、0.1(w/v)%のリン酸一カリウム、0.05(w/v)%の塩化ナトリウム、0.03(w/v)%のソイトン、pH6.8)中に接種した。単一高グルコース放出性フィードビーズ(Kuhner製)を添加した(供給速度57mg/L/時間)。培養物は、42℃(250RPM)で90時間にわたり増殖させた。総分泌タンパク質産生量は、BSA標準物質を用いるブラッドフォード法を使用して決定した。各株についての少なくとも2本の独立フラスコの反復測定から平均化した相対α-アミラーゼ産生量は、下記の表11に示した。
したがって、表11に示したように、バチルス属(Bacillus)のBF260細胞(rghR2rest及び対立遺伝子glcT1を含む)は、バチルス属(Bacillus)宿主細胞BF165(rghR2rest及び野生型glcT遺伝子を含む)と比較した場合(それに対して)、相対α-アミラーゼ産生量のおよそ9%の増加を証明する。したがって、所定の実施形態では、回復rghR2遺伝子(rghR2rest)を含む本開示の改変B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞は、変異GlcTタンパク質のアミノ酸67位でロイシン(L)からフェニルアラニン(F)への置換を含む変異GlcTタンパク質をコードする対立遺伝子glcT1(配列番号144)を含む核酸構築物をさらに含む。
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